主文 1 参加原告らの訴えのうち、別紙2「参加原告らの訴えの却下部分」記載の部分をいずれも却下する。 2 原告の請求及び参加原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用(共同訴訟参加に係る費用を除く。)は原告の負担とし、 共同訴訟参加に係る費用は参加原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求原告及び参加原告らの請求の趣旨は、それぞれ別紙3「請求の趣旨」記載1及び2のとおりである。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、地方銀行であり取締役会設置会社である原告が、平成25年から平成29年まで8回にわたり、原告の取締役であった被告Aが代表者を務める一般財団法人ベルナール・ビュフェ美術館に対して行った合計47億6200万 8000円の寄付(以下「本件寄付」という。)について、その真の目的又は主たる目的が、原告の創業家(X家)に関連する企業(以下「ファミリー企業」ともいう。)に対する資金の融通を目的とするものであって原告の取締役に任務懈怠があり、これにより原告に損害が生じたなどと主張して、被告A、取締役会における本件寄付の承認決議に賛成した取締役(故人)の権利義務を 承継した被告B、被告C、被告D及び被告E、前記承認決議に賛成した取締役である承継前被告F及び被告Gに対し、役員に対する損害賠償請求(会社法423条1項、又は、同法423条3項1号・3号、同条1項、356条1項2号、365条1項)として、別紙3「請求の趣旨」記載1の各金員(いずれも、本件寄付による損害額の一部である。)及びこれに対する請求後である平 成31年2月3日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで、平成29年法律 第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合 る。)及びこれに対する請求後である平 成31年2月3日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで、平成29年法律 第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 なお、参加原告らは、いずれも原告の株式を有する株主であり、会社法849条1項本文に基づき、別紙3「請求の趣旨」記載2の各金員(本件寄付による損害額の全額)及びこれに対する請求後である令和元年5月8日(共 同訴訟参加申出書送達の日の翌日)から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めて、原告側に共同訴訟参加をした。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる事実) ⑴ 当事者等ア原告は、明治28年10月19日に亡H(以下「亡H」という。)を中心に設立され、本店を静岡県沼津市に置く地方銀行であり、取締役会設置会社である。なお、原告は、本件寄付当時、監査役会設置会社であったが、令和元年6月26日付けで監査等委員会設置会社となり、同年7 月8日付けでその旨の登記がされた。(甲2)参加原告らは、いずれも原告の株式を有する株主である(丙1、2)。 イ I(以下「亡I」という。)は、原告において、昭和58年6月に取締役に就任し、昭和61年以降は代表取締役(平成12年以降はCOO〔最高業務執行責任者〕であった。)を務めていたが、平成28年7月 13日に死亡した(甲2)。 被告Bは亡Iの妻であり、被告C、被告D及び被告Eは亡Iの子であり、いずれも亡Iの権利義務を承継した。 ウ被告Aは、原告において、昭和54年6月に取締役に就任し、昭和60年以降は代表取締役( 告Bは亡Iの妻であり、被告C、被告D及び被告Eは亡Iの子であり、いずれも亡Iの権利義務を承継した。 ウ被告Aは、原告において、昭和54年6月に取締役に就任し、昭和60年以降は代表取締役(平成12年以降はCEO〔最高経営責任者〕であ った。)を務めたが、平成30年9月7日に代表取締役及び取締役を退 任した(甲2)。なお、被告Aは、昭和60年5月以降取締役頭取を、平成10年6月以降取締役社長をそれぞれ務めた(甲1)。 エ承継前被告Fは、原告において、平成20年6月に取締役に就任し、平成24年4月以降は代表取締役を務めていたが(なお、平成20年以降はCCO〔最高コンプライアンス責任者〕であった。)、平成30年9 月7日に代表取締役及び取締役を退任した(甲2)。なお、承継前被告Fは、令和5年7月20日に死亡し、被告Jが承継前被告Fの権利義務を単独で承継した。 オ被告Gは、原告において、遅くとも平成23年6月以降、取締役を務めていたが(なお、同年以降はCFO〔最高財務責任者〕であった。)、 平成30年9月7日に退任した(甲2)。 カなお、原告の創業家(X家)は、平成28年まで歴代頭取・社長を輩出していた。K(以下「亡K」という。)は、元頭取であり、被告A、亡I及びL(以下「L」という。)は、いずれも亡Kの子である。 ⑵ クレマチスの丘 クレマチスの丘は、静岡県駿東郡長泉町の愛鷹山中腹にある文化複合施設であり、本件寄付当時、「ベルナール・ビュフェ美術館」、「ヴァンジ彫刻庭園美術館」、「IZUPHOTOMUSEUM」及び「井上靖文学館」等の美術館・文学館、レストラン並びに庭園「クレマチスガーデン」等から構成されていた。 このうち、ベルナール・ビュフェ美術館 」、「IZUPHOTOMUSEUM」及び「井上靖文学館」等の美術館・文学館、レストラン並びに庭園「クレマチスガーデン」等から構成されていた。 このうち、ベルナール・ビュフェ美術館は、フランスの画家ベルナール・ビュフェ(以下「ビュフェ」ともいう。)の作品を収蔵・展示等するために、亡Kにより昭和48年11月25日に創設された美術館であり、平成24年当時、本館、新館、第2新館(ビュフェ子ども美術館)及び事務所棟から成っていた。また、ヴァンジ彫刻庭園美術館は、イタリアの現代具象彫刻 家ジュリアーノ・ヴァンジ(以下「ヴァンジ」ともいう。)の個人美術館と して、平成14年4月28日に開館した美術館である。さらに、IZUPHOTOMUSEUMは、19世紀半ばの写真術の発明から大きく変容してきた写真・映像表現を、企画展を中心に紹介する、平成21年10月26日に開館した美術館である。そして、井上靖文学館は、井上靖の写真、直筆原稿、映像等を展示する目的で亡Kにより昭和48年に創設された文学館で ある。 (以上につき、乙A1ないし5)⑶ 一般財団法人ベルナール・ビュフェ美術館(以下「ビュフェ美術館」という。)は、美術品の公開展示に関する事業等を目的とし、平成24年4月1日に財団法人から移行した一般財団法人であり、ベルナール・ビュフェ美術 館を運営している。ビュフェ美術館の代表者代表理事は、本件寄付当時、被告Aであった(甲4)。 ⑷ ビュフェ美術館に対する平成24年以前の寄付(以下「平成24年以前寄付」という。)について原告からビュフェ美術館に対しては、本件寄付より前である平成24年以 前から、ビュフェの作品を原告がビイ・ビイ・エイ・エム株式会社(以下「BBAM」という。)から買い取り、その買い いて原告からビュフェ美術館に対しては、本件寄付より前である平成24年以 前から、ビュフェの作品を原告がビイ・ビイ・エイ・エム株式会社(以下「BBAM」という。)から買い取り、その買い取った作品を原告がビュフェ美術館に寄付するという方法により実施されていた。なお、平成24年以前寄付の金額は、1回当たり6億円に限らず、これを上回ることもあった。 (以上につき、甲1・70頁) ⑸ 本件寄付原告は、ビュフェ美術館に対し、次のとおり、第8回の寄付(後記ク)を除いて経営会議(経営会議規程に基づき、原告の常勤取締役で構成され、取締役会から委任された事項〔業務運営に関する事項等〕を審議し、また、重要な業務の状況の報告等をするために設置された原告の機関。招集者及び議 長はCEOが務める。以下同じ。)における承認を経た後、会社法356条 1項2号、365条に基づき、利益相反取引として、取締役会における承認の決議(なお、特別利害関係人である被告Aは、同法369条2項に基づき決議に加わらなかった。)を経た上で、平成25年から平成29年までの間、合計8回にわたり、合計47億6200万8000円の寄付(本件寄付)を行った(以下、本件寄付のうち特定の寄付を表記する場合には「本件 寄付(第1回)」などという。)。なお、本件寄付の金額は、いずれも連結ベースで経常利益の2%台であった。 ア本件寄付(第1回)(甲19の1の2、甲20の1)平成24年4月26日開催の取締役会では、亡I、被告A、承継前被告F及び被告G外が出席し、ベルナール・ビュフェ美術館の第2新館及び 事務所棟を購入するための建物購入費用6億円(本件寄付〔第1回〕。 なお、建物の購入先はBBAMである。)並びに耐震工事費用9億円をビ 告G外が出席し、ベルナール・ビュフェ美術館の第2新館及び 事務所棟を購入するための建物購入費用6億円(本件寄付〔第1回〕。 なお、建物の購入先はBBAMである。)並びに耐震工事費用9億円をビュフェ美術館に寄付することが審議され、被告Aを除く取締役の賛成により、可決承認された。原告は、平成25年2月25日、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第1回)の6億円を交付した。 イ本件寄付(第2回)(甲19の2の2、甲21の1)平成26年3月20日開催の取締役会では、亡I、被告A、承継前被告F及び被告G外が出席し、ヴァンジ彫刻庭園美術館の所蔵作品の移管資金として、彫刻8点の購入費用6億円をビュフェ美術館に寄付することが審議され、被告Aを除く取締役の賛成により、可決承認された。原告 は、同月26日、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第2回)の6億円を交付した。 ウ本件寄付(第3回)(甲19の3の2、甲22の1)平成26年9月25日開催の取締役会では、亡I、被告A、承継前被告F及び被告G外が出席し、ヴァンジ彫刻庭園美術館の所蔵作品の移管資 金として、彫刻35点の購入費用6億円をビュフェ美術館に寄付するこ とが審議され、被告Aを除く取締役の賛成により、可決承認された。原告は、同月30日、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第3回)の6億円を交付した。 エ本件寄付(第4回)(甲19の4の2、甲23の1)平成27年3月19日開催の取締役会では、亡I、被告A、承継前被告 F及び被告G外が出席し、ヴァンジ彫刻庭園美術館の所蔵作品の移管資金として、彫刻など350点の購入費用6億円をビュフェ美術館に寄付することが審議され、被告Aを除く取締役の賛成により、可決承認された。原告は、同 外が出席し、ヴァンジ彫刻庭園美術館の所蔵作品の移管資金として、彫刻など350点の購入費用6億円をビュフェ美術館に寄付することが審議され、被告Aを除く取締役の賛成により、可決承認された。原告は、同月30日、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第4回)の6億円を交付した。 オ本件寄付(第5回)(甲19の5の2、甲24の1)平成27年9月17日開催の取締役会では、亡I、被告A、承継前被告F及び被告G外が出席し、ヴァンジ彫刻庭園美術館の所蔵作品の移管資金として、彫刻など13点の購入費用6億円をビュフェ美術館に寄付することが審議され、被告Aを除く取締役の賛成により、可決承認され た。原告は、同月25日、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第5回)の6億円を交付した。 カ本件寄付(第6回)(甲19の6の2、甲25の1)平成28年3月17日開催の取締役会では、亡I、被告A、承継前被告F及び被告G外が出席し、ヴァンジ彫刻庭園美術館の所蔵作品の移管資 金として、彫刻15点の購入費用6億円をビュフェ美術館に寄付することが審議され、被告Aを除く取締役の賛成により、可決承認された。原告は、同月24日、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第6回)の6億円を交付した。 キ本件寄付(第7回)(甲19の7の2、甲26の1) 平成28年12月20日開催の取締役会では、被告A、承継前被告F及 び被告G外が出席し、ヴァンジ彫刻庭園美術館の所蔵作品の移管資金として、彫刻など96点の購入費用6億円をビュフェ美術館に寄付することが審議され、被告Aを除く取締役の賛成により、可決承認された。原告は、同月27日、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第7回)の6億円を交付した。 ク本件寄 ビュフェ美術館に寄付することが審議され、被告Aを除く取締役の賛成により、可決承認された。原告は、同月27日、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第7回)の6億円を交付した。 ク本件寄付(第8回)(甲19の8、甲27の1)平成29年6月21日開催の取締役会では、被告A、承継前被告F及び被告G外が出席し、IZUPHOTOMUSEUMの土地建物及びクレマチスの丘第1駐車場(以下、単に「第1駐車場」という。)の土地を購入資金として5億6500万円以下の寄付をビュフェ美術館に対 し行うことが審議され、被告Aを除く取締役の賛成により、可決承認された。原告は、同月27日、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第8回)の5億6200万8000円を交付した。 ⑹ 原告からファミリー企業への融資等アファミリー企業に対する融資 原告は、平成14年頃、ファミリー企業のうち、原告が直接貸し付けを行っている先(以下「特定管理先」という。)であるエス・ジー・インベストメント株式会社(以下「SGI」ともいう。)、エス・ジー・アセット株式会社(以下「SGA」ともいう。)、スルガ総合保険株式会社(以下「スルガ総合保険」ともいう。)、エス・ジー・トラスト株式 会社(以下「SGT」ともいう。)、エム・ケー・シイ株式会社(以下「MKC」という。)、ガーデン・コート・システム株式会社、エス・ビイ・エフ株式会社(以下「SBF」ともいう。)、オー・シー・ファイナンス株式会社(以下「OCF」ともいう。)、ハローズ・リアルエステート株式会社(以下「H・R・C」ともいう。)、エス・ユー・ア ール・エフ株式会社(以下「SURF」ともいう。)、オークトラスト 株式会社及びエス・ジイ・キャピタル株式会社(以下「SGC」 ート株式会社(以下「H・R・C」ともいう。)、エス・ユー・ア ール・エフ株式会社(以下「SURF」ともいう。)、オークトラスト 株式会社及びエス・ジイ・キャピタル株式会社(以下「SGC」ともいう。)の、12社に対する融資額の残額が合計1200億円余りであり、これらの会社からBBAMやエス・ジイ・インベストメント・リソーシス株式会社(以下「SGIR」という。)、さらにエイチ・ビイ・エス株式会社(以下「HBS」ともいう。)、エス・シイ・エス株式会 社(以下「SCS」ともいう。)などの他のファミリー企業に対して転貸融資がされることもあった。 原告は、金融庁による検査を受けて、ファミリー企業に対する融資に係る管理部署を経営企画部から審査部に改め、転貸融資を解消し、特定管理先の債務者区分のランクアップを基本的な方針として、平成17年4 月から平成27年3月までを対象期間とした第一次から第三次までの改善計画(以下「第一次改善計画」ないし「第三次改善計画」という。)を順次策定し実行するなどし、平成30年頃には、ファミリー企業のうち、特定管理先に対する融資は、SGI、SGA、スルガ総合保険、シィアンドシィ・システム株式会社(以下「C&C」という。)、MK C、SGIR、エヌ・エス・トラスト株式会社(以下「NST」ともいう。)、SCS、SURF及びH・R・Cの10社に対する融資額の残額が合計4億8000万円余りとなった。 なお、特定管理先のうち、SGI、SGA及びスルガ総合保険に関しては、Lが代表取締役を務めるものであった。その余のファミリー企業に 関しては、X家が役員を務めていたわけではなかったものの、亡Iが各社の役員及び従業員との間で定期的に打合せを行うなどして、少なくともその運営に対し一定の関与を った。その余のファミリー企業に 関しては、X家が役員を務めていたわけではなかったものの、亡Iが各社の役員及び従業員との間で定期的に打合せを行うなどして、少なくともその運営に対し一定の関与をしていた(以下、これらの企業を「亡I関連企業」ともいう。なお、亡Iの関与の程度に関しては、当事者間に争いがある。)。(甲1) イクレマチスの丘に関わるファミリー企業 MKCは、不動産の売買、賃貸、管理及びその仲介、飲食店の経営等を目的とする株式会社であり、クレマチスの丘でイタリアンレストラン及びピッツェリアを営むとともに、これらの店舗の不動産、原告の支店が入居する建物、ファミリー企業の株式・債権等を保有していた(甲5)。 C&Cは、不動産の売買、交換、賃貸、仲介、管理及び所有並びにその利用、飲食店の経営等を目的とする株式会社であり、クレマチスの丘で日本料理店を営むとともに、同店舗の不動産、ヴァンジ彫刻庭園美術館に係る不動産、ファミリー企業の株式・債権等を保有していた(甲6)。 