- 1 -平成26年11月28日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成26年(ワ)第772号商標権侵害差止請求事件口頭弁論終結日平成26年10月15日判決名古屋市中区<以下略>原告興和株式会社同訴訟代理人弁護士北原潤一同江幡奈 同梶 並 彰一郎同訴訟代理人弁理士高 野 登志雄大阪府門真市<以下略>被告東和薬品株式会社同訴訟代理人弁護士新保克芳同髙﨑 仁 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は,別紙被告標章目録記載1ないし5の各標章を付したPTPシートを包装とする薬剤を販売してはならない。 2 被告は,前項記載の薬剤を廃棄せよ。 3 仮執行宣言第2 事案の概要 1 前提事実(証拠を掲げていない事実は当事者間に争いがない。)(1) 当事者- 2 -原告及び被告は,いずれも医薬品等の製造・販売等を業とする株式会社である。 (2) 原告の有する商標権原告は,別紙商標権目録記載の商標権(以下「本件商標権」といい,本件商標権に係る登録商標を「本件商標」という。)を有する。 (3) 被告の行為等ア被告は,以下の薬剤を販売している。 (ア) 別紙被告標章目録記載1の標章(以下「被告標章1」という。)を付したPTPシートを包装とする「ピタバスタチンCa・OD錠1mg『トーワ』」という薬剤(以下「 は,以下の薬剤を販売している。 (ア) 別紙被告標章目録記載1の標章(以下「被告標章1」という。)を付したPTPシートを包装とする「ピタバスタチンCa・OD錠1mg『トーワ』」という薬剤(以下「被告商品1」という。)。 (イ) 別紙被告標章目録記載2の標章(以下「被告標章2」という。)を付したPTPシートを包装とする「ピタバスタチンCa・OD錠2mg『トーワ』」という薬剤(以下「被告商品2」という。)。 (ウ) 別紙被告標章目録記載3の標章(以下「被告標章3」という。)を付したPTPシートを包装とする「ピタバスタチンCa錠1mg『トーワ』」という薬剤(以下「被告商品3」という。)。 (エ) 別紙被告標章目録記載4の標章(以下「被告標章4」という。)を付したPTPシートを包装とする「ピタバスタチンCa錠2mg『トーワ』」という薬剤(以下「被告商品4」という。)。 (オ) 別紙被告標章目録記載5の標章(以下「被告標章5」といい,被告標章1ないし5を併せて「被告各標章」という。)を付したPTPシートを包装とする「ピタバスタチンCa錠4mg『トーワ』」という薬剤(以下「被告商品5」といい,被告商品1ないし5を併せて「被告各商品」という。)。 イ被告各商品は,いずれも,原告が「リバロ」という商標を付して販売しているピタバスタチンカルシウムを有効成分とするコレステロール低下- 3 -薬(以下「原告商品」という。)の後発医薬品である。 2 本件は,原告が,被告各標章を付した被告各商品を販売する被告の行為は原告の有する本件商標権を侵害するものであると主張して,被告に対し,本件商標権に基づき,被告各標章を付した被告各商品の販売の差止め及び廃棄を求めた事案である。 3 争点(1) 本件商標と被告各標章との類否(2) 被告各 るものであると主張して,被告に対し,本件商標権に基づき,被告各標章を付した被告各商品の販売の差止め及び廃棄を求めた事案である。 3 争点(1) 本件商標と被告各標章との類否(2) 被告各標章の表示が商標的使用に該当するか(3) 被告各標章の表示が普通名称の表示(商標法26条1項2号)に該当するか(4) 本件商標の商標登録は商標登録無効審判により無効にされるべきものかア本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」(商標法4条1項7号)に該当するかイ本件商標が「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」(商標法4条1項16号)に該当するか(5) 本件商標権に基づく請求は権利の濫用に当たるか第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(本件商標と被告各標章との類否)について〔原告の主張〕(1) 主位的主張本件商標は,標準文字「PITAVA」であり,欧文字「PITAVA」からなる外観を有し,「ピタバ」との称呼を生じるが,特段の観念は生じない。 被告各標章は,その外観が片仮名で「ピタバ」であり,その称呼も「ピタバ」であって,特段の観念が生じない。 したがって,被告各標章は,本件商標と類似する。 - 4 -(2) 予備的主張仮に,被告が使用する標章が,被告が主張するような,上段に「ピタバ」の文字を配し下段に「スタチンCa」の文字を配して成る横二段表記の標章(以下「被告横二段標章」という。)であるとしても,被告横二段標章は本件商標権を侵害する。 すなわち,被告横二段標章においては,「ピタバ」の文字は「スタチンCa」の文字と異なる行に記載され,冒頭の位置は,「スタチンCa」の文字が横にずれて記載されている。また,「ピタバ」の文字は,「スタチンCa」の文字に比して著しく大きく, ピタバ」の文字は「スタチンCa」の文字と異なる行に記載され,冒頭の位置は,「スタチンCa」の文字が横にずれて記載されている。また,「ピタバ」の文字は,「スタチンCa」の文字に比して著しく大きく,かつ全体的に太く表示され,他とは異なる特徴的なフォントで記載されている。このような表示態様から,被告横二段標章に接した取引者・需要者においては,「ピタバ」と「スタチンCa」は分断されて認識されるとともに,「ピタバ」が主たる部分であり,「スタチンCa」は従たる部分ないし補足的な部分であるという明確な印象を抱くから,被告横二段標章においては,「ピタバ」の文字部分が他の文字よりも著しく強調され,極めて高い識別力を有するということができる。 そうすると,被告横二段標章からは「ピタバ」との称呼が生じる。そして,医薬品の取引者・需要者,とりわけ患者においては,「ピタバスタチンCa」が化学物質の一般名称であるとの認識は生じず,被告横二段標章に接した取引者・需要者は,単に被告商品の名称(商標)であると認識するにすぎないから,被告横二段標章からは特段の観念を生じない。 他方,本件商標からは,「ピタバ」との称呼が生じるから,本件商標と被告横二段標章は「ピタバ」との称呼が生じる点で同一であり,特段の観念を生じない点で共通する。 したがって,被告横二段標章は,本件商標と類似する。 