令和5(ネ)1384等 損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和6年1月26日 大阪高等裁判所
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判決文本文19,005 文字)

- 1 -令和6年1月26日判決言渡同日原本交付裁判所書記官令和5年(ネ)第1384号、同第1886号損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件(原審大阪地方裁判所令和3年(ワ)第11472号)口頭弁論終結日令和5年10月24日判決 控訴人兼附帯被控訴人(一審被告) P1 (以下「一審被告」という。)同訴訟代理人弁護士三坂和也 同桝田甲佑 被控訴人兼附帯控訴人(一審原告) ANSON株式会社(以下「一審原告」という。) 同訴訟代理人弁護士姜永守主文 1 一審被告の本件控訴を棄却する。 2 一審原告の附帯控訴に基づき、原判決主文1、2項を次のとおり変更する。 (1) 一審被告は、一審原告に対し、5万3179円及びこれに対する令和3年 10月25日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 (2) 一審原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを20分し、その1を一審被告の負担とし、その余を一審原告の負担とする。 4 この判決は、2項(1)に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 - 2 -第1 当事者の求めた裁判 1 一審被告の控訴の趣旨(1) 原判決中一審被告敗訴部分を取り消す。 (2) 上記部分につき、一審原告の請求を棄却する。 (3) 訴訟費用は、第1、2審とも一審原告の負担とする。 2 一審原告の附帯控訴の趣旨(1) 原判決中一審 被告敗訴部分を取り消す。 (2) 上記部分につき、一審原告の請求を棄却する。 (3) 訴訟費用は、第1、2審とも一審原告の負担とする。 2 一審原告の附帯控訴の趣旨(1) 原判決中一審原告敗訴部分を取り消す。 (2) 一審被告は、一審原告に対し、68万2128円及びこれに対する令和3年10月25日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 (3) 訴訟費用は、第1、2審とも一審被告の負担とする。 (4) 仮執行宣言第2 事案の概要以下で使用する略称は、特に断らない限り、原判決の例による。 1 本件は、アマゾンジャパン合同会社(アマゾン)の運営するインターネットショッピングサイト(アマゾンサイト)上に開設した原告サイトにおいて商品 を販売している一審原告が、被告サイトにおいて同種商品を販売している一審被告に対し、一審被告がアマゾンに対して原告サイト上に掲載された画像(原告各画像)及び商品名が一審被告の著作権を侵害しているとして申告した行為(本件各申告)が不正競争防止法(不競法)2条1項21号の不正競争行為又は不法行為に該当する旨主張して、不競法4条又は民法709条による損害賠 償請求権に基づき、本件各申告によって被ったとする損害73万4620円(逸失利益9万1200円、問題対応に要した人件費14万3420円及び弁護士費用相当額50万円の合計額)の損害賠償及びこれに対する最終申告日の後の日である令和3年10月25日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原審は、本件各申告が不競法2条1項21号の虚偽事実の告知に当たると判 - 3 -断した上、同法4条に基づき、一審原告の請求を5万2492円(本件申告1、3ないし7 案である。 原審は、本件各申告が不競法2条1項21号の虚偽事実の告知に当たると判 - 3 -断した上、同法4条に基づき、一審原告の請求を5万2492円(本件申告1、3ないし7、9及び10に係る不正競争行為による損害額合計)及びこれに対する上記遅延損害金の支払を求める限度で認容したため、これを不服とする一審被告が敗訴部分について本件控訴を提起し、一審原告が敗訴部分について附帯控訴を提起した。 2 前提事実は、次のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」欄第2の1(原判決2頁11行目から3頁20行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (1) 原判決2頁25行目から同頁26行目にかけての「別紙表の各「対応する被告画像」欄記載の証拠番号の画像」を、「別紙表の各「対応する被告画像 目録」記載の別紙被告画像目録1の1ないし10の2の画像」に改める。 (2) 原判決3頁8行目の「「ASIN」(識別番号)」を「「ASIN」(商品に関するアマゾン標準識別番号)」に改める。 (3) 原判決3頁10行目の「できる」の後に「。申告を受けたアマゾンは、同申告を審査し、これを有効と認めた場合、アマゾンサイト上において申告さ れたコンテンツの削除などを行う」を加える。 