- 1 -主文 被告A市長が,別紙行為者・損害額一覧表「認容」欄に丸印の付いた各被告らに対し,同一覧表「損害賠償額」欄記載の各金員の支払を請求しないことが違法であることを確認する。 A市に対し,(1)被告B2は,4億5090万4000円(2)被告B3は,4億1023万4000円(3)被告B4は,4億9091万3000円(4)被告B5は,3億6625万円(5)被告B6は,2億1487万6000円(6)被告B7は,1735万2000円(7)被告B8は,6億7764万5000円(8)被告B9は,4億0479万1000円(9) 被告B10は,2億1423万7000円(10) 被告B11は,7379万4000円(11) 被告B12は,1億8541万1000円(12) 被告B13は,5246万7000円(13) 被告B14は,5億4700万3000円(14) 被告B15は,5億3543万3000円(15) 被告B16は,2億1423万7000円(16) 被告B17は,8768万9000円(17) 被告B18は,1735万2000円及び各金員に対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告らの被告番号1及び3ないし19の被告らに対するその余の請求並びに被告番号2及び20ないし46の被告らに対する請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,原告らに生じた費用の110分の15及び被告A市長に生じた費用を被告A市長の負担とし,原告らに生じた費用の110分の10及び被告B2に生じた費用を被告B2の負担とし,原告らに生じた費用の110分の9及び被告B3に生じた費用を被告B3の負担とし,原告らに生じた費用の110分の9及び被告B4に生じた費用を被告B4の負担とし,原告らに生じた費用 被告B2の負担とし,原告らに生じた費用の110分の9及び被告B3に生じた費用を被告B3の負担とし,原告らに生じた費用の110分の9及び被告B4に生じた費用を被告B4の負担とし,原告らに生じた費用の110分の8及び被告B5に生じた費用を被告B5の負担とし,原告らに生じた費用の110分の7及び被告B6に生じた費用を被告B6の負担とし,原告らに生じた費用の110分の2及び被告B7に生じた費用を被告B7の負担とし,原告らに生じた費用の110分の9及び被告B8に生じた費用を被告B8の負担とし,原告らに生じた費用の110分の7及び被告B9に生じた費用を被告B9の負担とし,原告らに生じた費用の110分の3及び被告B10に生じた費用を被告B10の負担とし,原告らに生じた費用の110分の2及び被告B11に生じ- 2 -た費用を被告B11の負担とし,原告らに生じた費用の110分の2及び被告B12に生じた費用を被告B12の負担とし,原告らに生じた費用の110分の1及び被告B13に生じた費用を被告B13の負担とし,原告らに生じた費用の110分の9及び被告B14に生じた費用を被告B14の負担とし,原告らに生じた費用の110分の9及び被告B15に生じた費用を被告B15の負担とし,原告らに生じた費用の110分の3及び被告B16に生じた費用を被告B16の負担とし,原告らに生じた費用の110分の2及び被告B17に生じた費用を被告B17の負担とし,原告らに生じた費用の110分の1及び被告B18に生じた費用を被告B18の負担とし,その余の費用を原告らの負担とする。 この判決は,第2項に限り仮に執行することができる。 事実及び理由 第1請求 被告A市長が,別紙行為者・損害額一覧表の被告らに対し,同一覧表「損害賠償額」欄記載の金員の内,かっこ内に記載した各金員の 判決は,第2項に限り仮に執行することができる。 事実及び理由 第1請求 被告A市長が,別紙行為者・損害額一覧表の被告らに対し,同一覧表「損害賠償額」欄記載の金員の内,かっこ内に記載した各金員の支払を請求しないことが違法であることを確認する。 被告B1は,A市に対し,1億1435万1000円及びこれに対する平成12年11月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B3,同B8,同B14及び同B42は,各自A市に対し,1億2681万7000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B3,同B8,同B14,同B19,同B33及び同B42は,各自A市に対し,1億4052万9000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B3,同B8,同B14,同B19,同B33,同B38及び同B42は,各自A市に対し,1億4341万4000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B4,同B8,同B14,同B33,同B38及び同B42は,各自A市に対し,1億3696万6000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B4,同B8,同B14,同B15,同B20,同B38及び同B39は,各自A市に対し,1億3084万5000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B4,同B8,同B9,同B15,同B20,同B26及び同B39は,各自A市に対し,1億1669万6000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B4,同B9,同 ,同B15,同B20,同B26及び同B39は,各自A市に対し,1億1669万6000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B4,同B9,同B15,同B20,同B21,同B26及び同B39は,各自A市に対し,1億0719万4000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B9,同B15,同B21,同B26,同B34,同B39及び同B4- 3 -3は,各自A市に対し,9431万1000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B9,同B15,同B21,同B22,同B34,同B39及び同B43は,各自A市に対し,8735万5000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B9,同B10,同B15,同B16,同B22,同B34,同B39及び同B43は,各自A市に対し,7518万6000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B2,同B10,同B16,同B22,同B34,同B43及び同B44は,各自A市に対し,6748万2000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B2,同B5,同B6,同B10,同B16,同B22,同B23,同B28及び同B44は,各自A市に対し,7215万3000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B2,同B5,同B6,同B11,同B23,同B35,同B28及び同B44は,各自A市に対し,7405万7000円及びこれに対する平成1 から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B2,同B5,同B6,同B11,同B23,同B35,同B28及び同B44は,各自A市に対し,7405万7000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B2,同B5,同B6,同B11,同B12,同B23,同B27,同B30,同B35,同B28,同B44及び同B18は,各自A市に対し,6945万1000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B2,同B5,同B6,同B12,同B27,同B30,同B31,同B35,同B36,同B28及び同B18は,各自A市に対し,6402万3000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B2,同B5,同B12,同B17,同B27,同B28,同B31,同B36,同B40及び同B18は,各自A市に対し,5294万2000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B2,同B5,同B12,同B13,同B17,同B24,同B28,同B29,同B31,同B32,同B36,同B37,同B40,同B18及び同B45は,各自A市に対し,3547万7000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告B2,同B5,同B7,同B13,同B17,同B18,同B24,同B25,同B29,同B32,同B37,同B40,同B41及び同B45は,各自A市に対し,1768万9000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は被告らの負担とする。 B40,同B41及び同B45は,各自A市に対し,1768万9000円及びこれに対する平成11年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は被告らの負担とする。 上記2ないし20までにつき仮執行宣言- 4 -第2事案の概要本件は,旧自治省(現総務省)が,地方公共団体に交付する普通交付税額を算定するに当たり,地方自治法(平成14年法律第4号改正前のもの。以下「法」という)246条及び地方自治法等の規定に基づく地方公共団体の報。 告に関する総理府令(昭和28年総理府令第32号)を実施根拠として行われた市町村公共施設状況調査における公共下水道に係る「現在排水人口」について,各地方自治体に,市町村公共施設状況調査表への記載をするよう求めたところ,A市が,昭和45年度から平成10年度の29か年度にわたり,同調査記載要領によって指示されていた「住民基本台帳登載人口及び外国人登録人口」の数値を記載せず,同数値よりも過大な数値となる「下水道排水地域の昼間人口」の数値を記載したために,A市に対する地方交付税が過大に交付されたとして,旧自治大臣が,A市に対し,地方交付税法(平成11年法160号による改正前のもの。以下同じ)19条4項に基づき,同市が受けるべきであっ。 た額を超過する部分(以下「超過額」という)の返還及び同法19条5項に。 基づく加算金の合計41億0254万1000円の支払を請求したのに対して,A市がこれを支払ったことを前提に,A市の住民である原告らが,昭和56年度から平成10年度における上記調査表の記載にかかわった当時のA市長及びA市職員であった者らを被告として,①上記の市町村公共施設状況調査表に過大な数値を記載することに関与した行為及び②旧自治省から交付された普通交付税算定用(市町村分)基礎数 かかわった当時のA市長及びA市職員であった者らを被告として,①上記の市町村公共施設状況調査表に過大な数値を記載することに関与した行為及び②旧自治省から交付された普通交付税算定用(市町村分)基礎数値チェック表の確認手続を行う際に,同表に記載された過大な数値を訂正しなかった不作為によって,A市が加算金相当額21億1772万4000円の損害を被ったとして,法242条の2第1項4号に基づき,A市に代位して,被告A市長を除く被告らに対し,①及び②の共同不法行為に基づく損害(附帯請求は,不法行為の後の日である平成11年9月29日〔A市が旧自治省に対して加算金を支払った日の翌日〕から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払請求である)の賠償を,。 また,被告B1に対し,同人がA市長在任中に,昭和55年度に係る加算金相当額の損害賠償請求権を除斥期間の徒過によって消滅させたことによりA市に1億1435万1000円の損害を負わせたとして,不法行為に基づく損害(附帯請求は,不法行為の後の日である訴状送達の日の翌日である平成12年11月8日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払請求である)の賠償を,さらに,被告A市長に対して,前記各損害賠償請求を怠る。 事実が違法であることの確認を求めた事案である。 前提となる事実(以下の事実は,かっこ内に掲記した証拠により容易に認められるほかは,当事者間に争いがない)。 (1) 当事者ア原告らは,A市の住民である。 イ別紙当事者目録2及び3の各被告は,かつてA市長の職にあった者であり,同目録4ないし46記載の各被告は,かつてA市職員であった者又は現在もA市職員である者であり,昭和56年度から平成10年度までの間,- 5 -別紙被告役職一覧表記載の「在任期間」欄記載の期間に,同 同目録4ないし46記載の各被告は,かつてA市職員であった者又は現在もA市職員である者であり,昭和56年度から平成10年度までの間,- 5 -別紙被告役職一覧表記載の「在任期間」欄記載の期間に,同表「役職」欄記載の職にあった者である。 (2) 地方交付税と公共施設状況調査との関連性ア普通地方交付税は,毎年度,基準財政需要額(各地方団体の財政需要を合理的に測定するために,当該地方団体について地方交付税法11条の規定により算定した額をいう)が基準財政収入額(各地方団体の財政収入。 を合理的に測定するために,当該地方団体について同法14条の規定により算定した額をいう)を超える地方団体に対して,同法10条2項に定。 めるところにより交付されるもので,その額は,原則として,当該地方団体の基準財政需要額が基準財政収入額をこえる額(財源不足額)とされている(同法10条2項。 )基準財政需要額は,各行政項目ごとの行政需要額の合計として算出される。この各行政項目ごとの需要額は(測定単位)×(単位費用)×(各,種補正係数)により算出される。この各種補正係数には,種別補正,段階補正,密度補正,態容補正,寒冷補正,数値急増補正,数値急減補正,財政力補正などがある。 本件で問題となる公共下水道の現在排水人口は,下水道費(経常経費及び投資的経費からなる)の経常経費に係る需要額を算定する上で使用される態容補正及び密度補正係数のうち,密度補正係数を算定するための数値として使用される。 