【DRY-RUN】主 文 原判決を取消す。 被控訴人が、福岡労委昭和四二年(不)第二六号不当労働行為救済申立事件につい て、同四七年四月二六日付でした「北九州市交通事業管理者交通局長Aは、同四二 年八月二日付で行つ
主文 原判決を取消す。 被控訴人が、福岡労委昭和四二年(不)第二六号不当労働行為救済申立事件について、同四七年四月二六日付でした「北九州市交通事業管理者交通局長Aは、同四二年八月二日付で行つたB、C、Dに対する停職六か月、E、F、G、H、Iに対する停職三か月、J、K、L、Mに対する停職一か月、Nに対する戒告の各懲戒処分を取消し、同人らに対する賃金及び処遇面において、上記の懲戒処分がなかつたのと同様の状態に回復しなければならない。」旨の命令を取消す。 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人及び参加人らの負担とする。 事実 一当事者の求める裁判 1 控訴人主文同旨。 2 被控訴人及び参加人本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 二当事者の主張及び証拠関係次に付加するほかは、原判決の事実摘示と同一であるから、これを引用する。 (以下証拠関係につき省略) 理由 一原判決の理由一ないし四の認定判断は、次に付加し、改めるほか、当裁判所の認定判断と同一であるから、これを引用する。 1 原判決五一枚目表五行目の「同第三号証の一、二」の次に「当審における証人H、同Oの各証言、同Oの証言により真正に成立したと認められる甲第二二号証」を、同五六枚目裏四行目の「議案書にも」の次に「議案件名として」を各加える。 2 同五八枚目裏四行目の「乙第二六号証の一、六」を「乙第二六号証の一ないし一五」と、同七行目の「参加人」を「参加人及びその組合員である原告の職員」と、同裏末行以下同五九枚目表四行目までを「参加人は、原告側の対応とにらみ合せて実力行使の具体的戦術を定めることとし、同日以降同年七月二日頃までの間、訴外Bほか一二名らの組合役員をもつて構成する戦術委員会をしばしば開催し、同戦術委員会において、同月二一日から 応とにらみ合せて実力行使の具体的戦術を定めることとし、同日以降同年七月二日頃までの間、訴外Bほか一二名らの組合役員をもつて構成する戦術委員会をしばしば開催し、同戦術委員会において、同月二一日から二三日まで(第一波)超過勤務拒否、同月二七日から同年七月一日まで(第二波)超過勤務拒否及び完全点検闘争、同月三日(第三波)超過勤務拒否及び一斉休暇闘争を実施する旨の闘争計画を策定し、組合員をしてこれらの実力行使を行わせることを決定した。」と各改める。 3 同五九枚目表七行目の「順序は前後するが、」を「一方、」と改める。 4 同五九枚目裏一行目の末尾に「(第一波)」を、同三行目の「各供述、」の次に「同Oの証言により真正に成立したと認められる甲第六号証、」を各加え、同五行目以下同八行目の「本件交渉難航」までを「原告のバス運行ダイヤは、労使の委員によつて構成されるダイヤ編成審議会の審議を経て定められるが、本件当時の公示ダイヤは、参加人の同意のもとに一日九勤務が時間外勤務ダイヤとして編成されており、参加人との間に、三六協定を結んで時間外勤務、いわゆる超過勤務(以下「超過」という。)が実施され、交通局においては右超勤が恒常化し、超勤拒否があれば平常のダイヤ運行に支障を来たす状況にあつたこと、この状況のもとで参加人は、財政再建計画案に対する交渉の難航」と改め、同裏末行の「することとし、」の次に「当局からの交通事業の正常な運行のため同協定の締結、更新方の要望にかかわらず、これを拒否し、」を加える。 5 同六〇枚目表二行目「もつとも」以下同六行目まで及び同八行目を削除し、同一一行目の「勤務状態の下で」以下同末行までを「勤務状態の下で原告の交通事業が運営されていることを認めながら、参加人は、前記財政再建計画に関する参加人の要求を貫徹するための手段として超勤を拒否し 同一一行目の「勤務状態の下で」以下同末行までを「勤務状態の下で原告の交通事業が運営されていることを認めながら、参加人は、前記財政再建計画に関する参加人の要求を貫徹するための手段として超勤を拒否し、原告の業務の正常な運営を阻害することを狙つたものであることが明らかといわなければならない。」と改める。 