平成31(ネ)10009 特許権侵害差止等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和元年6月27日 知的財産高等裁判所 4部 判決 控訴棄却 大阪地方裁判所 平成28(ワ)6494
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判決文本文51,812 文字)

令和元年6月27日判決言渡平成31年(ネ)第10009号特許権侵害差止等請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成28年(ワ)第6494号)口頭弁論終結日令和元年5月16日判決 控訴人日進医療器株式会社(以下「控訴人日進」という。) 控訴人株式会社セイエー(以下「控訴人セイエー」という。) 控訴人 OHU株式会社(以下「控訴人OHU」という。) 控訴人ら訴訟代理人弁護士山本健策同福永聡同難波早登至控訴人ら補佐人弁理士石川大輔同橋本卓行 被控訴人株式会社湯山製作所 訴訟代理人弁護士飯島歩 同藤田知美同町野静同松下外同平野潤同真鍋怜子同村上友紀同溝上武尊同三品明生同上 同村上友紀同溝上武尊同三品明生同上田亮祐訴訟代理人弁理士横井知理同吉田昌司主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中控訴人ら敗訴部分をいずれも取り消す。 2 上記の部分につき,被控訴人の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要(略称は,特に断りのない限り,原判決に従う。)本件は,発明の名称を「薬剤分包用ロールペーパ」とする発明についての特許(特許第4194737号。以下「本件特許」という。)の特許権(以下「本件特許権」という。)を有していた被控訴人が,控訴人らによる原判決別紙「被告製品目録」記載の製品(以下「被告製品」という。)の製造,販売が本件特許権の間接侵害(特許法101条1号)等に当たる旨主張して,本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償として999万6781円及びこれに対する不法行為の後である訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割 合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 原判決は,被控訴人の請求について,控訴人日進に対し97万0768円及びこれに対する遅延損害金の支払(うち48万5384円及びこれに対する遅延損害金について控訴人OHUと連帯,うち24万2692円及びこれに対する遅延損害金について控訴人セイエーと連帯)を,控訴人OHUに対し48万5384円及びこれに対する遅延損害金の支払(全額について控訴人日進と連帯,うち24万2692円及びこれに 92円及びこれに対する遅延損害金について控訴人セイエーと連帯)を,控訴人OHUに対し48万5384円及びこれに対する遅延損害金の支払(全額について控訴人日進と連帯,うち24万2692円及びこれに対する遅延損害金について控訴人セイエーと連帯)を,控訴人セイエーに対し24万2692円及びこれに対する遅延損害金の支払(全額について控訴人日進及び控訴人OHUと連帯)をそれぞれ求める限度で,一部認容した。 原判決に対して,控訴人らのみが,敗訴部分を不服として本件控訴を提起した。 1 前提事実以下のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第2の1記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決3頁18行目から5頁14行目までを次のとおり改める。 「(2) 被控訴人の特許権ア本件特許の出願経過等(ア) 被控訴人は,平成9年9月22日に出願した特許出願(特願平9-257175号。優先日平成8年9月20日及び平成9年9月19日。以下「本件原出願」という。甲27,乙60)の一部を分割して出願した特許出願(特願平10-340008号。出願日平成10年11月30日。甲42の2)の一部を更に分割して出願した特許出願(特願2000-33185号。出願日平成12年2月10日)を分割して,同年6月2日,新たに本件特許の特許出願(特願2000-166273号。以下「本件出願」という。甲2,乙 31)をした。 被控訴人は,平成19年7月26日付けの拒絶理由通知(乙24)を受けたため,同年10月1日付けで,特許請求の範囲について手続補正(以下「本件補正」という。乙32)をした。 その後,被控訴人は,平成20年10月3日,本件特許権の設定登録(請求項の数2。甲1)を受けた。 (イ) 被控訴人は,平成22年9 手続補正(以下「本件補正」という。乙32)をした。 その後,被控訴人は,平成20年10月3日,本件特許権の設定登録(請求項の数2。甲1)を受けた。 (イ) 被控訴人は,平成22年9月7日,本件特許の特許請求の範囲の請求項2について訂正することを求める訂正審判(訂正2010-390095号事件)を請求し,同年11月9日,上記請求を認容する旨の審決を受け,同審決は,同月18日確定した(甲3)。 (ウ) 被控訴人は,平成28年7月4日,原審に本件訴訟を提起した。 控訴人日進は,平成29年7月10日,本件特許について特許無効審判(無効2017-800089号事件。以下「別件無効審判」という。乙46)を請求した。 被控訴人は,同年10月6日付けで本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び2について訂正することを求める訂正請求(以下「本件訂正」という。甲28,29)をした。 特許庁は,平成30年6月26日,本件訂正を認めた上で,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「別件審決」という。