平成15(行ウ)235 観察処分期間更新決定取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年10月29日 東京地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-92785.txt

判決文本文163,193 文字)

主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告が平成15年1月23日付けで原告に対してした次の処分を取り消す。 1 原告に対する平成12年1月28日付け被告決定に係る,原告を,3年間,公安調査庁長官の観察に付する処分の期間を更新する。 2 原告は,無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成11年法律第147号)5条5項において準用する同条3項6号に規定する「公安審査委員会が特に必要と認める事項」として,次の事項を公安調査庁長官に報告しなければならない。 (1) 原告の構成員に関する出家信徒及び在家信徒の別並びに出家信徒の位階(2) 原告作成のインターネット上のホームページに係る接続業者名,契約名義人の氏名及び掲載の管理・運営責任者の氏名第2 事案の概要本件は,無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律5条1項の規定に基づいて公安調査庁長官の観察処分に付する処分を受けていた原告が,被告から同条4項の規定に基づいて上記観察処分の期間を更新する旨の決定を受けたため,被告に対し,同法及び上記観察処分の期間の更新決定は違憲であり,また,同更新決定は上記法律の定める要件を満たしていないから違法であると主張して,同更新決定の取消しを求めている事案である。 1 法令の定め無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成11年法律第147号。以下「本法」という。)は,次のとおり定めている。 (1) 目的(1条)本法は,団体の活動として役職員(代表者,主幹者その他いかなる名称であるかを問わず当該団体の事務に従事する者をいう。以下同法において同じ。)又は構成員が,例えばサリンを使用するなどして,無差別大 本法は,団体の活動として役職員(代表者,主幹者その他いかなる名称であるかを問わず当該団体の事務に従事する者をいう。以下同法において同じ。)又は構成員が,例えばサリンを使用するなどして,無差別大量殺人行為を行った団体につき,その活動状況を明らかにし又は当該行為の再発を防止するために必要な規制措置を定め,もって国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保に寄与することを目的とするものとされている。 (2) 定義(4条1項)本法において「無差別大量殺人行為」とは,破壊活動防止法(昭和27年法律第240号。以下「破防法」という。)4条1項2号ヘに掲げる暴力主義的破壊活動であって,不特定かつ多数の者を殺害し,又はその実行に着手してこれを遂げないもの(この法律の施行の日から起算して10年以前にその行為が終わったものを除く。)をいうものとされている。 なお,破防法4条1項2号ヘは,同法にいう「暴力主義的破壊活動」の一つとして,政治上の主義若しくは施策を推進し,支持し,又はこれに反対する目的をもって,刑法199条(殺人)に規定する行為をなすことが,これに当たる旨定めている。 (3) 観察処分(5条)ア公安審査委員会は,その団体の役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体が,次に掲げる事項のいずれかに該当し,その活動状況を継続して明らかにする必要があると認められる場合には,当該団体に対し,3年を超えない期間を定めて,公安調査庁長官の観察に付する処分(以下「観察処分」という。)を行うことができるものとされている(1項)。 a 当該無差別大量殺人行為の首謀者が当該団体の活動に影響力を有していること(1号)。 b 当該無差別大量殺人行為に関与した者の全部又は一部が当該団体の役職員又は構成員であること(2号)。 c 当該無差別大量殺 別大量殺人行為の首謀者が当該団体の活動に影響力を有していること(1号)。 b 当該無差別大量殺人行為に関与した者の全部又は一部が当該団体の役職員又は構成員であること(2号)。 c 当該無差別大量殺人行為が行われた時に当該団体の役員(団体の意思決定に関与し得る者であって,当該団体の事務に従事するものをいう。以下,同法において同じ。)であった者の全部又は一部が当該団体の役員であること(3号)。 d 当該団体が殺人を明示的に又は暗示的に勧める綱領を保持していること(4号)。 e 上記aないしdに掲げるもののほか,当該団体に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事実があること(5号)。 イ観察処分を受けた団体は,政令で定めるところにより,当該処分が効力を生じた日から起算して30日以内に,次に掲げる事項を公安調査庁長官に報告しなければならないものとされている(2項)。 a 当該処分が効力を生じた日における当該団体の役職員の氏名,住所及び役職名並びに構成員の氏名及び住所(1号)b 当該処分が効力を生じた日における当該団体の活動の用に供されている土地の所在,地積及び用途(2号)c 当該処分が効力を生じた日における当該団体の活動の用に供されている建物の所在,規模及び用途(3号)d 当該処分が効力を生じた日における当該団体の資産及び負債のうち政令で定めるもの(4号)e その他観察処分に際し公安審査委員会が特に必要と認める事項(5号)上記dの規定を受けて,無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律施行令(平成11年政令第403号。以下「本法施行令」という。)2条1号は,ここでいう資産について,当該団体が所有権等を有する土地建物の所在等,現金の現在高,貸付金の貸付先や貸付残高等,預貯金の種類や金融機関名等の10項目を定めており,また 施行令」という。)2条1号は,ここでいう資産について,当該団体が所有権等を有する土地建物の所在等,現金の現在高,貸付金の貸付先や貸付残高等,預貯金の種類や金融機関名等の10項目を定めており,また,同条2号は,負債について,借入金の借入先や借入残高等を定めている。 ウ観察処分を受けた団体は,政令で定めるところにより,当該処分が効力を生じた日からその効力を失う日の前日までの期間を3月ごとに区分した各期間(最後に3月未満の区分した期間が生じた場合には,その期間とする。以下同項において同じ。)ごとに,当該各期間の経過後15日以内に,次に掲げる事項を,公安調査庁長官に報告しなければならないものとされている(3項)。 a 当該各期間の末日における上記イaないしdに掲げる事項(1号ないし4号)b 当該各期間中における当該団体の活動に関する事項のうち政令で定めるもの(5号)c その他観察処分に際し公安審査委員会が特に必要と認める事項(6号)上記bの規定を受けて,本法施行令3条は,ここでいう活動に関する事項として,支部,分会その他の下部組織を含む当該団体がした当該団体の活動に関する意思決定の内容と,当該団体の機関誌紙の名称及び発行部数並びに編集人及び発行人の氏名を定めている。 エ公安審査委員会は,観察処分を受けた団体が上記アaないしeに掲げる事項のいずれかに該当する場合であって,引き続き当該団体の活動状況を継続して明らかにする必要があると認められるときは,その期間を更新することができる(以下「更新決定」という。)ものとされている(4項)。 (4) 観察処分の実施等(7条,32条,39条)ア公安調査庁長官は,観察処分又は更新決定を受けている団体の活動状況を明らかにするため,公安調査官に必要な調査をさせることができるものとされている(7条1項)。 イ 実施等(7条,32条,39条)ア公安調査庁長官は,観察処分又は更新決定を受けている団体の活動状況を明らかにするため,公安調査官に必要な調査をさせることができるものとされている(7条1項)。 イ公安調査庁長官は,観察処分又は更新決定を受けている団体の活動状況を明らかにするために特に必要があると認められるときは,公安調査官に,観察処分又は更新決定を受けている団体が所有し又は管理する土地又は建物に立ち入らせ,設備,帳簿書類その他必要な物件を検査させることができるものとされている(同条2項)。 そして,この立入り又は検査を拒み,妨げ,又は忌避した者は,1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる(39条)。 ウ公安調査庁長官は,関係都道府県又は関係市町村(特別区を含む。)の長から請求があったときは,当該請求を行った者に対して,個人の秘密又は公共の安全を害するおそれがあると認める事項を除き,観察処分に基づく調査の結果を提供することができるものとされている(32条)。 (5) 再発防止処分等(8条,9条,14条,39条)ア公安審査委員会は,その団体の役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体が,上記(3)アaないしeのいずれかに該当する場合であって,次のaないしhのいずれかに該当するときは,当該団体に対し,6月を超えない期間を定めて,次項イaないしeに掲げる処分の全部又は一部を行うことができるものとされ(以下「再発防止処分」という。),また,観察処分又は更新決定を受けている団体について,上記(3)イ又はウの報告がされず,若しくは虚偽の報告がされた場合,又は上記(4)イの立入検査が拒まれ,妨げられ,若しくは忌避された場合であって,当該団体の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認めら ず,若しくは虚偽の報告がされた場合,又は上記(4)イの立入検査が拒まれ,妨げられ,若しくは忌避された場合であって,当該団体の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められるときも,同様とされている(8条1項)。 a 当該団体の役職員又は構成員が,団体の活動として,人を殺害し若しくは殺害しようとしているとき,人の身体を傷害し若しくは傷害しようとしているとき又は人に暴行を加え若しくは加えようとしているとき(1号)。 b 当該団体の役職員又は構成員が,団体の活動として,人を略取し若しくは略取しようとしているとき又は人を誘拐し若しくは誘拐しようとしているとき(2号)。 c 当該団体の役職員又は構成員が,団体の活動として,人を監禁し又は監禁しようとしているとき(3号)。 d 当該団体の役職員又は構成員が,団体の活動として,爆発物,毒性物質若しくはこれらの原材料若しくは銃砲若しくはその部品を保有し若しくは保有しようとしているとき又はこれらの製造に用いられる設備を保有し若しくは保有しようとしているとき(4号)。 e 当該団体の役職員又は構成員が,団体の活動として,当該団体に加入することを強要し若しくは強要しようとしているとき又は当該団体からの脱退を妨害し若しくは妨害しようとしているとき(5号)。 f 当該団体の役職員又は構成員が,団体の活動として,殺人を明示的に又は暗示的に勧める綱領に従って役職員又は構成員に対する指導を行い又は行おうとしているとき(6号)。 g 当該団体の役職員又は構成員が,団体の活動として,構成員の総数又は土地,建物,設備その他資産を急激に増加させ又は増加させようとしているとき(7号)。 h 上記aないしgに掲げるもののほか,当該団体の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の増大を防止する必要があるとき(8号)。 イ ,設備その他資産を急激に増加させ又は増加させようとしているとき(7号)。 h 上記aないしgに掲げるもののほか,当該団体の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の増大を防止する必要があるとき(8号)。 イ再発防止処分の内容は,次に掲げるものとされている(同条2項)。 a いかなる名義をもってするかを問わず,土地又は建物を新たに取得し又は借り受けることを,地域を特定して,又は特定しないで禁止すること(1号)。 b 当該団体が所有し又は管理する特定の土地又は建物(専ら居住の用に供しているものを除く。)の全部又は一部の使用を禁止すること(2号)。 c 当該無差別大量殺人行為に関与した者又は当該無差別大量殺人行為が行われた時に当該団体の役員であった者(以下「当該無差別大量殺人行為の関与者等」という。)に,当該団体の活動の用に供されている土地又は建物において,当該団体の活動の全部又は一部に参加させ又は従事させることを禁止すること(3号)。 d 当該団体に加入することを強要し,若しくは勧誘し,又は当該団体からの脱退を妨害することを禁止すること(4号)。 e 金品その他の財産上の利益の贈与を受けることを禁止し,又は制限すること(5号)。 ウ再発防止処分を受けている団体の役職員又は構成員は,団体の活動として,当該処分に違反する行為をしてはならないものとされている(9条1項)ほか,当該処分が効力を生じた後は,その処分の内容に応じて,一定の行為をすることが禁止されている(同条2項)。 また,当該団体が上記イcの再発防止処分を受けている場合にあっては,当該無差別大量殺人行為の関与者等は,当該処分が効力を生じた後は,当該処分により参加させ又は従事させることを禁止された当該団体の活動に参加し又は従事してはならないものとされている(同条3項)。 そして,これらの規定に違反し 与者等は,当該処分が効力を生じた後は,当該処分により参加させ又は従事させることを禁止された当該団体の活動に参加し又は従事してはならないものとされている(同条3項)。 そして,これらの規定に違反した者は,2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる(38条)。 エ公安調査庁長官のする再発防止処分の請求に関して警察庁長官が意見を述べるために必要があると認められるときは,観察処分又は更新決定を受けている団体について,相当と認める都道府県警察に必要な調査を行うことを指示することができるものとされているが(14条1項),この指示を受けた都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長は,調査を行うために特に必要があると認められるときは,あらかじめ警察庁長官の承認を得て,当該都道府県警察の職員に,上記団体が所有し又は管理する土地又は建物に立ち入らせ,設備,帳簿書類その他必要な物件を検査させることができるものとされており(同条2項),この立入り又は検査を拒み,妨げ,又は忌避した者は,1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる(39条)。 2 前提となる事実(これらの事実は,いずれも当事者間に争いがない。)(1) 原告は,●●●●こと●●●●●(以下「X」という。)を教祖・創始者として,昭和59年2月ころ「Y’」の名称で活動を開始し,昭和62年7月ころ名称を「Y」と変更し,Xの説くYの教義を広め,これを実現することを目的として活動を続け,平成元年8月29日,宗教法人「Y」の設立登記(代表役員は「X」)をした(以下,宗教法人「Y」を単に「Y」ということもある。)。 (2) Yの構成員は,同団体の活動として,毒性物質であるサリンを使用して,平成6年6月27日,長野県松本市内でいわゆる松本サリン事件(以下「松本サリン事件」という。)を,次いで,平 ともある。)。 (2) Yの構成員は,同団体の活動として,毒性物質であるサリンを使用して,平成6年6月27日,長野県松本市内でいわゆる松本サリン事件(以下「松本サリン事件」という。)を,次いで,平成7年3月20日,都内でいわゆる地下鉄サリン事件(以下「地下鉄サリン事件」といい,松本サリン事件と併せて「両サリン事件」という。)を敢行し,不特定多数の者を死傷させた。 (3) 宗教法人「Y」については,平成7年12月19日,宗教法人法に基づく解散命令が確定し,次いで,その清算手続中の平成8年3月28日,破産宣告がされた。 (4) 両サリン事件を契機として,本法が制定された。 そして,被告は,公安調査庁長官の請求に基づき,平成12年1月28日,原告を3年間公安調査庁長官の観察処分に付する旨の決定をし(以下「本件観察処分決定」といい,同決定による観察処分を「本件観察処分」という。),同年2月1日,これを官報に公示した。 原告(当時の名称は,後記(5)のとおり,「宗教団体・Z」)は,東京地方裁判所に対し,本件観察処分決定の取消訴訟を提起したが,平成13年6月13日,原告の請求を棄却する旨の判決がされ(以下「前回東京地裁判決」という。),同判決は確定した。 (5) 原告は,本件観察処分決定直後の平成12年2月4日,その名称を「宗教団体・Z」と変更し,Bがその代表者に就任した旨発表し,次いで,平成14年1月29日,Aが同月21日をもって同団体の代表者に就任した旨発表した。 (6) 公安調査庁長官は,警察庁長官の意見を聴いたうえ,平成14年12月2日,被告に対し,本件観察処分の期間の更新を請求した(以下「本件更新請求」という。)。 これを受けて,被告は,平成15年1月23日,本件観察処分の期間を3年間更新する旨の決定をし(以下「本件更新決定」という。) ,本件観察処分の期間の更新を請求した(以下「本件更新請求」という。)。 これを受けて,被告は,平成15年1月23日,本件観察処分の期間を3年間更新する旨の決定をし(以下「本件更新決定」という。),同月29日,これを官報に公示した。 (7) 原告は,平成15年2月6日,その名称を「宗教団体Z’」に変更した。 3 本法及び本件更新決定の合憲性等に関する当事者の主張(原告の主張)(1) 本法の特徴等本法の最大の特徴は,団体に対する権利侵害の重大性である。すなわち,本法は,「この法律は,国民の基本的人権に重大な関係を有するものであるから,公共の安全の確保のために必要な最小限度においてのみ適用すべきであって,いやしくもこれを拡張して解釈するようなことがあってはならない」(2条)とか,「この法律による規制及び規制のための調査は,・・・必要な最小限度においてのみ行うべきであって,いやしくも権限を逸脱して,・・・日本国憲法の保障する国民の自由と権利を,不当に制限するようなことがあってはならない。」(3条1項)と規定するように,基本的人権を著しく制約する性格の法律である。 これを具体的にみると,観察処分の内容は,前記「法令の定め」(3)イ,ウ,(4)のとおりであって,規制の程度は広範かつ重大であり,再発防止処分ないし同処分の請求の際には,前記「法令の定め」(5)イないしエのとおり,更に厳しい規制がかけられている。 これらの規制の根拠とされている立法事実は,両サリン事件により地域住民の不安感が高まったため,これを解消するというものであるが,かかる主観的な心情が立法目的になり得るのかという大きな疑問があるし,仮に,住民の不安感が正当な目的として肯定されたとしても,それを解消するために設けられた規制の内容は余りにも重大であり,明らかに行き過ぎといえる 情が立法目的になり得るのかという大きな疑問があるし,仮に,住民の不安感が正当な目的として肯定されたとしても,それを解消するために設けられた規制の内容は余りにも重大であり,明らかに行き過ぎといえる。 そこで,本法及び本件更新決定の合憲性については,このような規制の内容を勘案して,これが憲法の各規定で許容されるものか否かが判断されなければならない。 (2) 信教の自由等に対する侵害(憲法20条,21条,市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「B規約」という。)18条違反)ア厳格な違憲審査基準の必要性憲法20条1項前段は信教の自由を保障し,B規約18条は宗教の自由を保障している。 一般に,信教の自由の内容として,①内心における信仰の自由,②宗教的行為の自由,③宗教上の結社の自由があり,①は思想・良心の自由の宗教の分野における一態様であるから,内心の自由として絶対的に保障されるものであるのに対し,②及び③はそれぞれ外部的行為を伴うものであるから,広義の表現の自由の一形態として国家権力による規制の対象となり得る(その場合の制約を根拠付ける例外的事由は,B規約18条3に明記された各事由に限定される。)。 しかし,理論的には,信教の自由につき,内心の自由の絶対性と外部的行為における制約の可能性とを区別し得るとしても,外部的行為は内心の自由と密接不可分の関係にあるから,表見的には,信教の自由の外部的行為に対する規制のように見えながら,実際には,当該規制が国家の介入を許さない内心の信仰の自由をも侵害する危険性が常に存在する。 そうであるとすれば,ある規制法規が信教の自由を侵害しないか否かの判断に当たっては,単なる立法目的との関連性の有無を判断するにとどまらず,当該規制の方法が比例原則に従い必要最小限度の範囲内にとどまっているかを慎重に吟 ,ある規制法規が信教の自由を侵害しないか否かの判断に当たっては,単なる立法目的との関連性の有無を判断するにとどまらず,当該規制の方法が比例原則に従い必要最小限度の範囲内にとどまっているかを慎重に吟味する必要があるから,厳格な違憲審査基準を適用すべきである。 イ目的審査の基準本法が合憲とされるためには,その規制内容が,B規約18条3が限定列挙しているように,①他人の生命・健康への侵害の防止,②他人の人間としての尊厳を傷つける行為等の防止,③他人の人権と衝突する場合の相互調整という目的の範囲内であることが必要である。 ところで,本法1条によれば,観察処分の目的は,「国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保」にあるとされているから,この目的によって規制を正当化するためには,観察処分がなされなければ,他人の生命・健康への侵害及び他人の人間としての尊厳を傷つける行為等が原告によって行なわれ,他人の人権を侵害する結果を招来することが事実として検証されていなければならない。すなわち,規制法規の合憲性を導くためには,制限の対象となっている行為と害悪発生との間の関連性が抽象的に想定されればよいというのではなく,関連性の程度について危険の「明白性」と「現在性」とが具体的裏付けをもって示されること,すなわち,いわゆる「明白かつ現在の危険」の基準を充足することが必要である。 ところが,本法制定の審議においては,観察処分によってどのような具体的な効果がもたらされ,どのようにして「国民の生活の平穏を含む公共の安全」が確保されるのかについては全く検証されていない。したがって,目的審査の基準の適用において,既に,本法は信教の自由を制約するに必要な「明白かつ現在の危険」の基準を充足していないことが明らかであるから,憲法20条に違反する法律であるといわざるを得ない がって,目的審査の基準の適用において,既に,本法は信教の自由を制約するに必要な「明白かつ現在の危険」の基準を充足していないことが明らかであるから,憲法20条に違反する法律であるといわざるを得ない。 ウ手段審査の基準制限の程度及び手段の違憲性審査の基準は,比例原則に従った「必要最小限度の基準」である。人権の制限が必要最小限度にとどめられるべきことは,基本的人権保障の当然の帰結であるが,信教の自由は最も重要な精神的自由の一つであり,絶対的保障を受ける内心の自由の中核に位置するものであるから,特に厳格な適用が要請される。 しかるに,観察処分の結果,立入検査が実施されれば,原告に所属する個々の信者が国家機関の監視下に置かれることになり,従前と同様の宗教的環境の下での信仰生活を送ることができなくなるのは明白である。したがって,ここでも,いかなる手段を用いることによって制限を最小化できるか,また,同じ目的を達成するのに他にどのような代替手段があるのか(より制限的でない代替手段,lessrestrictivealternativeの原則)の検証がされなければならなかったのに,法案審議の過程において,このような手段審査の基準の検討がなされた形跡はない。 本法は,過去に無差別大量殺人行為があったことを理由に原告に属する構成員全員を観察処分の対象とするものであるから,過去の事件と何らの関わりを持たない信者をも規制する結果となる。これまでに確定した複数の刑事事件の判決において,過去の無差別大量殺人行為に宗教法人Yの一部の幹部が関与していた事実が明らかになったとはいえ,未だ組織体としての犯罪行為であったのか否かは審理の途上にあるのであるから,事件と直接の関わりのない一般信者をして組織体の犯罪について連座責任を負わせるのは明らかに行き過ぎである。こ なったとはいえ,未だ組織体としての犯罪行為であったのか否かは審理の途上にあるのであるから,事件と直接の関わりのない一般信者をして組織体の犯罪について連座責任を負わせるのは明らかに行き過ぎである。このように,本法は,事件と直接の関わりのない一般信者に着目すれば自ずから明らかなように,「必要最小限度の基準」を超えて過度の制限を信教の自由に加えるものであるから,手段審査の基準の適用においても,憲法20条に違反する法律というほかはない。 エ B規約18条違反B規約20条2,27条は,宗教的少数者の権利を尊重することを締約国に求め,宗教的少数者の権利侵害に対し,国家が宗教集団に向けられる暴力行為又は迫害行為に対する保護措置を講ずることを要請している。 しかし,本法は,右翼や暴力団による原告に対する暴力行為や地方自治体が原告所属の信者の住民登録を拒否するといった明白な人権侵害行為に対しては何ら是正措置を講じていないばかりか,かえって,国家自らが宗教的少数者の権利を「国民の生活の平穏」といった極めて抽象的な法益保護を理由として抑圧しているのである。 B規約18条2は,「何人も,自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない。」と規定するが,本法は,観察処分によって,個々の信者に対し,事実上,Yの信仰にとどまることを断念させ,改宗することを強要する効果をもたらすものであるから,同条項にも違反する。 オ憲法21条違反本法が規制する信教の自由は,宗教的結社の自由であるが,憲法が保障する結社の自由には,個人が団体を結成し,それに加入することが妨げられないという「個人の自由」の保障と,それを通して組織された団体自体が自由に活動し,存続することを認められるという「団体の自由」の保障との2つの内容が含まれる。 まず し,それに加入することが妨げられないという「個人の自由」の保障と,それを通して組織された団体自体が自由に活動し,存続することを認められるという「団体の自由」の保障との2つの内容が含まれる。 まず,「団体の自由」に対する規制についてみると,観察処分は,団体の存在そのものを否定するものではないが,観察処分に付された団体に対して課される報告義務の規模・範囲からみて,団体の活動をほぼ全面的に公安調査庁長官の監視下に置くものであって,規制を受ける団体の「団体の自由」に重大な制約を課すものであり,結社の自由に対する極めて重大な制限である。そして,結社の自由に対するこのような制限が憲法上許容されるためには,単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず,明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であるところ,本法がこれを充足していないことは,上記イのとおりである。 また,「個人の自由」に対する規制の観点からみると,観察処分により,結果的に,無差別大量殺人行為という違法行為に関与した構成員の範囲を超えて,当該違法活動にいかなる形でも関与しなかった構成員の「個人の自由」をも広範に制限してしまう。すなわち,観察処分に付されると,当該団体は,前記「法令の定め」(3)イa,ウaのとおり,「当該団体の役職員の氏名,住所及び役職名並びに構成員の氏名及び住所」の報告を義務付けられるが,これは「個人の自由」に対する配慮を全く欠いている。 以上のとおりであるから,本法は,憲法21条に違反するものといわざるを得ない。 (3) 適正手続の保障の侵害(憲法31条,B規約14条1違反)ア適正手続条項の行政手続への適用憲法31条の行政手続への適用について,同条を刑事手続に関する総則規定とみる考え方からは,刑事手続と行政手続の性格の違いを理由に, 法31条,B規約14条1違反)ア適正手続条項の行政手続への適用憲法31条の行政手続への適用について,同条を刑事手続に関する総則規定とみる考え方からは,刑事手続と行政手続の性格の違いを理由に,同条を行政手続に当然に適用することに反対する見解もあるが,これらの見解も憲法13条を根拠に「適正な手続的処遇を受ける権利」を認め,その効果として,行政処分による憲法上の権利の制限に対しては刑事手続と同様の厳格な手続的規制に服することを主張しているので,根拠条文の差こそあれ,結論において,行政手続においても,不利益処分により実質的に権利が侵害される場合には,刑事手続と同様の手続的保障が必要とされることになる。最高裁平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁も,一般論として,「憲法31条の定める法定手続の保障は,直接には刑事手続に関するものであるが,行政手続については,それが刑事手続ではないとの理由のみで,そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。」と述べて,性質に応じて行政処分についても憲法31条の保障が及ぶことを認めている。したがって,問題とされる行政手続の性格が刑事手続とどの程度の共通性を有するかに応じて,適正手続条項の適用が判断されることになる。 イ事前の告知,聴聞手続の保障行政手続における事前の告知,聴聞手続の保障につき,前掲最高裁平成4年7月1日大法廷判決は,「行政処分の相手方に事前の告知,弁解,防御の機会を与えるかどうかは,行政処分により制限を受ける権利利益の内容,性質,制限の程度,行政処分により達成しようとする公益の内容,程度,緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって,常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではない」と判示したが,この趣旨は,行政処分に告知・聴聞の機会 達成しようとする公益の内容,程度,緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって,常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではない」と判示したが,この趣旨は,行政処分に告知・聴聞の機会を与えなくてもよいというのではなく,あくまでも不利益処分について,法律上,告知・聴聞の機会を与えるなど適正な事前手続を置くことが原則であり,極めて特殊例外的な場合に限ってのみ事前手続を欠く場合も容認され得るというものである。 そして,前掲最高裁平成4年7月1日大法廷判決は,新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和59年法律第87号による改正前のもの)3条1項の規定に基づく工作物使用禁止命令を発するに当たり,その相手方に対し事前に告知,弁解,防御の機会を与える旨の規定がなくても,同条項が憲法31条の法意に反するものということはできないと判示したが,同判決は,暴力主義的破壊活動を防止し,新東京国際空港の設置及び管理の安全確保のために「高度かつ緊急の必要性」があったとされる事案に関するものであった。これに対し,本法の観察処分においては,「高度かつ緊急の必要性」といった特別の事情は存在しないのであるから,憲法上の基本的人権,しかも優越的地位にある結社の自由に重大な制約をもたらす観察処分に付するか否かを決する行政手続につき,刑事手続と同様の事前の告知,聴聞の機会の保障が必要とされることに疑いはない。 ウ本法の告知,聴聞手続の不十分性a この観点から本法の告知,聴聞手続をみると,同法15条は,処分請求者である公安調査庁長官に,処分請求書の提出とそれに記載された「請求の原因となる事実を証すべき証拠書類又は証拠物」を添付すべきことを命じ,他方で,同法16条以下において,被請求団体に意見陳述の機会を与え,意見書と証拠書類等の提出ができるものとしてい 載された「請求の原因となる事実を証すべき証拠書類又は証拠物」を添付すべきことを命じ,他方で,同法16条以下において,被請求団体に意見陳述の機会を与え,意見書と証拠書類等の提出ができるものとしている。 b(a) しかし,これらの手続は,公安審査委員会が同法4条や5条1項の要件を判断するために必要な事実認定の基礎資料を関係当事者から収集することを目的にしているが,証拠調手続,なかんずく証人による心証形成は全く予定されていない。 (b) また,同法20条2項によれば,被請求団体は,意見聴取の期日に,公安調査庁の職員に対して質問をすることができるが,質問の結果明らかになる具体的な事実評価の違いなどについて,更に処分請求者との間で議論を深め,証拠価値ないし信用性を吟味するという手続は全く予定されておらず,事実認定手続の基本である対審的事実審査は認められていない。 行政手続であっても,不利益処分が課される場合には,少なくとも手続の対審化が図られ,処分請求者の提出した証拠書類等に対する被請求団体の弾劾と反駁の機会が与えられなければならないというのが,国際的な常識となっている。B規約14条1は公正な裁判を受ける権利を保障しているが,その射程は民事裁判・刑事裁判に限られず,準司法的な裁判所にも適用され,その結果,懲戒処分といった不利益処分を課する行政手続においても,可能な限り対審的手続による事実審査が求められているのである。 (c) さらに,同法22条2項は,努力目標にとどめているとはいえ,意見聴取の通知の公示のあった日から30日以内に,処分の請求に対する決定をするように公安審査委員会に要求しており,あらかじめ審査に要する期間を限定している点で,慎重な審査を最初から放棄していると評価せざるを得ない。 エ救済手続の不備本法では,公安審査委員会が行う処 するように公安審査委員会に要求しており,あらかじめ審査に要する期間を限定している点で,慎重な審査を最初から放棄していると評価せざるを得ない。 エ救済手続の不備本法では,公安審査委員会が行う処分について,行政手続法の適用が排除され(33条),かつ,行政不服審査法に基づく不服申立てもできないものとされているところ(34条),観察処分を行う決定の効力は,官報で公示した時に生ずるものとされており(25条),公安審査委員会の観察処分の決定に対する行政上の救済措置が全く用意されておらず,被請求団体の救済手続が不備である。 オ以上のとおりであるから,本法は,憲法31条及びB規約14条1に違反するものといわざるを得ない。 (4) 令状主義違反(憲法35条違反)ア憲法35条1項は令状主義を規定しているところ,本法によれば,前記「法令の定め」(4)のとおり,被請求団体が観察処分を受けると,公安調査庁長官は,公安調査官に「必要な調査」をさせることができ(7条1項),「特に必要があると認められるとき」には,公安調査官をして,被処分団体の「土地又は建物に立ち入らせ,設備,帳簿書類その他必要な物件を検査させることができる」(同条2項)とされており,この場合の判断は公安調査庁長官の判断だけでなし得ることになっている。つまり,立入検査につき,裁判官の発する令状が必要とされていないばかりか,準司法機関としての役割を担っている被告の判断さえ必要とされていないのである。 そして,法案の審議過程の議論をみれば,立入検査の過程で,設備,帳簿書類その他必要な物件について公安調査官が関係者に質問することは当然のこととされており,これに対する被処分団体の非協力は「立入検査が拒まれ,妨げられ,若しくは忌避された場合」(8条1項本文)に該当するとして,再発防止処分を基礎付ける新 官が関係者に質問することは当然のこととされており,これに対する被処分団体の非協力は「立入検査が拒まれ,妨げられ,若しくは忌避された場合」(8条1項本文)に該当するとして,再発防止処分を基礎付ける新たな理由とされ,また,刑事罰の対象ともされる(39条)のであるから,立入検査に伴う質問に対する関係者の回答や帳簿書類その他必要な物件の任意提出は,任意処分であると説明されても,実質的には令状によらない強制処分に他ならないのである。 したがって,本法7条2項の立入検査及びそれに付随する任意処分に名を借りた質問,閲覧・謄写,領置等は,いずれも令状主義を潜脱するものといわざるを得ない。 イ本法による観察処分は,結社の自由に重大な制約をもたらすものであり,その効果が実質的には刑事罰にも等しいものであることを考慮するならば,まさに令状主義が踏まえられなければならない場合に該当する。 ウ以上のとおり,本法7条2項の規定は,観察処分後の立入検査につき,裁判官による司法審査を要せず,また,準司法機関の役割を担っている被告の許可をも必要としていない点で,明らかに令状主義に違反をしているから,憲法35条に違反するものといわざるを得ない。 (5) 本法の合憲的解釈仮に本件の合憲性を肯定する余地があるとすれば,以下のとおり,観察処分を行うための要件として,具体的現実的危険性の存在を要するものと解すべきである。 ア 「具体的現実的危険性」の必要性a 観察処分により規制される団体の行為は広範かつ重大であり,個々の構成員にも,氏名,住所の報告,立入検査の受忍等,相当な程度の人権制約が課される。 このような観察処分を決定するに当たって,本法5条1項が明文で要求している要件は,前記「法令の定め」(3)アのとおり,①団体の役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量 人権制約が課される。 このような観察処分を決定するに当たって,本法5条1項が明文で要求している要件は,前記「法令の定め」(3)アのとおり,①団体の役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行ったこと,②同項1号ないし5号のいずれかに該当すること,③その活動状況を継続して明らかにする必要があると認められることの3つであり,団体が現に危険性を有していることについては,同項5号以外には明文上の要求はない。 ところで,このような観察処分を行う目的について,同法1条は,「国民の生活の平穏」を含む「公共の安全の確保」にあるとする。このことからすると,最低限,観察処分が課されるのは,国民の生活の平穏が害されるなど,公共の安全が確保できない事態が生じている場合でなければならないといえる。 そして,立法過程において,当時の法務大臣も,観察処分を行うには,団体に現在でも危険性があることが必要であることを繰り返し述べていた。 b また,本法8条1項は,観察処分よりもさらに人権制約の強い再発防止処分を行う要件として,前記「法令の定め」(5)アのとおり,観察処分の要件でもある同法5条1項各号の要件のいずれかに該当することを前提にしたうえ,同項8号において,「前各号に掲げるもののほか,当該団体の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の増大を防止する必要があるとき。」と規定し,さらに,同項柱書後段において,「同条第1項又は第4項の処分を受けている団体について,同条第2項若しくは第3項の規定による報告がされず,若しくは虚偽の報告がされた場合,又は前条第2項の規定による立入検査が拒まれ,妨げられ,若しくは忌避された場合であって,当該団体の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められるとき」と規定している。前者は「危険性の増大を防止 る立入検査が拒まれ,妨げられ,若しくは忌避された場合であって,当該団体の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められるとき」と規定している。前者は「危険性の増大を防止」と規定し,「危険性の発生を防止」とはしていないし,後者は「危険性の程度を把握することが困難」と規定し,「危険性を把握することが困難」とはしていない。このことからすると,再発防止処分の前提要件としての同法5条1項各号該当事実には,団体の「危険性」が存在することが当然の前提として想定されていることがわかる。 c 以上のような本法の立法目的,立法提案者の意思,規定自体の趣旨,文言から考えると,観察処分の要件には,「危険性」が存在することが要求されていると解さざるを得ず,同法5条1項各号の解釈,適用をする際には,「被請求団体に危険性がある場合」という限定をして解釈,適用しなければならない。 そして,ここでいう「危険性」とは,「無差別大量殺人行為に及ぶ危険性」を意味するものであり,単に複数人による殺人又はその未遂行為に及ぶ危険性では足らず,「政治目的」を持った複数人による殺人等に及ぶ危険性が要求されていることになる(同法4条1項参照)。 また,観察処分は広範かつ相当な程度の人権制約を伴う処分であるから,法益の均衡を保つため,その危険性については,単なる抽象的な危険では足らず,具体的現実的な危険がなければならないと解すべきである。そして,具体的現実的な危険が存在するか否かは,当該団体が再び無差別大量殺人行為の準備行為を開始するおそれが常に存在すると通常人をして思料せしめるに足りる状態が存在するか否かについて,当該団体の組織,構成員,綱領,教義,活動状況などの具体的事情を基礎として客観的に判断すべきものと解される。 イ被告の主張に対する反論これに対 思料せしめるに足りる状態が存在するか否かについて,当該団体の組織,構成員,綱領,教義,活動状況などの具体的事情を基礎として客観的に判断すべきものと解される。 イ被告の主張に対する反論これに対し,被告は,本法5条1項各号に掲げる事実のいずれかに形式的に該当する場合には,直ちに観察処分の要件を充たし,これに加えて無差別大量殺人行為に及ぶ具体的現実的危険を要するものではない旨主張する。 しかし,このような解釈によれば,例えば,現在の役員の中に無差別大量殺人行為が行われた当時の役員が一人だけ含まれており,その役員が事件に全く関与しなかったという場合であっても,形式的に同条1項3号に該当してしまうことになるが,かかる場合に,これだけで現在の団体に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があるとすることは明らかに常識に反するものであって,このような場合まで,本法の規制対象になるとすれば,過度に広範な規制となり,本法は正に憲法違反となる。 そして,本法5条1項5号は,観察処分の要件の一つとして,「当該団体に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事実があること。」を掲げており,この条文の規定ぶりからすると,当該団体が無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があることを観察処分の要件にしていると解釈するほかなく,5号はその前の1号から4号までを受けた規定であることからすると,1号から4号までの規定についても,同様の具体的危険を要求する趣旨の規定と解するのが相当である。 このように,仮に本法の合憲性を肯定する余地があるとすれば,そのためには,同条1項各号につき,各列挙事由のほかに,当該団体に無差別大量殺人行為に及ぶ具体的現実的危険性が存することが要件となっていると解さなければならないというべきであり,これらの要件の存否を検討せずに,形式的に同条1項各号の 各列挙事由のほかに,当該団体に無差別大量殺人行為に及ぶ具体的現実的危険性が存することが要件となっていると解さなければならないというべきであり,これらの要件の存否を検討せずに,形式的に同条1項各号の要件に該当するだけで観察処分を行うことができるとする被告の解釈は誤りである。 (6) 以上のとおり,本件更新決定は,憲法に違反する本法に基づいてされたものであり,仮に本法の合憲性を肯定し得るとしても,そのための要件を欠いてされたものであるから,違憲である。 (被告の主張)(1) 本法の制定の趣旨等ア本法の制定の契機及び趣旨a 平成6年6月及び平成7年3月に,Yの構成員は,毒性物質であるサリンを使用した,松本サリン事件及び地下鉄サリン事件を相次いで敢行し,不特定多数の者の生命・身体に対し極めて甚大な被害をもたらした。 両サリン事件は,いずれも,Xが独裁者として統治する祭政一致の専制国家を樹立するという政治目的のために敢行された無差別大量殺人行為による事件である。 b このような無差別大量殺人行為は,①不特定かつ多数人の生命・身体に対して取り返しのつかない極めて甚大な被害をもたらすものであり,平穏な市民生活にとって重大な脅威となるうえ,②犯行場所・対象者・殺害方法が多種多様であって,これを団体が行う場合には,秘密裏に計画,準備されて実行に移されるため,犯行の事前把握が極めて困難であることなどから,犯行の実現可能性が高く,さらに,③団体が持つ一定の目的達成のために行われる場合には,反復して行われる可能性が高いという特性を有する。 c 以上のような無差別大量殺人行為の特性を踏まえて考察すれば,過去にその役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体が,現在も無差別大量殺人行為に関する危険な要素を保持している場合には,一定限度 大量殺人行為の特性を踏まえて考察すれば,過去にその役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体が,現在も無差別大量殺人行為に関する危険な要素を保持している場合には,一定限度で当該団体の活動状況を継続的に明らかにするための措置を講ずることが社会的に必要である。また,このような団体の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の増大を防止する必要が認められる場合や,一定の条件の下で当該団体の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められる場合には,一時的に当該団体の活動の一部を停止させる措置を講ずることができるようにする必要がある。 しかも,これらの措置は,迅速に実施され,かつ,その効果も実効的なものでなければならない。 本法は,このような考えに基づき,過去に無差別大量殺人行為を行った団体が,現在も無差別大量殺人行為に関する危険な要素を保持していると認められる場合に,当該団体に対し,迅速かつ適切な措置を講じ,もって公共の安全の確保に寄与するために制定されたものであって,同法1条の規定は,このような同法制定の趣旨を明らかにしたものである。 イ本法の定める規制措置の概要a 上記のとおり,無差別大量殺人行為は,不特定かつ多数の人の生命・身体に極めて甚大な被害をもたらすものである一方,事前にその発生を防止することが困難で,反復して行われる危険性が高いという特性を有している。 そのため,過去に無差別大量殺人行為を行った団体が,現在も団体の属性として危険な要素を保持している場合には,当該団体の活動状況を継続して明らかにし,これにより国民の生活の平穏を含む公共の安全を確保する公益上の必要性は極めて高い。 さらに,このような団体について無差別大量殺人行為に関する危険な要素の増大を防止する必要があるとき,又は,上記 ,これにより国民の生活の平穏を含む公共の安全を確保する公益上の必要性は極めて高い。 