SGIRは、不動産の売買、賃貸、管理及びその仲介、美術館の経営等を目的とする株式会社であり、クレマチスの丘でヴァンジ彫刻庭園美術館及びIZUPHOTOMUSEUMを運営するとともに、原告の支店が入居する建物、ファミリー企業に対する債権等を保有していた(甲7)。 BBAMは、美術品(日本画、洋画、版画、彫刻、美術工芸品、書画、骨とう品等)の販売、賃貸借及び管理等を目的とする株式会社であり、主としてベルナール・ビュフェ美術館に係る美術品の売買を行っていた(甲8)。 3 争点及びこれに関する当事者の主張 本件における争点は、⑴ 本件寄付による損害発生の有無、⑵ 本件 であり、主としてベルナール・ビュフェ美術館に係る美術品の売買を行っていた(甲8)。 3 争点及びこれに関する当事者の主張 本件における争点は、⑴ 本件寄付による損害発生の有無、⑵ 本件寄付に関する任務懈怠責任の有無及び⑶ 本件寄付による損害額である。 また、争点に関する当事者の主張は、別紙4「当事者の主張」に記載のとおりである。 第3 当裁判所の判断 1 参加原告らの請求について 参加原告らは、別紙3「請求の趣旨」記載2のとおり、原告の請求を超えて、本件寄付の全額である47億6200万8000円(被告Bらに関しては、本件寄付〔第1回〕ないし本件寄付〔第6回〕の合計36億円のうち、被告B、被告C、被告D及び被告Eの各法定相続分相当額)及びこれらに対する遅延損害金の連帯支払を求めて共同訴訟参加をすることから、その適法性を職 権で判断する。 この点について、共同訴訟参加(民事訴訟法52条1項)による参加申出は、共同訴訟人としての参加であって、原告側に加わるときは、原告によって定立された請求と同一の請求を定立し、それについて合一的審判を求める旨を申し立てることになるのであって、同項に基づく共同訴訟参加人は、原告の請 求と異なった新たな請求をすることはできないと解するべきである。 したがって、参加原告らの訴えのうち、別紙2「参加原告らの訴えの却下部分」記載の部分は、原告の請求を超えるため、いずれも不適法であるから、この限度で却下するのが相当である。 2 認定事実 前提事実に加え、掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ⑴ 原告についてア執行役員制度原告では、平成10年度から、執行役員制度が設けられていた。すなわ え、掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ⑴ 原告についてア執行役員制度原告では、平成10年度から、執行役員制度が設けられていた。すなわ ち、原告の取締役会は、各取締役の管掌・所管事務を決定するほか(取締役会規程〔甲37、乙D1。以下同じ。〕14条・別表「取締役会決議事項」の4⑵)、執行役員(従業員の役職の一種。執行役員規程〔乙D2。以下同じ。〕2条各項)の選解任(取締役会規程5⑴)や、選任した執行役員の所掌業務の決定をするものとされていた(取締役会規程 14条・別表5⑵)。具体的には、取締役会は、選任した執行役員に対 して組織規程に定めるところにより、原告の業務執行を委任することとされ(執行役員規程6条1項)、執行役員は、取締役会で決定した原告の方針及び代表取締役の指示に基づき、担当業務の執行に当たるなどとされていた(執行役員規程7条)。 イ原告の各部署の担当事務 経営企画部企画は、金融庁、東海財務局や日本銀行の対応業務、経営会議や取締役会等の事務局業務等を担当していた。経営企画部長(執行役員)は、上記業務の一環として、金融庁や東海財務局に対する説明への同行や、経営会議や取締役会の承認に係る稟議書の作成等を行っていた。承継前被告Fは、平成15年から平成20年3月まで、経営企画部 長(執行役員)を務めていた。また、M(以下「M経営企画部長」という。)は、平成23年4月から平成30年3月末まで、経営企画部長(執行役員)を務めていた。 平成16年以前は、ファミリー企業に対する融資を経営企画部が担当していたが、平成14年及び平成16年に実施された金融庁検査におい て、ファミリー企業に対する融資の審査及び債権の管理 平成16年以前は、ファミリー企業に対する融資を経営企画部が担当していたが、平成14年及び平成16年に実施された金融庁検査におい て、ファミリー企業に対する融資の審査及び債権の管理につき融資関係部署ではない経営企画部が主導的に行うのはけん制機能が働いていないなどと指摘を受けたことから、同年4月以降は、ファミリー企業に対する融資の管理についても、他の債権と同じく、審査部が所管することとなった。そして、ファミリー企業に対する融資の管理については、審査 第一部(審査部のうち、法人融資関連業務を担当する部署)が行うこととされた。なお、N審査第一部長は、平成23年から平成30年まで、審査第一部長を務めていた。 ウ各会議体の概要原告の機関等の概要は、別紙5のとおりである。 原告では、取締役会で承認された規程に基づき、経営会議、執行会議が 設置されていた。また、経営会議の下には、監査部及び各種リスク委員会が設置されていた。 各種リスク委員会のうち、信用リスク委員会は、信用リスク及び平成29年に追加された金融円滑化リスクが対象リスクとなっており、与信査定に関する事項や経営支援先に対する支援方針等が審議事項となり、各 リスクの管理状況等が報告された。そして、信用リスク委員会で審議した事項と結果は、経営会議に報告された。 (以上につき、甲1、37、44、55、乙C10、20、21、乙D1、2、証人N審査第一部長、証人M経営企画部長、承継前被告F本人、被告G本人) ⑵ 各取締役の所管事務等ア承継前被告Fは、平成15年から経営企画部長(執行役員)を務めた後、平成20年6月に経営企画部管掌の常務取締役、平成23年に専務取締役に就任した。また、 ⑵ 各取締役の所管事務等ア承継前被告Fは、平成15年から経営企画部長(執行役員)を務めた後、平成20年6月に経営企画部管掌の常務取締役、平成23年に専務取締役に就任した。また、平成24年4月から平成30年9月に退任するまでは、代表取締役を務めた。 イ被告Gは、平成12年から平成23年まで経営企画部長(執行役員)を務めた後、同年6月から平成30年9月に退任するまで、財務・運用管掌の専務取締役を務めた。 (以上につき、前提事実⑴、甲1、乙C20、21、承継前被告F本人、被告G本人) ⑶ ファミリー企業に対する融資及び改善計画についてアファミリー企業に対する融資平成14年当時、特定管理先と原告との間には別紙6のとおり、融資取引が存在しており、特定管理先の原告からの借入債務の合計額は約1200億円に上っていた。また、特定管理先から他のファミリー企業に転 貸がされることもあった。 これらの借入れのうち、SGAの原告に対する借入債務の一部は、ビュフェ美術館を創設した際、同美術館に所蔵された多くの美術品をSGAが原告からの融資を原資として購入したことに起因するものであった。 また、ヴァンジ彫刻庭園美術館を設立する際、ヴァンジの美術品をファミリー企業が購入するための資金も原告が融資していた。さらに、バブ ル崩壊後である平成7年頃から平成14年頃にかけて、不良債権問題等により原告の業績が悪化した際、原告は、益出し目的で原告所有の支店や行員寮の土地建物及び美術品等をファミリー企業に売却していたところ、この際に、原告が当該土地又は美術品の購入費用をファミリー企業に融資するなどしていたため、その融資残高が積み重なっていった。 イ改善計 美術品等をファミリー企業に売却していたところ、この際に、原告が当該土地又は美術品の購入費用をファミリー企業に融資するなどしていたため、その融資残高が積み重なっていった。 イ改善計画の策定及び実施等金融庁は、平成14年に原告に対する金融庁検査を行った際、前記アの点について「大口先、大口グループに係る与信管理については、1社又は1グループ当たりの融資の限度額の設定等の具体的な対応策を講じていない」ため「十分な検討を行わないまま、与信残高を増加させている 大口先や大口グループが認められ」、中でも「非連結対象としているグループ会社については、多額の転貸貸金等が長期固定化している実態がある」などと指摘した。また、金融庁は、平成16年の金融庁検査においても、原告に対し同様の指摘を行ったことから、原告は、ファミリー企業のうち、特定管理先(前提事実⑹ア。同年9月末時点では、SG I、SGA、スルガ総合保険、SGT、OCF、HBS、MKC、SGIR、SURF、H・R・C、C&C及びNSTの12社)について、債務者区分を正常先、要注意先(要管理先及びその他要注意先)、破綻懸念先、実質破綻先及び破綻先の5段階に分類した上で、特定管理先のうちNSTを除く11社につき、第一に転貸貸金を解消すること、第二 に特定管理先の債務者区分を要注意先以上にランクアップすることを基 本的な方針として、平成17年4月から平成27年3月までを対象期間とした第一次改善計画ないし第三次改善計画を後記のないしのとおり順次策定し実行した。なお、特定管理先に対する融資の管理は原告の審査第一部が担当しており、後記の成果等を後記のとおり報告していた。 第一次改善計画(甲47の1)原告 した。なお、特定管理先に対する融資の管理は原告の審査第一部が担当しており、後記の成果等を後記のとおり報告していた。 第一次改善計画(甲47の1)原告は、平成17年2月頃、特定管理先(なお、平成16年9月末時点での状況は、別紙7の「16/9末」欄記載のとおりであった。)を対象とする第一次改善計画を策定した。第一次改善計画においては、第1区分(キャッシュフローが不足している会社に対する転貸融資が発生 している債務者につき、転貸の解消と会社の処理を行うことを最重要課題とする。対象会社は、OCF〔同時点で破綻懸念先〕及びHBS〔同時点で実質破綻〕である。)、第2区分(不動産の含み損が多額であり、かつ、キャッシュフローによる返済が長期にわたる債務者につき、含み損の処理と同時に債務軽減を図ることで正常化を目指す。対象会社 はSURF及びH・R・Cであり、C&Cを絡めた合併を工作する。)並びに第3区分(その他の会社の債務者区分のランクアップ。対象会社はSGIRである。)に区分した上で、各区分につき、いずれも平成19年3月までを目途に目標への取組みを行うこととされた。このうち、第2区分に関する計画においては、① 平成17年3月末時点で、SG TはBBAMに対し41億3000万円を転貸していたところ、平成23年度までに、BBAMの資産(絵画)を売却することで転貸を解消し、原告がSGTからBBAMの資産売却相当分の返済を受ける、②C&Cを不動産保有会社と有価証券保有会社に分割した上で、SURF及びH・R・Cがそれぞれ保有する賃貸用不動産をC&Cの不動産部門 に売却するという二段階で構成されていた。なお、上記①に関しては、 平成24年3月末時点で、BBAMが保有する絵画を売 及びH・R・Cがそれぞれ保有する賃貸用不動産をC&Cの不動産部門 に売却するという二段階で構成されていた。なお、上記①に関しては、 平成24年3月末時点で、BBAMが保有する絵画を売却し、SGTとBBAMの転貸関係を解消した上で、上記売却代金相当額を原告からの借入れに対する返済に充当し、全額回収を達成した。 第二次改善計画(甲47の2)原告は、平成19年4月頃、第一次改善計画の未達成分を実現させる ために、特定管理先のうちSGT、SGIR及びSURFを対象として、同月から平成24年3月までを期間とする、第二次改善計画を策定した。第二次改善計画において、特定管理先の保有資産を売却することにより借入金の返済を行うことを主たる目的としていた。 具体的には、SGTは、BBAMへの転貸融資につき金利減免を行っ ていたことから、平成19年3月末時点で債務者区分が要管理先となっていたところ、第一次改善計画のうちの第2区分においても、平成23年度までに転貸先であるBBAMの資産売却(主な売却資産は株式)によって転貸を解消することとされていたことから、第二次改善計画においても引き続き原告が進捗管理や極力早期の資産売却及び貸出金の回収 を図るべく交渉を継続することとされた。 次に、SGIRは、債務償還に極めて長期間を要していたことから、債務者区分が破綻懸念先となっていたところ、第一次改善計画では、SGIRからBBAM(平成19年3月末時点で17億円)及びオーシーインベストメント株式会社(以下「OCI」という。同時点で32億 円)への転貸を解消することで債務者区分を要注意先以上にランクアップすることを目標としていた。第二次改善計画においても、第一次改善計画時点で検 株式会社(以下「OCI」という。同時点で32億 円)への転貸を解消することで債務者区分を要注意先以上にランクアップすることを目標としていた。第二次改善計画においても、第一次改善計画時点で検討が行われたスルガ総合保険との合併及び存続会社における資産売却(主として有価証券売却)により債務の圧縮を図ることと計画された。SGIRは、MKCより借入金があったが(同時点で46億 6000万円)、上記資産売却によりMKCへの返済も予定されてお り、原告は、SGIRからMKCへの返済金を原資として、MKCから回収を行うこととされた。 次に、SURFは、債務過多であったことから金利減免措置を講じており、債務者区分は要管理先となっていたところ、原告は、第一次改善計画においてSURFを要注意先へランクアップする計画を策定したも のの、税務面の問題等から抜本的な改善は不可能と判断した。第二次改善計画の策定時点においても、税務問題の基礎条件は変わっていなかったことから、原告は、第二次改善計画においても、SURFにつき当面キャッシュフローによる返済を管理することを計画した。一方で、SGIRに関する計画に含めて、債務者区分をランクアップしていくことも 同時に検討していくこととされた。 第三次改善計画(甲47の3)原告は、平成24年3月7日、第一次改善計画及び第二次改善計画の基本方針を承継し、資産等の売却により転貸を解消し、融資金額の圧縮を図るため、同年4月から平成27年3月までを期間とする、第三次改 善計画を策定した。第二次改善計画のうち、SGIRとスルガ総合保険の合併と、SGIRのOCI及びBBAMへの転貸融資の解消は未達成項目とされていた。そのため、第三次改善計画では、後者につき、 善計画を策定した。第二次改善計画のうち、SGIRとスルガ総合保険の合併と、SGIRのOCI及びBBAMへの転貸融資の解消は未達成項目とされていた。そのため、第三次改善計画では、後者につき、平成24年4月から平成27年3月までを目標として、OCIに関しては所有有価証券の処分により、BBAMに関しては建物処分及びその他美術 品の処分により、SGIRからの転貸融資を解消し、併せてMKCからのSGIRの転貸を解消するものとされた。 第一次改善計画ないし第三次改善計画の成果等原告の特定管理先に対する貸出残高の推移は、別紙8「特定管理先の貸出金残高推移等」に記載のとおりである。 第一次改善計画実施前の平成17年3月末時点で、原告の特定管理先 に対する融資残高は約861億5300万円であり、このうち30. 4%が不良債権(要管理先以下)であった。これに対し、第一次改善計画の期間の終期である平成19年3月末時点で、原告の特定管理先に対する融資残高は約757億3800万円であり、このうち20.8%が不良債権(要管理先以下)であった。 また、第二次改善計画の終期である平成24年3月末時点で、原告の特定管理先に対する融資残高は約622億3600万円であり、このうち11.2%が不良債権(要管理先以下)であった。なお、同時点で、SGTの原告に対する債務は完済されていた。 さらに、第三次改善計画の終期である平成27年3月末時点で、原告 の特定管理先に対する融資残高は約522億9600万円であり、このうち10.4%が不良債権(要管理先以下)であった。なお、第三次改善計画の実施前である平成24年3月末時点で、原告のSGIRに対する融資残高は約40億0600円、 約522億9600万円であり、このうち10.4%が不良債権(要管理先以下)であった。なお、第三次改善計画の実施前である平成24年3月末時点で、原告のSGIRに対する融資残高は約40億0600円、SGIRのBBAMに対する転貸融資残高は15億6700万円であったが、第三次改善計画の終期である 平成27年3月末時点で、原告のSGIRに対する融資残高は約26億4100万円、SGIRのBBAMに対する転貸融資残高は約7億2800万円であった。また、平成24年3月末時点で、原告のMKCに対する融資残高は約110億1300万円であり、MKCのSGIRに対する転貸融資残高は約50億円であったが、平成27年3月末時点で、 原告のMKCに対する融資残高は約93億0700万円であり、MKCのSGIRに対する融資残高は約41億9000万円であった。 平成27年8月3日付けの第一次ないし第三次改善計画の報告書(乙C10、以下「改善計画報告書」という。)においては、上記各改善計画の実施により一部債務者区分のランクアップでの成果に課題があるも のの、転貸貸金の減少と融資残高の圧縮、信用リスク管理体制として、 審査部主導での対象各会社の可処分資産の処分による融資残高の圧縮及び信用リスク委員会による個別社の管理を確立させたとして、相応の成果を得られたと評価した。そのうえで、同報告書では今後の対応として、審査部及び経営企画部の連携を維持しつつ、査定に関する個別リスク管理を従前同様に維持し、個別残高の改善を行っていくこと、「大口 融資先上位先」に該当する6社(MKC、SGI、スルガ総合保険、NST、SGA及びC&C)については、従前から行われていた「大口融資先上位先」報告の対象の一部として、その他の4社(SGIR、SCS、 資先上位先」に該当する6社(MKC、SGI、スルガ総合保険、NST、SGA及びC&C)については、従前から行われていた「大口融資先上位先」報告の対象の一部として、その他の4社(SGIR、SCS、H・R・C及びSURF)については、「大口融資先に準ずる先」として、他の法人融資先の融資状況とともに定期的に信用リスク委員会 に報告する管理態勢とすることが記載されていた。 