乙57)をした。その後,別件審決は,確定し,同年8月28日,その旨の確定登録が経由された(甲38)。 その後,原審は,同月24日に口頭弁論を終結した後,同年12月18日,被控訴人の請求を一部認容する原判決の言渡しをした。 イ本件出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の記載本件出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおりである(乙31)。 【請求項1】 非回転に支持された支持軸の周りに回転自在に中空軸を設け,中空軸にはモータブレーキを係合させ,中空軸に着脱自在に装着されるロールペーパのシートを送りローラで送り出す給紙部と,シートを2つ折りしその間にホッパ 持された支持軸の周りに回転自在に中空軸を設け,中空軸にはモータブレーキを係合させ,中空軸に着脱自在に装着されるロールペーパのシートを送りローラで送り出す給紙部と,シートを2つ折りしその間にホッパから薬剤を投入し,薬剤を投入されたシートを所定間隔で幅方向と両側縁部とを帯状にヒートシールする加熱ローラを有する分包部とを備え,ロールペーパの回転角度を検出するために支持軸に角度センサを設け,分包部へのシート送り経路上でシート送り長さを測定する測長センサを設け,ロールペーパを上記中空軸に接合回転可能に接合する手段をロールペーパと中空軸が接する端に設け,両センサの信号に基づいてシート張力をロールペーパ径に応じて調整しながら薬剤を分包するようにした薬剤分包装置に用いられ,中空芯管とその上に薬剤分包用シートをロール状に巻いたロールペーパとから成り,ロールペーパのシートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与するために,支持軸に設けた角度センサでシートの巻量が検出可能な位置に磁石を配置し,その磁石をロールペーパと共に回転するように配設して成る薬剤分包用ロールペーパ。 ウ本件補正後の特許請求の範囲の記載本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおりである(下線部は本件補正による補正箇所である。乙32)【請求項1】非回転に支持された支持軸の周りに回転自在に中空軸を設け,中空軸にはモータブレーキを係合させ,中空軸に着脱自在に装着されるロールペーパのシートを送りローラで送り出す給紙部と,2つ折りされたシートの間にホッパから薬剤を投入し,薬剤を投入されたシートを所定間隔で幅方向と両側縁部とを帯状にヒートシールする加熱ローラを有する分包部とを備え,ロールペーパの回転角度を検出するために 支持軸に角度センサを設け,上記中 し,薬剤を投入されたシートを所定間隔で幅方向と両側縁部とを帯状にヒートシールする加熱ローラを有する分包部とを備え,ロールペーパの回転角度を検出するために 支持軸に角度センサを設け,上記中空軸と上記支持軸の固定支持板間で上記中空軸のずれを検出するずれ検出センサを設け,分包部へのシート送り経路上でシート送り長さを測定する測長センサを設け,ロールペーパを上記中空軸に接合回転可能に接合する手段をロールペーパと中空軸が接する端に設け,角度センサ及び測長センサの信号に基づいてシート張力をロールペーパ径に応じて調整しながら薬剤を分包するようにし,さらに角度センサの信号とずれ検出センサの信号との不一致により上記中空軸に着脱自在に装着されたロールペーパと上記中空軸とのずれを検出するようにした薬剤分包装置に用いられ,中空芯管とその上に薬剤分包用シートをロール状に巻いたロールペーパとから成り,ロールペーパのシートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与するために,支持軸に設けた角度センサによる回転角度の検出信号と測長センサの検出信号から算出されるシートの巻量が検出可能な位置に磁石を配置し,その磁石をロールペーパと共に回転するように配設して成る薬剤分包用ロールペーパ。 エ本件訂正後の特許請求の範囲の記載本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおりである(下線部は本件訂正による訂正箇所である。以下,本件訂正後の請求項1に係る発明を「本件訂正発明」という。乙57)。 【請求項1】非回転に支持された支持軸の周りに回転自在に中空軸を設け,中空軸にはモータブレーキを係合させ,中空軸に着脱自在に装着されるロールペーパのシートを送りローラで送り出す給紙部と,2つ折りされたシートの間にホッパから薬剤を投 軸の周りに回転自在に中空軸を設け,中空軸にはモータブレーキを係合させ,中空軸に着脱自在に装着されるロールペーパのシートを送りローラで送り出す給紙部と,2つ折りされたシートの間にホッパから薬剤を投入し,薬剤を投入されたシートを所定間隔で幅方向と両側縁部とを帯状にヒートシールする加熱ローラを有する分包部とを備え,ロールペーパの回転角度を検出するために 支持軸の片端に角度センサを設け,上記中空軸と上記支持軸の固定支持板間で上記中空軸のずれを検出するずれ検出センサを設け,分包部へのシート送り経路上でシート送り長さを測定する測長センサを設け,ロールペーパを上記中空軸に着脱自在に固定してその固定時に両者を一体に回転させる手段をロールペーパと中空軸が接する端に設け,角度センサ及び測長センサの信号に基づいてシート張力をロールペーパ径に応じて調整しながら薬剤を分包するようにし,さらに角度センサの信号とずれ検出センサの信号との不一致により上記中空軸に着脱自在に装着されたロールペーパと上記中空軸とのずれを検出するようにした薬剤分包装置に用いられ,中空芯管とその上に薬剤分包用シートをロール状に巻いたロールペーパとから成り,ロールペーパのシートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与するために,支持軸に設けた角度センサによる回転角度の検出信号と測長センサの検出信号とからシートの巻量が算出可能であって,その角度センサによる検出が可能な位置に複数の磁石を配置し,その磁石をロールペーパと共に回転するように配設して成る薬剤分包用ロールペーパ。 (3) 本件訂正発明の構成要件の分説本件訂正発明を構成要件に分説すると,次のとおりである。 A 非回転に支持された支持軸の周りに回転自在に中空軸を設け,中空軸にはモータブレーキを係合させ,中空軸に着脱自在 発明の構成要件の分説本件訂正発明を構成要件に分説すると,次のとおりである。 A 非回転に支持された支持軸の周りに回転自在に中空軸を設け,中空軸にはモータブレーキを係合させ,中空軸に着脱自在に装着されるロールペーパのシートを送りローラで送り出す給紙部と,2つ折りされたシートの間にホッパから薬剤を投入し,薬剤を投入されたシートを所定間隔で幅方向と両側縁部とを帯状にヒートシールする加熱ローラを有する分包部とを備え,ロールペーパの回転角度を検出するために支持軸の片端に角度センサを設け,上記中空軸と上記支持軸の固定支持板間で上記中空軸のずれを検出するずれ検出センサを設け,分包部へのシート送り経 路上でシート送り長さを測定する測長センサを設け,ロールペーパを上記中空軸に着脱自在に固定してその固定時に両者を一体に回転させる手段をロールペーパと中空軸が接する端に設け,角度センサ及び測長センサの信号に基づいてシート張力をロールペーパ径に応じて調整しながら薬剤を分包するようにし,さらに角度センサの信号とずれ検出センサの信号との不一致により上記中空軸に着脱自在に装着されたロールペーパと上記中空軸とのずれを検出するようにした薬剤分包装置に用いられ,B 中空芯管とその上に薬剤分包用シートをロール状に巻いたロールペーパとから成り,C ロールペーパのシートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与するために,支持軸に設けた角度センサによる回転角度の検出信号と測長センサの検出信号とからシートの巻量が算出可能であって,その角度センサによる検出が可能な位置に複数の磁石を配置し,D その磁石をロールペーパと共に回転するように配設して成るE 薬剤分包用ロールペーパ。」(2) 原判決5頁23行目の「供給した。」を「供給し,これにより控訴人セイエ に複数の磁石を配置し,D その磁石をロールペーパと共に回転するように配設して成るE 薬剤分包用ロールペーパ。」(2) 原判決5頁23行目の「供給した。」を「供給し,これにより控訴人セイエーは控訴人OHUに対し,控訴人OHUは控訴人日進に対し被告商品を販売した。」と改める。 2 争点(1) 一体化製品の本件訂正発明の技術的範囲の属否ア一体化製品は構成要件Aの「用いられ」を充足するか(争点⑴ア)。 イ一体化製品は構成要件Aの「2つ折りされたシート」を充足するか(争点⑴イ)。 ウ控訴人日進が構成要件Aの充足性を争うことは信義則に反するか(争点⑴ウ)。 ⑵ 特許法101条1号の間接侵害の成否(争点(2)) (3) 控訴人らと顧客による共同不法行為の成否等(争点(3))(4) 無効の抗弁の成否ア補正要件違反の無効理由の有無(争点(4)ア)イ明確性要件違反の無効理由の有無(争点(4)イ)ウサポート要件違反の無効理由の有無(争点(4)ウ)エ乙60を主引用例とする本件訂正発明の新規性欠如の無効理由の有無(争点(4)エ)オ乙22を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如の無効理由の有無(争点(4)オ)カ乙23を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如の無効理由の有無(争点(4)カ)(5) 被控訴人の損害額(争点(5))第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)ア(一体化製品は構成要件Aの「用いられ」を充足するか。)次のとおり訂正するほか,原判決「事実及び理由」の第3の1記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決7頁17行目,8頁6行目,9行目,24行目,10頁20行目,12頁6行目,10行目,22行目及び25行目の各「本件発明」をいずれも「本件訂 載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決7頁17行目,8頁6行目,9行目,24行目,10頁20行目,12頁6行目,10行目,22行目及び25行目の各「本件発明」をいずれも「本件訂正発明」と改める。 (2) 原判決7頁25行目及び8頁4行目の各「磁石を配置」をいずれも「複数の磁石を配置」と,同頁14行目の「請求の」を「特許請求の」と改める。 (3) 原判決9頁1行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 そして,文法上「られ」との助動詞は受け身とともに可能を示すものであることや,日本語の通常の語義として「用いられ」との記載が必ずしも現に用いられることまで意味するものとはいえないこと,物の発明の特許請求の範囲の記載は,生産や流通の客体となり得るような発明であること を前提に,物の静的な構造,特性等を特定するものとして解釈すべきであることを考慮すると,構成要件Aの「用いられ」との記載を「用いられることが可能な構成を有しており」との意味に理解するのが自然である。また,物の発明に方法的要素,しかも用途という物の存在を前提とする動的要素を持ち込むことは,実施品の構造,特性等が同一であっても,その用い方によって特許権の効力が及んだり及ばなかったりすることとなり,物の発明の性質に反する結果をもたらすから,物の発明である本件訂正発明においては,薬剤分包装置に現に用いられるといった「方法的要素」が構成要件となると解すべき理由はない。 