【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人千保一広の上告理由第一点ないし第三点及び第五点ないし第七点につ いて
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人千保一広の上告理由第一点ないし第三点及び第五点ないし第七点につ いて 原審の適法に確定した事実関係によれば、(1) 本件溝渠は、京都市の南西部を 南北に流れる天神川の西側堤防兼用道路のさらに西側にあるもと農業用水路であつ て、その敷地は、すべて国又は京都府の所有である、(2) 京都府は、昭和一四年 頃天神川改修工事を施行した際に、その附帯工事として本件溝渠の整備をし、本件 溝渠は、都市排水路としての機能を果たすようになつた、(3) その後、本件溝渠 の上流や西側に工場や人家が密集し、本件溝渠は、水量が増え、勾配があまりない こともあつて底にかなりのヘドロがたまり、水の流れが悪くなつてしばしば溢水し た、(4) このため周辺住民の要望を受けた上告人は、京都府の担当部局とも相談 の上、本件溝渠のa通りからb通りまでの間の改修工事を行うことにし、昭和四七 年三月、有限会社D組に右工事を請け負わせ、同会社は、同月二八日着工して、上 告人の設計、監督に従い、北のa通り附近から南に向つて順次工事をすすめ、本件 事故の日である同年八月一九日当時には、被上告人らの長男Eが転落した原判示B 点及びその溺死体が発見された同C点附近については、既に工事を終つていた、( 5) 本件溝渠は、河川法の適用も準用も受けないいわゆる普通河川であるが、京 都府は、このような普通河川について、昭和二三年九月一〇日京都府条例第三〇号 を定め、流水の害を予防するために施設する工作物の新築、改築等については京都 府知事の許可を受けなければならない等の定めをしている(同条例で準用する昭和 二三年京都府規則第五九号五条)が、上告人にはこのような普通河川の管理に関す - 1 - る条例はな 築、改築等については京都 府知事の許可を受けなければならない等の定めをしている(同条例で準用する昭和 二三年京都府規則第五九号五条)が、上告人にはこのような普通河川の管理に関す - 1 - る条例はない、というのであり、国又は京都府が本件溝渠につき他に個別的具体的 な管理行為をした事実のあることについては、原審において上告人から主張がなく、 原審の認定しないところである。 ところで、地方自治法二条三項二号は、河川、運河、溜池、用排水路、堤防等を 設置し若しくは管理し、又はこれらを使用する権利を規制することを地方公共団体 の事務として掲げているのであるが、右の規定は地方公共団体の事務を例示してい るにすぎず、右の規定から直ちに地方公共団体がその区域内の普通河川を法律上管 理することとなるわけのものではなく、普通河川の管理に関する条例を定めていな い上告人を普通河川である本件溝渠の法律上の管理者であるとすることはできない。 しかしながら、国家賠償法二条にいう公の営造物の管理者は、必ずしも当該営造物 について法律上の管理権ないしは所有権、賃借権等の権原を有している者に限られ るものではなく、事実上の管理をしているにすぎない国又は公共団体も同条にいう 管理者に含まれるものと解するのを相当とするところ、地方自治法の右規定が河川、 運河、溜池、用排水路、堤防等の設置、管理等を地方公共団体の事務として掲げた のは、これらの施設の利用、管理が地域住民の生活と密接な関係を有することにか んがみ、当該地域住民に最も近い関係にある地方公共団体の事務とすることが適当 であるとの考慮に出たものと解され、なかでも市街地にある普通河川は、都市排水 路としての機能ばかりでなく、都市空間の確保等の機能の面においても住民の生活 に密着した都市施設としての性格が極めて強いのであつて、本件の場合においても、 前 、なかでも市街地にある普通河川は、都市排水 路としての機能ばかりでなく、都市空間の確保等の機能の面においても住民の生活 に密着した都市施設としての性格が極めて強いのであつて、本件の場合においても、 前示事実関係のもとにおいては、上告人は、地域住民の要望に答えて都市施設であ る排水路としての機能の維持、都市水害の防止という地方公共の目的を達成するべ く、本件改修工事を行い、それによつて本件溝渠について事実上の管理をすること になつたものというべきであつて、本件溝渠の管理に瑕疵があつたために他人に損 害を生じたときは、国家賠償法二条に基づいてその損害を賠償する義務を負うもの - 2 - といわなければならない。そして、このことは、国又は京都府が本件溝渠について 法律上の管理権をもつかどうかによつて左右されるものではない。原判決もこれと 同趣旨の判断を説示しているものということができ、原判決に所論の違法はない。 論旨は、以上と異なる見解に立つて原判決を論難するか、又は原判決の結論に影響 しない部分についてその不当をいうものにすぎず、採用することができない。 同第四点について 原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、上告人の本件溝渠の管理に瑕 疵があるとした原審の判断は是認することができる。原判決に所論の違法はなく、 論旨は採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主 文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判官 角 田 禮 次 郎 裁判官 谷 口 正 孝 裁判官 和 田 誠 一 裁判官 矢 口 洪 一 - 3 - 谷 口 正 孝 裁判官 和 田 誠 一 裁判官 矢 口 洪 一 - 3 -
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