令和3年9月7日東京地裁裁判所刑事第3部宣告令和2年刑第31号,同第200号,同年特第2183号,同第2254号収賄,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反(被告人A),収賄(被告人B)各被告事件 主文 被告人Aを懲役4年に,被告人Bを懲役2年に処する。 被告人Aに対し,未決勾留日数中90日をその刑に算入する。 被告人Bに対し,この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 被告人Aから758万5779円を追徴する。 訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。 理由 【罪となるべき事実】被告人Aは,平成29年8月7日から平成30年10月4日までの間,国土交通副大臣として,国土交通大臣の命を受けて,道路,航空,北海道開発及び観光関係施策の総括等の職務に従事するとともに,内閣府副大臣として,特定複合観光施設区域(IR)の整備に関する事務について,担当する大臣を補佐する職務に従事していたもの,被告人Bは,被告人Aの政策担当秘書を務めていたもの,分離前の相被告人Cは,沖縄県及び北海道虻田郡留寿都村において特定複合観光施設の設置運営事業を行うことを計画していたaLimited(以下「a社」という。)の副社長の肩書で活動していたもの,分離前の相被告人Dは,a社の顧問を務めていたもの,分離前の相被告人Eは,a社の顧問を務めるとともにb株式会社の代表取締役を務めていたもの,分離前の相被告人Fは,a社と共に留寿都村において前記事業を行うことを計画していたc株式会社(以下「c社」という。)の代表取締役を務めていたものであるが,第1 被告人両名は,共謀の上, 1 C,D及びEから,a社が沖縄県及び留寿都村において前記事業を行うために有利かつ便宜な取り計らい いう。)の代表取締役を務めていたものであるが,第1 被告人両名は,共謀の上, 1 C,D及びEから,a社が沖縄県及び留寿都村において前記事業を行うために有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨の下に供与されるものであることを知りながら,平成29年9月1日,被告人Aが管理する東京都新宿区(住所省略)所在の株式会社d銀行e支店に開設された株式会社f名義の普通預金口座に200万円の振込入金を受け, 2 C,D及びEから,前記1の趣旨の下に供与されるものであることを知りながら,平成29年9月28日,東京都千代田区永田町2丁目2番1号所在の衆議院第一議員会館(以下「議員会館」という。)●●●号室の被告人Aの事務所(以下「会館事務所」という。)において,現金300万円の供与を受け, 3 C,D及びEから,前記1の趣旨の下に供与されるものであることを知りながら,平成29年12月27日から同月29日までの間,中華人民共和国広東省深圳及び同国マカオ特別行政区への旅行の招待を受け,これに要した航空運賃,宿泊代及びカジノにおける遊興費等合計182万5054円相当額の財産上の利益の供与を受け, 4 C,D,E及びFから,a社及びc社が留寿都村において前記事業を行うために有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨の下に供与されるものであることを知りながら,平成30年2月10日から同月13日までの間,被告人Aの妻子と共に留寿都村等への旅行の招待を受け,これに要した航空運賃及び宿泊代等合計76万0725円相当額の財産上の利益の供与を受け,もっていずれも被告人Aの職務に関して賄賂を収受した。 第2 被告人Aは,前記第1の2の収賄被告事件に関し,その現金供与の際に被告人Aがいなかった又はいなかった可能性があるなどのE及びDの記憶に反する ていずれも被告人Aの職務に関して賄賂を収受した。 第2 被告人Aは,前記第1の2の収賄被告事件に関し,その現金供与の際に被告人Aがいなかった又はいなかった可能性があるなどのE及びDの記憶に反する虚偽の証言をすることの報酬として, 1 G及びHと共謀の上,Eに対し,令和2年6月7日,那覇市(住所省略)所在のホテルgにおいて,継続的な経済的利益の供与の申込みをし,さらに,同年7月14日,同市(住所省略)所在のH方において,現金500万円の供与 の申込みをし, 2 I及びJと共謀の上,Dに対し,令和2年6月27日,那覇市(住所省略)所在のホテルhにおいて,現金1000万円の供与の申込みをし,さらに,同年7月22日,同市(住所省略)所在のホテルiにおいて,現金2000万円の供与の申込みをした。 【事実認定の補足説明】当裁判所が判示の事実を認定した理由について,まず,事案の内容や当事者双方の主張立証の内容等に照らして本件の最大の争点といえる現金300万円の授受の事実の有無を検討する(第1)。その後,これと関連する証人買収(第2),200万円の振込入金(第3)並びに深圳・マカオ旅行及びルスツ旅行(第4)に関する事項について順次検討する。 第1 現金300万円の授受(判示第1の2の事実)についてD及びEは,当公判廷で,「平成29年9月28日午後1時30分頃,会館事務所内の応接室において,被告人A,被告人B,D及びEの4名が同席する中で,被告人Aに対し,選挙の陣中見舞いとして現金300万円を供与した」旨供述した(以下,第1及び第2においてこの事実を「本件」あるいは「本件犯行」などという。また,この項における日時は,特に断らない限り,平成29年のものである。)。 そこで,まず,関連する前提事実を1に認定した上,2においてD においてこの事実を「本件」あるいは「本件犯行」などという。また,この項における日時は,特に断らない限り,平成29年のものである。)。 そこで,まず,関連する前提事実を1に認定した上,2においてD及びEの公判供述の信用性を判断する。さらに,3において被告人Bの検察官調書の証拠能力及び信用性を検討した上で,4として被告人Aの本件当日の行動等に関する弁護人の主張について検討を進めることとする。 1 前提事実本件前後におけるD及びEを含むa社関係者の行動として,関係各証拠によれば,以下の事実が認められる。 本件当日以前の被告人Aとa社との関係性 a社は,CEOであるK1の下で,平成28年12月頃以降,C,D及びEらが中心となり,日本でのIR事業参入を目指して活動していた。 その活動の一環として,Eは,国会議員との人脈を築いてa社のIR事業参入を支援してもらおうと考え,知人を通じていわゆるIR推進法成立時の衆議院内閣委員長を務めた被告人Aの紹介を受け,当時その秘書を務めていた被告人Bとの間で日程調整を行った上,平成29年5月23日,K1,C及びEらが会館事務所を訪れて被告人Aと面会し,a社がIR事業参入を目指していることなどを伝えた。 Eは,6月,被告人Bに対し,50万円の講演料を提示して,沖縄県で開催されるa社主催のIR関連のシンポジウムにおいて,被告人Aに基調講演及びパネルディスカッションへの参加を依頼し(甲120添付資料1,乙7添付資料1),被告人Bから承諾の返答を得た。 被告人Aは,8月4日,同シンポジウムへの参加後,その当夜に,被告人Bを伴ってK1,C及びEらと飲食した際,同人らに対し,国土交通副大臣就任の内示を受けた旨話した。これを受けて,K1,C,D及びEは,被告人Aが副大臣に就任することで,同人から ,その当夜に,被告人Bを伴ってK1,C及びEらと飲食した際,同人らに対し,国土交通副大臣就任の内示を受けた旨話した。これを受けて,K1,C,D及びEは,被告人Aが副大臣に就任することで,同人からa社のIR事業参入のためにより強い後押しをしてもらえるようになるだろうと期待し,被告人Aとの関係を深めるため,同シンポジウムにおける被告人Aの講演料を,従前予定していた50万円から200万円に増額することを決めた。Eは,同月中に,被告人Bに対し,被告人Aの副大臣就任のお祝いとして,花を贈る代わりに講演料を200万円に増額した旨のメッセージ(甲121添付資料1-1,乙8添付資料6)を送るなどした上で,9月1日,Eの関係先会社名義で,a社から判示のf名義の預金口座に200万円を振込入金した。 a社関係者間での国会議員に対する献金に関する計画状況Dは,a社と顧問契約を締結した平成29年春頃以降,Cらに対し,IR事業参入のためには政治家との人脈を築く必要があり,そのためには選挙協 力として資金提供をすることが効果的である旨助言していたところ,9月中旬頃,衆議院が早期解散される見込みである旨の報道がされたのを契機として,D,E及びCらの間で,a社のIR事業参入への支援を期待する国会議員に対し,選挙資金名目で献金をする計画が話し合われた。その結果,同人らの間では,K1の了承の下,D及びEを実行役として,衆議院の解散に合わせて,a社が最重要視していた被告人Aには最多となる500万円以上を,ほか四,五名の国会議員にもそれぞれ数百万円を供与し,併せて被告人Bにも50万円を交付することなどが決まった。 D及びEによる献金原資の中抜き計画D及びEは,両名のみの間で,上記⑵の話し合いと並行して,a社が拠出した献金原資の一部を中抜きする,すな 被告人Bにも50万円を交付することなどが決まった。 D及びEによる献金原資の中抜き計画D及びEは,両名のみの間で,上記⑵の話し合いと並行して,a社が拠出した献金原資の一部を中抜きする,すなわち密かに領得することを計画した。 この計画に関し,Dは,同月23日,両名限りのメッセージのやり取りの中で,被告人Aら国会議員5名に対する供与額と中抜き額等を記載したメッセージを送信した(以下,これを「23日メッセージ」という。)(甲104添付資料3,甲122添付資料6)。 a社が拠出する献金原資の日本国内への持込みD及びCらは,上記⑵の献金に関する話し合いの中で,外国企業からの選挙資金の供与は違法であることから,a社が拠出する多額の献金原資をそれと分からないようにDらの手元に到達させる方法を協議した末,K1の了承の下,a社から関係先口座を迂回して提供される資金をDが香港で受領し,これを日本円現金の形で携帯して日本国内に輸入することを決めた。 これに従って,同月26日までに,a社からCの関係先会社の口座を経由して送金された約23万米ドル(DがCらに献金原資として送金するよう求めた2630万円を,同月21日の公表仲値1米ドル=112.53円で換算した金額)が,Dの知人で香港在住のL1の関係先口座に着金した。一方,L1は,この着金に先立つ同月25日にD管理の口座に40万香港ドルを振 込送金した上,同月26日,着金額(約23万米ドル=約182万香港ドル(甲106添付資料4-2))から事前送金額を控除した約142万香港ドルの現金を引き出し,同月23日から香港を訪れていたDに交付した。Dは,この香港ドル現金のうち1500万円余りに相当する分を日本円現金に両替し(同月26日の為替平均レートは1香港ドル=約14.3円),同月27日,知人 同月23日から香港を訪れていたDに交付した。Dは,この香港ドル現金のうち1500万円余りに相当する分を日本円現金に両替し(同月26日の為替平均レートは1香港ドル=約14.3円),同月27日,知人であるL2及びL3に500万円ずつ預け,残額を自ら携帯し,3人分で合計1500万円余りの日本円現金を空路で日本国内に持ち込んだ上,本件当日である同月28日午前中,東京都内において,両名に預けていた日本円現金合計1000万円を,L2からまとめて受け取った。 なお,Dは,この献金原資の日本国内への持込みと並行して,知人であるL4の依頼で,同人が日本に持ち込んだ金のインゴットの換金も実行していた。すなわち,Dは,親族であるL5に対し,L4が来日した際に同人からインゴットを受け取って売却するよう依頼し,同月26日,L5から,これを売却して501万4000円を得た旨のメッセージを受信した上,本件当日夕方,羽田空港でL5と会い,上記売却代金に相当する約500万円を受け取った。一方,Dは,L4に対しては,香港滞在中に,L1から受領した約142万香港ドルの中から,インゴットの売却代金相当額として日本円で約500万円に相当する香港ドル現金を交付した。 本件前日及び当日のD・E間の連絡状況等Eは,同月27日,Dに対し,両名限りのメッセージのやり取りの中で,「M先生 13:00 N先生 13:30 どちらも秘書対応。 A調整中」,「13:30にA事務所を予定に入れた。」,「M事務所が14:00になった。」というメッセージを順次送信した(甲108添付資料,甲123添付資料1)。 Eは,本件当日朝,沖縄県から空路上京し,羽田空港内のj(和菓子屋)でようかん2セットを,銀座のコンビニエンスストアで封筒を,銀座のjで ようかん1セットをそれぞれ購入し 資料1)。 Eは,本件当日朝,沖縄県から空路上京し,羽田空港内のj(和菓子屋)でようかん2セットを,銀座のコンビニエンスストアで封筒を,銀座のjで ようかん1セットをそれぞれ購入した。また,Eが,両名限りのメッセージのやり取りの中で,同日午前10時台に「13:30のA事務所のアポやから,13:20くらいまでに,衆議院第1議員会館で待ち合わせましょう。」というメッセージを送信すると,Dが,「もうちょい早めにしない?お金むき出しだよ」と返信し,これに対してEが,「了解しました。13:00ね」と送信した。そして,同日午後1時過ぎ頃,Eは,Dに対して,「通行証取ったから,警備の検査を通ってください。1階ロビーにいます。」というメッセージを送信した(甲108添付資料,甲123添付資料1)。 本件犯行時間帯以降のD及びEの行動D及びEは,本件当日夕方,羽田空港から空路で渡道し,札幌市内に宿泊した。 D及びEは,同月29日夜,札幌市内のホテルにおいて,所持していた現金の残高を確認し,それらの今後の使い道やa社への説明内容等について話し合い,その結果を基に現金を使い道ごとに分けて封筒に入れ,DとEとで手分けして持ち帰った。話し合いの最中にEは3枚のメモを作成しており,Dは,複数の100万円の札束を始めとする多額の1万円札や,Eが手書きした合計3枚のメモを写真撮影した(甲246添付資料)。 その後の事情Eは,11月9日,自らの携帯電話のメモ機能を使って,「A’(Aの姓の最初の漢字1文字。以下同様に「’」を付したアルファベットは当該アルファベットで示した人物の姓の最初の漢字一文字を指す。)