昭和50(オ)326 出資持分払戻

裁判年月日・裁判所
昭和54年2月23日 最高裁判所第二小法廷 判決 その他 東京高等裁判所 昭和48(ネ)754
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判決文本文3,771 文字)

主文 原判決中被上告人B1の請求を認容した部分を破棄し、右破棄部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。上告人のその余の被上告人らに対する上告を棄却する。前項の上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人鈴木清二、同藤井冨弘の上告理由第一点について原審において上告組合が主張した退職慰労金ないし退職金(以下「退職慰労金等」という。)は上告組合の役員ないし従業員の退職時にその金額が確定する債務であつて、原判決が説示するように、上告組合が解散して事業活動を停止し、すべての積極財産を換価し消極財産の全部の清算を行う時にはじめて債務として具体化するものでないことは、所論のとおりである。しかしながら、上告組合の資産状態やそれに伴う退職慰労金等の支給条件、受給対象となる退職者等について将来における変動が予想される以上、払戻持分計算の基準時である当期末現在の状態を基準として算出した退職慰労金等の額を計数上確定できるものではないから、これを負債として計上するのは相当でないものというべきである。したがつて、これと同旨の原審の判断に所論の違法はない。次に、論旨は、上告組合が解散した場合における解散による清算所得に対して賦課される公租公課についても、当期末で算出した清算所得に対する公租公課相当額を上告組合の負債として計上すべき旨の上告組合の主張につき原審がこれを排斥した点の違法をいうが、中小企業等協同組合法に基づく協同組合の組合員が脱退した場合における払戻持分の計算の基礎となる財産の評価は、当該協同組合の事業の継続を前提とし、なるべく有利にこれを一括譲渡する場合の価額を基準とするのであつて、現実の解散による清算手続の一環として行うものではないから、組合が解散- 1 -した場合である 該協同組合の事業の継続を前提とし、なるべく有利にこれを一括譲渡する場合の価額を基準とするのであつて、現実の解散による清算手続の一環として行うものではないから、組合が解散- 1 -した場合であることを前提とする所論清算所得に対する公租公課相当額なるものを想定し、これを負債として計上すべきものではないというべきである。 による清算手続の一環として行うものではないから、組合が解散- 1 -した場合である 該協同組合の事業の継続を前提とし、なるべく有利にこれを一括譲渡する場合の価額を基準とするのであつて、現実の解散による清算手続の一環として行うものではないから、組合が解散- 1 -した場合であることを前提とする所論清算所得に対する公租公課相当額なるものを想定し、これを負債として計上すべきものではないというべきである。したがつて、これと同旨の原審の判断に所論の違法はない。論旨はいずれも、独自の見解に基づいて原審の判断を非難するものであつて、採用することができない。同第二点について上告組合の理事会が上告組合と被上告人B1との間において原判示の取引をすることを承認するについて、同被上告人が中小企業等協同組合法三六条の三、四二条、商法二三九条五項所定の特別利害関係人にあたることは、所論のとおりである。しかしながら、特別利害関係人たる理事は、利害関係を有する当該事項につき議決権を行使することができないだけであつて、理事会に出席して意見を述べる権限を有するのであり、また、かかる理事が加わつてされた決議も当然に無効ではなく、その理事の議決を除外してもなお決議の成立に必要な多数が存するときは、決議としての効力を認めて妨げないと解すべきである。以上の点にかんがみれば、原判決は、その措辞必ずしも適切ではないが、右の趣旨において理事会の承認としての効力を認めたものと解することができるところ、原審の確定した事実関係のもとにおいては、右決議につき中小企業等協同組合法三八条所定の承認の効力を認めた原審の判断もまた是認するに足りるから、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。同第三点について原審は、上告組合から被上告人B1に対する関係で提出された相殺の抗弁に関し、上告組合主張の自働債権である、同被上告人の上告組合に対する理事として 論旨は採用することができない。