なお、原告と特定管理先との融資関係は、令和2年2月14日までに解消された。 第一次ないし第三次改善計画の報告等第一次ないし第三次改善計画は、いずれも策定や成果について信用リ スク委員会で検討・審議又は報告された上、経営会議で承認又は報告がされた。また、第一次ないし第三次改善計画の結果報告については、取締役会にも報告されていた。 加えて、原告においては、半期ごとに特定管理先の個社別の融資残高や資産状況に関する資料(乙C2ないし9)を審査部で作成した上で、 東海財務局や原告の監査法人に提出していた。このうち、東海財務局への説明に際しては、承継前被告FとN審査第一部長が同行して説明を行っており、この際、特定管理先からの返済原資が美術品の購入代金であること等も説明していた。 さらに、原告は、平成27年8月3日、東海財務局に対し、改善計画 報告書を提出し、承継前被告F及びN審査第一部長において、その後の 特定管理先の管理態勢(前記)についても説明を行った。 (以上につき、前提事実⑹ア、甲1、44、47、48、乙B3、乙C2ないし10、20、証人N審査第一部長、承継前被告F本人)⑷ 亡I関連企業に係る融資の管理について平成24年から亡Iが死亡した平成28年7月まで 1、44、47、48、乙B3、乙C2ないし10、20、証人N審査第一部長、承継前被告F本人)⑷ 亡I関連企業に係る融資の管理について平成24年から亡Iが死亡した平成28年7月まで、亡I関連企業の運営 については、原告のOBで、亡I関連企業の役員や従業員であったO(以下「O」という。)、P(以下「P」という。)及びQ(以下「Q」という。)が実働を担っていた。O、P、Q及びSGIRの部長等を務めていた被告D(以下「Qら」ともいう。)は、週1回程度、原告の東京支店が入居するビルにおいてミーティングを実施し、亡I関連企業の資金繰りや人事等 について協議を行っていた。また、亡Iは、上記ミーティングに出席し、ファミリー企業の状況や資金繰り等について報告を受けていた。上記ミーティングの結果を受けて、O、P及びQは、各自が担当する亡I関連企業の資金繰り等を管理していた(なお、原告及び参加原告らは、亡Iが亡I関連企業の運営に実質的な影響を及ぼしており、本件寄付も亡Iの指示によるもので あると主張する。しかしながら、証人Qは、亡Iが上記ミーティングにおいて、Qらに対し、原告からビュフェ美術館に対して寄付があるため、美術品を購入してもらったらどうかと話をしたことがあったとするのみで、美術品の選定や美術品の売買代金額を原資とする返済額等について亡Iから具体的な指示を受けたことはなかったなどと証言する〔証人Q5頁ないし9頁、1 1頁ないし12頁〕。そうすると、少なくとも、本件寄付に関して、亡Iが亡I関連企業に対し具体的な指示を行っていたと認めることはできず、原告及び参加原告らの上記主張を採用することはできない。)。 亡Iが死亡した平成28年7月以降においても、Qらは、定期的にミーティングを実施していた。 行っていたと認めることはできず、原告及び参加原告らの上記主張を採用することはできない。)。 亡Iが死亡した平成28年7月以降においても、Qらは、定期的にミーティングを実施していた。 一方、原告においては、N審査第一部長が、平成23年4月に経営企画部 から審査第一部に異動して以降、ファミリー企業の財務についての情報を集めつつ、これらに係る審査及び与信管理を行っていた。N審査第一部長は、O、P及びQとの間で打合せを実施し、営業店を介さずに直接、特定管理先からの融資金の回収について話合いを行っていた。なお、N審査第一部長とO、P及びQとの間の打合せに、亡Iが立ち会うことはなかった。 (以上につき、甲1、44、乙A39、乙C1、証人Q、証人N審査第一部長、承継前被告F本人)⑸ 平成24年以前寄付前記⑶アの経過等により、ベルナール・ビュフェ美術館所蔵の美術品は、その所有権がファミリー企業に分散した状態にあったところ、美術品を一箇 所に集約することで、文化的価値が高まること等から、原告は、平成16年以降、ビュフェの作品等をベルナール・ビュフェ美術館やヴァンジ彫刻庭園美術館に集約し、包括的文化施設として充実させる目的で、平成24年以前寄付を開始した。 平成24年以前寄付においては、原告がBBAMからビュフェの作品を買 い取り、その買い取った絵画等をビュフェ美術館に寄付するという方法により実施されていた。平成24年以前寄付における絵画等の購入額は、合計48億4200万円であった。 (以上につき、前提事実⑷、甲1、31ないし36、乙A38、乙B11、乙C20、21、被告C本人、被告A本人、承継前被告F本人、被告G本人) ⑹ クレマチスの丘について 。 (以上につき、前提事実⑷、甲1、31ないし36、乙A38、乙B11、乙C20、21、被告C本人、被告A本人、承継前被告F本人、被告G本人) ⑹ クレマチスの丘についてア概要クレマチスの丘は、平成14年4月、次世代に優れた芸術や文化を承継するために、静岡県駿東郡長泉町に開設された複合文化施設である。 クレマチスの丘は「ビュフェ・エリア」と「クレマチスガーデン・エリ ア」の大きく2つに分かれていた。 ビュフェ・エリアには、ベルナール・ビュフェ美術館(本館、新館、第2新館、カフェ事務所棟及び野外劇場)並びに井上靖文学館等が設置されるとともに、駿河平自然公園が所在していた。一方、クレマチスガーデン・エリアには、ヴァンジ彫刻庭園美術館、IZUPHOTOMUSEUM、クレマチスガーデン、ミュージアムショップ及び日本料理 店等が設置され、両エリア間には、無料シャトルバスが巡回していた。 また、上記の美術館等については、各別に入館料が定められていたものの、共通券も販売されていた。さらに、被告Cは、平成15年以降、ベルナール・ビュフェ美術館及びヴァンジ彫刻庭園美術館の副館長を兼ねていたところ、被告Cの主導により、両者の展覧会や教育普及活動を共 通のテーマで企画することがあった。 イベルナール・ビュフェ美術館ベルナール・ビュフェ美術館は、フランスの画家であるビュフェの作品を収蔵・展示するために、亡Kにより昭和48年11月25日に創設された。ベルナール・ビュフェ美術館は、平成24年当時、本館、新館、 第2新館(ビュフェ子ども美術館)及び事務所棟から成っていた。本件寄付以前においては、BBAMが第2新館及び事務所棟を所有しており、ビュ ール・ビュフェ美術館は、平成24年当時、本館、新館、 第2新館(ビュフェ子ども美術館)及び事務所棟から成っていた。本件寄付以前においては、BBAMが第2新館及び事務所棟を所有しており、ビュフェ美術館はこれらの建物をBBAMから賃借していた。 ウヴァンジ彫刻庭園美術館ヴァンジ彫刻庭園美術館は、平成14年4月28日に開館した、現代イ タリアを代表する具象彫刻家であるヴァンジの個人美術館である。 ヴァンジ彫刻庭園美術館は、平成24年当時、SGIRによって運営されており、同社が同美術館の展示棟及び事務所棟及びクレマチスガーデン・エリアの日本料理店を所有していた。また、ヴァンジ彫刻庭園美術館所蔵の美術品は、MKC、OCI、SGIR、C&C、SGT及びS URF等の特定管理先を含むファミリー企業が所有していた。 エ IZUPHOTOMUSEUMIZUPHOTOMUSEUMは、平成21年10月に開館したところ、その建物の設計(内装・坪庭)は、現代美術作家の杉本博司によるものであり、芸術的価値が認められるものであった。また、平成24年当時、IZUPHOTOMUSEUMの土地建物はSGIRが所 有していた。IZUPHOTOMUSEUMは、クレマチスガーデン・エリア内の、チケットセンター付近に所在しており、ヴァンジ彫刻庭園美術館に隣接した場所に所在していた。 IZUPHOTOMUSEUMの近隣にある第1駐車場の土地はMKCが所有していた。なお、第1駐車場は、観光バスが2台駐車できる 広さを有しており、クレマチスの丘のメイン駐車場と位置付けられていた。 (以上につき、前提事実⑵、甲1、18、乙A1ないし5、38、被告C本人、被告A本人 車場は、観光バスが2台駐車できる 広さを有しており、クレマチスの丘のメイン駐車場と位置付けられていた。 (以上につき、前提事実⑵、甲1、18、乙A1ないし5、38、被告C本人、被告A本人)⑺ ベルナール・ビュフェ美術館の運営等 アビュフェ美術館の役員・機関等ビュフェ美術館の役員は、8名以上10名以内の理事(一般財団法人ベルナール・ビュフェ美術館定款〔甲39、以下、単に「定款」という。〕20条1項1号)及び2名以上3名以内の監事(同項2号)が設置されており、理事のうち、1名を理事長(同条2項)、理事長以外の 理事のうち1名を常務理事(同条3項。一般社団法人及び一般財団法人に関する法律上の業務を執行する理事に該当する。)とすることとされていた。理事は、評議員会(同法179条以下、定款13条)の決議により選任され(定款21条1項)、理事長及び常務理事は、理事会の決議によって理事の中から選定されることと定められていた(同条2 項)。 なお、ビュフェ美術館の理事は、本件寄付当時、10名選任されていたところ、理事長である被告A、常務理事(原告の従業員が出向して就任しており、平成24年以前はRが〔以下「R理事」という。〕、平成25年以降はS〔以下「S理事」という。〕が務めていた。)及び被告Cのほかは、いずれも弁護士や大学教授、又は、原告やファミリー企業以 外の会社役員等であった。 理事会は、すべての理事をもって構成することとされ(定款27条、22条1項参照)、ビュフェ美術館の業務執行の決定、理事の職務の執行の監督等を職務として行うこととされていた(定款29条1号、2号)。理事長は、法令及び定款に定めるところにより、ビュフェ美術館 を代表し、その業 ュフェ美術館の業務執行の決定、理事の職務の執行の監督等を職務として行うこととされていた(定款29条1号、2号)。理事長は、法令及び定款に定めるところにより、ビュフェ美術館 を代表し、その業務を執行し、常務理事は、理事会において別で定めるところにより、ビュフェ美術館の業務を分担執行することとされていた(同条2項)。また、理事長及び常務理事は、毎事業年度(定款6条)に4か月を超える間隔で2回以上、自己の職務の執行状況を理事会に報告する義務を負うこととされていた(定款22条3項)。 評議員会は、すべての評議員(定款9条1項より、8名以上10名以内)をもって構成され(定款13条)、評議員の選任並びに理事及び監事の選任又は解任(定款14条1号)等を決議事項としていた。 なお、本件寄付当時、評議員は9名選任されていたところ、このうち、亡I、L、被告D外1名を除く5名は、いずれも原告やファミリー企業 以外の会社役員等であった。 このほか、ビュフェ美術館の事務を処理するため、事務局を設置することとされ(定款38条1項)、事務局長(同条2項)は、理事長が理事会の承認を経て任免することとされていた(同条3項)。平成24年度までは、原告からの出向者であるTが事務局長を務めており、人事、総 務(ビュフェ美術館内部の稟議の申請の起案を含む。)、経理(決算書 の作成等)を担当していた。なお、平成25年度にS理事が常務理事に就任してからは、同人が事務局長の職務を兼ねていた。 イ収支状況等ビュフェ美術館は、美術品の公開展示に関する事業を行い、美術に関する知識と教養の向上に資するとともに、地域文化の発展に寄与すること を目的とし、その主な収入源は、ベルナール・ビュフェ美術館の ビュフェ美術館は、美術品の公開展示に関する事業を行い、美術に関する知識と教養の向上に資するとともに、地域文化の発展に寄与すること を目的とし、その主な収入源は、ベルナール・ビュフェ美術館の入場料、併設された売店の売上及び原告が所有する美術品の保管料であったが、これらのみでは運営資金として十分ではなかったことから、原告からの寄付を受け入れていた。 ウ運営について ベルナール・ビュフェ美術館には、学芸員が3名おり、被告Cの指導の下、展覧会の企画等を行っていた。また、被告Cは、ベルナール・ビュフェ美術館に併設された売店に関する業務も行うなどしていた。 (以上につき、甲39、40、乙A11、38、乙B4ないし6、11、乙C1、証人S理事、証人U〔以下「U理事」という。〕、被告C本人、被告A 本人)⑻ 本件寄付に関するビュフェ美術館からの寄付要請の流れア本件寄付(第1回)本件寄付に関しては、M経営企画部長が原告側の窓口となって、ビュフェ美術館側の窓口であった事務局長に対し、寄付要請に係るスケジュー ル(甲42)を送付していた。 ビュフェ美術館(当時は、財団法人であった。)は、平成24年3月19日付けで、原告に対し、ベルナール・ビュフェ美術館の改修工事等費用(9億円)並びに第2新館及び事務所棟の購入費用(6億円)の寄附要請書(甲43の1の1)を提出した。 ビュフェ美術館は、同年4月1日に財団法人から一般財団法人に移行 し、同年5月22日に第1回理事会を開催した。第1回理事会には、理事10名のうち、被告A、R理事、U理事、被告C外4名の理事が出席するとともに、3名の監事が出席した。 第1回理事会では、第7号議案として 日に第1回理事会を開催した。第1回理事会には、理事10名のうち、被告A、R理事、U理事、被告C外4名の理事が出席するとともに、3名の監事が出席した。 第1回理事会では、第7号議案として「スルガ銀行〔原告〕からの寄付申込について」が承認された。この際、被告Aは、本件寄付(第1回) の目的として、ベルナール・ビュフェ美術館の耐震工事を統一的に実施するために、第2新館、事務所棟を購入する必要がある旨を説明した。 ビュフェ美術館は、同年6月15日付けで、原告に対し、本件寄付(第1回)に係る寄附受託書(甲43の1の2)を提出した。 なお、ビュフェ美術館は、同年7月27日付けで、みなし決議に関する 第2回理事会議事録(定款31条2項、甲41の2)により、寄附金取扱規程を議決し、同規程3条2項に基づき、寄付の申入れを受ける場合には理事長又は理事会の承認を受けることで足りることとなった。 イ本件寄付(第2回)についてビュフェ美術館は、平成26年3月12日に第7回理事会を開催した。 第7回理事会には、理事10名のうち、被告A、S理事、U理事、被告C外4名の理事が出席するとともに、3名の監事が出席した。 第7回理事会では、第3号議案として「スルガ銀行〔原告〕への寄附要請について」が承認された。この際、S理事は、原告に対する寄付要請につき、目的は美術品の購入であること、金額は6億円であること、寄 付の時期は平成26年3月中を希望している旨説明した。また、被告Aは、本件寄付(第2回)の目的として、ヴァンジ彫刻庭園美術館所蔵の美術品の所有権をビュフェ美術館に集約すること等を補足説明した。 この際、被告Aは、ヴァンジ彫刻庭園美術館所蔵の美術品をビュフェ美術館に集約 回)の目的として、ヴァンジ彫刻庭園美術館所蔵の美術品の所有権をビュフェ美術館に集約すること等を補足説明した。 この際、被告Aは、ヴァンジ彫刻庭園美術館所蔵の美術品をビュフェ美術館に集約する趣旨が、クレマチスの丘の一体経営を行うことにある点 について詳細な説明を行ってはいなかった。もっとも、従前開催されて いた理事会(一般財団法人移行前のものを含む。)において、クレマチスの丘の一体経営の必要性に関しては被告Aから口頭で説明されていたこともあり、上記の点についてはS理事を除く理事及び監事の間で共通認識となっていたため、本件寄付(第2回)に係る説明について異議を唱える者はいなかった。 ビュフェ美術館は、平成26年3月14日付けで、原告に対し、金額6億円、目的を美術品の購入(ヴァンジの彫刻8点)とする本件寄付(第2回)に関する寄附要請書(甲43の2の1)を提出した。当該寄附要請書には「この度、近隣美術館に展示されている彫刻を取得したく存じます。当該彫刻作品は、現在、他社が所有していますが、当美術館が所 有することにより、将来的に優れた作品が他の地域に分散することを防止し、曳いては地元文化の向上に資するものと考え、美術品購入資金として」寄附要請を行うこと等が記載されていた。なお、上記寄附要請書には、購入を希望する具体的な作品名等は記載されていなかった。 原告は、同月24日付けで、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第2 回)に係る寄付申込書を提出したことから、ビュフェ美術館は、理事長決裁の上、原告に対し、同月25日付けで寄附受託書(甲43の2の2)を提出した。 ウ本件寄付(第3回)ビュフェ美術館は、平成26年9月19日付けで、原告に対し、金額6 億円、目 、原告に対し、同月25日付けで寄附受託書(甲43の2の2)を提出した。 ウ本件寄付(第3回)ビュフェ美術館は、平成26年9月19日付けで、原告に対し、金額6 億円、目的を美術品の購入(ヴァンジの彫刻35点)とする本件寄付(第3回)に関する寄附要請書(甲43の3の1)を提出した。この際の寄附要請書には「当美術館は、本年3月に御社よりの寄附により近隣美術館の優れた彫刻8点を購入させていただきましたが、当該美術館には他にも優れた作品が数多くありますので、将来的に同一地域に文化的 資産を継続して残すためにも、この機会に更に購入させていただきた く」寄付要請を行うこと等が記載されていた。なお、上記寄附要請書には、購入を希望する具体的な作品名等は記載されていなかった。 