そうすると,一体化製品が,構成要件A記載の薬剤分包装置に用いられたときに所期の作用効果を奏する構造,特性等を有するならば,「用いられることが可能な構成」を有するといえるから,構成要件Aの「用いられ」を充足するというべきである。」(4) 原判決10頁12行目の「主張するが,失当である する構造,特性等を有するならば,「用いられることが可能な構成」を有するといえるから,構成要件Aの「用いられ」を充足するというべきである。」(4) 原判決10頁12行目の「主張するが,失当である。」を「主張する。しかしながら,そもそも,構成要件Aの文言は,「用いられ」であって,「用いられることが可能な構成を有しており」と規定するものではないから,文理上,そのような拡大解釈は許されず,失当である。」と改める。 (5) 原判決10頁15行目の「本件明細書」を「本件出願の願書に添付した明細書(本件訂正後のもの。以下,図面を含めて「本件明細書」という。甲2,3)」と改める。 (6) 原判決11頁8行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 したがって,構成要件Aの「薬剤分包装置に用いられ」とは「薬剤分包装置にのみ用いられ」と解すべきである。」(7) 原判決11頁21行目の「必要はないとしても,」の次に「構成要件Aの「用いられ」は,薬剤分包用ロールペーパの構成又は構造を特定するものではなく方法的要素(ステップ)を要件としたものと考えられ,」を加える。 (8) 原判決12頁8行目末尾の「必須となる。」の次に行を改めて次のとおり加える。 「 そして,かかる出願経緯を考慮すれば,被控訴人は,単に構成要件Aを充足する薬剤分包装置に「用いられることが可能な構成」を有しているに過ぎない薬剤分包用ロールペーパを,本件訂正発明の範囲から意識的に除外したものと考えるべきである。」(9) 原判決12頁11行目の「本件無効審判」を「別件審決」と,同頁同行目及び20行目の各「本件訂正後の発明」をいずれも「本件訂正発明」と改め,同頁21行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 しかるところ,薬剤分包装置及び薬剤分包用ロールペーパ 審決」と,同頁同行目及び20行目の各「本件訂正後の発明」をいずれも「本件訂正発明」と改め,同頁21行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 しかるところ,薬剤分包装置及び薬剤分包用ロールペーパがそれぞれ相違点①ないし③の構成を備えていたとしても,薬剤分包装置又は薬剤分包用ロールペーパは,それぞれ単独では,相違点④の「シートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与する」ことはできず,上記構成を備えた薬剤分包用ロールペーパを,上記構成を備えた薬剤分包装置に「用いられる」ことではじめて相違点④の構成を備えることになる。 したがって,一体化製品は,ロールペーパの回転角度を検出するための支持軸の片端に角度センサを設け,かつロールペーパのシートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与するために,支持軸に設けた角度センサによる回転角度の検出信号と測長センサの検出信号とからシートの巻量が算出可能な薬剤分包装置(構成要件A及びC)に「用いられ」ることで,はじめて本件訂正発明の技術的範囲に属することになる。仮に百歩譲って構成要件A及びCを全て充足する薬剤分包装置に用いられる必要がないとしても,一体化製品は少なくとも,相違点①及び相違点②の構成の一部を備えた薬剤分包装置に「用いられ」ることで,はじめて本件訂正発明の技術的範囲に属することとなる。」(10) 原判決13頁1行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「エしたがって,構成要件Aの「用いられ」との文言,本件訂正発明と従来技術との前記相違点④,本件特許の出願経緯を考慮すれば,一体化製品が構成要件Aの「用いられ」を充足しているというためには,薬剤分包用ロールペーパが単に構成要件A及びCを充足する薬剤分包装置に用いられることが可能な構成を有しているだけでは足りず,構成要件Aを充足する 成要件Aの「用いられ」を充足しているというためには,薬剤分包用ロールペーパが単に構成要件A及びCを充足する薬剤分包装置に用いられることが可能な構成を有しているだけでは足りず,構成要件Aを充足する薬剤分包装置(少なくとも前記相違点①及び前記相違点②の構成の一部を備えた薬剤分包装置)に現実に「用いられ」ることの主張立証が必要である。」(11) 原判決13頁2行目の「エ」を「オ」と改め,同頁10行目の「いうべきである。」の次に「したがって,一体化製品は構成要件Aを充足しない。」を加える。 2 争点(1)イ(一体化製品は構成要件Aの「2つ折りされたシート」を充足するか。)原判決13頁14行目及び23行目の各「本件発明」をいずれも「本件訂正発明」と訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第3の2記載のとおりであるから,これを引用する。 3 争点(1)ウ(控訴人日進が構成要件Aの充足性を争うことは信義則に反するか。)原判決の「事実及び理由」の第3の3記載のとおりであるから,これを引用する。 4 争点(2)(特許法101条1号の間接侵害の成否)以下のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第3の4記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決15頁22行目の末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 控訴人日進は,かねてより各社の薬剤分包装置に適合する使用済み芯管を薬局から集め,新たに薬剤分包用紙を巻き直して製品としたもの(以下 「巻き直し品」という。)