平成2(行ス)4 執行停止申立却下決定に対する抗告事件

裁判年月日・裁判所
平成2年5月10日 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      一 本件抗告を棄却する。      二 抗告費用は抗告人の負担とする。          理    由  一 抗告の趣旨  1 前橋地方裁判所平成二年(行カ)第一号抗告受理事件

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判決文本文3,677 文字)

主文 一本件抗告を棄却する。 二抗告費用は抗告人の負担とする。 理由 一抗告の趣旨 1 前橋地方裁判所平成二年(行カ)第一号抗告受理事件について、同裁判所が平成二年三月二二日にした決定(以下「再度の考案による決定」という。)を取り消す。 2 群馬県伊勢崎市議会議員A解職請求署名簿の署名の効力に関し、抗告人からした異議申立について、相手方が平成元年一二月一九日付でした異議棄却決定に基づく手続の続行は、前橋地方裁判所平成元年(行ウ)第一一号解職請求者署名の署名の効力に関する異議棄却決定取消等請求事件の判決確定に至るまでこれを停止する。 3 申立費用及び本件手続費用は全部相手方の負担とする。 二抗告の理由(省略)三当裁判所の判断<要旨>1 普通地方公共団体の議会の議員に対する解職請求についての署名簿の署名の効力に関する争訟(地方自</要旨>治法八〇条四項、七四条の二第八項)は、署名簿の有効署名の総数が解職請求に必要な法定数に達するかどうかの確定を目的とするものではなく、個々の署名の効力の確定を目的とするものであるから、その審理の対象は個々の署名の効力の有無であつて、署名簿の有効署名の総数が解職請求に必要な法定数に達するかどうかではない。したがって、解職請求についての署名簿の署名の効力に関する争訟を本案とする執行停止の申立てにおいて、単に有効署名者の総数が解職請求に必要な法定数を超えるからといって、「本案について理由がない」ということはできない。 2 ところで、相手方(伊勢崎市選挙管理委員会)が有効とした抗告人に対する解職請求についての署名簿の署名中に、署名簿の署名に関する争訟において無効とされるべきものが多数あって、その有効署名の総数が解職請求に必要な法定数を欠き 市選挙管理委員会)が有効とした抗告人に対する解職請求についての署名簿の署名中に、署名簿の署名に関する争訟において無効とされるべきものが多数あって、その有効署名の総数が解職請求に必要な法定数を欠き、本来抗告人の伊勢崎市議会議員解職投票を行うことが許されないにもかかわらず、これが行われる場合には、その結果いかんによっては抗告人が伊勢崎市議会議員としての地位を失うおそれがあり、仮に後日本案の訴訟において勝訴したとしても、抗告人は回復の困難な損害を被ることになるものと一応考えられる。しかしながら、もし仮に本案における署名簿の署名の効力の確定の結果、有効署名の総数が法定数を上回る場合には、結局解職投票の行われることを妨げることはできず、右の損害を被ることを免れることはできないのであるから、抗告人としては、本件執行停止申立事件において、相手方が有効とした署名が本案において無効とされ、その結果有効署名の総数が法定数を欠くことになるのが明らかであることを疎明しない限り、回復の困難な損害を避けるための必要性があるということはできず、執行停止の要件を欠くものというべきである。 3 そこで、右の見地から本件執行停止申立てについて検討する。 一件記録によれば、伊勢崎市において選挙権を有する者の総数は、八万二五五一名で、市議会議員の解職請求に必要な法定署名数は二万七五一七名であり、相手方が有効と判断した署名数は三万二三二四名であるから、本案において四八〇八名以上の署名が無効とされれば、抗告人の解職請求に必要な法定署名数を欠くことになるものと認められる。 抗告人は、相手方が有効と判断した署名について、「1」署名年月日、生年月日、住所等署名の要件を欠くために無効とされるべき者四一三名(意見書その1及びその2において、四一四名とするも、意見書その2添付一覧表(2 相手方が有効と判断した署名について、「1」署名年月日、生年月日、住所等署名の要件を欠くために無効とされるべき者四一三名(意見書その1及びその2において、四一四名とするも、意見書その2添付一覧表(28)の小計一三名を一四名と違算したことによる誤記と認める。)の署名、「2」署名の内容が不実であって無効とされるべき者三四名(意見書その3)の署名、「3」明らかに同一筆跡署名であって無効とされるべき者二四六名(意見書その1及びその7において、二五〇名とするも、意見書その7添付一覧表五枚目の小計五名を九名と違算したことによる誤記と認める。)