原告は、同月26日付けで、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第3回)に係る寄付申込書を提出したことから、ビュフェ美術館は、理事長決裁の上、原告に対し、同月29日付けで寄附受託書(甲43の3の 2)を提出した。 エ本件寄付(第4回)ビュフェ美術館は、平成27年3月3日付けで、原告に対し、金額6億円、目的を美術品の購入(彫刻、絵画、版画等ヴァンジ、藤田嗣治他)とする本件寄付(第4回)に関する寄附要請書(甲43の4の1) を提出した。この際の寄附要請書には「この機会に彫刻だけでなく、複数の作家の絵画、版画等についても購入させていただきたく」寄付要請を行うこと等が記載されていた。なお、上記寄附要請書には、購入を希望する具体的な作品名等は記載されていなかった。 原告は、同月23日付けで、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第4 回)に係る寄付申込書を提出したことから、ビュフェ美術館は、理事長 希望する具体的な作品名等は記載されていなかった。 原告は、同月23日付けで、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第4 回)に係る寄付申込書を提出したことから、ビュフェ美術館は、理事長決裁の上、原告に対し、同月24日付けで寄附受託書(甲43の4の2)を提出した。 オ本件寄付(第5回)ビュフェ美術館は、平成27年8月24日付けで、原告に対し、金額6 億円、目的を美術品の購入(ヴァンジ彫刻、佐々木愛絵画)とする本件寄付(第5回)に関する寄附要請書(甲43の5の1)を提出した。当該寄附要請書には「財団法人である当美術館が所有することにより優れた作品の散逸を防ぎ、当地域に文化的資産を残すことにつながると考えています。今回は、同氏(ヴァンジ)の彫刻と現代作家である 佐々木愛氏の絵画を購入させていただきたく」寄付要請を行うこと等が 記載されていた。なお、上記寄附要請書には、購入を希望する具体的な作品名等は記載されていなかった。 原告は、同年9月18日付けで、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第5回)に係る寄付申込書を提出したことから、ビュフェ美術館は、理事長決裁の上、原告に対し、同月24日付けで寄附受託書(甲43の5の 2)を提出した。 カ本件寄付(第6回)ビュフェ美術館は、平成28年3月1日付けで、原告に対し、金額6億円、目的を美術品の購入(ヴァンジ彫刻15点)とする本件寄付(第6回)に関する寄附要請書(甲43の6の1)を提出した。当該寄附要 請書には「優れた作品の散逸を防ぎ、当地域に文化的資産を残す目的で、引き続き同氏(ヴァンジ)の彫刻を購入させていただきたく」寄付要請を行うこと等が記載されていた。なお、上記寄附要請書には、購入を希望する は「優れた作品の散逸を防ぎ、当地域に文化的資産を残す目的で、引き続き同氏(ヴァンジ)の彫刻を購入させていただきたく」寄付要請を行うこと等が記載されていた。なお、上記寄附要請書には、購入を希望する具体的な作品名等は記載されていなかった。 原告は、同月17日付けで、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第6 回)に係る寄付申込書を提出したことから、ビュフェ美術館は、理事長決裁の上、原告に対し、同月18日付けで寄附受託書(甲43の6の2)を提出した。 キ本件寄付(第7回)ビュフェ美術館は、平成28年12月5日付けで、原告に対し、金額6 億円、目的を美術品の購入(彫刻、絵画等ヴァンジ他)とする本件寄付(第7回)に関する寄附要請書(甲43の7の1)を提出した。当該寄附要請書には本件寄付(第6回)と同様の目的で寄付要請を行うこと等が記載されていた。なお、上記寄附要請書には、購入を希望する具体的な作品名等は記載されていなかった。 原告は、同月20日付けで、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第7 回)に係る寄付申込書を提出したことから、ビュフェ美術館は、理事長決裁の上、原告に対し、同月22日付けで寄附受託書(甲43の7の2)を提出した。 ク本件寄付(第8回)ビュフェ美術館は、平成29年6月5日付けで、原告に対し、金額6億 円、目的を不動産(土地、建物)の購入とする本件寄付(第8回)に関する寄附要請書(甲43の8の1)を提出した。当該寄附要請書には「『複合文化施設・クレマチスの丘』として更なる充実をはかる目的で、『IZUPHOTOMUSEUM』及び当該美術館に隣接する『クレマチスの丘第1駐車場』を取得したく、土地・建物購入資金とし て」寄付要請を行 レマチスの丘』として更なる充実をはかる目的で、『IZUPHOTOMUSEUM』及び当該美術館に隣接する『クレマチスの丘第1駐車場』を取得したく、土地・建物購入資金とし て」寄付要請を行うこと等が記載されていた。 原告は、同月22日付けで、ビュフェ美術館に対し、本件寄付(第8回)に係る寄付申込書を提出したことから、ビュフェ美術館は、理事長決裁の上、原告に対し、同月23日付けで寄附受託書(甲43の8の2)を提出した。 (以上につき、前提事実⑶、甲40ないし43、55、乙A38、乙B6、11、証人U理事、証人S理事、証人M経営企画部長、被告A本人)⑼ 原告における本件寄付に関する手続の流れ等ビュフェ美術館が原告の経営企画部企画に対して寄附要請書を提出すると、経営企画部は、寄附要請書の受領報告の稟議書を作成し、M経営企画部 長、経営管理部長、被告G、承継前被告F、亡I(なお、本件寄付〔第7回〕及び本件寄付〔第8回〕については、取締役V)及び被告Aに回付していた。寄附要請書の提出時期は、取締役会開催の概ね2週間前であることが多かった。 次に、経営企画部企画において、原告のビュフェ美術館に対する寄付申請 の稟議書(甲18)を作成する。本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7 回)の稟議書には、ビュフェ美術館が購入する具体的な美術品(別紙9ないし14)の作品名や写真、売買代金額等の具体的な資料が添付されていた。 また、本件寄付(第8回)の稟議書には、IZUPHOTOMUSEUMの建物及び土地並びに第1駐車場の土地の評価書等が添付されていた。 M経営企画部長は、本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回)につい て、購入する美術品のリストの提供 OMUSEUMの建物及び土地並びに第1駐車場の土地の評価書等が添付されていた。 M経営企画部長は、本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回)につい て、購入する美術品のリストの提供を受けて、稟議書の資料を作成していた。なお、美術品は、Q、P及び被告D等のファミリー企業の関係者が協議して、散逸することを防止したい、高価な美術品から順に選定しており、その結果作成された美術品のリストは、承継前被告Fや被告Gを通じて又はQから直接に、M経営企画部長に伝えられていた(原告及び参加原告らは、美 術品の選定に亡Iが関与していたかのように主張する。しかしながら、証人Qは、O、P及び被告D等と協議をして当該リストを作成しており、亡Iがその選定に関与したことはないと証言するとともに〔証人Q7頁ないし8頁〕、証人M経営企画部長も、Qらに対し、当該リストの美術品につき亡Iに相談して決めたことを確認したこともなく、Qらからその旨の説明を受け たこともないと証言しているものであって〔証人M経営企画部長23頁ないし24頁〕、その他、原告及び参加原告ら主張の事実を裏付けるに足りる証拠はない。したがって、上記主張を採用することはできない。)。 経営企画部は、寄付申請の稟議書を作成し、前記寄附要請書の受領報告の稟議書と同様にM経営企画部長、経営管理部長、被告G、承継前被告F、亡 I(なお、本件寄付〔第7回〕及び本件寄付〔第8回〕については、取締役V)及び被告Aに回付し、それぞれ承認された。 寄付申請の稟議書の承認後、経営会議及び取締役会で承認決議を経た後、寄付申込書の提出に関しても稟議書を作成し承認を経た上で、原告は、ビュフェ美術館に対する寄付申込を行っていた。 (以上につき、甲1、18、42、44、55 び取締役会で承認決議を経た後、寄付申込書の提出に関しても稟議書を作成し承認を経た上で、原告は、ビュフェ美術館に対する寄付申込を行っていた。 (以上につき、甲1、18、42、44、55、乙A39、乙C20、21、 証人M経営企画部長、証人Q、証人N審査第一部長、承継前F本人、被告G本人)⑽ 本件寄付に関する取締役会での説明等ア本件寄付(第1回) 平成24年4月26日午前9時30分から午後0時30分に、経営会 議が開催され、被告A、亡I、承継前被告F及び被告G外2名の取締役、執行役員専務2名、常勤監査役2名並びにM経営企画部長が出席した。承継前被告Fは、当該経営会議において本件寄付(第1回)等について次のとおり詳細な説明を行った。すなわち、承継前被告Fは、昭和47年4月竣工(旧耐震基準、本件当時築40年経過)のベルナール・ ビュフェ美術館の本館の補強工事等の実施のほか、昭和63年4月竣工の新館に関しては、東日本大震災の際に空調の吹き抜け部分の落下や1階展示室床のひび割れ等の被害を受けた経緯があり、平成2年4月竣工の第2新館(新耐震基準)に関しても、諸設備の老朽化と耐震落下防止策を講じる必要があること、事務所棟については、同年竣工のため建 物、構造ともに問題はないが、業務効率向上と防犯を兼ねて事務所を新館に、収蔵庫を本館の最寄りに配置転換させ、事務所跡地にミュージアムショップを拡張することを予定していること、事務所棟につき、トイレの異臭、水周りにつき対策を講じる必要があること、このため、第2新館及び事務所棟の建物を購入することによって、ベルナール・ビュフ ェ美術館の総合的な耐震等改修工事を実施することを検討していること等を指摘し、BBAMから上記建物を購入する必要 のため、第2新館及び事務所棟の建物を購入することによって、ベルナール・ビュフ ェ美術館の総合的な耐震等改修工事を実施することを検討していること等を指摘し、BBAMから上記建物を購入する必要性について説明した。 経営会議の出席者は、本件寄付(第1回)につき全員了承した。 平成24年4月26日午後4時に取締役会が開催され、被告A、亡 I、承継前被告F及び被告G外5名の取締役(議長は被告A)、監査役 5名が出席した。本件寄付(第1回)については、特別利害関係取締役である被告Aに代わって、亡Iが議長となり、承継前被告Fに上記と同様の説明を行わせた上で、一同に諮ったところ、被告Aを除く取締役全員が異議なく賛成し、可決承認した。 イ本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回) 本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回)についても、それぞれ経営会議が開催され、承継前被告Fは、これらの経営会議において、本件寄付(第2回)から本件寄付(第7回)の目的について、概ね原告会社がCSR活動の一環としてサポートしている文化事業である「ベルナール・ビュフェ美術館」は、「ヴァンジ彫刻庭園美術館」と連携して、 複合文化施設「クレマチスの丘」として一体化した文化資産と認識されてきており、平成25年に開館40周年を機にリニューアルオープンした結果、展示内容も格段に充実し、世界唯一のコレクションとして海外からの来館者も増加し、美術館としての価値は向上していることから、「ヴァンジ彫刻庭園美術館」の所蔵作品を移管譲渡してビュフェ美術館 の所有とすることで、経年価値が高まりつつあるヴァンジ作品を散逸させることなく今後とも保有できるとともに、「クレマチスの丘」全体もより効率的な美術館運営を持 作品を移管譲渡してビュフェ美術館 の所有とすることで、経年価値が高まりつつあるヴァンジ作品を散逸させることなく今後とも保有できるとともに、「クレマチスの丘」全体もより効率的な美術館運営を持続することが可能となるなどと説明した。 なお、本件寄付(第2回)から本件寄付(第7回)の議案においては、各寄付を原資として購入する美術品の作品名、作者名、種類及び売買代 金額(消費税込み)等が記載された明細書(別紙9ないし14、なお、売買代金額は評価書に消費税額を加えた金額である。)がそれぞれ添付されていた。 また、本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回)について、それぞれ被告A、亡I(本件寄付〔第7回〕を除く。)、被告G及び承継前 被告Fが出席する取締役会において、被告Aを除く取締役が全員異議な く賛成し、可決承認した。この際、承継前被告Fは、上記と同様の説明を行った。 ウ本件寄付(第8回)平成29年6月21日午前10時55分から取締役会が開催され、被告A、承継前被告F及び被告G外8名の取締役(議長は被告A)、監査役 5名が出席した。本件寄付(第8回)については、特別利害関係取締役である被告Aに代わって、取締役Vが議長となった上で、承継前被告Fが、次のとおり説明を行ったところ、全員異議なく賛成し、可決承認した。すなわち、承継前被告Fは、原告がCSR事業の一環としてサポートしている文化事業であるビュフェ美術館が、クレマチスの丘の文化資 産のうちIZUPHOTOMUSEUMの土地建物及びクレマチスの丘のメイン駐車場(第1駐車場)を取得するため、5億6500万円以内の寄付を行うこと、ビュフェ美術館が上記土地建物及び第1駐車場を取得し、IZUPHOTOMUSEUMについて 物及びクレマチスの丘のメイン駐車場(第1駐車場)を取得するため、5億6500万円以内の寄付を行うこと、ビュフェ美術館が上記土地建物及び第1駐車場を取得し、IZUPHOTOMUSEUMについても一体化した運営を目指し、複合文化施設クレマチスの丘としてさらなる充実を図って いくこと、現代美術作家である杉本博司設計の上記建物を取得し、ビュフェ美術館での全体管理を徹底し、ヴァンジ彫刻庭園美術館を含め、複合文化施設クレマチスの丘における各美術館の常設展や企画展でさらなる相互連携を目指し、静岡県東部の文化芸術事業を通じた地域活性化を目指していくこと等を説明した。なお、本件寄付(第8回)の取締役会 決議に先立つ稟議書(甲18の8)においては、寄付金額(IZUPHOTOMUSEUMの土地建物及び第1駐車場の土地の各売買代金相当額)について、ゼニス・キャピタル・パートナーズ株式会社による上記不動産の評価書をもとに、合計5億6200万8000円と記載されていた。 (以上につき、前提事実⑸、甲18、19) ⑾ 本件寄付後の資金の流れ本件寄付後は、下記アないしクのとおり、支払等が実施され、本件寄付の約80.71%が特定管理先から原告の融資に対する返済に充てられた。なお、その余は、特定管理先における運営資金等の原資となった。 ア原告は、平成25年2月25日、本件寄付(第1回)として、ビュフェ 美術館に対し寄付金6億円を交付した。ビュフェ美術館は、BBAMとの間で、ベルナール・ビュフェ美術館の第2新館及び事務所棟につき、代金額6億1100万円とする売買契約を締結し、同月26日、BBAMに対し上記代金額を支払った。なお、ビュフェ美術館は、本件寄付(第1回)及び同時期に行われた補強工事費用等 新館及び事務所棟につき、代金額6億1100万円とする売買契約を締結し、同月26日、BBAMに対し上記代金額を支払った。なお、ビュフェ美術館は、本件寄付(第1回)及び同時期に行われた補強工事費用等9億円の寄付によっ て、平成25年にベルナール・ビュフェ美術館をリニューアルオープンした。 その後、同年2月26日、BBAMからSGIRに5億8671万円が返済され、同日、SGIRからMKCに5億8683万円が返済され、同日、MKCから原告に5億8700万円が返済された。 イ原告は、平成26年3月26日、本件寄付(第2回)として、ビュフェ美術館に対し、寄付金6億円を交付した。 ビュフェ美術館は、同月27日までに理事長決裁を受けて、別紙9記載の合計8点の彫刻につき、BBAMとの間で売買契約を締結し、同月28日、BBAMに対し美術品の売買代金5億9640万円を支払った。 なお、上記売買契約書の稟議書(甲43の2の3)おいては、ヴァンジの彫刻8点を購入する理由として「⑴ ベルナール・ビュフェ美術館は昨年創設40周年を迎えたが、創設者の言葉『この大地に文化の花さくことをのぞむ』を思い起こし、より一層地元への文化面での貢献を続ける必要がある」こと、「⑵ 当美術館はベルナール・ビュフェ作品を中 心に展示してきたが、各企画展示で他の作者の作品も紹介してきた経緯 があり、また最近では現代作家の作品も数多く展示しており、徐々に守備範囲が拡がって来ている」こと及び「⑶ 今回の購入対象作品は絵画ではなくジュリア―ノ・ヴァンジ氏の彫刻であるが、当美術館が所有することは単に作品の経年価値への期待だけでなく、優れた作品の分散防止にもつながり、結果的に地元への期待に応えられるものと考える」こ とが記載 リア―ノ・ヴァンジ氏の彫刻であるが、当美術館が所有することは単に作品の経年価値への期待だけでなく、優れた作品の分散防止にもつながり、結果的に地元への期待に応えられるものと考える」こ とが記載されていた。 その後、同日、BBAMからC&Cに上記美術品の売買代金5億9640万円が支払われ、同年5月29日、C&CからSGIRに飲食店(クレマチスガーデン・エリアの日本料理店)の売買代金5億5011万円が支払われ、同日、SGIRから原告に5億2000万円が返済され た。 