さらに,このような団体について無差別大量殺人行為に関する危険な要素の増大を防止する必要があるとき,又は,上記のように活動状況を継続して明らかにする必要があるとして一定の処分に付された団体が必要な報告をしなかったり,立入検査を妨害したりして,危険な要素の把握が困難であるときには,無差別大量殺人行為の再発を防止するため,当該団体の一定の活動を一時停止するなどの処分をする公益上の必要性もまた極めて高いというべきである。 b このため,本法は,過去に役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行い,現在も無差別大量殺人行為に関する危険な要素を保持している団体について,その活動状況を明らかにするための処分として観察処分(5条)を,無差別大量殺人行為の再発を防止するための処分として再発防止処分(8条)を,それぞれ規定しているが,これらの内容は,前記「法令の定め」(3)ないし(5)のとおりである。 c これらの規制措置は,公安調査庁長官による処分の請求を受けて,準司法機関である被告において,請求の対象となった団体からの公開の意見聴取なども行い,証拠書類等に基づいて審査をするという慎重かつ公正な手続により決定される(本法12条ないし25条)。 また,同法は,被告に,観察処分について対象団体の活動状況を継続して明らかにする必要がなくなったと認められるとき,あるいは再発防止処分について当該処分に基づく禁止又は制限をする必要がなくなったと認められるときは,それぞれ処分を取り消す義務を負わせている(6条,10条)。 (2) 本法は立法の必要性を欠く憲法違反の人権制約立法とはいえないことア同法は正当な立法事実に基づいて立法化されたものであることa 原告は,本 分を取り消す義務を負わせている(6条,10条)。 (2) 本法は立法の必要性を欠く憲法違反の人権制約立法とはいえないことア同法は正当な立法事実に基づいて立法化されたものであることa 原告は,本法の立法事実は,両サリン事件により地域住民の不安感が高まったため,これを解消するというものであるが,かかる主観的な心情が立法目的になり得るのかという大きな疑問がある旨主張する。 b しかしながら,現実に我が国において両サリン事件という無差別大量殺人行為が発生し,また,国際情勢をみても,多数の一般市民を犠牲にする無差別大量殺人行為による事件が多発している状況にある。そして,上記(1)アbのとおり,これらの無差別大量殺人行為を団体が行う場合は,秘密裏に計画,準備されて実行に移されるため,犯行の事前把握が極めて困難であり,犯行の実現可能性が高く,団体の持つ一定の目的達成のために反復して行われる可能性も高い。そうであるとすれば,過去にその役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体が現在も団体の属性として危険な要素を保持している場合には,当該団体の活動状況を継続して明らかにするための措置などを講ずるなどして迅速かつ適切に対処しなければ,国民の生活の平穏を含む公共の安全を確保することができないことは当然というべきである。 本法は,このような趣旨から制定されたものである。 c 以上のとおり,本法は,無差別大量殺人行為を団体が敢行する場合の特性にかんがみて,国民の生命・身体に対する重大な危害を防止するという公共の安全を確保するために必要な規制措置を定めるものであって,原告の主張するような単なる住民の漠然とした不安感ないし理由のない恐怖感を解消するための立法ではないことは明らかであるから,立法の必要性を欠くとする原告の主張は失当である。 措置を定めるものであって,原告の主張するような単なる住民の漠然とした不安感ないし理由のない恐怖感を解消するための立法ではないことは明らかであるから,立法の必要性を欠くとする原告の主張は失当である。 イ無差別大量殺人行為に及ぶ具体的危険性を要件としない規制について,立法事実を欠くとはいえないことa 原告は,観察処分で規制される団体の行為は広範かつ重大であって,本法が合憲であるというためには無差別大量殺人行為に結び付く具体的現実的な危険が存する必要がある旨主張するが,その趣旨は,無差別大量殺人行為に及ぶ具体的危険性の存する場合の規制を定める限度でしか立法事実は存しないとするものであると解される。 b しかしながら,無差別大量殺人行為による被害の甚大性,その脅威の重大性,これが団体によって行われる場合の密行性,高い実現可能性及び反復可能性という特性にかんがみると,過去に団体の活動として無差別大量殺人行為を実行し,現在もなおその属性として危険な要素を保持している団体については,その動向を観察し活動状況を明らかにすることが国民の生命・身体の安全という国民生活の平穏をも含む公共の安全を確保するためには不可欠であり,その意味で,こうした団体について,その活動状況を明らかにする措置を講ずる必要性という立法事実が存在することは,上記アのとおりである。 そして,このような立法事実に即応した規制を実現するという観点からは,無差別大量殺人行為に及ぶ具体的危険の発生を要件とするのでは足りないことは明らかである。すなわち,原告の主張するような危険を認定できるような状態に至ったときには,既に無差別大量殺人行為に容易に着手できる状態にあるものと考えられるのであるから,この段階でようやく観察処分に付すというのでは,無差別大量殺人行為の再発を防止し,国民の生活の平穏 に至ったときには,既に無差別大量殺人行為に容易に着手できる状態にあるものと考えられるのであるから,この段階でようやく観察処分に付すというのでは,無差別大量殺人行為の再発を防止し,国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保を図るという本法の目的に照らせば,遅きに失した対応であり,目的が達せられないことは明らかである。 c 過去に団体の活動として現実に無差別大量殺人行為を行った団体が観察処分の要件である本法5条1項各号に掲げる事項に該当するということは,現在も過去の無差別大量殺人行為に及んだものと共通の要素が継続されていることを意味し,再びそのような行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事実が存することにほかならない。すなわち,これらの各号に該当する場合には,当該団体の属性として危険な要素を保持していると認められるのである。ここで認められる危険な要素は,直ちに個別,具体的な行動を想定することまでできるものではないから,その意味で,無差別大量殺人行為ないしその具体的な準備行為に対して抽象的なものということもできる。しかし,そのような場合においても,そのような危険性を払しょくし得る特段の事由が認められない限り,これを本法のような内容の観察処分の対象としても,不当な人権侵害を伴うものではなく,逆に,そのような場合に,その団体が無差別大量殺人行為ないしその準備活動を行う現実的,具体的な危険性が把握できるまで何らの措置も講じられないとすれば,秘密裏に行われるこれらの行為に対して,公共の安全の確保を図ることは到底不可能である。 そして,観察処分についてみれば,3年を超えない期間を定めて公安調査庁長官の観察に付する処分(5条)とされ,この観察処分により団体に課される義務は,前記「法令の定め」(3)及び(4)のとおり,公安調査庁長官に対し,当該団体の役職員 3年を超えない期間を定めて公安調査庁長官の観察に付する処分(5条)とされ,この観察処分により団体に課される義務は,前記「法令の定め」(3)及び(4)のとおり,公安調査庁長官に対し,当該団体の役職員及び構成員の氏名・住所等,当該団体の活動の用に供されている土地・建物の所在・規模・用途,並びに資産・負債などの当該団体の活動に関する一定の事項について報告すること,公安調査庁長官が特に必要があると認めて公安調査官に当該団体が所有し又は管理する土地又は建物への立入検査をさせる場合に,その立入検査を受忍することなどであって,団体の結成や活動を全面的に禁止するものでないことはもちろん,団体やその構成員の活動自体を何ら制約するものでもない(例えば,破防法においては,解散指定処分は当該団体の活動を全面的に禁止するものであり,団体活動の制限も,集団示威運動等や機関誌の印刷・頒布などを禁止し,また,場所を制限せずに役職員又は構成員の活動を禁止するものである。)。このように,本法によって団体に課される義務の内容は,極めて限定的である。 d 以上のとおり,本法に定める観察処分については,過去の無差別大量殺人行為と関係のある要素の存在(これをもって抽象的危険というかどうかは,言葉の問題にすぎない。)を前提にして,これを課すに足りる立法事実を備えているものであるから,具体的危険性を観察処分及び更新決定の要件としなければ本法は立法事実を欠くという原告の主張が失当であることは明らかである。 (3) 本法は憲法20条等に違反しないことア原告は,信教の自由に対する制約は,信教の自由の外部行為に対する制約のようにみえながら,実際には,内心の信仰の自由をも侵害する危険が存在するので,厳格な違憲審査基準を適用すべきであるところ,観察処分は,①目的審査の基準である「明白かつ現在 由の外部行為に対する制約のようにみえながら,実際には,内心の信仰の自由をも侵害する危険が存在するので,厳格な違憲審査基準を適用すべきであるところ,観察処分は,①目的審査の基準である「明白かつ現在の危険」の基準を充足しておらず,また,②手段審査の基準である「必要最小限度の基準」を超えて過度の制限を加えているとして,本法が信教の自由を保障する憲法20条,B規約18条等に違反する旨主張する。 イa しかしながら,憲法20条が保障する信教の自由は,その内心にとどまる限り,絶対的な保障を受けるものの,内心にとどまらず外部的行為として現れる宗教的行為や宗教的結社の場合には,外部的行為に及ぶ他の精神的自由権の保障の場合と同様に絶対無制限のものではなく,公共の福祉の観点から必要かつ合理的な制約を受けるものである(最高裁昭和38年5月15日大法廷判決・刑集17巻4号302頁)。 また,宗教法人Y解散請求事件に関する最高裁平成8年1月30日第一小法廷決定・民集50巻1号199頁も,大量殺人を目的として計画的,組織的にサリンを生成した宗教法人について,宗教法人法81条1項1号及び2号前段に規定する事由があるとしてされた解散命令が憲法20条1項に違反しないと判示し,その理由として,次のように述べている。 (a) 宗教法人法81条に規定する宗教法人の解散命令の制度は,専ら宗教法人の世俗的側面を対象とし,かつ,専ら世俗的目的によるものであって,宗教団体や信者の精神的・宗教的側面に容かいする意図によるものではなく,その制度の目的も合理的であるということができる。 (b) 宗教法人の行為に対処するには,その法人格を失わせることが必要かつ適切であり,他方,解散命令によって宗教団体やその信者らが行う宗教上の行為に何らかの支障を生ずることが避けられないとしても,その支障は解 教法人の行為に対処するには,その法人格を失わせることが必要かつ適切であり,他方,解散命令によって宗教団体やその信者らが行う宗教上の行為に何らかの支障を生ずることが避けられないとしても,その支障は解散命令に伴う間接的で事実上のものにとどまり,本件解散命令は,宗教団体の行為に対処するのに必要でやむを得ない法的規制である。 (c) 宗教法人Yに対する解散命令は,宗教法人法81条の規定に基づき,裁判所の司法審査によって発せられたものであるから,その手続の適正も担保されている。 (d) 宗教上の行為の自由は,もとより最大限に尊重すべきものであるが,絶対無制限のものではない。 b(a) 以上のとおり,本法の目的は,無差別大量殺人行為の特性に照らし,かつて団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体が,現在も無差別大量殺人行為に関する危険な要素を保持している場合であって,当該団体の活動状況を継続して明らかにする必要があると認められるときに,その活動状況を明らかにし,もって,国民生活の平穏を含む公共の安全の確保を図ろうとするものである。 このような立法目的から明らかなとおり,本法は,無差別大量殺人行為を行った団体を適用対象とするものであり,そもそも宗教団体及び当該団体に属する信徒の宗教上の活動自体を規制することを目的とした法律ではない。 なお,原告は,目的審査の基準として,「明白かつ現在の危険」の基準を用いるべきである旨主張するが,「明白かつ現在の危険」が合憲性判断の基準になるとの判例は見当たらないばかりでなく,また,この基準を用いることは,本法5条1項各号の要件として,原告の主張する具体的現実的危険を要件とすることに相等しいが,これが妥当でないことは,上記(2)イ及び後記(6)のとおりである。 (b) また,規制の内容についても,本法の定める観察処分 の要件として,原告の主張する具体的現実的危険を要件とすることに相等しいが,これが妥当でないことは,上記(2)イ及び後記(6)のとおりである。 (b) また,規制の内容についても,本法の定める観察処分は,上記(a)のような世俗的目的からの措置として,当該団体に一定の作為義務(報告義務)ないし不作為義務(立入検査の受忍義務)を課すにとどまるものである。具体的には,前記「法令の定め」(3)及び(4)のとおり,団体の役職員及び構成員の氏名及び住所等並びに団体が保有する資産・負債等といった団体の活動状況を支える主要な要素である人的及び物的要素と団体の活動に関する事項を公安調査庁長官に報告する義務や,公安調査官が団体の活動状況を明らかにするために行う土地建物への立入検査を受忍する義務という限定されたものである。 (c) このように,本法の定める観察処分は,対象団体又はその構成員の精神的・宗教的側面に容かいする意図によるものではなく,法的効果においても,対象団体の(宗教上の活動を含む。)活動を何ら禁止したり制限するものでなければ,対象団体の構成員が宗教上の行為を行うことを禁止,制限したり,信仰にとどまることを断念させて改宗を強要するものではなく,仮に観察処分に伴い一定の義務が課されることによって対象団体や構成員らが行う宗教上の行為に何らかの支障を生ずることがあるとしても,それは間接的で事実上のものにとどまるものである。 したがって,観察処分に付されることによって対象団体に課される義務は,公共の安全を確保するために必要不可欠でやむを得ない最小限の制約というべきである。 (d) さらに,手続の適正の観点からみても,本法の定める観察処分は,準司法機関である被告(独立してその職権を行使する委員長及び委員をもって組織される。 公安審査委員会設置法1条,3条ないし ある。 (d) さらに,手続の適正の観点からみても,本法の定める観察処分は,準司法機関である被告(独立してその職権を行使する委員長及び委員をもって組織される。 公安審査委員会設置法1条,3条ないし5条参照)が,個々の具体的な事案について,その必要性に応じ合理性の認められる限度で処分を行うこととされている。しかも,処分に当たっての手続も,団体側からの意見も徴したうえで証拠書類等に基づいて行われる(本法20条)など,手続の適正が確保されたものである(その他の規制手続の適正の確保については,後記(4)のとおりである。)。 (e) 以上のとおり,観察処分は,立法目的において合理性があるうえ,規制内容も,公共の安全を確保するために対象団体の活動状況を継続して明らかにする必要があると認められるときに限定された義務を課すものにすぎず,必要でやむを得ない法的規制であり,手続的適正も保たれたものであるから,何ら憲法20条に違反するものではない。 ウ原告は,B規約18条違反を主張するが,同条の内容は憲法20条の保障する内容と同一であるから,その実質に関しては上記イのとおりであって,原告の主張は理由がない。 (4) 本法は憲法31条等に違反しないことア原告は,本法は,その審査に際して,①証拠調手続,なかんずく証人による心証形成を全く予定していない,②事実認定手続の基本である対審的事実審査が認められていない,③意見聴取の通知の公示のあった日から30日以内に決定をするよう要求しており,慎重な審査を最初から放棄しているとして,本法の定める意見聴取手続が憲法31条,B規約14条に違反する旨主張する。 イa しかしながら,憲法31条の定める法定手続の保障の趣旨は,一定の行政手続にも及ぶと解されているが,その場合であっても,同条によって求められるのは,告知と聴聞,す 約14条に違反する旨主張する。 イa しかしながら,憲法31条の定める法定手続の保障の趣旨は,一定の行政手続にも及ぶと解されているが,その場合であっても,同条によって求められるのは,告知と聴聞,すなわち,相手方への事前の告知と,弁解,防御の機会を与えることである。そして,一般に,行政手続は,刑事手続とその性質においておのずから差異があり,また,行政目的に応じて多種多様であるから,行政処分については,その相手方に事前の告知,弁解,防御の機会を与えるかどうかは,行政処分により制限を受ける権利利益の内容,性質,制限の程度,行政処分により達成しようとする公益の内容,程度,緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって,常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではないところ(前掲最高裁平成4年7月1日大法廷判決参照),証人による心証形成(直接口頭主義)に基づく事実認定は憲法上の要請ではないことはもとより,行政処分を課する場合の具体的手続の定め方は広く立法裁量にゆだねられているのであるから,原告の主張する点をもって,直ちに憲法31条に違反するということはできない。 b そして,本法による規制により達成しようとされている公益は,国民の生命・身体の安全の確保という公共の安全であって,その内容・程度は,極めて重要なものであり,そのような措置を講ずる緊急性も認められる。また,規制の内容としては,対象団体に一定の報告義務と立入検査受忍義務を課すものにすぎず,本法の目的に照らし必要最小限のやむを得ない制約である。本法は,このような規制措置について,公安調査庁長官が処分の請求をした後に,公平中立な準司法機関である被告が対象団体に対し,告知,弁解,防御の機会を与えて審査審理する手続を法定しているのである。そうすると,本法の定める手続は,対象団体の権利を 庁長官が処分の請求をした後に,公平中立な準司法機関である被告が対象団体に対し,告知,弁解,防御の機会を与えて審査審理する手続を法定しているのである。そうすると,本法の定める手続は,対象団体の権利を手続的に保障するための措置として十分というべきであって,憲法31条の趣旨に反するという理由は何ら存しない。 c 原告は,意見聴取の通知の公示のあった日から30日以内に処分の請求に対する決定を出すこととされている点をもって慎重な審査を放棄していると主張するが,上記のとおり,本法が定める規制措置は,その目的の公共性・公益性が極めて高いうえ,これを講ずる緊急性も高いことから審査を30日以内に行うこととされているのであり(本法22条2項),これによって被告の審理が不十分にならざるを得ないとする根拠はない。実際にも審理に不都合な結果など全く生じていないうえ,対象団体に与えられている手続保障が有名無実のものになるとも考えられないから,この点を理由に,本法が定める審査手続が憲法31条の趣旨に違反するとは到底いえない。 d 以上のとおり,本法が憲法31条に反するものでないことは明らかである。 ウ原告は,B規約14条1違反を主張するが,同項の趣旨は憲法31条の保障と異なるところはないから,B規約を根拠とする原告の主張も理由がない。 (5) 本法は憲法35条に違反しないことア原告は,本法7条2項が,観察処分後の立入検査につき,裁判官による司法審査を経ず,また,準司法機関の役割を担っている被告の許可をも必要としていない点で,憲法35条の定める令状主義に違反する旨主張する。 イa しかしながら,憲法35条1項の保障が,刑事責任追及の手続以外の手続における強制にも及ぶと解すべき場合であっても,当該手続が憲法35条の法意に反するか否かは,手続の一般的性質が刑事目的の手続 イa しかしながら,憲法35条1項の保障が,刑事責任追及の手続以外の手続における強制にも及ぶと解すべき場合であっても,当該手続が憲法35条の法意に反するか否かは,手続の一般的性質が刑事目的の手続であるか否か,手続の機能が実質上も刑事資料収集に直接結び付く作用を一般的に有しているか否か,強制の態様・程度が直接的か間接的か,公益性が高度であるか否か,公益性と強制手段との均衡が失われていないかどうかを総合較量して決せられるべきものである(最高裁昭和47年11月22日大法廷判決・刑集26巻9号554頁,前掲最高裁平成4年7月1日大法廷判決参照)。 b この観点から本法7条の立入検査について検討すると,立入検査は,刑事上の処罰を目的とする手続ではなく,刑事事件の資料収集に直接結び付く作用を一般的に有するものではない(同条4項,14条7項)。また,被処分団体の抵抗を直接排除する強制力を行使することは認められず,立入検査の拒否,妨害等について刑罰を課すことにより間接的に実効性を確保するにとどまる。 また,本法7条2項に規定する立入検査は,観察処分を受けた団体に対して行われるものであるが(本法5条1項),当該団体を観察処分に付するに当たっては,準司法機関である被告が公開による意見聴取を実施するなど(本法16条ないし21条)の極めて慎重な手続が踏まれる。 そして,観察処分に付された団体の活動状況を明らかにすることは,本法の目的である国民の生命・身体の安全確保のために不可欠であり,立入検査は,そのための必要最小限のやむを得ない手段であるが,公安調査官には以上のような制約の下で,立入りが認められているにすぎない。 c 以上によれば,立入検査が,あらかじめ裁判官の発する令状によることを要件とせず,また,個別の立入検査について被告による個別の審査にかからしめ ような制約の下で,立入りが認められているにすぎない。 c 以上によれば,立入検査が,あらかじめ裁判官の発する令状によることを要件とせず,また,個別の立入検査について被告による個別の審査にかからしめないとしても,何ら憲法35条の法意に反しないというべきである。 (6) 本法に合憲限定解釈を行う必要はないことア原告は,仮に本法を合憲と解釈する余地があるとしても,形式的に本法5条1項各号に該当するだけで観察処分の要件を満たすことになると,過度の広範な規制になるとし,立法目的,立法提案者の意思,規定自体の趣旨,文言から考えると,観察処分の要件には「危険性」が存在することが要求されており,同項各号の解釈,適用をする際には,「被請求団体に危険性がある場合」という限定をして解釈,適用をしなければならず,その場合の「危険性」とは,具体的現実的な危険でなければならず,具体的危険があるというためには,当該団体が再び無差別大量殺人行為の準備行為を開始するおそれが常に存在すると通常人をして思料せしめるに足りる状態が存することが必要である旨主張する。 イa しかしながら,合憲限定解釈とは,一般に,ある法令における行為の制限ないし禁止の規定が,法文上は広汎にすぎ,字義どおりに解釈すれば違憲になるかもしれないが,他のより制限的な解釈をとれば合憲となる場合に,法令の効力を救済する解釈であると説明されており,判例の中にもこれを採用したものがあるが,本法が立法事実を踏まえたものであり,各規定が憲法の条項に違反するものでないことは,上記のとおりであるから,限定解釈をすべき憲法上の要請があるとする根拠は認められない。 b 本法5条1項1号ないし4号は,無差別大量殺人行為に及んだ団体がなお同様の行為に及ぶ危険性を保持していることを示す危険な要素を挙げた条項であるから,端的に 要請があるとする根拠は認められない。 b 本法5条1項1号ないし4号は,無差別大量殺人行為に及んだ団体がなお同様の行為に及ぶ危険性を保持していることを示す危険な要素を挙げた条項であるから,端的に各号の該当性を判断すれば足りるのであって,原告の主張する解釈は誤りである。すなわち,過去に団体の活動として現実に無差別大量殺人行為を行った団体が同項各号の要件を満たす場合には,一般的に,その団体が同様の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性が継続していることが明らかであるから,本法はこれらの要素をもって,観察処分の要件としたのであって,これを阻却する特段の事由がない限り,観察処分又は更新決定の対象となるとしたのである。このことは,上記(2)において,立法事実に関して述べたところからも明らかである。 仮に,原告の主張するように解するなら,秘密裏に行われる行為が何らかの理由で外部に明らかになることが必要であり,また,それが「無差別大量殺人の準備行為に着手するおそれが常に存在する」と通常人をして思料せしめるに足りる状態を必要とすることになる。 しかし,そのような事実の偶然の発覚や通常人の判断にゆだねるのでは,無差別大量殺人行為の再発は防止し得ないであろう。それでは,本法制定の目的が全く達せられないことになりかねないが,観察処分は,そのような遅きに失した対応となることを防止するのが目的であり,そのために,団体に必要最小限の負担を課すものにすぎない。したがって,原告の主張は,明らかに失当というべきである。 なお,原告の主張するような解釈は,本法5条の文理解釈にも明らかに抵触するものであって,採り得ない(後記4(被告の主張)(3)ア参照)。 c 以上のとおり,本法を合憲とするには限定解釈をする必要があるとの原告の主張は,前提を欠くものであるのみならず,原告の主張する 触するものであって,採り得ない(後記4(被告の主張)(3)ア参照)。 c 以上のとおり,本法を合憲とするには限定解釈をする必要があるとの原告の主張は,前提を欠くものであるのみならず,原告の主張する解釈も,明らかに文理に反した不合理なものであって,到底,認めることのできないものである。 4 本件更新決定の要件の有無に関する当事者の主張(被告の主張)(1) 原告の教義の危険性ア原告の沿革等原告の沿革等は,前記「前提となる事実」のとおりであるが,原告は,宗教法人「Y」の設立登記後,国内に合計24か所の支部・道場等を設ける一方,構成員についても合計約1万1000名に増加させて勢力を拡充し,平成6年6月に松本サリン事件を,平成7年3月に地下鉄サリン事件を順次敢行した。 両サリン事件後,原告では,同年5月16日にXが地下鉄サリン事件に係る殺人等事件により逮捕されるなど,構成員400名以上が逮捕されるに至り,同年11月8日,Bほか1名が同年6月21日付けで「代表役員代務者」に就任した旨の登記を了したものの,その後,宗教法人「Y」については,宗教法人法に基づく解散命令が確定し,その清算手続中に破産宣告がされた。 原告は,平成12年2月4日,「宗教団体・Z」を発足させ,代表代行であったBがその代表者に就任した旨発表し,次いで,平成14年1月29日,Aが同月21日をもって同団体の代表者に就任した旨発表しているが,後記(4)のとおり,原告の代表者は現在もXであると認められ,また,現在に至るまで,Aら幹部を始めとして,ほとんどその構成に変化はなく,Xを教祖とし,かつ同人が創始したYの教義や位階制度を維持するなど,その団体としての性質に基本的な変化はなく,団体としての同一性を保持したまま,現在に至っている。 原告は,平成14年10月時点では,国内の構 し,かつ同人が創始したYの教義や位階制度を維持するなど,その団体としての性質に基本的な変化はなく,団体としての同一性を保持したまま,現在に至っている。 原告は,平成14年10月時点では,国内の構成員約1650名(出家信徒約650名及び在家信徒約1000名)及びロシア連邦内の構成員約300名によって構成され,中央組織を5都県の9施設に置くほか,地方組織として国内に11の支部・道場及び1連絡所を擁し,モスクワ市内に「ロシア連絡所」を設けている。 イ原告の教義aYの教義は,原始密教,チベット密教,小乗仏教,大乗仏教,秘密金剛乗等の教義を混交したXの説く教えを取りまとめたものとされる。その要旨は,「主神をシヴァ神として崇拝し,創始者であるXの説く教えを根本とし,すべての生き物を輪廻の苦しみから救済して,絶対自由・絶対幸福・絶対歓喜の世界(マハー・ニルヴァーナ,涅槃の境地)に導くことを最終目的として,シヴァ神の化身であるXに対する絶対的な浄信と帰依を培ったうえ,自己の解脱・悟りに到達する道である小乗(ヒナヤーナ)を修めるとともに,衆生の救済を主眼とする道である大乗(マハーヤーナ),及び衆生救済に至る最速の道である秘密金剛乗(タントラ・ヴァジラヤーナ)の各修行を実践する」というものである。 Xは,その中でも,衆生救済への最速の道とされる「タントラ・ヴァジラヤーナ」の教えを最も重視し,これに関する説法の中で,「アクショーブヤの法則」(悪業を積んでいる魂は早く命を絶つべきであるとするもの)や,「アモーガシッディの法則」(真理の実践を行う者にとっては結果が第一であり,結果のためには手段を選ばないとするもの)など,「五仏の法則」の重要性を強調し,タントラ・ヴァジラヤーナを実践すれば必ず最終解脱できる旨説くとともに,「例えば,グルがそれを殺せと言う が第一であり,結果のためには手段を選ばないとするもの)など,「五仏の法則」の重要性を強調し,タントラ・ヴァジラヤーナを実践すれば必ず最終解脱できる旨説くとともに,「例えば,グルがそれを殺せと言うときは・・・相手はもう死ぬ時期に来ている。そして,弟子に殺させることによって,その相手をポアさせる。一番いい時期に殺させるわけだね」(昭和62年1月4日丹沢集中セミナーでの説法),「わたしたちは,すべての魂を・・・救済したいと考える。・・・しかし,時がない場合,それをセレクトし,そして必要のない魂を殺してしまうこともやむなしと考える智慧ある者,あるいは徳のある魂がいたとしてもそれはおかしくはない」(平成5年4月18日杉並道場での説法)等と説き,「教祖」であり「最終解脱者」であるXの指示があれば殺人を行うことも正当化され,死者の魂は「ポア」ないし「ポワ」されて高次の精神世界に転生するなどとしていた。 このように,原告は,教祖であるXを「尊師」又は「グル」(宗教上の精神的指導者の意)と尊称して同人に絶対的に帰依し,目的のためには手段を選ばず,Xの指示があれば殺人を行うことも正当化されるという危険な教義を有するものである。両サリン事件等も,こうした原告の教義に起因するものであることは明らかである。 b 原告は,Xの説法集である「尊師ファイナルスピーチ」において,「時がない場合,それをセレクトし,そして必要のない魂を殺してしまうこともやむなし」と記述されている点について,その主語は教団ではなく「フリーメーソン」であるとし,あたかも,「尊師ファイナルスピーチ」の当該部分が危険ではないかのように主張する。 しかしながら,同部分は,Xと信徒との問答の一部で,Xが,教団を他の「大いなる智慧を有する者たち」と対比させて「わたしたちは,すべての魂を,できたら の当該部分が危険ではないかのように主張する。 しかしながら,同部分は,Xと信徒との問答の一部で,Xが,教団を他の「大いなる智慧を有する者たち」と対比させて「わたしたちは,すべての魂を,できたら引き上げたいと,すべての魂を救済したいと考える。どうだ。」と問い,信徒が「(一同)はい。」と答えたのを受けて,Xが「しかし,時がない場合,それをセレクトし,そして必要のない魂を殺してしまうこともやむなしと考える智慧ある者,あるいは徳のある魂がいたとしてもそれはおかしくはない。どうだ?」と質問し,信徒に「はい。」と返答させている場面であり,「智慧ある者」,「徳のある魂」がXを意味することは前後の文意から明らかであって,原告の主張は失当である。 ウ原告が主張する「教団改革」は実体を伴っていないことa 原告は,平成12年2月に策定した「「宗教団体・Z」綱領」(以下「綱領」という。)において,「本団体は,シヴァ大神をはじめとする諸々の真理勝者を完全なる解脱・悟り(最終完全解脱)をなした存在と信ずる。本団体の教義においては,存命中のいかなる人間も,完全なる解脱・悟り(最終完全解脱)をなした存在ではない。X旧団体代表については,同人が旧団体においてなした仏教・ヨーガ等の経典の解釈(具体的な瞑想修行法なども含む)やイニシエーションのうち,事件と無関係なものを採用したが,本団体の意思決定に具体的,現実的な影響を与える,団体代表・役職員・構成員ではない。」などと定め,Xを崇拝の対象とせず単なる経典の解釈者と位置付けることにした旨主張する。 しかし,原告は,Xを教祖・創始者として創設された宗教団体であり,その教義は,Xの説く教えを取りまとめたものである。そして,その内容は,主神を「シヴァ神」として,「シヴァ神の化身」とするXに対する絶対的帰依を核心とするもの 創始者として創設された宗教団体であり,その教義は,Xの説く教えを取りまとめたものである。そして,その内容は,主神を「シヴァ神」として,「シヴァ神の化身」とするXに対する絶対的帰依を核心とするものであって,より具体的に述べるならば,構成員は,自らの意思を捨てて,Xの明示の意思・指示に従い,あるいはXの意思を推し量り,これを自らの意思として行動することが唯一の全行動を支配する絶対的な価値として求められるのであって,宗教団体である原告の本質は,構成員において,Xの意思を唯一絶対のものとし,これに合一することにある。すなわち,宗教団体である原告の本質は,Xの絶対者性にある(後記(3)イa参照)のであって,こうしたXの絶対者性は,Xの意思を実現するために,その指示に従って,常軌を逸する重大な両サリン事件が秘密裏に敢行されたことにも如実に現れている。 したがって,このような原告の本質からすれば,(原告の構成員において,)Xの位置付けについて,教祖でも代表者でもなく単なる教典の解釈者にとどまるものとすることはそもそも不可能であり,また,原告の構成員において,危険な部分のみを廃棄するなどして教義の内容を変更することもそもそも不可能であって,少なくともX自身が真にその教義を否定し自らの位置付けを変えるような特段の事情が生じない限り,原告がその教義を廃棄してXの位置付けを変更したものとは認められないところ,そのような特段の事情は全く認められず,むしろ,本件観察処分決定後においても,原告においてはXへの絶対的帰依やXへの合一を説く説法及び様々な修行・儀式が繰り返し行われていること(後記(3)イb参照)や,同質の組織構造を継続していること(後記(5)ア参照)など,Xの絶対者性が強化されている。 以上のとおり,原告においては,Xへの絶対的帰依を核心とする原 し行われていること(後記(3)イb参照)や,同質の組織構造を継続していること(後記(5)ア参照)など,Xの絶対者性が強化されている。 以上のとおり,原告においては,Xへの絶対的帰依を核心とする原告の本質に照らし,「教団改革」はそもそも不可能であると考えられるうえ,かえって,本件観察処分決定後も,実際にもXへの絶対的帰依が維持・強化されていることを示す事象が多数認められることから,原告の主張する「教団改革」なるものは何ら実体を伴わないものであるというべきである。 さらに,以下のとおり,原告の主張する「教団改革」のうちの個別具体的な方策も真に教団の方針を変更するものとは到底認められず,その「教団改革」なるものさえ方針変更を余儀なくされているものである。 b 原告は,教義のうち「タントラ・ヴァジラヤーナ」の一部である「五仏の法則」のみを廃棄したと主張する。 しかし,上記aのとおり,原告が教義を変更したとは認められないうえ,教義の内容からみても,「タントラ・ヴァジラヤーナ」を維持しつつ,「五仏の法則」のみを廃棄するということはあり得ない。 すなわち,Xの説く「タントラ・ヴァジラヤーナ」とは,衆生救済のための必然にして唯一の方法として,直截に人間の悪しきカルマ(業)を取るという教えであり,悪しきカルマの量が多く又は程度が高いために生きれば生きるほど悪業を積む者については,それまでの悪業を消滅させ,かつ,それ以上悪業を積ませないことで,より良い世界に転生させるために,命を奪わなければならないという教えである。他方,Xの説く「五仏の法則」とは,「財は,善,徳のために使うのであれば奪い取ることが功徳になる」という「ラトナサンバヴァの法則」,「悪業を積んでいる魂は早く命を絶つべきである」という「アクショーブヤの法則」,「伴侶,恋人等に執着している 善,徳のために使うのであれば奪い取ることが功徳になる」という「ラトナサンバヴァの法則」,「悪業を積んでいる魂は早く命を絶つべきである」という「アクショーブヤの法則」,「伴侶,恋人等に執着していることから真理の実践をしない者からは,その伴侶,恋人を奪い取るべきである」という「アミターバの法則」,「結果のためには手段を選ぶ必要がない」という「アモーガシッディの法則」などであり,これは,「タントラ・ヴァジラヤーナ」の教えについて,いわば典型的な例を挙げてスローガン的に表したもので,「タントラ・ヴァジラヤーナ」そのものである。したがって,「五仏の法則」を取り除いた「タントラ・ヴァジラヤーナ」は,実体的な内容を持たず,教義として意味を持たないのである。 このことは,証人Cが,「五仏の法則」を除けば,タントラ・ヴァジラヤーナとして残るものは経典を読む,護摩を焚く,真言を唱えるぐらいである旨証言していることからも明らかである。 Xは,これまで,「タントラ・ヴァジラヤーナ」の内容として,経典を読むこと,護摩を焚くこと,真言を唱えることである旨の説法をしたことはないのであり,Xの説いた「タントラ・ヴァジラヤーナ」は「五仏の法則」を除くと,実体的な内容を持たないものとなるのである。 c 原告がいう「教団改革」は,真に教義などを変更しようとして行われているものとは到底認められない。そのことは,以下のとおりの,「尊師ファイナルスピーチ」の改訂・回収の経緯に如実に現れている。 (a) 原告は,平成7年秋ころから平成8年1月ころまでにかけて,無差別大量殺人行為につながる危険性を有する教義であるタントラ・ヴァジラヤーナの説法全56話を集成した「ヴァジラヤーナコース教学システム教本」を始めとするXの著作,説法集などに掲載された説法等を転載したXの説法集「尊師ファイ る危険性を有する教義であるタントラ・ヴァジラヤーナの説法全56話を集成した「ヴァジラヤーナコース教学システム教本」を始めとするXの著作,説法集などに掲載された説法等を転載したXの説法集「尊師ファイナルスピーチⅠ~Ⅳ」を製作し,出版した。 (b) 原告は,本件観察処分決定の審査の際も,「尊師ファイナルスピーチ」は,Xの説法集の中から,危険とされるものを除いたものであると主張していたが,実際には,「時がない場合,それをセレクトし,そして必要のない魂を殺してしまうこともやむなし」,「すべての魂を悪趣から解放せよ。そのためにはポワしかない」などと殺人を勧める説法等の一部が転載されていたばかりでなく,同書には,「この本はあくまでも法則を遺すことを目的とした縮刷保存版であり,普段の教学には以前の出版物を活用するのが望ましい」という注釈を付していた。 (c) 原告は,その後も,平成12年2月4日ころには,「ポワ」,「タントラ・ヴァジラヤーナ」等の文言について,危険でないかのような解釈を記載した「尊師ファイナルスピーチ公式解釈書」を作成したのみで,危険な説法・教義を記載したままの「尊師ファイナルスピーチ」の使用を続けていた。 (d) 原告は,平成13年8月24日に,「2001年度教団改革の指針」において,「「尊師ファイナルスピーチ」全4巻をすべて回収します。それに代わって,今年末から来年3月の年度末にかけて,Zで規定されている教義の基準に基づいた教義集を新たに編纂し,信徒に配布します」と発表した。そして,その結果については,本件更新請求当日の平成14年12月2日に,「11月末日をもって「尊師ファイナルスピーチ」を全て回収した」旨を発表した。 しかし,現実には,その直後の同月4日の通称「那覇施設」への立入検査において,信徒が「尊師ファイナルスピーチ」4冊 に,「11月末日をもって「尊師ファイナルスピーチ」を全て回収した」旨を発表した。 しかし,現実には,その直後の同月4日の通称「那覇施設」への立入検査において,信徒が「尊師ファイナルスピーチ」4冊を密かに投棄しようとしているのが発見された。すると,原告は,本件更新請求の審理において提出した意見書で,「旧版は02年(注・平成14年)12月10日までに回収が完了している」と述べ,それまでの発表と異なり,直近に回収したと主張した。ところが,その後,平成15年8月5日の通称「横浜施設」への立入検査,同年9月5日及び12日の通称「南烏山施設」への立入検査においても,「尊師ファイナルスピーチ」が保管されていることが確認されている。 (e) このような経緯に照らせば,原告には「尊師ファイナルスピーチ」の回収を行なおうとする意図がないことは明らかであり,「尊師ファイナルスピーチ」の改訂版であるとする「パーフェクトスピーチ」の発刊も観察処分更新決定の回避を目的とした偽装であるというほかなく,原告に,「教団改革」として教学の内容の実質的な変更を行う意図など到底認められない。 d 上記のとおり,「教団改革」なるものは本件観察処分の期間更新を免れることを目的とした欺まん的なものであるが,この方便的な「教団改革」すら原告の構成員らの反発を招き,本件観察処分決定後方針変更を余儀なくされている。 このことは,この「教団改革」なるものを推進してきたとされるAが,平成16年2月6日の通称「南烏山施設」に対する立入検査の際の公安調査官の質問に対し,「教団改革については,揺り戻しがあり,現在,改革はとん挫している。(中略)教団では周期的に摩擦が起こる。(中略)日本人が保守的であるように,信徒の中には「何で体質を変えなきゃいけないのか」との意見を持つ者もいる」と述べて認める あり,現在,改革はとん挫している。(中略)教団では周期的に摩擦が起こる。(中略)日本人が保守的であるように,信徒の中には「何で体質を変えなきゃいけないのか」との意見を持つ者もいる」と述べて認めるところである。また,証人Cは,現在,Aが原告における意思決定に関与していない旨証言し,このことは,例えば,破産管財人あての文書(乙A109)の差出人が,従前のA名からG名に変更されていることによっても裏付けられているが,このように,「教団改革」なるものを推進してきたとされるAが現在では指導部から離れ,意思決定に加わっていないことからも,「教団改革」なるものが進められていないことが認められる。 そして,平成14年1月に回収すべきものとして指定したXの説法のビデオテープを再び構成員に教学させ,幹部信徒も,在家信徒に対する説法においてさえ,明確にXを「尊師」又は「グル」と表現して同人への絶対的帰依を求める説法を行ったり,一連の事件を引き起こした危険な教義であるタントラ・ヴァジラヤーナに関する説法を行ったりしている。 このように,現在,原告においては,「教団改革」なるものの方針が変更されているが,このことは,Xの絶対者性,Xへの絶対的帰依が原告の本質であることを如実に示しているとともに,原告が主張している「教団改革」が真の改革の成果を生じさせることができないものであったことも示しているというべきである。 (2) 原告の政治上の主義ア原告は,Xの説く教義を広め,これを実現することを目的とし,昭和63年ころから,全国各地に拠点施設を次々と開設し,「日本シャンバラ化計画」と称してその教義に沿った理想郷の建設を目指し,布施集めや勢力拡大を図っていた。その後間もなく,Xは,政治と宗教とは切り離せず,「日本シャンバラ化計画」を推進して衆生の救済を行うには,現 ラ化計画」と称してその教義に沿った理想郷の建設を目指し,布施集めや勢力拡大を図っていた。その後間もなく,Xは,政治と宗教とは切り離せず,「日本シャンバラ化計画」を推進して衆生の救済を行うには,現実的な政治力を獲得する必要があると強調するようになり,原告は,その教義の実践として衆生の救済を行うことを目的とし,その教義に沿った理想郷の建設を目指す中で,平成元年ころ,最終的にはXを独裁者とする祭政一致の専制国家体制を樹立するという政治上の主義を有するに至った。 そして,原告では,この政治上の主義を推進するため,Xを含む構成員合計25名が平成2年2月施行の衆議院議員総選挙に立候補したが,全員が大差で落選した。一方,これと相前後して,全国各地で原告の進出に対する反対運動が活発化し,原告に対する社会的非難が強まっていった。 原告は,かかる動きは原告を弾圧し壊滅しようとするものであるととらえて社会に対する反発を強め,これと対決する姿勢を示すようになり,平成2年ころには,もはや現行民主主義制度内において政治的支配力を強めることによって「日本シャンバラ化計画」を実現することは不可能であると認識し,Xを独裁者とする祭政一致の専制国家体制を樹立するためには,武力によって我が国の現行国家体制を破壊する必要があり,また,原告の活動に反対する勢力は真理の実践を妨げる悪業を積むものであるから,これを殺害するほかはないと考えるに至り,生物兵器の開発,自動小銃の製造,サリンの製造などの武装化を推進するとともに,省庁制を発足させ,独自の憲法草案を起案するなどした。 このように,Xの説く原告の教義の根幹は衆生の救済にあるが,Xは,武力によって我が国の現行国家体制を破壊し,また,悪業を積む者を殺害することもその救済の実践であると説き,破壊を経て「シヴァ神」の化身であるX に,Xの説く原告の教義の根幹は衆生の救済にあるが,Xは,武力によって我が国の現行国家体制を破壊し,また,悪業を積む者を殺害することもその救済の実践であると説き,破壊を経て「シヴァ神」の化身であるXが独裁者として統治する専制国家体制を樹立することは,救済のための理想郷の建設を意味するものとしていたから,結局,原告においては,その政治上の主義はその教義の枢要な一部を構成するものとしてこれに内包されていたというべきである。 そして, 原告は,かかる政治上の主義を推進する目的で,平成6年6月に松本サリン事件を,平成7年3月に地下鉄サリン事件をそれぞれ敢行した。 イ Xは,実質的には,依然として原告における教祖として,絶対者と位置付けられており,現在も同人が原告の活動に絶対的ともいえる影響力を有していることに徴すれば,Xの意思とは無関係に原告が上記のような政治上の主義を破棄することはそもそも不可能であるところ,X自身がこの政治上の主義を破棄したと認めるべき証拠はない。また,この政治上の主義は原告の教義に枢要な一部として内包されていたところ,原告の教義は現在においても実質的に変化がなく,加えて,原告は,本件更新決定後,「尊師ファイナルスピーチ」の改訂版として「ファイナルスピーチ(改訂版)3」分冊1ないし5を発刊したが,これにも「ロータス・ヴィレッジ構想」という理想郷建設を説くものがある。 これらによれば,原告においては,本件更新決定時も含め,現在に至るまでの間,依然として,上記のような政治上の主義を保持しているものと認められる。 (3) 本法5条1項1号該当性ア同号の「影響力」a 本法5条1項1号の「団体の活動に影響力を有している」とは,特定の者の言動が,団体の活動の方向性を左右する力,あるいはその内容に変化を生じさせる力を有していることをい 当性ア同号の「影響力」a 本法5条1項1号の「団体の活動に影響力を有している」とは,特定の者の言動が,団体の活動の方向性を左右する力,あるいはその内容に変化を生じさせる力を有していることをいう。 b これに対し,原告は,本法5条1項5号の規定は,当該団体が再び無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があることを観察処分の要件にしているものと解し,他の各号も同様に具体的危険を要求する趣旨の規定と解すべきであるとしたうえ,本法5条1項1号の「影響力」とは,無差別大量殺人行為の首謀者が,将来再び無差別大量殺人行為の実行を命じ,団体の構成員らにその準備行為に着手させるに足りる影響力を意味すると解釈すべきである旨主張する。 (a) しかしながら,前記「本法及び本件更新決定の合憲性に関する当事者の主張」の被告の主張(2)及び(6)のとおり,観察処分の要件としては,原告の主張するような具体的危険性を必要とするものではなく,本法5条1項各号の要件は,端的に,字義どおり解釈すれば足りるのである。 (b) また,次に述べるように,原告の主張するような解釈は,文理上も困難であって採り得ない。 第1に,本法5条1項柱書は,「次の各号に掲げる事項のいずれかに該当し」と規定して,5号に該当しない場合であっても1号ないし4号に該当すれば足りることを明らかにしている。したがって,5号に該当しない場合であっても,1号ないし4号に該当すれば足りるのであって,例えば,1号に該当する場合に,更に5号の要件を満たす必要がないことは文理上明らかである。 第2に,同項1号ないし4号の規定は,規定内容が文面上極めて明確であり,そこに,「無差別大量殺人行為に及ぶ危険性」を加えて解釈する余地は全くない。 第3に,同項5号は,「前各号に掲げるもののほか,」と規定しているが,この文言は,法令用 定内容が文面上極めて明確であり,そこに,「無差別大量殺人行為に及ぶ危険性」を加えて解釈する余地は全くない。 第3に,同項5号は,「前各号に掲げるもののほか,」と規定しているが,この文言は,法令用語としては,ただ単に前各号と当該号とを並列的に並べて規定する場合に用いられるものにすぎないから,1号ないし5号の各規定は,それぞれ別個独立の規定である。しかも,そもそも5号の規定は,「当該団体に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があること」との文言ではなく,「当該団体に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事実があること」との文言であって,当該団体の属性としての危険な要素の徴ひょうとして,1号ないし4号以外の徴ひょう事実を観察処分の要件としたものである。 以上のとおり1号ないし5号の各規定はそれぞれ別個独立の規定であって,5号を根拠として,しかも同号の要件と異なる「危険性」を1号ないし4号の規定に新たに付加して解釈することは,法令解釈として採り得ない。 (c) 以上のとおりであるから,原告の主張は失当である。 イ Xの影響力aXは絶対的帰依の対象であること(a) 原告は,Xを教祖・創始者として創設された宗教団体であり,その教義は,Xの説いたものであり,かつ,その内容は,Xが主神である「シヴァ神」の化身であるとして,これに対する絶対的な帰依を要求するもので,自己の意思を捨てXの意思にすべてをゆだねることを本質とするものである。 原告が敢行した両サリン事件を始めとする事件は,Xの意思を実現するために,その指示に従って敢行されたものであるところ,これらの事件は常軌を逸するほど重大なものであるうえ,その準備には多大な資金及び労力等,かなりの組織力と時間を要するにもかかわらず,これを秘密裏に行い得ており,このことからみて,Xの影響力は非常 ,これらの事件は常軌を逸するほど重大なものであるうえ,その準備には多大な資金及び労力等,かなりの組織力と時間を要するにもかかわらず,これを秘密裏に行い得ており,このことからみて,Xの影響力は非常に重く,かつ深いものがあると認められる。この点に徴しても,Xの原告に対する影響力は容易に払しょくされ得るものではないといわざるを得ない。 (b) 原告の教義がXに対する絶対的帰依を求めることは,Xが説法で繰り返し原告の信徒に対して説いているところであり,Xの説法は,原告が本件更新決定後の平成16年1月17日に刊行した説法集「ファイナルスピーチ(改訂版)」に掲載され,現在なお原告の教義とされ,原告の信徒に極めて強い影響力を及ぼしているのである。 (c) このように,原告においては,Xを主神である「シヴァ神」の化身としてこれに絶対的に帰依すること,より具体的に述べるならば,構成員は,自らの意思を捨てて,Xの明示の意思・指示に従い,あるいはXの意思を推し量り,これを自らの意思として行動することが唯一の全行動を支配する絶対的な価値として求められるのであって,宗教団体である原告の本質は,このようにXの意思を唯一絶対のものとし,これに合一することにある。 (d) したがって,原告においては,X及び同人の創始した教義に従う者によって構成される団体として存続する以上,Xの影響力が絶大・絶対のものであることは本質であり,その影響力が希薄化するとか限定されたものとなるというようなことはおよそあり得ないというべきである。 b 本件観察処分決定後の外形的事象に現れているXの影響力(a) 幹部構成員の説法ⅰ Aを始めとする幹部構成員は,本件観察処分決定後も,従前どおり,構成員に対して,説法や構成員用ホームページなどを通じて,例えば,「我々の三宝帰依の土台というのは,や 力(a) 幹部構成員の説法ⅰ Aを始めとする幹部構成員は,本件観察処分決定後も,従前どおり,構成員に対して,説法や構成員用ホームページなどを通じて,例えば,「我々の三宝帰依の土台というのは,やはりグル,X’尊師に対する帰依である」などと,Xを「尊師」又は「グル」と尊称したうえ,これに対して絶対的に帰依すべきことを説いている。 ⅱ 原告の主張に対する反論① 原告は,現在は,「尊師」は「仏教・ヨーガにおける一般名詞であり,絶対者・完全者を表わすステージを意味せず,その意味で用いてはならない。」と「宗教団体・Z活動規定」(以下「活動規定」という。)に定め,「グル」は「シヴァ大神,真理勝者(如来),覚者(ブッダ),経典の正しい解釈者」を指す広い意味の言葉で「特定の存命中の人物を絶対化することを意味せず,その意味で用いてはならない。」などと「活動規定」に定めており,Xを「尊師」又は「グル」と呼ぶことがXの絶対性を肯定するものではない旨主張する。 しかし,「尊師」,「グル」が尊称であることは明らかであるばかりか,「尊師」,「グル」という言葉は,絶対者としてのXの固有の呼称であったところ,原告は,上記のような不自然な説明をしてまでなお,Xを「尊師」又は「グル」と呼び続けているのであり,それは,原告の構成員のXに対する帰依の深さを示すものであるというべきであるうえ,Aらの上記ⅰの説法においても,「活動規定」にあるような趣旨の説明は一切ないのであるから,現在も,原告においては,Xを絶対者として位置付けていることは明らかである。 ② 原告は,現在は,「三宝帰依」にいう「仏・法・僧」のうちの法(教え)及び僧(高弟)への帰依の重要性を説いている旨主張する。 しかし,そもそも「三宝帰依」自体がXの説いた教義であって,以前は,仏すなわちXへの絶対的帰依が強 依」にいう「仏・法・僧」のうちの法(教え)及び僧(高弟)への帰依の重要性を説いている旨主張する。 しかし,そもそも「三宝帰依」自体がXの説いた教義であって,以前は,仏すなわちXへの絶対的帰依が強調されていたところ,現在は,Xと物理的に連絡が取れないため法(教え)及び僧(高弟)へ帰依することが重要であると説いているのであり,「我々の三宝帰依の土台というのは,やはりグル,X’尊師に対する帰依である」としているのである。 (b) Xへの絶対的な帰依及びXへの合一を説く修行等ⅰ 原告は,本件観察処分決定後の平成12年8月ころから平成13年1月ころにかけて,修行用ビデオテープ「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション3D」及び「ヒナヤーナ・ツァンダリー・イニシエーション3D」を作成し,これらのビデオテープは,少なくとも本件更新請求の直前である平成14年11月末までの間,構成員の修行の用に供されていた。 これらは,Xを「シヴァ大神と何ら変わることのない,全く同じである,グルの報身,法身,変化身」などとして,コンピューターグラフィックにより,原告の主神である「シヴァ神」の化身として描いたうえ,これを視聴する構成員に対し,Xの唱える説法,マントラ(「活動規定」では,「真言」と訳されている。)を聴かせ,自らを空にしてXとの合一をイメージするように指導するものであって,Xに対する絶対的な帰依及び同人との合一を説くものである。 そして,原告の機関誌「進化VOL.4」平成13年1月版には,平成12年12月23日に「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション3D」のビデオを視聴した原告構成員の視聴談が記載されていること,また,「進化VOL.5」平成13年2月版には,平成13年2月12日に「ヒナヤーナ・ツァンダリー・イニシエーション3D」のビデオを視聴した のビデオを視聴した原告構成員の視聴談が記載されていること,また,「進化VOL.5」平成13年2月版には,平成13年2月12日に「ヒナヤーナ・ツァンダリー・イニシエーション3D」のビデオを視聴した原告構成員の視聴談が記載されていること,平成14年11月14日,公安調査庁による東京都足立区保木間所在の通称「新保木間施設」の立入検査の際,「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション3D」のビデオテープが保管,使用されている事実が確認されたこと,これらのビデオテープを構成員に対してそれぞれ40万円で販売していること,全サマナ(出家信徒)を対象にこれらのイニシエーションの加行(修行を順番に進めていくこと)の進度の報告をさせていることなどが認められるから,少なくとも,本件観察処分決定の後,本件更新請求直前の平成14年11月までの間,これらのビデオテープが実際に構成員の修行の用に供されていたことは明らかである。 ⅱ 原告の主張に対する反論① 原告は,上記ⅰの各ビデオテープを本件更新請求の直前まで修行用に使用していたことは認めるものの,これらから視聴者が受ける影響は純粋に宗教上のものにすぎないと主張する。 しかし,上記(1)イのとおり,両サリン事件がXの宗教的な影響力の下で敢行されたのであるから,原告の上記主張は,そもそもXの影響力についての反論となり得ないものであるうえ,上記の各ビデオテープは,その内容からして,原告の構成員に対し,主神である「シヴァ神」そのものであるXに,全人格的,絶対的に帰依させることを目的とするものであることは明らかであるから,これらのビデオテープの使用は,原告におけるXの絶対性とその絶対的ともいえる影響力が維持されていることの一つの証左というべきである。 ② 原告は,これらのビデオテープは瞑想に際して形や色などをイメージす らのビデオテープの使用は,原告におけるXの絶対性とその絶対的ともいえる影響力が維持されていることの一つの証左というべきである。 ② 原告は,これらのビデオテープは瞑想に際して形や色などをイメージすることが苦手な構成員に時折参照させる程度のものであった旨主張する。 しかし,そもそも「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション」は,Xに対する絶対的な帰依心を扶植し,Xとの合一をめざす「マハームドラー・イニシエーション特別修行」において必要不可欠なものであり,現に原告は,平成15年3月24日から同年4月8日に行われた「マハームドラー・イニシエーション特別修行」に参加する構成員に対し,「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション」のビデオテープを持参するよう伝達し,これを構成員の修行の用に供しているのであって,ビデオテープがイメージの苦手な構成員に時折参照させる程度のものでないことは明らかである。 ③ 原告は,平成14年11月ころ,上記ⅰの各ビデオテープを改訂してXの画像を仏像の画像に替えた旨主張し,その改訂までの経緯について,本件更新請求の審査の際には,Xの画像を当初から削除する方針であったが,代替画像の検討と製作に時間を要したため,平成14年11月末に改訂版が完成した旨説明していた。 しかし,上記ⅰの各ビデオテープは,本件観察処分決定後の平成12年8月ないし9月ころ製作が開始され,平成13年1月までに完成したものであるが,当初から仏像の画像を使用することは容易であったはずであるのに,殊更Xを3D化した画像を使用したものであって,当初からXの画像を削除する方針であったとは到底認められない。また,原告は,その後,本件更新請求直前にようやくこれらのビデオテープに代わるテープを製作したとしているが,これには,Xの映像に替わり,仏像が挿入されてい 削除する方針であったとは到底認められない。また,原告は,その後,本件更新請求直前にようやくこれらのビデオテープに代わるテープを製作したとしているが,これには,Xの映像に替わり,仏像が挿入されているという改訂が行われているだけで,全体の構成,Xの位置付け,Xの音声による説法が記録されていることに変わりはなく,このような容易かつ軽微な改訂を本件更新請求に極めて近接した時期まで行い得なかったという主張も事実に反することは明らかであり,結局,同改訂は,観察処分更新決定の回避を目的とした偽装工作というほかはない。その上,この改訂によっても,説法内容に変化はなく,Xの音声が使用されていることなどに徴すれば,原告がXへの帰依という修行内容を真に実質的に変更しようとしていないことが如実に示されているというべきである。 (c) Xの脳波を注入すると称するヘッドギアの着用の奨励ⅰ 原告は,本件観察処分決定後も,Xの脳波を注入するとするヘッドギア(パーフェクト・サーヴェーション・イニシエーション。以下「PSI」という。)の着用を構成員に奨励し,また,主幹者であるAを始めとする幹部構成員自ら,これを着用して構成員に対する説法を行っている。 このPSIについては,本件観察処分決定後の平成13年8月ころ,小型化・軽量化・高性能化をうたった新型PSIが開発されているが,この新型PSIについても,原告は,構成員に対し,Xの脳波を注入するものである旨説明して,その着用を奨励している。 なお,原告においては,平成5年ころから,PSIを着用するとXの脳波が注入されてXと同じ瞑想状態に至ると喧伝され,着用が奨励され使用されていたものである。 ⅱ これに対し,原告は,新型PSIについて,「活動規定」の「PSIについては,実際は,同人(Xのこと)の脳波そのものではなく,それ 想状態に至ると喧伝され,着用が奨励され使用されていたものである。 ⅱ これに対し,原告は,新型PSIについて,「活動規定」の「PSIについては,実際は,同人(Xのこと)の脳波そのものではなく,それを加工しており」という部分を引用し,Xの脳波を使用したといわれている旧PSIとは全く異なる電気信号を使用しており,Xと同じ瞑想状態を作るものではなく,Xの脳波であると喧伝していない旨主張する。 しかしながら,「活動規定」の上記引用部分は,その内容自体,PSIがXの(加工した)脳波を注入するものであることを否定するものではない。 他方で,原告においては,本件観察処分決定後も,幹部が説法において,従来のPSIについて,「これなんかまさに尊師の脳波ですよ,脳波。脳に刻んでいるんですよ。」などと述べて,Xの脳波であることを喧伝して着用を奨励している。 そして,その後に開発されたとされる新型PSIについて,原告の機関誌「進化VOL.11」において「小型化,軽量化,高性能化」をうたい,さらに,サマナ用ホームページにおいて,「今回のパーフェクト・サーヴェーション・イニシエーションでは,脳波のデータが従来型のものと比べて変わっています。」,「本来純粋な脳波ではない部分,こうしたものを抑制することによって,逆にその脳波の部分をより大きく増幅して,(中略)波形の形はそっくりなんですが,振幅は約2倍ぐらいになっています。」などと説明したうえで,これに続けて効果が上がったことを強調する体験談を載せている。このように,原告は,新型PSIについて,PSIがXの脳波を注入するものであるということを前提とし,これをより純化したものとして,その着用を奨励している。 以上のように,原告は,本件観察処分決定後も,従来型及び新型のPSIをいずれもXの脳波を注入するものであると喧伝 であるということを前提とし,これをより純化したものとして,その着用を奨励している。 以上のように,原告は,本件観察処分決定後も,従来型及び新型のPSIをいずれもXの脳波を注入するものであると喧伝し(なお,PSIが真実Xの脳波を注入する効果があるか否かは問題ではない。),構成員に着用を奨励してXへの絶対的帰依を扶植しようとしている。このことも,原告においては,現在も,Xに絶対的に帰依することが根本原理であることを示すものというべきである。 (d) Xへの帰依心を扶植する修行等ⅰ① 原告は,本件観察処分決定後も,「アストラル・セラピー・イニシエーション」や「ピラミッド・イニシエーション」,あるいは「「懺悔の詞章」思念不変連続セミナー」の儀式を実施している。これらは,対象者を精神的・身体的に疲弊した状態に陥らせる手法を用いて,Xに対する絶対的帰依心を扶植するものである。 また,「修法」と称して,Xが唱えるマントラの声を録音したCDやカセットテープを再生し続けている室内に一定期間飲食品を保管し,これにより飲食品が浄化されたものとして,その飲食品を構成員に摂取することを奨励している。 ② これに対し,原告は,「ピラミッド・イニシエーション」,「「懺悔の詞章」思念不変連続セミナー」,「マントラによる修法」などについて,その内容はXへの絶対的な帰依を説くものではない旨主張する。 しかしながら,原告は,「ピラミッド・イニシエーション」や「「懺悔の詞章」思念不変連続セミナー」において,構成員を精神的・身体的に疲弊した状態に陥らせる手法を用いどのようなことを説いているのかについて,何ら主張しておらず,そのような手法を用いる目的として,Xへの帰依心を効果的に強く扶植しようとすること以外のものがあることをうかがわせる事情は一切なく,これらを体験した者の体 いているのかについて,何ら主張しておらず,そのような手法を用いる目的として,Xへの帰依心を効果的に強く扶植しようとすること以外のものがあることをうかがわせる事情は一切なく,これらを体験した者の体験談の内容からしても,これらの儀式がXへの帰依心を効果的に強く扶植させる目的で行われていることが優に認められる。 また,「マントラによる修法」については,構成員に対し,Xの唱えるマントラにより飲食品が浄化されると称して,Xの唱えるマントラの声の録音を再生し続けている室内に保管した飲食品を摂取させているのであるから,「マントラによる修法」が現在も行われているということ自体,構成員がXを絶対者ととらえていることを示すとともに,「マントラによる修法」の目的が構成員のXへの帰依心を強固なものとすることにあるのは明らかである。 ⅱ 原告は,平成13年9月21日付けの「通達」で,「空間の浄化や記憶修習を進めるために,各部屋においてマントラか説法ビデオを常時流すようにしてください」として,Xの唱えるマントラやXが説法を行っている様子を録画したビデオを常時流すことを奨励している。 現に,公安調査官の立入検査の結果,本件観察処分決定後も,多数の施設において,Xの唱えるマントラの声が施設内に常時流されていることが確認された。また,警察による捜索においても,Xが昭和62年1月4日に丹沢集中セミナーで行った「ポア」についての説法のビデオテープや,Xが全国各地で行った,「ヴァジラヤーナコース教学システム教本」に掲載されている説法56話すべてが録音されたカセットテープが発見されている。 そして,平成14年10月29日に実施された通称「大阪施設」への公安調査官の立入検査においても,同年8月2日ころ同施設内で開催された「ミニセミナー」において,構成員が祭壇脇に設置されたテ ている。 そして,平成14年10月29日に実施された通称「大阪施設」への公安調査官の立入検査においても,同年8月2日ころ同施設内で開催された「ミニセミナー」において,構成員が祭壇脇に設置されたテレビ画面に映し出されたXの画像を見ながら修行する様子が,パソコン内の動画ファイルに記録されているのが確認されている。また,同年4月9日から同年9月26日までの間に行われた警察による捜索で,6施設において計7回にわたり,テレビモニターでXの映像が放映されているのが確認されている。 なお,平成14年10月6日及び同年11月5日及び6日に放映されたテレビ番組においても,同年9月14日以降,通称「西荻施設」(東京本部道場)で,Xの説法ビデオが上映されている様子が報じられている。 ⅲ 原告においては,本件観察処分決定後も,多数の施設で,Xの著作又は「尊師ファイナルスピーチ」などの説法集などが書棚などに並べられていることが確認されているほか,平成12年10月31日から平成14年9月26日までの間に行われた警察による捜索では,延べ18施設で,Xの写真が掲示ないし保管されているのが確認されている。 また,本件更新決定後,原告は,「尊師ファイナルスピーチ」の改訂版として「ファイナルスピーチ(改訂版)3」分冊1ないし5を発刊したが,これらはいずれもXの説法を記載したものであり,その中には,Xとの合一を説くものや,一般的な戒律を無視しても,Xの意思を実現することの重要性を説くものも含まれている。なお,原告は,この改訂は,Xが説いた教義を変更するものであって,Xの位置付けを改める「教団改革」の一環であるかのような主張をしているが,この改訂後の「ファイナルスピーチ」がXの説法集そのものであるうえ,Xへの絶対的帰依やXへの合一を説くものが含まれていること自体,原告にお を改める「教団改革」の一環であるかのような主張をしているが,この改訂後の「ファイナルスピーチ」がXの説法集そのものであるうえ,Xへの絶対的帰依やXへの合一を説くものが含まれていること自体,原告において,Xへの絶対的帰依が根深く維持されていることを示しているというべきである。 次に,原告の「活動規定」には,「旧団体代表の写真,イラスト,その他その肖像を表わしたもの(中略)は,本団体施設の祭壇および個人所有の祭壇に備えつけないこととする」と記載されているが,本件更新決定後の平成16年2月6日に行われた東京都世田谷区の通称「南烏山施設」への立入検査において,Aの居室の祭壇にXの写真が飾られているのが確認されている。 さらに,本件更新決定後の平成16年3月7日,Bが,通称「西荻施設」における説法で,「「心の祭壇にグルを飾ろう」という運動を始めて。あの,実際の祭壇に飾れないんだったら,心に飾ろうではないかということを始めたんですけども。(中略)本来あるべきところにあるべきものがないということが,(中略)いかにね,それがあの実践にとっては妨げになるんだということの意味を自分が実感する出来事があってね。」などと,祭壇にXの写真を飾らないことは望ましくなく信仰の障害であると述べている。 これらの事実も,原告におけるXへの帰依の根深さを示すものである。 (e) 原告はXの意思に基づいてその活動を決定しようとしていること原告においては,上記(a)ないし(d)のとおり,本件観察処分決定後も,構成員のXへの絶対的帰依を維持・強化していることは明らかであるが,これに加え,原告は,現実に,Xの意思に基づいてその活動を決定しようとし,あるいは,Xの意思を推し量って活動を決定している。 すなわち,原告は,Xが勾留中であることから,本件観察処分決定後本件更新請求 加え,原告は,現実に,Xの意思に基づいてその活動を決定しようとし,あるいは,Xの意思を推し量って活動を決定している。 すなわち,原告は,Xが勾留中であることから,本件観察処分決定後本件更新請求までの間,一般の構成員をしてXの公判の傍聴を勧めるとともに,公判中の原告の構成員の支援を担当している構成員に公判廷でのXの言動を微細に至るまで詳細に記録させ,Xの言動を細大もらさず把握しようとしている。 また,原告は,本件観察処分決定後,過去のXの指示に基づいて「Z」の名称を使用し,Xの過去の説法に基づき,今後の基本方針を「宗教と科学の合一」とするなど,Xの意思を推し量ってこれに基づき活動を決定している。 cXの影響力は全般的かつ絶対的であること上記aのとおり,原告においては,構成員は,自らの意思を捨てて,Xの意思に従って全行動を決定するというのが,その団体としての本質である。換言すれば,原告及びその構成員の行動は,すべて,Xの意思に従い決定されるのであるから,原告の活動に対するXの影響力は絶対である。Xへの絶対的帰依をその教義の核心とするのが原告の本質であるから,Xの原告に対する影響力が希薄化するとか限定されたものにとどまるということは,およそあり得ない。 こうした原告におけるXの影響力の絶大さは,両サリン事件を始めとする事件に対するXの影響力にも現れているところであるし,本件観察処分後の外形的事象にも現れているというべきである。 また,上記(1)ウのとおり,原告においては,本件観察処分決定後,Xの絶対者性の変更が構成員の反発を招きおよそ実現不可能であるために,原告の「教団改革」なるものの方針を変更せざるを得なくなったことが認められるが,このことも,Xへの絶対的帰依が原告の本質であり強く維持されていることを如実に示している。 このよ 可能であるために,原告の「教団改革」なるものの方針を変更せざるを得なくなったことが認められるが,このことも,Xへの絶対的帰依が原告の本質であり強く維持されていることを如実に示している。 このように,原告は,Xの意思がすべての行動を決定することを本質としている団体であり,現に,本件観察処分決定後においても,説法などにおいて,Xを主神である「シヴァ神」の化身としてこれに絶対的に帰依することを維持・強化しているのであるから,団体としての原告の行動のよりどころはXの意思であり,したがって,原告の活動に対するXの影響力は全般的・絶対的というべきである。 dXの影響力の危険性上記のとおり,原告においては,現在も,Xが原告の活動に絶対的ともいえる影響力を有しているが,Xを首謀者として敢行された無差別大量殺人行為である両サリン事件を始めとする,原告が敢行した幾多の重大犯罪が,絶対者であるXの影響力の下に敢行されたものであることに徴すれば,Xの上記影響力は,原告が再び無差別大量殺人行為に及ぶ危険な要素を保持していることを意味するものである。 その上,Xは,依然として,公判廷において,これらの重大犯罪に対する自らの関与を否定したままであり,同人が今後どのような言動に出るか全く予測ができないこと,後記(5)アのとおり,Aらが現在も両サリン事件を正当化したり,Xの影響下で「サリン量産プラント建設事件」,「武器等製造法違反事件」などの重大犯罪に関与した以前の構成員が原告に復帰していることなども併せ考慮すれば,原告が将来X又は同人の影響を受けた者の言動あるいはXに対する刑事被告事件の推移によっては,原告が再び無差別大量殺人行為に及ぶ危険性も現実的に小さくないものといわなければならない。 現に,ロシア人信徒Jらは,X及びその教義への帰依に基づき, るいはXに対する刑事被告事件の推移によっては,原告が再び無差別大量殺人行為に及ぶ危険性も現実的に小さくないものといわなければならない。 現に,ロシア人信徒Jらは,X及びその教義への帰依に基づき,X奪還未遂事件を敢行している(以下「J事件」という。)。同事件は,Jが,平成11年3月ころから平成12年6月ころまでの間,自動小銃,手りゅう弾,爆薬等を準備してXの奪還を企てたというものであり,同年7月,同人がロシア連邦保安庁に逮捕されたため,同人によるXの奪還は実現に至らなかった。しかし,Jの活動資金は,原告の宗教活動をロシアにおいて展開させるための事業資金として,当時「長老部」メンバーとして原告の役員たる構成員であったKによって提供されたものであった(後記(5)アc参照)。Jは,X及びその教義に帰依する者であり,X及びその教義への帰依に基づきこれらの事件を敢行したのであるが,このことも,X及びその教義に対する絶対的帰依自体が,無差別大量殺人行為に直結し得るものであることを如実に表している。 ウ原告の主張に対する反論a 宗教上の影響力について(a) 原告は,Xの原告に対する影響力は,「純粋な宗教上の影響力」にすぎないとか,原告においては,Xの良い部分について称賛し学び取る(原告は,Xに絶対的に服従する(絶対的に帰依する)というのではなく,原告の良い部分を称賛すればその部分を身につけることができるという意味での帰依を,宗教的帰依と表現したうえで,原告においてはXに対する宗教的帰依があるとする。)こととし,「綱領」及び「活動規定」において,経典の解釈やイニシエーションのうち事件と無関係なものだけを採用することや,事件と無関係な部分についての宗教的な側面における評価も,Xが犯罪を指示した場合には,一切取り消すこと(したがって,Xから違法行為 釈やイニシエーションのうち事件と無関係なものだけを採用することや,事件と無関係な部分についての宗教的な側面における評価も,Xが犯罪を指示した場合には,一切取り消すこと(したがって,Xから違法行為を指示されたとしてもこれには従わないこととした。)などを定めているから,Xの影響力は「宗教的影響力」であるとして,本法5条1項1号には該当しないなどと主張する。 (b) しかしながら,原告の上記主張は,本法5条1項1号の「影響力」を,「無差別大量殺人行為の首謀者が,将来,再び無差別大量殺人行為の実行を命じ,団体の構成員らにその準備行為に着手させるに足りる影響力」と解釈することを前提とするもののようであるが,同解釈が失当であることは,上記アのとおりである。 (c) また,Xの影響力が宗教上の権威等に基づくものであるからといって,本法5条1項1号の要件を充足しない理由にはなり得ない。 すなわち,Xの原告に対する影響力は,宗教団体である原告におけるXの宗教上の地位・権威に由来するものであっても,同号の影響力とは,団体の活動の方向性を左右し,あるいはその内容に変化を生じさせる力をいい,その力の源泉がどのような事情を理由とするものであるかは問わないのである。原告が,宗教上の権威等に基づく影響力は同号の影響力に当たらないと解釈するのであれば,両サリン事件が正にXの絶対的な宗教的影響力により敢行されたことに徴しても,それが不合理な解釈であることは明らかである。 bXが拘置されていること原告は,Xの影響力がないとする根拠として,Xの9年に及ぶ拘置期間中,Xの指示命令とは関係なく,原告が教団運営を行っていること,Xは接見を禁止されており,原告は構成員に公判傍聴を自粛させているから,Xが構成員に指示を伝えることはできないことを挙げる。 しかし,影響力を有する 令とは関係なく,原告が教団運営を行っていること,Xは接見を禁止されており,原告は構成員に公判傍聴を自粛させているから,Xが構成員に指示を伝えることはできないことを挙げる。 しかし,影響力を有するとは,本件に即していうと,Xが何らかの意思表示をしたときに,団体構成員がその言動に左右され,主として,その言動に沿って行動することを意味する。したがって,そもそも,原告の団体としての活動がXの言動に左右され,Xの言動に従って決定されていることを要するものではないから,X身柄を拘束されていたことや意思疎通がなかったことは問題とはならない。そして,原告においては,Xの意思がその行動のすべてを決定することを本質とし,現に,本件観察処分決定後においても,Xの主神である「シヴァ神」の化身としての絶対者性とこれに対する絶対的帰依が維持され,団体としての活動を決定するため,拘留中のXの意思を把握しようとし,あるいはその意思を推し量ってその活動を決定していることも認められるのである(したがって,原告がXの言動によって,再び無差別大量殺人行為に及ぶおそれも十分認められる。)。そうすると,原告に,本法5条1項1号に該当する事由があることは明らかであるというべきである。 なお,原告は,Xが接見を禁止されているうえ,原告は公判傍聴を自粛しているから,Xが構成員に指示を伝えることはできないと主張する。しかし,Xが公判廷などにおいて自らの意思を表明し,信徒に伝えることは事実上可能である。 本件更新請求に近接して公判傍聴が自粛されたものの,本件更新決定後は再び構成員による公判傍聴が開始されている。このことは,原告の公判傍聴の自粛が観察処分の更新を回避するための手段にすぎなかったことを如実に示すだけでなく,原告が公判廷などにおけるXの言動などからその意思を把握することが可能 が開始されている。このことは,原告の公判傍聴の自粛が観察処分の更新を回避するための手段にすぎなかったことを如実に示すだけでなく,原告が公判廷などにおけるXの言動などからその意思を把握することが可能であって,現にそうしようとしていることを示すものともいえる。なお,そもそも,Xの影響力が発揮されるために,同人と物理的な接触や直接的な言動が必須のものではないことも上記のとおりである。 エ以上のとおり,原告において,Xは絶対的帰依の対象であり,また,本件観察処分決定後もXへの帰依心を扶植する修行が行われ,原告の活動もXの意思に基づいて決定されようとしており,Xの全般的かつ絶対的な影響力が継続していることが明らかである。 したがって,本法5条1項1号の要件が存することは明らかである。 (4) 本法5条1項2号及び3号該当性アaXが,両サリン事件に首謀者として関与したこと,当時原告の役員であったことは,前記のとおりである。 そして,①Xは宗教団体である原告においてその教祖であること,②原告においては,現在,表面的にはともかく,実質においてXを「尊師」又は「グル」と尊称し,主神である「シヴァ神」の化身と位置付け,これに対し絶対的に帰依することとされており,同人が,現在も,原告における絶対者としてその活動に対する影響力を保持していること(上記(3)イ),③Zという名称の決定や基本方針を「宗教と科学の合一」としたことに端的に現れているとおり,原告はXの意思を推し量りつつこれに基づいて活動していると認められる(上記(3)イb(e))。 これらの諸事情からすれば,依然として,Xは,原告の主宰者であり,代表者たる役員であって,かつ,その構成員であると認められるから,本法5条1項2号及び3号に該当する。 b なお,本法5条1項3号の「役員」とは,「団体の れば,依然として,Xは,原告の主宰者であり,代表者たる役員であって,かつ,その構成員であると認められるから,本法5条1項2号及び3号に該当する。 b なお,本法5条1項3号の「役員」とは,「団体の意思決定に関与し得る者であって,当該団体の事務に従事するもの」と規定されている。 Xが原告の「意思決定に関与し得る」ことは,Xの絶対的な影響力などから明らかである。また,「団体の事務に従事する」との要件は,一般的には,団体の維持・運営に資する仕事に携わることであるが,意思決定の権限の強い者は,必ずしも具体的な事務処理行為を分担し,直接的に個々の事務的行為に携わることを要しない。団体の基本方針を示し,具体的な個々の事務の遂行行為を他の者に行わせている場合も「事務に従事する」に該当するというべきである。 もっとも,最近,Xが原告の活動に関し具体的な明示の指示を行ったということは認められない。しかし,上記aのとおり,Xは,原告の活動に絶対的な影響力を有し,原告の構成員は,幹部から末端に至るまで,Xが指示・判断を行えば,どのようなことであっても,それに従って行動するのであり,現にXの過去の言動に基づき,その意思を推し量りながら,原告の活動方針が決定されている。 他方,Xにおいても,原告の構成員がXの意思に従って活動していることは,十分に認識していると考えられる。 そのため,Xは,構成員に具体的な指示を行う必要は必ずしもないのである。 このようなXの絶対性に基づく原告の実態に照らせば,Xが近時具体的な指示を行っていないとしても,それは,Xが決定した原告の基本方針を変更する必要がないとXが指示しているということにほかならず,原告の構成員は,その指示に従って,Xが決定した原告の基本方針を変更することなく原告を運営しているものというべきである。このように,X を変更する必要がないとXが指示しているということにほかならず,原告の構成員は,その指示に従って,Xが決定した原告の基本方針を変更することなく原告を運営しているものというべきである。このように,Xは,単に原告の意思決定に絶大な影響力を有している(影響力を有しているというためには,他人の意思決定を左右することができれば足り,それ以上に,自己の意のままに,他人に意思決定させることができることまでは要しない。)というにとどまらず,原告の構成員は,Xが何らかの判断・指示を行えば,すべて,それに絶対的に従い,Xが具体的な判断・指示をしない限り,Xの直近の判断・指示(及びそれらから推定される現在のXの意思)に従うのであるから,現在も,Xは,原告の意思決定を行っている者として,原告の代表者であるというべきである。 イ原告の主張に対する反論a 原告は,Xが実際に影響力を行使して実質的に教団の運営を行っていないから「役員」ではないし,また,同人は身柄を拘束され,長期間原告と連絡を取れない状況にあることなどから「構成員」でもない旨主張する。 しかし,上記(3)のとおり,原告は,Xを教祖・創始者とするYの教義を広め,これを実現することを目的とし,同人が主宰し,同人及び同教義に従う者によって構成される団体であるところ,現在も,その構成員はXの説く教義を信奉し,Xは,その構成員の絶対的帰依の対象であって,その構成員に対して絶対的ともいえる影響力を有し,その構成員は,Xの指示・命令があれば,どのようなことであっても,それに従って行動することは明らかである。そして,上記(3)イb(e)のとおり,原告は,一般の構成員をしてXの公判を傍聴させるほか,公判中の原告の構成員の支援を担当する構成員に公判廷におけるXの言動を微細に至るまで記録させて報告させ,Xの言動からそ (3)イb(e)のとおり,原告は,一般の構成員をしてXの公判を傍聴させるほか,公判中の原告の構成員の支援を担当する構成員に公判廷におけるXの言動を微細に至るまで記録させて報告させ,Xの言動からその意思を把握しようと努め,また,上記アaように,Xの意思を推し量り,これに基づいて活動しているのであるから,Xは原告の主宰者であり,代表者たる役員であって,かつ構成員であることは明らかである(X自身も,現在に至るまで,原告の代表者たる地位を離れる意思を表明したこともない。)。 b 原告は,本法5条1項2号及び3号に該当するには,実質的に当該団体に無差別大量殺人行為に及ぶ具体的危険性があることが必要である旨主張する。 しかし,本法5条1項2号及び3号の要件該当性の検討に当たり,具体的危険性が必要であるとする原告の解釈が失当であることは,前記のとおりである。 (5) 本法5条1項5号該当性ア原告においては,上記のとおり,両サリン事件の首謀者であり,現在も同事件への自己の関与を否認しているXが原告の活動に絶対的ともいえる影響力を有し,Xの指示があれば殺人を行うことも正当化される危険な教義を保有しているほか,出家信徒に係る位階制度やホーリーネームの授与,集団居住形態など従前と同質の組織構造を維持していること,両サリン事件当時,原告においては,「マハームドラーの修行」がXの意思に絶対に従うことと位置付けられ,現にその名の下に両サリン事件が敢行されたものであるところ,原告は平成13年8月ころから,その内容が従前のそれと全く同一といえるかどうかは別として,「マハームドラー・イニシエーション特別修行」を再開していること,以下のとおり,原告の幹部信徒は両サリン事件を正当化していること,いわゆる「サリン量産プラント建設事件」や「武器等製造法違反事件」を敢行して ムドラー・イニシエーション特別修行」を再開していること,以下のとおり,原告の幹部信徒は両サリン事件を正当化していること,いわゆる「サリン量産プラント建設事件」や「武器等製造法違反事件」を敢行して服役した構成員を含め,両サリン事件が行われた時に構成員であった者を現在も多数構成員として擁していること,ロシア人信徒Jらが,X及びその教義への帰依に基づき,J事件を敢行していることなどの事実が認められるのであって,これらによれば,X又は同人の影響を受けた者の言動あるいはXに対する刑事被告事件の推移によっては,再び無差別大量殺人行為に及ぶ危険性が十分に認められ,原告は5号の要件に該当すると認めることができる。 a 原告の幹部信徒が両サリン事件を正当化していること(a) Aは,平成13年8月,通称「南烏山施設」における説法で,「(Yの)事件に関係して弾圧された人たちは,先駆けの人達である。」,「(Yが)無差別大量殺人をしたと言うけれども,それはカルマとして日本自体が資源を無差別大量搾取していたからだ。あれはカルマが返ってきた事件である。」などと述べ,両サリン事件は他国から無差別大量搾取を行った日本人のカルマを落とすためのものであるなどとこれを正当化する旨の発言をした。 (b) また,Aは,平成14年2月9日,通称「船橋施設」における説法で,「根本的な原因は,彼らに煩悩があって,解脱していなくて転生していて,簡単に言うと,要するに,覚醒していないからだ。」,「教団を事件でやめた人は,絶対的真理,つまり苦しみの根本原因が理解できておらず,本当の意味での四無量心がなかった」などと述べ,両サリン事件は被害者を煩悩から解放するためのものであり,両サリン事件に関わり原告を離脱したことは正しくない旨の発言をした。 (c) さらに,A 当の意味での四無量心がなかった」などと述べ,両サリン事件は被害者を煩悩から解放するためのものであり,両サリン事件に関わり原告を離脱したことは正しくない旨の発言をした。 (c) さらに,Aは,同説法において,「事件後の帰依とはなんだったのか。事件に関して,グルの責任を強調するのではなく,弟子の責任を強調することであろうと思う。そういう形で,グルと教えを守る。」などと述べ,両サリン事件に関しては弟子の責任を強調することによってXを守るべきであるとする趣旨の発言をしている。 (d) 警視庁が平成14年7月5日に通称「名古屋施設」の捜索を実施した際に押収した「道場活動1016-2.txt2001/10/17」と題する文書中に,Aが「サマナの心構え」について15項目にわたり指導した内容の記述があり,その中には「5 事件に関して,本質的なこと ② 善悪というものは相対的なもの。現世の観念からすると,事件の責任に対して無責任であるかのように響くが,真理の法則ではそうではない。カルマの法則を前提にすれば,絶対的な加害者・被害者というのは存在しない。被害者の苦しみの裏には,その人の悪業がある。」との記載がされている。 (e) 以上のとおり,原告においてXに次ぐ地位にあるとされるAが両サリン事件を正当化してXを擁護すべきであるなどと原告の信徒に対して述べているのであって,このことだけからも,原告の危険性はなお大きいといわなければならない。 b いわゆる「サリン量産プラント建設事件」や「武器等製造法違反事件」を敢行して服役した構成員を含め,両サリン事件が行われた時に構成員であった者を現在も多数構成員として擁していること(a) 原告は,平成8年6月21日,意思決定機関として,D,B,E,F,C,G及びKによって構成される「長老部 め,両サリン事件が行われた時に構成員であった者を現在も多数構成員として擁していること(a) 原告は,平成8年6月21日,意思決定機関として,D,B,E,F,C,G及びKによって構成される「長老部」を設ける旨表明し,平成12年2月4日には,「宗教団体・Z」を発足させたと称し,Bが代表者に就任し,A,B,E,F,C,G及びH(以下「H」という。)が参加する「正悟師・正大師会合」(「正悟師・正大師会議」又は「アラハット・サマージャ」ともいう。)を開催する旨発表し,以後,「長老部」,「正悟師・正大師会合」において,Xの意思に基づき,あるいはこれを推し量り,具体的な活動を決定していたが,「長老部」及び「正悟師・正大師会合」を構成している者は,以下のとおり,いずれも両サリン事件以前から現在に至るまで原告の幹部構成員の地位にある。 このうち,Aは,国土利用計画法違反等の罪に問われた教団関係者の刑事責任を免れさせる目的で,裁判所に提出する書類を偽造して行使したり,教団関係者に偽証させたことにより,懲役3年の有罪判決を受けて服役したが,平成11年12月29日に出所し,現在は原告の主幹者として活動を続けている。 また,Hは,「サリン量産プラント建設事件」等に関与して有罪判決を受け,服役した後,平成11年12月6日に出所して,現在も原告の構成員として活動を続けている。 (b) 一般構成員についてみると,現在,原告の構成員は,国内に約1650名(出家約650名,在家約1000名)及びロシア連邦内に約300名がおり,出家信徒の約97パーセントに当たる約630名及び在家信徒の約75パーセントに当たる約750名は,平成6年6月の松本サリン事件以前に原告に加入し,現在に至るまで原告の構成員として活動しているものである。 また,平成7年3月の地下鉄サリン事件以降に 家信徒の約75パーセントに当たる約750名は,平成6年6月の松本サリン事件以前に原告に加入し,現在に至るまで原告の構成員として活動しているものである。 また,平成7年3月の地下鉄サリン事件以降に逮捕された原告構成員は441名であるが,本件更新決定時において,そのうち409名が既に釈放され,Aのほか,「サリン量産プラント建設事件」や「武器等製造法違反事件」に関与した7名(上記Hを含む。)を始め,少なくともその3割に当たる119名が原告に復帰しているなお,本件更新決定後,松本サリン殺人幇助事件(殺人幇助・同未遂幇助)及び犯人隠避にかかるL等に対する逃走支援事件(犯人隠避)で懲役4年6月に処せられたYA,サリン量産プラント建設事件(殺人予備)及び教団附属医院薬剤師M殺人事件(殺人・死体損壊)で懲役7年に処せられたN,サリン噴霧車製造事件(殺人幇助・同未遂幇助)及びサリン量産プラント建設事件(殺人予備)で懲役8年に処せられたPがいずれも原告構成員に復帰している。 c 本件観察処分決定後にJ事件が発生したこと(a) 原告は,平成4年7月ころから,X及びロシア支部大臣であったAを始めとする正大師,正悟師等の位階を持つ構成員などがロシア連邦に赴くなどして,同地における布教活動に努め,平成7年4月ころまでには数万人の構成員を獲得した。Jは,その際,原告の構成員となった。 (b) Jは,本件観察処分決定後,Xが拘束されている状況下にあって,同人の奪還を決意し,その準備をしたが,着手前に逮捕されたので,奪還には至らなかった。 Jは,Xの奪還を決意した経緯について,その手記で,「救済者の自由は,疑いなく救済のためになる。」,「尊師自身は,絞首刑になったり,長年にわたり監獄で過ごすために地球にやって来たのだと語ったことは一度もない。逮捕されるまで,尊師 いて,その手記で,「救済者の自由は,疑いなく救済のためになる。」,「尊師自身は,絞首刑になったり,長年にわたり監獄で過ごすために地球にやって来たのだと語ったことは一度もない。逮捕されるまで,尊師は信徒たちに対し,グルを守ることができないならば,次の人生はグルなしで生まれることになろう,と話していた」,「私は興味深い夢を見た。尊師の夢を見たのだ。尊師は私を見て,手で指し示し,こう言った。「お前は,私を(監獄から)解放せねばならない」」などと述べていた。 (c) Jは,Xを奪還するべく,協力者を集め,平成11年10月及び同年11月の2度にわたり,当時,原告の長老部を構成していたKから,原告のロシアにおける事業資金の名目で,それぞれ3万米ドル及び900万円を受け取り,平成11年3月ころから平成12年6月ころまでの間,この資金等を利用して,銃器及び弾薬を入手し,時限装置付き爆発物を製造したうえ,射撃訓練や爆発実験を行った。 Jは,平成12年3月2日から同月14日までの間,本邦内に滞在し,自家製爆発装置の設置場所等を下見して写真撮影するなどし,同年5月20日から6月22日までの間,X及びQの釈放を求め,これに従わない場合には老若男女を問わず日本国内で無差別の殲滅に着手し,テロ行為を行う旨の日本政府宛ての文書を作成した。 