- 1 -主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟の総費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 第1事件大阪市長がNに対し平成29年2月27日付けでした納骨堂経営許可処分(大保第490号。以下「本件許可処分」という。)を取り消す。 2 第2事件(1) 大阪市長がNに対し令和元年11月26日付けでした納骨堂経営変更許可 処分(大保環第19-2635号(縮減)。以下「本件変更許可処分①」という。)を取り消す。 (2) 大阪市長がNに対し令和元年11月26日付けでした納骨堂経営変更許可処分(大保環第19-2636号(拡張)。以下「本件変更許可処分②」といい、本件変更許可処分①と併せて「本件各変更許可処分」という。)を取り消 す。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は、(1)大阪市長が、墓地、埋葬等に関する法律(以下「墓埋法」という。)10条1項に基づき、宗教法人であるNに対してした本件許可処分(大阪市g 区hi丁目j番k号〔地番を大阪市g区hi丁目l番uとする土地の一部。以下「本件土地」という。〕における納骨堂〔以下「本件納骨堂」という。〕の経営許可処分)について、本件納骨堂の付近に居住している原告らが、Nは経営主体の適格性を欠くとともに、納骨堂の設置の必要性を満たしていないこと、本件土地から300m以内に学校及び密集した人家があり、本件土地付近の生 活環境を著しく損なうおそれがあること等、墓埋法等に定める納骨堂経営許可 - 2 -に係る基準を満たしておらず違法であるなどと主張して、被告を相手に、本件許可処分の取消しを求めるとともに(第1事件)、(2)大阪市長が墓埋法10条2項に基づきNに対してした納骨堂経営変更許可処分(本件各変更許可処分) おらず違法であるなどと主張して、被告を相手に、本件許可処分の取消しを求めるとともに(第1事件)、(2)大阪市長が墓埋法10条2項に基づきNに対してした納骨堂経営変更許可処分(本件各変更許可処分)について、原告B、原告C、原告D及び原告Eが、違法な本件許可処分を前提とするものであって違法であるなどと主張して、被告を相手に、本件各変更許 可処分の取消しを求める事案(第2事件)である(以下、本件許可処分と本件各変更許可処分を併せて「本件各処分」という。)。 2 差戻前の第一審から上告審判決までの経過(1) 差戻前の第一審ア原告らほか4名は、平成29年8月25日に本件許可処分の取消しの訴 え(第1事件)を提起し、原告Cが代表取締役を務める株式会社O(以下「別件会社」という。)は、同月28日に本件許可処分の取消しの訴え(大阪地方裁判所平成29年(行ウ)第150号。以下「別件」という。)を提起した。 イ原告B、原告C、原告D、原告Eほか1名及び別件会社は、令和2年5 月22日に本件各変更許可処分の取消しの訴え(第2事件。以下、第1事件、別件及び第2事件を併せて「本件訴え」という。)を提起した。 ウ大阪地方裁判所は、令和3年5月20日、本件訴えについて、原告らほか3名及び別件会社には本件各処分の取消しを求める原告適格は認められず、本件訴えは不適法であるとして、本件訴えをいずれも却下する旨の判 決をした。これに対し、原告ら及び別件会社が控訴した。 (2) 控訴審大阪高等裁判所は、令和4年2月10日、本件納骨堂からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家に居住する者は、本件各処分の取消しを求める原告適格を有するとして、①原告らの控訴について、差戻前の第一審判決 のうち原告らに係る部分を取り消し、同部分 むね300m以内の場所に敷地がある人家に居住する者は、本件各処分の取消しを求める原告適格を有するとして、①原告らの控訴について、差戻前の第一審判決 のうち原告らに係る部分を取り消し、同部分に係る訴えを大阪地方裁判所に - 3 -差し戻し、②別件会社の控訴を棄却する旨の判決をした。これに対し、被告が上告をした。 (3) 上告審最高裁判所は、被告の上告を受理した上で、令和5年5月9日、控訴審の上記(2)の判断は結論において是認することができるとして、被告の上告を棄 却する旨の判決をした(最高裁令和5年5月9日第三小法廷判決・民集77巻4号859頁。以下、この判決を「最高裁令和5年判決」という。)。 3 関係法令等の定め(1) 墓埋法ア目的 墓埋法1条は、この法律は、墓地、納骨堂又は火葬場(以下「墓地等」という。)の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、かつ、公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする旨規定する。 イ墓地、納骨堂、火葬場 墓埋法2条5項は、「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあっては、市長又は区長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けた区域をいう旨規定し、同条6項は、「納骨堂」とは、他人の委託を受けて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事等の許可を受けた施設をいう旨規定し、同条7項は、「火葬場」 とは、火葬を行うために、火葬場として都道府県知事等の許可を受けた施設をいう旨規定する。 ウ墓地等の経営許可等墓埋法10条1項は、墓地等を経営しようとする者は、都道府県知事等の許可を受けなければならない旨規定し、同条2項は、同条1項の規定に より設けた墓地の区域又は納骨堂若しくは 地等の経営許可等墓埋法10条1項は、墓地等を経営しようとする者は、都道府県知事等の許可を受けなければならない旨規定し、同条2項は、同条1項の規定に より設けた墓地の区域又は納骨堂若しくは火葬場の施設を変更し、又は墓 - 4 -地等を廃止しようとする者も、同様とする旨規定する。 (2) 大阪市墓地、埋葬等に関する法律施行細則(昭和31年規則第79号。以下「本件細則」という。乙1)別紙1のとおりである。 (3) 墓地・納骨堂・火葬場関係事務取扱要領(乙12) 別紙2のとおりである。 (4) 納骨堂経営等許可に関する審査基準(以下「本件審査基準」という。乙2)別紙3のとおりである。 (5) 墓地経営等許可に係る審査基準(甲20)別紙4の「審査基準」欄のとおりである。 (6) 「墓地経営等許可に関する審査基準」運用指針(平成23年12月6日差替版。以下「墓地運用指針」という。乙14)別紙5のとおりである。 (7) 「納骨堂経営等許可に関する審査基準」運用指針(以下「納骨堂運用指針」という。甲76〔24~28頁〕) 別紙6のとおりである。ただし、後述するとおり、被告において納骨堂運用指針が定められたか否かについては、当事者間に争いがある。 4 前提事実当事者間に争いがない事実、各項掲記の証拠(証拠番号は特記しない限り枝番号を含む。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実は、 次のとおりである。 (1) 当事者等ア原告ら(ア) 原告B及び原告E(甲6~8、15、74、87、174)原告B及び原告Eは、本件土地から直線距離で約10mの位置に所在 する区分所有建物の区分所有者であり、同所に居住している。 - 5 -(イ) 原告C(甲5、6、15、8 87、174)原告B及び原告Eは、本件土地から直線距離で約10mの位置に所在 する区分所有建物の区分所有者であり、同所に居住している。 - 5 -(イ) 原告C(甲5、6、15、88)原告Cは、別件会社の代表取締役であり、別件会社が所有する本件土地の東側に隣接して所在する土地建物に居住している。 (ウ) 原告D(甲6、14、15)原告Dは、本件土地から直線距離で約94mの位置に所在する土地建 物を所有し、同所に居住している。 (エ) 原告F(甲6、12、15、16、91)原告Fは、本件土地の南側に隣接して所在する土地建物を所有し、同所に居住している。 (オ) 原告G(甲6、13、15) 原告Gは、本件土地から直線距離で約43mの位置に所在する土地建物を長男と共有し、同所に居住している。 (カ) 本件土地周辺の状況(甲179、乙7)本件土地及び上記(ア)~(オ)の各土地建物は、いずれも都市計画法上の第一種住居地域内に存在し、本件土地から約145mの場所には、P小 学校が存在する。 イ被告(ア) 大阪市長被告は、普通地方公共団体であり、その長である大阪市長は、墓埋法10条1項により、墓地等の経営の許可等の権限を有する者である。 (イ) 環境衛生監視課、生活衛生課(甲4、43、76、92、93、149、150、乙21~24)被告の健康局保健所環境衛生監視課(以下「環境衛生監視課」という。)は、その事務分掌として、墓埋法その他環境衛生関係法令に基づく営業許可、届出、監視指導等に関すること等を所管している。環境衛生監視 課の事務所は、大阪市n区o町p丁目地内にあるオフィスビル「Qビル」 - 6 -(以下「本件ビル」という。)10階に所在しており、平成28年ないし 関すること等を所管している。環境衛生監視 課の事務所は、大阪市n区o町p丁目地内にあるオフィスビル「Qビル」 - 6 -(以下「本件ビル」という。)10階に所在しており、平成28年ないし平成29年当時、H及びIは、環境衛生監視課の職員であった。 また、被告の健康局健康推進部生活衛生課(以下「生活衛生課」という。)は、その事務分掌として、墓埋法その他環境衛生関係法令に基づく営業許可、届出等に関する規程を策定すること等を所管している。 ウ N(甲1、2、173)Nは、昭和28年9月4日に設立された、眞言宗U派(以下「U派」という。)を包括団体とする宗教法人であり、大阪府門真市q町に主たる事務所があり、「阿弥陀如来を本尊とし、天平13年聖武天皇U創建の詔勅に基き宗祖弘法大教立教開宗の教旨に則りV経を所依の経典としてこの教義 をひろめ儀式行事を行い、信者を教化育成しその他この寺院目的を達成するための業務及び事業を行うこと」、「霊園事業(大阪府四條畷市rに所在するNR霊園の経営)」を目的としている。Nの代表役員は、Jであり、JはU派の代表役員でもある。 (2) Nによる本件土地の取得(甲17、85) Nは、平成28年4月20日、本件土地をNの責任役員であったKから売買により取得し、所有権移転登記を経由した。 (3) Nの従たる事務所の設置(甲2、17、29、84、100、112、乙11)Nは、平成28年11月11日頃、本件土地上に軽量鉄骨造の建物(以下 「本件プレハブ建物」という。)を建設して「Nh別院」との表札を掲示し、同年12月8日、大阪府知事より、本件土地に従たる事務所を設置する旨の規則変更の認証を受けるとともに、本件土地の地目を宅地から境内地に変更し、同月12日に地目変更登記を経由し、同 との表札を掲示し、同年12月8日、大阪府知事より、本件土地に従たる事務所を設置する旨の規則変更の認証を受けるとともに、本件土地の地目を宅地から境内地に変更し、同月12日に地目変更登記を経由し、同月14日付けで本件土地を従たる事務所として登記した。 (4) Nによる納骨堂経営許可申請(乙4、5) - 7 -ア納骨堂経営許可の申請Nは、平成29年1月17日、大阪市長に対し、概要次のような内容の納骨堂経営許可申請書(以下「本件申請書」という。)を提出し、本件納骨堂の経営許可申請(以下「本件申請」という。)をした。 (ア) 墓地等の名称 Nh別院納骨堂(本件納骨堂) (イ) 墓地等の所在地大阪市g区hi丁目l番u(本件土地)(ウ) 墓地等の敷地面積 605㎡(エ) 建築面積 281.32㎡(オ) 建物構造鉄筋コンクリート造イ本件申請における提出書類(乙4、5、8) Nは、平成29年1月17日、本件申請を行うに当たり、本件申請書とともに、次の添付書類を提出した(以下、本件申請書及び添付書類を併せて「本件申請書類」という。)。 (ア) 本件土地及び本件納骨堂の各図面(立面図、各階平面図等)なお、上記各図面には、本件納骨堂が鉄筋コンクリート造の地上6階 建てで、高さが24.5mであること、1階に主に寺務室、ロビー及び参拝室、2階に主に法要室、ロビー及びオープンスペース、3~5階に主に参拝室及び納骨搬送機室、6階に主に参拝室、納骨搬送機室及び本堂が設けられること、納骨搬送機室内に設置される搬送式納骨堂格納基数は合計で6101基であること、出入口扉は全て防火設備とし、施錠 付きとすること等が記載されていた。 (イ) 納骨堂の周囲300m以内の地形の状況を表した図面(地図 される搬送式納骨堂格納基数は合計で6101基であること、出入口扉は全て防火設備とし、施錠 付きとすること等が記載されていた。 (イ) 納骨堂の周囲300m以内の地形の状況を表した図面(地図)(ウ) 本件土地の全部事項証明書なお、本件土地の全部事項証明書によれば、本件土地には、平成27年9月1日、極度額を2億6400万円、債務者を株式会社S、根抵当 権者をT信用組合とする根抵当権が設定されたが、この根抵当権は、N - 8 -が本件土地を取得した平成28年4月20日に放棄により抹消され、その後、新たな担保物権は設定されていない。 (エ) Nの履歴事項全部証明書、N規則(宗教法人法12条1項が定める規則)の写し、同規則の変更事項を示す書類(オ) 住民対応に関する誓約書 (カ) 「別院(納骨堂)建立への要望書」と題する書面、総代会議事録、責任役員会議事録等(キ) 檀信徒名簿の写しなお、上記檀信徒名簿(以下「本件檀信徒名簿」という。)の写しには、「檀信徒」欄に6269名の氏名が、「御住所」欄に6269名の住 所が記載されているが、「御連絡先」欄は空白となっている。 (5) 本件許可処分(甲1)大阪市長は、平成29年2月27日付けで、Nに対し、墓埋法10条1項に基づき、本件申請を許可する旨の処分(本件許可処分)をした。 (6) 納骨堂経営変更許可申請及び同申請に対する本件各変更許可処分等 ア本件変更許可処分①(乙17)Nは、令和元年10月18日、大阪市長に対し、納骨堂の縮減(1階納骨室の廃止)を内容とする納骨堂経営変更許可申請を行い、大阪市長は、同年11月26日、納骨堂経営変更許可処分(大保環第19-2635号。 本件変更許可処分①)をした。 イ本件変更許可処分②(乙19 止)を内容とする納骨堂経営変更許可申請を行い、大阪市長は、同年11月26日、納骨堂経営変更許可処分(大保環第19-2635号。 本件変更許可処分①)をした。 イ本件変更許可処分②(乙19)Nは、令和元年11月18日、大阪市長に対し、納骨堂の拡張(拡張する施設面積38.0㎡)を内容とする納骨堂経営変更許可申請を行い、大阪市長は、同月26日、納骨堂経営変更許可処分(大保環第19-2636号。本件変更許可処分②)をした。 ウ納骨堂経営許可事項変更届(乙18) - 9 -Nは、令和元年10月18日、大阪市長に対し、搬送式納骨堂格納基数が6101基から6099基に減少したため、納骨堂経営許可事項変更届を提出し、大阪市長は、同年11月26日、これを受理した。 (7) 本件納骨堂の完成(甲新19)本件納骨堂は、令和元年11月22日に完成した。本件納骨堂には、抵当 権等の担保物権は設定されていない。 5 争点(1) 原告適格の有無(争点1・本案前の争点)(2) 本件各処分の適法性(争点2・本案の争点) 6 争点に関する当事者の主張 (1) 争点1(原告適格の有無)について(原告らの主張)墓埋法等の趣旨及び目的、周辺住民が被る不利益の性質及び内容等を考慮すると、本件許可処分の根拠法令である墓埋法10条1項や、墓埋法と目的を共通にする本件細則や本件審査基準といった関係法令は、本件細則 及び本件審査基準が規定する距離制限規定の範囲内の周辺住民、すなわち、納骨堂設置予定地から300m以内の周辺住民については、(ア) 納骨堂周辺に居住又は勤務する者の生活環境に関する利益(従前の生活環境〔宗教的感情と適合した生活環境を含む。〕を享受する利益、公衆衛生上の被害を受けない利益、その他の健康被害や精 ついては、(ア) 納骨堂周辺に居住又は勤務する者の生活環境に関する利益(従前の生活環境〔宗教的感情と適合した生活環境を含む。〕を享受する利益、公衆衛生上の被害を受けない利益、その他の健康被害や精神的苦痛を受けない利益を含む。)、 (イ) 納骨堂周辺に居住又は勤務する者の生命、身体の安全に関する利益、(ウ) 納骨堂周辺に不動産を所有する者の財産的利益(火災による所有権の侵害を免れる利益、当該不動産価格の下落を受けない利益)を個々人の個別的利益として保護していると解すべきである。そして、原告らは、本件土地の1~94m以内の範囲に居住し、原告Cを除く原告らは、上記範囲 に土地建物又は建物を所有している。 - 10 -したがって、原告らは、本件各処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者であるから、原告適格が認められる。 (被告の主張)墓埋法等の趣旨及び目的、周辺住民が被る不利益の性質及び内容等を考慮すると、本件許可処分の根拠法令である墓埋法10条1項、本件各変更許可 処分の根拠法令である同条2項は、原告らが主張する上記各利益を個々人の個別的利益として保護する趣旨ではなく、仮に、本件細則及び本件審査基準が「関係法令」に当たるとしてその趣旨及び目的を参酌したとしても、墓埋法10条1項又は2項は、原告らが主張する上記各利益を個々人の個別的利益として保護する趣旨とは解されない上、原告らが主張する不利益が生ずる とは認められないから、原告らは、本件各処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者であるとはいえず、原告適格を有しない。 (2) 争点2(本件各処分の適法性)について(被告の主張)ア判断枠組みについて (ア) 判断枠組み墓埋法10条1項が納骨堂経営等の許可要件について特に規定 告適格を有しない。 (2) 争点2(本件各処分の適法性)について(被告の主張)ア判断枠組みについて (ア) 判断枠組み墓埋法10条1項が納骨堂経営等の許可要件について特に規定していないこと、同条の趣旨に鑑みれば、都道府県知事等が行った納骨堂経営許可は、その許否の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がある場合に限って違法とされるべきである。 本件審査基準は、行政手続法5条により定められ公にされたわけではなく、墓埋法10条1項に基づいて納骨堂経営許可をするに当たっての一応の目安として定められたものであるところ、大阪市長は、本件審査基準を参考として、本件許可処分に係る判断を行ったものであり、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用は認められない。 したがって、本件各処分は適法である。 - 11 -(イ) 墓地運用指針、納骨堂運用指針及び本件通知は、本件審査基準の解釈の根拠とすべきではないことa 墓地運用指針墓地運用指針は、飽くまでも墓地に関するものであり、大阪市では、納骨堂経営許可の審査において、墓地運用指針を使用していない(墓 地運用指針の「墓地」を「納骨堂」と読み替えて運用することもない)し、参考にしたこともない。環境衛生監視課の職員がNに対して墓地運用指針を交付したのは、「付近の生活環境を著しく損なうおそれがないこと」(本件審査基準3-1(2))の審査に関して、周辺住民への周知の方法についてイメージを持ってもらうために、その参考として 交付したにすぎない。 b 納骨堂運用指針納骨堂運用指針については、環境衛生監視課長が、納骨堂運用指針と題する文書(甲75)を作成し、生活衛生課長宛てに策定依頼をしたことはあったが、生活衛生課長は、策定が必要な具体的な理由があ るのかと 運用指針については、環境衛生監視課長が、納骨堂運用指針と題する文書(甲75)を作成し、生活衛生課長宛てに策定依頼をしたことはあったが、生活衛生課長は、策定が必要な具体的な理由があ るのかといった観点から検討を行った結果、これを策定しなかった。 納骨堂運用指針と題する文書は、その策定の要否を含めた検討を依頼するため、生活衛生課長にイメージを持ってもらうためのたたき台という趣旨で作成されたものにすぎず、納骨堂経営許可等に関する従前の運用を基に作成されたものではなかった。 c 本件通知厚生省生活衛生局長が各都道府県知事等に宛てて発出した「墓地経営・管理の指針等について」と題する通知(平成12年12月6日付け生衛発第1764号。甲18。以下「本件通知」という。)は、都道府県等の行政運営のための指針(自治事務における国の技術的助言) としての性質を有するものにすぎず、強制力はもとより規範としての - 12 -意義も乏しい。また、本件通知は、墓地に関するものであって、納骨堂に関するものではない。 d 小括したがって、墓地運用指針、納骨堂運用指針及び本件通知は、本件審査基準の解釈の根拠とすべきではない。 (ウ) 積極的調査義務について原告らは、大阪市長には、納骨堂経営許可に当たり積極的に調査すべき義務がある旨主張する。しかし、納骨堂経営許可の根拠法令である墓埋法10条1項の趣旨は、納骨堂等の経営許可の判断を都道府県知事等の広範な裁量に委ねるというものであり、この趣旨を否定して大阪市長 に積極的な調査義務を課すべき必要性も相当性も存在しない。したがって、原告らの上記主張は理由がない。 イ原告らが主張することができる違法事由最高裁令和5年判決は、原告らは本件細則8条を根拠として原告適格を有する 課すべき必要性も相当性も存在しない。したがって、原告らの上記主張は理由がない。 イ原告らが主張することができる違法事由最高裁令和5年判決は、原告らは本件細則8条を根拠として原告適格を有する旨判示しており、墓埋法10条自体が、墓地等の周辺に居住する者 個々人の個別的利益を保護することを目的としているものとは解し難い(最高裁平成12年3月17日第二小法廷判決・裁判集民事197号661頁参照)ことからすれば、少なくとも、原告らの主張のうち、本件細則8条以外の規定に反する違法を主張するものは、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由とするものであるから、行政事件訴訟法10条1項が 適用され、原告らは、当該違法を理由として取消しを求めることができない。 また、本件細則8条は、公益的見地に立脚した規定と解されるのであって、原告ら周辺住民等の個別的利益を保護する趣旨を含むものと解することはできず、また、本件細則10条2号も、公益的見地から設けられたも のであって、原告ら周辺住民等の個別的利益を保護する趣旨を含むものと - 13 -解することはできないから、原告らが本件細則8条及び同10条2号に反する違法を主張するとしても、「自己の法律上の利益に関係のない違法」として、行政事件訴訟法10条1項が適用され、原告らは、当該違法を理由として本件各処分の取消しを求めることができないというべきである。 ウ本件細則8条ただし書について (ア) 被告が、本件許可処分当時において、本件細則8条ただし書にいう「付近の生活環境を著しく損なうおそれがないと認め」たことは、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たらない。 (イ) 原告らが、本件細則8条ただし書にいう「付近の生活環境を著しく損なうおそれ」として主張する精神的苦痛や、それ なうおそれがないと認め」たことは、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たらない。 (イ) 原告らが、本件細則8条ただし書にいう「付近の生活環境を著しく損なうおそれ」として主張する精神的苦痛や、それ以外の生活環境上の利 益の侵害として主張するものは、いずれもそのような事態が生ずる具体的な蓋然性は認められない。 また、原告らの主張は、本件細則8条ただし書の判断において、あらゆる個別具体的事情を審査しなければならないことを前提とするが(後記(原告の主張)ケ)、本件細則8条ただし書からは読み取ることのできな い独自の解釈であり、審査の公平性や予見可能性を損ねるものであって採用できない。原告らが主張する納骨堂の経営破綻の可能性についても、本件許可処分から約8年が経過した現在においても、本件納骨堂の経営破綻が認められないことを考慮すると、本件許可処分当時、そのような事態が生ずる具体的な蓋然性がなかったことは明らかである。 エ本件審査基準1、3―1(1)該当性(納骨堂経営主体の適格性があること)(ア) 被告は、本件審査基準1、3-1(1)のうち「経営主体の適格性」を考慮し判断するに当たり、本件申請書類(このうちNの履歴事項全部証明書)によりNが宗教法人であることが認められたことから、Nに「経営主体の適格性」があると判断した。 (イ) 原告らは、Nが経営主体の適格性を欠く旨主張するが、本件審査基準 - 14 -1、3-(1)は、公益的見地から納骨堂の経営主体について規定したものであって、原告らの個別的利益を保護する趣旨のものではないから、仮に、原告らがこのような規定に反する違法を主張するとしても、「自己の法律上の利益に関係のない違法」として、行政事件訴訟法10条1項が適用され、原告らは、当該違法を理由として本 のものではないから、仮に、原告らがこのような規定に反する違法を主張するとしても、「自己の法律上の利益に関係のない違法」として、行政事件訴訟法10条1項が適用され、原告らは、当該違法を理由として本件各処分の取消しを求 めることができないというべきである。 また、原告らは、単に経営主体が形式的に宗教法人等であれば良いというものではなく、納骨堂の設置との関係で実質的な適格性を有するか否かを判断すべきである旨主張する。この主張は、「経営主体の適格性」という要素と、「納骨堂の設置…の必要性」という要素を一体として判 断すべきであるとの前提に立つものと解されるが、「納骨堂の設置…の必要性」に関する事情は、端的に「納骨堂の設置…の必要性」に関して考慮することで足りるのであり、「経営主体の適格性」について実質的な審査を行わなければならない必要性は存在しない。 オ本件審査基準3-1(1)該当性(「納骨堂の設置…の必要性」が認められ ること)(ア) 被告は、本件審査基準3-1(1)のうち「納骨堂の設置…の必要性」を考慮し判断するに当たり、本件申請書類(このうち「別院(納骨堂)建立への要望書」と題する書面、総代会議事録、責任役員会議事録、檀信徒名簿〔なお、H及びIは、平成29年1月23日午後2時から午後4時 半までの間に、Nのh別院事務所において原本を確認した。原本には、「檀信徒」欄及び「御住所」欄のほか、「御連絡先」欄も記載されていた。〕等)により、檀信徒の焼骨を収蔵する納骨堂を設置する需要があることが認められたことから、「納骨堂の設置…の必要性」があると判断した。 (イ) これに対し、原告らは、納骨堂の設置の必要性がなく、納骨壇数は、 - 15 -檀信徒等の数に応じたものではない旨主張するが、本件審査基準 堂の設置…の必要性」があると判断した。 (イ) これに対し、原告らは、納骨堂の設置の必要性がなく、納骨壇数は、 - 15 -檀信徒等の数に応じたものではない旨主張するが、本件審査基準3-1(1)は、原告らの個別的利益を保護する趣旨のものではないから、仮に、原告らがこのような規定に反する違法を主張するとしても、「自己の法律上の利益に関係のない違法」として、行政事件訴訟法10条1項が適用され、原告らは、当該違法を理由として本件各処分の取消しを求める ことができないというべきである。 また、原告らの主張が、本件申請書類のような申請者の提示する資料によらず、更に具体的に檀信徒の需要があることを確認する義務が都道府県知事等にあることをいう趣旨であるとすれば、檀信徒の個別の意向はもとより、檀信徒の数すら確認する手段を有していない都道府県知事 等に無理を強いるものであって失当である。納骨堂経営許可に関する審査は、相応の期間内に公平かつ客観的に行われるべきものであることからすれば、その判断が基本的に申請者の提示する資料によることとなるのは当然であり、申請者から檀信徒が納骨堂の設立を要望しており、納骨堂の規模が檀信徒数に応じたものであることが認められる資料が提出 されれば、むしろ納骨堂を設置する需要があり、納骨堂の設置の必要性が認められると判断すべきである。 さらに、原告らは、Nが、平成28年1月6日、自らの檀信徒以外を対象にして納骨堂を経営しようとしている意図を被告に示していた旨主張するが、被告はこれが認められないことを指導し、実際に焼骨の収蔵 はNの檀信徒に限るものとして本件申請がされたのであるから、それを疑って特段の調査を行うべき必要性は認められない。 加えて、原告らは、本件納骨堂のパンフレット等に信者 導し、実際に焼骨の収蔵 はNの檀信徒に限るものとして本件申請がされたのであるから、それを疑って特段の調査を行うべき必要性は認められない。 加えて、原告らは、本件納骨堂のパンフレット等に信者・宗派等を問わないことが記載されていたことを指摘するが、本件許可処分の適法性は、本件許可処分当時に存在した事実に基づいて判断されるべきである ところ、上記事情は本件許可処分後の事情であるから、このことが本件 - 16 -許可処分の適法性に影響を及ぼすものではない。 カ本件審査基準3-1(2)該当性(付近の生活環境を著しく損なうおそれがないこと)(ア) 被告は、本件審査基準3-1(2)を考慮し判断するに当たり、本件申請書類(このうち本件納骨堂の図面)によれば、焼骨を納める納骨壇は建 物内に設置されることになっていたため、外部から見通せないこと、関係者以外がみだりに立ち入らないように防犯対策が講じられていたことから、「①周辺環境と調和が保てること」に該当すると判断した。また、納骨堂は焼骨を納めることから、水源汚染等の感染症の原因となるおそれが認められないこと、Nが、約2か月にわたり本件土地に納骨堂を建 設することが理解できる標識を掲示し、更に町会への説明を行った上で本件申請を行った上、周辺住民から寄せられた意見の中には公衆衛生の見地からのものはなく、公衆衛生上付近の生活環境を著しく損なうという意見は見受けられなかったことから、「②公衆衛生上その他公共の福祉の見地より周辺住民の理解が得られること」に該当すると判断した。 また、H及びIは、平成29年1月23日午後2時から午後4時半までの間に、施設周辺の人家や学校等の配置状況等の確認のため現地調査等を行った(なお、納骨堂経営許可調査書には「調査年月日平成29年 また、H及びIは、平成29年1月23日午後2時から午後4時半までの間に、施設周辺の人家や学校等の配置状況等の確認のため現地調査等を行った(なお、納骨堂経営許可調査書には「調査年月日平成29年1月26日」と記載されているが、これは同調査書を作成した日であり、調査自体は、同月23日に行われた。)。被告は、これらの事情を個別具 体的に総合考慮して、「付近の生活環境を著しく損なうおそれがない」と判断した。 (イ) これに対し、原告らは、本件細則が納骨堂経営許可の対象としているのは、いわゆる「寺院墓地」の経営であり、そして、宗教法人の経営する納骨堂が「寺院墓地」である場合は、現に宗教法人が儀式行事等の宗教 活動を行っている場所において当該宗教活動に付随して既に存在する境 - 17 -内地に寺院墓地が設置又は拡張されている場合であるから、従前からその場所において宗教活動が行われていることについて付近の生活環境上の利益の帰属主体である周辺住民も一定の理解が存することを前提に、本件審査基準3-1(2)が規定する「①周辺環境と調和が保てること」、「②公衆衛生その他公共の福祉の見地より周辺住民の理解が得られるこ と」が検討されることになる旨主張する。しかし、本件審査基準において、経営主体として「公益法人」、「財産区の墓地管理委員会」等が挙げられているように、被告は「寺院墓地」のみを前提としていない。また、周辺住民の理解が得られているか否かは、公衆衛生その他公共の福祉の観点から判断されるべきものであって、周辺住民から苦情等がないこと を意味するものではなく、納骨堂経営許可の判断において、従前の宗教活動の有無やその内容について考慮すべき合理的理由もない。本件審査基準は、経営主体として「公益法人」、「財産区の墓地管理委員会」等 を意味するものではなく、納骨堂経営許可の判断において、従前の宗教活動の有無やその内容について考慮すべき合理的理由もない。本件審査基準は、経営主体として「公益法人」、「財産区の墓地管理委員会」等の宗教活動を目的としない主体も挙げているのであるから、周辺住民が従前の宗教活動を受容していることは納骨堂経営許可の判断に当たって考 慮すべき事情とはならない。したがって、原告らの上記主張は理由がない。 キ本件審査基準3-1(3)該当性(申請者が敷地の所有者であること)(ア) 被告は、本件審査基準3-1(3)を考慮し判断するに当たり、本件申請書類(このうち本件土地の全部事項証明書)によりNが本件土地の所有 者であることが認められたことから、「申請者が敷地…の所有者であること」に該当すると判断した。 (イ) これに対し、原告らは、本件審査基準3-1(3)の要件を満たすというためには、納骨堂設置予定地が、本件許可処分時のみならず、将来においても第三者に譲渡され、又は抵当権等が設定されるおそれがないとい うことが必要であると解すべきである旨主張する。 - 18 -しかし、将来において敷地が第三者に譲渡され、又は抵当権が設定される可能性等は、およそ客観的に判断し得ないのであり、納骨堂経営許可の判断に当たってそのような不確定な事項は考慮要素とすべきではない。したがって、原告らの上記主張は理由がない。 ク本件審査基準3-1(4)該当性(納骨堂を設置する土地が、申請者の所有 であり登記後6か月以上経過した境内地等であること)(ア) 被告は、本件審査基準3-1(4)について、①納骨堂を設置する土地が、申請者の所有であり登記後6か月以上経過していること、②境内地等であることを考慮し判断しているところ、本件申請書類(この (ア) 被告は、本件審査基準3-1(4)について、①納骨堂を設置する土地が、申請者の所有であり登記後6か月以上経過していること、②境内地等であることを考慮し判断しているところ、本件申請書類(このうち本件土地の全部事項証明書)によって、Nが平成28年4月20日に本件土地 を売買により取得したこと、登記記録の地目が境内地であることを確認し、上記①及び②を満たしていることが認められたため、「納骨堂を設置する土地については、申請者の所有とし登記後6カ月以上経過した境内地等であること」に該当すると判断した。なお、H及びIは、平成29年1月23日午後2時から午後4時半までの間に、実際に本件土地を 訪れて、h別院事務所が存在しその中に礼拝施設があることを確認した。 (イ) これに対し、原告らは、Nは、平成28年4月20日に本件土地を売買により取得し、同年12月8日に本件土地の地目を宅地から境内地に変更したが、同年4月20日以降、本件土地で宗教活動を行ったことはなく、登記記録上の地目が「境内地」とされているにすぎず、実質的に は「境内地」としての実体が欠けていた旨主張する。 しかし、実質的に境内地の実体を備えていたか否か等という事情は極めて曖昧であり、審査すべき項目として妥当とはいえない。また、登記官による手続を経て、地目を境内地に変更する登記がされているものについて、被告がそれを否定すべき理由も存在しない。 ケ本件審査基準3-1(5)該当性(納骨堂の設置場所は、法人の主たる事務 - 19 -所及び礼拝施設等が存する境内地であること)(ア) 被告は、本件審査基準3-1(5)を考慮し判断するに当たり、本件申請書類(このうちNの履歴事項全部証明書)により本件土地にNの従たる事務所があることが認められたことから、「 地であること)(ア) 被告は、本件審査基準3-1(5)を考慮し判断するに当たり、本件申請書類(このうちNの履歴事項全部証明書)により本件土地にNの従たる事務所があることが認められたことから、「法人の主たる事務所及び礼拝施設等が存する」と判断した。本件審査基準3-1(5)が「法人の主た る事務所及び礼拝施設等」と規定しているように、法人の主たる事務所及び礼拝施設のみに限定されないことは「等」という文言から明らかであり、これに従たる事務所も含まれると解される。 (イ) これに対し、原告らは、従たる事務所と称する建築物は、Nh別院との表札があるだけのプレハブ建物にすぎず、しかも、本件プレハブ建物 は建築基準法違反を理由として平成30年3月22日に撤去されたのであり、従たる事務所としての実体が欠けていたというほかないから、「境内地」の要件を満たすものではない旨主張する。 しかし、Nの所轄庁である大阪府知事から認証・証明を得て「従たる事務所」の登記がされていることから、大阪府知事が認証・証明したも のについて、被告がそれを否定すべき理由は存在しない上、本件許可処分後に建物が撤去されたことは、何ら本件許可処分の適法性に影響を及ぼすものではない。 コ本件審査基準3-1(6)該当性(納骨壇数は、檀信徒等の数に応じたものであること) (ア) 被告は、本件審査基準3-1(6)を考慮し判断するに当たり、本件申請書類(このうち檀信徒名簿、本件納骨堂の図面)により、檀信徒名簿に記載された人数が6269名であること、納骨壇数が6101基であることが認められたことから、「納骨壇数については、檀信徒等の数に応じたものであること」に該当すると判断した。 (イ) これに対し、原告らは、本件審査基準3-1(6)所定の「檀信徒」 基であることが認められたことから、「納骨壇数については、檀信徒等の数に応じたものであること」に該当すると判断した。 (イ) これに対し、原告らは、本件審査基準3-1(6)所定の「檀信徒」とは、 - 20 -宗教法人法12条2項の「信者その他の利害関係人」と同義であると解され、Nが申告した檀信徒数は不自然に過大であって、宗教法人法12条2項の「信者その他の利害関係人」には該当せず、N規則16条が定める檀信徒の定義(眞言宗の教義を信奉し、この寺院の維持経営に協力する者)にも該当しないものである旨主張する。 しかし、納骨堂経営許可において檀信徒の定義を宗教法人法12条2項所定の「信者その他の利害関係人」と同一のものと解さなければならない理由はなく、被告が積極的に宗教法人の檀信徒の宗教活動の実態を調査して檀信徒の範囲等を独自に画定し檀信徒数を算出することが適当であるとも考えられない(檀信徒とは、「一定の宗教の教義に賛同する 者」をいうが、これは信仰に関するものであるから、その範囲を被告が一律に画することは不可能であるし、申請者から「檀信徒」であるとして名簿が提出されれば、それを否定することは困難である。また、名簿に記載された特定の個人について、逐一、当該宗教を信仰しているか否かを調査しなければならないとすると、信仰の自由を害するおそれがあ る。)。そうすると、檀信徒数は、宗教法人が提出する資料をもとに判断することで足りるものであり、檀信徒名簿が提出された場合は、それが一見して不審であるといえるものでない限り、これにより判断すれば足りるのである。そして、本件申請書類をみても檀信徒数等について更に追加調査を義務付ける根拠となるような不審な点は認められず、被告に おいて本件申請書類を超えて独自に調査しなけ より判断すれば足りるのである。そして、本件申請書類をみても檀信徒数等について更に追加調査を義務付ける根拠となるような不審な点は認められず、被告に おいて本件申請書類を超えて独自に調査しなければならないものではなかった。 サ本件審査基準3-1(7)該当性(納骨堂の構造は、独立した建物で周囲に塀を設け、堅固な建物とし防火設備を設けていること)(ア) 被告は、本件審査基準3-1(7)を考慮し判断するに当たり、本件申請 書類(このうち本件申請書及び本件納骨堂の平面図)から、本件納骨堂 - 21 -の構造が鉄筋コンクリート造であること、納骨堂が建物の一部に設けられること、納骨壇の部分が壁等により同一建物内の他の施設と区画がされていること、出入口が施錠できることを認めたため、本件審査基準3-1(7)ただし書①に該当すると判断した。そこで、本件の審査において、本件審査基準3-1(7)本文所定の「納骨堂の構造は、独立した建物で周 囲に塀を設け、堅固な建物とし防火設備を設けていること」のうち、「独立した建物で周囲に塀を設け」という部分を緩和し、「堅固な建物とし防火設備を設けていること」を考慮することとした上で、本件納骨堂の構造が鉄筋コンクリート造であること、納骨堂出入口扉は全て防火設備とし、施錠付きとされていることを認めたため、「堅固な建物とし防火 設備を設けていること」に該当すると判断した。なお、本件細則10条2号所定の「防火設備」とは、建築基準法の定める防火設備と同義ではなく、焼骨の類焼を防止する防火の機能を有する設備一般をいう。 (イ) これに対し、原告らは、本件納骨堂は、建物全部の主たる使用目的が納骨にあることは明らかであるとして、本件審査基準3-1(7)ただし書 ①所定の「耐火構造建物の一部に納骨堂 般をいう。 (イ) これに対し、原告らは、本件納骨堂は、建物全部の主たる使用目的が納骨にあることは明らかであるとして、本件審査基準3-1(7)ただし書 ①所定の「耐火構造建物の一部に納骨堂を設ける場合」が適用される前提を欠いている旨主張する。 しかし、本件審査基準3-1(7)ただし書①所定の「耐火構造建物の一部に納骨堂を設ける場合」とは、その文理から、物理的にみて耐火構造建物の一部に納骨堂を設ける場合を指すことは明らかであり、これに該 当するか否かの判断において建物の主たる使用目的は何ら考慮すべきものではない。したがって、原告らの上記主張は理由がない。 シまとめ以上によれば、本件申請は、本件審査基準を満たすものであり、本件細則8条ただし書の要件も満たすことから、大阪市長が本件各処分をしたこ とは合理的であり、その判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用は認めら - 22 -れない。したがって、本件各処分は適法である。 (原告らの主張)ア判断枠組みについて(ア) 本件細則8条本件細則8条は、墓地等の経営等に対する距離制限であると同時に、 大阪市長が墓埋法10条1項に基づく許可を行うに当たって、人家等にかかる「生活環境に係る利益」が侵害されるか否かを判断するための基準を法令上定めている。 最高裁令和5年判決は、本件細則8条は、「墓地等の所在地からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家については、これに居住する 者が平穏に日常生活を送る利益を個々の居住者の個別的利益として保護する趣旨を含む規定である」と判示しており、同条が保護している生活環境に係る利益は、公衆衛生その他人の生命・身体・財産に係る利益に限定されず、周辺住民が「平穏に日常生活を送る利益」を含んでおり、当該利益は、無形の 定である」と判示しており、同条が保護している生活環境に係る利益は、公衆衛生その他人の生命・身体・財産に係る利益に限定されず、周辺住民が「平穏に日常生活を送る利益」を含んでおり、当該利益は、無形の精神的な利益も含んでいる。 したがって、人家等の周囲おおむね300m以内の場所における墓地等の経営につき許可申請があった場合、大阪市長は、墓地等の経営等によって人家等にかかる「生活環境に係る利益」が損なわれ、又は損なわれるおそれがあるものとして取り扱わなければならず、本件細則8条ただし書に該当する場合、すなわち「生活環境に係る利益」を著しく損な うおそれがないと判断される場合でない限り、当該許可を行ってはならない義務を負う。 (イ) 本件審査基準本件審査基準は、行政手続法5条により定められ公にされているところ、墓埋法10条1項に基づく納骨堂経営許可における大阪市長の裁量 権は、本件審査基準に従って行使されるべきことが羈束されており、納 - 23 -骨堂経営許可が本件審査基準に従っていない場合、本件審査基準の定めと異なる取扱いをすることを相当と認めるべき特段の事情がない限り、その裁量権の行使は、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たり、納骨堂経営許可は違法となる(最高裁平成27年3月3日第三小法廷判決・民集69巻2号143頁参照。以下、この判決を「最高裁平成27年判 決」という。)。 また、大阪市長が、本件審査基準の要件に該当する事実の誤認又は当該事実の調査義務に違反したときは、判断要素の選択や判断過程の合理性が欠如しており、特段の事情のない限り、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念上著しく妥当性を欠くものとして違法となるというべきで ある。 (ウ) 墓地運用指針・納骨堂運用指針・本件通知が本件審査 しており、特段の事情のない限り、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念上著しく妥当性を欠くものとして違法となるというべきで ある。 (ウ) 墓地運用指針・納骨堂運用指針・本件通知が本件審査基準の解釈の根拠となることa 墓地運用指針環境衛生監視課の職員がNに対して墓地運用指針を交付していたこ とや、墓地運用指針と納骨堂運用指針は構成が同じであり、「墓地」と「納骨堂」という単語と施設の性状等の相違に関わる部分を除けば内容と表現が共通していること等に照らせば、墓地運用指針のうち納骨堂運用指針と共通する部分は、納骨堂経営許可における実務上の運用指針として使用されていた(「墓地」を「納骨堂」に読み替えて運用 されていた)ということができる。そうすると、墓地運用指針と納骨堂運用指針の共通部分は、本件審査基準の解釈の直接的な根拠となるものといえる。 b 納骨堂運用指針仮に、納骨堂運用指針が策定されていないとしても、納骨堂運用指 針を作成したのは環境衛生監視課であること、墓地と納骨堂の各経営 - 24 -許可の法律上の根拠条文が同じ墓埋法10条1項であり、かつ、大阪市の墓地等経営許可制度において、墓地と納骨堂は、焼骨の埋蔵と収蔵の相違、両施設の物理的形状の相違その他の性質上の相違を除いて、別異に取り扱うべき事情もないこと等に照らせば、納骨堂運用指針は、本件審査基準を解釈するに当たり、これを合理的に解釈したものとし て斟酌されるべきである。 c 本件通知本件通知は、規範そのものではないものの、本件審査基準を含む法令解釈の根拠となるものである。 d 小括 したがって、墓地運用指針、納骨堂運用指針及び本件通知は、本件審査基準の解釈の根拠となるものである。 (エ) 積極的調査義務について 含む法令解釈の根拠となるものである。 d 小括 したがって、墓地運用指針、納骨堂運用指針及び本件通知は、本件審査基準の解釈の根拠となるものである。 (エ) 積極的調査義務についてa 墓埋法10条1項に基づく宗教法人に対する墓地等の経営許可は、墓地等の経営が高度の公益性を有していること等を踏まえると、警察 許可ではなく、公企業の特許かそれに準ずるものというべきであり、そのことを前提に大阪市長が行う墓地等の経営許可に係る判断につき広範な裁量権が認められていることからすると、大阪市長は、墓地等の経営許可の審査に当たって、墓地等の経営が公益事業として永続的、非営利的に行われることが確保されるように積極的に調査を行うこと を法律上要請されているというべきである(本件通知参照)。このことは、墓埋法が、墓地等の経営許可に関して許可権者に調査権限を定めた規定を設けていないことによって左右されるものではない(非権力的手段による調査については、行政作用法上の根拠は不要である。)。 b 本件において、処分行政庁が人家等に係る「生活環境に係る利益」 を著しく損なうおそれがないと判断するためには、墓地等経営の継続 - 25 -性・非営利性が確保されていなければならず、これが確保されているか否かは、本件審査基準1、3-1(1)、(3)~(6)に沿って判断されなければならない。処分行政庁には調査義務の懈怠があり、①申請地においてNが納骨堂の経営を行う必要性があると認定したこと、②申請者が宗教法人であり、納骨堂経営の目的が檀信徒のためであると認定 したこと、③本件納骨堂経営の永続性・非営利性が確保されていると認定したこと、④周辺住民の生活環境を著しく害するおそれがあると認定したことは、判断の誤りであり、重要な事実の基礎 めであると認定 したこと、③本件納骨堂経営の永続性・非営利性が確保されていると認定したこと、④周辺住民の生活環境を著しく害するおそれがあると認定したことは、判断の誤りであり、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らして著しく妥当性を欠く。 イ原告らが主張することができる違法事由 (ア) 本件審査基準(3-1(7)を除く。)に関する違法は「自己の法律上の利益と関係のない違法」ではないこと被告は、原告らの主張のうち、少なくとも本件細則8条以外の規定に反する違法を主張するものは、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由とするものであるから、行政事件訴訟法10条1項が適用され、原 告らは、当該違法を理由として取消しを求めることができない旨主張する。 原告らに原告適格が認められる根拠となった規定は、墓埋法10条及び本件細則8条である。そして、本件細則8条及び10条は、墓埋法の目的に沿って、大阪市長が行う墓埋法10条の規定による墓地経営等の 要件を具体的に規定するものであり、前者は、許可の基準として、墓地経営等についての消極要件を定め、後者は、構造設備の基準として、墓地等の構造設備についての積極要件を定めている。本件審査基準は、墓埋法10条の規定による墓地経営等の許可の要件又は当該要件につき本件細則8条及び10条が具体的に規定した要件を、審査基準として具体 化したものである。 - 26 -最高裁令和5年判決が、本件細則8条を、法の目的に沿って、大阪市長が行う墓埋法10条の規定による墓地経営等の許可の要件を具体的に規定するものであると位置づけていること、大阪市の墓地経営等許可制度においては、墓地経営等の許可の要件について「許可の基準」であるとして明文化されている法令は、本件細則8条だけであるこ 件を具体的に規定するものであると位置づけていること、大阪市の墓地経営等許可制度においては、墓地経営等の許可の要件について「許可の基準」であるとして明文化されている法令は、本件細則8条だけであることを考慮す ると、本件審査基準は、本件細則10条2号を審査基準として具体化した本件審査基準3-1(7)を除いて、本件細則8条の規定する要件を具体化したものであると考えるのが自然であるから、本件審査基準(ただし3-1(7)を除く。)に関する違法は、原告適格を認められている原告らにとって「自己の法律上の利益と関係のない違法」ではない。 (イ) 本件審査基準3-1(7)に関する違法も「自己の法律上の利益と関係のない違法」ではないこと最高裁令和5年判決は、本件細則10条2号が規定する納骨堂の「構造設備の基準」は、「納骨堂が静穏な環境の下で死者を追悼する施設となることを確保し、これを利用する者の利益を保護する趣旨の規定であ る」と解している。そのため、本件細則8条と10条2号は、許可の要件として、それぞれの規定が保護する利益の共有主体は異なるものと解される。 しかし、そのような解釈は、大阪市長が本件細則10条4号に基づいて、公衆衛生その他公共の福祉の見地から市長が必要と認める一定の設 備を設けることを納骨堂の経営等の許可の要件とした際に、納骨堂を利用する者以外の周辺住民を保護する設備を定めることを排斥するものではないと解される。 また、本件細則10条2号は、周辺住民の生活環境に係る利益を保護するものではないが、そのことは当該違反が本件細則8条ただし書該当 性を判断する際に個別具体的事情として考慮することを妨げるものでは - 27 -ないものと解される。 最高裁令和5年判決は、本件細則10条2号が規定する納骨 反が本件細則8条ただし書該当 性を判断する際に個別具体的事情として考慮することを妨げるものでは - 27 -ないものと解される。 最高裁令和5年判決は、本件細則10条2号が規定する納骨堂の「構造設備の基準」は、原告らの原告適格が認められる根拠規定とはならないと判断したとはいえ、行政事件訴訟法10条1項との関係では、本件細則10条2号違反及び同号を具体化した本件審査基準3-1(7)につ いての違法は、原告適格を認められた原告らにとって「自己の法律上の利益と関係のない違法」であるとはいえない。 したがって、原告らが主張する、本件審査基準に係る違法事由は、本件細則8条から導かれるものであるから、本件細則8条以外の規定を根拠とする違法事由も「自己の法律上の利益と関係のない違法」とはいえ ない。 ウ本件細則8条ただし書に該当しないこと本件申請は、本件審査基準を満たしておらず、本件細則8条ただし書該当性を判断するに当たって考慮すべき本件の個別具体的事情について考慮していないから、本件納骨堂経営については、人家等に係る生活環境を著し く損なうおそれがあり、少なくとも、著しく損なうおそれがないとは判断できない。したがって、本件許可処分等において、本件細則8条ただし書に該当するとした大阪市長の判断には裁量権の範囲の逸脱又はその濫用が認められる。 エ本件申請が本件審査基準1、3-1(1)、(6)を満たしていないこと(経 営主体の適格性を欠き、納骨堂の設置の必要性がないこと、納骨壇数は、檀信徒等の数に応じたものではないこと)次のとおり、本件審査基準1、3-1(1)、(6)の各要件を満たすとして本件許可処分をした大阪市長の判断は、判断要素の選択や判断過程に合理性が欠如しており、重要な事実の基礎を欠くか、又は いこと)次のとおり、本件審査基準1、3-1(1)、(6)の各要件を満たすとして本件許可処分をした大阪市長の判断は、判断要素の選択や判断過程に合理性が欠如しており、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念上著しく妥 当性を欠くものとして、違法である。 - 28 -(ア) 本件審査基準1、3-1(1)、(6)の意義本件審査基準1、3-1(1)が規定する経営主体の適格性は、単に経営主体が形式的に宗教法人等であれば認められるというものではなく、納骨堂の設置との関係での実質的な適格性を有することを要求していると解すべきであり、この実質的な適格性については、納骨堂の経営管理計 画自体の適格性も含んでいると解すべきである(本件通知参照)。そして、需要のない納骨堂の設置は、安定的な経営管理計画を阻害することになるため、本件審査基準3-1(1)、(6)は、納骨堂の設置の必要性の有無、すなわち、当該宗教法人の檀信徒の具体的な需要の有無を、申請書の審査項目としたものと解される。 また、本件審査基準1に関して定められた墓地運用指針基準1関係3、納骨堂運用指針基準1関係3には、適格性のある宗教法人であるためには、①当該宗教法人が申請地に係る主たる事務所又は従たる事務所において6か月以上の宗教活動の実績が必要であるとともに、②当該墓地等が檀信徒のためのものである旨の説明が必要であるとされている。本件 審査基準3-1(1)、(6)に関して定められた墓地運用指針基準3関係1・2・9、納骨堂運用指針基準3関係1・2・8には、宗教法人による墓地等の経営は、檀信徒のためのものに限り、墓地・納骨堂の区画数・収蔵数と檀信徒の利用予定者数とを比較しその必要性を証明することが要請されている。 (イ) 本件審査基準1、3-(1)につ 墓地等の経営は、檀信徒のためのものに限り、墓地・納骨堂の区画数・収蔵数と檀信徒の利用予定者数とを比較しその必要性を証明することが要請されている。 (イ) 本件審査基準1、3-(1)についてa 経営主体の適格性につき、名義貸しの疑いがあること本件細則8条ただし書該当性を判断するに当たって、申請者が宗教法人である場合でも、個別具体的事情を検討する際に宗教法人が名義貸しをしているおそれがある場合には、宗教法人による経営とは言え ないだけでなく申請行為自体が不正となるおそれがあるので、このよ - 29 -うな事情も墓地等の経営の永続性・非営利性に関わるものであるので、個別具体的事情として考慮されなければならない。 本件において、申請者であるNが宗教法人であることに争いはないが、本件納骨堂について、株式会社W(以下「W」という。)が利用者の募集広告を行い、また、Jが責任役員を務めるUの納骨堂について もWが広告を行っていることからすれば、本件納骨堂の実質的な経営主体はWであり、名義貸しによるものである疑いが非常に強い。 