平成21(行ウ)107 査証発給拒否処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成22年7月8日 東京地方裁判所 警察関係
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判決文本文18,717 文字)

- 1 -主文 本件訴えを却下する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求在広州日本国総領事館所属日本国領事官が原告に対し平成20年12月12日付けでした査証の発給拒否処分を取り消す。 第2事案の概要本件は,中華人民共和国(以下「中国」という)の国籍を有する原告が,。 在留資格を「技能」とする在留資格認定証明書の交付を受けた上,在広州日本国総領事館において査証の発給の申請をしたところ,同総領事館所属日本国領,。 事官から査証の発給の拒否を受けたことからその取消しを求めた事案である 関係法律及び訓令等の定め(1)出入国管理及び難民認定法(平成21年法律第79号による改正前のもの。以下「入管法」という)。 ,,,ア入管法2条4号は日本国領事官等とは外国に駐在する日本国の大使公使又は領事官をいう旨を,同条5号は,旅券とは,日本国政府,日本国政府の承認した外国政府等の発行した旅券等をいう旨を定めている。 イ入管法6条1項は,本邦に上陸しようとする外国人は,有効な旅券で日(),本国領事官等の査証を受けたものを所持しなければならない旨本文をただし,国際約束又は日本国政府が外国政府に対して行った通告により日本国領事官等の査証を必要としないこととされている外国人の旅券等には,日本国領事官等の査証を要しない旨(ただし書)を,同条2項は,同条1項本文の外国人は,その者が上陸しようとする出入国港において,法務省令で定める手続により,入国審査官に対し上陸の申請をして,上陸のための審査を受けなければならない旨を定めている。 - 2 -ウ入管法7条1項は,入国審査官は,上陸の申請があったときは,当該外国人が①その所持する旅券及び,査証を必要とする場合には,これに与えられた査証が有効であること( ない旨を定めている。 - 2 -ウ入管法7条1項は,入国審査官は,上陸の申請があったときは,当該外国人が①その所持する旅券及び,査証を必要とする場合には,これに与えられた査証が有効であること(1号,②申請に係る本邦において行おう),,とする活動が虚偽のものでなく別表第1の下欄に掲げる活動等に該当しかつ,同表の2の表の下欄等に掲げる活動を行おうとする者については我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合すること(2号)などの上陸のための条件に適合しているかどうかを審査しなければならない旨を,同条3項は,法務大臣は,同条1項2号の法務省令を定めようとするときは,あらかじめ,関係行政機関の長と協議するものとする旨を定めている。 ,,,エ入管法7条の2第1項は法務大臣は法務省令で定めるところにより本邦に上陸しようとする外国人から,あらかじめ申請があったときは,当該外国人が同法7条1項2号に掲げる条件に適合している旨の証明書を交付することができる旨を,同法7条の2第2項は,上記の申請は,当該外国人を受け入れようとする機関の職員その他の法務省令で定める者を代理人としてこれをすることができる旨を定めている。 (2)外務省設置法ア外務省設置法4条は,外務省は,査証に関すること(13号)等の事務をつかさどる旨を定めている。 イ外務省設置法7条1項は,一定の場合を除くほか,在外公館は,外国において外務省の所掌事務を行う旨を定めている。 ウ外務省設置法10条1項は,同法(これに基づく命令を含む)及び他。 の法令中領事官の職務に関する規定において「領事館」とは,法律又は,,,政令に別段の定めがある場合を除くほか総領事館及び領事館をいう旨を同条2項は,上記の各規定において「領事」又は「領 他。 の法令中領事官の職務に関する規定において「領事館」とは,法律又は,,,政令に別段の定めがある場合を除くほか総領事館及び領事館をいう旨を同条2項は,上記の各規定において「領事」又は「領事官」とは,法律,又は政令に別段の定めがある場合を除くほか,領事館の長又はその事務の- 3 -を代理する者をいう旨を定めている。 (3)査証事務処理規則(平成12年外務省訓令第6号。乙1,5。以下「査証規則」という)。 ア査証規則1条(趣旨)は,査証規則は,外務省設置法4条13号及び7,,条の規定による査証に関する事務を遂行するため査証制度の運用の原則査証区分,査証官の指名及び査証の手続等の査証に関する基本的事項を定める旨を定めている。 イ査証規則2条(定義)は,査証規則において,領事官とは,外務省設置法10条2項に定める領事官等をいう旨(1号)を,査証とは,本邦に入国しようとする外国人に対し,領事官が査証規則の定めるところに従い,当該外国人の所持する旅券に付与する①当該旅券が真正であり,かつ,本邦への入国に有効であること(イ,②付与する査証に記す条件下におい)て当該外国人の本邦への入国及び滞在が差し支えないこと(ロ)の判断の()(),,,表示 認定 をいう旨3号を査証官とは領事官の指名に基づいて領事官の指揮監督の下に領事官に属する査証の権限を代行し,在外公館において査証に関する事務を行う職員をいう旨(5号)を定めている。 ウ査証規則3条(査証制度の運用原則)は,査証事務は,日本国の利益及び安全の維持並びに日本国の外交政策の円滑な実施に資するとともに,外国に渡航し,又は滞在する日本国民の利益を衡量して運用しなければならない旨を定めている。 