しかしながら,Jは,平成12年7月1日にロシアにおいて逮捕され,ロシア沿海地方裁判所において,武器,弾薬,爆発物及び爆破装置の違法な入手,譲渡,売却,保管,輸送又は所持の罪及び武器違法製作の罪等に基づき,8年の自由剥奪等の刑を言い渡され,他の協力者3名にも刑が言い渡された。 (d) J事件の動機,経緯は以上のとおりであり,この事件は,X及びその教義に絶対的帰依をすることが,たとえ,Xの具体的指示がなくとも,無差別大量殺人行為に直 ,他の協力者3名にも刑が言い渡された。 (d) J事件の動機,経緯は以上のとおりであり,この事件は,X及びその教義に絶対的帰依をすることが,たとえ,Xの具体的指示がなくとも,無差別大量殺人行為に直結し得る危険性を有するものであることを如実に表しているものである。 (e) 原告は,AらがJの計画に反対し阻止したことを強調する。 しかし,このことは,X及びその教義に対する絶対的帰依が無差別大量殺人行為に直結し得ることを何ら否定するものではない。J事件は,X及びその教義に絶対的に帰依することを本質とする原告の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性を示す一つの証左であるといわなければならない。 イ原告の主張に対する反論a 原告は,地域住民に施設を公開し,マスコミに対して定例記者会見を開くなど,広く社会に対して情報公開をしている旨主張する。 しかし,原告は,表面的には,「近隣住民の不安感解消のため」と称して,平成12年9月7日から平成14年12月3日までの間,地域住民に対し12施設を延べ34回にわたって公開してきたが,本件更新決定以降,原告が施設を公開した事実は認められない。 また,一般市民との対話の場とするとして,平成14年4月5日に設けた「千歳烏山国民対話室」についても,同年11月1日に閉鎖し,本件更新決定以降,「千歳烏山国民対話室」を再開した事実は認められない。 さらに,社会との融和を図るとして,平成14年1月15日から開始した「定例記者会見」についても,同年12月9日以降中止しており,本件更新決定以降,「定例記者会見」を再開した事実は認められない。 これらの経緯に照らせば,原告が実施してきた施設公開や「定例記者会見」の実施,「千歳烏山国民対話室」の設置は,本件更新決定を回避する目的で,「開かれた教団」を取り繕うために行われたものというほか これらの経緯に照らせば,原告が実施してきた施設公開や「定例記者会見」の実施,「千歳烏山国民対話室」の設置は,本件更新決定を回避する目的で,「開かれた教団」を取り繕うために行われたものというほかなく,旧Y当時と対応が変わったとは到底認められない。 b 原告は,公安調査官の立入検査,警察官の捜索が行われても,何ら無差別大量殺人行為に結び付くような危険な物が発見されていないことを前提として,地域住民とのトラブルは全く耳にしなくなっている旨主張する。 しかし,公安調査官の立入検査及び警察官の捜索によって,無差別大量殺人行為に結び付くような危険な物が発見されていないとしても,これまでるる述べたように,原告については,現在も無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事実が存在する。また,そのことを反映して,地域住民の不安感は切実かつ根深いものがあり,現在,原告の進出に反対する組織は,全国279自治体に356組織あり,全国各地の拠点施設では,地域住民らが施設の退去を求める集会やデモなどを展開している。例えば,通称「大阪施設」では,地域住民が「Y対策市民の会」を結成し,施設の即時退去と対策を求める要望書及び約7万4000人分の署名を大阪市長に提出したり,同施設周辺に進出反対を表明する幟を設置するなど,活発な反対運動が展開されている。 したがって,地域住民とのトラブルは全く耳にしなくなったとの原告の主張は,全く実態に反した主張であるというほかない。 (6) 本法5条4項の「必要性」の要件該当性ア必要性の要件の意義過去に団体の活動として無差別大量殺人行為を行い,現在もその属性として危険な要素を保持している団体については,通常,その活動状況を継続して明らかにする必要がある。しかし,本件5条1項各号のいずれかに該当はするものの,その危険 大量殺人行為を行い,現在もその属性として危険な要素を保持している団体については,通常,その活動状況を継続して明らかにする必要がある。しかし,本件5条1項各号のいずれかに該当はするものの,その危険な要素を払しょくするに足る特段の事情が認められる場合には,当該団体を観察処分に付す必要はないというべきであるし,また,観察処分に付さなくても,当該団体の活動状況が明らかであるような場合があるとすれば,そのような場合にも観察処分に付する必要はない。同条4項は,このような場合にまで観察処分を付すものではないことを明らかにしたものである。 原告については,以下のとおり,本法5条4項の必要性の要件を満たすものである。 イ必要性の要件が存することa 上記のとおり,原告は,本法5条1項1号から3号まで及び5号に該当するものである。しかし,原告には,危険な要素を払しょくするような特段の事情は全く認められないのみならず,原告には,上記(5)のとおり,実質的にも,無差別大量殺人行為に及ぶ危険性が認められる。また,次のような事情も認められるのであって,公共の安全を確保するために,その活動状況を明らかにすべき必要性が高いことは明らかである。 b 原告の閉鎖的,欺まん的体質は,以下のとおり,本件観察処分決定後も何らの変化がなく,その活動状況を把握することが困難な実情にある。そして,これに起因して,全国各地で地域住民が原告に対する恐怖感,不安感を抱いており,その結果,国に対して本件観察処分の期間の更新が要請されている。 (a) 原告は,本件観察処分決定後も,構成員を集団居住させ,閉鎖的な居住空間を形成して,親族をも含む外部との接触を困難にして,一般社会と融和しない独自の閉鎖社会を構築している。 (b) また,原告は,立入検査を含めた公安調査官による調査に対して,その実 せ,閉鎖的な居住空間を形成して,親族をも含む外部との接触を困難にして,一般社会と融和しない独自の閉鎖社会を構築している。 (b) また,原告は,立入検査を含めた公安調査官による調査に対して,その実効性を減殺するため,非協力的に対応することなどを記載した「ガイダンス新法」,「新法対応の手引き」,「立会検査問答例」と題する文書を発出するなどし,立入検査の際に「名前や居住者の人数を聞かれても答える義務はありません」とか,調査に対して「警察や公調の一般調査活動としての訪問等に応じなくても,罰則や不利益処分はありません」などと,指導している。 現に,原告の構成員は,本件観察処分に基づく公安調査官の立入検査の際に,非協力的な姿勢をとるばかりか,Xの説法を録画したビデオテープやXへの絶対的な帰依心を内容とする構成員作成のアンケート用紙を隠匿したり,立入検査のため公安調査官が施設を訪れるや,原告が既に回収済みである旨発表していた教本を戸外に投げ捨てたほか,通称「保木間施設」内でパソコンのハードディスクを入れ替えて,帳簿が保存されているハードディスクを隠匿しようとするなどして立入検査を妨害し,その活動実態を隠蔽しようとしている(立入検査に対し,ハードディスクを隠匿しようとしたり,名簿類等の書類を,シュレッダーにかける等の信徒がいることは,証人Cも供述している。)。 (c) このように,原告の体質はいまだ透明性に欠け閉鎖的であるというほかないから,本件観察処分を継続する必要性は高いものである。 c なお,本件更新決定後においても,原告構成員が公安調査官の立入検査に対して組織的かつ徹底的に非協力・妨害の姿勢を貫いている。このことは,原告の閉鎖的体質が変更し得ないものであることを明らかにするものであり,本件更新決定における判断の正当性を示すものである。 (原 対して組織的かつ徹底的に非協力・妨害の姿勢を貫いている。このことは,原告の閉鎖的体質が変更し得ないものであることを明らかにするものであり,本件更新決定における判断の正当性を示すものである。 (原告の主張)(1) 教団改革による無差別大量殺人行為に及ぶ具体的危険の不存在ア原告における無差別大量殺人行為に関する事件分析原告に無差別大量殺人行為に及ぶ具体的な危険性があるかどうかを論じるには,Yが引き起したいわゆるY事件がいかなる要因によって起きたのか,そして,原告が現在これを除去しているのかということを検証することが不可欠である。 そして,原告は,事件の要因を,①Xの宗教的指導者としての立場,②Xを神格化した予言の影響力,③Xに対する絶対的帰依を作り上げた人的関係,④事件の背景にあるタントラ・ヴァジラヤーナの教義の4つに分析している。 事件は,絶対化・神格化されたXからの指示と,それに無分別に追従したXに近い一部の出家信者によって起こされた。すなわち,②予言による神格化などによって,①Xの特殊な影響力が形成され,そうしたXの指示に③無分別に追従した一部の出家信者がいたから,事件が起きた。つまり,①②③の直接的要因は重なり合って起きたものである。 また,④タントラ・ヴァジラヤーナ(五仏の法則)の教義については,これは直接的要因ではなく,間接的要因として事件の背景にあり,事件に利用されたものと考える。タントラ・ヴァジラヤーナの中の五仏の法則といった教義は,他宗教にも存在するものであるが,他の教団がYのような事件を起こしていない事実からも明らかなように,五仏の法則を教義として保有しているだけでは事件というのは起こり得ない。実際,教義だけで事件が起きたと証言している事件関与者は皆無である。 イ事件要因の除去のための原告の改革努力前 かなように,五仏の法則を教義として保有しているだけでは事件というのは起こり得ない。実際,教義だけで事件が起きたと証言している事件関与者は皆無である。 イ事件要因の除去のための原告の改革努力前回東京地裁判決は,Xの影響力から真に離脱するには,「綱領」や「「宗教団体・Z」規約」(以下「規約」という。)を定めたり,各構成員から一片の誓約書を徴するだけでは到底足りず,更に濃密な努力が必要であると指摘したが,原告においては,以下のとおり,本件観察処分決定以降,単に「綱領」や「規約」を定めたりするだけでなく,濃密な努力を行ってきたのであり,前回東京地裁判決の上記指摘を受け,更に努力を続けた。 a 濃密な努力の経緯(a) 平成12年1月のミーティングと方針の提示ⅰ Aが平成11年末に教団に復帰してすぐ,正悟師を含む中心メンバーで今後の教団の方向性に関する議論が交わされたが,A復帰以降,こうしたミーティングは数え切れないほど行われてきた。 そして,平成12年1月に通称「横浜施設」で行われた教団の主要メンバーである正悟師と師の地位にある者たちを集めたミーティングにおいて,事件と予言の否定が行われた。すなわち,Aが,「グルも間違えることがあり,絶対的ではない。」ということを提示し,自己の経験に基づき,「自分は,国土法事件時にXから暴力行為の提案があったとき,それに強く反対したら,それに対して,Xが意見を変えて自分の意見に賛成したことがある。」と話したが,これは非常に説得力があり,そこに参加した者たちは,Xも絶対ではないということを実感した。こうした見解は,平成11年以前の教団では見られなかったものであり,Xが絶対ではないということによって,事件は肯定すべきではないという見方が確立された。 また,事件を引き起こした重要な要素として,Xの予言について ,平成11年以前の教団では見られなかったものであり,Xが絶対ではないということによって,事件は肯定すべきではないという見方が確立された。 また,事件を引き起こした重要な要素として,Xの予言についての信仰があった。この予言は,Xを神格化したが,平成12年1月の時点では,その予言が当たっていないことが明らかになっていた。正悟師の一人であるYBは,Xの予言を信仰するところがあったが,このときは積極的に,「Xの予言が当たっていないことを認め,予言信仰をやめるべきである。」という話をした。そして,このミーティング以降,予言を信じるものは「空想派」という烙印が押された。 なお,原告は,平成11年12月1日に「教団正式見解」を出し,事件被害者及び遺族に対して謝罪と補償を表明したが,それがまだ信者に根付いているとはいえなかった。しかし,上記ミーティングでは,Xが絶対ではないことが明示され,Xからの自立が確認され,事件の否定が再確認されたほか,謝罪と補償の路線が明らかにされた。多くの教団の中心メンバーが一堂に会し,その意思をお互いに確認しあった。 ⅱ 原告は,上記ミーティング後の成果として,平成12年1月18日,「事件に関する総合的見解表明及び抜本的教団改革の概要」を発表した。 原告では,これを対外的に発表するにとどまらず,上記ミーティング後,Aと6人の正悟師が,それぞれ担当するグループの出家信者のもとに行き,全出家信者に対して,一連の事件に関する事実関係等の事情説明を行い,全信者が事件を直視できるような働き掛けを始めた。それ以降,このような説明は,説法やミーティングの機会等に継続的に行われることになった。 原告は,このような話し合いを重ねる中で,新しい「綱領」と「規約」について申し合わせ,「Xの事件関与」,「Xを完全最終解脱者と認めないこと」,「 ティングの機会等に継続的に行われることになった。 原告は,このような話し合いを重ねる中で,新しい「綱領」と「規約」について申し合わせ,「Xの事件関与」,「Xを完全最終解脱者と認めないこと」,「違法行為の厳禁(あらゆる法令の遵守)」,「賠償への努力」,「事件再発防止のため,旧団体の教義のうち,一連の刑事事件に関係したとされる教義は一切破棄し,古代ヨーガ,原始仏教,大乗仏教を根本とした教義を新団体の教義とすること」等を定め,平成12年2月4日,新たに「宗教団体・Z」として再出発をすることになった。 (b) 「宗教団体・Z」発足後に行われた教団改革の浸透ⅰ このような教団全体の運営状況が変化した一つの象徴的な例として,備蓄食糧の処分がある。それまでは予言を絶対視する立場から,備蓄食糧の処分ができないままであったが,Xの予言排除が打ち出されたので,こうした食糧を消費し処分することができることとなった。 そして,平成12年4月ころから,Aによって原告の民主的な運営の必要性が提示され,その民主化の一環として,師以外のリーダーも含めた会合が定期的に開かれるようになった。これは,Xの絶対化・神格化の否定と連動して,Xを頂点とする上意下達の風習があった原告の体質を変えようとするものであった。そして,上の者が下の者の意見を聞くような風潮は強まり,会合の機会も多くなっていった。 ⅱ その後も,平成12年から平成13年の間に,正悟師・師を集めた会合で,A中心に事件否定と教団改革の話が繰り返された。 そこでは,事件は多くの人の意識を引き下げたのだからポワ(意識を高い世界に引き上げること)とは言えないこと,Xが武力革命を志していたとするなら,それはあまりに荒唐無稽で稚拙であり,結果的に多くの苦しみを招くことになったもので肯定できないこと,信者の側が選民的な意 世界に引き上げること)とは言えないこと,Xが武力革命を志していたとするなら,それはあまりに荒唐無稽で稚拙であり,結果的に多くの苦しみを招くことになったもので肯定できないこと,信者の側が選民的な意識を持って自分と社会を区別することは多くの苦しみを招くことなどが話され,教団改革の意識は高まって行った。 そして,こうした話は会合だけにとどまらず,原告内部にはホームページで「正大師特別寄稿」として発表され,外部にはマスコミ,書籍,ホームページで随時公表された。 (c) 前回東京地裁判決後の取り組みⅰ 平成13年6月13日の前回東京地裁判決で,教団改革が行われていることは認められたものの,濃密な努力が不足していると指摘されたので,原告では,より一層,教団の末端に至るまで改革を浸透させるべく努力することが重要であると考えた。 そこで,前回東京地裁判決の判決書の写しを全部署に配付し,その内容を全出家信者に対して解説した。その際,事件再発防止のための濃密な努力が不足していると指摘されたことについて,信者一同が反省し,今後はこれまで以上に再発防止に取り組んでいくことが必要だということを確認した。 また,Cの作成した事件の要因分析を記した陳述書の写しが,信者間の話し合いのために教団各部署に配付されたほか,原告のホームページに掲載され,全出家信者への周知が図られた。 ⅱ こうした中で,平成13年6月後半に開かれた正大師,正悟師,関東地方に住む師による会合において,各グループの一人一人が事件の反省や将来の再発防止を心がけていることがわかるようにしなければならない,そして,現状の信者の言動を分析して,単に表面的に事件を否定するだけでなく,心の中での完全な納得が必要であるということが話され,また,事件の否定が様々な例を挙げながら語られた。 また,Aは,参加者 そして,現状の信者の言動を分析して,単に表面的に事件を否定するだけでなく,心の中での完全な納得が必要であるということが話され,また,事件の否定が様々な例を挙げながら語られた。 また,Aは,参加者に対して,「再び事件を起こすということは,教団をつぶすに等しいことであるから,Xが再び事件を指示したら事件を起こすと言う者が,この中に万が一いるならば,その者はこの教団を去るべきである。」と強い調子で語り,すべての者が,いかなる条件の下でも,事件を再び繰り返さないことを確約することを迫った。Xが指示することも,それに従い実行することもあり得ないし,原告には事件を起こそうと思う者など一人もいないことは分かりきったことではあるが,Aには,原告の代表を引き受ける前に,念には念を入れ,事件の再発防止を絶対的に完全なものにしておきたかったという気持ちがあったものと思われる。 (d) 平成13年夏以降の教団改革の取り組みⅰ 原告は,平成13年6月から7月にかけて,出家信者に対して,単に教団が一連の事件に関与していたというだけではなく,Xが関与していたすべての事件の一つ一つについて,広報部・法務部が作成した大部の資料をもって,その事実を丹念に説明したうえで,事件の再発防止の方針を信者全体において,固めていった。 また,事件否定については,指導者間で何度も話し合われ,その見解が固められてから,出家信者全体に対して働きかけをすることになった。そして,このような働きかけは,Aだけでなく,正悟師や師といった原告内で指導的立場にある者が,自分の担当するグループの信者を集めて,説法やミーティングの機会に,原告全体で継続的に行われた。 この事件否定の説法は,平成14年8月から12月にかけて,Aだけでなく,全正悟師によって行われ,それはビデオやCDとして各部署に配布され ,説法やミーティングの機会に,原告全体で継続的に行われた。 この事件否定の説法は,平成14年8月から12月にかけて,Aだけでなく,全正悟師によって行われ,それはビデオやCDとして各部署に配布された。 ⅱ 平成13年8月には,新たな教団改革が始まった。すなわち,①自治体・地域住民に対する施設公開・情報提供を積極的に行なう,②Xの公判の傍聴を自粛する,③危険とされている教材は回収・改訂する,④事件再発防止のために教団の活動規定を導入することが打ち出され,原告は,同月24日の記者会見で,「2001年度教団改革の指針」として,マスコミにも発表したが,ここでは,Xからの自立が強く打ち出されている。 ⅲ それ以降も,100名以上のリーダーが集まるリーダーの会合(「救済者サマージャ」と呼ばれている。),その会合が放映された教団内のテレビ放送,「シヴァ大神祭」という全出家信者が出席する祭典で,事件否定,違法行為の否定の内容が繰り返し打ち出されるとともに,Xから自立しなければならないことも,繰り返し話された。 この中で,Aは,J事件を批判し,「自分の目が黒いうちは,信者にこういった違法行為は絶対にさせない。彼ら以外にそういう者が日本やロシアにいるとは思わないが,万が一そうしようとするものがいるならば,そうする前に,まずはわたしの屍を超えていかねばならない。」といった激しい表現で,事件否定を行った。こうしたAの毅然とした態度は,信者に支持され,以前から存在していた事件否定の意識はより高まることになった。 ⅳ そうした流れを受けて,平成13年8月29日に会員総会が招集され,Xの位置付けについて改めて見直しが行われ,「綱領」が以下のように改められた。 「6 最終完全解脱者である真理勝者と,X’旧代表の位置付け本団体は,シヴァ大神をはじめとする諸々の真理勝者 招集され,Xの位置付けについて改めて見直しが行われ,「綱領」が以下のように改められた。 「6 最終完全解脱者である真理勝者と,X’旧代表の位置付け本団体は,シヴァ大神をはじめとする諸々の真理勝者を完全なる解脱・悟り(最終完全解脱)をなした存在と信じる。本団体の教義においては,存命中のいかなる人間も,完全なる解脱・悟り(最終完全解脱)をなした存在ではない。X’旧団体代表については,同人が旧団体においてなした仏教・ヨーガ等の経典の解釈(具体的な瞑想修行法なども含む)やイニシエーションのうち,事件と無関係なものを採用したが,本団体の意思決定に具体的,現実的な影響を与える,団体代表・役職員・構成員ではない。」このように,Xを最終完全解脱者とは認めないこと,Xが教団の意思決定に具体的,現実的な影響を与える立場にないことを明文化することによって,Xの非絶対化と同人からの自立,そして事件の再発防止に資することができるとの認識をすべての信者が確認した。また,同時に「規約」の改正を行い,信者の霊的ステージを役員会で決定・変更する旨を明文化し,Xからの自立が進むことになった。 (e) 平成14年1月にAが代表に就任した以降の取り組みⅰ 平成14年1月,Aが原告の代表役員に就任したが,これは,事件否定とXからの自立の考え方が内部に浸透し,それについて信者の十分な理解と支持が得られたという判断があってのことであった。 そして,事件否定とXからの自立という教団としての大きなテーマを,個々の信者の日常的な行動にまで十分に浸透させ,根付かせるために,「綱領」,「規約」とは別に,その細則に当たる活動規定を設けることを,役員会で決定した。 その制定過程においては,多くの信者が,一連の事件・犯罪をすべて完全に否定し,その動機や原因,経緯を究明したうえで,同種の事 約」とは別に,その細則に当たる活動規定を設けることを,役員会で決定した。 その制定過程においては,多くの信者が,一連の事件・犯罪をすべて完全に否定し,その動機や原因,経緯を究明したうえで,同種の事件を絶対に繰り返してはならないことを話し合った。そして,事件・犯罪を正当化するいかなる教義もこれを信仰せず,Xを絶対者・完全者とせず,原告構成員を指揮する教祖・代表・構成員としないことを改めて確認し,それを明文化することで,「活動規定」を正式採択し,同年2月17日から施行した。 ⅱ さらに,平成14年12月には,事件否定とXからの自立の最終的な確認ともいうべき,「綱領」と「活動規定」の改正を行ったが,「活動規定」1項の内容は次のとおりである。 「本団体綱領で規定された,旧団体代表の経典解釈等を採用する前提条件(「本団体が,同人の事件と無関係な経典解釈等を採用するのは,その前提条件として,同人自身が,事件が発覚し逮捕されるに及んで,過去の教団のあり方について考え方を改め,将来信者に犯罪を指示することは決してないと,本団体が確信する事実があるからである。」)について,今後,万が一,それに反するような事態が生じた場合には,その時点で,事件とは無関係な部分について同綱領が認めた,旧団体代表の宗教面における評価も,一切取り消すこととする。」これは,もしXが犯罪を指示することがあったとしたら,完全に縁を切ると宣言することによって,現在の原告が有する事件否定とXからの自立の意思を明確にしたものである。 (f) 「Xの事件の指示に影響を受ける信者が出る可能性」の存否前回東京地裁判決の審理において,Cは,「今後Xが再び事件を起こすような指示をした場合に,信者の中に影響を受ける者が出ることは否定できず,それをどのようにコントロールするかが教団の課題であると考 前回東京地裁判決の審理において,Cは,「今後Xが再び事件を起こすような指示をした場合に,信者の中に影響を受ける者が出ることは否定できず,それをどのようにコントロールするかが教団の課題であると考えている。」旨証言したが,同判決でも認定されているとおり,上記証言をした平成13年当時は,まだ教団改革は緒に就いたばかりであり,教団改革はその最も重要な部分において,末端の信者にまで十分に浸透していない状態であった。そこで,Cは,もし仮にXから事件の指示があった場合,事件を起こすとは思われないものの,精神的に「影響される人が出てくる可能性がある。」と思って上記の証言をしたのである。 しかし,前記のような会合が開かれ,何度も議論が繰り返されて,教団改革が真剣に進められた現在においては,Xが再び事件を起こすような指示をした場合に,それに影響される信者は皆無である。 b 一連の事件に対する謝罪と被害者・遺族への賠償など(a) 原告は,「宗教団体・Z」発足以前から,一連の事件への謝罪と賠償を表明していたが,上記のとおり名称を改めてからも,平成12年3月20日及び同年6月27日に,一連の刑事事件の被害者や遺族に対し,謝罪の書簡を送付し,その中で賠償に全力を注ぐことを約束した。また,平成13年2月28日には38の自治体に対し,次いで同年3月19日には国に対してそれぞれ謝罪の文書を送付した。その後も,機会あるごとに謝罪の意を表明している。 (b) 被害者賠償についても,「宗教団体・Z」発足以前から,団体や信者個人所有の不動産を破産財団に譲渡するなどして任意の賠償を進めていたが,平成12年7月6日に破産管財人との間で正式に賠償契約を締結した。これにより,原告は,総額約40億円の債務を負担することとなり,平成17年6月末日までに9億6000万円を破産財団に支払 めていたが,平成12年7月6日に破産管財人との間で正式に賠償契約を締結した。これにより,原告は,総額約40億円の債務を負担することとなり,平成17年6月末日までに9億6000万円を破産財団に支払い,その後も残債務の返済が終わるまで,サリン事件等共助基金に支払を続けることになった。そして,原告は,今日に至るまで,賠償契約を誠実に履行しており,現時点で原告の賠償総額は4億7982万4575円となり,被害者には,中間配当として30パーセントを超える額が既に支払われていることになる。 また,サリン事件の被害者に対する無料検診を実施するために発足したNPO法人「リカバリー・サポート・センター」(代表 U弁護士)の活動を支援するため,原告の役員らが同センターの会員となり,毎年行われる無料検診を経済的にサポートしている。同センター発足に際しては,原告の関係者から500万円以上の寄付を行った。 c 原告が危険な教義を保持していないこと(a) 従来の教義従来の教義の中には,①タントラ・ヴァジラヤーナ(密教)の一部にある危険とされる教義,②それ以外の古代ヨーガ・原始仏教・大乗仏教にのっとった教義の2つの教義が存在していた。 この2つの教義は全く別のものであり,分離することが可能である。すなわち,①は,「五仏の法則」といわれる教えで,これは神々の法則とされ,人間の世界では決して実践できない教えと説かれており,これが事件の背景となった教義であるが,現在,原告は,「五仏の法則」を完全に破棄している。これに対し,②は,伝統的なヨーガ・仏教の教えで,これはこの世の無常を超え,苦しみを超えて,解脱・悟りに至ろうというもので,ごく一般的な全く危険性のない教えである。これらはいずれも,Xが解釈して説いたものには違いないが,両者は全く別物で連続性は存在しない。 ( 常を超え,苦しみを超えて,解脱・悟りに至ろうというもので,ごく一般的な全く危険性のない教えである。これらはいずれも,Xが解釈して説いたものには違いないが,両者は全く別物で連続性は存在しない。 (b) 危険とされる教義を破棄する「綱領」と「活動規定」原告においては,「綱領」,「規約」及び「活動規定」がしっかりと定められ,それにのっとった運営がなされている。 ⅰ もとより,教義は綱領ではないが,原告の「綱領」5項において,教義に関し,次のとおり定められている。 「(1) 本団体の教義は,Yの教義のうち,古代ヨーガ,原始仏教,大乗仏教を根本とする。 (2) 一連の事件に関係したと言われ,危険とされる教義(以下「危険とされる教義」と記す)は,本団体の教義として一切認めず,これを破棄する。 (3) 本団体の経典は,上記教義に基づき新たに編纂され,全信者に徹底されるものとする。 (4) 本団体の会員は,危険とされる教義の実践を絶対に行なわない。万一行なった場合は,本団体から除名されても異議を唱えることができない。 (5) 危険とされる教義については,本団体に専門部署を設置した上,必要な検討と取捨選択を行ない,将来の危険性を可能な限り除去すべく努める。」ⅱ また,「活動規定」においては,前文で「本団体は,事件・犯罪を正当化するいかなる教義もこれを信仰せず」とうたったうえで,以下のように規定している。 「5 教義や用語の公式解釈の遵守事件に関連して,タントラ・ヴァジラヤーナ,ポワ等,本団体外部から誤解を受けやすい言葉があるが,それらの言葉自体によって,事件が起こされたとは思われないものの,国民の不安解消のために,また,事件の再発防止と,本団体教義を明確化させるために,それらの用語等の公式の定義・解釈(以下「公式解釈」と記す)を表わした文書を全会員に配 こされたとは思われないものの,国民の不安解消のために,また,事件の再発防止と,本団体教義を明確化させるために,それらの用語等の公式の定義・解釈(以下「公式解釈」と記す)を表わした文書を全会員に配布することとする。公式解釈を無視して過去の教材を使用することを,一切禁止することとする。 また,今後作成する教材には,必要に応じて,公式解釈の内容を記載したり,解釈を添付したりすることとする。 6 旧団体作成の教材の使用制限旧団体の一連の事件の原因を分析するに,教義・教材自体によって事件が起こされたとは思われないが,旧団体が作成した教材について,その内容が本団体の方針に合わないものに関しては,国民の不安解消のために,そのリストを作成し,その使用を禁止することとする。 ただし,この禁止は,会員の日々の教学のための教材としては禁止するということであり,裁判活動その他の調査のために一時的に閲覧する必要性に備えて,指定された担当者が少部数を資料として保管することまでを禁止するものではない。 なお,「尊師ファイナルスピーチ」については,本団体の方針を明確に示すために,必要な改訂を行ない,名称を変え,その後は,改訂前の物についてはその使用を禁止することとする。 ただし,この改訂は,改訂前の物が事件の再発につながらないという,本団体の従来の見解を変えるものではなく,本団体の姿勢を内外に強く示すためのものである。」ⅲ このように,原告はその「綱領」や「活動規定」において,一連の事件に関係し危険とされる教義を排除し,事件と無関係な宗教的影響力については排除しないという対応を行っている。 (c) 教義の変更の経緯危険な教義を有するために事件が発生したとの指摘を受けて,原告では,これまでもたびたび教義の変更とこれに関する教材の変更を行ってきている。その経 という対応を行っている。 (c) 教義の変更の経緯危険な教義を有するために事件が発生したとの指摘を受けて,原告では,これまでもたびたび教義の変更とこれに関する教材の変更を行ってきている。その経過は以下のとおりである。 ⅰ 教義の変更,教材の回収等の経過① 平成7年7月,教団運営要綱において,誤解を受けやすい教義について公式解釈を定め,また,「ヴァジラヤーナコース教学システム教本」の回収を発表し,同年には同教本の廃棄を完了した。 平成8年5月15日,破防法の解散指定請求に係る弁明手続において,Xが,危険とされる教義を封印すると宣言した。 平成12年1月18日,「事件に関する総合的見解表明及び抜本的教団改革の概要」において,危険とされる教義の破棄を発表した。 ② 本件観察処分決定後の,平成12年2月4日,危険とされる教義の破棄を「綱領」で明文化した。 同年3月,新教義方針に基づいた教学教材「Z教学システム」全3巻を全信者に配布し,また,Xの説法全集「尊師ファイナルスピーチ」全4巻に「尊師ファイナルスピーチ公式解釈書」の貼付を指示した。 同年4月,新教義方針に基づいた出家信者向けの新教材「サマナ用教学システム」全1巻を作成し,教義の「公式解釈書」を作成し配布した。 平成13年8月以降,「尊師ファイナルスピーチ」の全面的な改訂作業を進めている。 平成14年1月,事件に関連した可能性のある教材及び誤解を招く可能性のある教材について,第一次教材回収を行った。 同年2月17日,事件に関連した可能性のある教材すべての使用禁止を「活動規定」で明文化した。 同年4月,第二次教材回収を,次いで,同年10月,第三次教材回収を行った。 同年12月10日,「尊師ファイナルスピーチ」旧版の回収が完了した。 同年12月24日,「尊師ファイナルスピーチ」 した。 同年4月,第二次教材回収を,次いで,同年10月,第三次教材回収を行った。 同年12月10日,「尊師ファイナルスピーチ」旧版の回収が完了した。 同年12月24日,「尊師ファイナルスピーチ」の改訂版である「パーフェクトスピーチ1」及び「パーフェクトスピーチ別巻注釈」を作成した。 ③ 本件更新決定後の平成16年1月17日,「ファイナルスピーチ(改訂版)」分冊の刊行を開始した。 ⅱ 「尊師ファイナルスピーチ」の改訂上記の「尊師ファイナルスピーチ」の改訂にあたっては,「ヴァジラヤーナ」や「ポワ」といった誤解を受けかねない言葉については削除するか注釈を振る,Xの絶対化につながりかねない内容や一連の刑事事件の肯定につながりかねない内容は削除する,Xの神格化につながりかねない予言は削除する,社会との融和を損ねるような内容は削除する,注釈をさらに充実させるなどの作業を行い,危険であると指摘を受けた教義以外にも,原告の活動方針に沿って,Xからの自立を促すべく改訂がなされている。 また,信者が教義の解釈を誤らないよう,教義の「公式解釈書」を作成し,信者に配布している。 (d) 「マハームドラーの修行」について被告は,その内容を吟味することもなしに,「その内容が従前のそれと全く同一といえるかどうかは別として」「マハームドラーの修行」を再開したと主張する。 しかし,マハームドラーとは「大いなる象徴」という意味で,「マハームドラーの修行」とは,本来チベット密教の四大宗派の一つカギュー派に由来する,「空を悟る瞑想」のことをいう。ところが,旧団体の事件に関わった刑事被告人らの言う,違法行為等の実践を通じた修行という意味の「マハームドラー」の解釈は,Xとこれら被告人らとの特異な人間関係によって形成されたものであり,本来の「マハームドラー」の意味ではない た刑事被告人らの言う,違法行為等の実践を通じた修行という意味の「マハームドラー」の解釈は,Xとこれら被告人らとの特異な人間関係によって形成されたものであり,本来の「マハームドラー」の意味ではない。そこで,原告では,教団改革の一環として,マハームドラーの正しい解釈を導入し,本来の正しいマハームドラーの教えを浸透させるように努めている。 つまり,ここで使用されている「カギュー派マハームドラー,グルヨーガの手引書」というテキストは,Xの著作ではなく,タイトルにも示されているとおり,チベット密教カギュー派の高僧の著作を翻訳したものである。そこには,チベット密教の正統かつ危険性のないマハームドラーの教義が説かれているが,カギュー派の教材を瞑想修行に使用すること自体,旧団体にはなかったことで,これは原告がXからの自立を実践している証拠となるものである。 (e) 「尊師ファイナルスピーチ」について「尊師ファイナルスピーチ」に殺人を勧める説法等の一部が転載されていたという被告の主張は,説法の文意・用語の意味を歪曲して解釈するものであり誤りである。そもそも「尊師ファイナルスピーチ」は,「ヴァジラヤーナコース教学システム教本」の説法のうち,危険と誤解を受けるおそれのある部分を削除して掲載している。 被告の指摘する「時がない場合,それをセレクトし,そして必要のない魂を殺してしまうこともやむなし」との記述は,前後の文意から容易にわかるとおり,主語は教団ではなくフリーメーソンであり,明白な文意を無視して,原告が殺人を勧める説法をしているとするのは意図的としかいいようがない。 また,「そのためにはポワしかない」のポワは,「意識を移し替える」ことを意味しており,殺人を肯定しているのではない。このことは,添付の公式解釈書にもその旨説明がなされており,信者が いようがない。 また,「そのためにはポワしかない」のポワは,「意識を移し替える」ことを意味しており,殺人を肯定しているのではない。このことは,添付の公式解釈書にもその旨説明がなされており,信者が万が一にも解釈を誤ることはないようにしている。 なお,「普段の教学においては,以前の出版物を活用することが望ましい」との注釈は,「尊師ファイナルスピーチ」が縮刷保存版のため,字が極めて小さいうえ,図版などが省略されているため,普段の教学として使用するには従来の書籍の方が便利な側面があるからにすぎない。 そして,「尊師ファイナルスピーチ」旧版は平成14年12月10日に回収が完了しており,現在の教団にはない。また,危険と指摘された教義は原告の「綱領」,「活動規定」にのっとって破棄し,誤解を招くことのないよう入念な改訂作業を進めており,「ファイナルスピーチ(改訂版)」を刊行している。 d 以上のとおり,原告は,前回東京地裁判決の指摘を謙虚に受け止め,濃密な努力を地道に続けてきた。それは,「綱領」,「規約」及び「活動規定」を定めるだけではなく,その内容を信者に浸透させ,実際に教団改革を進めていくものであった。また,対外的には,謝罪と賠償,寄付や支援,出頭呼びかけ,情報公開,親族連絡窓口の再開を行っている。 これらの事情に照らせば,原告には無差別大量殺人行為に及ぶ具体的危険はないというべきである。 (2) 教団改革の結果としてのXの影響力の排除(本法5条1項1号要件の不存在)ア本法5条1項1号の「影響力を有している」とは,純粋な宗教上の活動における影響力を有していることではなく,無差別大量殺人行為の首謀者が,将来再び無差別大量殺人行為の実行を命じ,団体の構成員らにその準備行為に着手させるに足りる影響力を有していることを意味すると解すべきである。 有していることではなく,無差別大量殺人行為の首謀者が,将来再び無差別大量殺人行為の実行を命じ,団体の構成員らにその準備行為に着手させるに足りる影響力を有していることを意味すると解すべきである。 しかし,以下のとおり,本件更新決定の時点で,Xは原告の活動に対してこのような影響力を有していなかった。 イ Xの位置付けの変更a 「綱領」,「活動規定」で定めたXの特殊な影響力の排除(a) 原告は,平成12年2月4日,「宗教団体・Z」を発足させたが,そこではXを絶対化する位置付けや教義を排除し,一連の事件を否定したうえで,同人の純粋に宗教的な側面のみを継承してきた。すなわち,原告では,「宗教団体・Z」を発足時に定めた「綱領」6項において,Xを次のとおり,教典の解釈者と位置付けている。 「本団体は,シヴァ大神をはじめとする諸々の真理勝者を完全なる解脱・悟り(最終完全解脱)をなした存在と信じる。本団体の教義においては,存命中のいかなる人間も,完全なる解脱・悟り(最終完全解脱)をなした存在ではない。X’旧団体代表については,同人が旧団体においてなした仏教・ヨーガ等の経典の解釈(具体的な瞑想修行法なども含む)やイニシエーションのうち,事件と無関係なものを採用したが,本団体の意思決定に具体的,現実的な影響を与える,団体代表・役職員・構成員ではない。」(b) また,平成14年2月17日に施行された信者の具体的な活動指針である「活動規定」1項において,次のように規定している。 「本団体は,旧団体の構成員が関与した一連の事件・犯罪を一切否定した。それに伴い,本団体は,旧団体ならびに旧団体代表に関して,事件・犯罪に関係した可能性があるものは一切排除する。なお,会員が,旧団体ならびに旧団体代表に関して,事件に関係していない純粋に宗教的な要素のみを評価・継承するこ ,旧団体ならびに旧団体代表に関して,事件・犯罪に関係した可能性があるものは一切排除する。なお,会員が,旧団体ならびに旧団体代表に関して,事件に関係していない純粋に宗教的な要素のみを評価・継承することについては,一切の犯罪の否定と過去の事件の謝罪・賠償という上記の原則を遵守する限りにおいて,我が国の憲法に認められた内心の自由としてこれを否定しないが,この自由は,会員によっては,旧団体ならびに旧団体代表のいかなる要素も評価しない自由も含まれている。」そして,この方針に基づき,「活動規定」で,礼拝に用いられる祭壇にXの写真等を備えることを禁止し,事件に関係したとされる教義を含む教材の使用を禁止した。 また,Xの呼称についても,「「尊師」という呼称は,仏教・ヨーガにおける一般名詞であり,絶対者・完全者を表わすステージを意味せず,その意味で用いてはならない」と規定するとともに,「グル」とは「シヴァ大神,真理勝者(如来),覚者(ブッダ),経典の正しい解釈者」を一般的に意味する言葉として定義し,「特定の存命中の人物を絶対化することを意味せず,その意味で用いてはならない」と規定した。したがって,Xを「尊師」又は「グル」と呼ぶことがXの絶対性を肯定するものではない。 (c) 次いで,平成14年12月8日には,「綱領」6項に次の文言を追加した。 「本団体が,同人の事件と無関係な経典解釈等を採用するのは,その前提条件として,同人自身が,事件が発覚し逮捕されるに及んで,過去の教団のあり方について考え方を改め,将来信者に犯罪を指示することは決してないと,本団体が確信する事実があるからである。本団体が,同人の経典解釈等を採用するのは,あくまでも,この前提条件が守られる限りにおいてのことである。」また,これを受けて,同月17日,「活動規定」を上記(1)イa( する事実があるからである。本団体が,同人の経典解釈等を採用するのは,あくまでも,この前提条件が守られる限りにおいてのことである。」また,これを受けて,同月17日,「活動規定」を上記(1)イa(e)iiのとおり改正した。 要するに,仮にXが犯罪を指示することがあったとしたら,完全に縁を切るとの宣言を行った。 (d) これらの「綱領」や「活動規定」の内容の変更は,出家信者全員からなる会員総会の議決をもって決定しているが,「綱領」の変更や「活動規定」の作成・変更に至るまでには,相当な議論が積み重ねられており,単に「綱領」や「活動規定」を定めたというだけでなく,全出家信者の納得を得たうえで行われたものである。 したがって,Xが今後何か犯罪を指示することは決してあり得ないが,もし仮にXが再び事件を指示するようなことがあったとしても,それに従うような信者は現在の教団には全く存在しない。 bXが再び事件を指示できる環境にないことXは,平成7年5月に逮捕されて以降,現在まで9年も勾留されているが,その間,国選弁護人以外の者との接見は禁止され,その国選弁護人との接見も拒否するなどして,会話がなされていない状況であった。このような状況で,Xが事件を指示するなどというのは不可能で,現実的でない。 一方,原告としても,一般出家信者がXの公判傍聴を自粛したため,直接Xの発言内容を聞く機会もない。 そして,破防法7条の解散指定請求に係る弁明手続でのXの発言や同人の逮捕直後の私選弁護人を通じてのメッセージを聞く限り,Xが再び事件を指示することがないことは確実であり,仮に指示を出したところで,それに従う信者は全く存在しない。 cXは原告の代表者でも構成員でもないこと後記(3)のとおり,Xは,現在,原告の代表者でもなければ,構成員でもない。 ウ Xを であり,仮に指示を出したところで,それに従う信者は全く存在しない。 cXは原告の代表者でも構成員でもないこと後記(3)のとおり,Xは,現在,原告の代表者でもなければ,構成員でもない。 ウ Xを神格化した予言の排除Xを神格化した予言の扱いについては,「活動規定」5項で次のように定められた。 「なお,特に,予言の取り扱いについては,本団体では,その絶対視を排除し,間違っても予言を自ら成就させようとする考え方(いわゆる「自作自演」)は一切採用しない。同様に,Xの神格化につながりかねない内容を含む予言は採用せず,また,社会不安をいたずらに助長するなど社会との融和を損なうようなものについても採用しない。ただし,予言の絶対視に結びつかない,社会現象に対する現実的・客観的分析に基づく未来予測等については,排除しないこととする。」このように,予言に関しては,「活動規定」において排除が定められており,信者がXの予言を全く信じていないということから,完全に排除されたものといえる。 エ現信者が無分別にXに追従することはあり得ないこと改革努力の結果,現在の原告では,以下のとおり,Xから自立した教団運営が実現している。 aXの意思と関係なく,謝罪・賠償を行ったこと一連の教団改革は,平成11年12月1日に発表した「教団正式見解」から始まっているが,原告は,このとき初めて,Xの意思とは関係なく事件を総括し,被害者・遺族への謝罪と補償を進めることを表明し,平成12年1月18日には「事件に関する総合的見解表明及び抜本的教団改革の概要」を発表し,Xの事件への関与を認めたうえで,改めて事件の被害者・遺族への謝罪を行った。 そして,原告は,同年2月4日には,「宗教団体・Z」を正式に発足させ,「綱領」や「規約」を定めて民主的な運営を行うことにした。 次いで を認めたうえで,改めて事件の被害者・遺族への謝罪を行った。 そして,原告は,同年2月4日には,「宗教団体・Z」を正式に発足させ,「綱領」や「規約」を定めて民主的な運営を行うことにした。 次いで,同年7月6日には,Y破産管財人と約40億円の賠償契約を締結した。 このように,原告はXの意思とは関係なく,事件を総括し,被害者・遺族への謝罪や賠償を進めるようになった。 その後も,濃密な努力を積み重ねた結果,事件についての認識を信者全体で共有し,今日に至るまで,被害者賠償を継続して行い,事あるごとに被害者・遺族へ謝罪の意を表明している。 bXの事件への関与を独自に認めたこと原告は,平成12年1月18日の「事件に関する総合的見解表明及び抜本的教団改革の概要」において,刑事公判が確定していないにもかかわらず,Xの意思と関係なく,Xの事件への関与を認めた。 また,Cは,同年12月14日に行われた本件観察処分取消請求訴訟における証人尋問で,「X前代表の指示がなければ事件は起きなかったと思う。」と証言し,この証言は,翌15日の読売新聞及び朝日新聞紙上や平成13年2月28日の朝日新聞紙上に掲載された。次いで,Cは,平成14年7月5日に行われたXの刑事事件に係る公判に証人として出廷した際,独自の判断で,「単なる推測ですが,(Xの)指示がないと考えるのは難しい。」と証言し,この証言は,翌6日の朝日新聞紙上に掲載された。 このように,原告の現在の役員が,Xとは関係なく,独自にXの事件への関与を公の場で証言しているのは,Xからの自立という原告の方針の中で行われたものである。 c 教団における宗教上でのXからの自立が進んでいること原告では,次のとおり,宗教面における自立も可能となった。 (a) 原告では,宗教団体の根幹となる宗教ステージの変更を行った。 たものである。 c 教団における宗教上でのXからの自立が進んでいること原告では,次のとおり,宗教面における自立も可能となった。 (a) 原告では,宗教団体の根幹となる宗教ステージの変更を行った。具体的には,それまであった「正大師」,「正悟師」,「師」,「師補」,「サマナ長」,「サマナ」,「サマナ見習」の区分を更に細分化し,「師」と「師補」の間に「準師」,「師」と同等の「聖準師」のステージを新たに設けるとともに,「準師」以下の各ステージについて,「仮認定」,「仮認定候補」,「仮認定準候補」などのステージを設けた。 原告において,宗教的に最も重要な問題は,Xの専権とされていた宗教ステージの昇降格をだれが行うのかということであった。