b 納骨堂設置の必要性が認められないことNは四條畷市においてR霊園を経営しているところ、①R霊園の墓地経営面積が約3600㎡、聖地数約2500聖地であること、②R 霊園にはかなりの空き区画があること、③檀信徒の要望に食い違いがあること、④R霊園の敷地に地上権が、敷地上の建物に賃借権がそれぞれ設定されていること等からすれば、大阪市長は、R霊園の経営が行き詰まっていることや、6101基もの納骨壇数を備える本件納骨堂を設置する必要性がないことに疑念を抱いてしかるべきであった が、R霊園の墓数・空き区画等R霊園の状況に関して全く調査を行わなかった。 c 納骨堂運用指針基準1関係3を満 を備える本件納骨堂を設置する必要性がないことに疑念を抱いてしかるべきであった が、R霊園の墓数・空き区画等R霊園の状況に関して全く調査を行わなかった。 c 納骨堂運用指針基準1関係3を満たさないこと納骨堂運用指針は、本件審査基準3-1(5)における「法人の主たる事務所及び礼拝施設等」とは、従たる事務所も該当し、建築基準法(昭 和25年法律第201号)第2条第1号規定の建築物であること」としているところ、平成28年11月11日に本件土地に設置された本件プレハブ建物は、同年12月8日に従たる事務所として設置され登記されたが、本件許可処分時(平成29年2月27日)では、規則上の従たる事務所の設置から3か月弱しか経過していないので、本件に おいては、当該事務所における6か月以上の宗教活動の実績はない。 - 30 -また、その間(平成28年12月8日~平成29年2月27日)も宗教活動の実績があったとはいえない。 したがって、本件プレハブ建物は、納骨堂運用指針基準1関係3「当該事務所において6ケ月以上の宗教活動の実績が必要である」との要件を満たさない。 d 納骨堂運用指針基準3関係1ただし書を満たさないこと本件納骨堂の経営は、宗旨宗派を問わない事業型の納骨堂経営であって、経営の目的が檀信徒のためではない。本件許可申請時点でその意図は十分にあったにもかかわらず、大阪市長は、その点を考慮することを怠った。 大阪市長から納骨堂経営許可を受けた複数の宗教法人が本件審査基準に反して宗旨宗派を問わない(檀信徒のために限らない)納骨堂の経営を行っているという実態があり、大阪市長は、このことを容易に把握することができたにもかかわらず、この点に関する調査を行わなかった。そして、本件納骨堂の利用者の募集等を行って に限らない)納骨堂の経営を行っているという実態があり、大阪市長は、このことを容易に把握することができたにもかかわらず、この点に関する調査を行わなかった。そして、本件納骨堂の利用者の募集等を行っているのは、N ではなくWであり、ウェブサイトの広告やパンフレット等を通じて、不特定多数の者に対し、信者・宗派等を問うことなく勧誘していること等からすれば、本件納骨堂はN檀信徒のためのものであるとはいえず、本件納骨堂において営利事業として宗旨宗派を問わない納骨堂経営が行われていることは明らかである。 e 納骨堂運用指針基準3関係2を満たさないこと申請地において宗教法人が納骨堂の経営を行う必要性が檀信徒にとってあるのかを判断するのであるから、当該宗教法人の檀信徒数だけを確認しても不十分であり、檀信徒のうち納骨堂の利用予定者数を確認しなければ、納骨堂の収蔵数と比較しその必要性を確認することは できない。 - 31 -本件においては、Nの檀信徒が6099体の収蔵基数の納骨堂を利用することが予定されているが、大阪市長は、6269人とされるNの檀信徒のうちの利用予定者数を確認していない。 したがって、申請地においてNが納骨堂の経営を行う必要性があると認定した大阪市長の判断は誤りである。 (ウ) 本件審査基準3-1(6)について檀信徒数は、納骨堂の利用予定者を確認するための前提であるが、Nの檀信徒が6269人いるという大阪市長の認定は誤りである。 aNの檀信徒数が不自然に過大であったことNは、本件申請に当たり、6269名の檀信徒がいる旨申告した。 しかし、①環境衛生監視課の職員が収集した宗教年鑑によれば、Nが属するU派の檀信徒数は1万5592名、U派の被包括宗教団体は51団体であり、末寺にすぎないN 69名の檀信徒がいる旨申告した。 しかし、①環境衛生監視課の職員が収集した宗教年鑑によれば、Nが属するU派の檀信徒数は1万5592名、U派の被包括宗教団体は51団体であり、末寺にすぎないNの檀信徒数だけでU派の檀信徒数の約4割を占めていたこと、②Nが、平成28年1月6日、自らの檀信徒以外を対象にして納骨堂を経営しようとしている意図を被告に示し ていたこと、③大阪市長は、納骨堂経営許可申請に当たり、檀信徒数の虚偽申告がされた事例があったことを認識していたこと、④Nの主たる事務所に住職等が常駐していないなど、宗教活動の実態がないか、極めて低調であること等からすれば、Nが申告した檀信徒数は不自然に過大であり、架空のものではないかと疑うべき事情が存在した。J は、平成29年6月4日の説明会において、Nの檀家数が300よりも少ないこと、Nが申告した檀信徒数には、単なる一般の参拝客(お札の購入者)、宗派等を問わないR霊園の利用者、Jが住職をしているNの檀信徒が含まれていたことを認めたが、これらの者は、本件審査基準3-1(6)所定の「檀信徒」(宗教法人法12条2項の「信者そ の他の利害関係人」と同義であると解され、檀徒とは、寺院の教義を - 32 -信仰して自己の主宰する葬祭を一時的でなく委託し、寺院の経費を負担するものであり、信徒とは、寺院の教義を信仰して自己の主宰する葬祭を一時的に委託し、その限りで寺院の経費を分担するものというものと解される。)に該当せず、N規則16条が定める檀信徒の定義(「眞言宗の教義を信奉し、この寺院の維持経営に協力する者」)に も該当しないものであった。 b 異常な檀信徒数の推移Jは、Nの檀信徒は、許可申請前の平成29年時点で2000人であり、その後、許可申請時、6000人とな 寺院の維持経営に協力する者」)に も該当しないものであった。 b 異常な檀信徒数の推移Jは、Nの檀信徒は、許可申請前の平成29年時点で2000人であり、その後、許可申請時、6000人となったと証言した上で、4000人はもともとUの檀信徒であったことを認めているが、本件許 可処分が平成29年2月27日なので、ごく短期間で檀信徒数が約3倍になったことになる。 Nの説明する檀信徒数の推移は信用できず、6269人という檀信徒数は、申請地における宗教法人による納骨堂経営の必要性を根拠づけるものではない。 c 異なる檀信徒の定義の使用そもそも、Nは、本件許可申請において、檀信徒の定義を曖昧に用いている。 すなわち、Nは、本件許可申請において、檀信徒という言葉を、N規則とは異なり、単にお寺に祈願すればよい、本人が檀信徒といえば 檀信徒となるという、非常に広い意味で用いており、このような檀信徒は、申請地において宗教法人が納骨堂の経営を行う必要性があることを判断する際の前提となる檀信徒とはいえない。 d 檀信徒数について、檀信徒名簿の原本確認をしていないこと大阪市の墓地経営等許可制度においては、宗教法人においては「檀 信徒数が明らかな書類」の原本を処分行政庁が確認する必要があると - 33 -ころ(本件審査基準2)、Nが処分行政庁に提出した本件檀信徒名簿は、連絡先が空欄のまま提出されており、処分行政庁が檀信徒数を確認できないことから、「檀信徒数が明らかな書類」ではない。 その上、処分行政庁は、檀信徒名簿の原本の確認を怠っている。すなわち、被告は、Hが平成29年1月23日に本件納骨堂建設予定の 現地に調査に行き、檀信徒名簿の原本を確認した旨主張し、これに沿うHの陳述書も提出されているが(乙23) 本の確認を怠っている。すなわち、被告は、Hが平成29年1月23日に本件納骨堂建設予定の 現地に調査に行き、檀信徒名簿の原本を確認した旨主張し、これに沿うHの陳述書も提出されているが(乙23)、Hは平成29年1月23日に申請地へ調査に行っていない。 eUの納骨堂の経営許可申請書類の記載内容が虚偽である疑いがあり、本件申請書類の記載内容も虚偽である疑いがあること Nの代表役員であり、Uの代表役員でもあるJは、Uの納骨堂の経営許可申請を行ったが、その際の許可申請書(「真言宗U派寺院一覧」(以下「真言宗U派一覧」という。甲172の3・20枚目)には、2つのLの記載があり、この記載内容は虚偽である疑いが強い。 そうであれば、Nが提出した本件申請書類における「真言宗 U派一 覧」に記載されたL以外の寺についても、虚偽である疑いがある。よって、「真言宗 U派一覧」の記載内容は、2万8181人という信者数の正確性を含め、およそ信用できない。 f 大阪市長の調査義務違反これらの事情に照らせば、本件申請は、檀信徒の具体的な需要を欠 くものであるから、経営主体の適格性を欠き、本件納骨堂の設置の必要性があったとはいえないし、大阪市長は、檀信徒名簿に記載された檀信徒数や本件納骨堂の設置の必要性等について疑うべき十分な事情を把握していた上、既に把握していた事情以外にも容易に把握することができる不審な事情があったにもかかわらず、檀信徒数や本件納骨 堂の設置の必要性等に関して必要な調査を行わなかったといわざるを - 34 -得ない。したがって、大阪市長の調査方法は著しく不合理であり、著しい調査義務違反があったというほかない。 オ本件審査基準3-1(2)を満たしていないこと(付近の生活環境を著しく損なうおそれがあるこ ない。したがって、大阪市長の調査方法は著しく不合理であり、著しい調査義務違反があったというほかない。 オ本件審査基準3-1(2)を満たしていないこと(付近の生活環境を著しく損なうおそれがあること)(ア) 本件審査基準3-1(2)の意義 そもそも、被告は、信者・宗派等を問わない霊園形式の墓地、納骨堂の経営については、墓地等の経営主体が市町村等の地方公共団体でなければならないという原則に従い、大阪市設置霊園条例や大阪市納骨堂条例を施行し、これを自ら行っている。本件細則が納骨堂経営許可の対象としているのは、信者・宗派等を問わない霊園形式で行われる公益事業 としての納骨堂の経営ではなく、いわゆる「寺院墓地」(寺院の敷地内にあり、当該寺院が所有・管理しているもので、使用者が原則として当該寺院の檀信徒である墓地等)の経営である。このことは、本件審査基準3-1(1)、(6)が、当該宗教法人の檀信徒の具体的な需要の有無を申請書の審査項目としていること等からも明らかであり、被告の墓地等経 営許可制度は、周辺住民の生活環境の保護を重視して、経営主体の適格性を厳しく制限しているのである。 そして、宗教法人の経営する納骨堂が「寺院墓地」である場合は、現に宗教法人が儀式行事等の宗教活動を行っている場所において当該宗教活動に付随して既に存在する境内地に寺院墓地が設置又は拡張されてい る場合であるから、従前からその場所において宗教活動が行われていることについて付近の生活環境上の利益の帰属主体である周辺住民も一定の理解が存することを前提に、本件審査基準3-1(2)が規定する「①周辺環境と調和が保てること」、「②公衆衛生その他公共の福祉の見地より周辺住民の理解が得られること」が検討されることになる。 (イ) 本件について 、本件審査基準3-1(2)が規定する「①周辺環境と調和が保てること」、「②公衆衛生その他公共の福祉の見地より周辺住民の理解が得られること」が検討されることになる。 (イ) 本件について - 35 -Nは、平成28年4月20日に本件土地を取得したにすぎず、それ以降も現在に至るまで儀式行事等の宗教活動を行っておらず、宗教活動の実績はない。そうすると、本件納骨堂の設置は、その宗教活動について周辺住民の一定の理解を前提とすることができるような典型的な寺院墓地の設置の場合とは異なるというべきである。また、上記エ(イ)dのとお り、本件納骨堂において営利事業として宗旨宗派を問わない納骨堂経営が行われていることは明らかである。 そして、本件納骨堂が6000基超の焼骨の収容を予定している巨大納骨堂であり、その周辺は小学校も含む住宅密集地であること等からすれば、Nによる本件納骨堂の設置、経営について、「①周辺環境と調和 を保つこと」や、「②公衆衛生その他公共の福祉の見地より周辺住民の理解が得られること」は不可能であり、「付近の生活環境を著しく損なうおそれ」はあったというほかない。現に、本件納骨堂が設置され経営が開始されたことにより、原告らに多大な精神的苦痛が生じる、焼香の臭いが自宅内に入ってくる、本件納骨堂利用者が不法駐車を行うなどと いった生活環境の悪化が生じている。 さらに、H及びIが、平成29年1月23日に現地調査等を行ったとも認められず、大阪市長には、本件土地におけるNの宗教活動の実績等といった要件に係る事実調査に関する調査義務違反がある。 (ウ) 小括 したがって、本件審査基準3-1(2)の要件を満たすとして本件許可処分をした大阪市長の判断は、判断要素の選択や判断過程に合理性が欠如しており、重 関する調査義務違反がある。 (ウ) 小括 したがって、本件審査基準3-1(2)の要件を満たすとして本件許可処分をした大阪市長の判断は、判断要素の選択や判断過程に合理性が欠如しており、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念上著しく妥当性を欠くものとして、違法である。 カ本件審査基準3-1(3)及び(4)を満たしていないこと(本件土地の所有 権が譲渡され、抵当権等が設定されるおそれがあること、登記後6か月以 - 36 -上経過した境内地等に当たらないこと)本件審査基準3-1(3)は、「申請者が敷地及び建物の所有者であること」と定め、本件審査基準3-1(4)は、「納骨堂を設置する土地については、申請者の所有とし登記後6カ月以上経過した境内地等であること」と定めている。これらの各要件を満たすというためには、納骨堂設置予定地及び 納骨堂が、本件許可処分時のみならず、将来においても第三者に譲渡され、又は抵当権等が設定されるおそれがないということが必要であると解すべきである(墓地運用指針基準3関係5、納骨堂運用指針基準3関係5参照)。 これを本件についてみると、Nは、既にR霊園の敷地に地上権を、敷地上の建物に賃借権をそれぞれ設定しており、本件土地についても、将来第 三者に譲渡され、又は抵当権等が設定されるおそれがあったにもかかわらず、大阪市長は、R霊園の状況に関して全く調査を行わなかったのであって、要件に係る事実調査に関する調査義務に違反した。 したがって、本件審査基準3-1(3)、(4)の各要件を満たすとして本件許可処分をした大阪市長の判断は、判断要素の選択や判断過程に合理性が 欠如しており、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念上著しく妥当性を欠くものとして、違法である。 キ本件審査基準3-1 許可処分をした大阪市長の判断は、判断要素の選択や判断過程に合理性が 欠如しており、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念上著しく妥当性を欠くものとして、違法である。 キ本件審査基準3-1(4)及び(5)を満たしていないこと(本件土地は、申請者の所有とし登記後6か月以上経過した境内地等ではなく、法人の主たる事務所及び礼拝施設等が存する境内地等ではないこと) 本件審査基準3-1(4)は、「納骨堂を設置する土地については、申請者の所有とし登記後6カ月以上経過した境内地等であること」と定め、本件審査基準3-1(5)は、「納骨堂の設置場所は、法人の主たる事務所及び礼拝施設等が存する境内地であること」と定めている。これらの定めにおける「境内地」とは、宗教法人法3条所定の「境内地」と同義であると解され る(墓地運用指針基準3関係8、納骨堂運用指針基準3関係6参照)。 - 37 -Nは、平成28年4月20日に本件土地を売買により取得し、同年12月8日に本件土地の地目を宅地から境内地に変更したが、同年4月20日以降、本件土地で宗教活動を行った実績はなく、登記記録上の地目が「境内地」とされているにすぎず、実質的には「境内地」としての実体が欠けていた。それにもかかわらず、大阪市長は、本件土地におけるNの宗教活 動の実績等を調査しなかったのであって、要件に係る事実調査に関する調査義務に違反した。 また、登記記録上、本件土地が境内地に地目変更されたのは平成28年12月12日であり、本件許可処分がされたのは平成29年2月27日であるから、「境内地」との地目変更の登記がされてから6か月が経過して おらず、本件審査基準3-1(4)所定の「登記後6カ月以上経過した境内地等であること」という要件を満たさない。この点に関する被告 から、「境内地」との地目変更の登記がされてから6か月が経過して おらず、本件審査基準3-1(4)所定の「登記後6カ月以上経過した境内地等であること」という要件を満たさない。この点に関する被告の主張は、本件審査基準の解釈を誤るものであって、失当である。 Nは、平成28年11月11日、本件土地上に、本件プレハブ建物を設置し、本件許可処分当時も存在したが、本件プレハブ建物は、建築基準法 違反を理由として平成30年3月22日に撤去されたのであり、従たる事務所としての実体が欠けていたというほかない。また、上記建築物は、宗教法人法2条1号所定の「礼拝の施設」(信仰の対象を安置し、あるいはこれを表徴し、その他礼拝を行うのに必要な施設で、宗教団体の宗教活動の拠点的、中心的施設・場所)や、同法3条所定の「境内建物」にも該当し ない(墓地運用指針基準3関係7、納骨堂運用指針基準3関係7参照)。 そうすると、本件土地は、本件審査基準3-1(5)所定の「法人の主たる事務所及び礼拝施設等が存する境内地である」とはいえない。このように、大阪市長は、本件土地におけるNの宗教活動の実績や、本件プレハブ建物が従たる事務所の実体を有するか否かについて事実を誤認し、要件に係る 事実調査においても、調査義務に違反した。 - 38 -したがって、本件審査基準3-1(4)、(5)の各要件を満たすとして本件許可処分をした大阪市長の判断は、判断要素の選択や判断過程に合理性が欠如しており、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念上著しく妥当性を欠くものとして、違法である。 ク本件審査基準3-1(7)を満たしていないこと(納骨堂の構造は、周囲に 塀を設けておらず、堅固な建物とし防火設備を設けていないこと等)(ア) 被告は、本件申請が本件審査基準3 法である。 ク本件審査基準3-1(7)を満たしていないこと(納骨堂の構造は、周囲に 塀を設けておらず、堅固な建物とし防火設備を設けていないこと等)(ア) 被告は、本件申請が本件審査基準3-1(7)ただし書①に該当すると判断し、本件審査基準3-1(7)本文の要件である「独立した建物で周囲に塀を設け」という部分を緩和した旨主張する。 しかし、本件納骨堂は、3階から6階までを納骨棚が占めており、1 階及び2階の施設はこの納骨棚に付随する施設であって、建物全部の主たる使用目的が納骨にあることは明らかである。