平成30(わ)1211 住居侵入,強盗致傷,強要未遂,強盗

裁判年月日・裁判所
令和3年3月5日 京都地方裁判所
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判決文本文24,738 文字)

主文 被告人を懲役13年に処する。 理由 (罪となるべき事実)第1 (平成30年11月28日付け起訴状記載の公訴事実〔令和2年4月10日付け訴因及び罰条変更請求書による訴因変更後のもの〕関係)被告人は,京都市a区b町内当時のA方に侵入して現金を強取しようと考え,平成22年9月29日午後2時40分頃,宅配業者を装って前記A方に侵入し,その頃,同所において,B(当時52歳)に対し,その背後から覆いかぶさり,Bの首に刃物を突き付けながら,「静かにしろ。」などと言い,Bの目及び口にガムテープを貼り,結束バンドでBの両手を後ろ手に縛るなどの暴行・脅迫を加えてその反抗を抑圧し,Bに金庫のある場所等を案内させた上,同金庫の扉を開けて,同金庫内にあったA所有の現金1億円を強取し,その際,前記暴行により,Bに加療約1週間を要する頸部切創,両手首・背部擦過傷の傷害を負わせた。 第2 (平成30年12月26日付け起訴状記載の公訴事実関係)被告人は,氏名不詳者と共謀の上,京都市a区b町内の当時のB方に侵入して現金を強取しようと考え,平成28年1月31日午後9時頃,前記B方敷地内の庭先に出てきたBについて掃き出し窓から前記B方に侵入し,その頃,同所において,B(当時58歳)に対し,その背中を押さえてうつ伏せの状態にし,その頭から枕カバーをかぶせるなどの暴行を加えるとともに,「静かにしろ。」「家に3億ぐらいのお金はあるだろう。ボスに頼まれてお金を持って帰るように言われてるから,出せ。」などと申し向け,同所に現金はない旨述べたBに対し,「そうなったらあんたの命はちょっと保証はできない。」「5000万ぐらいやったら出せるのか。」などと申し向け,B名義の口座の通帳等を見せるとともに同年2月12日に入金予定 金はない旨述べたBに対し,「そうなったらあんたの命はちょっと保証はできない。」「5000万ぐらいやったら出せるのか。」などと申し向け,B名義の口座の通帳等を見せるとともに同年2月12日に入金予定がある旨述べたBに対し,「とに かく銀行から明日,お金を引き出してこい。2200万ぐらい出せるだろう。 2月1日午前11時頃に表玄関の植木の下に置け。」「2月12日に入る手付金500万円もその日の午後1時頃にその植木の下に置け。」「あんたの携帯は全て行動が分かるようにしてあるから,どこへ電話しようが,どこへ行こうが分かるからな。」「警察には言うなよ。行動はちゃんと分かるから。」旨申し向けて脅迫し,Bの反抗を抑圧して,同月1日午前11時頃に現金2200万円を前記B方東側壁前の植木のある場所に置かせ,これを奪おうとしたがその目的を遂げず,同月12日午後1時頃に現金500万円を同場所に置かせてこれを奪い,もってB所有の現金500万円を強取した。 第3 (平成30年11月7日付け起訴状記載の公訴事実〔平成31年1月25日付け訴因変更請求書並びに令和2年4月10日付け訴因及び罰条変更請求書による各訴因変更後のもの〕関係)被告人は,B(当時59歳)の居住先を突き止めて同人と接触し,面会に応じさせようなどと考え,別表記載のとおり,平成28年12月22日から平成29年1月22日までの間,6回にわたり,「脅迫文言」欄のとおり,「本年1月31日夜,B様が以前に住んでおられたb町の御自宅に,2人の男性が御邪魔させて頂いたことかと思います。依頼主は今のところB様の新しいご住所を存じておりませんが,私がお会いできないとなると,今後どのような行動をとるか,いささか不安なところではございます。」などと記載し,「面会指定日時」欄記載の各日時に京都市c区d町所在の 新しいご住所を存じておりませんが,私がお会いできないとなると,今後どのような行動をとるか,いささか不安なところではございます。」などと記載し,「面会指定日時」欄記載の各日時に京都市c区d町所在の「I」に来るよう記載した各手紙を封筒に入れ,京都市c区内のαマンションB方の集合ポストに投函し,又は,京都市内において,簡易書留の方法により同所宛てに郵送し,「閲覧日」欄記載の各日頃,同市内において,これらの手紙をBに閲読させ,Bに対し,前記「I」に来所して面会に応ずるよう要求し,その要求に応じなければBの生命,身体等にいかなる危害を加えるかもしれない旨告知して脅迫し,Bに義務のないことを行わせようとしたが,Bが警察に届け出てこれらに応じなかっ たため,いずれもその目的を遂げなかった。 (証拠の標目)省略(事実認定の補足説明)第1 判示第1の事実(以下「第1事件」ともいう。)について 1 主要な争点主要な争点は,事件性及び犯人性である。 2 事件性について⑴ Bの公判供述についてア Bは,公判廷において,第1事件の被害状況等について判示事実に沿う供述をするとともに,その被害に係る現金1億円の保管状況等について,「事件の約1か月以内前の時期にAとGが持ってきた現金1億円をその金額を確認して金庫に入れた。金庫から現金を出し入れするのはBのみであり,その後,第1事件まで金庫から現金を出したことはなかった。」旨供述している(以下「B証言①」ともいう。)。 イそこで,B証言①の信用性について検討するに,Bは,第1事件当日,Gがした110番通報により事件現場に臨場した警察官に頸部及び両手首の傷を写真撮影され,さらに,その翌日,病院で診察を受けた際にも警察官に背部の傷を写真撮影され,それらの傷につい は,第1事件当日,Gがした110番通報により事件現場に臨場した警察官に頸部及び両手首の傷を写真撮影され,さらに,その翌日,病院で診察を受けた際にも警察官に背部の傷を写真撮影され,それらの傷について「頸部切創,両手首擦過傷,背部擦過傷」と診断されていることが認められ(甲229),被害状況等に関するB証言①の信用性は,前記通報や診察の時期・内容等によって強く裏付けられている。また,第1事件当日のA方のインターホン画像には,帽子及びサングラスを着用し,組み立てられた状態の段ボール箱を持った人物が写っていることが認められ(甲205),この点もB証言①の信用性を裏付けるものである。そして,被害状況や現金1億円の保管状況等に関するB証言①は,Gが,公判廷において,平成22年8月23日,Aへの返済のために,K信用金庫に開設された自己が代表取締役を務める 会社名義の口座から1億円を現金で出金し,その日のうちにA方に運んだ旨供述している(この供述は同口座の出金記録〔甲190〕等によって裏付けられており,十分信用できる。)ことや,第1事件当日(同事件後)にA方付近の月極ガレージ内でGの指紋が付着した同信用金庫の紙袋が発見されていること(甲202等)によっても,強く裏付けられている。さらに,現金1億円の保管状況等に関するB証言①の内容に特に不合理な点は見当たらない。加えて,Bが第1事件を原因として何らかの経済的利益を得たことをうかがわせるような事情は見当たらない。 これに対し,弁護人は,両目及び口にガムテープを貼られたBが犯人を金庫の場所等に案内したりすることはできないはずであり,B証言①は不合理で信用できない旨主張している。