これについては,「師」未満のステージについては,「師」以上のステージの者の合議で決めることとし,「師」以上のステージについては,「正大師」,「正悟師」の合議で決めることにした。 そして,これまで多くの信者の昇降格を決定してきた。 (b) 特に重要なのは,「師」,「聖準師」以上のステージの認定である。 「師」,「聖準師」以上は「成就者」と認定され,宗教上の様々な権限が付与されるため,信者全体の納得を得る人を認定する必要があり,成就のための極厳修行のシステムを作り,その修行で霊的,精神的経験が十分な者を成就者として認定することとし,これまでに3名の者を成就者と認定している。 この成就者の認定は,今までXのみが行えた特権的なものであったが,それをXなしで行ったという意味で画期的であった。 (c) 成就者と認定された者については,宗教名(ホーリーネーム)が決定され授与された。その際,今まで存在しなかった2段階の命名システムが導入された。この宗教名の伝授も,今まではXのみが行えた特権的なものであった。 上記(b)の成就者の 宗教名(ホーリーネーム)が決定され授与された。その際,今まで存在しなかった2段階の命名システムが導入された。この宗教名の伝授も,今まではXのみが行えた特権的なものであった。 上記(b)の成就者の認定及びこの宗教名の授与については,信者全員に歓迎されている。 (d) 原告では,Xのみが許されていたイニシエーション(宗教儀式)等の開発についても,独自の路線を歩み始めた。 まず,Xがいなければ不可能であるとされていたシャクティーパットというイニシエーションを再開し,手始めにAがイニシエーションを行った。 次に,旧教団には存在しなかった,「トゥモドーム」,「インド占星学」,「法輪のイニシエーション」,「テージャス・タルト」,「ガンダー・イニシエーション」,「至空神極拳」といった独自のイニシエーションの開発も行った。また,独自に歌曲を作ったり,宗教上重要な意味を持つ食事(お供物)についても変更を加えたりした。 d 原告の運営が民主的に行われていること原告の運営は,「綱領」,「規約」にのっとり,役員会や会員総会によって民主的に運営されている。こうした民主的な運営は,Xがいたときには考えられないことで,これもXからの自立を表すものといえる。 オ Xの影響力は純粋な宗教上の活動における影響力にすぎないことaXの特殊な影響力の排除や同人からの自立を行った結果,現在の原告に残っている同人の影響力は,純粋に宗教上の活動におけるものといい得る。 b 「帰依」の定義及び被告の「帰依」の解釈の誤り上記aに関連して,被告が用いている「絶対的帰依」という言葉の意味について反論する。 (a) 「帰依」というのは,宗教的な言葉であり,「パーフェクトスピーチ別巻注釈」では,「帰依とは,存命中のいかなる人間も絶対者,完全者としない本団体の教義に基づいて,自己の霊性よ いて反論する。 (a) 「帰依」というのは,宗教的な言葉であり,「パーフェクトスピーチ別巻注釈」では,「帰依とは,存命中のいかなる人間も絶対者,完全者としない本団体の教義に基づいて,自己の霊性より少しでも高い者に対する称賛を含む幅広い概念である。すべての魂は真我を有しているので,それを尊重して,すべての魂を礼拝するという考え方もある。これらの考え方の背景にあるのは,人の良い部分を称賛すれば,その部分を身に付けることができるという,仏教的な考え方である。したがって,本団体で言う帰依とは,存命中の人間に対する全人格的なものではなく,絶対的な服従を求めたり,間違っても,違法行為を正当化したりするものではない。」,「本団体における帰依とは,グルと真理の法則とサンガ(出家教団)に対する帰依という,伝統的仏教における三宝(仏・法・僧)に対する帰依のことである。それは,前記「帰依について」でも述べたように,特定個人に対して無分別に追従するようなものでは決してない。また,出家教団に対する帰依から,本団体綱領・規約・活動規定を遵守することは自明のことである。」と定義している。 すなわち,帰依とは,あくまでも宗教上の意味合いにおけるものであり,良い部分について称賛し,学び,実践することであって,特定の人物に全人格的に服従するというような意味ではないし,Xを含む「存命中の人間に対する全人格的なものではなく,絶対的な服従を求めたり,間違っても,違法行為を正当化したりするものではない」のである。原告の使う「帰依」という言葉は,このような意味で使われている。「絶対的な帰依」と言う場合も,それほどの意味の違いはない。 なお,Xが教祖であった当時の教団は,「三宝帰依」にいう「仏・法・僧」の中の「仏」(当時はX)に対する帰依が強調されていたが,現在の原告は,法(教 帰依」と言う場合も,それほどの意味の違いはない。 なお,Xが教祖であった当時の教団は,「三宝帰依」にいう「仏・法・僧」の中の「仏」(当時はX)に対する帰依が強調されていたが,現在の原告は,法(教え)及び僧(高弟)への帰依の重要性を説いている。 (b) ところが,被告は,この「帰依」という言葉が,あたかも特定の人物に全人格的に服従することを意味するかのごとく主張している。 確かに,事件や事件に影響を及ぼしたとされる教義を否定し,原告が採用する教義解釈に限定するという前提をしっかりと維持しているものの,Xの教義解釈を採用している現在の教団は,X及びその教義解釈に対して帰依があるということもできなくはないが,しかし,これはXに全人格的に服従するといった意味ではなく,あくまでも一般の仏教で言われている宗教的なものにすぎない。 被告は,「絶対的帰依」という言葉を使って,あたかも原告が現在も危険性を有するかのごとく主張しているが,「帰依」の意味を正解しないものであって全く不当である。 c 修行方法は宗教上の影響力しか有していないこと(a) 被告は,「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション3D」等の3Dビデオテープ,PSI,「アルトラル・セラピー・イニシエーション」,「ピラミッド・イニシエーション」,「「懺悔の詞章」思念不変連続セミナー」,「マントラによる修法」といった修行方法について,Xに対する絶対的な帰依を扶植するものととらえ,あたかも無差別大量殺人行為に及ぶ影響力があるかのごとく主張しているが,これらは,単に宗教上の影響力を有するものにすぎず,事件と関係するような特殊なものでは決してない。 すなわち,これらの修行方法は,いずれも一般的な宗教上の実践を行うものにすぎず,決してXへの全人格的な服従を意図するものではなく,これが無差別大量殺 件と関係するような特殊なものでは決してない。 すなわち,これらの修行方法は,いずれも一般的な宗教上の実践を行うものにすぎず,決してXへの全人格的な服従を意図するものではなく,これが無差別大量殺人行為に及ぶことは絶対にあり得ない。 (b) 「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション3D」等の3Dビデオテープは,瞑想に際して形や色をはっきりとイメージすることができない信者の手助けをするために作成されたもので,信者がこれらのビデオテープを見ながら日々の修行をすることはなく,イメージすることの苦手な信者が時折参照する程度のものであった。 なお,原告は,平成14年11月ころ,「尊師ファイナルスピーチ」の回収と同時に,「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション3D」等の3Dビデオテープを回収して,その改訂版を作ったが,改訂版のビデオテープには,Xの画像は一切用いず,シヴァ大神の画像に替えた。 カ以上のような原告による改革の結果,本件更新決定の時点で,Xは原告の活動に対して上記アのような影響力を有していなかったから,本法5条1項1号の要件は存在しなかった。 (3) Xは原告の代表者でも構成員でもないこと(本法5条1項2号,3号要件の不存在)アaXは,形式上は教団の代表者とされていないところ,形式的には代表者でない者が実質的にみて代表者と評価し得るためには,単に団体の運営に影響力を有しているだけでは足りず,実際にその影響力を行使して実質的に団体の運営を行っていることが必要であるというべきである。 このような観点から考えると,Xは,自らの刑事事件に係る私選弁護人を解任してからは原告と連絡が取れない状況にあり,それ以降かなりの期間にわたって,原告はXの意向に基づかないで運営されているのであって,現に影響力を行使し実質的に教団の運営を行ってい 係る私選弁護人を解任してからは原告と連絡が取れない状況にあり,それ以降かなりの期間にわたって,原告はXの意向に基づかないで運営されているのであって,現に影響力を行使し実質的に教団の運営を行っているとはいえないから,Xが原告の代表者ではない。 b また,Xは,刑事被告人として身柄を拘束され,教団と長期間連絡が取れない状況にあることや,原告がXを構成員として取り扱っている具体的な事実も見当たらないことからすると,Xは現在は原告の構成員ではない。 cXは,今でも国選弁護人とも口を利かない状態であるから,原告と意思疎通ができるはずがないのである。 イなお,Xは,平成11年9月22日に,他の信者の刑事事件で証人として出廷した際,「職業はYの代表かつ教祖X’」,「私はYが存在している限りは教祖です」と発言したことがあるが,当時,Xは意味不明の不規則発言を繰り返していたこと,平成8年5月28日の破防法の解散指定請求に係る弁明手続において,「教祖を降りる」と公言していること,Xは原告に対しては加入の意思さえも表明していないことなどに照らすと,上記平成11年9月22日の発言をもって,Xが原告の代表者・主宰者であるとすることはできない。 ウ以上のとおり,本件更新決定の時点で,Xは原告の代表者でもなければ,その構成員でもないから,本法5条1項2号及び3号の要件は存在しなかった。 (4) 本法5条1項5号要件の不存在ア J事件への対応に見られる原告の危険性の不存在Yの元信者であるJとその仲間が,Xの奪還を目的として起こしたJ事件についての原告の対応は以下のとおりであり,要するに,X奪還の試みを阻止したのは,Aを中心とした原告である。 a 被告の主張の誤り(a) Jは信徒(構成員)ではないことJは,その手記で,「私は以前のように団体に属することが出来 りであり,要するに,X奪還の試みを阻止したのは,Aを中心とした原告である。 a 被告の主張の誤り(a) Jは信徒(構成員)ではないことJは,その手記で,「私は以前のように団体に属することが出来なかった。」と述べ,記者の取材に対し,「Zとは何の関係もありません。」と答えるなどしている。 これらは,Jが原告の構成員ではないことを自ら明らかにしたものであるばかりか,Xの率いた旧教団と原告とが異なった団体となっていることをも明らかにするものである。Jは,原告への加入を拒否しており,Jと原告との間にはいかなる関係もない。 そもそも,ロシアにおいては,旧団体Yがロシア当局による法的規制によって解散して以降,当時のロシア人信者は多くの小グループに分かれ,団体としては事実上の解散状態にあったのであり,日本と違って,新教団は設立されておらず,原告への入会制度も,いまだもって存在していない。 実際,J事件に関与したJを始めとするロシア人元信者らは,「わたしたちはZではない。」と述べ,原告との関わりを否定して独自の活動をしていた。 (b) Jの資金はビジネス投資資金が騙し取られたものであることJの資金は,元教団幹部であるKがビジネス投資資金としてJに交付したものであるが,その時点でKは既に原告からの脱会を予定しており,そのための独立資金をJらのビジネスに投資したもので,それは教団の活動ではなく,K個人としての活動であった。 そして,Kに資金を回したEは,Jの名前はおろか,ロシアに投資することすら,事前にKから聞いておらず,あくまでも脱会の準備をしていたK個人に対して,脱会後の生活のための独立資金として渡したにすぎない。 Jは,Kがビジネス資金としてロシアに投資した資金を騙し取って,奪還計画に流用したが,これはKの知らないところで起きたものであり 個人に対して,脱会後の生活のための独立資金として渡したにすぎない。 Jは,Kがビジネス資金としてロシアに投資した資金を騙し取って,奪還計画に流用したが,これはKの知らないところで起きたものであり,このことは,ロシアでの裁判におけるJらの供述によって既に証明されており,彼の手記によっても明らかである。 このように,日本の教団は,J事件に全く関わっていない。AとKは,我が国の捜査当局からの任意の事情聴取に応じて捜査に協力しており,当局も日本人関係者には責任がないと判断している。 (c) J事件はJの性格とロシアの特殊事情から生じたものであることJ事件は,プライドや自己顕示欲が強いというJの性格と,武器の入手も比較的容易であるというロシアの特殊事情から生じたものであるから,この事件を原告に当てはめることはできない。 bAを中心に,原告がJ事件を阻止したこと原告がJ事件に関わっていないことは,以下のとおり,J事件を阻止したのがAを中心とした原告であることによって明らかである。 (a) J事件の経緯は,次のとおりである。 ⅰ 平成12年3月ころ,Kからビジネス投資資金の名目で資金を騙し取って,ロシア人元信者らが不穏な計画を立てているらしいとの情報を得たAらは,ロシア人元信者らに対して違法行為は決してしないよう,様々な説得を重ねていた。そのときのメールで残っているものについては,警視庁及び公安調査庁に資料として提出している。 ⅱ 同年4月,原告の出家信者Vが,チェコ共和国で,ロシア人元信者らの主犯格であるJに面会して,罪を犯さないよう説得した。Jは,「日本の正悟師・正大師は皆違法行為に反対であることを理解している。わたしは犯罪行為を行いません。」という念書を書いた。 ⅲ しかし,Jは,Aを含めた日本人の指導者に対する信頼を既に失っており,改 ,「日本の正悟師・正大師は皆違法行為に反対であることを理解している。わたしは犯罪行為を行いません。」という念書を書いた。 ⅲ しかし,Jは,Aを含めた日本人の指導者に対する信頼を既に失っており,改心していないという情報が彼の周辺から入ってきた。Jはこのとき既に武器を購入しており,Aと会うために我が国に来ることになったとすれば,それは計画に気付いたAらを騙すためだけではなく,計画の準備の一環となるおそれがあるとの情報も入り,AがJと会って直接説得することは断念した。 ⅳ そのため,Aらと連絡を取っているJ周辺のロシア人元信者が,ロシアの警察に対し,Jについて通報・告発して,彼を監視して我が国に入国させないよう要請した。 ⅴ しかし,何らかの理由でそれが機能せず,J周辺の元信者から,Jが近日中に我が国に入国するという情報が入ったため,Aらは,警視庁公安部や入国管理局に直接通報し,Jらの入国阻止と警戒を要請した。 ⅵ ところが,驚くべきことに,法務省入国管理局は,Jの入国を阻止するために新潟の地方入国管理局に赴いたVを拘束し,Jをすんなりと入国させてしまった。 ⅶ 一方,Aが通報した警視庁公安部は,迅速に対応し,Jが空港に降り立つところから,同人を完全に包囲した。また,Vらの出家信者も,警視庁担当官と連絡を取りながら,Jを監視した結果,数日後にJはロシアに帰国せざるを得なくなった。 ⅷ その後,現地のJのグループに近いロシア人元信者と連絡を取り合い,Jが計画の失敗に激怒していること,依然として計画を断念していないことを確認し,再度ロシアの警察に告発した。その際,前回告発してもそれが機能しなかった反省から,モスクワの中央の捜査当局に告発した。 ⅸ その結果,Jのグループは逮捕され,裁判にかけられ,長期の有罪判決を受けることになった。 ⅹ 事件解決 。その際,前回告発してもそれが機能しなかった反省から,モスクワの中央の捜査当局に告発した。 ⅸ その結果,Jのグループは逮捕され,裁判にかけられ,長期の有罪判決を受けることになった。 ⅹ 事件解決後の平成13年夏ころ,原告は,警視庁を通じてロシア当局から,J事件の裏付け捜査のための事情聴取の要請を受け,事件の真相解明のために捜査協力に応じ,Aが上申書を提出した。 (b) 原告がJの行動に反対していたことは,J自身が公判で,「日本のY信者たちは,私が考えたことに絶対反対で,私の計画を否定しました。日本のYが私を支持してくれたというのは,日本のマスコミの誇張です。」と供述していることからも明らかである。 以上のとおり,原告はJ事件に一切関与していなかったばかりか,明確に反対してこれを阻止したものである。 cJ事件で証明された原告の危険性の不存在J事件により,Jは原告の構成員ではないこと,原告はこの事件に一切関わっておらず,むしろこれを阻止したことが明確になった。 そして,Jは,その手記で,「私にとって残念だったのは,日本のYは力によって尊師を解放することを考えていない,ということが話し合いから明らかになったことだ。我々は,そのことについて直接的に話をしたわけではないが,それは全体的な文脈から明らかになった。」などと述べており,一連の刑事事件を否定して違法行為を禁止する教団方針に従う原告の構成員とは,主義主張を異にしている。Jに係る刑事判決も指摘するとおり,Jは自身の下で形成された独特な宗教的世界観に基づいて,J事件の動機を形成しているのである。 これに対し,被告は,Jと原告とを「Xを信奉する」という枠でひとくくりにして,無差別大量殺人行為への危険性を論じているが,それでは,Jと原告とは全く異なった主義主張を展開していることや,原告が 。 これに対し,被告は,Jと原告とを「Xを信奉する」という枠でひとくくりにして,無差別大量殺人行為への危険性を論じているが,それでは,Jと原告とは全く異なった主義主張を展開していることや,原告がJ事件を阻止したことを説明できなくなるはずである。 このように,J事件は,原告が無差別大量殺人行為に及ぶ危険性が存在しないことを示したのであって,これを危険性の徴表とすることは完全な誤りというべきである。 イ立入検査等の結果から見た原告の危険性の不存在a 立入検査等の結果(a) 公安調査庁の立入検査で危険物が発見されていないこと本件観察処分決定以降,平成16年7月現在に至るまで,全国150か所以上の施設に対して立入検査が実施されたが,いずれの施設からも,無差別大量殺人行為に直結するデータや,凶器と認められる物,犯罪につながると思われる薬品等の危険物は発見されていない。 公安調査庁作成の立入検査の結果提供書でも,「配置されたパソコン,書類等の検査から,無差別大量殺人に関する危険な行為に直結するデータや,凶器と認められる物,犯罪につながると思われる薬品及び独房施設等は確認されなかった」,「無差別大量殺人行為の準備や計画を窺わせる物件及び法第8条第1項に規定する事実は認められなかった」などと記載されている。かかる報告は,埼玉県,大阪府等の結果報告においてなされており,全国のすべての施設でも同様の調査結果が得られていると推測される。 また,現場の公安調査官の中には,「何も危険がないことは分かっているけど,予算が取れないから来年度の予算獲得のため各地で立入検査に入っているんだ。既にいろんな予算をカットされているんだ。」等と原告に危険性がないことを認めた発言をする者もいる。 (b) 警察の強制捜査で危険物が発見されていないこと原告に対しては で立入検査に入っているんだ。既にいろんな予算をカットされているんだ。」等と原告に危険性がないことを認めた発言をする者もいる。 (b) 警察の強制捜査で危険物が発見されていないこと原告に対しては,信者の微罪を理由とする膨大な捜索差押が行われてきた。すなわち,平成12年2月2日から平成16年7月現在に至るまで,原告に対する捜索差押件数は延べ300件以上にものぼるが,捜索差押の理由とされた罪名はほとんどが微罪である。 また,捜索場所や押収物も,必要以上に広範囲に及んでおり,例えば信者が虚偽の住民登録をしたとされる事件では,その信者が立ち寄ったことのある他の信者宅,一度も立ち寄ったことも面識もない他の信者宅まで捜索が行われていたことがあるし,また,押収物の範囲も,令状自体が広範な差押えを許す記載になっており,パソコンやフロッピーディスク,ハードディスク等の電磁的記録媒体については,その場で逐一データを確認している時間がないとの理由で,全てが押収されている。 以上のような警察等の捜査機関による広範かつ多数回の捜索差押により,公安調査庁の立入検査を待つまでもなく,既に原告の活動状況はガラス張りの状態になっているが,これらの膨大な捜索押収の際,無差別大量殺人行為に及ぶ危険性をうかがわせるような物は全く発見されていない。 警察庁は,平成13年末,「今後とも教団に対する実態解明を図ると共に,潜在化した教団の違法行為に対する掘り起こし捜査を強力に推進する。」と表明し(「治安の回顧と展望」),原告の違法行為について徹底的に究明することを明らかにした。そして,上記のようなあらゆる手段・口実を尽くした露骨ともいえる一般探索的捜索が度々繰り返され,膨大な物件が押収されてきたにもかかわらず,信者の住居や教団施設からは,無差別大量殺人行為に及ぶ危険性をうかが ,上記のようなあらゆる手段・口実を尽くした露骨ともいえる一般探索的捜索が度々繰り返され,膨大な物件が押収されてきたにもかかわらず,信者の住居や教団施設からは,無差別大量殺人行為に及ぶ危険性をうかがわせるような物は全く発見されておらず,捜査の根拠とされた「犯罪」も,無差別大量殺人行為とは到底関係のないものばかりであった。 この点,原告に対する破防法による解散指定請求を棄却した被告の決定文でも,「警察は,前記のとおり,本団体構成員の生活根拠について,刑事訴訟法に基づく捜索・差押えをしばしば行っていると認められるところ,その際,本団体構成員が,再武装化等暴力主義的破壊活動の準備はもとより,不法事犯の計画をしていることをうかがわせる徴候があったなどという主張も立証も,公安調査庁からは一切なされていない。」とされていた。 (c) 以上のように,原告に危険性が無いことは,公安調査庁による立入検査及び警察による捜索差押により,既に十分に明らかである。 これに加え,原告が地域住民に施設を公開し,マスコミに対して定例記者会見を開く等,広く社会に対して情報公開をしていることなどから,原告と地域住民とのトラブルも全く耳にしなくなっている。 b 危険性の不存在を指摘する多数の司法判断・意見近時,原告の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性を否定し,本法観察処分の更新の必要性を否定するような判断等が相次いで現れている。 (a) 司法判断住民票を消除された世田谷区の信者が処分取消を求めて提起した行政訴訟の判決において,東京地裁平成13年12月17日判決は,「(本団体信者の)居住によって,被告区又はその住民に急迫の危難が及ぶと認めるに足りる証拠はない」と認定した。その他にも,原告の危険性を認める証拠がないとする司法判断が相次いでいる。 (b) 弁護士会の見解日本 居住によって,被告区又はその住民に急迫の危難が及ぶと認めるに足りる証拠はない」と認定した。その他にも,原告の危険性を認める証拠がないとする司法判断が相次いでいる。 (b) 弁護士会の見解日本弁護士連合会は,信者からの転入届不受理について人権救済申立てを受け,原告の施設の調査等を行い,その結果,平成13年1月,「現在の時点において,Y信者らによって地域住民に対してその生命・身体・健康等につき「明白且つ現在の実質的危険が存在する」とまでは認めるには至らない」,「公安調査庁は同法(本法)をY団に適用し,立入検査を行ってきたが,これによっても同教団に具体的な危険性が現存するとの事実は明らかにされていない」,「警察はこれまで同教団に対する種々の強制捜査を全国各地の同教団施設に対して行ってきた。・・・これらの強制捜査によっても同教団に前記の危険があるとの事実は明らかにはされていない。」と判断した。 (c) 法学者,有識者等の発言法学者からは,本件観察処分決定の時点で,教団にXの影響力が残っていたとしたのは疑問が残るとか,現段階では獄中から信者に指示し,無差別大量殺人を引き起こす危険性があるか疑わしい等の発言がされている。 また,有識者にも,今のYの危険性がそれほど高いとは思わないし,本法観察処分の更新は必要ない等発言する者がある。 c 被告の主張に対する反論(a) 被告は,両サリン事件の首謀者であるXが原告の活動に絶対的ともいえる影響力を有していると主張するが,上記のとおり,原告にはもはやXへの絶対的帰依などなく,Xには絶対的な影響力などない。 (b) 被告は,原告がなお危険な教義を有していると主張するが,上記のとおり,現在では原告には危険な教義は存在しない。 (c) 被告は,Xが依然として両サリン事件への自己の関与を否認しているうえ,A (b) 被告は,原告がなお危険な教義を有していると主張するが,上記のとおり,現在では原告には危険な教義は存在しない。 (c) 被告は,Xが依然として両サリン事件への自己の関与を否認しているうえ,Aを始めその構成員らも,これら両サリン事件を正当化し,また,両サリン事件に関し,弟子の責任を強調することによってXを守るべきであるなどという説法をした事実があると主張する。 しかし,X個人が自己の法的責任を刑事裁判で否定しているとしても,Xが再び事件を指示する動機は全くない。また,Aは両サリン事件を正当化する説法などしておらず,被告が指摘するような事実はない。被告が援用する証拠は,伝聞によって内容が歪められ捏造されたものである。むしろ,Aは,過去の事件と将来の違法行為を完全に否定する説法を繰り返し行っている。 (d) 被告は,いわゆる「サリン量産プラント建設事件」や「武器等製造法違反事件」を敢行して服役した構成員を含め,両サリン事件が行われた時に構成員であった者を現在も多数構成員として擁していると主張する。 しかし,Xは現在勾留され,社会復帰も不可能な状況にあり,Xと信者の連絡もとれない状態にある。 また,技術的にみても,武器やサリン等の製造はもはや不可能である。すなわち,サリンの生成はかなりの専門的知識を持ち合わせていなければ到底不可能であるところ,両サリン事件に用いられたサリンを生成したのはW,X及びYであり,旧団体においてはこれらの者以外にはサリン生成は不可能であった。自動小銃の製造については,そもそも専門的知識を有していた者がおらず,実用に適したものは製造されていないが,旧団体において中心的役割を果たしていたのはZ,Lらである。これらの者はいずれも勾留されたままであり,今後社会復帰の見込みはない。 したがって,現在の原告には,上記各事件 たものは製造されていないが,旧団体において中心的役割を果たしていたのはZ,Lらである。これらの者はいずれも勾留されたままであり,今後社会復帰の見込みはない。 したがって,現在の原告には,上記各事件の中心的役割を果たし,現実にサリン生成や自動小銃が出来る専門的知識を有する者は存在しない。 (e) 被告は,原告が出家信徒に係る位階制度やホーリーネームの授与,集団居住形態など従前と同質の組織構造を継続して有していると主張する。 しかし,位階制度及び集団居住形態それ自体は,他の宗教団体等にも見られることで,何ら危険性はなく,無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事実には該当しない。 (f) 被告は,両サリン事件当時,原告においては,「マハームドラーの修行」がXの意思に絶対に従うことと位置付けられ,現にその名の下に両サリン事件が敢行されたものであるところ,原告は平成13年8月ころから,その内容が従前のそれと全く同一といえるかどうかは別として,「マハームドラー・イニシエーション特別修行」を再開していると主張する。 しかし,この点については,上記(1)イc(d)のとおり,両サリン事件は,そもそもマハームドラーの実践として行われたものではなく,サリン事件等に関与した刑事被告人らの証言する「マハームドラー」の解釈は,Xと被告人らとの特異な人間関係によって形成されたものであり,本来の「マハームドラー」の意味ではない。原告が実施しているマハームドラーは,チベット密教の4大宗派の一つカギュー派に由来するものであり,「空を悟る瞑想」を実践するものであって,刑事被告人らが誤って述べている「マハームドラー」とは別の物である。原告は,教団改革の一環として,マハームドラーの正しい解釈を導入し,本来の正しいマハームドラーの教えを浸透させるように努めている。 刑事被告人らが誤って述べている「マハームドラー」とは別の物である。原告は,教団改革の一環として,マハームドラーの正しい解釈を導入し,本来の正しいマハームドラーの教えを浸透させるように努めている。 (g) 被告は,原告がPSIの着用の奨励,「アストラル・セラピー・イニシエーション」,「ピラミッド・イニシエーション」,「「懺悔の詞章」思念不変連続セミナー」など,構成員をしてXに絶対的に帰依させ,マインドコントロールする修行を行っていると主張する。 しかし,新型PSIは,Xと同じ瞑想状態を作り出すものではなく,Xの脳波を使用したといわれている旧PSIの電気信号を大幅に改変したもので,一般に見られる瞑想用・健康用器具と変わらないのであり,むしろ改変の事実自体が原告におけるXからの自立を物語っている。そして,「活動規定」でも,「PSIについては,実際は,同人(引用注・Xを指す。)の脳波そのものではなく,それを加工しており」としている。 また,「アストラル・セラピー・イニシエーション」は,Xへの帰依心を扶植するものではなく,現在は行われていない。次に,「ピラミッド・イニシエーション」も,旧来のものの音声信号を大幅に改変したもので,これもXからの自立を物語っている。さらに,「「懺悔の詞章」思念不変連続セミナー」では,極めて多くの魂に対する帰依を訴えており,これ自体がXの相対化を意味するとともに,主に懺悔の必要性を説くものであって,何ら危険性はない。 (h) 被告は,Aらによる位階,ホーリーネームの授与等Xによってなされたのと同一の内容の宗教的儀式が再開されたと主張する。 しかし,原告が現在行っている位階制度は,Xによって作られたものとは異なる。原告は,Xが定めた位階制度を見直し,新しい位階制度とその基準の設定,位階の新設,旧位階の廃止などを定め れたと主張する。 しかし,原告が現在行っている位階制度は,Xによって作られたものとは異なる。原告は,Xが定めた位階制度を見直し,新しい位階制度とその基準の設定,位階の新設,旧位階の廃止などを定め,これに基づいて,一般出家信者のステージ変更や教団における指導的地位の者のステージ変更等を実施した。 また,旧教団時代は「尊師・最終解脱者」の地位にあったXが絶対者として崇められ,そのことが事件の一因として指摘された事情にかんがみ,新位階制度において「最終解脱者」を絶対者・完全者と規定せず,いかなる存命中の者も絶対者・完全者としないことを規定した。そこで,新位階制度では,旧制度の根幹たる最終解脱の位階も廃止された。これらは当然に,Xなくして,原告において独自に決定したことである。 さらに,ホーリーネームについても,旧団体のものと原告のものは異なる。旧団体では成就に達しなくても授与され,しかも与えられたホーリーネームはその後変更されることを予定しないものであったが,原告においては,成就した場合に限り,しかも2つの成就段階でそれぞれホーリーネームを授与されるという2段制が採用されている。 (i) 被告は,本件観察処分決定後にJ事件が敢行されたと主張するが,上記アのとおり,Jらが非現実的なX奪還を企図した事実はあるものの,Jらは原告構成員ではなく,また,原告はJの計画を警察当局と入国管理局に通報し,警察当局と協力しながら積極的にJらの企てを阻止したのである。 ウ以上のとおり,J事件における原告の対応や立入検査の結果等からすると,本件更新決定の時点で,原告に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性はなく,本法5条1項5号の要件が存在しなかったことは明白である。 (5) 本法5条4項の「必要性」がないことア原告に閉鎖的,欺まん的な体質はないこと被告は,本 に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性はなく,本法5条1項5号の要件が存在しなかったことは明白である。 (5) 本法5条4項の「必要性」がないことア原告に閉鎖的,欺まん的な体質はないこと被告は,本件観察処分決定後も,原告が構成員を集団居住させ,閉鎖的な居住空間を形成して,親族をも含む外部との接触を困難にして,一般社会と融和しない独自の閉鎖社会を構築しているとか,公安調査官の立入検査の際にも,非協力的な姿勢をとっており,原告の体質は閉鎖的,欺まん的である旨主張する。 しかし,構成員を集団居住させること自体は,仏教的サンガ(出家修行者集団)の生活・修行形態として何ら特殊なものではなく,仏教的価値観からすれば,世界的・歴史的にみても当然の形態であり,同様の形態は,修道院などキリスト教にも見ることができる。 また,原告は親族を含む外部との接触を困難になどしておらず,現在では親族連絡窓口が設置されている。そして,原告は,可能な限り,親族・信者間の連絡を取り持っており,信者本人が拒む場合でも可能な限り説得を行っている。信者本人が連絡を拒むケースもあるが,それらの多くはあくまで家族間の問題というのが実情である。 さらに,立入検査への非協力的な態度もなく,多くは,信者のプライバシーを守るための行為を被告が誤解したものである。ただし,誤解を招くような対応については真摯に反省し,事後的な是正措置を講じている。そして,これまでの立入検査で,検査が妨害された例は一件もなく,信者は素直に検査に応じ,協力している。 イ以上のとおり,原告に閉鎖的,欺まん的な体質はないから,本件更新決定の時点で,本法5条4項の「引き続き当該団体の活動状況を継続して明らかにする必要」など存在しなかった。 5 争点以上によれば,本件の争点は,次のとおりである。 (1) 本法及び本件 ら,本件更新決定の時点で,本法5条4項の「引き続き当該団体の活動状況を継続して明らかにする必要」など存在しなかった。 5 争点以上によれば,本件の争点は,次のとおりである。 (1) 本法及び本件更新決定の合憲性等についてア本法の立法事実の存否 (争点1)イ本法が憲法20条,21条,B規約18条に違反するか否か。 (争点2)ウ本法が憲法31条,B規約14条1に違反するか否か。 (争点3)エ本法が憲法35条に違反するか否か。 (争点4)オ観察処分を行うためには具体的現実的な危険の存在を要するか否か。 (争点5)(2) 本件更新決定の要件充足の有無についてア本法5条1項1号の要件の存否 (争点6)イ本法5条1項2号,3号の要件の存否 (争点7)ウ本法5条1項5号の要件の存否 (争点8)エ引き続き原告の活動状況を継続して明らかにする必要があるか否か。 (争点9)第3 本法及び本件更新決定の合憲性等に関する争点に対する判断 1 争点1(本法の立法事実の存否)について(1) 原告は,本法の立法事実は,両サリン事件により地域住民の不安感が高まったため,これを解消するというものであり,かかる主観的な心情が立法目的になり得るとするのは大きな疑問がある旨主張するので,まず,本法の立法に至る経緯を検討することとする。 (2) 本法制定の契機と団体による無差別大量殺人行為の特性ア両サリン事件の発生等aYの構成員は,同団体の活動として,毒性物質であるサリンを使用し,平成6年6月27日に松本サリン事件を,次いで平成7年3月20日に地 と団体による無差別大量殺人行為の特性ア両サリン事件の発生等aYの構成員は,同団体の活動として,毒性物質であるサリンを使用し,平成6年6月27日に松本サリン事件を,次いで平成7年3月20日に地下鉄サリン事件を敢行した。 松本サリン事件は,武器としてのサリンの効果を確かめ,その使用に習熟するとともに,組織拡大の障害を排除することを直接の目的として,長野地方裁判所松本支部所属の裁判官や反対派住民等を含む近隣住民を殺害しようと企て,噴霧車を用いて長野県松本市内にサリンを散布し,7名を殺害するとともに,144名にサリン中毒症を負わせた事件である。また,地下鉄サリン事件は,地下鉄霞ヶ関駅を通勤で利用する警察関係職員を殺傷することによって警察組織に打撃を与えるとともに,首都中心部で大事件を起こし,大混乱を生じさせることを直接の目的として,東京都内を走行中の地下鉄電車5本内でサリンを散布し,12名を殺害するとともに,約3800名に重軽傷を負わせた事件である。 そして,Xに係る刑事事件につき東京地方裁判所が平成16年2月27日に言い渡した判決において,両サリン事件を含む一連の事件は,Xが自ら率いる集団の勢力の拡大を図り,ついには救済の名の下に我が国を支配しようと考えたことによって引き起こされたものであると認定されている。 (乙A118,乙C4,22ないし35,53)b また,本法施行前の国際情勢をみると,平成10年8月に起きたケニアのナイロビ及びタンザニアのダルエスサラーム所在の両米国大使館を同時に爆破した事件を始め,公共の場所で爆弾を爆発させるなどして,多くの一般市民を犠牲にする無差別大量殺人行為による事件が多発している状況にあった。 (乙C4,53)イ無差別大量殺人行為の特性と規制措置の必要性aYの構成員は,両サリン事件のほか,VV一家 ,多くの一般市民を犠牲にする無差別大量殺人行為による事件が多発している状況にあった。 (乙C4,53)イ無差別大量殺人行為の特性と規制措置の必要性aYの構成員は,両サリン事件のほか,VV一家殺人事件を始め数多くの凶悪事件を引き起こしたが,これらの事件は,すべてYの教義及びXの説法又は指示命令を実現するための武装化計画の一環として綿密な計画の下,終始秘密裏に実行されたものであった。 また,本法施行前10年間に国外のテロ組織により敢行された無差別大量殺人行為に類する事件をみても,「タミル・イーラム解放の虎」,「センデロ・ルミノソ」,「アイルランド共和軍」,「武装イスラム集団」,「ハマス」,「真のIRA」,「ダゲスタン解放軍」等同一組織により犯行が繰り返される傾向が顕著であり,これによって多数の死傷者が生じる結果となっている。しかも,その計画や準備は秘密裏に行われるため,事前に具体的な犯行日時・場所等が把握できた例はほとんどない。 このような無差別大量殺人行為の特性は,平成12年以降に発生した,「アルカイダ」による平成13年9月11日の米国同時多発テロ事件,アルカイダと密接な関係を持つ「ジェマー・イスラミア」による平成14年10月12日のインドネシア・バリ島でのディスコ等爆破事件,「ハマス」等により頻繁に繰り返されるテロ事件などにおいても明らかである。 (乙A97,118,乙C51,53)b 以上のとおり,無差別大量殺人行為は,不特定かつ多数の一般市民の生命・身体に対して取り返しのつかない極めて甚大な被害をもたらし,平穏な市民生活にとって重大な脅威となるものであり,その犯行場所・対象者・殺害方法が多種多様であって,これを団体が行う場合には,組織的かつ秘密裏に計画,準備されて実行に移されるため,犯行の事前把握が極めて困難であることな 重大な脅威となるものであり,その犯行場所・対象者・殺害方法が多種多様であって,これを団体が行う場合には,組織的かつ秘密裏に計画,準備されて実行に移されるため,犯行の事前把握が極めて困難であることなどから,犯行の実現可能性が高く,さらに,団体が持つ一定の目的達成のために行われる場合には,反復して行われる可能性が高いという特性を有しているということができる。 (3)ア上記のような無差別大量殺人行為の特性に照らすと,このような不特定かつ多数の一般市民の生命・身体に対して取り返しのつかない極めて甚大な被害をもたらす無差別大量殺人行為の危険から一般市民を守り,平穏な市民生活を確保して,公共の安全を図るためには,過去にその団体の役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体が,現在も無差別大量殺人行為に関する危険な要素を保持している場合には,一定限度で当該団体の活動状況を継続して明らかにするための措置を講ずることが必要であり,また,このような団体の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の増大を防止する必要が認められる場合や,一定の条件の下で当該団体の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められる場合には,一時的に当該団体の活動の一部を停止させる措置を講ずることが必要であって,しかも,これらの措置は,迅速に実施され,かつ,その効果も実効的なものでなければならないということができる。 イまた,国際連合安全保障理事会は,国際的にテロが多発している状況を受け,平成11年以降,テロ行為を防止し,抑圧するための国際社会の努力を求めるほか,テロと闘うための金融面を含む包括的な措置の実施を加盟国に求める等の内容の決議を何度も採択しており,米国,連合王国,ドイツ連邦共和国,フランス共和国においても,大統領や大臣といった独 を求めるほか,テロと闘うための金融面を含む包括的な措置の実施を加盟国に求める等の内容の決議を何度も採択しており,米国,連合王国,ドイツ連邦共和国,フランス共和国においても,大統領や大臣といった独任制の行政機関がいわゆるテロ団体を,緩やかな要件の下に,事前手続を行うことなく迅速に指定し,当該団体の解散を命じたり,当該団体の資産凍結,当該団体の構成員の出入国規制及び当該団体に対する物的支援の禁止などの極めて強力な規制をなし得るテロ団体規制制度を有している(乙A96,139)。 (4) 本法は,このような状況の下で,過去に現に無差別大量殺人行為を行った団体によって,再び,不特定多数の一般市民の生命身体が危険にさらされ,甚大な被害が発生することを防ぐために,団体の活動状況を明らかにし,無差別大量殺人行為の再発を防止するために必要な規制措置を定めて,国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保を図ったものであることは,その立法経緯及び本法1条の掲げる目的及び本法第1章(総則),第2章(規制措置)の内容から明らかであり(乙C4,48,49),原告の主張するような単なる地域住民の不安感を解消するために制定されたものにとどまるものではない。 したがって,この点についての原告の主張は理由がない。 2 争点2(本法が憲法20条,21条,B規約18条に違反するか否か)について(1) 憲法20条違反の有無ア憲法20条が保障する信教の自由は,その内心にとどまる限り,絶対的な保障を受けるものの,内心にとどまらず外部的行為として現れる宗教的行為や宗教的結社の場合には,外部的行為に及ぶ他の精神的自由権の保障の場合と同様に絶対無制限のものではなく,公共の福祉の観点から必要かつ合理的な制約を受けるものと解するのが相当である(前掲最高裁昭和38年5月15日大法廷判決参照)。 為に及ぶ他の精神的自由権の保障の場合と同様に絶対無制限のものではなく,公共の福祉の観点から必要かつ合理的な制約を受けるものと解するのが相当である(前掲最高裁昭和38年5月15日大法廷判決参照)。 そして,信教の自由を制限する法律の規定が公共の福祉による必要かつ合理的なものとして是認されるかどうかは,当該制限が必要とされる程度と,制限される自由の内容及び性質,これに加えられる具体的制限の態様及び程度,制限を課する手続の内容等を比較較量して決すべきものと解するのが相当である(最高裁昭和58年6月22日大法廷判決・民集37巻5号793頁,前掲最高裁平成4年7月1日大法廷判決,前掲最高裁平成8年1月30日第一小法廷決定参照)。 イそこで,上記のような観点から,本法の観察処分に関する規定が憲法20条に違反するものであるか否かについて検討する。 a 本法における規制措置等の内容(a) 本法は,過去に役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行い,現在も無差別大量殺人行為に関する危険な要素を保持している団体(すなわち,5条1項各号に該当する団体)を対象とし,このような団体について,その活動状況を明らかにするための処分として観察処分(5条,7条)を,無差別大量殺人行為の再発を防止するための処分として再発防止処分(8条,9条)をそれぞれ規定している。 (b) このうち,観察処分は,3年を超えない期間を定めて公安調査庁長官の観察に付する処分であり,この観察処分により団体に課される義務は,前記「法令の定め」(3)及び(4)のとおり,公安調査庁長官に対し,当該団体の役職員及び構成員の氏名・住所等,当該団体の活動の用に供されている土地・建物の所在・規模・用途等,並びに資産・負債などの当該団体の活動に関する一定の事項について報告すること,公安調 対し,当該団体の役職員及び構成員の氏名・住所等,当該団体の活動の用に供されている土地・建物の所在・規模・用途等,並びに資産・負債などの当該団体の活動に関する一定の事項について報告すること,公安調査庁長官が特に必要があると認めて公安調査官に当該団体が所有し又は管理する土地又は建物への立入検査をさせる場合に,その立入検査を受忍することなどであって,団体の結成や活動自体を禁止するものでない。 (c) これらの規制内容は,破防法の規定する解散指定処分が当該団体の活動を全面的に禁止するものであり(同法7条ないし9条),また,同法の規定する団体活動の制限が,集団示威運動等や機関誌紙の印刷・頒布などを禁止し,あるいは場所を制限せずに役職員又は構成員の活動を禁止するものであること(同法5条,6条)などと比べると限定的なものであり,当該団体やその構成員の中核的な活動自体に制約を加えるような内容のものではないということができる。 b 観察処分等の手続観察処分及びその期間の更新決定を行う手続は,後記3で詳細に検討するが,その概要は,前記「法令の定め」記載のとおり,公安調査庁長官による処分の請求を受けて,被告が,団体から意見聴取をしたうえ(観察処分の請求があった場合は,原則として公開による意見聴取が行われる。),証拠書類等に基づいてこれらの処分をするか否かを判断するものとされている。 また,いったん観察処分が行われても,対象団体の活動状況を継続して明らかにする必要がなくなったと認められるときは,被告において観察処分を取り消さなければならないものとされている(本法6条)。 なお,その審理及び判断を行う被告は,独立してその職権を行使する委員長及び委員6名をもって組織される準司法機関である(公安審査委員会設置法1条,3条ないし5条参照)。 c 他方,本法の目的は,過 。 なお,その審理及び判断を行う被告は,独立してその職権を行使する委員長及び委員6名をもって組織される準司法機関である(公安審査委員会設置法1条,3条ないし5条参照)。 c 他方,本法の目的は,過去に無差別大量殺人行為を行った団体が,現在も無差別大量殺人行為に関する危険な要素を保持していると認められる場合に,当該団体に対し,その活動状況を明らかにし,又は当該行為の再発を防止するために必要な措置を講じることにより,国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保を図ろうとするものであって(1条),かかる立法の必要性が存することは,上記1に詳述したとおりである。 d そこで,これらを前提として検討すると,本法による上記の観察処分に付された場合,当該団体には,一定の報告義務ないし立入検査の受忍義務が課されることになり,当該団体やその構成員には,その限度で負担が生じることは否定できないところであるが,その内容はいずれも,当該団体又はその構成員の団体における活動の中核的部分に対する制約となるものではなく,当該団体が宗教団体である場合であっても,当該団体又はその構成員の宗教的活動自体を規制したり,構成員の精神的・宗教的な側面に容かいするような性質のものではない。 