この密度補正係数は,排水人口比率等の大小により割高,割安になる状況を反映させるために用いる補正係数であり,次のとおり算定される(普通交付税に関する省令〔昭和37年自治省令第17号〕9条1項の表参照。 )(密度補正係数-1)=(公共下水道に係る排水人口》×8.91+《C×9 に用いる補正係数であり,次のとおり算定される(普通交付税に関する省令〔昭和37年自治省令第17号〕9条1項の表参照。 )(密度補正係数-1)=(公共下水道に係る排水人口》×8.91+《C×9.00+D×13.09+E×7.39+F×13.18+G×14.52+L×38.46+M×14.65+N×16.48+O×23. 81)÷《測定単位の数値(人口》)イ市町村公共施設状況調査(市町村公共施設状況調)市町村公共施設状況調査は,地方財政状況調査の一環として行われるもので,法246条及び地方自治法等の規定に基づく地方公共団体の報告に関する総理府令(昭和28年総理府令第32号)をその実施根拠とするものである。 市町村公共施設状況調査の現在排水人口欄の記載方法について,例えば,平成8年度の同調査の記載要領では「現在排水人口には,供用を開始し,ている排水区域(下水道法第2条第7号に定める公共下水道により下水を排水することができる地域で,同法第9条第1項の規定により公示された区域)内の平成9年3月31日現在における住民基本台帳登載人口及び外国人登録人口を記入すること」と記載されていた(甲10の1,2 。 。 )- 6 -ウ以上のとおり,下水道費に関する普通交付税の算定基礎となる数値は,公共施設状況調査によって判明した現在排水人口の数値ということになる。 (3) A市における下水道に係る地方交付税の算定基礎資料が作成された過程ア岡山県市町村課は,毎年5月末ごろ,地方財政状況調査に関する説明会を開催し,そこで公共施設状況調査に関する記載要領等を説明するとともに,調査表及びその記載要領を各地方団体に配布していた。公共施設状況調査を所管するA市財政局財務部財政課(以下「財政課」という)は,。 公共施設状況調査に当たり,財政課から各部局の を説明するとともに,調査表及びその記載要領を各地方団体に配布していた。公共施設状況調査を所管するA市財政局財務部財政課(以下「財政課」という)は,。 公共施設状況調査に当たり,財政課から各部局の窓口となる課(下水道局にあっては総務課〔昭和56年度以前及び平成6年度以降は下水道総務課)に対して,公共施設状況調査の調査表に当該年度の年度末における〕公共下水道の現在排水人口の数値を記載して報告することを求め,これを受けて下水道局総務課では,下水道局内の担当課である計画課(平成9年度以後は調整課)に対し,公共施設状況調査の調査表への数値の記載依頼を行っていた。 イ財政課が下水道局総務課に交付する前記調査表への記載を依頼する文書には,公共施設状況調査が普通交付税の算定資料として使用されるとの記載がなされており,同調査の記載要領には,・イのとおり,公共下水道の現在排水人口の数値は,公共下水道排水地域内の住民基本台帳登載人口及び外国人登録人口を記入するよう記載されていた。 ウ下水道局総務課長(昭和56年度以前及び平成6年度以降は下水道総務課長)は,自己の決裁事項として,下水道局総務課の課長補佐及び同課の係長との稟議並びに計画課との合議(ただし,平成6年度分の公共施設状況調査においては計画課は合議をしていない)の上,現在排水人口の数。 値を財政課に報告し,財政課において各課からの他の報告と一緒に担当職員が取りまとめて調査表に記載したものを財政課長が決裁して,岡山県知事を経由して旧自治大臣に報告していた。 エ旧自治省は,公共施設状況調査の調査表によって明らかになった現在排水人口の数値につき,当該数値に誤りがないことを確認するため,普通交付税算定用(市町村分)基礎数値チェック表を作成し,県を通じて各市町村に配布した。なお,その際に,県は基準財 て明らかになった現在排水人口の数値につき,当該数値に誤りがないことを確認するため,普通交付税算定用(市町村分)基礎数値チェック表を作成し,県を通じて各市町村に配布した。なお,その際に,県は基準財政需要額基礎数値チェック要領を付して各市町村に配布していた。同要領には,普通交付税算定用(市町村分)基礎数値チェック表に記載された数値のうち,現在排水人口の数値については「チェック不要(○○年度公共施設状況調査」と明記さ,)れていた。 オなお,アないしウの公共施設状況調査の調査表作成の流れは,平成5年度分以降のものについてであるが,平成4年度分より以前のものについても,同様の流れであったと推認される(弁論の全趣旨。 )(4) 本件訴訟に至るまでの事実経過ア当時のA市長であった被告B1は,平成11年5月24日,これまでA- 7 -市が公表してきた下水道普及率の数値に大幅な誤りがあったとして,平成9年度末の下水道普及率として公表していた50.5%という数値を36. 3%に訂正し,平成10年度末の下水道普及率は38.2%になる見込みであると発表した。その際,被告B1は,下水道普及率の数値に上記のような誤りが生じた原因として,昭和51年に旧建設省が定住人口を基礎とした現行普及率の定義を打ち出した際に,A市はそれに従わなかったことなどを公表した(甲4の7 。 )イ岡山県は,被告B1の前記発表を契機として,平成11年5月25日から同月27日まで,財政課,下水道局管理部及び建設部に対して,地方交付税特別検査を実施した。そして,同年9月2日付けの「A市公共下水道排水人口に係る検査結果について(報告」と題する書面にて,当時の自)治大臣に対し,地方交付税特別検査の結果として,A市の昭和45年度から平成10年度までの各年度について,既にA市に対し 公共下水道排水人口に係る検査結果について(報告」と題する書面にて,当時の自)治大臣に対し,地方交付税特別検査の結果として,A市の昭和45年度から平成10年度までの各年度について,既にA市に対して交付された,ないしは交付が決定されていた額と本来,普通交付税の算定に用いられるべきであったと考えられる下水道排水人口に基づいて計算した普通交付税算定額との差額の総額が,19億8481万7000円になること,これにより地方交付税法19条4項による返還措置が必要となることなどを報告した(甲59)。 ウ旧自治大臣は,平成11年9月16日,A市長に対して,A市が昭和45年度から平成10年度までの間,普通交付税の算定に用いる基準財政需要額のうち下水道費に関する資料すなわち下水道現在排水人口の数値に作為を加え,虚偽の記載をしたことにより,不当に普通交付税の交付を受けていたとの理由から,地方交付税法19条4項に基づき,超過額19億8481万7000円の返還及び同条5項に基づく加算金の合計額の返還を命じた。 エA市は,平成11年9月28日,前記返還命令に従い,昭和45年度から平成10年度までの間にA市に交付されていた地方交付税のうち,前記超過額19億8481万7000円及び地方交付税法19条5項により計算した各年度の加算金合計額21億1772万4000円(乙ア6)の合計額41億0254万1000円を国に納付した。 オ原告らは,平成12年7月7日,法242条1項に基づき,A市監査委員に対して,要旨「A市は,普通交付税算定の基礎資料となる下水道現,在排水人口の数値について,資料に作為を加え,虚偽の記載をし,不当に交付税の交付を受けたとして,地方交付税法第19条第4項,第5項の規定により,昭和45年度から平成10年度までの29年間に超過して交付を受 口の数値について,資料に作為を加え,虚偽の記載をし,不当に交付税の交付を受けたとして,地方交付税法第19条第4項,第5項の規定により,昭和45年度から平成10年度までの29年間に超過して交付を受けた普通交付税とともに,21億2248万7000円の加算金を平成11年9月28日,国に支払った。これは,資料の作成,提出に関与したA市職員及びこれらを指揮,監督する立場にあるA市職員(以下「資料作成職員」という)が,故意又は重大な過失によって,国に虚偽の記載。 をした文書を提出したため,A市が加算金を返還することとなったもので- 8 -あり,A市は,当該資料作成職員に対して不法行為に基づく損害賠償請求権を有している。そして,当該損害賠償請求権は,地方自治法第242条第1項にいう財産に該当している。しかるに,A市長は,この損害賠償請求権を行使していない」との主張をして,当該損害賠償請求権の不行使。 は,財産の管理を怠る事実に該当するから,当該怠る事実を改め,A市が被った損害を補填するよう,A市長に対し,必要な措置を講じることを請求した(甲1。 )カA市監査委員は,原告らに対し,平成12年9月1日,原告らの前記監査請求は理由がないとする監査結果を通知した。 キ原告らは,A市監査委員の前記判断を不服として,平成12年10月2日,本件訴訟を提起した。 原告らの請求の原因は,次のとおりである。なお,原告らは,B46,B47,B48,B49及びB50に対する訴えを取り下げた。 (1) 別紙年度別不法行為及び損害一覧表の各年度の「不法行為者」欄記載の各職員は「行為時」欄記載の各時期に「役職」欄記載の職にあったものであ,るところ,共同して,各年度分の普通交付税に関して「行為時」欄記載の,各時期に「行為内容」欄記載の各不法行為を行い,よってA市に 員は「行為時」欄記載の各時期に「役職」欄記載の職にあったものであ,るところ,共同して,各年度分の普通交付税に関して「行為時」欄記載の,各時期に「行為内容」欄記載の各不法行為を行い,よってA市に対して各,年度の普通交付税を,各過大交付額記載の金額だけ過大に交付させ,平成11年9月16日に旧自治大臣がこれの返還を命ずるに際して,各加算金額記載の額の加算金を付加して支払うべきことを命ぜられて,同加算金相当額の損害を被らせた。 (2) A市は,民法709条,719条に基づき,前記不法行為者らの行為によって,その被った損害の賠償を不法行為者らに対して請求する権利を取得したところ,これは,民法上の債権であり,法242条1項にいう普通地方公共団体の財産に該当するものであるが,被告A市長は,その損害賠償請求権の行使を怠っている。 (3) 被告B1の前記怠る事実のため,昭和55年度分の普通交付税の過大受領分の返還に伴う加算金1億1435万1000円の損害については,遅くとも平成12年9月30日までに,全不法行為者の行為時より20年の除斥期間が徒過したため,A市は当該不法行為者らに対する損害賠償請求権を喪失した。そして,残余の損害賠償請求権についても,このまま行使せずに放置すれば,民法の定める20年の除斥期間が逐次到来するし,平成14年9月16日を経過すれば,A市が損害を知ったときから3年の時効期間が徒過するので,A市の損害賠償請求権は消滅してしまうことになる。したがって,被告A市長が前記請求権の行使を怠る行為は,A市の財産の管理を違法に怠る事実に該当する。 (4) よって,原告らは,ア被告A市長に対し,別紙行為者・損害額一覧表「被告」欄記載の被告らに対する同表「損害賠償額」欄記載の金額の内,かっこ内に記載した各金- 9 -額について損害賠 る。 (4) よって,原告らは,ア被告A市長に対し,別紙行為者・損害額一覧表「被告」欄記載の被告らに対する同表「損害賠償額」欄記載の金額の内,かっこ内に記載した各金- 9 -額について損害賠償請求権の行使を怠っていることが違法であることの確認を,イ別紙行為者・損害額一覧表「被告」欄記載の被告らに対し,同表「年度」欄記載の年度に相応する被告らと連帯して(被告B1については単独で,)A市に,同表「損害賠償額」欄記載のかっこ内の各金員及び被告B1については,同表「損害賠償額」欄記載のかっこ内の金員に対する訴状送達の日の翌日である平成12年11月8日から,その余の被告らについては,同表「損害賠償額」欄記載のかっこ内の各金員に対するA市が国に対して加算金を支払った日の翌日である平成11年9月29日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を各求める。 主たる争点(1) 法242条の2第1項4号の「怠る事実に係る相手方に対する…損害賠償の請求」は,財務会計行為を原因とする損害賠償請求に限られるか(本案前。 )ア被告らの主張(ア) 法242条の2第1項4号によるいわゆる代位請求訴訟を含め,住民訴訟の対象となるのは,法242条1項に定める作為又は不作為,すなわち①公金の支出,②財産の取得・管理・処分,③契約の締結・履行,④債務その他の義務の負担並びに⑤公金の賦課・徴収を怠る事実及び⑥財産の管理を怠る事実(以下①ないし⑥を総称して「財務会計行為」という)に限られる。したがって,ある行政目的を実現するための行為。 に関連して財産的損害が発生したとしても,当該行為が財務的処理を直接の目的としたものでなければ,住民訴訟の対象となる財務会計行為に該当しない。このように,住民訴訟の対象を財務会計行為に限定した趣旨は,住民 て財産的損害が発生したとしても,当該行為が財務的処理を直接の目的としたものでなければ,住民訴訟の対象となる財務会計行為に該当しない。このように,住民訴訟の対象を財務会計行為に限定した趣旨は,住民訴訟制度の目的が地方自治行政全般の適正運営を確保することにあるのではなく,法242条1項所定の違法な財務会計行為上の行為又は怠る事実を予防し,又は是正し,もって地方財務行政の適正な運用を確保することを目的とするものだからにほかならない(最高裁昭和62年4月10日判決・民集41巻3号239頁参照。したがって,)当該住民訴訟の対象となる行為が財務会計行為でなければ,住民訴訟は適法に提起できないこととなる。 このように住民訴訟制度の趣旨を考えるならば,地方公共団体が有する損害賠償等の請求権の不行使状態を捉えて「財産の管理を怠る事実」,と構成する場合にも,代位行使の対象となる損害賠償請求権は,財務会計行為を原因として発生したものに限定されると解するのが相当である。なぜなら,仮に,上記のような限定を付さないとするならば,財務会計行為以外の行為によって生じた損害賠償請求権であっても,これを「財産の管理を怠る事実」と構成することによって住民訴訟の俎上に乗せることができることになるが,それでは,上記のように住民訴訟の対象を財務会計行為に限定した法の趣旨が全く没却されてしまうことにな- 10 -るからである(広島地裁平成7年3月16日判決・判例地方自治142号18頁,松山地裁平成13年4月27日判決・判例タイムズ1058号290頁参照。 )(イ) 本件訴訟におけるA市の被告A市長及び被告B1以外の被告ら(以下被告B1以外の被告らを「被告職員ら」という)に対する損害賠償請。 求は,同被告らが,公共施設状況調査における公共下水道の現在排水人口についての おけるA市の被告A市長及び被告B1以外の被告ら(以下被告B1以外の被告らを「被告職員ら」という)に対する損害賠償請。 