ウ原告は、平成26年9月30日、本件寄付(第3回)として、ビュフェ美術館に対し、寄付金6億円を交付した。 ビュフェ美術館は、同年10月9日までに理事長決裁を受けて、BBAMとの間で、別紙10記載の彫刻35点に係る売買契約を締結し、同月 14日、BBAMに対し、美術品の売買代金5億9886万円を支払った。 その後、同日、BBAMからC&Cに上記美術品の売買代金5億9886万円が支払われ、同月23日、C&CからSGIRにヴァンジ彫刻庭園美術館の展示棟及び事務所棟の売買代金6億3060万円が支払わ れ、同日、SGIRから原告に6億円が返済された。 エ原告は、平成27年3月30日、本件寄付(第4回)として、ビュフェ美術館に対し、寄付金6億円を交付した。 ビュフェ美術館は、同年3月31日までに理事長決裁を受けて、BBAMとの間で、別紙11記載の美術品に係る売買契約を締結し、同年4月 1日、BBAMに対し、美術品350点(うち、329点については、 BBAMが元々所有していたものである。)の売買代金5億9799万円を支払った。 その後、同日、BBAMから、OCIに上記美術品の一部 、美術品350点(うち、329点については、 BBAMが元々所有していたものである。)の売買代金5億9799万円を支払った。 その後、同日、BBAMから、OCIに上記美術品の一部(3点)の売買代金9031万円が、MKCに上記美術品の一部(8点)の売買代金8992万円がそれぞれ支払われるとともに、SGIRに3億8700 万円が返済され、同日、OCIからSGIRに8100万円が返済され、同日、SGIRからMKCに4億6800万円が返済され、同月2日、MKCから原告に6億円が返済された。 オ原告は、平成27年9月25日、本件寄付(第5回)として、ビュフェ美術館に対し、寄付金6億円を交付した。 ビュフェ美術館は、同月24日までに理事長決裁を受けて、BBAMとの間で、別紙12記載の美術品13点に係る売買契約を締結し、同月28日、BBAMに対し美術品(なお、うち4点はBBAMが元々所有していたものである。)の売買代金5億9484万円を支払った。 その後、同日、BBAMからC&Cに上記美術品の一部(9点)の売買 代金5億9292万円が支払われ、同日、C&CからOCIにSGI株式売却代金5億7150万円が支払われ、同日、OCIからSGIRに5億7000万円が返済され、同日、SGIRからMKCに4億7000万円が返済され、同日、MKCからC&Cに6064万円が返済され、同日、C&Cから原告に2000万円が返済され、同年10月2 日、MKCから原告に4400万円が返済され、同月15日、MKCから原告に3億8000万円が返済された。 カ原告は、平成28年3月24日、本件寄付(第6回)として、ビュフェ美術館に対し、寄付金6億円を交付した。 ビュフェ美術館は、同月1 Cから原告に3億8000万円が返済された。 カ原告は、平成28年3月24日、本件寄付(第6回)として、ビュフェ美術館に対し、寄付金6億円を交付した。 ビュフェ美術館は、同月18日までに理事長決裁を受けて、BBAMと の間で別紙13記載の美術品15点に係る売買契約を締結し、同月30 日、BBAMに対し美術品の売買代金5億9940万円を支払った。 その後、同日、BBAMからC&Cに上記美術品の一部(3点)の売買代金1億8900万円が、SGTに上記美術品の一部(2点)の売買代金1億3284万円が、NSTに上記美術品の一部(8点)の売買代金1億6740万円が、SURFに上記美術品の一部(2点)の売買代金 1億1016万円がそれぞれ支払われ、同年4月1日、SGTからMKCに1億2000万円が返済され、同年6月20日にNSTから原告に9255万円が返済され、同年9月28日、SURFから原告に5000万円が返済された。 キ原告は、平成28年12月27日、本件寄付(第7回)として、ビュフ ェ美術館に対し、寄付金6億円を交付した。 ビュフェ美術館は、平成28年12月24日までに理事長決裁を受けて、SGIRとの間で、別紙14記載の美術品96点に係る売買契約を締結し、平成29年1月11日、SGIRに対し美術品の売買代金5億9693万円を支払った。 その後、同日、SGIRから、C&Cに上記美術品の一部(26点)の売買代金1億8303万円が、MKCに上記美術品の一部(65点)の売買代金3億4925万円が、SURFに上記美術品の一部(4点)の売買代金5276万円がそれぞれ支払われ、同日、MKCからSGTに3億3000万円が返済され、同日、SGTからC&Cに3億4000 の売買代金3億4925万円が、SURFに上記美術品の一部(4点)の売買代金5276万円がそれぞれ支払われ、同日、MKCからSGTに3億3000万円が返済され、同日、SGTからC&Cに3億4000 万円が返済され、同月12日、C&Cから原告に5億円が返済された。 ク原告は、平成29年6月27日、本件寄付(第8回)として、ビュフェ美術館に対し、寄付金5億6200万円を交付した。 ビュフェ美術館は、MKCとの間で第1駐車場の土地に係る売買契約を、SGIRとの間でIZUPHOTOMUSEUMの土地建物に 係る売買契約をそれぞれ締結した上で、同月30日、MKCに対し第1 駐車場の土地の売買代金1億6700万円を、SGIRに対しIZUPHOTOMUSEUMの土地及び建物の売買代金3億9500万円をそれぞれ支払った。 その後、同日、SGIRから原告に3億円が返済され、同日、MKCから原告に1億円が返済され、同年7月5日、SGIRからMKCに50 00万円が返済され、同月10日、MKCから原告に5000万円が返済された。 (以上につき、前提事実⑸、甲1、18、20、43、乙A1、2、39、乙B11、乙C20、証人Q、被告A本人) 3 争点⑴(本件寄付による損害発生の有無)について ⑴ア会社法423条3項の趣旨は、取締役が当事者として、又は第三者の代表者若しくは代理人として会社と取引をする場合(利益相反取引。同法356条1項)、独立した当事者間の取引とはいえないため、取締役会の承認(同法365条1項、356条1項柱書)を受けてもなお、取締役が会社の利益の犠牲において自己又は第三者の利益を図る危険性があ ることに鑑み、利益相反取引に関係した取締役に特に慎重な判断を の承認(同法365条1項、356条1項柱書)を受けてもなお、取締役が会社の利益の犠牲において自己又は第三者の利益を図る危険性があ ることに鑑み、利益相反取引に関係した取締役に特に慎重な判断を求める点にある。そこで、利益相反取引がされた場合、会社が会社法423条3項にいう「損害」を被ったか否かは、当該取引の必要性及び取引条件等が通例的なものであったか否か(すなわち、実際の利益相反取引が、取締役が当事者又は第三者の代表者若しくは代理人として取引をし なかった場合より会社にとってより不利益であったか否か)により判断するのが相当というべきである。 イ本件において、原告及び参加原告らは、本件寄付が無償契約であることを指摘して、本件寄付の全額が会社法423条3項にいう「損害」に該当すると主張する。確かに、一般的に、利益相反取引として無償取引を 実施する場合、他の取引に比して、より会社を害する危険性があり得る ことは否めない。しかしながら、会社は、自然人とひとしく、国家、地方公共団体、地域社会その他の構成単位たる社会的実在なのであるから、それとしての社会的作用を負担せざるを得ないのであって、ある行為が一見定款所定の目的とかかわりがないものであるとしても、会社に、社会通念上、期待ないし要請されるものであるかぎり、その期待な いし要請にこたえることは、会社の当然になしうるところである。また、会社にとっても、一般にこのような社会的作用に属する活動を行うことは、企業体としての円滑な発展を図る上で相当の価値と効果を認めることができるのであるから、その意味において、これらの行為もまた、間接ではあっても、会社の目的遂行の上で必要なものであるとする ことを妨げない(以上につき、最高裁判所昭和41年〔オ〕第444号同 ができるのであるから、その意味において、これらの行為もまた、間接ではあっても、会社の目的遂行の上で必要なものであるとする ことを妨げない(以上につき、最高裁判所昭和41年〔オ〕第444号同45年6月24日大法廷判決・民集24巻6号625頁〔以下「昭和45年判例」という。〕参照)。そして、特に、近年において企業の社会的責任(CSR)を果たすことが求められており、投資行動にも影響を及ぼし得るものであること等からすると、寄付が、無償取引であるこ とをもって直ちに会社の目的遂行の上で必要なものではなく会社を害する行為に当たるということはできないのであって、他の利益相反取引と同様、寄付も一定の範囲で会社に利益をもたらし得る行為であると認められる。したがって、取締役が利益相反取引として寄付を行った場合に、常にその全額につき「損害」が発生したと認めるのは相当ではな く、少なくとも、前記アのとおり、必要性及び取引条件等が通例的なものか否かにより判断されるべきである。よって、原告及び参加原告らの上記主張を採用することはできない。 ⑵ そして、本件で会社法423条3項にいう「損害」の発生については、原告側で主張・立証責任を負うところ、原告及び参加原告らは、上記イの限度 でしか主張しておらず、通例取引と本件寄付との間の差額という意味での 「損害」の発生を認めることができない。したがって、本件寄付につき、会社法423条3項を適用することはできない。 4 争点⑵(本件寄付に関する任務懈怠責任の有無)について次に、本件寄付について、会社法423条1項に規定する取締役の任務懈怠責任が認められるかについて検討する。 ⑴ 判断基準寄付に関する取締役の善管注意義務違反の有無について、昭和45年判例は「取締役が会 について、会社法423条1項に規定する取締役の任務懈怠責任が認められるかについて検討する。 ⑴ 判断基準寄付に関する取締役の善管注意義務違反の有無について、昭和45年判例は「取締役が会社を代表して政治資金の寄附をなすにあたっては、その会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位及び寄付の相手方など諸般の事情を考慮して、合理的な範囲内において、その金額等を決すべきであり、右の 範囲を越え、不相応な寄付をなすがごときは取締役の忠実義務に違反するというべきである」との判断基準を示しており、これは、政党への寄付だけでなく、寄付一般に当てはまるものと解される。 そして、一般に企業の社会的責任に合致する寄付については、当該企業の他の目的が寄付の目的と矛盾し又は寄付の意義自体を損ねるようなものでな い限り、前記判断基準に従って取締役の善管注意義務等違反の有無を判断すべきである。そして、本件寄付は、後記アないしウのとおり、いずれもCSR目的で行われたものと認められるのであるから、まずは、本件寄付について、原告の他の目的が、当該CSR目的と矛盾し又は寄付の意義自体を損ねるものか否かについて検討する。 ア本件寄付(第1回)ビュフェ美術館の第1回理事会(認定事実⑻ア)並びに経営会議及び取締役会(認定事実⑽ア)においては、ベルナール・ビュフェ美術館の建物の総合的な耐震工事等を実施するために、ビュフェ美術館がBBAMから第2新館及び事務所棟を購入する原資として本件寄付(第1 回)を要請又は実施することと説明されており、実際に、本件寄付(第 1回)は、上記不動産の購入原資となっている(認定事実⑾ア)。そうすると、本件寄付(第1回)は、東日本大震災の際、ベルナール・ビュフェ美術館の新館(新耐震基準)についても吹 に、本件寄付(第 1回)は、上記不動産の購入原資となっている(認定事実⑾ア)。そうすると、本件寄付(第1回)は、東日本大震災の際、ベルナール・ビュフェ美術館の新館(新耐震基準)についても吹き抜け部分の落下や1階展示室床のひび割れの被害が生じた経緯から、同美術館の本館及び新館だけでなく、第2新館及び事務所棟についても総合的な耐震工事を実施 することで、同美術館の第2新館及び事務所棟を含む建物の維持・管理をし、来訪者等の安全を確保し、同美術館(ひいては、クレマチスの丘)の価値を維持し、地方銀行である原告がその地元である静岡県東部への文化的貢献を行うというCSR目的で実施したものと認められる。 原告及び参加原告らは、本件寄付(第1回)を原資として、SGI RとBBAM間及びMKCとSGIR間の転貸融資の解消や、原告のMKCに対する融資の返済に充てられたこと(認定事実⑾ア)及び亡IやN審査第一部長関与の下、上記の転貸融資の解消や返済のスキームに関して事前に協議がされていたこと等をもって、本件寄付(第1回)の真の目的又は主たる目的が資金融通目的にあり、CSR目的は名目的又は 副次的な目的にすぎなかったなどと主張する。 しかしながら、BBAMは特定管理先ではないものの、SGIRの転貸融資先として把握されたファミリー企業であったところ、平成24年4月から平成27年3月までの第三次改善計画においても、BBAM所有の建物及びその他美術品の処分により、BBAMのSGIRからの転 貸融資及びSGIRのMKCからの転貸融資をそれぞれ解消することとされていたこと(認定事実⑶イ)からすると、第三次改善計画においては、第2新館及び事務所棟を含むBBAM所有の不動産を処分し、その代金をもって上記転貸融資を順次解消す 融資をそれぞれ解消することとされていたこと(認定事実⑶イ)からすると、第三次改善計画においては、第2新館及び事務所棟を含むBBAM所有の不動産を処分し、その代金をもって上記転貸融資を順次解消することが予定されていたものと認められる。そして、第三次改善計画に基づき、BBAMが第三者に 対して第2新館及び事務所棟を処分した場合には、ベルナール・ビュフ ェ美術館の不動産が散逸し、総合的な耐震工事の実施が困難になる可能性もあったというべきであるから、ビュフェ美術館が、第2新館及び事務所棟につき購入を希望することも、むしろ当然であったものといえる。したがって、結果的に、本件寄付(第1回)を原資として、上記転貸融資の解消や原告に対する融資残高の返済に充てられていたとして も、CSR目的と何ら矛盾するものではないというべきである。 また、第一次改善計画ないし第三次改善計画に関しては、経営会議や取締役会で報告等がされていたこと(認定事実⑶イ)からすると、亡Iが、上記転貸融資の解消や結果的にMKCから原告に対し融資の弁済がされることを認識していることも何ら不自然ではない。加えて、認定事 実⑷のとおり、亡Iは、亡I関連企業についてQらとの間でミーティングを実施していたものの、当該ミーティングにおいてはQらから亡I関連企業の資金繰りについて報告を受けるのみであったと認められる上、亡Iは、融資金の返済に関するN第一審査部長とファミリー企業側(O、P及びQ)との打合せに立ち会っていなかったことが認められる ことからすると、亡Iが本件寄付を原資とする返済について具体的な指示を行っていたと評価することは困難である。さらに、特定管理先を含むファミリー企業の債権管理は、審査第一部が行うこととなっていたこと(認定事実⑴イ 、亡Iが本件寄付を原資とする返済について具体的な指示を行っていたと評価することは困難である。さらに、特定管理先を含むファミリー企業の債権管理は、審査第一部が行うこととなっていたこと(認定事実⑴イ)からすると、N審査第一部長において、BBAMとSGIR間、SGIRとMKC間の転貸融資関係の解消や、MKCか ら原告に対する融資の返済に関して亡I関連企業側と協議をして、本件寄付(第1回)を原資とする返済について事前に把握していたとしても、債権管理の一環として直ちに不自然であるとはいえない。 そうすると、上記の事情から、CSR目的を棄損するような他の目的(資金融通目的)があったと認めることはできず、原告及び参加原告ら の上記主張を採用することはできない。 イ本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回)について ビュフェ美術館の第7回理事会における説明(認定事実⑻イ)並びに経営会議及び取締役会における説明(認定事実⑽イ)においては、本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回)については、SGIRによって運営されていたヴァンジ彫刻庭園美術館(認定事実⑹ウ)において、 将来的に相続や資金難等による所蔵作品等の散逸のおそれがあり、ベルナール・ビュフェ美術館において上記所蔵作品等を移管・集約し、クレマチスの丘における美術品を同一地域に残し、同地域での文化的事業をより安定的に維持するというCSR目的であること等が説明されており、実際、本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回)については、 それぞれ別紙9ないし14記載の美術品(その多くはヴァンジ彫刻庭園美術館所蔵のものである。)の購入原資に充てられている(認定事実⑾イないしキ)。そして、ヴァンジ彫刻庭園美術館は、ベルナール・ビュフェ美術館、井上靖文学 14記載の美術品(その多くはヴァンジ彫刻庭園美術館所蔵のものである。)の購入原資に充てられている(認定事実⑾イないしキ)。そして、ヴァンジ彫刻庭園美術館は、ベルナール・ビュフェ美術館、井上靖文学館及びIZUPHOTOMUSEUMとともに、複合文化施設であるクレマチスの丘の一部を構成する美術館であ り、これらの施設は、無料シャトルバスの巡回、共通券の販売や共通テーマでの教育普及活動等運営においても連携をしていたこと(認定事実⑹ア)からすると、ビュフェ美術館においてヴァンジ彫刻庭園美術館の所蔵作品を移管・集約し、当該所蔵作品の散逸を防止することは、クレマチスの丘の安定的な運営に必要であったと認められる。