主文 被申立人が申立人に対し昭和四五年九月五日付でした在留期間更新不許可処分の効力を本案(当庁昭和四五年(行ウ)第一八三号)判決の確定に至るまで停止する。申立費用は被申立人の負担とする。理由 一申立人の申立ての趣旨および理由は、別紙(一)記載のとおりであり、被申立人の意見は、別紙(二)記載のとおりである。二当裁判所の判断本件申立ては、在留期間更新不許可処分の効力の停止を求めるものである。ところで、在留外国人に対して在留期間の更新を許可するかどうかは、法務大臣の広範な裁量にまかされていること明らかであるが、このことから、法務大臣がなんらの事実上の根拠に基づかないでも不許可処分をなす権能を有するものと断定することは許されず、不許可処分が全く事実の基礎を欠く場合には違法となり、この点の法務大臣の認定が裁判所の審判に服すべきことは、当然であるといわなければならない。また、在留期間更新不許可処分の効力が停止されても、在留外国人が法務大臣の許可なしに本邦に在留する権利を取得するに至るものではなく、ただ不許可処分がなかつたのと同じ状態が作出されるにすぎないことも、多言を要しないところである。しかし、法が、在留期間の更新を受けようとする外国人は、在留期間の満了する日の一〇日前までに法務大臣に対し文書をもつて更新許可の申請をしなければならず、法務大臣は当該外国人が提出した文書により、相当の理由があると認めるときは、これを許可することができる旨規定し(出入国管理令二一条、同令施行規則二〇条参照)、また、在留外国人が在留期間を経過して本邦に在留するときは退去強制をされ、刑罰に処せられることとなつている(同令二四条四号ロ、七〇条五号参照)ことに徴すれば、法は、在留外国人に対して在留期間更新許可の申請権を認め―これに対 を経過して本邦に在留するときは退去強制をされ、刑罰に処せられることとなつている(同令二四条四号ロ、七〇条五号参照)ことに徴すれば、法は、在留外国人に対して在留期間更新許可の申請権を認め―これに対応して、適法な在留期間更新許可の申請に対しては許否いずれかの処分をなすべきことを法務大臣の義務とし―ているのであつて、在留期間更新許可の申請をした者は、その申請が権利の濫用にわたる等特段の事情のないかぎり、許否いずれかの処分がなされるまでは、たとえ旅券に記載された在留期間が徒過した後においても、不法残留者としての責任を問えないという意味において、本邦に残留することができるものと解するのが相当であり、在留期間更新不許可処分の効力の停止は、まさに、申請人に対して右のごとき法的状態を回復させるものであるから、これを認める利益があるものというべきである。 その申請が権利の濫用にわたる等特段の事情のないかぎり、許否いずれかの処分がなされるまでは、たとえ旅券に記載された在留期間が徒過した後においても、不法残留者としての責任を問えないという意味において、本邦に残留することができるものと解するのが相当であり、在留期間更新不許可処分の効力の停止は、まさに、申請人に対して右のごとき法的状態を回復させるものであるから、これを認める利益があるものというべきである。いま、本件についてこれをみるのに、申立人は、アメリカ合衆国国籍を有する外国人であるが、一九五八年(昭和三三年)ハワイ大学美術科(極東美術・日本美術専攻)を卒業し、ハワイ州で公立学校の教師等をした後、「アジア平和奉仕団」の一員となつて一旦韓国にわたり、東京都千代田区<以下略>所在の「ベルリツツ・スクール」の英語教師として勤務する目的で、一年間の予定滞在期間をもつて在韓国日本国大使館発給の査証を取り付け、昭和四四年五月一〇日下関入国管理事務所下関港出張所入国審査官から出入国管理令四条一項一六号、特定の在留資格及びその在留期間を定める省令一項三号の在留資格者として、在留期間一年の上陸許可の証印を受けて本邦に上陸し、昭和四五年七月二九日在留期間一二〇日間の期間の更新が認められ、さらに、同年八月二七日在留期間更新許可の申請をしたところ、申立人が入国わずか一七日後前記「ベルリツツ・スクール」を無断退職して東京都 、昭和四五年七月二九日在留期間一二〇日間の期間の更新が認められ、さらに、同年八月二七日在留期間更新許可の申請をしたところ、申立人が入国わずか一七日後前記「ベルリツツ・スクール」を無断退職して東京都千代田区<以下略>所在の財団法人「英語教育協議会」の英語教師となつたものであり、かつ、さきの在留期間更新の許可は、出国準備のために与えられたもので、その期間も相当であつてこれを更新する必要はないという理由で、本件不許可処分がなされるにいたつたことは、当事者間に争いがない。