求は,同被告らが,公共施設状況調査における公共下水道の現在排水人口についての記載要領に示されたものとは異なる数値を記入して岡山県を通じて旧自治省に報告した行為が不法行為に該当するとしてなされているものであるところ,同行為が住民訴訟の対象となる財務会計行為に該当しないことは明らかである。したがって,同被告らに対する損害賠償請求は,上記に述べた住民訴訟制度の趣旨に沿わないものであって,不適法である。 (ウ) また,上記のように非財務会計行為を原因とする損害賠償請求権の存否が審理の対象となることを前提とする被告A市長及び同B1に対する訴えも,同様に不適法なものである。 イ原告らの主張(ア) 法242条の2第1項は,違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という)がある。 場合において,その相手方を住民訴訟の被告となし得る旨規定している。 (イ) 確かに,財務会計上の違法行為がなされた場合に,法243条の2第1項に定める職員以外の職員を怠る事実の相手方として損害賠償を請求することは許されない。しかしながら,職員の行為が財務会計上の行為でない場合に,当該職員に対して,怠る事実の相手方として損害賠償を請求することは許されるというべきである(最高裁昭和53年6月23日判決・集民124号145頁など参照。 )(ウ) 本件において原告らは,後記のとおり,被告職員らに関しては,被告職員らを法242条の2第1項4号にいう「当該職員」として訴えを提起しているものではなく,被告職員らが公共施設状況調査に際し,公共下水道の現在排水人口として,定住人口を上回る過大な数値を記載して報告すれば翌年度 2条の2第1項4号にいう「当該職員」として訴えを提起しているものではなく,被告職員らが公共施設状況調査に際し,公共下水道の現在排水人口として,定住人口を上回る過大な数値を記載して報告すれば翌年度の基準財政需要額の基礎数値は不実に増大し,普通交付税額もその分だけ過大になるにもかかわらず,公共施設状況調査の現在排水人口の数値を過大に記載することに関与したり,それらの者を監督すべき立場にあった者が,監督を怠り,上記のように公共施設状況調査の現在排水人口の数値を過大に記載した行為を看過したとして,A市が被告職員らに対して有する不法行為に基づく損害賠償請求権の管理を被告A市長が怠っていると主張しているのであるから,被告職員らは,法242条の2第1項4号の「財産の管理を怠る事実の相手方」に当たり,被告適格を有することになるので,本件訴えは適法である。 (2) 本件訴えは適法な監査請求を経てなされたものか(本案前)ア監査請求の対象行為と住民訴訟のそれとの間に同一性が認められるか- 11 -(ア) 被告B2の主張民法719条1項により,数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは,各自が連帯してその損害を賠償する責任を負うこととなり,共同不法行為者については,同法709条の不法行為責任が加重されることになるのであるから,法242条1項に基づく住民監査請求を行うに当たっても,共同不法行為であることを明示して監査請求をし,これを監査の対象にしていない限り,住民訴訟において共同不法行為を主張することはできない。しかるに,本件では,たとえ基準財政需要額の算定に当たって,その密度補正係数の算定のために公共施設状況調査のうちの下水道現在排水人口の数値が利用されているからといっても,それだけで下水道事業担当の職員の行為と公共施設状況調査担当の職員 額の算定に当たって,その密度補正係数の算定のために公共施設状況調査のうちの下水道現在排水人口の数値が利用されているからといっても,それだけで下水道事業担当の職員の行為と公共施設状況調査担当の職員の行為ないし地方交付税の基準財政需要額算定のための基礎資料を作成する職員の行為とが客観的に関連共同した行為になるとはいえないにもかかわらず,原告らはこの点を明確にしないまま監査請求を行った。したがって,原告らの監査請求においては,被告職員らの共同不法行為責任が対象にされていたとはいえず,原告らの監査請求の対象と本件訴えの対象との間には共同不法行為の点で同一性が認められないから,本件訴えは,適法な監査請求を経たものとはいえず,不適法なものとして却下されるべきである。 (イ) 原告らの主張監査請求の対象と住民訴訟の対象との同一性は,監査請求及び住民訴訟において違法と主張されている当該行為あるいは怠る事実について,社会的事件としての同一性が認められるか否かによって判断されるべきである。したがって,監査請求書において当該対象行為の主体あるいは怠る事実の相手方の氏名が特定されていなくても,請求の相手方に係る当該行為あるいは怠る事実について監査の対象とされていれば,当該対象行為の主体あるいは怠る事実の相手方を住民訴訟の請求の相手方とすることができるのは当然である。 原告らは,1・オのとおりの主張をして監査請求を行ったものであり,普通交付税算定の基礎資料となる下水道現在排水人口の数値に関して,資料に作為を加えたり,虚偽の記載をしたものとして,その資料の作成,提出に関与した職員及びこれらの者を指揮・監督する立場にある職員(元職員であった者も含む。以下同じ)を「財産の管理を怠る事実の。 相手方」として住民訴訟を提起したものであるから,本件において監査請 提出に関与した職員及びこれらの者を指揮・監督する立場にある職員(元職員であった者も含む。以下同じ)を「財産の管理を怠る事実の。 相手方」として住民訴訟を提起したものであるから,本件において監査請求の対象と住民訴訟の対象との間に同一性があることは明らかであり,被告B2の主張は理由がない。 イ原告らによる監査請求は,監査請求期間を徒過してなされたか(ア) 被告らの主張住民監査請求は,当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは,これをすることができない(法242条2項。したがっ)- 12 -て,これを本件についてみれば,被告A市長が管理を怠っていると原告らによって主張されている財産の対象は,不法行為に基づく損害賠償請求権であり,原告らがその発生原因事実であると主張する,被告職員らが公共施設状況調査に際して公共下水道の現在排水人口の記入要領と異なる数値を故意に記載してそれを岡山県を通じて旧自治省に報告していたという行為は,毎年度完結する形で行われていたものであることから,毎年度ごとの上記報告行為を行った日を「当該行為のあった日」として法242条2項の規定を適用すべきである。したがって,遅くとも平成10年末までには原告ら主張の不法行為の原因となる上記報告行為はすべて終了している以上,平成12年7月7日になされた原告らの監査請求は当該行為のあった日から1年の監査請求期間を徒過してなされた不適法なものというべきである。 (イ) 原告らの主張被告らが故意に公共施設状況調査の際に記入要領と異なる数値を報告したことによって,A市が論理必然的に加算金の支払義務を負うものではなく,①公共施設状況調査の際の虚偽の報告に基づいてA市に地方交付税が交付され,かつ,②交付されてから時間が経過した後に旧自治大臣による返還命令を受けて,初めて 然的に加算金の支払義務を負うものではなく,①公共施設状況調査の際の虚偽の報告に基づいてA市に地方交付税が交付され,かつ,②交付されてから時間が経過した後に旧自治大臣による返還命令を受けて,初めてA市が加算金の支払義務を負うこととなる。 すなわち,①について,例えば,ある年度の公共施設状況調査表において虚偽の数値が記載されても,その次の段で行われる旧自治省が当該年度の普通交付税の交付の算定基礎となった数値に誤りがないことを確認するため市町村に配布する普通交付税算定用基礎数値チェック表に記載された基礎数値に誤りがないかどうかを確認する手続において,数値に誤りがあるとして正しい数値に訂正しさえすれば,当年度以後,不実な数値に基づく過大な地方交付税の交付はなされないのであるから,A市に損害が発生することはない。このことは,平成10年度の公共施設状況調査表に虚偽の数値が記載されていたものの,平成11年度基準財政需要額の報告の際に,平成10年度の公共施設状況調査の際に記載された数値の訂正が行われたことから,A市は平成11年度の地方交付税については過大な交付を受けず,したがって平成10年度の公共施設状況調査の虚偽報告によってA市が損害を被ることはなかったという事実からも明らかである。また,②については,公共施設状況調査において虚偽の数値が報告され,これに基づいて基準財政需要額が過大に算定され,地方交付税が過大に交付されたときから旧自治大臣の返還命令がなされるまでの間にどのくらいの時間が経過するかによって発生する損害額は大きく異なるのであるから,A市が被る損害額はA市が旧自治大臣の返還命令を受けることによって初めて確定するものである。 したがって,監査請求期間は,市長が旧自治大臣から返還命令を受けた平成11年9月16日から起算されることから,平 被る損害額はA市が旧自治大臣の返還命令を受けることによって初めて確定するものである。 したがって,監査請求期間は,市長が旧自治大臣から返還命令を受けた平成11年9月16日から起算されることから,平成12年7月7日- 13 -になされた原告らの監査請求は適法である。 (3) A市は,被告職員らに対し,同人らの共同不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているかア原告らの主張(ア) A市は,昭和45年度から平成10年度までの29年間にわたって,普通交付税に係る基準財政需要額の算定基礎となる公共下水道の現在排水人口の数値につき,公共施設状況調査の記載要領では,下水道排水地域の定住人口(住民基本台帳人口及び外国人登録人口)に基づいて数値を記載するよう定められていたにもかかわらず,これに従わず,下水道排水地域の昼間人口などの,記載要領に基づく数値に比べ大幅に過大な数値をもって公共下水道の現在排水人口であるとしてこれを公共施設状況調査表に記載して岡山県知事を経由して旧自治大臣に報告し,さらに翌年度の基準財政需要額基礎数値チェック表に記載された数値の確認手続においても過大な数値の訂正を行わなかった結果,過大な普通交付税の交付を受けることとなった。そのため,旧自治大臣は,A市が作為により虚偽の報告を行っていたと認定して29年分の加算金として21億1772万4000円の支払を命じたのであり,A市がこの加算金の支払をせざるをえなかったのは,A市の被告職員らが,公共下水道の現在排水人口の報告数値が定住人口ではなく,虚偽の過大な数値であることを認識していたにもかかわらず,公共施設状況調査表に過大な数値を記載し,翌年度の確認手続においても過大な数値を訂正しなかったことによる。 (イ) これを具体的にいえば,①公共施設状況調査に際して,公共下水道の現在排 かかわらず,公共施設状況調査表に過大な数値を記載し,翌年度の確認手続においても過大な数値を訂正しなかったことによる。 (イ) これを具体的にいえば,①公共施設状況調査に際して,公共下水道の現在排水人口として定住人口を上回る過大な数値を記載して報告すれば,翌年度の基準財政需要額の基礎数値は不実に増大することになり,普通交付税がその分だけ過大な額になるにもかかわらず,公共施設状況調査表に過大な数値を記載することに関与した下水道局総務課長(下水道総務課長,下水道局計画課長(下水道局調整課長)及び財政局財政)課長,下水道局総務課長(下水道総務課長)を監督すべき立場にあってこれを看過した下水道局管理部長,下水道局計画課長(調整課長)を監督すべき立場にあってこれを看過した下水道局建設部長及び両部長を監督すべき立場にあってこれを看過した下水道局長及び下水道局担当助役,財政課長を監督すべき立場にあってこれを看過した財政局財務部長,財政局長及び財政局担当助役並びにこれらを監督すべき立場にあってこれを看過した市長に上記の各作為又は不作為があり,かつ②普通交付税算定用基礎数値チェック表の確認作業において,公共下水道の現在排水人口として定住人口を上回る過大な数値が記載されており,これを訂正しなければ当該年度の基準財政需要額はその分だけ不実に増大し,普通交付税がその分だけ過大に交付されることが確定的になるにもかかわらず,普通交付税算定用基礎数値チェック表に記載された過大な現在排水- 14 -人口の数値を訂正しなかった財政局長,財政局財務部長及び財政課長,これらの職員を監督すべき立場にあってこれを看過した市長及び財政局担当課長並びに前年度の公共施設状況調査表の報告の誤りを訂正せずに看過した下水道局総務課長(下水道総務課長,下水道局計画課長(調)整課 らの職員を監督すべき立場にあってこれを看過した市長及び財政局担当課長並びに前年度の公共施設状況調査表の報告の誤りを訂正せずに看過した下水道局総務課長(下水道総務課長,下水道局計画課長(調)整課長,下水道局管理部長,下水道局建設部長,下水道局長及び下水)道局担当助役に上記の各作為又は不作為があり,これら①及び②に記載した者の各行為が客観的に関連することによって,A市に対し,加算金相当額の損害を負わせたものである。したがって,被告職員らは,A市に対して共同不法行為責任を負うと解するのが相当である。 (ウ) ①下水道に関する基礎数値を過大に報告していた期間及び地方交付税の交付を過大に受けていた期間が昭和45年度から平成10年度までの29年間という極めて長期間に及んでいること,②昭和51年に旧建設省が,定住人口を基礎とした下水道普及率の定義を打ち出したにもかかわらず,A市はこれに従わず,A市独自の計画人口なる数値を用いて下水道普及率を算定し続け,その後,中心市街地の空洞化が進んで下水道整備済み区域内の人口が減少に転じ,計画人口との格差が拡大するようになると定住人口に加えて昼間の下水道利用人口を算定の基礎にするという独自の下水道普及率算定方式を採るに至ったこと,③その一方で,旧建設省に対しては②のようなA市独自の方式で算定した下水道普及率をもって旧建設省の定義に従った方式で算定した下水道普及率であるかのように報告をしたり,対外的に公表したりしていたことなどの事情に鑑みれば,下水道普及率について長期間にわたりA市独自の算定方式を採り続けながら,他方で旧建設省を始めとする対外的な関係においては,A市も旧建設省の定義に従った算定方式を採っていると公表し続けるということが下水道局の計画課や調整課といったごく一部の担当者の判断と決定によって行わ 方で旧建設省を始めとする対外的な関係においては,A市も旧建設省の定義に従った算定方式を採っていると公表し続けるということが下水道局の計画課や調整課といったごく一部の担当者の判断と決定によって行われてきたものであるとは到底考えられず,その事柄の重大性からすれば,上記担当者の上司に当たる下水道局建設部長,下水道局長,下水道局担当助役及び市長の了解の下,市長の政治的判断に基づいて行われてきたことは明らかであり,このことは,A市職員にとって,公然の秘密のようなものであったと考えるのが自然である。