エ査証規則4条(査証区分)1項は,査証は,外交,公用,就業,通 国の外交政策の円滑な実施に資するとともに,外国に渡航し,又は滞在する日本国民の利益を衡量して運用しなければならない旨を定めている。 エ査証規則4条(査証区分)1項は,査証は,外交,公用,就業,通過,短期滞在,一般及び特定の7様に区分する旨を,同条2項は,1項に区分する各査証は,別表第1又は別表第2に定める渡航の目的に従い,当該別表に定めるところによる旨を定めている。 ,(),(),そして別表第2就業査証は就業査証技能の処理要領として提出書類欄には,査証申請書,写真,疎明資料(在留資格認定証明書を提- 4 -示する場合は,原則として在留資格認定証明書の写し1部のみで差し支えない)等を,渡航の目的(本邦において行おうとする活動)欄には,調。 理人(中華料理人等)等,本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動が該当する旨を,上陸許可基準欄には,調理師の場合には,料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され日本国において特殊なものについて10年以上の実務経験を有する者で,当該技能を要する業務に従事するものに該当し,かつ,日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることなどを定めている。 オ査証規則6条(査証申請の受理)1項は,査証官は,申請人又はその代理人(委任状による代理及び領事官が承認する旅行代理店等の代理申請機関を指す)に対して,旅券(1号,別表第2等の提出書類欄に定める。 )提出書類(2号)等を携行して所定の日時に出頭させることを原則とし,査証申請を受理することとする旨を定めている。 カ査証規則7条(審査)1項は,査証官は,3条の規定及び次の各号に適合しているかどうかを審査するものとする旨を,7条3項は,別表第2の ことを原則とし,査証申請を受理することとする旨を定めている。 カ査証規則7条(審査)1項は,査証官は,3条の規定及び次の各号に適合しているかどうかを審査するものとする旨を,7条3項は,別表第2の提出書類欄に定める在留資格認定証明書を所持する者からの申請については,原則として同条1項3号に適合しているかどうかについての疎明資料の提出を求めない旨を定めている。 (ア)旅券が真正かつ有効であり,本国又は在留国への再入国の権利・資格が確保されていること(1号。 )(イ)申請人が入管法5条1項の各号に定める上陸拒否者でないこと(2号。 )(ウ)申請人の本邦において行おうとする活動が別表第1又は別表第2の「本邦において行おうとする活動」欄に定める活動に該当し,かつ,申請人等について入管法7条1項2号の基準を定める省令に適合すること- 5 -(3号。 )(エ)申請人から提出された査証規則6条1項2号及び3号に掲げる書類が,適切かつ真正なものであること(4号。 )キ査証規則8条(経伺)1項は,査証官は,一定の場合には,査証発給の可否につき,外務大臣に経伺するものとする旨を定めている。 ク査証規則9条(査証の発給)1項は,査証官は,審査の結果,申請人が,,7条1項各号に定める要件に適合すると認めたときは所定の様式によりそれぞれの所定事項を記入して査証を発給するものとする旨を定めている。 ケ査証規則11条(査証等の発給拒否)1項は,査証官は,審査の結果,申請人が7条1項に定める要件に適合しないと認めたときは,査証の発給を拒否するものとする旨を,同条2項は,査証官は,同条1項の規定に基づいて査証の発給を拒否したときは,申請人に対しその旨の通知を行うとともに当該旅券を返還するものとし,原則として個別の拒否理由については提示しない する旨を,同条2項は,査証官は,同条1項の規定に基づいて査証の発給を拒否したときは,申請人に対しその旨の通知を行うとともに当該旅券を返還するものとし,原則として個別の拒否理由については提示しない旨を,同条4項は,在留資格認定証明書を所持する者に対し査証の発給を拒否した場合には,在留資格認定証明書を速やかに外務大臣経由で法務大臣に返送しなければならない旨を定めている。 (4)査証関係通達(査証発給拒否後の申請不受理機関について(平成15年)7月17日領外合F第○号。乙2。以下「査証通達」という)。 査証通達1項は,査証発給拒否者より同一目的で再申請がある場合,6か月以内は原則として受理しない旨を定めている。 前提事実(各項の末尾に記載した証拠により容易に認められる事実又は弁論の全趣旨により認められる事実を含む)。 (1)原告等ア原告は,▲年(昭和▲年)▲月▲日,中国福建省で出生した中国人男性である(甲1)。 - 6 -イ原告は,平成20年6月25日,大阪市α区内において中国料理店を営むA株式会社(以下「A」という)との間で,同中国料理店で中国料理。 の調理師として月給25万円で勤務する旨の雇用契約を締結した(甲2。 の1及び2)(2)在留資格認定証明書の交付法務大臣から権限の委任を受けた大阪入国管理局長は,原告の代理人であるAの代表取締役であるBからの申請を受けて,平成20年10月3日付けで,入管法7条の2の規定により,Bに対し,原告が「技能」の在留資格に関して同法7条1項2号に掲げる上陸のための条件に適合している旨の在留資格認定証明書(以下「本件証明書」という)を交付した(甲3,弁論。 。 の全趣旨)(3)査証の発給の拒否等ア原告は,平成20年10月9日,在広州日本国総領事館が委託をしている中国福建省 留資格認定証明書(以下「本件証明書」という)を交付した(甲3,弁論。 