しかしながら,Bは,公判廷において,ガムテープが貼られた目の下に隙間が空いていた,ガムテープを貼られた口を に案内したりすることはできないはずであり,B証言①は不合理で信用できない旨主張している。しかしながら,Bは,公判廷において,ガムテープが貼られた目の下に隙間が空いていた,ガムテープを貼られた口を何とか動かして金庫の鍵の場所等を犯人に伝えた旨供述しており,この供述は不合理とはいえないから,弁護人の主張は採用できない。 その他弁護人がるる主張する点を踏まえても,B証言①は十分信用できる。 ⑵ 検討信用できるB証言①によれば,B及びAが判示第1の被害に遭ったこと,すなわち第1事件の事件性は優に認められる。 3 犯人性について⑴ 検察官は,①被告人がC,E及びHに対して第1事件について犯行告白をしたこと,②第1事件当日にCが事件現場近くまで段ボール箱を持った被告人を送迎したこと,③金銭に困窮していた被告人が第1事件後に大金を所持していたこと,④顔貌鑑定の結果,被告人と犯人とが同一人である可能性があると判断されていることといった各間接事実を総合すると,被告人が第1事件の犯人であると認められる旨主張する。これに対し,弁護人は,①被告 人は,C,E及びHに対して前記犯行告白をしたことはないこと,②Cが第1事件前後の時期に後援会への挨拶回りのために被告人を事件現場付近に送迎したことはあったが,第1事件の日時に被告人を事件現場付近に送迎したことはないこと,③被告人は多額の収入があり,金銭に窮していなかったこと,④顔貌鑑定は,鑑定資料の不足等から証明力がないことなどから,被告人が第1事件の犯人であるとは認められない旨主張しているものと解される。そこで,以下,検討する。 ⑵ 被告人がC,E及びHに対して第1事件について犯行告白をしたこと(間接事実①)についてア被告人による犯行告白に関するC,E及びHの各公判 のと解される。そこで,以下,検討する。 ⑵ 被告人がC,E及びHに対して第1事件について犯行告白をしたこと(間接事実①)についてア被告人による犯行告白に関するC,E及びHの各公判供述の概要Cの公判供述の概要Cは,公判廷において,被告人から犯行告白を受けた時期・経緯やその内容等について,要旨,「平成22年のまだ暑い時期に被告人から頼まれて自動車で送迎し,Lという飲食店(以下「本件飲食店」ともいう。)で被告人の連絡を待っていたことがあったところ,平成23年春頃,被告人が同年4月の選挙でa区から立候補する話を断ったというので,その理由を尋ねると,被告人は,a区で強盗をしたからである旨述べた。 被告人は,強盗について,時期は『Lで待っていてもらった日』,場所は『A方』,強取金額は『8500万』と述べ,被告人に1億円ではなかったかと聞くと,被告人は,『うーん,1億やったかな。』と答え,強取金の使途先については,『京都府以外の県の社長に5000万円を返済するのに使うなどして,手元に残っていない。』旨述べた。被告人からは,『言ったらあかんで,もう忘れて。』と言われて口止めをされた。」旨供述し,被告人の犯行告白を供述することにした経緯等については,「平成20年1月頃から被告人と交際を開始して,好意を抱いており,平成30年10月に判示第3の強要未遂事件で(被告人の共犯者として)逮捕 されてから同年11月に第1事件で(被告人の共犯者として)起訴されるまでの間,被告人をかばうために黙秘していたが,その後の平成31年春頃に当時の弁護人から差し入れられた捜査資料を見て被告人に対する気持ちが冷めたこと,自分の裁判では,保釈許可を求めるためもあって,被告人が犯人であることを前提に被告人との間の共謀を争い,認めるところは認めて否 護人から差し入れられた捜査資料を見て被告人に対する気持ちが冷めたこと,自分の裁判では,保釈許可を求めるためもあって,被告人が犯人であることを前提に被告人との間の共謀を争い,認めるところは認めて否認するところは否認するという方針を採ったことなどから,被告人から犯行告白を受けた事実や被告人を事件現場付近に送迎した事実を供述することとした。」旨供述する(以下「C証言」ともいう。)。 Eの公判供述の概要Eは,公判廷において,被告人から犯行告白を受けた時期・経緯やその内容等について,要旨,「平成27年秋頃,H及び被告人との間で,金になる話はないか,空き巣をするしかないかなどと話していると,被告人が強盗をしたほうが早いなどと言い出したため,Hとともに強盗はできないだろうなどと言うと,被告人は,『案外簡単にできる。実際にうまくやった経験がある。』と言った。被告人は,その頃から平成28年春頃までの間,複数回に分けて,『(平成27年の)五,六年前に,京都市内で,宅配業者を装って勝手口のインターホンを押し,勝手口から入り,出てきたばばあを結束バンドで拘束した。金がどこにあるかを聞き,駐車場にある金庫まで案内させて8000万円を取った。ばばあとかバディと呼んでいた女性(その女性の会社は被害者のライバル会社)から被害者宅を教えてもらい,事件当日もその女性に車で送ってもらい,事件後はその女性に最寄りの駅まで送ってもらい,その後,別の駅でその女性と落ち合い,高速道路のパーキングエリアで強取した金を数えた。強取した金は高校時代の彼女に預かってもらい,送ってもらった女性に利息を付けて借金を返済し,残りはNで豪遊したりフェラーリを買ったり するのに使って,なくなった。』と述べた。同じ頃,被告人と一緒に空き巣に入れそうな家を探すため,被 ,送ってもらった女性に利息を付けて借金を返済し,残りはNで豪遊したりフェラーリを買ったり するのに使って,なくなった。』と述べた。同じ頃,被告人と一緒に空き巣に入れそうな家を探すため,被告人が用意したレンタカーで京都市内を徘徊していたときに,被告人から『この家に入った。』と言われ,その家は,住宅街の中の割と大きな家で,隣に空き地があって,塀で囲まれており,空き地との間に目隠しのようなものがあり,空き地の目の前にコインパーキングがあった。その家の周囲にはO神社や大学か図書館のような建物があり,付近の家に高級車であるマセラティが停まっていた。」旨供述し,また,被告人の犯行告白を供述することにした経緯等について,「被告人と共謀して島根県内で実行した住居侵入,窃盗未遂,強盗致傷事件(以下「島根事件」ともいう。)での最終起訴の前に,被告人がその事件の罪を全て自分になすりつけようとしていることを検察官から聞いて知り,被告人が過去に起こした強盗事件のことを話せば,被告人が島根事件についてうそをついており,その経験に基づいて主導的に実行したことが分かってもらえると考え,平成28年7月頃から同年12月頃までの間に被告人の犯行告白について供述を始めた。」旨供述する(以下「E証言」ともいう。)。 Hの公判供述の概要Hは,公判廷において,被告人から犯行告白を受けた時期・経緯やその内容等について,要旨,「平成27年秋頃,E及び被告人と空き巣に入る家を探すなどしていたところ,被告人が『強盗でもせんと金にならん。』