また、本件審査基準3-1(7)ただし書①は、既存の宗教施設の一角に納骨堂を設置する場合を想定しての例外規定であるところ、本件納骨堂は、宗教施設も宗教活動の実績もない本件土地に新たに設置するものであり、しかも、数千基も 収納する大規模な納骨堂に関する経営許可を想定した審査項目ではないから、安易にこの要件を満たすと判断すべきではない。そうすると、本件申請は、本件審査基準3-1(7)ただし書①所定の「耐火構造建物の一部に納骨堂を設ける場合」に該当しない。したがって、被告の上記主張は理由がない。 (イ) 本件審査基準3-1(7)ただし書②は、専ら出入りのために必要な門扉の存在を許容しているにすぎないが、被告は、本件納骨堂の周囲の塀について何ら審査を行っておらず、この点に関する調査を怠った。 (ウ) 納骨堂運用指針基準3関係9⑴は、「納骨堂は耐火構造又は準耐火構造を有する建築基準法に適合した建物であり、建物登記が可能であるこ と。」と規定しているところ、本件納骨堂は、建築基準法別表第2(へ) - 39 -項5号所定の「倉庫業を営む倉庫」に該当し、本件土地が第一種住居地域に所在するため、同法48条5項の用途 と。」と規定しているところ、本件納骨堂は、建築基準法別表第2(へ) - 39 -項5号所定の「倉庫業を営む倉庫」に該当し、本件土地が第一種住居地域に所在するため、同法48条5項の用途制限に違反する違法建築物であったにもかかわらず、大阪市長は、この点に関する調査を怠った。 (エ) 本件申請書類をみても、納骨堂運用指針基準3関係9(2)~(4)の各要件を満たしているのか否かが明らかではないこと、納骨堂運用指針基準 2関係1(2)所定の「納骨堂の概要が確認できる配置図・立面図・各階平面図等」が提出されていないことからすれば、大阪市長は、本件申請が本件審査基準3-1(7)本文、納骨堂運用指針基準3関係9の各要件を満たすか否かに関する調査を怠ったということができる。 (オ) したがって、本件審査基準3-1(7)の要件を満たすとして本件許可処 分をした大阪市長の判断は、判断要素の選択や判断過程に合理性が欠如しており、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念上著しく妥当性を欠くものとして、違法である。 ケその他の個別具体的事情(ア) 墓地等の経営基盤・経営計画 本件細則8条ただし書の該当性を判断するに当たって、申請地において宗教活動の実績がないにも関わらず巨大な墓地等の経営が計画されるなど特段の事由がある場合、周辺住民等の生活環境に影響を及ぼすおそれが大きくなるので、これを許可する場合には、本件審査基準にない事項についても調査し、個別具体的事情として考慮しなければならない。 この場合、大阪市長は、墓地等の経営の永続性・非営利性の確保という観点から、経営破綻の危険性についても調査し、個別具体的事情として考慮するべきである。 しかし、本件納骨堂の経営について、大阪市長は、Nの財務会計書類について本件許 の永続性・非営利性の確保という観点から、経営破綻の危険性についても調査し、個別具体的事情として考慮するべきである。 しかし、本件納骨堂の経営について、大阪市長は、Nの財務会計書類について本件許可処分の前に提出を求めておらず、閲覧した形跡もない。 また、大阪市長が、本件許可処分の前に本件納骨堂の経営計画について - 40 -調査した形跡もない。本件納骨堂はコンクリート造であり、いずれは老朽化するが、大阪市長は、許可に当たり、コンクリートの耐用年数を考慮していない。さらに、本件納骨堂建設にかかった費用約9億円は全て借入金であるにもかかわらず、Nは、販売予定や計画について大阪市に伝えていない。以上からすれば、本件納骨堂には、経営破綻の現実的な 危険がある。 したがって、大阪市長が、本件納骨堂経営の永続性・非営利性が確保されていると判断したことは誤りである。 (イ) 生活環境の悪化本件細則8条ただし書の該当性を判断するに当たって、景観、悪臭、 火災のおそれ等、直接的な生活環境の悪化のおそれについても、個別具体的事情として考慮しなければならない。 a 本件納骨堂が隣接する地域は第一種住宅地域であり、閑静な住宅街であったが、これまで寺院が存在しなかった場所に全く縁もゆかりもない門真市の寺院が巨大な納骨堂を建設したことにより、突如として 死をイメージするような街となり、住環境が一変した。原告らは、自宅すぐ近くに大量の焼骨が設置されたこと自体に、多大な苦痛を感じている。 b また、NはR霊園についても名義貸しを行っており、本件納骨堂の経営主体は不明であり、本件納骨堂の経営が立ち行かなくなった場合、 焼骨が放置されるのではないかといった不安がある。 仮に、本件納骨堂の経営が成り立ったとしても、参拝者が増え り、本件納骨堂の経営主体は不明であり、本件納骨堂の経営が立ち行かなくなった場合、 焼骨が放置されるのではないかといった不安がある。 仮に、本件納骨堂の経営が成り立ったとしても、参拝者が増える彼岸や長期休暇時には、大人数の人が押し寄せ、地域に混乱が生じるとともに、そのことにより周辺地域のゴミが増えたり放置されたりし、衛生面が悪化し、周辺住民の生活環境が悪化する。 c 本件納骨堂では、焼香が行われており、火気が使用されていること - 41 -から、火災が発生することが考えられる。その場合、周辺住民の生活環境の悪化だけでなく、周辺住民の生命身体及び財産に危害を与えることになる。 d 本件納骨堂の規模は極めて大きく、彼岸や長期休暇時には参拝者が増え、大人数が押し寄せると考えられるが、本件納骨堂のすぐ近くに は一時利用の駐車場はなく、本件納骨堂周辺において不法駐車が増えることは明らかであり、周辺住民の生活環境が悪化する。 コまとめ(ア) 本件許可処分以上のとおり、本件納骨堂の経営の許可について、本件細則8条ただ し書該当性の判断につき、処分行政庁が本件の個別的事情として考慮したのは、結局、檀信徒数のみであり、しかも、その檀信徒数も信用に足りるものではなく、その他の個別具体的事情の調査及び考慮を怠っている。 この点、納骨堂経営許可申請書(乙4)及び納骨堂経営許可調査書(乙 7)においても、生活環境を著しく損なうおそれがないことを判断するために、処分行政庁がどのような個別具体的事情についてどのように考慮したのかを示す記録はない。 むしろ、本件は、その他の個別具体的事情からすると、人家等にかかる生活環境を著しく損なうおそれがある。 そうすると、本件納骨堂の経営につき、人家等にかかる生活環 したのかを示す記録はない。 むしろ、本件は、その他の個別具体的事情からすると、人家等にかかる生活環境を著しく損なうおそれがある。 そうすると、本件納骨堂の経営につき、人家等にかかる生活環境を著しく損なうおそれがないとして本件細則8条ただし書に該当すると認めた処分行政庁の判断は、著しく合理性を欠いており、重大な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく合理性を欠くものであって、裁量権の範囲の逸脱・濫用があるから、本件許可処分は違法である。 (イ) 本件各変更許可処分 - 42 -本件各変更許可処分は、本件許可処分に付随する処分であり、本件各変更許可処分時に本件許可処分が適法であることを前提とした処分であると解されるところ、本件許可処分は、上記で主張したとおり、本件審査基準の要件を満たさない違法な処分であるから、本件各変更許可処分も違法である。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(原告らの原告適格)について(1) 判断枠組み行政事件訴訟法9条は、取消訴訟の原告適格について規定するが、同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、 当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法 律上保護された利益に当たり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして、処分の相手方以外の 律上保護された利益に当たり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして、処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては、当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみに よることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し、この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては、当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害され ることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘 - 43 -案すべきものである(同条2項、最高裁平成17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 (2) 本件についての検討ア墓埋法は、墓地等の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、かつ、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることを目的と し(1条)、10条において、墓地等を経営し又は墓地の区域等を変更しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない旨を規定する。同条は、その許可の要件を特に規定しておらず、それ自体が墓地等の周辺に居住する者個々人の個別的利益をも保護することを目的としているものとは解し難い(最高裁平成12年3月17日第二小法廷判決・裁判集 民事197号661頁参照)。 もっとも、墓埋法10条が上記許可の要件を特に規定していないのは、墓地等の経営が、高度の公益性を有するとともに、国民の風俗習慣、宗教活動、各地方の地理的条件等に依存する面 197号661頁参照)。 もっとも、墓埋法10条が上記許可の要件を特に規定していないのは、墓地等の経営が、高度の公益性を有するとともに、国民の風俗習慣、宗教活動、各地方の地理的条件等に依存する面を有し、一律的な基準による規制になじみ難いことに鑑み、墓地等の経営又は墓地の区域等の変更(以下 「墓地経営等」という。)に係る許否の判断については、上記のような法の目的に従った都道府県知事等の広範な裁量に委ね、地域の特性に応じた自主的な処理を図る趣旨に出たものと解される。そうすると、同条は、墓埋法の目的に適合する限り、墓地経営等の許可の具体的な要件が、都道府県(市又は特別区にあっては、市又は特別区)の条例又は規則により補完 され得ることを当然の前提としているものと解される。 そして、本件細則8条は、法の目的に沿って、大阪市長が行う墓埋法10条の規定による墓地経営等の許可の要件を具体的に規定するものであるから、原告らが本件各処分の取消しを求める原告適格を有するか否かの判断に当たっては、その根拠となる法令として本件細則8条の趣旨及び目的 を考慮すべきである。 - 44 -イ本件細則8条本文は、墓地等の設置場所に関し、墓地等が死体を葬るための施設であり(法2条)、その存在が人の死を想起させるものであることに鑑み、良好な生活環境を保全する必要がある施設として、学校、病院及び人家という特定の類型の施設に特に着目し、その周囲おおむね300m以内の場所における墓地経営等については、これらの施設に係る生活環 境を損なうおそれがあるものとみて、これを原則として禁止する規定であると解される。そして、本件細則8条ただし書は、墓地等が国民の生活にとって必要なものであることにも配慮し、上記場所における墓地経営等であっても、個別具体的 のとみて、これを原則として禁止する規定であると解される。そして、本件細則8条ただし書は、墓地等が国民の生活にとって必要なものであることにも配慮し、上記場所における墓地経営等であっても、個別具体的な事情の下で、上記生活環境に係る利益を著しく損なうおそれがないと判断される場合には、例外的に許可し得ることとした 規定であると解される。 そうすると、本件細則8条は、墓地等の所在地からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家については、これに居住する者が平穏に日常生活を送る利益を個々の居住者の個別的利益として保護する趣旨を含む規定であると解するのが相当である。 ウしたがって、墓埋法10条の規定により大阪市長がした納骨堂の経営又はその施設の変更に係る許可について、当該納骨堂の所在地からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家に居住する者は、その取消しを求める原告適格を有するものと解すべきである(最高裁令和5年判決)。 エ前提事実(1)によれば、原告らは、いずれも、本件納骨堂の所在地からお おむね300m以内の場所に敷地がある人家に居住する者に当たるから、本件細則8条を根拠として、本件各処分の取消しを求める原告適格を有するものということができる。 2 争点2(本件各処分の適法性)について(1) 認定事実 前提事実、後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、本件許可処分に至る - 45 -経緯等に関し、次の各事実が認められる。なお、証拠番号は特段の記載のない限り枝番号を含む。 ア NによるR霊園の墓地経営許可申請(甲113、114)Nは、平成10年5月26日付けで、大阪府知事に対し、次の内容で墓地の経営許可の申請をし、その後、墓地経営の許可を受けた。 名称:宗教法人 NR霊園所在地:四条 請(甲113、114)Nは、平成10年5月26日付けで、大阪府知事に対し、次の内容で墓地の経営許可の申請をし、その後、墓地経営の許可を受けた。 名称:宗教法人 NR霊園所在地:四条畷市rs-tの一部区域の概要:実測面積3663.94㎡(ただし国定公園部分2375. 54㎡を除く)イ納骨堂運用指針の策定依頼(甲76、乙14、24、証人M1~5頁) (ア) 被告においては、墓地経営等許可の審査に関しては、「墓地経営等許可に関する審査基準」の運用指針として墓地運用指針(乙14)が策定されており、墓地運用指針が参考にされていたが、納骨堂経営許可の審査に関しては、本件審査基準の運用指針は策定されておらず、墓地運用指針が参考にされることもなかった。 (イ) 環境衛生監視課は、納骨堂運用指針の策定を検討し、平成26年7月31日付けで、環境衛生監視課長から生活衛生課長に宛てて、「墓地経営等許可に関する審査基準運用指針の改正及び納骨堂経営等許可に関する審査基準の改正並びに同審査基準運用指針の策定について(依頼)」と題する文書を発出して納骨堂運用指針の策定を依頼したが、納骨堂運 用指針は策定されなかった。 (ウ) 墓地運用指針は、墓地経営許可の申請者に対して参考資料として配布されることがあり、納骨堂経営許可の申請者に対しても標識の設置や説明会の開催に係る参考資料として配布されることもあったが、納骨堂運用指針は、墓地や納骨堂の経営許可申請者に対して参考資料として交付 されることもなかった。 - 46 -ウ環境衛生監視課のNに対する指導(甲43、45)Nの責任役員は、平成27年10月29日以降、環境衛生監視課を複数回訪れ、納骨堂経営許可の審査基準等について指導を求めた。 環境衛生監視課の -ウ環境衛生監視課のNに対する指導(甲43、45)Nの責任役員は、平成27年10月29日以降、環境衛生監視課を複数回訪れ、納骨堂経営許可の審査基準等について指導を求めた。 環境衛生監視課の職員は、平成28年1月6日、Nの責任役員が、NはU派の末寺であるが、本山であるUの意向として、U派における他の末寺 の檀家の焼骨もNの納骨堂に収蔵する予定である旨述べたのに対し、U派の他の末寺の檀家の焼骨を納骨堂に収蔵する場合はUとして経営許可を取得するのが望ましく、末寺のNとして経営許可を取得する場合、Nの檀家のための納骨堂であるため、他の末寺の檀家の焼骨を収蔵することはできないと考えられる旨回答した。 また、環境衛生監視課の職員は、平成28年1月13日、Nの責任役員に対し、機械式納骨堂については、檀信徒ごとに収蔵されるため、檀家件数ではなく檀信徒数に見合った数として審査すること、納骨壇数については、檀信徒に対して過大な納骨堂を設置した場合に安定した経営が困難になる可能性があることから、檀信徒数に見合ったものを審査することとし ていることなどを伝えた。 エ Nの責任役員に対する本件審査基準及び墓地運用指針の交付及び指導(甲55、乙23、26)Nの責任役員は、平成28年8月25日、環境衛生監視課を訪れ、納骨堂経営許可に関する審査基準について確認したい旨相談した。同課の職員 は、同責任役員に対し、本件審査基準及び墓地運用指針を交付し、本件審査基準3-1(4)の解釈等について説明し、その後、納骨堂の建設計画に関する標識を設置することや、周辺住民等への説明会を実施するよう指示をした。 オ標識の設置等(甲49、86、乙11、証人H2頁) Nは、平成28年11月14日までに、本件土地に、Nが本件土地にお 置することや、周辺住民等への説明会を実施するよう指示をした。 オ標識の設置等(甲49、86、乙11、証人H2頁) Nは、平成28年11月14日までに、本件土地に、Nが本件土地にお - 47 -いて納骨堂を建設する計画をしている旨記載した標識を設置した。Hは、同月15日、本件土地を訪れて、同標識が設置されていること、本件土地上に「Nh別院」の表札がある本件プレハブ建物が存在することを確認した。 カ Nによる周辺住民に対する説明会(1回目)(甲53、58、174) Nは、平成28年12月3日、周辺住民に対する1回目の説明会を実施した。この説明会には、Nの責任役員2名、建設会社関係者1名、周辺住民30名が参加し、周辺住民からは、①本件土地に建っていた建物の解体業者が挨拶に来たのが遅く不愉快であった、②地盤沈下が心配である、③納骨堂の構造や工事の概要に関する説明がほしい、④納骨堂が建築される と日当たりが悪くなる、⑤納骨堂の階段から自宅を覗くことができないようにしてほしい、⑥納骨堂の内部が見えないようにしてほしい、⑦納骨堂と民家との距離をできるだけ空けてほしい、⑧お経の音や線香の匂いの対策をしてほしいなどの意見があったほか、⑨不動産価値が下がるのではないかといった質問があった。Nは、同月6日、環境衛生監視課の職員に対 し、上記説明会の概要について報告した。 キ N規則変更の承認(乙4、弁論の全趣旨)Jは、平成28年12月8日付けで、大阪府知事から本件土地に従たる事務所を置く旨のN規則(宗教法人法12条1項が定める規則)の変更の認証を受けた。 ク原告Bらの環境衛生監視課への来訪(甲59、60、71、74、乙23、27、原告B1~11頁、証人H9頁)(ア) 原告B、原告Eほか1名は、平成2 める規則)の変更の認証を受けた。 