。 の全趣旨)(3)査証の発給の拒否等ア原告は,平成20年10月9日,在広州日本国総領事館が委託をしている中国福建省福州市所在の査証の申請窓口に対し,本件証明書等の提出書類を添付して査証申請(以下「本件査証申請」という)をし,受理(受。 理番号○)がされた(甲1,弁論の全趣旨)。 イ在広州日本国総領事館所属日本国領事官は,本件査証申請について,平成20年12月12日付けで,原告に対し,査証の発給の拒否(以下「本件査証発給拒否」という)をした(甲1)。 。 争点及び当事者の主張本件の争点は,本案前の争点として,日本国領事官等による査証の発給の拒否が取消訴訟の対象となる行政処分に当たるか否か,本案の争点として,本件査証発給拒否の適法性である。 (1)本案前の争点(日本国領事官等による査証の発給の拒否が取消訴訟の対象となる行政処分に当たるか否か)について(原告の主張)- 7 -ア行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」について,従来の判例は,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうとの立場を基本とし,公権力性と直接の法的効果の有無を主たる判断基準とした上で,国民の権利利益の実効的救済の必要性をも考慮しつつ判断している。最高裁判所は,判断の通知であっても,事実上の法的効果の面から抗告訴訟の対象となる場合があることを認めており(最高裁昭和59年12月12日大法廷判決・民集38巻12号1308頁,必ずしも根拠法規の規定の仕方)に即しないで,その行為の効果を重視して公権力性が認められている。 イ査証は,法6条 認めており(最高裁昭和59年12月12日大法廷判決・民集38巻12号1308頁,必ずしも根拠法規の規定の仕方)に即しないで,その行為の効果を重視して公権力性が認められている。 イ査証は,法6条1項を根拠として,日本国領事官等が,査証を申請する外国人の所持する旅券が権限ある行政庁によって合法的に発給された真正かつ有効なものであることを確認するとともに,当該外国人の本邦への入国及び滞在が査証に記する条件の下において差し支えないことを認定する公権的な行為であり,査証規則3条及び7条は,その審査基準を定めたものということができる。このことは,我が国が受け入れる外国人の範囲を定める入管法7条1項2号の法務省令の策定に外務省もかかわっていることから(入管法7条3項,日本国領事官等も,上記の入管法の規定や趣)旨に従う義務があること,実際に,査証規則の内容が入管法及び出入国管理及び難民認定法施行規則(以下「入管法施行規則」という)に全面的。 に依拠して作成されていることからも裏付けられる。そして,査証を受けた旅券を所持していない外国人は,査証を要しない場合を除き,本邦に上陸することができず,当該外国人に対する査証の発給の拒否は,上陸許可を受けることができなくなるという法的効果を生じる行為である。 ,「」ウ原告は法務大臣から権限の委任を受けた大阪入国管理局長から技能の在留資格に関しての在留資格認定証明書である本件証明書の交付を受け- 8 -ているところ,在留資格認定証明書は,法務大臣があらかじめ在留資格に関する上陸条件(入管法7条1項2号)について審査し,適合すると認定したことを証明するものであり,その交付を受けた外国人は,法務大臣から,同項1号,3号及び4号に反しない限り,本邦に入国し得る法律上の地位を付与されたということができ,こ いて審査し,適合すると認定したことを証明するものであり,その交付を受けた外国人は,法務大臣から,同項1号,3号及び4号に反しない限り,本邦に入国し得る法律上の地位を付与されたということができ,この点で,本邦への入国の自由が保障されていない一般の外国人とは法的地位が決定的に異なり,その交付を,,受けた外国人に対する査証の発給の拒否は上記の条件付きであるものの本邦に入国し得る法律上の地位の侵害となる。 入管法は,在留資格認定証明書の交付を受けた外国人は,査証の発給を受けた上で本邦に入国して,入国審査官の入国審査を受けることを想定しており,そうでなければ,審査に労力をかけてその交付を受ける必要はない。ところが,在留資格認定証明書の交付を受けた者が査証の発給を受けることができなければ,本邦に入国して入国審査を受けることができず,査証の発給の拒否は,在留資格認定証明書を利用することさえできないという効果をもたらすものであり,仮に,本邦に入国することができたとしても,入管法7条1項1号の上陸条件に適合しないものとして上陸許可を受けることができなくなるのであり,重大な過失や恣意により査証の発給の拒否がされたのであれば,入管法の規定に反することは明らかである。 そして,当該外国人にとって,本邦に上陸するためには,査証の発給の拒否の取消訴訟を提起し得るものとする以外に方法はない。 ,,,前記イのとおり査証制度は入管法の諸規定に全面的に依存しており在留資格認定証明書制度と査証制度とは密接に結びついており,日本国領事官等は,在留資格認定証明書についての法務大臣の判断を尊重すべき義務を負っているというべきであるから(入管法7条3項,在留資格認定)証明書の交付を受けた外国人の査証申請についての日本国領事官等の判断,,は合理的な理由なく拒否する 務大臣の判断を尊重すべき義務を負っているというべきであるから(入管法7条3項,在留資格認定)証明書の交付を受けた外国人の査証申請についての日本国領事官等の判断,,は合理的な理由なく拒否することができない法規裁量と解すべきであり- 9 -また,これを拒否するときは,その理由を明示すべきである。