同第三点について原審は、上告組合から被上告人B1に対する関係で提出された相殺の抗弁に関し、上告組合主張の自働債権である、同被上告人の上告組合に対する理事としての職務上の義務違反を理由とする損害賠償債権の成否につき判断をするに際し、同被上告人は上告組合の理事の資格を有すると同時に、上告組合の理事会の承認を得て上告- 2 -組合と砂利等の運搬契約を締結した運送業者であるところ、原判示の取引は、同被上告人が、運送業者として、右契約に基づいて継続的に砂利等の運搬を行い、その運賃を請求し、かつ、その支払を受けたものと認められ、上告組合の理事の資格において組合の業務の執行としてこれを行つたものとは認めがたい、と判示し、このことを前提として、同被上告人の運送業者としての不当運賃の請求が直ちに理事としての善管注意義務違反になるものとは解しえない、として、右損害賠償債権の成立を否定している。 取引は、同被上告人が、運送業者として、右契約に基づいて継続的に砂利等の運搬を行い、その運賃を請求し、かつ、その支払を受けたものと認められ、上告組合の理事の資格において組合の業務の執行としてこれを行つたものとは認めがたい、と判示し、このことを前提として、同被上告人の運送業者としての不当運賃の請求が直ちに理事としての善管注意義務違反になるものとは解しえない、として、右損害賠償債権の成立を否定している。しかしながら、記録によれば、被上告人B1が上告組合において経理担当の理事たる立場にあつたことは、上告組合の第一審以来主張するところであり、また、少なくとも、上告組合が設立されて操業が開始された当時に、上告組合の理事全員が集つて組合の事業遂行についての協議をし、組合の生産経理等の業務は同被上告人においてこれを担当することが理事全員によつて諒解されたものであることは、原審の確定するところである。そして、もし同被上告人が上告組合と同被上告人との取引の継続中においても、上告組合の単なる理事であるにとどまらず、前記の協議に基づいて上告組合の経理業務を自己の業務として担当していたものであるとするならば、その事務処理につき同被上告人に故意又は過失に基づく非違があるときは、同被上告人は、業務担当理事として負担すべき善良な管理者としての注意 経理業務を自己の業務として担当していたものであるとするならば、その事務処理につき同被上告人に故意又は過失に基づく非違があるときは、同被上告人は、業務担当理事として負担すべき善良な管理者としての注意義務ないし忠実義務に違反するものとして、上告組合に対し、中小企業等協同組合法三八条の二第一項所定の損害賠償責任を負担する余地があるものといわなければならない。してみると、被上告人B1と上告組合との間にされた原判示取引につき、同被上告人が上告組合の理事の資格において組合の業務の執行として行つたものとは認めがたいとし、同被上告人が右取引の当時上告組合の経理業務担当の理事であつたか否か、また、これが肯定された場合における同被上告人の上告組合に対する善管義務ないし忠実義務違反の有無について審理を尽くさないまま、上告組合主張の損害賠- 3 -償債権の成立を否定して相殺の抗弁を排斥した原判決は、中小企業等協同組合法三八条の二第一項、四二条、商法二五四条三項、民法六四四条、商法二五四条ノ二の各規定の解釈適用を誤つた結果、審理不尽、理由不備の違法を犯したものというべきであるから、論旨は理由があり、原判決中被上告人B1の請求を認容した部分は破棄を免れない。 義務ないし忠実義務違反の有無について審理を尽くさないまま、上告組合主張の損害賠- 3 -償債権の成立を否定して相殺の抗弁を排斥した原判決は、中小企業等協同組合法三八条の二第一項、四二条、商法二五四条三項、民法六四四条、商法二五四条ノ二の各規定の解釈適用を誤つた結果、審理不尽、理由不備の違法を犯したものというべきであるから、論旨は理由があり、原判決中被上告人B1の請求を認容した部分は破棄を免れない。そして、右破棄部分についてはなお上告組合主張の自働債権である損害賠償債権の成否について審理を尽くさせる必要があるので、右部分につき本件を原審に差し戻すこととする。次に、上告組合の被上告人B2、同B3に対する上告理由第一点の理由がないことはさきに判示したとおりであるから、上告組合の同被上告人らに対する上告はいずれもこれを棄却すべきものである。よつて、民訴法四〇七条、三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。最高裁判所第二小法廷 もこれを棄却すべきものである。よつて、民訴法四〇七条、三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官吉田豊裁判官大塚喜一郎裁判官本林讓裁判官栗本一夫- 4 -

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