ク原告Bらの環境衛生監視課への来訪(甲59、60、71、74、乙23、27、原告B1~11頁、証人H9頁)(ア) 原告B、原告Eほか1名は、平成29年1月17日、環境衛生監視課を訪れて、Hに対し、本件土地にNの納骨堂が建設されることに反対する意向である旨伝えた。 (イ) 原告Bほか1名は、平成29年1月18日にも、環境衛生監視課を訪 - 48 -れて、Hに対し、上記カの説明会においてNが宗派を問わない旨説明していたことや、Nの主たる事務所が門真市にあるにもかかわらず、四條畷市で墓地を経営していることからすると、明らかに事業型の納骨堂であるように見受けられる旨伝えた。 (ウ) 原告B、原告Eほか2名は、平成29年1月23日午後3時過ぎ頃か ら午後5時頃までの間、環境衛生監視課を訪れて、H及びIらに対し、本件土地にNの納骨堂経営許可がされた場合には周辺住民の宗教的感情が侵害されるなどの理由から反対である旨伝えた。 ケ環境衛生監視課による本件檀信徒名簿の確認等(乙4、9、11、16、23、証人H1~3、21~29頁) H及びIは、平成29年1月23日午後2時半頃から午後4時半頃までの間に、本件土地及び本件プレハブ建物に調査に行き、本件土地上に「Nh別院」の表札がある本件プレハブ建物が存在し、同建物内に礼拝施設があることや、本件申請書類として提出された本件檀信徒名簿の原本を確認した。本件檀信徒名簿の原本には、「檀信徒」欄に各氏名が、「御住所」欄 に各住所が記載されていたほか、「御連絡先」欄に各電話番号が記載されていた。 コ納骨堂経営許可調査書(甲1、乙7、23、証人H5~6頁)Hは、平成29年1月26日頃、上記ケの調査に関し、納骨堂経営許可調査書を ていたほか、「御連絡先」欄に各電話番号が記載されていた。 コ納骨堂経営許可調査書(甲1、乙7、23、証人H5~6頁)Hは、平成29年1月26日頃、上記ケの調査に関し、納骨堂経営許可調査書を作成した。同調査書には、「調査年月日平成29年1月26日」、 「調査者 H」と記載された上で、調査事項欄に「面積施設面積281. 32㎡(6101体) 境内地面積605㎡」、「施設周辺の状況学校:有(約145m)P小学校病院:無人家:有(約1m)」、「付近の生活環境を著しく損なう恐れの有無無」と、備考欄に「当該施設周辺には、学校及び人家がある。標識の設置に対し、近隣住民から反対意見があった ため、設置期間を2か月間(平成28年11月15日から平成29年1月 - 49 -16日)とした。」、「代表役員であるJ氏は、真言宗U派の大本山であるUの代表役員でもあり、納骨堂設置に関しての議事録を徴収済みである。」などと記載されている。 サ Nによる周辺住民に対する説明会(2回目)(甲65)Nは、平成29年2月1日、周辺住民に対する2回目の説明会を実施し た。この説明会には、Nの責任役員2名、建設会社関係者1名、周辺住民8名が参加し、周辺住民からは、檀信徒数やR霊園、納骨堂の耐震性や納骨堂の運営資金に関する質問のほか、本件納骨堂の建設に反対する旨の意見があり、その内容は、①納骨堂はこの街にマッチしない、②無縁の遺骨がそばにあると思ったら気持ち悪い、③hが死人の街になる、④墓という 存在自体がいやだ、⑤300m以内に病院や小学校がある、などというものであった。Nは、本件土地及び本件納骨堂の建物に抵当権を付けることはできないことから判断してもらっても本件納骨堂の運営資金に問題はない旨回答した上で、本件納骨堂の建設に理 学校がある、などというものであった。Nは、本件土地及び本件納骨堂の建物に抵当権を付けることはできないことから判断してもらっても本件納骨堂の運営資金に問題はない旨回答した上で、本件納骨堂の建設に理解をいただきたい旨述べた。Nは、同月7日、環境衛生監視課の職員に対し、上記説明会の概要について 報告した。 シ周辺住民による納骨堂建築反対の署名の提出等(ア) 平成29年2月8日付署名の提出(甲67)本件土地の周辺住民のうち、「A親交町会地域環境を守る会」と称する195名は、平成29年2月9日、大阪市長及び大阪市保健所環境 衛生監視課長宛てに、本件納骨堂の建設に反対する旨の同月8日付けの署名を提出した。その提出文書及び署名には、①納骨堂経営の最高責任者が不在で、明らかにされていない、②僧侶が不在で宗教活動がなく、営利目的の納骨堂である、③建設予定の納骨堂は住宅地にあり、周囲民家との間隔がない、④6階建ての巨大ビルで遺骨を収集し、多くの参拝 者が予想されるが、駐車場がない建物である、⑤約100m離れた場所 - 50 -に小学校があり、この小学校から約50m離れた場所に葬儀場も建っているといった意見が記載されていた。 (イ) 平成29年2月13日付署名の提出(甲68)本件土地の周辺住民のうち、「h総和会」と称する96名は、平成29年2月13日、大阪市長及び大阪市保健所環境衛生監視課長宛てに、 本件納骨堂の建設に反対する旨の同日付けの署名を提出した。その提出文書及び署名には、①審査基準に当てはまらない多くのことがあること、②建設予定の本件納骨堂が民家と隣接すること、③約130m離れたところに小学校があること、④約50m離れたところに既に葬儀場があることなどの意見が記載され、また、提出の際には、宗教法人の名 ること、②建設予定の本件納骨堂が民家と隣接すること、③約130m離れたところに小学校があること、④約50m離れたところに既に葬儀場があることなどの意見が記載され、また、提出の際には、宗教法人の名義貸し が行われているのではないかといった意見が述べられた。 (ウ) 平成29年2月16日の文書投稿等(甲70)本件土地の周辺住民のうち、「h振興町会 A親交会並びに総和会地域環境を守る会」と称する者は、平成29年2月16日、環境衛生監視課の納骨堂担当者宛てに、意見書を提出した。その意見書には、納骨堂 の永続性、非営利性確保の観点から、本件土地の購入から納骨堂建設に至るまでの資金の流れを調査し、名義貸しが行われていないか、Nが実際に納骨堂経営を行うことができるかを十分に精査してもらいたい旨の意見が記載されていた。 ス本件プレハブ建物の撤去(甲29、84、100) Nは、平成30年2月27日付けで、大阪市から、本件プレハブ建物につき建築基準法6条及び6条の2の建築確認の申請を行っていないとして是正指導を受けたことから、同年3月22日に本件プレハブ建物を撤去した。 セ本件納骨堂の完成(甲154、甲新19、乙37) 本件納骨堂は、令和元年11月22日に完成し、同年12月5日、建築 - 51 -基準法7条の2第1項の完了検査を受けた。 ソ Wによる本件納骨堂等の広告(甲101、147、148、152、153、167)大阪府箕面市に本店を置く株式会社であるWは、少なくとも令和元年9月10日頃から令和2年1月16日頃までの間、ウェブサイト、テレビコ マーシャル、パンフレット等の媒体により、本件納骨堂につき「Wの堂内墓地」、「X」などの呼称で、利用者を募集する旨の広告を行っていた。同ウェブサイトに 16日頃までの間、ウェブサイト、テレビコ マーシャル、パンフレット等の媒体により、本件納骨堂につき「Wの堂内墓地」、「X」などの呼称で、利用者を募集する旨の広告を行っていた。同ウェブサイトにおいては、令和元年9月10日の時点で、「契約後は、Nの檀家にならなければならないのですか?」という質問に対し、「檀家になる必要はございません。」との回答が掲載されていた。 (2) 事実認定の補足説明ア事実認定イ(納骨堂運用指針の策定依頼)について原告らは、納骨堂運用指針が策定され、施行されたことを前提に、納骨堂運用指針が本件審査基準の解釈の根拠となる旨主張する。 しかし、納骨堂運用指針の附則の施行日は日付が空欄となっている上(甲 76)、環境衛生監視課及び生活衛生課の職員であったMは、生活安全課において納骨堂運用指針の策定を検討したものの、結局策定はされず、納骨堂運用指針の案を墓地や納骨堂の経営許可申請者に交付したことも、納骨堂運用指針の案を考慮して審査をしたこともない旨述べており(乙24、証人M2~4頁)、本件申請がされた当時、納骨堂運用指針が策定され、 施行されていたことを認めるに足りる証拠はない。 したがって、納骨堂運用指針が策定されたとは認められない。 イ認定事実ケ(環境衛生監視課による本件檀信徒名簿の確認等)について原告らは、平成29年1月23日、午後3時頃から午後5時頃までHと本件ビルにおいて面談していたことから、Hが同日に本件土地に調査に赴 き本件檀信徒名簿を確認した事実はない旨主張し、原告Bもこれに沿う供 - 52 -述をする(甲74、原告B1~11頁)。 この点、原告Bの供述や相談処理簿(甲60)の記載に照らせば、原告らが主張するとおり、原告Bらが平成29年1月23日午後3時過ぎ れに沿う供 - 52 -述をする(甲74、原告B1~11頁)。 この点、原告Bの供述や相談処理簿(甲60)の記載に照らせば、原告らが主張するとおり、原告Bらが平成29年1月23日午後3時過ぎ頃から午後5時頃までの間に環境衛生監視課を訪れ、Hを含む同課の職員が相談対応した事実が認められる。他方で、Hは、同日午後2時半頃から午後 4時半頃までの間に、Iとともに本件土地(納骨堂建設予定地)に調査に行き、檀信徒名簿の原本を確認した後、午後4時半頃に本件ビルに戻り、原告Bらの相談に対応した旨述べている(乙23、証人H1~3頁)。被告の公用車の運転手であった職員が作成した自動車運行日誌(乙9)や、Hが記入した個人情報持出し記録簿(乙10)、Iの出張命令の申請(乙 16)には、これを裏付ける記載があり、これらの証拠は被告の業務において作成され継続的に記録されたものであって、信用性が高いといえる。 また、Hが作成した納骨堂経営許可調査書には、調査年月日として「平成29年1月26日」と記載されているが(認定事実コ)、Hは、単純な誤記か、報告書の作成日を調査日として記載した可能性がある旨説明してお り(乙23、証人H5頁)、この説明内容は特段不合理とはいえない。加えて、Hが同日午後4時半頃に本件ビルに戻った後、原告Bらの相談に対応することは時間的に可能であり、原告Bも、相談対応した環境衛生監視課の職員は2~3人が入れ替わった旨述べていること(原告B20頁)からすれば、Hが、同日午後2時半頃から、本件土地に調査に行き、檀信徒名 簿の原本を確認した後、午後4時半頃に本件ビルに戻り、原告Bらの相談に対応した事実が認められる。 なお、原告らは、Hが同日の調査につき出張命令の申請をしていないこと(甲116)から、Hの上記供述は信用 原本を確認した後、午後4時半頃に本件ビルに戻り、原告Bらの相談に対応した事実が認められる。 なお、原告らは、Hが同日の調査につき出張命令の申請をしていないこと(甲116)から、Hの上記供述は信用できない旨主張するが、Hは、同日の調査が公用車を使用するものであって交通費の請求を要しないため、 出張命令の申請を失念した旨述べており(乙23、H7頁)、この説明内 - 53 -容は特段不合理とはいえないから、Hが出張命令を申請していないことは、上記認定に影響を及ぼす事情とはいえない。 したがって、原告らの主張は採用することができない。 (3) 判断枠組み等ア判断枠組み 上記1(2)アで述べたとおり、墓埋法10条が墓地経営等の許可の要件を特に規定していないのは、墓地等の経営が、高度の公益性を有するとともに、国民の風俗習慣、宗教活動、各地方の地理的条件等に依存する面を有し、一律的な基準による規制になじみ難いことに鑑み、墓地経営等に係る許否の判断について、墓埋法の目的に従った都道府県知事等の広範な裁量 に委ね、地域の特性に応じた自主的な処理を図る趣旨に出たものと解される。そうすると、同条は、墓埋法の目的に適合する限り、墓地経営等の許可の具体的な要件が、都道府県等の条例又は規則により補完され得ることを当然の前提としているものと解される。 そして、本件細則8条は、墓地経営等に係る許否の判断が大阪市長の広 範な裁量に委ねられていることを前提として、墓埋法の趣旨及び目的に沿って、同条本文において、原則として、大阪市長が墓埋法10条の規定による墓地経営等の許可を行わない場合の要件を具体的に規定し、同条ただし書において、申請者の申請の内容が同条本文の要件を充足しない場合であっても、例外的に墓地経営等の許可を行うことがで 10条の規定による墓地経営等の許可を行わない場合の要件を具体的に規定し、同条ただし書において、申請者の申請の内容が同条本文の要件を充足しない場合であっても、例外的に墓地経営等の許可を行うことができる場合の要件を具 体的に規定したものと解される。 上記のような本件細則8条の趣旨に鑑みれば、大阪市長がした墓地経営等に係る許否の判断における、本件細則8条所定の要件該当性の判断については、その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くことになる場合、又は、事実に対する評価が明らか に合理性を欠く場合、判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこ - 54 -となどによって、その判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り、裁量権の範囲を逸脱し、又は濫用したものとして違法となるものというべきである。 イ本件審査基準について上記アによれば、本件細則は、墓地経営等の許否の判断が大阪市長の広 範な裁量に委ねられていることを前提として、墓埋法の趣旨及び目的に沿って、大阪市長が行う墓埋法10条の規定による、墓地経営等の許可に係る具体的な要件を定めたものと解される。 そして、本件審査基準は、大阪市長が、上記の墓地経営等の許可に係る具体的な要件を判断する際の審査の対象を定めたものであるものと解され るものの、墓地経営等の許否の判断が大阪市長の広範な裁量に委ねられていることや、本件審査基準は、経営主体、添付書類、申請書の審査項目について定めたものにとどまり、具体的な要件を網羅的又は確定的に示したものとは言い難いことからすれば、本件審査基準は、本件細則に係る上記アの裁量判断において、大阪市長(処分行政庁)が考慮すべき要素を定め たにとどまるものと解するのが相当で 的又は確定的に示したものとは言い難いことからすれば、本件審査基準は、本件細則に係る上記アの裁量判断において、大阪市長(処分行政庁)が考慮すべき要素を定め たにとどまるものと解するのが相当である。 ウ墓地運用指針・納骨堂運用指針・本件通達について(ア) 墓地運用指針墓地運用指針は、「墓地経営等許可に関する審査基準」に関する運用指針として策定されたものであるから、納骨堂の経営許可の判断に関す る本件審査基準の運用指針として用いられるものではないと解される。 もっとも、環境衛生監視課の職員がNに対して墓地運用指針を交付し、本件細則8条ただし書及び本件審査基準3-1(2)の「付近の生活環境を著しく損なうおそれがない」との項目に関して、墓地運用指針基準3関係の4を参考に、標識の設置や説明会の開催等の周辺住民に対する周知 の方法について指示を行っていること(認定事実エ)からすれば、墓地 - 55 -運用指針は、標識の設置及び説明会の開催等の周辺住民に対する周知の方法という限度においては、納骨堂の経営許可の判断においても、本件審査基準の解釈の参考とされていたものと考えられる。 他方で、墓埋法上、墓地は、焼骨の埋蔵のみならず死体の埋葬(土葬)が想定され(同法2条4項)、屋外に設置されて風雨にさらされるもの であるのに対し、納骨堂は、屋内での焼骨の収蔵のみが想定され(同条6項)、墓地に比較して公衆衛生上の問題が少ないというように、両者は性格が異なるものであることからすれば、墓地運用指針は、上記の周辺住民に対する周知の方法の参考という限度を超えて、納骨堂の経営許可に係る運用指針としてそのまま適用し得るものではないというべきで ある。また、墓地運用指針の性格が、飽くまでも本件審査基準の解釈の参考に過ぎないこと の参考という限度を超えて、納骨堂の経営許可に係る運用指針としてそのまま適用し得るものではないというべきで ある。また、墓地運用指針の性格が、飽くまでも本件審査基準の解釈の参考に過ぎないことからすれば、仮に墓地運用指針に示された項目を満たさないとしても、そのことのみをもって当然に納骨堂の経営許可をすべきでないということにはならないというべきである。 (イ) 納骨堂運用指針 上記(2)アで述べたとおり、納骨堂運用指針が策定された事実は認められず、また、環境衛生監視課において納骨堂運用指針の案を墓地や納骨堂の経営許可申請者に交付したり、大阪市長が納骨堂運用指針の案を考慮して審査をしたりした事実は窺われないことからすれば、納骨堂運用指針は、納骨堂の経営許可の審査において、本件審査基準の解釈の根拠 となるものとは認められない。 (ウ) 本件通知本件通知は、都道府県等が自治事務として行う墓地に関する指導監督についての、国(厚生省生活衛生局長)の技術的助言としての性質を有するものにとどまることに加え、墓地に関する指導監督事務のガイドラ インであり、そもそも納骨堂に関するものではない。 - 56 -したがって、本件通知は、納骨堂の経営許可の判断において、本件審査基準の解釈の根拠となるものとは認められない。 エ積極的調査義務の有無について原告らは、大阪市長には、納骨堂経営許可に当たり、申請の内容について積極的に調査すべき義務がある旨主張する。 しかし、上記1(2)アで述べたとおり、納骨堂経営許可の根拠法令である墓埋法10条の趣旨は、納骨堂等の経営許可の判断を都道府県知事等の広範な裁量に委ねるというものであり、同条が納骨堂等の経営許可の判断における調査方法やその程度についても何ら規定していないことか ある墓埋法10条の趣旨は、納骨堂等の経営許可の判断を都道府県知事等の広範な裁量に委ねるというものであり、同条が納骨堂等の経営許可の判断における調査方法やその程度についても何ら規定していないことからすれば、その具体的な調査の方法・程度についても、判断権者である都道府県 知事等の広範な裁量に委ねる趣旨であると考えられる。 したがって、大阪市長に積極的に調査すべき義務があるとする原告らの上記主張は採用することができない。 オ原告らが主張することのできる違法事由について(行政事件訴訟法10条1項) (ア) 判断枠組み行政事件訴訟法10条1項は、取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない旨を定めており、同項の趣旨は、取消訴訟が違法な処分によって侵害された原告の権利利益を救済するための主観訴訟であることから、原告が具体 的に主張し得る処分の違法事由は、自己の法律上の利益に関係のあるものに限られることによるものと解される。そうすると、同項の「自己の法律上の利益に関係のない違法」とは、行政庁の処分に存する違法のうち、原告の権利利益を保護する趣旨で設けられたのではない法規に違背した違法をいうものと解すべきところ、同項の適用に当たっては、違法 の根拠とされる法規が原告の法律上の利益に関係のない法規であるかど - 57 -うか、及び、違法事由として主張される具体的事実がその法律上の利益に関係のないものであるかどうかを検討する必要がある。 