平成27(行コ)222 所得税決定処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成24年(行ウ)第152号)

裁判年月日・裁判所
平成28年1月28日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文37,274 文字)

平成28年1月28日判決言渡平成27年(行コ)第222号所得税決定処分等取消請求控訴事件 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 処分行政庁が平成22年6月30日付けで控訴人に対してした平成17年分ないし平成20年分の所得税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分をいずれも取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,所得税法上の非居住者として,アメリカ合衆国(以下「米国」という。)から本邦に輸入した自動車用品を,インターネットを通じて専ら日本国内の顧客に販売する事業(以下「本件販売事業」という。)を営んでいた控訴人が,処分行政庁から,本件販売事業の用に供していた日本国内のアパート及び倉庫(以下,併せて「本件アパート等」という。)は,所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約(平成16年条約第2号。以下「日米租税条約」という。)5条の規定する「恒久的施設」に該当し,控訴人には本邦において所得税を納税すべき義務があるとして,控訴人の平成17年分ないし平成20年分(以下「本件各係争年分」という。)の所得税の各決定処分(以下,併せて「本件各所得税決定処分」という。)及び無申告加算税の各賦課決定処分(以下,併せて「本件各賦課決定処分」といい,本件各所得税決定処分と併せて「本件各処分」という。)を受けたことに対し,本件アパート等は恒久的施設に該当せず,控訴人には本邦において所得税を納税すべき義務はないとして,本件各処分の取消しを求めている事案である。 原審は,①控訴人が,租税条約の実施に伴う とに対し,本件アパート等は恒久的施設に該当せず,控訴人には本邦において所得税を納税すべき義務はないとして,本件各処分の取消しを求めている事案である。 原審は,①控訴人が,租税条約の実施に伴う所得税法,法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令(平成22年総務省,財務省令第1号による改正前のもの)に基づく届出書を提出しなかったことをもって,日米租税条約7条1項の適用を否定することはできないとし,②本件アパート等は日米租税条約5条4項(a)号の「企業に属する物品又は商品の保管,展示又は引渡しのためにのみ施設を使用すること」に該当するから恒久的施設から除外されるとの控訴人の主張につき,同項(a)号ないし(d)号は,準備的又は補助的な性格の活動の例示と解されるところ,本件アパート等は,本件販売事業にとって準備的又は補助的な性格の活動を行っていた場所とはいえないから,同項各号のいずれにも該当せず,恒久的施設に該当するとした上で,③控訴人の所得のうち日米租税条約7条に基づき本邦において課税対象とされる所得の範囲は,恒久的施設である本件アパート等を通じて行われた本件販売事業による利得のうち本件アパート等に帰せられる部分であり(同条1項),その金額は,同条2項及び3項に基づき,本件アパート等を控訴人と独立の立場にある企業と擬制した上で(以下,同条2項及び3項の適用に当たって擬制する上記企業を「本件擬制企業」という。),本件販売事業により生じた国内源泉所得を本件擬制企業に配分することにより算定すべきであり,本件アパート等は本件販売事業における唯一の販売拠点(事業所)としての役割・機能を担っていたから,本件擬制企業が本件アパート等を販売拠点として事業活動(販売活動)をした場合に取得したとみられる利得を,本件擬制企業に配分されるべ おける唯一の販売拠点(事業所)としての役割・機能を担っていたから,本件擬制企業が本件アパート等を販売拠点として事業活動(販売活動)をした場合に取得したとみられる利得を,本件擬制企業に配分されるべき国内源泉所得というべきであるとし,④控訴人は,本件販売事業における所得金額等を申告せず,加古川税務署職員の帳簿書類提出要求を何度も拒絶したため,処分行政庁は,本件擬制企業に配分されるべき所得金額を実額で計算することはできず,これを推計する必要性があり,処分行政庁が推計した所得金額は,合理的な方法(税務調査により把握した収入実額に,控訴人が日本に居住して本件販売事業を営んでいた平成16年当時の収入及び所得(確定申告額)に基づく所得率を乗じる方法)によるものであるから,適正な所得金額であるとして,本件各所得税決定処分及びこれらを前提とする本件各賦課決定処分をいずれも適法とし,控訴人の請求をいずれも棄却した。 そこで,これを不服とする控訴人が,本件控訴を提起した。 2 関係法令の定め,前提事実,被控訴人が本件訴訟において主張する本件各処分の根拠及び適法性,争点及び争点に関する当事者の主張は,後記3のとおり「当審における当事者の補充主張」を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」第2及び第3に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 当審における当事者の補充主張(1) 争点2(本件アパート等は,日米租税条約5条の規定する恒久的施設に該当するか否か(本件アパート等は,同条4項(a)号により恒久的施設から除外すべきものに該当するか否か。))について(控訴人の補充主張)ア原審の日米租税条約5条4項(a)号の解釈の誤り(ア) 原審は,日米租税条約5条4項(a)号に該当するためには,当該施設で行われる具体的活動が準備的又は補助的な て(控訴人の補充主張)ア原審の日米租税条約5条4項(a)号の解釈の誤り(ア) 原審は,日米租税条約5条4項(a)号に該当するためには,当該施設で行われる具体的活動が準備的又は補助的な性格の活動であることを要すると解しているが,上記解釈は,以下のとおり,日米租税条約5条4項及びOECDモデル租税条約5条4項についての国際的に一般的な解釈に反する誤ったものである。 a 2012年報告書は,OECDモデル租税条約5条4項(a)号ないし(d)号につき「準備的又は補助的な性格を有する活動」であることを要しないと解すべきことを明らかにしているところ,2012年報告書は,OECDコメンタリーと同様に,OECD租税委員会がOECDモデル租税条約の立法当局による条文の理解,解釈を示すために執筆したものであるから,OECDモデル租税条約及びこれに準拠する日米租税条約の解釈に際し,条約の準備作業等に匹敵する参照価値を有し,条約法に関するウィーン条約32条の「解釈の補足的な手段」に当たるものとして,参照されるべきである。 原審は,2012年報告書につき,OECDモデル租税条約5条4項(a)号ないし(d)号についての「準備的又は補助的な性格を有する活動」であるとの従来の解釈を,OECDコメンタリーの改訂により変更することを提案したものであって,本件各係争年における日米租税条約5条4項の解釈に当たり上記提案に従わなければならないものではないとするが,このような2012年報告書の法的位置付けは,誤ったものである。また,2012年報告書は,OECDモデル租税条約5条4項(a)号ないし(d)号について現在,国際的に通用している解釈を変更すべきであると述べているのではなく,現在,国際的に通用している解釈を,誤解のないようにOECDコメンタリー モデル租税条約5条4項(a)号ないし(d)号について現在,国際的に通用している解釈を変更すべきであると述べているのではなく,現在,国際的に通用している解釈を,誤解のないようにOECDコメンタリーに明示すべきであると述べているのであって,原審の上記解釈は,2012年報告書を誤読したものである。OECDが,本件各係争年以前の2004年当時から,OECDモデル租税条約5条4項(a)号ないし(d)号につき「準備的又は補助的な性格を有する活動」であることを要しないと理解していたことは,2012年報告書がパラグラフ71で引用する「事業所得に関するテクニカル・アドバイザリー・グループ(以下「TAG」という。)による2004年レポート『現在の租税条約における事業所得課税ルールは電子商取引に適用することが適切な内容となっているか?』」(以下「2004年報告書」という。)にも示されている。2004年報告書は,1999年にOECD租税委員会が設立したTAGが,電子商取引についての現行の租税条約に基づく課税ルールが適切かどうかを検討し,課税ルールの変更案を評価検討した報告書であり,現行ルールの評価の際,現行のルールと,OECDモデル租税条約5条4項(a)号ないし(d)号の各号に「当該場所での活動が準備的又は補助的な性格であること」との要件を追加するという代替案とを比較して,代替案への変更(条約自体の変更)がどのような効果をもたらすかを分析しており,これは,OECDが,2004年当時から,OECDモデル租税条約の現行条文に基づけば,5条4項(a)号ないし(d)号の適用に当たり,準備的又は補助的な性格の活動であることとの要件は適用されないと解していたことを示している。 bOECDモデル租税条約5条4項の前身である1963年のOECDモデル租税条約草 号の適用に当たり,準備的又は補助的な性格の活動であることとの要件は適用されないと解していたことを示している。 bOECDモデル租税条約5条4項の前身である1963年のOECDモデル租税条約草案5条3項は,(e)号において「企業のためもっぱら広告,情報の提供,科学的調査又はこれらに類する準備的若しくは補助的性質の活動を行うため事業を行う一定の場所を保有すること」と規定し,準備的若しくは補助的性質の活動として,広告,情報の提供及び科学的調査又はこれに類するものを想定しており,これと,同項(a)号ないし(d)号に該当する活動の内容とが並列の関係とされていた。OECDモデル租税条約草案5条3項の規定から,同項(a)号ないし(d)号に掲げる個別事由が,同項(e)号の「これらに類する準備的若しくは補助的性質の活動」の例示であると読み取ることは不可能である。 OECDモデル租税条約5条4項では,OECDモデル租税条約草案5条3項(a)号ないし(c)号の文言がそのまま維持される一方,同項(e)号の文言から広告,情報の提供及び科学的調査の3つの例が除かれたが,これは,立案者が,これらの具体的列挙がなくても,準備的若しくは補助的性質の活動の該当性を判断できると考えたからにすぎず,OECDモデル租税条約草案5条3項(e)号の適用範囲が変更されたからではない。