3 M’1 N’1 O’1P’1 Q’1」と入力したメモを作成した(甲124添付資料)。 2 D及びEの公判供述の信用性上記1の前 アルファベットで示した人物の姓の最初の漢字一文字を指す。)3 M’1 N’1 O’1P’1 Q’1」と入力したメモを作成した(甲124添付資料)。 2 D及びEの公判供述の信用性上記1の前提事実を踏まえて,「本件当日,会館事務所で,被告人Aに現金300万円を供与した」旨のD及びEの公判供述の信用性を検討する。 本件当日に至る経緯との整合性 K1らは,IR担当の副大臣である被告人Aにa社のIR事業への参入を後押ししてもらいたいとの意図の下,被告人Aの講演料を大幅に増額して支払った後,衆議院の解散予測報道を受けて被告人Aを始めとする少なくとも5名の国会議員に選挙資金名目で現金を供与することを計画した。その資金は,a社が拠出した事実が発覚しないよう,迂回送金の上,Dらが海外から多額の日本円現金を手ずから持ち込む方法で準備され,Dは,本件当日の午前中,この日本円現金を携帯していた。また,Eは,本件当日,手土産に適したようかんや現金を入れるのに適した封筒を準備している。 さらに,D及びEのみの間でやり取りされていたメッセージの中では,両名が,被告人Aらに供与する金額と中抜きする金額を事前に打ち合わせ,本件前日には,本件当日の午後1時30分にA事務所との面会の約束を取り付けた旨連絡し,本件当日には,この面会約束の時刻を前提に,Dの手元の現金が未包装であることを踏まえて午後1時に議員会館で待ち合わせる旨打ち合わせ,更に午後1時過ぎ頃には,先に議員会館に到着したEからDへ具体的な待合せ場所が伝えられている。 以上のとおり,a社が,被告人Aに対して,衆議院解散の機会における現金供与を計画しており,これに従って本件前日までにDの手元に現金が準備された上,D・E間では,本件前日から本件当日被告人Aと面会したという時刻にほど近い 被告人Aに対して,衆議院解散の機会における現金供与を計画しており,これに従って本件前日までにDの手元に現金が準備された上,D・E間では,本件前日から本件当日被告人Aと面会したという時刻にほど近い時間帯に至るまで,被告人Aとの面会や現金の取扱いに関する具体的なメッセージがやり取りされるなど,面会及び現金供与の準備が行われていることは,本件当日午後1時30分頃に会館事務所で被告人Aに面会し現金300万円を供与した旨のD及びEの公判供述を強く裏付ける事情というべきである。 これに対し,弁護人は,D及びEが,日本法人名義での振込入金等の形式をとることも可能であったのに,多忙な衆議院解散当日に,午後2時頃から他の予定のあった国土交通副大臣室ではなく会館事務所において被告人Aに 直接現金を供与したというのは不自然であるなどと論難するが,Dらには解散後最も早く献金を行うことで被告人Aに強い印象を残したいとの思惑があったと認められる上,外国企業から選挙資金の提供を受けたことが発覚すれば,違法の指摘を受け社会的批判にもさらされかねないことに照らすと,第三者に目撃される可能性がより小さく入金履歴も残らない方法を取るのもむしろ当然というべきであるから,弁護人の主張は的を射ない。 供与先及び金額に関する客観証拠との整合性D及びEは,「事前に供与額及び中抜き額を相談して決めた上,本件当日,Dが準備した現金の中から,被告人Aに300万円を供与するとともに被告人Bに50万円を交付し,更に同日夜,札幌市内でFと会った際,Fに呼ばれてその場に来たOに急遽100万円を直接交付するとともにM分及びN分としてFに合計200万円を預けた」旨供述している(これによると,本件当日における供与額の合計は650万円となる。)。この供述は,次に述べるとおり,供与 100万円を直接交付するとともにM分及びN分としてFに合計200万円を預けた」旨供述している(これによると,本件当日における供与額の合計は650万円となる。)。この供述は,次に述べるとおり,供与額及び中抜き額を計画したD及びEのみの間でやり取りされていたメッセージの内容,Dが手元に準備した現金額,本件翌日夜にDが写真撮影した現金及び封筒等の状況等とよく整合しており,これらの客観証拠等に一貫した合理的な説明を与えるものといえる。 ア 23日メッセージに記載された供与計画まず,計画段階についてみると,23日メッセージは,「A’さん5 抜き200」,「N’さん3 抜き100」,「P’さん2 抜き100」,「M’さん2抜き100」,「Q’さん1 抜き100」,「A’秘0.5」,「R’いに予備3」というものである。そして,「例えば『A’さん5 抜き200』という記載は,a社との関係では被告人Aに500万円を供与したと説明するが,うち200万円を中抜きし,実際には300万円を供与する趣旨である」旨のD及びEの公判供述は,記載とよく整合し相互に符合するものであって十分信用できる。 したがって,両名は,23日メッセージのやり取りをした段階では,a社との関係では被告人A500万円,N300万円,P200万円,M200万円,Q100万円,「A’秘」すなわち被告人Aの秘書である被告人B50万円,R300万円の合計1650万円を供与するふうを装いつつ,実際には,これらの金額から「抜き」に続いて記載された金額を中抜きして,被告人A300万円,N200万円,P100万円,M100万円,被告人B50万円,R300万円の合計1050万円を供与する計画を立てていたものと認められる。 なお,Dは,捜査段階において,23日メッセージの「A’さん N200万円,P100万円,M100万円,被告人B50万円,R300万円の合計1050万円を供与する計画を立てていたものと認められる。 なお,Dは,捜査段階において,23日メッセージの「A’さん5 抜き200」などの記載につき,「a社との関係では700万円を供与したと説明し,うち200万円を中抜きし,実際には500万円を供与する(メッセージ中の『A’さん5』の500万円には中抜き額200万円を含まない。)趣旨であった」旨の上記と異なる供述をしていた。また,これに関連して,Dは,①L1から事前に入金された40万香港ドルを香港で引き出したか否か,②香港でL4にインゴットの売却代金相当額を支払ったか否かについても曖昧な供述をしていたが,当公判廷においては,「①の引出しをしたことはなく,②の売却代金相当額は支払済みである」旨明確に供述した。 この変遷について,弁護人は,検察官から提示された客観証拠に適合するよう供述したことが原因であるかのように主張し,Dの公判供述の信用性を論難する。しかし,捜査段階の供述は,本件から2年余り後の,しかも本件翌日夜に撮影された現金やメモ等の写真(甲246添付資料,後記イ参照)が未発見の段階におけるものであり,記憶の減退や混乱はやむを得ないところであって,その後発見された同写真を手掛かりに記憶を喚起し整理した結果,当公判廷で供述を変更するに至ったという説明は首肯できる。そして,捜査段階で異なる供述をした原因に関するDの説明は「取調べ当時は香港における①の引出しや②の支払の有無が明らかでなかったた め,本件前日に日本に持ち込んだ現金が1500万円か2000万円かが曖昧であり,後者を前提に上記供与額が中抜き額を含むものであるとすると,供与後に手元に残るはずの額が記憶にある残金額よりも多すぎることか 件前日に日本に持ち込んだ現金が1500万円か2000万円かが曖昧であり,後者を前提に上記供与額が中抜き額を含むものであるとすると,供与後に手元に残るはずの額が記憶にある残金額よりも多すぎることから,推測も交えて中抜き額を含まない旨供述した」というものである。 この説明からは,中抜き額の記載に関する推測に誤りが生じた理由が理解されるのみならず,記憶が曖昧と供述した以外の部分,特に,23日メッセージが被告人Aらに対する供与額及び中抜き額に関するものであることや,供与後の残金額の大まかな規模については,D自身に確固とした記憶があったことが見て取れる。結局,上記変遷は,曖昧な記憶に基づく推測の誤りが整理された結果と評価することができるから,DひいてはEの公判供述の信用性判断に影響を及ぼすものではなく,Dの公判供述は,香港における引出しや支払の有無に関する点も含め,十分に信用できるというべきである。 イ準備現金額及び本件翌日夜の残金確認結果その後の状況をみると,Dは,本件当日の午前中までに1500万円余りの現金を手元に準備しており,更に本件犯行後渡道前にL5から500万円余りの現金を受領しているから,本件翌日夜の時点では,Dは,これらの合計である約2000万円から供与済みの金額を差し引いた残金を所持していたことになる。 この本件翌日夜の時点における残金の額について,D及びEは,「残金は1370万円であり,P,Q(全額中抜きを取りやめた。)及びRには供与未了であったので,Q及びP分各100万円,R分300万円,a社に予備費として報告する250万円,報告しない予備費200万円並びにD及びEが領得する各210万円に分け,領得分以外を封筒に入れて整理した」旨供述している。この供述は,上記1⑹の写真から見て取れる現金の量及び状態,この写真と同 円,報告しない予備費200万円並びにD及びEが領得する各210万円に分け,領得分以外を封筒に入れて整理した」旨供述している。この供述は,上記1⑹の写真から見て取れる現金の量及び状態,この写真と同じ機会に撮影された4枚の封筒の状態(1枚ずつ「Q’ P’」,「保 250」,「保 R’ 300」,「帳 200」と記載され,厚みのある内容物が入っている。)やメモの記載(「保留 550 P’ 100Q’ 100」,「620→D’’(Dの名の最初の漢字1文字。)210 E’210」,「帳尻 200」などと記載されたものなど3枚)全般を概ね合理的に説明するものであることにも照らし,十分信用できる。 このような残金確認結果からすると,わざわざ供与未了分として現金入りの封筒まで用意されたPらとは異なり,被告人両名への供与を計画していた分については供与済みと扱われていたことが明らかである。しかも,この残金確認結果に現れた残金の1370万円を,Dが本件当日夕方までに入手していた額(約2000万円)から控除すると,約630万円となり,これはD及びEが述べた本件当日の供与額の合計である650万円と概ね符合する結果となる。 これに対し,弁護人は,このメモのうちの1枚には,23日メッセージと同旨の記載がされた上,NとM(供与すべき現金をFに預けた。)にチェック(✓)が付されている一方,被告人Aらには付されていないから,むしろ被告人Aらに現金が供与されていないことを推認させるという。しかし,このメモは専らD及びEの確認,整理のために作成された極めて私的なもので体裁も記載も整っていない上,チェックの記号もそれ自体が非常に多義的なものであるから,それがないことのみを取り上げて供与未了を示すものとみるのは無理がある。むしろ,既にみたとおり,同一機会 なもので体裁も記載も整っていない上,チェックの記号もそれ自体が非常に多義的なものであるから,それがないことのみを取り上げて供与未了を示すものとみるのは無理がある。むしろ,既にみたとおり,同一機会に写真撮影された現金や他のメモ等との整合性も踏まえて考察すれば,被告人両名分が供与済みと扱われていたことは明らかといえる。 次に,弁護人は,別の1枚のメモには,「A 300」の直下に「〃秘0」との記載があり,被告人Bへの交付額の記録であるとすれば,D及びEの供述等とは齟齬する点を指摘している。しかし,そもそも被告人Aへの供与額に関する記載に同様の齟齬はない。また,指摘の部分に関してE は「現実の交付額ではなく,a社への報告に備えて残金の端数の処理を試算したものである」旨説明しているが,このメモには計算違いや試行錯誤をうかがわせる記載がある一方,残金額の100万円未満の部分と符合する「70」という記載もあり,被告人Bへの交付額を30万円とすれば,供与済みの額と残金の合計に100万円未満の端数がなくなる結果にもなることなどに照らすと,この説明も一応首肯できる。なお,このメモに関してDは誤記と考える旨供述したが,作成者でない者による推測を交えた供述であり,この点に関する限り信用するに足りない。 以上のとおり,弁護人の指摘を踏まえても,上記判断は揺らがない。 ウ 11月作成のEのメモEは,上記1⑺のとおり,11月,携帯電話機内に「A’3 M’1 N’1O’1 P’1 Q’1」と入力したメモを作成しており,この記載は,「Eらが,同時点までに,被告人Aには300万円,その余の国会議員には各100万円を供与した」旨の供述と整合するものといえる。 エ a社に対する報告の不存在に関する弁護人の主張弁護人は,D及びEが被告人Aへの 点までに,被告人Aには300万円,その余の国会議員には各100万円を供与した」旨の供述と整合するものといえる。 エ a社に対する報告の不存在に関する弁護人の主張弁護人は,D及びEが被告人Aへの現金供与をa社に報告しておらず,また,9月29日におけるK1,Cらを交えたa社関係者のグループメッセージにおいては,本件当夜にMやOらと面談したことを報告しておきながら,被告人Aに現金を供与した旨の報告はしていない(なお,実際にはMとは面会していないから虚偽の報告も含まれている。)ことを指摘し,被告人Aとの面会がなかった事実と親和的であると主張している。 しかし,同メッセージには,弁護人が指摘する部分に先立ち,「Fと今別れたが,Fはk(会社組織)に関してかなり前向きであり,まずは会って合意に至った時点で3社で記者会見を行いたい意向である,10月15日の週で日程を調整して頂けたら」旨の報告が含まれている(甲87添付資料1)。この文面を見る限り,a社に対するDの報告の主眼は,直前に面会 したFがa社を含む3社提携に前向きであるという点にあり,政治家との面会については,このFとの面会に伴うもののみを簡潔に報告したにとどまるものとみるのが自然である。そして,これに関するDの供述は「献金の進捗につきa社から都度の報告までは求められていなかったため数回に分けてまとめて報告した。本件当夜,Mとの面会は実現しなかったが,予定していた額をFに預けることができたので,目的を達した旨概括的に報告すべく,Mについても面会と記載した」というものであるが,Dの顧問としての立場や本件の経緯等に照らして十分首肯でき,このメッセージとの矛盾や不整合があるともいえない。 