〔被告の主張〕本件商標は,外観が欧文字「PITAVA」であり,「ピタヴァ」との称呼- 5 -を生じるが,被告各標章は,外観が片仮名「ピタバ」であり,「ピタバ」との称呼を生じる。また,本件商標から特段の観念が生じないとしても,被告各標章については,医薬品である被告各商品に付された「ピタバ」という記載から,医薬有効成分である「ピタバスタチン(カルシウム)」という観念が生じる また,本件商標から特段の観念が生じないとしても,被告各標章については,医薬品である被告各商品に付された「ピタバ」という記載から,医薬有効成分である「ピタバスタチン(カルシウム)」という観念が生じる。 したがって,本件商標と被告各標章は類似しない。 また,被告横二段標章についても,医薬品である被告各商品に付された「ピタバ」という記載から,医薬有効成分である「ピタバスタチン(カルシウム)」という観念が生じるから,本件商標と被告横二段標章は類似しない。 2 争点(2)(被告各標章の表示が商標的使用に該当するか)について〔原告の主張〕(1) 被告各商品のような医療用医薬品については,患者は当該医薬品を服用し,又はその投与を受けるために,自らの意思と支出において当該医薬品を購入するから,被告各商品の取引者・需要者には,医師・薬剤師等の医療関係者のみならず,患者も含まれなければならない。 (2) 前記1〔原告の主張〕(2)のとおり,被告各商品のPTPシートにおいては,「ピタバ」の文字と「スタチンCa」の文字は異なる段に記載され,冒頭の位置もずれている。また,「ピタバ」の文字が「スタチンCa」の文字に比して著しく大きいうえ,「ピタバ」の文字のフォントは全体的に太く,かつ文字の払いの部分は筆書きした時のように細くなっており,通常用いられるフォントにはない特徴があるから,「スタチンCa」のフォントとは全く異なる。しかも,被告各商品のPTPシートの表面においては,「スタチンCa」の文字の大半がプラスチックシート及び錠剤自体により隠れており,全体を視認することすらできない。 被告各商品のPTPシートの耳部分は,PTPシート全体の上端のごく一部であり,PTPシートの大半は本体部分が占めている。また,耳部分の表面の「ピタバスタチンCa」の文 を視認することすらできない。 被告各商品のPTPシートの耳部分は,PTPシート全体の上端のごく一部であり,PTPシートの大半は本体部分が占めている。また,耳部分の表面の「ピタバスタチンCa」の文字は,本体部分の「ピタバ」の文字と同程- 6 -度の大きさにすぎず,裏面の「PitavastatinCalcium」の文字は小さく,字体も細く,目立たない態様で記載されている。これに対して,PTPシートの本体部分の表面及び裏面には,被告各標章である「ピタバ」の文字が各錠剤につき一つずつ記載されており,被告各商品の10錠入りのPTPシートの場合は表裏合計で20か所,被告商品1ないし4について販売されている14錠入りのPTPシートの場合は表裏合計で28か所も繰り返し記載されている。 このような被告各商品のPTPシートにおける「ピタバ」の文字の表示態様からすると,患者を含む取引者・需要者は「ピタバ」の文字部分(被告各標章)を独立して一つの標章と認識するのであって,被告各標章は自他商品識別機能及び出所表示機能を果たしているといえる。 (3) また,被告自身が,取引者・需要者において,被告各標章が独立した一つの標章と認識されることを認めていることは明らかである。 すなわち,被告の出願にかかる標章の登録状況と被告各標章の使用状況をみると,被告は,医薬品一般的名称(「JAN」:JapaneseAcceptedNamesforPharmaceuticals。以下「一般的名称」という。)と冒頭の数文字が共通する文字からなる標章を多数出願して,その登録を受けており,そのうち「フェキソ」,「オロパタ」,「ビソプロ」,「カルベジ」,「パロキセ」の各標章を,それぞれ「フェキソフェナジン塩酸塩」,「オロパタジン塩酸塩」,「ビソプロロールフマル酸塩」,「 受けており,そのうち「フェキソ」,「オロパタ」,「ビソプロ」,「カルベジ」,「パロキセ」の各標章を,それぞれ「フェキソフェナジン塩酸塩」,「オロパタジン塩酸塩」,「ビソプロロールフマル酸塩」,「カルベジロール」,「パロキセチン塩酸塩水和物」を含有する被告の商品のPTPシートの表面ないし裏面に表示している。かかる表示態様は,「ピタバスタチンカルシウム」を含有する被告各商品のPTPシートの表面及び裏面において,「ピタバ」の文字からなる被告各標章を表示する態様と全く同様であり,それらの各標章が取引者・需要者において独立した一つの標章と認識されるからこそ,被告は,これらの商標登録出願をし,登録を受けているのである。 - 7 -したがって,被告は,同様の態様で表示される「ピタバ」の文字からなる被告各標章についても,取引者・需要者において独立した一つの標章と認識されると考えていることは明らかである。 (4) 自他商品識別機能及び出所表示機能を有する標章か否かは取引者・需要者の視点に立って判断されるものであるところ,被告の主張は,「ピタバスタチンCa」あるいはその2行表記である被告横二段標章を使用する際の被告の主観的な認識を述べたものにすぎず,「ピタバスタチンCa」あるいは被告横二段標章が自他商品識別機能及び出所表示機能を有するものと取引者・需要者が認識するか否かとは無関係であるから,被告の主張は失当というほかない。 〔被告の主張〕(1) 被告各商品の有効成分は,一般的名称として「ピタバスタチンカルシウム」(洋名PitavastatinCalcium)と定められている。この一般的名称は,有効成分の明確な区別や,患者への安全な処方及び調剤,医療従事者・科学者間の円滑な情報交換といった公益目的によって規定されるものであり,独占的な使用 lcium)と定められている。この一般的名称は,有効成分の明確な区別や,患者への安全な処方及び調剤,医療従事者・科学者間の円滑な情報交換といった公益目的によって規定されるものであり,独占的な使用は許されない。 (2) また,被告は,いわゆる後発医薬品として,有効成分ピタバスタチンカルシウムを含有する被告各商品を販売しているところ,後発医薬品については,先発医薬品とは異なり,厚生労働省から「医療用後発医薬品の承認申請にあたっての販売名の命名に関する留意事項について」(乙4)で指摘されているように,誤飲等による医療事故を防止するために,原則として含有する有効成分に係る一般的名称を付すこととされている。