後のOECDコメンタリーにおいても,OECDモデル租税条約5条4項(e)号の規定によって,同項(a)号ないし(d)号の適用の要件が追加されるように,上記草案の文言を修正したといった類の記述は見当たらない。そうだとすれば,OECDモデル租税条約5条4項においても,上記草案当時のルール,すなわち,上記草案5条3項(a)号ないし(e)号に掲げる個別事由は,(e)号の例示ではなく,それ自体として らない。そうだとすれば,OECDモデル租税条約5条4項においても,上記草案当時のルール,すなわち,上記草案5条3項(a)号ないし(e)号に掲げる個別事由は,(e)号の例示ではなく,それ自体として解釈すべきものであり,(e)号によって,(a)号ないし(d)号の適用に要件が追加されることはないというルールが維持されていると考えるべきである。原審の解釈は,以上のOECDモデル租税条約草案の内容及びその後のOECDモデル租税条約が定められた経緯に照らしても,誤りである。 c 原審の解釈によれば,OECDモデル租税条約5条4項(a)号の適用範囲と国連モデル租税条約5条4項(a)号の適用範囲は,後者が物品又は商品の「引渡し」を行う施設(倉庫)を恒久的施設から除外していないにもかかわらず,(e)号が同文である限り,全く同じになり,発展途上国の課税権限を広く認めるという国連モデル租税条約5条4項(a)号による効果が存在しないことになる。我が国及び米国は,日米租税条約締結時に,上記のOECDモデル租税条約と国連モデル租税条約との違いを考慮した上で,あえてOECDモデル租税条約型の条文を選択したのであり,「引渡し」に該当する活動のみを行う施設を,恒久的施設に該当させないとの課税権の範囲に関する政策的合意があったことが読み取れる。原審の解釈は,上記の政策的合意に反して,「引渡し」のみを行う施設であっても,その活動が「準備的又は補助的な性格の活動」の範囲を超えていれば,恒久的施設に該当すると扱うものであり,誤ったものである。 d 控訴人が主張するOECDモデル租税条約5条4項の解釈は,国際租税法及び租税条約に関する複数の重要かつ基本的な文献においても支持されている。租税条約及び国際税法の国際的権威であるフィリップ・ベーカー英国王室顧問弁護士(以 モデル租税条約5条4項の解釈は,国際租税法及び租税条約に関する複数の重要かつ基本的な文献においても支持されている。租税条約及び国際税法の国際的権威であるフィリップ・ベーカー英国王室顧問弁護士(以下「ベーカー弁護士」という。)の「二重課税に関する条約」(2012年2月。以下「新ベーカー文献」という。)は,国際的に広く行われている標準的見解を述べる趣旨のものであるところ,新ベーカー文献には,OECDモデル租税条約5条4項の解釈につき,「モデル条約自体の条文によれば,対象の活動が準備的又は補助的な性質であるか否かが問題となるのは,個別のリストに含まれない活動((e)号)及び活動の組み合わせ((f)号)の場合だけである。」等の原審の解釈に正面から反する記載がある。また,クラウス・フォーゲルの「二重課税に関する条約」(以下「フォーゲル文献」という。)は,1991年にドイツ語版が発行されて以来,改訂が重ねられ,更に英訳版が発行され,租税条約に関する最も権威のある教科書の一つと考えられているところ,フォーゲル文献の英訳版第3版には,商品の引渡しを行う施設が,巨大で,企業の収入の大部分がそれなしでは成り立たないようなものであったとしても,すなわち,経済的にみればとても準備的・補助的活動とはいえない場合であっても,そのような施設にも5条4項は適用され,恒久的施設から除外されるということが明言されている。上記記述は,原審の解釈がOECDモデル租税条約5条4項についての基本的な国際的理解に反する誤ったものであることを示している。 (イ) 原審は,日米租税条約5条4項(e)号の「その他の」との文言が例示の関係を示す場合に用いられる用語であること及びOECDコメンタリーの内容を根拠として,上記(ア)の解釈を導いている。 しかしながら,同項(e)号 条約5条4項(e)号の「その他の」との文言が例示の関係を示す場合に用いられる用語であること及びOECDコメンタリーの内容を根拠として,上記(ア)の解釈を導いている。 しかしながら,同項(e)号の「anyother/その他の」との文言から,上記(ア)の解釈を導くことはできない。日本の法令や契約書においては,「その他」と「その他の」という用語は使い分けられ,「その他の」は例示の関係を示す場合に,「その他」は並列関係を示す場合に,それぞれ用いられるとされているが,上記の使い分けは,国内立法においてすら必ずしも徹底されているものではないから,「その他の」との文言を解釈の主要な根拠とすることは,国内法の解釈の場合ですら誤りである。 条約は,用語の通常の意味に従い,誠実に解釈しなければならず(条約法に関するウィーン条約31条1項),法令の文章や用語を通常の意味に理解し又は字義通りに解釈するという文理解釈の手法によって解釈されるべきところ,日米租税条約5条4項(e)号の「その他の」との文言は,通常の意味に理解し又は字義通りに解釈すると,「そこに挙げてあるもののほかの」という意味であり,条項の構造に併せて読んだとしても,「(a)号ないし(d)号に掲げる活動のほかの」との意味でしかなく,それを超えて「準備的又は補助的な性格である同項(a)号ないし(d)号に掲げる活動以外の」という意味を読み込むことはできない。 以上からすれば,原審の解釈は,文理解釈の限界を超えるものであって,用語の通常の意味に従った誠実な解釈とはいえないから,条約法に関するウィーン条約31条1項に反する。 さらに,日米租税条約は,日本語及び英語を正文とする条約である上,日米租税条約5条4項はOECDモデル租税条約5条4項に準拠して定められているところ,同項と同一 ィーン条約31条1項に反する。 さらに,日米租税条約は,日本語及び英語を正文とする条約である上,日米租税条約5条4項はOECDモデル租税条約5条4項に準拠して定められているところ,同項と同一の文言となっているのは,日米租税条約5条4項の英語の正文であるから,同項に関する文理解釈は,英語の正文から導けるものでなければならない。日米租税条約の条項には,「その他の」という用語が,例示ではなく並列の意味で用いられている部分があるから,同項(e)号に「anyother」(「その他」又は「その他の」)との文言が使用されているというだけでは,例示を意味するのか並列関係(「その他の」との文言の前に掲げた事項を除き,それ以外のという意味)を意味するのか判断できない。したがって,「その他の」との文言を理由として,日米租税条約5条4項(a)号ないし(d)号が同項(e)号の「準備的又は補助的な性格の活動」の例示であると解釈することは誤りである。 加えて,原審が引用するOECDコメンタリーのパラグラフ21は,OECDモデル租税条約5条4項に挙げられている活動の共通の特徴が,一般的に,準備的又は補助的な活動と考えられている活動であること及び同項の制定趣旨が,一定の場所に関して,同条1項の「恒久的施設」の一般的定義に対する例外を規定しようとするものであるということを述べるものであって,原審のように,(a)号に個別に規定された活動が準備的又は補助的な性格でないとの理由をもって,(a)号の適用を否定することまで意味しているわけではない。OECDコメンタリーには,OECDモデル租税条約5条4項(a)号ないし(d)号に「当該場所での活動が準備的又は補助的な性格であること」との追加的要件を課すべきであるとの記載もない。したがって,OECDコメンタリーの記載 ,OECDモデル租税条約5条4項(a)号ないし(d)号に「当該場所での活動が準備的又は補助的な性格であること」との追加的要件を課すべきであるとの記載もない。したがって,OECDコメンタリーの記載内容は,原審の解釈を支持するものではない。 イ本件アパート等が日米租税条約5条4項(a)号に該当しないとした原審のの事実の評価及び同号の適用の誤り本件アパート等が日米租税条約5条4項(a)号に該当しないとした原審のの判断は,以下のとおり,事実の評価及び同号の適用を誤るものである。 (ア) 本件アパート等における活動に対する原審の評価の誤りa 原審認定事実によれば,本件倉庫において一日2時間働くパートタイマー数人(本件従業員)が本件アパート等において行っている業務は,①商品の受取り・保管業務,②商品の梱包・発送業務,③返品された商品の受取り・代替品の発送業務等,④商品写真の撮影(平成20年4月頃以降のみ)であるところ,これらは全て日米租税条約5条4項(a)号の「商品の保管」又は「引渡し」に該当する。 b 原審は,本件従業員が,日本語版取扱説明書(日本語取説書)のある商品について日本語取説書を同梱する作業をしていることを捉えて,商品の経済的価値を高める活動であり,単なる「保管」又は「引渡し」の範囲を超えると説示する。 しかしながら,OECDモデル租税条約5条4項(a)号の「保管,展示又は引渡し」は,これらと当然に結びつく全ての活動,例えば,梱包や発送を含むと解されている。そして,複数の商品を同梱することによって商品の引渡しを受ける消費者にとっての価値や利便性が上がる場合であっても,それら複数の商品の組み立てを行ったり,改変を加えたなどの事情がない限り,同梱の作業が「引渡し」の範囲を超える活動であるとはいえないから,原審の上記判 にとっての価値や利便性が上がる場合であっても,それら複数の商品の組み立てを行ったり,改変を加えたなどの事情がない限り,同梱の作業が「引渡し」の範囲を超える活動であるとはいえないから,原審の上記判断は,事実の評価及び日米租税条約5条4項(a)号の適用を誤るものである。 c また,原審は,上記③の業務につき,「保管」又は「引渡し」の範囲を超えるとし,控訴人が顧客に対し初期不良品の返品を受け取る旨を申し入れ,本件アパートを返品先として,本件企業の負担において返品を受け取るという一連の活動全体が,商品を購入した顧客に対する事後的なサービスを形成しており,その一部分を切り取って「保管」又は「引渡し」として単純化すべきではないと判示する。 しかしながら,控訴人は,保証期間内の無償修理を含め,商品の修理は一切引き受けておらず,いわゆるアフターサービスは行っていないから,顧客が所有する商品を本件アパート等で受け取るということはない。控訴人は,商品に初期不良が見つかった場合には,売買契約の取消しという形で返品を受けており,売買契約が取り消されて顧客から返品された商品は,既に顧客の所有権を離れ,「企業に属する物品」となっているのであるから,本件従業員がそれを受け取って本件アパート等で保管し又は控訴人の指示に従って米国に返送するために控訴人の手配する宅配業者に引き渡すことは,商品の納入を受けてそれを宅配業者に引き渡すのと同じく,日米租税条約5条4項(a)号に規定された「企業に属する物品」の「保管」又は「引渡し」である。