オ小括以上のとおり,現金300万円の供与に関するD及びEの供述は,計画段階から現金 問としての立場や本件の経緯等に照らして十分首肯でき,このメッセージとの矛盾や不整合があるともいえない。 オ小括以上のとおり,現金300万円の供与に関するD及びEの供述は,計画段階から現金供与後に至るまで,被告人Aへの供与額が300万円である旨の記載を度々残し,本件翌日夜に行われた残金確認においても,被告人A分の現金については供与済みとして扱っていたという客観証拠から認められるD及びEの行動とよく整合している。しかも,Dが本件に関して準備・所持していた現金額(約2000万円)及び本件翌日夜に確認された残金額(1370万円)に関する供述にも客観証拠による一定の裏付けが存在し,この差額も,両名が供述する本件当日の供与額(合計650万円)と概ね符合している。したがって,両名の供述は,客観証拠のみからでも相当程度認めることのできる現金供与計画の内容,準備現金額並びに本件翌日夜における残金額及びその整理の状況を,全体として整合的に説明するものということができる。 供述相互間の符合D及びEの公判供述の核心は,「本件当日,議員会館で,Dが持ち込んだ現金をEに渡し,会館事務所で,被告人Bも同席の下,Eが現金在中のjのようかんの紙袋を被告人Aに渡した」という部分であるところ,この核心部分 についてD及びEの供述は合致しており,相互に信用性を高め合っているといえる。 弁護人の指摘するとおり,現金供与に係る両名の公判供述は,議員会館内でDがEに現金を渡した場所,Eが現金供与の準備のためトイレに入った階,会館事務所での待ち時間,会館事務所を訪れた後にN事務所を訪れたか否かなどの点に齟齬があり,また,現金供与場面に関する供述に臨場感が乏しい面があることも否めない。しかし,本件当日からD及びEの取調べの開始まで約2年,当公判廷で 務所を訪れた後にN事務所を訪れたか否かなどの点に齟齬があり,また,現金供与場面に関する供述に臨場感が乏しい面があることも否めない。しかし,本件当日からD及びEの取調べの開始まで約2年,当公判廷での尋問までには3年半余が経過しており,かつ,両名は議員会館や被告人両名の許を度々訪れていたというのであって,D及びEが本件当時の出来事を全て鮮明に記憶していることはそもそも期待できず,さらに,強く記憶に残った点と減退や混乱が生じた点とが両名の間で異なるということも当然想定されるから,供述の齟齬が核心部分に及ばない限り,信用性を揺るがすものではない。そうすると,DからEへの現金交付場所やトイレの位置する階といった些末な点の齟齬は信用性判断に影響しないというべきであり,かえって,現金を受領したEが供与の準備のため議員会館のトイレに入ったという,これ自体既に細部というべき点についてまで供述が符合したことについては,信用性を高める事情とみるのが相当である。同様に,待ち時間に関する供述の齟齬も細部のものというほかなく,むしろ,被告人Aとの面会時間がほぼ符合していることを積極に評価すべきである。さらに,D及びEのメッセージのやり取りからすれば本件当日のN事務所は秘書対応であったと認められるから,その印象が被告人A本人への現金供与に比して格段に薄かったとしても不自然ではなく,この点の齟齬も些末なものにすぎない。したがって,これらの齟齬は,現金供与に係るD及びEの公判供述の核心部分の信用性を揺るがすものではない。 なお,D及びEの公判供述は,面会の日程調整,本件当日被告人AにEからjの紙袋が渡された状況のほか,被告人B自身もEから現金50万円を受 領したという点について,被告人Bの捜査段階の供述とよく符合しており,相互に信用性を高め合ってい 日被告人AにEからjの紙袋が渡された状況のほか,被告人B自身もEから現金50万円を受 領したという点について,被告人Bの捜査段階の供述とよく符合しており,相互に信用性を高め合っているといえるが,これについては証拠能力の点も含めて後述する。 供述経過等D及びEは,捜査段階から一貫して本件を含む一連の贈賄を認めており,後述のとおり,自らの公判審理が開始される前に,500万円ないし2000万円という多額の対価を提示されて,本件当日の会館事務所での面会の場に被告人Aがいなかったなどという証言をするよう繰り返し働きかけられたにもかかわらず,一切応じていない。そして,自身の贈賄被告事件においても従前の供述を維持し,執行猶予付きの有罪判決を受けており,本件証人尋問に先立ってこの判決は確定している。 また,D及びEは,失念した点や推測を交えた点はその旨述べ,他者の供述との齟齬を指摘されても安易に供述を変更することなく自己の記憶に従った供述を維持するなど,その供述態度は真摯であるということができる。 弁護人の主張弁護人は,D及びEは,a社に対して自分らがIR事業参入に向けて有益な活動をしていると見せかけ,同社からの報酬の受領を円滑に進めるとともに,陣中見舞いとの名目で同社に多額の現金を拠出させることを企てたものであり,両名が被告人Aに供与したという300万円についても,両名又はその一方によって横領された疑いがある旨主張している。そこで,これに関係する弁護人の主張を順次みておくことにする(なお,弁護人は,D及びEの公判供述は,A事務所の日程表の記載やヘルスケアアプリのデータといった客観証拠に明らかに矛盾する旨主張するが,この点については4で後述する。)。 アまず,弁護人は,計画段階の事情として,a社側では被告人Aには8 務所の日程表の記載やヘルスケアアプリのデータといった客観証拠に明らかに矛盾する旨主張するが,この点については4で後述する。)。 アまず,弁護人は,計画段階の事情として,a社側では被告人Aには800万円を供与することとされていたにもかかわらず(甲85添付資料3- 1,2,甲104添付資料5,6),Dらから500万円に減額した旨の報告を受けた証拠はなく,Dはこの減額を反映していない2630万円もの過大な献金原資を受領し,K1も横領を疑っていたことを指摘する。 しかし,D及びEが,a社との関係においては,IR事業参入に向けた取組の進捗を仮装する動機があった可能性は否定できないものの,中抜きの計画までも共有していた両名限りのやり取りにおいて,本件に関し殊更虚偽を述べ,あるいは事実や意図を隠蔽する必要があったとは考えられず,そのような必要があったことを具体的にうかがわせる証拠もない。このことは,23日メッセージのみならず,本件翌日夜にDが写真撮影した封筒やメモの記載にも妥当するのであって,これらに殊更両名の認識に反する記載がされた疑いはないというべきである。 そこで,弁護人の上記主張に即して,まず,23日メッセージをみると,ここに「A’さん5 抜き200」とある以上,当時,両名が,a社との関係では被告人Aに500万円を供与するふうを装いつつ,実際には200万円を中抜きして300万円を供与するという認識であったことは明らかであり,a社との関係で被告人Aに対して800万円を供与するかのように装ったり,被告人A分全額を領得したりする意図がD及びEにあったということは想定できない(したがって,「a社側に被告人A分を500万円に減額した旨報告し,その差額分の使途も含めて了承を得たと思う」旨のDの供述の信用性にも疑問はない。)。 がD及びEにあったということは想定できない(したがって,「a社側に被告人A分を500万円に減額した旨報告し,その差額分の使途も含めて了承を得たと思う」旨のDの供述の信用性にも疑問はない。)。 その後の経緯をみても,本件当日の面会予約時刻の直近にD及びEが議員会館で落ち合う直前までのメッセージのやり取り(これも両名限りのやり取りである上,メッセージの送信時期及び文面も併せ考えれば,その当時の認識に従って記載されたものと認められる。)が客観証拠に残されている上,本件翌日夜には被告人両名分が供与済みであることを前提として残金が整理されたことも客観証拠によって裏付けられているから,D及びE が,23日メッセージよりも後に被告人A分の現金全額の横領を思い立って実行したとも考えられない。 イ次に,弁護人は,金銭に窮していたEが単独で横領に及んだ疑いも指摘しているが,Eには,議員会館でDから現金を受け取った後にその機会があったにすぎず,横領の事実を具体的にうかがわせる証拠はない。特に,本件翌日夜にD及びE個人の領得額が具体的に算出されていることに照らせば,これより前にE個人の領得の有無や額が決まっていたとは考え難い一方で,Eは,議員会館でDから現金を受け取った時点でDが他にも現金を持っていることを知っていたというのであるから,Eが,Dとの間で供与額を相談しつつ日程を調整した被告人Aとの面会を直後に控えながら,わざわざ同人への供与分を密かに領得したというのであれば,単に金銭に窮していたというにとどまらず,その場で多額の現金を所持し共に中抜きを計画したDに一時借用を相談することすらできないような切迫した後ろ暗い事情があったとしなければ合理的に理解することができないが,そのような事情は証拠上全くうかがわれない。 ウさらに,弁護 抜きを計画したDに一時借用を相談することすらできないような切迫した後ろ暗い事情があったとしなければ合理的に理解することができないが,そのような事情は証拠上全くうかがわれない。 ウさらに,弁護人は,D及びEによる横領等の主張とともに,両名は,贈賄で有罪となっても執行猶予が見込まれるから,多額の横領又は詐欺につき重い刑責を負うよりも,検察官に迎合し贈賄の事実を認めて早期に刑事手続を終わらせた方が経済合理的であるなどと考え,あえて虚偽の贈賄の事実を供述した旨主張している。横領等の合理的疑いがないことは上述のとおりであるが,その点を差し置いても,我が国では無名のa社に対する横領等よりも,IR事業という政府の大規模な施策に関する外国企業から現職の副大臣への贈賄の方がはるかに社会的関心の高い事案であることは明らかであり,その実行役であるとされれば,a社に対する横領等が明るみに出た場合よりも格段に深刻な社会的制裁を受け,社会経済生活に大きな支障をきたすであろうことは容易に予想できるのであって,a社に対す る横領等の責任を免れるために虚構の本件贈賄をあえて認めるということは到底考えられない。 しかも,D及びEは中抜き計画や各自210万円の領得を自認する供述をしており,更にDはa社からの預り金の残余(D管理の口座中の40万香港ドルと,本件翌日夜に確認した残金の一部)を保有していることを認め,求めがあれば返金したいとまで供述しているのであって,両名が被告人A分の300万円についてのみ殊更虚偽を述べて隠蔽を図るとも考え難い。 エなお,被告人Aの弁護人は,Eが,本件に係る会館事務所の訪問予約をDに連絡するメッセージにおいて「A先生」ではなく「A事務所」の語を使用していることから,仮にEらの訪問予約があったとしても秘書対応であった 告人Aの弁護人は,Eが,本件に係る会館事務所の訪問予約をDに連絡するメッセージにおいて「A先生」ではなく「A事務所」の語を使用していることから,仮にEらの訪問予約があったとしても秘書対応であったなどと主張し,Eらが被告人Bに現金300万円を供与した可能性にまで言及する。しかし,その可能性を具体的にうかがわせる証拠はなく,既述のメッセージやメモには被告人両名に供与する分が明確に区別して記載されていることや,EがN事務所との先約(秘書対応)よりA事務所への訪問を優先したことなどに照らしても,現金300万円が被告人Bに供与されたということはおよそ考えられない。 小括これまでの検討によれば,被告人Aに現金300万円を供与した旨のD及びEの公判供述は,その経緯,供与先及び金額等について客観的な状況や証拠に強く裏付けられている上,両名の間のみならず被告人Bの捜査段階の供述ともその核心部分が相互に符合し,供述経過等を見ても虚偽供述を疑わせる具体的事情がないから,十分信用することができる。 3 被告人Bの検察官調書の証拠能力及び信用性被告人Bは,捜査段階では,「本件当日,会館事務所において,被告人Aが被告人BとともにEらと面会し,Eからjの紙袋を受け取るのを見た」旨述べ, その余の賄賂の収受及び被告人Aとの共謀についても認める内容の供述をしていたのに対し,当公判廷ではいずれも否認に転じ,本件に関しては,当日午後1時30分頃に被告人AがEらと面会した記憶はないなどと述べた。 これを受けて,検察官が,被告人Bの検察官調書(乙6~20,25,42,43)を,同人との関係では刑訴法322条1項により,被告人Aとの関係では同法321条1項2号後段により取り調べるよう求めたのに対し,弁護人は,上記検察官調書は,双極性感情障害による入院 5,42,43)を,同人との関係では刑訴法322条1項により,被告人Aとの関係では同法321条1項2号後段により取り調べるよう求めたのに対し,弁護人は,上記検察官調書は,双極性感情障害による入院治療中に行われた威圧的かつ誘導的な取調べにより,検察官の意に沿わない供述をして逮捕勾留されることを恐れた被告人Bが検察官の見立てに沿った供述をした結果作成されたものであるから,任意性及び特信性が認められず,ましてや信用性も認められない旨主張している。 供述情況に関する認定事実関係各証拠によれば,被告人Bの供述情況に関し,以下の事実を認めることができる。 ア被告人Bの精神疾患に係る入通院状況等被告人Bは,平成19年頃被告人Aの秘書となり,平成27年9月頃から平成30年9月頃まで政策担当秘書を務めていた。しかし,被告人Bは,同月から10月にかけ,精神症状を伴う躁病と診断されて医療保護入院となり,退院の翌月に受診したクリニックにおいて双極性感情障害と診断されて通院による投薬治療を受けていたところ,令和元年7月頃から本件に関して報道機関の来訪を受けるようになって閉居がちになり,症状が悪化していった。 被告人Bは,同年12月7日以降,自宅の捜索や連日の取調べを受けて「もう嫌だ」と述べるなどし,思考制止が著明であるなどとして入院適応を認めた当時の主治医の紹介により,同月12日,l大学病院神経精神科を受診したところ,双極性感情障害との診断で医療保護入院となり,その 後,令和2年1月28日に任意入院に切り替えられ,同年2月7日に退院した。 この間,同病院においては,S1医師が責任者を務めるチームがその治療に当たった。 イ入院中に取調べが行われるに至った経緯及び病院側の対応等S1医師が初めて被告人Bと会った時点では,思 した。 この間,同病院においては,S1医師が責任者を務めるチームがその治療に当たった。 