しかし、本件疎明によると、申立人が前記「ベルリツツ・スクール」を退職したことについては、同スクール側にも責むべき点があつて、申立人のみの非違を論難しえない事情があること、転職先の「英語教育協議会」は、かなり著名な英語教育機関であつて、その教育内容、設備、規模、信用等の点において「ベルリツツ・スクール」に劣るものとは認められないこと、在留外国人が入国の際申告した勤務先をかわつても、場合によつては、在留期間の更新が許可されていること、申立人は、右「英語教育協議会」の保証書を所管庁に提出し、その受理を受けたうえで、すでに一年有余にわたり英語教師として同所に勤務し、また、そのかたわら、日本古典音楽の伝承と海外紹介という多年の宿願を果すべく、日本琵琶楽協会理事錦琵琶宗家Aに師事して琵琶を、また、生田流琴曲教授Bに師事して琴の修練に精励していることを一応肯認することができ、これらの事実からすれば、たとえ申立人には、在留期間の更新を許可することを相当としない別異の事情があるとしても、少なくとも、被申立人の挙示する前記不許可事由は、ただそれだけでは、本件不許可処分の真実の基礎をなすものとは認め難く、もとよりその他の事情の有無について審理、判断するに由ない裁判所としては、本件不許可処分を全く 、生田流琴曲教授Bに師事して琴の修練に精励していることを一応肯認することができ、これらの事実からすれば、たとえ申立人には、在留期間の更新を許可することを相当としない別異の事情があるとしても、少なくとも、被申立人の挙示する前記不許可事由は、ただそれだけでは、本件不許可処分の真実の基礎をなすものとは認め難く、もとよりその他の事情の有無について審理、判断するに由ない裁判所としては、本件不許可処分を全く 申立人の挙示する前記不許可事由は、ただそれだけでは、本件不許可処分の真実の基礎をなすものとは認め難く、もとよりその他の事情の有無について審理、判断するに由ない裁判所としては、本件不許可処分を全く事実の基礎を欠く違法なものとして取り扱わざるをえない。しかして、本件不許可処分によつて、申立人が、昭和四五年九月八日以降、出入国管理令二四条四号ロ該当者となつて退去強制手続を進められ、入国警備官の臨検、捜索、押収を受け、さらには収容されることもある等人権の侵害を余儀なくされる危険にさらされていることは、明らかであり、右認定の妨げとなる疎明はない。されば、本件不許可処分によつて生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があるものと認められるので、その効力の停止を求める本件申立ては、理由があるものとしてこれを認容することとし、申立費用の負担につき行訴法七条、民訴法八九条を適用して、主文の通り決定する。(裁判官渡部吉隆園部逸夫渡辺昭)別紙(一)執行停止申請書申立の趣旨被申請人が申請人に対して昭和四五年九月五日付でなした申請人の在留期間更新を許可しないとの処分の効力は本案判決確定に至るまでこれを停止する。との決定を求める。申立の原因第一、事実経過。一、(一)、申請人はアメリカ合衆国々籍を有する外国人で、一九三五年四月三日アメリカ合衆国<以下略>に生まれ、一九五八年ハワイ大学美術科を卒業(極東美術・日本美術専攻)し、ハワイ州の公立学校の教師等をしていたが、従来から日本古来の芸術に深く関心を抱き、ハワイにおいて琴を習つたり琵琶の演奏を聴いたりし、是非日本に行つて日本古来の音楽を学びたいと念願するに至つた。(二)、申請人は右の希望実現の第一歩としてアジア平和奉仕団に加入して韓国にわたり、英語教育に おいて琴を習つたり琵琶の演奏を聴いたりし、是非日本に行つて日本古来の音楽を学びたいと念願するに至つた。 美術専攻)し、ハワイ州の公立学校の教師等をしていたが、従来から日本古来の芸術に深く関心を抱き、ハワイにおいて琴を習つたり琵琶の演奏を聴いたりし、是非日本に行つて日本古来の音楽を学びたいと念願するに至つた。(二)、申請人は右の希望実現の第一歩としてアジア平和奉仕団に加入して韓国にわたり、英語教育に おいて琴を習つたり琵琶の演奏を聴いたりし、是非日本に行つて日本古来の音楽を学びたいと念願するに至つた。(二)、申請人は右の希望実現の第一歩としてアジア平和奉仕団に加入して韓国にわたり、英語教育に従事するようになつたが、その間数度観光ビザで来日して、琵琶・琴の勉学の機会および日本で英語教師をして生計を立てる方法を探した。二、申請人は昭和四四年五月一〇日有効な旅券及びこれに対する韓国日本領事館発行の査証を所持して下関港に到着し、同日下関入国管理事務所入国審査官より、出入国管理令第四条一項一六号の三の在留資格(具体的にはエンプロイメントの資格)で、一年間の在留期間で上陸許可の証印を受け入国した。三、申請人は直ちに東京都千代田区<以下略>所在ベルリツツ英会話学校で英語教師として勤務して生計を立てる傍ら、念願の琵琶・琴の勉学の機会を求め探し回り、結局琵琶は日本琵琶協会理事錦琵琶宗家A氏に師事して週二回、琴は生田流B氏に師事して週一回(なお琴については在米中二年半習つていた)修練に励むことができるようになつた。なお申請人は約二ケ月右ベルリツツに勤務した後、千代田区<以下略> 財団法人英語教育協議会(ELEC)に勤務先を替えて今日まで英語教師として月約九万円の収入を得て生活しているものである。四、申請人は、在留期限の迫つた昭和四五年四月三〇日、更に英語教育ならびに琵琶・琴の勉学を続ける必要があつた(申請人は日本古典音楽の研究者としてこれを米国に持ち帰り教えたいと念願していたが、それには少なくともあと二年間の勉学が必要であつた)ので、被申請人に対し右を理由として一年間の在留期間更新を申請した。これに対して被申請人は約三ケ月間も何らの処分をなさなかつたうえ、同年八月一〇日になつて突然申請人に対し「出国準備期間として同年五月一〇日から九月七日まで 理由として一年間の在留期間更新を申請した。これに対して被申請人は約三ケ月間も何らの処分をなさなかつたうえ、同年八月一〇日になつて突然申請人に対し「出国準備期間として同年五月一〇日から九月七日まで一二〇日間の在留期間の更新を許可する」との処分をなした。 