また,控訴人の指示に従って代替品を発送することは,当初の商品の発送と同じく,同号にいう商品の「保管」又は「引渡し」である。 原審の上記判断については,返品された商品の受取行為が,個別にみたときには「保管」又は「引渡し」に該 を発送することは,当初の商品の発送と同じく,同号にいう商品の「保管」又は「引渡し」である。 原審の上記判断については,返品された商品の受取行為が,個別にみたときには「保管」又は「引渡し」に該当するのに,全体としてみるとサービスの性質が変わってしまうとする理由が不明であるし,全体としてみたからといって,これを事後的サービスと評価するのも妥当でない。また,仮に,商品に初期不良が見つかった場合の返品の受付が経済的に事後的なサービスの機能を有すると評価できるとしても,それらの活動が全て「保管」又は「引渡し」に当たることに変わりはない。 OECDモデル租税条約5条4項(a)号に関するOECDコメンタリーも,企業が保守作業や修理作業を行わず,物品又は商品の引渡しを行うだけの場所は,それが補修部品の引渡しを行う場所である場合であっても,恒久的施設から除外されるという立場を堅持しており,このような理解からしても,本件アパート等が「恒久的施設」に該当すると評価する余地はない。 d 原審は,上記④の業務につき,単なる「保管」又は「引渡し」の範囲を超えるとするが,上記④の業務が行われるようになったのは,平成20年4月頃以降のことであるから,それ以前については,上記④の業務を本件アパート等における活動として考慮する余地はない。また,同月以降においても,上記④の業務は,「保管」に該当する活動というべきである。すなわち,控訴人は,原則として,メーカーから商品の写真を入手し,写真のないものについては独自に写真撮影をして控訴人のホームページ等に使用しており,本件従業員が商品の写真を撮影するのは,控訴人がメーカーから商品の写真を入手することができず,かつ,控訴人が米国で当該商品の写真を撮影し忘れたという例外的な場合だけである。このような場合に控訴人 本件従業員が商品の写真を撮影するのは,控訴人がメーカーから商品の写真を入手することができず,かつ,控訴人が米国で当該商品の写真を撮影し忘れたという例外的な場合だけである。このような場合に控訴人が当該商品の写真を自ら撮影することができないのは,当該商品が本件倉庫に保管されているからであり,本件従業員が当該商品の写真を撮影して控訴人に送ることは,保管業務に付随する活動であるから,「保管」に該当するというべきである。また,本件従業員が当該商品の写真を撮影する行為は,控訴人のホームページに写真を掲載して当該商品を展示するための前提行為であるから,上記写真撮影行為は「展示」に該当するということも可能である。 上記のような例外的な場合の写真撮影の事実のみをもって,写真撮影を全く行っていなかった時期も含めて本件倉庫を恒久的施設と認定することは,条理に反する。 (イ) 本件アパート等を本件販売事業における唯一の販売拠点(事業所)と認定した原審の誤りa 原審は,本件アパート等を本件企業の本件販売事業における唯一の販売拠点(事業所)と認定し,商品の保管又は引渡しのためのみに使用する場所とはいえず,日米租税条約5条4項(a)号に該当するとはいえないとする。 b しかしながら,原審の上記認定は誤りであり,本件アパート等が販売拠点であることは,日米租税条約5条4項(a)号該当性を否定する根拠とならない。その理由は,次のとおりである。 「販売拠点」すなわち販売活動を行う場所(事業所)であるというためには,現実に販売活動が行われる場所でなければならない。 インターネットを通じた販売活動であっても,人間又は人間がプログラミングした機械が,インターネットという通信手段を通じて顧客からの注文を受け取り,受注の可否を判断し,受注した旨を顧客に連絡し,代 インターネットを通じた販売活動であっても,人間又は人間がプログラミングした機械が,インターネットという通信手段を通じて顧客からの注文を受け取り,受注の可否を判断し,受注した旨を顧客に連絡し,代金の支払を確認した上で,商品の発送を指示する活動を行っているのであるから,そのような現実の販売活動を行っている場所を販売拠点というべきところ,控訴人は,米国の事務所において自らこれらの活動を行っていたのであるから,上記事務所こそが本件販売事業の販売拠点である。一方,本件アパートでは,これらの販売活動は一切行われていないから,本件アパートを販売拠点と認定する余地はない。 原審が本件アパートを販売拠点と認定する根拠として挙げるもののうち,控訴人が本件販売事業のウェブサイトに本件アパートの所在地を表示していたことは,本件アパートにおいて販売活動が行われたと認める根拠とはなり得ない。また,本件販売事業の販売活動が全てインターネットを通じて行われたとの事実も,通信販売事業の通信手段としてインターネットという技術を利用したというだけのことであって,電話や郵便を利用していた旧来の通信販売事業者について電話に応対する等の人間が居た場所が販売拠点(事業所)とされるのと同様に,本件販売事業についても控訴人が居た米国の事務所が販売拠点となるのであって,これらの活動が行われていない無人の本件アパートが販売拠点となることはない。さらに,本件販売事業の事業形態が本件アパート等に保管された在庫商品を販売するものであるということについても,平成18年12月以降は在庫商品は本件倉庫に保管されており,本件倉庫に保管されている在庫商品を販売することは,本件アパートとは何ら関連しない事実であるし,在庫商品が本件アパートに保管されていた平成17年1月から平成18年11月ま 本件倉庫に保管されており,本件倉庫に保管されている在庫商品を販売することは,本件アパートとは何ら関連しない事実であるし,在庫商品が本件アパートに保管されていた平成17年1月から平成18年11月までの期間について考えても,本件アパートで販売活動が行われたとの事実や本件アパートが販売拠点であることの根拠には,およそなり得ない。 c 原審は,本件倉庫を本件アパートと一体としてみて本件販売事業の販売拠点と認定しているが,その認定も誤ったものである。 本件倉庫においては販売活動は一切行われていなかったから,本件倉庫を販売拠点と認定する余地はない。また,本件アパートと本件倉庫は,徒歩で行き来ができないほど離れており,本件アパートは平成18年11月以降,無人の空室で,控訴人が年に1,2回日本に帰った際に宿泊する以外は,施錠されて立入りができない状態にあり,本件アパートと本件倉庫は,物理的にも運用上も,一体として機能している事実はなかった。 原審が本件倉庫について本件アパートと一体として販売拠点としての役割・機能を担っていたことの根拠として挙げるもののうち,控訴人が本件倉庫賃借後も本件販売事業のウェブサイトに本件アパートの所在地を表示していたことは,本件アパートと本件倉庫との関連性を示す事実ではなく,本件倉庫が販売拠点としての機能を有していたと判断する根拠ともならない。また,本件企業が本件倉庫で商品の保管,梱包,発送等の業務を行っていたにもかかわらず,本件アパートを発送元として商品の発送を行っていたことも,単に控訴人が宅配便の伝票に記載される商品の発送元の表示として本件アパートの住所を使っていたことの結果にすぎず,本件倉庫と本件アパートを一体としてみる根拠にはならない。さらに,本件企業において,顧客が返品を希望した場合には本件アパート 品の発送元の表示として本件アパートの住所を使っていたことの結果にすぎず,本件倉庫と本件アパートを一体としてみる根拠にはならない。さらに,本件企業において,顧客が返品を希望した場合には本件アパート宛てに商品を返送させ,転送届により本件アパートから本件倉庫に転送された商品を受け取っていたことについても,控訴人が送り先として本件アパートの住所が表示された宅配便についての配達先を本件倉庫に指定していた結果にすぎない。配達先を本件倉庫に指定したことは,本件アパートの機能ではないから,本件倉庫と本件アパートとを一体としてみる根拠にはならない。 日米租税条約5条1項の定義によれば,恒久的施設とは,事業を行う一定の場所であって,企業が事業の全部又は一部を行っている場所であるから,ある場所が恒久的施設に該当するか否かは,企業としての活動(事業)の有無及び内容によって判断すべきである。 原審が本件アパート等で行われたのではない活動の有無・内容によって本件アパート等を恒久的施設に該当すると判断したことは,同項の恒久的施設の定義に反する。 (ウ) 原審は,本件アパート等における活動が日米租税条約5条4項(a)号に該当しないことの根拠として,インターネット通信販売の利用者が取引の相手となる企業を選ぶに当たっては,当該企業が日本国内の企業であるかどうかが重要な判断要素の一つとなることを挙げる。 しかしながら,上記判断は,根拠のない独断である。日本最大規模のインターネット通信販売事業者の一つであるP1を経営しているのは,日本法人ではなく,米国法人であることや,控訴人のウェブサイトに表示された住所が,東京や大阪等の都市部ではなく,兵庫県内の小さな町の住所であって,上記住所の表示が控訴人の事業に対する信用を生むような情報でないことからしても,上記判断 ,控訴人のウェブサイトに表示された住所が,東京や大阪等の都市部ではなく,兵庫県内の小さな町の住所であって,上記住所の表示が控訴人の事業に対する信用を生むような情報でないことからしても,上記判断は正しいものとは言い難い。仮に,本件販売事業の事業主体が日本の企業かどうかが顧客の行動に影響を与えるとしても,そのことは,本件アパート等で現実に行われる活動の性質を左右するものではない。本件アパート等が恒久的施設かどうかは,当該場所で現実に行われる活動が何であるかによって判断されるべきものであって,顧客の選好度合いによって左右されるべきものではない。 原審は,通信販売においては,その性質上,対面取引に比べて配送後の契約解除・返品の可能性が高く,顧客からの返品に対応することも重要な業務であると判示するが,本件販売事業においては,商品に初期不良が見つかった場合以外は返品を受け付けておらず,返品の発生は極めて稀である。また,本件販売事業において商品に初期不良が見つかった場合における顧客からの返品への対応が重要な業務であることは,本件アパート等における活動が日米租税条約5条4項(a)号の「保管」又は「引渡し」に該当しない理由とはなり得ない。なお,返品を求める顧客への対応は,本件従業員ではなく,控訴人が自ら米国の事務所において行っていた。 さらに,原審は,通信販売という事業形態においては,対面取引に比べ,商品の購入者に対する商品の配送(発送)業務が事業の重要部分を占めているなどと判示するが,上記判断も,根拠のない偏見である。