平成26(ワ)34145 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成28年1月14日 東京地方裁判所
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判決文本文17,840 文字)

- 1 -平成28年1月14日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成26年(ワ)第34145号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成27年10月27日判決 原告 AdaZERO株式会社同訴訟代理人弁護士横木雅俊 篠原芳宏 被告アスクル株式会社同訴訟代理人弁護士松田政行 上村哲史 奥山健志 田中浩之 呂 佳叡主文原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求被告は,原告に対し,4億円及びこれに対する平成27年1月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,発明の名称を「Web-POS方式」とする特許権を有する原告が,被告に対し,被告による電子商取引(Eコマース)サイトの制御方法の使用が特許権侵害に当たると主張して,民法709条及び特許法102条3項に基づ- 2 -き,損害賠償金4億円(内金請求)及びこれに対する不法行為の後の日(訴状送達の日の翌日)である平成27年1月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) 当事者ア原告は,ソフトウェアの企画等,電子商取引の構築及び運営,決済端末機販売,インターネットを利用した決済代行等を業とする株式会社である。 イ被告は,インターネットによる通信販売等を業とする株式会社である。 原告の特許権ア原告は,次の特許権(以下「本件特許権」といい,そ した決済代行等を業とする株式会社である。 イ被告は,インターネットによる通信販売等を業とする株式会社である。 原告の特許権ア原告は,次の特許権(以下「本件特許権」といい,その特許請求の範囲請求項1に係る特許を「本件特許」という。)の特許権者である。 特許番号第5097246号原出願日平成10年1月9日出願日平成22年7月11日登録日平成24年9月28日発明の名称 Web-POS方式イ本件特許権の特許請求の範囲請求項1の記載は次のとおりである(以下,この発明を「本件発明」といい,その特許出願の願書に添付された明細書及び図面を「本件明細書」という。)。 「 汎用のコンピュータとインターネットを用い,HTTPに基づくHTMLリソースの通信が行われるWebサーバ・クライアント・システムにおいて,商品の販売時点における情報を管理するためのWeb-POSネットワーク・システムの制御方法であって,上記Webサーバ・システムが,取扱商品に関する基礎情報を管理す- 3 -る商品(PLU)マスタDBを備え,該商品(PLU)マスタDBの管理,HTTPメッセージに基づくプログラムの実行及び,HTMLリソースの生成及び供給を行うサーバ装置からなる,Web-POSサーバ・システムであり,上記Webクライアント装置が,タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段を有する表示装置とWebブラウザを備えた,Web-POSクライアント装置であって,上記Web-POSクライアント装置から,Webブラウザを介し,上記Web-POSサーバ・システムにアクセスすることにより,該Web-POSサーバ・システムから該Web-POSクライアント装置に対し,該Web-POSクライア ト装置から,Webブラウザを介し,上記Web-POSサーバ・システムにアクセスすることにより,該Web-POSサーバ・システムから該Web-POSクライアント装置に対し,該Web-POSクライアント装置における商品の選択や発注に係るユーザ操作を受け付けるHTMLリソースが供給されると共に,該Web-POSクライアント装置におけるユーザ操作に基づく商品の売上情報が,該Web-POSサーバ・システムによって管理されるWeb-POSネットワーク・システムにおいて,上記Webブラウザによる処理が,少なくとも,1)カテゴリーの変更または入力(選択)に関する表示制御過程,すなわち,上記Web-POSサーバ・システムから上記Web-POSクライアント装置に該Web-POSサーバ・システムの商品(PLU)マスタDBにおいて管理されている取扱商品に関する基礎情報に含まれたカテゴリーに対応するカテゴリーリストを含むHTMLリソースが供給され,該供給されたカテゴリーリストを含むHTMLリソースが上記Webブラウザにおいて処理されることで,該Web-POSクライアント装置の入力手段を有する表示装置に該カテゴリーリストが表示され,ユーザが,該入力手段により,該表示されたカテゴリーリストからカテゴリーを変更または入力(選択)するごとに,該変更または入- 4 -力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報を含むHTMLリソースを要求するHTTPメッセージが上記Web-POSサーバ・システムに送信され,該要求のHTTPメッセージに基づき,該Web-POSサーバ・システムの商品(PLU)マスタDBにおいて管理されている取扱商品に関する基礎情報から該変更または入力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報が抽出され,該抽出された商品基礎情報を