を薬局等に販売し,利益を得てきた。 しかしながら,大阪地方裁判所は,平成26年1月16日,被控訴人を原告,控訴人日進を被告とする特許権侵害訴訟(大阪地方裁判所平成24年(ワ)第8071号。以下「前訴」という場合がある。甲8の1)に しかしながら,大阪地方裁判所は,平成26年1月16日,被控訴人を原告,控訴人日進を被告とする特許権侵害訴訟(大阪地方裁判所平成24年(ワ)第8071号。以下「前訴」という場合がある。甲8の1)において,巻き直し品の製造販売が本件特許権及び被控訴人の商標権を侵害するものと認める判決をし,同判決は,平成26年1月31日,確定した(甲8の2)。 前訴の確定判決により,控訴人日進は,業界最大手である被控訴人製の薬剤分包装置向けの薬剤分包紙の販売ができなくなったため,巻き直し品の後継品として被告製品の販売を開始した。控訴人日進は,被告製品を販売するに当たり,他社分包機での使用方法を説明した取扱説明書(甲9)を配布している。 次に,控訴人日進製の薬剤分包装置については,その販売実績はわずか2台(「N-50A」)である上,その2台の販売先も定かではなく,実際に薬局で運用されているかも明らかにされていないため,商業的な意味での販売活動が伴っているとは思われない。 したがって,控訴人日進製の薬剤分包装置は,「経済的,商業的又は実用的」意味において販売されているとはいえないから,控訴人日進製の薬剤分包装置が存在するからといって,被告製品について「経済的,商業的又は実用的な他の用途」の存在を基礎付けることはできない。」(2) 原判決16頁11行目の末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 このように消耗部材である薬剤分包用ロールペーパにおいて,使用開始前にまず半分近くを廃棄しなければならないこと自体,経済的,商業的又は実用的な他の用途に該当しないことを示している。また,エルク分包装置用の芯管の外径と被告製品の筒部の内径との差は大きく,太いOリングを介して装着するしかないため遊びが大きいので,水平に分包紙を装着で きないほか,装着が非 示している。また,エルク分包装置用の芯管の外径と被告製品の筒部の内径との差は大きく,太いOリングを介して装着するしかないため遊びが大きいので,水平に分包紙を装着で きないほか,装着が非常に困難になり,被告製品は,およそ実用に耐えない。 したがって,このような薬剤分包装置に向けて消耗部材である薬剤分包用ロールペーパ製品を販売することも,被告製品についての経済的,商業的又は実用的な他の用途に該当することもない。」(3) 原判決16頁16行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(1) 被告製品は控訴人日進製の薬剤分包装置の専用品であることア控訴人日進は,平成26年,控訴人日進製の薬剤分包装置及び被告製品の営業活動をほぼ同時期に開始したが,結果的に控訴人日進製の薬剤分包装置の販売が遅れ,実際に販売されたのは平成28年5月であったのに対し,被告製品の販売は伸びたこと,被告製品を控訴人日進製の薬剤分包装置に使用する場合には,原告製使用済み芯管に装着する場合とは異なり,芯管に輪ゴム等を嵌める必要がないことを考慮すれば,被告製品の販売が開始された当初から,これを控訴人日進製の薬剤分包装置に装着することを予定していたことは明らかである。」(4) 原判決17頁3行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 イ以上のとおり,被告製品は,控訴人日進製の薬剤分包装置に使用するための専用品であり,また,エルク製薬剤分包装置及びウエダ製分包装置への使用という社会通念上経済的,商業的ないしは実用的な用途も認められる。 一方,被告製品は,輪ゴムを使用しない限り,原告製使用済み芯管と一体化しないから,被控訴人製の薬剤分包装置の専用品でないことは明らかである。 (2) ユーザによる一体化製品の生産は「物の生産」に該当 製品は,輪ゴムを使用しない限り,原告製使用済み芯管と一体化しないから,被控訴人製の薬剤分包装置の専用品でないことは明らかである。 (2) ユーザによる一体化製品の生産は「物の生産」に該当しないこと本件訂正発明は,用途発明そのものではないが,構成要件Bの薬剤分包用ロールペーパの構成又は構造それ自体は,何ら特許性が認められず, 構成要件Bの薬剤分包用ロールペーパが構成要件Aを充足する薬剤分包装置に「用いられ」た場合に,「シートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与する」という顕著な効果をはじめて奏するものであるから,用途発明と同様の特徴を備えている。 そうすると,本件訂正発明の実施は,用途発明の実施行為と同様に考えることができるので,「構成要件Aを充足する薬剤分包装置に使用するため」に,構成要件B以下で特定される薬剤分包用ロールペーパを生産,使用,譲渡等をする行為に限られると解するのが相当である。 前述のとおり,被控訴人製の薬剤分包装置は,構成要件Aを充足していないから,ユーザは,構成要件Aを充足する薬剤分包装置に使用するために一体化製品を製造(生産),使用することはない。 そうすると,ユーザによる一体化製品の製造(生産)は,本件訂正発明に係る「物の生産」に該当しない。 (3) 小括以上のとおり,被告製品は,被控訴人製の薬剤分包装置の専用品ではなく,また,被控訴人製の薬剤分包装置は構成要件Aを充足せず,ユーザによる一体化製品の生産は本件訂正発明に係る「物の生産」に該当しないから,被告製品は,本件訂正発明に係る「物の生産にのみ用いる物」に該当しない。 