さらに,日本ジェネリック製薬協会も,名称類似による取り違えを回避するために,後発医薬品の一般的名称への変更を要請する書簡を各製薬会社に送付している。 (3) そこで,被告は,被告各商品について一般的名称である「ピタバスタチンCa」と表記することとしており,外箱,内装袋及び添付文書には,「ピタ- 8 -バスタチンCa」と表記している。 (4) そして,PTPシートには,その上部(耳部分)において,表面に,「ピタバスタチンCa」と一連かつ等大の文字で表記し,裏面に,「PitavastatinCalcium」と一連かつ等大の文字,同じ書体で,まとまりよく表記しており,さらに,表面には,被告の医薬品であることを示す「トーワ」の文字を表示し,裏面には,被告の社名及びロゴを表示している。 また,PTPシートのうち上記耳部分以外には,個別の錠剤収容部分ごとに,上段に「ピタバ」の文字を配し下段に「スタチンCa」の文字を配して成る被告横二段標章を付しており,同標章に接した取引者・需要者は,「ピタバ」と「スタチンCa」を一体のものとして「ピタバスタチ とに,上段に「ピタバ」の文字を配し下段に「スタチンCa」の文字を配して成る被告横二段標章を付しており,同標章に接した取引者・需要者は,「ピタバ」と「スタチンCa」を一体のものとして「ピタバスタチンCa」が記載されていると認識する。錠剤ごとにも一般的名称が表記されるのは,薬剤師による医薬品の誤調剤や患者の誤用を防ぐために行われるものであるが,医薬品の一般的名称は比較的長いものが多いことから,一般的名称の全てを記載するための工夫として,主要部分を大きく記載して視認性を高めることが行われており,被告は,被告各商品に限らず,最近の商品で同様の工夫をしている。 (5) 以上のとおり,被告は被告各商品の有効成分の内容を示すものとして,その一般名である「ピタバスタチンCa」を被告各商品のPTPシートに表記しているにすぎず,自他商品識別機能及び出所表示機能を有する標章として「ピタバスタチンCa」を用いていない。それは,誤調剤・誤服用の防止という見地から,1枚のPTPシート中の個別の錠剤収容部分ごとに上記のとおり2段に表記した場合も全く同様である。 被告各商品において自他商品識別機能及び出所表示機能を果たしているのは,PTPシートの錠剤収容部分の表面に印刷された「OD1mg『トーワ』」等の「トーワ」,耳部分の裏面に印刷された「TOWA」ないし「東和薬品」という被告の会社名である。 - 9 -原告は,原告商品のPTPシートに「リバロ」,「LIVALO」の標章しか使用しておらず,「ピタバ」は使用していないが,それは,有効成分を意味する「ピタバ」では同じ有効成分を有する医薬として,原告商品としての識別力が生じ得ないためである。 (6) 原告は,「ピタバ」が自他商品識別機能及び出所表示機能を有するか否かは,患者の視点も考慮して判断すべきである 同じ有効成分を有する医薬として,原告商品としての識別力が生じ得ないためである。 (6) 原告は,「ピタバ」が自他商品識別機能及び出所表示機能を有するか否かは,患者の視点も考慮して判断すべきであると主張する。 しかし,原告商品のPTPシートには「リバロ」,「LIVALO」という標章しか使用されていない。患者は「リバロ」という商品名で長期にわたり原告商品を認識しており,後発医薬品を手にするまで「ピタバスタチンCa」を見ることはなかった。薬局などで後発品を使用するかと問われてそれに承諾すると,はじめて患者に後発品が処方され,手にしたPTP包装には,「ピタバスタチンCa」と記載されており,「ピタバ」が「ピタバスタチンCa」の冒頭の3文字であることは患者にも明らかであるから,「ピタバ」のみを標章として認識することはない。 なお,患者は,原告商品「リバロ」の後発医薬品であるとして処方を受け,薬局で受け取った後にはじめて被告各商品のPTPシートを見るにすぎず,およそ需要者・取引者ではなく,名称等で薬剤を選択しているわけでもない。 (7) したがって,被告各標章の表示は商標の「使用」には該当しない。 また,以上の理は被告横二段標章にも通じることであるから,被告横二段標章の表示も商標の「使用」には該当しない。 よって,被告各標章ないし被告横二段標章の表示は商標権者の登録商標を使用する権利(商標法25条)の侵害行為又は侵害とみなされる行為(同法36条1項,37条)には該当しない。 3 争点(3)(被告各標章の表示が普通名称の表示(商標法26条1項2号)に該当するか)について〔被告の主張〕- 10 -「ピタバスタチンカルシウム」は,いわゆる「スタチン系」と呼ばれるHMG-CoA 還元酵素阻害薬に属する。スタチン系薬剤はこれまでに 号)に該当するか)について〔被告の主張〕- 10 -「ピタバスタチンカルシウム」は,いわゆる「スタチン系」と呼ばれるHMG-CoA 還元酵素阻害薬に属する。スタチン系薬剤はこれまでに,同剤も含めて「アトルバスタチン」「プラバスタチン」など8種が上市されており,「スタチン」の部分には個々の薬剤を識別する機能がなく,医師などでは「スタチン」を省略した「ピタバ」「アトルバ」等と称呼されており,「VascularStreet」(乙6)のように学会発表の内容をほぼそのまま再現している報告においても,特に定義付けすることなく,「ピタバ」,「Pitava」と略称されている。国立医薬品食品衛生研究所安全情報部が発行している「医薬品安全情報」(乙7)においても,スタチン系医薬品の対比にあたって,「Pitava」と略称されている。 さらに,国立医薬品食品衛生研究所の日本医薬品一般名称データベース(http://jpdb.nihs.go.jp/jan/)や,独立行政法人医薬品医療機器総合機構における医療用医薬品の添付文書情報(http://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html)による検索結果でも,「ピタバ」はまさに「ピタバスタチンカルシウム」を示すものである。 したがって,仮に「ピタバ」が被告各商品の標章として使用されているとしても,それは「ピタバスタチンカルシウム」という普通名称ないし原材料としての「ピタバスタチンカルシウム」を一般的に示す名称として使用するものである。 そして,被告各商品において,PTPシートの錠剤収容部分に「ピタバ」の文字が大きく記載されているのは,PTPシート全体のなかで,一般名称をわかりやすく,普通に用いられる方法で表示するものにほかならない。 ,被告各商品において,PTPシートの錠剤収容部分に「ピタバ」の文字が大きく記載されているのは,PTPシート全体のなかで,一般名称をわかりやすく,普通に用いられる方法で表示するものにほかならない。 よって,被告各標章には,商標法26条1項2号により,本件商標権の効力は及ばない。 〔原告の主張〕被告の主張は,「ピタバ」が「ピタバスタチンカルシウム」を表す普通名称であることを根拠付けるものではない。すなわち,「VascularStreet」(乙- 11 -6)をみると,冒頭の「はじめに」や,図1,図3において「ピタバスタチン」と記載されている上,当該発表者が当該発表の場において「ピタバスタチン」を「ピタバ」と略して称したにすぎない。「医薬品安全情報」(乙7)をみても,スペースに制限のある表において「Pitava」と表示されているにすぎず,しかも当該表のすぐ下には,「Pitava」が「Pitavastatin」であることが付記されている。 また,被告は,国立医薬品食品衛生研究所の日本医薬品一般名称データベースや,独立行政法人医薬品医療機器総合機構における医療用医薬品の添付文書情報による検索結果を主張するが,それは単に,「ピタバスタチンカルシウム」が一般的名称であることと,当該データベースで「ピタバ」の文字を含む一般的名称が「ピタバスタチンカルシウム」であることを示しているにすぎない。 むしろ,インターネット検索サイトにおいて「ピタバ」を検索すると,検索結果として表示されるのは,本件を含む本件商標権の侵害訴訟や原告に提訴された相手方が販売する「ピタバ」を含む販売名の商品に関する記事を除いて,ほとんどが「ピタバスタチンカルシウム」とは関係のない記事であるから,そのことから「ピタバ」が「ピタバスタチンカルシウム」を表す普通名称として広 する「ピタバ」を含む販売名の商品に関する記事を除いて,ほとんどが「ピタバスタチンカルシウム」とは関係のない記事であるから,そのことから「ピタバ」が「ピタバスタチンカルシウム」を表す普通名称として広く一般に認識されていないことが明らかである。 さらに,「ピタバ」が取引者・需要者においてピタバスタチンCaの略称であると一般に認識されているのであれば錠剤に「ピタバ」と表示すればよいところ,被告は,被告商品1及び2の錠剤に,医薬品の販売名(商品名)として,「ピタバス」と表示している。 加えて,PTPシートの記載事項については,厚生労働省の通知(医薬発第935号平成12年9月19日。甲18)により,PTPシートの本体部には原則として,裏面に和文販売名を表示することとされているが,有効成分の表示は求められていない。被告各商品についても,PTPシートに表示されている「ピタバ」(ないし被告横二段標章)は,その商品名の一部を記載したもの- 12 -である。そして,販売名が医薬品の商品名として,自他商品識別機能や出所表示機能を有することは明らかである。 また,被告各商品のPTPシートにおける被告各標章の表示態様に照らして,被告各標章が「普通に用いられる方法で表示」されているとはいえない。 したがって,被告各標章について商標法26条1項2号が適用される余地はない。 4 争点(4)ア(本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」(商標法4条1項7号)に該当するか)について〔被告の主張〕商標法4条1項7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある」とは,商標の構成自体が公序良俗に反する場合だけでなく,社会公共の利益に反する商標についてもこれに該当する。医薬品は,直接人の生命に関わるものであるから,その名称が類似するが故に するおそれがある」とは,商標の構成自体が公序良俗に反する場合だけでなく,社会公共の利益に反する商標についてもこれに該当する。医薬品は,直接人の生命に関わるものであるから,その名称が類似するが故に起こる誤った薬の処方や投与といった,医薬品を巡る医療事故を防ぐ見地から,特に一般的名称が定められているものであって,その独占は許されないものである。 そして,一般的名称そのものはもちろんのこと,それと類似するものであって,一般的名称の使用を制限することとなるような商標も,公序良俗に反する。 「ピタバスタチン」はスタチン系の化合物であり,末尾のスタチンには識別力がほとんどなく,接頭部分の「ピタバ」の部分の識別力が強いので,「ピタバ」と「ピタバスタチン」は要部である「ピタバ」の部分が一致しており,「PITAVA」から「ピタバ」を想起するとする原告主張によれば,本件商標は,「ピタバスタチン」とも類似し,商標とすることは社会公共の利益に反する。 また,以上のことは,「ピタバスタチン」が国際一般名(INN)に登録されていて,国際一般名(INN)に係る語の商標登録を認めることは国際信義に反する。 したがって,本件商標は,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある- 13 -商標」(商標法4条1項7号)に該当するから,商標登録無効審判により無効にされるべきものというべきである。 〔原告の主張〕この点に関する被告の主張は,一般的名称と類似する商標は公序良俗に反するというものであるが,ある商標が公序良俗に反するかどうかは,当該商標自体により判断すべきであり,当該商標と類似する他の商標が公序良俗に反するかどうかで判断するのは正しくない。 したがって,被告の主張は前提を誤るものであり,本件商標は,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」( り,当該商標と類似する他の商標が公序良俗に反するかどうかで判断するのは正しくない。 したがって,被告の主張は前提を誤るものであり,本件商標は,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」(商標法4条1項7号)に該当しない。 5 争点(4)イ(本件商標が「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」(商標法4条1項16号)に該当するか)について〔被告の主張〕本件商標を,有効成分をピタバスタチンカルシウム以外とする薬剤やそれ以外の商品に使用すれば,需要者は薬剤の一般的名称であるピタバスタチンカルシウムを想起して,品質の誤認を生ずるおそれがあるから,商標法4条1項16号に該当する。 