3 争点(1) 本件各申告が虚偽事実の告知(不競法2条1項21号)又は不法行為に該当するか(争点1・請求原因)(2) 一審原告の損害の有無及びその額(争点2・請求原因) (3) 一審原告の本訴提起及び訴訟追行が不法行為といえるか(争点3・相殺の抗弁) 4 争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」欄第3(原判決3頁26行から11頁5行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 点3・相殺の抗弁) 4 争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」欄第3(原判決3頁26行から11頁5行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (1) 原判決4頁8行目末尾に「仮に単語帳及び卓上カレンダーの写真について - 4 -著作物性が肯定されるとしても、創作性の程度が極めて低いことから、著作権の保護が及ぶ範囲は限定され、当該写真をそのままコピーして利用した場合に複製権侵害となるにとどまる。」を加える。 (2) 原判決4頁12行目の末尾に改行して次のとおり加える。 「したがって、著作権侵害をいう本件各申告は、虚偽事実の告知に当たる。」 (3) 原判決4頁14行目冒頭に「一審被告による本件各申告当時、原告サイトに掲載していた本件各商品の画像は、別紙表の「原告主張の原告画像」欄記載の証拠番号の画像(以下、別紙表の符号に従い「原告画像1」などという。)である。そのうち、原告画像3は、別紙原告画像目録3の画像(甲15の2)であり、その余の各原告画像は、いずれも対応する番号の被告画像 とほぼ同一である。」を加える。 (4) 原判決5頁15行目の「いすれの」から同頁18行目末尾までを次のとおり改める。 「いずれの画像についても、商品の状態を的確に伝え、需要者の購入意欲を促進するため一審被告が独自の工夫を凝らしたものであって、具体的には、 手ブレ補正、露出補正、ホワイトバランス等の細かい調整を自ら行い、光の入り方に気を配って撮影場所にもこだわり、複数のアングルで多くの写真を撮影して、その中の一番良い写真についてさらに彩度、色合いを編集して、どの媒体で商品写真を見ても最も綺麗に見えるよう調整している。特に、大量の商品を扱うインターネットショッピングサイトに くの写真を撮影して、その中の一番良い写真についてさらに彩度、色合いを編集して、どの媒体で商品写真を見ても最も綺麗に見えるよう調整している。特に、大量の商品を扱うインターネットショッピングサイトにおいては、購入商品を 選択する検討材料の中で商品写真が占める重要性は極めて大きく、一見ありふれた写真に見えるような場合であっても、その裏には、上記のような細やかな工夫が様々に凝らされているから、このような点において個性が発露している場合には、著作物性が認められるべきである。したがって、被告各画像には創作性があり、一審被告は、被告各画像に係る著作権を有している。」 (5) 原判決5頁22行目の「商品名を付して販売している。」の後に「また、 - 5 -本件各商品のいくつかに一審被告がつけた「PremiumPhotoBook」という商品名は、どの部分を大文字とし又は小文字とするか、スペースを入れるのか入れないのか、スペースを入れるとしても半角か全角かといった点を熟慮の上で選択したものである。大量の商品を扱うインターネットショッピングサイトにおいては、消費者は検索結果画面をスクロールしながら商品を選択す るため、ありふれた商品名に見えるような場合であっても、一審被告は、一見して自分の商品を選択してもらえるように細やかな工夫を様々に凝らしている。」を加える。 (6) 原判決6頁10行目末尾に「本件各申告当時、原告サイトに掲載されていた原告各画像は、被告各画像と同一である。一審原告が本件各申告当時に原 告サイトに掲載していたと主張する原告画像1ないし3、5は、アマゾンの原告サイトとは無関係な「Yahoo!ショッピング」サイト上に一審原告が開設しているサイト(以下「原告ヤフーサイト」という。)の商品画像であって、本 たと主張する原告画像1ないし3、5は、アマゾンの原告サイトとは無関係な「Yahoo!ショッピング」サイト上に一審原告が開設しているサイト(以下「原告ヤフーサイト」という。)の商品画像であって、本件各申告当時にアマゾンの原告サイトに掲載されていた画像とは異なる。」を加える。 (7) 原判決6頁17行目から同頁18行目にかけての「知的財産権侵害フォームから申告するよう案内されたため」を「アマゾンブランド登録又は侵害通知用のオンラインフォーム(以下「侵害通知フォーム」といい、これによる申告を「権利侵害申告」という。)を利用して申告するよう案内されたため」に改める。 (8) 原判決7頁7行目から同頁8行目にかけての「やむを得ず著作権侵害という選択肢を選んだにすぎない」を「アマゾンから、侵害通知フォームを利用して申告するよう案内されたため、侵害通知フォームにある選択肢の中からやむを得ず著作権侵害という選択肢を選んだにすぎない」に改める。 (9) 原判決7頁10行目末尾に「そして、被告各画像等に著作物性がないため、 著作権侵害をいう本件各申告が客観的には虚偽の事実の告知に該当するとし - 6 -ても、不競法2条1項21号による損害賠償責任の有無を検討するに当たっては、諸般の事情を考慮して違法性や故意・過失の有無を判断すべきである。」を加える。 (10) 原判決8頁4行目末尾に改行して次のとおり加える。 「 なお、原告サイトの一部商品について出品停止が解消されたとしても、出 品停止が全面的に解消されない限り、出品停止が解消された商品の販売に影響が及ぶことは否定できないから、損害額は、商品ごとに算定した逸失利益を合算する手法で認定すべきではない。また、出品停止直前期に偶々販売実績がなかったからといって、出品 止が解消された商品の販売に影響が及ぶことは否定できないから、損害額は、商品ごとに算定した逸失利益を合算する手法で認定すべきではない。