およそ販売事業においては,通信販売か対面販売かを問わず,最も重要なのは,商品に対する顧客の関心を引き,注文をさせ,契約を締結させる過程であり,本件販売事業においては,米国の事務所で控訴人が行っていた作業が最も重要な業務で 通信販売か対面販売かを問わず,最も重要なのは,商品に対する顧客の関心を引き,注文をさせ,契約を締結させる過程であり,本件販売事業においては,米国の事務所で控訴人が行っていた作業が最も重要な業務である。対面販売において代金受領後に店頭で商品を梱包して顧客に手渡したり,売り場とは別の場所にある倉庫から顧客の指定する送り先に商品を配送する業務等に比べて,通信販売における商品の発送業務が特に重要性が高いということはない。日米租税条約5条4項(a)号は,そのような「商品の引渡し」を行う場所は,恒久的施設に該当しないと規定しているものである。 (被控訴人の補充主張)ア日米租税条約5条4項(a)号の解釈について(ア) 日米租税条約5条4項(a)号につき「準備的又は補助的な性格の活動」に当たる活動を例示したものであるとした原審の解釈は,正当であって,上記解釈がOECDモデル租税条約5条4項の規定及びこれに倣った日米租税条約5条4項の規定についての国際的に一般的な解釈に反するとの控訴人の主張は,以下のとおり,失当である。 a 控訴人は,2012年報告書につき,OECDコメンタリーと同等に,日米租税条約の解釈に当たり「解釈の補足的な手段」として参照されるべきであると主張する。 しかしながら,2012年報告書は,OECDコメンタリーとは異なり,OECDの租税委員会が執筆したものではなく,OECDの租税委員会の下に設置された作業部会が改訂提案として作成したものにすぎない上,これが検討された結果,改定された2014年のOECDモデル租税条約及びOECDコメンタリー(2014年)のいずれにおいても,5条4項の改訂又は同項の解釈の変更はされなかったのであって,その作成者及び内容面のいずれに照らしても,租税委員会が作成したOECDコメ 約及びOECDコメンタリー(2014年)のいずれにおいても,5条4項の改訂又は同項の解釈の変更はされなかったのであって,その作成者及び内容面のいずれに照らしても,租税委員会が作成したOECDコメンタリーと同等のものとはいえず,「解釈の補足的な手段」として参照価値があるとは認められない。 現時点でOECDが公表している最新のコメンタリーであるOECDコメンタリー(2014年)の逐条解説においても,2014年に改正が行われたとはされておらず,上記逐条解説のOECDモデル租税条約5条4項に関する記載内容は,OECDコメンタリー(2003年)の逐条解説の記載内容と同趣旨であり,同項が定める活動に共通する特徴は「準備的又は補助的な性格の活動」であるということである旨を述べている。 また,OECDモデル租税条約5条4項に関するOECDコメンタリー(2014年)第21パラグラフの原文は, 同項に関するOECDコメンタリー(2003年)第21パラグラフの原文と同文であり,いずれも,同項の活動の共通の特徴は,一般に,準備的又は補助的な性格の活動であることであると述べている。 以上のとおり,2012年報告書で公表されたOECDモデル租税条約5条4項に係る改訂提案は,OECDコメンタリーの改訂に盛り込まれなかったのであり,また,OECDにおいては,2003年当時から一貫して,同項に挙げられた活動が「準備的又は補助的な性格の活動」であるとの解釈が採られており,現在もその解釈に変更はないから,2012年報告書の内容を,OECDコメンタリーと同様のものと位置付けることは到底できず,日米租税条約5条4項の「解釈の補足的な手段」とはならないというべきである。 控訴人は,2012年報告書が引用する2004年報告書を根拠として,OECDが200 のと位置付けることは到底できず,日米租税条約5条4項の「解釈の補足的な手段」とはならないというべきである。 控訴人は,2012年報告書が引用する2004年報告書を根拠として,OECDが2004年当時からOECDモデル租税条約5条4項(a)号ないし(d)号の適用に当たり準備的又は補助的な性格の活動であることを要しないと解していたとも主張する。 しかしながら,2004年報告書は,OECDの租税委員会の下に設置された作業部会を更に補助するために設置されたTAGが,租税委員会に提出した検討段階の最終報告書であって,租税委員会が作成するOECDコメンタリーと同等のものではないから,同報告書をもってOECDの解釈であるとする控訴人の主張は,失当である。また,2004年報告書の記載内容からは,TAGがOECDモデル租税条約5条4項に関して代替案を検討していたことが認められるにとどまり,この当時,OECDが,同項(a)号ないし(d)号の活動につき準備的又は補助的な性格の活動である必要はないと解していたとまで直ちに認められるものではない。むしろ,2004年報告書の記載内容からは,TAGが,OECDコメンタリーに基づくOECDモデル租税条約5条4項の解釈について,「準備的又は補助的な性格の活動」であることを要するものと解していたことがうかがわれる。したがって,2004年にTAGが代替案の検討を行ったことに依拠して,同年当時,OECDがOECDモデル租税条約5条4項各号の活動につき「準備的又は補助的な性格の活動」であることを要しないと解していたとする控訴人の上記主張は,失当である。 b 控訴人は,日米租税条約5条4項(a)号に関する原審の解釈につき,1963年のOECDモデル租税条約草案5条3項(e)号の規定及びその後のOECDモデル租税 控訴人の上記主張は,失当である。 b 控訴人は,日米租税条約5条4項(a)号に関する原審の解釈につき,1963年のOECDモデル租税条約草案5条3項(e)号の規定及びその後のOECDモデル租税条約が定められた経緯に照らし,誤りであるとも主張する。 しかしながら,1963年のOECDモデル租税条約草案5条に関するコメンタリーは,同条3項(e)号の「これらに類する準備的若しくは補助的性質の活動」との文言について,「3項の例外に挙げられていないが,それら掲記された項目の精神に合致するさらなる例を対象とする」趣旨であるとしている。上記コメンタリーの解説(平尾照夫「租税条約の解説―OECD租税条約草案(租研シリーズ№1)」)も,「又はこれらに類する準備的若しくは補助的性質の活動を行う」との規定の趣旨につき,第一に,恒久的施設からの除外を網羅的に列挙することを避け,しかもなお考えられる事例を救済しようとするものであり,第二に,第3項(e)号をして,恒久的施設の一般規定である第1項に対する一般化された除外規定たらしめるものであると解して,同項(e)号が同項(a)号ないし(d)号の一般条項であり,同項(a)号ないし(d)号は,準備的又は補助的性質の活動の具体例を示したものであると解している。以上のとおり,OECDモデル租税条約草案5条3項の解釈からしても,OECDモデル租税条約5条4項(a)号ないし(d)号は,準備的又は補助的な性格の活動の具体例を示したものということができ,同項(a)号に関する原審の解釈は,上記草案5条の解釈に照らしても正当なものといえる。 c 控訴人は,国連モデル租税条約が「引渡し」を除外していることとの比較により,OECDモデル租税条約5条4項(a)号の活動が「準備的又は補助的な性格の活動」であることを要しないと ものといえる。 c 控訴人は,国連モデル租税条約が「引渡し」を除外していることとの比較により,OECDモデル租税条約5条4項(a)号の活動が「準備的又は補助的な性格の活動」であることを要しないと主張する。 しかしながら,OECDモデル租税条約と国連モデル租税条約との比較によって明らかになるのは,国連モデル租税条約が,OECDモデル租税条約と異なり,「引渡し」を除外項目とせず,恒久的施設に含めるという考え方を採用したことのみであって,国連モデル租税条約の規定との違いは,OECDモデル租税条約及びこれに準拠した日税租税条約5条4項(a)号の「引渡し」の解釈に影響を与えるものではなく,控訴人の上記主張は,失当である。 d 控訴人は,新ベーカー文献には原審の解釈に正面から反する記載があり,フォーゲル文献の記述は,原審の解釈がOECDモデル租税条約5条4項についての基本的な国際的理解に反する誤ったものであることを示していると主張する。 しかしながら,ベーカー弁護士が著した1994年刊行の「DoubleTaxationConventionsandInternationalTaxLaw」第2版(以下「ベーカー文献」という。)においては,OECDモデル租税条約5条4項の活動が全て準備的補助的な性格のものであることが明言され,そのうち(a)号ないし(d)号は具体的な活動を,(e)号はその他の準備的補助的な性質の活動を一切含むものとされているのであって,正に,5条4項は(a)号ないし(d)号を含めた全体が準備的補助的な性格の活動を指すと理解されている。 また,控訴人が引用する新ベーカー文献の記載は,控訴人主張の解釈を支持するものではない。控訴人が「モデル条約自体の条文によれば」と訳している「Onthewordingof 理解されている。 また,控訴人が引用する新ベーカー文献の記載は,控訴人主張の解釈を支持するものではない。控訴人が「モデル条約自体の条文によれば」と訳している「OnthewordingoftheModelArticleitself」は,より正確に反訳すれば,「モデル条約自体の条文の言葉遣いによれば」となり,控訴人引用部分は「モデル条約自体の条文の言葉遣いによれば,対象の活動が準備的又は補助的な性質であるか否かが問題となるのは,個別のリストに含まれない活動((e)号)及び活動の組み合わせ((f)号)の場合だけである。」等というものであり,素直に読めば,OECDモデル租税条約5条4項において,用語として「準備的又は補助的な性格の活動」という言葉を使っているのは(e)号と(f)号だけであることを述べているものと考えられる。そして,控訴人引用部分の前後の記載内容等に照らすと,控訴人引用部分は,むしろ,5項4項全体が「準備的又は補助的な性格の活動」であることを前提として記載されているものとみるのが相当である。したがって,新ベーカー文献の上記引用部分に依拠した控訴人の主張は,引用部分の解釈を誤るものであり,失当である。 フォーゲル文献も,補助的な施設が,規模が大きく,企業の収入の大きな部分を運営するような場合であっても,OECDモデル租税条約5条4項の除外リスト(同項各号)に該当する旨を述べるものであり,同項(a)号ないし(d)号が準備的又は補助的な性格の活動であることを前提として,同項各号該当性が,企業の規模や収入にかかわらず,その性格によって決せられることを明らかにしたものである。同項(a)号ないし(d)号が準備的又は補助的な性格の活動を例示したものであるとの原審の解釈は,フォーゲル文献に何ら反するものではなく,原 ,その性格によって決せられることを明らかにしたものである。