と言い出し,被告人に強盗は割に合わないなどと言うと,被告人は,複数回に分けて,『五,六年前に宅配業者を装ってインターホンを押し,出てきた社長の奥さんを家の中に押し込み,結束バンドで手を縛って脅して金庫の場所等を聞き出し,駐 に合わないなどと言うと,被告人は,複数回に分けて,『五,六年前に宅配業者を装ってインターホンを押し,出てきた社長の奥さんを家の中に押し込み,結束バンドで手を縛って脅して金庫の場所等を聞き出し,駐車場かガレージにある金庫の中にあった8000万円ほどの現金をバッグに詰めて逃げた。現金を奪った後に家を離れたが,女性を縛っていた結束バンドを切りに戻り,これを持って 逃げた。知り合いの女性に送迎してもらったが,迎えに来てもらうために電話をしたとき,その女性からコーヒーを頼んだところだと言われた。 奪った金は,借金返済とスポーツカーの購入に使った。』と言った。入る家の周辺を下見しているときに被告人が強盗に入った家の前まで行ったことがあり,その家は,壁に囲まれ,網目の整った京都の住宅街にあり,近くに有名な寺か神社があった。」旨供述し,被告人の犯行告白に関し供述することにした経緯については,「平成30年から平成31年にかけて警察官が2回にわたり第1事件について話を聞きに来たが,被告人の犯行告白のことを言うと自分が起こした事件が発覚するなどと思い,知らないと答えていたが,大阪府枚方市での強盗事件(以下「枚方事件」ともいう。)等で令和2年1月に逮捕された後は,家族のためにも全部きちんと話そうと考え,被告人の犯行告白について供述を始めた。」旨供述している(以下「H証言」ともいう。)。 イ被告人による犯行告白に関するC,E及びHの各公判供述の信用性評価C,E及びHが,それぞれ述べる被告人による犯行告白の内容は,その犯行の罪名(強盗),時期,被害者の属性,奪った金額,現場に向かった方法等についておおむね一致している。CとE及びHとの間にはいずれも面識がないことからすると,被告人による犯行告白の内容に関し,CとE及びHとの間で口裏合わせ 害者の属性,奪った金額,現場に向かった方法等についておおむね一致している。CとE及びHとの間にはいずれも面識がないことからすると,被告人による犯行告白の内容に関し,CとE及びHとの間で口裏合わせが行われた上で,C,E及びHがそれぞれ虚偽の供述をしている可能性は考え難いといえるから,この点について前記3名の各証言がおおむね一致していることは,その各証言の信用性を相互に高め合う事情になるといえる。 また,E及びHの各証言中には,後記のとおり,第1事件において実際に発生し,かつ,報道等されていないためにB等以外には犯人しか知り得ない内容の事実が複数含まれ,かつその内容が重なり合っていることが認められる。すなわち,信用できるB証言①等の関係証拠によれ ば,第1事件において,①犯人がA方に侵入したのがその勝手口からだったこと,②A方の金庫がそのガレージにあったこと,③犯人がBを縛るのに結束バンドを使用したこと,④犯人がA方から一度出た後に再び戻り,Bを縛った結束バンドを切ったことが認められ,信用性に特段疑いを容れるべき事情の見当たらない警察官Dの公判供述(以下「D証言」ともいう。)によれば,前記①ないし④の各事実はいずれも報道等されていないものと認められるところ,E証言中には前記①ないし③の各事実が,H証言中には前記②ないし④の各事実がそれぞれ含まれ,かつ,前記②及び③の各事実については,その内容がE及びHの各証言で相互に重なり合っており,かかる事情は,その各証言の信用性を強く裏付けるものといえる。 そして,C,E及びHが,それぞれ被告人から犯行告白を受けた経緯として述べる内容についても,Cについては,被告人の選挙への立候補に関する話の流れから,E及びHについては,強盗の実行をちゅうちょしていたEやHに強盗の決意を促すとい 被告人から犯行告白を受けた経緯として述べる内容についても,Cについては,被告人の選挙への立候補に関する話の流れから,E及びHについては,強盗の実行をちゅうちょしていたEやHに強盗の決意を促すという話の流れから,それぞれ被告人が犯行告白をしたというのであるが,いずれも,前記の各犯行告白当時,Cが被告人に好意を抱いており(従前から肉体関係もあった。),多額の貸付けをしてきたことや,E及びHが被告人と共に京都市内を車で徘徊するなどしていたことといった関係証拠上明らかな事実関係に照らしても相応に自然であり,特に疑いを容れるべき事情は見当たらない。 さらに,C,E及びHの各証言時において,Cについては第1事件等に係る判決が,E及びHについては島根事件あるいは枚方事件等に係る判決がそれぞれ既に確定しており,前記3名が,少なくともそれらの事件との関係で自己の刑責を軽減させるために被告人に殊更不利な虚偽の証言をする理由はうかがえない。また,Cは,当初は被告人をかばって黙秘していたものである上,被告人を自動車で送迎し,本件飲食店で被 告人の連絡を待っていた日ははっきりしないと述べるなど覚えていないことはその旨率直に述べており,かかる供述経過や供述態度はC証言の信用性を一定程度高めるものといえる。 加えて,D証言によれば,平成28年9月頃にEが被告人による犯行告白に関して捜査機関に対してした供述に基づいて裏付け捜査がなされた結果,第1事件当日に被告人を事件現場付近まで送迎した者としてCの存在が新たに浮上した(それまで捜査機関はこの点を把握していなかった)ことが認められ,かかる事実も,C,E及びHの各証言の信用性を高めるものといえる。 なお,EとHが従前から親しい間柄であり,Hが枚方事件等で逮捕される前に,島根 関はこの点を把握していなかった)ことが認められ,かかる事実も,C,E及びHの各証言の信用性を高めるものといえる。 なお,EとHが従前から親しい間柄であり,Hが枚方事件等で逮捕される前に,島根事件で逮捕された後のEとの間で複数回の面会や手紙のやり取りを行っていたことといった事情が,E及びHの各証言の信用性に疑いを生ぜしめるものであるか否かを検討してみても,両名が,前記のような機会を利用してあえて口裏を合わせ,それぞれ異なる時期に(Eは平成28年9月頃,Hは令和2年1月以降),前記のとおり,第1事件において実際に発生し,かつ,B等以外には犯人しか知り得ない内容の事実をそれぞれ複数含む内容(しかも,前記のとおり,H証言には,E証言に含まれていない内容も一部含まれている。)の供述を開始するという事態は現実的には想定し難いといえるから,前記事情は,E及びHの各証言の信用性に疑いを生ぜしめるものではないといえる。 その他弁護人がC,E及びHの各証言が信用できないとしてるる主張する点は,いずれも前提を欠くか理由がないものであって,採用できない。 以上によれば,被告人による犯行告白に関するC,E及びHの各証言は,いずれも基本的に信用できる。 ウ被告人による犯行告白に関する被告人の公判供述 これに対し,被告人は,公判廷において,C,E及びHに対して第1事件について犯行告白をしたことはない,Eが,平成28年1月頃から第1事件についての報道内容を見て事件現場であるA方を突き止めると,実際にA方に行き,新聞記事の内容・写真やA方の状況等を見て,①ないし③の各事実を推測した旨供述している。 しかしながら,被告人の公判供述によってもEがA方全体の構造や状況等を把握していたとはう に行き,新聞記事の内容・写真やA方の状況等を見て,①ないし③の各事実を推測した旨供述している。 