そうであるからこそ,平成11年5月24日,下水道局長の上申に基づき,A市長に就任して間のない被告B1の決断によって,A市の従来の下水道普及率が誤りであることが公表されるに至ったのである。 したがって,現在排水人口の数値が過大なものであることを認識し,かつこの過大な数値が公共施設状況調査表に記載されて報告されていたことを認識していた下水道局建設部長,下水道局長,下水道局担当助役及び市長に関しては,公共施設状況調査表に記載された過大な数値が基準財政需要額の算定基礎となっていたことを知らなかったことに重大な過失があったと認めるのが相当である。 (エ) 特に,平成3年12月のA市議会において共産党のC議員の質問によ- 15 -り,下水道現在排水人口の算定に問題があることが指摘されたことによって下水道普及率を過大に算定していることの問題点が関係者に浮き彫りになった後には,下水道普及率の算定の基礎となる下水道現在排水人口の数値に昼間人口の数値が含まれていることは下水道局関係の被告職員らのみならず,財政局関係の被告職員らにとっても明らかになったはずである(乙イ19。すなわち,C議員は,平成3年12月11日の)本会議において,下水道普及率が上昇し,し尿処理人口 局関係の被告職員らのみならず,財政局関係の被告職員らにとっても明らかになったはずである(乙イ19。すなわち,C議員は,平成3年12月11日の)本会議において,下水道普及率が上昇し,し尿処理人口も減少しているにもかかわらず,し尿処理収集実績が増加している理由について質問したところ,A市の適切な答弁がなかったため,議会が途中打切りとなり(甲33,その経緯を踏まえて同月19日のA市建設委員会において,)当時の下水道局長であった被告B10が,昭和50年代ころから下水道処理区域人口(現在排水人口)に昼間人口を含めて下水道普及率を算定してきたことを認め,これについて是正措置を考えた上改めて報告すると答弁し(甲32,平成4年6月12日の建設委員会において,被告)B10は下水道普及率算定の際に現在排水人口に含めていた昼間人口を段階的に漸減させ,その後15年間で,旧建設省が定めた算定方式による下水道普及率が70パーセントとなるように努力する旨答弁した。 以上のような経過に鑑みれば,議会において,A市が旧建設省の定めた下水道普及率の算定方式に従わず,定住人口に昼間人口を加えて下水道普及率を計算していた事実が暴露されたため,A市側が下水道普及率の算定方式を旧建設省方式に改めるとともに,下水道建設を進めて15年後には旧建設省の定めた算定方式による下水道普及率が70パーセントとなるよう努力することを議会に対して約束したことが分かるのであって,このような回答が下水道局長によって建設委員会においてなされていることからすれば,被告B10が,上記回答をするに当たって,当時の市長であった被告B2に対して何らの報告,相談もせずにかかる回答を行ったものとは到底考えられない。 イ被告A市長及び被告B1の主張(ア) 原告らの前記主張が認められるためには,被告職員ら ,当時の市長であった被告B2に対して何らの報告,相談もせずにかかる回答を行ったものとは到底考えられない。 イ被告A市長及び被告B1の主張(ア) 原告らの前記主張が認められるためには,被告職員らが,①公共施設状況調査表における公共下水道現在排水人口について記載要領に指示されているのと異なる数値が記載されていることを認識していたこと,②この記載要領と異なる数値を報告することによってA市が地方交付税を不正に受給することになることを予見できたこと,③それにも拘わらず,その数値を是正しなかったことが必要である。 (イ) この点につき,被告職員らのうち,下水道計画課(ほぼ現在の下水道局建設部計画調整課〔乙ア5〕に該当する)の職員らは,A市におけ。 る下水道普及率が旧建設省から指示されたものとは異なる算定方式によって算定されていたことについては承知していたが,それが地方交付税の交付額に影響を与えるものであることは認識しておらず(被告B40,23頁ないし24頁,28ないし29頁,乙ウ30の4頁,乙ウ32の- 16 -2頁,同職員らは,公共施設状況調査表における公共下水道現在排水)人口の数値について,そこに公共施設状況調査表の記載要領と異なる方法で算定された数値が記載されていたこと自体を知らなかった(乙イ2ないし16,乙ウ1ないし29,乙ウ30の5頁,31の2頁,32の3頁,乙エ1。 )また,公共施設状況調査表を岡山県に提出することは,財政課長の決裁権限であることから,部長以上の役職にある者がその内容を知る立場にはない。 さらに,地方交付税の算出方法は極めて複雑であり(乙ア2,3,)地方公務員,特に財政関係者は地方交付税の基本的仕組みを理解しているべきではあるが,地方交付税の基本的概念である単位費用,測定単位,補正係数の意味と役割は普通 法は極めて複雑であり(乙ア2,3,)地方公務員,特に財政関係者は地方交付税の基本的仕組みを理解しているべきではあるが,地方交付税の基本的概念である単位費用,測定単位,補正係数の意味と役割は普通の地方公務員の理解を超えるものであって(被告B2,147項ないし150項,公共施設状況調査表の現在排)水人口の数値が地方交付税の算定において,どの段階で利用され,その数値の多寡が地方交付税の交付額の多寡とどのように結びつくかは,地方交付税に関し極めて高度かつ専門的知識がなければ理解し得ないものである。 (ウ) そもそも,A市に対して地方交付税が過大に交付されることになった原因は,A市が旧建設省の算定方式とは異なる方式で下水道普及率を算定しており,その際に使用される数値を公共施設状況調査表の現在排水人口の数値として記入し,旧自治省に報告してしまったことにあるところ,このことは地方交付税制度が複雑であることに加え,縦割り組織で自己完結的な業務処理がなされており,組織相互間の意思疎通が十分に図れていなかったことに起因するものであるから,それを個々の被告職員らの個人的責任に帰することはできないというべきである。 したがって,被告A市長が被告職員らに対して損害賠償を請求しなかったことについて違法はない。 (エ) 原告らは,被告B1が市長在任中に,昭和55年度分の加算金に係る損害賠償請求権を行わずに除斥期間を満了させたことが違法であると主張するが,そもそも誰を被告として,いかなる事実に基づいて損害賠償請求を行うべきかについて原告らは示していないのであるから,その主張自体失当である。 また,20年近く前の出来事について,その事実経過及び責任者を確定することは事実上不可能であるし,そのための時間と経費を掛けることは合理的でないから,被告B1が昭和55年度 の主張自体失当である。 また,20年近く前の出来事について,その事実経過及び責任者を確定することは事実上不可能であるし,そのための時間と経費を掛けることは合理的でないから,被告B1が昭和55年度分の加算金に係る損害賠償請求を行わなかったことに違法はない。 ウ下水道局職員であった被告職員らの主張(ア) 下水道普及率の決定方法及び公共施設状況調査表の処理方法aA市の下水道普及率は,下水道整備状況を示す数値として,毎年4月から5月ころ,下水道局計画課(平成9年度は調整課)の担当職員- 17 -が数値を算定し,旧建設省が各地方公共団体に提出を求める下水道実施計画書の下水道普及率として報告されていた。そして,当該年度の下水道普及率が確定すると,その数値を各種の統計資料や報告文書に記載していた。 A市では,旧建設省が昭和51年度に下水道普及率の算定方式を変更した後も,統計数値の連続性等を考慮し,A市独自の算定方式で下水道普及率を計算し,旧建設省に報告していた。A市が下水道普及率について独自の算定方式で計算していたことは,下水道局計画課(調整課)の担当者,計画課長,建設部長及び下水道局長などの一部の者が知っていたにすぎない(被告B13,78ないし83項,同B40,14,29項,同B37,44項,同B45,68ないし74項。 )b下水道局の業務に関係する公共施設状況調査は,財政課から下水道局総務課に対し調査依頼があり,その際には,下水道の業務に関係する項目について前年度の報告数値が記載された公共施設状況調査表の写しと,公共施設状況調査表の記載要領の写しが添付されていた。財政課からの調査依頼文書を受け取った下水道局総務課では,概ね担当者が,下水道局計画課(平成9年度は調整課)の担当者に対し,口頭で公共施設状況調査表の数字を問い合わせるか 領の写しが添付されていた。財政課からの調査依頼文書を受け取った下水道局総務課では,概ね担当者が,下水道局計画課(平成9年度は調整課)の担当者に対し,口頭で公共施設状況調査表の数字を問い合わせるか,あるいは,前年度の報告数値が記載された公共施設状況調査表の写しを交付して調査表への記入を依頼するかしており,下水道局計画課の担当者が,財政課から下水道局総務課に回された公共施設状況調査表に添付の公共施設状況調査表の記載要領を見ることはなかった(乙ウ31,33,35,被告B40,69ないし71項,同B28,94,203ないし208項。そして,下水道局計画課の担当者は,下水道局総務課の担当)者に対して,前年度の公共施設状況調査のときと同様に,下水道局内部で既に確定している下水道普及率の数値を基にした現在排水人口の数値を口頭又は公共施設状況調査表の写しに記入して回答していた。 この回答に当たり,下水道局計画課の担当者は,前年の報告と同様に,既に旧建設省に対して報告した下水道普及率を基にした現在排水人口の数値を回答していたため,特に虚偽の数値を回答しているという認識はなかった。 下水道総務課では下水道局計画課の担当者から出された回答を踏まえ,下水道局の業務に関する公共施設状況調査表に記載して下水道局総務課長の決裁を得て財政課に報告した。 (イ) 以上のとおり,下水道局計画課(平成9年度は調整課)の担当者は,下水道局総務課の担当者からの公共施設状況調査の調査依頼に対し,前年の調査と同様に,旧建設省に報告している下水道普及率に基づく数値を回答していただけであり,そのことによって,公共施設状況調査表の現在排水人口欄に記載された数値が,同記載要領と異なる算定方式で算出された数値が記載されることになるとの認識は全く有していなかった- 18 -ことは明 あり,そのことによって,公共施設状況調査表の現在排水人口欄に記載された数値が,同記載要領と異なる算定方式で算出された数値が記載されることになるとの認識は全く有していなかった- 18 -ことは明らかである。 また,下水道局計画課の担当者から報告を受けた下水道局総務課の担当者も,下水道局計画課の担当者から正しい数値の報告がなされていると信じ,回答された数値を公共施設状況調査表に記入して財政課に報告していたものであり,公共施設状況調査表の現在排水人口欄に公共施設状況調査表の記載要領と異なる方法で算出された数値が記載されているとの認識は全く有していなかった。 したがって,下水道局総務課から財政課に対して公共施設状況調査の回答を提出する際の稟議においても,同稟議の決裁者である下水道局総務課長及び合議先である下水道局計画課長(平成9年度は調整課長)が,財政課に報告される公共施設状況調査表の現在排水人口欄に,公共施設状況調査表の記載要領と異なる方法で算出された数値が記載されていることなど認識しようがなかった。 (ウ) なお「ア原告らの主張」(エ)のC議員の指摘は,A市の採用して,いた下水道普及率の算定にかかわる質問であって,公共施設状況調査の現在排水人口に関する質問ではないから,公共施設状況調査において正しい数値が報告されていると認識していた下水道局総務課長及び下水道局計画課長(平成9年度は調整課長)にとっては,上記の指摘を契機として公共施設状況調査において間違った数値の報告がなされているとの認識を持つことは困難であり,まして公共施設状況調査に関与していない下水道局長等にそのような認識を持つことを期待することができないことは明らかである。 また,下水道局職員であった被告職員らは,普通交付税算定用(市町村分)基礎数値チェック表を見る機会すら していない下水道局長等にそのような認識を持つことを期待することができないことは明らかである。 また,下水道局職員であった被告職員らは,普通交付税算定用(市町村分)基礎数値チェック表を見る機会すら持っておらず,その確認作業に当たることもないのであるから,岡山県からA市に配布される普通交付税算定用(市町村分)基礎数値チェック表の確認作業において,前年度報告(公共施設状況調査の公共下水道の現在排水人口として定住人口を上回る過大な数値が記載されていたこと)の誤りを訂正せずに看過。 した下水道局総務課長(下水道総務課長,下水道局計画課長(調整課)長,下水道局管理部長,下水道局建設部長,下水道局長及び下水道局)担当助役にはA市に対する共同不法行為責任があるとの原告らの主張は失当である。 (エ) さらに,下水道局職員であった被告職員らについては,A市の職員としての職務に関し,A市に対する不法行為責任を負うか否かが問題となっているのであるから,国家賠償法1条2項及び法243条の2第1項がいずれも重大な過失を要件としている趣旨に照らし,被告下水道局職員らのような一般公務員の損害賠償責任は,故意又は重大な過失がない限り認められるべきではない(最高裁昭和61年2月27日判決・民集40巻1号88頁。 )(オ) よって,下水道局職員であった被告職員ら個々人は,公共施設状況調- 19 -査表の現在排水人口欄に,公共施設状況調査表の記載要領とは異なる方法で算出された数値が記載されていることを認識していないことはもちろん,その点につき重大な過失があったとはいえないし,公共施設状況調査表の現在排水人口の数値の多寡が普通地方交付税の金額の多寡にどのように影響するかについては下水道局の一般の職員には理解のしようがないことであるから,普通交付税が過大に交付され いし,公共施設状況調査表の現在排水人口の数値の多寡が普通地方交付税の金額の多寡にどのように影響するかについては下水道局の一般の職員には理解のしようがないことであるから,普通交付税が過大に交付され,将来的にそのことが発覚することによってA市に加算金の支払義務を負わせることになることなどを認識することも不可能であり,また認識し得ないことに重大な過失も認められない。 