そして,査証の発給の拒否に関する司法審査については,発給を拒否すべき合理的な理由があるか否かを判断するものであり,困難は認められない。法務大臣が審査した上で在留資格認定証明書を交付しているにもかかわらず,日本国領事官等が合理的な理由もなく査証の発給を拒否して,事実上法務大臣の判断を無効にしてしまうというのは,行政機関の権限分配の点からしても異常である。実際的にも,多大な労力と費用をかけて在留資格認定証明書の不交付処分の取消訴訟で勝訴し,在留資格認定証明書の交付を受けた上で査証申請する場合に,日本国領事官等が自由裁量で理由も明らかにせずに発給の拒否をすることができるとすると,上記の訴訟の結果は無に帰,,,することになりこのようなことは国法秩序にとって重大な矛盾であり文明国で認められる余地はないというべきである。 エ入国審査官等による上陸のための審査については抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるところ(入管法10条ないし12条,同じく上陸許可)のために要求される査証の発給の拒否についてだけ行政処分に当たらないという合理的根拠はなく,その司法審査に困難も認められない。また,在留資格認定証明書の不交付については抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとされていることとの権衡からも,査証の発給の拒否についても行政処分に当たるというべきである。 被告は,査証の発給の拒否について不服申立手続が規定されていないことを処分性を否定する根拠の一つとし たるとされていることとの権衡からも,査証の発給の拒否についても行政処分に当たるというべきである。 被告は,査証の発給の拒否について不服申立手続が規定されていないことを処分性を否定する根拠の一つとして主張するものの,出入国に関する処分については,そもそも不服申立てに関する一般法である行政不服審査法がその適用を除外しているのであるから(4条10号,査証の発給の)拒否の処分性の判断において,不服申立手続が規定されていないことを考慮要素とするのは適切とはいえない。入管法上の仮放免に関する規定(54条1項)については,何ら不服申立手続が規定されていないが,仮放免- 10 -の不許可については明らかに行政処分である。 OECD(経済開発協力機構)諸国には,査証の発給の拒否を争うことができる国が少なからずあることからすれば,被告が主張するように,国家が国際慣習法上外国人を受け入れる義務を負うものではなく,特別の条約がない限り外国人を自国内に受け入れるかどうかを自由に決定することができるということを根拠として原理的に査証の発給の拒否の処分性を否定するという立場は採用し得ない。 オ以上によれば,日本国領事官等による査証の発給の拒否は,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たるというべきである。 (被告の主張)ア行政事件訴訟法3条2項所定の処分の取消しの訴えの対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とは,行政庁の法令に基づく行為すべてを意味するのではなく,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうから,行政庁の公権力の行使にかかわる行為であっても,国民の法律上の地位ないし権利義務関係 うち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうから,行政庁の公権力の行使にかかわる行為であっても,国民の法律上の地位ないし権利義務関係に何ら直接的な影響を及ぼすことのないものは,取消訴訟の対象となる行政処分には該当しない。そして,抗告訴訟の中心を成す取消訴訟は,公定力を生ずるような行為について公定力を排除するために設けられた特別の訴訟制度であるから,ある行政行為に処分性があると認めることは,その行為によって生ずる効果について,対世的に通用力を認め,重大かつ明白な瑕疵があって当然無効とされる場合を除き,取消訴訟によらなければその効力が否定されるものでないことを承認することであるから,ある行政行為が処分性を有するか否かは,処分の根拠法規が当該行為を抗告訴訟の対象とするという立法政策を採用しているか否かという解釈問題に帰- 11 -着するというべきである。また,処分性の要素である公権力性や法律上の地位に対する影響は,法規の規定によって基礎付けられることが必要であるから,処分性を付与する立法政策が,法律その他の法規によって採用されているものであることが必要であり,公権力性や法律上の地位に対する影響が付与されているようにみえる行為であっても,それが,要綱や通達などの法的拘束力のないもののみを根拠とする場合には処分性が否定されるというべきである(最高裁昭和38年6月4日第三小法廷判決・民集17巻5号670頁参照。 )イ査証制度は,19世紀後半のヨーロッパ諸国において,外国人の入国の許否の判断を慎重に行うことを目的として始まったものであり,一時期査証が要求されない時期もあったが,第一次世界大戦の勃発を契機として,再びヨーロッパ諸国が査証を要求するようになり,米国においても,19 の判断を慎重に行うことを目的として始まったものであり,一時期査証が要求されない時期もあったが,第一次世界大戦の勃発を契機として,再びヨーロッパ諸国が査証を要求するようになり,米国においても,1917年(大正6年)の移民法制定,1924年(大正13年)の移民法の改正により査証制度を設けるに至った。