しかしながら,被告人の公判供述によってもEがA方全体の構造や状況等を把握していたとはうかがわれないところ,特に同②の事実に関しては,Eが高額な現金が保管された金庫が無防備なガレージに置いていると推測することは極めて困難であるといえ,Eが同事実を含む同①ないし③の各事実を偶然全て正しく推測して捜査機関に供述することは常識的にみて考え難いから,被告人の前記公判供述は,不合理であり,信用性に乏しいといわざるを得ない。 エ間接事実①の推認力評価信用できるC,E及びHの前記各公判供述によれば,被告人がC,E及びHに対して第1事件について犯行告白をしたこと(間接事実①)が認められる。 そして,前記のとおり,被告人による犯行告白には,第1事件において実際に発生し,かつ,報道等されていないためにB等以外には犯人しか知り得ないおり,特に同②の事実を推測することは極めて困難であるから,被告人がこれらの各事実を偶然全て正しく推測することは常識的にみて考え難いこと,Eが被告人による犯行告白に関してした供述に基づいて裏付け捜査がなされた結果,Cの存在が新たに浮上したことなどからすれば,間接事実①は,被告人が第1事件の犯人でないとしたならば説明が相当に困難な事実といえ,被告人が第1事件の犯人であることを強く推認させるものといえる。 ⑶ 第1事件当日にCが事件現場近くまで段ボール箱を持った被告人を送迎し たこと(間接事実②)についてア Cの公判供述について 供述概要Cは,前記のとおり,平成23年春頃,被告人から,Lで待っていてもらった日に第1事件に及んだ旨の犯行告白を受けた旨述べ )についてア Cの公判供述について 供述概要Cは,前記のとおり,平成23年春頃,被告人から,Lで待っていてもらった日に第1事件に及んだ旨の犯行告白を受けた旨述べているところ,その日に被告人を送迎(以下「本件送迎」ともいう。)した状況等について,要旨,「平成22年のまだ暑い時期の午後1時頃に被告人から電話で送迎を依頼されたことから,ホテルの地下駐車場に車で迎えに行き,そこで黒いスーツを着て,黒い革靴を履き,組み立てられた状態の段ボール箱を持った被告人を乗せ,被告人の指示に従いながら運転し,P通のQ通とR通の間で被告人を降ろした。その際,被告人からコーヒーでも飲んで待っているよう言われたため,Q通を西方に走らせるなどして10分くらいで本件飲食店に入り,ケーキセットを頼んだが,店に入ってから10分から15分くらい後に,被告人から,電話で,迎えに来るよう言われたため,ケーキセットが出る前に店を出て,Q通を東進し,P通を右に曲がったところのバス停付近で,黒いスーツを着て,黒い革靴を履き,ベージュ色のトートバッグのような大きいかばんを持った被告人を車に乗せ,その後,左手に下りていく階段があるようなところで被告人を降ろした。」旨供述する。 信用性評価このC証言は,相応に具体的である上,被告人自身,後援会の挨拶回りのためにCが第1事件前後の時期に被告人を事件現場のあるエリアに車で送迎した事実があったこと(ただし,第1事件当日にかかる送迎の事実はなかったとする。)や,かかる送迎に際しCが被告人を待つ間にLという飲食店でケーキセットを頼んだところ,被告人の呼出しが早かったために食べられなかったという出来事があったこと自体は特にこれを 争うものではなく,Cの前記供述内容は,被告人も認める事実 という飲食店でケーキセットを頼んだところ,被告人の呼出しが早かったために食べられなかったという出来事があったこと自体は特にこれを 争うものではなく,Cの前記供述内容は,被告人も認める事実経過ともおおむね合致し,その内容にも特に不合理な点がない。また,C証言のうちCの行動状況等について述べる部分は,被告人による犯行告白に関する前記のE及びHの各証言とおおむね整合している。さらに,Cの供述経過や供述態度がC証言の信用性を一定程度高めることは前記のとおりである。 これに対し,弁護人は,C証言はB証言①と矛盾していて信用できないと主張して,次の点を指摘しているものと解される。①B証言①等によれば,犯人は,犯行当時,緑色のジャンパー及びスニーカーを着用し,犯行後,黒色のボストンバッグ又はスポーツバッグのような横長のかばんを持っていた(なお,犯行前には組み立てられた状態の段ボール箱を持っていた)ことになるのに対し,C証言によれば,被告人は,本件送迎時にいずれも黒色のスーツ及び革靴を着用し,本件飲食店から迎えに行った際にはベージュ色のトートバッグのような大きいかばんを所持していたことになり,犯人と本件送迎時の被告人の服装及び所持品の特徴が一致していない。②B証言①によれば,Aが第1事件当日午後2時頃に車を運転してA方から出勤し,同事件の際に犯人がBに「さっき車が出て行ったけど,どこ行ったん。」と言い,同事件直後の同日午後3時5分頃にBがGに電話をかけたことになり,犯人が同日午後2時頃から同日午後3時頃までの間A方又はその周辺にいたことになるのに対し,C証言によれば,被告人がC運転の車を降りてからCに迎えに来るよう電話をかけるまでの時間が約25分だったことになり,被告人が第1事件に及ぶことが時間的に不可能である。 しかし,①につい のに対し,C証言によれば,被告人がC運転の車を降りてからCに迎えに来るよう電話をかけるまでの時間が約25分だったことになり,被告人が第1事件に及ぶことが時間的に不可能である。 しかし,①については,犯人が第1事件前に持っていた段ボール箱の中に緑色のジャンパー,スニーカー,黒色の横長のかばん,ベージュ色の大きいかばん等を入れておいて,犯行を終えてA方から逃走した後に 黒色の横長のかばんからベージュ色の大きいかばんに中身を入れ替えたり,第1事件前後に付近の駐車場や駐車車両の物陰等(なお,Gの指紋が付着した信用金庫の紙袋が発見された前記A方付近の月極ガレージは,公道との間には比較的高い塀が設置されており,公道から見えない部分があったことが認められる。)で着替えることは可能だった(ジャンパーについては,既に着用している服の上から着脱するだけで容易に着替えることができる。)といえるから,前記服装及び所持品の特徴の不一致をもってC証言がB証言①と矛盾しているとはいえない。②については,犯人が,第1事件を確実に成功させるべく,A方に他に家人がいるかどうかやその帰宅時刻等をBから聞き出すため,実際にはAの車を見ていないのに前記発言をした可能性も考えられるから,前記発言から直ちに犯人が第1事件当日午後2時頃からA方付近にいたとは認められないし,前記のとおりCが同日に被告人を送迎したと述べる各地点とA方との距離関係や,前記の容易に着替えができた可能性等を併せ考慮すると,被告人が第1事件に及ぶことが時間的に不可能だったとはいえず,C証言がB証言①と矛盾しているとはいえない。 以上によれば,本件送迎の状況等に関するC証言は,信用できる。 イ間接事実②の推認力評価信用できるC証言によれば,第1事件当日にCが事 と矛盾しているとはいえない。 以上によれば,本件送迎の状況等に関するC証言は,信用できる。 イ間接事実②の推認力評価信用できるC証言によれば,第1事件当日にCが事件現場近くまで段ボール箱を持った被告人を送迎したこと(間接事実②)が認められるところ,この間接事実②は,前記のとおり第1事件の犯人が犯行前に組み立てられた状態の段ボール箱を持っていたことを考慮すると,被告人が第1事件の犯人でないとしたならば説明が困難な事実とまではいえないものの,被告人が第1事件の犯人であることを相応に推認させるものといえる。 ⑷ 金銭に困窮していた被告人が第1事件後に大金を所持していたこと(間接事実③)について アまず,関係証拠によっても,被告人が第1事件当時に金銭に困窮していたかは判然としない上,金銭に困窮している人物が必ず強盗を実行するとは限らない(逆に金銭に困窮していない人物が必ず強盗を実行しないとも限らない。)ことは明らかである。 また,関係証拠によれば,被告人は,①平成22年10月にフェラーリを代金約1048万円で購入し,同月中に代金のほとんどを現金で支払ったこと(甲209),②同年11月30日,それまでCから借りていた2000万円につき,Cに対して利息を付けて合計2200万3000円を現金で返済したこと(甲126,C証言)が認められる一方で,平成21年7月に1500万円を,平成22年6月に1500万円をそれぞれ祖母から受け取っていること(弁書35,37)が認められるほか,その他にも,被告人が述べるとおり,国会議員の公設秘書として処理した陳情に対する報酬等の収入が相応にあった可能性も否定できない(検察官は,これを排斥するに足りる的確な証拠を提出していない。)。しかも,前記②の現 告人が述べるとおり,国会議員の公設秘書として処理した陳情に対する報酬等の収入が相応にあった可能性も否定できない(検察官は,これを排斥するに足りる的確な証拠を提出していない。)。しかも,前記②の現金の返済日は第1事件の約2か月後であり,その時間的間隔は比較的長いといえる。 イ以上によれば,間接事実③は,一部認められないか,仮に認められたとしても,被告人が第1事件の犯人であったとしても矛盾しない程度のものにとどまり,被告人が犯人であることを推認させる力は相当に弱いといわざるを得ない。 ⑸ 顔貌鑑定の結果,被告人と犯人とが同一人である可能性があると判断されていること(間接事実④)についてア顔貌鑑定について鑑定人F(以下「F鑑定人」ともいう。)は,公判廷において,A方のインターホンに映った人物(犯人)の顔画像と被告人の三次元顔画像データを比較検討し,両者について,同等の顔型,鼻・口唇部・耳介の型を有 し,「頬骨部の外側方向への突出がやや強く,その下方にわずかに陥凹が観察される」「側貌像で鼻背の側面観がやや凸状で,鼻尖の形状が尖で,外鼻孔が観察され,鼻唇溝が観察される外鼻」「口裂線の走行が直線型で,鼻下が長く,オトガイ結節が鈍円状で前方にやや発達した口唇部」「耳輪の輪郭が逆くの字状にやや屈曲した耳介」等の特徴的な形態が共通に認められ,かつ,スーパーインポーズ検査における重ね合わせでも矛盾がみられなかった一方,前記インターホンに映った人物(犯人)が帽子をかぶり,サングラスを着用しているほか,その顔画像として顔の左側面の1カットしかないなど鑑定資料に不足があったことなどから,「同一人の可能性がある。」と判断した(以下「本件顔貌鑑定」ともいう。)。 そして,F鑑定人は,顔貌鑑定について経験豊かな専門家で 1カットしかないなど鑑定資料に不足があったことなどから,「同一人の可能性がある。」と判断した(以下「本件顔貌鑑定」ともいう。)。 そして,F鑑定人は,顔貌鑑定について経験豊かな専門家であり,その鑑定の手法は形態学的検査,人類学的計測検査及びスーパーインポーズ検査という三つの検査手法を用いた合理的なものであること,前記両者の顔面の特徴的な形態について個別的かつ具体的に指摘するなどして客観的に分析されていること,鑑定資料の不足等も踏まえて慎重に判断していることなどから,基本的に信用できる(なお,弁護人は,前記インターホン画像にひずみ・ゆがみが生じており,本件顔貌鑑定は信用できない旨主張するが,F鑑定人は,同画像に映っている人物はそのほぼ中心部にいることなどから鑑定において特に問題はない旨明確に述べており,この供述に格別疑義はないから,弁護人のこの主張は採用できない。)。 イ間接事実④の推認力評価信用できる本件顔貌鑑定の結果,被告人と犯人とが同一人である可能性があると判断されていること(間接事実④)が認められるが,その判断内容(「同一人と推定される」「おそらく同一人と推定される」よりも下位)に照らすと,間接事実④が被告人が第1事件の犯人であることを推認させる力は弱いといわざるを得ない。 ⑹ 各間接事実の総合評価以上によれば,間接事実①は,被告人が第1事件の犯人でないとしたならば説明が相当に困難な事実といえ,被告人が第1事件の犯人であることを強く推認させるものといえる。そして,間接事実②は被告人が第1事件の犯人であることを相応に推認させるもの,間接事実④も弱いながらも被告人が犯人であることを推認させるものといえ,これらの事実全てが第1事件とは無関係に偶然存在することは常識に照 ②は被告人が第1事件の犯人であることを相応に推認させるもの,間接事実④も弱いながらも被告人が犯人であることを推認させるものといえ,これらの事実全てが第1事件とは無関係に偶然存在することは常識に照らして考え難いといえる。そうすると,これらが組み合わさることで,被告人が第1事件の犯人ではない可能性は常識的にみて残らないといえる程度に小さいものであるといえるから,被告人が第1事件の犯人であると合理的な疑いなく認められる。 4 結論以上によれば,第1事件について事件性及び犯人性が認められ,判示第1の事実は優に認められる。 第2 判示第2の事実(以下「第2事件」ともいう。)について 1 主要な争点主要な争点は,事件性及び犯人性である。 2 事件性について⑴ Bの公判供述についてア供述概要Bは,公判廷において,第2事件の被害状況(犯人2名から暴行・脅迫を加えられた状況,現金2200万円及び現金500万円をそれぞれ判示の植木〔以下「本件植木」ともいう。〕のある場所に置いた状況)等について判示事実に沿う供述をするとともに,現金2200万円を置いた後の状況について,「本件植木のところに現金2200万円を置いた後,その場から立ち去り,それから1週間か10日後に自宅に戻ると,これがなくなっていた。」旨を,現金500万円を置いた後の状況について,「本件植木の ところに現金500万円を置いた後,Jが運転する車で自宅の周りを1周走って数分後に戻ると,これがなくなっていた。」旨をそれぞれ供述している(以下「B証言②」ともいう。)。 イ信用性評価B証言②のうち,犯人2名から暴行・脅迫を加えられた状況について述べる点は,これについてBから相談された旨のJの公判供述によって裏付けられている。ま 証言②」ともいう。)。 イ信用性評価B証言②のうち,犯人2名から暴行・脅迫を加えられた状況について述べる点は,これについてBから相談された旨のJの公判供述によって裏付けられている。また,B証言②のうち,平成28年2月1日午前11時頃に現金2200万円を本件植木のある場所に置いた旨述べる点は,同日午前9時12分及び同日午前9時33分にB名義の口座から現金合計2200万円が出金されていること(甲211)によって裏付けられている。さらに,B証言②のうち,同月12日にB方の不動産売買契約の手付金のうち500万円を現金で受け取り,同日午後1時頃に本件植木のある場所に置いたとする点やこれを置いた後の状況について述べる点は,その際にBに同行していたJの公判供述のほか,同契約の契約書やBの不動産取引先業者の出金記録(甲211)によっても裏付けられている。