エ財政局職員であった被告職員ら(以下「被告財政局職員ら」という)。 の主張(ア) 本件訴訟は,旧自治大臣によりA市が公共施設状況調査表に「虚偽の記載」をしていたものと認定され,加算金の支払を余儀なくされたことに端を発したものであるが,上記認定に際しては,A市の個々の職員の行為当時の認識内容を事実認定の基礎とはしておらず(当時の旧自治省財政局交付税課検査係長Dの回答書,A市という組織全体の行為をも)って事実認定の基礎としたものである(当時の岡山県企画振興部市町村課財政係長Eの回答書。したがって,旧自治大臣の上記認定は,被告)財政局職員らの責任を問う根拠となり得るものではなく,飽くまで被告財政局職員ら個々人の認識が問題とされなければならない。 (イ) 下水道普及率の決定方法及び公共施設状況調査表の処理方法aA市の下水道普及率が独自の計算方法によるものであることを知っていたのは,下水道局の中でも,調整課(計画課)の担当者,調整(計画)課長,その上司の建設部長,下水道局長というごく一部の者だけだったのであり(被告B13,78ないし83項,それ以外の職員)が知ることはなかった。したがって,財政局の職員は,財政課長,財務部長,財政局長,助役(財政局担当)のいずれの役職においても,A市の下水道普及率が独自の計算方法によって算定されていることを全く知り得る立場にはなかった。平 たがって,財政局の職員は,財政課長,財務部長,財政局長,助役(財政局担当)のいずれの役職においても,A市の下水道普及率が独自の計算方法によって算定されていることを全く知り得る立場にはなかった。平成3年12月24日のA市議会の本会議及び平成4年6月12日のA市議会の建設委員会でのC議員の指摘は,し尿処理手数料の値上げに関する討論において,し尿処理人口と関係してくる下水道人口に昼間人口が含まれていることのみであり,し尿処理人口の算定に関与することなどない財政局関係者が問題意識を持ち得るものではないから,この指摘を契機としてA市の下水道普及率が他の自治体と異なる独自のもので問題があるとの認識など持つことはできなかったというべきである。なお,建設委員会での議論に関しては,財政局担当者は誰も出席しておらず,そこでの質疑応答の内容を知り得る立場にはなかった(甲32,35。 )b公共施設状況調査については,財政課から各関係局室部課に調査依頼をしていたが,その際には関係項目の記載要領の写しが添付されて- 20 -いた。本件で問題となっている現在排水人口についても,その記載要領に「供用を開始している排水区域内の住基人口及び外国人登録人口であること」と明記されており(甲6,7,9,11,この記載要)領と異なる考え方に基づく数値が記入されることなどは,常識的にも予想すらできなかった。また,調査依頼に際しては「この調査は,,普通交付税の算定資料として使われるなど重要数値であり,他省庁への報告数値との突合も実施されますので,調査内容を十分理解のうえ記入してください」との注意書きをした依頼文書も添付されていたのであるから,財政課としてなすべき注意義務は尽くしていたというべきである。 また,公共施設状況調査表を岡山県に提出するのは財政課長の決裁に してください」との注意書きをした依頼文書も添付されていたのであるから,財政課としてなすべき注意義務は尽くしていたというべきである。 また,公共施設状況調査表を岡山県に提出するのは財政課長の決裁によるものであるが,その作成に財政課長が直接関与することはなく(被告B45,25ないし27項,まして,財務部長以上の上司が)関与することもないから(被告B45,28ないし30項,同B30,23ないし26項,これらの上司は,岡山県に対して具体的にどの)ような報告がなされたのかを知り得る機会すらなかった。 そして,基準財政需要額の算定資料を岡山県に提出するに際しては,財政課長がその作成に直接関与することがないばかりか,その提出の際の決裁すらなされておらず,後に県で検収し税額が決定された後の報告において,財政課長以上の職員も確認のために決裁印を押しているにすぎない(被告B45,34ないし38項,同B30,29ないし36項。 )(ウ) 地方交付税の算定は非常に複雑な計算に基づくものであり,A市の財政課の職員であっても,下水道に関するどの項目が地方交付税の算定に関係しているかについて知らなかったし,基準財政需要額の基礎数値報告とは別に実施されている公共施設状況調査の中の現在排水人口の数値がそのまま関係しているであろうことについては,財政課の職員の中でも当に自らが下水道局を担当した職員でない限り,知り得るものではなく(被告B45,45ないし47項,財政課長,財務部長,財政局長,)助役(財政担当)であってもそれは同様であった。 したがって,公共施設状況調査の現在排水人口についての報告がそのまま,何ら他に資料を提出することなく地方交付税に影響するなどという認識は,被告財政局職員らについては持ちようがなかった。 (エ) 以上によれば,被告財政局職員らには 現在排水人口についての報告がそのまま,何ら他に資料を提出することなく地方交付税に影響するなどという認識は,被告財政局職員らについては持ちようがなかった。 (エ) 以上によれば,被告財政局職員らには,公共施設状況調査表に記載要領と異なった数値が記入されていたことなど知り得なかった以上,重過失は認められないから,被告財政局職員らは,A市に対し,不法行為に基づく損害賠償義務を負わないというべきである。 オ被告B2の主張(ア) 原告らは,旧建設省が定義した下水道普及率とは異なるA市独自の算定方式によって過大な下水道普及率を公表し続けたのは,市長であった- 21 -被告B2の政治的判断が働いた結果である旨主張する。しかし,被告B2に対しては,市長在任中に下水道関係の助役,同局長,同部長,同課長らから下水道普及率について問題があるとか,そのために地方交付税の基準財政需要額の算定に問題がある,あるいはあるかもしれないといった報告,説明,示唆の類は一切なかった。したがって,被告B2が現在排水人口について,誤った数値をそれと認識しながら,旧自治省に報告したり,市民に公表したりするといった政治的判断をするような機会も意図も持ち得ようはずはなかったのであり,実際,被告B2は原告らが主張するような政治的判断をしたことはなかったのである。 (イ) 平成3年12月24日のA市議会の本会議及び平成4年6月12日のA市議会の建設委員会でのC議員の指摘は「A市廃棄物の処理及び清,掃に関する条例の一部を改正する条例」の制定議案に対する反対討論の中のいわば傍論に当たる部分で「A市の下水道普及率の中に昼間人口,が含まれていることが明らかになった」という言及がなされたというにすぎないもので,これがどのような経緯で明らかにされたのかなどについては一切言及されていない で「A市の下水道普及率の中に昼間人口,が含まれていることが明らかになった」という言及がなされたというにすぎないもので,これがどのような経緯で明らかにされたのかなどについては一切言及されていない。もちろん,反対討論の中での言及といえども,その中に,執行部として調査検討すべき事項があればその責務を果たすべきものであるが,それがなされた反対討論の前後の文脈の中で考えると,当時の市長であった被告B2が調査検討すべき注意義務を負うといえる程の問題点の指摘がなされたとはいえない状況にあったといわざるを得ない。 また,平成3年12月19日の建設委員会でのC議員と当時の下水道局長であった被告B10との間の質疑,回答の内容については,被告B2は何らの報告,説明も受けていない。 そもそも,被告B2に対して市長としての注意義務に違反したとして損害賠償責任を追及するためには,被告B2が市議会に出席し,あるいは職員から報告を受けるなどして,自己の行為ないし不作為が法律上許されないものであることを認識できる場合でなければならない。本件においては,上記のとおり,被告B2は自己の行為ないし不作為の違法性を認識する可能性を全く有していなかったのであるから,被告B2に対して損害賠償責任を問うことはできない。 (ウ) 地方交付税の基準財政需要額の算定内容を理解できるのは,国・地方公共団体の関係職員の中でも,地方交付税に専門的に,かつ長期に携わった者のうちの,更にごく僅かな,高度に専門的・技術的な知識を持つ者のみに限られており,それ以外の者にとっては,通常理解の及ぶ分野ではない。したがって,被告B2を含む被告職員らが,地方交付税の基準財政需要額のうち,下水道費の算式について,現在排水人口が関係していることを知らなかったことを前提として,被告職員らに過失責任を問うこと い。したがって,被告B2を含む被告職員らが,地方交付税の基準財政需要額のうち,下水道費の算式について,現在排水人口が関係していることを知らなかったことを前提として,被告職員らに過失責任を問うことはできないというべきである。 (エ) また,地方交付税の返還の場合の加算金制度の目的は,地方交付税の- 22 -算定を全国一律の基準で統一的,画一的に行うためには,その算定の基礎資料の数値が正確であることを要することから,その数値の正確性を確保しようとした点にあることは明らかである。この加算金制度の目的から考えると,加算金割合が10.95パーセントとされたのは,本来交付されるべきではなかった地方交付税の超過額を返還するに当たって,本来交付されるべき金額より少ない地方交付税しか受け取らなかった地方公共団体との公平を確保するための調整額として法律で定められた割合であると説明するのが最も適切である。したがって,このような加算金の目的及び位置づけに鑑みると,A市が加算金の返還をなしたことをもってA市が損害を被ったということにはならず,むしろ,A市は本来受け取るべきであった地方交付税額を超過する部分についても,毎年度の歳入歳出予算に計上し,市議会の議決に基づいて市政の発展と市民福祉の向上のための事務事業に要する経費に充てており,これによって相当多額な財政支出効果を上げているのであるから,加算金を超過額の返還に上乗せして国に返還したことは,いわば先取りによって生じた利益の不当利得分の返還に当たるもので,加算金を返還することは正義と公平に適うものである。 (オ) A市において29年間にもわたり,誤った現在排水人口の数値を旧自治大臣に提出することになった大きな原因の一つに,いわゆる地方分権一括法による改正前の国と地方公共団体の関係の仕組みである機関委任 ) A市において29年間にもわたり,誤った現在排水人口の数値を旧自治大臣に提出することになった大きな原因の一つに,いわゆる地方分権一括法による改正前の国と地方公共団体の関係の仕組みである機関委任事務制度の存在があると思われる。機関委任事務制度は,地方団体の機関が国の下部機関として,主務大臣又は都道府県知事の実質的な指揮監督を受けて国の事務を処理する仕組みであったが,様々な弊害があり,その一つに,事務処理の責任の所在を不明確にすることがあった。すなわち,機関委任事務は国の事務であり,市町村長は,国の機関として事務を管理執行するということから,国や都道府県知事の包括的一般的指揮監督を受ける。したがって,機関委任事務の管理執行は市町村長の判断と責任で行うといっても,ほとんど自己の判断で行う裁量は認められていないのと同然であって,仮に疑問を抱くようなことが出てきても,それはすべて上級機関の判断を受けてからということになり,それを自ら解決しようという意欲がほとんど出てこない。 このように機関委任事務についての責任範囲の曖昧さがあったことが,A市において29年間にもわたり,誤った現在排水人口の数値を旧自治大臣に提出する大きな原因となったものというべきであるから,被告B2を含め,個々の被告職員らに責任があるとはいえない。 第3当裁判所の判断 争点(1)について被告らは,法242条の2第1項4号の「怠る事実に係る相手方に対する…損害賠償の請求」は,財務会計行為によるものに限られるべきであると主張する。 - 23 -しかしながら,法242条の2第1項4号後段が,財産の管理を怠ることにより被るおそれのある損害を回復し又は損害を被ることを防止するため,普通地方公共団体が怠る事実に係る相手方に対し,損害賠償請求権を有するにもかかわらず,これを積極 4号後段が,財産の管理を怠ることにより被るおそれのある損害を回復し又は損害を被ることを防止するため,普通地方公共団体が怠る事実に係る相手方に対し,損害賠償請求権を有するにもかかわらず,これを積極的に行使しない場合に,住民に当該地方公共団体に代位して損害賠償を求める訴訟を提起することを認めていること及び住民訴訟が,住民の負担する公租公課から形成される地方公共団体の公金や財産に対する損害を防止・是正・回復することを目的とするものであることとに鑑みれば,法242条の2第1項4号後段にいう,財産の管理を怠る事実という場合の「財産」には,普通地方公共団体が有する損害賠償請求権も当然に含まれているものと解される。そして,普通地方公共団体が,その有する損害賠償請求権を行使しないことによって,普通地方公共団体の有する公金や財産について,その分だけ損害が生じたままの状態であるという点に関しては,当該損害の発生が,財務会計行為を原因とするか,非財務会計行為を原因とするかで,何らの違いもないのであるから「怠る事実に係る相手方に対する…損害賠償の請求」を,財務会計行為を原因とする損害賠償請求権のみに限る合理的な理由はない。それゆえ,私人が,財務会計行為と関係ない行為によって,普通地方公共団体に対して不法行為による損害賠償責任を負っている場合において,普通地方公共団体が,当該私人に対して有する損害賠償請求権の行使を違法に行わないという場合には,住民が,上記私人を「怠る事実に係る相手方」として損害賠償請求等の代位請求訴訟を提起できるのは当然である。そうであるとすると,普通地方公共団体の職員のうち,財務会計行為をする権限を有しない職員(以下「非財務会計職員」という)が,財務会計行為に属さない職務の遂行の過程で違。 法行為を行って,普通地方公共団体に損害を与え ,普通地方公共団体の職員のうち,財務会計行為をする権限を有しない職員(以下「非財務会計職員」という)が,財務会計行為に属さない職務の遂行の過程で違。 法行為を行って,普通地方公共団体に損害を与えたために,普通地方公共団体に対して損害賠償責任を負うに至った場合において,普通地方公共団体が,当該非財務会計職員に対して有する損害賠償請求権の行使を違法に行わないという場合には,これを私人における場合と区別する理由はないから,住民は,当然に,当該非財務会計職員を「怠る事実に係る相手方」として損害賠償請求等の代位請求訴訟を提起できるものと解するのが相当である。 