したがって、 本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回)は、CSR目的で行われたものと認められる。 原告及び参加原告らは、美術品を所有していたファミリー企業は、NSTを除き、株式に譲渡制限が付されていたことや、ビュフェ美術館のような一般財団法人であっても、意思決定機関の構成員の変更や倒産等 があり得ることを指摘して、美術品の散逸防止の実効性がなかったなど として、本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回)にはCSR目的がなかったと主張する。 しかしながら、そもそも、株式に譲渡制限が付されていたとしても、一般承継等により株主が変更することはあり得る。また、美術品の購入先となっていた会社は、BBAM及びOCIを除いていずれも特定管理 先であり(前提事実⑹ウ、認定事実⑶イ、認定事実⑾イないしキ参照)、本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第4回)当時に実施されていた第三次改善計画においても、第一次改善計画及び第二次改善計画の基本方針を承継し、資産等の売却による転貸融資の解消及び融資金額の 参照)、本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第4回)当時に実施されていた第三次改善計画においても、第一次改善計画及び第二次改善計画の基本方針を承継し、資産等の売却による転貸融資の解消及び融資金額の圧縮を目標としており(認定事実⑶イ)、平成27年3月に第三次改 善計画が終了した後も、改善計画報告書において、個別融資残高の改善を行っていくこと等が記載されていたのであるから(認定事実⑶イ)、これらの特定管理先において、将来的に融資残高の圧縮のために、所有する美術品を第三者に売却し、原告に対する弁済に充てた可能性がなかったとはいえない。一方、一般財団法人であれば、一般承継等 により支配権の変更は発生せず、仮に理事が欠けたとしても、評議員により新たに適切な理事を選任することになるにすぎない(認定事実⑺ア)。したがって、原告及び参加原告らの上記主張は、いずれも本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回)による美術品の散逸防止の実効性を否定するものとはいえず、採用することができない。 また、原告及び参加原告らは、本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回)の一部が、短期間の間に特定管理先から原告に対する債務の返済に充てられたこと(認定事実⑾イないしキ参照)や、本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回)についてビュフェ美術館の自律的な意思決定がなかったことなどを指摘して、資金還流目的が真の目的又は主 たる目的であったと主張する。 しかしながら、前者に関しては、前記と同様、原告は、本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回)当時においても、特定管理先の個別融資残高の圧縮を行う方針であったのであるから、ビュフェ美術館が、ヴァンジ彫刻庭園美術館所蔵の美術品等を、BBAMを通じて又は直接に特定管 )ないし本件寄付(第7回)当時においても、特定管理先の個別融資残高の圧縮を行う方針であったのであるから、ビュフェ美術館が、ヴァンジ彫刻庭園美術館所蔵の美術品等を、BBAMを通じて又は直接に特定管理先から購入した場合には、当該売買代金を原資として、 結果的に転貸融資金の返済や原告に対する返済に充てられることがあっても、直ちにCSR目的と矛盾するものとはいえない。そもそも、原告の特定管理先に対する融資残高が高額になった契機の一つとして、ヴァンジ彫刻庭園美術館所蔵の美術品の購入費用の融資があったこと(認定事実⑶ア)からしても、特定管理先が、各社の判断によって、上記美術 品の売却代金を原資とした返済をすることも上記改善計画の趣旨に沿うものであって、CSR目的を棄損するものとはいえない。したがって、原告及び参加原告らの上記主張を採用することはできない。 また、後者に関しても、ビュフェ美術館の第7回理事会において、本件寄付(第2回)の目的として、ヴァンジ彫刻庭園美術館所蔵の美術品 の所有権をビュフェ美術館に集約することや、クレマチスの丘の一体経営を趣旨とすること等が被告Aによって説明され、従前の理事会における説明等から、S理事を除く理事らは、上記趣旨を理解した上で本件寄付(第2回)の寄付要請について承認したものである(認定事実⑻イ)。ビュフェ美術館の理事や評議員の過半数及び監事の全員が原告や ファミリー企業の関係者ではなかったこと(認定事実⑺ア)も加味すると、第7回理事会における上記寄付要請の承認は、ビュフェ美術館の理事会が自律的に行ったものであると認めるのが相当である。また、本件寄付(第3回)以降に関しては、いずれも理事長決裁により寄付要請や寄付の受託を行っていたものの、これらについても、第7回理事会にお 理事会が自律的に行ったものであると認めるのが相当である。また、本件寄付(第3回)以降に関しては、いずれも理事長決裁により寄付要請や寄付の受託を行っていたものの、これらについても、第7回理事会にお ける説明を前提として、上記趣旨に則って自律的に行っていたものと認 められる(認定事実⑻ウないしキ)。なお、上記寄付要請の目的は、最終的にヴァンジ彫刻庭園美術館等が所蔵する美術品を全て購入することができるのであれば、購入時期や個々の寄付をどの作品の購入原資に充てるかにかかわらず達成可能であることからすると、本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回)の寄付要請に購入対象となる作品リスト が添付されておらず(認定事実⑻ウないしキ)、亡I関連企業側で作品の選定を行っていたとしても(認定事実⑼)、その一事をもって、ビュフェ美術館の自律的意思決定がなかったということはできない。したがって、原告及び参加原告らの上記主張を採用することはできない。 さらに、原告及び参加原告らは、本件寄付(第2回)ないし本件寄付 (第7回)につき、亡Iの指示の下(本件寄付〔第7回〕に関しては承継前被告F及び被告Gの指示の下)で行われていたことや、N審査第一部長が事前協議により資金還流目的を認識していたこと等を指摘して、資金還流目的が真の目的又は主たる目的であったと主張する。 しかしながら、本件寄付を原資として結果的に特定管理先から原告に 対する債務の返済に充てられることを亡Iが認識していたことや、N審査第一部長が亡I関連企業と協議を行ったことで、CSR目的を直ちに棄損するといえないことは、前記アと同様である。また、本件寄付を原資として原告に対する返済がされること自体、必ずしもCSR目的と矛盾するものではないことも、前 議を行ったことで、CSR目的を直ちに棄損するといえないことは、前記アと同様である。また、本件寄付を原資として原告に対する返済がされること自体、必ずしもCSR目的と矛盾するものではないことも、前記イと同様である。さらに、認定事 実⑾のとおり、本件寄付のうち、特定管理先の原告に対する返済原資となっているのは、80.71%にすぎず、その余は運営資金等に利用されていた。加えて、認定事実⑶イより、第三次改善計画の実施期間(平成24年4月から平成27年3月)において、原告のSGIRに対する融資残高は13億6500万円が、原告のMKCに対する融資残高 は16億0300万円が、それぞれ減少しているところ、このうち同時 期に実施された本件寄付(第1回)ないし本件寄付(第4回)を原資とする返済額は、SGIRについては、本件寄付(第2回)及び本件寄付(第3回)を原資とする合計11億2000万円であり、MKCについては、本件寄付(第1回)の際のSGIRからMKCへの返済金を原資とする5億8671万円並びに本件寄付(第4回)の際のBBAMから MKCへの美術品購入代金8892万円及びSGIRからMKCへの返済金4億6800万円の合計5億5692万円を原資とする合計11億4363万円であるものにすぎず、本件寄付以外を原資とする融資金の回収がされていた形跡が認められることからすると、資金還流目的が主たる目的であったということも困難である。したがって、原告及び参加 原告らの上記主張を採用することはできない。 ウ本件寄付(第8回)について 取締役会における説明(認定事実⑽ク)では、本件寄付(第8回)につき、ビュフェ美術館が、IZUPHOTOMUSEUMの土地及び建物並びにクレマチスの丘のメイン駐車場(第 )について 取締役会における説明(認定事実⑽ク)では、本件寄付(第8回)につき、ビュフェ美術館が、IZUPHOTOMUSEUMの土地及び建物並びにクレマチスの丘のメイン駐車場(第1駐車場)を取得する ため、5億6500万円以内の寄付を行うこと、上記土地及び建物並びに第1駐車場を取得し、IZUPHOTOMUSEUMの一体化した運営を目指し、複合文化施設クレマチスの丘としてさらなる充実を図っていくこと、現代美術作家である杉本博司設計の上記建物を取得し、ビュフェ美術館での全体管理を徹底し、ヴァンジ彫刻庭園美術館を含 め、複合文化施設クレマチスの丘における各美術館での常設展や企画展でさらなる相互連携を目指し、静岡県東部の文化芸術事業を通じた地域活性化を目指していくことが明示されていた。そして、IZUPHOTOMUSEUMがクレマチスの丘を構成する美術館であったことや、第1駐車場がクレマチスの丘のメイン駐車場として利用されていた こと(認定事実⑹エ)からすると、前記イと同様、ビュフェ美術館に おいてIZUPHOTOMUSEUMの土地及び建物並びに第1駐車場の所有権を集約することは、クレマチスの丘の安定的な運営に必要であったと認められる。したがって、本件寄付(第8回)は、CSR目的で行われたものと認められる。 原告及び参加原告らは、本件寄付(第8回)が、ビュフェ美術館によ る自律的な意思決定に基づかないものであるなどとして、CSR目的によるものではないかのように主張する。確かに、本件寄付(第8回)に関しては、理事会における説明がされておらず、理事長決裁により寄付要請及び寄付の受託が行われたものと認められる(認定事実⑻ク)。 しかしながら、そもそも、本件寄付( 本件寄付(第8回)に関しては、理事会における説明がされておらず、理事長決裁により寄付要請及び寄付の受託が行われたものと認められる(認定事実⑻ク)。 しかしながら、そもそも、本件寄付(第8回)の時点で、寄附取扱規 程上、寄付の受託は、理事長決裁で行うことが可能であったのであるから、理事会での説明や承認がなかったからといって、ビュフェ美術館の自律的な意思決定がなかったと認めることはできない。 また、IZUPHOTOMUSEUMの土地及び建物は、ヴァンジ彫刻庭園美術館に隣接しているとともに、IZUPHOTOMU SEUMの建物は、現代美術作家の杉本博司設計によるものであって、それ自体に芸術的価値が認められるものであったこと(認定事実⑹エ)からすると、ヴァンジ彫刻庭園美術館と一体のものとして、IZUPHOTOMUSEUMの建物及び土地の所有権取得は必要なものであったと認められる。また、第1駐車場に関しては、観光バスを2台停め ることができる面積を有しており、クレマチスの丘のメイン駐車場と位置付けられていたこと(認定事実⑹エ)からすると、ヴァンジ彫刻庭園美術館を含むクレマチスの丘の運営上も不可欠のものであったと認められる。そうすると、上記各不動産を購入することは、クレマチスの丘の運営を一体化するという趣旨に合致するものであると認められるから、 少なくとも、ビュフェ美術館の第7回理事会において、被告Aが説明し たクレマチスの丘の運営の一体化の趣旨に即したものであるといえる。 したがって、本件寄付(第8回)の寄付要請及び受入れがビュフェ美術館の自律的な意思決定に基づかないものと認めることはできず、原告及び参加原告らの上記主張を採用することはできない。 ⑵ 本件寄 したがって、本件寄付(第8回)の寄付要請及び受入れがビュフェ美術館の自律的な意思決定に基づかないものと認めることはできず、原告及び参加原告らの上記主張を採用することはできない。 ⑵ 本件寄付が合理的範囲内のものと認められるか 本件寄付の目的は、前記⑴アないしウのとおりであるところ、地方銀行である原告が(前提事実⑴ア)、原告の本店所在地である静岡県東部地域において文化的事業に支援を行うことは、地域社会に対する貢献として社会的に要請されるものである。 また、本件寄付の相手方は、一般財団法人であるビュフェ美術館であり、 原告は、本件寄付以前から、美術品の寄贈をすること等により継続的に支援を行っていた(認定事実⑸)。 また、本件寄付の金額は、年間最大12億円であり、各年の寄付金額は、いずれも原告の連結ベースでの経常利益の2%程度であったこと(前提事実⑸)からすると、寄付金額が不相当なものであったとは認められない。 さらに、本件寄付により購入された不動産(本件寄付〔第1回〕及び本件寄付〔第8回〕)及び美術品(本件寄付〔第2回〕ないし本件寄付〔第7回〕)は、いずれも評価書に基づく適正な価格で取引がされていた(認定事実⑼、認定事実⑽)。 以上によれば、本件寄付は、原告の規模、経営実績その他社会的経済的地 位及び寄付の相手方等の諸般の事情を考慮した場合に、合理的な範囲を超えるものと認めることはできないから、本件寄付の実施や本件寄付を承認したことにつき、取締役の善管注意義務違反は認められない。 ⑶ また、本件寄付は、いずれも、被告Aとの関係で利益相反取引であったところ、認定事実⑽のとおり、承継前被告Fに重要事項の開示を行わせた上 で、取締役会の承認を受けていたので られない。 ⑶ また、本件寄付は、いずれも、被告Aとの関係で利益相反取引であったところ、認定事実⑽のとおり、承継前被告Fに重要事項の開示を行わせた上 で、取締役会の承認を受けていたのであるから、法令遵守義務違反(会社法 355条)も認められない。 原告及び参加原告らは、取締役会において、本件寄付の真の目的又は主たる目的が資金還流にあったことを説明しなかったことを指摘して重要事項の開示がなかったかのように主張する。 しかしながら、そもそも、本件寄付にCSR目的を棄損するような資金還 流目的があったと認められないことは、前記⑴のとおりである。 また、本件寄付を原資としてファミリー企業から原告に対する返済がされることが予定されていたとしても、これを取締役会で開示しなかったことが重要事項の開示義務違反(会社法365条1項、356条1項柱書)に該当するということもできない。すなわち、特定管理先に関する管理の状況(認 定事実⑶)や、本件寄付以前も、平成24年以前寄付においては、原告がBBAMからビュフェの作品を購入し、これをビュフェ美術館に贈与することで寄付を行っており(認定事実⑸)、取締役会や経営会議、関係省庁に対しこれらの説明を行っていたこと(認定事実⑶イ)からすると、そもそも、特定管理先が本件寄付を原資として原告に対する返済を行うことは当然予見 することが可能であった。さらに、本件寄付を原資として特定管理先が原告に対する返済を行うことが、CSR目的と矛盾しないことは前記⑴のとおりであることからすると、そもそも、本件寄付が特定管理先の返済原資となる可能性については、本件寄付につき取締役会の承認に当たり開示しなければならない重要事項(会社法365条1項、356条1項柱書)に該当する ことからすると、そもそも、本件寄付が特定管理先の返済原資となる可能性については、本件寄付につき取締役会の承認に当たり開示しなければならない重要事項(会社法365条1項、356条1項柱書)に該当すると はいえない。 したがって、原告及び参加原告らの上記主張を採用することはできない。 ⑷ 小括以上によれば、本件寄付に関し、被告A、亡I、承継前被告F及び被告Gのいずれについても任務懈怠は認められないから、その余の点について判断 するまでもなく、同人らにつき任務懈怠責任は認められず、同請求部分に係 る被告らに対する請求も理由がない。 第4 結論以上によれば、参加原告らの訴えのうち、原告の請求を超える部分(別紙2)については不適法であるから、これらをいずれも却下し、原告の請求及び参加原告らのその余の請求には理由がないから、その余について判断するまで もなくこれらをいずれも棄却することとして、主文のとおり判断する。 静岡地方裁判所民事第2部 裁判官石井みよ 裁判長裁判官菊池絵理及び裁判官佐野倫久は、転補のため署名押印することができない。 