主文 1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨(1)被告が原告に対し,平成11年6月18日付けでなした産業廃棄物処理施設設置許可申請不受理処分を取り消す。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 被告の本案前の答弁主文同旨第2 当事者の主張 1 請求原因(1) 原告は,産業廃棄物等の中間処理施設の建設及び経営等を目的とする有限会社であり,群馬県富岡市α2165番地1外3筆において,産業廃棄物処理場(焼却)施設の設置を計画している。 (2) 原告は,被告に対し,平成11年6月4日,産業廃棄物処理施設設置の許可申請(以下「本件申請」という。)をなした。(3) 被告は,同月18日付けで,原告に対し,本件申請の申請書を返戻した(以下「本件返戻行為」という。)。 (4) 本件返戻行為は,被告において本件申請を受理しない意思を示したものであり,これは,本件申請についてその受理を拒否した行政処分であるが,この処分は,何ら法律上の根拠もなく,違法である。 (5) よって,原告は,被告に対し,上記処分の取消を求める。 2 本案前の抗弁原告は,本件返戻行為を不受理処分と主張するが,書類を返却する行為は事実行為であって,行政処分ではない。また,行政手続法7条は,「受理」の概念を排斥し,申請の「受理」は,事務処理手続上の行為にすぎず,処分とはいえないものであるから,「不受理処分」という処分を,そもそも行政手続法上観念することができない。 よって,原告の本件訴えは,取り消されるべき処分が存在しないから,訴訟要件を欠き不適法であり,却下されるべきである。 3 本案前の主張に対する原告の反論被告は,本件申請の申請書を返戻する際,「貴社から平成11年6月7日送付され されるべき処分が存在しないから,訴訟要件を欠き不適法であり,却下されるべきである。 3 本案前の主張に対する原告の反論被告は,本件申請の申請書を返戻する際,「貴社から平成11年6月7日送付されました同年6月4日付け標記書類に関する廃棄物処理施設設置計画については,群馬県廃棄物処理施設の事前協議等に関する規程第12条の規程に基づき,平成11年3月11日付けで不承認となっております。本県では,同事前協議規定に基づき不承認とされた計画については,設置許可申請に関する書類を受理しないこととしており,このことは,県主務課にも確認済みです。」などと記載した書面を添付した。これによると,被告が本件申請の申請書を返戻したのは,単なる事実行為ではなく,本件申請を受理する意思はない,よって,書類は返却するというものである。原告は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律15条などの規定に基づいて認められた本件申請にかかる申請権を,上記のような本件返戻行為により侵害されたものであるから,本件返戻行為に,処分性が存することは明らかである。 第3 当裁判所の判断 1 一件記録(甲第1,第2号証及び弁論の全趣旨)によれば,次の事実が認められる。 (1) 原告は,本件計画地に産業廃棄物処理場(燃焼)施設を設置する計画をし(以下「本件計画」という。),平成10年9月3日付けで,群馬県廃棄物処理施設の事前協議等に関する規程12条の規定に基づいて,事前協議の申請をなしたところ,被告は,平成11年3月11日付けで原告の上記計画を不承認とする旨の決定をなした。 (2) 原告は,平成11年6月4日,被告に対し,本件計画についての許可申請である本件申請をなした。 (3) 被告は,本件申請に対し,その申請書を,平成11年6月18日付けで,下記の文書が記載された「「産業廃棄物処理施設設置 6月4日,被告に対し,本件計画についての許可申請である本件申請をなした。 (3) 被告は,本件申請に対し,その申請書を,平成11年6月18日付けで,下記の文書が記載された「「産業廃棄物処理施設設置許可申請書」に関する書類の返却について」と題する書面を添付して返戻した。 記「貴社から平成11年6月7日送付されました同年6月4日付け標記書類に関する廃棄物処理施設設置計画については,群馬県廃棄物処理施設の事前協議等に関する規程第12条の規程に基づき,平成11年3月11日付けで不承認となっております。 本県では,同事前協議規程に基づき不承認とされた計画については,設置許可申請に関する書類を受理しないこととしており,このことは,県主務課にも確認済みです。 よって,標記書類を返却します。 なお,当然ながら当該書類の内容についての審査は行っておりませんので申し添えます。」 2 以上認定した事実,特に,被告が,原告に対し,本件申請の申請書を返戻した際に添付した書面の中に,「当然ながら当該書類の内容についての審査は行っておりません」旨の記載があることからすれば,被告が,本件申請につき,その内容を具体的に審査することなく,本件返戻行為をしたものということができるから,本件返戻行為の性質は,申請についての審査の拒否と認められ,原告は,これが受理拒絶の行政処分に当たるとするところである。 しかしながら,廃棄物の処理及び清掃に関する法律は,私人が,行政庁に対し,同法14条及び同法15条の各規定に基づく申請をした場合,行政庁の受理等の行為を予定しておらず,不受理の場合を念頭に置いた規定もないのであるから,被告は,本件のような申請が被告に到達した以上,直ちに審査を開始し,申請に対する最終的な行政処分をなすことが義務づけられているというべきであって,上記審査 場合を念頭に置いた規定もないのであるから,被告は,本件のような申請が被告に到達した以上,直ちに審査を開始し,申請に対する最終的な行政処分をなすことが義務づけられているというべきであって,上記審査の拒否はあくまで事実上の措置というほかはない。確かに,本件返戻行為においては,事前協議の段階で原告の申請した計画が不承認とされたため本件申請は受理しない旨の理由が記載された書面が添付されていることから,事実上本件申請を許可しない意思を示したととれなくもないが,仮にそうであるとしても,本件申請に対する審査及びこれに基づく行政処分がなされていない以上,上記事実上の受理拒絶のみをもって何らかの法的効果を伴う行政処分がなされたと認めることはできない。 そうすると,原告が主張する本件申請の受理拒否処分の存在は認められない以上,本件訴えは不適法である。 3 よって,本件訴えは不適法であるからこれを却下することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 前橋地方裁判所民事第2部裁判長裁判官東條宏裁判官舘内比佐志裁判官鈴木雄輔
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