したがって,法242条の2第1項4号の「怠る事実に係る相手方に対する…損害賠償の請求」は,財務会計行為を原因とする損害賠償請求権に限られるものではなく,非財務会計職員が,財務会計行為に属さないその職務の遂行過程で違法行為を行い,普通地方公共団体に損害を与えたという場合には,当該普通地方公共団体がその職員に対する損害賠償請求権を積極的に行使しないことは法242条の2第1項4号の「怠る事実」に該当するから,住民は,その非財務会計職員を「怠る事実に係る相手方」として代位による損害賠償請求の訴訟を提起できることとなる。 本件において原告らは,被告職員らに関して,被告職員らが公共施設状況調査に際し,公共下水道の現在排水人口として,定住人口を上回る過大な数値を記載して報告すれば翌年度の基準財政需要額の基礎数値は不実に増大し,普通交付税もその分だけ過大になるにもかかわらず,公共施設状況調査の現在排水- 24 -人口の数値を過大に記載することに関与したり,それらの者を監督すべき立場にあった者が,監督を怠り,上記のように公共施設状況調査の現在排水人口の数値を過大に記載した行為を看過した等として,A市が被 -人口の数値を過大に記載することに関与したり,それらの者を監督すべき立場にあった者が,監督を怠り,上記のように公共施設状況調査の現在排水人口の数値を過大に記載した行為を看過した等として,A市が被告職員らに対して有する不法行為に基づく損害賠償請求権を代位行使するとの訴訟を提起しているのであるから,この点に関する被告らの主張は理由がない。 争点(2)について(1) アについて監査請求の請求内容と住民訴訟の請求内容,又は監査請求の対象と住民訴訟の対象とが同一であることが,監査請求前置主義から要求されるが,住民訴訟は監査の結果の当否を争うための訴訟ではなく,地方公共団体の違法な財務会計行為又は事実を排除して,これによって地方公共団体の損害の回復を目的とするものであるから,両者の同一性とは,形式的な同一性ではなく,実質的な同一性があれば足りる。原告らの監査請求の内容は,資料作成職員が,故意又は重大な過失によって,国に虚偽の記載をした文書を提出したため,A市が加算金を返還することとなったとして,A市長に対して,A市が当該資料作成職員に対して有している不法行為に基づく損害賠償請求権の行使をするよう求めるものであるところ,本件訴訟は,公共施設状況調査担当の職員,下水道事業担当の職員及び地方交付税の基準財政需要額算定のための基礎資料を作成する職員並びにこれらの職員を指揮・監督する立場にあった職員に,共同不法行為責任があるとして,A市に代位して,上記職員らに損害賠償を求めるものである。したがって,本件監査請求の対象及び請求内容と本件訴訟の対象及び請求内容は,形式的には同一とはいえないが,本件監査請求の対象及び内容は,要するに,国に虚偽の記載した文書を提出したことによりA市が加算金を返還することになったことについて,責任のある関係職員に対し,不 容は,形式的には同一とはいえないが,本件監査請求の対象及び内容は,要するに,国に虚偽の記載した文書を提出したことによりA市が加算金を返還することになったことについて,責任のある関係職員に対し,不法行為責任を追及する趣旨であって,これらの関係職員の行為が共同不法行為に当たるものであれば,共同不法行為責任を追及する趣旨を含むものであるから,本件監査請求の対象及び請求内容と本件訴訟の対象及び請求内容は,実質的には同一であると認められる。 したがって,この点に関する被告B2の主張は理由がない。 (2) イについて監査請求の対象は,財務会計上の行為と怠る事実とに大別され,監査請求期間についての法242条2項の規定は,財務会計上の行為についてのみ適用があり,怠る事実については適用がなく,怠る事実についての監査請求については,期間の制限がなく,いつまでもすることができる(最高裁第三小法廷平成14年7月2日判決・民集56巻6号1049頁参照。そうであ)るとすると,本件監査請求の対象は,A市が,被告ら(A市長を除く)に。 対し,損害賠償の請求をしない(怠る事実)ことであるから,法242条2項の適用はなく,被告らのこの点についての主張は理由がない。 (3) 以上より,本件訴えは適法な監査請求を経てなされたものといえる。 争点(3)について- 25 -(1) 法243条の2第1項所定の職員がその職務を遂行するに当たって,地方公共団体に損害を与えた場合においては,民法の規定は適用されず,同条の手続に従ってのみ責任が追及され,当該職員に故意又は重大な過失(現金については故意又は過失)がある場合にのみ責任が追及されることとなる。同条の趣旨とするところは,同条1項所定の職員の職務の特殊性に鑑みて,同項所定の行為に起因する当該地方公共団体の損害に対する上記職 ついては故意又は過失)がある場合にのみ責任が追及されることとなる。同条の趣旨とするところは,同条1項所定の職員の職務の特殊性に鑑みて,同項所定の行為に起因する当該地方公共団体の損害に対する上記職員の賠償責任に関しては,民法上の債務不履行又は不法行為による損害賠償責任よりも責任発生の要件及び責任の範囲を限定して,これら職員がその職務を行うに当たり畏縮し消極的となることなく,積極的に職務を遂行することができるよう配慮するとともに,上記職員の行為により地方公共団体が損害を被った場合には,簡便,かつ,迅速にその損害の補てんが図られるように,当該地方公共団体を統括する長に対し,賠償命令の権限を付与したものであると解せられる(最高裁昭和61年2月27日第1小法廷判決・民集40巻1号88頁参照。 )以上のような法243条の2の趣旨に照らせば,同条1項所定の職員以外の職員が,違法行為等により地方公共団体に損害を被らせた場合には,当該職員には同条1項所定の職員のごとき職務の特殊性は認められない以上,当該職員の賠償責任については,民法の規定によるべきことになり,その責任発生の要件及び責任の範囲を限定すべき理由は存しないから,その賠償責任が認められるためには重過失であることを要せず,単に過失があれば足りると解するのが相当である。 以上を前提にして,以下,被告職員らがA市に対する不法行為に基づく損害賠償責任を負うかどうかにつき検討する。 (2)アA市における独自の下水道普及率算定方法が採られた経緯及びその問題点が公表された経過証拠(甲2,4の3,乙ウ33,35,証人F,被告B37,同B28,同B13)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 国(旧建設省)は,下水道普及率について,昭和39年度から昭和45年度の間は,排水面積を市街地 ,証人F,被告B37,同B28,同B13)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 国(旧建設省)は,下水道普及率について,昭和39年度から昭和45年度の間は,排水面積を市街地面積で除した数値とし,昭和46年度から昭和50年度までの間は,処理区域面積を市街地面積で除した数値とするというように,面積普及率をもって下水道普及率としていたが,昭和51年度以降,住民基本台帳に登載された人口を基礎にして,処理区域内の定住人口を総人口で除した数値である人口普及率をもって下水道普及率とすることにした(以下「旧建設省方式」という。 。)(イ) A市は,旧建設省が,昭和51年度以降,下水道普及率の定義を面積普及率から人口普及率に変更したのに伴って,それまで用いていた面積普及率から,処理区域内の定住人口に将来同区域内で増加が見込まれる人口数を加味した数値である「計画人口」を総人口で除した数値を昭和51年度から58年度の下水道普及率として用いていた。しかし,昭和58年に住民基本台帳が電算化されて,処理区域内の定住人口数が明確- 26 -になったことにより,A市の下水道処理区域の一つで,a駅を中心とする中心市街地を処理区域としていたb処理区の定住人口が,市街地のドーナツ化現象のため,それまで用いていた計画人口の数値よりも実際には10万人近く少ない人数であることが判明した。そこで,昭和59年度から平成9年度までの間,A市は,これまで用いていた計画人口の数値と同じ程度の数値を維持するために,処理区域内の定住人口に昼間に同処理区域内で下水道を利用することが推定される人口(以下「昼間利用人口」という)を加えた「処理区域内利用人口」を総人口で除した。 数値を下水道普及率とするA市独自の算定方法(以下「A市方式」という)によって下水道普及率 用することが推定される人口(以下「昼間利用人口」という)を加えた「処理区域内利用人口」を総人口で除した。 数値を下水道普及率とするA市独自の算定方法(以下「A市方式」という)によって下水道普及率を算定するようになった。 。 (ウ) A市は,平成元年3月に,A市公共下水道基本計画(以下「基本計画」という)を策定し,おおむね平成30年までにA市内の市街化区域の。 ほぼ全域の下水道を整備することを目標とすることにした。なお,基本計画書上には記載されていなかったが,A市内の市街化区域のほぼ全域に下水道が整備された際には,旧建設省方式によって算定した下水道普及率が70パーセントになることが前提となっていた。 (エ) 平成3年3月,平成17年度までに下水道普及率を70パーセントとすることを選挙公約に掲げた被告B2が市長に当選し,その選挙公約に従って基本計画の見直しがなされた。 (オ) 被告B13は,平成9年4月1日付けでA市下水道局長に任命された。 被告B13は,同職に着任して間もなくの同年5月ころ,下水道局調整課の担当者から,A市の下水道普及率の算定方法として,A市方式というものが存在するとの説明を聞いた。平成11年2月に市長が被告B2から被告B1に交代したのに伴い,同年4月ころ,A市の各局が抱える課題について新市長に説明する機会が設けられたことから,被告B13は,下水道局が抱えている問題点として,A市では,下水道普及率について,旧建設省方式による算定方法を用いずに,旧建設省方式における処理人口である処理区域内の定住人口の数値に昼間利用人口の数値を加算したものを旧建設省方式での処理人口の数値と扱って下水道普及率を算定していることを被告B1に説明した。 被告B13の上記説明を聞いた被告B1は,被告B13に対し「本,当のことを言うべきだ。現在の普 したものを旧建設省方式での処理人口の数値と扱って下水道普及率を算定していることを被告B1に説明した。 被告B13の上記説明を聞いた被告B1は,被告B13に対し「本,当のことを言うべきだ。現在の普及率の算定方法は改めるべきである」。 と言って,下水道普及率の算定方法をA市方式から旧建設省方式に改めた場合に,どのような事項にその影響が及ぶのかを下水道局において直ちに調査し,被告B1に報告するよう指示した。 これを受けて,被告B13は,当時下水道局建設部調整課計画係主任であったF及び同課課長補佐であったGに対して「普及率の訂正を公,表することになりそうだ。訂正に伴う影響を調査してほしい」と言っ。 て,下水道普及率の算定方法を訂正した場合にその影響が及ぶ事項を調査するよう指示した。調査に当たったFは,①現状で公表されている下- 27 -水道普及率と旧建設省方式による下水道普及率の数値との差,②旧建設省において整備指標として普及率が用いられてきた経緯及びA市における普及率の変遷,③A市における普及率訂正による影響,④今後の対策方針についてそれぞれ調査することにし,そのうち,①及び②の調査については,Fは,平成3年度及び平成4年度に下水道局計画課に在職していたことから,下水道普及率が現実と大きく乖離していることについて認識しており,平成4年6月の建設委員会への報告の際に用いた資料が存在することを知っていたため,平成3年度までのものは上記の資料を利用することにして,平成4年度以降の不足分を補うことにした。そのため調査の中心となったのは,③のA市における普及率訂正が及ぼす影響の点であった。この点に関して,下水道普及率又は処理人口等の数値を記入している各調査書について綴った綴りを調べたところ,そのうち,各自治体からの照会等以外に,財政課からの ける普及率訂正が及ぼす影響の点であった。この点に関して,下水道普及率又は処理人口等の数値を記入している各調査書について綴った綴りを調べたところ,そのうち,各自治体からの照会等以外に,財政課からの公共施設状況調査についての書類が出てきたことから,Gが,財政課に行き,同課の下水道局担当で,予算査定等を行っていた当時の主任のHに対し,下水道普及率の数値が訂正された場合に公共施設状況調査に影響が出るかどうか相談した。Hは,過去5年分の普通交付税算出資料により,現在排水人口の欄が下水道普及率の訂正によって影響されることを確認し,その数値を入れ替えて計算してみたところ,交付税が過大に支給されており,その返還が必要になることが判明した。Hは,5年間遡って交付税の返還額を試算し,最悪の場合を想定して利息を付けると概算で15億円程度になるとGに伝えた。 以上のような調査結果を踏まえて,FとGで,平成11年4月26日付け「下水道普及率について」という下水道局内部の意見等をまとめた資料(乙ウ35添付)を作成し,被告B13に報告した。その後,被告B13のほか,当時下水道局の幹部であった被告B25(管理部長,)被告B29(建設部長,被告B37(下水道総務課長,被告B41))(調整課長,G調整課課長補佐によって上記の調査結果が被告B1に)報告された。 下水道局の上記説明を聞いた被告B1は,平成10年度の下水道普及率の算定方法を旧建設省方式に改めることを決定し,さらに当時の財政局長であったIに対し,過大に交付された分の地方交付税を旧自治省に返還するよう指示して,平成11年5月24日,第2,1・アのとおり,A市の普及率の問題点を公表した。 イ被告職員らの認識状況について証拠(甲10の1・2,32ないし36,45ないし58,乙イ17,乙ウ30,31, て,平成11年5月24日,第2,1・アのとおり,A市の普及率の問題点を公表した。 イ被告職員らの認識状況について証拠(甲10の1・2,32ないし36,45ないし58,乙イ17,乙ウ30,31,35,証人F,被告B28,同B40,同B45,同B37)によれば,次の事実が認められる。 (ア) 昭和51年に旧建設省の下水道普及率の算定方式が変更された際,A市が下水道普及率の算定に上記の計画人口を用いたのは,処理区域内の- 28 -定住人口を正確に把握することが困難かつ非常に労力がいるということが理由であったが,昭和58年に住民基本台帳が電算化され,b処理区の定住人口が計画人口より10万人近く少ないことが判明したため,当時の下水道局建設部計画課企画係長の地位にいた被告B28は,A市の下水道普及率の算定方法も,処理区域内の定住人口を総人口で除して下水道普及率を算定する旧建設省の算定方法に是正すべきであると,当時の上司であったJ下水道局建設部長に上申した。