同項(a)号ないし(d)号が準備的又は補助的な性格の活動を例示したものであるとの原審の解釈は,フォーゲル文献に何ら反するものではなく,原審の解釈がフォーゲル文献に示された同項の理解に反するとの控訴人の主張は,失当である。 (イ) 控訴人は,日米租税条約5条4項(a)号についての原審の解釈が,文理解釈の限界を超えており,条約法に関するウィーン条約31条1項に反するなどと主張する。 しかしながら,控訴人の上記主張は,原審の解釈を曲解するものである。原審は,日米租税条約5条4項(e)号の「その他の」準備的又は補助的な性格の活動という規定振りのみを根拠として,同項(a)号ないし(d)号が「準備的又は補助的な性格の活動」の例示であるとの解釈を導いているのはなく,これに加えて,同項(f)号が,同項(a)号ないし(e)号所掲の活動を組み合わせた活動について,同項(a)号ないし(e)号所掲の活動が「準備的又は補助的な性格」の活動であることを前提とした上で,各号を組み合わせることによって,その活動の全体が「準備的又は補助的な性格」を超える場合には,恒久的施設の対象から除外しない旨を規定したものと解するのが合理的であるとして,同項(f)号の内容をも根拠として,同項(a)号ないし(d)号が「準備的又は補助的な性格の活動」の例示であると解しているものである。 また,日米租税条約5条4項は,OECDモデル租税条約5条4項と同文であり,OECDモデル租税条約に準拠して定められたものであって,OECDコメンタリーに従うべきとされており,OECDコメンタリーは,条約法に関するウィーン条約32条の「解釈の補足的な手段」として,同条約31条の規定の適用により得られた意味を確認するなどのために依拠す コメンタリーに従うべきとされており,OECDコメンタリーは,条約法に関するウィーン条約32条の「解釈の補足的な手段」として,同条約31条の規定の適用により得られた意味を確認するなどのために依拠することができるものである。原審は,OECDモデル租税条約5条4項各号に関するOECDコメンタリーの記述を挙げて,日米租税条約5条4項(a)号ないし(d)号についての原審の解釈が,OECDモデルコメンタリーの上記記述と符合することを確認している。その判断手法は,条約法に関するウィーン条約32条に沿った合理的なものであり,原審の上記解釈がOECDコメンタリーに符合していることは,上記解釈を正当化する十分な根拠となるものである。 以上のとおり,原審は,日米租税条約5条4項各号の文理に照らし,同項(a)号ないし(d)号を「準備的又は補助的な性格の活動」の例示であると解釈したものであって,その文理解釈は,条約法に関するウィーン条約31条1項に何ら反するものではない。 イ本件アパート等が日米租税条約5条4項(a)号に該当しないこと(ア) 本件アパート等における活動の認定及び評価についてa 控訴人は,日本語取説書の同梱作業につき「引渡し」の範囲を超える活動とはいえないと主張する。 しかしながら,本件販売事業において,主たる顧客である日本国内居住者に米国から輸入した商品を販売するに当たり,日本語取説書を同梱する行為は,それ自体が商品価値を高める活動といえるのであって,本件販売事業の本質的かつ重要な部分を形成する活動を構成するから,準備的又は補助的な性格を超える活動といえるのであり,単に複数の商品を同梱し発送するなどの利便性を増すだけで商品価値を高めることのない行為とは,本質的に異なる。控訴人の上記主張は,本件販売事業における日本語取説書 な性格を超える活動といえるのであり,単に複数の商品を同梱し発送するなどの利便性を増すだけで商品価値を高めることのない行為とは,本質的に異なる。控訴人の上記主張は,本件販売事業における日本語取説書同梱作業の性質を見誤り,原審の判示を正解しないものであり,失当である。 b 控訴人は,不良品の返品受取り及び代替品の発送についても,「保管」又は「引渡し」の範囲を超えるものではないと主張する。 しかしながら,顧客から代替品の送付を要求されたのを受けて,代替品を提供するという一連の活動が,販売済みの商品に係る事後的な補完措置(アフター・サービス)であることは明らかであり,アフター・サービスとは商品の修理のみを指すかのような控訴人の主張は,失当である。 また,不良品が返品される過程において,その所有権がどの時点で売主に移転するかは,不良品の返品や代替品の提供という行為が販売済みの商品に係る事後的な補完機能を担っていることに何ら影響を与える事情ではなく,返品商品の所有権の移転に関する控訴人の主張も失当である。 仮に,控訴人主張のとおり,本件販売事業においては返品の発生が少ないとしても,本件アパート等が,不良品の返品受取り及び代替品の発送という商品販売後のアフター・サービスを行う機能を有していたとの事実は否定されず,返品の多寡に依拠する控訴人の主張も,失当である。 c 控訴人は,原審が,本件アパート等において平成20年4月以降商品の写真撮影が行われていたことのみを根拠として,本件アパート等の恒久的施設該当性を肯定したかのように主張する。 しかしながら,原審は,本件アパート等における商品の写真撮影業務のみならず,不良品の返品受取り及び代替品の発送業務についても検討を加え,本件アパート等における一連の活動及びその活動が本件販売事業 しかしながら,原審は,本件アパート等における商品の写真撮影業務のみならず,不良品の返品受取り及び代替品の発送業務についても検討を加え,本件アパート等における一連の活動及びその活動が本件販売事業において有する機能ないし重要性等を考慮した上で,本件アパート等が日米租税条約5条4項各号に該当しない旨を判示しているから,控訴人の上記主張は,原審の判示を正解しないものであり,前提において失当である。 (イ) 本件販売事業において本件アパート等が担っていた機能・役割の評価等a 「準備的又は補助的な性格の活動」か否かの判断は,「事業を行う一定の場所での活動が,本来,企業の全体としての活動の本質的かつ重要な部分を形成するか否か」を基準として行うべきであり,その活動の機能の側面から,当該活動が当該事業活動全体においていかなる機能を有するかとの観点で検討されるべきである。本件販売事業の事業形態は,日本国内の顧客に対し,原告ホームページ等のインターネットを通じて,本件アパート等にある在庫商品を販売するものであり,インターネットによる通信販売においては,企業のホームページに掲載された情報は,顧客が企業の信頼性を判断する手段として極めて重要な情報であるし,控訴人が利用していたP2やP3オークションが,日本国内に事業所があることを出品の条件とするなどしていたことからすれば,本件アパート等が原告ホームページ上で本件販売事業の所在地とされていたことは,顧客との関係においても,本件販売事業が行われているインターネット市場との関係においても,本件販売事業における極めて重要な要素であったといえる。本件アパート等においては,上記販売形態を前提として,同所に保管されていた在庫商品を管理し,発送準備をし,商品及び日本語取説書の梱包作業や運送会社への引渡しをするほ めて重要な要素であったといえる。本件アパート等においては,上記販売形態を前提として,同所に保管されていた在庫商品を管理し,発送準備をし,商品及び日本語取説書の梱包作業や運送会社への引渡しをするほか,顧客からの返品に対応する業務といった一連の事業活動が行われていたのであるから,本件アパートと本件倉庫は,このような一連の事業活動を行う場所として,一体となって,本件販売事業における重要な役割・機能を担っていたものといえる。本件アパートは,本件倉庫が賃借され,控訴人及び本件従業員による具体的な作業の場所が本件倉庫に移転した後も,本件倉庫と一体となって本件企業の活動を行う場所としての機能・役割を担っていたのであるから,本件アパートを販売拠点としたことや本件アパートと本件倉庫とを一体としてみることは,正当であり,原審の認定判断に誤りはない。原審の判示に誤りがあるとの控訴人の主張は,本件販売事業において本件アパートの担っていた機能・役割及び本件倉庫を含めた事業の在り方に係る評価を誤るものであり,失当である。 b なお,P1株式会社は,東京都目黒区を所在地とする日本法人であり,同社のホームページにおける特定商品取引法に基づく表示において,販売業者としては米国法人が表示されているが,日本での問い合わせ先として日本法人であるP1の上記所在地及び日本国内の電話番号が記載されているのであるから,同社を経営しているのが米国法人であるからといって,米国法人が米国に存在する小売業者として日本国内の顧客と取引を行ったような場合と同視することはできないし,顧客からみれば,同社が日本国内に所在地及び連絡先を有していると認識し得るのであって,これを重要な判断要素として取引しているものと推認することができ,その点において,本件販売事業の場合と変わりがないといえる れば,同社が日本国内に所在地及び連絡先を有していると認識し得るのであって,これを重要な判断要素として取引しているものと推認することができ,その点において,本件販売事業の場合と変わりがないといえる。また,顧客にとって重要な要素であるのは,取引相手である企業がホームページ上に日本国内の所在地及び連絡先を掲載している日本国内の企業かどうかという点であり,その住所が都市部にあるか小さな町にあるかによって,上記の点に関する顧客の判断が変わるものとは解されない。 したがって,これらの点に関する控訴人の主張も,失当である。 c 控訴人は,通信販売か対面販売かにかかわらず,販売事業において最も重要なのは,商品に関する顧客の関心を引き,顧客に注文をさせ,契約を締結させる過程であるところ,これらの業務は,控訴人の米国の事務所で行われていたから,本件アパート等における活動の重要性は高くない旨を主張する。 しかしながら,当該施設が当該事業全体に照らし本質的かつ重要な役割・機能を果たしていると判断される以上,別の場所における他の活動も重要な役割を果たすものであるからといって,それによって,当該施設における活動の意味合いが減殺されることにはならない。本件販売事業の本質は,本件アパート等に保管された在庫商品を,インターネットを通じて国内の顧客に販売することであるところ,本件アパート等は,その販売拠点として,本質的かつ重要な役割・機能を果たしていたといえるから,控訴人が主張するように他の活動と比較して,その役割・機能が本質的でないとか重要でないなどといい得るものではない。したがって,控訴人の上記主張は,失当である。 (2) 争点3(本件アパート等が恒久的施設に該当する場合において,日米租税条約7条に基づき課税できる所得の範囲はどこまでか。)について ものではない。したがって,控訴人の上記主張は,失当である。 (2) 争点3(本件アパート等が恒久的施設に該当する場合において,日米租税条約7条に基づき課税できる所得の範囲はどこまでか。)