したがって,控訴人らによる一体化製品の製造及び販売は,本件特許権の間接侵害を構成しない。」 5 争点(3)(控訴人らと顧客 訂正発明に係る「物の生産にのみ用いる物」に該当しない。 したがって,控訴人らによる一体化製品の製造及び販売は,本件特許権の間接侵害を構成しない。」 5 争点(3)(控訴人らと顧客による共同不法行為の成否等)原判決18頁7行目及び10行目の各「本件発明」をいずれも「本件訂正発明」と改めるほか,原判決の「事実及び理由」の第3の5記載のとおりであるから,これを引用する。 6 争点(4)ア(補正要件違反の無効理由の有無) 以下のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第3の7記載の【被告らの主張】(1)及び【原告の主張】(1)のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決19頁21行目の「(以下「本件補正」という。)」を「(本件補正)」と改める。 (2) 原判決20頁4行目の「原告が原出願を本件特許のとおり補正したことは」を「本件補正は」と改める。 (3) 原判決21頁1行目及び7行目の各「本件発明」をいずれも「請求項1に係る発明」と,同頁1行目の「前者に構成」を「前者の構成」と改める。 7 争点(4)イ(明確性要件違反の無効理由の有無)(1) 「その角度センサによる検出が可能な位置」について以下のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第3の6記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決18頁17行目,19頁1行目及び5行目の各「本件発明」をいずれも「本件訂正発明」と改める。 イ原判決19頁12行目の「訂正の再抗弁」を削り,同頁13行目の「本件訂正請求」を「本件訂正」と,同頁同行目の「「支持軸の」を「構成要件Aの「支持軸の」と改める。 (2) 「2つ折りされたシート」について原判決の「事実及び理由」の第3の7記載の【被 件訂正請求」を「本件訂正」と,同頁同行目の「「支持軸の」を「構成要件Aの「支持軸の」と改める。 (2) 「2つ折りされたシート」について原判決の「事実及び理由」の第3の7記載の【被告らの主張】(3)及び【原告の主張】(3)のとおりであるから,これを引用する。 (3) 「用いられ」について【控訴人らの主張】構成要件Aの「用いられ」は,構成要件Aを充足する薬剤分包装置において使用することが可能な構成を有していることで足りるとすれば,構成要件Aの「上記中空軸と上記支持軸の固定支持板間で」,「測長センサ」,「分包部へのシート送り経路上でシート送り長さを測定する」,「シート送りロ ーラで送り出す」,「中空軸のずれを検出する」といった要件の充足性を判断する必要がないことになる。 そうすると,これらの要件のいずれかを充足しない薬剤分包装置にロールペーパが使用されていた場合であっても,当該ロールペーパも侵害品となるおそれがある。 したがって,構成要件Aの「用いられ」との要件は,特許発明の外延を不明確にするものであり,第三者に不測の不利益を及ぼすこととなるので,明確性要件に違反する。 【被控訴人の主張】薬剤分包用ロールペーパが,その構造,特質等に照らして構成要件Aを充足する薬剤分包装置に用いることが可能な構成を有していれば,構成要件Aの「用いられ」が充足され,逆の場合には充足されない。 控訴人らの主張は,「用いられ」に関する誤った解釈に立脚したものであって,前提を欠くものである。 8 争点(4)ウ(サポート要件違反の無効理由の有無)以下のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第3の7記載の【被告らの主張】(2)及び【原告の主張】(2)のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判 要件違反の無効理由の有無)以下のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第3の7記載の【被告らの主張】(2)及び【原告の主張】(2)のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決20頁14行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 また,本件明細書によれば,本件訂正発明の課題は,ロールペーパ直径の微妙な変動による影響で制御すべき段階的に選択されるブレーキ力のレベル変動を生じることなく,各段階毎に的確にブレーキ力を設定しロールペーパの直径に応じた適正な張力を安定して給紙部に与えることで,従来の薬剤分包装置による張力変動によるシートの耳ずれや裂傷が生じたりしないようにすることにある(【0004】ないし【0006】,【0011】,【0068】)。 しかるところ,薬剤分包装置の角度センサによって検知される磁石を備 えてはいるが,角度センサと測長センサの検出信号を検出してロールペーパの巻量を検出する構成も,シートの巻量を検出し,シートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与する構成も有しない薬剤分包用ロールペーパが,本件訂正発明の特許請求の範囲に含まれるとすれば,従来の薬剤分包装置による張力変動によるシートの耳ずれや裂傷が生じたりしないようにするという本件訂正発明の課題は解決できない。 したがって,本件訂正発明は,その課題を解決できない事項を包含しているから,明細書のサポート要件を欠くものである。」