に対して被申請人は約三ケ月間も何らの処分をなさなかつたうえ、同年八月一〇日になつて突然申請人に対し「出国準備期間として同年五月一〇日から九月七日まで 理由として一年間の在留期間更新を申請した。これに対して被申請人は約三ケ月間も何らの処分をなさなかつたうえ、同年八月一〇日になつて突然申請人に対し「出国準備期間として同年五月一〇日から九月七日まで一二〇日間の在留期間の更新を許可する」との処分をなした。五、右処分は、処分が遅れた三ケ月間の在留を正当化し、出国準備のため約一ケ月間出国を猶予するというもので、実質的な不許可処分であつたが、形式上更新許可処分であつたため、申請人は、昭和四五年八月二七日、被申請人に対して前回申請と同様の理由で一年間の在留期間再更新の申請をなした。これに対し、被申請人は、同年九月五日付で申請人に対し在留期間更新を許可しないとの処分(以下本件処分という)をなした。第二、本件処分の違法性。一、在留期間更新に関する法務大臣の処分が自由裁量であるとしても、それが裁量権の範囲を著るしく逸脱するときは該処分が違法性を帯びることは判例の認めるところである(東京高裁昭和四四年一二月一日決定判例タイムズ二四一号二八三頁以下等)。二、ところで右裁量権の範囲は次のように厳格かつ制限的に定められるべきである。(一)、日本国憲法はその前文及び第九八条から明らかな通り、国際協調主義をたてまえとし、諸外国々民との友好関係を重視し、「全世界の国民が等しく平和のうちに生存する権利を有」すると宣言している。また交通情報機関の発達により国際化した現代社会においては、人間が諸活動を営むうえで国境を越えた自由な交流をする必要性が急増している。従つて諸外国々民は原則として日本に入国し在留する権利を有するというべきで、憲法の趣旨に照らして合理的であると認めるに足りる理由なしにこの権利は制限されてはならない。(二)、また、在留期間更新許可処分は、入国許可処分とは全く別個の新たな恩恵的処分であるという いうべきで、憲法の趣旨に照らして合理的であると認めるに足りる理由なしにこの権利は制限されてはならない。(二)、また、在留期間更新許可処分は、入国許可処分とは全く別個の新たな恩恵的処分であるということはできない。なぜならば、入国許可処分が適正に行なわれる以上、当初入国するに適格であると判断された者はひきつづき在留する適格もあると考えられるのが通常であるし、勉学や就職のために入国したものは通常在留期間の更新を受けて四年、五年と在留しなければ入国の目的が達せられないからである。 利は制限されてはならない。(二)、また、在留期間更新許可処分は、入国許可処分とは全く別個の新たな恩恵的処分であるということはできない。なぜならば、入国許可処分が適正に行なわれる以上、当初入国するに適格であると判断された者はひきつづき在留する適格もあると考えられるのが通常であるし、勉学や就職のために入国したものは通常在留期間の更新を受けて四年、五年と在留しなければ入国の目的が達せられないからである。従つて在留期間更新許可処分とは、ひきつづき在留させることを前提としつつ、特段の事情変更や、在留者に出入国管理令第二四条各号の要件が生じたという例外的なケースをチエツクする機能を営むものとしてあると解すべきである。従つて在留期間更新許可処分は従来在留外国人に与えてきた権利・利益をそのまま維持させることであり、不許可処分はこの権利・利益を奪うものであるから、行政法の原則により特段の合理的理由のある場合にのみ許されるものである。三、ところが、本件処分については何ら合理的な理由が存在せず、本件処分は被申請人に許された裁量権の範囲を著るしく逸脱した違法な処分である。(一)、申請人は今日まで、ベルリツツないしエレツクの英語教師として英語教育に従事する一方、余暇を利用して琵琶・琴の研究に精進し、あるいは全く合理的手段で反戦活動をしてきたもので、真面目な生活を営み、日本の法令に触れる行為はもとより、日本の利益に反する行為は一度もしたことがなく本件処分は誠に理解に苦しむものである。(二)、他方、申請人の日本在留は、申請人にとつて必要不可欠であるだけでなく日本の英語教育及び日本古典音楽の振興・継承のためにも必要不可欠であり、日本及び日本国民に多大の利益をもたらすものである。(三)、 他方、申請人の日本在留は、申請人にとつて必要不可欠であるだけでなく日本の英語教育及び日本古典音楽の振興・継承のためにも必要不可欠であり、日本及び日本国民に多大の利益をもたらすものである。(三)、更に、日本国憲法が保障する基本的人権の享受が在日外国人にも及ぶことは判例もこれを認めるところであるが、申請人は前記の経緯で英語教育に従事する一方、アジア音楽の研究者・日本古典音楽の継承者を志してこれらの研究に励んでいるものであり、現在の時点で申請人を国外に追いやることは原告の長年の夢を破壊し、音楽の研究を中座させ、結局は原告の憲法上の権利である幸福追求権(憲法第一三条)・学問の自由(同第二三条)・居住の自由(同第二二条)を奪うことになる。 が在日外国人にも及ぶことは判例もこれを認めるところであるが、申請人は前記の経緯で英語教育に従事する一方、アジア音楽の研究者・日本古典音楽の継承者を志してこれらの研究に励んでいるものであり、現在の時点で申請人を国外に追いやることは原告の長年の夢を破壊し、音楽の研究を中座させ、結局は原告の憲法上の権利である幸福追求権(憲法第一三条)・学問の自由(同第二三条)・居住の自由(同第二二条)を奪うことになる。