そして,Bが第2事件を原因として何らかの経済的利益を得たことをうかがわせるような事情は見当たらない。 これに対し,弁護人は,Bは,判示の被害に遭ったにもかかわらずその後直ちに警察に被害申告をしていないことなどから,B証言②は信用できない旨主張する。しかしながら,Bは,この点に関し,公判廷において,第1事件後の報道が激しかったこと,B方の売却や転居ができなくなるかもしれないと考えたこと,第2事件の際に犯人に母親の入院先を教えてしまっており,犯人が母親に危害を加えるのではないかと心配したことなどから被害申告をしなかったが,転居後に判示第3別表番号1の手紙が投函される被害に遭ったため,第2事件についても被害申告をした旨の合理的な説明をしているから,弁護人の主張は採用できない。その他弁護人がB 証言②が信用できないとしてるる主張する点は,いずれも前提を欠くか理由 ため,第2事件についても被害申告をした旨の合理的な説明をしているから,弁護人の主張は採用できない。その他弁護人がB 証言②が信用できないとしてるる主張する点は,いずれも前提を欠くか理由がないものであって採用できない。 以上によれば,B証言②は,十分信用できる。 ⑵ 検討アまず,信用できるB証言②によれば,Bが,犯人2名から判示の暴行・脅迫を加えられ,判示のとおり現金2200万円及び現金500万円をそれぞれ本件植木のある場所に置いたことが認められる。 イなお,検察官は,公訴事実において,犯人が平成28年2月1日午前11時頃に現金2200万円を奪った旨主張する。 この点,信用できるB証言②等の関係証拠(甲218,232を含む。)によれば,犯人が,同年1月31日午後9時頃,Bに対し,同年2月1日午前11時頃に2200万円を本件植木の下に置くよう指示し,Bが同日時頃に現金2200万円を本件植木のある場所に置いたこと,それから1週間か10日後に同現金がなくなっていたこと,他方で,被告人が,同年2月1日午後0時19分頃に司法書士に電話をかけ,同日中にその事務所に現金1620万円を持参したこと(甲218,232等)が認められ,2200万円という現金が相当に高額であることも踏まえると,検察官主張の前記事実があった可能性は高いとも考えられる。 しかしながら,関係証拠によっても,Bが本件植木のある場所に置いた前記現金2200万円が同所からなくなった具体的な日時を特定することはできない上,同所が公道に面していることなどからすると,Bが同所に同現金を置いてから1週間か10日の間に犯人以外の第三者が同現金を持ち去った可能性は否定できない。この点,犯人が同現金を奪うことができなかったとすると 公道に面していることなどからすると,Bが同所に同現金を置いてから1週間か10日の間に犯人以外の第三者が同現金を持ち去った可能性は否定できない。この点,犯人が同現金を奪うことができなかったとすると,犯人からBに対して改めて現金を催促するなどの行動に出るのが自然であるところ,そのような事情がうかがわれないといった反論も考え得るが,犯人がそのような行動に出たもののBに接触すること ができなかった可能性や,犯行が発覚する危険を回避するためにあえてかかる行動に出なかった可能性も想定できる。そして,後記のとおり,被告人が同年2月1日に前記司法書士の事務所に持参した現金1620万円については,Bが本件植木のある場所に置いた前記現金2200万円の一部であるとは断定できない。 これらの点からすれば,検察官主張の前記事実があったと認定するには合理的な疑いが残るといわざるを得ない。 ウ他方,弁護人は,犯人が平成28年2月12日午後1時頃に現金500万円を奪ったとはいえない旨主張する。 しかしながら,信用できるB証言②によれば,犯人が,同年1月31日午後9時頃,Bに対し,同年2月12日午後1時頃に500万円を本件植木の下に置くよう指示し,Bが同日時頃に現金500万円を本件植木のある場所に置いたこと,Bがその後,Jが運転する車でB方の周りを1周走って数分後に同場所に戻ると,同現金がなくなっていたことが認められ,これからすると,その数分間で犯人以外の第三者が同現金を持ち去った可能性は考え難く,犯人が同日時頃に同現金を奪ったものと推認できる。 エ以上によれば,Bが判示第2の被害に遭ったこと,すなわち第2事件の事件性が認められる(ただし,被害は現金500万円の限度で認められる。)。 3 犯人性について⑴ 検察官は,① る。 エ以上によれば,Bが判示第2の被害に遭ったこと,すなわち第2事件の事件性が認められる(ただし,被害は現金500万円の限度で認められる。)。 3 犯人性について⑴ 検察官は,①第2事件後,被告人自身が,その犯人しか知り得ない同事件を内容とする手紙を作成し,Bに送ったこと,②第2事件後,被告人がその犯人しか知り得ないBの母親の入院先の病院名等を知っていたこと,③金銭に困窮していた被告人が第2事件直後にCに1620万円を返済するなど大金を所持していたこと,④被告人が第2事件の犯行道具と考えられる双眼鏡を同事件当日にレンタルしたことなどの各間接事実を総合すると,被告人が 第2事件の犯人であると認められる旨主張する。これに対し,弁護人は,①被告人は,前記手紙はMから依頼されて作成したものであり,その記載内容の意味を理解していなかったこと,②被告人は,Bの転居先調査を依頼してきたMから前記病院名等を聞いていたこと,③被告人は多額の収入があって金銭に困窮しておらず,前記1620万円の返済原資はかつてした事務処理の報酬として平成28年1月に受け取った2000万円であること,④被告人は,前記双眼鏡をEに頼まれてレンタルし,その知人に貸したものであることなどから,被告人が第2事件の犯人であるとは認められない旨主張している。 ⑵ 第2事件後,被告人自身が,その犯人しか知り得ない同事件を内容とする手紙を作成し,Bに送ったこと(間接事実①)についてアまず,被告人が,判示第3別表番号1ないし6の各「脅迫文言」欄記載の手紙(以下「本件手紙①ないし⑥」ともいう。)を作成した上,判示第3のとおり,本件手紙①ないし⑥を京都市c区内のαマンションB方の集合ポスト(以下「B方ポスト」ともいう。)に投函するなどしたことについて (以下「本件手紙①ないし⑥」ともいう。)を作成した上,判示第3のとおり,本件手紙①ないし⑥を京都市c区内のαマンションB方の集合ポスト(以下「B方ポスト」ともいう。)に投函するなどしたことについては,特に争われておらず,関係証拠上も明らかである。 また,信用できるBの公判供述によれば,第2事件当時以外に,同事件当日又はその前後頃に男性2名がB方を訪れたことがなかったこと,第2事件の際にBが犯人に母親の入院先の病院名(「長岡のβ病院」)を話していることが明らかであることからすると,本件手紙①の「本年1月31日夜,B様が以前に住んでおられたb町の御自宅に,2人の男性が御邪魔させて頂いたことかと思います。」という文言が第2事件を,本件手紙①の「その時にお借りしたもの」という文言及び本件手紙⑤の「昨年二月にお借りしたもの」という文言が第2事件で犯人がBから奪った現金を,本件手紙⑤及び⑥の各「病院」という文言が第2事件の際にBが犯人に話した母親の入院先の病院をそれぞれ意味するものと認められる。 