6 同六〇枚目表末行と同裏一行目との間に「(イ)デイーラー整備員入構拒否」を加える。 7 同六〇枚目裏九行目の「ピケツテイグ」以下一〇行目までを「ピケツテイングして入構を阻止し、その結果デイーラー整備員の入構就労ができなかつたことが認められる。」と改め、同一一行目以下同六一枚目表六行目の「措信できない。」までを削除する。 8 同六一枚目表九行目の「証人O」を「原審及び当審における証人O」と改め、同裏一一行目の「K」の次に「当審における証人L」を加え、同一一行目の「供述」を「各供述」と改める。 9 同六二枚目表五行目以下八行目冒頭の「こと」までを「は、局庁舎等に許可なくポスター、プラカード、ビラ等を掲示し貼付することは、庁舎管理規程により禁止されていることを知りながら、同年六月一一日頃から無断で本庁舎等に多数のビラを貼付し、当局の再三にわたる撤去命令にもかかわらずこれを撤去しなかつた。 そこで、原告において外部から作業員を入れてこれを撤去しようとしたところ、参加人らにおいて、同撤去作業を妨害したこと、」と改める。 10 同六二枚目裏九行目の末尾に「(第二波)」を加え、同一一行目の「同第九号証」を「同第九号証及び同第一一号証」と、同末行の「証人O」を「原審及び当審における証人O」と各改め、同末行の「供述」の次に「、当審における証人Oの証言により真正に成立したと認められる甲第二三号証」を加え、同六三枚目表一行目の「この間」を「同年六月二七日から同年七 び当審における証人O」と各改め、同末行の「供述」の次に「、当審における証人Oの証言により真正に成立したと認められる甲第二三号証」を加え、同六三枚目表一行目の「この間」を「同年六月二七日から同年七月一日までの間、」と、同二行目冒頭の「検闘争として、」を「検闘争と称して、原告主張のように」と各改め、同八行目の「たわけではなく、」の次に「前記超勤拒否と同様参加人の要求貫徹のための手段としてされたものであつて、」を加え、同九行目の「そのように」以下同一〇行目までを削除する。 11 同六三枚目裏一行目の「(服務心」を「(前掲乙第二四号証の一ないし四ー北九州市交通局自動車乗務員服務心」と改め、同三行目の「しかし、」の次に「前掲乙第一五号証、同第二四号証の一ないし四、同第二七号証の一によると、」を加え、同七行目の「四一条)。よつて、」を「四一条)から、」と、同八行目の「判断したが、」以下同一一行目までを「判断し、出庫を命じたものであることが認められる。」と各改める。 12 同六三枚目裏末行の冒頭に「前掲乙第一一号証(証人P証言部分)及び同第二七号証の一によると、」を、同六四枚目表三行目の「記載部分」の次に「、当審における証人Iの供述部分」を各加える。 13 同六四枚目表五行目の末尾に「(第三波)」を加え、同一〇行目の「(証人Q証言部分)」を「(証人Q証言部分)号証、」と改め、同裏四行目の「同第三三号証」の次に「、当審における証人Oの供述及び同供述により真正に成立したと認められる甲第二四号証」を、同五行目の「参加人は、」の次に「同年七月三日原告主張のように」を各加える。 14 同六四枚目裏一二行目の「同日」を「同月一日」と、同末行目の「当日の争議」を「かねて計画のとおり、同月三日、一斉年次休暇闘争」と各改める。 15 同六六枚目表六行目の冒頭に「以上の を各加える。 14 同六四枚目裏一二行目の「同日」を「同月一日」と、同末行目の「当日の争議」を「かねて計画のとおり、同月三日、一斉年次休暇闘争」と各改める。 15 同六六枚目表六行目の冒頭に「以上の事実が認められ、」を、同七行目の「(Q証言部分)」の次に「、同第一八」を、同八行目の「G」の次に「、当審における証人E」を各加え、同行目の「供述」を「各供述」と改める。 二本件懲戒処分の発令について地公労法第一一条一項は、「職員及び組合は、地方公営企業に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、又はあおつてはならない」旨規定し、同法第一二条は、前条の規定に違反する行為をした者を解雇することができる旨規定する。