そして、処分の名宛人以外の第三者が提起した取消訴訟においては、原告の個別的な利益を保護する趣旨で設けられた規定、すなわち、原告適格を基礎付ける規定以外の処分の根拠規定に違反するという違法事由 は、原告の法律上の利益に関係の が提起した取消訴訟においては、原告の個別的な利益を保護する趣旨で設けられた規定、すなわち、原告適格を基礎付ける規定以外の処分の根拠規定に違反するという違法事由 は、原告の法律上の利益に関係のない違法というべきである(最高裁平成元年2月17日第二小法廷判決・民集43巻2号56頁参照)。 (イ) 本件細則に係る違法事由の主張についてa 本件細則8条について上記1(2)イで述べたとおり、本件細則8条は、墓地等の所在地から おおむね300m以内の場所に敷地がある人家については、これに居住する者が平穏に日常生活を送る利益を個々の居住者の個別的利益として保護する趣旨を含む規定であると解するのが相当であり、本件において、原告らは、いずれも本件土地から300m以内の場所に居住する者であるから、本件細則8条により原告適格が認められる。した がって、原告らは、原告適格を基礎付ける規定である本件細則8条に係る違法事由について主張することができる。 b 本件細則10条2号について納骨堂の構造設備の基準として周囲に塀を設けること等を規定する本件細則10条2号は、納骨堂が静穏な環境の下で死者を追悼する施 設となることを確保し、これを利用する者の利益を保護する趣旨の規定であると解されるから、納骨堂の周辺に居住する者に原告適格を認める根拠となるものではない(最高裁令和5年判決参照)。 したがって、本件細則10条2号は、原告らの原告適格を基礎付ける規定であるとはいえず、本件許可処分が本件細則10条2号に違反 する旨の主張は、原告らの原告適格を基礎付ける規定以外の処分の根 - 58 -拠規定に違反するという違法事由であって、原告らの法律上の利益に関係のない違法といえることから、原告らは、本件細則10条2号に係る違法事由に 原告適格を基礎付ける規定以外の処分の根 - 58 -拠規定に違反するという違法事由であって、原告らの法律上の利益に関係のない違法といえることから、原告らは、本件細則10条2号に係る違法事由については、行政事件訴訟法10条1項により主張することができないというべきである。 (ウ) 本件審査基準に係る違法事由の主張について a 本件審査基準3-1(2)について本件審査基準3-1(2)は、その内容が、本件細則8条とおおむね同じであり、同条に関する審査基準を定めたものであると認められ、上記1(2)のとおり、本件細則8条は、原告らの原告適格を基礎付ける規定であると認められる。したがって、原告らは、本件審査基準3-1 (2)に係る違法事由を、本件細則8条に係る違法事由として、主張することができるというべきである。 b 本件審査基準1、3-1(1)、(3)~(6)について本件審査基準1、3-1(1)は、経営主体の適格性に関する審査基準であり、また、本件審査基準3-1(3)ないし(5)は、納骨堂を設置す る土地及び建物の所有権、登記、境内地の性質等に関する審査基準であると認められる。そして、納骨堂が、遺骨を葬るための施設であることに鑑みると、経営主体の適格性を著しく欠いたり、納骨堂を設置する土地建物の権利関係が著しく不安定であった場合には、納骨堂の永続的な経営がされず、結果として、納骨堂の周辺住民の平穏に日常 生活を送る利益が害され、本件細則8条ただし書にいう「付近の生活環境を著しく損なうおそれがないと認めるとき」に当たらないことも想定される。 さらに、本件審査基準3-1(6)は、納骨壇数と檀信徒数との関係に関する審査基準であるところ、納骨壇数と檀信徒数との関係が著しく 整合性を欠くような場合には、納 たらないことも想定される。 さらに、本件審査基準3-1(6)は、納骨壇数と檀信徒数との関係に関する審査基準であるところ、納骨壇数と檀信徒数との関係が著しく 整合性を欠くような場合には、納骨堂の永続的な経営がされず、結果 - 59 -として、納骨堂の周辺住民の平穏に日常生活を送る利益が害され、本件細則8条ただし書にいう「付近の生活環境を著しく損なうおそれがないと認めるとき」に当たらないことも想定される。 そうすると、経営主体の適格性や、納骨堂を設置する土地建物の権利関係等に関する審査基準(本件審査基準1、3-1(1)、(3)~(6)) についても、単に公益的な観点からの審査基準にとどまらず、本件細則8条の趣旨・目的を踏まえ、同条ただし書にいう「付近の生活環境を著しく損なうおそれがないと認めるとき」の判断に係る審査基準でもあるというべきであるから、上記の本件審査基準に係る違法事由については、原告らの法律上の利益に関係のない違法であるということ はできない。 したがって、原告らは、本件審査基準1、3-1(1)、(3)~(6)に係る違法事由についても、本件細則8条に係る違法事由として主張することができるというべきである。 c 本件審査基準3-1(7)について 本件審査基準3-1(7)は、その内容が、本件細則10条2号とおおむね同じであるから、本件細則8条に係る審査基準を定めたものではなく、本件細則10条2号に関する審査基準を定めたものであると認められる。そして、上記(イ)bのとおり、同号は、原告らの原告適格を基礎付ける規定であるとはいえないから、同号に係る違法事由は、原 告らの法律上の利益に関係のない違法であるというべきである。 したがって、本件審査基準3-1(7)に係る違法事由は、原告らの原 基礎付ける規定であるとはいえないから、同号に係る違法事由は、原 告らの法律上の利益に関係のない違法であるというべきである。 したがって、本件審査基準3-1(7)に係る違法事由は、原告らの原告適格を基礎付ける規定以外の処分の根拠規定に違反するという違法事由であって、原告らの法律上の利益に関係のない違法といえるから、原告らは、本件審査基準3-1(7)に係る違法事由については、行政事 件訴訟法10条1項により主張することができないというべきであ - 60 -る。 (4) 本件許可処分について本件納骨堂の所在地は、学校及び人家の敷地から300m以内の場所にあるから(前提事実(1)ア)、本件細則8条本文により、原則として、墓地経営等の許可を行わない場合に該当する。 そして、原告らは、本件許可処分が、本件細則8条ただし書に関する本件審査基準1、3-1(1)~(6)を満たすものではなく、本件細則8条ただし書にいう「付近の生活環境を著しく損なうおそれがないと認めるとき」に該当せず、違法である旨主張するから、大阪市長が、本件審査基準1、3-1(1)~(6)を満たし、本件細則8条ただし書に該当するとして本件許可処分をした 判断に、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用が認められるか否かについて検討する。 ア本件審査基準1、3―1(1)該当性(経営主体の適格性があること)について(ア) 検討 本件納骨堂の経営主体であるNは、大阪府門真市に主たる事務所を置く宗教法人であると認められる(前提事実(1)ウ)ことから、本件審査基準1(1)の「宗教団体」に該当する。 また、Nは、本件納骨堂の敷地である本件土地を所有しており(前提事実(2))、Nが、周辺住民に対する説明会において、Nは本件土地及び 本件納骨堂の建物 準1(1)の「宗教団体」に該当する。 また、Nは、本件納骨堂の敷地である本件土地を所有しており(前提事実(2))、Nが、周辺住民に対する説明会において、Nは本件土地及び 本件納骨堂の建物に抵当権を付けることはできないことから判断してもらっても本件納骨堂の運営資金に問題はない旨回答し、環境衛生監視課の職員にもその旨報告しており(認定事実サ)、実際にも、本件申請当時、本件土地に抵当権等の担保物権は設定されておらず(前提事実(4)イ(ウ))、その後、本件納骨堂の建物にも抵当権等の担保物権は設定されて いないこと(前提事実(7))からすれば、本件許可処分当時、Nにつき、 - 61 -宗教法人としての活動実態や納骨堂経営のための財政基盤に関する特段の問題は伺われなかったものと認められる。 したがって、大阪市長が、本件審査基準1、3-1(1)のうち経営主体の適格性について、これを充足すると判断したことが不合理であるとはいえず、その判断に裁量権の逸脱又はその濫用があったとは認められな い。 (イ) 原告らの主張についてa 原告らは、単に経営主体が形式的に宗教法人等であれば良いというものではなく、納骨堂の設置との関係で実質的な適格性を有するか否かを判断すべきであるとし、Wが不特定多数の者に対し宗派を問わず 本件納骨堂の利用者の募集等を行ったり、Jが代表役員を務めるUの納骨堂についても新聞広告を行ったりしている事実を指摘して、本件納骨堂の実質的な経営主体はWであり、名義貸しによる経営である疑いが強い旨主張する。 しかし、Jは、本件納骨堂の経営はNが行っており、Wには本件納 骨堂の使用権の販売や募集広告を委託しているのみであり、本件納骨堂の利用者の募集については、宗派を問わず募集することは想定しておらず、N Jは、本件納骨堂の経営はNが行っており、Wには本件納 骨堂の使用権の販売や募集広告を委託しているのみであり、本件納骨堂の利用者の募集については、宗派を問わず募集することは想定しておらず、Nの檀信徒を増やすことが一番の目的である旨説明していることや(証人J26~27、34~35頁)、本件土地及び本件納骨堂の全部事項証明書を見ても、Wによる担保物権の設定等は認められ ないこと(前提事実(4)イ(ウ)、(7))などからすれば、Wが本件納骨堂の実質的な経営者であることを認めるに足りず、他にこれを認めるに足りる的確な証拠はない。 また、Wは、少なくとも、本件許可処分より後の令和元年9月10日頃から令和2年1月16日頃までの間、本件納骨堂について利用者 を募集する旨の広告を行っており(認定事実ソ)、同広告において、 - 62 -「契約後は、Nの檀家にならなければならないのですか?」という質問に対し、「檀家になる必要はございません。」との回答が掲載されていたことや、その他のウェブサイトにおいても本件納骨堂が「宗派不問」である旨の記載があったことが認められる(甲160)。しかし、Wがした上記募集広告について、Nは、Wの広告制作上のミスに 過ぎず、本件納骨堂を利用するためにはNの檀信徒となる必要があり、宗派を問わない旨の広告の記載はその後削除されている旨説明しており(甲169、170)、Nのこのような説明内容は、上記のJの説明内容とも整合することからすれば、Wが、Nの承諾を得た上で、本件納骨堂について宗派を問わず利用者を募集していたものと認めるに足 りない。 以上によれば、Wが本件納骨堂の実質的な経営主体であり、本件納骨堂が名義貸しによる経営であるとは認められず、この点に関する原告らの上記主張は理由がない。 いたものと認めるに足 りない。 以上によれば、Wが本件納骨堂の実質的な経営主体であり、本件納骨堂が名義貸しによる経営であるとは認められず、この点に関する原告らの上記主張は理由がない。 b また、原告らは、Nについて、①本件許可処分当時、本件納骨堂に つき経営破綻の現実的危険性があったにもかかわらず、経営基盤・経営計画について調査がされていないこと、②N代表役員のJがUの代表役員として行ったU納骨堂の経営許可申請書類(「真言宗U一覧」〔甲172の3・20枚目〕)の記載内容が虚偽である疑いが強いこと、R霊園の敷地に地上権が設定されているのは四条畷市墓地等の経 営の許可等に関する条例13条3項に違反することなどから、本件納骨堂の経営主体の適格性がないことが推認されること、③当審(差戻後の第一審)における文書送付嘱託に対するNの対応からすれば、本件許可処分当時においても、Nの財産的基盤は不明であり経営主体の適格性がなかったことが推認されることなどを主張する。 しかし、上記①については、原告らは、Nは、R霊園における霊園 - 63 -事業及び本件納骨堂の経営を行っているにもかかわらず、Nが大阪府知事に対して提出した「事務所備付け書類の写しの提出について」(平成28年度分〔平成29年4月30日付け〕、平成29年度分〔平成30年4月1日付け〕等、甲178)には、いずれも収支計算書はない(公益事業以外の事業を行っていない)、事業に関する書類はない (事業を行っていない)と記載されており、矛盾があることや、宗教法人法25条所定の収支計算書等を作成しておらず、法令上の書類の作成義務に違反していること、平成29年度分〔平成30年4月1日付け〕の財産目録(甲178の2、甲新24)によっても本件納骨堂の経営に関する 25条所定の収支計算書等を作成しておらず、法令上の書類の作成義務に違反していること、平成29年度分〔平成30年4月1日付け〕の財産目録(甲178の2、甲新24)によっても本件納骨堂の経営に関する財産的基盤は不明であること等を指摘するが、上記各 書類は、本件許可処分(平成29年2月27日付け)より後に作成されたものであり、被告ではなく大阪府知事に対して提出された書類にとどまることに加え、Nの法令上の書類の作成義務につき疑義があるとしても、また、上記財産目録の記載内容を前提にしても、これをもって、直ちに、本件許可処分当時、本件納骨堂につき経営破綻の現実 的危険性があったことを推認することはできず、原告らの上記主張は、その前提において採用することができない。 また、上記②については、証拠(甲26、172の3、甲新29)及び弁論の全趣旨によれば、Jが代表役員を務めるUは、令和元年8月28日、大阪市長に対し、納骨堂経営許可申請書を提出したこと、R 霊園の敷地には、平成12年10月2日設定の墓石建立を目的とする地上権が設定されていることが認められるが、Uの納骨堂経営許可申請がされたことは、本件許可処分(平成29年2月27日付け)より後の事情である上、仮にJがUの代表役員として行った別件の納骨堂経営許可申請の提出書類の内容に疑義があったとしても、そのことか ら直ちに本件申請書類の内容の信用性に疑いが生じるということはで - 64 -きない。また、本件納骨堂とは別のR霊園の敷地に係る地上権と四条畷市墓地等の経営の許可等に関する条例との関係との疑義について、被告が本件許可処分に当たり考慮しなかったことをもって、本来考慮すべき事実について考慮されていないと評価することはできない。 さらに、上記③については、証拠(甲新1 る条例との関係との疑義について、被告が本件許可処分に当たり考慮しなかったことをもって、本来考慮すべき事実について考慮されていないと評価することはできない。 さらに、上記③については、証拠(甲新18、20ないし26)及び 弁論の全趣旨によれば、Nは、当審(差戻後の第一審)における令和5年12月15日付け文書送付嘱託には応じ、対象文書を送付するなどしたものの、令和6年3月5日付け文書送付嘱託には応じなかったことが認められる。しかし、これらの事実関係は、本件許可処分(平成29年2月27日付け)より後の事情であることに加え、上記事実 をもって、直ちに、Nが、本件許可処分当時において、経営主体の適格性がなかったことを推認させるものであるということはできない。 イ本件審査基準3―1(1)(納骨堂の設置及び拡張の必要性)及び本件審査基準3―1(6)(納骨壇数については、檀信徒等の数に応じたものであること)について (ア) 検討Nは、本件申請書において、本件申請書類として、「別院(納骨堂)建立への要望書」と題する書面、総代会議事録、責任役員会議事録のほか、6269名の氏名が記載された本件檀信徒名簿の写しを提出しており(前提事実(4)イ(カ)・(キ))、証拠(乙4)及び弁論の全趣旨によれば、 上記「別院(納骨堂)建立への要望書」と題する書面(平成28年8月31日付)には、Nの檀家総代2名からの要望として、R霊園の開園から15年が経過し、檀信徒のニーズが変化し、交通の便が良い都市部に納骨堂を建立する要望が高まっていることなどから、別院(納骨堂)建立を要望する旨の記載があり、これを受けて、同日、Nの総代3名のうち 2名が出席した総代会議及び責任役員5名全員が出席した責任役員会議 - 65 -において、別院建設 ら、別院(納骨堂)建立を要望する旨の記載があり、これを受けて、同日、Nの総代3名のうち 2名が出席した総代会議及び責任役員5名全員が出席した責任役員会議 - 65 -において、別院建設とそれに伴う寺院規則の変更が承認・可決された事実が認められる。 また、H及びIは、平成29年1月23日午後2時半から午後4時半までの間に、Nのh別院事務所において本件檀信徒名簿(檀信徒数6269名)の原本を確認しており、その原本には、「檀信徒」欄に各氏名 が、「御住所」欄に各住所が、「御連絡先」欄に各電話番号が記載されていた(認定事実ケ)ことから、これら檀信徒の焼骨を収蔵するため、本件申請に係る規模(格納基数6101基)の納骨堂を設置する必要性があるものと判断されたことが認められる。 以上のとおり、Nの檀信徒から都市部の納骨堂設置の要望があり、納 骨堂設置の必要性が認められ、格納基数は本件檀信徒名簿記載の檀信徒の数である6269名に応じた6101基とされていることから、大阪市長が、本件審査基準3―1(1)(納骨堂の設置及び拡張の必要性)及び本件審査基準3―1(6)(納骨壇数については、檀信徒等の数に応じたものであること)について、これを充足すると判断したことには合理性が あり、その判断に裁量権の逸脱又はその濫用があったとは認められない。 (イ) 原告らの主張についてa 原告らは、Jは、Nの檀信徒は、本件申請前の平成29年時点で2000人であり、その後、本件申請時は6000人となった旨証言した上で、4000人はもともとUの檀信徒であったことを認めている が、本件許可処分がされた平成29年2月27日までのごく短期間で檀信徒数が約3倍になった旨の説明は信用することができず、また、そもそもNは、檀信徒という言葉を、N規 であったことを認めている が、本件許可処分がされた平成29年2月27日までのごく短期間で檀信徒数が約3倍になった旨の説明は信用することができず、また、そもそもNは、檀信徒という言葉を、N規則16条にある檀信徒の定義「眞言宗の教義を信奉し、この寺院の維持経営に協力する者」とは異なり、単にお寺に祈願すればよい、本人が檀信徒といえば檀信徒と なるという、非常に広い意味で用いており、このような檀信徒は、宗 - 66 -教法人が納骨堂の経営を行う必要性があることを判断する際の前提となる檀信徒とはいえないことから、大阪市長がNの檀信徒数を6269人と認定したことは誤りである旨主張する。 しかし、本件審査基準3-1(6)において、納骨壇数は「檀信徒等」の数に応じたものであることとされており、この基準自体、「檀信徒」 の定義を一義的に定めるものではなく、「檀信徒」に当たるか否かは信仰に関わるものであることなどからすれば、申請に際し提出された檀信徒名簿については、それが一見して明らかに不自然であり虚偽であることが疑われるものでない限り、大阪市長は、当該檀信徒名簿に記載された檀信徒の数を前提に、本件審査基準3-1(6)を充足するか 否かを確認すれば足りるというべきである。 