平成17(行ウ)7 損害賠償請求(差戻)事件

裁判年月日・裁判所
平成21年1月30日 佐賀地方裁判所 その他 住民訴訟
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判決文本文42,382 文字)

- 1 -平成21年1月30日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成17年(行ウ)第7号損害賠償請求(差戻)事件(差戻前・平成10年(行ウ)第4号,平成11年(行ウ)第1号)口頭弁論終結日平成20年10月1日判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり主文 差戻前の平成10年(行ウ)第4号の原告らの請求をいずれも棄却する。 被告Aは,佐賀県に対し,4427万6400円及びこれに対する平成11年1月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告佐賀県知事Bが,被告Aに対する前項の損害賠償請求権の行使を怠る事実が違法であることを確認する。 差戻前の平成11年(行ウ)第1号事件の原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟の総費用は,差戻前の平成10年(行ウ)第4号事件の関係では,全て同事件の原告らの負担とし,差戻前の平成11年(行ウ)第1号事件の関係では,これを10分し,その9を同事件の原告らの負担とし,その余は被告らの負担とする。 事実及び理由 第1請求 差戻前の平成10年(行ウ)第4号事件(以下「4号事件」という)の原告らの請。 求( )被告A(以下「被告A」という)は,佐賀県(以下単に「県」という)に対 。 。 し,2億2412万4000円及びこれに対する平成10年9月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ( )被告佐賀県知事B(以下「被告知事」という)が,県の平成7年度の複写機 。 使用料のうち,実際には複写をしていないのに虚偽に使用したとして,架空水増し複写機使用料金2億2412万4000円を県が複写機リース会社に違法支出したことを知りながら,上記違法支出について,複写機リース会社に対する不当利得返還請求権及び上記違法支出について違法に監督権限を行使し 使用料金2億2412万4000円を県が複写機リース会社に違法支出したことを知りながら,上記違法支出について,複写機リース会社に対する不当利得返還請求権及び上記違法支出について違法に監督権限を行使しなかった被告A(当時の県知事)に対する損害賠償請求権の行使を怠っている事実が違法であることを確認する。 差戻前の平成11年(行ウ)第1号事件(以下「1号事件」という)の原告らの請。 求( )被告Aは,県に対し,4億2021万2000円及びこれに対する平成11 年1月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 - 2 -( )被告知事が,県の平成7年度を除く平成5年度から平成9年度までの複写機使 用料のうち,実際には複写をしていないのに虚偽に使用したとして,架空水増し複写機使用料金4億2021万2000円を県が複写機リース会社に違法支出したことを知りながら,上記違法支出について,複写機リース会社に対する不当利得返還請求権及び上記違法支出について違法に監督権限を行使しなかった被告A(当時の佐賀県知事)に対する損害賠償請求権の行使を怠っている事実が違法であることを確認する。 第2事案の概要 事案の要旨( )本件は,県の住民である原告らが,県の平成5年度~平成9年度の複写機リー ス会社に対する複写機使用料に係る支出の一部6億4433万6000円が複写機使用料名下に水増しされた違法な支出であるとして,①地方自治法(平成14年法律第4号によ。 「」。),,る改正前のもの以下法という242条の第1項4号に基づき県に代位して 当時県知事の職にあった被告Aに対し,損害賠償請求(<ア>4号事件は,平成7年度分として,損害金2億2412万4000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成10年9月26日か に代位して 当時県知事の職にあった被告Aに対し,損害賠償請求(<ア>4号事件は,平成7年度分として,損害金2億2412万4000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成10年9月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求。<イ>1号事件は,平成5年度~平成9年度分(ただし,平成7年度分を除く)とし。 て,損害金4億2021万2000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成11年1月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求)するとともに,②法242条の第1項3号に基づき,被告知事に対し,<ア>上記複写機 リース会社に対する不当利得返還請求権及び<イ>当時県知事の職にあった被告Aに対する損害賠償請求権の行使を怠る事実の違法確認(平成7年度分を対象にしたのが4号事件であり,平成5年度~平成9年度分(ただし,平成7年度分を除く)を対象にしたのが1。 号事件である)を求めた事案である。 。 ( )ア差戻前の第1審は,4号事件及び1号事件(以下併せて「本件両事件」とい う)に係る各訴え(以下「本件各訴え」という)は,その前提となる住民監査請求(以。 。 下「本件監査請求」という)が請求の対象の特定を欠き,かつ,法242条2項本文の。 期間経過について正当な理由がないと判断して,平成11年11月26日上記訴えをいずれも却下する旨の判決を言い渡した。 イこれに対し,本件両事件の原告らがいずれも控訴したところ,差戻前の控訴審(福岡高等裁判所平成11年(行コ)第42,43号)は,本件各訴えの前提となる本件監査請求は請求の対象の特定を欠いていると判断して,平成12年7月18日及び同年11月30日いずれの控訴も棄却する旨の判決を言い渡した。 ウこれに対し,本件両事件の原告らが上告 訴えの前提となる本件監査請求は請求の対象の特定を欠いていると判断して,平成12年7月18日及び同年11月30日いずれの控訴も棄却する旨の判決を言い渡した。 ウこれに対し,本件両事件の原告らが上告及び上告受理の申立てをしたところ,最高裁判所(同裁判所平成12年(行ヒ)第292号,平成13年(行ヒ)第66号)は,本件各訴えの前提となる本件監査請求は請求の対象の特定に欠けるところはないと判断して,平成16年11月25日控訴審判決をいずれも破棄し,本件監査請求が法242条2項本文の監査請求期間を経過しているのがどうか,また,同項ただし書にいう正当な理由があるのかどうかにつき,更に審理を尽くさせるために,本件両事件を福岡高等裁判所に差し戻す旨の判決を言い渡した。 エ差戻後の控訴審(福岡高等裁判所平成16年(行コ)第36,37号)は,本件- 3 -各訴えの前提となる本件監査請求は,法242条2項の期間経過について正当な理由があるから,本件各訴えは適法であると判断して,平成17年8月9日原判決(差戻前の第1審判決)をいずれも取り消し,当庁に差し戻す旨の判決を言い渡し,同判決に対しては,上告ないし上告受理の申立てがなく,同判決は確定した。 ( )当裁判所は,差戻前の主たる争点である,①本件監査請求が請求の対象として 特定されているか否か,②本件監査請求が法242条2項本文の期間経過について正当な理由があるか否かについては,上記の最高裁判所及び差戻後の福岡高等裁判所の判断に拘束されるので(民訴法325条3項,裁判所法4条,本件監査請求は適法であり,適法)な監査請求を経た本件各訴えも住民監査請求前置との関係では適法である。なお,被告らは,当審において,上記監査請求に関する本案前の主張を撤回した。 争いのない事実等以下の事実は,当事者間に争いが な監査請求を経た本件各訴えも住民監査請求前置との関係では適法である。なお,被告らは,当審において,上記監査請求に関する本案前の主張を撤回した。 争いのない事実等以下の事実は,当事者間に争いがないか,括弧内掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる。 ( )当事者 ア原告らは,いずれも県の住民である(争いがない。なお,原告らの一部は,)地方公共団体の公正な公金支出の確保等を目的として結成された団体である市民オンブズマン連絡会議・佐賀(以下「市民オンブズマン」という)に所属している(弁論の全趣。 旨。 )イ被告Aは,平成3年4月から平成15年4月まで,県知事の職にあった者である(平成15年4月までについては,顕著な事実,その余は争いがない。 )( )複写機使用料名下の公金の支出 ア県は,平成4年度以前から,C株式会社(以下「C社」という)及びD株式。 会社(以下「D社」といい,C社とD社を併せて「本件複写機リース会社」という)と。 の間で複数の複写機リース契約を締結し,リースを受けた複写機を各部各課に設置して使用していたところ,上記各契約では,県は,複写機リース会社に対し,1枚当たりの単価に使用枚数を乗じた複写機使用料を支払うこととされていた(争いがない。 。)イ県は,平成10年6月16日,県が平成10年に実施した調査結果を記載した複写機使用料調査結果報告書(4号事件乙4の,1号事件乙10の,以下「本件調査 報告書」という)に基づき,県議会に報告したところ,その内容は,県庁全体の平成5。 年度から平成9年度までの複写機使用料の支出状況は,別紙「表1複写機使用料の支出状況」記載のとおりであり,合計額は,19億5176万3000円であるが,県は,このうち,合計6億4433万6000円(うち ら平成9年度までの複写機使用料の支出状況は,別紙「表1複写機使用料の支出状況」記載のとおりであり,合計額は,19億5176万3000円であるが,県は,このうち,合計6億4433万6000円(うち平成5年度~平成9年度(ただし,平成7年度を除く)の合計額は,4億2021万2000円(上記別紙の表の支出額から「自。 )所属分」のうちの「複写機使用料」を控除した額)については,当該年度における収支等命令者(知事及び知事の委任を受けて,収支等の全部又は一部を行う者,佐賀県財務規則2条8号)の属する部署の複写機使用料の支出ではないというものであり,本訴においても,被告らはこれを自認している(以下,このような複写機使用料の支出を「本件公金支出」という。 。)(ア)平成5年度分の複写機使用料の支出額3億8260万7000円- 4 -うち当該年度の収支等命令者の属する部署の複写機使用料の支出でないもの1億3786万2000円(イ)平成6年度分の複写機使用料の支出額4億2746万4000円うち当該年度の収支等命令者の属する部署の複写機使用料の支出でないもの1億7234万9000円(ウ)平成7年度分の複写機使用料の支出額4億8965万1000円うち当該年度の収支等命令者の属する部署の複写機使用料の支出でないもの2億2412万4000円(エ)平成8年度分の複写機使用料の支出額3億7200万3000円うち当該年度の収支等命令者の属する部署の複写機使用料の支出でないもの1億1069万1000円(オ)平成9年度分の複写機使用料の支出額2億8003万8000円うち当該年度の収支等命令者の属する部署の複写機使用料の支出でないもの-69万円( )複写機使用料の一部返還 本件複写機リース会社は,以下のとおり,本件公金支出に係る複 億8003万8000円うち当該年度の収支等命令者の属する部署の複写機使用料の支出でないもの-69万円( )複写機使用料の一部返還 本件複写機リース会社は,以下のとおり,本件公金支出に係る複写機使用料のうち,合計3億1670万1750円を県に返還した。 アD社は,平成10年8月25日,県に対し,本件公金支出に係る複写機使用料のうち,2億1310万6024円を返還した(1号事件乙12の。 1),,,,イC社は同年8月31日県に対し本件公金支出に係る複写機使用料のうち1億0359万5726円を返還した(1号事件乙12の。 2)( )複写機使用料に関する支出命令の権限委任 県知事は,佐賀県財務規則3条1項,同規則別表第1により,複写機使用料(食糧費以外の需用費)の支払命令の権限を金額の多寡を問わず,各課の長あるいは「かい」の長(収支等命令者)に事務委任している(争いがない。 