そしてまた、地方公務員法第三二条は、職員に対し法令等や上司の職務上の命令に従う義務を課しており、同法第二九条一項は、同法に違反した職員につき免職その他の懲戒処分をすることができる旨規定しているところ、成立に争いのない乙第二、第三号証及び弁論の全趣旨によると、控訴人は、前記認定のように、参加人が第一波ないし第三波の実力行使としてした超勤拒否闘争、完全点検闘争、一斉休暇闘争につき、訴外Bが参加人の執行委員長としてこれを計画指導し、同F及び同Eが副執行委員長、同Gは書記長、訴外Mを除くその余の訴外人ら八名はいずれも執行委員として、いずれも前記闘争行為の計画に関与した行為、更に、訴外Bの七月三日の折尾営業所における前記認定の行為(休暇闘争の煽動)、同Eの前記認定の同日の若松渡し場案内所における管理職によるバス運行を阻止した行為、同Fの同月一日の二島営業所における完全点検闘争を実行した行為、同Gの七月三日折尾営業所に の行為(休暇闘争の煽動)、同Eの前記認定の同日の若松渡し場案内所における管理職によるバス運行を阻止した行為、同Fの同月一日の二島営業所における完全点検闘争を実行した行為、同Gの七月三日折尾営業所における休暇闘争煽動の各行為、同Cの前記認定の六月二一日小石営業所におけるデイーラー整備員の入構阻止、同月二七日及び七月一日同営業所における完全点検闘争の実行、同月二日同営業所における行為(休暇闘争の煽動)、同月三日同営業所におけるR運転手の振替勤務阻止の各行為、同Dの前記認定の六月二一日二島営業所におけるデイーラー整備員の入構阻止、七月一日同営業所における完全点検闘争の実行、同月二日及び同月三日本庁舎、同営業所及び整理事業所における休暇闘争煽動の各行為、同Iの前記認定の六月二七日小石営業所における代替車のキーを取上げてその運行阻止、七月一日同営業所における完全点検闘争の実行、同月二日同営業所における行為(休暇闘争の煽動)、同月三日同営業所におけるR運転手の振替勤務阻止の各行為、同Hの前記認定の七月一日同営業所における完全点検闘争の実行行為、同Jの前記認定の六月二一日二島営業所におけるデイーラー整備員の入構阻止、同月二二日整備事務所におけるビラ撤去作業の妨害及びビラ貼付、七月三日整備事務所における休暇闘争煽動の各行為、同Lの前記認定の六月二二日折尾駅前案内所におけるS庶務課長に対するビラ撤去作業中止要求による同作業の妨害、同日折尾営業所における管理職によるバス運行の阻止、七月三日同営業所における休暇闘争煽動の各行為、同Kの前記認定の六月二一日折尾営業所におけるデイーラー整備員の入構阻止、同月二二日同営業所における管理職によるバス運行の阻止、同日折尾駅前案内所におけるS庶務課長に対するビラ撤去作業中止要求による同作業の妨害の各行為、同Mの前記認 におけるデイーラー整備員の入構阻止、同月二二日同営業所における管理職によるバス運行の阻止、同日折尾駅前案内所におけるS庶務課長に対するビラ撤去作業中止要求による同作業の妨害の各行為、同Mの前記認定の七月二日二島営業所における休暇闘争の煽動、七月三日整備事務所における休暇闘争の煽動及びT整備課長の机のガラスを木製の名札で叩いて割つた行為は、いずれも地公労法第一一条一項、北九州市交通局就業規程第九〇条一一号の規定等に違反するものであるとして、地方公務員法第二九条一項一号及び三号に基づき、同四二年八月二日、右訴外人らを本件懲戒処分に付したものであることが認められる。 三本件各闘争と地公労法第一一条一項該当性等について 1 先ず、参加人は、超勤拒否(三六協定締結ないし更新拒否)は、三六協定のない状態における超勤拒否であるから、違法視される理由はない旨主張する。 そこで、参加人の本件超勤拒否すなわち三六協定の締結ないし更新拒否が地公労法第一一条一項の争議行為になるか否かにつき考える。超過勤務に関する三六協定を締結するか否かは、原則として、労働組合ないし労働者の自由に属するところであるから、労働組合が超過勤務自体の労働条件に関する労使間の意見不一致のため、同協定の締結ないしは更新を拒否したとしても、これをもつて直ちに違法とすることはできないことはいうまでもないところである。