そして,関係証拠によれば,被告人が本件手紙①をB方ポストに投函した平成28年12月22日当時,Bは第2事件を警察に被害申告しておらず,第2事件を知っているのはB,その親族及びJ等の限られた人物以外には犯人のみであること,また,Bの母親の入院先の病院名を知っているのは,B,その親族,Bの母親が入所していた施設関係者等の限られた人物以外には犯人のみであることが認められる。 以上によれば,第2事件後,被告人自身が,その犯人しか知り得ない同事件を内容とする本件手紙①⑤⑥を作成し,Bに送ったこと(間接事実①)が認められる。 イこれに対し,被告人は,公判廷において,要旨,①「平成28年9月頃,医師に紹介された しか知り得ない同事件を内容とする本件手紙①⑤⑥を作成し,Bに送ったこと(間接事実①)が認められる。 イこれに対し,被告人は,公判廷において,要旨,①「平成28年9月頃,医師に紹介されたMから,Aの時代からあった金銭トラブルの話が終わる前に相手方がいなくなったため,Bの転居先を調査してほしい旨の依頼を受けた。Cに依頼してBの転居先である京都市c区内のαマンションを突き止めた上でMに報告したところ,Mから,前記αマンションが本当にBの転居先か確認するよう言われたため,前記αマンションB方のインターホンを押したりした。その後,Mから指示されて,Mから電話で伝えられたとおりの内容の本件手紙①ないし⑥を作成してB方ポストに投函するなどした。また,Mから指示されて,平成28年12月24日午前10時30分に本件手紙①で面会場所として指定された喫茶店に行ってコーヒーを飲んだりした。既に50万円の報酬を受け取っていたことからMからの指示を断ることはできなかった。」,②「Bの母親が入院している病院もMから聞いた。」,③「B側に非があって逃げているものと認識していたことから本件手紙①ないし⑤の内容に問題があるとは考えなかった。」旨供述している。 しかしながら,Mは,公判廷において,BやA等のことは知らないと述べるとともに,被告人が述べる前記①②の事実関係を明確に否定する供述 をしている(以下「M証言」という。)ところ,M証言は,その内容に特段不自然な点はなく,その信用性に疑いを容れるべき事情は見当たらない。 また,被告人は,捜査段階では,Bの転居先の調査等を依頼してきた人物は「m」のつく人物である等の供述しかしておらず,当該人物を特定できていなかったにもかかわらず,公判廷において突如として当該人物がMである旨を供述し始め 階では,Bの転居先の調査等を依頼してきた人物は「m」のつく人物である等の供述しかしておらず,当該人物を特定できていなかったにもかかわらず,公判廷において突如として当該人物がMである旨を供述し始めており,その供述経過には唐突で不自然な面があるといわざるを得ない。 そして,本件手紙①のうち「なお,依頼主は今のところB様の新しいご住所を存じておりませんが,私がお会いできないとなると,今後どのような行動をとるか,いささか不安なところではございます。」との文言や,本件手紙⑤のうち「私以外の人間が交渉することになると,このような手間ひまをかけないと思います」との文言が,Bが面会の要求に応じなければBの生命や身体等に危害を加えかねない旨を示す内容であることは明らかであり,これらの手紙を作成した被告人がこの点に気付かなかったとは考え難いから,被告人の公判供述のうち,③「本件手紙①ないし⑤の内容に問題があるとは考えなかった」旨述べる点は,不自然である。 さらに,被告人の公判供述のうち,Mから電話で伝えられたとおりの内容の本件手紙①ないし⑥を作成した旨述べる点は,第2事件を知らないという被告人を介在させることにより同事件が発覚する危険が生じるといえることや,本件手紙①ないし⑥の内容が婉曲的で分かりにくく,電話で内容を正確に伝えるのが困難といえることに照らすと,かなり不自然な感がある。 これらの点からすれば,被告人の前記公判供述は信用性に乏しいといわざるを得ない。 ウそうすると,第2事件後,被告人自身が,その犯人しか知り得ない同事件を内容とする本件手紙①⑤⑥を作成し,Bに送ったこと(間接事実①) が認められる一方で,本件手紙①ないし⑥はMから依頼されて作成したものであり,その記載内容の意味を理解して り得ない同事件を内容とする本件手紙①⑤⑥を作成し,Bに送ったこと(間接事実①) が認められる一方で,本件手紙①ないし⑥はMから依頼されて作成したものであり,その記載内容の意味を理解していなかった旨などをいう被告人の前記公判供述は信用性に乏しいから,かかる間接事実①は,被告人が第2事件の犯人でないとしたならば説明が相当に困難な事実といえ,被告人が第2事件の犯人であることを強く推認させるものといえる。 ⑶ 第2事件後,被告人がその犯人しか知り得ないBの母親の入院先の病院名等を知っていたこと(間接事実②)についてア前記のとおり,第2事件の際にBが犯人に母親の入院先の病院名(「長岡のβ病院」)を話していること,その病院名を知っているのは,B,その親族,Bの母親が入所していた施設関係者等の限られた人物以外には犯人のみであることが認められること,他方で,第2事件後の平成28年11月10日,被告人がCに対し,Bの母親が長岡京市のβ病院に入院している旨をLINEで伝えていることが関係証拠(甲221)によって明らかであることからすれば,第2事件後,被告人がその犯人しか知り得ないBの母親の入院先の病院名等を知っていたこと(間接事実②)が認められる。 他方で,Bの母親が入院している病院もMから聞いた旨の被告人の公判供述が信用性に乏しいことは前記のとおりであるから,間接事実②は,間接事実①と同様に,被告人が第2事件の犯人でないとしたならば説明が相当に困難な事実といえ,被告人が第2事件の犯人であることを強く推認させるものといえる。 ⑷ 金銭に困窮していた被告人が第2事件直後にCに1620万円を返済するなど大金を所持していたこと(間接事実③)についてアまず,関係証拠によっても,被告人が第2事件当時に金銭に困窮 ⑷ 金銭に困窮していた被告人が第2事件直後にCに1620万円を返済するなど大金を所持していたこと(間接事実③)についてアまず,関係証拠によっても,被告人が第2事件当時に金銭に困窮していたかは判然としない上,前記のとおり,金銭に困窮している人物が必ず強盗を実行するとは限らない(逆に金銭に困窮していない人物が必ず強盗を実行しないとも限らない。)ことは明らかである。 イもっとも,関係証拠によれば,被告人が,平成28年1月下旬頃にCから1600万円の借金の返済を迫られていたこと(甲218,219,C証言),同年2月1日午後0時19分頃(第2事件においてBが現金2200万円を本件植木のある場所に置いた直後),司法書士に電話をかけて,同日中にその事務所に現金1620万円を持参し,これがCに返済されたこと(甲218,232等)が認められ,これらの事実は,被告人が第2事件の犯人であることを相当程度推認させるように思われる。