Sサーバ・システムの商品(PLU)マスタDBにおいて管理されている取扱商品に関する基礎情報から該変更または入力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報が抽出され,該抽出された商品基礎情報を含むHTMLリソースが生成されると共に,該Web-POSクライアント装置に送信され,該送信された商品基礎情報を含むHTMLリソースが該Webブラウザにおいて処理されることで,該変更または入力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報からなる商品リストが該入力手段を有する表示装置に表示される,ユーザが所望するカテゴリーの商品(PLU)リストが表示される,カテゴリーの変更または入力(選択)に関する表示制御過程,2)商品識別情報の入力(選択)のための表示制御過程,すなわち,上記Web-POSクライアント装置の入力手段を有する表示装置に表示された上記カテゴリーに対応する上記商品(PLU)リストにおいて,ユーザが,該入力手段により,商品を特定するための商品識別情報を入力(選択)するごとに,該入力(選択)された商品識別情報に対応する商品基礎情報が上記Web-POSサーバ・システムに問い合わされて取得され,該取得された商品基礎情報に基づく商品の情報が該入力手段を有する表示装置に表示される,ユーザが所望する商品の情報が表示される,商品識別情報の入力(選択)のための表示制御過程,3)商品注文内容の表示制御過程,すなわち,上記Web-POSクライアント装置の入力手段を有する表示装置に表示された上記商品の情報について,ユーザが,該入力手段- 5 -により数量を入力(選択)すると,該数量に基づく計算が行われると共に,前記入力(選択)された商品識別情報と該商品識別情報に対応して取得された上記商品基礎情報に基づく商品の注文明細情報が該入力手段 により数量を入力(選択)すると,該数量に基づく計算が行われると共に,前記入力(選択)された商品識別情報と該商品識別情報に対応して取得された上記商品基礎情報に基づく商品の注文明細情報が該入力手段を有する表示装置に表示されると共に,ユーザが,該入力手段によりオーダ操作(オーダ・ボタンをクリック)を行うと,該商品の注文明細情報に対する該数量入力(選択)に基づく計算結果の注文情報が該Web-POSサーバ・システムにおいて取得(受信)されることになる,ユーザが所望する商品の注文のための表示制御過程,を含み,更に,上記Web-POSサーバ・システムにおいて,上記商品(PLU)マスタDBの1レコードが1商品に対応し,該レコードに上記商品識別情報に対応するフィールドが含まれることで,取扱商品に関する商品ごとの基礎情報が,該商品識別情報に対応するフィールドを含むレコードによって管理されることで,上記Web-POSクライアント装置におけるユーザ操作に基づく商品選択時点のPLU情報が,Webブラウザを介して,上記Web-POSサーバ・システムから供給されると共に,該PLU情報に基づく商品ごとの注文情報が,Webブラウザを介して,該Web-POSサーバ・システムにおいてリアルタイムに取得される,Web-POSネットワーク・システムによるPOS管理(商品の販売時点における情報の管理)が実現され,更にまた,上記Web-POSサーバ・システムにおいて,上記Web-POSクライアント装置からリアルタイムで取得(受信)した上記商品の注文情報を売上管理DBに反映する売上管理DBへの登録過程を含むことで,- 6 -上記Web-POSクライアント装置におけるユーザによる商品の注文操作が,Webブラウザを介するだけで,該商品ごとの注文情報とし Bに反映する売上管理DBへの登録過程を含むことで,- 6 -上記Web-POSクライアント装置におけるユーザによる商品の注文操作が,Webブラウザを介するだけで,該商品ごとの注文情報として上記Web-POSサーバ・システムにおいて取得され,該取得された商品ごとの注文情報に基づく売上管理が実現されることを特徴とするWeb-POSネットワーク・システムの制御方法。」ウ本件発明は,以下の構成要件に分説される(以下,それぞれの構成要件を「構成要件A」などという。)A: 汎用のコンピュータとインターネットを用い,HTTPに基づくHTMLリソースの通信が行われるWebサーバ・クライアント・システムにおいて,B: 商品の販売時点における情報を管理するためのWeb-POSネットワーク・システムの制御方法であって,C: 上記Webサーバ・システムが,取扱商品に関する基礎情報を管理する商品(PLU)マスタDBを備え,該商品(PLU)マスタDBの管理,HTTPメッセージに基づくプログラムの実行及び,HTMLリソースの生成及び供給を行うサーバ装置からなる,Web-POSサーバ・システムであり,D: 上記Webクライアント装置が,タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段を有する表示装置とWebブラウザを備えた,Web-POSクライアント装置であって,E: 