また、出品停止直前期に偶々販売実績がなかったからといって、出品停止期間中にその商品の販売につき逸失利益が生じなかったということはできない。」 (11) 原判決8頁5行目の「対応人件費」を「問題対応に要した人件費(以下「対応人件費」という。)」に改める。 (12) 原判決10頁15行目の「原告の本訴提起の態様等が不法行為となるか」を「一審原告の本訴提起及び訴訟追行が不法行為といえるか」に改める。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、一審原告の請求は一審認容額を増額した5万3179円及びこれに対する令和3年10月25日から支払済みまで年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があると判断する。その理由は、次のとおりである。 2 争点1(本件各申告が虚偽事実の告知又は不法行為に該当するか)について (1) 認定事実次のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」第4の1(1)ないし(3)(原判決11頁8行目から18頁1行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ア原判決11頁10行目冒頭から同頁20行目末尾までを次のとおり改める。 「 被告画像1、2、4ないし8は、それぞれ特定の芸能人ないし芸能人グル - 7 -ープの写真集である本件商品1、2、4ないし8の平面的な表紙及び裏表紙(上記芸能人ないし芸能人グループの写真が全面に印刷されている。)を、できるだけ忠実に再現するため真正面から撮影しており、被写体となっている写真集の表紙及び裏表紙以外に背景や余白はない。 被告画像3は、63枚の単語カード並びに表紙及び裏表紙のカード いる。)を、できるだけ忠実に再現するため真正面から撮影しており、被写体となっている写真集の表紙及び裏表紙以外に背景や余白はない。 被告画像3は、63枚の単語カード並びに表紙及び裏表紙のカードの左上 穴に金具のリングを通して一つの単語帳となっている本件商品3を、一審被告が撮影したものである。具体的には、被告画像3は、上記金具のリングから取り外した表紙及び裏表紙のカード(いずれもある特定の芸能人を撮影した写真が全面に印刷されている。)を左側に上下に並べ、その右側に一部裏表紙と重なる形で、金具のリングで一体となった残る63枚の単語カードを、 一番上になるカード(同カードには、上記と同一の芸能人を撮影した写真が全面に印刷されている。ただし、白い縁取りがある。)の写真だけが全面的に見えるように、金具のリングを要として扇状に広げたものを正面から撮影したものであり、その背景は白である。 被告画像9及び10は、ある特定の芸能人を被写体にした写真を掲載した 卓上カレンダーである本件商品9及び10の平面的な表紙及び裏表紙(表紙にはほぼ全面に上記芸能人の写真が印刷され、裏表紙には同芸能人の各写真が掲載された12か月分のカレンダーが印刷されている。)を、できるだけ忠実に再現するため真正面から撮影したものであり、被写体となっている卓上カレンダーの表紙及び裏表紙以外に背景や余白はない(なお、表紙の画像 にのみカレンダーを綴る上部のリングが映っている。)。」イ原判決14頁3行目冒頭から同頁9行目末尾までを次のとおり改める。 「 一審原告は、一審被告によって本件各申告がされた当時、原告サイトに本件各商品の画像として原告画像1ないし9を掲載していた(本件商品10の原告サイトにおける当時の画像の詳細は不明である。)。 原 原告は、一審被告によって本件各申告がされた当時、原告サイトに本件各商品の画像として原告画像1ないし9を掲載していた(本件商品10の原告サイトにおける当時の画像の詳細は不明である。)。 原告画像3についての事実認定を補足すると、原告画像3は、一審原告の - 8 -デザイナーが作成した韓国語の単語帳商品を紹介するための画像テンプレートに、本件商品3の表紙を真正面から撮影した画像を挿入したものである。 上記画像テンプレートは、ピンク色及び緑色を背景として韓国語単語が記載された側を上にして並べられた5枚ほどの個別の単語カードと、その左側に一部同各単語カードの上に重なる状態で、無地の黄色・ピンク色・緑色・水 色・オレンジ色の30枚ほどの単語カードが左上穴に通された金具のリングを要として扇状に広げた単語帳とからなり、その背景は白であって、上記単語帳の表紙部分に実際の商品である単語帳の表紙を撮影した画像を挿入する形式となっており、原告画像3には、その表紙の画像以外には本件商品3を撮影した部分はない。原告画像3を立証する証拠(甲15の2)は、本件申 告3当時の原告サイト上のものではなく、令和3年8月5日にアマゾンによって原告サイトにおける本件商品3が出品停止とされ、その画像も削除された後、これに近接した同月19日に、一審原告が原告ヤフーサイトに出品している本件商品3の画像をスクリーンショットによって保存したものである。 しかし、同画像は上記出品停止に先立つ同年7月27日に一審原告において 作成されたものであることは認められるし(甲54の1・2)、販売業者が、同じ商品を複数のインターネットショッピングサイト上で販売する場合に、異なるインターネットショッピングサイトに同じ商品画像を掲載することは何ら不自然ではないこと、そ (甲54の1・2)、販売業者が、同じ商品を複数のインターネットショッピングサイト上で販売する場合に、異なるインターネットショッピングサイトに同じ商品画像を掲載することは何ら不自然ではないこと、そもそも一審原告において上記画像削除前に原告サイトにおける本件商品3の画像を保存することを期待することは困難であ ったと考えられるのに対し、権利侵害を主張する一審被告においては本件申告3を行うに当たって同画像を保存してもおかしくないと考えられるのに、そのような措置を何らとっていないこと等の事情を併せ考えると、本件申告3当時の原告サイトにおける本件商品3の画像は、一審原告の主張するとおり、一審原告が同じ頃原告ヤフーサイトに出品していた本件商品3の画像 (原告画像3)と同一であったと認めるのが相当である。」 - 9 -ウ原判決14頁12行目の「本件商品6」の前に「本件商品5は「JUNGKOOK ジョングク(防弾少年団/BTS) グッズ - プレミアムフォトブック写真集 (PremiumPhotoBook) 220mm×305mmSIZE(34p)」、」を加える。 エ原判決14頁20行目の「甲3の1、」の後に「5の2、」を加える。 オ原判決15頁25行目の「旨を記載した。」の後に次のとおり加える。 「そして、侵害通知フォームには、「以下に入力された連絡先情報は、申告の対象となる相手方に共有されます。」旨付記された上、「問い合わせ先情報」を記入することになっているところ、一審被告は、本件申告1に際し、「問い合わせ先情報」として一審被告の屋号及びEメールアドレスを記載した。また、侵害通知フォーム末尾には、太字で、「「送信」をクリックする ことで、以下の内容に同意するものとみなされます。」との注意 合わせ先情報」として一審被告の屋号及びEメールアドレスを記載した。また、侵害通知フォーム末尾には、太字で、「「送信」をクリックする ことで、以下の内容に同意するものとみなされます。」との注意書がされており、その直下に①「私は、申告した画像や商品が、私または権利所有者の権利を侵害する客観的根拠があり、かつ違法であることを確信しています。」、②「申告者は、本申告に含まれる情報が正しくかつ正確であること、および申告者が、権利者または権利者の代理人であることを表明・保証しま す。」、③「私は、この申告が受理された場合、ここに含まれる情報が、注文番号を除き、Amazonから申告の対象であるすべての出品者に対して共有される可能性があることを理解しています。」との記載がされているところ、一審被告は、本件申告1に際し、以上を前提としてその直下の「送信」をクリックした。」 カ原判決16頁17行目の「同月11日」を「同月14日」に改める。 キ原判決17頁25行目の「原告は」から同頁26行目の「ことに対し、」までを「アマゾンは、本件申告2ないし10についても、本件申告1の場合と同様、一審被告から著作権侵害の申告がされたことを理由として、別紙表の各「出品停止日」に、原告サイト上の本件各商品の出品を停止し、原告各 画像を原告サイト上から削除した(甲2~10の各1、3の2)。一審原告 - 10 -は、これらに対し、」(2) 本件各申告における告知内容ア本件各申告の内容及び態様並びにこれに対するアマゾンの対応(前記(1)で補正の上で引用した認定事実(3)イからエ、カ、ク、ケ)によれば、一審被告は、アマゾンに対し、本件各申告によって、一審被告の著作権を侵害し ている旨告知したと認められる。なお、一審被告は、侵害 で補正の上で引用した認定事実(3)イからエ、カ、ク、ケ)によれば、一審被告は、アマゾンに対し、本件各申告によって、一審被告の著作権を侵害し ている旨告知したと認められる。なお、一審被告は、侵害通知フォームの詳細欄に、「一審被告が作成したカタログの商品画像、商品名を盗用」している旨記載しているが、ここにいう「盗用」は著作権侵害が原告各画像及び商品名に依拠して同一のものを作成してなされていることをいっているものと解される。 イこれに対し、一審被告は、アマゾンに一審原告に係るASIN重複の規約違反を申告しようとしたにすぎず、侵害通知フォームの詳細欄には著作権侵害とは記載していないから、アマゾンに対して著作権侵害の告知をしたものではない旨主張する。確かに、一審被告は、侵害通知フォームの詳細欄に、著作権侵害とは記載していないが、侵害通知フォームには、当該フォームが知的 財産権の侵害を申告するためのものであって、その他の規約違反の報告は別の方法によるべきことが明記されている上、侵害通知フォーム自体が、知的財産権侵害のいずれかを選択しなければ申告手続が次の段階に進まない、すなわち申告できない仕組みになっていることは明らかであって、これが認識できないはずがないのであるから(乙28の1ないし4)、一審被告が、自 ら権利侵害の種類として「著作権侵害」を選択し、「著作権のある商品/著作物を提示するサイトへのリンク」を選択して対応する被告サイトのURLを記載して本件各申告をした以上は、一審被告はアマゾンに対して著作権侵害の告知をしたというほかなく、一審被告の上記主張は採用できない。 (3) 被告各画像等の著作物性 ア被告各画像の著作物性 - 11 -(ア) 被告画像1、2及び4ないし10について うほかなく、一審被告の上記主張は採用できない。 (3) 被告各画像等の著作物性 ア被告各画像の著作物性 - 11 -(ア) 被告画像1、2及び4ないし10について写真集及び卓上カレンダーに係る被告画像1、2及び4ないし10は、インターネットショッピングサイトにおいて販売する商品がどのようなものかを紹介するために、芸能人を被写体とする写真が印刷された平面的な表紙及び裏表紙を、できるだけ忠実に再現するため真正面から撮影 した画像であり、上記表紙及び裏表紙以外に背景や余白はないのであって、被写体の選択・組合せ・配置、構図・カメラアングルの設定、背景等に選択の余地がなく、上記表紙及び裏表紙ひいてはそこに印刷された芸能人を被写体とする写真を忠実に再現する以外に、その画像の表現自体に何らかの形で撮影者の個性が表れているとは認められないから、上 記各被告画像には創作性が認められない。