しかしながら,他方で,被告人は,公判廷において,平成28年1月末頃に,かつてした事務処理の報酬として現金2000万円を受け取った旨供述しているところ(なお,検察官はこれを排斥するに足りる的確な証拠を提出していない。),関係証拠によれば,被告人は,第2事件より前の同年1月28日に前記司法書士に電話をかけているものと認められ,以上によれば,前記現金1620万円については,その原資が前記現金2000万円である可能性も否定できず,Bが本件植木のある場所に置いた前記現金2200万円の一部であるとは断定できない。 ウ以上によれば,間接事実③は,一部認められないか,仮に認められたとしても,被告人が第2事件の犯人であることを推認させる力は弱いといわざるを得ない。 ⑸ 被告人が第2事件の犯行道具と 。 ウ以上によれば,間接事実③は,一部認められないか,仮に認められたとしても,被告人が第2事件の犯人であることを推認させる力は弱いといわざるを得ない。 ⑸ 被告人が第2事件の犯行道具と考えられる双眼鏡を同事件当日にレンタルしたこと(間接事実④)について関係証拠(甲230,B証言②等)によれば,被告人は,第2事件当日である平成28年2月1日及び同月12日(Bが現金を本件植木のある場所に置いた日),倍率が8倍から24倍までで数百メートル先まで見通せる双眼鏡(以下「本件双眼鏡」ともいう。)をレンタルしたこと,Bは,同月12日に現金500万円を本件植木のある場所に置いた後,Jが運転する車でB方の周りを1周走って数分後に同場所に戻ると,同現金がなくなっていたことが 認められ,これらの事実は,被告人が,第2事件当日に本件双眼鏡を犯行道具としてレンタルしたこと,ひいては第2事件の犯人であることを相当程度推認させるように思われる。 しかしながら,関係証拠によっても,第2事件当日である平成28年2月1日及び同月12日に犯人がいた場所は不明であり,犯人が双眼鏡を使用したと断定することはできないから,間接事実④は,一部認められず,被告人が第2事件の犯人であることを推認させる力は相当に弱いといわざるを得ない。 ⑹ 各間接事実の総合評価以上によれば,間接事実①及び②は,いずれも被告人が第2事件の犯人でないとしたならば説明が相当に困難な事実といえ,被告人が第2事件の犯人であることを強く推認させるものといえる。そして,間接事実③は弱いながらも被告人が犯人であることを推認させるものといえ,これらの事実全てが第2事件とは無関係に偶然存在することは常識に照らして考え難いといえる。そうすると,これらが組み合わ そして,間接事実③は弱いながらも被告人が犯人であることを推認させるものといえ,これらの事実全てが第2事件とは無関係に偶然存在することは常識に照らして考え難いといえる。そうすると,これらが組み合わさることで,被告人が第2事件の犯人ではない可能性は常識的にみて残らないといえる程度に小さいものであるといえるから,被告人が第2事件の犯人であると合理的な疑いなく認められる。 なお,弁護人は,①被告人が第2事件の犯人であればとるはずのない行動をとっている,②EやHらが第2事件の犯人である可能性があるなどとしてるる主張するが,①については,いずれも被告人が第2事件の犯人ではないことに直接結び付くものではなく,②については,憶測の域を出るものではなく,前記認定を左右するものではない。 4 結論以上によれば,第2事件については事件性(ただし,被害は現金500万円の限度で認められる。)及び犯人性が認められ,判示第2の事実が認められる。 第3 判示第3の事実(以下「第3事件」ともいう。)について 1 争点争点は,強要の故意の有無である。 2 検討前記のとおり,被告人が,本件手紙①ないし⑥を作成した上,判示第3のとおり,京都市c区内のαマンションB方の集合ポスト(B方ポスト)に投函するなどしたこと,本件手紙①の「本年1月31日夜,B様が以前に住んでおられたb町の御自宅に,2人の男性が御邪魔させて頂いたことかと思います。」という文言が第2事件を意味すること,被告人が第2事件の犯人であること,さらに,本件手紙①ないし⑥は,Bが面会の要求に応じなければBの生命や身体等に危害を加えかねない旨を示す内容であるといえることなどに照らすと,被告人は強要の故意を有していたものと推認できる。 3 結論 手紙①ないし⑥は,Bが面会の要求に応じなければBの生命や身体等に危害を加えかねない旨を示す内容であるといえることなどに照らすと,被告人は強要の故意を有していたものと推認できる。 3 結論よって,第3事件について強要の故意が認められ,判示第3の事実が認められる。 (確定裁判)省略(法令の適用)省略(量刑の理由)まず,量刑判断の中心となる第1事件についてみると,その財産的被害は現金1億円と極めて高額であり,被害者の傷害が加療約1週間と比較的軽いことを考慮しても,結果は重大というほかなく,この点は量刑上特に重視すべきである。また,犯行態様は,被害者の身体の重要部分である首に刃物を突き付け,その目及び口にガムテープを貼り,結束バンドで後ろ手に縛るなどというもので,かなり危険で,暴行・脅迫の程度は強いといえ,被害者の恐怖心は大きい。そして,被告人は,刃物,ガムテープ及び結束バンド等の犯行道具を準備しているほか,事情を知らないCに犯行現場付近まで自動車で送迎させ,宅配業者を装って犯行に及んでいるのであって,計画性が高いといえる。 次に,第2事件についてみると,その財産的被害は現金500万円と高額である。犯行態様は,二人がかりで,被害者の背中を押さえてうつ伏せの状態にし,その頭から枕カバーをかぶせ,命は保証できないと申し向けるなどというもので,第1事件ほどの危険性は認められないものの,暴行・脅迫の程度は相応に強く,被害者の恐怖心は大きい。そして,被告人らは,第1事件と同じ被害者を狙い,帽子やマスクを着用するなどして犯行に及んでおり,一定の計画性が認められる。さらに,第3事件については,同一の被害者の転居先を調査した上で,約1か月間に6回にわたり脅迫文書を被害者方の集合ポストに投函するなどというもので,計画的 犯行に及んでおり,一定の計画性が認められる。さらに,第3事件については,同一の被害者の転居先を調査した上で,約1か月間に6回にわたり脅迫文書を被害者方の集合ポストに投函するなどというもので,計画的かつ執拗な犯行である。 以上の犯情によれば,本件は,侵入強盗の態様で被害額が1000万円以上の強盗致傷の類型の中で重い部類に属する事案と考えられ,相当長期の実刑を免れない。 もっとも,本件は前記確定裁判に係る各事件の余罪であり,その罪質や手口等がその各事件と共通する部分が少なからず存することからすれば,本件の量刑に当たってはこの点を刑を軽くする方向で相応に考慮する必要がある。他方で,被害者の処罰感情が厳しいこと,被告人が,不合理な弁解に終始して反省の態度がうかがわれないこと,前記各事件の第一審判決を受けて保釈された後に第3事件に及ぶなど法軽視の態度が認められることといった一般情状を刑を重くする方向で一定程度考慮して,主文の刑を量定した。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑・懲役20年)令和3年3月9日京都地方裁判所第1刑事部 裁判長裁判官入子光臣 裁判官戸崎涼子 裁判官中村大喜

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