上記Web-POSクライアント装置から,Webブラウザを介し,上記Web-POSサーバ・システムにアクセスすることにより,該Web-POSサーバ・システムから該Web-POSクライアント装置に対し,該Web-POSクライアント装置における商品の選択や発注に係るユーザ操作を受け付けるHTMLリソースが供給されると共に,該Web-POSクライアント装置にお Web-POSクライアント装置に対し,該Web-POSクライアント装置における商品の選択や発注に係るユーザ操作を受け付けるHTMLリソースが供給されると共に,該Web-POSクライアント装置におけるユーザ操作に基- 7 -づく商品の売上情報が,該Web-POSサーバ・システムによって管理されるWeb-POSネットワーク・システムにおいて,F1: 上記Webブラウザによる処理が,少なくとも,F2: 1)カテゴリーの変更または入力(選択)に関する表示制御過程,すなわち,上記Web-POSサーバ・システムから上記Web-POSクライアント装置に該Web-POSサーバ・システムの商品(PLU)マスタDBにおいて管理されている取扱商品に関する基礎情報に含まれたカテゴリーに対応するカテゴリーリストを含むHTMLリソースが供給され,該供給されたカテゴリーリストを含むHTMLリソースが上記Webブラウザにおいて処理されることで,該Web-POSクライアント装置の入力手段を有する表示装置に該カテゴリーリストが表示され,ユーザが,該入力手段により,該表示されたカテゴリーリストからカテゴリーを変更または入力(選択)するごとに,該変更または入力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報を含むHTMLリソースを要求するHTTPメッセージが上記Web-POSサーバ・システムに送信され,該要求のHTTPメッセージに基づき,該Web-POSサーバ・システムの商品(PLU)マスタDBにおいて管理されている取扱商品に関する基礎情報から該変更または入力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報が抽出され,該抽出された商品基礎情報を含むHTMLリソースが生成されると共に,該Web-POSクライアント装置に送信され,該送信された商品基礎情報を含む 択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報が抽出され,該抽出された商品基礎情報を含むHTMLリソースが生成されると共に,該Web-POSクライアント装置に送信され,該送信された商品基礎情報を含むHTMLリソースが該Webブラウザにおいて処理されることで,該変更または入力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報からなる商品リストが該入力手段を有する表示装置に表示される,- 8 -ユーザが所望するカテゴリーの商品(PLU)リストが表示される,カテゴリーの変更または入力(選択)に関する表示制御過程,F3: 2)商品識別情報の入力(選択)のための表示制御過程,すなわち,上記Web-POSクライアント装置の入力手段を有する表示装置に表示された上記カテゴリーに対応する上記商品(PLU)リストにおいて,ユーザが,該入力手段により,商品を特定するための商品識別情報を入力(選択)するごとに,該入力(選択)された商品識別情報に対応する商品基礎情報が上記Web-POSサーバ・システムに問い合わされて取得され,該取得された商品基礎情報に基づく商品の情報が該入力手段を有する表示装置に表示される,ユーザが所望する商品の情報が表示される,商品識別情報の入力(選択)のための表示制御過程,F4: 3)商品注文内容の表示制御過程,すなわち,上記Web-POSクライアント装置の入力手段を有する表示装置に表示された上記商品の情報について,ユーザが,該入力手段により数量を入力(選択)すると,該数量に基づく計算が行われると共に,前記入力(選択)された商品識別情報と該商品識別情報に対応して取得された上記商品基礎情報に基づく商品の注文明細情報が該入力手段を有する表示装置に表示されると共に,ユーザが,該入力手段によりオーダ操作(オーダ・ボタンを 商品識別情報と該商品識別情報に対応して取得された上記商品基礎情報に基づく商品の注文明細情報が該入力手段を有する表示装置に表示されると共に,ユーザが,該入力手段によりオーダ操作(オーダ・ボタンをクリック)を行うと,該商品の注文明細情報に対する該数量入力(選択)に基づく計算結果の注文情報が該Web-POSサーバ・システムにおいて取得(受信)されることになる,ユーザが所望する商品の注文のための表示制御過程,- 9 -を含み,G: 更に,上記Web-POSサーバ・システムにおいて,上記商品(PLU)マスタDBの1レコードが1商品に対応し,該レコードに上記商品識別情報に対応するフィールドが含まれることで,取扱商品に関する商品ごとの基礎情報が,該商品識別情報に対応するフィールドを含むレコードによって管理されることで,上記Web-POSクライアント装置におけるユーザ操作に基づく商品選択時点のPLU情報が,Webブラウザを介して,上記Web-POSサーバ・システムから供給されると共に,該PLU情報に基づく商品ごとの注文情報が,Webブラウザを介して,該Web-POSサーバ・システムにおいてリアルタイムに取得される,Web-POSネットワーク・システムによるPOS管理(商品の販売時点における情報の管理)が実現され,H: 