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主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人片平幸夫の上告理由について。上告人において本件手形を振出人に返還する意思があり、訴外D株式会社の取締役である訴外Eが本件手形を右訴外会社に持ち帰ることを暗黙のうちに了承していた旨の原判決の事実認定は、原判決挙示の証拠により肯認できるから、この点を争う所論は、原審の専権に属する事実認定を争うことに帰し採用できない。そして、原判決の確定した事実関係の下においては、上告人が本件手形を他に裏書譲渡する意思でこれに署名をしたのであり、原判決判示の経緯でこれが第三者の入手するところとなつたのであるから、本件手形の適法な所持人である第三取得者に対しては、上告人は手形債務を負担すると解すべきである。ところで、被上告人が振出人F、受取人兼裏書人上告人、被裏書人白地とする本件約束手形を所持しているとの事実は、原判決の確定するところであるから、手形法一六条一項により被上告人が本件手形の適法の所持人と推定すべきであるところ、所論被上告人が悪意の取得者であるとの事実は、原審で主張のない事実であるから、これをもつて原判決を非難することは許されない。しからば、被上告人の上告人に対する本件手形金請求を肯認した原判決に所論の違法がなく、論旨は採用できない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官奥野健一- 1 -裁判官城戸芳彦裁判官石田和外裁判官色川幸 1 -裁判官城戸芳彦裁判官石田和外裁判官色川幸太郎- 2 -
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