。)( )原告らの住民監査請求 原告らは,県監査委員に対し,4号事件の関係では,平成10年7月27日に,1号事件の関係では,同年10月15日に,それぞれ住民監査請求(本件監査請求)をした(4号事件乙3,1号事件乙3の・。 1 2)( )本件訴訟の提起 4号事件の原告らは,平成10年9月10日,1号事件の原告らは,平成11年1月12日,本件訴訟を提起した(顕著な事実。 ) 争点及びこれに関する当事者の主張( )本件公金支出の違法性 〔原告ら〕県の担当職員は,各部課において,平成5年度から平成9年度の5年間に,本件- 5 -複写機リース会社と共謀の上,前記争いのない事実等( )イ記載のとおり,使用していな いコピー枚数を含めてコピー枚数を水増しした請求書を上記複写機リース会社に提出させ,県はその請求書のとおりに使用 複写機リース会社と共謀の上,前記争いのない事実等( )イ記載のとおり,使用していな いコピー枚数を含めてコピー枚数を水増しした請求書を上記複写機リース会社に提出させ,県はその請求書のとおりに使用していない水増しの複写機使用料を支払い,もって本件公金支出をした。 上記の違法原因は以下のとおりである。 ア県に債務がないことを知りながら,本件複写機リース会社に使用料を支払うものであるから,通常,県に損害を与える目的でされるか,自己又は第三者に利益を与える目的でされるものであるので,横領又は背任に当たる。 イ本件公金支出は,地方公共団体の事務処理に必要な経費の支弁のみを認める法232条に違反する。 ウ本件公金支出は,債務が存在しないにもかかわらず支出をしているものであって,地方公共団体の支出は債務金額が確定し支払期限の到来したものについてされるという財務会計原則(法232条の第2項参照)に反し,違法である。なお,例外的に認め られている「概算払「前金払」の許される経費の種類に該当しない(地方自治法施行令」162条,163条。 )エなお,本件公金支出後の県の当該公金の利用に関しては,①補助金適正化法11条違反,②法220条2項(款「項」間の流用禁止,③法220条3項(繰越明許「」)費を除く翌年使用の禁止)に違反する。 〔被告ら〕本件公金支出は,以下のとおり違法ではない。 ア本件公金支出は,予算の効率的執行のために慣行的に行われたものであり,また県の必要経費として支出されており,横領ないし背任には該当しない。 イ本件公金支出は,全て県の事務を処理するために必要な経費であり,実質上法232条に違反する支出は存在しない。 ウ債務確定及び支払期限到来後支払の原則違反については,一部債務の確定していない支出があり,形式的には「概算払 の事務を処理するために必要な経費であり,実質上法232条に違反する支出は存在しない。 ウ債務確定及び支払期限到来後支払の原則違反については,一部債務の確定していない支出があり,形式的には「概算払「前金払」の手続を履践していなかったことも」事実であるが,債務の確定の有無は,一次的には出納長がこれを確認しなければならない義務を負うものとされており(支出命令審査権などといわれる,支出命令を行う長ない)しその権限を委譲された者に対して義務を負わせるものとはされていないから,出納長ではなく,県知事の責任を追及している本件訴訟においては,違法事由とはなり得ない。 ( )被告Aの責任 〔原告ら〕ア本件公金支出の権限は,前記争いのない事実等( )記載のとおり,各課の長又 は「かい」の長に委任されているが,被告Aは,本件公金支出について,上記委任を受けた者による違法支出(水増し支払)を知りながら,少なくとも知り得たにもかかわらず,その違法支出を阻止しなかったものである。 したがって,被告Aの上記行為は,県に対する債務不履行(県と知事との間の委任関係)ないし不法行為に該当し,被告Aは,後記の県の損害を賠償する責任がある。 ,,,「」,すなわち被告Aは昭和22年県杵島地方事務所に佐賀県雇で就職し以後,平成15年に県知事(3期12年間)を退任するまで,県職員56年間の経歴を有- 6 -し,その間,公共事業の多い部署の役職を歴任していたのであるから,同被告自身,毎年度,どの部署でも「ゼロ精算(補助金事業を含めた公共事業は,単年度精算のため,予」算を使い切れずに余らせると,次年度の予算要求の際に厳しく査定されたりするため,予),,「」算を使い切ることされていること事業本体の事業費に対して需用費を含む事務費が個 め,予」算を使い切れずに余らせると,次年度の予算要求の際に厳しく査定されたりするため,予),,「」算を使い切ることされていること事業本体の事業費に対して需用費を含む事務費が個別の積み上げ方式で予算化されるのではなく,類型的に「事業費の●%」というように形式的に金額が決められていたため,事業課としては,需用費が使い切れずに余剰が生じることを当然知っていたのであるから,完全な予算消化がされているということは,何らかの裏金手法がされないと難しいことは容易に想像できたはずである。 ,,,そして県においては本件公金支出のようなコピー費の水増し支出の手法は同様の役割を果たしていた印刷局の縮小(昭和62年に消滅)に伴い,平成4年以前である,1980年(昭和55年)代から,全庁的に行われており,その額も1年間で2億円を超えるなど,異常に多額であること,コピー費水増しの手法は,本件複写機リース会社も組織として承認していたこと,県においては,需用費支出の担当者である庶務係ではない一般職員ですら,事業課においては,他の機関に「預け金」があるとか,他課への「融通」があるといううわさを聞いていたこと,食糧費については,平成6年ころから問題になり,官官接待問題での膨大な支出の発覚や宮城県のカラ出張の操作が発覚するなどの不正を受けて,各自治体には,節度ある食糧費の執行を求める,平成7年8月15日付けの自治事務次官通知がされていること,食糧費の膨大な支出,不正の温床は,事業費に形式的にパーセントで加算される事務費を単年度でゼロ精算するところから発生しており,本件公金支出と構造が同じであること,被告Aは,OA化予算が組まれていないのにパソコンが急に増加しているのを認識していたこと,被告Aは,本件公金支出が発覚後も関与者に対して何らの処分もせず「 おり,本件公金支出と構造が同じであること,被告Aは,OA化予算が組まれていないのにパソコンが急に増加しているのを認識していたこと,被告Aは,本件公金支出が発覚後も関与者に対して何らの処分もせず「預け金」を明確に禁止することなく,本件公金支出に関す,る証拠の保存を指示していないこと,県の上層部が容認していないのに,本件公金支出を「」,担当していた県職員が本件のような裏金を管理するとは考え難いことなどからすれば被告Aは,違法なコピー費の水増し支出(本件公金支出)を知っていたか,少なくとも違法支出を知り得たのに阻止しなかったことは明らかである。 仮に,被告Aが平成4年度までに本件公金支出を知り得ないということが万一あったとしても,平成7年度の本件公金支出の大半が支払われた平成8年4月以降の支出について,少なくとも被告Aが本件公金支出を知り得る状況にあったのに,これを阻止しなかったことは明らかである。 ,「」。 イ本件公金支出と同様のコピー費の水増し支出の背景にはゼロ精算がある(ア)補助金事業を含めた公共事業は,県において長年「ゼロ清算」が鉄則であった。単年度精算のため,予算を使い切るゼロ精算が全庁的に行われ,庁内の常識となっていたのである。 複写機使用料や食糧費を含む需用費について事業課では使い切れず余剰が出る理由については,事業本体の事業費に対して,需用費を含む「事務費」が個別の積み上げ方式で予算化されるのではなく,類型的に「事業費の●%」というように形式的に金額が決まるようにされていたからである。 ,,「」そして補助金事業の予算消化というゼロ精算をするため上記の事務費について,無理矢理にでも消化して返還しないでよいようにするため,何らかの違法手段- 7 -(裏金)を県庁全体で考え,水増し支出を実行してきたので 事業の予算消化というゼロ精算をするため上記の事務費について,無理矢理にでも消化して返還しないでよいようにするため,何らかの違法手段- 7 -(裏金)を県庁全体で考え,水増し支出を実行してきたのである。 (イ)この点,被告Aは,昭和22年以来県庁職員として在職し,公共事業の多い部署を歴任し,補助金事業にも携わってきたのであり,同人自身にも「ゼロ精算」の意識が染みついており,事業費の中の事務費が個別に積み上げられるのではなく「事業費,の●%」と形式的に積算され,余るものであるが,翌年度の事業費や予算に影響するため返還しないということを熟知し,その実践もしていたはずである。 (ウ)そして,本件公金支出による「預け金」は,この「ゼロ精算」の趣旨に合致するものであり,上記の背景事情からしても,当時の県知事であった被告Aも,本件公金支出について,当然認識し,承認していたものと考えられる。 (エ)また,県庁の幹部たちは,水増し支出による「預け金(裏金)化は,県」の脆弱な財政基盤を補うために一般財源からの持ち出しを防ぐメリットがあると考えていたものであり,当然,被告Aも同様の認識だったと推測するのが合理的である。 ウ本件公金支出と同様のコピー費の水増し支出は,前記のとおり,全庁的に,大規模に,長期間行われていた。 (ア)本件公金支出(実際に使用していないコピー枚数を使用したことにして複写機リース会社から複写機使用料を請求させ,そのとおりに支払い,複写機リース会社名義で県庁の裏金を作りあとで流用するやり方は県庁全庁ぐるみでされていたこ「」,),(れは平成10年に行われた県による調査によっても明らかである。 。)たとえば,平成7年度でいえば,各部局ごとで水増し支出したのは「総務,部企画局福祉生活部保健環境部商工 ,),(れは平成10年に行われた県による調査によっても明らかである。 。)たとえば,平成7年度でいえば,各部局ごとで水増し支出したのは「総務,部企画局福祉生活部保健環境部商工労働部農林部水産局土」,「」,「」,「」,「」,「」,「」,「木部「教育委員会「監査委員事務局を含む各種委員会」などすべての部局に及んで」,」,おり,全庁ぐるみの組織的な不正であった。 しかも,県側が本件複写機リース会社に要請して本件公金支出のやり方をしてきたもので,かつ,県側が本来業者側が作成すべき請求書を作成して業者に渡して県側に請求させていたものである。したがって,県の都合により県が主導していたことは明らかである。 加えて,複写機リース契約は部局を超えた単位で行われ,また,流用も部局を超えて行われていたものであり,その元締めは,少なくとも部局長クラス以上の相当の役職者でなければできるはずがない。 (イ)本件公金支出は平成10年度の県の自白時点前記争いのない事実等( ),( イの県議会に対する報告)で,10数年前からされていた。さらに,県庁では同様の印刷物の不正経理が複写機が導入される前において,昭和56年まで県庁内に存在した印刷局が公共事業の少ない部署へ事務費を恒常的に回す仲介役を果たしていた。 すなわち,公共事業を多く持ち,それに伴う多額の事務費を抱えていた部署が,年度末近くになって余った事務費予算を使い切ってゼロにするために印刷局に架空の印刷物を発注し,その水増し分を使って,公共事業が少なく事務費予算の足りない部署の印刷物や物品購入代に回すやりくりが恒常的に行われていた。そして,いつからか判然としないが(遅くとも1980年代から,印刷局が果たした流用仲介の役割を複写機リー)ス会社が果たすようになった 部署の印刷物や物品購入代に回すやりくりが恒常的に行われていた。そして,いつからか判然としないが(遅くとも1980年代から,印刷局が果たした流用仲介の役割を複写機リー)ス会社が果たすようになったものである。 (「」(ウ)本件公金支出の額需用費の消耗品費の中の複写機使用料だけでの裏金- 8 -発生額)は,平成7年度だけで2億2412万4000円であり,平成5年度から平成9年度までの5年間で約6億4400万円という巨額に上る。なかでも農林部が平成7年度だけで約1億円を水増し支出し,林政課だけでも平成5年度から平成8年度までで約1億円に上っていた。 エ本件公金支出と同様のコピー費の水増し支出は,食糧費の不正・カラ出張等と構造が同じである。 (ア)a仙台市民オンブズマンは,平成5年6月に宮城県知事,仙台市長の交際,,,。 費情報公開請求をし平成6年9月以降仙台市宮城県の食糧費の情報公開請求をしたその上で,仙台市民オンブズマンが,宮城県財政課の食糧費の資料を分析したところ,カラ飲食の疑いが判明した。