更にまた,上記Web-POSサーバ・システムにおいて,上記Web-POSクライアント装置からリアルタイムで取得(受信)した上記商品の注文情報を売上管理DBに反映する売上管理DBへの登録過程を含むことで,上記Web-POSクライアント装置におけるユーザによる商品の注文操作が,Webブラウザを介するだけで,該商品ごとの注文情報として上記Web-POSサーバ・システムにおいて取得され,該取得された商品ごとの注文情報 Sクライアント装置におけるユーザによる商品の注文操作が,Webブラウザを介するだけで,該商品ごとの注文情報として上記Web-POSサーバ・システムにおいて取得され,該取得された商品ごとの注文情報に基づく売上管理が実現されることを特徴とするI: Web-POSネットワーク・システムの制御方法。 エ本件発明の構成要件F2~F4にいう「商品基礎情報」とは商品カテゴリー,メーカー,商品名,価格等の商品に関する基礎情報のことである。 被告の行為等ア被告は,遅くとも本件特許権の登録日以降,インターネット上で,「ア- 10 -スクル・インターネットショップ」との名称でEコマースサイト(以下「本件ECサイト」という。)を提供している。 イ本件ECサイトには,本件ECサイトの管理,運営を行っているシステム(以下「管理運営システム」という。),被告の販売管理,在庫管理及び会計管理を担当する社内業務システム(以下「基幹システム」という。)並びに被告の物流センター内における入出荷管理,在庫管理及び設備管理を担当するシステム(以下「物流センターシステム」という。)が関連している。 ウ顧客が本件ECサイトを通じて商品を購入する場合,管理運営システム,基幹システム及び物流センターシステムでは,大要,以下の処理が行われている(甲3の1~7,乙16)。 顧客が顧客のコンピュータの画面に表示された本件ECサイトの画面上で購入しようとする商品を選択し,「レジ」画面の「お買い上げ」ボタンをクリックすると,顧客のコンピュータから管理運営システム内にあるサーバに対して注文受付完了処理を求めるリクエスト情報が送信され,管理運営システムにおいて注文受付データが作成される。このリクエスト情報には,Cookie情報等が含まれるが,注文され ステム内にあるサーバに対して注文受付完了処理を求めるリクエスト情報が送信され,管理運営システムにおいて注文受付データが作成される。このリクエスト情報には,Cookie情報等が含まれるが,注文された商品に係る商品基礎情報は含まれていない。 注文受付データは管理運営システムから基幹システムに送信され,受注の可否が審査される。審査を通過した注文受付データは基幹システム内の受注DB(データベース)に送信され,受注DB内で受注データが作成される。この受注データは基幹システム内の出荷DBに送信され,出荷データが作成されるとともに,この出荷データに基づく出荷指示データが作成される。 出荷指示データは基幹システムから物流センターシステムに送信され,倉庫内で人手による梱包,発送作業が行われる。倉庫から商品が出- 11 -荷される際に,物流センターシステムにおいて出荷実績データが作成される。 出荷実績データは物流センターシステムから基幹システム内の出荷DBに送信され,出荷DB内にある出荷データにこの出荷実績データが反映される。出荷実績データが反映された出荷データは出荷DBから基幹システム内の売上DBに送信され,この出荷データに基づく売上データが作成される。 2 争点 構成要件充足性被告は,後記ア~エの点を除いて,本件ECサイトの制御方法が本件発明の構成要件を充足することを争っていない。 ア 「Web-POSネットワーク・システム」,「Web-POSサーバ・システム」及び「Web-POSクライアント装置」(構成要件B~E及びF2~I)の充足性イ 「タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段」(構成要件D)の充足性ウ 「注文情報」(構成要件F4,G及びH)の充足性エ 「売 及びF2~I)の充足性イ 「タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段」(構成要件D)の充足性ウ 「注文情報」(構成要件F4,G及びH)の充足性エ 「売上管理が実現」及び「注文情報を売上管理DBに反映する売上DBへの登録過程を含む」(構成要件H)の充足性 損害の額 3 争点に関する当事者の主張 (構成要件充足性)についてア 「Web-POSネットワーク・システム」,「Web-POSサーバ・システム」及び「Web-POSクライアント装置」(構成要件B~E及びF2~I)の充足性(原告の主張)- 12 -POSシステムとは,事業者が事業を営む過程で必要な情報を,その発生時点で即時に端末からサーバコンピュータに送信し,この情報をビジネスに活用できるシステムをいい,その使用は小売の実店舗に限定されるものでなくEコマースにおいても使用され得る(甲5~10,14,乙2,4)。このことからすると,「Web-POSネットワーク・システム」とは,POS(販売時点情報管理)のために必要な情報を送信するクライアント端末(「Web-POSクライアント装置」に相当する。)とPOSを実行するサーバシステム(「Web-POSサーバ・システム」に相当する。)との間を専用線ではなくインターネット回線で接続したPOSシステムをいうと解すべきである。