平成20(行コ)11 免許取消処分無効確認等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成18年(行ウ)第378号)

裁判年月日・裁判所
平成20年4月22日 東京高等裁判所 警察関係
ファイル
hanrei-pdf-37003.txt

判決文本文4,109 文字)

- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 国土交通大臣が平成18年1月24日付けで控訴人に対してした一級建築士の免許取消処分につき,(1)これが無効であることを確認する。 (2)これを取り消す。 国土交通大臣が平成18年1月24日付けで控訴人に対してした,免許取消しの日から起算して4年を経過するまで免許を与えないこととする処分につき,(1)これが無効であることを確認する。 (2)これを取り消す。 第2事案の概要 控訴人は,昭和57年12月17日に一級建築士試験に合格し,昭和58年2月7日付けで一級建築士の免許を受けた者である。 ,「」,控訴人は原判決別紙建築物目録1ないし13記載の各建築物について自らは全く設計をせず,工事監理を行う意思もなかったにもかかわらず,その建築確認申請書に,設計者及び工事監理者として一級建築士としての自己の名義を記載することを承諾し,その設計図書にも,設計者として自己の名義を記載することを承諾した(いわゆる名義貸し。 )その後,上記各建築物の一部について,耐震強度が不足する違法建築物である事実が発覚したことを契機として,控訴人の上記名義貸しの事実が明らかになった。国土交通大臣は,平成18年1月24日,建築士法10条1項2号に- 2 -基づき,控訴人の一級建築士免許を取り消す処分をしたが,その処分通知書には,免許取消しの日から起算して4年を経過するまでは免許を与えないこと,通知を受けた日から10日以内に,一級建築士の免許証を関東地方整備局長あてに返納することとの記載があった。 本件は,控訴人が被控訴人に対し,上記取消処分の無効又は取消しを求めるとともに,4年を経過するまでは免 た日から10日以内に,一級建築士の免許証を関東地方整備局長あてに返納することとの記載があった。 本件は,控訴人が被控訴人に対し,上記取消処分の無効又は取消しを求めるとともに,4年を経過するまでは免許を与えないとの上記告知は職業選択の自由に重大な制約をもたらす処分であり,免許証を返納せよとの上記告知は免許証を所持する権利を奪う処分というべきところ,これらの各処分には,重大かつ明白な瑕疵があり,仮にそうでないとしても瑕疵があるとして,その無効確認又は取消しを求めたのに対し,被控訴人は,上記取消処分は適法に行われたと主張してその無効確認及び取消しの請求のいずれについても棄却を求め,上記各告知については,いずれも行政処分に当たらず抗告訴訟の対象にならないと主張して訴えの却下を求めた事案である。 原審は,4年を経過するまでは免許を与えないとの告知は,控訴人の免許取得を4年間禁止する法的効果を生じさせるものではなく,直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定するものではないとし,免許証を返納するとの告知は,上記取消処分に伴い控訴人が法令上免許証を返納しなければならない義務を負うに至ったことを前提として,その手続を説明し,免許証の返納を促した純然たる事実行為にすぎず,同告知によって控訴人に免許証の返納義務を生じさせるものではないから,いずれの告知についても,抗告訴訟の対象となる処分には当たらないとして,これらの無効確認又は取消しを求める部分をいずれも不適法であるとして却下し,上記取消処分については,正当な懲戒事由に基づくもので,手続的な瑕疵もなく,裁量権の範囲の逸脱又は濫用もないから,適法であるとして,これを棄却した。 これに対して,控訴人が,上記取消処分の無効又は取消しを求める請求を棄却した部分及び4年を経過するまでは免許を与えないとの処分の 権の範囲の逸脱又は濫用もないから,適法であるとして,これを棄却した。 これに対して,控訴人が,上記取消処分の無効又は取消しを求める請求を棄却した部分及び4年を経過するまでは免許を与えないとの処分の無効又は取消- 3 -しを求める請求を却下した部分を不服として,控訴した。 関係法令の定め,前提事実及び争点は,次のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の「第2事案の概要」1ないし3(原判決3頁2行目から9頁14行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑴原判決の訂正ア原判決7頁11行目から同頁12行目にかけての「,第3段落を「本件告知2」を削る。 」イ9頁6行目,同頁13行目及び同頁14行目の「及び同2」をいずれも削る。 ⑵控訴人の当審における補充主張ア本件告知1は,実質的に控訴人の免許取得を4年間禁止する法的効果を生じさせるものであり,その処分性を否定すれば,4年間免許を与えないこととする処分を争う方法がないという不合理な結果が生ずることになるから,処分性を肯定すべきである。 