しかし、労働組合が、当該事業の運営が超過勤務に依存すること、すなわち、超過勤務の正当性を是認しながら、超過勤務に関する労働条件そのものではなく、労使間の他の紛争についての自己の要求を貫徹する手段として三六協定の締結ないし更新を拒否し、超勤を拒否することは、争議行為(同盟罷業)に該当するものと解するのが相当であるところ、参加人が本件三六協定の締結ないし更新を拒否し、組合員の超勤 貫徹する手段として三六協定の締結ないし更新を拒否し、超勤を拒否することは、争議行為(同盟罷業)に該当するものと解するのが相当であるところ、参加人が本件三六協定の締結ないし更新を拒否し、組合員の超勤を拒否させるに至つた経緯並びにその態様はさきに認定したとおりであつて、同事実からすると、控訴人の交通事業におけるバスの平常の運行ダイヤは、参加人も加わつたダイヤ編成審議会の審議を経て定められたものであり、一日九勤務が超勤ダイヤとして編成されていて超勤が恒常化され、超勤の拒否があれば平常のダイヤ運行に支障を来たす状況にあつたところ、参加人の前記三六協定の締結ないし更新拒否による超勤拒否闘争は、超勤の恒常化(正当性)を認めながら、控訴人の財政再建計画に関する参加人の要求を貫徹するための手段としていたものであり、かつ、控訴人の交通業務の正常な運営を阻害するためにしたものであつて、地公労法一一条一項の禁止する争議行為に該当するものといわざるをえない。 よつて、参加人の右主張は理由がない。 2 次に、参加人は、デイーラー整備員の入構阻止及び管理職による自動車の運行阻止は、いずれもスト破りに対するピケツテイングであつて、正当な組合活動である旨主張する。 しかし、ピケツテイングは、争議行為の実効性を確保するための手段として意義を有するものであつて、当該争議行為の適法性を前提とし、争議権保障の範囲内においてのみ許されるものであるところ、参加人に対しては後記のように地公労法第一一条一項により争議行為が禁止されているのである以上、ピケツテイングによる前記阻止行為はいずれも違法であつて、正当な組合活動ということはできない。 よつて、参加人の右主張は理由がない。 3 更に、参加人は、完全点検闘争は、北九州市交通局自動車乗務員服務心得第四一条による仕業点検として義務 れも違法であつて、正当な組合活動ということはできない。 よつて、参加人の右主張は理由がない。 3 更に、参加人は、完全点検闘争は、北九州市交通局自動車乗務員服務心得第四一条による仕業点検として義務付けられた通り行つたに過ぎない旨主張する。 しかし、すでに認定したように、本件完全点検闘争は、単に交通安全の配慮から入念に仕業点検したということではなく、実質的には、参加人の要求を貫徹する手段として業務阻害を行おうとするものであつて、いずれも自動車の運行に差支えない整備状況であつたのに、上司の出庫命令に従わず、自動車の運行を阻止したことは、いずれも地公労法第一一条一項の業務の正常な運営を阻害する行為に該当するものというべきである。よつて、参加人の右主張も理由がない。 4 また、参加人は、年次休暇闘争は、法律によつて与えられた権利を行使したものであつて、争議行為ということはできない旨主張する。 年次休暇の権利は、労働基準法第三九条一、二項の要件を充足することによつて、法律上当然に労働者に生ずる権利であつて、年次休暇の利用目的は、労働基準法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、労働者の自由であり、本来使用者の干渉を許さないものである。しかし、いわゆる一斉休暇闘争は、労働者がその所属事業所において、その業務の正常な運営の阻害を目的として、組合等の指令により全員一斉に休暇届を提出して職場を放棄・離脱するものであつて、その実質は年次休暇に名をかりた同盟罷業にほかならない。したがつて、その形式いかんにかかわらず、本来の年次休暇権行使ではないのであるから、これに対する使用者の時季変更権の行使もありえないものである(最高裁判所昭和四八年三月二日第二小法廷判決・民集二七巻二号二一〇頁参照)。ところで、本件における休暇闘争は、さきに認定したよう るから、これに対する使用者の時季変更権の行使もありえないものである(最高裁判所昭和四八年三月二日第二小法廷判決・民集二七巻二号二一〇頁参照)。ところで、本件における休暇闘争は、さきに認定したように、参加人の指令に基づき、組合員である職員が全員一斉に休暇届を出すことによつて職場を離脱し、控訴人の業務の正常な運営の阻害を狙つたものであつて、一種の同盟罷業ということができ、地公労法第一一条一項により禁止された争議行為に該当するものというべきである。よつて、参加人の右主張は理由がない。 5 ところで、参加人は、地公労法第一一条一項の規定は、地方公営企業職員の争議行為を全面的一律に禁止したもので、勤労者の団体行動権を保障した憲法第二八条に違反し無効である旨主張する。 (一) 地公労法第一一条一項の規定は、その文理上、地方公営企業の職員及び組合に対し、同盟罷業その他一切の争議行為を禁止しているものということができる。 (二) ところで、地方公営企業に勤務する職員も、憲法第二八条の勤務者として、同条の保障を受けるものというべきである。 しかし、地方公営企業の職員は地方公務員であるから、身分及び職務の性質・内容において非現業の地方公務員と多少異なるところはあつても、等しく公共的職務に従事する職員として、実質的に地方の住民全体に労務を提供する義務を負う点においては、両者の間に基本的な相違はなく、地方公営企業の職員が争議行為に及ぶことは右のような地位の特殊性と職務の公共性と相容れず、また、それによる業務の停廃が地方住民ないし国民全体の共同利益を害し、それら住民等の生活に重大な障害をもたらすそおれがあることは、非現業の地方公務員、国家公務員ないしは公労法の適用を受ける五現業、三公社等公共企業体の職員の場合と選ぶところはない。 そして、地方公営企業の職員 の生活に重大な障害をもたらすそおれがあることは、非現業の地方公務員、国家公務員ないしは公労法の適用を受ける五現業、三公社等公共企業体の職員の場合と選ぶところはない。 そして、地方公営企業の職員は、非現業の他の地方公務員と同様、財政民主主義に表われている議会制民主主義の原則により、その給与その他の勤務条件が法律ないし地方議会の定める条例・予算の形で決定さるべき特殊な地位にあり、団体交渉権・労働協約締結権を保障する地公労法も条例・予算その他地方議会からの制約を認めている(地方公営企業法第四条、第二四条二項、第三八条四項、地公労法第八ないし第一〇条)。また、地方公営企業の事業は、利潤の追求を本来の目的としておらず、その労使関係には、私企業におけるような市場の抑制力が働かないため、ここでは争議権は、適正な勤務条件を決定する機能を果すことはできず、かえつて議会における民主的な手続によつてなさるべき職員の勤務条件等の決定に対し不当な圧力となり、これをゆがめるおそれがある。したがつて、これら職員の地位の特殊性や職務の公共性からして、地方住民全体ないし国民全体の共同利益のため、法律がその争議権に制約を加えてもやむを得ないものといわなければならない。 そしてまた、地方公営企業の職員についても、憲法によつてその労働基本権が保障されている以上、この保障と住民ないし国民全体の共同利益の擁護との間に均衡が保たれるようすることは、憲法の趣意と解されるから、その労働基本権の一部である争議権を禁止するにあたつては、相応の代償措置が講じられなければならないところ、現行法制をみるに、同職員は、地方公務員として法律上その身分の保障を受け、給与については生計費、同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して条例で定めなけれ をみるに、同職員は、地方公務員として法律上その身分の保障を受け、給与については生計費、同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して条例で定めなければならない(地方公労企業法第三八条三、四項)とされている。そして、特に地公労法は、当局と職員との間の紛争につき、労働委員会におけるあつせん、調停、仲裁の制度を設け、その第一六条一項本文において、「労働委員会の仲裁裁定に対しては、当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならず、また、地方公共団体の長は、当該仲裁裁定が実施されるように、できるだけ努力しなければならない。」と定め、さらにまた、同項但し書は、当該地方公営企業の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とする仲裁裁定については、第一〇条を準用して、それを地方公共団体の議会に付議して、同議会の最終的決定に委ねることにしているのである。これらは、職員ないし組合に労働協約締結権を含む団体交渉権を付与しながら、争議権を否定する場合の代償措置として、よく整備されたものということができ、右職員の生存権擁護のための配慮に欠けるところはないものというべきである。 