これに対し,本法の規定する観察処分によって保護しようとする利益は,国民の生命・身体の安全をはじめとする国民生活の平穏を含む公共の安全であって,近時,現に両サリン事件のような無差別大量殺人行為が立て続けに発生し,一般市民に極めて重大かつ深刻な被害をもたらしたことにかんがみれば,本法制定当時から現在に至るまで,このような危険から一般市民を保護し,公共の安全を確保すべき喫緊の必要性が存在するものということができる。 そして,上記のような公共の安全を確保するためには,本法の定める観察処分によるのでなけれ ,このような危険から一般市民を保護し,公共の安全を確保すべき喫緊の必要性が存在するものということができる。 そして,上記のような公共の安全を確保するためには,本法の定める観察処分によるのでなければその目的を達成することが困難であることは,無差別大量殺人行為が組織的かつ秘密裏に計画,準備されて実行に移されるため,通常では犯行の事前把握が極めて困難であるという特性を有していることを考えれば,容易に首肯できるところである。 また,観察処分の対象となる団体は,その団体の役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体であり,かつ,本法5条1項各号所定のいずれかに該当するものに限られており,観察処分又はその期間の更新決定を行う手続も,公安調査庁長官の請求により,準司法機関たる性格を有する被告によって,本法第3章に規定された手続を践んで行われるものとされている。 したがって,これらの各事情を総合すれば,本法の定める観察処分は,その対象が,その役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体で,かつ,本法5条1項各号所定のいずれかに該当するという前提を満たす極めて限られた団体であり,公共の安全の確保のために観察処分を行う強い必要性が存する一方で,これによって当該団体及びその構成員の被る制約は,当該団体又はその構成員らの団体活動の中核的な部分に関するものではなく,当該団体が宗教団体である場合であっても,当該団体又はその構成員の宗教的活動自体を規制したり,構成員の精神的・宗教的な側面に容かいするような性質のものではないし,また,観察処分を行うための手続は,上記のとおり,適正が担保されたものであることからすれば,当該団体及びその構成員について,過去の無差別大量殺人行為に関係しなかった構成員も含めて,観察処分によ し,また,観察処分を行うための手続は,上記のとおり,適正が担保されたものであることからすれば,当該団体及びその構成員について,過去の無差別大量殺人行為に関係しなかった構成員も含めて,観察処分によって上記のような制約が及ぶことはやむを得ないものであり,本法の目的を達成するという公共の福祉の観点からの必要かつ合理的な範囲内の制約というべきであって,これらの制約が生じることをもって,本法が憲法20条に違反するということはできない。 (2) 憲法21条,B規約18条違反の有無原告は,本法が憲法21条やB規約18条にも違反する旨主張するが,これらの主張は,結局のところ,憲法20条違反の主張と同様の理由に基づく主張と解されるところ,上記(1)で検討したところに照らせば,本法が憲法21条やB規約18条に違反すると認めることはできない。 (3) 以上のとおりであるから,本法が憲法20条,21条,B規約18条に違反する旨の原告の主張は理由がない。 3 争点3(本法が憲法31条,B規約14条1に違反するか否か)について(1) 憲法31条違反の有無ア憲法31条の定める法定手続の保障は,直接には刑事手続に関するものであるが,行政手続については,それが刑事手続ではないとの理由のみで,そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。しかしながら,同条による保障が及ぶと解すべき場合であっても,一般に,行政手続は,刑事手続とその性質においておのずから差異があり,また,行政目的に応じて多種多様であるから,行政処分の相手方に事前の告知,弁解,防御の機会を与えるかどうかは,行政処分により制限を受ける権利利益の内容,性質,制限の程度,行政処分により達成しようとする公益の内容,程度,緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって,常に必ずそのよ 会を与えるかどうかは,行政処分により制限を受ける権利利益の内容,性質,制限の程度,行政処分により達成しようとする公益の内容,程度,緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって,常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではないと解するのが相当である(前掲最高裁平成4年7月1日大法廷判決参照)。 上記最高裁判決の後,行政手続法(平成5年法律第88号)が制定され,これにより,行政処分の相手方に事前の告知,弁解,防御の機会を与えるかどうかという問題は一定の解決をみたが,本法では,不利益処分を課する場合の意見陳述のための手続等を定めた行政手続法第3章の規定は適用しないものとされている(本法33条)。 イそこで,本法の観察処分に付する手続が憲法31条に違反するものであるか否かについて検討する。 a 本法の規制措置を課する手続の概要は,次のとおりである。 (a) 観察処分及びその期間の更新決定は,いずれも公安調査庁長官の請求を受け,独立してその職権を行使する委員長及び委員6名をもって組織される準司法機関である被告が行うものとされている(本法12条1項,5条1項,4項)。 (b) 観察処分の請求があった場合には,被告は,個人の秘密の保護のためやむを得ないと認める場合を除き,被告から公開による意見聴取を行わなければならず(本法16条),そのために,意見聴取を行う期日の7日前までに,請求に係る処分の内容及び根拠となる法令の条項,請求の原因となる事実等を,官報で公示するとともに当該団体の代表者等に通知書を送付して,団体に通知するものとされている(本法17条)。 そして,意見聴取の期日においては,その冒頭で,公安調査庁の職員が請求に係る処分の内容及び根拠となる法令の条項並びに請求の原因となる事実を説明し(本法19条2項),これに対し,団体の役 17条)。 そして,意見聴取の期日においては,その冒頭で,公安調査庁の職員が請求に係る処分の内容及び根拠となる法令の条項並びに請求の原因となる事実を説明し(本法19条2項),これに対し,団体の役職員等は,5人以内に限り意見聴取の期日に出頭して,当該処分を行うことについて意見を述べ,証拠書類等を提出することができ,また,意見聴取を指揮する指名委員等の許可を得て,公安調査庁の職員に対して質問を発することができる(本法20条1項,2項。なお,意見聴取の期日への出頭に代えて,同期日までに陳述書及び証拠書類等を提出することもできる(同条3項))。 (c) 観察処分の期間の更新請求があった場合には,被告は団体に対し,陳述書及び証拠書類等を提出する方法により,意見陳述の機会を付与しなければならず(本法26条3項),上記陳述書の提出期限の7日前までに,更新が予定される処分の内容及び更新の根拠となる法令の条項,更新の理由となる事実等について,官報で公示するとともに当該団体の代表者等に通知書を送付して,団体に通知するものとされ(同条4項,5項,17条2項,3項),団体は上記陳述書及び証拠書類等を提出する方法によって意見陳述を行うものとされている(本法26条3項)。 b ところで,仮に本法の規定する観察処分に行政手続法が適用されるとすると,これらの処分は行政手続法13条1項1号のいずれにも該当しないので,同項2号の規定により弁明の機会の付与が要請されることとなる。 そこで,上記aのような本法の定める手続を行政手続法の定める弁明の機会の付与(同法13条1項2号)の手続と比較すると,同法の定める弁明の機会の付与の手続においても,予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項,不利益処分の原因となる事実等が不利益処分の名あて人となるべき者に事前に通知され(同 続と比較すると,同法の定める弁明の機会の付与の手続においても,予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項,不利益処分の原因となる事実等が不利益処分の名あて人となるべき者に事前に通知され(同法30条),当該名あて人は弁明の際に証拠書類等を提出することができるのは(同法29条2項),本法の定める手続と基本的に異なるところはないが,本法の定める手続においては,これらに加え,独立してその職権を行使する委員長及び委員で組織される準司法機関である被告が手続を主宰して請求に対する決定を行うものとされ,観察処分の請求があった場合には,原則として公開の場で意見聴取が行われ,団体の役職員等は,その期日に出頭して,口頭で意見を述べ(行政手続法では,行政庁が認めた場合に限って,口頭での弁明をすることができるものとされている(同法29条1項)。),さらには公安調査庁の職員に対して質問を発することができることとされており,行政手続法の定める弁明の機会の付与の手続よりも,団体の権利ないし利益擁護に手厚い内容となっている。 本法が行政手続法第3章の規定を適用しないものとしたのも,本法において行政手続法よりも団体の手続保障に厚い事前手続を設けたからにほかならない。 c(a) ところで,原告は,本法では証拠調手続,なかんずく証人による心証形成が全く予定されておらず,また,対審的事実審査が認められていない旨主張する。 しかし,行政手続に憲法31条による保障が及ぶと解すべき場合であっても,直ちに原告の主張するような証拠調べや対審的事実審査を行うことまでもが憲法上要請されると解すべき根拠はなく,本法の規制措置により保護しようとする公益の内容,規制措置が求められる緊急性,本法による規制措置により団体あるいはその構成員が受ける制限の内容・程度,本法の手続保障は行政手続法と 解すべき根拠はなく,本法の規制措置により保護しようとする公益の内容,規制措置が求められる緊急性,本法による規制措置により団体あるいはその構成員が受ける制限の内容・程度,本法の手続保障は行政手続法と比べても団体の手続保障に厚いものとなっていることなどからすると,本法が規制措置の事前手続として原告の主張するような証拠調べや対審的事実審査を定めていないからといって,憲法31条の要請を満たしていないと解することはできない。 (b) また,原告は,本法では意見聴取の通知の公示のあった日から30日以内に,被告が処分の請求に対する決定を出すこととされている点(本法22条2項)をとらえて,本法は慎重な審査がされることを放棄している旨主張する。 しかし,上記bのとおり,本法の規制措置により保護しようとする公益の内容や規制措置が求められる緊急性に照らせば,努力目標として,上記のような審査期間を設けることは不合理とはいえないし,また,その期間が30日であるからといって,これにより被告の審理が不十分にならざるを得ないとする根拠も見出し難いから,上記のような審査期間を設定したことが,憲法31条の趣旨に違反するということはできない。 (c) さらに,原告は,本法では行政手続法の適用が排除され(本法33条),かつ,行政不服審査法による不服申立てもできないから(本法34条),団体の救済手続が不備である旨主張する。 しかし,行政手続法の適用が除外されているのは,上記bのとおり,行政手続法よりも団体の手続保障に厚い事前手続を本法で設けたことによるものであるから,原告の主張は採用できない。 また,行政不服審査法4条1項ただし書は,同項1号ないし11号に掲げる処分のほか,他の法律に審査請求又は異議申立てをすることができない旨の定めがある処分については,行政不服審査法による できない。 また,行政不服審査法4条1項ただし書は,同項1号ないし11号に掲げる処分のほか,他の法律に審査請求又は異議申立てをすることができない旨の定めがある処分については,行政不服審査法による不服申立てをすることができない旨規定し,行政不服審査法自体が同法による不服申立てができない場合があることを想定しているところ,本法34条が行政不服審査法による不服申立てができないと規定したのは,本法の規定に基づく処分は,上記のとおり慎重な手続によって行われることによるものであって,合理的な理由が存するのであるから,本法34条が行政不服審査法による不服申立てができないと規定したからといって,本法の救済手続に不備があるということにはならないというべきである。 d そして,本法の規定する観察処分によって保護しようとする利益が,国民の生命・身体の安全をはじめとする国民生活の平穏を含む公共の安全であって,両サリン事件のような無差別大量殺人行為が立て続けに発生し,このような危険から一般市民を保護し,公共の安全を確保すべき喫緊の必要性が存在すること,上記のような公共の安全を確保するためには,本法の定める観察処分によるのでなければその目的を達成することが困難であることは,前記2に記載したとおりである。 e したがって,前記d記載のような事情を勘案して総合的に判断すれば,本法の定める事前手続は,団体の権利・利益を手続的に保障するための措置として不十分であるということはできないから,本法が憲法31条ないしその法意に反するということはできない。 (2) B規約14条1違反の有無原告は,本法がB規約14条1にも違反する旨主張するが,その主張は,結局のところ,憲法31条違反の主張と同様の理由に基づく主張と解されるところ,上記(1)で検討したところに照らせば,本法がB規約 無原告は,本法がB規約14条1にも違反する旨主張するが,その主張は,結局のところ,憲法31条違反の主張と同様の理由に基づく主張と解されるところ,上記(1)で検討したところに照らせば,本法がB規約14条1に違反すると認めることはできない。 (3) 以上のとおりであるから,本法が憲法31条,B規約14条1に違反する旨の原告の主張は理由がない。 4 争点4(本法が憲法35条に違反するか否か)について(1) 憲法35条の規定は,本来,主として刑事手続における強制につき,それが司法権による事前の抑制の下に置かれるべきことを保障したものであるが,当該手続が刑事責任追及を目的とするものではないとの理由のみで,その手続における一切の強制が当然に上記規定による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。しかしながら,一般に,行政手続は,刑事手続とその性質においておのずから差異があり,また,行政目的に応じて多種多様であるから,行政手続における強制の一種である立入りにすべて裁判官の令状を要すると解するのは相当ではなく,当該立入りが,公共の福祉の維持という行政目的を達成するため欠くべからざるものであるかどうか,刑事責任追及のための資料収集に直接結び付くものであるかどうか,強制の程度,態様が直接的なものであるかどうかなどを総合判断して,裁判官の令状の要否を決めるのが相当である(前掲最高裁昭和47年11月22日大法廷判決,前掲最高裁平成4年7月1日大法廷判決参照)。 (2) そこで,上記のような観点から,本法の規制措置を課する手続が憲法35条に違反するものであるか否かについて検討する。 ア団体による無差別大量殺人行為は,組織的かつ秘密裏に計画,準備されて実行に移されるため,通常では犯行の事前把握が極めて困難であるという特性を有していること,そのため,観察処分又 ついて検討する。 ア団体による無差別大量殺人行為は,組織的かつ秘密裏に計画,準備されて実行に移されるため,通常では犯行の事前把握が極めて困難であるという特性を有していること,そのため,観察処分又はその更新決定を受けている団体の活動状況を明らかにすることは,このような行為による危険から一般市民を保護し,公共の安全を確保するという本法の目的を実現するために不可欠なものであることは既に述べたとおりであり,本法の定める観察処分に伴う公安調査官の立入検査も,団体の活動状況を明らかにするために特に必要な場合に限って行われるものであり(本法7条1項,2項),また,観察処分又はその更新決定を受けている団体に係る再発防止処分の請求に関する警察庁長官の意見陳述のための調査の一環として都道府県警察の職員が行う立入検査は,警察庁長官の意見の的確性を確保するために行われるもの(本法14条1項,2項)であって,いずれも上記のような本法の目的を達成するために欠くべからざるものということができる。 イ公安調査官による立入検査(本法7条2項)及び都道府県警察の職員による立入検査(本法14条2項)は,それぞれ上記アのような行政目的を達成することを目的とするものであって,刑事責任の追求を目的とするものではなく,本法も,この権限は犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないと規定しているから(本法7条4項,14条7項),立入検査が刑事事件追及のための資料収集に直接結び付くものではない。 また,立入検査をする公安調査官又は都道府県警察の職員は,身分を示す証票を携帯し,関係者に提示しなければならないとされている(本法7条3項,14条4項)。 そして,立入検査の実施に当たり,その対象とされた団体等から抵抗があったとしても,これを直接,強制的に排除することは認められておら に提示しなければならないとされている(本法7条3項,14条4項)。 そして,立入検査の実施に当たり,その対象とされた団体等から抵抗があったとしても,これを直接,強制的に排除することは認められておらず,立入検査の拒否,妨害又は忌避について刑罰を課すことにより,間接的に立入検査の実効性を確保するにとどめている(本法39条)。 ウ公安調査官による立入検査(本法7条2項)及び都道府県警察の職員による立入検査(本法14条2項)は,いずれも観察処分又はその更新決定を受けている団体に対して行われるものであるが,当該団体を観察処分に付し又はその期間を更新するに当たっては,上記3のとおり,準司法機関である被告が意見聴取を実施するなど,慎重な手続が踏まれている。 また,公安調査庁長官は,本法7条2項の規定により公安調査官に立入検査をさせようとするときはあらかじめ,また,警察庁長官との間で,本法14条3項の規定による協議が調ったときは速やかに,立入検査をさせようとする土地又は建物の所在及びその予定日を被告に通報するとともに(無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律施行規則2条1項,2項),これらの立入検査が終了した後には,速やかに被告に対し,当該立入検査の結果等を通報するものとされている(同条3項)。 エしたがって,以上の諸事情を総合すれば,立入検査について裁判官の発する令状が必要とされておらず,個別の立入りについて被告による個別の審査が行われないとしても,本法が憲法35条ないしその法意に反するということはできない。 (3) 以上のとおりであるから,本法が憲法35条に違反する旨の原告の主張は理由がない。 5 争点5(観察処分を行うためには具体的現実的な危険の存在を要するか否か)について(1) 原告は,観察処分で規制される団体の行為は広範かつ重大で 憲法35条に違反する旨の原告の主張は理由がない。 5 争点5(観察処分を行うためには具体的現実的な危険の存在を要するか否か)について(1) 原告は,観察処分で規制される団体の行為は広範かつ重大であるから,本法が合憲であるというためには,観察処分の要件として,本法5条1項各号に掲げる事実のいずれかに形式的に該当するだけでは足りず,無差別大量殺人に結び付く具体的現実的な危険が存することが必要であり,ここでいう具体的現実的な危険が存在するか否かは,当該団体が再び無差別大量殺人行為の準備行為を開始するおそれが常に存在すると通常人をして思料せしめるに足りる状態が存在するか否かについて,当該団体の組織,構成員,綱領,教義,活動状況などの具体的事情を基礎として客観的に判断すべきものである旨主張する。 (2) しかし,前記「法令の定め」記載のとおり,本法5条1項は,観察処分に付するための実体的な要件として,①当該団体の役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体であること,②当該団体が,5条1項1号ないし5号のいずれかに該当すること,③当該団体の活動状況を継続して明らかにする必要があることを定めており,同項各号の事由として,「当該無差別大量殺人行為の首謀者が当該団体の活動に影響力を有していること(1号)」,「当該無差別大量殺人行為に関与した者の全部又は一部が当該団体の役職員又は構成員であること(2号)」,「当該無差別大量殺人行為が行われた時に当該団体の役員(団体の意思決定に関与し得る者であって,当該団体の事務に従事するものをいう。以下,同法において同じ。)であった者の全部又は一部が当該団体の役員であること(3号)」,「当該団体が殺人を明示的に又は暗示的に勧める綱領を保持していること(4号)」,「前各号に掲げるもののほか,当該 ,同法において同じ。)であった者の全部又は一部が当該団体の役員であること(3号)」,「当該団体が殺人を明示的に又は暗示的に勧める綱領を保持していること(4号)」,「前各号に掲げるもののほか,当該団体に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事実があること(5号)」と定めているものである。 このような文理の上からは,それぞれ5条1項各号の文言上明らかにされた要件のほかに「具体的現実的な危険が存在すること」との要件が付加されているものとは解されない。 なお,上記のとおり,5号は「前各号に掲げるもののほか,当該団体に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事実があること」と定めているが,同号は,1号ないし4号の各事由とは別個独立の要件として掲げられているものであって,同号の規定から,他の各号について,原告の主張のような具体的現実的な危険が存することが必要であると解すべき理由は見出せない。 (3) また,本法は,前記のとおり,団体が持つ一定の目的達成のために無差別大量殺人行為が行われる場合には,それが反復して行われる可能性が高く,それは,組織的かつ秘密裏に計画,準備されて実行に移されるため,犯行の事前把握が極めて困難であるという実情を前提として,「国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保に寄与すること」を目的に掲げ,その方法として,「無差別大量殺人行為を行った団体につき,その活動状況を明らかにし又は当該行為の再発を防止するために必要な規制措置を定め」ることとしたものである(本法1条参照)。 しかし,無差別大量殺人行為が秘密裏に計画,準備されて実行に移されるという特質をもっているにもかかわらず,仮に原告の主張するように,「当該団体が再び無差別大量殺人行為の準備行為を開始するおそれが常に存在すると通常人をして思料せしめる 計画,準備されて実行に移されるという特質をもっているにもかかわらず,仮に原告の主張するように,「当該団体が再び無差別大量殺人行為の準備行為を開始するおそれが常に存在すると通常人をして思料せしめるに足りる状態」に至ったと認められるときに初めて観察処分に付することができると解さなければならないとすれば,その段階では,「活動状況を明らかに(する)」とか「再発を防止するために必要な規制措置を定め(る)」という方法によって,団体の無差別大量殺人行為の再発を防止することは著しく困難となることは明らかであって,このような解釈は本法が制定された趣旨を実質的に没却することに等しいというべきである。 (4) そして,本法の定める観察処分によって当該団体又はその構成員に生じる制約は,公共の福祉の観点からの必要かつ合理的な範囲にとどまるやむを得ないものであり,憲法の諸規定にも反するものでないことは,既に述べたとおりであって,これらの制約が生じることから,本法の定める前記の各要件を満たす場合であっても,具体的現実的な危険が存在しない限り,観察処分に付することは憲法に反すると解すべき理由も存在しない。 (5) したがって,観察処分に付するためには,本法5条1項の定める各要件に加えて,それぞれ「当該団体が再び無差別大量殺人行為の準備行為を開始するおそれが常に存在すると通常人をして思料せしめるに足りる状態が存在する」というような具体的現実的な危険の存在が必要であると解することはできない。 第4 本件更新決定の要件の有無に関する争点に対する判断 1 本件更新決定に至る経緯,Yの教義等前記「前提となる事実」,各項に掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 本件更新決定に至る経緯ア原告は,前記「前提となる事実」(1)のとおり,Xを教祖・創始者 義等前記「前提となる事実」,各項に掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 本件更新決定に至る経緯ア原告は,前記「前提となる事実」(1)のとおり,Xを教祖・創始者として活動を始めた団体であり,宗教法人「Y」の設立登記後,その勢力を拡充して行き,平成6年6月ころには,国内に合計24か所の支部・道場等を設け,構成員約1万1000名(出家信徒約1000名及び在家信徒約1万名)を擁していた。 (乙B1の1・2)イ Yの構成員は,同団体の活動として,平成6年6月に松本サリン事件を,次いで,平成7年3月に地下鉄サリン事件を敢行したが,同年5月16日にXが地下鉄サリン事件に係る殺人等事件により逮捕されるなど,同年9月末までに441名の構成員が逮捕されるに至った。 (乙A128,乙B6の27)また,宗教法人「Y」については,平成7年12月19日,宗教法人法に基づく解散命令が確定し,次いで,その清算手続中の平成8年3月28日,破産宣告がされた。 ウ本法は,平成11年12月7日に成立し,本法附則により,同月27日から施行されることとなった。 そして,公安調査庁長官は,平成11年12月27日,原告について,本件観察処分の請求をし,被告は,平成12年1月28日,原告に対し,本件観察処分決定をした。 原告は,その直後の同年2月4日,名称を「宗教団体・Z」と変更し,Bがその代表者に就任した旨発表するとともに,「綱領」及び「規約」を制定した。 なお,原告は,東京地方裁判所に対し,本件観察処分決定の取消訴訟を提起したが,平成13年6月13日,原告の請求を棄却する旨の判決(前回東京地裁判決)を受けた。 エ原告は,平成12年7月6日,破産宣告を受けた宗教法人「Y」の破産管財人との間で,同宗教法人の損害賠償債務を引き受ける旨の契約を 3日,原告の請求を棄却する旨の判決(前回東京地裁判決)を受けた。 エ原告は,平成12年7月6日,破産宣告を受けた宗教法人「Y」の破産管財人との間で,同宗教法人の損害賠償債務を引き受ける旨の契約を締結した。 (乙D21)オ原告は,平成14年1月29日,Aが同月21日をもって同団体の代表者に就任した旨発表し,次いで,同年2月17日,「活動規定」を制定した。 カ公安調査庁長官は,平成14年12月2日,被告に対し,本件更新請求をし,これを受けて,被告は,平成15年1月23日,原告に対し,本件更新決定をした。 原告は,その直後の同年2月6日,その名称を「宗教団体Z’」に変更した。 キ原告は,平成14年10月時点で,国内の構成員約1650名(出家信徒約650名及び在家信徒約1000名)及びロシア連邦内の構成員約300名を擁し,中央組織を5都県の9施設に置くほか,地方組織として国内に11の支部・道場及び1連絡所を,モスクワ市内に「ロシア連絡所」をそれぞれ設けている。 (乙B1の1・30)(2) 両サリン事件を引き起こしたYの教義等ア Yの教義Yの教義は,前記「本件更新決定の要件の有無に関する当事者の主張」(被告の主張)(1)イaのとおりであり,要するに,シヴァ神の化身であるXに対する絶対的な浄信と帰依を培ったうえ,小乗(ヒナヤーナ),大乗(マハーヤーナ)及び秘密金剛乗(タントラ・ヴァジラヤーナ)の各修行を実践するというものであるが,その中でも,衆生救済への最速の道とされる「タントラ・ヴァジラヤーナ」の教えが最も重視された。 このXの説く「タントラ・ヴァジラヤーナ」の典型例として「五仏の法則」があり,その中には,「アクショーブヤの法則」(悪業を積んでいる魂は早く命を絶つべきであるとするもの)や,「アモーガシッディの法則」(真理の実践を行う者に ァジラヤーナ」の典型例として「五仏の法則」があり,その中には,「アクショーブヤの法則」(悪業を積んでいる魂は早く命を絶つべきであるとするもの)や,「アモーガシッディの法則」(真理の実践を行う者にとっては結果が第一であり,結果のためには手段を選ばないとするもの)などが含まれ,「グルのためだったら,殺しだってやるよと。こういうタイプの人ね,この人はクンダリニー・ヨーガに向いているということだ。・・・例えば,グルがそれを殺せと言うときは・・・相手はもう死ぬ時期に来ている。そして,弟子に殺させることによって,その相手をポアさせる。一番いい時期に殺させるわけだね。」(昭和62年1月4日の丹沢集中セミナーでの説法),「わたしたちは,すべての魂を・・・救済したいと考える。・・・しかし,時がない場合,それをセレクトし,そして必要のない魂を殺してしまうこともやむなしと考える智慧ある者,あるいは徳のある魂がいたとしてもそれはおかしくはない。」(平成5年4月18日の杉並道場での説法)等と説かれ,「教祖」であり「最終解脱者」であるXの指示があれば殺人を行うことも正当化され,死者の魂は「ポア」ないし「ポワ」されて高次の精神世界に転生するなどとされていた。 このように,Yにおける「タントラ・ヴァジラヤーナ」とは,悪業を積んだ者は救済のために殺害しなければならないというものであり,また,Xに対する絶対的帰依を核心とするYにおいては,誰が悪業を積んだ者として殺害しなければならないかは,「最終解脱者」であるXのみが判断・指示することであり,そのような判断・指示が下されれば,Yの構成員は衆生救済のため,「タントラ・ヴァジラヤーナ」の実践として,殺人を行わなければならないとされていたのであって,両サリン事件も,こうした原告の教義が大きく起因しているということができる。 の構成員は衆生救済のため,「タントラ・ヴァジラヤーナ」の実践として,殺人を行わなければならないとされていたのであって,両サリン事件も,こうした原告の教義が大きく起因しているということができる。 (乙B5の1・8,乙C6,9,証人C)なお,原告は,上記杉並道場での説法にある「時がない場合,・・・」の主語はフリーメーソンである旨主張するが,上記発言の前後の文脈に照らせば,「智慧ある者,あるいは徳のある魂」がXを指すものであることは明らかである。 イ Yの政治上の主義Yの政治上の主義は,前記「本件更新決定の要件の有無に関する当事者の主張」(被告の主張)(2)のとおりであり,要するに,Yの衆生の救済という教義に沿った理想郷の建設を目的として,武力によって我が国の現行国家体制を破壊し,Xを独裁者とする専制国家体制を樹立するというものであって,このような政治上の主義は,その教義の枢要な一部を構成するものとしてこれに内包されていたと認めることができ,Xも,「宗教と政治が,別個であるというのは,それは現代の一つの正しからぬ観念であって,実際は切っても切り離せるものではないと。」(平成元年11月1日の説法),「Yはやはり,最終的には軍事力を有することになるんだろうと,・・・それはちょうど,ヒトラーが自分の運命に対して,全く抵抗できず,そして第2次世界大戦の中心的な位置に据えられ,そして悪名だけを着せられて去って行かなきゃならなかったカルマ,これと,私のカルマというものは,ひょっとしたら似ているのかもしれないな,という印象があります。・・・Yの教団は,つまり単なる宗教集団ではなく,世界統治の機構に変化する時期が来ることが予言されていると。」(平成5年1月31日の第5サティアンにおける説法)等と説いていた。 そして, Xに係る刑事事件の判決において,両サ なる宗教集団ではなく,世界統治の機構に変化する時期が来ることが予言されていると。」(平成5年1月31日の第5サティアンにおける説法)等と説いていた。 そして, Xに係る刑事事件の判決において,両サリン事件を含む一連の事件が上記のような政治上の主義を推進する目的で敢行されたものであると認定されていることは,前記「本法及び本件更新決定の合憲性等に関する争点に対する判断」1(2)アaのとおりである。 (乙A118,乙B1の1・2・6・39・40・42,乙C6,9)(3) 「綱領」等の制定,Xの説法集の刊行等ア本件観察処分決定までの状況a 「尊師ファイナルスピーチⅠ~Ⅳ」の刊行(a) 原告は,平成6年夏ころ,「タントラ・ヴァジラヤーナ」や「五仏の法則」に関する説法全56話を集成した「ヴァジラヤーナコース教学システム教本」を出版したが,両サリン事件後の平成7年秋ころから平成8年1月ころにかけて,上記「ヴァジラヤーナコース教学システム教本」を始めとするXの著作,説法集などに掲載された説法等を転載したXの説法集「尊師ファイナルスピーチⅠ~Ⅳ」を製作し,出版した。 (なお,原告は,「尊師ファイナルスピーチ」には,「ヴァジラヤーナコース教学システム教本」に載っている説法のうち,危険と誤解を受けるおそれのある部分を削除して掲載したものであると主張している。)(乙A112)(b) 「尊師ファイナルスピーチ」には,「タントラ・ヴァジラヤーナ」や「五仏の法則」等に関する次のようなXの説法が掲載されている。 ⅰ 「タントラ・ヴァジラヤーナとは,普通だったら千生かかるとも二千生かかるともいわれているマハーヤーナの修行を,わずか一生から数生で終わらせてしまうという大変スピーディーな,しかし,ややもすると危険に陥りがちな修行体系である。」「Yには一生で一気に終 るとも二千生かかるともいわれているマハーヤーナの修行を,わずか一生から数生で終わらせてしまうという大変スピーディーな,しかし,ややもすると危険に陥りがちな修行体系である。」「Yには一生で一気に終わらせるというタントラ・ヴァジラヤーナの修行がある。」(「尊師ファイナルスピーチⅠ」 乙B5の5)ⅱ 「わたしたちは,すべての魂を・・・救済したいと考える。・・・しかし,時がない場合,それをセレクトし,そして必要のない魂を殺してしまうこともやむなしと考える智慧ある者,あるいは徳のある魂がいたとしてもそれはおかしくはない。」「タントラ・ヴァジラヤーナは,まさに救済者の乗り物である。」「わたしたちが,すべての衆生を救済するために,ラトナサンバヴァ,アクショーブヤ,アミターバ,アモーガシッディ,ヴァイローチャナの5つの真理勝者の法則,5つの仏陀の法則を実践することができるならば,その魂は「なんと偉大なタントラ・ヴァジラヤーナの修行者だ」と絶賛を集めることになるのである。」(上記(2)アの平成5年4月18日の杉並道場での説法)「尊師ファイナルスピーチⅢ」 乙B5の8)ⅲ 「タントラ・ヴァジラヤーナの道を歩かなければ,真理の流布はできないと思わないか。」「まさに今,タントラ・ヴァジラヤーナの時代である。すべての魂を悪趣から解放せよ。そのためにはポワしかない。」(「尊師ファイナルスピーチⅣ」 乙B5の9)b 「教団正式見解」の発表原告は,本法成立直前の平成11年12月1日,「教団正式見解」を発表したが,これは次のようなものであった。 「いわゆるY事件に関して,教団として現在まで裁判の進行を見守ってきた結果,当時の教団関係者の一部が事件に関わっていることは否定できないと判断するに至りました。」「被害に遭われた方々をはじめ,ご家族の方々に対し,心からお て,教団として現在まで裁判の進行を見守ってきた結果,当時の教団関係者の一部が事件に関わっていることは否定できないと判断するに至りました。」「被害に遭われた方々をはじめ,ご家族の方々に対し,心からお詫びを申し上げたいと思います。」「被害に遭われた方々ならびにご遺族の方々へできる限り補償をしていきたいとの結論を得ることができました。」(乙D105)c 「事件に関する総合的見解表明及び抜本的教団改革の概要」の発表原告は,本件観察処分の請求に係る審理中の平成12年1月18日,「事件に関する総合的見解表明及び抜本的教団改革の概要」を発表したが,これは次のようなものであった。 (a) 一連の事件に関する事実認識について「当時のX’代表についての刑事責任については,同人の裁判が今なお係争中であるゆえ断定し得ないものの,現長老部メンバー及び各部署のリーダーを中心とする教団執行部の見解としては,関与したのではないかと思われるという認識で一致しました。」「X’開祖は,天才的な瞑想家であったと思われますが,その教団が引き起こした事件については肯定できません。そのヨーガ的才能の遺した優れたヨーガ・仏教の行法,瞑想法を引き継ぎつつ,ここに明確に事件については否定したいと思います。」(b) 教団改革について「教団名「Y」の名称を変更し,新たに「Z」を団体名とします。 また,教団改革後はX’前代表を代表者とはせず,・・・」「新教団では教祖を置かず,X’開祖の位置づけは,あくまでも,観想の対象・霊的存在であって,信者に指示する存在とはしません。新団体の根本的崇拝対象は,シヴァ大神と諸仏と定めます。また,グルとは教典の解釈者を表し,これまでに極めて多数のグルが存在し,唯一絶対的な存在とは定義しません。」「新教団の経典教材については,X’前代表の作った旧団体のイ ,シヴァ大神と諸仏と定めます。また,グルとは教典の解釈者を表し,これまでに極めて多数のグルが存在し,唯一絶対的な存在とは定義しません。」「新教団の経典教材については,X’前代表の作った旧団体のインドヨーガ,原始仏教,大乗仏教の教えに限定した経典を作成し,この経典を基本経典とします。その一方で,刑事事件との関係も言われている危険とされる教義を破棄し,その実践を否定し,それを明確にするためにその旨の新経典を作成し,全信者に周知徹底させたいと思います。」(乙D106)イ本件観察処分決定から本件更新請求までの状況a 「綱領」及び「規約」の制定原告は,本件観察処分決定を受けた直後の同年2月4日にその名称を「宗教団体・Z」に変更するとともに,次のような内容を持つ「綱領」及び「規約」を制定した。 (a) 「綱領」の定め「2. 一連の事件に対する見解と対応(1) 一連の事件は,宗教法人Yの信者の一部が関与したものと認めることができ,当時のX’代表も関与したのではないかと思われる。 (2) 本件団体の会員は,一連の事件をいかなる意味においても肯定しない。 (5) 一連の事件に関与した者で本団体への加入を希望する者は,罪を深く反省し,二度と同様の事件に関与しないことを,別に定める書面をもって表明した場合に限り,その加入が許される。 4. 違法行為の厳禁本団体の会員は,あらゆる法令を遵守するよう努め,無差別大量殺人行為はもちろん,人を殺傷する行為は絶対に行わない。万一重大な法令違反を行った場合は,本団体から除名されても異議を唱えることができない。 5. 本団体の教義(1) 本団体の教義は,Yの教義のうち,古代ヨーガ,原始仏教,大乗仏教を根本とする。 (2) 一連の事件に関係したと言われ,危険とされる教義(以下「危険とされる教義」という。)は,本 本団体の教義(1) 本団体の教義は,Yの教義のうち,古代ヨーガ,原始仏教,大乗仏教を根本とする。 (2) 一連の事件に関係したと言われ,危険とされる教義(以下「危険とされる教義」という。)は,本団体の教義として一切認めず,これを破棄する。 (3) 本団体の経典は,上記教義に基づき新たに編纂され,全信者に徹底されるものとする。 (4) 本団体の会員は,危険とされる教義の実践を絶対に行わない。万一行った場合は,本団体から除名されても異議を唱えることができない。 (5) 危険とされる教義については,・・・必要な検討と取捨選択を行ない,将来の危険性を可能な限り除去すべく努める。 6. 最終完全解脱者である真理勝者と,X’旧代表の位置づけ本団体は,シヴァ大神をはじめとする諸々の真理勝者を完全なる解脱・悟り(最終完全解脱)をなした存在と信じる。本団体の教義においては,存命中のいかなる人間も,完全なる解脱・悟り(最終完全解脱)をなした存在ではない。 X’旧団体代表については,同人が旧団体においてなした仏教・ヨーガ等の経典の解釈(具体的な瞑想修行法なども含む)やイニシエーションのうち,事件と無関係なものを採用したが,本団体の意思決定に具体的,現実的な影響を与える,団体代表・役職員・構成員ではない。 7.社会との融和・・・地域住民の不安解消・相互理解をはかるために,施設の公開や解体・退去も含めた働きかけを行ない・・・閉鎖的体質を改め,会員の総意に基いた民主的な組織運営・・・を実現すべく努力する。」(甲4,乙D17)(b) 「規約」の定め「第6条会員は次の事項を遵守することを誓約するものとする。 (1) 本団体の会員は,あらゆる法令を遵守し,無差別大量殺人行為はもちろん,人を殺傷する行為は絶対に行わない。 (2) 本団体の会員は,一連のY事件をいか の事項を遵守することを誓約するものとする。 (1) 本団体の会員は,あらゆる法令を遵守し,無差別大量殺人行為はもちろん,人を殺傷する行為は絶対に行わない。 (2) 本団体の会員は,一連のY事件をいかなる意味においても肯定しない。 (3) 本団体の会員は,一連のY事件に関連があると言われ,危険とされる教義を否定し,その実践を絶対に行わない。」(乙D18)b 「尊師ファイナルスピーチ公式解釈書」の刊行原告は,平成12年3月27日付けで,「尊師ファイナルスピーチ公式解釈書」を刊行したが,これには,次のような記載がある。 「タントラ・ヴァジラヤーナとは,他の人の苦しみを積極的に自己の内側に取り込むことによって力強く救済活動を行うという高度な教えに属するものである。そして,その具体的な実践の中に,社会における布教があるが,社会の基盤である法規を遵守することは言うまでもない。」「ポワとは,意識を低い世界から高い世界へ移し変えるという意味である。一部のマスコミで「ポワ」イコール「殺生」と報道されているが,全くの誤りである。」(乙B24)c 「2001年度教団改革の指針」の発表原告は,平成13年6月13日に前回東京地裁判決を受けた後の同年8月24日,「2001年度教団改革の指針」を発表したが,これは次のようなものであった。 「1. 前代表の公判傍聴の自粛一般出家信者によるX’前代表の公判傍聴を,今年度中(来年3月)をめどに取りやめ,来年度以降の傍聴を自粛するという取り決めを行ないました。最後に傍聴を希望する者については,9月6日の次回公判以降,原則1回に限って認めることとします。 2. 「尊師ファイナルスピーチ」の回収・・・「尊師ファイナルスピーチ」全4巻をすべて回収します。それに代わって,今年末から来年3月の年度末にかけて,Zで規定されている って認めることとします。 2. 「尊師ファイナルスピーチ」の回収・・・「尊師ファイナルスピーチ」全4巻をすべて回収します。それに代わって,今年末から来年3月の年度末にかけて,Zで規定されている教義の基準に基づいた教義集を新たに編纂し,信者に配布します。 3. 自治体・地域住民に対する施設公開・情報提供の定期化各地の施設で進めている自治体・地域住民に対する主要施設の公開を今後定期化します。また,これと同時に,3カ月ごとに公安調査庁に提出している活動報告書をもとに,教団および当該施設に関連する情報を自治体・地域住民に定期的に提供します。」(乙B25)d 「活動規定」の制定原告は,平成14年1月にAが原告の代表者に就任した旨発表した後の同年2月17日,次のような内容を持つ「活動規定」を制定した。 「 宗教団体・Z(以下「本件団体」と記す)は,Y(以下「旧団体」と記す)に関連した一連の事件・犯罪をすべて完全に否定し,・・・。 そこで本団体は,事件・犯罪を正当化するいかなる教義もこれを信仰せず,X’旧団体代表(以下「旧団体代表」と記す)を絶対者・完全者とせず,本団体会員に指揮する教祖・代表・構成員としないことを,まず改めて確認することとする。 1. X’旧団体代表の位置づけ本団体は,旧団体の構成員が関与した一連の事件・犯罪を一切否定した。それに伴い,本団体は,旧団体ならびに旧団体代表に関して,事件・犯罪に関係した可能性があるものは一切排除する。 なお,会員が,旧団体ならびに旧団体代表に関して,事件・犯罪に関係していない純粋に宗教的な要素のみを評価・継承することについては,一切の犯罪の否定と過去の事件の謝罪・賠償という上記の原則を遵守する限りにおいて,我が国の憲法に認められた内心の自由としてこれを否定しないが,この自由は,会員によっ みを評価・継承することについては,一切の犯罪の否定と過去の事件の謝罪・賠償という上記の原則を遵守する限りにおいて,我が国の憲法に認められた内心の自由としてこれを否定しないが,この自由は,会員によっては,旧団体ならびに旧団体代表のいかなる要素も評価しない自由も含まれている。 (1) 旧団体代表の写真の使用制限旧団体代表の写真,イラスト,その他その肖像を表したもの(以下「写真等」と記す)は,本団体施設の祭壇および個人所有の祭壇に備え付けないこととする。・・・ただし,・・・個人的に写真等を所持することについては,・・・それが崇拝の対象を表しているとはいえないので,個人の判断に委ねることとする。 (2) 旧団体代表の教材の使用制限旧団体代表にまつわる,書籍等の文書,説法,写真,ビデオ映像,マントラ(真言),歌,楽曲等の教材自体は,これによって事件が起こされたとは思われないが,国民の不安解消のために,事件に関連した可能性がある内容を含むものは一切使用しないこととする。事件に関連した可能性がない教材の使用は排除しないが,・・・その意味合いは,崇拝の対象として用いるのではなく,あくまでも仏教・ヨーガ等の教材として用いるものであり・・・なお,旧団体時に作成された瞑想教材の実習時に,習慣上,旧団体代表を観想の対象として用いることは,同人を絶対者とせず,過去の事件・犯罪を否定する活動規定の主旨に反しない限り,これを妨げない。 (3) 呼称に関する規定①X’旧団体代表の公式な呼称は「旧団体代表」である。 ②「尊師」というX呼称は,仏教・ヨーガにおける一般名詞であり,絶対者・完全者を表すステージを意味せず,その意味で用いてはならない。 ③「グル」という言葉は,シヴァ大神,真理勝者(如来),覚者(ブッダ),経典の正しい解釈者を一般的に意味する言葉であり,特 あり,絶対者・完全者を表すステージを意味せず,その意味で用いてはならない。 ③「グル」という言葉は,シヴァ大神,真理勝者(如来),覚者(ブッダ),経典の正しい解釈者を一般的に意味する言葉であり,特定の存命中の人物を絶対化することを意味せず,その意味で用いてはならない。 5. 教義や用語の公式解釈の遵守事件に関連して,タントラ・ヴァジラヤーナ,ポワ等,本団体外部から誤解を受けやすい言葉があるが,それらの言葉自体によって,事件が起こされたとは思われないものの,国民の不安解消のために,また,事件の再発防止と,本団体教義を明確化させるために,それらの用語等の公式の定義・解釈(以下「公式解釈」と記す)を表わした文書を全会員に配布することとする。公式解釈を無視して過去の教材を使用することを,一切禁止することとする。 また,今後作成する教材には,必要に応じて,公式解釈の内容を記載したり,解釈を添付したりすることとする。 6. 旧団体作成の教材の使用制限旧団体の一連の事件の原因を分析するに,教義・教材自体によって事件が起こされたとは思われないが,旧団体が作成した教材について,その内容が本団体の方針に合わないものに関しては,国民の不安解消のために,そのリストを作成し,その使用を禁止することとする。 