裁判官石井みよ (別紙2)参加原告らの訴えの却下部分 1 被告Bに対する訴えのうち、12億円及びこれに対する遅延損害金の支払(ただし、被告Aと7億5598万3608円及びこれに対する遅延損害金の限度で、被告J及び被告Gと1億1339万7540円及びこれに対する遅延 損害金の限度で各連帯支払)を求める部分を超える部分 2 被告Cに対する訴えのうち、被告Aと連帯して4億円及びこれに対する遅延損害金の支払(ただし、被告J及び被告Gと1億1339万7540円及びこれに対する遅延損害 帯支払)を求める部分を超える部分 2 被告Cに対する訴えのうち、被告Aと連帯して4億円及びこれに対する遅延損害金の支払(ただし、被告J及び被告Gと1億1339万7540円及びこれに対する遅延損害金の限度で連帯支払)を求める部分を超える部分 3 被告Dに対する訴えのうち、被告Aと連帯して4億円及びこれに対する遅延 損害金の支払(ただし、被告J及び被告Gと1億1339万7540円及びこれに対する遅延損害金の限度で連帯支払)を求める部分を超える部分 4 被告Eに対する訴えのうち、被告Aと連帯して4億円及びこれに対する遅延損害金の支払(ただし、被告J及び被告Gと1億1339万7540円及びこれに対する遅延損害金の限度で連帯支払)を求める部分を超える部分 5 被告Aに対する訴えのうち次の範囲を超える部分⑴ 被告Bと連帯して7億5598万3608円及びこれに対する遅延損害金の支払(ただし、被告C、被告D及び被告Eと4億円及びこれに対する遅延損害金の限度で、被告J及び被告Gと1億1339万7540円及びこれに対する遅延損害金の限度で各連帯支払)を求める部分 ⑵ 2億4401万6392円及びこれに対する遅延損害金の支払(ただし、被告J及び被告Gと3660万2460円及びこれに対する遅延損害金の限度で連帯支払)を求める部分 6 被告Jに対する訴えのうち次の範囲を超える部分⑴ 被告B、被告C、被告D、被告E、被告A及び被告Gと連帯して1億133 9万7540円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める部分 ⑵ 被告A及び被告Gと連帯して3660万2460円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める部分 7 被告Gに対する訴えのうち次の範囲を超える部分⑴ 被告B、被告C、被告D、被告E、被告A及び被告Jと A及び被告Gと連帯して3660万2460円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める部分 7 被告Gに対する訴えのうち次の範囲を超える部分⑴ 被告B、被告C、被告D、被告E、被告A及び被告Jと連帯して1億1339万7540円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める部分 ⑵ 被告A及び被告Jと連帯して3660万2460円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める部分以上 (別紙3)請求の趣旨 1 原告の請求⑴ 被告Bは、原告に対し、12億円及びこれに対する平成31年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を(ただし、被告Aと7億5598 万3608円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で連帯して、被告J及び被告Gと1億1339万7540円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で連帯して)支払え。 ⑵ 被告Cは、原告に対し、被告Aと連帯して4億円及びこれに対する平成3 1年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を(ただし、被告J及び被告Gと1億1339万7540円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で連帯して)支払え。 ⑶ 被告Dは、原告に対し、被告Aと連帯して4億円及びこれに対する平成31年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を(ただし、被告J 及び被告Gと1億1339万7540円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で連帯して)支払え。 ⑷ 被告Eは、原告に対し、被告Aと連帯して4億円及びこれに対する平成31年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を(ただし、被告J及び被告Gと1億1339万7540円及びこれに対する ⑷ 被告Eは、原告に対し、被告Aと連帯して4億円及びこれに対する平成31年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を(ただし、被告J及び被告Gと1億1339万7540円及びこれに対する同日から支払済み まで年5分の割合による金員の限度で連帯して)支払え。 ⑸ア被告Aは、原告に対し、被告Bと連帯して7億5598万3608円及びこれに対する平成31年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を(ただし、被告C、被告D及び被告Eと4億円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で連帯して、被 告J及び被告Gと1億1339万7540円及びこれに対する同日から 支払済みまで年5分の割合による金員の限度で連帯して)支払え。 イ被告Aは、原告に対し、2億4401万6392円及びこれに対する平成31年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を(ただし、被告J及び被告Gと3660万2460円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で連帯して)支払え。 ⑹ア被告Jは、原告に対し、被告B、被告C、被告D、被告E、被告A及び被告Gと連帯して1億1339万7540円及びこれに対する平成31年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ被告Jは、原告に対し、被告A及び被告Gと連帯して3660万2460円及びこれに対する平成31年2月3日から支払済みまで年5分の割 合による金員を支払え。 ⑺ア被告Gは、原告に対し、被告B、被告C、被告D、被告E、被告A及び被告Jと連帯して1億1339万7540円及びこれに対する平成31年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ被告Gは、原告に対し、被告 被告C、被告D、被告E、被告A及び被告Jと連帯して1億1339万7540円及びこれに対する平成31年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ被告Gは、原告に対し、被告A及び被告Jと連帯して3660万246 0円及びこれに対する平成31年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑻ 仮執行宣言 2 参加原告らの請求⑴ 被告Bは、原告に対し、被告A、被告J及び被告Gと連帯して18億円及 びこれに対する令和元年5月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑵ 被告Cは、原告に対し、被告A、被告J及び被告Gと連帯して、6億円及びこれに対する令和元年5月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑶ 被告Dは、原告に対し、被告A、被告J及び被告Gと連帯して、6億円及 びこれに対する令和元年5月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑷ 被告Eは、原告に対し、被告A、被告J及び被告Gと連帯して、6億円及びこれに対する令和元年5月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑸ア被告A、被告J及び被告Gは、原告に対し、連帯して36億円及びこれに対する令和元年5月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を(ただし、被告Bと18億円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で連帯して、被告C、被告D及び被告Eと各6億円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金 員の限度で各連帯して)支払え。 イ被告A、被告J及び被告Gは、原告に対し、連帯して11億6200万8000円及びこれに対する令和元年5月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を 員の限度で各連帯して)支払え。 イ被告A、被告J及び被告Gは、原告に対し、連帯して11億6200万8000円及びこれに対する令和元年5月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑹ 仮執行宣言 以上 (別紙4)当事者の主張 1 争点⑴(本件寄付による損害発生の有無)について⑴ 原告及び参加原告らの主張ア会社法423条3項にいう「損害」とは債務不履行や任務懈怠に基づく損害 ではなく、価値中立的な財産的損失をいう。なお、取引条件が通例的であったか否かという基準は、無償取引である本件寄付に適用されない。 イしたがって、本件においては、本件寄付の前後の差額である合計47億6200万8000円の損害が発生している。 ⑵ 被告Bらの主張 ア取締役・会社間で財産譲渡がされた場合、会社が会社法423条3項にいう「損害」を被ったか否かは、当該取引の必要性及び取引条件等が通例的なものであったか否かにより判断されるものと解される。 イ本件寄付は、クレマチスの丘全体の運営・管理をビュフェ美術館に一元化することにより、効率的、持続的に運営していくという目的に基づいて、亡I関 連企業が保有していた美術品やヴァンジ彫刻庭園美術館の建物等の所有権をビュフェ美術館に移管・集約するために行われたものであり、高度の必要性に基づくものであった。 また、本件寄付が通例的であるか否かについても、上記のとおり高度の必要性に基づきCSR(企業の社会的責任)目的で行われたものであることに加え、 本件寄付は、原告の連結ベースでの経常利益の2%台にとどまっており、会社規模や財務状況に鑑みて合理的な範囲内であることからすると、通例的であるといえる。したがって、 たものであることに加え、 本件寄付は、原告の連結ベースでの経常利益の2%台にとどまっており、会社規模や財務状況に鑑みて合理的な範囲内であることからすると、通例的であるといえる。したがって、本件寄付により、原告に損害は発生していない。 ⑶ 被告Aの主張ア会社法423条3項にいう「損害」の判断基準は、前記⑵アと同様である。 イ本件寄付は、ビュフェ美術館理事会における独立した経営判断に基づく要請 により、クレマチスの丘を一体化し、クレマチスの丘が持続的に静岡県東部における文化的貢献を行うことへの寄与の一環として行われたものである。地方銀行である原告にとって、その地盤となる同県東部の文化的発展に寄与することは、社会的に期待された事柄であり、原告において本件寄付を行う必要性があった。 また、本件寄付の金額が相当であることについては、当事者間に争いがないのであるから、通例的な取引条件と利益相反取引(本件寄付)との間の差額としての「損害」は存在しない。 ⑷ 被告F・Gらの主張ア会社法423条3項にいう「損害」の判断基準は、前記⑵ア及び前記⑶アと 同様である。 イそもそも、対価が存在しない寄付行為において考慮されるべき取引条件の通例性は、会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位及び寄付の相手方等の諸般の事情を考慮して、合理的な範囲内においてその金額等を決すべきであり、本件において「損害」と認められる金額は存在しない。 2 争点⑵(原告の取締役である被告らの任務懈怠責任の有無)について⑴ 原告及び参加原告らの主張の要旨本件寄付は、被告Aとの関係で利益相反取引(会社法356条1項2号)に該当し、本件寄付について形式的には取締役会の承認決議を経ている 任の有無)について⑴ 原告及び参加原告らの主張の要旨本件寄付は、被告Aとの関係で利益相反取引(会社法356条1項2号)に該当し、本件寄付について形式的には取締役会の承認決議を経ている(同法365条1項、356条1項柱書)。 しかしながら、そもそも、上記承認決議の際に重要事項の説明(会社法365条2条)を欠いていたことから、本件寄付は、有効な取締役会決議を欠いている上、本件寄付の実質的な目的は、ファミリー企業に対する資金の融通であるから、本件寄付による支出を正当化する理由はなく、本件寄付に関与した取締役である亡I、被告A、承継前被告F及び被告Gには善管注意義務違反が認められる。 ア判断基準 寄付は、対価なく会社財産を拠出する行為であり、多くの場合、会社の直接的な利益につながらない。そのため、寄付が、名目上の目的又は副次的な目的を基準とすれば、事業目的の一環として又は社会的意義のある目的でなされた場合でも、その真の目的又は主たる目的がこれと異なるものであった場合には、その寄付を正当化することはできないから、寄付に係る意思決定に関与した取 締役において、かかる真の目的又は主たる目的を認識し、又は認識し得た場合には、当該取締役について善管注意義務違反又は忠実義務違反が認められると解するべきである。 なお、本件寄付は、いずれも寄付の名目で実施されているものの、前記のとおり、その実態は、ファミリー企業に対する違法な資金融通であるから、判例 (最高裁判所昭和41年〔オ〕第444号同45年6月24日大法廷判決・民集24巻6号625頁。以下「昭和45年判例」ともいう。)の射程外である。 イ本件寄付の目的本件寄付の真の目的はファミリー企業に対する資金融通 44号同45年6月24日大法廷判決・民集24巻6号625頁。以下「昭和45年判例」ともいう。)の射程外である。 イ本件寄付の目的本件寄付の真の目的はファミリー企業に対する資金融通(当該企業から原告に弁済がされることだけでなく、当該企業の資金繰り等を支援することを含 む。)であり、CSR目的は名目上の目的にすぎず(主位的主張)、そもそも客観的にCSRの必要性(ヴァンジ彫刻庭園美術館に展示される美術品の所有権をビュフェ美術館に移転する必要性)があったとはいえない。 仮に、上記の2つの目的が併存していたとしても、本件寄付の主たる目的はファミリー企業に対する資金融通であり、CSR目的は付随的効果の発生を意 図した副次的な目的であり(予備的主張)、資金融通目的がCSR目的より優越している。 すなわち、本件寄付は、原告の最重要課題であり、特定管理先のファミリー企業に対する転貸融資の解消を目的とした第三次改善計画の期間内に開始されている上、本件寄付による寄付金額のほとんど(本件寄付〔第3回〕及び本 件寄付〔第4回〕については全額)が、ファミリー企業から原告への返済に回 されている。そうすると、本件寄付の真の目的は、上記改善計画を背景として、MKC、SGIR及びC&Cといったファミリー企業をして、原告に借入金の返済をさせるという資金融通目的にあったことは明らかである。 また、本件寄付において、CSR目的につき原告固有の必要性がなかったこと、ファミリー企業からビュフェ美術館に美術品の所有権を移しても散逸防止 にはならないこと、本件寄付により展示作品の所有者がファミリー企業からビュフェ美術館に変わるものの、ヴァンジ彫刻庭園美術館の資産構成に影響はないこと、CSR目的 術品の所有権を移しても散逸防止 にはならないこと、本件寄付により展示作品の所有者がファミリー企業からビュフェ美術館に変わるものの、ヴァンジ彫刻庭園美術館の資産構成に影響はないこと、CSR目的の実態について、本件寄付は、創業家の趣味的なコレクション又はファミリー企業の利益のためにされたものであり、第三者である文化施設や教育施設等に対する通常の寄付と同視できないこと及び本件寄付に係 るプロセスは、これを受けるビュフェ美術館からの寄付の要請ではなく、亡Iを起点としていること等からすると、CSR目的が名目にすぎないか、資金融通目的がCSR目的よりも優越することは明らかである。 ウ各取締役の任務懈怠の具体的内容 亡Iは、本件寄付(第1回)ないし本件寄付(第6回)を主導すべきでな く、取締役会に先立ち開催された経営会議において本件寄付に反対すべき義務(会社法330条、民法644条、会社法355条参照。)を負っていた。 また、亡Iは、本件寄付(第1回)ないし本件寄付(第6回)を取締役会で承認するに当たり、その金額、相手方及び時期に加え、その目的が前記イの資金融通にあったこと、ファミリー企業の経営に亡Iを含む創業家が実質的 に関与し又は一定の影響を及ぼしていたこと、本件寄付や絵画の選定がビュフェ美術館の要請に基づくものではないこと等の重要事項を説明し、これに反対すべき義務(会社法330条、民法644条、会社法355条、362条2項2号)を負っていた。さらに、本件寄付(第1回)ないし本件寄付(第6回)について、上記の重要な事実を取引後遅滞なく報告すべき義務(会社 法365条2項)を負っていた。 それにもかかわらず、亡Iは、資金融通目的を秘匿し、CSR目的を名目上の目的として、原告の 要な事実を取引後遅滞なく報告すべき義務(会社 法365条2項)を負っていた。 それにもかかわらず、亡Iは、資金融通目的を秘匿し、CSR目的を名目上の目的として、原告の代表者として本件寄付の方針を決定し、承継前被告Fに指示をして、本件寄付に係る稟議書を作成させ、経営会議及び取締役会において真の目的を説明せずに承認決議をさせ、代表取締役として本件寄付(第1回)ないし本件寄付(第6回)を実行したのであるから、この点に善 管注意義務違反及び忠実義務違反が認められる。 原告の当時の運用上、経営会議の承認を経なければ、本件寄付が取締役会に上程されることはなく、かつ、被告Aは、前記イの資金融通目的を容易に知ることができたのであるから、被告Aは、本件寄付(第1回)ないし本件寄付(第7回)について、経営会議で異議や意見を付して反対すべき義務(会 社法330条、民法644条、会社法355条)を負っていた。