について(控訴人の補充主張)ア原審の日米租税条約7条1項及び2項の適用の誤り日米租税条約7条2項の適用に当たっては,本件アパート等が果たしていた具体的な機能と本件アパート等が負担していた経済的リスクを分析して,本件アパート等に利得を配分すべきところ,原審は,これらを分析することなく,本件アパート等で実際に行われていた活動以外の要素であって,本件アパート等の機能とはいい難いもの(本件アパートの住所及び電話番号がウェブサイト上に掲載されていたこと等)を重視して,本件アパート等を一体として控訴人の唯一の販売拠点に当たるとし,それを根拠として全ての所得を本件アパート等に配分しているのであって,日米租税条約7条1項及び2項の適用を誤っている。 本件アパート等においては控訴人及び本件従業員による現実の販売活動は一切行われておらず,本件アパート等は商品の仕入れ,仕入代金の支払,価格決定,受注,商品発送指図,代金の受領,顧客の問い合わせに対する対応に一切関わっていない。本件アパート等で行われていたのは,控訴人が発注した商品を保管し,控訴人が米国の事務所から発信した指図に従って商品を梱包し発送することだけであり,本件アパート等は,輸入販売業に関する主要な経営上のリスクである在庫リスク,為替リスク,代金回収リスクのいずれも負担していない。 控訴人は,米国の事務所において,インターネット機能(ウェブサイト,電子メール,電子バンキング等)を利用して顧客に対する商品情報の発信,受注,受注確認等の顧客とのやりとり,代金受領の確認等の事業活動を行ったと 国の事務所において,インターネット機能(ウェブサイト,電子メール,電子バンキング等)を利用して顧客に対する商品情報の発信,受注,受注確認等の顧客とのやりとり,代金受領の確認等の事業活動を行ったところ,原審は,控訴人がインターネット等を用いることにより米国に居ながらにして本件アパート等における事業活動を行っていたというべきであるから,控訴人が米国で上記活動を行ったことは,本件擬制企業が本件アパート等を販売拠点(事業所)として事業活動を行っていたことを否定すべき事情には当たらない旨判示する。 しかしながら,上記事業活動を行った場所は,控訴人が現実にこれらの活動を行った米国の事務所であって,インターネットを用いたからといって,インターネットを操作した人間の所在が不問に付されることはなく,ましてや,上記事業活動が,上記インターネットの通信内容に関与することのない本件アパート等における事業活動という性格を帯びることはあり得ない。 以上からすれば,仮に,本件アパート等が恒久的施設に該当するとして日米租税条約7条2項を本件に適用する場合には,本件アパート等について擬制すべき企業は,販売事業を行う他の企業から注文を受けて商品の保管及び発送(宅配業者に荷物を引き渡す)サービスのみを行う倉庫業者であり,課税の対象となる本件アパート等に帰せられる利得は,①米国の事務所において,顧客に対して商品情報を発信し,注文を受け付け,受注の確認連絡を行い,顧客とのその他のやりとりを行い,代金の受領の確認等の販売活動を行う控訴人という企業と,②日本において控訴人からの指示を受け商品の保管,発送を行う本件アパート等という企業とが,独立の立場で取引を行った場合に,本件アパート等が得たであろう利得ということになる。 以上と異なり,原審が,本件アパート等につき, の指示を受け商品の保管,発送を行う本件アパート等という企業とが,独立の立場で取引を行った場合に,本件アパート等が得たであろう利得ということになる。 以上と異なり,原審が,本件アパート等につき,これを販売拠点として販売活動をする企業を擬制して,全ての所得を本件アパート等に配分したことは,日米租税条約7条1項及び2項の解釈適用を誤ったものである。 イ原審の日米租税条約7条4項ただし書きの適用の誤り日米租税条約7条4項ただし書きは,国内法によって認められる推計課税の方法を否定するものでないが,同項によって認められる推計課税は,当局が入手できる情報を基礎として,同条が定める課税原則に反しない範囲で行わなければならないものと解される。 原審は,本件アパート等について,本件アパート等を販売拠点として販売活動をする企業を擬制し,同企業に配分される所得金額を実額で計算することができないとして,推計課税の方法を用いているが,上記の擬制及びこれを前提とする本件アパート等への利得の配分は,日米租税条約7条2項に反するから,上記擬制を前提とした推計課税は,同条4項ただし書きにより許されない。 ウ所得の存在及び金額の主張立証がないこと仮に,本件アパート等が恒久的施設に該当するとすれば,本件アパート等において現実に行われた活動の内容と同等の保管活動及び発送活動を独立の企業が行った場合に得ることができるとみられる利得(商品の保管及び発送業務に支払われる手数料から人件費・固定費・その他諸費用を差し引いたわずかな金額)が,本件アパート等に帰属する。このような所得の推計は,本件アパート等における活動と同一又は類似の規模,同一又は類似の内容の活動を行う倉庫業者の利得と比較する方法によって行うことが可能であり,日米租税条約上もそのような方法が予定 のような所得の推計は,本件アパート等における活動と同一又は類似の規模,同一又は類似の内容の活動を行う倉庫業者の利得と比較する方法によって行うことが可能であり,日米租税条約上もそのような方法が予定されている。 ところが,被控訴人は,日米租税条約7条2項に従った方法によって本件アパート等に帰属する所得の存在及び金額を主張立証していない。 したがって,本件アパート等に帰属する所得の存在及び金額については,存在しないものと扱うほかないため,本件各処分は全て取り消されるべきである。 (被控訴人の補充主張)ア控訴人は,本件擬制企業として,商品の保管及び発送サービスのみを行う倉庫業者を想定すべきであると主張する。 しかしながら,本件アパート等は,本件販売事業の本質的かつ重要な部分を形成する一連の活動を行っていたのであり,その役割や機能等に照らせば,本件販売事業は全て本件アパート等が関与して行われたものといえる。本件アパート等の役割は,控訴人の主張するような倉庫業者の役割とは全く異なるものであり,上記主張は,失当である。 イ控訴人は,原審による本件アパート等についての企業の擬制及びこれを前提とする本件アパート等への利得の配分は日米租税条約7条2項に反するから,上記擬制を前提とする推計課税は,同条4項ただし書きにより許されないと主張する。 しかしながら,原審の上記擬制等は日米租税条約7条2項に反するものではなく,控訴人の上記主張は,失当である。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,①本件アパート等は日米租税条約5条4項各号に該当せず,同条1項の「恒久的施設」に該当し,②控訴人の所得のうち日米租税条約7条に基づき本邦において課税対象とされる所得は,同条2項及び3項に基づき,本件アパート等を控訴人と独立の立場にある企業(本件 ず,同条1項の「恒久的施設」に該当し,②控訴人の所得のうち日米租税条約7条に基づき本邦において課税対象とされる所得は,同条2項及び3項に基づき,本件アパート等を控訴人と独立の立場にある企業(本件擬制企業)と擬制した上で,本件販売事業により生じた国内源泉所得を本件擬制企業に配分することにより算定すべきであり,本件擬制企業が本件アパート等を販売拠点として事業活動(販売活動)をした場合に取得したとみられる利得が,本件擬制企業に配分されるべき国内源泉所得であるが,③本件擬制企業に配分されるべき所得金額は,控訴人が本件販売事業における所得金額等を申告せず,税務署職員の帳簿書類提出要求を拒絶した等の事情から,実額で計算することができないため,推計する必要があり,処分行政庁が推計した所得金額は,合理的な推計方法によるものであるから適正であり,本件各所得税決定処分及びこれらを前提とする本件各賦課決定処分は,いずれも適法であって,控訴人の請求をいずれも棄却すべきであると判断する。その理由は,後記2のとおり「当審における当事者の補充主張に対する判断」を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」第4に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 当審における当事者の補充主張に対する判断(1) 争点2(本件アパート等は,日米租税条約5条の規定する恒久的施設に該当するか否か(本件アパート等は,同条4項(a)号により恒久的施設から除外すべきものに該当するか否か。))に関する当事者の補充主張についてア日米租税条約5条4項(a)号の意義について(ア) 原判決の「事実及び理由」第4の2(2)ア(イ)b説示のとおり,日米租税条約5条4項は,OECDモデル租税条約5条4項と同文であり,OECDモデル租税条約に準拠して定められたものであるところ,控訴人は, の「事実及び理由」第4の2(2)ア(イ)b説示のとおり,日米租税条約5条4項は,OECDモデル租税条約5条4項と同文であり,OECDモデル租税条約に準拠して定められたものであるところ,控訴人は,日米租税条約5条4項(a)号に該当するためには当該場所での活動が準備的又は補助的な性格であることを要するとする原審の解釈は,OECDモデル租税条約5条4項各号に関する国際的に一般的な解釈に反し誤ったものであるとし,その根拠の一つとして,2012年報告書の見解を挙げ,OECDモデル租税条約5条4項(a)号ないし(d)号及び日米租税条約5条4項(a)号ないし(d)号の解釈に当たっては,2012年報告書を,OECDコメンタリーと同様に,条約法に関するウィーン条約32条の「解釈の補足的な手段」として参照すべきであると主張する。 (イ) しかしながら,原判決の「事実及び理由」第4の2(2)ア(ウ)cの認定事実及び証拠(甲24,45,乙44ないし48)並びに弁論の全趣旨によれば,①2012年報告書は,OECDが,OECDモデル租税条約5条(恒久的施設)の解釈及び適用に関する討議草案の改訂版について,関連当事者に追加コメントを求めることを目的として公表したものであって,上記討議草案の改訂版は,OECD及びOECD加盟国の最終意見を必ずしも反映したものではなく,これに対する関連当事者の追加コメントを2013年3月の作業部会会合において検討し,検討結果を2014年のOECDモデル租税条約に改訂事項として盛り込むことが予定されていたこと,②2012年報告書には,OECDの租税委員会の下に設置された第1作業部会が作成したOECDモデル租税条約5条の解釈と適用に関する勧告に係る修正版が記載されており,同修正版には,同条4項(e)号及び(f)号で明示されている ECDの租税委員会の下に設置された第1作業部会が作成したOECDモデル租税条約5条の解釈と適用に関する勧告に係る修正版が記載されており,同修正版には,同条4項(e)号及び(f)号で明示されている準備的又は補助的な性格の活動でなければならないとの条件を満たすことが,同項(a)号ないし(d)号を適用するためにも必要であるという解釈は,(a)号ないし(d)号の条文と適合しないため,OECDコメンタリーを改定し,同項(a)号ないし(d)号を適用するために「準備的又は補助的な性格を有する活動」であることという追加的な条件は該当しない旨を明らかにすべきであるとの意見が述べられていること,③上記討議草案(改訂版)の検討を経て改定された2014年のOECDモデル租税条約及びOECDコメンタリー(2014年)には,上記②の意見は反映されず,OECDコメンタリー(2014年)におけるOECDモデル租税条約5条4項各号に関する記述は,OECDコメンタリー(2003年)のそれと同文であって,同項各号につき,準備的又は補助的な性格の活動であることを要するとの解釈を示していることが認められる。 