したがって、上記各被告画像は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法2条1項1号)とはいえず、著作物とは認められないから、一審被告が上記各被告画像について著作権を有するとは認められない。 (イ) 被告画像3について 単語帳に係る被告画像3も、インターネットショッピングサイトにおいて販売する商品がどのようなものかを紹介するための写真ではあるが、芸能人を被写体とする写真が印刷された表紙及び裏表紙を金具のリングから取り外し、各写真を表にして平面上に上下に並べ、その右側に一部裏表紙と重なる形で、63枚の単語カードを写真側を表にして金具のリ ングを要として扇状に広げたものを撮影したものであり、正面から撮影されたものではあるものの、上記単語カードを扇状に広げることによってその重なり合いによる陰 語カードを写真側を表にして金具のリ ングを要として扇状に広げたものを撮影したものであり、正面から撮影されたものではあるものの、上記単語カードを扇状に広げることによってその重なり合いによる陰影が表現され、また、2枚目以降の単語カードの白い縁取りからわずかに各写真が垣間見えるように広げることによって各単語カードにそれぞれ異なる写真が印刷されていることを表現し ており、白い背景によって表紙及び裏表紙の写真等を浮き立たせる効果 - 12 -も生んでいるといえる。このような手法が商品としての単語帳を紹介する際にまま見られるもの(乙62、63)であったとしても、その被写体の選択・組合せ・配置、光線の調整・陰影の付け方、背景の選択には複数の余地があり、被告画像3の表現自体に撮影者の個性が表れていると認められる。したがって、被告画像3は、「思想又は感情を創作的に 表現したもの」といえ、著作物性が認められるから、その撮影者である一審被告は被告画像3について著作権を有すると認められる。 (ウ) 以上に対し、一審被告は、被告画像1、2及び4ないし10についても、手ブレ補正、露出補正、ホワイトバランス等の細かい調整を行い、光の入り方に気を配って撮影場所にこだわり、複数の写真を撮影してその中 の一番良い写真について彩度、色合いを編集するなどの独自の工夫を凝らしている旨主張するが、一審被告が主張するそのような工夫は、商品である写真集ないし卓上カレンダーの表紙及び裏表紙、ひいてはそこに印刷された芸能人を被写体とする写真を忠実に再現するためのものであって、上記工夫の結果、それらが忠実に再現された各被告画像が得られ たとしても、その表現自体に何らかの形で撮影者である一審被告の個性が表れているとは認められない。したがって、上記 めのものであって、上記工夫の結果、それらが忠実に再現された各被告画像が得られ たとしても、その表現自体に何らかの形で撮影者である一審被告の個性が表れているとは認められない。したがって、上記一審被告の主張は上記(ア)の判断を左右しない。 イ本件各商品の商品名の著作物性(ア) 一審被告が被告サイトに掲載した本件各商品の商品名は、いずれも本件 各商品自体に印刷された商品名の欧文字の大文字表記を小文字表記にしたり、欧文字を日本語表記にしたりしたほか、「大型写真集」「+ケース付」「+メッセージカード」といった本件各商品の特徴をありふれた表現で説明したにとどまり、「思想又は感情を創作的に表現したもの」とは認められない。したがって、被告サイト上の上記商品名に著作物性 は認められないから、一審被告はこれら商品名について著作権を有しな - 13 -い。 (イ) これに対し、一審被告は、例えば本件商品9の表紙には欧文字で「PHOTODESKCALENDAR」としか書かれていないのに対し、「卓上カレンダー2022~2023年(2年分)+ステッカーシール[12点セット]」という自ら考えた商品名を付した旨主張するが、その商品名なる ものは、上記商品自体に付された商品名の欧文字の一部を日本語表記にし、商品自体の特徴をありふれた表現で複数付け足したにすぎず、商品のどのような特徴を付記するか等につき一審被告が何らか考慮したとしても、上記表現が著作権法上における創作的表現と認められるものではない(そもそも本件商品9の裏表紙には「CHAEUNWOO 2022-2023 PHOTO DESKCALENDAR」及び「CALENDAR+STICKER」の文字が印刷されており、一審被告が付記した同商品の特徴の選択にも CHAEUNWOO 2022-2023 PHOTO DESKCALENDAR」及び「CALENDAR+STICKER」の文字が印刷されており、一審被告が付記した同商品の特徴の選択にも独自性はない。)。一審被告は、本件商品1、2、4ないし8に印刷された「PREMIUMPHOTOBOOK」について、一審被告がつけた「PremiumPhotoBook」という商品名は、どの部分を大文字とし又は小文字とするか、スペースを入れるのか入れな いのか、スペースを入れるとしても半角か全角かといった点を熟慮の上で選択したものであるなどとも主張するが、それがインターネットショッピングサイトにおいて消費者の関心を惹くよう考慮した結果であるとしても、商品本体に印刷されている商品名の表記につき通常のゴシック体のアルファベットの大文字と小文字の組み合わせやスペースの入れ方 によって工夫すること自体はアイデアの類にすぎず、著作権法上保護される思想又は感情の「表現」には当たらない。したがって、一審被告の上記主張はいずれも採用できない。 (4) 原告画像3の掲載が被告画像3についての著作権侵害に当たるかア上記のとおり、被告サイト上の被告各画像及び商品名のうち、そもそも著 作物性が認められるのは被告画像3のみであり、その余については著作物性 - 14 -自体が認められず、一審被告が著作権を有しないから、一審原告がその著作権を侵害した事実はおよそ存在しない。