しかしながら,被告B28は,その後,同部長から,統計の継続性からすればこれまでの計画人口の数値を維持するのが望ましいため,旧建設省の算定方式には変更しない旨が決まったと聞かされた。 なお,昭和63年ころ,当時下水道局総務課の課長補佐をしていた被告B45は,下水道局計画課の課長補佐をしていた被告B28から,A市の下水道普及率の算定では,昼間利用人口が含まれていて,他の自治体とは異なる算定方法を採っているという話を聞いたことがあった。 (イ) 平成元年3月に策定された基本計画では,平成30年度までに,旧建設省方式による下水道普及率が70パーセントとなることが目標とされており,同年度には,A市方式で下水道普及率を算定する際に処理区域内定住人口に加算されていた昼間利用人口の数値が0人となるように, 建設省方式による下水道普及率が70パーセントとなることが目標とされており,同年度には,A市方式で下水道普及率を算定する際に処理区域内定住人口に加算されていた昼間利用人口の数値が0人となるように,年々,昼間利用人口の数値を減少させていくことになっていた。具体的には,例えば,当該年度の整備による処理区域内定住人口の増加分が実数として2万人あったという場合であれば,当該年度の下水道普及率の算定上は1万5000人の処理区域内定住人口の増加とみなして,残りの5000人については,その同数だけ昼間利用人口の数値を減じるというように数値操作を行おうということになっていた。下水道局では,下水道局長,建設部長,調整課長,調整課課長補佐,計画係主任の打合せによって,当該年度の整備量に見合うような下水道普及率の数値案を毎年4月上旬に作成し,下水道局長の承認によって当該年度のA市方式による下水道普及率,A市方式での処理区域内定住人口数,昼間利用人口数等の数値を決定しており,このようにして決定した下水道普及率等の数値は,下水道総務課を含めた下水道局内及び関係部局に下水道統計資料として配付された。 この基本計画の原案を作成したのは,当時,下水道局調整課の課長補佐であった被告B28であり,当時の下水道局長であった被告B10ら下水道局の幹部が当時のK市長に基本計画の説明を行ってその決裁を得ていた。また,上記下水道局長の承認をもって決定されたA市方式での処理区域内定住人口の数値,旧建設省方式での処理区域内定住人口の数値,前者と後者の差額分である昼間利用人口の数値等は,下水道局長から市長に対しても報告されており,平成8年4月1日から平成9年3月31日まで下水道局計画課長を,平成9年4月1日から平成10年3月31日まで下水道局調整課長をしていた被告B40は,上記い 水道局長から市長に対しても報告されており,平成8年4月1日から平成9年3月31日まで下水道局計画課長を,平成9年4月1日から平成10年3月31日まで下水道局調整課長をしていた被告B40は,上記いずれかの- 29 -期間のうち1度,当時市長であった被告B2に対して下水道局長が下水道普及率に関する上記数値を報告する際に下水道局長に随行したことがあった。 (ウ) 被告B2が市長に就任した直後に変更された基本計画は,下水道の長期計画として,各種の調査,その他の計画等の基本となるものであり,その後,下水道局計画課において,実績に伴い各年の整備見通しの修正を行っていた。A市下水道局計画課あるいは調整課では,A市方式で算定した下水道普及率の数値のほか,旧建設省方式で算定した下水道普及率の数値についても把握しており,毎年度,基本計画によって両者の数値がどの程度近づいたかという検証を行っていた。しかし,基本計画に基づく整備の実施に応じて昼間利用人口の数値を減少させていこうとする前記・の数値操作も,b処理区域内の人口空洞化によって整備済み区域の処理人口が減少したことや,下水道整備量が思うように上がらなかったことなどから,計画どおりに昼間利用人口数を減少させることが困難になっていった。 (エ) A市は旧建設省から岡山県を通じ,各年度ごとの下水道実施計画書の提出を求められていたが,その提出に先立って,岡山県土木部都市局下水道課から「下水道整備状況等調べ」について調書の提出を求められ,ていた。同調書には,前年度末の下水道普及率について記載することとなっており,その記載要領には「処理人口は住民基本台帳人口を基に,供用開始の公示がされている区域の人口を入力してください」とあり,。 普及率の記載欄には「各自治体発表H○年度末普及率(建設省の定義,と異 ,その記載要領には「処理人口は住民基本台帳人口を基に,供用開始の公示がされている区域の人口を入力してください」とあり,。 普及率の記載欄には「各自治体発表H○年度末普及率(建設省の定義,と異なる場合記入」と記載された欄が別に設けられていたが,A市下)水道局建設部計画課は,その指示に従わず,旧建設省の定義と異なるA市方式によって算定した数値を上記該当欄に記載せずに,旧建設省方式によって算定した普及率を記載する欄のみに記載した。また,旧建設省の調書である「下水道事業実施計画書」の「処理人口普及率(建設省方式」と記載され,旧建設省方式で算定した下水道普及率を記載する旨)の指示がある欄に,その指示に従わず,A市方式で算定した下水道普及率の数値を記載していた。 (オ) A市では,下水道事業実施計画書のほかに,旧自治省から岡山県を経由してA市の財政課に,毎年5月ころ,公共施設状況調査の調査依頼がなされていた。この調査依頼が来ると財政課では,公共施設状況調査の総括担当者2名が,A市の各局を担当する財政課職員を通じて各局の主管課(下水道局では下水道局総務課)宛に,①公共施設状況調査用紙の写し,②前年度の数値が記載された公共施設状況調査書の写し,③記載する数値について「供用を開始している排水区域(下水道法第2条第7号に定める公共下水道により下水を排水することができる地域で,同法第9条第1項の規定により公示された区域)内の平成○年3月31日現在における住民基本台帳登載人口及び外国人登録人口」によることと明- 30 -記された記載要領の写し,④公共施設状況調査が「普通交付税の算定資料として使われるなど重要数値であり,他省庁への報告数値との突合も実施されますので,調査内容を十分理解のうえ記入してください。また,他省庁調査の写等の添付資料も2部 設状況調査が「普通交付税の算定資料として使われるなど重要数値であり,他省庁への報告数値との突合も実施されますので,調査内容を十分理解のうえ記入してください。また,他省庁調査の写等の添付資料も2部併せて提出してください」との記。 載がなされている調査依頼文書(甲10の1)の合計4つの書面を併せて送付し,その回答をするよう依頼していた。 この依頼を受けた下水道局総務課では,総務係から財務係の係長に上記の文書を送り,財務係長が部下の担当者に調査を指示し,担当者が関係部署である下水道調整課に問い合わせをして,財務係で起案を行い最終決裁者である下水道総務課長の決裁を得た後,関係部署である下水道調整課と合議した上で,下水道局財政課に回答していた。なお,下水道局総務課の財務係が起案する際には,財政課から来た公共施設状況調査表のコピーを取って,そのコピーを調整課に持って行き,該当の数値を調整課で記入してもらって,それを見ながら,財務係が財政課に提出する公共施設状況調査表に記載するというのが通常の流れであった。また,正式に財政課に回答する前になされる下水道総務課と下水道調整課との最終合議の際の書面には,上記(イ)の④の依頼文書が付いていた。 財政課では,各局から出された回答を受け取った後,各局の担当者が集計し,公共施設状況調査表への記載を行っていた。その際,財政課の担当者は,各局から出された回答が前年度の数値と比較して大きく異なる等の特別の事情がない限りは,各局から来る回答の内容を信頼して,集計,記載を行い,岡山県の市町村課に公共施設状況調査表を送り返していた。 (カ) 平成3年12月11日に行われた定例A市議会において,C議員から,下水道使用料の値上げに関して,A市の人口から下水道の処理人口及び浄化槽の処理人口を引いて算出したし尿処理人口の数値に いた。 (カ) 平成3年12月11日に行われた定例A市議会において,C議員から,下水道使用料の値上げに関して,A市の人口から下水道の処理人口及び浄化槽の処理人口を引いて算出したし尿処理人口の数値について,昭和62年と平成2年とを比較すると,平成2年のし尿処理人口の数値は昭和62年より減少しているにもかかわらず,平成2年のし尿収集実績は逆に昭和62年より増加しているという事実が指摘され,それに関する質問がなされた。これに対して,当時の財政局担当助役であった被告B6が答弁したものの,十分な答弁がなされないまま,市議会は打ち切り,延会となった。 そして,同月19日に開かれたA市建設委員会において,C議員から,b処理区域人口21万9165人の中に昼間利用人口9万5000人が含まれていることが指摘され,下水道の利用率が37.2パーセントというなら分かるが,これをもって下水道の人口普及率が37.2パーセントということにはならない,A市の実際の下水道の人口普及率を計算してみると,推計に推計を重ねているからどこまで正しいかは分からないが19.47パーセントになる,こういう紛らわしいことはやめて実態をはっきりさせなくてはならないなどの指摘がなされた。これに対し,- 31 -当時の下水道局長であった被告B10は,極めて重要な指摘であり,この扱いについては内部で検討し,改めて報告する旨答弁した。 同月24日に行われた定例A市議会において,議会に上程されたA市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の一部を改正する条例の制定についての反対討論が行われた際に,L議員は,同月11日に行われたA市議会でC議員が取り上げた,年次的にし尿収集人口が減っているのにくみ取り総量が増加しているとの前述の問題点に触れ,下水道処理人口の中に,b処理区については昭和55年の国勢調査 月11日に行われたA市議会でC議員が取り上げた,年次的にし尿収集人口が減っているのにくみ取り総量が増加しているとの前述の問題点に触れ,下水道処理人口の中に,b処理区については昭和55年の国勢調査に基づいて推計された昼間利用人口約9万7000人が含まれていたこと及びA市の下水道普及率の数値には10万人近い昼間利用人口が含まれていたもので,在住人口ベースで算出すると普及率は20パーセントしかないことも明らかになったと指摘した上で,被告B2の市長公約であった15年で70パーセントの普及率という話は一体どうなるのかと述べた。なお,議会で上記のような指摘があったことについて,当時建設局都市計画部都市計画課主幹でc線高架事業推進室長事務取扱であった被告B28は,下水道局に年末の挨拶に行った際に,当時の下水道局計画課長であったMから聞いたことがあった。また,平成5年4月に下水道局計画課の主幹になった被告B40は,その着任の際に,下水道局としては,上記平成3年の議会質問を契機として,昼間利用人口を入れて算定したA市方式による下水道普及率の数値と昼間利用人口を入れない旧建設省方式による下水道普及率の数値との差が縮まるように下水道の整備をして,平成17年には旧建設省方式によって算定した下水道普及率が70パーセントになることを目指しているという話を聞いたことがあった。 平成4年6月12日に行われたA市建設委員会において,C議員が,下水道普及率について昼間利用人口を入れて算定した場合と住民基本台帳に基づく常住人口を使った場合とで10パーセントほど誤差があり,A市は15年で旧建設省方式によって算定した下水道普及率が70パーセントとなるようにきちんと整合性が図られると説明しているがそれは間違いないのかと質したのに対し,当時の下水道局長であった被告B10は 市は15年で旧建設省方式によって算定した下水道普及率が70パーセントとなるようにきちんと整合性が図られると説明しているがそれは間違いないのかと質したのに対し,当時の下水道局長であった被告B10は,下水道局では市街地の下水道整備を進める中で,従前,昼間利用人口も含めた施設能力表現をしていたが,段階的に昼間利用人口によって算定した下水道普及率の数値と住民基本台帳に基づく常住人口によって算定した下水道普及率の数値とを漸近させるという方針を取っている旨答弁した。 (キ) 被告B13は,平成9年4月に下水道局長に就任した際,担当者から,A市方式で算定した下水道普及率の数値,旧建設省方式で算定した下水道普及率の数値及び上記両数値の差などが記載された過去10年分くらいのA市の下水道普及率の推移が分かる表を資料として提示された。下水道普及率がA市方式という独自の算定方法によって算定されていることを知った被告B13は大変驚くとともに,A市方式のように,旧建設- 32 -省方式と異なる独自の算定方法を用いると,他都市との下水道普及率の比較をする場合等に問題があると思ったものの,A市が長年にわたり独自の方式によって算定した下水道普及率に基づいて下水道の整備を行い,その数値を公表してきたこと,また,当時の市長であった被告B2の重点政策として下水道普及率の向上が掲げられていたこと,さらに,担当者から,平成3年12月の議会等においてもA市方式の下水道普及率について議会に説明がなされていると説明されたことなどから,被告B13は,非常に悶々とした気持ちを抱きつつも,これまで長年にわたって行われてきたA市方式という下水道普及率の算定方法を自分の代で変更するというまでの勇気が持てなかったため,平成8年度末及び平成9年度末の下水道普及率については従来どおりA市方式 れまで長年にわたって行われてきたA市方式という下水道普及率の算定方法を自分の代で変更するというまでの勇気が持てなかったため,平成8年度末及び平成9年度末の下水道普及率については従来どおりA市方式によって算定した下水道普及率を当時の市長であった被告B2に報告するとともに,対外的にも公表した。 ウ証拠(乙ア6)によれば,A市が,昭和45年度から平成10年度までに旧自治省から交付を受けた下水道関係の補助金の超過額は,別紙超過額一覧表のとおりであることが認められる。 (3)ア前記認定のとおり,(ア) A市下水道局は,旧建設省が,昭和51年度以降,住民基本台帳に登載された人口を基礎にして,処理区域内の定住人口を総人口で除した数値をもって下水道普及率とするという旧建設省方式を採用した後も,処理区域内の定住人口に将来同区域内で増加が見込まれる人口数を加味した数値である「計画人口」を総人口で除した数値を昭和51年度から昭和58年度の下水道普及率として用いていた。