以上の通り本件処分は著るしく不合理である。四、更に本件処分は、憲法第一四条及び出入国管理令第一条に違反し違憲違法である。すなわち、憲法第一四条は国民の法の下の平等を保障し、これは在日外国人に対しても合理的範囲で保障されることは疑いなく、出入国管理令第一条は出入国管理が公正になされるべきことを規定している。従つて、在留期間更新に関する処分は不公平又は恣意的になされてはならず、言葉をかえれば、同一条件下にある者には同一の処分をなし思想信条等による差別をしてはならないのである。(一)、ところが、申請人と同じく日本人の英語教育機関で働く外国人英語教師たちの多くは、殆んど皆在留期間の更新を二度、三度、そして数度にわたつて受けており(ELECで働く申請人の同僚たちを含めて)、申請人に対してのみことさら差別して更新を認めないことを合理化する理由がない。(二)、申請人は、日本に入国してしばらくしてから、全く合法的に反戦活動を行なつて来たが、被申請人の本件処分の理由を強いて考えるとすれば申請人の反戦思想以外にありえ ないことを合理化する理由がない。(二)、申請人は、日本に入国してしばらくしてから、全く合法的に反戦活動を行なつて来たが、被申請人の本件処分の理由を強いて考えるとすれば申請人の反戦思想以外にありえない。そうであれば申請人の思想信条による差別をするものである。五、(一)、法務省入国資格審査課係官が申請人に対し昭和四五年九月三日非公式に明らかにしたところによると、本件処分の理由は次のようなものである。「申請人はベルリツツに英語教師として勤務するというので審査を遂げて入国を許可したところ一ケ月足らずで、ベルリツツとトラブルを起して勝手に退職し、エレツクに職を替えた。このような事情は入国審査を無にするばかりであり、又彼を在留させるにふさわしくない好ましからざる人物と判断するに足るものである。 官が申請人に対し昭和四五年九月三日非公式に明らかにしたところによると、本件処分の理由は次のようなものである。「申請人はベルリツツに英語教師として勤務するというので審査を遂げて入国を許可したところ一ケ月足らずで、ベルリツツとトラブルを起して勝手に退職し、エレツクに職を替えた。このような事情は入国審査を無にするばかりであり、又彼を在留させるにふさわしくない好ましからざる人物と判断するに足るものである。」(二)、しかし右説明は次の二点で到底承服しかねるものである。第一に、被申請人は右の「トラブル」の原因をベルリツツにのみ照会し、申請人に何らの弁解のチヤンスを与えないで申請人の責に帰したのであるが、申請人がベルリツツを辞めたのは以下の事情による。(1) 申請人は本国でも韓国でも教師をしていたので、自分なりの教育方法をもつており、ベルリツツの教育方法が生徒の能力からいつて無理があり、他の方法でやろうと思つたが、ベルリツツはこれを認めず、金がもうかればよいのだと云つた。(2) 申請人は琵琶・琴の勉強のため定まつた余暇を欲し、ベルリツツのスケジユールはきちんとしているというので就職したが、申請人にベルリツツを紹介したCなる人物が居なくなるとスケジユールがひどく乱れ、申請人が当日学校に行つてみなければ授業が何時から何時まであるのかまるで解らず、ひどい時は一日一四時間も割りあてられた。(3) 給料が遅配されたり、現金化するのが不便なような小切手で渡される等 れ、申請人が当日学校に行つてみなければ授業が何時から何時まであるのかまるで解らず、ひどい時は一日一四時間も割りあてられた。(3) 給料が遅配されたり、現金化するのが不便なような小切手で渡される等の事情が重つた。(4) 当初ベルリツツは韓国から来日するに際しての旅費を支払うと言つておきながら、後日これはコントラクトではないといつて一方的にこれを撤回した。従つて申請人もベルリツツとの契約はコントラクトではなく拘束力がないものと思つていた。また無断退職というのも事実に反する。申請人はベルリツツの事務局に退職する旨通知しているのである。なおベルリツツ側から退職のことで苦情等を云われたことはこれまでに全くない。以上のように、被申請人の判断は明らかに事実誤認にもとづくものである。第二に「入国後すぐ職を替えたことは入国審査の意味を無にするもので、そのような人物には在留期間を更新するわけにはいかぬ」という論理は余りに一方的であり、又具体的事実に対する適格な判断を怠つたものである。 請人はベルリツツの事務局に退職する旨通知しているのである。なおベルリツツ側から退職のことで苦情等を云われたことはこれまでに全くない。以上のように、被申請人の判断は明らかに事実誤認にもとづくものである。第二に「入国後すぐ職を替えたことは入国審査の意味を無にするもので、そのような人物には在留期間を更新するわけにはいかぬ」という論理は余りに一方的であり、又具体的事実に対する適格な判断を怠つたものである。すなわち、申請人が転職したことは前述のようにやむを得ない事情にもとづくものであり、又被申請人が申請人の前回申請に対する処分をなした昭和四五年八月一〇日当時には申請人がすでに一年余もエレツクで真面目に英語教師として勤務してきたこと、およびエレツクが著名な英語教育機関で、その教育内容設備・規模・信用等がベルリツツに勝るとも劣らないものであることは明らかになつていたし、それだからこそ申請人の提出したエレツクの保証書を被申請人も受理したのである。