上記認定のとおり,OECDコメンタリーは,OECDモデル租税条約5条4項各号につき,平成15年(2003年)から平成26年(2014年)まで一貫して,準備的又は補助的な性格の活動であることを要すると解する立場を採り続けており,これと異なる2012年報告書の上記②の意見は,OECDの租税委員会の作業部会が,平成24年当時行われていたOECDモデル租税条約及びコメンタリーの改訂のための検討作業において,コメンタリーの改訂案として,OECDモデル租税条約5条4項(a)号ないし(d)号に関する従来の解釈を変更することを提案したものであるが,上記意見は,その後の検討の結 改訂のための検討作業において,コメンタリーの改訂案として,OECDモデル租税条約5条4項(a)号ないし(d)号に関する従来の解釈を変更することを提案したものであるが,上記意見は,その後の検討の結果,採用されなかったのであるから,同項(a)号ないし(d)号及びこれに倣った日米租税条約5条4項(a)号ないし(d)号の解釈に当たり,2012年報告書ないし上記意見を,OECDコメンタリーと同様に,条約の準備作業等に匹敵するものであり,条約法に関するウィーン条約32条の「解釈の補足的な手段」に当たるものと評価することはできない。 したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない。また,上記認定事実に照らすと,2012年報告書が引用する2004年報告書の記述を根拠として,OECDがOECDモデル租税条約5条4項(a)号ないし(d)号につき2004年当時から準備的又は補助的な性格の活動であることを要しないと解していたとの控訴人の主張も,採用することができない。 (ウ) 控訴人は,原審の日米租税条約5条4項(a)号の解釈につき,1963年のOECDモデル租税条約草案5条3項(e)号の規定及びその後のOECDモデル租税条約が定められた経緯に照らし,誤りであるとも主張する。 証拠(甲31,51)及び弁論の全趣旨によれば,1963年のOECDモデル租税条約草案5条3項(a)号ない(d)号の規定は,OECDモデル租税条約5条4項(a)号ないし(d)号の規定とほぼ同文であり,上記草案5条3項(e)号は「企業のためもっぱら広告,情報の提供,科学的調査又はこれらに類する準備的若しくは補助的性質の活動を行うため事業を行う一定の場所を保有すること」と規定していたことが認められるが,上記草案5条3項(a)号ないし(d)号の意義や同項(e)号との関係 又はこれらに類する準備的若しくは補助的性質の活動を行うため事業を行う一定の場所を保有すること」と規定していたことが認められるが,上記草案5条3項(a)号ないし(d)号の意義や同項(e)号との関係につき,控訴人主張の解釈が一般的であったことをうかがわせる証拠はなく,むしろ,証拠(乙36)によれば,上記草案のコメンタリー及びその解説書は,上記草案5条3項(e)号の「これらに類する準備的若しくは補助的性質の活動」との文言につき,同号の規定を,恒久的施設の一般規定である1項に対する一般化された除外規定たらしめるものであると解していたことが認められ,上記草案5条3項についても,恒久的施設から除外されるためには,その場所で行われる活動が準備的又は補助的な性質の活動でなければならないことを規定するものであるとの解釈が一般的であったことが認められる。 したがって,控訴人の上記主張も,上記認定事実に照らし,採用することができない。 (エ) 控訴人は,原審の解釈によれば,発展途上国の課税権限を広く認めるために物品又は商品の「引渡し」を行う施設(倉庫)を恒久的施設から除外しないこととした国連モデル租税条約5条4項(a)号の適用範囲と,OECDモデル租税条約5条4項(a)号の適用範囲とが,(e)号が同文であるために,同じになり,上記差異が設けられた意味が失われ,また,日米租税条約の締結に当たり,あえてOECDモデル租税条約型の条文を選択した我が国及び米国の課税権の範囲に関する政策的合意に反するとも主張する。 しかしながら,発展途上国の課税権限を広く認めるという趣旨目的に資する解釈かどうかは,上記目的を掲げる国連モデル租税条約5条4項の解釈適用について検討すべき事柄であって,上記目的のための規定ではないOECDモデル租税条約5条4項の解釈におい るという趣旨目的に資する解釈かどうかは,上記目的を掲げる国連モデル租税条約5条4項の解釈適用について検討すべき事柄であって,上記目的のための規定ではないOECDモデル租税条約5条4項の解釈において考慮すべき事柄ではない。また,OECDコメンタリーがOECDモデル租税条約5条4項各号につき,一貫して,準備的又は補助的な性格の活動であることを要するとの解釈を採り続けてきたことは,上記(イ)のとおりであって,我が国及び米国が,日米租税条約の締結に当たり,OECDコメンタリーの上記解釈を参照しこれを前提としていることは,いうまでもないから,原審の解釈が,日米租税条約締結時に両国間で成立した課税権の範囲に関する政策的合意に反するとの控訴人の主張は,採用の余地がない。 (オ) 控訴人は,国際租税法及び租税条約に関する重要かつ基本的な文献である新ベーカー文献及びフォーゲル文献には,原審の解釈に反する記載があると主張するが,証拠(甲32,33,乙36)及び弁論の全趣旨によれば,新ベーカー文献のうち控訴人が指摘する部分は,その前の部分も含めて読むと,OECDモデル租税条約5条4項につき,原審の解釈に反する見解を記述するものではないこと,フォーゲル文献も,控訴人の指摘する部分の前後の部分も含めて読むと,原審の解釈に反する見解を記述するものでないことが認められる。 上記認定事実に照らすと,上記各文献に原審の解釈に反する記載があることを理由に,原審の解釈がOECDモデル租税条約5条4項各号に関する国際的に一般的な解釈に反するとの控訴人の主張も,採用することができない。 (カ) 控訴人は,原審の日米租税条約5条4項(a)号の解釈は文理解釈の限界を超えるものであり,条約法に関するウィーン条約31条1項に反しており,OECDコメンタリーにも上記解釈を とができない。 (カ) 控訴人は,原審の日米租税条約5条4項(a)号の解釈は文理解釈の限界を超えるものであり,条約法に関するウィーン条約31条1項に反しており,OECDコメンタリーにも上記解釈を支持する記載はないと主張する。 しかしながら,原審は,日米租税条約5条4項(e)号の「その他の」準備的又は補助的な性格の活動という規定振りに加えて,同項(f)号が,同項(a)号ないし(e)号所掲の活動を組み合わせた活動について,あえて「準備的又は補助的な性格」のものである場合に限ると限定を付していることを根拠として,同項(a)号ないし(d)号は「準備的又は補助的な性格の活動」の例示であり,同項(f)号ただし書きは,同項(a)号ないし同項(e)号所掲の活動が「準備的又は補助的な性格」の活動であることを前提として,各号の活動を組み合わせた活動全体が「準備的又は補助的な性格」を超える場合につき,恒久的施設の対象から除外しない旨を規定したものと解したものであって,その文理解釈に,文理に反し又は文理を超えた不合理的な点はない。したがって,原審の解釈が条約法に関するウィーン条約31条1項に反するとの控訴人の主張は,採用することができない。 そして,原判決の「事実及び理由」第4の2(2)ア(イ)bの説示のとおり,課税当局は,OECD理事会の勧告により,日米租税条約の解釈適用においてOECDコメンタリーに従うべきものとされており,また,OECDコメンタリーは,日米租税条約の解釈適用に当たり,条約法に関するウィーン条約32条の「解釈の補足的な手段」として,同条約31条の規定の適用により得られた意味を確認するなどのために依拠することができるものであるところ,上記(ア)で説示したとおり,原審の日米租税条約5条4項各号の解釈は,OECDコメンタリーに示され 約31条の規定の適用により得られた意味を確認するなどのために依拠することができるものであるところ,上記(ア)で説示したとおり,原審の日米租税条約5条4項各号の解釈は,OECDコメンタリーに示されているOECDモデル租税条約5条4項各号の解釈と符合するものといえるから,原審の上記解釈は,この点からしても正当なものといえる。 OECDコメンタリーに原審の解釈を支持する記載がないとの控訴人の主張は,上記認定説示したところに照らし,採用することができない。 イ日米租税条約5条4項(a)号の適用について(ア) 控訴人は,本件アパート等において行われていた活動(①商品の受取り・保管業務,②商品の梱包・発送業務,③返品された商品の受取り・代替品の発送業務等,④商品写真の撮影(平成20年4月頃以降のみ))は,日米租税条約5条4項(a)号の「商品の保管」又は「引渡し」に当たり,販売活動には当たらず,販売活動に当たる行為は,販売事業において最も重要な過程である商品に対する顧客の関心を引き,注文をさせ,契約を締結させることを含めて,全て,米国の事務所において控訴人自身によって行われていたから,本件アパート等を本件販売事業における販売拠点(事業所)であるとした原審の判断は,事実の評価ないし同号の適用を誤ったものであると主張する。 (イ) しかしながら,前記説示のとおり,日米租税条約5条4項(a)号に該当するためには,当該場所で行われる活動が「準備的又は補助的な性格の活動」であることを要すると解されるのであって,原審は上記解釈を前提として,本件アパート等における活動が「準備的又は補助的な性格の性格」のものかどうかという観点から,本件アパート等の同号該当性を検討しているのであるから,本件アパート等で行われる物理的な行為が「商品の保管」又は「引渡 等における活動が「準備的又は補助的な性格の性格」のものかどうかという観点から,本件アパート等の同号該当性を検討しているのであるから,本件アパート等で行われる物理的な行為が「商品の保管」又は「引渡し」であることを根拠として本件アパート等の同号該当性に関する原審の判断の誤りをいう控訴人の主張は,誤った解釈を前提とするものであり,失当といわざるを得ない。 (ウ) 証拠(乙9)によれば,OECDコメンタリー(2003年)は,パラグラフ24において,準備的又は補助的な性格を有する活動とそうでない活動とを区別する決定的基準は,事業を行う一定の場所での活動が,本来,企業の全体としての活動の本質的かつ重要な部分を形成するか否かであるとしており,その一般的な目的が当該企業全体の一般的目的と同一であるような事業を行う一定の場所は,準備的又は補助的な活動を行うわけではないとしていることが認められるから,日米租税条約5条4項各号を適用するに当たり,ある場所における活動が「準備的又は補助的な性格を有する活動」かどうかを判断するに際しても,当該活動が企業の全体としての活動の本質的かつ重要な部分を形成しているかどうかという観点から検討するのが相当である。 原審も,原判決の「事実及び理由」第4の2(2)エ(イ)cで説示するとおり,業務が準備的又は補助的な性格のものであるか否かを,事業全体における役割・機能に鑑みて判断する立場に立つものである。 そして,上記の観点から,本件アパート等において行われていた活動が本件販売事業の全体において果たしていた役割・機能,重要性についてみる場合,確かに,原判決の「事実及び理由」第4の1の認定事実によれば,控訴人が米国に居住するようになった平成16年10月以降,本件販売事業においては,仕入れ,顧客の注文に対し商品の在 性についてみる場合,確かに,原判決の「事実及び理由」第4の1の認定事実によれば,控訴人が米国に居住するようになった平成16年10月以降,本件販売事業においては,仕入れ,顧客の注文に対し商品の在庫を確認した上で受注確認のメールを送信する行為,商品発送の指示のメールを送信する行為,在庫管理等は,米国において控訴人により行われていたことが認められるが(なお,控訴人が上記行為等を行ったと主張する米国の事務所の所在地は明らかでなく,上記事務所の存在を認めるに足りる証拠はない。),その一方で,上記認定事実によれば,控訴人は,原告ホームページには本件企業の所在地及び連絡先等として本件アパートの所在地及び本件電話番号等を表示し,控訴人の米国の住所等は記載していなかった上,商品の発送元としても本件アパートを表示し,商品の返品先についても本件アパートを指定していたものであって,本件販売事業の事業主体の所在地として顧客が認識できる場所は,本件アパートのみであったことが認められる。そして,インターネットの通信販売という本件販売事業の特質に照らせば,顧客にとって本件企業の所在地及び連絡先が日本国内(本件アパート)にあることは,取引を行うかどうかを決定する際の考慮要素である当該企業の信用性の程度,万一取引をめぐってトラブルが生じた場合の交渉や責任追及の便宜等に影響を及ぼす事項であって,原判決の「事実及び理由」第4の2(2)ウ(ア)b(a)の説示のとおり,取引を行う際の重要な判断要素の一つであるといえる。また,原判決の「事実及び理由」第4の2(2)ウ(ア)b⒞の説示のとおり,P2は日本国内に事業所があることを出品の条件とし,P3オークションは日本国内の事業者が出品していることをP3補償制度を利用するための条件としていたのであるから,P2及びP3オークショ 示のとおり,P2は日本国内に事業所があることを出品の条件とし,P3オークションは日本国内の事業者が出品していることをP3補償制度を利用するための条件としていたのであるから,P2及びP3オークションを通じて販売活動を行っていた本件企業にとって,本件企業の所在地が日本国内(本件アパート)であることは,これらのインターネット市場を利用して集客を行うために満たしておかなければならない不可欠な条件であって,販売活動を行う上で相当に重要な要素であったといえる。 そして,原判決の「事実及び理由」第4の2(2)イ(イ)の説示のとおり,本件企業においては,本件倉庫を賃借し商品の保管,梱包,発送等を本件倉庫で行うようになった後も,原告ホームページ等において本件企業の所在場所として本件アパートを掲載し,商品の発送元としても本件アパートを表示し,顧客が返品を希望した場合には本件アパート宛てに商品を発送させ,転送届により本件アパートから転送された商品を本件倉庫において受け取っていたのであって,これらの事実からすれば,本件アパートは,本件倉庫が賃借され,控訴人及び本件従業員による具体的な作業の場所が本件倉庫に移転した後においても,本件倉庫と一体となって,本件企業としての活動を行う場所としての機能・役割を担っていたということができる。 以上のとおり,本件アパートは,顧客にとって本件販売事業の事業主体(本件企業)の所在地として認識できる唯一の場所であり,本件企業にとって,その所在地を日本国内(本件アパート)とすることは,顧客からの信頼を得る上でも,インターネット市場を利用した集客を行う上でも不可欠の条件であって,販売活動に行う上で極めて重要な要素であったところ,本件企業は,このように販売活動上極めて重要な意味を持つ場所である本件アパートと本件倉庫とを一 市場を利用した集客を行う上でも不可欠の条件であって,販売活動に行う上で極めて重要な要素であったところ,本件企業は,このように販売活動上極めて重要な意味を持つ場所である本件アパートと本件倉庫とを一体的に利用して本件販売事業に不可欠な商品の受取り,保管,梱包,発送,返品された商品の受取り,代替品の発送といった業務を行い,併せて商品写真の撮影をも行っていたのであるから,そこで行われていた具体的な活動が基本的には「商品の保管」及び「引渡し」を中心とするものであることや,本件販売事業上重要なその他の業務(仕入れ,受注ないし受注確認,商品発送指示,在庫管理等)が本件アパート等以外の場所(米国)で行われていたこと等,控訴人が指摘する事実を勘案してもなお,本件アパート等で行われる活動が本件販売事業全体において果たす役割,機能は,本質的で重要なものであると評価することができる。したがって,本件アパート等で行われる活動は「準備的又は補助的な性格」ものにとどまらないとした原審の事実の評価に誤りはなく,本件アパート等は日米租税条約5条4項各号に該当しないとした原審の判断に同号の適用の誤りはないというべきである。 (エ) なお,控訴人は,日本語取説書の同梱作業,不良品の返品受取り及び代替品の発送は,商品の「引渡し」の範囲を超える活動とはいえず,また,商品の写真撮影は商品の「保管」に当たるとも主張するが,これらの活動について,単なる「保管」又は「引渡し」の範囲を超えるものであるとの原審の評価に誤りはない。また,上記までに説示したところに照らせば,これらの活動が「商品の引渡し」や「保管」に当たるとしても,そのことによって,本件アパート等で行われる活動の本件販売事業全体において果たす役割,機能の重要性が失われるものではなく,控訴人の上記主張は,本件アパー 「商品の引渡し」や「保管」に当たるとしても,そのことによって,本件アパート等で行われる活動の本件販売事業全体において果たす役割,機能の重要性が失われるものではなく,控訴人の上記主張は,本件アパート等で行われる活動が「準備的又は補助的な性格」ものにとどまらないとした原審の事実の評価,本件アパート等は日米租税条約5条4項各号に該当しないとした原審の判断を左右するものではない。 (2) 争点3(本件アパート等が恒久的施設に該当する場合において,日米租税条約7条に基づき課税できる所得の範囲はどこまでか。)に関する当事者の補充主張についてア控訴人は,日米租税条約7条2項の適用に当たっては,本件擬制企業として,商品の保管及び発送サービスのみを行う倉庫業者を想定すべきであると主張する。 しかしながら,前記説示のとおり,本件アパート等において行われていた活動は,本件販売事業全体において本質的で重要な役割,機能を果たしていたのであり,その役割,機能,とりわけ,本件アパートは,対外的に,本件販売事業の事業主体である本件企業の唯一の所在地として機能していたことに照らすと,本件販売事業は全て本件アパート等が関与して行われたものと認めるのが相当であり,これを前提とした原審の本件アパート等についての企業の擬制に誤りはない。 本件アパート等の役割を,控訴人の主張するような倉庫業者の役割と同視することはできず,上記主張は,上記役割,機能の評価を誤るものというべきであって,原審の上記判断を左右するに足りない。 イ控訴人は,原審による本件アパート等についての企業の擬制及びこれを前提とする本件アパート等への利得の配分は日米租税条約7条2項に反するから,上記擬制を前提とする推計課税は,同条4項ただし書きにより許されないと主張するが,原審が本件アパート等 企業の擬制及びこれを前提とする本件アパート等への利得の配分は日米租税条約7条2項に反するから,上記擬制を前提とする推計課税は,同条4項ただし書きにより許されないと主張するが,原審が本件アパート等についてした企業の擬制等が日米租税条約7条2項に反するものでないことは,上記アで説示したとおりであるから,控訴人の上記主張は,前提を欠くものであり,採用することができない。 控訴人は,日米租税条約7条2項を適用して本件販売事業により本件企業が得た利得のうち本件アパート等に帰属する部分は,本件アパート等において現実に行われた活動の内容と同等の保管活動及び発送活動を独立の企業が行った場合に得ることができるとみられる利得(商品の保管及び発送業務に支払われる手数料から人件費・固定費・その他諸費用を差し引いたわずかな金額)であり,本件各所得税決定処分を行うに当たっては,このような所得を,本件アパート等における活動と同一又は類似の規模,同一又は類似の内容の活動を行う倉庫業者の利得と比較する方法によって推計すべきところ,被控訴人は上記の方法による所得金額の主張立証をしていないと主張する。 しかしながら,本件で日米租税条約7条2項を適用するに当たり,本件アパート等について,上記のような商品の保管及び発送サービスのみを行う倉庫業者を企業として擬制すべきでないことは,前記アで説示したとおりであるから,控訴人の上記主張も,その前提を誤る失当なものというべきである。 そして,本件販売事業により本件企業が得た利得のうち本件アパート等に帰属する部分を算定するに当たり,被控訴人が採用した推計方法に合理性があり,推計の必要性もあったことは,原判決の「事実及び理由」第4の2(3)の説示のとおりであり,上記推計により算出された被控訴人主張の各所得金額は,適正なも り,被控訴人が採用した推計方法に合理性があり,推計の必要性もあったことは,原判決の「事実及び理由」第4の2(3)の説示のとおりであり,上記推計により算出された被控訴人主張の各所得金額は,適正なものといえる。 3 結論以上によれば,本件各処分は適法であり,控訴人の請求はいずれも理由がない。よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第14民事部 裁判長裁判官富田善範 裁判官武田美和子 裁判官南部潤一郎

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