の署名、「4」相手方が有効と判定した署名の名義人のうち二万九四九五名に対し往復はがきをもって照会して得た四七〇六通の回答により明らかとなった、第三者収集のため無効とされるべき者六九六名(意見書その5)及び偽造により無効とされるべき者三三一名(意見書その6)の各署名を基礎として、右照会者のうちから不着数を除いた二万九二五四名中に存在すると推定される第三者収集により無効とされるべき者四三二六名及び偽造により無効とされるべき者二〇五七名(意見書その一の二2(四))の各署名、その他無効とされるべき者(意見書(その4)の雑表にのみ該当する者)三八名の署名、「5」その他偽造により無効とされるべき者二四名(意見書その8)の署名があり、これら無効署名を控除すれば解職請求に必要な法定署名数を欠くことが明らかであると主張する。 しかしながら、右「1」ないし「3」及び「5」はともかく、右「4」における無効署名数の推計についてみると、署名簿の署名の効力に関する争訟は前記のとおり個々の署名の効力の有無を対象とするものであって、個々の署名について地方自治法七四条の三第一、第二項所定の無効事由があるかどうかによってその効力が判定されるべ の署名の効力に関する争訟は前記のとおり個々の署名の効力の有無を対象とするものであって、個々の署名について地方自治法七四条の三第一、第二項所定の無効事由があるかどうかによってその効力が判定されるべきものであるから、単に有効とされた署名中に無効な署名が混入している(いわゆる潜在的無効)ことが認められるというだけでは個々の署名を無効とすることはできず(どの署名を無効とすべきかが明らかでない。)、したがって、抗告人主張のように個々の署名を特定せずに有効とされた署名中に無効とされるべき署名が存在することが推定されるというだけでは、本案において署名が無効とされることはないものというべきであって、抗告人主張の推計にかかる無効署名数をもって本案において無効とされる署名数とすることはできず、せいぜい、推計の基礎とされた回答の結果、現実に個々の署名名義人について無効とされることとなるべき署名の数をもって無効署名の数とすることができるにすぎないものというべきである。そうすると、抗告人が無効であると主張する署名(ただし、「4」については右のとおり推計の基礎とされた署名)が全部本案において無効とされるものと仮定しても(右「1」の要件欠缺及び「2」の内容不実で無効と主張されるもののうちには生年月日、住所等についての記載が不完全でも署名者が選挙人名簿の登載者であることが判定できる程度に記載されているのでこれを無効とすべきでないものがあり、また「3」の同一筆跡で無効と主張されるもののうちでも同一筆跡と認め難いものがあり、また「4」のその他三八名の署名については匿名の回答によるものと認められるので本案において無効とされるべき署名を特定することができず、無効とすることができないと考えられるし、また「4」の偽造により無効と主張されている三三一名の署名中には詐欺又は強迫に るものと認められるので本案において無効とされるべき署名を特定することができず、無効とすることができないと考えられるし、また「4」の偽造により無効と主張されている三三一名の署名中には詐欺又は強迫による署名が含まれており、これらについて本人から相手方(伊勢崎市選挙管理委員会)に対し異議が申し立てられた形跡はうかがわれないから、これについて無効とすることができない(地方自治法七四条の三第二項参照)と考えられるので、全部をもって本案において無効とされる署名とすることはできないところではあるが)、その数は一七八二名であり、これを控除しても、結局解職請求に必要な有効署名数を欠くことにならないことは明らかである。 その他、本案において相手方が有効とした署名が無効とされるの結果有効署名の総数が解職請求に必要な法定数を欠くにいたることを一応認めるに足りる疎明はない。 4 そうすると、抗告人において回復困難な損害を避けるための必要性があることの疎明がないことに帰するから、抗告人の本件執行停止の申立てはその要件を欠き、これを却下すべきものである。 5 よって、これと結論を同じくする再度の考案による決定は相当であり、本件抗告は理由がないからこれを棄却することとし、抗告費用はこれを申立人に負担させるこしとして、主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官越山安久裁判官赤塚信雄裁判官桐ヶ谷敬三)

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