以上により、地公労法第一一条一項による争議行為の禁止は憲法第二八条に違反するものではないと解する(最高裁判所昭和四八年四月二五日大法廷判決・刑集二七巻四号五四七頁、同昭和五一年五月二一日大法廷判決・刑集三〇巻五号一一七八頁、同昭和五二年五月四日大法廷判決・刑集三一巻三号一八二頁参照)。 よつて、参加人の前記主張は理由がない。 四結論以上のとおり、地公労法第一一条一項は、地方公営企業の職員及び組合の一切の争議行為を禁止し、また、職員並びに組合の組合員及び役員は右禁止された行為を共謀し、そそのかし、又はあおつてはならない旨規定 以上のとおり、地公労法第一一条一項は、地方公営企業の職員及び組合の一切の争議行為を禁止し、また、職員並びに組合の組合員及び役員は右禁止された行為を共謀し、そそのかし、又はあおつてはならない旨規定しているのであるから、右職員及び組合役員が右法令の禁止に違反して争議行為を行い、あるいは右争議行為を共謀し、そそのかし、又はあおつた場合には、法令遵守義務を定めた地方公務員法第三二条に違反したものとして、同法第二九条一項一号及び三号に該当し、懲戒処分の対象とされることを免れないと解すべきである。そして、この場合に、地公労法第四条が労働組合法第七条一号本文の適用を除外していないことを根拠として、地公労法第一一条一項違反の争議行為のうちにもなお、労働組合法第七条一号本文の「正当な行為」にあたるものと然らざるものがあるとし、右「正当な行為」に当る争議行為については、地方公務員法第二九条一項一号による懲戒処分をすることができないというような解釈は、これを採用することができない。けだし、地公労法第四条によれば、地方公営企業の職員に関する労働関係については、地公労法の定めるところにより、同法に定めのないものについてのみ労働組合法の定めるところによるべきものであるとされているところ、右職員の争議行為については、地公労法第一一条一項において一切の争議行為を禁止する旨定めているので、その争議行為につき更に労働組合法第七条一号本文を適用すべき余地はないからである。地公労法第四条が労働組合法の右規定の適用を除外していないのは、争議行為以外の職員の組合活動については地公労法に定めがないので、これに労働組合法の同規定を適用して、その正当なものに対する不利益な取扱いを禁止するためであつて、地公労法違反の争議行為についてまで「正当な行為」なるものを認める意味をもつもので に定めがないので、これに労働組合法の同規定を適用して、その正当なものに対する不利益な取扱いを禁止するためであつて、地公労法違反の争議行為についてまで「正当な行為」なるものを認める意味をもつものではない。また、労働者の争議行為は集団的行動であるが、その集団性の故に参加人個人の行為としての面が失われるものでないから、違法争議行為に参加した個人の責を免れ得ないことはいうまでもないところである(最高裁判所昭和五三年七月一八日第三小法廷判決・民集三二巻五号一〇三〇頁参照)。 これを本件についてみるに、さきに認定したところからすると、参加人がした前記認定の第一波ないし第三波の超勤拒否闘争、完全点検闘争、一斉休暇闘争は、いずれも地公労法第一一条一項の争議行為に該当するものというべく、訴外Bはその執行委員長としてこれを計画指導し、同F及び同Eはその副委員長、同Gはその書記長、訴外Mを除くその余の訴外人八名はいずれもその執行委員として、戦術会議において前記争議行為を計画し、組合員をして同争議行為を行わせたものであること、更にまた、訴外Bが七月三日折尾営業所で、多数の組合員と共に、U営業所長らに対し組合員の休暇承認を激しく要求したこと(休暇闘争のあおり行為といえる。)、同Eが同日、若松渡し場で管理職によるバスの運行を阻止したこと、同Fが同月一日、二島営業所で点検闘争を実行し、V営業所長の出庫命令を拒否してバスを欠行させたこと、同Gが、六月二二日、整備事務所で当局のビラ撤去作業を妨害し、七月三日、折尾営業所で前記Bらと共にBと同様の休暇闘争のあおり行為をしたこと、同Cが、六月二一日、小石営業所でデイーラー整備員の入構を阻止し、七月一日、同営業所で完全点検闘争を実行し、P営業所長の命令を拒否してバスの運行を阻止し、同月二日、同営業所で多数の組合員と共にP営 、同Cが、六月二一日、小石営業所でデイーラー整備員の入構を阻止し、七月一日、同営業所で完全点検闘争を実行し、P営業所長の命令を拒否してバスの運行を阻止し、同月二日、同営業所で多数の組合員と共にP営業所長らを取囲み、長時間にわたり、組合員の休暇承認を激しく要求し(休暇闘争のあおり行為といえる。)