また、申請人は英語教育の目的で入国を許可されたので英語教育を続ける限り転職してもさしつかえないと思つており、転職がいけないと被申請人から説明を受けたこともなく、この程度の転職が重大問題とは夢想だにせず、ただよりよき労働条件・ 入国を許可されたので英語教育を続ける限り転職してもさしつかえないと思つており、転職がいけないと被申請人から説明を受けたこともなく、この程度の転職が重大問題とは夢想だにせず、ただよりよき労働条件・教育環境を求めて善意で転職したのである。このような具体的事情を捨象してこの転職の一事を以て以後日本在留を一切認めないという本件処分は余りに過酷であり一方的である。(三)、以上のように被申請人が申請人に対して明らかにした処分の理由も到底合理的なものとはいえない。第三、効力停止の必要性。一、申請人は以上の理由で御庁に本件処分取消訴訟を提起しているが、昭和四五年九月八日から、本件処分の効力により在留期間を超えて在留する不法在留者となり、収容令書により身柄を拘束され、強制退去令書により強制送還され、あるいは出入国管理令違反の被疑者として逮捕・勾留されるおそれがある。そして、申請人の英語教師としての教育活動、琵琶・琴等の勉学活動等は全て中絶され、生計を維持することが困難になるばかりでなく、申請人の日本古典音楽研究者あるいは琵琶の継承者となる長年の望みは全て断念せざるを得なくなるのである。 より在留期間を超えて在留する不法在留者となり、収容令書により身柄を拘束され、強制退去令書により強制送還され、あるいは出入国管理令違反の被疑者として逮捕・勾留されるおそれがある。そして、申請人の英語教師としての教育活動、琵琶・琴等の勉学活動等は全て中絶され、生計を維持することが困難になるばかりでなく、申請人の日本古典音楽研究者あるいは琵琶の継承者となる長年の望みは全て断念せざるを得なくなるのである。従つて、すみやかに本件処分の効力を停止しなければ、申請人は回復しがたい重大な損害を蒙ることになり、本件処分の効力停止の必要性は極めて大きいといえる。二、他方申請人の住居は定まつており、身元保証人も居り、又前述したような在留目的・在留状況からして申請人が逃亡したり、入管当局の呼出に応じないといつたことは到底考えられず、しかも申請人を拘束せずに在留させることによる公共の福祉上の不利益も考えられない。三、なお、本件処分の効力を停止した場合には、在留期間更新申請に対して何らの有効な処分がなされていないことになり、在留期間を経過しても申請人は合法的に在留できるもの 福祉上の不利益も考えられない。三、なお、本件処分の効力を停止した場合には、在留期間更新申請に対して何らの有効な処分がなされていないことになり、在留期間を経過しても申請人は合法的に在留できるものである。実務上も、更新申請に対して在留期間経過後に処分がなされることがあり(申請人に対する昭和四五年八月一〇日の処分もこれにあたる。)、在留期間満了から処分のなされる日までは合法的に在留できるものとして取扱つている。第四、結論よつて、本件処分の効力の停止を求めて申立に及んだ次第である。疎明方法(省略)別紙(二)意見書意見の趣旨本件申請を却下する。申請費用は申請人の負担とする。との裁判を求める。理由 一、本件在留期間更新申請の不許可処分に至る経過(一) 申請人は、アメリカ合衆国々籍を有する外国人で一九三五年(昭和一〇年)四月三日アメリカ合衆国<以下略>に生まれ過去三回の本邦への出入国歴を有するものであるが(1、昭和四二年八月一日目的観光、在留資格四ー一ー四同年九月一日出国2、昭和四三年一月六日目的観光、在留資格四ー一ー四同年一月二三日出国3、昭和四四年一月一五日目的観光、在留資格四ー一ー四同年三月一八日出国)申請人は、東京都千代田区<以下略>所在のベルリツツ・スクールの英語教師として勤務する目的で、一年間の予定滞在期間をもつて在韓国日本国大使館発給の査証を取り付け、昭和四四年五月一〇日下関入国管理事務所下関港出張所入国審査官から出入国管理令四条一項一六号特定の在留資格及び在留期間を定める省令一項三号に該当するものとしての在留資格(以下在留資格四ー一ー一六ー三という)、在留期間一年の上陸許可の証印をうけ本邦に上陸した。 千代田区<以下略>所在のベルリツツ・スクールの英語教師として勤務する目的で、一年間の予定滞在期間をもつて在韓国日本国大使館発給の査証を取り付け、昭和四四年五月一〇日下関入国管理事務所下関港出張所入国審査官から出入国管理令四条一項一六号特定の在留資格及び在留期間を定める省令一項三号に該当するものとしての在留資格(以下在留資格四ー一ー一六ー三という)、在留期間一年の上陸許可の証印をうけ本邦に上陸した。(二) 申請人は、昭和四五年五月一日被 資格及び在留期間を定める省令一項三号に該当するものとしての在留資格(以下在留資格四ー一ー一六ー三という)、在留期間一年の上陸許可の証印をうけ本邦に上陸した。