本件において、H及びIは、本件檀信徒名簿の原本を確認し、「檀信徒」欄に各氏名が、「御住所」欄に各住所が、「御連絡先」欄に各電話番号が記載されていることを確認していることから(認定事実ケ)、本件檀信徒名簿は、それが一見して明らかに不自然であり虚偽である ことが疑われるものであるとはいえず、大阪市長が、本件檀信徒名簿に記載された檀信徒の数を前提に、本件審査基準3-1(6)を充足するか否かを判断したことが不合理であるとはいえない。 また、Jは、「本件 とが疑われるものであるとはいえず、大阪市長が、本件檀信徒名簿に記載された檀信徒の数を前提に、本件審査基準3-1(6)を充足するか否かを判断したことが不合理であるとはいえない。 また、Jは、「本件檀信徒名簿に記載された檀信徒」について、「檀信徒」のうち、責任役員のKにおいて連絡がつく方に聞き取りをして 連絡先までもらった人が「本件檀信徒名簿に記載された檀信徒」であり、その人数が6269名であった旨説明しており(証人J11、33~34、38~39、43頁)、本件檀信徒名簿には各檀信徒の氏名、住所、電話番号が記載されていること(認定事実ケ)、「檀信徒」の理解について、Nの担当者は、複数年に渡りNに祈願していただけ れば信徒と考える旨説明し(甲135)、Jは、檀信徒とは檀家(家族 - 67 -や親族等の回向をする方)及び信徒(寺にお参りに来る方)であり、寺にお参りをしてお賽銭を入れるのも寺の維持経営に含まれる旨説明しており(証人J1、46~47頁)、このような「檀信徒」の理解がN規則16条にいう「眞言宗の教義を信奉し、この寺院の維持経営に協力する者」の解釈として誤りであるとはいえないことからしても、 本件檀信徒名簿の記載内容が虚偽であるとは認められない。 したがって、大阪市長が、本件檀信徒名簿の記載から、檀信徒の数が6269名であることを前提に本件審査基準3-1(6)を充足するか否かを判断したことについて、裁量権の逸脱又はその濫用があったとは認められない。この点に関する原告らの上記主張は理由がない。 b 原告らは、Nが四條畷市においてR霊園を経営しており、その聖地数が約2500聖地であり、かなりの空き区画があることなどからすれば、大阪市長は、6101基もの納骨壇数を備える本件納骨堂を設置する必要性について疑 が四條畷市においてR霊園を経営しており、その聖地数が約2500聖地であり、かなりの空き区画があることなどからすれば、大阪市長は、6101基もの納骨壇数を備える本件納骨堂を設置する必要性について疑念を抱くべきであるのに、全く調査を行わなかった旨主張する。 しかし、上記(3)エで述べたとおり、そもそも大阪市長は積極的な調査義務を負うものではなく、また、その点を措くとしても、上記(ア)で述べたとおり、本件申請書類の記載内容から、Nの檀信徒からR霊園のほかに都市部の納骨堂を設置することの要望があったことや、納骨壇数が檀信徒数に応じたものとされていることが読み取れることから すれば、大阪市長が本件納骨堂設置の必要性について更なる調査を行わなかったことにつき裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったとは認められない。 したがって、この点に関する原告らの上記主張は理由がない。 c 原告らは、Nが、平成28年1月6日、自らの檀信徒以外を対象に して納骨堂を経営しようとしている意図を被告に示していたにもかか - 68 -わらず、大阪市長がその点を考慮せずに本件許可処分をしており、本件納骨堂の設置の必要性は認められず、納骨壇数は、檀信徒等の数に応じたものではない旨主張する。 しかし、環境衛生監視課の職員は、Nの責任役員に対し、平成28年1月6日、U派の末寺のNとして経営許可を取得する場合、Nの檀 家のための納骨堂であるため、U派の他の末寺の檀家の焼骨を収蔵することはできないと考えられる旨伝え、同月13日にも、納骨壇数については、檀信徒に対して過大な納骨堂を設置した場合に安定した経営が困難になる可能性があることから、檀信徒数に見合ったものを審査することとしていることなどを伝えているのであって(認定事実 ウ)、Nの檀 檀信徒に対して過大な納骨堂を設置した場合に安定した経営が困難になる可能性があることから、檀信徒数に見合ったものを審査することとしていることなどを伝えているのであって(認定事実 ウ)、Nの檀信徒以外を対象にして納骨堂を設置することはできない旨の指導がされており、Nもまた、上記指導を理解した上で、平成29年1月17日に本件申請をしているのであるから(前提事実(4))、本件申請は、上記指導を踏まえた上でされたものと認められる。そして、上記(ア)で述べたとおり、本件申請書類において、Nの檀信徒数は 6269名、本件納骨堂の格納基数は6101基であり、納骨壇数は檀信徒数に見合うものとなっていることから、納骨壇数は檀信徒等の数に応じたものであるといえる。 したがって、この点に関する原告らの主張は理由がない。 ウ本件審査基準3-1(2)(付近の生活環境を著しく損なうおそれがないこ と)(ア) 検討証拠(甲新19、乙5、8、37)及び弁論の全趣旨によれば、本件納骨堂の建物は鉄筋コンクリート造の地上6階建てであり、その構造や外観は一般的な鉄筋コンクリート造のビルと特に変わりはない上、焼骨を 納める納骨壇は建物内に設置され、本件納骨堂の外部から見通せない構 - 69 -造となっていることが認められる。また、本件納骨堂の出入口は全て施錠付きであり、関係者以外がみだりに立ち入らないよう防犯対策が講じられている(前提事実(4)イ)。さらに、Nが2回にわたり行った周辺住民に対する説明会における参加者の意見や、環境衛生監視課に提出された署名等に記載された意見は、工事による地盤沈下や日照の悪化、お経 の音や線香の匂いといった、公衆衛生とは直接関連しない生活環境の悪化を抽象的に懸念するものや、納骨堂に対する主観的な嫌悪感 された署名等に記載された意見は、工事による地盤沈下や日照の悪化、お経 の音や線香の匂いといった、公衆衛生とは直接関連しない生活環境の悪化を抽象的に懸念するものや、納骨堂に対する主観的な嫌悪感を述べるもの、本件納骨堂が営利目的である旨指摘するものなどであり(認定事実カ、サ、シ)、公衆衛生の観点から生活環境の著しい悪化を具体的に懸念する意見は見当たらない。加えて、H及びIは、平成29年1月2 3日、本件納骨堂の建設予定地を調査し、本件土地及びその周辺の人家等の状況を実際に確認している(認定事実ケ)。 以上によれば、大阪市長が、本件納骨堂は、周辺環境との調和が保てるものであり、公衆衛生その他公共の福祉の見地より周辺住民の理解が得られるなどとして、本件審査基準3-1(2)を充足するものと判断した ことについて、裁量権の逸脱又はその濫用があったとは認められない。 (イ) 原告らの主張について原告らは、本件細則が納骨堂経営許可の対象としているのは、いわゆる「寺院墓地」の経営であり、そして、宗教法人の経営する納骨堂が「寺院墓地」である場合は、現に宗教法人が儀式行事等の宗教活動を行って いる場所において当該宗教活動に付随して既に存在する境内地に寺院墓地が設置又は拡張されている場合であるから、従前からその場所において宗教活動が行われていることについて付近の生活環境上の利益の帰属主体である周辺住民も一定の理解が存することを前提に、本件審査基準3-1(2)が規定する「①周辺環境と調和が保てること」、「②公衆衛生 その他公共の福祉の見地より周辺住民の理解が得られること」が検討さ - 70 -れることになる旨主張する。 しかし、本件審査基準においては、経営主体として「宗教法人」のみならず、「公益法人」や「財産区の墓地 祉の見地より周辺住民の理解が得られること」が検討さ - 70 -れることになる旨主張する。 しかし、本件審査基準においては、経営主体として「宗教法人」のみならず、「公益法人」や「財産区の墓地管理委員会」等の組織も挙げられており(本件審査基準1)、本件審査基準が予定している納骨堂経営許可の対象は「寺院墓地」の経営に限られるものではないと解するのが相 当であるから、納骨堂設置場所における従前の宗教活動の有無やそれに対する周辺住民の理解の有無は、必ずしも本件審査基準3-1(2)の考慮要素にはならないというべきである。 したがって、この点に関する原告らの上記主張は理由がない。 エ本件審査基準3-1(3)(申請者が敷地の所有者であること)及び本件審 査基準3-1(4)(納骨堂を設置する土地については、申請者の所有とし登記後6か月以上経過した境内地等であること)について(ア) 検討本件土地は、平成28年4月20日にNが所有権を取得し、その旨の登記がされ、同年12月8日に地目が宅地から境内地に変更され、同月 12日に地目変更登記がされている(前提事実(2)、(3))ことから、本件申請(平成29年1月17日)当時、Nが敷地の所有者であり、かつ、所有権移転登記がされた後6か月以上が経過した境内地であると認められ、本件審査基準3―1(3)(申請者が敷地の所有者であること)及び本件審査基準3-1(4)(納骨堂を設置する土地については、申請者の所有と し登記後6か月以上経過した境内地等であること)を満たす。 したがって、大阪市長が、本件審査基準3―1(3)及び(4)について、これらを充足すると判断したことには合理性があるものと認められる。 (イ) 原告らの主張についてa 原告らは、Nは平成28年12月8日に本件土地 長が、本件審査基準3―1(3)及び(4)について、これらを充足すると判断したことには合理性があるものと認められる。 (イ) 原告らの主張についてa 原告らは、Nは平成28年12月8日に本件土地の地目を宅地から 境内地に変更したが、本件土地を取得した同年4月20日以降、本件 - 71 -土地で宗教活動を行ったことはなく、登記記録上の地目が「境内地」とされているにすぎず、実質的には「境内地」としての実体が欠けていた旨主張する。 しかし、Nは、平成28年12月8日、大阪府知事から本件土地に従たる事務所を置く旨のN規則の変更の認証を受けた上で、本件土地 の地目を境内地に変更しており(前提事実(3)、認定事実キ)、大阪府による上記規則変更のための審査を受けていることに加え、実際にも、H及びIは、平成29年1月23日、本件土地等の調査に行き、本件土地上に「Nh別院」の表札がある本件プレハブ建物が存在し、同建物内に礼拝施設があることを確認している(認定事実ケ)。そうする と、大阪市長が、本件土地が本件審査基準3-1(4)「境内地」に該当すると判断したことには合理性があり、その判断に裁量権の逸脱又は濫用があったとは認められない。 したがって、この点に関する原告らの上記主張は理由がない。 b また、原告らは、本件審査基準3-1(3)、(4)を満たすというため には、納骨堂設置予定地が、本件許可処分時のみならず、将来においても第三者に譲渡され、又は抵当権等が設定されるおそれがないということが必要であると解すべきである旨主張する。 しかし、将来において敷地が第三者に譲渡され、又は抵当権が設定されるおそれがあるか否かを客観的に判断することは困難であり、本 件審査基準3-1(3)及び(4)の判断において、そのような事 。 しかし、将来において敷地が第三者に譲渡され、又は抵当権が設定されるおそれがあるか否かを客観的に判断することは困難であり、本 件審査基準3-1(3)及び(4)の判断において、そのような事情を考慮すべきであるとはいえない。また、その点を措くとしても、本件土地は、Nが所有権を取得して以降、抵当権等の担保物権は設定されておらず、本件申請当時においても、抵当権等の担保物権は設定されていなかった(前提事実(4)イ(ウ))ことからすれば、本件許可処分当時に おいて、本件土地が、将来第三者に譲渡され、又は抵当権が設定され - 72 -るおそれがあったとは認められない。 したがって、この点に関する原告らの主張は採用できない。 オ本件審査基準3-1(5)(納骨堂の設置場所は、法人の主たる事務所及び礼拝施設等が存する境内地であること)(ア) 検討 Nは、平成28年12月8日、大阪府知事から本件土地に従たる事務所を置く旨のN規則の変更の認証を受けた上で、本件土地の地目を境内地に変更し、同月14日、本件土地を従たる事務所として登記している(前提事実(3)、認定事実キ)。加えて、H及びIは、平成29年1月23日、本件土地等の調査に行き、本件土地上に「Nh別院」の表札があ る本件プレハブ建物が存在し、同建物内に礼拝施設があることを確認している(認定事実ケ)。 したがって、大阪市長が、本件許可処分当時、本件土地は、「礼拝施設等が存する境内地」であるといえるとして、本件審査基準3―1(5)を充足すると判断したことには合理性があり、その判断に裁量権の逸脱又は その濫用があったとは認められない。 (イ) 原告らの主張について原告らは、従たる事務所と称する建物は、Nh別院との表札があるだけのプレハブ建築物にすぎず、本 その判断に裁量権の逸脱又は その濫用があったとは認められない。 (イ) 原告らの主張について原告らは、従たる事務所と称する建物は、Nh別院との表札があるだけのプレハブ建築物にすぎず、本件プレハブ建物がNの従たる事務所として登記されたのは本件申請の直前である平成28年12月14日であ ったこと、本件プレハブ建物は、後に建築基準法違反を理由として撤去されたことからすれば、本件プレハブ建物は従たる事務所としての実体が欠けていたというほかないから、本件審査基準3-1(5)の「主たる事務所及び礼拝施設等が存する境内地」の要件を満たすものではない旨主張する。 しかし、上記(ア)で述べたとおり、Nは、大阪府知事から本件土地に従 - 73 -たる事務所を置く旨のN規則の変更の認証を受け、本件土地の地目を境内地に変更し、本件土地を従たる事務所として登記しているのであるから、従たる事務所である建築物が従たる事務所として登記された時期が本件申請の直前であることや、プレハブ建築物であることをもって、「礼拝施設等」に該当しないということはできない。また、本件プレハブ建 物が撤去されたのは、本件許可処分(平成29年2月27日付け)がされた後である平成30年3月22日である(認定事実ス)ことから、この事情は本件許可処分の適法性に影響を及ぼすものであるとはいえないし、その後、本件土地上に本件納骨堂が建設されることも(前提事実(7))、当然に予定されていたものといえる。 したがって、この点に関する原告らの主張は理由がない。 カ本件細則8条ただし書に係る原告らの主張について(ア) 原告らは、本件細則8条ただし書の該当性を判断するに当たって、申請地において宗教活動の実績がないにも関わらず巨大な墓地等の経営が計画される 本件細則8条ただし書に係る原告らの主張について(ア) 原告らは、本件細則8条ただし書の該当性を判断するに当たって、申請地において宗教活動の実績がないにも関わらず巨大な墓地等の経営が計画されるなど特段の事由がある場合、周辺住民等の生活環境に影響を 及ぼすおそれが大きくなるので、これを許可する場合には、本件審査基準にない事項についても調査し、個別具体的事情として考慮しなければならない旨主張する。 しかし、上記(3)エで述べたとおり、墓埋法10条は、納骨堂等の経営許可の判断に係る具体的な調査の方法・程度について、判断権者である 都道府県知事等の広範な裁量に委ねる趣旨であると考えられるところ、本件審査基準にない事項を調査対象とするか否かについても、大阪市長の広範な裁量に委ねられているものと考えられ、大阪市長に本件審査基準にない事項について積極的に調査すべき義務があるとは認められない。 したがって、この点に関する原告らの上記主張は採用することができ - 74 -ない。 (イ) 原告らは、本件納骨堂は、経営破綻の現実的な危険があり、経営の永続性・非営利性が確保されていないことから、付近の生活環境を著しく損なうおそれがないとはいえない旨主張する。 しかし、上記ア(イ)bで述べたとおり、Nにつき、本件許可処分当時、 本件納骨堂の経営破綻の現実的危険性があったことを推認することはできないから、原告らの上記主張は、その前提を欠く。 (ウ) 原告らは、①自宅すぐ近くに大量の焼骨が設置されたことにより多大な苦痛を感じていること、②参拝者が増える彼岸や長期休暇時には、大人数の人が押し寄せ、地域に混乱が生じ、周辺地域のゴミが増えたり放 置されたりし、衛生面が悪化するおそれがあること、③本件納骨堂内で使用される火気 と、②参拝者が増える彼岸や長期休暇時には、大人数の人が押し寄せ、地域に混乱が生じ、周辺地域のゴミが増えたり放 置されたりし、衛生面が悪化するおそれがあること、③本件納骨堂内で使用される火気により火災が発生するおそれがあること、④本件納骨堂周辺において不法駐車が増えるおそれがあることにより、周辺住民の生活環境が悪化する旨主張する。 しかし、上記①は、本件納骨堂に対する主観的な嫌悪感を述べるもの にすぎず、本件納骨堂の存在自体に原告らが精神的に苦痛を感じることがあるとしても、そのことのみから「生活環境を著しく損なうおそれ」があるとは認められない。また、上記②ないし④については、原告らの主張するおそれはいずれも抽象的なものにすぎず、本件納骨堂の設置により、生活環境が著しく損なわれる具体的かつ現実的なおそれがあると は認められない。 したがって、この点に関する原告らの上記主張は理由がない。 キ小括以上によれば、本件申請は、本件審査基準1、3-1(1)~(6)をいずれも満たすものであり、本件細則8条ただし書の「生活環境を著しく損なう おそれ」があるとはいえない場合に該当するものと認め、本件許可処分を - 75 -した大阪市長の判断について、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとは認められないから、本件許可処分は適法である。 (5) 本件各変更許可処分について原告らは、本件許可処分が違法であることを前提に、本件各変更許可処分が違法である旨主張する。 しかし、上記(4)のとおり、本件許可処分は適法であり、他に本件各変更許可処分に違法があることをうかがわせる事情はないから、本件各変更許可処分は適法である。 3 その余の原告らの主張も、上記認定判断を左右するものではない。 4 結論 よっ 他に本件各変更許可処分に違法があることをうかがわせる事情はないから、本件各変更許可処分は適法である。 3 その余の原告らの主張も、上記認定判断を左右するものではない。 4 結論 よって、原告らの請求は、いずれも理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官横田典子 裁判官太田章子及び裁判官橋本康平は、異動のため、署名押印することができない。 裁判長裁判官横田典子
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