そこで、原告画像3の掲載が被告画像3についての一審被告の著作権侵害に当たるかにつき、以下検討する。 イ被告画像3の表現上の本質的特徴は、前記(3)ア(イ)のとおり、本件商品3を撮影する際の被写体の選択・組合せ・配置、光線の調整・陰影の付け方、 背景の選択等を総 るかにつき、以下検討する。 イ被告画像3の表現上の本質的特徴は、前記(3)ア(イ)のとおり、本件商品3を撮影する際の被写体の選択・組合せ・配置、光線の調整・陰影の付け方、 背景の選択等を総合した表現に認められるところ、画像テンプレートを利用して作成された原告画像3は、単語帳から取り外した一部の表紙等を並べてその横に単語帳を扇状に広げて置くなどの点で商品の見せ方に関する基本的なアイデアに被告画像3との共通点はあるが、取り外して並べられたのが表紙や裏表紙の写真面か、単語カードの韓国語単語が記載された面か、その枚 数、色彩及び配置、金具のリングを要として扇状に広げられた単語帳がその右側に配置されているか左側に配置されているか等の配置、同単語帳の1枚目のカードに印刷された写真内容、同単語帳の単語カードの枚数、色彩、扇状の広がり方及び陰影等で異なっていることが一見して明らかであって、その素材の選択・組合せ・配置、光線の調整・陰影の付け方、色彩の配合、素 材と背景のコントラスト等において被告画像3と異なるから、被告画像3の表現上の本質的特徴を直接感得させるものとはいえない。なお、原告画像3で選択された素材のうち、本件商品3の表紙を正面から撮影した画像部分のみは被告画像3と共通するが、その画像自体は、被告画像1、2及び4ないし10について検討したと同様、平面的な上記表紙を忠実に再現したのみで 創作性が認められない部分であるから、同画像部分が共通しているからといって、原告画像3が被告画像3と類似しているとは到底認められない。したがって、一審原告が原告画像3を原告サイトに掲載したことが、被告画像3に係る一審被告の著作権を侵害するものとは認められない。 以上によれば、一審被告が、本件各申告によってアマゾンに告知した、一 って、一審原告が原告画像3を原告サイトに掲載したことが、被告画像3に係る一審被告の著作権を侵害するものとは認められない。 以上によれば、一審被告が、本件各申告によってアマゾンに告知した、一 審原告が被告サイト上の被告各画像及び商品名についての一審被告の著作権 - 15 -を侵害しているとの本件各申告の内容は、全て虚偽の事実であったということになる。そして、前記第2の2で原判決を補正した上で引用した前提事実(1)によれば、一審原告と一審被告は競争関係にあるといえ、また、上記著作権侵害の事実を申告する行為は一審原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知する行為といえるから、本件各申告は、客観的に不競法2条1項2 1号に該当するということになる。 (5) 一審被告による本件各申告の違法性ないし故意・過失の有無ア本件各申告は、アマゾンがあらかじめ設けている知的財産権侵害を申告するための侵害通知フォームを利用して行われたものであるところ、同フォームにおいては、申告者において、申告した画像や商品が申告者又は権利所有 者の権利を侵害する客観的根拠があり、かつ違法であることを確信していること、当該申告に含まれる情報が正しくかつ正確であることを表明・保証することに同意した上で権利侵害申告を行うものとされている。そして、アマゾンに対する権利侵害申告がされた場合には、アマゾンによって申告対象のコンテンツが削除されるなどしてアマゾンサイトへの出品自体が停止され、 当該出品者が直接的に経済的損害を被ることがあることが明らかであるから、侵害通知フォームによって著作権についての権利侵害申告をする者には、権利侵害申告をするに当たり、権利侵害の客観的根拠があり、かつ違法であることについて調査検討すべき注意義務を負っていると解すべ ら、侵害通知フォームによって著作権についての権利侵害申告をする者には、権利侵害申告をするに当たり、権利侵害の客観的根拠があり、かつ違法であることについて調査検討すべき注意義務を負っていると解すべきである。 これに対し、一審被告は、著作物かどうかの判断は困難なものであり、こ れを正確に行ってアマゾンに申告することが求められるとすれば、その権利行使を不必要に委縮させるから、本件において、結果的に被告各画像等に著作物性がないとされた場合であっても、不競法2条1項21号による損害賠償責任の有無を検討するに当たっては、諸般の事情を考慮して違法性や故意・過失の有無を判断すべきであると主張する。しかし、上記のとおり、権 利侵害申告をする者に対しては、侵害通知フォーム所定の同意事項の同意を - 16 -義務付けることで明確に上記注意義務が課せられ、これに反した場合に被申告者に損害が発生することも容易に予見できることであるから、著作権侵害という法的判断を伴う事実を申告する以上、著作物性の判断が困難であるのであれば専門家に問い合わせることも検討されるべきであって、その判断のための調査検討を怠って虚偽の事実の申告となる権利侵害申告をすることが 許されるわけではなく、一審被告の上記主張は採用できない。 