(二) 申請人は、昭和四五年五月一日被申請人に対し、東京都千代田区<以下略>所在の財団法人英語教育協議会(THEENGLISHLANGUAGEEDUCATIONCOUNCILINC)の英語教師として在職および日本の伝統的な音楽を勉強するためとして出入国管理令(以下入管令という)二一条二項にもとずく在留期間更新許可申請をなした。(疎乙第号証ないし同第号証)右申請につき、被申請人が調査したところ、 申請人は昭和四四年五月一〇日前記ベルリツツ・スクールの英語教師として勤務するということで入国を認められたものであるにもかかわらず、本邦入国後わずか一七日間でベルリツツ・スクールを無断退職し、前記英語教育協議会の英語教師に転職し、しかもその退職の事情は、申請人はベルリツツ・スクールにおいて入国後三週間にわたり教師となるべくトレーニングをうけたのであるが、英語教師としての活動に従事する直前にいたつて勤務態度がふまじめになつたため、学校側が申請人に対し注意したところ、同月二七日無断で退職したもので、そのため学校側でも教育予定に支障をきたしたものであることが判明した。そこで被申請人としては、後記第三項で述べる理由により、昭和四五年七月二九日出国準備期間として在留資格四ー一ー一六ー三期間一二〇日の期間更新許可をなした。(三) 申請人は同年八月二七日、引続き英語教育協議会の英語教師およびびわの勉学のためとして本件在留期間更新許可申請をなした(疎乙第号証)が、前回の在留期間更新の許可は出国準備期間ということでなされたものであり、すでに出国準備に必要な期間を与えている以上、さらに在留 の勉学のためとして本件在留期間更新許可申請をなした(疎乙第号証)が、前回の在留期間更新の許可は出国準備期間ということでなされたものであり、すでに出国準備に必要な期間を与えている以上、さらに在留期間の更新を認める必要はなく、他にも、特に更新を必要とする事情が認められなかつたので、同月五日本件不許可処分をなしたものである。 とでなされたものであり、すでに出国準備に必要な期間を与えている以上、さらに在留 の勉学のためとして本件在留期間更新許可申請をなした(疎乙第号証)が、前回の在留期間更新の許可は出国準備期間ということでなされたものであり、すでに出国準備に必要な期間を与えている以上、さらに在留期間の更新を認める必要はなく、他にも、特に更新を必要とする事情が認められなかつたので、同月五日本件不許可処分をなしたものである。二、本件執行停止申請は回復困難な損害を避けるため緊急の必要があるときにあたらない。(一) 申請人は、同人が昭和四五年八月二七日づけでなした出入国管理令二一条にもとづく在留期間の更新申請に対し、被申請人が同年九月五日になした不許可処分の効力の停止を求めているのであるが、申請人が効力停止の必要性として主張するところは、昭和四五年九月八日から本件処分の効力により不法残留者となり、収容令書による身柄の拘束、退去強制令書による強制送還等の処置を受けるおそれがあるというのである。しかしながら、申請人が昭和四五年九月八日から不法残留者となるのは、申請人に対し認められた在留期間が同月七日をもつて満了するためであつて申請人のなした本件在留期間の更新申請に対する不許可処分の効力によるものではない。すなわち、在留期間の更新は外国人の申請にもとづき、法務大臣が更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときにかぎりこれを許可するのであり、許可がないかぎり更新されることがないのである(入管令二一条二項、三項)。したがつて、在留期間更新申請に対し不許可処分がなされた場合には、かりに不許可処分の効力停止がなされたとしても、停止の時点から将来に向つて、不許可処分の効力がない状態におかれるだけであつて、不許可処分の効力停止により、許可があつた状態が形成されるわけではない。積極的に許可があつたのと同一の効果を発生せしめることは、本来執行停止の観 、不許可処分の効力がない状態におかれるだけであつて、不許可処分の効力停止により、許可があつた状態が形成されるわけではない。積極的に許可があつたのと同一の効果を発生せしめることは、本来執行停止の観念と相容れないからである。そうであるとすれば、申請人は、本件不許可処分の効力停止により、期間更新申請をなしたがいまだ許可、不許可の処分がなされていない場合と同様の法律関係に立つに過ぎないのであり、積極的に本邦に在留しうる法的地位を取得するものではない。 つて、不許可処分の効力停止により、許可があつた状態が形成されるわけではない。積極的に許可があつたのと同一の効果を発生せしめることは、本来執行停止の観念と相容れないからである。そうであるとすれば、申請人は、本件不許可処分の効力停止により、期間更新申請をなしたがいまだ許可、不許可の処分がなされていない場合と同様の法律関係に立つに過ぎないのであり、積極的に本邦に在留しうる法的地位を取得するものではない。それ故、在留期間が経過すれば当然に不法残留となるのであり、入管令二四条四号ロの退去強制事由に該当することとなる。したがつて、不許可処分の効力停止がなされても、なされなくても、在留期間の経過により、申請人が退去強制事由に該当するにいたることには変りがないのである。申請人は不許可処分の効力停止がなされれば、在留期間を経過しても合法的に本邦に在留することができると主張している。この主張がいかなる法律的根拠にもとづくのかについては何ら述べるところがないが法令上別段の規定のないかぎり在留期間の更新申請があれば、在留期間満了の効果が生じないと解すべき理由はなく、申請人の主張は失当である。