平成7年2月20日には,新聞がこの食糧費問題を大々的に報道した。 上記食糧費問題については,懇談の相手が,中央官庁の役人,他の自治体の職員,県議会議員等で,原資の大半が国庫補助金(公共事業費からの事務費)であることから「全国的構造的問題」であることは被告Aは容易にわかっていたはずである。 ,b全国の市民オンブズマンは,平成7年4月25日,全国一斉の各都道府県・政令指定都市の秘書課・財政課・東京事務所の平成5年度分の食糧費情報公開請求をした。そして,全国市民オンブズマンは,同年7月29日,上記全国一斉公開請求の集計結果を発表した。 c宮城県知事は,平成7年8月10日,平成5年度の財政課の食糧費支出についての調査結果を発表し,不正 た。そして,全国市民オンブズマンは,同年7月29日,上記全国一斉公開請求の集計結果を発表した。 c宮城県知事は,平成7年8月10日,平成5年度の財政課の食糧費支出についての調査結果を発表し,不正な経理操作が日常的であったことを公表した。そして,宮城県知事は,同月23日には,同問題で幹部職員16名の処分を決定した。 d平成7年8月15日,閣僚懇談会で官官接待問題での綱紀粛正を申し合わ,(,),,せ当時の自治大臣当時以下同じは各地方公共団体に対し自治事務次官名により問題となっている食糧費などの予算執行に節度ある対応を取るよう求める通知を出すことを明らかにし,同日,同通知がされた。 e平成7年9月4日以前に秋田県で食糧費の請求書の改ざんが判明していた。 f平成7年10月,北海道の石狩支庁職員のカラ出張疑惑が発覚し,同月中旬には北海道監査事務局でのカラ出張疑惑が発覚した。北海道庁による調査の結果,道庁のほとんどの部局で不正が見つかった。北海道庁は,平成8年2月,道庁の「裏金」総額は約19億1000万円と発表した。そこでの「裏金」作りの手口としては,カラ出張・カラ会議・カラ雇用・カラ会食・カラコピーなどであった。 g会計検査院が,秋田県,茨城県,大阪府,島根県,沖縄県の食糧費支出を検査し,農水,運輸,建設の3省の補助金を使った食糧費約7億1300万円のうち,4億6100万円は接待相手や使途がはっきりしないと指摘した,内輪の飲み食いや架空の懇談だった可能性もある,と平成7年12月16日付けの佐賀新聞で報じられた。 内輪の飲み食いや架空の懇談疑惑が,会計検査院が調べた4県から見つかり,その不正の疑いのある額が全体の6割以上にも上ることは,当然全国的構造的問題であることを明らかにしたものである。 県知事である被告Aとしては,当 架空の懇談疑惑が,会計検査院が調べた4県から見つかり,その不正の疑いのある額が全体の6割以上にも上ることは,当然全国的構造的問題であることを明らかにしたものである。 県知事である被告Aとしては,当然県の食糧費の使途について実態調査す- 9 -べきであったといえ,遅くとも1か月以内に業者預け金・カラ飲食等の不正,ひいては事務費全体の業者預け金等での流用の不正を知り得たといえる。 (イ)a県は,平成7年8月17日に各部局に上記自治事務次官通達の趣旨徹底を指示した。同通達は,食糧費について「経費の性質上,特に厳正を期されたい」など,とし,関係法令や財務規則により適切に支出されているかどうかの点検と必要な改善を求めるものであった。 したがって,県知事である被告Aとしては,通達のいう点検を行う責務があったし,この時点で点検すれば,業者預け金,職員同士での飲食,予算消化のため等のカラ飲食及び同じからくりによる複写機使用料を含む業者預け金と流用も容易に判明していた。 b県は,平成7年10月30日,総務部長を委員長とする「食糧費節減対策委員会」を設置した。また,県は,平成5年度食糧費3億6600万円の部局別決算額を明らかにしたが,実際に「官官接待」に使われた額は「現在調査中」として明らかにしなかった。 実際に「官官接待」に使われた額を調査しているのであれば,被告Aは,この時点又は長くとも1か月以内に,業者預け金・職員同士の飲食・中央官庁の職員を使ったカラ飲食等を把握できていた。また,この時点では,宮城県の食糧費の不正や北海道のカラ出張等の不正が発覚していたのであるから,そのような可能性も含めて調査するのが当然であった。 特に,会計検査院の上記検査結果の公表の後には,早急に食糧費の調査をするべきだったし,そうすれば,同じ構造的からくりの事務費全体の たのであるから,そのような可能性も含めて調査するのが当然であった。 特に,会計検査院の上記検査結果の公表の後には,早急に食糧費の調査をするべきだったし,そうすれば,同じ構造的からくりの事務費全体の業者預け金等の存在も当然知りえた。 ,,。 ,cまた県は平成8年1月以前に県の食糧費の実態調査をしたその結果東京出張の事実がない者が東京で懇談会に出席したようになっていることなどが判明した。 この調査は,食糧費等の情報公開請求に対して県知事がした一部非開示処分に対して,市民オンブズマン等が異議申立てをしたところ,県として「却下」する(平成9年2月20日)よりも前に実態調査をしたものである。 上記調査に関する文書(甲21)には,重大案件に結び付ける記載があることから,県知事であった被告Aに報告がされていないはずがない。 また,食糧費での膨大な支出,不正の温床は,事業費に形式的にパーセントでつく事務費を単年度でゼロ精算するところから発生しており,複写機使用料と全く構造が同じであり,この食糧費の支出の適否を調査すれば容易に架空の懇談会などが発見できたのである。そうすれば,事務費のゼロ精算に原因があることも容易に分かることであるから,複写機使用料等の事務用品費・消耗品費の水増し支出も容易に知り得たものである。 〔被告ら〕ア被告Aの注意義務違反の有無の判断基準前記争いのない事実等( )記載のとおり,佐賀県財務規則3条1項及び同別表 第1によれば,複写機使用料を含む「需用費」については,金額の多寡にかかわらず,各- 10 -課長に支出負担行為及びこれに伴う支出命令,別表第1に定める金額の範囲内の物品の取得及び処分,並びにこれらに伴う出納通知義務が委任され,各課長がその決裁ができる,いわゆる専決処分事項となっている。 したがって,上記専決を任 れに伴う支出命令,別表第1に定める金額の範囲内の物品の取得及び処分,並びにこれらに伴う出納通知義務が委任され,各課長がその決裁ができる,いわゆる専決処分事項となっている。 したがって,上記専決を任された補助職員(各課長)が管理者の権限に属する当該財務会計上の行為を専決により処理した場合は,管理者は,上記補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により上記補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったときに限り,普通地方公共団体に対し,上記補助職員がした財務会計上の違法行為により当該普通地方公共団体が被った損害につき賠償責任を負うこととなる(最高裁判所平成3年12月20日判決・民集45巻9号1455頁参照。 )そして,上記の長の賠償責任は,長が自ら当該財務会計上の非違行為を行ったのと同視し得る程度の指揮監督の懈怠がある場合に限り認められ,県における架空の支出の有無・状況の調査やこれを予防・防止するための具体的な指揮監督措置を必要とするような具体的な予見可能性があった場合にはじめて上記指揮監督の懈怠が認められるものである。 イ被告Aの認識ないし認識可能性(ア)被告Aは,本件公金支出について,県庁勤務の経歴においても,知事在任中も,原告らから平成9年に指摘を受けるまで何も認識していなかったし,それを知り得るきっかけも何ら存在しなかったのである。 (イ)被告Aは,知事時代に複写機使用料の支出に関与していない。 そもそも複写機使用料の支出は専決処分であり,専決処分の趣旨は,自治体内部の業務に関し,決裁権限を複数の者に委譲することで,効率的な事務運用を図ることにあるから,専決処分事項の事務取扱いについて,知事がその内容を精査し,処分の適否を判断することは制度上予定されていない。 また, 関し,決裁権限を複数の者に委譲することで,効率的な事務運用を図ることにあるから,専決処分事項の事務取扱いについて,知事がその内容を精査し,処分の適否を判断することは制度上予定されていない。 また,専決処分に関する事項については,その適否を判断するのは出納長や監査委員であり,知事である被告Aが直接報告を受けることもない。 本件公金支出の問題については,市民オンブズマンによる指摘も原告らによる平成9年の指摘までは存在しなかったし,マスコミからも,食糧費や旅費ではなく複写機使用料の不正支出があるとの指摘を受けたことはなかった。 また,県庁職員からの内部告発も存在しなかったし,会計検査院や自治省からも,旅費・食糧費ではなく,複写機使用料や事務費に関する不正流用を留意するようにといった指導はなかった。 (ウ)被告Aは,知事就任以前にも複写機使用料の支出に関与していない。 県では,各課とも経理事務はすべて庶務係が行うこととなっていた。もちろん支出行為の最終的な決裁権者は各課の課長(課長専決事項)であるが,少額の事務費用の管理,支出決定についての現実的な責任者は庶務係長であった。 被告Aは県庁に入庁以来,いずれの課においても庶務係に配属されたことはなかった。したがって,経理事務の実務が具体的にどのように行われていたかは全く知らなかった。 被告Aは,課長補佐になるまでの間,一切経理事務に関与することはなく,- 11 -同じ課の中にいても,経理事務を担当していないので,所属する課の経理事務がどのようにして行われていたかは全く知らなかった。 課長補佐時代にも,課長補佐の職務は企画・事業の進捗に関する指揮監督にあり,課内の経理関係の監督を行うものでは事実上なかった。 秘書課長から総務課長にかけては,既に決裁者としての業務が中心となり,経理業務などを行うことはなか の職務は企画・事業の進捗に関する指揮監督にあり,課内の経理関係の監督を行うものでは事実上なかった。 秘書課長から総務課長にかけては,既に決裁者としての業務が中心となり,経理業務などを行うことはなかった。 三役を構成する副知事時代は,知事時代と同様である。 (エ)被告Aは,その経歴から予算ゼロ精算の慣習については多少の認識があるが,かかる認識は,預け金の作成,作成方法についての認識と直結するものではなく,本件公金支出に関する具体的事情は知り得なかった。 確かに,県においては,予算の逼迫等の関係から,予算のゼロ精算が行われていたことがあるが,予算のゼロ精算は,必ずしも違法な方法でなければ実施できないわけではなく,被告Aが,知事就任後,複写機使用料の支出が,違法な形でのゼロ精算の方便として利用されていたとの認識を得ることは不可能であった。 そして,知事職に,過去の「裏金」をすべて網羅的に発見することが当然に期待されていないし,現実問題としてできるものではなく,不正支出についてのチェック機関としては,別途出納局,監査委員などが存在していたのであり,職制上もこれらの機関による調査が期待されていたものである。 したがって,被告Aが,知事就任時において「ゼロ精算の慣習」が存在したことを認識していたというだけで,個別の支出項目(事項)に関する具体的な不正の存在を推知することは不可能であったし,県庁内の職務権限の分配の見地からも,知事の職にあるからといって,これらの不正を知事自ら解明しなければならないという立場にもなかったのである。 (オ)庶務担当の職員,係長が,需用費の支出を実質的に取り仕切っているというのが県における実情であり,本件公金支出は,物品等が不足した課の庶務係の人間が,他の庶務係の人間に対し,融通ができないかを依頼する形で行われたものである。 需用費の支出を実質的に取り仕切っているというのが県における実情であり,本件公金支出は,物品等が不足した課の庶務係の人間が,他の庶務係の人間に対し,融通ができないかを依頼する形で行われたものである。 担当者からの依頼という行為を契機とすることから,庶務係間の人的つながりで融通がされており,その実施は組織的・機械的というより自然発生的にされたものであり,本件公金支出は「全庁的」ではなく,現に,平成10年の調査においても,預け金が存在するところ,しないところが存在し,預け金の融通を受けた課も全課にわたるわけではない。 そして,複写機使用料の不正支出の統括部署,統括者も存在しなかった。 (カ)県庁の総予算額は当時の予算規模で5000億円程度であり(需用費だけでも約600億円に達する,そのうち1億円程度に不正が介在したとしても,金銭の不)適正支出が予算上当然に見抜けるわけではない。 ,,また知事が予算の内容に関与するのは知事査定の機会が中心であるところその際にも需用費などの費目の内容について議論されることは一切なく,その支出や予算計上に不適切な点があるなどとは認識できなかった。 加えて,備品の増減は,知事の通常の業務からして,知事自身が把握できる,,事柄ではなく預け金の支出に付随してこれらの備品が正規の予算以外から購入されても- 12 -そのことから不正支出を認識することは不可能であった。 (キ)食糧費と複写機使用料による預け金の支出ではその方法支出の目的私,,(的流用か庁内での融通か,行われていた部署の割合(本件については全庁的なものでは)ない)など,その内容を大きく異にするものであり,食糧費に関する不正支出が存在したからといって,直ちに複写機使用料その他一切の費目についての不正を認識・予見できるわけではない。 (ク)本件に )ない)など,その内容を大きく異にするものであり,食糧費に関する不正支出が存在したからといって,直ちに複写機使用料その他一切の費目についての不正を認識・予見できるわけではない。 (ク)本件に関しては,私的流用その他の有無を巡り,佐賀地方検察庁により捜査がされているところ,これにより,被告Aはもちろん,県職員が起訴されたことはなかった。 (ケ)被告Aは,本件公金支出に関する調査後,自主的に給与の一部を返還したが,これは法的責任を認めたものではなく,政治的責任があると自ら判断して自主的に行ったものであり,何ら被告Aの前記認識を左右するものではないし,その後の資料の管理等について,被告Aが具体的に指示したことはない。 加えて,職員の処分を行わなかったことも,被告Aら三役が政治的責任を果たすことで,個々の職員の責任を追及する必要まではないものと判断したことによるのであって,そのことから,被告Aや県は預け金の支出を容認,推奨していたなどと判断することはできない。 ( )県の損害 〔原告ら〕県は,前記争いのない事実等( )イ記載のとおり,平成5年度から平成9年度に おいて実際にコピーしていないのに複写機リース会社に水増しして複写機使用料合計6億4433万6000円(平成7年度1年間で2億2412万4000円,平成7年度を除く平成5年度から平成9年度までの4年間合計で4億4021万2000円)を支払っており,同額が上記違法支出による県の損害である。 〔被告ら〕原告らの主張は争う。 ( )損害の填補ないし損益相殺 〔被告ら〕ア仮に,預け金の発生時点において県に損害が発生したと評価されるとしても,原告ら請求の損害額については,①本訴提起に至るまでに,県の複写機使用料,備品購入費用等に用いられ,②前記争いのない事実等( )記載のとお 金の発生時点において県に損害が発生したと評価されるとしても,原告ら請求の損害額については,①本訴提起に至るまでに,県の複写機使用料,備品購入費用等に用いられ,②前記争いのない事実等( )記載のとおり,本件複写機リース会社よ り預け金の清算を受けたことにより,その全額の損害の填補ないしは損益相殺がされたものである。 イ住民訴訟の対象となる違法な財務会計上の行為による損害に関しても,相当因果関係が認められる限り,損益相殺(損益相殺後にはじめて損害の数額が確定することから,この損益相殺はいわゆる損害の填補と同機能のものと解される)を行うことが許容。 されている(最高裁判所平成6年12月20日判決・民集48巻8号1676頁参照。 )本件では,預け金の発生がなければ,預け金の利用による支出,預け金の清算による本件複写機リース会社との間の金銭の授受は存在しない。したがって,預け金の発生とその費消,清算との間には「あれなければこれなし」という自然的因果関係(条件関- 13 -係)が存在することは明らかである。 本件複写機リース会社により清算された金銭については,金銭としての受領であることから,これが県に経済的利益をもたらすものであることに疑問の余地はない。 また,預け金の費消については,いずれも県に対する物品の納入や複写機使用料等の債務の返済に充てられており,これらは一般的に見て地方公共団体である県の活動に必要なものであり,預け金の費消によりこれらの物品を取得し,又は複写機使用料の支払を免れることができたのであれば,県は通常の業務に伴う必要経費を免れることができたということができ,預け金の原資は,原告らが指摘する水増しされた複写機使用料であることから,預け金の発生と県の受けた経済的利益との間には,社会通念上相当の因果関係が存在する。 ウなお,預 ができたということができ,預け金の原資は,原告らが指摘する水増しされた複写機使用料であることから,預け金の発生と県の受けた経済的利益との間には,社会通念上相当の因果関係が存在する。 ウなお,預け金の使途については,本件複写機リース会社の商品,複写機使用料以外には用いられておらず,県のために用いられ,私的流用が存在しないことは,平成10年度の調査で明らかとなっているところであり,調査から時間が経過し,調査において用いられた資料は散逸し,現存する一部しか証拠として提出できないが,その提出した資料を検討したところ上記調査結果は正確であり,上記調査全体について正確性が基礎づけられたといえる。 エ国への返還金分の金額について損害の填補が成立しないとの原告らの主張は争う。 原告らの請求する損害は預け金の支出額そのものである。そして,上記のとお,,,,り預け金の支出額と同額の金銭が本件においては県のために用いられたことにより県の損害は填補され又は損益相殺されて消滅している。このことは,国への返還義務があるかないかにかかわらない。 ,,ところで原告らは被告Aに対する加算金納付額相当の損害賠償請求権につき本訴において,これを正面から請求することはせず,かかる損害賠償請求権が存在することから,県が複写機リース会社から受けた利益についての損益相殺を否定すべき旨主張するが,原告らのかかる主張を認めることは,①原告らの当初の請求原因に基づく損害が損益相殺により消滅すべき場合に,原告被告間の他の事実を請求原因とする別途の損害を請求することで,当初の請求原因の損害の範囲内であれば新たな請求がいくらでも可能となってしまうが,かかる行為は被告らの防御権を著しく侵害すること,②本来訴えの提起によるべき事項につき,損益相殺を否定するという方法により解決を図 因の損害の範囲内であれば新たな請求がいくらでも可能となってしまうが,かかる行為は被告らの防御権を著しく侵害すること,②本来訴えの提起によるべき事項につき,損益相殺を否定するという方法により解決を図ることは,被告から時効の利益を奪うこと,③住民訴訟においては,監査請求前置,出訴期間の要件の潜脱が,,。 容易にされてしまうことなど重大な問題を生じさせるものであって到底容認できないオ遅延損害金に関する原告らの主張については,そもそも原告らの請求における遅延損害金は,本訴状送達の日の翌日から支払済みまでの金銭の支払を求めるものにすぎない。 〔原告ら〕ア原告らの主張する「損害」と被告らの主張する「損害の填補」との間には相当因果関係がない。 すなわち,地方公共団体においては,公務遂行上の経費については,その目的を達成するために必要かつ最少の限度をこえてこれを支出してはならず(地方財政法4条- 14 -1項,予算に計上して議会の議決を経ることを要し,その予算の執行はその定められた)目的に従って行われることが原則であり,予算の各款及び各項の間の流用は原則として許されない(法220条2項)とされ,経費の支出についても財務会計法規に従ってされることが要求されており,そのような厳格な規制によって,地方財政の健全性を確保していること,虚偽架空の事実に基づいて会計処理を行っても,それで得た金銭を公務遂行上の経費に充てれば損害がないと解することができるとすればこれらを容易に潜脱できることとなってしまい,地方財政の健全性の確保の要請から真っ向から反することになり不当であることから,仮に,本件公金支出によって県が公務遂行上の経費の支出を免れたとしても,本件公金支出との間に相当因果関係があると認めることはできない(福井地方裁判所平成18年12月27日判決参 不当であることから,仮に,本件公金支出によって県が公務遂行上の経費の支出を免れたとしても,本件公金支出との間に相当因果関係があると認めることはできない(福井地方裁判所平成18年12月27日判決参照。 )イ万一「損害の填補」が一部でも認められる場合であっても,県が本件公金支,出により国に補助金2億6097万6000円を返還した分については「損害の填補」,になっていない。すなわち,架空の複写機使用料を複写機リース会社に支出したことによって直ちに架空の複写機使用料分の損害が発生した。そのような支出は当然違法であり,その支出の原資が国庫補助金であれば,その支出分及び加算金はいずれ補助金適正化法等により国に返還しなければならなくなるものである(その因果の流れは相当因果関係にあるものである。そうであるとすれば,その返還された国庫補助金及び加算金分の損害。)は填補されることはない。 ,,仮に上記国庫補助金分を返還しても損害は填補されていると考えるとしても加算金分である6394万1823円は損害の填補が結局できていないから,損害として残存する。加算金分を国に返還してしまえば,その分が相当因果の流れの中で県に利益として填補されなかったことに帰する上に,違法支出(水増し複写機使用料の支出)さえしなければ,県はすぐに国に返還したであろうから加算金を求められることもなかったのである。 ウ被告ら提出の資料(書証)は,ほとんどが保存されておらず,ほんの一部のみの資料であり,しかも,信用性を欠くものであるから,全体について「適切な流用(損」害の填補)があったとの立証ができているとはいえない。なお,原告らの一部が所属している市民オンブズマンは,本件公金支出の存在の判明時(本件訴訟の当初から,流用実)態の解明及び裏帳簿を含む根拠資料の提出の要求をし ったとの立証ができているとはいえない。なお,原告らの一部が所属している市民オンブズマンは,本件公金支出の存在の判明時(本件訴訟の当初から,流用実)態の解明及び裏帳簿を含む根拠資料の提出の要求をしており,その資料の保存の不可欠性を県は当然認識していた。しかるに,県は,適切な保存措置を取らず,資料の大半を散逸又は廃棄させたものである。 エ仮に,水増しの複写機使用料を原資とする「預け金」で県の事務の関連で備品を購入したりしていたとしても,チェック体制のない無責任流用体制の中では,無駄遣い等は最低2割発生する。その無駄遣い分は「県の利益となり損害を填補する」とはいえないものである。 オ水増し複写機使用料の支出自体が不法行為であり,県は,被告Aに対して水増し複写機使用料の支出額及びこれに対する支出時から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金請求権を有するから,被告ら主張の「損害の填補」は,まず遅延損害金から充当されるべきである。 ( )被告知事に対する怠る事実の確認の利益ないし事実の有無 - 15 -〔原告ら〕ア県は,本件の違法支出により複写機リース会社に支払う必要のない架空の複写機使用料6億4433万6000円(平成7年度分として2億2412万4000円(4号事件,平成5年度~平成9年度分(ただし,平成7年度分を除く)として4億20)。 21万2000円(1号事件)について,本件複写機リース会社に対しては,不当利得),,返還請求権を有し違法支出について違法に監督権限を行使しなかった被告Aに対しては損害賠償請求権を有する。 しかるに,被告知事は公金支出に関する最高責任者として権限があるのに,上記不当利得返還請求権及び損害賠償請求権を行使しないから,被告知事による上記請求権の不行使は「財産の管理を怠る事実」に該当す 。 しかるに,被告知事は公金支出に関する最高責任者として権限があるのに,上記不当利得返還請求権及び損害賠償請求権を行使しないから,被告知事による上記請求権の不行使は「財産の管理を怠る事実」に該当する。 イなお,住民である原告らが被告Aに対する損害賠償請求権を代位行使しても,被告知事の被告Aに対する損害賠償請求をすべき義務が消滅するものではないから,怠る事実の確認の利益がある。 〔被告ら〕ア否認ないし争う。 イ本件複写機リース会社に対する不当利得返還請求権については,複写機リース会社との間で既に預け金の清算がされており,不当利得返還請求権は消滅しているから,確認の利益を欠く。 