イ本件取消処分について,控訴人は,A及びBのそれぞれに対し,最初の段階において,1度ずつ包括的な承諾行為をしたに過ぎないところ,上記施工業者は,これらの包括的な承諾行為に基づいて,いずれも事件的場所的にもきわめて近接した時期及び場所において本件各建築物を建築したのであるから,本件名義貸しの違法性については,施工業者毎の単一行為として評価すべきである。 ウ裁量権の範囲の逸脱に関し,資格のある建築士に対する名義貸しは,資格のない者に対する名義貸しと比較して,違法性の程度は明らかに異なるところ,これらを区別することなく重大な違法として処分ランク6以上に相当すると定める処分基準は不当であるし,少なくとも資格のある建築士に対する名義 る名義貸しと比較して,違法性の程度は明らかに異なるところ,これらを区別することなく重大な違法として処分ランク6以上に相当すると定める処分基準は不当であるし,少なくとも資格のある建築士に対する名義貸しは,処分基準における処分ランク6を当てはめることはできないから,本件名義貸しについて,処分ランク6に該当することを前- 4 -提として,処分行政庁が本件取消処分をしたことには裁量権の範囲を逸脱した違法がある。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,控訴人の本件請求のうち,本件告知1の無効又は取消しを求める部分はいずれも不適法であり,本件取消処分の無効確認又は取消しを求める部分はいずれも理由がないと判断する。その理由は,次のとおり付加訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の「第3争点に対する判断」1及び2(原判決9頁16行目から25頁下から4行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑴原判決の付加訂正ア9頁16行目及び下から3行目の各「及び同2,同行の「いずれも」」及び同頁下から2行目の「これらの」をそれぞれ削る。 イ12頁7行目から13頁5行目までを削る。 ウ13頁6行目の「(4)」を「(3)」に改め,同頁7行目の「及び同2」及び同行の「いずれも」をいずれも削る。 ⑵控訴人の当審における補充主張についてア控訴人は,本件告知1は,実質的に控訴人の免許取得を4年間禁止する法的効果を生じさせるものであり,その処分性を否定すると,同告知の効力を争う方法がなく不合理な結果が生ずるとの主張をする。 ,「」,しかし前記引用に係る原判決 事実及び理由 第3の1(2)のとおり本件告知1は,取消しの日から2年を経過しても4年を経過するまでは免許を与えないことになろうという本件取消処分時点での国土交通大臣の意向を示すことによ る原判決 事実及び理由 第3の1(2)のとおり本件告知1は,取消しの日から2年を経過しても4年を経過するまでは免許を与えないことになろうという本件取消処分時点での国土交通大臣の意向を示すことによって,当該免許の許否について目安となる情報を提供したものに過ぎないものと解され,この意向に,後に実際に免許の申請がされた際の国土交通大臣が拘束されるとする法的根拠を生じさせるものでないというべきであるから,控訴人の主張は採用することができない。 - 5 -イ控訴人は,本件取消処分について,本件名義貸しは,施工業者毎の承諾行為の個数により評価すべきであるとの主張をする。 しかし,前記引用に係る原判決「事実及び理由」第3の2(4)エ(ア)のとおり,名義貸しが建築士法違反とされるのは,個々の建築物の設計図書又は建築確認申請書における責任の所在を不明確にするところにあるのであって,同法違反としての名義貸しの数は,建築物の数によって決めるべきであるから,控訴人の主張は採用することができない。 ウ控訴人は,裁量権の範囲の逸脱に関し,相手方の資格の有無を区別することなく,重大な違法に該当するとする処分基準は不当であり,少なくとも本件名義貸しについて処分ランク6を当てはめることはできないとの主張をする。 ,「」,しかし前記引用に係る原判決 事実及び理由 第3の2(2)のとおり情状の軽重の差はあるとしても,名義貸しの違法性の点において,建築士に対する名義貸しとそうでない者に対する名義貸しとを区別することはできないというべきであるから,本件処分基準が不当ということはできず,また同基準に基づく本件取消処分について裁量権の範囲を逸脱した違法があるということはできない。 以上によれば,控訴人の本件請求のうち,本件告知1の無効又は取消しを求める部分はい うことはできず,また同基準に基づく本件取消処分について裁量権の範囲を逸脱した違法があるということはできない。 以上によれば,控訴人の本件請求のうち,本件告知1の無効又は取消しを求める部分はいずれも不適法であるから却下すべきであり,本件取消処分の無効確認又は取消しを求める請求はいずれも理由がなく棄却すべきであり,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとする。 よって,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第7民事部裁判長裁判官大谷禎男- 6 -裁判官杉山正己裁判官鈴木昭洋

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る