【DRY-RUN】主 文 本件抗告を棄却する。 理 由 抗告代理人は、抗告の趣旨として、原決定を取り消し、相手方株式会社東映堂写 真商会に対し別紙目録記載の居宅の収去命令を、相
主 文 本件抗告を棄却する。 理 由 抗告代理人は、抗告の趣旨として、原決定を取り消し、相手方株式会社東映堂写 真商会に対し別紙目録記載の居宅の収去命令を、相手方Aに対し右居宅からの退去 命令を発することを求め、その理由として、末尾添付の抗告の理由と題する書面記 載のとおり主張した。 よつて、判断するに、抗告人は、抵当権実行による土地に対する競売開始決定は 差押の効力を有するから、該決定登記の後にその土地に建物の築造がなされ、土地 の原状が変更された場合には、執行裁判所は差押当時の原状に回復せしめるため建 物の収去命令を発すべきてあると主張するにあるものの如くである。思うに競売法 による競売開始決定が登記された時は、差押の効力を生ずることは、抗告人所論の とおりであるけれども、差押の効力は、目的物につき競売債務者たる所有者が処分 をするのを禁止するに止り、これらの者の目的物に対する占有を奪うものでないこ とは明らかである。競落人は、競落代金の全額を支払つたときに、はじめて執行裁 判所に対し執行吏をして競売債務者(所有者)の不動産に対する占有をとき、これ を競落人に引を渡すべ<要旨>き命令を発することを求め得るのであるが(競売法第 三十二条第二項、民事訴訟法第六百八十七条参照)、前記</要旨>のように差押の効 力を生じた後に競売債務者又は第三者が差押不動産の現状に変更を加えた場合、こ れを差押の効力を生じた時の原状に回復せしめることを執行裁判所に求めることを 得せしめカ規定は存在せず、法の精神よりするも、かかることを認容し得ないもの である。何となれば、執行裁判所が不動産につき競売開始決定をなすにあたつて、 不動産の現状を調査することは法の要求しないところであるから、差押の効力を生 じた時の不動産の現状は執行裁判所にとつて明らかでは ある。何となれば、執行裁判所が不動産につき競売開始決定をなすにあたつて、 不動産の現状を調査することは法の要求しないところであるから、差押の効力を生 じた時の不動産の現状は執行裁判所にとつて明らかではないのである。このことか ら考えても原状の回復を執行裁判所の権限に属せしめたという抗告人の主張は成法 上全く根拠のないところである。 従つて本件の場合、抗告人が相手方らに対し本件土地上の建物の収去又は該建物 からの退去を求めようとするならば、抗告人は相手方らに対します訴を提起して、 本件建物の収去並びにこれよりの退去を請求しなければならないのである。このよ うな訴を提起することなく、直ちに執行裁判所に対し建物収去並びに建物よりの退 去を求める命令を発することは許されないところであり、原決定は正当である。 よつて、本件抗告を棄却すべく、主文のとおり決定する。 (裁判長判事 大江保直 判事 草間英一 刑事 猪俣幸一)
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