ウ被告Aに対する損害賠償請求権については,被告Aに対する賠償義務が否定された場合はもとより,万が一被告Aの賠償義務が肯定された場合においても,既に権利自体が代位行使されていることから,3号請求の確認の利益に欠ける。 第3当裁判所の判断 認定事実(,,,,,前記争いのない事実等並びに証拠甲13の15の~ 23,4号事件乙4の,同乙25の,同乙29の~,同乙35の~5,1号事 件乙10の,同乙28の,同乙32の~,同乙39の~5,乙A35,36, 41,55,証人E,証人F,証人G,証人H,証人I,被告A本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ( )被告Aの経歴・職務内容 ア被告A(大正14年9月17日生)の経歴は,以下のとおりである。 (ア)昭和22年杵島地方事務所農地課農地改革関係の職務に従事。 (イ)昭和23年~昭和25年同税務課(ウ)昭和26年唐津県税事務所間税課徴税関係の職務に従事。 (エ)昭和27年~昭和 ア)昭和22年杵島地方事務所農地課農地改革関係の職務に従事。 (イ)昭和23年~昭和25年同税務課(ウ)昭和26年唐津県税事務所間税課徴税関係の職務に従事。 (エ)昭和27年~昭和32年会計課用度係物品購入関係の職務に従事。 (オ)昭和33年,昭和34年商工課企業係(カ)昭和35年,昭和36年商工観光課企業係(キ)昭和37年~昭和39年工鉱課工業振興係長- 16 -(ク)昭和40年,昭和41年工鉱課工業開発係長企業誘致関係の職務に従事。 具体的には,佐賀東部の工場誘致(コカコーラ社,ブリジストン,フランスベッド等,九州工業技術研究所,唐津火力発電所,伊万里)造船合板工場誘致等,県下の各種企業誘致の実働部隊として,用地買収等の業務に従事していた。 (ケ)昭和41年~昭和43年工鉱課課長補佐(コ)昭和44年,昭和45年工鉱通商課課長補佐上記と同様に,課長補佐として企業誘致等の職務に従事した。 (サ)昭和46年秘書課長知事の日常義務の補佐を行っていた。 (シ)昭和47年,昭和48年漁港課長唐津地方の港湾(漁港)整備の責任者(ス)昭和49年総務課長(セ)昭和50年経済部次長(ソ)昭和51年~昭和55年総務部次長(タ)昭和55年~昭和58年総務部長各部の総括者としての職務に従事。なお,上記職務の外に知事の補佐役としても活動していた。 (チ)昭和58年~平成2年副知事(ツ)平成3年~平成15年知事イ被告Aは,昭和22年に就職して以来県職員として勤務し,平成3年に知事に就任し,平成15年に退任するまで,知事時代を含め56年間県庁に勤務していたものである。 もっとも,被告Aは,工鉱課(工鉱通商課)等公共事業の多い部署の役職を歴任しているものの,庶務係に配属され に就任し,平成15年に退任するまで,知事時代を含め56年間県庁に勤務していたものである。 もっとも,被告Aは,工鉱課(工鉱通商課)等公共事業の多い部署の役職を歴任しているものの,庶務係に配属されたことや庶務業務を担当したことはなく,複写機使用料を含む需用費の管理をしたことはなかった。 ウなお,需用費の支出については,課長が最終的な決裁権者であるが,実質的には庶務係(責任者は庶務係長)が行っていた。 そして,前記のとおり,課長が最終的な決裁権者であり,課長職を超える役職の者が通常の業務において需用費の支出に関わることはなく,知事についても,同様に,通常の業務において需用費の支出に関わることはなかった。 加えて,知事は,その通常の業務内容からして,庁内の備品の配備状況について十分に認識できるものではなかった。 ( )いわゆるゼロ精算について 「ゼロ精算」とは,予算は,基本的に単年度精算のため,これを使い切れずに余らせると,次年度の予算要求の際に厳しく査定されたりするため,予算を使い切ることである。 このような「ゼロ精算」の発想は,平成年代の初めころまでは,国家公務員,地- 17 -方公務員を含め,公務員全体のいわば常識的な考え方であり,それほど罪悪感を持つことなく実行されていた。 とりわけ,補助金事業を含めた公共事業の場合は,予算が余り,補助金を返還するような事態に至ると,翌年度以降,補助金自体が減額されることになり,予算編成に深刻な影響を及ぼすため,より一層「ゼロ精算」を徹底する必要があった。 ,したがって,県においても,長年,予算を使い切るゼロ精算が全庁的に行われ,いわば庁内の常識となっていたといえる。 なお,事業課において,複写機使用料や食糧費を含む需用費について,事業課以外の部署よりも使い切れない予算が多く発生する理由は,事業 るゼロ精算が全庁的に行われ,いわば庁内の常識となっていたといえる。 なお,事業課において,複写機使用料や食糧費を含む需用費について,事業課以外の部署よりも使い切れない予算が多く発生する理由は,事業本体の事業費に対して,需用費を含む「事務費」が個別の積み上げ方式で予算化されるのではなく,類型的に「事業費の●%」というように形式的に金額が決まるようにされていたからである。 そして,大きな金額の需用費が余るようになると,多少の努力をしたところで,これを費消することは困難となるから,本来は,費消していないのに,費消したかのように装う必要に迫られることになり,本件の複写機使用料のような形式で水増し支出を生む背景となりやすく,一旦,水増し支出されると,庁内において,本来存在してはならない金,すなわち「裏金」として管理せざるを得なくなるのである。 県においても,需用費支出の担当者である庶務係ではない一般職員ですら,事業家においては,他の機関に予算の「預け金」があるとか,他課への予算の「融通」があるといううわさを聞いていた。 ( )本件公金支出について ア本件公金支出は,これが発覚した平成10年の時点から見て,少なくとも10数年前から慣行的に行われてきたものであった。 イ本件調査報告書の「部局」の区分けによれば「総務部「企画局「福祉保健,」」部・生活環境部「商工労働部「農林部「水産局「土木部「教育委員会「各種委員」」」」」」会等」のすべての部局において,本件公金支出は行われていた。そして,本件公金支出により生じた水増し分の使途については「部「課」を超えた流用も行われていた。 ,」ウ本件公金支出額は,前記争いのない事実等( )イ記載のとおりであり,平成5 年度から平成9年度の通算で6億4433万6000円,単年度では,もっとも 部「課」を超えた流用も行われていた。 ,」ウ本件公金支出額は,前記争いのない事実等( )イ記載のとおりであり,平成5 年度から平成9年度の通算で6億4433万6000円,単年度では,もっとも多い平成7年度が2億2412万4000円であった。 なお,当時の県の予算の規模は5000億円くらいであった。 エ本件公金支出は,各課の庶務の担当者が,複写機リース会社の担当者に対し,水増し分を含む請求額を指示して,その金額の請求書を出させ,それに応じた支出命令を起案し,所定の手続を経て支出するという手法で行われていた。 本件公金支出の目的は,予算のゼロ精算ということにあった。すなわち,事務費が余った場合に,複写機使用料を調整して(水増しして,複写機使用料として使い切)ったことにしていたのである。 なお,本件複写機使用料に支出に関しては,佐賀地方検察庁による捜査も行われているが,同捜査も含め,本件公金支出を指揮した統括部署,統括者が存在する旨の指摘がされたことはない。 オ市民オンブズマンが,複写機使用料の問題を指摘するようになったのは平成9- 18 -年9月以降のことである(なお,被告Aは,平成10年3月4日に,複写機使用料の実態調査を指示し,同調査が行われた,が,それ以前に,複写機使用料の不正支出に関し。)て,県の監督部署からの報告はなく,また,内部告発や監査請求もなかったし,マスコミが取り上げたこともなかった。また,自治省から,具体的に「複写機使用料」の支出に関して通達が出されたことはなかった。 ( )旅費問題等について ア平成5年ころから,各新聞は,多くの普通地方公共団体において,架空の出張旅費の不正等不適正な公金の支出があるという記事を掲載し,それは平成8年12月中旬ころまでには,宮城県,北海道,秋田県,徳島県,鹿児島県,愛 から,各新聞は,多くの普通地方公共団体において,架空の出張旅費の不正等不適正な公金の支出があるという記事を掲載し,それは平成8年12月中旬ころまでには,宮城県,北海道,秋田県,徳島県,鹿児島県,愛知県,三重県,福岡県,群馬県,東京都,新潟県,岡山県,高知県,福島県,青森県,山形県,埼玉県,長野県,石川県,大阪府,和歌山県,静岡県などに及んでおり,部局ぐるみで旅費の不正支出が常態化していたという記事や不正をチェックすべき監査委員が架空の旅費支出等の不正な公金の支出をしていたという記事も相当数あった。 イ北海道については,平成7年12月28日には,不正をチェックすべき監査委員事務局においても架空の接待費の支出が行われていたことが報じられ,平成8年2月7日には内部調査の結果,不正な公金の支出が総額約19億0800万円に上ることが判明したと報じられ,同月24日には北海道監査委員が「不正が常態化していた状況に照らせば,知事と出納帳には指揮監督上の過失責任があると考えることができる」と指摘した旨報じられた。 ウ三重県については,平成8年5月19日,阪神淡路大震災のあった平成7年1月17日に監査委員が神戸を経由して新幹線で佐賀に出張したことなどについて架空の旅費支出との疑いがあるとして三重市民オンブズマンが知事と監査委員に近く公開質問状を提出することに対して,監査委員事務局長が「単なる記載ミス」にすぎないと発言したことが報じられ,平成8年5月30日には,出張先の佐賀県に対する調査で架空の旅費支出であることが濃厚になったとの指摘に対しても,監査委員事務局長が不正がないものと信じている旨発言したことが報じられたが,同年9月には,三重県知事が命じた全庁的な調査の結果,三重県職員の旅費の不正支出等により捻出された裏金の総額が約11億6600万円に上り,三 不正がないものと信じている旨発言したことが報じられたが,同年9月には,三重県知事が命じた全庁的な調査の結果,三重県職員の旅費の不正支出等により捻出された裏金の総額が約11億6600万円に上り,三重県知事が,裏金作りが全庁的に組織ぐるみで行われていた事実を認めたことが報じられた。 エ群馬県については,平成8年11月12日,同年7月に全国市民オンブズマン連絡会議から全庁的な調査な調査を行うよう申入れがあったのを機に,関係係長らで構成する専門の検討委員会を設置し,平成6年度に執行された約60万件,総額約32億円の旅費について旅行命令と復命書,会議資料党を照合して調査したところ,3億6700万円の旅費の不正支出が半滅した旨報じられた。 オ内閣総理大臣の諮問機関である地方制度調査会の専門小委員会は,平成8年4月16日,地方自治体への「外部監査制度」の導入などの提言を盛り込んだ報告書を同調査会総会に提出し,その報告書は,架空の出張旅費の支出等自治体の公費の不正支出への批判を背景に「身内に甘い」と指摘される現行監査制度の改善と外部監査の導入で行政,チェック機能の強化を求めており,そのことは,同月17日に新聞で報じられた。 カ市民オンブズマン全国連絡会議は,平成8年7月27日,全国37都道府県の- 19 -監査委員や監査委員事務局職員らによる平成6年の管外出張を総点検したところ,27都道府県において,架空の出張旅費の支出や旅費を水増しして請求したケースが318件あった旨公表した。 キ自治事務次官から各都道府県知事及び各政令指定都市市長に対し,平成8年12月19日付けで「最近,地方公共団体の一部において,旅費,食糧費等の不適正な執,行が問題となっていることについては,国民の間に地方公務員への不信感を惹起させ,ひいては行政に対する信頼を損ないか 2月19日付けで「最近,地方公共団体の一部において,旅費,食糧費等の不適正な執,行が問題となっていることについては,国民の間に地方公務員への不信感を惹起させ,ひいては行政に対する信頼を損ないかねないものであるので,各地方公共団体においては,公務員倫理の確立と厳正なる予算の執行を図られるよう特に留意されたい」と記載された事務次官通知が発せられた。 ( )食糧費問題等について ア宮城県の市民オンブズマンの情報公開請求に端を発した食糧費問題(官官接「待」問題)については,平成7年4月に,全国の市民オンブズマンが全国一斉に情報公開請求を行い,同年7月に,その集計結果が発表され,この問題が全国的に問題化されようになった。 そして,同年8月15日には,自治省が,都道府県知事に対し,上記の官官接待問題に関して「自治体の行政運営と予算執行の適正化」を求める旨の自治事務次官名,の通達を出した。 