なお、申請人は、実務上も更新申請に対して在留期間経過後に処分がなされることがあり、これは、処分のなされるまでは合法的に在留できるものとして取扱つていることになると主張している。しかし、在留期間経過後、在留期間の更新申請に対する許否の処分のあるまでの間に、退去強制手続をとらなかつたことがあつても、それは、在留期間の更新が許容されればそれまでになした退去強制手続が無益に帰すことからの便宜的な措置にすぎず、合法的に在留できるものとして取扱つているわけのものではない。右に述べたように、本件執行停止申請は、かりに認容されたとしても れまでになした退去強制手続が無益に帰すことからの便宜的な措置にすぎず、合法的に在留できるものとして取扱つているわけのものではない。右に述べたように、本件執行停止申請は、かりに認容されたとしても、申請人の本邦に在留することのできる法的地位の成否には何ら影響するところがなく、したがつて退去強制手続の阻止には何ら益するところがないのであるから、執行停止を求める必要性を欠くものであるというべきである(東京地決昭和二七・三・二四行例集三・二・四一五、東京高決昭和二七・四・八行例集三・三・六〇二参照)。 て取扱つているわけのものではない。右に述べたように、本件執行停止申請は、かりに認容されたとしても、申請人の本邦に在留することのできる法的地位の成否には何ら影響するところがなく、したがつて退去強制手続の阻止には何ら益するところがないのであるから、執行停止を求める必要性を欠くものであるというべきである(東京地決昭和二七・三・二四行例集三・二・四一五、東京高決昭和二七・四・八行例集三・三・六〇二参照)。(二) 右に述べたように、本件処分の効力の停止の有無にかかわらず、在留期間経過により不法残留となり、退去強制事由の発生は避けられないのであるが、退去強制事由に該当すると思料される外国人があるときは、入国警備官は違反調査に着手し(入管令二七条)、違反調査の目的を達するため必要な取調をなし(二八条一項)、必要に応じて容疑者の出頭を求め、容疑者を取調べることができ(二九条)その他必要な調査をなしたうえ、容疑者が退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、入国警備官は、主任審査官に対し収容令書の発付を請求し、主任審査官の発付した収容令書により容疑者を収容することになる(三九条)。そして容疑者を収容したときは、入国審査官に引渡すのである(四四条)。入国審査官は容疑者の引渡を受けたときは、退去強制事由に該当するかどうかを審査し(四五条一項)、審査の結果退去強制事由に該当すると認められた場合はその旨の認定をなし(四七条二項)、この認定に異議を有する容疑者から口頭審理の請求がなされたときは(四八条一項)、口頭審理官は口頭審理を行ない(四八条三項)、口頭審理の結果入国審査官の認定に誤りがないと判断したときはその旨の判定をする(四八条七項) する容疑者から口頭審理の請求がなされたときは(四八条一項)、口頭審理官は口頭審理を行ない(四八条三項)、口頭審理の結果入国審査官の認定に誤りがないと判断したときはその旨の判定をする(四八条七項)。右判定に不服を有する容疑者は法務大臣に対し異議の申出をすることができ(四九条一項)、異議の申出がなされたときは法務大臣は異議の申出が理由があるかいなかを判断し、異議の申出が理由がないと判断された場合にも、さらに在留特別許可を与えるべき事情の有無について考慮し(五〇条一項)、在留特別許可を与える必要のないと判断されたときは異議の申出が理由がないと裁決するのである。 はその旨の判定をする(四八条七項)。右判定に不服を有する容疑者は法務大臣に対し異議の申出をすることができ(四九条一項)、異議の申出がなされたときは法務大臣は異議の申出が理由があるかいなかを判断し、異議の申出が理由がないと判断された場合にも、さらに在留特別許可を与えるべき事情の有無について考慮し(五〇条一項)、在留特別許可を与える必要のないと判断されたときは異議の申出が理由がないと裁決するのである。法務大臣の異議の申出が理由がないとの裁決がなされた段階において、始めて、主任審査官は退去強制令書を発付することができるのであり、そして同令書にもとづく執行がなされるのである。このような慎重な手続経過により、収容・退去強制が行なわれるのであるが収容および退去強制は収容令書の発付、退去強制令書の発付という在留期間更新不許可処分とは別個独立の行政処分がなされなければ行なわれないものであり、不許可処分にもとづいて直ちに収容・退去強制が行なわれるわけのものではない。しかも収容令書の発付、退去強制令書の発付がなされた場合には、右各処分の執行停止を求めることにより収容・退去強制によつて蒙るべき損害を避ける機会が与えられているのであるから、申請人の保護に欠けるところはないのである。右のとおりであるから、在留期間更新不許可処分がなされた現段階において、右処分の執行停止をしなければならないほどの回復困難な損害を避けるため緊急の必要があるとはとうていいえないのである。三、本件不許可処分は相当である。(一) 在留期間更新の許可は入管令二一条三項に明らかなごとく、法務大臣において、当該外国人が提 難な損害を避けるため緊急の必要があるとはとうていいえないのである。