イ入院中に取調べが行われるに至った経緯及び病院側の対応等S1医師が初めて被告人Bと会った時点では,思考制止は必ずしも著明とまではいえなかったものの,S1医師らは,入院当初,取調べのストレスによる病状の悪化を懸念し,令和元年12月18日には,被告人Bの意向も確認の上,S2検察官(以下,この項において単に「検察官」という。)からの取調べ及び面会の要請を断った。しかし,入院以降被告人Bの病状が改善傾向にあったことに加え,逮捕勾留のリスクを慮ったS3弁護士(被告人Bの当時の弁護人)の助言もあり,同月19日,医師が被告人B,その妻及びS3弁護士と面談して被告人Bの意向も確認の上,同月20日,S1医師及びS3弁護士の立会いの下,被告人Bと検察官が試行的に面会した。S1医師は,この面会において被告人Bに特異な反応がみられなかったことも踏まえ,被告人Bが取調べに耐えられる状態にあると判断し,検察官による取調べを許可した。 同月23日から検察官による被告人Bに対する取調べが開始されたが,初めの頃は,取調べ時間は短時間に抑えられていた。そして,取調べの開始に際し,S1医師らは,被告人Bに対し,取調べ中に体調が悪化した場合,いつでも中止し医療者を呼ぶことができる旨伝え,検察官にも同旨の内容を伝えていた。さらに,同医師らは,取調べ開始後の数日間は,取調べ終了直後に被告人Bを回診していた(なお,病状の悪化が認められなかったため,数日でこの回診は行われなくなった。)。 また,同月31日以降実施された取調べの録音録画についても,医師らは,事前に,被告人B及びS3弁護士に対し,病状によっては録音録画を 断ることもできることなどを説明し,また,検察官に対 また,同月31日以降実施された取調べの録音録画についても,医師らは,事前に,被告人B及びS3弁護士に対し,病状によっては録音録画を 断ることもできることなどを説明し,また,検察官に対しても,病状によっては中止させることがあることなどを説明した上で,これを許可した。 なお,前医が指摘していた被告人Bの思考制止は年末に向けてかなり改善しており,取調べの中止を検討するほどの病状の悪化がなかったため,医師の側から取調べの中止を提言することはなかった。また,被告人Bも,入院中,医師らに対して取調べの拒否や中止を申し出たことはなく,取調べ中に医療者を呼んだこともなかった。 ウその他の入院治療中の取調べに関する状況等検察官は,被告人Bに対し,取調べを始める前に,毎回その日の体調を尋ねていた。 被告人Bは,病院内での取調べの実施期間中,ほぼ毎日S3弁護士と面会し,自らの言い分と全く異なる調書を作成された場合は署名捺印を拒むよう助言を受け,今後の捜査の見通し等を相談するとともに,妻子や親族らとも何度か面会していた。 エ S4に対する被告人Bの発言被告人Bは,退院後,長年の友人であり,自身の紹介により被告人Aとも付き合いのあったS4に自ら連絡をとって,令和2年3月,レストランで会食をした。その際,被告人Bは,S4に対し,議員会館で被告人両名と相手方2名の計4名で会い,被告人Aは相手方から何かを受け取っていたが中身は確認できておらず,被告人B自身は現金50万円を受け取った旨述べるとともに,被告人Bは被告人Aとは別に裁判をする予定である,妻子ある身としては無罪主張を続けて長い時間かかるであろう被告人Aの裁判には付き合えない,被告人Aの裁判では検察側の証言に立つかもしれず,気が重いなどとも述べた。 オ被告人Aからの資金提供等 妻子ある身としては無罪主張を続けて長い時間かかるであろう被告人Aの裁判には付き合えない,被告人Aの裁判では検察側の証言に立つかもしれず,気が重いなどとも述べた。 オ被告人Aからの資金提供等被告人Bは,退院後の同年2月下旬から同年3月にかけ,被告人両名の 共通の知人であるS5と会食するなどした際,自身が無職で資産もないなどと経済的不安を訴えた。これを受けたS5が,同じ頃,被告人Aに対し,被告人Bが経済的に困窮しているので援助してほしい旨頼んだところ,被告人Aは,同月27日,被告人Bの生活費である旨述べてS5に現金500万円を預けた。S5は,同年4月1日,被告人Bにこの現金500万円を手渡し,その旨被告人Aに報告した。 また,被告人Aは,同年3月頃,S5から被告人Bの就職先の紹介を打診された際,自身による紹介には難色を示したものの,S5の関係先で被告人Bを雇用できないか,仕事なら自分が持ってくるなどと述べた。そこで,S5は,同年4月頃,自らの関係先である株式会社mにおいて被告人Bを雇用し,被告人Aから紹介された商品の営業を担当させることを決め,その旨被告人Bに説明して了承を得るとともに被告人Aにも報告の上,同年5月11日から同社で被告人Bを稼働させた。 なお,上記認定のうち被告人Bの入院中の状況等に関する部分は,主にS1医師の供述に依拠しているが,同医師は,精神科医として双極性感情障害につき豊富な臨床経験を有し,毎朝の回診や面談の際に被告人Bを直接診察しつつ,チームの責任者として他の医師からも逐次報告を受け,カルテを都度確認しながらその治療に当たっていたというのであり,自らの専門分野について,直接の診察を含む十分な基礎資料に基づいて供述したと認められるから,その供述の信用性は十分である。弁護人は,被告人Bの思考 度確認しながらその治療に当たっていたというのであり,自らの専門分野について,直接の診察を含む十分な基礎資料に基づいて供述したと認められるから,その供述の信用性は十分である。弁護人は,被告人Bの思考制止等の程度に関するS1医師の供述はカルテの記載と整合しないなどとしてその信用性を論難するが,取調べ映像(乙26~35)を見ても,被告人Bは,回答に多少時間を要する場面もみられるとはいえ,検察官の質問の意味を適切に理解して,相応の時間内に質問とかみ合った内容の供述をしていたと認められ,この状況はカルテの記載よりもS1医師の述べる病状と整合する上,医療保護入院の継続のためカルテにはやや誇張とも解しうる記載がされた旨 の供述も,臨床の現場での実態を率直に述べたものとして首肯できるというべきである。 証拠能力及び信用性判断上記の事実関係に基づき,被告人Bの検察官調書の任意性,特信性及び信用性につき検討する。 ア取調べ当時の被告人Bの状況被告人Bは,検察官取調べの当時,双極性感情障害と診断されて精神科病棟に入院中であったものの,担当医師は,被告人Bの病状の改善状況や検察官との面会の状況等を踏まえて取調べを許可しており,その後も病状の悪化を認めなかったというのであるから,当時,被告人Bの病状は,取調べに耐えられる程度のものにとどまっていたと認められる。また,被告人Bは,いつでも直ちに医療者を呼ぶことのできる環境下にあり,取調べ中も同様である旨医師らから説明を受けていたほか,ほぼ毎日当時の弁護人と面会して必要な助言を受けていたにもかかわらず,取調べの拒否や中止の申し出はおろか取調べ中に医療者を呼んだことすらなく(呼ぶか否かの適切な判断ができない病状であった旨の弁護人の主張は,既述の検討に照らし採用できない。),医師の側で かかわらず,取調べの拒否や中止の申し出はおろか取調べ中に医療者を呼んだことすらなく(呼ぶか否かの適切な判断ができない病状であった旨の弁護人の主張は,既述の検討に照らし採用できない。),医師の側でも取調べに伴う病状の悪化を認めなかったのであるから,取調べによって被告人Bに過大な負担が生じないよう十分な配慮がされており,実際に被告人Bがそのような状況に陥ったこともなかったと推認することができる。また,既述のとおり,取調べ映像からも,被告人Bの理解力,思考力及び表現力に特段の問題があったとはうかがわれない。 他方,このような担当医師の判断や当時の弁護人の面会状況等に照らすと,検察官において,被告人Bに過大な負担を与えて病状が悪化するなどすれば,被告人Aの刑責を左右する重要な供述が見込まれるにもかかわらず,取調べが続行できなくなり,本件の捜査に多大な支障を生じるおそれ があることは容易に想定できるはずであるから,無理な取調べを行おうとしていたとも考えにくい。現に,取調べ映像にも検察官の言動の問題性をうかがわせる点は見当たらない。 イ供述当時の外部的事情被告人Bの検察官取調べは,同人が被告人Aの秘書の職を辞した後,当時の弁護人はもちろん,家族とも面会を重ねるなど,その支援を受ける中で行われたものである。さらに,被告人Bが,退院後ほどなく,被告人Aとも交流のあるS4に自ら連絡を取って検察官調書と同旨の事実を打ち明けた上で,被告人Aの公判でこれを供述することの重圧までも吐露したことにも照らせば,入院中の取調べは,被告人Aとの関係性が希薄化していたこともあり,同人の利害を優先させることなく,自身の記憶に基づいて被告人Aに不利益な事実についても供述することができる心理状態の下で行われたものと認められる。 これに対し, 関係性が希薄化していたこともあり,同人の利害を優先させることなく,自身の記憶に基づいて被告人Aに不利益な事実についても供述することができる心理状態の下で行われたものと認められる。 これに対し,公判供述は,被告人Bが経済的に困窮する中で被告人Aから大きな経済的利益を受けた後のものであり,いったんこのような働きかけを受ければ,被告人Bが,長年にわたり近しい関係にあった被告人Aの意に沿わない供述をすることに強い抵抗感を覚えたとしても無理からぬところであって,同人と併合審理された当公判廷においてその面前で供述するとなれば尚更というべきである。現に,被告人Bは,被告人Aに強い恩義を感じたことを自認しており,これらに照らせば,被告人Bの公判供述は,被告人Aの強い影響の下,同人に不利益な供述をすることが困難な情況においてされたものと認められる。 ウ供述内容被告人Bは,捜査段階において,会館事務所で被告人Aが受け取った紙袋の中身については,検察官からの再三の質問にもかかわらず見ていない旨供述したというのであり(乙10),記憶にある部分に限って認める供述 をするにとどまっている。また,被告人Bは,自身が受領した現金50万円の交付態様について,当初は現金在中の封筒を渡された旨供述し(乙40),その後,被告人Aが受け取った紙袋とは別に,自身も現金50万円在中の封筒が入った紙袋を受け取った旨供述を変更しているが(乙42),いずれもEが供述する交付態様とは異なっている。このように,検察官が詳細な聴取を重ねたであろうと考えられる交付態様につき,検察官の誘導によるとは考え難い内容の変遷が生じていることは,被告人Bが,検察官の発問に迎合することなく自らの意思でその当時の記憶に基づいて供述したことを推認させるものであるといえる。 ま つき,検察官の誘導によるとは考え難い内容の変遷が生じていることは,被告人Bが,検察官の発問に迎合することなく自らの意思でその当時の記憶に基づいて供述したことを推認させるものであるといえる。 また,内容全体を見ても,現金授受に関する被告人Bの検察官調書は,上記2でD及びEの供述についてみた本件の客観的状況や証拠と整合し,D及びEの供述ともその核心部分がよく符合するものということができる。 既述の交付態様や応接室内の着席位置等の細部においてEらの公判供述と齟齬がみられるとしても,D・Eの公判供述相互間の細部の齟齬と同様,核心部分の信用性を揺るがすものではない。しかも,被告人Bは単独では収賄罪の刑責を問われ得ず,犯情の面でも被告人Aに比して有意に軽いと評価されるであろうことが容易に予想できる立場にあったのであり,自己の刑責の回避ないし軽減を図って殊更被告人Aの非を言い立てる必要もなかったと認められる。 これに反する被告人Bの公判供述は,上記の客観的状況等に関する合理的な説明というにはほど遠く,本件当時の記憶がないとする部分も多い上に,被告人両名とりわけ被告人Aに不利益な事実を否定する部分については,通常の取扱い等からの推測を述べたものにとどまっている。 エ小括以上に検討したとおり,当時の被告人Bの病状は取調べに耐えられる程度のものにとどまっており,医療者や当時の弁護人らによる助言や配慮に よって,取調べにおいて被告人Bに過大な負担が生じる状況にもなかった。 そして,この間における検察官の取調べは,被告人Bが当時の弁護人や家族と面会を重ねるなどの支援を受けつつ実施されたものであり,当時における被告人Aとの関係性にも照らすと,被告人Bは,被告人Aの利害を優先させることなく,自身の記憶に基づいて供述することができる心 家族と面会を重ねるなどの支援を受けつつ実施されたものであり,当時における被告人Aとの関係性にも照らすと,被告人Bは,被告人Aの利害を優先させることなく,自身の記憶に基づいて供述することができる心理状態にあったといえる。これに加え,検察官調書に録取された内容も併せ考えると,検察官による供述の強制や,誘導ないし示唆への迎合等,任意性を失わせると弁護人が主張する事情はなかったと認めることができる。 そして,取調べ終了後に被告人Bが被告人Aから多大な経済的利益を受け,同人に不利益な供述をすることが困難な心理状態に陥った結果,当公判廷では明らかに不自然で回避的な供述をするに至ったことも併せ考えれば,特信性も優に認められる。さらに,同検察官調書の核心部分が客観証拠やEらの供述と符合する合理的なものであることなども考慮すれば,その信用性も十分認めることができる。 弁護人の主張ア弁護人は,まず,S1医師と見解を異にするS6医師の意見書及び公判供述に依拠し,S1医師の供述の信用性を論難するとともに,被告人Bの精神状態等に関する主張をしている。しかし,S6医師の見解は,カルテの記載と取調べ状況の映像のみを基礎資料とし,主に前者を重視して被告人Bの病状を考察した結果を述べたものであると認められるところ,S6医師は被告人Bの入院前の病状に関する記載を入院中のそれと解釈するなど,事実経過に関するカルテの記載を一部誤解し,見解自体も上記映像に現れた被告人Bの言動と整合しない(この点をS6医師は自認した。)など,限られた基礎資料に対し,一部誤解に基づく偏った評価を加えた結果というほかはないから,証拠価値に乏しいといわざるを得ない。 イ次に,弁護人は,検察官の被告人Bに対する言動として,①「事実を認 めれば3回ほど出廷して終わるが,認 評価を加えた結果というほかはないから,証拠価値に乏しいといわざるを得ない。 