(2) 原判決21頁13行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 また,控訴人らが主張する「薬剤分包装置の角度センサによって検知される磁石を備えてはいるが,ロールペーパの角度センサと測長センサの検出信号を検出してロールペーパの巻量を検出する構成も,シートの巻量を検出し,シートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付 よって検知される磁石を備えてはいるが,ロールペーパの角度センサと測長センサの検出信号を検出してロールペーパの巻量を検出する構成も,シートの巻量を検出し,シートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与する構成も有しない薬剤分包用ロールペーパ」は,本件特許の特許請求の範囲(請求項1)に記載された発明ではないから,サポート要件との関係で,そのような薬剤分包用ロールペーパが発明の詳細な説明に記載されている必要はない。」 9 争点(4)エ(乙60を主引用例とする本件訂正発明の新規性欠如の無効理由の有無)【控訴人らの主張】(1) 本件原出願の願書に最初に添付した明細書(以下,図面を含めて「原出願明細書」という。甲27)には,少なくとも測長センサの検出信号に基づき,ブレーキ力を制御することによって発明の課題を解決することが記載されている(【0001】,【0009】ないし【0013】,【0016】,【0107】,【0108】)。 しかるところ,本件訂正発明は,あくまで「ロールペーパ」という物の発明であり,「ロールペーパの回転速度を検出するために支持軸に角度センサ を設け」,「ロールペーパを上記中空軸に着脱自在に固定してその固定時に両者を一体に回転させる手段をロールペーパと中空軸が接する端に設け」ている薬剤分包装置において用いることができ,当該角度センサによって検出可能な位置に複数の磁石を設けたロールペーパであると認定した場合には,測長センサの検出信号の検出や,それに基づいてシートの巻量を検出し,シートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与するとの事項は本件訂正発明の要旨に含まれないため,本件明細書には原出願明細書記載の発明の課題を解決することを超えた技術的事項が記載されていることになるから,新規事項の追加に当たる。 ま 付与するとの事項は本件訂正発明の要旨に含まれないため,本件明細書には原出願明細書記載の発明の課題を解決することを超えた技術的事項が記載されていることになるから,新規事項の追加に当たる。 また,本件明細書には,ロールペーパの巻径の変化を検出する上記巻径検出センサによる方法以外の方法として,「又,中空芯管の端に突出部を設ける方法は,上記のような長尺のロールペーパは全体としてかなりの重さとなるため,回転支持軸への装着などの操作が重く,操作時に突出部を周囲の機器に当てて損傷させる虞があり,突出部を設ける方法は好ましくない。」(【0010】)との記載がある。本件明細書の上記記載は,原出願明細書に記載はなく,また,上記記載に係る中空芯管の端に突出部を設ける方法が回転支持軸への装着などの操作が重く,操作時に突出部を周囲の機器に当てて損傷させる虞があるため好ましくないものに当たることまで本件原出願の優先日当時の技術常識であるということはできないから,新規事項の追加に当たる。 以上によれば,本件出願は,原出願明細書に新たな技術的事項を導入するものであって,分割出願の要件を満たしていないから,本件出願の出願日は,本件原出願の出願日に遡及せず,現実の出願日である平成12年6月2日となる。 そして,本件訂正発明は,本件原出願の公開公報である特開平11-157715号公報(乙60)に記載された発明と同一の発明であるから,新規性を欠如する。 【被控訴人の主張】控訴人らの主張は,いかなる点において新規の技術的事項が導入されたというのか,その趣旨が明らかでなく,失当である。また,控訴人らが主張する「薬剤分包装置の角度センサによって検知される磁石を備えてはいるが,ロールペーパの角度センサと測長センサの検出信号を検出してロールペーパの巻量 旨が明らかでなく,失当である。また,控訴人らが主張する「薬剤分包装置の角度センサによって検知される磁石を備えてはいるが,ロールペーパの角度センサと測長センサの検出信号を検出してロールペーパの巻量を検出する構成も,シートの巻量を検出し,シートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与する構成も有しない薬剤分包用ロールペーパ」が,本件出願に際し新規に導入された技術的事項に相当すると主張しているのであれば,そのような薬剤分包用ロールペーパは,本件訂正発明の特許請求の範囲(請求項1)に記載された発明ではないから,新規の技術的事項として導入されたとは認められない。 また,本件明細書の【0010】の「又,中空芯管の端に突出部を設ける方法は,上記のような長尺のロールペーパは全体としてかなりの重さとなるため,回転支持軸への装着などの操作が重く,操作時に突出部を周囲の機器に当てて損傷させる虞れがあり,突出部を設ける方法は好ましくない。」との記載は,本件原出願はシート張力の調整方法に関する方法の発明を対象としていたのに対し(甲42の1),本件出願は薬剤分包用ロールペーパを対象とすることから付加された記載である。上記記載の内容は,説明の便宜のため,採用されない構成を背景技術として紹介したものであり,また,特許請求の範囲の記載には上記記載に対応する変更は加えられていないから,本件訂正発明の技術的範囲には一切影響することがない。 また,上記記載の内容は,原出願明細書に接した当業者であれば当然に理解可能であり,原出願明細書の記載からも自明な事項といえるから,新たな技術的事項を導入するものではない。 以上によれば,本件出願は,適法な分割出願であり,本件出願の出願日は本件原出願の出願日とみなされるから,乙60は本件出願前に頒布された刊 行物に当たらない 的事項を導入するものではない。 