ただし,この禁止は,会員の日々の教学のための教材としては禁止するということであり,裁判活動その他の調査のために一時的に閲覧する必要性に備えて,指定された担当者が少部数を資料として保管することまでを禁止するものではない。 なお,「尊師ファイナルスピーチ」については,本団体の方針を明確に示すために,必要な改訂を行ない,名称を変え,その後は,改訂前の物についてはその使用を禁止することとする。 ただし,この改訂は,改訂前の物が事件の再発につながらないという, は,本団体の方針を明確に示すために,必要な改訂を行ない,名称を変え,その後は,改訂前の物についてはその使用を禁止することとする。 ただし,この改訂は,改訂前の物が事件の再発につながらないという,本団体の従来の見解を変えるものではなく,本団体の姿勢を内外に強く示すためのものである。 7. PSIの取り扱い本団体外部から,旧団体代表の脳波によるマインドコントロール装置であるという誤解を受けているPSIについては,実際は,同人の脳波そのものではなく,それを加工しており,特定人物の意思に従わせるマインドコントロールの目的も機能も存在しない。それは,煩悩滅尽の瞑想に役立つものであり,脳波を利用した瞑想促進・健康機器であって,・・・」(甲4,乙D24)ウ本件更新請求以降の状況a 「綱領」及び「活動規定」の改正原告は,平成14年12月2日に本件更新請求があった直後の同月8日に「綱領」について,また,同月17日に「活動規定」について,次のような改正を行った。 (a) 「綱領」の改正6項(最終完全解脱者である真理勝者と,X’旧代表の位置づけ)の末尾に次のような文言が付加された。 「 なお,本団体が,同人の事件と無関係な経典解釈等を採用するのは,その前提条件として,同人自身が,事件が発覚し逮捕されるに及んで,過去の教団のあり方について考え方を改め,将来信者に犯罪を指示することは決してないと,本団体が確信する事実があるからである。本団体が,同人の経典解釈等を採用するのは,あくまでも,この前提条件が守られる限りにおいてのことである。」(甲4,乙D17)(b) 「活動規定」の改正1項(X’旧団体代表の位置づけ)の末尾に次のような文言が付加された。 「 しかし,本団体綱領で規定された,旧団体代表の経典解釈等を採用する前提条件(注・「綱領」に付加 (b) 「活動規定」の改正1項(X’旧団体代表の位置づけ)の末尾に次のような文言が付加された。 「 しかし,本団体綱領で規定された,旧団体代表の経典解釈等を採用する前提条件(注・「綱領」に付加された上記(a)の前提条件)について,今後,万が一,それに反するような事態が生じた場合には,その時点で,事件とは無関係な部分について同綱領が認めた,旧団体代表の宗教面における評価も,一切取り消すこととする。」(甲4,乙D24)b 「パーフェクトスピーチ」の刊行原告は,平成14年12月24日,「尊師ファイナルスピーチ」の改訂版として,「パーフェクトスピーチ1」及び「パーフェクトスピーチ別巻注釈」を刊行した。 (a) 「パーフェクトスピーチ1」は,そのほとんどが,「尊師ファイナルスピーチⅠ」及び「尊師ファイナルスピーチⅢ」に掲載されているXの説法を収録したものであった。 (b) 「パーフェクトスピーチ別巻注釈」には,次のような記載がある。 「帰依とは,存命中のいかなる人間も絶対者,完全者としない本団体の教義に基づいて,自己の霊性より少しでも高い者に対する称賛を含む幅広い概念である。すべての魂は真我を有しているので,それを尊重して,すべての魂を礼拝するという考え方もある。これらの考え方の背景にあるのは,人の良い部分を称賛すれば,その部分を身に付けることができるという,仏教的な考え方である。したがって,本団体で言う帰依とは,存命中の人間に対する全人格的なものではなく,絶対的な服従を求めたり,間違っても,違法行為を正当化したりするものではない。」「本団体における帰依とは,グルと真理の法則とサンガ(出家教団)に対する帰依という,伝統的仏教における三宝(仏・法・僧)に対する帰依のことである。それは,前記「帰依について」でも述べたように,特定個人に対して無 ける帰依とは,グルと真理の法則とサンガ(出家教団)に対する帰依という,伝統的仏教における三宝(仏・法・僧)に対する帰依のことである。それは,前記「帰依について」でも述べたように,特定個人に対して無分別に追従するようなものでは決してない。また,出家教団に対する帰依から,本団体綱領・規約・活動規定を遵守することは自明のことである。」また,「タントラ・ヴァジラヤーナ」や「ポワ」について,上記イbの「尊師ファイナルスピーチ公式解釈書」と同趣旨の説明が,「グル」について,上記イdの「活動規定」と同趣旨の説明が,それぞれされている。 (乙A112,乙D27,28)c 「ファイナルスピーチ(改訂版)3」の刊行原告は,本件更新決定から約1年後の平成16年1月17日から同年4月3日にかけて,「ファイナルスピーチ(改訂版)3」分冊1ないし5を刊行したが,これらには,次のようなXの説法が掲載されている。 (a) 「絶えずグルを観想し,絶えずグルと共にあると。自己の目的,自己の到達点はグルであると。そのような意識によって瞬間瞬間を全力で生きるならば,そのときは,君たちは善き友を有したことになり,そして,その善き友は,君たちの解脱,悟り,智慧の発達,智性の発達を約束するであろう。」(「宝石の言葉集」としてまとめられたXの説法。「ファイナルスピーチ(改訂版)3」分冊1)(b) 「(質問者M)「龍宮の宴」に行くと功徳になると聞いたんですけども,一般にいい思いをすると功徳が減るといわれていますが,「龍宮の宴」に行って,音楽を聴いて,気分的に良くなって,あと浄化もされて,なぜ功徳になるのですか。」「それは,君がタントラの意味合いを知らないからだよ。タントラの意味合いというのは何だったか?ここにグルの意思があって,そのグルの意思を具体化する,具現化すると,それがタン ぜ功徳になるのですか。」「それは,君がタントラの意味合いを知らないからだよ。タントラの意味合いというのは何だったか?ここにグルの意思があって,そのグルの意思を具体化する,具現化すると,それがタントラの戒じゃないか。どうだ。そうすると,今回の「龍宮の宴」を成功させなければならないと。どうだ。それはグルの意思か,意思ではないか。」「(質問者M)グルの意思です。」「じゃあ例えば,それは,一般的な持戒を守ったときの功徳と,グルの意思を実践したときの功徳と,どちらがレベルが高いと思うか。」「(質問者M)グルの意思。」「それはね,まあ,「魔境編」のところで書くつもりでいるけども,Yではたくさんのデータを持っているんだよ。・・・布施はちゃんと保管してある。それに対してだ,わたしは普通はいじらない。しかし,つぶれそうになったりとか,あるいは,この子の修行を進めたいときには,Yで使わせる場合と,わたしが直接使う場合と二通りあるんだよ。どちらが効果があると思うか。」「(質問者M)先生が直接に使う場合。」「もう,それは全然問題にならないね。ということは持戒も同じだ,これは。いろんな持戒があるとして,その持戒を無視して,グルがこれをやりなさいと言った場合,それをなすことが最も功徳となる。だとしたら,「龍宮の宴」についてはどうだ。」「(質問者M)あっ,やっぱり見に行った方が。」「それは百倍も千倍も,普通の持戒をやるより功徳になるということになる。わかるか。簡単だな。」(昭和63年1月23日世田谷道場でのXの説法で,「尊師ファイナルスピーチⅡ」に掲載されていたもの。「ファイナルスピーチ(改訂版)3」分冊3)(c) 「グルに対して,あるいはシヴァ神に対してね,―Yの場合だよ,これは―帰依ができているか,ね,そして,グルやシヴァ神の意思というものを,自分の意思と ファイナルスピーチ(改訂版)3」分冊3)(c) 「グルに対して,あるいはシヴァ神に対してね,―Yの場合だよ,これは―帰依ができているか,ね,そして,グルやシヴァ神の意思というものを,自分の意思と置き換えられるかということがポイントとなるわけだ。・・・例えばわたし,例えばシヴァ神の世界にあなた方は没入していかなければならないわけだ。そうすると,そのベクトルの向かう方向を,わたしや,あるいはシヴァ神の方向に向けるのが最も手っ取り早い方法なんだよね。・・・そして,グルの意思,シヴァ神の意思というものを具体的に表現していくプロセスに入るわけだ。ね。そして,それがね,その意志の働きが,二十四時間,ね,グルに,あるいはシヴァ神にオーバーラップした段階で,瞑想修行に入っていくわけだ。布施から始まり,精進に至るまでのプロセスがだよ,百パーセントできている人は,もうそのあとの瞑想,そして悟り,あるいは解脱というものは,それほど難しいプロセスではないんだよ。なぜかというと,その人の内側はね,もう修行を始めたころの煩悩の塊であるその人ではなくて,シヴァ神や,あるいは,グルと同じような心の状態になっているから,ね,例えば瞑想のときのイニシエーションだって,ね,意志が一致しているわけだから,イメージだって,ね,オーバーラップさせることはそれほど難しくないと。」(昭和63年1月31日ニューヨーク支部でのXの説法で,「尊師ファイナルスピーチⅡ」に掲載されていたもの。「ファイナルスピーチ(改訂版)3」分冊3)(d) 「三宝に帰依をするということについて少し説明したいと考えます。三宝というのは,ブッダ,あるいはグルでもいいでしょう,そしてブッダの説く法,そしてブッダの率いる,ね,弟子たちと,これに帰依をすると。そうすると,よく会員さんが,「わたしは,まだ帰依ができて す。三宝というのは,ブッダ,あるいはグルでもいいでしょう,そしてブッダの説く法,そしてブッダの率いる,ね,弟子たちと,これに帰依をすると。そうすると,よく会員さんが,「わたしは,まだ帰依ができてないんですよ」とおっしゃると,ね。しかしね,ここでいう帰依というのは,少なくともあなた方の生活の中でだよ,ね,例えば,わたしの教えというものの一部でもいいから取り入れようと,ね,少しでもいいから実践しようという段階,これを預流と言ってるわけだね。だから例えば,わたしの言ってることすべてを実践しなさいと,―言い方を換えれば,すべて実践できたときには,もう既にわたしと同じなわけだから,それは預流ではないよね。」(昭和63年6月5日大阪支部でのXの説法。「ファイナルスピーチ(改訂版)3」分冊3)(e) 「三つのタイプの瞑想とは何を意味しているかというと,第一は功徳を積む瞑想,第二は心を浄化する瞑想,第三は合一をする瞑想の三つです。・・・では,何に対して合一をするんだと。それは,ある場合はグルに対して合一をすると。すると,グルのデータと完全に合一し,グルの持っているデータを使いこなすことができるようになる。ある場合はシヴァ神と合一すると。ある場合はブッダと合一すると。・・・わたしは,例えばグルと合一したのに結果が出ないと。例えば,わたしはシヴァ神と合一したのに結果がでないという形になる。じゃあ例えば,赤に青を混ぜたらどうなるか。紫になる。これも青ではないよね。・・・わかるよね。言ってることは。つまり,もとのデータを完全に浄化し尽くしてしまわない限り,本当の意味での合一はないんだということだ。」(平成元年11月10日富士山総本部でのXの説法で,「尊師ファイナルスピーチⅡ」に掲載されていたもの。「ファイナルスピーチ(改訂版)3」分冊2)(乙A112, 意味での合一はないんだということだ。」(平成元年11月10日富士山総本部でのXの説法で,「尊師ファイナルスピーチⅡ」に掲載されていたもの。「ファイナルスピーチ(改訂版)3」分冊2)(乙A112,116,117) 2 争点6(本法5条1項1号の要件の存否)について(1) 本法5条1項1号の影響力の意義本法5条1項各号は,その団体の役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体について,同種行為の再発の危険が否定できないような一定の事由がある場合を列挙したものと解されるところ,同項1号の「首謀者が当該団体の活動に影響力を有している」とは,その文言からして,首謀者の言動が,当該団体の活動の基本的方向性を左右しあるいはその活動の個別的な内容に変化を生じさせる力を有していることをいうものと解するのが相当である。 この点について,原告は,「首謀者が当該団体の活動に影響力を有している」とは,無差別大量殺人行為の首謀者が,将来再び無差別大量殺人行為の実行を命じ,団体の構成員らにその準備行為に着手させるに足りる影響力を有していることを意味すると解すべきである旨主張する。 しかし,上記のように,かつて団体として無差別大量殺人行為を行った際の首謀者が,なお当該団体の活動について,その基本的な方向性を左右したり,個別的な内容に変化を生じさせる力を有していること自体,当該団体の活動が,同種事件再発の方向へ進む危険性を内包するものというべきであるから,文言の一般的な意味どおり解すれば足り,ことさら,原告のように文言を離れた解釈をすべき理由はないというべきである。 そこで,以下においては,本件更新決定の時点において,Xが原告の活動の基本的方向性を左右しあるいはその活動の個別的な内容に変化を生じさせる力を有していたか否かを検討する。 (2) X うべきである。 そこで,以下においては,本件更新決定の時点において,Xが原告の活動の基本的方向性を左右しあるいはその活動の個別的な内容に変化を生じさせる力を有していたか否かを検討する。 (2) Xの影響力の有無をうかがわせる諸事情ア原告の創設及び両サリン事件原告は,Xを教祖・創始者として創設された宗教団体であり,その教義は,そもそもXの説いたもので,その内容は,上記1(2)アのとおり,Xに対する絶対的帰依を核心とするものである。 そして,両サリン事件を始めとするYの構成員が引き起こした一連の事件は,Xの意思を実現するために,その指示に従って敢行されたものであるところ,これらの事件はいずれも常軌を逸する凶悪事件であるにもかかわらず,XがYの構成員のうちの多数の者を指示してかかる事件を惹起することができたという事実からみても,XのYないしその構成員に対する影響力は絶大であったと認められる。 なお,証人Cは,両サリン事件に関わった者はXへの絶対的服従を強いられていたが,全信者がXへの絶対的帰依を求められていたわけではない旨供述するが,その趣旨自体が必ずしも明らかではなく,これと相反するかのような供述もしているほか,後記イないしキ記載の各事実に照らせば,Yの構成員であれば,その立場を問わずXへの絶対的帰依を求められていたことは明らかであって,上記供述を信用することはできない。 イ原告幹部の説法等a(a) Aによる説法等ⅰ Aは,遅くとも平成12年7月まで掲載されていた原告の構成員用ホームページの「マイトレーヤ正大師特別寄稿第18回」(マイトレーヤ正大師は,Aのホーリーネームである。)で,「グルとの物理的コンタクトがない状態で,何が三宝への帰依であり,何が真理への布施であるのかという問題」を提起し,「説法を追っていくと,グルが物理的に ーヤ正大師は,Aのホーリーネームである。)で,「グルとの物理的コンタクトがない状態で,何が三宝への帰依であり,何が真理への布施であるのかという問題」を提起し,「説法を追っていくと,グルが物理的に離れているときの修行について,明確な示唆を得ることができます」としたうえ,Xの説法である「グルの説いた法,あるいはグルの表わす真理の法則,これに帰依するわけですから,結局「グルの言葉に帰依する」,イコール,「グルに帰依する」ということになるわけです。」を引用して,「今の教団には,物理的にコンタクトできるグルがいないとしても,グルの教えは存在します。」などと説いた。 (乙B2の11)ⅱ① Aは,平成13年8月,通称「南烏山施設」における説法で,「(Yの)事件に関係して弾圧された人たちは,先駆けの人達である。」,「(Yが)無差別大量殺人をしたと言うけれども,それはカルマとして日本自体が資源を無差別大量搾取していたからだ。あれはカルマが返ってきた事件である。」などと述べ,両サリン事件は他国から無差別大量搾取を行った日本人のカルマを落とすためのものであるなどとこれを正当化する旨の発言をした。 (乙B2の18)② Aは,平成14年1月26日の通称「名古屋施設」における説法で,「礼拝の対象及び観想の対象は,X’尊師でいいと思いますね。・・・人それぞれ誰がグルにできるかは前生から決まっている。その条件は,皆さんは,まあX’尊師なんであると。」と述べた。 (乙B2の7)③ Aは,平成14年2月9日の通称「船橋施設」における説法で,「我々の三宝帰依の土台というのは,やはりグル,X’尊師に対する帰依である。」などとXに対する帰依を説いたほか,「根本的な原因は,彼らに煩悩があって,解脱していなくて転生していて,簡単に言うと,要するに,覚醒していないからだ。」,「 やはりグル,X’尊師に対する帰依である。」などとXに対する帰依を説いたほか,「根本的な原因は,彼らに煩悩があって,解脱していなくて転生していて,簡単に言うと,要するに,覚醒していないからだ。」,「教団を事件でやめた人は,絶対的真理,つまり苦しみの根本原因が理解できておらず,本当の意味での四無量心がなかった」などと述べ,両サリン事件は被害者を煩悩から解放するためのものであり,サリン事件に関わり原告を離脱したことは正しくない旨の発言をし,さらに,「事件後の帰依とはなんだったのか。事件に関して,グルの責任を強調するのではなく,弟子の責任を強調することであろうと思う。そういう形で,グルと教えを守る。」などと述べ,両サリン事件に関しては弟子の責任を強調することによってXを守るべきであるとする趣旨の発言をした。 (乙B2の8)④ なお,原告は,上記認定に供した各証拠は伝聞であってねつ造されたものである旨主張する。 しかし,乙B2の11は,原告のホームページを印刷したものであること,乙B2の7の説法は,公安調査官が入手したCDに記録されていたものを反訳したものであり(乙A9の1・2),また,乙B2の8の説法は,平成14年4月18日の通称「横浜施設」への立入検査の際にパソコンに動画ファイルとして保存されていたものを公安調査官が書き取ったものであって,別に公安調査官が入手したCDに記録されている説法と同じ内容のものであることが(乙A10の1ないし乙A12の2),それぞれ認められるのであって,このような経緯に照らせば,乙B2の7・8・11の各証拠がねつ造されたものではないことは明らかである。さらに,乙B2の18についても,その内容が歪められていることをうかがわせる事情はない。 ⅲ 警視庁が平成14年7月5日に通称「名古屋施設」の捜索を実施した際に押収した ものではないことは明らかである。さらに,乙B2の18についても,その内容が歪められていることをうかがわせる事情はない。 ⅲ 警視庁が平成14年7月5日に通称「名古屋施設」の捜索を実施した際に押収した「道場活動1016-2.txt2001/10/17」と題する文書には,Aが「サマナの心構え」について15項目にわたり指導した内容の記述があり,その中には「5 事件に関して,本質的なこと ② 善悪というものは相対的なもの。現世の観念からすると,事件の責任に対して無責任であるかのように響くが,真理の法則ではそうではない。カルマの法則を前提にすれば,絶対的な加害者・被害者というのは存在しない。被害者の苦しみの裏には,その人の悪業がある。」との記載がされていた。 (乙B17)(b) A以外の原告幹部らによる説法ⅰ A以外の原告幹部らも,本件観察処分決定以降においても,Aと同様に,Xへ絶対的に帰依するよう他の構成員に対し繰り返し説いていた。 その中で,例えば,「今後は,賠償も継続し,社会に対しては武力を放棄し平和に対応していく。これは表向きの話であり,教団の内部は強化が必要である。ヴァジラヤーナの教えもやっていく。・・・ヴァジラヤーナについては,内部では教えられたままに徹底的にやっていく。」(平成12年8月に通称「名古屋施設」で行われた菩師Rの説法),「一連のサリン事件は尊師の指示で起きたものではない。あくまで,当時の一部の教団幹部が引き起こしたものであるが,尊師からサリンを撒けと言われたら,当然,我々は躊躇せずに撒かなければならない。・・・しかし,他人から「あなたは尊師からサリンを撒けと言われたら撒きますか」と聞かれたら「撒きません」と答えるように。」(平成13年8月に北海道で行われた師補Sの説法),「「タントラ・ヴァジラヤーナ」は大事な教義であり 「あなたは尊師からサリンを撒けと言われたら撒きますか」と聞かれたら「撒きません」と答えるように。」(平成13年8月に北海道で行われた師補Sの説法),「「タントラ・ヴァジラヤーナ」は大事な教義であり,決して捨てたわけではないが,当面,他人から教義について質問されたときには,「タントラ・ヴァジラヤーナ」は封印して今は用いていないと説明するようにして欲しい。・・・例えばの話であるが,もし違法な指示を与えられても,弟子としてはそれに従うべきである。しかし,それを表向きに明らかにはできないので,もし尊師の立場について質問されたら,「絶対に従わなければならない存在ではないし,今の教団に影響を与えられる立場ではない。」などと答えてほしい。」(平成13年8月に北海道で行われた愛師Tの説法),「教団に害を与えた人,真の教団に悪いことをした人には必ずカルマ落としがある。今はそれをいつ起こるか長い目で観察している。」(平成14年5月に通称「大阪施設」で行われた正悟師Eの説法),「一連の事件については,裁判所の判決に従うというのが教団の公式見解であるが,Qさんの尊師に対する帰依心は堂々としており,私たちも見習わなければならない。・・・罪状認定の事件はすべて権力機関のでっち上げである。・・・尊師やQさんが悪い事件を起こすはずがない。」(平成14年6月に北海道で行われた愛師Tの説法),「グルがサリンを散布させたのもマハームドラーである。・・・グルが弟子に与える一生に一度しか行わない究極のイニシエーションが,マハームドラーである。」(平成14年7月に通称「西荻施設」で行われた菩師Iの説法)などと,両サリン事件を正当化し,また,表向きは「タントラ・ヴァジラヤーナ」を封印したように装っているが決して捨てたわけではないことや,Xから指示があれば違法な事柄であってもそれに れた菩師Iの説法)などと,両サリン事件を正当化し,また,表向きは「タントラ・ヴァジラヤーナ」を封印したように装っているが決して捨てたわけではないことや,Xから指示があれば違法な事柄であってもそれに従うべきことなどが繰り返し説かれていた。 (乙B2の17ないし19)ⅱ Bは,本件更新決定から約1年以上経った後の平成16年3月7日,通称「西荻施設」での説法会で,「新しい信徒さんを入っていただくために,その,道場からグルの,グル色をなくしましょうという話があったんだよね。その一連のことがいろいろあって,自分はもう日々,私は懺悔しています。これは,これはやっぱり宗教的に・・・為してはいけないということをやることに賛同してしまったからね。・・・でもこれは本当に土下座してお詫びしなきゃいけないと思って,まあ本当に目の前にグルをね,置き,土下座をして,ごめんなさいしました。それは今でも毎晩やっています。そのぐらい大きな過ちだったからね。」と,単に信徒集めのためにX色を薄めようとしたことや,それが自らの信仰に反するものであったことを述べたうえ,「グルがいるときってのは,グルの指示がやっぱり絶対っていうか,それを一番に優先しなきゃいけない・・・解脱させることができる,グルだけだよね。だから解脱を与えてくれるものが誰なのか,自分にとって一番大事な人は誰なのかっていうことをやはり常に認識していないと,これはずれてしまう・・・本当に私は尊師に全てを与えてもらいました。尊師なくして,私の,私はない。・・・尊師が与えてくれた生き方をまっとうすることが,これから自分が,今生もそうだしね,来世もその次も,その次ももう,最終地点に至るまで,すべての魂がマハー・ニルヴァーナに入るまで,それを貫き通すことが,自分の今生与えた,もらったものがね。まあ返すというかね,そうい 生もそうだしね,来世もその次も,その次ももう,最終地点に至るまで,すべての魂がマハー・ニルヴァーナに入るまで,それを貫き通すことが,自分の今生与えた,もらったものがね。まあ返すというかね,そういうことになると思ってるね。 一つはまあそういうことにね,あのちょっと引用したいんで,そういう説法があったんですね。こうあの,グルの言葉ですけどね,これは皆さんも,肝にこう銘じられたらいいと思う。・・・来世もグルと一緒に転生できるかどうかは,これは保証の限りではないと思うね。・・・「グルと確実に転生一緒にできるためには,どのステージにいることが必要なんですか」って聞いたら,・・・必要最低条件がマハームドラーの成就。・・・本当に偉大な成就者にポアされて,次に弟子となるようにポアしてもらえば,それはどのくらいの祝福かっていうことが分かるよね。・・・尊師のときにグルがポアしてくれたら,ああ,こんなにいいことはないなと思えるから。・・・皆さん,もう修行に行き詰まって,私は死んだ方がいいって思ったときに,グルがポアしてくれたら嬉しいなと思える人。」などとXへの絶対的な帰依を慫慂する内容の説法を行っていた。 (乙A113)(c) 以上のように,Aを始めとする原告の幹部は,本件観察処分決定後はもとより,本件更新決定の1年以上後においても,従前どおり,構成員に対して,説法や原告の構成員用ホームページなどを通じて,Xを「尊師」又は「グル」と尊称したうえ,これに対して絶対的に帰依すべきことを説いている。 しかも,原告が「綱領」や「規約」で,その構成員が無差別大量殺人行為を行わないことはもとより,法令を遵守する旨を定めるとともに,「綱領」や「活動規定」で,危険とされる教義を破棄し,事件・犯罪を正当化するいかなる教義もこれを信仰しないと定め,更には「尊師ファイナルスピ わないことはもとより,法令を遵守する旨を定めるとともに,「綱領」や「活動規定」で,危険とされる教義を破棄し,事件・犯罪を正当化するいかなる教義もこれを信仰しないと定め,更には「尊師ファイナルスピーチ公式解釈書」で,「タントラ・ヴァジラヤーナ」や「ポワ」について,危険なものではないかのような解釈を示していたにもかかわらず,その後も,両サリン事件を正当化する説法あるいは事件は権力機関によるでっち上げであるとする説法のほか,「タントラ・ヴァジラヤーナ」を表向きは封印したように装っているが決して捨てたわけではないこと,Xから指示があれば違法な事柄であってもそれに従うべきこと,X色を薄めようとしたのは信仰に反するものであったことなどを繰り返し説いていることが認められる。 このように,原告の幹部らが繰り返し上記のような説法等をしていることに照らすと,原告において真に危険な教義を破棄するという意図があったのか疑わしく,仮にかかる意図があったとしても,原告の幹部ですらそれを実践しようとしていなかったことになるから,上記のような方針が原告の構成員の間に徹底されていなかったことは明らかであり,これは同時に,本件更新決定の時点においても,原告の活動に対するXの影響力が存していたことを示すものということができる。 b(a) これに対し,原告は,上記1(3)イdのとおり,「活動規定」の制定により,「尊師」や「グル」という呼称は特定の人物が絶対者・完全者であることあるいは特定の人物を絶対化することを意味しないものとなった旨主張する。 しかし,「尊師」や「グル」という呼称が尊称であることは明らかであり,従前はこれらの呼称は絶対者としてのXの固有の呼称であったものと認められるところ,原告は,依然として,Xを「尊師」又は「グル」と呼び続けていること自体は事実であっ 称が尊称であることは明らかであり,従前はこれらの呼称は絶対者としてのXの固有の呼称であったものと認められるところ,原告は,依然として,Xを「尊師」又は「グル」と呼び続けていること自体は事実であって,そのことは,原告あるいはその構成員のXに対する帰依の深さを示すものということができる。 また,「活動規定」においては上記のとおり定めたものの,その後に行われた上記a(b)の幹部の説法や後記エの原告の一般構成員の発言の中では,「活動規定」にあるような趣旨で「尊師」や「グル」の呼称を用いている様子はうかがわれず,むしろ,従前と同じく,絶対者としてのXを指す呼称として用いられているものと認められるのであって,仮に原告が真に「活動規定」の定めるとおりの意味で「尊師」や「グル」の呼称を用いることにしたものだとしても,本件更新決定の時点で,このような意味での呼称が原告の構成員の間に徹底されていたとは認め難い。 (b) また,原告は,かつての教団では,「三宝帰依」にいう「仏・法・僧」の中の「仏」(当時はX)に対する帰依が強調されていたが,現在の原告は法(教え)及び僧(高弟)への帰依の重要性を説いている旨主張する。 しかしながら,上記a(a)ⅱ③のとおり,Aは平成14年2月の段階においても,「我々の三宝帰依の土台というのは,やはりグル,X’尊師に対する帰依である。」と説いているのであるから,上記主張は直ちに採用し難く,仮に原告において法(教え)及び僧(高弟)への帰依の重要性を説かれるようになったとしても,それは単にXと物理的な連絡が取れないために,相対的にこれらに対する帰依の重要性が増したというにすぎず,依然Xに対する帰依が最も重要視されていることは,Aの上記説法からも裏付けられるというべきである。 なお,原告は,「帰依」とは,上記1(3)ウbの「パー に対する帰依の重要性が増したというにすぎず,依然Xに対する帰依が最も重要視されていることは,Aの上記説法からも裏付けられるというべきである。 なお,原告は,「帰依」とは,上記1(3)ウbの「パーフェクトスピーチ別巻注釈」にあるとおり,特定の人物に全人格的に服従するという意味ではない旨主張するが,「パーフェクトスピーチ別巻注釈」が刊行されて上記のような解釈が示されたのは,本件更新請求に係る被告の審理が行われている最中であり,上記aの原告幹部の説法の内容に照らしても,上記主張は採用できない。 ウ原告で行われている修行等a 修行用ビデオテープ(a) 原告は,本件観察処分決定後の平成12年8月ころから同年9月ころにかけて,修行用ビデオテープ「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション3D」を,次いで,平成13年1月ころ,「ヒナヤーナ・ツァンダリー・イニシエーション3D」をそれぞれ制作し,原告の構成員の修行の用に供していたが,これらのビデオテープの内容は,次のとおりである。 (乙B2の24,30)ⅰ 「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション3D」では,蓮華座を組んだXの姿を縦に三つ並べた画像が現れ,Xの声で「あなた方の前には,シヴァ大神と何ら変わることのない,全く同じである,グルの報身,法身,変化身が上から縦に並んで座っています」などの解説がなされて,Xが原告の主神である「シヴァ神」の化身として描かれている。そして,修行者が「シヴァ神」の化身として描かれたXに合一する場面が描かれ,これに合わせて,Xの声で「あなた方の分身が一人登場します。まず,第一の分身は,あなた方の眼に対する執着,つまり,あなた方がこの現象界で視覚的に執着している物を手に持って,報身に溶け込んでいきます」,「第二の分身は,法身に溶け込んでいきます。」,「第三の分身は ,第一の分身は,あなた方の眼に対する執着,つまり,あなた方がこの現象界で視覚的に執着している物を手に持って,報身に溶け込んでいきます」,「第二の分身は,法身に溶け込んでいきます。」,「第三の分身は,変化身に溶け込んでいきます」,「あなた方自身が変化身に溶け込み,グルと一体化します。そして,次に,法身に溶け込み,最後に報身に溶け込みます。」などの解説がされて,Xと一体化するよう説かれ,また,Xの声で視聴者に「グルとシヴァ大神に帰依し奉ります」と唱えるよう指示されている。 (乙B2の25,19)ⅱ 「ヒナヤーナ・ツァンダリー・イニシエーション3D」では,蓮華座を組んだXの姿が縦に三つ並び,菩薩の分身が供物を捧げ持ってXの身体に溶け込んでいく場面が繰り返され,Xの声で,蓮華座を組んだXの姿は仏陀の報身,法身及び変化身であり,菩薩は修行者であると説明され,その菩薩の分身がその恋人や配偶者や父母などを供養として仏陀に差し出す様子を観想する修行を行うようにと説かれている。 (乙B2の31,20)(b) 原告の機関誌「進化VOL.4」平成13年1月版には,平成12年12月23日に「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション3D」のビデオを視聴した原告構成員の視聴談が記載され,「進化VOL.5」平成13年2月版には,平成13年2月12日に「ヒナヤーナ・ツァンダリー・イニシエーション3D」のビデオを視聴した原告構成員の視聴談が記載されていた。 (乙B2の28・32,乙D181の4・5)また,平成14年11月14日に行われた公安調査庁による東京都足立区保木間所在の通称「新保木間施設」の立入検査の際,「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション3D」のビデオテープが保管,使用されている事実が確認された。 (乙B2の29)さらに,原告は,これらのビデオテー の通称「新保木間施設」の立入検査の際,「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション3D」のビデオテープが保管,使用されている事実が確認された。 (乙B2の29)さらに,原告は,これらのビデオテープを,原告の構成員に対してそれぞれ40万円で販売し,また,全サマナ(出家信徒)を対象に,これらのビデオテープによるイニシエーションによる修行等の加行(修行を順番に進めていくこと)の進度の報告をさせていた。 (乙B2の26・27)このように,これらのビデオテープは,少なくとも,本件更新請求直前の平成14年11月まで,実際に構成員の修行の用に供されていたものと認められる。 (c) 以上のとおり,これらの修行用ビデオテープは,コンピューターグラフィックにより,Xを原告の主神である「シヴァ神」の化身として描いたうえ,Xとの合一をイメージするように指導するものであって,Xに対する絶対的な帰依及び同人との合一を説くものと認めることができ,これらのビデオテープは,本件更新請求の直前まで,原告の構成員の修行の用に供されていたのであって,かかる事実は,本件更新決定の時点において,原告の活動に対するXの影響力が存することを示すものということができる。 (d)ⅰ これに対し,原告は,これらのビデオテープは瞑想に際して形や色などをイメージすることが苦手な構成員に時折参照させる程度のものであった旨主張する。 しかし,これらのビデオテープが上記のような趣旨で作成されたものであることをうかがわせる証拠はないばかりか,上記(b)のとおり,全サマナ(出家信徒)を対象に,これらのビデオテープによるイニシエーションによる修行等の加行の進度の報告をさせ,また,原告は本件更新決定後の平成15年3月24日から同年4月8日に行われた「マハームドラー・イニシエーション特別修行」に参加する原 テープによるイニシエーションによる修行等の加行の進度の報告をさせ,また,原告は本件更新決定後の平成15年3月24日から同年4月8日に行われた「マハームドラー・イニシエーション特別修行」に参加する原告の構成員に対し,「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション3D」のビデオテープを持参するよう伝達し,これを構成員の修行の用に供していたのであって(乙A126),これらのビデオテープがイメージの苦手な構成員に時折参照させる程度のものでないことは明らかというべきである。 ⅱ また,原告は,平成14年11月ころ,「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション3D」等のビデオテープを回収して,その改訂版を作り,この改訂版にはXの画像は一切用いず,シヴァ大神の画像に替えた旨主張する。ところで,原告は,本件更新請求に係る審査の際,「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション3D」等のビデオテープが制作される前に,アニメーションを用いたXの画像が登場する同内容のビデオテープが存在しており,「グルヨーガ・マイトレーヤ・イニシエーション3D」等の制作に当たっては,当初からXの画像を載せない方針であったが,代替画像の検討と製作に時間を要したため,平成14年11月末に改訂版が完成した旨説明していた(甲3)。 しかし,上記(a)のとおり,これらのビデオテープは,本件観察処分決定後の平成12年8月ころ製作が開始されて平成13年1月ころまでに完成したものであるが,当初から仏像の画像を使用することは容易であったはずであるのに,殊更Xを3D化した画像を使用したことや,改訂版のビデオテープは,Xの映像に替えて仏像の画像が挿入されているだけであって,全体の構成,Xの位置付け,Xの音声による説法が記録されていることに何ら変わりはなく(乙D59,60),改定内容は軽微なものであ オテープは,Xの映像に替えて仏像の画像が挿入されているだけであって,全体の構成,Xの位置付け,Xの音声による説法が記録されていることに何ら変わりはなく(乙D59,60),改定内容は軽微なものであることからすると,原告が当初からXの画像を載せない方針であったとか,代替画像の検討と製作に時間を要したなどとは認め難い。 かえって,本件更新請求の直前に,単にXの画像を仏像の画像に変えただけの改訂を行ったということは,この改訂版の制作は,本件観察処分の更新の回避を目的としたものであって,原告において,Xへの帰依心を深めるという修行内容を実質的に変更しようとする意図によるものではなかったことをうかがわせるものというべきである。 bPSIないし新PSI(a) 原告においては,平成5年ころから,PSIを着用するとXの脳波が注入されてXと同じ瞑想状態に至ると喧伝されて,その着用が奨励され,実際にも使用されていたが,原告は,本件観察処分決定後も,PSIの着用を構成員に奨励し,また,Aを始めとする原告の幹部は,自らこれを着用して原告の構成員に対する説法を行っていた。 このPSIについては,平成13年8月ころ,小型化・軽量化・高性能化をうたった新型PSIが開発されているが,原告は,この新型PSIについても,原告の構成員に対してその着用を奨励していた。 このように,本件観察処分決定後も,PSIないし新型PSIの着用が奨励されていることは,原告の活動に対するXの影響力が依然として存することを示すものということができる。 (乙B2の1・33ないし44)(b) これに対し,原告は,新型PSIについて,「活動規定」で「PSIについては,実際は,同人(引用注・Xを指す。)の脳波そのものではなく,それを加工しており」と規定しているとおり,Xと同じ瞑想状態を作り出す に対し,原告は,新型PSIについて,「活動規定」で「PSIについては,実際は,同人(引用注・Xを指す。)の脳波そのものではなく,それを加工しており」と規定しているとおり,Xと同じ瞑想状態を作り出すものではなく,旧PSIの電気信号を大幅に改変したもので,むしろ改変の事実自体が原告におけるXからの自立を物語っている旨主張する。 しかし,「活動規定」の上記引用部分によっても,新型PSIで用いられているのは,加工されたXの脳波であるということとなるだけでなく,原告においては,本件観察処分決定後も,幹部が説法において,従来のPSIについて,「これなんかまさに尊師の脳波ですよ,脳波。脳に刻んでいるんですよ。」などと述べて,Xの脳波であることを喧伝して着用を奨励していたものであるが(乙B2の37),新型PSIについては,原告の機関誌「進化VOL.11」において「小型化,軽量化,高性能化」をうたい(乙B2の34,乙D181の11),また,サマナ用ホームページにおいて,「今回のパーフェクト・サーヴェーション・イニシエーションでは,脳波のデータが従来型のものと比べて変わっています。」,「本来純粋な脳波ではない部分,こうしたものを抑制することによって,逆にその脳波の部分をより大きく増幅して,・・・波形の形はそっくりなんですが,振幅は約2倍ぐらいになっています。」などとする説明とともに,効果が上がったことを強調する体験談を載せているのであるから(乙B2の40),原告は,従来のPSIがXの脳波を注入するものであるということを前提に,新型PSIはこれをより純化したものであるとして(PSIないし新型PSIが,真実Xの脳波を注入する効果があるか否かは問題ではない。),その着用を奨励しているものと認めることができる。 そうであるとすれば,新型PSIへの改変の事実が原 あるとして(PSIないし新型PSIが,真実Xの脳波を注入する効果があるか否かは問題ではない。),その着用を奨励しているものと認めることができる。 そうであるとすれば,新型PSIへの改変の事実が原告におけるXからの自立を物語っている旨の上記主張は,理由がないものといわざるを得ない。 c 「ピラミッド・イニシエーション」の修行等(a) 「ピラミッド・イニシエーション」等の修行原告は,本件観察処分決定後も,次のとおり,原告の構成員に対し,「ピラミッド・イニシエーション」等の修行を実施していた。 ⅰ 「ピラミッド・イニシエーション」「ピラミッド・イニシエーション」とは,Xの唱えるマントラを大音量で流し続けるものである。 これについては,平成13年2月5日の時点で掲載が確認された原告の構成員用ホームページにおいて,「2000年初夏,新しいイニシエーションが登場した。その名も「ピラミッド・イニシエーション」。かつてX’尊師がエジプトのピラミッド内で発見なさった強力なイニシエーションが,今,よみがえろうとしている。」として紹介され,「考えてみると,グルはシヴァ大神の変化身なので,当然といえば当然なのですが,今回のイニシエーションではっきりとそれを実感することができました。」,「グルを常に強く意識し,グルのご意思を実践するしかないと思いました。」,「尊師を強く,集中して観想できた。」,「尊師のマントラがアナハタ・チャクラにガンガン響いてきて,詰まっていたものがシュワシュワッと取れていき,軽くなりました。尊師のヴァイブレーションに包まれて,非常に心地良かったです。」などとする体験談も掲載されていた。 (乙B2の1・49・50)ⅱ 「「懺悔の詞章」思念不変連続セミナー」「「懺悔の詞章」思念不変連続セミナー」とは,1週間以上にわたり,食事の時間以 たです。」などとする体験談も掲載されていた。 (乙B2の1・49・50)ⅱ 「「懺悔の詞章」思念不変連続セミナー」「「懺悔の詞章」思念不変連続セミナー」とは,1週間以上にわたり,食事の時間以外不眠不休で,「オーム・アー・フーム金剛心をもって,グルとシヴァ(大)神に帰依いたします」という内容の「懺悔の詞章」を録音されたXの声に合わせて唱えさせるものである。 そして,平成13年7月24日付けの原告の構成員用ホームページには,「7月31日から二階道場にて「懺悔の詞章」思念不変連続セミナーが行なわれます。これは同じ修行が1990年にも行なわれており,参加した修行者の中から多数のラージャ・ヨーガの成就者が誕生したという,非常に効果の高い修行です。」と紹介されていた。 (乙B2の1・51ないし53)ⅲ 以上の事実によれば,これらの修行は,その内容からして,Xに対する絶対的帰依心を扶植するものであると認めることができる。 (b) 「マントラによる修法」原告においては,本件観察処分決定後においても,「マントラによる修法」と称して,Xが唱えるマントラの声を録音したCDやカセットテープを再生し続けている室内に,一定期間飲食品を保管し,これにより飲食品が浄化されたものとして,その飲食品を構成員に摂取することを奨励していた。 (乙B2の1・54ないし60)(c) Xの説法ビデオの放映等ⅰ 公安調査官の立入検査により,原告では,本件観察処分決定後も,多数の施設において,Xの唱えるマントラの声が施設内に常時流されていることが確認されたが,原告は,「教団改革の指針」により,一般出家信者によるXの公判傍聴の自粛や「尊師ファイナルスピーチ」の回収を発表した直後の平成13年9月21日付けの「通達」で,「空間の浄化や記憶修習を進めるために,各部屋においてマントラか 」により,一般出家信者によるXの公判傍聴の自粛や「尊師ファイナルスピーチ」の回収を発表した直後の平成13年9月21日付けの「通達」で,「空間の浄化や記憶修習を進めるために,各部屋においてマントラか説法ビデオを常時流すようにしてください。」として,Xの唱えるマントラやXが説法を行っている様子を録画したビデオを常時流すことを指示するとともに,マントラのCDを各グループに配布した。 そして,公安調査官の立入検査によって,その後も前同様に,原告の多数の施設で,Xの唱えるマントラの声が常時流されていることが確認された。 (乙B2の21・54)ⅱ また,原告では,「活動規定」により,上記1(3)イdのとおり,Xの写真を原告の施設の祭壇及び個人所有の祭壇に備え付けないように決められたにもかかわらず,他方で,その後の平成14年10月29日に実施された通称「大阪施設」への公安調査官の立入検査により,同年8月2日ころ同施設内で開催された「ミニセミナー」で,構成員が祭壇脇に設置されたテレビ画面に映し出されたXの画像を見ながら修行する様子が,パソコン内の動画ファイルに記録されているのが確認され,さらに,同年4月9日から同年9月26日までの間に行われた警察による捜索で,6施設において計7回にわたり,テレビモニターでXの映像が放映されていることが確認された。 (乙B2の23,8)エ原告の一般構成員の発言等a 原告の一般構成員は,本件観察処分決定後も,「教団は,表向き「タントラ・ヴァジラヤーナ」を外したことになっているが,これは,仏教あるいは「タントラ・ヴァジラヤーナ」の本質を知らない凡夫がうるさいがために打ち出した苦肉の策で,現存する教団の教えには,至る所にこの教えがちゃんと生きているのである。・・・「タントラ・ヴァジラヤーナ」を否定することは,すなわち自 ナ」の本質を知らない凡夫がうるさいがために打ち出した苦肉の策で,現存する教団の教えには,至る所にこの教えがちゃんと生きているのである。・・・「タントラ・ヴァジラヤーナ」を否定することは,すなわち自らの修行や教団,尊師を否定することであって,そんなことになればとっくに解散しているはずである。先日行われた破産管財人との間に,教団が40億円の賠償をする旨の約束を取り交わしたが,これはすなわち「なにがなんでも尊師の教えを実践するための教団をつぶさせない」というマイトレーヤ正大師以下,我々サマナの意思統一の現れなのである。」(平成12年7月の横浜市での出家信徒の発言),「X’尊師に対する帰依についてもおおっぴらに言える状況ではないが,正直に言えば,以前と全く変わらない帰依を保っている。対外的には「X’尊師は仏教の解説者であり象徴的存在である」としながらも,・・・結果的にはY時代と変わるところはないといっても過言ではない。・・・ヴァジラヤーナの封印は一時的なものであり,時代の転換期が到来した時には復活すると信じている。サマナの間では,この転換期が訪れるのは遠い将来のことだとは予想されておらず,おおむね10年以内に訪れるとされている。」(平成13年4月の埼玉県与野市(当時)での出家信徒の発言),「「タントラ・ヴァジラヤーナ」は一般市民に誤解されやすいため,あえて口外しないことになっている。・・・地下鉄サリン事件も肯定することができる。」(平成13年7月の神奈川県での出家信徒の発言),「ヴァジラヤーナは,対外的に非常に受け入れられにくいので封印するが,捨ててしまうということではありません。・・・尊師は新しい世界を作るためにわざと事件を起こしたのでしょう。」(平成13年8月の通称「大阪施設」での出家信徒の発言),「地下鉄サリン事件など教団が引き起こし しまうということではありません。・・・尊師は新しい世界を作るためにわざと事件を起こしたのでしょう。」