このような国際的慣行を受けて,我が国においても,大正7年(1918年,自国の利益に反する好まし)からざる外国人の入国を禁止するため「外國人入國ニ關スル件(大正,」7年内務省令第1号)を制定し,査証を取得していない外国人の上陸を禁止し得ることとした(1条)が,その他の理由に基づく上陸拒否を含め不服申立手続は定めていなかった。外国人の入国に査証の取得を求める規定は「外国人ノ入国,滞在及退去ニ関スル件(昭和14年内務省令第6,」号)にも引き継がれ(2条,戦後,GHQが発出した「税関出入国及び)検疫事務に関する総司令部覚書(昭和25年2月20日SCAPIN2」),,,083号において日本政府は出入国等に関する現行手続を再検討しかつ,一般に認められている国際慣行に一致するよう,出入国に対する管理を確立するに必要な措置をとらなければならないものとされ(4条,)昭和26年10月4日「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する,- 12 -件(昭和20年勅令第542号)に基づく政令として出入国管理令(現」在の入管法)が制定された。 ウ国家は,国際慣習法上,外国人を受け入れる義務を負うものではなく,特別の条約がない限り,外国人を自国内に受け入れるかどうかを自由に決定することができるものであり,憲法上も,外国人は,本邦への入国の自由を保証されているものではない。そして,査証とは,査証を申請する外国人の所持する旅券が権限ある 国内に受け入れるかどうかを自由に決定することができるものであり,憲法上も,外国人は,本邦への入国の自由を保証されているものではない。そして,査証とは,査証を申請する外国人の所持する旅券が権限ある官憲によって合法的に発給された正式のものであり,かつ,有効なものであることを確認するとともに,当該外国人の本邦への入国及び滞在が査証に記する条件の下において適当であること,(),,を認定する行為であり入国滞在許可を意味するものではなくまた入国の保証を与えるものではなく,いわば,領事官等がする公証行為や一定の意思を表示する行為にすぎないから,日本国領事官等による査証の発給の拒否によって,当該外国人の法律上の地位ないし権利義務関係に何ら直接的な影響を及ぼすことはない。 また,入管法上,旅券に査証を受けていることは,外国人が日本への上陸許可の条件の一つにすぎず(7条1項1号,本邦に上陸しようとする)外国人が査証の発給を受けていても,他の上陸許可の条件(同項2号ないし4号)を満たしていない場合には,その上陸は許可されず,また,国際約束又は日本国政府が外国政府に対して行った通告により日本国領事官等の査証を必要としないこととされている外国人の旅券等については,そもそも,本邦への上陸に査証を必要としない(6条1項ただし書。入管法)が査証を上陸許可の条件の一つとした趣旨は,前記イのとおり,歴史的な国際的慣行に従ったことにあるが,日本国領事官等が査証の発給の拒否をした場合に,当該外国人が本邦に上陸することができないという結果が生じたとしても,それは,入管法が査証の発給を受けた外国人に限って上陸を許可することを求めた結果にほかならないのであって,査証の発給の拒- 13 -否それ自体は,外国人の本邦への上陸を拒否する効果を持つものとはいえ れは,入管法が査証の発給を受けた外国人に限って上陸を許可することを求めた結果にほかならないのであって,査証の発給の拒- 13 -否それ自体は,外国人の本邦への上陸を拒否する効果を持つものとはいえず,当該外国人の権利ないし法律上の地位に直接影響を及ぼすものということはできない(なお,最高裁平成7年3月23日第一小法廷判決・民集49巻3号1006頁参照。 )さらに,査証については,外務省設置法4条13号が査証に関する事務を外務省の所掌事務とし,入管法6条1項及び7条1項1号が査証を我が国への上陸許可の一要件としているほかは,手続上の申請権,発給要件ないし一定の基準,効力等を定めた法律の規定はなく,専ら訓令等の法的拘束力のないもののみを根拠としており,査証の発給の拒否については,原則として個別の拒否理由は提示されず(査証規則11条2項,これに対)する不服申立手続については,法律はもとより,査証規則にも何ら規定されていない。これは,法律上も,査証発給に関して外務大臣の裁量に何ら制限を設ける必要がないと考えられたためであって,査証の発給を外務大臣の全くの自由裁量にゆだねる趣旨であり,法律上も外国人が査証を取得する実体上及び手続上の権利を付与されていないというべきであるから,日本国領事官等による査証の発給の拒否については処分性を付与しない立法政策を採用していることは明らかである。 ,,そして在留資格認定証明書制度と査証制度とは本来別個の制度であり在留資格認定証明書は,その交付を受けた外国人が入管法7条1項2号に規定する在留資格に関する条件に適合することを証明するものであり,当該外国人を本邦に入国させるかどうかを判断したものではないから,在留資格認定証明書の交付を受けた外国人について,条件付きにしろ,本邦へ入国し得る地位を付与されたと 合することを証明するものであり,当該外国人を本邦に入国させるかどうかを判断したものではないから,在留資格認定証明書の交付を受けた外国人について,条件付きにしろ,本邦へ入国し得る地位を付与されたとみることはできない。