なお,同年12月16日には,会計検査院が,秋田県,茨城県,大阪府,島根県,沖縄県の食糧費支出を検査したところ「農水「建設「運輸」の3省の補助金を,」,」,使った食糧費約7億1300万円のうち,4億6100万円は接待相手や使途がはっきりしないとの指摘をした旨の記事が掲載された。 イ県は,平成7年8月17日,上記自治事務次官通達の趣旨徹底を指示した。 また,県は,同年10月30日,総務部長を委員長とする「食糧費節減対策委員会」を設置したほか,食糧費等に関して,別紙「食糧費等適正執行に関する対策」記載の対策を行った。 もっとも,食糧費の全庁的な実態調査は行われなかった。 ウまた,上記の全国一斉の情報公開請求は県においても行われたが,その請求及びその後の経緯は,以下のとおりである。 (ア)平成7年4月25日東京事務所・秘書課・財産課分開示請求( われなかった。 ウまた,上記の全国一斉の情報公開請求は県においても行われたが,その請求及びその後の経緯は,以下のとおりである。 (ア)平成7年4月25日東京事務所・秘書課・財産課分開示請求(イ)平成8年10月15日監理課分開示請求(ウ)平成7年5月24日東京事務所・秘書課・財産課分部分開示決定(エ)平成8年11月13日監理課分部分開示決定(オ)平成9年3月9日地方裁判所提訴(カ)平成10年3月27日地方裁判所判決(キ)平成10年4月9日高等裁判所への控訴(ク)平成11年6月4日高等裁判所判決(ケ)平成11年6月18日最高裁判所への上告(コ)平成16年4月8日最高裁判所判決,「(,,なお上記の経緯の中で作成された食糧費関係公文書東京事務所秘書課財政課分)を開示することの問題点について」で始まる書面には,要旨,次のような記載- 20 -がある。 すなわち「実態と異なる,事実どおりでない支出「職員間の飲食費用等」,」の各件数を挙げた上で,開示することにより,このような実態が公となる可能性があるとし,実態についての具体例も挙げられている。そして上記に続けて,これらの事実の一部が公となった場合に,県民やマスコミ等からの県へ批判とともに,全庁的に事実究明のための調査等の実施を求められる可能性が高く,この調査の結果,全庁的に適正でないものの存在が明らかとなり,職員による金銭の返還,関係者処分ということになるおそれがあると指摘し,全面開示した宮城県で生じた問題点も考慮の上「従って,当初以上の開示,は困難であり,いずれにしても,全面開示する以外は,オンブズマンからの訴訟提起は避けられないことから,今回は,異議申し立てを棄却し,訴訟の場において県の立場を主張していきたい「なお,過去 開示,は困難であり,いずれにしても,全面開示する以外は,オンブズマンからの訴訟提起は避けられないことから,今回は,異議申し立てを棄却し,訴訟の場において県の立場を主張していきたい「なお,過去のものについては開示できないが,将来に向けては条例等。」,。」。 を改正することにより情報公開への要請に応えていくこととしたいと結ばれているなお,上記異議申立ての棄却がされたのは平成9年2月20日のことである。 県の食糧費等の問題については,結局,平成16年6月10日に設置された食,,糧費等調査委員会の調査により食糧費について支出負担行為と実態が異なるなど不適正不適切な事務処理が数多く行われていたことが判明している。 なお,上記委員会作成の報告書には,食糧費の実態の個別の状況の調査結果の1つとして「預け】単年度予算主義であるため,国等からの補助金はもとより,当該,【年度の予算は年度内に使い切ることが慣例化していた。このため,架空の支出負担行為に基づきいわゆる店舗等への「預け(予算を使い切るため,将来の利用を見越して先に支」払うこと)が行われていた」と記載されている。また,上記調査では消耗品費の調査。 。 も行われているが,その調査結果として,年度末に予算消化及び事業費精算のための大量購入が行われていた旨記載されている。そして,同報告書は,原因・背景の1つとして,予算を年度内に使い切るということがあったと分析している。 ( )本件公金支出の発覚後の事情 ア被告Aは,記者会見において,本件公金支出問題に関して「予算を)持っ,(たところが,持たないところにいくらか回しているというのは県が再建団体だったころだってあったのではないか」との認識を示していた(なお,県が再建団体だったのは昭和30年から昭和38年までのことである。 。) が,持たないところにいくらか回しているというのは県が再建団体だったころだってあったのではないか」との認識を示していた(なお,県が再建団体だったのは昭和30年から昭和38年までのことである。 。)イまた,当時の総務部長が,本件公金支出問題に関して「県の財政規模がぜい,弱なため,公共事業をする部署が事務費予算の少ない部署を補って,一般財源の持ち出しを抑えたかった」旨の話をしたと新聞記事に記載されている。 ウ県は,本件公金支出問題に関して,県知事である被告Aの減給,三役らの給料の一部返上,幹部職員に対する文書訓告の各処分を行ったが,本件公金支出に関与した職員に対する処分等は行っていない。 エ本件については,市民オンブズマンの刑事告発を受け,佐賀地方検察庁が捜査したが,被告Aについては嫌疑なしとして不起訴処分に,また,関与したとされる県職員についても不起訴処分(起訴猶予)となった。 本件公金支出の違法性(争点( ))について ( )地方公共団体の財務会計の処理は,法,地方財政法,地方自治体の財務に関す - 21 -る条例,規則等に従って適正に処理されなければならない。法は,232条以下に支出に関する定めを設け,地方公共団体の財政の運営に関する基本原則を定めた地方財政法は,予算の執行について,その目的を達成するための必要かつ最小の限度を超えて支出してはならないと定め(同法4条,県も佐賀県財務規則により,支出に関する細則を定めてい)る(4号事件乙5,1号事件乙5。このように関連法令によって,地方公共団体の支出)負担行為,これに続く支出命令,支出行為は,予算の範囲内において,正確,厳正,公正に処理されることが求められているのであって,真実に合致した会計処理をすべきことがその前提とされているといえる。 したがって,上記のような会 出命令,支出行為は,予算の範囲内において,正確,厳正,公正に処理されることが求められているのであって,真実に合致した会計処理をすべきことがその前提とされているといえる。 したがって,上記のような会計の基本原則に反し,虚偽架空の事実に基づいて会計処理が行われ,公金が支出された場合,かかる公金の支出手続は,それだけで当然に違法であり,かかる違法な公金支出がされた場合には,上記公金支出にかかる金員に相当する損害が,公金支出をした地方公共団体に直ちに生じたものといわなければならない。 ( )これを本件についてみると,本件公金支出は,前記争いのない事実等( )イ記載 のとおり,水増しされたもの,すなわち,複写機リース契約上県が支払義務を負わないにもかかわらず,複写機使用料名下に支出されたものであり,虚偽架空の事実に基づく会計処理であることは明らかである。 したがって,本件公金支出は違法である。 被告Aの責任(争点( ))について ( )前記争いのない事実等( )記載のとおり,佐賀県財務規則(平成8年規則第18 条(4号事件乙5,1号事件乙5)は,需用費(複写機使用料もこれに含まれる)の)。 うち食糧費以外の費用の支出負担行為及びこれに伴う支出命令,物品の取得及び処分並びにこれらに伴う出納通知は本庁等の各課の長等に委任する旨規定している(同規則3条,同別表第1。なお,食糧費については,30万円以上は部長に,30万円未満は他の需)用費と同様本庁等の各課の長等に委任されていた。 したがって,本件の違法な複写機使用料の支出(本件公金支出)は,課長等に委任されていたことになる。 ( )ところで,財務会計上の行為を行う権限を委任した場合において,受任者が財 務会計上の違法行為を行ったときは,長は,受任者が財務会計上の違法行為をすること 課長等に委任されていたことになる。 ( )ところで,財務会計上の行為を行う権限を委任した場合において,受任者が財 務会計上の違法行為を行ったときは,長は,受任者が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により受任者が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったときに限り,自らも財務会計上の違法行為を行ったものとして,普通地方公共団体に対し,上記違法行為により当該普通地方公共団体が被った損害につき賠償責任を負うものと解するのが相当である(最高裁判所平成5年2月16日第三小法廷判決・民集47巻3号1687頁参照,なお専決処理の場合につき,最高裁判所平成3年12月20日第二小法廷判決・民集45巻9号1455頁参照。 )( )そこで,当時の県知事であった被告Aが,故意又は過失により,受任者である 上記課長等の違法な複写機使用料の支出(本件公金支出)を阻止すべき指揮監督上の義務に違反していたといえるかについて検討する。 ア平成8年度より前について(ア)前記認定のとおり,被告Aは,平成3年に県知事に就任するまでも一貫して県職員として経歴を有するものであり,しかも,本件で問題となる事業費を多く扱う部- 22 -署の役職を歴任しているが,被告A本人が本件公金支出(預け金)の存在について知らなかったと供述しているところ,被告Aは,複写機使用料を含む需用費の支出を担当する庶務係に配属されたことや庶務業務を担当したことはなく,もちろん需用費の管理をしたこともない。また,被告Aは,需用費の決裁を行う課長,課長補佐も務めているが,被告Aが課長,課長補佐の職を務めていた時期からすると,そもそも本件のような形式の複写機使用料の支出(預け金)が行われていたとは考え難い(本件公金支出は平成10年時点からみて10数 も務めているが,被告Aが課長,課長補佐の職を務めていた時期からすると,そもそも本件のような形式の複写機使用料の支出(預け金)が行われていたとは考え難い(本件公金支出は平成10年時点からみて10数年前から慣行的に行われていたものであるのに対し,被告Aが最後に課長職にあったのは昭和49年である。そして,課長職を超える役職の者が,通常の業務に。)おいて需用費の支出に関わることはなかったのであるから,被告Aが次長,部長の職に就いた後に,本件公金支出(預け金)の存在を知ったとも考え難い。 ,,,,,「」(イ)そして本件公金支出は前記認定のとおり全部局で行われまた部「課」を超えた流用も行われており,全庁的であると評価できるが,このような支出や預け金の統括部署,統括者の存在はうかがわれない。むしろ,本件公金支出の目的が予算のゼロ精算にあることからすれば,需用費を実際に扱う庶務係(担当者)の考え出した手法が引き継がれたものであると考える方が自然である。 この点,県と本件複写機リース会社の間で,このような「預け金」が始まった経緯が明らかではなく,庶務係の担当者限りで始めたというのも一見不自然な感はあるが,食糧費等について調査した食糧費等調査結果報告書(甲20)を見ても,チェック体制の甘さの指摘はあるものの,組織的に行われていたとの指摘はなく,食糧費,消耗品費の不適切な支出については,担当者レベルで行われていたとみられることからすると,同じ需用費である複写機使用料だけ別であったと考える方がむしろ不自然であるというべきである。 (ウ)以上によれば,被告Aの経歴や本件公金支出が全庁的に行われていたということのみから直ちに,同被告が本件公金支出(預け金)の存在を知っていたとか,一般的抽象的にではなく,具体的に知り得たということはできず,被告 ば,被告Aの経歴や本件公金支出が全庁的に行われていたということのみから直ちに,同被告が本件公金支出(預け金)の存在を知っていたとか,一般的抽象的にではなく,具体的に知り得たということはできず,被告Aが,後記の食糧費問題が浮上する前から,本件公金支出(預け金)の存在を知っていたとは認めることはできない。 (エ)なお,本件公金支出発覚後の事情のうち,記者会見において被告Aが示し,,た認識についてはその示した認識自体必ずしも本件公金支出に直結するものとはいえずまた,被告A本人も,かかる認識は財政再建団体当時の経験から考えたものである旨供述しているところであり,被告Aが本件公金支出(預け金)の存在を認識していたことを的確に示すものではない。 