被告が主張する小売業者が店頭又は窓口にレジスター等の端末を設置していることは「Web-POSネットワーク・システム」の必須の要素とはならない。また,「Web-POSクライアント装置」は必ずしも「Web-POSネットワーク・システム」の制御主体が管理する端末である必要はない。 本件ECサイトにおいては,顧客のコンピュータ(「Web-P 。また,「Web-POSクライアント装置」は必ずしも「Web-POSネットワーク・システム」の制御主体が管理する端末である必要はない。 本件ECサイトにおいては,顧客のコンピュータ(「Web-POSクライアント装置」に相当する。)に入力された情報が即時に被告が管理するサーバシステム(「Web-POSサーバ・システム」に相当する。)に送信され,被告は送信された情報を商品の販売管理等に用いているから,上記のPOSシステムが採用されているといえる。したがって,本件ECサイトの制御方法は「Web-POSネットワーク・システム」,「Web-POSサーバ・システム」及び「Web-POSクライアント装置」(構成要件B~E及びF2~I)を充足する。 (被告の主張)POSの一般的な定義(乙1,2),本件明細書の記載(段落【0002】~【0008】,【0014】~【0017】)及び当業者の理解(乙5,8,12)を踏まえれば,「Web-POSネットワーク・システム」- 13 -とは,①小売業者が店頭又は窓口にレジスター等の端末を設置して,②この端末で収集,取得した販売情報(売上情報)等の情報を発生時点で即時にサーバコンピュータに送信して処理し,この情報を小売業者のビジネスに活用できるようにするシステムのうち,③端末とサーバコンピュータとをインターネット回線で接続したものをいうと解釈すべきである。 本件ECサイトの顧客のコンピュータは上記①及び②を満たさないので「Web-POSクライアント装置」(構成要件D,E及びF2~H)を充足せず,管理運営システムは上記②を満たさないので「Web-POSサーバ・システム」(構成要件C,E及びF2~H)を充足しない。したがって,本件ECサイトの制御方法は「Web-POSネットワーク・システム」(B, システムは上記②を満たさないので「Web-POSサーバ・システム」(構成要件C,E及びF2~H)を充足しない。したがって,本件ECサイトの制御方法は「Web-POSネットワーク・システム」(B,E,G及びI)を充足しない。 イ 「タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段」(構成要件D)の充足性(原告の主張)構成要件Dは「タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段」となっており,「又は」とも「及び」とも記載されていないが,本件明細書の記載(段落【0032】,【0135】,【0143】)を参酌すれば,タッチパネル,キーボード,マウス又は電子ペンのいずれかからなる入力手段と解釈すべきである。 そして,本件ECサイトの顧客が使用する一般的なコンピュータ(「Web-POSクライアント装置」に相当する。)は,接触操作型入力装置,文字入力装置,ポインティングデバイス又はペン型入力装置(それぞれ「タッチパネル」,「キーボード」,「マウス」,「電子ペン」に相当する。)のいずれかを備えているから,本件ECサイトの制御方法は構成要件Dの「タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段」を充足する。 - 14 -なお,平成24年7月22日付け手続補正書(乙36)において「または」の語句を削除したことは単なる誤記であり,原告には「タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペン」の全てを備えていなければならないように特許請求の範囲を補正する意図はなかった。 (被告の主張)構成要件Dの「タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段」には選択的であることを示す「又は」の記載がないから,「入力手段」はタッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンの全てを含むものでなければ タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段」には選択的であることを示す「又は」の記載がないから,「入力手段」はタッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンの全てを含むものでなければならない。 また,本件特許の願書(乙17)の特許請求の範囲請求項1は「タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンまたはスキャナ装置からなる入力手段」となっていたところ,平成24年7月22日付け手続補正書(乙36)において「タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段」と補正され,「または」の語句が削除されていることからしても,「入力手段」は上記のように解釈すべきである。 