〔原告の主張〕取引者・需要者が,本件商標から有効成分がピタバスタチンカルシウムの薬剤であると想起することはないから,被告の主張は失当である。 6 争点(5)(本件商標権に基づく請求は権利の濫用に当たるか)について〔被告の主張〕(1) 薬剤の安全管理や誤飲防止といった見地から,識別性を高める工夫として名称の表記の一部を強調することや略称を用いることは合理的であり,実際に「ピタバスタチンカルシウム」は「ピタバ」と略称されている。また,後発医薬品は一般的名称を表記することが求められている。そのため,被告が- 14 -後発品である被告各商品について,「ピタバスタチンカルシウム」であることを表示し,さらに個別錠剤においてスペースの狭いことに鑑みて「ピタバ」を大きな文字で記載して識別性を高めており,これは,医薬品を販売するものとして正当なものというべきである。 さらに,医薬品の一般的名称は,商標登録が許されず,その結果何人も排他的独占権を行使し得ないものであり,それと類似する本件商標も,「自己の業務に係る商品に使用」するものとして登録さ うべきである。 さらに,医薬品の一般的名称は,商標登録が許されず,その結果何人も排他的独占権を行使し得ないものであり,それと類似する本件商標も,「自己の業務に係る商品に使用」するものとして登録されて排他独占的な権利行使がされることは本来許されてはならないものである。 しかも,原告は指定商品について,本件商標を登録後も5年以上にわたり,使用しておらず,被告の行為によって何らの損害も生じていない。それにもかかわらず原告が本件訴訟を提起したのは,それを積極的に公表して,ピタバスタチンであることを表記している後発医薬品の参入を妨害しようとするものにほかならない。 そうすると,本件訴訟は不当訴訟のそしりを免れず,原告の本件請求は権利の濫用というべきである。 (2) さらに,本件商標については,次の無効事由があるから,除斥期間の経過後であっても,本件商標権に基づく権利行使は権利の濫用というべきである。 ア商標法3条1項柱書違反「ピタバスタチンカルシウム」(PitavastatinCalcium)は,一般的名称として登録された,自他商品識別の機能を有しない普通名称である。塩の種類を示す「カルシウム(calcium)」は,有効成分の本体ではないため識別性がなく,また,「スタチン」は,スタチン系化合物の語尾であって識別力が弱いため,取引者・需要者は,「ピタバ」,「PITAVA」から「ピタバスタチンカルシウム(PitavastatinCalcium)」を想起する。 医薬品の一般的名称については,商標登録が許されず,これと類似する本件商標も,「自己の業務に係る商品に使用」することは許されないもの- 15 -である。現に,原告は,本件商標を使用しないで商品名「リバロ」を平成15年から今日に至るまで使用している。 したがって,本件商標 自己の業務に係る商品に使用」することは許されないもの- 15 -である。現に,原告は,本件商標を使用しないで商品名「リバロ」を平成15年から今日に至るまで使用している。 したがって,本件商標登録は,商標法3条1項柱書違反の無効理由を有する。 イ商標法3条1項6号違反本件商標と「ピタバ」が類似するとする原告の主張に従えば,本件商標は医薬品の一般的名称である「ピタバスタチンカルシウム」を想起する。 その元となった一般的名称が想起できる略称は,一般的名称そのものと同様に,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できない商標であり,商標法3条1項6号に該当する。 (3) また,原告は,本件商標が登録された平成18年4月7日以後,本件商標を使用していないから,本件商標は取り消されるべきものであり,本件商標に基づく権利行使は権利の濫用というべきである。 〔原告の主張〕被告は,原告の本件請求は権利の濫用である旨主張するが,失当である。 被告が主張するように安全管理や誤飲防止といった目的を達成するに,一部の文字を強調することが必要になるとはいえず,現に後発医薬品を販売する各社の大多数は,「ピタバスタチンCa」等と一連表記している。しかるに,被告はあえて「ピタバ」の文字のみが一つの商標と認識されるような態様で強調表示しており,これによって原告の商標権を侵害しているのであるから,被告の行為は,決して正当な行為とはいえない。 また,被告は,本件商標が医薬品の一般的名称と類似すると主張するが,本件商標は医薬品の一般的名称ではないし,本件商標が当該一般的名称と類似するという根拠が明らかにされていない。仮に,本件商標が当該一般的名称と類似するとしても,本件商標につき登録や権利行使が許されないとする根拠も明らかにされていない。 - 当該一般的名称と類似するという根拠が明らかにされていない。仮に,本件商標が当該一般的名称と類似するとしても,本件商標につき登録や権利行使が許されないとする根拠も明らかにされていない。 - 16 -さらに,被告は,原告が指定商品について,本件商標を商標登録後も5年以上にわたって使用していないと主張するが,商標登録が不使用による取消審判により取り消されるべきものと認められるときの抗弁は,商標法に規定されておらず,侵害訴訟において登録商標の不使用を抗弁として主張することはできないと解される。その点を措くとしても,原告は,本件商標について,キョーリンリメディオ株式会社に対して本件商標使用許諾契約に基づき,通常使用権を設定して,本件商標と社会通念上同一の商標について同社による使用実績があるから,被告の主張は前提を欠く。 以上によれば,本件訴訟は,原告の商標権者としての正当な権利行使であり,何ら権利濫用に当たらない。 第4 当裁判所の判断 1 本件事案に鑑み,まず争点(2)(被告各標章の使用が商標的使用に該当するか)について判断する。 (1) 前記第2,1の前提事実並びに証拠(甲6,8,11ないし13,乙1,4ないし19,21の1ないし3,24)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア被告各商品は,ピタバスタチンカルシウムを有効成分とする,医療用後発医薬品である。 ピタバスタチンカルシウムは,「スタチン系」と称されるHMG-CoA 還元酵素阻害薬に属する薬物である。スタチン系では,ほかにアトルバスタチンやシンバスタチン,プラバスタチン等8種を有効成分とする医薬品が市場に存在する。 イ被告各商品のPTPシートの表示はそれぞれ,別紙被告商品目録記載のとおりである。 