在留資格認定証明書は,入国審査手続の簡易迅速化と効率化を図る目的で交付されるものにすぎず,その交付を受けた外国人は,入国審査手続を簡単に済ませられるという手続的便宜を受けるだけであって,その交付を受けていない外国人と- 14 -比較して,本邦への入国に関し,実体法上有利な法的地位を付与されるものではないから,査証の発給の拒否の処分性については,在留資格認定証明書の交付を受けた外国人とそうでない外国人とを区別することなく検討すべきであり,その処分性が認められる余地はない。法務大臣が当該外国人に在留資格認定証明書を交付したとしても,そのことが査証の発給の判断に影響することはあり得ない。原告は,入管法7条3項を根拠に外務大臣(領事官等)が在留資格認定における法務大臣の判断を尊重すべき義務を負うと主張するが,法務大臣が在留資格認定における審査基準を策定する際に関係行政機関の長と協議するとの規定があるからといって,個別の査証の発給における領事官等の判断が法務大臣の在留資格認定の判断に法的に拘束されるとするのは論理の飛躍であって,理由がない。 なお,OECD(経済開発協力機構)諸国における査証の発給の拒否に関する法的救済手段の有無等については,各国によって様々であり,各国の成立過程や現在の国際的地位,すなわち移民国か,非移民国か,かつての植民地とその関係,EUなどへの加盟などによって異なるものであるから,査証制度自体から査証の発給の拒否に処分性が認められるか否かを演繹的に導き出すことはできないというべきである。 エ以上によれば, 植民地とその関係,EUなどへの加盟などによって異なるものであるから,査証制度自体から査証の発給の拒否に処分性が認められるか否かを演繹的に導き出すことはできないというべきである。 エ以上によれば,日本国領事官等による査証の発給の拒否は,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たらないから,本件訴えは不適法である。 (2)本案の争点(本件査証発給拒否の適法性)(原告の主張)前記のとおり,在留資格認定証明書の交付を受けた外国人の査証申請についての日本国領事官等の判断は,合理的な理由なく拒否することができない法規裁量と解すべきであり,また,これを拒否するときは,その理由を明示すべきである。原告は,本件証明書等の必要書類を添付して本件査証申請を- 15 -したにもかかかわらず,何ら理由が明らかにされることなく本件査証発給拒否を受けたものであるから,合理的な理由はなく違法であるばかりか,理由が示されていない点で手続面からみても違法である。 (被告の主張)争う。 第3当裁判所の判断 本案前の争点(日本国領事官等による査証の発給の拒否が取消訴訟の対象となる行政処分に当たるか否か)について(1)行政事件訴訟法3条2項は同法において処分の取消しの訴えとは行,,,「政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」の取消しを求める訴訟をいう旨を規定しているところ,ここでいう取消訴訟の対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とは,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解される(最高裁昭和28年(オ)第1362号同30年2月24日第一小法廷判決・民集9巻2号217頁,最高裁昭和3 国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解される(最高裁昭和28年(オ)第1362号同30年2月24日第一小法廷判決・民集9巻2号217頁,最高裁昭和37年(オ)第296号同39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照。 )(2)アところで,国際慣習法上,国家は外国人を受け入れる義務を負うもの,,,ではなく特別の条約がない限り外国人を自国内に受け入れるかどうかまた,これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかは,専ら当該国家の立法政策にゆだねられており,憲法上,外国人は,本邦に入国する自由が保障されていないことはもとより,在留する権利又は引き続き在留することを要求する権利を保障されているということもできないと解するのが相当である(最高裁昭和29年(あ)第3594号同32年6月19日大法廷判決・刑集11巻6号1663頁,最高裁昭和50年(行ツ)第120号同53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁参照。 )- 16 -イその上で,我が国の法律において本邦に入国しようとする外国人に対してされる査証の発給に関連する事項について定める規定の主なものは,本件において双方当事者により論じられている入管法6条1項及び7条1項並びに外務省設置法4条13号及び7条1項の規定に限られるが,これらの規定は,当該外国人が一定の手続の下に我が国の在外公館に所属する日本国領事官等に対して査証の発給の申請をしこれに対する応答を得ることができる等の査証の発給を求める権利をその内容として定めるものではなく,もとより,これらの規定から,直ちに,我が国の立法政策として外国人に本邦に入国し又は上陸する権利を設定したものと解することもできない。なお,査証規則は,外務大臣が外務省の所掌事務に るものではなく,もとより,これらの規定から,直ちに,我が国の立法政策として外国人に本邦に入国し又は上陸する権利を設定したものと解することもできない。