また、本件寄付について、取締役会で前記と同様の重要な事実を開示して(会社法356条1項柱書)、取締役会における承認決議を阻止すべき義務を負っていた。さらに、本件寄付(第1回)ないし本件寄付(第7回)について、上記の重要な事実を取引後遅滞なく報告すべき義務(会社法365条2項)を負 っていた。 それにもかかわらず、被告Aは、経営会議及び取締役会において本件寄付の真の目的を説明せずに承認決議をさせ、本件寄付を実行させたのであるから、この点に善管注意義務違反及び忠実義務違反が認められる。 承継前被告F及び被告Gは、ファミリー企業に対する融資の管理を主導的 に行っていた経営企画部に部長として所属しており、ファミリー企業への貸付け等について関与し、融資状況等も把握していたから、 承継前被告F及び被告Gは、ファミリー企業に対する融資の管理を主導的 に行っていた経営企画部に部長として所属しており、ファミリー企業への貸付け等について関与し、融資状況等も把握していたから、同人らは、本件寄付の真の目的(前記イ)を知っていた。したがって、承継前被告F及び被告Gは、亡Iと同様、経営会議で本件寄付に反対し、また、取締役会で重要な事実を説明して反対するなどして、本件寄付を阻止すべき義務を負っていた。 それにもかかわらず、承継前被告F及び被告Gは、亡Iから寄付の実施時 期について事前に相談を受けるなどし、亡Iの指示を受け(第7回及び第8回は、同人らで協議の上)、経営企画部企画に指示をして稟議書や取締役会の説明資料を作成させ、経営会議で本件寄付を承認した上、取締役会で本件寄付の議案を説明するなどし、本件寄付を承認しており、この点に、善管注意義務違反及び忠実義務違反がある。 ⑵ 被告Bらの主張ア判断基準寄付に関する取締役の善管注意義務等違反の有無について、昭和45年判例は「取締役が会社を代表して政治資金の寄付をなすにあたっては、その会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位及び寄付の相手方など諸般の事情を考 慮して、合理的な範囲内においてその金額等を決すべきであり、右の範囲を越え、不相応な寄付をなすがごときは取締役の忠実義務に違反する」との判断基準を示しており、これは、政党への寄付だけでなく、寄付一般に当てはまる。 そして、一般に企業の社会的責任に合致する寄付については、他の目的が寄付の目的と矛盾し又は寄付の意義自体を損ねるようなものでない限り、前記判 断基準に従って取締役の善管注意義務等違反の有無を判断すべきところ、本件寄付は、CSR目的で 付については、他の目的が寄付の目的と矛盾し又は寄付の意義自体を損ねるようなものでない限り、前記判 断基準に従って取締役の善管注意義務等違反の有無を判断すべきところ、本件寄付は、CSR目的でされたものであり(後記イ)、当該CSR目的は、他の目的である資金融通目的と矛盾するものではなく、又は、資金融通目的によって本件寄付の意義自体が損なわれるものでもない。よって、本件寄付に係る取締役の善管注意義務等違反の有無は、前記判断基準(合理的範囲基準)に従い 判断されるべきである。 イ本件寄付の目的 本件寄付は、地域に根差した文化的価値を有する施設であるクレマチスの丘全体の効率的、持続的な運営・管理を目的として、ファミリー企業が保有する美術品やヴァンジ彫刻庭園美術館の建物等の所有権をビュフェ美術館 に移管し、クレマチスの丘全体の運営、管理をビュフェ美術館に一元化した 上、ビュフェ美術館を公益財団法人化して運営していくことのできる体制を整えるという構想に基づき実施されたものであり、社会的、文化的、地域活性化の視点から重要な意義を有する。 原告の取締役会においても、本件寄付の目的について、一体化した文化資産であるクレマチスの丘において、ビュフェ美術館が、ヴァンジ彫刻庭園美 術館の所蔵作品の移管譲渡を受けて一般財団法人の所有とすることにより、ヴァンジの作品を散逸することなく保有するとともに、クレマチスの丘全体のより効率的な美術館運営も持続できるよう、美術品等を購入する目的で寄付を実施すると説明されている。 また、本件寄付の相手方であるビュフェ美術館は、創設以来、約40年に わたって公益的施設であるベルナール・ビュフェ美術館を運営してきた一般財団法人であり、本件寄付の当 されている。 また、本件寄付の相手方であるビュフェ美術館は、創設以来、約40年に わたって公益的施設であるベルナール・ビュフェ美術館を運営してきた一般財団法人であり、本件寄付の当時、理事及び評議員の多くは、大学教授、会社経営者及び宮司等が務め、独自の判断で運営されてきた(創業家の関係者は、平成23年5月から亡Iが死亡した平成28年7月まで、理事10名中2名、評議員9名中3名であったから、ファミリー企業には当たらない。)。 現に、原告から本件寄付を受けたビュフェ美術館は、寄附金取扱規程に従った適正な手続をとった上で本件寄付を受け入れ、本件寄付の目的であるCSR目的に沿って、本件寄付により受領した資金で現実に美術品等を適正な価格で購入した。 したがって、本件寄付がCSR目的で実施されたことは明らかである。 本件寄付の当時、特定管理先への融資残高削減が喫緊の課題であり、当該課題が達成できなければ、金融庁から行政処分を受けるおそれが強かった原告において、その取締役が、CSR活動としての目的を達成した上、結果として特定管理先への融資残高削減も達成可能であることに着目して、逐次、金融庁等とも状況を共有しながら、平成24年以前寄付及び本件寄付を継続 したとしても(すなわち、CSR目的と特定管理先への融資残高削減目的が 併存していたとしても)、何ら不合理とはいえず、原告のCSRレポートに記載がされ、IR(InvestorRelations)にも用いられ、客観的にも現実に美術品等が移管されてクレマチスの丘の文化事業への貢献がされている以上、CSR目的が否定されるものではない。 ウ亡Iに善管注意義務違反がないこと 本件寄付は、前記イのとおりCSR目的であり、寄 てクレマチスの丘の文化事業への貢献がされている以上、CSR目的が否定されるものではない。 ウ亡Iに善管注意義務違反がないこと 本件寄付は、前記イのとおりCSR目的であり、寄付金額も、半年で6億円、年間で見ても12億円程度であって、これは原告の連結ベースでの経常利益の2%台にすぎないから、著しく大きいものとはいえず、合理的な範囲内といえる。したがって、本件寄付を主導すること自体に善管注意義務又は忠実義務違反があるとはえいない。 また、前記イのとおり、仮に本件寄付に資金融通目的が存在したとしても、CSR目的と資金融通目的とは相互に矛盾する関係にあるものではなく、資金融通目的があることによってCSRという本件寄付の意義が損なわれるものでもない。 さらに、前記イのとおり、本件寄付に少なくともCSR目的が存在して いたことは明らかであり、取締役会において本件寄付に関するCSR目的についての詳細な説明、協議を経て承認決議がされている以上、重要な事実を説明していないといえず、取締役会決議に瑕疵があるともいえない。 エなお、CSR目的が存在することを前提に、経営判断原則を論ずると、ベルナール・ビュフェ美術館とヴァンジ彫刻庭園美術館等が複合的文化施設である クレマチスの丘を形成して地域貢献しており、それを継続的に残していくために一般財団法人であるビュフェ美術館がヴァンジ彫刻庭園美術館所蔵作品等のクレマチスの丘に関連する資産を購入するというのであるから、そのことのみでも、地方銀行である原告にとって、地域に根差した業態であって、行政の式典などの利用を通じて地域でのプレゼンスにも寄与し、広報、イメージ戦略、 IR等にもメリットがあり、子供たちへの文化的教育にも寄与す 銀行である原告にとって、地域に根差した業態であって、行政の式典などの利用を通じて地域でのプレゼンスにも寄与し、広報、イメージ戦略、 IR等にもメリットがあり、子供たちへの文化的教育にも寄与することから将 務内容・業績に照らせば、本件寄付は、著しく不合理なものとはいえない。判断過程についても、経営会議の承認と取締役会の承認を経ており、手続上の問題もない。ファミリー企業に美術品の売買代金の支払がされることは取締役会 本件寄付に係る判断に当たって各取締役に ⑶ Aの主張ア本件寄付に関し任務懈怠があるか否かは、前記⑵アと同様、昭和45年判例の基準により判断すべきである。 イ次のとおり、本件寄付がいずれもCSR目的で行われたことは明らかである。 本件寄付(第1回)は、ベルナール・ビュフェ美術館が東日本大震災によって被災したことから、同美術館の本館及び新館を含む建物の維持・管理のために、総合的な耐震工事を実施することで、来訪者等の安全を確保し、同美術館(ひいては、クレマチスの丘)の価値を維持し、静岡県東部への文化的貢献を行う目的で実施された。 本件寄付(第2回)ないし本件寄付(第7回)は、株式会社形態で運営されていたヴァンジ彫刻庭園美術館において、将来的に相続や資金難等による所蔵作品等の散逸のおそれ(ひいては、クレマチスの丘の一体的な維持に支障が生じるおそれ)があったことから、ビュフェ美術館において上記所蔵作品等を移管・集約し、クレマチスの丘における美術品を同一地域に残し、同 地域での文化的事業をより安定的に維持する目的で実施された。なお、ビュフェ美術館は、IZUPHOTOMUSEUMの写真等も、上記寄付によって購入したが、これらも含めてクレマ 域に残し、同 地域での文化的事業をより安定的に維持する目的で実施された。なお、ビュフェ美術館は、IZUPHOTOMUSEUMの写真等も、上記寄付によって購入したが、これらも含めてクレマチスの丘を安定的に維持するためにビュフェ美術館に集約すべき美術品と考えられていた。 本件寄付(第8回)は、クレマチスの丘の運営に必要不可欠である土地及 び建物の購入費用に充てる目的で実施された。原告の取締役会においても、 本件寄付(第8回)により期待される効果として、現代美術作家である杉本博司氏設計のIZUPHOTOMUSEUMの建物を取得し、財団法人における全体管理を徹底すること及びクレマチスの丘におけるヴァンジ彫刻庭園美術館を含め、各美術館での常設展や企画展でさらなる相互連携を目指し、静岡県東部の文化芸術事業を通じた地域活性化を果たすことが明示さ れていた。 なお、ビュフェ美術館の第7回理事会において、十分な説明の下、ビュフェ美術館がクレマチスの丘を一体的に運営することが重要であることにつき、各理事が認識し、ビュフェ美術館の独立した経営判断の下で、本件寄付(第2回)の要請を行うことを決議し、これ以降、理事長決裁により、本件 寄付(第3回)以降の寄付要請を行うこととしたのである。したがって、ファミリー企業において、有利子負債を少なくするという経営判断の下、美術品の売却によって得た資金を原資として、原告に対する返済や転貸解消に充てられたとしても、これをもって本件寄付に資金融通目的があったということはできない。 ウ前記イのとおり、本件寄付の目的は、原告のCSR活動として、クレマチスの丘を永続的に発展させ、子供の感受性を高める文化事業をサポートするというものであり、結果として はできない。 ウ前記イのとおり、本件寄付の目的は、原告のCSR活動として、クレマチスの丘を永続的に発展させ、子供の感受性を高める文化事業をサポートするというものであり、結果として地域におけるレピュテーションの向上、CSRを投資基準とする機関投資家からの投資による時価総額の維持向上という効果も期待できるものであり、正当である。また、本件寄付は、原告の連 結ベースでの経常利益の2%台であり、その額は相当である。よって、本件寄付は、合理的かつ公正であり、美術品等の取引でファミリー企業が受領した資金の一部が当該企業から原告への債務返済に充てられたとしても、目的が正当でないとはいえない。 被告Aは、経営会議において、本件寄付により取得する予定の美術品や不 動産等及びその評価を確認しており、取締役会による利益相反取引の承認に 際しても、同様の資料が取締役会に提出され、承継前被告Fから適切な趣旨説明がされていることを確認し、重要な事実の説明や取締役会から求められから、この点に善管注意義務違反又は忠実義務違反はない。また、被告Aは、特別利害関係人であり、取締役会の決議に参加できなかったから、決議に反対して阻止すべき注意義務はない。 なお、被告は、ファミリー企業の経営に形式的にも実質的にも関与していなかったから、ビュフェ美術館の美術品等の購入先であるファミリー企業の資産や負債の状況等を知らず、当該ファミリー企業が売買代金をどう使用するかについても関知していなかった。 ⑷ 被告F・Gらの主張 ア本件寄付に関し任務懈怠があるか否かは、前記⑵ア及び前記⑶アと同様、昭和45年判例の基準により判断すべきである。 イ前記⑵イと同様、本件寄付は、いずれもCSR目 ・Gらの主張 ア本件寄付に関し任務懈怠があるか否かは、前記⑵ア及び前記⑶アと同様、昭和45年判例の基準により判断すべきである。 イ前記⑵イと同様、本件寄付は、いずれもCSR目的であったことが明らかであり、原告の取締役会においても適切に承認されている。また、地方銀行である原告が、余裕資金の範囲内で芸術活動を支援することは社会や地域に対する 貢献として当然認められるものであり、寄付金額も著しく大きいものとはいえない。したがって、本件寄付は、合理的な範囲内のものといえるため、本件寄付に関し、承継前被告F及び被告Gに任務懈怠はない。 ウ承継前被告Fは、平成15年から平成20年3月まで経営企画部の企画部長を務め、同年4月以降、経営企画部管掌取締役を務め、被告Gは、平成1 2年から平成23年まで経営企画部長を務めた。経営企画部は、金融庁や東海財務局等の対応を担当していたため、特定管理先の管理が平成16年に審査部に移管した後も、承継前被告Fは、審査部が作成した資料を基に、経営企画部の企画部長又は経営企画部管掌取締役として金融庁等に対する報告を行い、本件寄付の状況についても共有していた。審査部では、W氏(以下 「W」という。)及びN(以下「N第一審査部長」という。)が順次審査第 一部長として特定管理先の管理を主に担当しており、承継前被告Fは、W及びN第一審査部長から情報共有を受けた上で、同人らを伴って金融庁に報告等を行っていたが、特定管理先について細部を把握する立場にはなく、被告Gも、特定管理先の管理に直接関わることはなかった。このように、承継前被告F及び被告Gは、審査部長や審査部管掌取締役の具体的な認識を把握し ておらず、ファミリー企業側の意思決定に関与したこともなかった。 理に直接関わることはなかった。このように、承継前被告F及び被告Gは、審査部長や審査部管掌取締役の具体的な認識を把握し ておらず、ファミリー企業側の意思決定に関与したこともなかった。 承継前被告Fは、本件寄付(第1回)ないし本件寄付(第6回)については、亡IからCSR目的で原告が本件寄付を行うため、経営企画部で稟議を起案し、取締役会でその説明をするようにとの指示を受け、本件寄付(第7回)及び本件寄付(第8回)については、被告Aから従前と同様の寄付を行 うようにとの指示を受け、事前に美術品の評価書及び作品リストを預かった上で、CSR活動の担当部署及び取締役会担当部署の立場で、稟議書や取締役会の説明資料の起案に携り、取締役会で本件寄付について説明し、決議で賛成した。承継前被告Fが指示を受けた時点では、寄付の時期や金額は既に決定しており、承継前被告Fは、形式的に寄付の稟議書を作成していたもの で、寄付に係る決定に実質的に関与していないし、ビュフェ美術館又は特定管理先の立場で本件寄付に関与したこともなかった。承継前被告Fは、不動産価格の決定プロセスや、美術品選定のプロセス、寄付後の資金の流れも認識していなかった。 被告Gは、原告のCFOとして、亡Iから、原告の財務状況に照らして寄 付が実行可能であるかの相談を受け、財務的な観点から寄付の是非について検討し回答したことはあったが、寄付の具体的な内容等については関与していなかった。被告Gは、ビュフェ美術館又は特定管理先の側の立場で関与したこともなかった。 なお、本件寄付において、CSR目的の他に、特定管理先に対する融資残 高削減目的が副次的に存在していたとしても、特定管理先への融資残高削減 が原告の喫緊の課題であり、金融庁等の なお、本件寄付において、CSR目的の他に、特定管理先に対する融資残 高削減目的が副次的に存在していたとしても、特定管理先への融資残高削減 が原告の喫緊の課題であり、金融庁等の各関係機関への報告でも本件寄付を原資として特定管理先への融資が弁済されている点等の適法性について疑義を呈されることがなかったことからすると、本件寄付に融資残高削減目的が併存することは、承継前被告F及び被告Gの善管注意義務違反を基礎づけるものではない。 3 争点⑶(原告の損害額)について⑴ 原告及び参加原告らの主張前記1⑴と同様。なお、本件寄付により拠出された金銭を原資としてMKC及びSGIR等から原告に対して38億4355万円の支払がされているが、これにより、原告のファミリー企業に対する貸付債権のうち同額が消滅し、原 告の財産が減少しているから、その損害を否定することはできない。 ⑵ 被告らの主張ア本件寄付は、CSR目的でビュフェ美術館に対して行われ、現に、ビュフェ美術館において当該目的で利用されているから、原告及び参加原告の損害の主張は前提を欠く。 イこの点を措いても、原告及び参加原告らの主張によれば、本件寄付による資金はその大部分が原告の特定管理先に対する融資の返済に充てられており、原告に金銭的な損害は生じていない。債権の消滅は、弁済による法律効果であり、損失には当たらない。 以上 (別紙1及び別紙5から別紙14まで省略)
▼ クリックして全文を表示