イ次に,弁護人は,検察官の被告人Bに対する言動として,①「事実を認 めれば3回ほど出廷して終わるが,認めなければ多数の証人を呼ぶことになり非常に長い時間がかかる」などと言ったこと,②被告人Aの逮捕と前後して「別の形でやるからな」,「今日は何も持ってきてないから」などと申し向け,高圧的な態度をとるなどして,検察官の意に沿わない供述をすれば身柄を拘束する旨示唆したこと,③被告人Aが,本件当日,議員会館に立ち寄ったという決定的証拠がある旨述べたことなどを指摘した上,被告人BのS4に対する発言も検察官の影響下でされたものである旨主張する。 しかし,①は,公判に関し,事案の性質と一般常識に照らして容易に予想できる程度の大まかな見通しを述べたものにすぎないから,そのような発言があったとしても,証拠能力はもとより信用性判断にも何ら影響しない。他方,②③については,被告人Bが,取調べ当時,身柄拘束を危惧するとともに本件の嫌疑を裏付ける有力な客観証拠があると認識しており,その背景に検察官の言動があったという可能性は排斥できない。もっとも,②については,事案の内容や被告人Bの立場等に照らし,取調べ当時,被告人Bの逮捕勾留の可能性は十分にあったというべきであり,この点については,当時の弁護人からも取調べの開始前に助言がされていたことからすれば,被告人Bは,逮捕勾留に対する危惧を既に相当程度抱いていたものと認められる。そうすると,仮に取調べの中で検察官から②程度の言動があったとしても,既存の危惧を再認識させて真摯な供述を強く促したといえるにとどまり,威迫や利益誘導というには遠く及ばない。また,③については,D・E間の通信履歴や香港から日本への現金持込みに関する があったとしても,既存の危惧を再認識させて真摯な供述を強く促したといえるにとどまり,威迫や利益誘導というには遠く及ばない。また,③については,D・E間の通信履歴や香港から日本への現金持込みに関する証拠など,同人らの供述を極めて強く裏付ける客観証拠が複数存在する一方で,被告人Bは,その公判供述によっても,検察官のいう決定的証拠の種類や内容については聞かされなかったというのであるから,仮に検察官が「決定的」という語を用いたとしても虚偽や誇張と評価すべきものではな く,被告人Bに誤解を生じさせたともいえない。 以上のとおり,弁護人の主張を検討しても,証拠能力及び信用性に関する判断は変わらない。 4 被告人Aの本件当日の行動等に関する弁護人の主張被告人Aの本件当日の行動として,①衆議院解散のため正午頃から開かれた本会議及び国会内での両院議員総会に出席した後,所属派閥の定例総会に出席するため砂防会館に移動したが,その開始が遅れたため,アーバンネット大手町に移動して開催中の昼食会に出席し,午後1時12分頃までには昼食会場を後にした,②公用車で国土交通省に帰着し(本件当日の運転日報(甲200添付資料2)にはこの帰着時間が午後2時と記載されている。),遅くとも午後2時の二,三分前頃には,副大臣室で国際緊急援助隊の表敬訪問を受けていたことについては,関係各証拠から容易に認定でき,当事者間にも概ね争いがない。 弁護人は,被告人Aの供述に依拠しつつ,上記①と②の間の本件犯行時間帯に,被告人Aが議員会館に行ったことはなく,昼食会場を出た後,全国町村会館内のn銀行のATMに立ち寄って残高照会をし,午後1時40分頃に国土交通省に戻った旨主張している。そして,弁護人は,A事務所の日程表の記載及び当時の秘書であるTの供述,被告人Aが当時使用 村会館内のn銀行のATMに立ち寄って残高照会をし,午後1時40分頃に国土交通省に戻った旨主張している。そして,弁護人は,A事務所の日程表の記載及び当時の秘書であるTの供述,被告人Aが当時使用していたスマートフォンに保存されていたヘルスケアアプリのデータ等を,この主張を裏付ける客観証拠と位置付けた上,D及びEの供述はこれらと矛盾している旨主張するので,以下,検討する。 A事務所の日程表の記載及びT秘書の供述A事務所において作成された本件当日の日程表(甲199添付資料)には,D及びEとの面会予定の記載がない。この点につき,当時被告人Aの公設第一秘書を務め,日程表の作成管理を行っていたTは,「多忙な被告人Aの活動に支障をきたさないよう日程表を正確に作成することが重要であったため,新規の予定が入った場合はその日のうちに速やかに入力することになってお り,少なくとも前日までに決まった予定は必ず日程表に反映されているはずである。被告人Bの几帳面な性格等にも鑑みれば,被告人Bが,前日に決まった被告人Aの予定をTに伝えるのを失念するなどした結果,日程表に記載されなかったということは考えられない」旨供述するところ,この供述は,日程表の取扱いについての一般論の限度では十分信用できる。 もっとも,この日程表は予定を記載したものであって行動記録ではない上,T自身,日程表に記載のない来客との面会も行われていたことを全面的には否定しておらず,被告人Bによる失念の可能性を否定する供述は人格評価に基づく推測にすぎない。被告人Bも,捜査段階において,日程表に記載のない支援者等との面会も行われていたことを否定しておらず,本件当日の面会予定についても,その前日に自身が調整したことを自認した上で,「衆議院の解散が目前に迫り事務所内が非常に多忙で ,日程表に記載のない支援者等との面会も行われていたことを否定しておらず,本件当日の面会予定についても,その前日に自身が調整したことを自認した上で,「衆議院の解散が目前に迫り事務所内が非常に多忙であったため,自身又はTの失念により日程表の記載が漏れた可能性がある」旨供述しており(乙43),これらの供述につき上記3の検討に反して信用性を疑うべき具体的事情は見当たらない。そうすると,日程表への不記載は必ずしも面会の事実の不存在を示すものではないというべきである。 なお,Tは,「本件当日,Eらは会館事務所を訪れていないと思われ,被告人Aが同日昼頃に会館事務所に戻った記憶もない」旨供述するものの,Eらの訪問の有無は日程表への不記載からの推測にすぎず,被告人Aに関しても戻ったか否かの記憶がないという趣旨にとどまるのであって,独立の証拠価値は認められない。 以上によれば,日程表への不記載の事実及びTの公判供述は,必ずしも被告人Aの供述を裏付けるものとは評価できず,もとより強固な裏付けを伴うEらの公判供述の信用性を揺るがすには遠く及ばない。 被告人Aのスマートフォン内のヘルスケアアプリのデータ弁護人は,被告人Aが当時使用していたスマートフォンにインストールさ れたヘルスケアアプリの歩数等の計測データ,とりわけ計測終了時刻及び次の計測開始時刻のデータには極めて高い正確性が認められることを前提に,本件当日午後1時40分に同アプリが計測を停止していることからすると,被告人Aは,同時刻には国土交通副大臣室に到着しており,会館事務所から国土交通副大臣室までの移動時間も勘案すれば,同日午後1時30分頃,D及びEと面会したということはあり得ない旨主張する。 しかし,同アプリの作動原理,詳細な作動条件及び正確性の程度を客観的,具体的に認め 通副大臣室までの移動時間も勘案すれば,同日午後1時30分頃,D及びEと面会したということはあり得ない旨主張する。 しかし,同アプリの作動原理,詳細な作動条件及び正確性の程度を客観的,具体的に認めることのできる証拠はなく,同アプリの正確性についての弁護人の主張は,証拠上認められる限られた情報に同スマートフォンのメーカーに対する一般的な信頼をも加味した推測にすぎないというべきである。同スマートフォン内の同アプリの本件当日のデータを具体的にみても,同アプリは,①午前9時38分から午前10時05分までの間,②午前11時39分から午後0時05分までの間及び③午後0時25分から午後1時13分までの間の計測結果を記録しているのに対し,被告人Aは,①の時間帯に会館事務所でTとの打合せを行い,②の時間帯に国会内で代議士会及び衆議院本会議(午後0時02分から2分間)に出席し,③の時間帯に所属派閥の定例総会に出席するため砂防会館に移動後,着座して昼食をとったというのであり,時間の長短に差はあるにせよ,いずれも被告人Aが着席するなどして歩行していなかった時間帯があったことと整合しない。また,同アプリは午後0時05分から午後0時25分まで計測を停止しているが,この時間帯は,衆議院本会議の終了(午後0時04分)の直後から両院議員総会(午後0時15分開始予定)の開催中に相当しており,被告人Aが同スマートフォンを手放していたとも,国会内での徒歩移動が全くなかったとも考えにくい上,同総会中は着席,離席及び移動を繰り返していた旨の被告人Aの公判供述とも整合しない。 このように,被告人Aが同スマートフォンを携帯していたはずの時間帯に おいても,同アプリのデータと被告人Aの動静とが整合しない点が複数見受けられる以上,同アプリのデータは,計測時間と停止時間 うに,被告人Aが同スマートフォンを携帯していたはずの時間帯に おいても,同アプリのデータと被告人Aの動静とが整合しない点が複数見受けられる以上,同アプリのデータは,計測時間と停止時間のいずれも被告人Aの動静を正しく反映していないものというほかなく,その行動状況に関する認定を左右するほどの証明力を有しない。 小括以上によれば,弁護人が被告人Aの行動に関する客観証拠として指摘する証拠はいずれも証明力に乏しく,上記2に検討したD及びEの公判供述の信用性を何ら揺るがすものではない。 なお,被告人Aが国土交通省に帰着した時刻については,冒頭に認定した争いのない事実関係に従えば,おおよそ午後1時55分頃と認定するのが常識に適うものといえる。すなわち,運転日報に記載された「午後2時」という帰着時間について,公用車の専属運転手Uは,本件当日の記憶はないとしつつも,「被告人Aを正面玄関で降車させて公用車をガレージに入れた後に,自分の電波時計を見て,プラスマイナス5分程度の差で帰着時間を記載していた」旨述べているところ,この供述は,時刻の記載の点を含め,日頃の定型的な業務の実態を率直に述べた合理的内容と評価でき,十分に信用することができる。これに加え,国際緊急援助隊の表敬訪問の時刻(午後2時の二,三分前頃)も併せ考えると,被告人Aは,本件当日,おおよそ午後1時55分頃に国土交通省正面玄関に到着したと認めるのが相当である。 結局,被告人Aは,午後1時12分頃に昼食会場を後にしてから午後1時55分頃に国土交通省正面玄関に到着するまでの間に,会館事務所に立ち寄り,D及びEと面会することは時間的にも十分可能であったということができる。なお,被告人Aは,「昼食会場を出た後,全国町村会館内のn銀行のATMに立ち寄って残高照会をした」旨述べる 館事務所に立ち寄り,D及びEと面会することは時間的にも十分可能であったということができる。なお,被告人Aは,「昼食会場を出た後,全国町村会館内のn銀行のATMに立ち寄って残高照会をした」旨述べるが,何らの裏付けもない上,仮にこの供述を前提にしても会館事務所で面会を行うことが時間的・距離的に不可能となるものではないから,結論に影響しない。そして,現金300万 円の授受を否定する被告人Aの供述は,Eらによる現金供与の準備及び残金の確認・整理を強く裏付ける多数の客観証拠とは相容れないものというほかないから,信用することができない。 5 結論以上によると,被告人Aが300万円の供与を受けた事実が認められる。 そして,同時点までの被告人Aとa社との関係性等にも照らせば,この現金供与が被告人Aによるa社のIR事業参入への後押しを期待する趣旨でされたものであることは明白であるから,被告人両名におけるその認識はもとより,本件に係る共謀も認められる。 第2 証人買収(判示第2)について第1において検討したとおり,D及びEが,本件当日,会館事務所において,被告人Aに対して直接現金300万円を供与した事実が認められる以上,この供与の際に被告人Aがいなかった又はいなかった可能性がある旨の証言はD及びEの記憶に反する虚偽のものというほかはなく(以下,この趣旨の証言を指して「虚偽証言」という。),被告人Aにはその認識があったことに帰する。 そして,G及びHがEに対し,I及びJがDに対し,虚偽証言の報酬として現金等の供与の申込みをした事実は関係各証拠によって明らかに認められるから,以下,被告人Aとの間の共謀の有無の点を中心に検討する(以下,この項における日時は,特に断らない限り,令和2年のものである。)。 1 Eに対する証人買収⑴ 証拠によって明らかに認められるから,以下,被告人Aとの間の共謀の有無の点を中心に検討する(以下,この項における日時は,特に断らない限り,令和2年のものである。)。 1 Eに対する証人買収⑴ 認定事実Gの公判供述を中心とする関係各証拠によれば,Eに対する証人買収の経緯・状況として以下の事実を認めることができる。 ア被告人Aは,本件各収賄事件の起訴後の2月12日,当初の保釈許可決定により釈放された後,かねてからの支援者であるGと連絡をとり,3月13日に会った際,本件各収賄事件に関して無実であることを訴えた。 イ被告人Aは,5月26日にもGと会い,改めて無実を主張して,特に現金300万円の授受につき,本件当日は議員会館にいなかった旨話し,さらに,E,D及び被告人Bの供述を覆させる必要があるところ,Dには2000万円の対価を提示し,被告人Bには就職先をあっせんしたので,いずれも供述を覆させられそうである旨伝えた。その上で,被告人Aは,Gに対し,弁護士費用の支払や経済的援助をEにも提示して同様に供述を覆すよう話してほしい旨依頼し,Gはこれを引き受けた。Gは,HにEとの面会の段取りを依頼し,Hは,同月末から6月初め頃,Eに接触して,Gを含めて会食することの了承を取り付けた。 G及びHは,同月7日,判示のホテルg内の飲食店でEと会い,Eに対し,被告人Aの裁判で虚偽証言をするよう依頼し,その見返りとして,Eの弁護士費用をG側で負担するとともに,今後も面倒をみさせてもらう旨,継続的に経済的援助を行うことを申し入れたが,Eはこれを断った。Gは,この結果を被告人Aに報告した。 なお,G及びHは,この申入れの当時,Eに依頼する証言の内容がその記憶に反するものである可能性があると認識していた。 ウ Gは,同月20日に被告人A 断った。Gは,この結果を被告人Aに報告した。 なお,G及びHは,この申入れの当時,Eに依頼する証言の内容がその記憶に反するものである可能性があると認識していた。 ウ Gは,同月20日に被告人Aと会った際に,現金300万円を受領していないというのは嘘ではないかと質したが,被告人Aはこれを否定し,Dとは1億円で話が付いたなどと話した上,Eにも現金をぶつけたいので1000万円貸してほしい旨依頼した。 