なお,査証規則は,外務大臣が外務省の所掌事務について命令又は示達をするために所管の機関及び職員に対して発した訓令であって(国家行政組織法14条2項参照,これをもって法律と同様の法規範としての効)力を有するということはできない。 ウまた,証拠(乙3,4)及び弁論の全趣旨によれば,外務省及びその特別の機関である在外公館において査証に関する事務を所掌するもの等とされたのは,本件において被告が主張するような査証制度に関する歴史的な経緯等を踏まえてのものと認められるが,このような経緯等を受けて定められたと解される領事関係に関するウィーン条約においても,派遣国への渡航を希望する者に対して査証等を発給することが領事任務の一つとして(),,挙げられているにとどまり同条約5条(d)参照本件全証拠によっても外国人の入国の管理のために査証制度を採用した国家において,外国人に当該国家に入国し又は上陸する権利や査証の発給を求める権利が認められるといった内容の国際慣習法が存在することを認めることはできない。 エ入管法は,本邦に上陸しようとする外国人に関し,原則として,有効な旅券で日本国領事官等の査証を受けたものを所持しなければならず,その者のした上陸の申請に基づき,当該旅券に与えられた査証が有効であるこ- 17 -と等の上陸のための条件に適合しているかどうかの審査を受けた上で,初めて適法に上陸することができる旨を定めているところ(6条ないし9条,先に述べた6条1項及び7条1項以外の同法の諸規定についても,)我が国の立法政策として外国人に本邦に入国し又は上陸する権利を設定したものと解すべき根拠は見 る旨を定めているところ(6条ないし9条,先に述べた6条1項及び7条1項以外の同法の諸規定についても,)我が国の立法政策として外国人に本邦に入国し又は上陸する権利を設定したものと解すべき根拠は見当たらず,上陸の申請等の際の査証の取扱い等について定める同法6条1項及び7条1項の規定について,同法の下において上記のような権利が外国人に認められていることを前提とするなどして,外国人にあらかじめ在外公館において査証の発給を求める権利を設定する趣旨を当然に含意するものであると解することもできない。 オ我が国の法律の規定の下における査証の意義については,先に述べた入管法6条ないし9条の規定との関係に照らせば,査証規則2条3号に述べられているように,本邦に入国しようとする外国人に対し,日本国領事官等が,①当該外国人の所持する旅券が真正であり,かつ,本邦への入国に有効であること,②与える査証に記す条件の下において当該外国人の本邦への入国及び在留が差し支えないことを判断した旨の表示をいうものと解するのが相当である。 ところで,入管法は,本邦に入国し上陸しようとする出入国港において上陸の申請をする外国人について,不服申立てに関するものを含めその手続に係る規定を設けており,このような規定により,上記の外国人にそのような上陸の申請に係る一定の手続上の地位が与えられているということができるとしても,上記アで述べたように,そのような手続上の地位をどのように定めるかは我が国の立法政策にゆだねられていることからすると,本邦に入国し上記のような手続を経るのに先立って在外公館に所属する日本国領事官等から査証の発給を受けるべきものとし,これを与えられていることを上陸のための条件とすることも,立法政策上の選択として考えられるところであり,そのような選択がされた現行の入 館に所属する日本国領事官等から査証の発給を受けるべきものとし,これを与えられていることを上陸のための条件とすることも,立法政策上の選択として考えられるところであり,そのような選択がされた現行の入管法の規定の下- 18 -において,本邦に上陸しようとする外国人が査証の発給を受けることができないために事実上適法に本邦に上陸することができないという結果が生じたとしても,それは,上記のような立法政策を選択したことの帰結であって,そのことをもって,その者の上記のような手続上の地位が害されると評価することはできないというべきである。 カこれまでに述べたところからすれば,日本国領事官等による査証の発給の拒否は,外務省設置法4条13号及び7条1項の規定に基づき国の行政機関である外務省に置かれた在外公館の所掌事務の遂行の一環として行われるものではあるものの,本邦に実際に入国した後につき入管法が定める手続とは別個のものとして,本邦に入国する前に在外公館に所属する日本国領事官等によりこれが行われたことによって,その発給を求めた外国人につき我が国の採用する立法政策に基づき制定された法律で現に定められた範囲内での本邦への入国又は上陸等に係る権利義務について,直接これが形成され又はその範囲が確定されると認めることは困難というべきである。 (3)これに対し,原告は,在留資格認定証明書の交付を受けた外国人は,入管法7条1項1号,3号及び4号に反しない限り,本邦に入国し得る法律上の地位を付与されており,当該外国人に対する査証の発給の拒否は,上記の法律上の地位の侵害となり,また,入管法は,当該外国人が査証の発給を受けた上で本邦に入国して,入国審査官の審査を受けることを想定しているにもかかわらず,査証の発給の拒否は,在留資格認定証明書を利用することさえできない なり,また,入管法は,当該外国人が査証の発給を受けた上で本邦に入国して,入国審査官の審査を受けることを想定しているにもかかわらず,査証の発給の拒否は,在留資格認定証明書を利用することさえできないという効果をもたらすものであり,仮に,本邦に入国することができたとしても,上陸許可を受けることができなくなり,当該外国人にとって,本邦に上陸するためには,査証の発給の拒否の取消訴訟を提起し得るものとする以外に方法はないことなどからすれば,当該外国人に対する査証の,。 