三、本件不許可処分は相当である。(一) 在留期間更新の許可は入管令二一条三項に明らかなごとく、法務大臣において、当該外国人が提出した文書により在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当な理由があるときに限りなされるのであつて、申請があれば必ず許されるというものではなく、その許否は法務大臣の自由裁量に委ねられているのである。そして、外国人の入国及び在留の許否はもつぱら当該国家の自由裁量により決定しうるのであつて、特別の条約がない限りは、国家は外国人の入国または在留を許可する義務を負うものではないというのが国際慣習法上認められた原則で、わが国の出入国管理令の各規定にもこの原則が反映されているとみられるのであつて、外国人は自己を在留させよと他の国家に対して要求する権利はない。 は法務大臣の自由裁量に委ねられているのである。そして、外国人の入国及び在留の許否はもつぱら当該国家の自由裁量により決定しうるのであつて、特別の条約がない限りは、国家は外国人の入国または在留を許可する義務を負うものではないというのが国際慣習法上認められた原則で、わが国の出入国管理令の各規定にもこの原則が反映されているとみられるのであつて、外国人は自己を在留させよと他の国家に対して要求する権利はない。したがつて入管令二一条が外国人に対し在留期間の更新を申請することができると規定してあるからといつても同令は外国人に在留期間の延長を権利として付与したものではなく、法務大臣の自由裁量によつて恩恵的に在留期間の延長が許されるものであるから、右申請をした外国人は単に更新申請が許可されることがありうるという事実上の期待をもつだけである(大阪高判(刑事)昭和四三・四・九)。右のように在留期間更新を許可するか否かについての法務大臣の自由裁量権は、その性質からみて、きわめて広範囲のものであり、自由裁量権の行使が裁量権の範囲を逸脱し、あるいは裁量権の濫用となることによつて処分が違法となることはきわめて例外的な場合であるといえよう。(二) ところで、一般に英語教師の入国に当つては、厳重な審査を必要としており、単に英語教師希望というだけでは入国を認めておらず、教師として勤務する施設を特定させ、かつ、実際に有効な勤務契 えよう。(二) ところで、一般に英語教師の入国に当つては、厳重な審査を必要としており、単に英語教師希望というだけでは入国を認めておらず、教師として勤務する施設を特定させ、かつ、実際に有効な勤務契約が成立し、または成立することが確実であることを確認したうえで、学校の規模、教師数、生徒数、経営内容を調査して、当該外国人が真実、かつもつぱら英語教師として活動することが確実であり、入国を許可することがわが国にとつて利益であると認められる場合にのみ許可されている状況である。しかして申請人の入国を許可したのは、申請人が申請外ベルリツツが昭和四四年三月に開講した有楽町スクールにおける英語教師として一年間勤務するとの申出が確実であると認めたからである。しかるに申請人は、前述したように、入国後わずか二週間そこそこで一方的にベルリツツを辞め、他の学校に移るにいたつたのである。このようにきわめて短期間に勤務先を変更するような者については、英語教師として入国を許可しないのが一般的な取扱いである。 入国を許可したのは、申請人が申請外ベルリツツが昭和四四年三月に開講した有楽町スクールにおける英語教師として一年間勤務するとの申出が確実であると認めたからである。しかるに申請人は、前述したように、入国後わずか二週間そこそこで一方的にベルリツツを辞め、他の学校に移るにいたつたのである。このようにきわめて短期間に勤務先を変更するような者については、英語教師として入国を許可しないのが一般的な取扱いである。したがつて申請人がどのような事情によつて勤務先を変えたにしても、当初入国の際に入国を許可されるにいたつた勤務先でない学校への勤務を続けることを希望するからといつて、在留期間の更新を認めなければならない理由はなく、在留期間の更新申請を不許可にしたことは当然である。本人のエレツクでの勤務も、本来は一度国外に出て新たな審査を受けるべきものであつた。申請人は、びわ、琴の研究をも期間更新の理由にしているが、さきに入国を許可されたのは、英語教師としてであり、もしその目的において在留が認められた場合、英語教師のかたわら、びわ、琴の研究をあわせて行なうことは自由であるが、それらの研究のためとしてこの際在留を認めるべき理由はない。そして、前述したように、すでに出 的において在留が認められた場合、英語教師のかたわら、びわ、琴の研究をあわせて行なうことは自由であるが、それらの研究のためとしてこの際在留を認めるべき理由はない。そして、前述したように、すでに出国準備のために一度在留期間更新を認めているのであるから、これ以上申請人に対し在留期間の更新を認める必要はないのである。以上述べたところから明らかなように、被申請人のなした本件不許可処分に裁量権の逸脱ないし裁量権の濫用は存在しないのであり、本件申請は本案について理由がないこと明らかであるといわなければならない。四、よつて本件執行停止申請はすみやかに却下されるべきである。疎明方法(省略)
▼ クリックして全文を表示