Gは,被告人Aの依頼をいったん了承したが,現金1000万円の提供という依頼の趣旨に沿いつつ,Eに受け入れられやすいよう段階を踏んだ提案をしようなどと考え,7月14日,自ら準備した現金500万円をHに預け,その際,同人に対し,まずはEに500万円を渡して被告人Aの弁護人と会って話すよう依頼し,その結果Eが弁護人を替えて被告人Aに有利な証言をすることになれば更に追加で弁護士費用等を支払う旨伝えて ほしい旨依頼した。Hは,同日,判示の自宅でEと会い,Gの依頼と同旨を述べて現金500万円を渡そうとしたが,Eは,これを拒否した。 Gは,同日夜,Hからの報告を受けて,これ以上Eと交渉するのは難しいと考え,同月15日,その旨被告人Aに報告した。被告人Aは,Gに対し,Eとの交渉を継続するよう求めたが,Gはこれを受け流した。 ⑵ Gの公判供述の信用性ア上記認定に供したGの供述は,全体として,同人と被告人A及びHらとの間の各種通信履歴や,H方から現金500万円が押収されたことなどに裏付けられている上,H,E(本件証人買収に関する限り,信用性に争いはない。),V1,V2及びV3らの供述ともよく符合している。 また,この証人買収は,成功すれば被告人Aのみがその利益を受け,失敗すれば同人に計り知れない打撃を与えるものであって,これが被告人 争いはない。),V1,V2及びV3らの供述ともよく符合している。 また,この証人買収は,成功すれば被告人Aのみがその利益を受け,失敗すれば同人に計り知れない打撃を与えるものであって,これが被告人Aの積極的関与なく実行に移されるとはそもそも考えにくい。しかも,被告人Aの当初の保釈後の限られた期間内に,Eに対する証人買収と並行して,S5を介した被告人Bに対する現金の提供及び就職先のあっせん(既述)やIらによるDに対する証人買収(後述)といった,現金授受の同席者に対する働きかけが複数行われており,これらの関与者がそれぞれ異なることからすれば,これに共通する唯一の受益者である被告人Aの積極的関与がないとはますます考え難い。このことは,被告人Aが別の対象者に対する証人買収の進捗状況に関する発言をしていたという特徴的な事実関係が,G及びIの公判供述の双方に現れていることによっても裏付けられている。 そうすると,「本件証人買収が被告人Aからの依頼に端を発しており,現金を提供すること自体やその額についてもまずは被告人Aから依頼ないし提案があった」旨のGの供述は,すぐれて合理的で自然なものというべきである。 さらに,Gが自身の公判で事実関係を認め,その有罪判決が確定してい ることに加え,本件証人尋問においても,2回に分けて段階的に現金を提供する旨の提案をしたという点については自らの発案である旨率直に供述するなど,殊更被告人Aに責任を押し付ける動機も供述態度もみられないことも併せ考えれば,Gの供述はその全体を十分信用することができる。 イ他方,被告人Aの供述は,「Gに対し,自分の弁護人と会うようEに助言する者はいないかと述べたことがあり,これを聞いたGがEに働きかけているのを黙認はしていたものの,Eに対する経済的援助を提案したり,E 方,被告人Aの供述は,「Gに対し,自分の弁護人と会うようEに助言する者はいないかと述べたことがあり,これを聞いたGがEに働きかけているのを黙認はしていたものの,Eに対する経済的援助を提案したり,Eに提供するために1000万円の借入れを頼んだりしたことはない」という趣旨のものである。 しかし,これを前提とすると,Gは,被告人Aの依頼を大きく逸脱して証人買収を独断で決め,自ら費用を負担してまで実行に移したということになるが,この証人買収の成否がもたらす結果や影響に照らすと,常識的にみておよそ考え難い事態である。また,被告人Aのいう依頼と,実際に行われた証人買収とではその内容に大きな乖離があるから,Gの誤解に基づく行動であるとも考えられない。結局,被告人Aの供述は不合理極まりないものというほかなく,全く信用できない。 結論 以上によれば,被告人Aは,6月7日にG及びHがEと会うに先立ち,Gに対し,Eに経済的援助を提示して虚偽証言をするよう働きかけることを依頼し,また,7月14日にHがEと会うに先立ち,Gに対し,Eに提示する金額を1000万円とすることを自ら提案するなどしており,Gを介してHともその意思を通じていたと認められるから,Eに対する証人買収の犯行につき,G及びHとの共謀を遂げていたことはもとより,同犯行を主導したものと認められる。 2 Dに対する証人買収⑴ 認定事実 Iの公判供述を中心とする関係各証拠によれば,Dに対する証人買収の経緯・状況として以下の事実を認めることができる。 ア被告人Aは,当初の保釈後に支援者であるIと連絡をとり,2月20日に会った際,本件各収賄事件に関して無実を訴えた上,現金300万円の授受につき,本件当日議員会館に行っておらず,Dらから現金の供与を受けた事実はなく,Dの供述 支援者であるIと連絡をとり,2月20日に会った際,本件各収賄事件に関して無実を訴えた上,現金300万円の授受につき,本件当日議員会館に行っておらず,Dらから現金の供与を受けた事実はなく,Dの供述を変えさせる必要があるなどと述べた。これに対し,Iは,自身が準備する現金をDに渡すことによって供述を変更させることを提案し,被告人Aもこれに賛同した。 イ被告人Aは,5月25日,Dに現金を提供して供述を変更させることについて具体的な話し合いをするためにIと会った際,Iから,Dに自分が直接接触する旨提案されてこれに難色を示したが,代わりにJを接触させる案には同意した。そこで,Iは,その場で被告人Aとも相談しながら共通の知人であるV4に電話して,JをDに紹介するよう依頼した。翌26日,Iは,Jと会い,事件の内容や関係者の供述内容等を説明した上で,Dに現金を渡して供述を変えさせる実行役を務めてほしい旨依頼し,その承諾を得た。そして,Jは,同月29日,V4を介してDと連絡を取り,6月1日に会う約束を取り付けた。 5月31日,被告人Aは,I及びJと会い,Jに対し,本件当日Dらと会っていない,Dには供述内容を変えてもらいたい,Dは金で転ぶだろうなどと述べ,IもJに対し,Dには1000万円程度を渡すつもりだなどと述べた。その上で,被告人Aは,Jに対し,まずはDとの人間関係を作るよう述べ,Jはこれを承諾した。 Jは,6月1日,Dと会い,Dから本件各贈収賄事件に関与して逮捕された旨聞き出した上,この結果につき,翌2日,被告人A及びIに対し,Dは金銭的に余裕がありそうなので,金銭で供述を変えさせることは難しいとの感触を伝えた。しかし,これに納得しない両名から強く求められた ため,Jは,翌3日にもDと会い,自分の先輩が被告人Aの後援会に入っ りそうなので,金銭で供述を変えさせることは難しいとの感触を伝えた。しかし,これに納得しない両名から強く求められた ため,Jは,翌3日にもDと会い,自分の先輩が被告人Aの後援会に入っていることを伝えた上,一緒に検察に一泡吹かせないかなどと誘ったが,Dはこれを断った。この結果はI及び被告人Aに報告された。 ウ被告人Aは,同月24日,I及びJに対し,次にJがDに会う際には現金を実際に交付してほしい旨提案した。しかし,原資を拠出するIにおいて,Dが供述を変えずに現金を持ち逃げすることを懸念して難色を示したため,現金の交付は見送られ,Dに対しては,供述を変えたら現金を渡すという話をするにとどめることになった。これを受けて,Jは,同月27日,判示のホテルhにおいて,Dに対し,裁判の場で虚偽証言をするよう依頼するとともに,その見返りとして1000万円を提供する旨申し入れたが,Dはこれを断った。この結果もIを介して被告人Aに報告された。 なお,I及びJは,この申入れの当時,Dに依頼する証言内容がその記憶に反している可能性があると認識していた。 エ 7月1日,I,J及び被告人Aが集まった際,被告人Aは,現金5000万円程度を実際に渡せば供述を変えられるのではないかと述べ,協議の結果,この提案のとおり,Dに対し,被告人Aの弁護人と面会することも条件に加えた上で現金を渡すことが決まった。この現金については,被告人Aが自ら用意する旨述べたが,Iからも自身が半分用意する旨の申し出がされた。また,この場で,被告人Aは,Eの供述変更については片が付いているなどとも述べた。 Jは,同月22日にDと会う約束を取り付け,このことは,Iを介して被告人Aに報告された。 この間,被告人A及びIは,各自が2000万円ずつ用意し,Dに合計4000万円を ているなどとも述べた。 Jは,同月22日にDと会う約束を取り付け,このことは,Iを介して被告人Aに報告された。 この間,被告人A及びIは,各自が2000万円ずつ用意し,Dに合計4000万円を提供する旨話し合っていたが,同月21日にJを含む3名がI方に集まった際,被告人Aは,現金1000万円のみを紙袋に入れて持参した。被告人Aが2000万円を持参したと誤解したIは,被告人A の滞在中に,自宅内の金庫から現金2000万円を取り出していったんJに交付したが,その後,Jから被告人Aの持参額は1000万円であったと聞き,自らも同額の1000万円を提供することとした。結局,JはI方から現金2000万円を持ち帰った。 Jは,同月22日,判示のホテルiでDと会い,持参した現金2000万円を実際に見せた上,これを対価として,被告人Aの裁判で虚偽証言をするとともにその弁護人と面会するよう依頼した。Dはこれを断りつつ,同日以降に予定されていたJの宮古島旅行中は現金2000万円を預かることを提案した上で,その際の状況を写真撮影するとともに(甲152添付資料1~3),現金を自宅に持ち帰って札束全ての帯封番号を写真撮影した(甲152添付資料4~44)。 その後,Jは,旅行から戻った同月26日夕方にDと会い,同様の依頼を重ねるも了承を得られないまま,現金2000万円の返還を受けたが,I及び被告人Aに対しては,Dが現金2000万円を受領し,依頼を了承した旨報告した。 ⑵ Iの公判供述の信用性ア Iの公判供述は,I,J及び被告人Aらの間の各種通信履歴,I方マンションの防犯カメラ映像,I方寝室内に設置された金庫の開閉履歴(甲157)等の客観証拠によって裏付けられているのみならず,信用性に争いのないV5及びV6の供述とよく符合し,Dの公判供 履歴,I方マンションの防犯カメラ映像,I方寝室内に設置された金庫の開閉履歴(甲157)等の客観証拠によって裏付けられているのみならず,信用性に争いのないV5及びV6の供述とよく符合し,Dの公判供述とも整合的である。 とりわけ,7月21日に被告人A自身が買収資金1000万円をI方に持参したという供述の核心というべき部分については,DがJから預かって写真撮影した現金の帯封番号が,後にJの交際女性方で押収された現金の帯封番号と全て一致し,その帯封の1本から被告人Aの指紋が検出されたという客観証拠によって強く裏付けられている。また,同日のI方マンションの防犯カメラ映像には,被告人Aが,来訪時には紙袋2個を所持し ていたのに対し,退去時にはこれらとは別の紙袋1個のみを手にする一方,Jが,来訪時には持っていなかった紙袋1個を所持して退去した状況が記録されており,これもIの上記部分に関する供述とよく整合する。さらに,Iの供述との齟齬が目立つJですら,被告人Aが買収資金1000万円を持参した事実についてIと同旨の供述をしている。 また,Dに対する証人買収が,被告人Aの積極的関与なくして実行に移されるとは考え難いものであることについては,Eに対する証人買収と同様であるから,「本件証人買収が,被告人AがIの提案に賛同したことに端を発しており,被告人Aは,Dと接触した結果が芳しくなかった旨の報告を聞いても納得せず,ついには,Dに対する買収資金の半額を自ら持参するなどした」旨のIの供述も,また合理的で自然なものといえる。さらに,Iについても,既に有罪判決が確定している上,自ら証人買収を提案し,Jを引き入れ,買収資金の残り半額を準備したことを認めた上,被告人Aの国政復帰への期待を述べるなど,殊更被告人Aに責任を押し付ける動機も供述態度もみ 有罪判決が確定している上,自ら証人買収を提案し,Jを引き入れ,買収資金の残り半額を準備したことを認めた上,被告人Aの国政復帰への期待を述べるなど,殊更被告人Aに責任を押し付ける動機も供述態度もみられないことも併せ考えれば,Iの供述はその全体を十分信用することができる。 イ次に,買収の実行役を務めたJの公判供述との整合性をみておくと,Jにおいても,「被告人Aを交えてDに対する働きかけについて話し合ってきた中で,6月24日に被告人Aの面前でDに現金の提供を申し入れる話が出て,7月21日に被告人AがI方へ現金1000万円を持参した」旨,大筋において被告人Aの関与を裏付ける供述をしている。 他方,Jの公判供述には,被告人AはDへの現金の提供に同調してはいたが,自らこれを求める発言をしたことがなかったなどという点において,Iの公判供述と齟齬する部分もみられる。しかし,Dに対する証人買収の犯行も,Eに対するものと同様,被告人Aの積極的関与なくして実行に移されるとは考え難いものであり,既述のとおり,Eに対する買収の提案に ついては被告人Aの側から行われている。そして,Dに対する証人買収についても,Iに買収資金の準備を任せたままにしておくわけでもなく,被告人A自らが1000万円を準備・持参していることにも照らすと,被告人AもDに対する現金の提供を求める趣旨の発言をしていたというIの供述は,やはり極めて自然な内容ということができ,Jの公判供述は,Iの供述に反しない限度で信用できるにとどまるというべきである。 なお,Jは,議員会館で現金300万円の供与を受けたことはない旨の被告人Aの言を信じていたとも供述するが,Jは,被告人Aが本件各収賄事件で起訴されていることを認識しているのみならず,その有罪立証の柱となることが明らかなDに対し 0万円の供与を受けたことはない旨の被告人Aの言を信じていたとも供述するが,Jは,被告人Aが本件各収賄事件で起訴されていることを認識しているのみならず,その有罪立証の柱となることが明らかなDに対し,多額の現金を提供するという明らかに不当な方法を用いて供述内容の変更を求めようとしていることも認識した上で証人買収に及んだのであるから,被告人Aの上記発言の真偽に疑念を有していたことが強く推認され,この疑念を払拭する事情の存在をうかがわせる証拠はない(Dは,Jに対し,本件当日会館事務所で被告人Aと会ったか定かでないなどとも発言したと認められるが,Jの疑念を払拭する事情というには遠く及ばない。