、同月三日、同営業所でR運転手の振替勤務を阻止したこと、同Dが、六月二一日、二島営業所でピケを張り、デイーラー整備員の入構を阻止し、七月一日、同営業所で完全点検闘争を実行し、V営業所長の出庫命令を拒否してバスを欠行させ、同月二日及び三日、本庁舎・同営業所及び整備事務所でO職員課長、V営業所長、T整備課長らに対し、多数の組合員と共に組合員の七月三日の休暇承認を激しく要求(休暇闘争のあおり行為といえる。)したこと、同Iが、六月二七日、小石営業所でV営業所長が点検闘争に備え、代車にするつもりで二島営業所から運転してきた貸切用バスのキーを取上げ、七月一日、同営業所で完全点検闘争を実行し、P営業所長の命令を拒否してバスの運行を阻止し、同月二日、同営業所で前記Cらと共に同人と同様の休暇闘争のあおり行為をし、同月三日同営業所でR運転手の振替勤務を阻止したこと、同Hが、六月二一日、二島営業所でデイーラー整備員の入構を阻止し、七月一日同営業所で完全点検闘争を実行し、V営業所長の出庫命令を拒否してバスを欠行させたこと、同Jが、六月二一日、二島営業所でピケを張り、デイーラー整備員の入構を阻止し、同月二二日整備事務所で当局のビラ撤去作業を妨害し、更に、同日、当局の制止をきかず同事務所の窓ガラスにビラ五、六〇枚を貼付し、七月三日、同事務所で前記Dらと共にD同様休暇闘争のあおり行為をしたこと、同Lが、六月二二日、折尾駅前案内所で多数の組合員と共に、S庶務課長に対しビラ撤去 事務所の窓ガラスにビラ五、六〇枚を貼付し、七月三日、同事務所で前記Dらと共にD同様休暇闘争のあおり行為をしたこと、同Lが、六月二二日、折尾駅前案内所で多数の組合員と共に、S庶務課長に対しビラ撤去作業の中止を激しく要求してビラ撤去作業を妨害し、同日、折尾営業所でピケを張り、U営業所長の欠行ダイヤの代替運行を阻止し、七月三日、同営業所で前記B、Gらと共に同人らと同様休暇闘争のあおり行為をしたこと、同Kが、六月二一日、同営業所でデイーラー整備員の入構を阻止し、同月二二日、同営業所でピケを張り、U営業所長の欠行ダイヤの代替運行を阻止し、同日、折尾駅前案内所で多数の組合員と共にS庶務課長に対しビラ撤去作業の中止を激しく要求して、ビラ撤去作業を妨害したこと、同Mが、七月三日、整備事務所で前記D、Jらと共に、同人ら同様休暇闘争のあおり行為をし、その際、T整備課長の机のガラスを木製の名札で叩いて割つたこと等、以上の訴外人らの各行為は、地公労法第一一条一項及び北九州市就業規則第九〇条一一号に違反し、また、地方公務員法第三二条にも違反するものであつて、同法第二九条一項一号及び三号の懲戒事由に該当するものといわなければならない。 よつて、控訴人が右条項を適用して、右訴外人らを懲戒に付した本件懲戒処分は相当であつて、訴外人に対する本件各懲戒処分が労働組合法第七条一号本文の不当労働行為に該当するいわれはないものといわなければならない。 五そうすると、被控訴人が、控訴人の訴外人らに対する本件懲戒処分がいずれも同条同号の不当労働行為に該当するものとして発した本件救済命令は、いずれも違法といわなければならない。よつて、被控訴人が昭和四二年(不)第二六号不当労働行為救済申立事件につき、同四七年四月二六日付で発した本件救済命令の取消を求める控訴人の本訴請求は、正当と は、いずれも違法といわなければならない。よつて、被控訴人が昭和四二年(不)第二六号不当労働行為救済申立事件につき、同四七年四月二六日付で発した本件救済命令の取消を求める控訴人の本訴請求は、正当として、これを認容すべきである。 六してみると、控訴人の本訴請求を棄却した原判決は失当であつて、控訴人の本件控訴は理由があるので原判決を取消し、控訴人の本訴請求を認容することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九六条、第九三条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官斎藤次郎原政俊寒竹剛)
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