昭和30(オ)29 約束手形金請求

裁判年月日・裁判所
昭和32年7月16日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人薬師寺志光、同松本重敏、同河村貢の上告理由第一点について。  本件に

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判決文本文2,236 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人薬師寺志光、同松本重敏、同河村貢の上告理由第一点について。 本件において、被上告人(原告)は、先ず、上告会社(被告)は、昭和二五年八月二五日訴外Dに宛てて、金額を金八二四、五〇〇円、満期を同年一〇月二四日とする本件約束手形一通を振出し、被上告人は同日右Dから右手形の裏書譲渡を受けて所持人となつたので、満期にこれを支払場所に呈示して支払を求めたところ支払を拒絶されたので、上告会社に対し右手形金額及びこれに対する満期の翌日以降完済に至るまで年六分の割合による金員の支払を求めると主張し、次で予備的に、上告会社の経理課長Eは右記Dと共謀の上、本件手形を偽造してDに交付し、被上告人はDに割引金を交付してDから裏書によつて本件手形を取得した。その結果、被上告人は、右Eの故意又は過失による不法行為によつて、本件手形金額及びこれに対する満期の翌日以降完済にいたるまで年五分の割合による金員に相当する損害を被つたものであり、同人の本件偽造手形の作成行為は、同人の使用者である上告会社の事業の執行に付きなされたものであるから、被上告人は民法七一五条により上告会社に対し損害賠償として本件手形金額及びこれに対する満期の翌日以降完済に至るまでの損害金の支払を求める旨主張したものであることは、原判決並びに同判決の引用する第一審判決の引用する第一審判決に徴して明らかである。しからば、被上告人の請求は、旧訴新訴ともに本件手形の取得という事実関係に基いて、同一の経済的利益を追求するものであるから、旧訴と新訴は、ともに請求の基礎を同じくするものというべきである(昭和三〇年(オ)第七〇号、同三一年七月二〇日第三小法廷判決、民集一〇巻八号一〇八九頁参 、同一の経済的利益を追求するものであるから、旧訴と新訴は、ともに請求の基礎を同じくするものというべきである(昭和三〇年(オ)第七〇号、同三一年七月二〇日第三小法廷判決、民集一〇巻八号一〇八九頁参照)。しかも新訴は、本件手形はEの- 1 -偽造にかかるものであるとの上告会社の答弁に誘発されてなされたものであること、記録に徴して明らかであつて、新訴請求の附加により著しく訴訟手続を遅滞せしめるものではないと認むべきである。論旨引用の大審院判例は本件に適切ではない。 されば、原審が本件において新訴の追加的変更を請求の基礎に変更がないものと認めて許容したのは、適法であつて、所論は採用しがたい。 同第二、第三点について。 論旨は、手形振出の権限を有しないEが代表取締役の印鑑を盗用して、擅に上告会社名義の本件手形を偽造したのであるから、本件手形作成行為は、右Eが上告会社の事業の執行に付きなしたものということはできないと主張する。しかし、本件において、Eは上告会社の経理課長として、上告会社の手形振出に関し、上告会社の社印及び記名印その他のゴム印を使用して、代表取締役がその名下にその印章を押捺しさえすれば、該手形が完成するばかりに手形を作成し、かつ手形をその受取人に交付する職務権限を有し、なお、手形取得者からの問合に対し、その真否を回答する事務を担当していたところ、同人はその権限を濫用し、約束手形用紙に擅に上告会社名及び同会社代表者F名の各ゴム印並びに会社印を押捺し、F名下に同人の印鑑を、同人の不在中同人の机の抽斗から盗み出して押捺し、本件手形を偽造した上、これをDに交付し、被上告人は、本件手形は上告会社が振出したもので期日には相違なく支払われる旨のEの回答を信じ、Dに割引金を交付して本件手形をDから取得したものであることは、いずれも、原審の適法に 、これをDに交付し、被上告人は、本件手形は上告会社が振出したもので期日には相違なく支払われる旨のEの回答を信じ、Dに割引金を交付して本件手形をDから取得したものであることは、いずれも、原審の適法に確定した事実である。そして本件手形の振出行為が、外形上、上告会社の事業の範囲に属することはいうまでもなく、しかも、Eが上告会社の経理課長として、上告会社の手形振出に関し、前記の如き職務権限を有する以上、Eのなした本件手形偽造の行為は、同人が上告会社の被用者として、上告会社の事業の執行に付きなしたものと認めるのが、大審院判例(大正一三年(オ)第三七二号、同一五年一〇月一三日、民刑聯合部判決、- 2 -集五巻一二号、七八五頁、昭和七年(オ)三二七一号、同八年四月一八日第五民事部判決、集一二巻九号八〇七頁、昭和一九年(オ)二三六号、同年六月一七日第四民事部判決、集二三巻一六号四七三頁参照)の趣旨に徴しても相当であり、これと同旨に出でた原判決は正当である。引用の大審院判例に関する所論は、独自の見解に基くものという外はなく、所論はすべて採用しがたい。 その他の論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号) 一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官高橋潔裁判官島保裁判官河村又介裁判官小林俊三 裁判官島保裁判官河村又介裁判官小林俊三裁判官垂水克己- 3 -

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