そして,一般的なコンピュータはタッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンの全てを備えているとは考え難いから,構成要件Dの「タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段」を充足しない。 ウ 「注文情報」(構成要件F4,G及びH)の充足性(原告の主張) 本件発明においては,「Web-POSサーバ・システム」において「注文情報」が取得(受信)されることになっている。そして,顧客が本件ECサイトを通じて商品を購入する場合,顧客のコンピュータから管理運営システム内にあるサーバに対して注文受付完了処理を求めるリクエスト情報が送信されるところ,上記サーバが「Web-POSサーバ・システム」,上記リクエスト情報が「注文情報」にそれぞれ相当す- 15 -る。 したがって,本件ECサイトの制御方法は構成要件F4,G及びHを充足する。 被告は,「注文情報」とは商品基礎情報を含む情報をいうと解釈すべきである旨主張し,その根拠として,①「注文情報」は,平成23年3月27日付け手続補正書(乙27)により,補正前の「注文商品明細情報 被告は,「注文情報」とは商品基礎情報を含む情報をいうと解釈すべきである旨主張し,その根拠として,①「注文情報」は,平成23年3月27日付け手続補正書(乙27)により,補正前の「注文商品明細情報」を言い換えたものであること,②同年10月9日付け意見書(乙20)の記載,③本件明細書の記載(段落【0031】,【0138】,【0142】),④構成要件F4における「計算結果の注文情報」は商品基礎情報のみならず,計算がなされた結果としての状態のものも含んでいなければならないことを挙げる。 しかし,本件特許の特許請求の範囲には,「注文情報」に商品基礎情報が含まれていなければならない旨,商品基礎情報が「注文情報」と共にサーバ側に送信される旨の記載はないから,「注文情報」を商品基礎情報を含んだ情報と解釈することはできず,上記①~④は,以下のとおり,いずれも被告が主張する「注文情報」の解釈の根拠とならない。 ① 本件特許の特許請求の範囲請求項1において「注文明細情報」と「注文情報」が使い分けられていることからすれば,「注文商品明細情報」を置き換えたのは「注文明細情報」と捉えるべきである。② 上記意見書の記載は,POSを実現するためには注文された情報をサーバ側で正確に特定できる構成にする必要があること,注文された情報をサーバ側で正確に特定する実施例の一つとして,注文情報の中に商品基礎情報を含めることによって,商品注文後に改めて商品マスタDBを参照する必要をなくす構成があり得ることを指摘したものにすぎない。③ 本件明細書の上記各段落の記載は,そもそも本件発明ではなく本件特許権に係る特許請求の範囲請求項3に記載された発明に関するものである- 16 -し,注文情報に商品基礎情報が含まれないとしても注文情報を転送することによって商品供給元において商品 ではなく本件特許権に係る特許請求の範囲請求項3に記載された発明に関するものである- 16 -し,注文情報に商品基礎情報が含まれないとしても注文情報を転送することによって商品供給元において商品名や価格等を特定できるシステムを構築することは可能である。④ 構成要件F4の「計算結果の注文情報」のうち「計算結果の」とは計算結果に対応した,又は計算結果を踏まえたという意味である。 (被告の主張)「注文情報」は,本件特許の特許願(乙17)等における「注文商品明細情報」との文言が平成23年3月27日付け手続補正書(乙27)によって補正されたものであって,「注文商品明細情報」を言い換えたものであるから,「注文情報」には商品基礎情報が含まれると解すべきである。 また,原告は,同年10月9日付け意見書(乙20)において,「本願発明では,既に受信した注文情報に,該更新以前に入力(選択)された商品の識別情報と該入力(選択)された識別情報に対応する商品基礎情報が含まれている」と説明しており,「注文情報」に商品基礎情報が含まれていることは明らかである。 さらに,本件明細書において「商品注文情報」(「注文情報」)をHTTP通信や電子メールによって各商品供給元等に送信することが説明されているところ(段落【0031】,【0138】,【0142】),各商品供給元等に単なる注文情報を送信する理由はないから,「注文情報」には商品基礎情報が含まれていると解釈すべきである。 加えて,構成要件F4においては「計算結果の注文情報」となっていることから,その計算がどこで行われていようが,構成要件F4における「注文情報」は商品基礎情報のみならず,計算がされた結果としての状態のものも含んでいなければならない。 以上によれば,「注文情報」とは,単なる注文ではなく, で行われていようが,構成要件F4における「注文情報」は商品基礎情報のみならず,計算がされた結果としての状態のものも含んでいなければならない。 以上によれば,「注文情報」とは,単なる注文ではなく,商品カテゴリー,メーカー,商品名,価格等の商品に関する商品基礎情報を含む情報を- 17 -いうものと解される。そして,本件ECサイトにおいては,顧客のコンピュータから管理運営システム内にあるサーバに対して送信されるリクエスト情報には商品基礎情報は含まれていないから,本件ECサイトの制御方法は構成要件F4,G及びHを充足しない。 