令和4(わ)1231 強盗殺人、死体遺棄、建造物侵入、窃盗未遂

裁判年月日・裁判所
令和5年2月3日 大阪地方裁判所
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判決文本文3,334 文字)

令和4年(わ)第1231号、第1385号強盗殺人、死体遺棄、建造物侵入、窃盗未遂被告事件 主文 被告人を無期懲役に処する。 未決勾留日数中180日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は第1 金品窃取の目的で、令和3年12月5日午前3時15分頃、「A」経営者Bが看守する大阪市a区b丁目c番d号1階同店に、勝手口から侵入し、その頃、同所において、同店カウンターに設置されたレジスターの引き出しを開けて物色したが、金品を発見することができず、その目的を遂げなかった第2 C(当時31歳)を被告人方に誘い込んで現金を強奪しようと考え、令和4年4月3日午前8時35分頃から同日午前9時3分頃までの間に、大阪市a区b丁目c番d号2階被告人方居間において、同所に誘い込んだ前記Cに対し、所持金を差し出すよう要求したところ抵抗されたため、殺意を持って、背後からその頸部を腕で絞め付けて圧迫し、よって、その頃、同所において、前記Cを窒息により死亡させて殺害した上、前記C所有の現金約2万6000円を奪った第3 前記犯行後から同日午後11時38分頃までの間に、前記被告人方居間において、前記Cの死体の下半身の着衣を脱がせて布団圧縮袋で覆い、同死体を同所から前記被告人方寝室南東角まで移動させてテレビ台と壁の間に押し込み、その上に冷風扇等を載せるなどして同死体を隠匿し、もって死体を遺棄したものである。 (争点に対する判断) 1 公訴事実のうち、強盗殺人以外の事件(建造物侵入、窃盗未遂、死体遺棄)に ついては争いがない。強盗殺人事件は、建物2階に単身居住する被告人が、同建物1階の弁当店従業員であったベトナム人女性を自室に誘い入れ、所持金を渡して欲しい旨を述べたところ、被害者が大声を上げ ついては争いがない。強盗殺人事件は、建物2階に単身居住する被告人が、同建物1階の弁当店従業員であったベトナム人女性を自室に誘い入れ、所持金を渡して欲しい旨を述べたところ、被害者が大声を上げたため、被害者の背後から首を腕で絞め付けて圧迫して死なせ、その後現金を財布から抜き取ったという事案であり、争点は、被告人が、金品強取の目的で、殺意を持って被害者の首を絞め付けたかである。 2 まず、被告人が被害者を自室に誘い入れた目的について検討する。弁護人は、被害者から単にお金を借りる目的であったと主張するものの、証拠上認められる事実からすれば、被告人が、金品を強取する目的で被害者を自室に誘い入れたことが認められる。 すなわち、被告人は、犯行前日の段階で所持金が100円未満とお金に困っていたところ、犯行当日の朝、被害者が弁当店に出勤した直後、弁当店の勝手口から店内の被害者に声を掛け、マスター(弁当店の経営者)に言われているから貴重品(財布やバッグ等取られてはいけない物)を持って2階に上がってくれなどと嘘を言って被害者を自室に誘い入れている。また、弁当店内の防犯カメラ映像では、被告人が、貴重品を持ってくるよう被害者に念押ししている様子や、被害者をせかしている様子も認められる。これらの点から、被告人は、被害者から金品を強取する目的で自室に誘い入れたと考えるのが自然である。面識のない被害者(弁当店従業員の外国人女性)に嘘を言って自室に誘い入れてもお金を貸してもらえるはずがなく、被告人もそのようなことは当然認識できたはずであるから、被告人が単にお金を借りる目的で被害者を自室に誘い入れたとは考え難い。さらに、前記防犯カメラ映像の音声などから、被害者が弁当店を出てから被告人が犯行に及ぶまでの時間は2分強であったと認められる。被告人が、被害者を自室に りる目的で被害者を自室に誘い入れたとは考え難い。さらに、前記防犯カメラ映像の音声などから、被害者が弁当店を出てから被告人が犯行に及ぶまでの時間は2分強であったと認められる。