(イ) 下水道局は,昭和58年にb処理区の定住人口が,それまで用いていた「計画人口」の数値より,実際には10万人近く少ない人数であるということが判明したにもかかわらず,昭和59年から平成10年まで長期間にわたって,それまで用いていた「計画人口」の数値と同程度の数値を維持するために,処理区域内の定住人口に昼間利用人口を加算した「処理区域内利用人口」というA市独自の数値を用いて下水道普及率の算定を行い続けた。(ウ) そして,下水道局は,平成元年に基本計画を策定し,下水道整備が進んで処理区域内の定住人口が増加するに従って,上記処理区域内利用人口と処理区域内の定住人口との差(昼間利用人口)を減少させ,旧建設省方式によって算定した下水道普及率が70パーセントになったときには,その差が0になること 口が増加するに従って,上記処理区域内利用人口と処理区域内の定住人口との差(昼間利用人口)を減少させ,旧建設省方式によって算定した下水道普及率が70パーセントになったときには,その差が0になることを目指し,そのために毎年度の下水道普及率(A市の総人口分の処理区域内利用人口)についてその年度の整備量に見合うように,どのくらいの数値にするかにつき下水道局長,建設部長,調整課長らを交えて打ち合わせを行った上,下水道局長の承認をもって下水道普及率等の数値を決定し,そのようにしてA市方式で算定した下水道普及率の数値であるにもかかわらず,その数値を,旧建設省方式で算定した数値を記載するよう指示された「下水道整備状況等調べ」や「下水道事業実施計画書」の普及率記載欄に記載していた。(エ) 上記のようなA市方式による下水道普- 33 -及率の算定は,下水道局のみで決定されたものではなく,市長を始めA市の幹部職員の了解のもとで決定された。(オ) 財政課からの公共施設状況調査用紙には,処理区域内定住人口が普通交付税の算定資料として使われるなど重要数値である旨が記載されていた。(カ) 平成9年4月に下水道局長になった被告B13は,その就任直後に,昼間利用人口を処理区域内定住人口に加算した「処理区域内利用人口」の数値を用いるA市方式による下水道普及率の算定には問題があることを認識し,一刻も早く旧建設省方式による算定方法に是正すべきであると考えた。 以上の事実からすれば,A市下水道局の下水道普及率の算定に携わった職員は,A市方式による下水道普及率の算定が旧建設省方式に反していることは十分に認識し,また,その数値(処理区域内利用人口)が普通地方交付税の額に影響すると認識し得たものと認定することができる。しかしながら,一般の下水道局職員が上記のような数値をとるこ 反していることは十分に認識し,また,その数値(処理区域内利用人口)が普通地方交付税の額に影響すると認識し得たものと認定することができる。しかしながら,一般の下水道局職員が上記のような数値をとることによって普通地方交付税の額に影響があると認識したとしても,A市方式による下水道普及率の算定方法は,A市の幹部職員によって決定されたものであるから,一般の下水道局職員に,A市方式による算定方法をとらず,旧建設省方式に改めることを期待することはできなかったというべきである。 これに対し,幹部職員として下水道局職員を統括すべき責任を負い,また,A市政全般について調整をする責務のある下水道局担当助役及び下水道局長は,下水道事業が国からの地方交付税によって行われていたのであるから,下水道普及率の算定方法を変えることによって,地方交付税の額が異なることになることについて認識していたか,認識すべきであったにもかかわらず,これを怠るなどして「昼間利用人口」という根拠のない,数値を処理区域内定住人口に加算した「処理区域内利用人口」によって下水道普及率の算定を行うことを許容し,さらに,普通地方交付税の算定の基礎となる公共施設状況調査表の現在排水人口欄にも「処理区域内利用,人口」の数値を現在排水人口として記載することについても許容していたものであって,下水道局担当助役及び下水道局長には,上記の処理を行って過大な普通地方交付税の交付を受けてきたことについて,少なくとも過失が認められる。 イ前記認定のとおり,財政課は,旧自治省からの公共施設状況調査の調査依頼に対して,各局の主管課(下水道局では下水道局総務課)宛に回答を求め,その回答の内容を信頼して,集計,記載を行って,岡山県の市町村課に公共施設状況調査表を送り返していたというのであるから,一般の財政局職員 ,各局の主管課(下水道局では下水道局総務課)宛に回答を求め,その回答の内容を信頼して,集計,記載を行って,岡山県の市町村課に公共施設状況調査表を送り返していたというのであるから,一般の財政局職員にA市方式による数値を使用して普通地方交付税の交付を受けていたことについて,責任を問うことはできない。 しかしながら,財政局の幹部職員として財政局の職員を統括する責任を負う財政局担当助役及び財政局長は,毎年,多額の普通地方交付税が交付される下水道事業について,その交付金額の算定の基礎となる数値である処理区域内定住人口について正確に把握する義務があったというべきであ- 34 -る。そして,市議会において,平成三,四年ころ,市議会議員が,ほかの数値との比較などによって,A市が発表していた下水道普及率の数値がおかしいと指摘していることからすると,処理区域内定住人口について正確な数値の把握をすることは可能であったものといえる。また,上記市議会議員の追及があった後も,A市方式による数値を旧自治省に報告して,普通地方交付金を過大に受領していたことからすると,財政局担当助役及び財政局長は,ほかのA市の幹部職員らとともに,A市方式による数値での報告を了解していたものと推認しうる。したがって,財政局担当助役及び財政局長には,A市が過大な普通地方交付税を受領していたことについて,少なくとも過失がある。 ウ被告B2は,前記認定のとおり,A市方式による下水道普及率について,下水道局長から報告を受けていたものであり,また,市議会において,市議会議員からA市の下水道普及率の数値が実際の数値より高率であることの指摘を受けていたにもかかわらず,A市の最高責任者として,漫然と従前のまま,下水道事業に関して過大な普通地方交付税の交付を受け続けた結果,国に対し,過大に受領し 数値が実際の数値より高率であることの指摘を受けていたにもかかわらず,A市の最高責任者として,漫然と従前のまま,下水道事業に関して過大な普通地方交付税の交付を受け続けた結果,国に対し,過大に受領した交付金を返還すると共に加算金を支払うこととなって,A市に加算金相当額の損害を与えたというべきであり,被告B2には過大な地方交付税の交付を受け続けたことについて少なくとも過失がある。 被告B2は,A市が旧自治省に加算金を支払ったことをもってこれを直ちに損害ということはできない旨主張するが,仮に,本来交付されるべき金額よりも多く交付された地方交付税交付金によって,被告B2の言うようにA市が相当多額な財政支出効果を上げていたという面があったとしても,適正な地方交付税交付金の支給を受けている自治体であれば何ら支払う必要のない,超過交付額に対する年10.95パーセントもの高金利の加算金を一時期に支払わなければならなかったのであるから,加算金を支払ったことは,A市の損害であるといえる。 エなお,上記において責任のある被告らの具体的な不法行為は,別紙被告責任一覧表のとおりである。 (4) 以上によれば,原告らがA市に代位して被告らに対して請求した損害賠償請求権のうち,以下の被告に対する加算金相当額請求部分についてはその請求を認容すべきことになる(なお,各年度の加算金の金額は乙ア6により認定。 。)また,以下の損害賠償請求権をA市長が行使しないことは,法242条の2第1項4号にいう怠る事実に当たる。 ①昭和56年度(加算金額1億2666万5000円)下水道局担当助役被告B3,下水道局長被告B8及び財政局長被告B14に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権②昭和57年度(加算金額1億4035万円)下水道局担当助役被告B3,下水道局長被告B8及び財 局担当助役被告B3,下水道局長被告B8及び財政局長被告B14に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権②昭和57年度(加算金額1億4035万円)下水道局担当助役被告B3,下水道局長被告B8及び財政局長被告B1- 35 -4に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権③昭和58年度(加算金額1億4321万9000円)下水道局担当助役被告B3,下水道局長被告B8及び財政局長被告B14に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権④昭和59年度(加算金額1億3676万9000円)下水道局及び財政局担当助役被告B4並びに下水道局長被告B8及び財政局長被告B14に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権⑤昭和60年度(加算金額1億3064万2000円)下水道局及び財政局担当助役被告B4並びに下水道局長被告B8及び財政局長被告B15に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権⑥昭和61年度(加算金額1億1650万2000円)下水道局及び財政局担当助役被告B4並びに下水道局長被告B9及び財政局長被告B15に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権⑦昭和62年度(加算金額1億0700万円)下水道局及び財政局担当助役被告B4並びに下水道局長被告B9及び財政局長被告B15に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権⑧昭和63年度(加算金額9412万4000円)下水道局長被告B9及び財政局長被告B15に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権⑨平成元年度(加算金額8716万5000円)下水道局長被告B9及び財政局長被告B15に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権⑩平成2年度(加算金額7500万5000円)下水道局長被告B10及び財政局長被告B16に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権⑪平成3年度(加算金額6730万2000円)被告B2, 請求権⑩平成2年度(加算金額7500万5000円)下水道局長被告B10及び財政局長被告B16に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権⑪平成3年度(加算金額6730万2000円)被告B2,財政局長被告B16及び下水道局長被告B10に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権⑫平成4年度(加算金額7193万円)被告B2,財政局担当助役被告B6,財政局長被告B16,下水道局担当助役被告B5及び下水道局長被告B10に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権⑬平成5年度(加算金額7379万4000円)被告B2,財政局担当助役被告B6,下水道局担当助役被告B5及び下水道局長被告B11に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権⑭平成6年度(加算金額6915万2000円)被告B2,財政局担当助役被告B6,下水道局担当助役被告B5及び下水道局長被告B12に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権⑮平成7年度(加算金額6368万5000円)被告B2,下水道局担当助役被告B5及び下水道局長被告B12に対す- 36 -る上記加算金額相当の損害賠償請求権⑯平成8年度(加算金額5257万4000円)被告B2,財政局長被告B17,下水道局担当助役被告B5及び下水道局長被告B12に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権⑰平成9年度(加算金額3511万5000円)被告B2,財政局長被告B17,下水道局担当助役被告B5及び下水道局長被告B13に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権⑱平成10年度(加算金額1735万2000円)被告B2,財政局長被告B18,下水道局担当助役被告B7及び下水道局長被告B13に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権(5) 原告らは,被告B1が,同人の市長在任中に,昭和55年度に係る加算金相当額の損害賠償請求権を除 18,下水道局担当助役被告B7及び下水道局長被告B13に対する上記加算金額相当の損害賠償請求権(5) 原告らは,被告B1が,同人の市長在任中に,昭和55年度に係る加算金相当額の損害賠償請求権を除斥期間の徒過によって消滅させたことによりA市に対して1億1435万1000円の損害を負わせたと主張するが,昭和55年度に係る加算金相当額の損害賠償請求権が除斥期間にかかるまでの間に,被告B1において,当該損害賠償を請求すべき相手方を特定して請求することは時間的に困難であったといえ,被告B1が,昭和55年度に係る加算金相当額の損害賠償請求権を除斥期間の徒過によって消滅させたことをもって,被告B1に不法行為法上の過失があるとはいえない。 よって,A市は,被告B1に対し,被告B1が昭和55年度に係る加算金相当額の損害賠償請求権を除斥期間の徒過によって消滅させたことにつき不法行為に基づく損害賠償請求権を有しないから,原告らの主張を認めることはできない。 第4 結論 以上によれば,第1記載の請求は,主文の限度で理由があるからこれを一部認容し,その余の請求はいずれも理由がないからこれを棄却し,仮執行免脱宣言の申立てについては,その必要がないものと認めこれを却下することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法65条1項本文,64条本文,61条を適用して,主文のとおり判決する。 岡山地方裁判所第2民事部裁判長裁判官広永伸行裁判官政岡克俊及び裁判官国分綾は,いずれも転補のため,署名押印できない。 裁判長裁判官広永伸行
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