エ 「売上管理が実現」及び「注文情報を売上管理DBに反映する売上DBへの登録過程を含む」(構成要件H)の充足性(原告の主張)被告のサーバシステムの内部を役割に応じて管理運営システム,基幹システム及び物流センターシステムの3つに分類することができるとしても,これら3つのシステムとユーザコンピュータが相互に連携して本件ECサイトにおける商品の受注や発送という一連の業務を達成する機能を果たしていることからすれば,これら3つのシステムを一体として本件ECサイトのシステムとして捉えるべきである。 「反映」とは「転じて,影響が他に及んで現れること」をいうから,注文情報が形を一切変えることなく売上管理DBに記録されることまで要求されるものではない。基幹システム内の売上DBには出荷実績データに基づいて作成された売上データが反映されるところ,この売上データは注文受付データを基礎にして生成される情報であるから,本件ECサイトのシステムは「注文情報を売上管理DBに反映する売上DBへの登録過程を含む」ということができ,「売上管理が実現」している。したがって,本件ECサイトの制御方法は構成要件Hを充足する。 Cサイトのシステムは「注文情報を売上管理DBに反映する売上DBへの登録過程を含む」ということができ,「売上管理が実現」している。したがって,本件ECサイトの制御方法は構成要件Hを充足する。 (被告の主張)基幹システムは被告の社内全般の業務に係るシステムであり,本件ECサイトの管理は基幹システムが担当する業務の一部にすぎない。物流センターシステムにおける業務には人手による梱包,発送作業が含まれている。これらのことからすれば,管理運営システム,基幹システム及- 18 -び物流センターシステムを一体として本件ECサイトのシステムと捉えるべきではなく,管理運営システムのみを本件ECサイトのシステムとして考えるべきである。 管理運営システムは,本件ECサイトを通じて顧客からの注文を受け付ける過程までを担当するシステムであり,売上管理DBを備えていない。したがって,管理運営システムにおいては,注文情報を売上管理DBに反映する登録過程は存在せず,売上管理が実現されていないから,構成要件Hの「売上管理が実現」及び「注文情報を売上管理DBに反映する売上DBへの登録過程を含む」を充足しない。 管理運営システム,基幹システム及び物流システムを一体のシステムと捉えたとしても,基幹システム内の売上DB(「売上管理DB」に相当する。)に反映されるのは,出荷実績データに基づいて作成された売上データであって,注文情報ではない。したがって,「注文情報を売上管理DBに反映する売上管理DBへの登録過程」が存在しないので,本件ECサイトの制御方法は構成要件Hを充足しない。 (損害の額)について(原告の主張)平成24年9月28日から平成26年12月24日までの間の本件ECサイトにおける商品の販売による売上額は1年当たり少なく 件Hを充足しない。 (損害の額)について(原告の主張)平成24年9月28日から平成26年12月24日までの間の本件ECサイトにおける商品の販売による売上額は1年当たり少なくとも1780億円であるところ,本件発明の実施に対し原告が受けるべき金銭の額は売上額の3%を下らないから,原告は,少なくとも119億円(1780億円×3%÷365日×817日)の損害を被った(特許法102条3項)。 また,原告は,弁護士費用として上記金額の10%相当額の損害を被った。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断- 19 - 1 争点H)の充足性)について のとおり,本件ECサイトにおいては,顧客が商品を購入する場合,顧客のコンピュータから注文受付完了処理を求めるリクエスト情報(これには商品基礎情報は含まれていない。)が送信され,このリクエスト情報が管理運営システム内にあるサーバにおいて受信されることになる。 原告は,上記リクエスト情報が構成要件F4,G及びHの「注文情報」に当たる旨主張するので,以下検討する。 ア本件発明において,「注文情報」は,Web-POSクライアント装置の入力手段によりユーザがオーダ操作を行うとWeb-POSサーバ・システムが取得するもの(構成要件F4),ユーザ操作に基づく商品選択時点のPLU情報に基づく情報としてWebブラウザを介してWeb-POSサーバ・システムがリアルタイムに取得するもの(構成要件G),商品ごとの情報として売上管理DBに登録され,これに基づく売上管理が実現されるもの(構成要件H)とされている。そうすると,「注文情報」とは,特許請求の範囲の文言上,特定の商品がユーザによって注文されたことに関する情報をいうものということができるが,その具 上管理が実現されるもの(構成要件H)とされている。そうすると,「注文情報」とは,特許請求の範囲の文言上,特定の商品がユーザによって注文されたことに関する情報をいうものということができるが,その具体的な内容については本件特許の特許請求の範囲に明示的な記載がない。 イ本件明細書(甲2)の発明の詳細な説明の欄には,本件発明の実施形態が記載されているところ(段落【0027】~【0134】,【図1】~【図21】),この実施形態においては,「Web-POSクライアント装置」の表示画面に「明細フォーム」(カテゴリ,メーカコード,商品番号,商品名,単価,数量,金額といった注文商品明細が表示されているもの。【図10】~【図12】,【図17】~【図21】。)