被告人が、被害者を自室に誘い入れて短時間で犯行に及んでいることも、被告人にお金を貸してもらうつもりなどなかったことを推認させる。 被告人は、捜査段階で、被害者を自室に誘い入れた後、被害者の後ろに行き、 「わるいけど、今持っているお金全部かしてくれる」と言った、被害者が騒いだ場合、押さえ込みやすいと思って後ろに回り込んだなどと供述している。当該供述の任意性に疑いを生じさせる事情はない上、前記事実関係に整合しており、内容に不合理な点もないから、信用できる。このような捜査段階の供述の存在も、被害者を自室に誘い入れた当初からの金品強取目的を裏付ける。 これらの事情から、被告人が、金品を強取する目的で被害者を自室に誘い入れたことが認められる。 3 以上を前提に、被告人が、金品強取の目的で、殺意を持って、被害者の首を絞め付けたかどうかを検討する。証拠によれば、被告人は、山型の甲状軟骨が扁平化するほどの相当強い力をもって、被害者の首を2分から3分間絞め続け、被害者を扼頸により窒息死させたと認められる(D証言、被告人質問)。また、その態様は、座椅子様のソファーに座っている被害者の背後から被害者の首に右腕を回し、その上に左手を十字のように重ねて首を絞め付けるというものであり、被害者が抵抗して途中で腕が外れかかったり、被告人が被害者の首を絞めながら被害者と共に床に倒れ込むようなことがあったにもかかわらず、被害者の首を絞め続けている。加えて、前記のとおり、被告人は、元々金品を強取する目的で被害者を自室に誘い入れており、被害者を死亡させた直後には被害者の所持金を財布か うなことがあったにもかかわらず、被害者の首を絞め続けている。加えて、前記のとおり、被告人は、元々金品を強取する目的で被害者を自室に誘い入れており、被害者を死亡させた直後には被害者の所持金を財布から抜き取って酒等を買い、さらに食べ物も買って遺体のある部屋で食べるなどの行動もしている。これらを総合すると、被告人は、自室に誘い入れた被害者に所持金を差し出すよう要求したところ、大声を出して抵抗されたため、とっさに、所持金を強取するため被害者の抵抗を排除しようと考え、殺意を持って、前記行為に及んだと認められる。 弁護人は、被害者を気絶させるため首を絞めたにすぎず、殺意はなかったと主張するものの、前記犯行態様等と矛盾するから、採用できない。 (量刑の理由) 1 強盗殺人事件についてみると、被告人は、お金に困り、自宅と同じ建物の1階 の弁当店で働く無関係な被害者から金品を強取しようと考え、嘘をついて自室に誘い出した上でお金を要求し、大声を上げた被害者を殺害して現金を奪った。まさに金欲しさのあまりの身勝手な犯行と言うほかない。犯行態様は、相当強い力をもって、2分から3分間被害者の首を背後から絞め続けたというもので、冷酷であり、突然このような被害にあった被害者が感じた恐怖は大きかったと推察される。全く落ち度がないにもかかわらず、未来ある一人の女性が理不尽に命を奪われ、これからの夢を打ち砕かれたという結果は極めて重大であり、残された遺族の悲しみも計り知れない。 2 その後の死体遺棄についても、死者の尊厳を全く顧みない非道徳的な犯行であり、軽く見ることは許されない。さらに、被告人は、本件以前にも、前記弁当店で建造物侵入、窃盗未遂の犯罪を行っている。 3 これらの犯情からすれば、本件に酌量減軽すべき事情は見当たらない。以上に加え、公判を通じて とは許されない。さらに、被告人は、本件以前にも、前記弁当店で建造物侵入、窃盗未遂の犯罪を行っている。 3 これらの犯情からすれば、本件に酌量減軽すべき事情は見当たらない。以上に加え、公判を通じて被告人に重罪を犯したことに対する反省が見受けられないことを踏まえ、同種事案(強盗殺人、単独犯、強盗が既遂、示談等なし、前科等なし、処断罪以外の主要な罪なし、減軽事由なし)の量刑傾向も考慮し、主文の刑を定めた。 (求刑無期懲役)令和5年2月3日大阪地方裁判所第5刑事部 裁判長裁判官中川綾子 裁判官小泉健介 裁判官西村拓己

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