また,この発言は駆け引きのためあえてされたものと認められるから,Dの公判供述の信用性判断にも何ら影響しない。)。そうすると,Jは,Dに最初に現金の提供の提案をした6月27日の時点までに,依頼する証言内容がDの記憶に反するものであることを少なくとも未必的には認識していたと認められる。 ウ他方,被告人Aは,Dに対する証人買収についても,「IによるDへの現金の提供の提案は固辞しており,その後もこれに関する発言や提案は一切しておらず,Dの買収資金としてI方に現金1000万円を持参したこともない」旨供述する。 しかし,I方への現金1000万円の持参を否認する部分は,既述の帯封からの指紋の検出結果等の客観証拠と整合しない。この点に関し,被告 人Aの弁護人は,証人買収とは無関係に以前被告人AがIに交付した現金がI方金庫に残存しており,これが今回IからJに渡ったため,被告人Aの指紋が検出された可能性を指摘するが,そのような現金交付があったことが証拠上うかがわれるのは令和元年7月12日の1回のみであり,Iに交付されたという現金の額(700万円ないし10 たため,被告人Aの指紋が検出された可能性を指摘するが,そのような現金交付があったことが証拠上うかがわれるのは令和元年7月12日の1回のみであり,Iに交付されたという現金の額(700万円ないし1000万円)及びその性状(帯封の有無や束ね方等)に加え,I方金庫における現金の管理・使用状況等に関するIの公判供述の内容にも照らせば,Iに交付された現金が金庫に入れられ,1年余りを経てなお残存していたという可能性は非常に低く,これを今回偶然IがJに渡すということは更に考え難いから,この指摘は当たらない。 さらに,被告人Aの供述を前提とすると,Iは,被告人Aが固辞した証人買収を独断で決め,自ら費用を負担してまで実行に移したということになるが,これがおよそ考え難い事態であることは,Eに対する証人買収において同様の立場にあったGに関して述べたとおりである。 被告人Aの供述は,ここでも全く信用することができない。 結論 以上によれば,被告人Aは,I及びJとの間で,6月27日にJがDと会うに先立ち,Dに現金を供与して虚偽証言をするよう働きかける旨取り決め,さらに,7月22日にJがDと会うに先立ち,Dに提供する現金の額及び交付の条件を協議して決めた上,自ら買収資金1000万円を準備するなどしていたのであるから,I及びJとの共謀は優に認められる。そして,被告人Aが,証人買収の犯行の唯一の受益者という立場から積極的な関与をしたことに照らせば,発案者がIであり,犯行の一部にIの意見を取り入れた点があるとしても,被告人Aが同犯行を主導したものというべきである。 第3 200万円の振込入金(判示第1の1の事実)について弁護人は,振込入金された200万円は講演料であって賄賂には当たらず, 被告人Bは賄賂性の認識を欠き,被告人Aはそもそも入金当 第3 200万円の振込入金(判示第1の1の事実)について弁護人は,振込入金された200万円は講演料であって賄賂には当たらず, 被告人Bは賄賂性の認識を欠き,被告人Aはそもそも入金当時その事実を認識していなかった旨主張するので,以下検討する。 1 賄賂性及び被告人Bにおけるその認識の有無既述のとおり,平成29年8月4日開催のシンポジウムにおける被告人Aの講演料は,Eと被告人Bとの間で事前に50万円と決まっていたにもかかわらず,シンポジウム終了後の同日夜,被告人Aから国土交通副大臣就任の内示を受けた旨聞かされたK1らは,a社のIR事業参入のためのより強い後押しを期待し,被告人Aとの関係を深めるため,この講演料を200万円に増額することを決め,同月8日,Eから被告人Bに対し,被告人Aの副大臣就任祝いとして花を贈る代わりに講演料を200万円に増額した旨のメッセージを送るなどした上で,同年9月1日,判示の200万円の振込送金に及んでいる。講演料名目であっても,このような経緯で顕著な増額がされ,副大臣就任祝いという増額の趣旨も明示されている以上,この200万円は,a社がIR事業に参入するために有利かつ便宜な取り計らいを受けるべく,直接の職務権限を有する被告人Aとの関係を深めることを主目的として供与されたもの,すなわち賄賂であったことは明らかである。講演等の対価の趣旨が併存しているとしても,就任祝い部分と講演料部分の区別なく一体のものとして供与された以上,その全部が不可分的に賄賂に当たるものというほかはない。 そして,被告人Bは,当時既にa社がIR事業参入を目指していることを認識しており,その上で増額の趣旨を明示したEの上記メッセージを閲読したと認められるから(乙8添付資料6),この200万円の賄賂性を認識していたことは明ら 既にa社がIR事業参入を目指していることを認識しており,その上で増額の趣旨を明示したEの上記メッセージを閲読したと認められるから(乙8添付資料6),この200万円の賄賂性を認識していたことは明らかである。この趣旨を述べた被告人Bの検察官調書には高い信用性が認められる一方,就任祝いではなく講演の対価にすぎないと認識していた旨の公判供述は,上記メッセージに明らかに反する不合理なものであって,信用できない。 2 被告人Aの認識及び被告人両名の共謀の有無 この点に関する被告人Bの検察官調書は,要するに,「被告人Aに対し,シンポジウムの日時場所や内容のみならず50万円の講演料についても平成29年6月中に報告して了承を得ており,更に同年8月中旬頃には,副大臣就任祝いの趣旨で講演料が200万円に増額された旨報告して了承を得,入金確認後にその事実も報告した」というものである。 被告人Bの検察官調書がその供述情況等に照らし全体として信用できることは既述のとおりである。本件に関する供述内容を具体的に見ても,被告人Bは,捜査・公判を通じ,「A事務所では,秘書らが支援者から寄附や陣中見舞い等を受け取った場合には,被告人A自身がその支援者に謝意を示す必要があるため,寄附等を受けた事実及びその金額を被告人Aに報告する取扱いになっていた」旨供述しており,その限りでは信用性に争いはない。そして,既述のとおり本件増額の事実及びその趣旨を被告人Bが認識していたと認められる以上,この増額が講演等の対価の支払にとどまらない特別な支援であることは同人にとって明らかであったと認められるから,増額の事実及び趣旨を被告人Aに報告した旨の検察官調書の内容は,上記取扱いの趣旨に沿う自然で合理的なものということができる。また,事前に講演料の額を報告したとする点につい かであったと認められるから,増額の事実及び趣旨を被告人Aに報告した旨の検察官調書の内容は,上記取扱いの趣旨に沿う自然で合理的なものということができる。また,事前に講演料の額を報告したとする点についても,講演の日時場所等とともに講演料の存在・額についてもEから伝えられていたにもかかわらず,あえて講演料に関する事柄を除外して報告する理由が見当たらない一方で,上記取扱いの趣旨にも照らすと,50万円の講演料が予定されているという事実は,シンポジウム当日に被告人Aがa社側に対して謝辞を述べるなどの適切な対応をするために必要ないし有益な情報であったということができるから,これを報告したという被告人Bの検察官調書の内容は,やはり自然で合理的なものといえる。 これらの報告を否定する被告人両名の公判供述は,本件シンポジウムに関しては上記取扱いの趣旨を損なう事態を引き起こしかねない運用をしたという不自然なものであって,上記取扱いに反して増額の事実すら報告がされなかった 理由につき何ら首肯できる説明もないから,いずれも信用できない。 以上によると,被告人Aも,被告人Bの報告により講演料の増額の事実及びその賄賂性を認識し,その上で同人と意を通じて200万円の振込入金を受けたと認められるから,故意及び共謀に欠けるところはない。 第4 深圳・マカオ旅行及びルスツ旅行(判示第1の3及び4の事実)について深圳・マカオ旅行及びルスツ旅行の代金につき,被告人Bは,A事務所が負担するものと思っていた旨,被告人Aは,秘書らにおいて当然支払ったものと思っていた旨供述し,故意及び共謀を争っている。 さらに,被告人Aの弁護人は,検察官が主張する個別の賄賂に関しても,①深圳・マカオ旅行中のカジノにおけるチップの供与の有無,②同旅行における高級ブランドの財布の購 述し,故意及び共謀を争っている。 さらに,被告人Aの弁護人は,検察官が主張する個別の賄賂に関しても,①深圳・マカオ旅行中のカジノにおけるチップの供与の有無,②同旅行における高級ブランドの財布の購入代金負担の賄賂性,③同旅行におけるプライベートジェットによる渡航の利益及びルスツ旅行における宿泊の利益の金銭評価を争っている。 1 認定事実関係各証拠によれば,深圳・マカオ旅行及びルスツ旅行の経緯・状況等について,以下の事実を認定することができる。 K1は,200万円の振込入金及び現金300万円の供与を経た平成29年10月27日,被告人Aの衆議院議員当選を祝うため,C及びDらを伴って会館事務所を訪れた際,被告人Aに対し,a社本社とマカオのカジノに招待する旨述べ,被告人Aは12月に行きたいなどと応じた。これを受けて,被告人BとEの間では,深圳・マカオ旅行の日程や参加者の調整が行われた。 被告人Bは,同年12月7日にD及びEと面談した際,Dから,被告人Aが深圳・マカオ旅行の代金を支払った形にしてはどうかとの提案を受けたことから,被告人Aの後援会口座から旅行代金相当額を引き出しておくこととした。被告人Bは,後日Eからその額が128万円である旨の連絡を受け,旅行代金を支払った形にするため同口座から形だけ128万円を下ろしておく旨被告人Aに報告してその了承を得た上,同月26日,同口座から128 万円を引き出し保管した。 被告人両名は,同月27日から同月29日まで,ハイヤーによる空港への送迎,プライベートジェットによる渡航・移動,高級な設備を備えるホテル客室への宿泊,ショーの観覧,カジノでの遊興等の内容を含む深圳・マカオ旅行に参加した。その間,K1は,同月27日夜,被告人Aを始めとする旅行参加者に自らチップを配布し,その際, な設備を備えるホテル客室への宿泊,ショーの観覧,カジノでの遊興等の内容を含む深圳・マカオ旅行に参加した。その間,K1は,同月27日夜,被告人Aを始めとする旅行参加者に自らチップを配布し,その際,W1(被告人Aの誘いでこの旅行に同行していた。)及び被告人Bはそれぞれ2枚を受け取った。また,K1は,同月28日には,被告人Aのショッピングに自ら同行し,同人が土産に購入したエルメスの財布の代金を負担した。 a社は,留寿都村を中心に大規模な観光事業を展開し,同村へのIR誘致を検討していたc社と提携し,同村におけるIR事業に参入することも検討していたことから,深圳・マカオ旅行にはc社の常務取締役であるXも同行していた。Xは,同旅行中,被告人Aに対し,ルスツリゾートに是非来訪されたい旨発言し,被告人Aは,その頃,被告人Bに対し,ルスツ旅行のため平成30年2月頃の日程を確保するよう指示した。その後,被告人Aの希望により,その妻子もルスツ旅行に参加することが決まった。 被告人Bは,Eとの間でルスツ旅行の日程等の調整を行っていた同年1月21日,Eから,「2/11と2/13の航空券を私が手配いたします。」,「都内⇔羽田空港間は,タクシーのご利用をお願い申し上げます。お一人様片道1万円をお車代としてご用意させて頂きます。」などと記載したメッセージを受信していた(甲130添付資料2,乙18添付資料2)。 被告人A,その妻子及び被告人Bは,判示の日程の中でそれぞれルスツ旅行に参加し,リゾートホテルと同一建物の最上階に位置する客室に宿泊するとともに,c社が運営する施設で飲食遊興するなどした。 被告人両名は,深圳・マカオ旅行及びルスツ旅行の代金を支払わなかった。 それにもかかわらず,被告人Bは,被告人Aの後援会の政治資金収支報告 書の 営する施設で飲食遊興するなどした。 被告人両名は,深圳・マカオ旅行及びルスツ旅行の代金を支払わなかった。 それにもかかわらず,被告人Bは,被告人Aの後援会の政治資金収支報告 書の提出期限が近付いてきた同年3月12日,Eに対し,深圳・マカオ旅行の代金の領収書の発行を依頼するメッセージを送信した(甲127添付資料1,乙15添付資料1-1)。そこで,Eは,同旅行とは無関係のDの関係先会社の名義で,領収金額を128万円とする2017年12月26日付けの領収書を2通(付された番号が異なる。)作成し(甲127添付資料3-1,2),平成30年3月28日頃被告人Bに交付した(甲127添付資料4-1,2,乙15添付資料5)。 2 各旅行の費用負担に対する認識深圳・マカオ旅行深圳・マカオ旅行に至るまでの経緯等,とりわけ,被告人Aが国土交通副大臣兼IR担当内閣府副大臣に就任し,a社が2回にわたって合計500万円を供与した後に,K1自らの誘いを契機として実行に移されたものであり,同社の本社とマカオのカジノが主要な目的地であることなどに照らせば,a社がIR事業に参入するために有利かつ便宜な取り計らいを受けるべく,IR事業につき直接の職務権限を有する被告人Aを無償で接待する意図の下に同旅行を行おうとしていることを被告人両名が事前に容易に推察できる状況であったと認められる。旅行の内容も贅沢ぶりが際立っており,K1自身が被告人Aのショッピングに同行しその代金まで負担している以上,被告人両名,特に被告人Aが旅行中にこの意図を見て取ることは一層容易であったといえる。これらによれば,検察官の主張するその余の点を検討するまでもなく,被告人両名は,この旅行がa社側の費用負担による無償の接待旅行であることを当然認識していたものと強く推認することがで あったといえる。これらによれば,検察官の主張するその余の点を検討するまでもなく,被告人両名は,この旅行がa社側の費用負担による無償の接待旅行であることを当然認識していたものと強く推認することができる。この旅行に同行していたW1及びW2が,被告人Aのための接待旅行と考えていたことも,この推認を裏付けるものといえる。 そして,これに関するD及びEの公判供述並びに被告人Bの検察官調書は,上記推認に沿う合理的な内容であり,客観証拠により相当程度裏付けられて いる上,相互に符合してもいるから,十分信用できる。