被告各商品のPTPシートには,個別の錠剤 チン,プラバスタチン等8種を有効成分とする医薬品が市場に存在する。 イ被告各商品のPTPシートの表示はそれぞれ,別紙被告商品目録記載のとおりである。 被告各商品のPTPシートには,個別の錠剤収容部分ごとに表面と裏面の両面において,上段に「ピタバ」の文字を配し下段に「スタチンCa」- 17 -の文字を配し,上段の「ピタバ」の文字は,その冒頭の位置が,下段の「スタチンCa」の文字より左側に約1文字分横にずれて記載されており,下段の「スタチンCa」の文字に比して約4倍の大きさで,かつ全体的に太く表示されている(被告横二段標章)。 被告各標章は,その上段部分である。なお,下段部分のうち「スタチン」の文字部分は,その一部(「スタ」ないし「スタチ」の文字部分)が収容された錠剤と重なりはするが,全体において重ならないように右寄りに配置されている(加えて,含量の表示である「2mg」等の表示は,錠剤と重ならないように下部左寄りに配置されている。)。 また,被告各商品のPTPシートには,いずれもシートの上部に耳部分があり,その部分の表面には,「ピタバスタチンCa」と一連かつ等大で,かつ「ピタバスタチン」の文字部分が被告各標章と同じ字体で表記されており,その裏面には,「PitavastatinCalcium」と一連かつ等大で,かつ全体が同じ字体で表記されている。さらに,上記耳部分の表面には「トーワ」と,裏面には被告の社名である「東和薬品」の文字とロゴマークが表示されている。〔乙5〕ウ被告各商品の販売名は,前記第2,1(3)アのとおりである。 エ被告は,被告各商品のほかに,他のスタチン系の薬物であるアトルバスタチンやシンバスタチン,プラバスタチンナトリウムを有効成分とする医薬品も販売しており,それらのPTPシートも,被告各商 ある。 エ被告は,被告各商品のほかに,他のスタチン系の薬物であるアトルバスタチンやシンバスタチン,プラバスタチンナトリウムを有効成分とする医薬品も販売しており,それらのPTPシートも,被告各商品のPTPシートと同様の表示がされている。〔乙5〕オピタバスタチンカルシウムを有効成分とする医療用後発医薬品については,その販売名に,一般的名称である「ピタバスタチンカルシウム」ないし「ピタバスタチンCa」及び剤型,含量,会社名(屋号等)を付さなければならないとされている。その趣旨は,医薬品の販売名等が類似することで,医薬品の取り違えをして調剤間違いや誤飲といった医療事故が起こ- 18 -るのを防止することにあるとされている。 PTPシートの個別の錠剤収容部分ごとに薬品名を表示することは,製薬業界において近年広く採用されており,患者が1錠単位でPTPシートを切り離したとしても,薬剤の名称が容易に確認でき,薬剤師の調剤間違いや患者の誤飲を防止するのに有効であると医療関係者から評価されている。〔甲8,乙1,4,9,10,24〕カ被告各商品は,コレステロール低下薬である。慢性疾患に対する医薬品は,患者が毎日,長期間にわたって定常的に服用する必要があることから,患者には,通常,一度に1か月分以上の薬剤が処方される。 キ被告各商品は,処方せん医薬品に指定されている。処方せん医薬品は,病院,診療所,薬局等への販売(授与を含む。)する場合を除き,薬事法49条1項に基づき,医師等からの処方せんの交付を受けた者以外の者に対して,正当な理由なく,販売を行ってはならないとされている。 薬剤師は,薬剤師法23条1項,25条の2に基づき,販売又は授与の目的で調剤するとき,処方せんの記載どおりに薬剤を調剤しなければならない。また,薬剤師 ,販売を行ってはならないとされている。 薬剤師は,薬剤師法23条1項,25条の2に基づき,販売又は授与の目的で調剤するとき,処方せんの記載どおりに薬剤を調剤しなければならない。また,薬剤師は,患者に対して,当該薬品に関して必要な情報を提供し,必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならないとされており,患者に「薬剤情報提供文書」を交付することとされており,患者は,「薬剤情報提供文書」によって調剤された薬剤の名称を確認することになる。 なお,薬剤師は,患者の選択に基づき,処方せんに記載されている先発医薬品に代えて後発医薬品を調剤することができる場合がある。その場合には,薬剤師は,患者に対して,後発医薬品を選択した基準,例えば,当該後発医薬品の品質に関する情報開示の状況,薬価,製造販売業者の製造,供給や情報提供等に関する体制等といった事項について説明することとされている。また,患者が医師に薬の変更や新しい薬の処方を依頼するこ- 19 -とがあるが,その理由の多くは十分な効果がない,あるいは副作用があったというものである。〔甲11ないし13,乙5〕ク日本循環器学会での発表(乙6)において,ピタバスタチン,アトルバスタチン,ロスバスタチンといったスタチン系医薬品についてそれぞれ,「ピタバ」,「アトルバ」,「ロスバ」と,「スタチン」を省略した略称が使用された。その際,それらの略称について定義付けがされたことはなく,同発表の記事にそれらの略称について注記が付されたこともない。同発表は,九州の51施設の医師が参加した研究結果の発表であり,世界で初めて上記3種類の薬剤を同時に比較する試みであったことが高く評価され,また,日本循環器学会の目玉として,優れた,わずかな臨床研究のみが選抜されて発表を許される「レートブレーキング 表であり,世界で初めて上記3種類の薬剤を同時に比較する試みであったことが高く評価され,また,日本循環器学会の目玉として,優れた,わずかな臨床研究のみが選抜されて発表を許される「レートブレーキングクリニカルトライアル」での発表であり,多くのメディアや医師が注目したものであった。〔乙6〕ケまた,国立医薬品食品衛生研究所安全情報部が発行している「医薬品安全性情報」においても,スタチン系医薬品の対比に当たってピタバスタチンが「Pitava」と略記されている。〔乙7〕コほかに,次のとおり医薬に関して国内の大学に所属する日本人研究者等が執筆した論文等において,ピタバスタチンを「ピタバ」ないし「pitava」等と略記するなど,スタチン系の薬剤に略記として「statin」を省略する方法が使用されている。 (ア) 「2型糖尿病患者におけるピタバスタチンの血清脂質と糖代謝に及ぼす影響」(臨床医薬22巻7号。乙11)「ピタバスタチン2mg/日」を服用する患者群について「ピタバ群」と略記されている。 (イ) 「急性心筋梗塞症治療用ナノ粒子製剤の実用化のための橋渡し研究」(臨床評価41巻1号。乙12)冒頭で「ピタバスタチン封入PLGA ナノ粒子」を「ピタバNP」と称- 20 -すると定義付けし,以後は「ピタバNP」が用いられている。 (ウ) 「InductionofEndothelialNitricOxideSynthase,NitricOxideSynthase,SIRTI,andCatalasebyStatinInhibitsEndothelialSenescenceThroughtheAktPathway」(乙13)図1ないし図3において,ピタバスタチン,アトルバスタチン及びプラバス InhibitsEndothelialSenescenceThroughtheAktPathway」(乙13)図1ないし図3において,ピタバスタチン,アトルバスタチン及びプラバスタチンについてそれぞれ,「Pitava」,「Atorva」,「Prava」と略記されている。 ( エ) 「MCP-1-inducedenhancementofTHP-1 adhensiontovascularendotheliumwasmodulatedbyHMG-CoAreductaseinhibitorthroughRhoAGTPpase-,butnotERK1/2-dependentpathway」(乙14)本文中に「pitavastatin(Pitava)」と略称が併記されているほか,図において「Pitava」と略記されている。 (オ) 「EffectsofPitavastatinonPressureOverload-InducedHeartFailureinMice」(乙15)図1ないし図6において,ピタバスタチンについて「Pitava」と略記されている。 (カ) 「高脂血症・動脈硬化臨床研究の動向」(乙18)表1において,シンバスタチンとプラバスタチンについてそれぞれ,「Simva」,「Prava」と略記されている。 ( キ) 「3-Hydroxy-3-Methy1glutary1-CoAReductaseInhibitorsandPhosphodiesteraseTypeVInhibitorsAttenuateRightVentricularPressureandRemodelinginaRatModelofPulmonar seTypeVInhibitorsAttenuateRightVentricularPressureandRemodelinginaRatModelofPulmonaryHypertension」(乙19)図1及び図2並びに表1及び表2において,アトルバスタチン,シンバスタチン及びプラバスタチンについてそれぞれ,「Atorva」,「Simva」,「Prava」と略記されている。 - 21 -サ調剤薬局においても,スタチン系の薬剤を互いに区別するために,「スタチン」を省略して称する方法が使用されており,アトルバスタチンについて「アトルバ」との略称が,シンバスタチンについて「シンバ」との略称が,プラバスタチンについて「プラバ」との略称が,フルバスタチンについて「フルバ」との略称が,ロスバスタチンについて「ロスバ」との略称がそれぞれ使用されている。〔乙16〕シ特許公開公報等において,公開特許公報(特開2006-325582。乙17)でアトルバスタチンについて「Atorva」との略記がされている(図11ないし図13及び図17)ように,スタチン系の薬剤について略記として「statin」を省略する方法が使用されることがある。 (2) 検討上記(1)の認定事実によれば,被告各商品の有効成分である「ピタバスタチンカルシウム」という表記が医薬品の一般的名称として定められたものであり,これを有効成分とする医療用後発医薬品については,その販売名に,一般的名称及び剤型,含量,会社名(屋号等)を付さなければならないと定められていること,その理由は,薬剤師が調剤する際に処方された薬剤と類似する販売名の他の有効成分を含む薬剤とを混同して調剤を間違えたり,患者が誤飲したりといった,医薬品の販売名等が類似するがゆ と定められていること,その理由は,薬剤師が調剤する際に処方された薬剤と類似する販売名の他の有効成分を含む薬剤とを混同して調剤を間違えたり,患者が誤飲したりといった,医薬品の販売名等が類似するがゆえに起きる医療事故を防止するためであること,被告は,その定めに従って被告各商品について販売名を定めていること,医療業界においては,販売名等をPTPシートの個別の錠剤収容部分ごとに薬品名を表示することが,特に製薬業界において近年広く採用されており,その方法は,薬剤の名称が容易に確認でき,薬剤師の調剤間違いや患者の誤飲を防止するのに有効であると医療関係者から評価されていること,「ピタバスタチン」(Pitavastatin)の名称のうち,「スタチン」及び「statin」の部分は,コレステロール低下薬の一分類であるHMG-CoA 還元酵素阻害薬を意味する用語であって,これに属する薬剤- 22 -としては,本件で問題となっているピタバスタチンの他,アトルバスタチン,ロスバスタチンなどがあり,これらは「スタチン系」と称されていること,これらスタチン系の薬剤においては,薬剤を特定して表記する際に,「スタチン」及び「statin」の部分を省略して表記されることがあること,「ピタバ」という表記も,スタチン系の薬剤の一般的名称から「スタチン」を省略して称する方法によって,「ピタバスタチン」から「スタチン」を省略して称するものであり,実際,「ピタバ」の略称が重要な学会の発表の場で,特に定義付けや注記もなく使用されているほか,調剤薬局でもスタチン系の薬剤を区別するために,上記の方法によって略称されていること,医薬に関して国内の大学に所属する日本人研究者等が執筆した論文等でもピタバスタチンカルシウムを含むスタチン系の薬剤について「Pitava」等の略記が使用さ に,上記の方法によって略称されていること,医薬に関して国内の大学に所属する日本人研究者等が執筆した論文等でもピタバスタチンカルシウムを含むスタチン系の薬剤について「Pitava」等の略記が使用されており,ピタバスタチンカルシウムに関する特許公開公報でもかかる略記が使用されていること,被告各商品のPTPシートには,いずれもシート上部の耳部分の表面に「ピタバスタチンCa」と一連かつ等大でかつ「ピタバスタチン」の文字部分が被告各標章と同じ字体で表記されており,その裏面には「PitavastatinCalcium」と一連かつ等大でかつ全体が同じ字体で表記されている他,上記耳部分の表面には「トーワ」と,裏面には被告の社名である「東和薬品」の文字とロゴマークが表示されているばかりか,被告各標章は,被告横二段標章の一部の表記にすぎず,その下段には「スタチンCa」の文字が記載されていること,以上が認められる。 