(平成13年8月の通称「大阪施設」での出家信徒の発言),「地下鉄サリン事件など教団が引き起こしたとされる一連の事件についても,私を含むサマナの共通認識として,「尊師から与えられたマハームドラーとしてとらえる」ということが,今は言えると思う。」(平成14年4月の東京都台東区での出家信徒の発言),「現在は末法の時代なので,「タントラ・ヴァジラヤーナ」でなければ救済できない。「タントラ・ヴァジラヤーナ」のグルは一種の狂人でないとできないので,賞賛どころか非難の対象となってしまう。そして,「タントラ・ヴァジラヤーナ」は,グルと弟子との一対一の強固な関係においてのみ伝授され,一般常識では理解し得ないことがマハームドラーとして弟子に課されることもある。」(平成14年6月の東京都杉並区での出家信徒の発言)などと,上記イの幹部構成員と同様に,原告が「タントラ・ヴァジラヤーナ」の教義を依然有している旨,Xへの帰依はかつてと全く変わらない旨の発言や,地下鉄サリン事件を肯定する発言を繰り返すものがあった。 (乙B2の18)b 平成13年3月13日に行われた通称「南烏山施設」への立入検査の際に,「マジでサリンまいて死刑になっても本望だという気になりました。・・・グルのためなら死んでもいい!!」などと記載された原告構成員のセミナーアンケート用紙が発見された。 (乙B2の48)また,平成14年9月10日に行われた上記施設に対する立入検査において,パソコンのハードディスクに記録されていた同年8月2日に更新されたフォルダ名「偉大なる説法」内のファイル名「ポア」に,Xのポワに関する説法が記録されていたこと及び同年9月1日に更新されたフォルダ名「日記」内のファイル名 スクに記録されていた同年8月2日に更新されたフォルダ名「偉大なる説法」内のファイル名「ポア」に,Xのポワに関する説法が記録されていたこと及び同年9月1日に更新されたフォルダ名「日記」内のファイル名「9/1確信」に,両サリン事件について,「・・・グルの願いが込められていると強く感じられました。この真意を誰かが代弁し,この教団が次の世を背負っていくきっかけを作らなければなりません。・・・事件についてよく考えると,その裏にグルの大いなるマハームドラーと大いなる慈愛が隠されていることに気づきます。・・・そして,グルに感謝しなければなりません。」などと,両サリン事件を肯定し,Xに感謝すべきであるという内容の文書が記録されていることが,それぞれ確認された。 (乙B2の22)c このように,原告の幹部ばかりでなく,その一般構成員も,上記イの原告幹部と同趣旨の発言を繰り返していた。 オ Xの説法集の保管,Xの写真の掲示等a ヴァジラヤーナコース教学システム教本掲載の説法が録音されたカセットテープ等の保管原告は「綱領」で,危険とされる教義を破棄するとか,Xの経典解釈等のうち事件と無関係なものを採用したなどと定め,「尊師ファイナルスピーチ公式解釈書」で,「タントラ・ヴァジラヤーナ」や「ポワ」について,危険なものではないかのような解釈を示していたにもかかわらず,警察が平成13年4月5日に行った東京都墨田区所在の信者の居住施設に対する捜索により,同室内の衣装ケースの中から,上記1(2)アの昭和62年1月4日の丹沢集中セミナーでXが行った説法のビデオテープや,Xが全国各地で行ったヴァジラヤーナコース教学システム教本に掲載されている説法56話すべてが録音されたカセットテープが発見された。 (乙B13)b 「尊師ファイナルスピーチ」等の書籍の保管(a) 公安 全国各地で行ったヴァジラヤーナコース教学システム教本に掲載されている説法56話すべてが録音されたカセットテープが発見された。 (乙B13)b 「尊師ファイナルスピーチ」等の書籍の保管(a) 公安調査官が平成13年1月24日から平成14年9月25日までの間に行った立入検査により,本件観察処分決定後も,原告の多くの施設で,多数のXの著作又は「尊師ファイナルスピーチ」などの説法集等が書棚に並べるなどして保管されていることが確認された。 (乙B2の21)(b) ところで,原告は,「尊師ファイナルスピーチ」には,「ヴァジラヤーナコース教学システム教本」に載っている説法のうち,危険と誤解を受けるおそれのある部分を削除して掲載したものである旨主張する。 確かに「ヴァジラヤーナコース教学システム教本」に収録されていたXの説法の一部は,「尊師ファイナルスピーチ」に掲載されていないものの(乙B2の1),それでも,上記1(3)アa(b)のとおり,「尊師ファイナルスピーチ」には,「時がない場合,それをセレクトし,そして必要のない魂を殺してしまうこともやむなしと考える智慧ある者,あるいは徳のある魂がいてもそれはおかしくはない。」とか,「すべての魂を悪趣から解放せよ。そのためにはポワしかない。」など,「タントラ・ヴァジラヤーナ」や「五仏の法則」に関する説法はそのまま掲載されている。 しかも,「尊師ファイナルスピーチ」には,「この本はあくまでも法則を遺すことを目的とした縮刷保存版であり,普段の教学には以前の出版物を活用するのが望ましい。」という注釈が付され(乙B2の1),「ヴァジラヤーナコース教学システム教本」等の従前の出版物の活用を勧めているのであるから,この事情をも加味すると,原告において,真に危険とされる教義を原告から廃棄する趣旨で「尊師ファイナルスピ ),「ヴァジラヤーナコース教学システム教本」等の従前の出版物の活用を勧めているのであるから,この事情をも加味すると,原告において,真に危険とされる教義を原告から廃棄する趣旨で「尊師ファイナルスピーチ」を刊行したものか否か疑わしいといわざるを得ない。 (c)ⅰ そして,原告は,本件観察処分決定後も,上記1(3)イbのとおり,平成12年3月27日に,「ポワ」,「タントラ・ヴァジラヤーナ」等の文言について,危険でない趣旨の解釈を記載した「尊師ファイナルスピーチ公式解釈書」を作成したのみで,上記(b)のような内容の説法・教義を掲載したままの「尊師ファイナルスピーチ」の使用を続けていた。 ⅱ また,原告は,上記1(3)イcのとおり,平成13年8月24日付けの「2001年度教団改革の指針」において,「尊師ファイナルスピーチ」全4巻をすべて回収し,それに代えて,同年末から平成14年3月にかけて,新たな教義集を編纂して信徒に配布する旨発表したにもかかわらず,上記(a)の立入検査によれば,同年4月以降に行われた幾多の立入検査においても,多くの施設で,多数の「尊師ファイナルスピーチ」が書棚に並べるなどして保管されていることが確認された。 そのうち,平成14年9月10日に行われた通称「南烏山施設」に対する立入検査において,パソコンのハードディスクに記録されていた同年8月25日及び同年9月5日付けの「修行報告」に,複数の原告構成員が「尊師ファイナルスピーチ」を記憶習得した旨の記載があることが確認された(乙B2の22)。 このように,「2001年度教団改革の指針」で回収期限とされた後においても,多くの原告の施設で多数の「尊師ファイナルスピーチ」が保管されていたことやその保管の態様及び通称「南烏山施設」にあったパソコン内の記録の内容からすると,そもそも,原告にお 期限とされた後においても,多くの原告の施設で多数の「尊師ファイナルスピーチ」が保管されていたことやその保管の態様及び通称「南烏山施設」にあったパソコン内の記録の内容からすると,そもそも,原告において「尊師ファイナルスピーチ」の回収作業を行っていたのか疑わしく,仮に原告の幹部が回収指示を出していたとしても,これは原告の内部で全く徹底されていなかったものと認めざるを得ない。 ⅲ さらに,原告は,本件更新請求のあった平成14年12月2日に,11月末日をもって「尊師ファイナルスピーチ」を全て回収した旨発表したが(乙A112),その直後の同月4日の通称「那覇施設」への立入検査において,信徒が「尊師ファイナルスピーチⅠ~Ⅳ」の4冊を密かに投棄しようとしているのが発見された(乙B26)。 原告は,本件更新請求に係る審理の際に提出した同月24日付けの意見書(甲3)で,「尊師ファイナルスピーチ」は同月10日までに回収が完了していると述べたが,本件更新決定後である平成15年8月5日の通称「横浜施設」への立入検査,同年9月5日及び同月12日の通称「南烏山施設」への立入検査においても,「尊師ファイナルスピーチ」が保管されていることが確認された(乙A100,137)。 これらの事実に照らしても,原告が「尊師ファイナルスピーチ」の回収作業を行っていたのか疑わしく,原告幹部の回収指示がされたとしても,これが全く徹底されていなかったものといわざるを得ない。 (d) なお,原告は,本件更新請求後の平成14年12月24日,「尊師ファイナルスピーチ」の改訂版として「パーフェクトスピーチ1」を刊行したが,その内容は,上記1(3)ウbのとおり,そのほとんどが「尊師ファイナルスピーチⅠ」及び「尊師ファイナルスピーチⅢ」に掲載されているXの説法であり,同時に刊行した「パーフェクト ーチ1」を刊行したが,その内容は,上記1(3)ウbのとおり,そのほとんどが「尊師ファイナルスピーチⅠ」及び「尊師ファイナルスピーチⅢ」に掲載されているXの説法であり,同時に刊行した「パーフェクトスピーチ別巻注釈」も「尊師ファイナルスピーチ公式解釈書」とほぼ同様のものと認められるから,「パーフェクトスピーチ1」の刊行が,原告の教義の変更を伴うものであるとは認められない。 また,原告は,本件更新決定の約1年後に,「尊師ファイナルスピーチ」の改訂版として「ファイナルスピーチ(改訂版)3」分冊1ないし5を発刊したところ,原告は,これがXの説く危険な教義を除いたものであるかのような主張をしている。 しかし,「ファイナルスピーチ(改訂版)3」に掲載されたXの説法は,その約80パーセントが「尊師ファイナルスピーチⅡ」に掲載されていたものであり(乙A112),上記1(3)ウcのとおり,その内容も,Xへの絶対的帰依や合一を説くもの,「タントラ・ヴァジラヤーナ」に関するもの,Xの言うことはすべて実践すべきであると説くものなどが含まれているのであって,「ファイナルスピーチ(改訂版)3」の性質は,基本的に「尊師ファイナルスピーチ」と異なるものではないというべきである。 そうであるとすれば,「パーフェクトスピーチ1」や「ファイナルスピーチ(改訂版)3」が刊行されたこと自体,原告の活動に対するXの影響力が依然として根強いものであることを示しているということができる。 cXの写真の掲示等(a) 平成12年10月31日から平成14年9月26日までの間に行われた警察による捜索により,延べ18施設で,Xの写真が掲示ないし保管されていることが確認された。 (乙B8)(b) しかも,原告では,平成14年2月17日に制定した「活動規定」により,上記1(3)イdのとおり,X 索により,延べ18施設で,Xの写真が掲示ないし保管されていることが確認された。 (乙B8)(b) しかも,原告では,平成14年2月17日に制定した「活動規定」により,上記1(3)イdのとおり,Xの写真を原告の施設の祭壇及び個人所有の祭壇に備え付けないように決められたにもかかわらず,本件更新決定の約1年後の平成16年2月6日に行われた通称「南烏山施設」に対する立入検査により,Aの居室にある祭壇に,Xの写真が飾られているのが確認された。 (乙A104)また,Bは,同年3月7日,通称「西荻施設」における説法で,「私が最近始めた運動というのが,「心の祭壇にグルを飾ろう」という運動を始めて。あの,実際の祭壇に飾れないんだったら,心に飾ろうではないかということを始めたんですけども。・・・本来あるべきところにあるべきものがないということが,・・・いかにね,それがあの実践にとっては妨げになるんだということの意味を自分が実感する出来事があってね。」などと,祭壇にXの写真を飾れないために修行が妨げられていると述べていた。 (乙A113)(c) これらの事実は,原告においては,最高幹部においても,自らの定めた「活動規定」を守っておらず,あるいはこれに不満を抱いていることを示すものであるとともに,原告におけるXへの帰依の深さを示すものである。 カ Xに係る刑事事件の公判傍聴等a 原告の構成員によるXに係る刑事事件の公判傍聴原告は,本件観察処分決定後本件更新請求までの間,一般の構成員にXの公判の傍聴を勧めるとともに,起訴されて公判中の原告の構成員の支援を担当している構成員に,公判廷でのXの言動を微細に至るまで詳細に記録させていた。 しかも,上記1(3)イcのとおり,「2001年度教団改革の指針」により,平成14年3月をめどに,一般出家信者によるXの公判傍聴 る構成員に,公判廷でのXの言動を微細に至るまで詳細に記録させていた。 しかも,上記1(3)イcのとおり,「2001年度教団改革の指針」により,平成14年3月をめどに,一般出家信者によるXの公判傍聴を取りやめる旨発表したにもかかわらず,同発表後,それまでの数をはるかに上回る数の原告構成員がXの公判傍聴を希望して,東京地方裁判所に参集し,また,原告の幹部も同公判を傍聴していた。さらに,原告は,平成14年7月25日の記者会見で,同年9月以降のXの公判については,事件を検証するために公判記録を担当する者以外の原告の構成員を傍聴させない旨発表したが,実際には,この目的との関係が認められない,不規則発言を含む法廷におけるXの発言や微細な動作等をも詳細に記録して,原告の組織内に伝達していた。 このように,多くの原告構成員が,Xの公判傍聴を希望し,また,公判廷でのXの言動を細大もらさず把握しようとしていた。 しかも,本件更新決定後,Xの公判傍聴を希望して東京地方裁判所に参集する原告構成員の数は,それ以前に比べて増加している(乙A127)。 (乙B2の1・63ないし66)b 「Z」の名称使用原告は,本件観察処分決定後,その名称を「宗教団体・Z」と変更したが,これは,原告が破防法による解散指定の請求を受けることを予想して,Xが平成7年11月25日の弁護士との面接の際,上記解散指定を受けたならば,新たな任意団体を設立し,その名称を「Z」とする旨指示していたことを受けて行われたものである。 (乙B4の1・19,10)c これらの事実は,原告がXの意思を推し量り,その意思に基づいて活動しようとしていることを示すものである。 キ J事件の発生Jは,X及びその教義への帰依に基づき,平成11年3月ころから本件観察処分決定後の平成12年6月ころにかけて,X奪還を目的 意思に基づいて活動しようとしていることを示すものである。 キ J事件の発生Jは,X及びその教義への帰依に基づき,平成11年3月ころから本件観察処分決定後の平成12年6月ころにかけて,X奪還を目的としてJ事件を起こした(事件の内容は,前記「本件更新決定の要件の有無に関する当事者の主張」(被告の主張)(3)イdのとおりである。)。 Jは,上記の事件当時,原告の構成員ではなかったものの,同事件の発生は,本件観察処分決定後においても,Yの構成員であった者に対するXの強い影響力が存続し,それが無差別大量殺人行為を引き起こしかねない危険性を有するものであることを示したものということができる。 (乙B6の1・33ないし46)(3) 以上のとおり,Xは原告の創始者であり,少なくとも宗教的には原告における絶対的帰依の対象であること,過去に重大な結果を引き起こした両サリン事件などの一連の行為においては,これを構成員に指示するなど絶大な影響力を有していたこと,本件観察処分決定後,原告の幹部らは,従前どおり,構成員に対して,説法や原告の構成員用ホームページなどを通じて,Xを「尊師」又は「グル」と尊称したうえ,これに対して絶対的に帰依すべきことを説いており,構成員らの修行の様々な場面においても,Xが絶対的な帰依の対象として取り扱われていること,一般構成員の言動などにも,Xに対する深い帰依を示すものが随所に認められること,原告及びその構成員は,Xの刑事事件の傍聴などを通して,同人の意思を推し量り,その意思に基づく活動をしようとしていること,本件観察処分決定後においても,Yの構成員であったJにより,武力でXの奪還を企図した事件が現実に引き起こされたことなどの多数の事実からすれば,Xは,本件更新決定の時点においても,原告の活動の基本的方向性を左右しあるいはその活動 ,Yの構成員であったJにより,武力でXの奪還を企図した事件が現実に引き起こされたことなどの多数の事実からすれば,Xは,本件更新決定の時点においても,原告の活動の基本的方向性を左右しあるいはその活動の個別的な内容に変化を生じさせる力をなお引き続いて有していたものと優に認めることができる。 (4)アa これに対し,原告は,上記1(3)のとおり,「綱領」や「活動規定」を定め,一連の事件を謝罪し,被害者・遺族への賠償を行ったほか,教団運営においてもXからの自立を図るなどして教団改革を進めてきたことにより,本件更新決定の時点で原告の危険性はなくなっていたから,本法5条1項1号の要件は存しない旨主張するところ,証人Cはこれに沿う供述をし,同人作成の陳述書(甲27,32,乙22)やAら作成の陳述書(乙D2,4,8の1ないし3,9の1ないし3)にも同趣旨の記載がある。 b しかし,そもそも,本法5条1項の観察処分に付する処分を行うための要件として具体的現実的な危険が存する必要があるとは解されないことは既に述べたとおりである。 また,原告のいう教団改革のための措置の多くは,本法の成立,本件観察処分の請求ないし本件観察処分決定,本件更新請求の時期にとられているうえ,上記(2)に示したとおり,教団改革は表向きのものにすぎないなどと発言する原告の幹部や一般構成員が少なからず存在すること,原告においてはXへの絶対的帰依や同人との合一を説く説法及び様々な修行が継続されていたこと,用語の公式解釈書を作成しただけで,「タントラ・ヴァジラヤーナ」や「五仏の法則」等に関する説法がそのまま掲載されている「尊師ファイナルスピーチⅠ~Ⅳ」の使用を続けていたこと,ヴァジラヤーナ教学システム教本掲載の説法が録音されたカセットテープ等の保管をしている構成員がいること,AやBまでも がそのまま掲載されている「尊師ファイナルスピーチⅠ~Ⅳ」の使用を続けていたこと,ヴァジラヤーナ教学システム教本掲載の説法が録音されたカセットテープ等の保管をしている構成員がいること,AやBまでもが「活動規定」を守らずあるいはこれに不満を抱いていること,教団改革のためとする措置がとられたのと同時期あるいはその直後に,これと相反するような措置ないし行動がとられることもしばしばあったことなどが認められ,これらの事実に照らすと,原告のいう教団改革は,真に教団としての改革を目指しているものではなく,むしろ,本件観察処分決定あるいは本件更新決定の回避のみを目的とするものではないかとの疑念をぬぐい去ることはできず,仮に原告の教団改革が真の改革をねらったものであるとしても,上記のような事情に照らすと,本件更新決定の時点で,その趣旨が原告の構成員の間に浸透し,改革の成果が現れていたとは認め難いというべきである。 イa また,原告は,教団改革の一環として,「綱領」や「活動規定」等で定めたように,Xの教義のうち危険とされるものを破棄し,事件・犯罪とは関係のない純粋に宗教的な要素のみを継承し,Xを経典の解釈者と位置付けたものであるから,Xの原告に対する影響力は純粋な宗教上のものにすぎない旨主張し,証人Cもこれに沿う供述をする。 b しかしながら,Yにおいては,Xの宗教上の権威や同人の説く教義が同人に対する絶対的帰依の源泉となっており,現に,これが両サリン事件をはじめとする一連の事件を引き起こす一因となっていたというべきことは先に述べたとおりであるうえ,前記(2)記載の諸事情から明らかなとおり,原告において,Xをその主張のとおりに位置付けたとしても,同人が,本件更新決定の時点においても,原告の活動の基本的方向性を左右しあるいはその活動の個別的な内容に変化を生 の諸事情から明らかなとおり,原告において,Xをその主張のとおりに位置付けたとしても,同人が,本件更新決定の時点においても,原告の活動の基本的方向性を左右しあるいはその活動の個別的な内容に変化を生じさせる力をなお引き続いて有していたという事実が否定されるものではない。 ウa さらに,原告は,Xが平成7年5月に逮捕されて以降勾留され,国選弁護人以外の者との接見も禁止され,その国選弁護人との接見も拒否するなどして,会話すらできない状況にあるから,Xが事件を指示するなどというのは不可能で,現実的でない旨主張する。 b しかし,本法5条1項1号の「首謀者が当該団体の活動に影響力を有している」とは,首謀者の言動が,団体の活動の基本的方向性を左右しあるいはその活動の個別的な内容に変化を生じさせる力を有していることをいうものと解すべきことは既に述べたとおりであって,現に団体の具体的な活動について,首謀者が何らかの指示をしたり,その言動に基づいて当該団体の活動が決定されていることまでは要しないから,刑事被告人として長期間にわたり勾留され,接見も禁止されているために,原告ないしその構成員がXと連絡を取るのが極めて困難な状況にあるとしても,これはXが原告の活動に対して影響力を有していると認定することの妨げとはならない。 3 争点7(本法5条1項2号,3号の要件の存否)について(1) Xが本法5条1項2号の「構成員」に当たるか否かア同号にいう団体の「構成員」とは,団体へ加入している者を指すものと解されるが,団体が現在も無差別大量殺人行為に関する危険な要素を保持していると認められる場合に,当該団体を観察処分に付してその活動状況を明らかにしようとする同条の趣旨に照らすと,当該団体への明示的な加入行為がある場合はもとより,これがなくても,当該団体から加入者として ると認められる場合に,当該団体を観察処分に付してその活動状況を明らかにしようとする同条の趣旨に照らすと,当該団体への明示的な加入行為がある場合はもとより,これがなくても,当該団体から加入者として扱われている者も,当該団体の「構成員」に該当すると解するのが相当である。 イこれを本件についてみると,Xはもともと原告の代表者であった者であり,上記1(3)イa,dのとおり,原告の「綱領」や「活動規定」には,Xは原告の構成員ではないとの規定があるが,かかる規定の存在は,原告がXを除名したことあるいはXが原告から脱退したことを直接証明するものではなく,他にかかる事実を認めるに足りる証拠はない。 むしろ,Xは刑事被告人として長期間身柄を拘束され,接見も禁止されているため,原告との連絡が極めて困難な状態にあるものの,原告の幹部はXを「尊師」又は「グル」と尊称したうえ同人へ帰依すべきことを説き,原告の構成員もXへの帰依は従前と全く変わらない旨発言していること,原告において,Xの映像を用いた修行用ビデオテープが作成されたほか,Xへの帰依を説く種々の修行が依然として行われていること,原告の構成員がXに係る刑事事件の公判を傍聴し,同人の言動を詳細に記録して,原告の組織内に伝達するなど,原告はXの意思を推し量り,その意思に基づいて行動しようとしていること等の上記2で認定した事実に照らすと,「活動規定」の「尊師」,「グル」の呼称に関する規定と同じく,Xは原告の構成員ではないとする「綱領」や「活動規定」を設けたにもかかわらず,その規定の趣旨が原告の構成員の間に浸透,徹底されていたとは到底認め難く,本件更新決定の時点において,原告はXを原告の加入者として扱っていたと認めるのが相当である。 ウしたがって,Xは,本件更新決定の時点において,原告の構成員であったと 底されていたとは到底認め難く,本件更新決定の時点において,原告はXを原告の加入者として扱っていたと認めるのが相当である。 ウしたがって,Xは,本件更新決定の時点において,原告の構成員であったと認めることができる。 (2) Xが本法5条1項2号の「役職員」,同項3号の(本件更新決定時点における)「役員」に当たるか否かア本法5条1項2号の「役職員」とは,代表者,主幹者その他いかなる名称であるかを問わず当該団体の事務に従事する者をいい(本法1条かっこ書)また,同項3号の「役員」とは,団体の意思決定に関与し得る者であって,当該団体の事務に従事するものをいう(同号かっこ書)。 イa そこで,Xが本件更新決定の時点で,原告の事務に従事していたと認めることができるか否かについて検討するに,Xは刑事被告人として長期間にわたり勾留され,接見も禁止されているために,原告ないしその構成員と連絡を取るのは極めて困難な状況にあると認められることや,実際にも,Xが近時,具体的な明示の指示を行ったとは認められないことなどからすると,Xは本件更新決定の時点で,原告の事務に従事していたと認めることはできないというべきである。 bⅰ これに対し,被告は,Xが原告の教祖であること,Xが現在でも,原告における絶対者としてその活動に対する影響力を保持していること及び原告はXの意思を推し量り,これに基づいて活動していると認められることからすると,Xは,原告の代表者たる役員である旨主張する。 しかし,被告の主張する諸事情は,Xが原告の活動に対して本法5条1項1号の規定する影響力を持っていることを裏付けるものであるということはできても,これだけで,Xが原告の事務に従事していると認めるのは困難というべきである。 ⅱ また,被告は,意思決定の権限の強い者は,必ずしも具体的な事務処理行 ていることを裏付けるものであるということはできても,これだけで,Xが原告の事務に従事していると認めるのは困難というべきである。 ⅱ また,被告は,意思決定の権限の強い者は,必ずしも具体的な事務処理行為を分担し,直接的に個々の事務的行為に携わることを要せず,団体の基本方針を示し,具体的な個々の事務の遂行行為を他の者に行わせている場合であっても「当該団体の事務に従事する」ことになるとしたうえ,原告の構成員がXの過去の言動に基づき,その意思を推し量りながら,原告の活動方針を決定しており,他方,Xにおいても,原告の構成員がXの意思に従って活動していることは,十分に認識していると考えられるから,Xは構成員に具体的な指示を行う必要は必ずしもないのであって,Xが近時具体的な明示の指示を行っていないとしても,それはXが決定した原告の基本方針を変更する必要がないとXが指示しているということにほかならない旨主張する。 しかし,Xと原告ないしその構成員との意思疎通が可能な状況にあるのであればともかく,上記aのとおり,Xが原告ないしその構成員と連絡を取ることは長期間にわたり極めて困難な状況にあるという事情の下においては,Xが具体的な指示を行っていないことをもって,Xが過去に自らが決定した原告の基本方針を変更する必要がないと指示していると認めるのは困難というべきであるから,被告の上記主張は理由がない。 c したがって,このように,Xは,本件更新決定の時点で原告の事務に従事していたと認めることはできないから,本法5条1項2号の「役職員」又は同項3号の(本件更新決定時点における)「役員」のいずれにも当たらないというべきである。 (3) 以上のとおりであるから,本件更新決定は,本法5条1項2号の要件を備えたものということができるが(なお,同号の要件があるとして観察処 おける)「役員」のいずれにも当たらないというべきである。 (3) 以上のとおりであるから,本件更新決定は,本法5条1項2号の要件を備えたものということができるが(なお,同号の要件があるとして観察処分に付する場合についても,原告の主張するような具体的現実的な危険が存することを要しないことは,前記のとおりである。),他方,同項3号の要件を備えていたと認めることはできない。 4 争点8(本法5条1項5号の要件の存否)について(1) 原告に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事実があるか否かについて検討するに,上記2の検討結果等によると,以下の事情が認められる。 ア上記2の検討結果から認められる事実Xは依然として原告ないしその構成員に対して影響力を有しており,また,原告が教団改革の一環としてとったとされる危険な教義の破棄という方針は,少なくとも原告の構成員の間に浸透し,徹底されたとは認め難く,現に原告の幹部が,両サリン事件を正当化する説法や,表向きは「タントラ・ヴァジラヤーナ」を封印したように装っているが決して捨てたわけではないとか,尊師からサリンを撒けと言われたら,当然我々は躊躇せずに撒かなければならないなどと説法し,一般構成員の中にも,これらと同様の発言をし,あるいは「マジでサリンまいて死刑になっても本望だという気になりました。・・・グルのためなら死んでもいい!!」などとその真情を吐露する者が存在する。 そして,Xの持つ影響力やその教義が未だに危険なものであることは,J事件が起こったことをみても明らかであり,また,Xは自らの刑事公判で両サリン事件等への関与を否定し,不可解な言動をとっていること(証人C,弁論の全趣旨)からすると,同人が両サリン事件等一連の事件を反省しているとは微塵も認められず,同人の今後の言動には予断を 公判で両サリン事件等への関与を否定し,不可解な言動をとっていること(証人C,弁論の全趣旨)からすると,同人が両サリン事件等一連の事件を反省しているとは微塵も認められず,同人の今後の言動には予断を許さないものがあるというべきである。 イ 「マハームドラーの修行」の再開a 「マハームドラーの修行」について,Xは,従前,「マハームドラーの成就というものは,自己の最も大切なもの,それはプライド,ね,それは例えば,生きるということ,最も大切なもの,これが捨てられるかと。グルのために捨てられるかということが,マハームドラーの成就をする際の帰依の条件なんだよ。」,「マハームドラーの達成,解脱の達成をひたすら思念することにより,君たちの心は徐々に徐々にグルに合一すると。そして,グルの説く法の真の意味合いが理解できるようになってくると。」などと説いていた。このように,原告においては,「マハームドラーの修行」は,Xの意思に絶対に従うことと位置付けられ,現に,その名の下に両サリン事件が敢行されたものである。 そして,原告は,その内容が従前のものと同一かどうかは別として,平成13年8月ころから「マハームドラー・イニシエーション特別修行」と銘打って,従前と同名の修行を再開したが,同年9月19日付け「通知」には,「この修行内容は,マハームドラー成就のための土台の修行となります」などと説明されていた。 (乙B2の18・53,6の1ないし9,11ないし13)b なお,原告は,教団改革の一環として,マハームドラーの正しい解釈を導入し,本来の正しいマハームドラーの教えを浸透させるように努めている旨主張する。 しかしながら,Xの説くマハームドラーが危険なものであり,その実践として両サリン事件が敢行されたことは,上記aのとおりであって,その内容が従前のものと同一かどうか るように努めている旨主張する。 しかしながら,Xの説くマハームドラーが危険なものであり,その実践として両サリン事件が敢行されたことは,上記aのとおりであって,その内容が従前のものと同一かどうかは別として,従前の危険な教えと同名の修行を行っていること自体が問題であるし,また,上記2(2)イa(b),エaのとおり,原告が「マハームドラー・イニシエーション特別修行」を再開した後においても,原告の幹部や一般構成員の中には,「マハームドラー」を従前と同じ意味で用いていると認められる者もいることからすると,仮に原告が正しいマハームドラーの教えを浸透させようと図っていたとしても,未だこれは原告内に浸透していないと認めるのが相当である。 ウ 「サリン量産プラント建設事件」等に関わった原告構成員の復帰等a 原告において,「サリン量産プラント建設事件」や「武器等製造法違反事件」を敢行して服役した構成員を含め,両サリン事件が行われた当時に構成員であった者を現在も多数構成員として擁していることは,前記「本件更新決定の要件の有無に関する当事者の主張」(被告の主張)(5)アbのとおりであり,「正悟師・正大師会合」のメンバーでは,A及びH(「サリン量産プラント建設事件」(殺人予備)等で懲役4年に処せられた。)が服役後に原告に復帰し,また,平成7年9月末までに逮捕された441名の原告構成員のうち,「サリン量産プラント建設事件」や「武器等製造法違反事件」に関与した7名(Hを含む。)を始め,少なくとも119名が原告に復帰しており,さらに,一般構成員についてみると,平成14年10月時点の構成員のうち,出家信徒の約97パーセントに当たる約630名及び在家信徒の約75パーセントに当たる約750名は,平成6年6月の松本サリン事件以前に原告に加入し,現在に至るまで原告の構成員 0月時点の構成員のうち,出家信徒の約97パーセントに当たる約630名及び在家信徒の約75パーセントに当たる約750名は,平成6年6月の松本サリン事件以前に原告に加入し,現在に至るまで原告の構成員として活動しているものである(乙A14,16,119,122,123の3,128,B1の1・13,4の39,6の27・32,46,47,C13,15,16)。 そして,本件更新決定後には,サリン量産プラント建設事件(殺人予備)及び教団附属医院薬剤師M殺人事件(殺人・死体損壊)で懲役7年に処せられたNや松本サリン殺人幇助事件(殺人幇助・同未遂幇助)及び「サリン量産プラント建設事件」で懲役8年に処せられたPらが復帰した(乙A122,128)。 b(a) しかも,Aは,復帰後,いったんは「正大師」の位階の返上を表明したものの,平成14年1月21日には再び「正大師」となったものであり,また,Hは,復帰後も正悟師の位階を降格されることはなかった(乙A14,B4の39,証人C)。 (b) また,証人Cは,上記H,N及びPを原告に復帰させた理由について,これらの者には殺人あるいはその準備をしているという認識がなかったことを原告において調査,確認したからである旨供述する。 しかし,これらの者が上記の罪名で有罪判決を受けたことに照らせば,これらの者に殺人あるいはその準備をしているという認識がなかったとは到底認められず,原告においてHらの認識内容を調査,確認した旨の証人Cの上記供述を信用することはできない。 c このように,原告においては,いわゆるYの引き起こした事件等で服役あるいは逮捕された多数の者の原告への復帰を許している。 (2)アところで,原告は,地域住民に施設を公開し,マスコミに対して定例記者会見を開くなど,広く社会に対して情報公開をしている旨主張する。 あるいは逮捕された多数の者の原告への復帰を許している。 (2)アところで,原告は,地域住民に施設を公開し,マスコミに対して定例記者会見を開くなど,広く社会に対して情報公開をしている旨主張する。 しかし,証拠(乙A129)によれば,前記「本件更新決定の要件の有無に関する当事者の主張」(被告の主張)(5)イaのとおり,地域住民に対する施設公開は,平成14年12月3日を最後に行われておらず,「千歳烏山国民対話室」も,同年11月1日に閉鎖したままであり,また,「定例記者会見」も同年12月9日以降中止していることが認められるのであって,かかる事実に照らすと,原告が実施してきたこれらの措置が真に「開かれた教団」を目指して行われたものであるのか疑わざるを得ないし,本件更新決定の時点で,原告が地域あるいは一般社会に対して開かれた存在になっていたとは認め難い。 イまた,原告は,公安調査官の立入検査や警察の捜索が行われても,何ら無差別大量殺人行為に結び付くような危険な物が発見されておらず,その結果,地域住民とのトラブルは全く耳にしなくなった旨主張する。 しかし,上記2で検討したとおり,上記立入検査や警察の捜索の結果,原告の幹部等の説法の内容,「尊師ファイナルスピーチ」の保管・使用状況,原告における修行の状況等が明らかになり,この中には,無差別大量殺人行為と関連性を有する危険な内容も多数含まれており,また,証拠(乙A130)によれば,本件更新決定後の平成16年6月15日時点においても,原告の進出に反対する組織は,全国279自治体に356組織あり,全国各地の拠点施設では,地域住民らが施設の退去を求める集会やデモなどを展開していることが認められるのであって,到底地域住民とのトラブルがなくなったといえる状況にないことも明らかであるから,原告の上記主張は理由 施設では,地域住民らが施設の退去を求める集会やデモなどを展開していることが認められるのであって,到底地域住民とのトラブルがなくなったといえる状況にないことも明らかであるから,原告の上記主張は理由がない。 (3) 以上のとおり,Xは依然として原告ないしその構成員に対して影響力を有し,原告のいう教団改革も成果が現れたとはいえないこと,Xの説いたものと同名の「マハームドラーの修行」が再開されたこと,「サリン量産プラント建設事件」や「武器等製造法違反事件」等の重大犯罪を犯して服役した者を含むYの引き起こした一連の事件等で服役あるいは逮捕された多数の者が原告へ復帰していること,原告は地域住民への施設公開や定例記者会見を止め,開かれた存在になっているとは認め難いこと,公安調査官の立入検査や警察の捜索により,原告が無差別大量殺人行為と関連性を有する危険な要素を備えている状況が明らかになっていることに照らすと,本件更新決定の時点において,原告には無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事実があったと認めることができる。 したがって,本件更新決定は,本法5条1項5号の要件を備えたものということができる(なお,同号の要件があるとして観察処分に付する場合についても,原告の主張するような具体的現実的な危険が存することを要しないことは,前記のとおりである。)。 5 争点9(引き続き原告の活動状況を継続して明らかにする必要があるか否か)について(1) これまでの検討のとおり,原告は本法5条1項1号,2号及び5号に該当し,本件更新決定の時点においても無差別大量殺人行為に関連する危険な要素を保持しているものと認められるところ,かかる危険な要素を減殺するような格別の事情は見当たらないばかりか,次のような事情も認められる。 (2) 構成員(出家)の集団居住 量殺人行為に関連する危険な要素を保持しているものと認められるところ,かかる危険な要素を減殺するような格別の事情は見当たらないばかりか,次のような事情も認められる。 (2) 構成員(出家)の集団居住にみられる不透明性ア原告は,本件観察処分決定後も,構成員(出家)を集団居住させ,閉鎖的な居住空間を形成し,親族をも含む外部との接触を困難にしているが(乙B7の1),本件観察処分決定後にいったん始めた地域住民に対する施設公開や定例記者会見も,本件更新決定の時点では既に中止されていたこととも相まって,原告の状況は外部から分かりにくいものになっている。 イa 原告は,構成員を集団居住させること自体は,世界的・歴史的にみても当然の形態である旨主張する。 しかし,両サリン事件やその他の原告の構成員による一連の犯罪の多くが,原告の集団居住形態の中で,秘密裏に計画され,準備されたことを考えれば,かかる経歴を有する原告が従前と同様の生活形態をとっている以上,これを,他の宗教ないし宗教団体にもみられる生活形態であるとして,看過することはできないのは当然である。 b また,原告は,構成員が親族を含む外部との接触を困難になどしておらず,現在では親族連絡窓口が設置されている旨主張し,Cの陳述書(甲27)には,平成13年に同窓口を設けた旨の記載がある。 しかし,証拠(乙B7の1・2・4・9ないし11)によると,本件観察処分決定後も原告で用いられている構成員(出家)の指針である「生活マニュアル」(平成8年1月ころ策定されたもので,「これは外部に決して漏れることのないよう,厳重に管理してください。」との注意書きが付記されている。)には,「本当に必要でない限り親族とは連絡を取らない。縁が深い分エネルギー交換も大きい。」,「必要があって実家等に行く場合でも,できる限り供養 に管理してください。」との注意書きが付記されている。)には,「本当に必要でない限り親族とは連絡を取らない。縁が深い分エネルギー交換も大きい。」,「必要があって実家等に行く場合でも,できる限り供養は受けない,受けたら確実にカルマ交換が起こり,煩悩的になる。そしてできる限り早く家から出るようにする。」と記載され,また,平成12年9月17日に制定された「サマナ戒律」には,「出家修行者として,親族・知人に対する愛著と慈愛を区別する。」と記載されていること,平成13年3月ころからサマナ用ホームページに掲載されているAの「第36回マイトレーヤ正大師特別寄稿「愛と愛著の違い出家「家族」教団を脱却しよう!」には,「出家修行者が出家する一つの目的が,この家族・友人・知人への偏った愛,愛著からの出離なのです。」と,同じく「第39回マイトレーヤ正大師特別寄稿「聖なるサンガの仕組みにすがれ輪廻の絡みを断ち切るために」には,「集団居住・生活や,自己の空間の放棄というのは,低い世界への絆を断ち切る意味で非常に大切なことであり,真理勝者の慈愛の法則なのです。」,「集団生活については,・・・空間・愛欲の貪りと邪悪心の捨断に役立ちます。」などと記載されていること,親族用窓口の郵送先住所の変更に係る平成13年5月9日付け「通知」には,「電話・直接訪問に対する対応は一切行っておりません。手紙又はメールのみで受け付けておりますので,親族関係者に対して電話番号を教えるようなことはないよう,徹底をお願いいたします。」と記載されていること,現に平成14年になってからも,構成員(出家)の母親が施設に電話をして,自宅に連絡するよう伝えてくれと頼むと,応対に出た構成員は,Aの説法会に来れば会えるなどとまともに取り次がなかったり,構成員(出家)の母親が親族連絡窓口に電話をしても,「 )の母親が施設に電話をして,自宅に連絡するよう伝えてくれと頼むと,応対に出た構成員は,Aの説法会に来れば会えるなどとまともに取り次がなかったり,構成員(出家)の母親が親族連絡窓口に電話をしても,「連絡が取れない」,「分からない」などと対応され,全く連絡を取ることができなかったり,構成員(出家)と母親が面会しても,他の構成員が同行したり,ついには,構成員(出家)の父親が,妻(構成員の母)の病死を伝えるために施設に電話をしたところ,応対した施設の支部長が「娘さんは,そういうことを承知で出家している。」と言って取り次がなかったという事件までもが起こっていることが,それぞれ認められ,これらの事実に照らすと,親族連絡窓口の設置によっても,原告における閉鎖的な集団居住の実態は何ら変わっていないことは明らかである。 (3) 立入検査の妨害等ア原告は,立会検査を含めた公安調査官による調査への対応方法を記載した「ガイダンス新法」と題する文書を,平成12年1月9日付けで「第2破防法に反対する会」の名義で,また,同趣旨の「新法対応の手引き」と題する文書を「みんなの人権を守る会」の名義で,さらに,「立会検査問答例」と題する文書を,それぞれ発出した。 これらの文書には,「何か問題が生じた場合,職権濫用罪で告訴したり,国家賠償請求,懲戒・免職請求等で相手方の氏名・役職等が必要となってくるので,最初にチェックしておいてください。カメラとテレコは必携です。」,「名前や居住者の人数を聞かれても答える義務はありません。」,「公安調査官は顔写真を撮られることをいやがります。早く帰ってほしいときなどには「いいかげんに,帰ってくれませんか。でないと,写真を撮らせてもらいますよ。あなたの顔写真がネット上に流れても知りませんよ。」と言ってみるのもいいかもしれません。」,「前回 く帰ってほしいときなどには「いいかげんに,帰ってくれませんか。でないと,写真を撮らせてもらいますよ。あなたの顔写真がネット上に流れても知りませんよ。」と言ってみるのもいいかもしれません。」,「前回の破防法手続きの際に,出家・在家の信徒があまりにも安易に公調に接触して,結果的に不利益な情報提供をしてしまったことを反省し,今回は公調とは一切接触しないよう,周知徹底を図るべきだと考えます。そうすることによって,公調に対して,教団に不利な証拠を提供せず,処分請求を未然に防ぐことができると思われます。警察や公調の一般調査活動としての訪問等に応じなくても,罰則や不利益処分はありません。」,「万一,立入検査に来たときには,個人管理の建物であることを理由に拒否してもいいと思います。」などと記載されており,原告は,その構成員に対し,公安調査官の調査に対し極力協力しないよう指導している。 (乙B7の13ないし15)イまた,原告は,本件観察処分決定後,各施設の責任者に対し,公安調査官と原告の構成員との接触を防ぐため,構成員の管理を強化することなどを指示し,パソコンの管理に関し,指示文書や口外無用とされる説法の映像ファイル等の重要なものについては,これらを暗号化して保管するよう指導し,現に,多くの施設で,データが暗号化されてパソコンに保管されていた。 (乙B2の8,B7の1・17ないし20)ウさらに,原告の構成員は,本件観察処分決定後,各地の施設で,天井裏や流し台の床下を改造して作った隠匿スペース等に,Xの説法を録画したビデオテープや,「マジでサリンまいて死刑になっても本望だという気になりました。・・・グルのためなら死んでもいい!!」と記載された原告構成員のセミナーアンケート用紙等を隠匿したり,立入検査のため公安調査官が施設を訪れるや,原告が既に回収済 なっても本望だという気になりました。・・・グルのためなら死んでもいい!!」と記載された原告構成員のセミナーアンケート用紙等を隠匿したり,立入検査のため公安調査官が施設を訪れるや,原告が既に回収済みであると発表していた「尊師ファイナルスピーチ」を戸外に投げ捨てたり,パソコンのハードディスクを入れ替えて,帳簿が保存されているハードディスクを隠匿しようとするなどした。 (乙A135,136,B2の48・62,7の1・26,26,証人C)エなお,原告は,その構成員らが立入検査へ非協力的な態度をとったことはなく,多くは,信者のプライバシーを守るための行為を被告が誤解したものである旨主張し,証人Cはこれに沿う供述をしているが,上記アの事実や立入検査妨害の態様をみれば,上記供述や主張が事実に反するものであることは明らかである。 (4) 地域社会の要望等上記(2)及び(3)のような状況を受けて,本件更新請求がされるまでの間をみても,全国各地の地域住民が原告の進出に反対する集会やデモを頻繁に行い,あるいは本件観察処分の期間更新を求める署名活動等をしているほか,各地の自治体等も,公安調査庁長官等に対し,本件観察処分の期間更新等,原告に対する規制の強化を要請するなど,地域社会には原告に対する恐怖感や不安感が依然として強く存在する。 (乙B7の1,38ないし49)(5) 以上のとおり,原告は無差別大量殺人行為に関連する危険な要素を持ち続けていることに加え,その体質も閉鎖的で透明性に欠けるものといわざるを得ないことや,そのために各地の地域住民が原告の活動に強い恐怖感や不安感を抱いていることなどからすると,本件更新決定の時点においても,引き続き原告の活動状況を明らかにする必要があったと認めるのが相当である。 6 本件更新決定の要件充足の有無についての結論以 や不安感を抱いていることなどからすると,本件更新決定の時点においても,引き続き原告の活動状況を明らかにする必要があったと認めるのが相当である。 6 本件更新決定の要件充足の有無についての結論以上によれば,本件更新決定は,本法5条1項3号の要件を備えていると認めることはできないものの,同項1号,2号及び5号の各要件を備え,かつ,同条4項の規定する必要性も備えているものと認められるから,適法なものというべきである。 第5 結論よって,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官市村陽典裁判官石井浩裁判官矢口俊哉(別紙)(原告の決定書上の表示)被請求団体Xを教祖・創始者とするYの教義を広め,これを実現することを目的とし,同人が主宰し,同人及び同教義に従う者によって構成される団体主たる事務所の所在地東京都世田谷区代表者の氏名 X代表者の職業団体主宰者代表者の居所東京都葛飾区主幹者の氏名 A主幹者の職業団体役員主幹者の居所東京都世田谷区

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る