が表示され,「オーダ・ボタン」のクリックに応答して,「Web-POSサーバ・シ- 20 -ステム」へ明細フォーム中のカテゴリ,メーカコード等の全フィールドを送信し,「Web-POSサーバ・システム」においてこの明細フォームを受信することとなっているところ(段落【0056】,【0111】~【0125】,【0127】,【図12】),「オーダ・ボタン」のクリックにより「Web-POSサーバ・システム」が受信するのが「注文情報」であることから(構成要件F4),上記明細フォームは「注文情報」に相当するので,「注文情報」には商品名,価格等の商品基礎情報が含まれている。また,本件明細書には本件発明の他の実施形態の説明も記載されているが(段落【0134】~【0139】),いずれも「明細フォーム」を利用するものであり,「注文情報」に商品基礎情報を含まない構成についての記載は見当たらない。 これら本件明細書の記載を考慮して「注文情報」の意義を解釈すると,本件発明は,「Web-POSクライアント装置」の表示画 り,「注文情報」に商品基礎情報を含まない構成についての記載は見当たらない。 これら本件明細書の記載を考慮して「注文情報」の意義を解釈すると,本件発明は,「Web-POSクライアント装置」の表示画面に明細フォームその他商品基礎情報を含む情報を表示した上で,「オーダ・ボタン」のクリックに応答して,これらの情報を「Web-POSサーバ・システム」に送信するという構成を採用したものと認められる。したがって,「Web-POSクライアント装置」が送信して「Web-POSサーバ・システム」が受信する商品の注文に関する情報にカテゴリ,メーカコード,商品名,価格等の商品基礎情報が含まれていない場合には,構成要件F4,G及びHの「注文情報」に当たらないと解するのが相当である。 ウ 「注文情報」を上記のように解釈することは,本件特許の出願経過における原告の説明とも一致する。すなわち,原告は,平成23年10月9日付け意見書(乙20)において,引用文献1(乙11)との相違点につき,①引用文献1における注文情報は購入者ごとに生成される情報であって,この購入者ごとの注文情報は,商品識別情報等を含んだ商品ごとの情報である本件発明の「注文情報」とは異なる(乙20の11~12頁),②引- 21 -用文献1には,商品注文明細情報の生成及び表示過程に関する詳細な記載がなく,ユーザが注文した情報に売上管理等に必須となる商品識別情報及びこれに対応する商品基礎情報が含まれていないのに対し,本件発明では「注文情報」に商品識別情報とこれに対応する商品基礎情報が含まれている(同12~13頁)と説明しており,これら①及び②の説明は上記の解釈と整合するということができる。 エ他方,本件ECサイトにおいては,前記前提事実顧客のコンピュータから管理運営システム内にあ 12~13頁)と説明しており,これら①及び②の説明は上記の解釈と整合するということができる。 エ他方,本件ECサイトにおいては,前記前提事実顧客のコンピュータから管理運営システム内にあるサーバに対して送信されるリクエスト情報には注文された商品に係る商品基礎情報が含まれていないから,上記リクエスト情報は「注文情報」に当たらない。したがって,本件ECサイトの制御方法が構成要件F4,G及びHを充足すると認めることはできない。 オこれに対し,原告は,①本件特許の特許請求の範囲には「注文情報」に商品基礎情報が含まれていなければならないなどといった記載がない,②前記意見書(乙20)の記載は,POSを実現するためには注文された情報をサーバ側で正確に特定できる構成にする必要があること,注文された情報をサーバ側で正確に特定する実施例の1つとして注文情報の中に商品基礎情報を含める構成があり得ることを指摘したものにすぎないから,構成要件F4,G及びHの「注文情報」とは商品基礎情報を含む情報をいうと解釈することはできない旨主張する。 そこで判断するに,上記①については,前記イで説示したとおり,本件特許の特許請求の範囲の記載に加え本件明細書の記載を参酌すると「注文情報」には商品基礎情報が含まれると解釈すべきであるから,特許請求の範囲にその旨の明示的な記載がないことをもって,「注文情報」に商品基礎情報が含まれている必要はないと解釈すべきことにはならない。 また,上記②については,上記意見書(乙20)には「この点,本願発- 22 -明では,既に受信した注文情報に,該更新以前に入力(選択)された商品の識別情報と該入力(選択)された識別情報に対応する商品基礎情報が含まれているので,改めて,商品マスタDBを参照する必要はなく,注文明細情報が実デ した注文情報に,該更新以前に入力(選択)された商品の識別情報と該入力(選択)された識別情報に対応する商品基礎情報が含まれているので,改めて,商品マスタDBを参照する必要はなく,注文明細情報が実データとして管理されます。」との記載があるところ(乙20の13頁),上記記載部分は,POSの一般論に言及したもの,あるいは一つの実施例に言及したものではなく,本件発明について説明したものというべきである。 したがって,原告の上記各主張はいずれも採用することができない。 以上のとおり,本件ECサイトの制御方法は,構成要件F4,G及びHを充足しないから,本件発明の技術的範囲に属するとは認められない。 2 結論以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官長谷川浩二 裁判官藤原典子 裁判官中嶋邦人

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