また,当時の総務部長の新聞記事記載の話については,これが直ちに知事の認識を示すものではないし,そもそも正確に要約されているか検証できない新聞記事記載のコメントのみをもって,知事を含む県の幹部職員が本件公金支出(預け金)を容認していたと推認することには無理がある。 そして,県は,本件に関して,前記認定のとおり,担当者の処分を行わず,知事の減給を含む三役や幹部職員に対する処分を行っているが,これは,知事らが政治的責任を果たせば足り,個々の職員に対する責任まで追及する必要はないと判断した結果であるとも説明できるものであり,このような処分がされたからといって,被告Aが本件公- 23 -金支出(預け金)を容認していたとしかいえないというものではない。 イ平成8年度以後について(ア)被告Aが知事に就任した後についても,知事の通常の業務において需用費の支出に関わることはないのであるから,知事になったからといって,直ちに本件公金支出(預け金)の存在を具体的に認識し得たというのは困難である。 (イ)そして,平成9 ,知事の通常の業務において需用費の支出に関わることはないのであるから,知事になったからといって,直ちに本件公金支出(預け金)の存在を具体的に認識し得たというのは困難である。 (イ)そして,平成9年9月に市民オンブズマンが複写機使用料に関する指摘を始める以前においては,複写機使用料の不正支出に関して,県の監督部署を始め,内部告発や監査請求もなく,マスコミが取り上げたこともなかったし,また,食糧費や旅費とは異なり,自治省から,具体的に「複写機使用料」の支出に関して通達が出されたこともなかったものであり,直接的には複写機使用料の不正支出を疑うべき事情はなかったといえる。 (ウ)しかしながら,前記認定のとおり,平成5年ころから,各新聞は,多くの普通地方公共団体において,架空の出張旅費の不正等不適正な公金の支出があるという記事を掲載しており,これは平成8年12月中旬ころまでには,22都道府県に及んでいたこと,食糧費については,平成7年から全国的な問題となり,同年8月15日自治事務次官通知も出され,平成8年12月19日には,旅費,食糧費等の不適正な執行が問題となっているとして,再び自治事務次官通知が発せられている。 これらを受けて,食糧費については,県においても,平成7年9月に「食糧費の適正な執行について」と題する総務部長通知が出されたほか,同年10月に「食糧費節減対策委員会」が設置されるなどの数々の対策がとられており,食糧費の使途が問題となっていたことは,被告Aも認識していたものである。 そして,前記認定のとおり,県においても食糧費の不適正な支出が多数行われていたのであり,その内容としては,官官接待に関係する不適正な支出のみならず,本件公金支出と同じ「ゼロ精算」を目的とする「預け」も含まれていたものである。 ,,「」そもそも旅費や食糧費の われていたのであり,その内容としては,官官接待に関係する不適正な支出のみならず,本件公金支出と同じ「ゼロ精算」を目的とする「預け」も含まれていたものである。 ,,「」そもそも旅費や食糧費の不正支出あるいは不適正な支出自体ゼロ精算の発想と無縁ではあり得ないことは,公務員であれば,自明のことであり,当然,被告Aのようにたたき上げの自治体職員も熟知していたものと推認できる。すなわち,自治体職員は,予算の「ゼロ精算」をするために,本来必要な額以上に費消しようとしたり,実際には,出張していないのに,出張したかのように装って予算を消化するのである。 そうすると,旅費なり,食糧費の不正を真剣に是正しようとするならば,その一因である「ゼロ精算」をどのように是正するのかという問題を避けては通れないのであり,また全庁的に「ゼロ精算」がされている以上,旅費や食糧費のほかには「ゼロ精,算」をするために,架空の支出がされているものがないかどうか調査する必要があるとの考えに至るのもごく自然の成り行きである(現に,前記認定のとおり,うわさの程度ではあるものの,需用費の支出担当者である庶務係長ではない一般の県職員でも「預け金」の存在を知っていたのであり,被告Aも当然知っていたと推認できるのであるから,なおさらである。 。)被告らは,個別に複写機使用料の不正についての指摘がされなければ,被告,,Aの認識は困難であったかのような主張をしているが地方公共団体の長の担任事務には「予算を調製し,及びこれを執行すること」が含まれており(法149条2号,当然こ)- 24 -れは予算の「適正な」執行を指すものであるから,県においても「ゼロ精算」がされて,いることを熟知していたと推認できる被告Aとしては,旅費や食糧費の不適正な支出が指摘された時点で「ゼロ精算」目 -れは予算の「適正な」執行を指すものであるから,県においても「ゼロ精算」がされて,いることを熟知していたと推認できる被告Aとしては,旅費や食糧費の不適正な支出が指摘された時点で「ゼロ精算」目的の不正支出が食糧費以外の他の需用費についても行わ,れていることについて具体的に予見可能であったというべきであり,他の需用費についても「ゼロ精算」という観点からの不正支出がないかどうかについて当然に調査すべき義,務があったものというべきであって,被告Aが調査を指示すれば,本件のような大規模な不正は容易に判明したものといわなければならない。そもそも,本件のように全庁的に慣行として行われている不正こそは,最高責任者である知事自身が積極的に是正の指示を出さなければ是正されることはないのであるから,このような職務も知事のきわめて重要な職務なのであって,被告ら主張のような前提に立てば,本件公金支出のような不正は,市民オンブズマン等外部からの指摘がされない以上,是正の余地はないことになり,きわめて不合理な結果となる。 (エ)そして「食糧費関係公文書(東京事務所,秘書課,財政課分)を開示す,ることの問題点について」の記載(甲21)からすると,遅くとも情報公開請求に関する異議申立てが棄却された平成9年2月20日ころまでには,食糧費の不適正な支出の一部が判明していたと認められることから,被告Aにおいても,遅くとも平成9年2月20日ころまでには,食糧費の不適正な支出について認識することができたというべきである。 なお,被告A本人は,食糧費の不適正な支出があったことについて当時知らなかった旨供述しているが,食糧費等調査結果報告書(甲20)が指摘する社会状況から,,すればむしろ知事の方から積極的に報告を求めるなどすべきであったというべきであり上記供述を前提に いて当時知らなかった旨供述しているが,食糧費等調査結果報告書(甲20)が指摘する社会状況から,,すればむしろ知事の方から積極的に報告を求めるなどすべきであったというべきであり上記供述を前提にしても,上記判断は左右されない。 (オ)以上によれば,被告Aには,遅くとも平成9年2月20日ころには,食糧費の不適正な支出の実態に対する認識を契機として,需用費支出権限の受任者が「ゼロ精算」目的の不正支出を食糧費以外の他の需用費(ゼロ精算」の観点からすると,需用費「には複写機使用料も当然含まれることになるというべきである)について行っているこ。 とについて具体的な予見可能性があり,そのころには,上記受任者に対する指揮監督上の義務として,食糧費以外の他の需用費(複写機使用料を含む)について「ゼロ精算」。 ,という観点からの不正支出がないかどうかについて調査すべき義務があったと認めるのが相当である。 そして,上記の平成9年2月20日ころまでに,複写機使用料を含む食糧費以外の他の需用費について「ゼロ精算」という観点からの不正支出がないかどうかにつ,いて調査を命じていれば,同日以降に支出された平成8年度分の本件公金支出について阻止することができたと認めるのが相当である。 それにもかかわらず,被告Aは,平成9年9月以降市民オンブズマンから複写機使用料に関する指摘を受けて,平成10年3月4日に複写機使用料の実態調査を指示したにすぎず,平成9年2月20日から平成10年3月4日までの間は,上記の「ゼロ精算」という観点から需用費について不正支出がないかどうかについて調査を命じることはなかったのであるから,被告Aは,受任者が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,過失により受任者の財務会計上の違法行為を阻止することなく,自ら財務会 調査を命じることはなかったのであるから,被告Aは,受任者が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,過失により受任者の財務会計上の違法行為を阻止することなく,自ら財務会計上の違法行為を行ったものと評価できるというべきであり,県に対し- 25 -て損害賠償責任を負うことになるというべきである(そもそも,前記最高裁判所判例の注意義務違反の判断基準によっても,受任者が当該会計上の非違行為を行うことを阻止し得なかったことにつき長に軽過失があるときにも,長は損害賠償責任を負うものである。 。)( )まとめ 以上の次第で,被告Aは,平成9年2月20日から平成10年3月4日までの間,,()について過失により受任者である課長等の違法な複写機使用料の支出本件公金支出を阻止すべき指揮監督上の義務に違反したといえ,その限度で,被告Aは,県に対して不法行為による損害賠償責任を負うことになる。 県の損害(争点( ))について 前記のとおり,虚偽架空の複写機使用料が支出された時点で,違法行為は完結しているところ,上記違法行為による県の損害額は,県の平成5年度~平成9年度の本件公金支出の合計6億4433万6000円になるが,このうち,被告Aの不法行為と相当因果関係の認められる損害額は,平成8年度の本件公金支出の額1億1069万1000円のうち,平成9年2月20日以降に支出された額となるところ,具体的にいくらを損害額として扱うかは困難な問題であるが,証拠(乙C1)によれば,平成8年度の複写機使用料(本件公金支出に当たるもの,当たらないものの双方を含む)は,平成9年2月20日。 以前に約26%,同月21日以降に約74%支出されていると認められること,そして,本件公金支出は年度末に支払われる傾向にあると考えられること( ,当たらないものの双方を含む)は,平成9年2月20日。 以前に約26%,同月21日以降に約74%支出されていると認められること,そして,本件公金支出は年度末に支払われる傾向にあると考えられること(なお,年度末は出納整理期間(法235条の)を考慮すれば,翌年の5月末,すなわち,平成9年5月末とな る)を考慮し,民訴法248条の趣旨を類推して,平成8年度の本件公金支出の額の8。 割が平成9年2月20日以降に支出されたと認めるのが相当と認める。 したがって,平成8年度の本件公金支出の額1億1069万1000円の8割にあたる8855万2800円が被告Aの不法行為と相当因果関係の認められる損害額となる。 損害の填補ないし損益相殺(争点( ))について ( )ところで,法242条の第1項4号に基づく住民訴訟において住民が代位行 使する損害賠償請求権は,民法その他の私法上の損害賠償請求権と異なるところはないというべきであるから,損害の有無,その額については,損益相殺が問題になる場合はこれを行った上で確定すべきものであり,財務会計上の行為により普通地方公共団体に損害が生じたとしても,他方,上記行為の結果,その地方公共団体が利益を得,あるいは支出を免れることによって利得をしている場合,損益相殺の可否については,両者の間に相当因果関係があると認められる限りは,これを行うことができるものと解される(最高裁判所平成6年12月20日第三小法廷判決・民集48巻8号1676頁参照。 )そして,被告らは,①発覚後の本件複写機リース会社からの返還額,②虚偽架空の複写機使用料として支出された金員によって購入されたコピー用紙や事務用品等の代金額について,上記の意味での損益相殺がされるべきであると主張しているが,本件公金支出は,虚偽架空の複写機使用料として の複写機使用料として支出された金員によって購入されたコピー用紙や事務用品等の代金額について,上記の意味での損益相殺がされるべきであると主張しているが,本件公金支出は,虚偽架空の複写機使用料として支出されたものであり,これ自体には何らの対価もない上,本件公金支出と上記①②との間には,直接の因果関係はなく,相当因果関係も認めることはできないから,上記の意味での損益相殺を認める余地はない。 ( )しかしながら,発覚後に本件複写機リース会社が返還した金員については,ま - 26 -さに損害の填補に当たるというべきであるし,虚偽架空の複写機使用料として支出された金員によって購入されたコピー用紙や事務用品についても,これが真に県にとって有用かつ必要なものであれば,損害の代物弁済による填補と同視できるというべきである。 ( )前記争いのない事実等及び証拠(4号事件乙4の,1号事件乙10の,同乙 12の・,乙A37,乙C17)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められ る。 ア平成5年度から平成9年度までの本件公金支出(水増し分)の合計額は6億4433万6000円となり,これを単年度ごとにみると,平成5年度が1億3786万2000円,平成6年度が1億7234万9000円,平成7年度が2億2412万400,,()。 0円平成8年度が1億1069万1000円平成9年度が0円-69万円となるなお「預け金」の平成9年度末の残高は3億1670万1000円であり,,また,平成4年度末の残高は,2億7533万2000円であった。 イ(ア)平成10年8月20日,県は,D社との間で,平成10年5月末現在(平成9年度末)において,県がD社に対して支出した複写機使用料の残金(預け金)が2億1310万6024円であることを確認し イ(ア)平成10年8月20日,県は,D社との間で,平成10年5月末現在(平成9年度末)において,県がD社に対して支出した複写機使用料の残金(預け金)が2億1310万6024円であることを確認し,同月25日,D社は県に対し同金額を支払った。 (イ)平成10年8月20日,県は,C社との間で,平成10年5月末現在(平成9年度末)において,県がに対して支出した複写機使用料の残金(預け金)が1億0359万5726円であることを確認し,同月31日,C社は県に対し同金額を支払った。 (ウ)なお,上記支払額の合計額は3億1670万1750円となり,上記の平「」(,成9年度末の預け金の残高3億1670万1000円と符合する本件調査報告書は千円単位で記載されており,端数には差異が生じることになる。 。)ウ県は,平成11年3月31日までに,本件公金支出に関係する補助金等を返還した。内訳は以下のとおりである。 ()(ア)国に対して2億6038万8906円うち加算金6394万1823円(なお,予算額は2億6097万6000円であった)。 (イ)市町村に対して694万3778円(うち加算金138万9400円)()(,(ウ)団体に対して391万7081円うち加算金87万4300円なお(イ)(ウ)の合計の予算額は1086万9000円であった)。 ( )そこで,前記認定事実に基づいて,被告ら主張の損害の填補が認められるか否 かについて検討する。 アまず,前記認定のとおり,本件複写機リース会社から「預け金」の残高と符,合する3億1670万1000円(正確には,3億1670万1750円であるが,本訴請求は,本件調査報告書の数字をもとに行われているため,本件調査報告書の記載によることとする)が返還されているが,これは,前記のとおり 0万1000円(正確には,3億1670万1750円であるが,本訴請求は,本件調査報告書の数字をもとに行われているため,本件調査報告書の記載によることとする)が返還されているが,これは,前記のとおり,本件公金支出により生じた。 損害に対する損害の填補というべきであるから,上記3億1670万1000円については損害額から控除すべきものといえる。 この点,原告らは,前記認定のとおり,県が国等に対して加算金を含めて補助金を返還していることとの関係で,その返還額(特に加算金)について,損害の填補とならない旨主張している。 - 27 -しかしながら,補助金や加算金の返還相当額については,前記で認定した損害とは別個の損害であり,本訴において,原告らがこれを明示的に請求していない以上,県が一旦,損害の填補として受領した金員をその後,原告らが請求していない別個の損害の填補に充当したからといって,従前の本件複写機リース会社からの返還額が損害の填補と,。 しての性質を失うものでないことは明らかであるから原告らの上記主張は採用できないもっとも,その充当に当たっては,法定充当の趣旨からしても,古い年度から充当していくのが相当であると解されるところ,平成5年度から平成7年度までの本件公金支出額(水増し分)の合計額は5億3433万5000円となり,上記3億1670万1000円を控除しても,なお残額が残り,被告Aに責任がある平成8年度分の損害についてまで充当されるものではない。 そうすると,結局のところ,補助金の返還分が損害の填補となるかという問題は,本訴の損害額を算定するに当たっては,結論に影響しないことになるというべきである。 イ被告らは複写機リース会社からの返還額を除く3億2763万5000円平,(。),,成8年度分も含まれることになるについては に当たっては,結論に影響しないことになるというべきである。 イ被告らは複写機リース会社からの返還額を除く3億2763万5000円平,(。),,成8年度分も含まれることになるについては県職員が私的に流用したわけではなく複写機使用料,備品購入費用等県の事務を処理するための必要な経費として支払われた旨主張する。 しかしながら,被告らがこれを裏付けるために提出した資料は,本件調査報告書の原資料の一部のみであって(乙B1,乙C1,上記残額の使途がすべて書証によっ)て裏付けられているわけではない。 確かに,本件調査報告書には私的流用はなかった旨記載され,提出された一部の資料を見ても,私的流用の事実をうかがわせるものはないが,裏付証拠が全て保存されているわけではない以上,本件のような全庁的な不正に関する自己調査の報告書の結論部分のみを全面的に信用することは困難である(被告らは,本件複写機リース会社においては,コンピューターシステムで管理されていたから,恣意が入る余地はなく,上記残額の使途が裏付けられているとも主張しているが,入力作業は人間が行う以上,コンピューターシステムで管理されていたからといって,一切不正がされる余地はないなどということはできない。 。)また,本件公金支出は,そもそも事務用品を購入するために支出したものではなく,単に「ゼロ精算」を行うために,虚偽架空の支出を行ったものであり,支出の時点で,既に県庁内には存在しない金員として扱われているのである。そのため,次年度以降の予算編成において,本件公金支出による支出額は全く考慮されていないし,当該金員で事務用品を購入する場合も,ほとんど当該金員を管理している庶務係長の独断で行われているし,他の部課に融通する場合も,庶務係長の個人的なつながりのみで行われ,購入された事務用 れていないし,当該金員で事務用品を購入する場合も,ほとんど当該金員を管理している庶務係長の独断で行われているし,他の部課に融通する場合も,庶務係長の個人的なつながりのみで行われ,購入された事務用品についても,正規の予算で購入された場合と異なり,正規の備品として管理されていないし,これらの金員を全く使わずに置くと,毎年増加の一途を辿るものであるから,毎年一定額は使わざるを得ないことになるのである(証人G,証人H。したがっ)て,被告ら主張のとおり,事務用品が購入されていたとしても,本来購入する必要のない物を購入しているケース,すなわち,無駄遣いといえるケースが多々含まれている可能性を否定できないものである。 - 28 -以上からすれば,被告ら主張のとおり,私的流用が全くなく,全て事務用品の購入に充てられていたとしても,その全てが損害の填補の性質を有するとまでは到底認めることはできない。 そうすると,そのうちのいくらを損害の填補として扱うかは困難な問題であるが,民訴法248条の趣旨を類推して,上記の諸事情を考慮すると,被告ら主張の額の5割につき損害の填補がされたとするのが相当と認める。 ウこれを本件についてみると,被告Aは,平成8年度分である1億1069万1000円のうち,8855万2800円について責任が認められるところ(平成9年度は水増し分はない,上記のとおり,5割が損害額となるから,損害は4427万640。)0円となる。 エ以上より,原告らの,法242条の第1項4号に基づく,県に代位しての, 被告Aに対する損害賠償請求は,損害金4427万6400円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成11年1月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。 なお,原告 427万6400円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成11年1月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。 なお,原告らは,損害の填補については,不法行為による遅延損害金から充当されるべきである旨主張しているが,遅延損害金の具体的な発生時等について主張立証を行っていない以上,主張自体失当というほかない。 被告知事の財産管理を怠る事実の有無(争点( ))について ( )複写機リース会社に対する不当利得返還請求権について 本件公金支出のうち,発覚後,本件複写機リース会社から返還された金員が損害の填補になることは前記認定のとおりである。 そして,それ以前に支出された金員については,被告らは,全て事務用品の購入代金に充てられた旨主張しているところ,原告らにおいて,これを覆すに足りる立証がされているとはいえないから,それ以前に支出された金員についても県が本件複写機リース会社に対して不当利得返還請求権を有しているとまで認めることはできない(不当利得が存する旨の主張立証責任は原告らが負担しているものである。 。)そうすると,県の各複写機リース会社に対する不当利得返還請求権は存在せず,被告知事が各複写機リース会社に対して不当利得返還請求権を行使しないことは違法ではないから,複写機リース会社に対する不当利得返還請求権に関する原告らの3号請求は理由がない。 なお,ある請求をしないことが怠る事実として問題とされている場合に,そのような請求権が発生しているか否かという点は,確認の利益の問題ではなく,本案の問題である。 ( )被告Aに対する損害賠償請求権について 上記のとおり,県は,被告Aに対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,4427万6400円及びこれに対する 益の問題ではなく,本案の問題である。 ( )被告Aに対する損害賠償請求権について 上記のとおり,県は,被告Aに対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,4427万6400円及びこれに対する平成11年1月28日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の損害賠償請求権を有するところ,被告知事はこれを行使しないのであるから,被告Aに対する損害賠償請求権に関する原告らの3号請求は,上記の損害賠償請求権を行使しない限度で理由があり,その余は理由がない。 なお,4号請求がその代位請求の対象となっている当該請求権の行使を怠る事実- 29 -の違法確認を求める3号請求に係る訴えに併合提起されていることにより,当該3号請求に係る訴えが不適法な訴えになるとは解されない(最高裁判所平成13年12月13日第一小法廷判決・民集55巻7号1500頁参照)から,被告Aに対する損害賠償請求権に関する原告らの3号請求が不適法となるものではない。 結論 以上によれば,4号事件の原告らの請求は,いずれも理由がなく,1号事件の原告ら請求のうち,法242条の第1項4号に基づき,県に代位して,被告Aに対する損害 賠償請求権として,損害金4427万6400円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成11年1月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払を求め,法242条の第1項3号に基づき,被告知事に対し,上記被告Aに対する 損害賠償請求権の行使を怠っている事実の違法確認を求める各限度で理由があるが,その余の請求は理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 佐賀地方裁判所民事部裁判長裁判官神山隆一裁判官三宅知三郎裁判官烏田真人 おり判決する。 佐賀地方裁判所民事部裁判長裁判官神山隆一 裁判官三宅知三郎 裁判官烏田真人

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