発給の拒否については取消訴訟の対象となる行政処分に当たると主張する- 19 -しかしながら,入管法7条の2の規定により外国人に交付される在留資格認定証明書は,入国審査官による上陸のための審査において,本邦に上陸しようとする外国人についてその者が本邦において行おうとする活動が同法7条1項2号に規定する条件に適合しているかどうかの認定判断をすることが必ずしも容易ではないことにかんがみ,法務大臣において,当該外国人があらかじめ申請をしたときは,その者が上記の条件に適合している旨の証明書を交付することができるものとし,これにより審査手続の簡易化,迅速化及び効率化を図ることとしたものと解される。このような制度の趣旨に加え,在留資格認定証明書の有効期間が同証明書記載の年月日から3か月とされ,上陸の許可を保証するものではない旨等も明記されていること(入国法施行規則別記第6号の5様式参照。甲3)を併せ考慮すれば,外国人は,本邦において上陸の申請をする前に在留資格認定証明書の交付を受けることにより,上陸のための審査の手続の負担を軽減することができるという便宜を受けることができるにとどまり,その交付を受けた外国人に原告の主張するような本邦に入国し又は上陸し得る法律上の地位を設定するものとは解し 上陸のための審査の手続の負担を軽減することができるという便宜を受けることができるにとどまり,その交付を受けた外国人に原告の主張するような本邦に入国し又は上陸し得る法律上の地位を設定するものとは解し難い。 また,入管法は,本邦に上陸しようとする外国人の所持する旅券に与えられた査証が有効であること(7条1項1号)と,その者が本邦において行おうとする活動が所定のものであること(同項2号)とを,上陸のための条件として別個のものとして定めており,その上で,国家行政組織の構成等に関し,査証に関する事務は外務省の所掌事務と定められ,在留資格認定証明書の交付は上記の事務とは別に法務大臣がするものと定められているのであって,それぞれの省の任務は異なること(外務省設置法3条,法務省設置法3条参照)も考慮すると,本邦に上陸しようと希望しあらかじめ在留資格認定証明書の交付を受けていた外国人が,査証の発給の拒否を受けた結果,在留資格認定証明書を利用することができない事態が生じたとしても,そのよう- 20 -な事態は,我が国の法制度上は想定されている範囲内のものということができ,やむを得ないというべきであって,このことは,法務大臣が入管法7条1項2号の外国人が本邦において行おうとする活動に係る基準を法務省令で定めるに当たり同条3項の規定に従い関係行政機関の長の一つとして外務大,。 ,臣と協議することがあったとしても当然に左右されるものではないまた入管法の明文の規定をもって,本邦に上陸しようとする外国人の申請を受けて在留資格認定証明書を交付する旨が定められていること(同法7条の2)を前提に,法務大臣がその交付を拒否することについて,取消訴訟の対象となる行政処分に当たると解され,さらに,同じく明文の規定をもって,上陸の手続における口頭審理等につき定められて と(同法7条の2)を前提に,法務大臣がその交付を拒否することについて,取消訴訟の対象となる行政処分に当たると解され,さらに,同じく明文の規定をもって,上陸の手続における口頭審理等につき定められていること(同法10条以下)を前提に,これらの規定に係る公務員の各行為について,上記の行政処分に当たると解されるとしても,これらのことをもって,前記の判断が当然に左右されるとは,やはり解し難いというべきである。 上記の原告の主張は採用することができないというべきである。 (4)なお,手塚和彰千葉大学教授(当時)等の作成した「OECD諸国にお」(。 ける査証制度-査証発給と情報公開に関する調査報告書-平成9年3月乙6)によれば,調査対象の8か国のうち,6か国(ドイツ,フランス,ベルギー,スウェーデン,イギリス,カナダ)が査証の発給の拒否に対して一定の限度で訴訟の提起を認めており,1か国(スイス)が行政に対する不服申立手続を設けている旨が報告されていることが認められるものの,同報告書によっても,例えば米国にあってはいずれの手続も認められていないことがうかがわれ,査証制度の内容やこれに係る不服申立手続については,既に述べたように,各国の立法裁量にゆだねられているというべきであるから,上記の報告書の内容をもって,日本国領事官等による査証の発給の拒否が取消訴訟の対象となる行政処分に当たるか否かの判断に影響を及ぼすものとはいえない。 - 21 -(5)以上によれば,日本国領事官等による査証の発給の拒否は,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たらないと解するのが相当である。 したがって,取消訴訟の対象となる行政処分に当たらない本件査証発給の拒否の取消しを求める本件訴えは,不適法として却下すべきである。 第 力の行使に当たる行為」に当たらないと解するのが相当である。 したがって,取消訴訟の対象となる行政処分に当たらない本件査証発給の拒否の取消しを求める本件訴えは,不適法として却下すべきである。 第4 結論 以上のとおり,本件訴えは不適法であるから却下することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官八木一洋裁判官田中一彦裁判官高橋信慶

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