イ以上を前提に検討するに、本件において、一審被告が著作権を有するとして本件各申告をした被告各画像のうち、被告画像3を除く平面的な被写体を忠実に再現しただけの写真といえる被告画像は、前記(3)アのとおり、いずれも著作物性が認められないところ、この種の写真に著作物性が認められな いことは過去の裁判例において明らかにされ、これについては一般に異論も見られないところであるから、控訴人が著作物性判断のため著作権について調査検討 ところ、この種の写真に著作物性が認められな いことは過去の裁判例において明らかにされ、これについては一般に異論も見られないところであるから、控訴人が著作物性判断のため著作権について調査検討したのであれば、上記被告画像が著作物といえないことは容易に明らかになったことといえる。 また、被告画像3は、著作物性が肯定されるものの、前記(4)のとおり、 原告画像3は被告画像3とは、商品の見せ方というアイデアで共通点があるにすぎず、表現における類似性がないことは明らかであるから、原告画像3をもって、被告画像3について一審被告が有する著作権の侵害物とはいえないところ、このようにアイデアで共通していても表現で異なる場合に著作権侵害をいえないことは、著作物性についてみたと同様、著作権について少し でも調査検討すれば容易に明らかになったことといえる。 さらに、被告サイト上の一審被告が付したとする商品名は、前記(3)イのとおり、いずれも本件各商品自体に印刷された商品名の表記を変え、本件各商品の特徴をありふれた表現で付記するなどしたものにすぎず、およそ著作物性が肯定される余地のないものであり、この点も、上記被告各画像につい てみたと同様、著作権について少しでも調査検討すれば容易に明らかになっ - 17 -たことといえる。 そうすると、一審被告がアマゾンに対して原告サイト上に掲載された原告各画像及び商品名が一審被告の著作権を侵害している旨申告すること(本件各申告)が虚偽の事実の告知に当たることは、一審被告がその申告をするに当たり必要な調査検討をすれば容易に明らかになったといえるにもかかわら ず、一審被告がこれについて調査検討した様子はうかがわれず、漫然と本件各申告をしたものと認められるから、一審被告は、権利侵害 当たり必要な調査検討をすれば容易に明らかになったといえるにもかかわら ず、一審被告がこれについて調査検討した様子はうかがわれず、漫然と本件各申告をしたものと認められるから、一審被告は、権利侵害申告に当たって求められる前記注意義務を怠ったものというべきである。 ウそして、本件各申告がなされた経緯についてみると、一審被告は、本件申告1及び2を行った後、一審原告から、同各申告についてどのような点で著 作権侵害との判断をしたのか問い合わせるメールを受けたにもかかわらず、これに何ら返信することなく本件申告3ないし5を行い、再度一審原告から上記同様の問い合わせのメールを受け、さらに、一審原告代理人弁護士から上記各申告に係る著作権侵害は存在しないとの内容証明郵便による通知さえも受けたにもかかわらず、専門家に問い合わせるなどして著作権侵害の有無 について然るべき調査検討をしようとしないばかりか、何ら回答せずに無視して、なお続けて本件申告6ないし10を行ったというのである。一審被告が本件各申告を行うに当たっては、侵害通知フォーム上において、「問い合わせ先情報」として一審被告の連絡先が申告の相手方(一審原告)に共有される旨が明らかにされており(乙28の4)、一審原告から問い合わせ等が あった場合にはこれに適切に対応すべきことが予定されていたのであり、現に、アマゾンにおいても、一審原告に対して、権利者が誤って通知を送信したと考えられる場合は権利者に連絡して通知取り下げの申請を依頼するよう通知していた(甲2の1、3の2、4の1、5の1、7の1)というのに、一審被告は一審原告からの度重なる問い合わせ等に対して一切の対応をしな いまま、上記経緯のとおり本件各申告を繰り返したというのであるから、そ - 18 -の申告態様 1)というのに、一審被告は一審原告からの度重なる問い合わせ等に対して一切の対応をしな いまま、上記経緯のとおり本件各申告を繰り返したというのであるから、そ - 18 -の申告態様からして、一審被告は、著作権の正当な権利行使の一環として本件各申告をしたのでなく、むしろアマゾンサイト上で競争関係にある一審原告の出品を妨害することによって自己が営業上優位に立とうとして本件各申告をしたことがうかがわれるというべきである。 エこれに対し、一審被告は、当初、アマゾンに対して一審原告によるASINの 重複と被告各画像等の盗用の事実を報告したところ、アマゾンから侵害通知フォームから申告するよう案内されたため、やむを得ず侵害通知フォームを利用して「著作権侵害」の選択肢を選んだにすぎず、過失がないなどと主張する。 この点、一審被告が、当初、アマゾンに対し、原告サイトの商品が被告サ イトの商品と重複している旨も併せて報告しようとした事実は認められるものの、侵害通知フォーム自体が知的財産権の侵害を申告するためのものであって、その他の規約違反の報告は別の方法によるべきことが明記されているのであるから(乙28の1ないし4)、その上で侵害通知フォームにおいて「著作権侵害」を選択したことについてやむを得ないという余地はなく、む しろこの弁解からは、著作権侵害の問題になり得ないことを認識しながら、著作権侵害を申告したことを自認しているという見方さえでき、その場合、一審被告には、虚偽の事実を申告することについて過失にとどまらず未必の故意があったということになる。したがって、一審被告の上記主張は採用できない。 オ以上によれば、一審被告による本件各申告が、不競法2条1項21号の不正競争行為に該当する違法な行為であること があったということになる。したがって、一審被告の上記主張は採用できない。 オ以上によれば、一審被告による本件各申告が、不競法2条1項21号の不正競争行為に該当する違法な行為であることは明らかであり、それらにつき一審被告には少なくとも過失が認められるというべきである。 