そうすると,被告各商品のPTPシートに付された「ピタバ」という被告各標章は,医薬品の販売名等の類似性に起因する調剤間違いや患者の誤飲等の医療事故を防止する目的で被告各商品の有効成分がピタバスタチンカルシウムであることの注意を喚起するためにその略称をPTPシートに表記されたものであると認められ,被告各商品のような医療用医薬品の主たる取引者,需用者である医師や薬剤師等の医療関係者及び患者が被告各商品のP- 23 -TPシートに接したときにも,その耳部分に表示された「トーワ」ないし被告の社名である「東和薬品」の文字やロゴマークと相まって,そのような表記として認識されると認めるのが相当である。 したがって,被告各商品のPTPシートに付された被告各標章は,商標としての自他商品識別機能若しくは出所表示機能を果たす態様で使用されている な表記として認識されると認めるのが相当である。 したがって,被告各商品のPTPシートに付された被告各標章は,商標としての自他商品識別機能若しくは出所表示機能を果たす態様で使用されているということはできず,本件商標の「使用」に該当すると認めることはできない。 このことは,被告横二段標章を一体として被告の標章とみた場合も同様である。 (3) 原告の主張についてアこれに対して原告は,被告各商品のPTPシートにおける「ピタバ」の文字の表示態様からすると,患者を含む取引者・需要者は「ピタバ」の文字部分(被告各標章)を独立して一つの標章と認識するのであって,被告各標章は自他商品識別機能及び出所表示機能を果たしていると主張する。 しかし,錠剤収容部分に錠剤の有効成分や含量をどのように表示するかは,錠剤収容部分のスペースや錠剤の収容位置といった制約を前提にして適宜選択されるべき事項であると考えられる。被告各商品のPTPシートにおいて「ピタバ」がその余の部分と別の段に分けて,かつ大きく特徴的な字体で表示されているのは,前記のとおり,医療事故防止の観点から有効成分を容易に認識できるようにするために,略称である「ピタバ」を大きくかつ特徴的な字体で表示したものであり,また,「スタチンCa」の文字部分が小さく,かつ細く右寄りに表示されているのは,収容された錠剤とできる限り重ならないように上記態様で表示したものであると認められる。 さらにいえば,被告各商品は処方せん医薬品に指定されており,原則として医師等からの処方せんなしに購入することができないから,患者が自- 24 -らPTPシートの表示に基づいてその出所を識別して薬剤の処方を受けることは一般的ではないと考えられる。また,患者が処方される薬剤を選択する場面は,主に, ことができないから,患者が自- 24 -らPTPシートの表示に基づいてその出所を識別して薬剤の処方を受けることは一般的ではないと考えられる。また,患者が処方される薬剤を選択する場面は,主に,保険薬局において薬品を調剤する際に処方せんに記載されている先発医薬品に代えて後発医薬品を調剤するか否かといった場合や,効き目や副作用の点から薬の変更や新しい薬の処方を依頼するといった場合であり,そのような場合に患者がPTPシートの表示に基づいてその出所を識別して薬剤の処方を受けることはほとんどないと考えられる。 加えて,前記認定の事実によれば,被告各商品は慢性疾患に対する医薬品であり,患者が毎日,長期間にわたって,定常的に服用するものであることから,患者に対して,一度に1か月分以上の薬剤が処方されることがあり,通常,耳部分がついたままのPTPシートが交付されることが認められる。そうすると,患者は,被告各商品のPTPシートに接したとき,その耳部分に表示された「トーワ」ないし被告の社名である「東和薬品」の文字やロゴマークによってその出所を容易に識別することができる。 したがって,PTPシートにおいて被告各標章は,患者との関係においても自他商品識別機能を有すると認めることはできない。 イ原告は,被告が「フェキソ」,「オロパタ」,「ビソプロ」,「カルベジ」,「パロキセ」など,医薬の一般的名称と一部文字を共通にする複数の商標登録出願をして,その登録を受けていることを指摘して,被告が被告各標章を独立した標章として認識している旨主張するところ,証拠(甲10)によれば原告が指摘する事実を認めることができる。 しかし,弁論の全趣旨によれば,いずれの登録商標についても,上記のような登録商標を有する先発医薬品の販売会社が後発医薬品の販売会社に商標権 10)によれば原告が指摘する事実を認めることができる。 しかし,弁論の全趣旨によれば,いずれの登録商標についても,上記のような登録商標を有する先発医薬品の販売会社が後発医薬品の販売会社に商標権を行使して訴訟を提起したという事実があったことから,被告も同様に訴訟提起される事態を懸念して,防衛的観点から当該先発医薬品の販- 25 -売会社のように出願,登録を受けたものと認められるから,上記認定事実をもって直ちに被告が被告各標章を独立した標章として認識しているということはできない。 ウよって,原告の上記主張はいずれも採用することができない。 (4) 以上のとおりであるから,本件における被告による被告各標章ないし被告横二段標章の表示は商標権者の登録商標を使用する権利(商標法25条)の侵害行為又は侵害とみなされる行為(同法36条1項,37条)には該当しない。 2 結論以上によれば,その余の争点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 東海林 保 裁判官 実本 滋 裁判官 - 26 -足立拓人- 27 -(別紙)被告標章目録<以下略>- 28 -(別紙)商標権目録 登録番号第4942833号出願日平成17年8月30日登録日平成18年4月7日登録商標 PITAVA(標準文字)商品 録<以下略> 商標権目録 主文 登録番号第4942833号出願日平成17年8月30日登録日平成18年4月7日登録商標PITAVA(標準文字)商品及び役務の区分第5類指定商品薬剤 理由 被告商品1 被告商品2 被告商品3 被告商品4 被告商品5
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