これらの供述によると,上記1のとおり,被告人Bは,被告人Aの了承を得た上,出発直前に被告人Aの後援会口座から128万円を引き出して旅行代金の支払の仮装を図ったと認められ,この事実によっても,被告人両名が,同旅行はa社側が費用を負担する無償の接待旅行であると認識していたことが強く裏付けられている。 弁護人は支払仮装の点についても上記各供述の信用性を争うが,深圳・マカオ旅行直前の後援会口座からの引出額が128万円であったのに対し,後日被告人BからEへの依頼により128万円の領収書が2通作成されており,引出額と領収書記載額の合計とが大きく食い違っているところ,この点は,これらがいずれも支払を仮装するための行為であったとして初めて合理的に理解できるものであり,この食い違いの原因が領収書作成時点におけるEの失念である旨の説明も,そもそも代金支払がなかったことを前提とすれば十分首肯できる。さらに,被告人Bが,適法な資金処理を装う目的で後援会口座から多額の現金を引き出すという,被告人Aにとって軽視できないリスクのある不適正な処理をあえて行うにつき同人の了承を得たというのも極めて自然である。 なお,弁護人は,Eから深圳・マカオ旅行 会口座から多額の現金を引き出すという,被告人Aにとって軽視できないリスクのある不適正な処理をあえて行うにつき同人の了承を得たというのも極めて自然である。 なお,弁護人は,Eから深圳・マカオ旅行の請求書2枚を受け取った旨のYの公判供述等に依拠して,同旅行代金の未払の事実自体をも争っている。 しかし,同供述は,請求書の受領時期もその体裁も当時A事務所の経理事務を担当していた被告人Bへの引継ぎ方法も覚えていないという曖昧なもので,何らの裏付けも伴わないから,これを引用したにとどまる被告人両名の公判供述も含めて信用できないというべきであり,上記の認定を左右しない。 さらに,弁護人は,被告人Aが当初同旅行に官僚を同行させようとしたことを指摘して,これが参加者において旅費を負担すると認識していたことの表れであるとも主張するが,官僚の同行を計画段階で断念している以上,上 記認定には影響しない。 以上によれば,被告人両名は,深圳・マカオ旅行が既述の意図によるものであり,その旅費はa社側が負担するものと認識していたと認められるから,被告人両名のいずれも故意及び共謀に欠けるところはない。 ルスツ旅行ルスツ旅行は,既に2回にわたり被告人Aに合計500万円を供与していたa社の提携相手であるc社の幹部が,既述のとおり被告人Aに対する無償接待の意図が明らかな深圳・マカオ旅行の最中に被告人Aを誘ったことに端を発するものである上,同人による家族の同行希望が容れられ,家族の分も含め,往復の交通手段,最上級客室への宿泊及び現地における飲食遊興等の一切が丸抱えで提供されたものであることも併せ考えれば,被告人両名は,ルスツ旅行が,c社及びa社がIR事業に参入するために有利かつ便宜な取り計らいを受けるべく,直接の職務権限を有する被告人Aを無償で接待す 丸抱えで提供されたものであることも併せ考えれば,被告人両名は,ルスツ旅行が,c社及びa社がIR事業に参入するために有利かつ便宜な取り計らいを受けるべく,直接の職務権限を有する被告人Aを無償で接待する意図の下に行われるものであり,その費用は両社の側において負担するものと認識していたことが強く推認される。被告人Bが,東京における空港へのタクシー代として片道1人1万円を支払う旨の連絡をEから受けていたことは,被告人Bに係る上記推認を一層強固にするものである。これらの推認に反する被告人両名の公判供述は,同旅行に至った経緯及び旅行の内容にそぐわない不自然なものであるから,信用できない。 以上によれば,被告人両名は,ルスツ旅行が既述の意図の下に行われるものであり,その旅費はc社及びa社が負担するものと認識していたと認められるから,故意及び共謀に欠けるところはない。 3 個別の賄賂の有無・金銭評価等チップの供与の有無及び額被告人Aは,「深圳・マカオ旅行1日目の夜には,1人だけ遅れてカジノへ行ったため,K1からチップを受け取らなかった」旨供述している。 しかし,W1は,旅行1日目の夜,宿泊先のホテルにチェックインした後,旅行参加者全員で隣接するカジノに移動し,その入口付近で,K1が被告人Aから順にチップを配布した状況を,両者の具体的な動作にも言及しながら詳細に供述しており,被告人Bの検察官調書及びK2の公判供述の内容もこれに符合する上,W1及び被告人Bは,この際に自身もK1からチップ2枚をそれぞれ受け取った旨,自己の社会的評価を損ないかねない事実についても率直に述べている。また,IR事業への参入を目指していたa社が,招待客らにチップを供与する計画を立てておきながら,IR担当の現職副大臣であった被告人Aを伴わずにカジノへ行 ないかねない事実についても率直に述べている。また,IR事業への参入を目指していたa社が,招待客らにチップを供与する計画を立てておきながら,IR担当の現職副大臣であった被告人Aを伴わずにカジノへ行くとも,同人以外の招待客にのみチップを供与するとも考え難いことからすれば,これらの供述はすぐれて自然で合理的な内容ということができる。以上によれば,W1の公判供述及び被告人Bの検察官調書は十分信用できる。 W1及び被告人Bは,被告人Aが受け取ったチップの枚数までは目撃していないというが,以上の検討に照らせば,被告人Aが受領したチップの額は,W1及び被告人Bが受領したチップ2枚に相当する額を下回ることはないと推認することができ,この推認は,K1が被告人Aに対してのみチップをつかんで渡していた旨のW1の供述とも整合的である。そして,W1及び被告人Bが受領したチップが,少なくとも1枚当たり1万香港ドル相当であることは,W1が旅行中に友人に送ったメッセージ(甲29添付資料6)及び被告人Bがその残金を日本円に両替した結果(乙14添付資料4)から優に認めることができる。 以上によれば,被告人Aは,K1から,少なくとも2万香港ドル相当のチップ(供与当日である平成29年12月27日のTTM(1香港ドル=14. 52円)による円換算額29万0400円)を受領したと認められる。 高級ブランドの財布の購入代金負担の賄賂性被告人Aは,自らが購入したエルメスの財布の代金をK1が支払ったこと は認めつつ,いずれK1に相応の返礼をするつもりであった旨述べ,これを前提に,被告人Aの弁護人は,この代金支払は社会的儀礼の範囲である旨主張する。 しかし,上記1の認定事実によれば,K1らは,同旅行全体を通じ,被告人Aを無償で接待する目的で,被告人Aの要望も取 を前提に,被告人Aの弁護人は,この代金支払は社会的儀礼の範囲である旨主張する。 しかし,上記1の認定事実によれば,K1らは,同旅行全体を通じ,被告人Aを無償で接待する目的で,被告人Aの要望も取り入れながら物品の贈答をも含む種々の接待を行っていたのであるから,旅行中に被告人Aに供与された財物及び役務の全てが賄賂に当たると認められ,財布の代金負担のみを取り出してその性質を論じることがそもそも失当である。したがって,この財布の購入代金をK1が負担したことも賄賂に該当する。 利益の金銭評価被告人Aの弁護人は,プライベートジェットによる渡航の利益及びルスツ旅行における宿泊の利益の金銭評価についても争うので,付言しておく。 まず,賄賂の金銭評価は,収受した者の主観ではなく,その財物や役務の客観的な経済的価値によるべきであるところ,本件渡航に係る輸送契約書(甲140添付資料1)の内容は,同書記載の機種の航空機を使用して,平成29年12月27日に羽田・深圳間及び深圳・マカオ間の,同月29日にマカオ・羽田間の貸切輸送を提供するというものであるから,この契約に基づき支払われた利用代金は,この貸切輸送の提供という役務の客観的な経済的価値をそのまま反映したものであると認められる。そして,同契約書には利用代金額が現実の搭乗者数により変動する旨の記載はなく,搭乗者の情報は出発1営業日前の連絡で足りるとされていることに照らすと,この役務は1機単位で提供されたものと認められ,そうすると,各搭乗者の利益の金銭評価は,同利用代金を現実の搭乗者数で除した額によるのが最も合理的である。 したがって,同利用代金を現実の最大搭乗者数で除した金額により被告人Aの渡航の利益を評価した検察官の手法は正当である。 次に,ルスツ旅行において被告人Aらが宿泊した客室は,ホテルで も合理的である。 したがって,同利用代金を現実の最大搭乗者数で除した金額により被告人Aの渡航の利益を評価した検察官の手法は正当である。 次に,ルスツ旅行において被告人Aらが宿泊した客室は,ホテルではなく, 通常は一般客の宿泊には供されていないものの,ホテルであるoと同一の建物内の最上階にある3層式の客室で,階下にある同ホテルの最上級客室(2層式)より床面積が広いと認められる。そうすると,被告人Aらの宿泊の利益の経済的価値は,同ホテルの最上級客室に同じ日程で宿泊した場合のそれを下回るものではないと認められるから,検察官の主張するとおり,判示の日程における同客室の平均販売単価(1室1泊7~8万円台)を用いて,合計23万1331円と評価するのが相当である。 【量刑の理由】 1 本件は,国土交通副大臣兼IR担当内閣府副大臣であった被告人A及びその政策担当秘書であった被告人Bが,共謀の上,IR事業への参入を目指していた中国企業等から,①副大臣就任直後に200万円の振込入金,②衆議院解散当日に現金300万円の供与,③深圳・マカオ旅行への無償招待,④ルスツ旅行への無償招待を受け,賄賂(合計約758万円相当)を収受したという4件の収賄,被告人Aが,その支援者らと共謀の上,贈賄の実行犯2名に対し,虚偽証言の報酬として現金等の供与を申し込んだという2件の証人買収からなる事案である。 2 まず,収賄事件についてみると,被告人Aは,被告人Bと共謀の上,副大臣就任直後から合計500万円もの供与を受けた上,深圳・マカオ旅行の際には,ハイヤーによる送迎に始まり,プライベートジェットで渡航・移動して現地で終始贅を尽くした露骨な接待を受け,さらに,ルスツ旅行の際にも,妻子の分も含め,往復の交通手段から宿泊・飲食遊興に至るまで,程度の差はあれ至れり尽 に始まり,プライベートジェットで渡航・移動して現地で終始贅を尽くした露骨な接待を受け,さらに,ルスツ旅行の際にも,妻子の分も含め,往復の交通手段から宿泊・飲食遊興に至るまで,程度の差はあれ至れり尽くせりの特別待遇を受けている。およそ半年の間に行われた一連の収賄によって,被告人Aが贈賄側との関係を深め,たびたびIR関連立法につき立ち入った内容の情報提供を行うなどして便宜を図ったことも併せ考慮すると,被告人Aは,政府が推進する大規模施策であって社会的関心も高いIR事業を所管する中央官庁において,大臣に次ぐ要職にありながらその自覚を著しく欠き,特定の企業と癒着していたというほかなく,職務の公正及びこれに対する社会一般の信頼をことのほ か大きく損なったというべきである。 もっとも,被告人Aは,贈賄側からの積極的な接触・働きかけに応じたもので,自ら殊更に賄賂を要求したわけではなく,また,賄賂の額も国政の要職にある者による事案として著しく高額とまではいえず,贈賄側への便宜供与の内容も情報提供の範ちゅうにとどまっており,贈賄側が企図したIR事業参入に特段の成果をもたらした形跡もない。そして,被告人Bは,被告人Aの秘書としてその了承を得ながら贈賄側の実行犯との連絡調整を担うなどという従属的な立場にあったにとどまる。したがって,被告人Bに対しては刑の執行を猶予するのが相当であり,さらに,被告人Aに関しても,本件収賄に限っていえば,刑の執行猶予を選択する余地がなお残されていたといえる。 しかしながら,次にみるとおり,被告人Aは,本件収賄で起訴されて保釈された直後から,あろうことか贈賄犯の買収という前代未聞の司法妨害に及んだものであり,事ここに至ってはその道も閉ざされたというべきである。 3 そこで,被告人Aに係る証人買収事件についてみる て保釈された直後から,あろうことか贈賄犯の買収という前代未聞の司法妨害に及んだものであり,事ここに至ってはその道も閉ざされたというべきである。 3 そこで,被告人Aに係る証人買収事件についてみると,その犯行態様は,現金300万円の授受に関する検察官立証の核となるべき贈賄側の実行犯2名に虚偽の証言をさせようと企て,その実行を担った共犯者らが,当初は意図を隠して接触し,虚偽の証言を断られると報酬の増額を提示し,更には多額の現金を持参して見せるなどしながら複数回にわたって働きかけたという執拗なものであった。 供与を試みた利益の大きさのほか,密室における現金授受という事案の性質等に鑑みると,これが奏功するおそれは決して小さいものではなく,その場合,上記事案のみならず一連の収賄事件の結論を根本から覆す危険性さえあったといっても過言でないのであって,この犯行は,刑事司法作用を害する危険性がとりわけ高いものであったといわなければならない。これらの証人買収において,被告人Aは,その支援者に実行を依頼して随時報告を受け,対象者の1人に供与する現金の半額を自ら準備するなど,積極的かつ主導的に犯行を推し進める立場にあったことが明らかである。 4 そして,本件を通じてみると,被告人Aは,立法及び行政の両面で重要な公職にありながら,特定の企業からの度重なる買収工作に応じ,その責任を追及される立場に転じるや,贈賄犯を買収する側に回り,露骨な司法妨害に出たのであって,買収という卑劣な手段に訴えて公の作用をゆがめようとする行為に対する罪悪感をおよそ見て取ることができない。被告人Aは,公人としての倫理観はおろかこの種の犯罪に関する最低限の遵法精神すら欠如しているというほかないのであって,厳しい非難に値する。 以上によると,被告人Aの刑責はかなり重く ことができない。被告人Aは,公人としての倫理観はおろかこの種の犯罪に関する最低限の遵法精神すら欠如しているというほかないのであって,厳しい非難に値する。 以上によると,被告人Aの刑責はかなり重く,みるべき前科がないことを踏まえても,実刑を免れないことはもとより,その刑期についても,相応の長期に及ばざるを得ないと判断した。 (検察官の求刑被告人Aにつき懲役5年及び主文掲記の追徴,被告人Bにつき懲役2年)令和3年9月17日東京地方裁判所刑事第3部 裁判長裁判官丹羽敏彦 裁判官長池健司 裁判官佐藤有紀
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