3 争点2(一審原告の損害の有無及びその額)について(1) 次のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」第4の2(原判決21頁 11行目から23頁20行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用す - 19 -る。 ア原判決22頁17行目冒頭から同頁20行目の「相当である。」までを次のとおり改める。 「 本件商品2については、出品停止直前3か月間の販売実績が零個であるが、一審被告の本件申告2による出品停止期間が91日間の長期に及んでいるこ と及び本件商品2の内容に照らせば、上記出品停止がなければ上記期間中に少なくとも1個は同商品が販売できた高度の蓋然性が認められるというべきであるから、本件申告2によって、一審原告は、本件商品2の1個当たりの利益相当額である687円の逸失利益の損害を被ったと認められる。一方、本件商品8についても、出品停止直前3か月間の販売実績が零個であるとこ ろ、同商品については一審被告の本件申告8による出品停止期間がわずか1日間であることから、出品停止による逸失利益の損害は零円とするのが相当である。」イ原判決22頁23行目末尾に次のとおり加える。 「なお、一審原告は、原告サイトの一部商品について出品停止が解消されて も、出品停止が全面的に解消されない限り、出品停止が解消された商品の販売に影響が及ぶことは否定できないことを損害額の算定に斟酌すべきように主張するが、出品停止中の商品があることが 解消されて も、出品停止が全面的に解消されない限り、出品停止が解消された商品の販売に影響が及ぶことは否定できないことを損害額の算定に斟酌すべきように主張するが、出品停止中の商品があることが、その余の商品の販売にどのように影響したのかについての具体的な主張・立証がされていないから、一審原告の上記主張を採用することはできない。」 ウ原判決22頁24行目の「4万7492円」を「4万8179円」に改める。 エ原判決23頁19行目の「本件各申告により」から同頁20行目末尾までを「不正競争行為である本件各申告により、前記(1)及び(3)の合計額である5万3179円の損害が生じたものと認められる。なお、本件各申告が不法 行為に該当するとしても、それによる一審原告の損害は同額を上回るもので - 20 -はない。」に改める。 (2) 以上のとおり、不正競争行為である本件各申告によって一審原告が被った損害は、原審が認容した5万2492円に、前記(1)アで補正して認めた本件申告2に係る不正競争行為により生じた687円の逸失利益を加算した5万3179円であると認められる。 4 争点3(一審原告の本訴提起及び訴訟追行が不法行為といえるか)について憲法上保障される裁判を受ける権利は、法治国家において最大限尊重されなければならないから、民事訴訟における訴えの提起が違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものである上、提訴者が、そのことを知りながら又は通常人であれば容易にその ことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められる場合に限られる(最高裁昭和63年1月26日第三小法廷判 容易にその ことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められる場合に限られる(最高裁昭和63年1月26日第三小法廷判決・民集42巻1号1頁参照)ところ、本訴においては、前記2、3のとおり、一審被告による本件各申告は不競法2条1項21号の不正競争行為に該当し、一審被告は一審原告に対し損害賠償責任を負う のであるから、一審原告の主張した権利ないし法律関係は事実的、法律的根拠を欠くものではない。したがって、一審原告による本訴提起は何ら違法ではなく、一審原告が、訴え提起時に請求した損害賠償額292万3420円が過大であったとして原審途中で73万4620円に請求を減縮したことも、上記結論を全く左右しない。また、一審原告が上記請求減縮をするのに日数を要したとしても、 そのこと自体が独立して違法性を帯びることもない。 したがって、一審原告の本訴提起及び上記訴訟追行の態様に違法性はなく、一審被告は一審原告に対し不法行為に基づく損害賠償請求権を有しないから、これを自働債権とする一審被告の相殺の抗弁は理由がない。 5 以上によれば、一審原告の請求は5万3179円及びこれに対する令和3年1 0月25日から支払済みまで年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求 - 21 -める限度で理由があるから同限度で認容すべきところ、これと異なり、本件申告2に係る不正競争行為により生じた逸失利益を認定せず5万2492円及びこれに対する上記遅延損害金の限度で請求を一部認容した原判決は一部失当であって、一審被告の本件控訴は理由がないからこれを棄却し、一審原告の附帯控訴は理由があるから、原判決主文1、2項を変更することとして、主文のとおり判決する。 大 認容した原判決は一部失当であって、一審被告の本件控訴は理由がないからこれを棄却し、一審原告の附帯控訴は理由があるから、原判決主文1、2項を変更することとして、主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第8民事部 裁判長裁判官 森崎英二 裁判官 奥野寿則 裁判官 渡部佳寿子

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