以上によれば,本件出願は,適法な分割出願であり,本件出願の出願日は本件原出願の出願日とみなされるから,乙60は本件出願前に頒布された刊 行物に当たらない。 したがって,乙60を主引用例とする本件訂正発明の新規性欠如をいう控訴人らの主張は理由がない。 10 争点(4)オ(乙22を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如の無効理由の有無)以下のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第3の8記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決21頁末行,22頁5行目,7行目,14行目,20行目,22行目,末行,23頁3行目,6行目,24頁6行目,11行目,15行目及び16行目の各「本件発明」をいずれも「本件訂正発明」と改める。 (2) 原判決22頁5行目の「である。これに対し」を「に用いられるのに対し」と改め,同頁11行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「ウ本件訂正発明は,支持軸の片端に設けられた角度センサによる検出が可能な位置,すなわち,中空芯管の先端部に磁石が配設されているのに対し,乙22発明の磁石はそのような配設であるか明示的な記載がない(相違点3)。 エ本件訂正発明は,支持軸の片端に設けられた角度センサによる検出が可能な位置,すなわち,中空芯管の先端部に配設された磁石が複数であるのに対し,乙22発明の磁石の個数については明示的な記載がない(相違点4)。」(3) 原判決23頁6行目から7行目までを次のとおり改める。 「 すなわち,乙22の第1~第3図においては,磁性体を,磁気センサー9の位置に合わせて巻芯の略中央に設け,その上に薬剤分包紙が巻き回されているところ,乙22発明において,磁気センサーと磁性体による紙切れ検知を,巻芯の略中央で行うことの ては,磁性体を,磁気センサー9の位置に合わせて巻芯の略中央に設け,その上に薬剤分包紙が巻き回されているところ,乙22発明において,磁気センサーと磁性体による紙切れ検知を,巻芯の略中央で行うことの技術的意義は特に存在しない。そうすると,磁性体の位置を,薬剤分包装置の磁気セン サーの位置に応じて紙切れを検知できる範囲で任意の位置に調整することは設計事項であり,磁気センサー9を巻芯の端部側に設け,それに応じて磁性体を巻芯の端部に設けることも単なる設計事項に過ぎない。このように乙22発明を設計変更した巻芯の端部に磁性体を設けたロールペーパは,その磁性体が巻芯の端部に設けられているため,本件訂正発明の構成要件Aのように支持軸の片端に設けられた角度センサによって常時検出することが可能なものである。乙22発明は,巻芯部材と支軸が嵌合する構成であり,ずれを検出するという課題がないとしても,そのことは,乙22発明の磁性体の配置を,支持軸の片端に設けられたセンサによって常時検出可能な位置に変更することを阻害するものではない。 ウ相違点3及び4乙49(特開昭57-166258号公報)の記載によれば,乙49記載のロール紙の残量検知方式(以下「乙49発明」という。)においては,ロール紙の回転速度を検出するマークである磁気マーク6が,円板5の外側周辺(すなわち,円板5の先端部)に複数設けられている。 そして,乙22発明と乙49発明は,共にロールペーパの残量を検知する機能を有する分包装置という点で技術分野が共通していること,乙49には,従来のロール紙の残量検知手段では,ロール紙の残量が規定量に達したか否かの2値による大まかな判断しかできず,実際の残量がどの程度なのかという計量の検知を行わせることができない欠点があるが,磁気マークを複数設 ル紙の残量検知手段では,ロール紙の残量が規定量に達したか否かの2値による大まかな判断しかできず,実際の残量がどの程度なのかという計量の検知を行わせることができない欠点があるが,磁気マークを複数設けることによって微小な残量変化の有効な検知を可能にすることの記載があることからすると,当業者は,より正確なロールペーパの残量検知を可能とするため,乙22発明に乙49発明を適用する動機づけがあるから,乙22発明の巻芯の中央 部の磁性体を,乙49発明のように角度センサによる検出が可能な巻芯の端部に複数設ける構成(相違点3及び4に係る本件訂正発明の構成)とすることを容易に想到し得たものである。 (5) 小括以上によれば,当業者は,乙22発明及び乙49発明に基づいて,本件訂正発明を容易に想到することができたものであるから,本件訂正発明は進歩性を欠くものである。」(4) 原判決23頁10行目の「なお」から11行目の「争わない。」までを削る。 (5) 原判決24頁25行目の「訂正の再抗弁」を削り,同頁末行及び25頁6行目の各「本件訂正後の発明」をいずれも「本件訂正発明」と改める。 (6) 原判決25頁7行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(4) 訴訟上の信義則違反ア控訴人日進について侵害訴訟の被告が無効審判請求を行い,審決取消訴訟を提起せずに無効不成立の審決を確定させた場合には,同一当事者間の侵害訴訟において,同一の事実及び同一の証拠に基づく無効理由を特許法104条の3第1項による無効の抗弁として主張することは,特段の事情がない限り,訴訟上の信義則に反するものであり,民事訴訟法2条の趣旨に照らし許されないものと解すべきである。 しかるところ,控訴人日進を請求人,被控訴人を被請求人と ことは,特段の事情がない限り,訴訟上の信義則に反するものであり,民事訴訟法2条の趣旨に照らし許されないものと解すべきである。 しかるところ,控訴人日進を請求人,被控訴人を被請求人とする別件無効審判において,控訴人日進は,本件特許の設定登録時の請求項1及び2に係る発明の無効理由として,①明確性要件違反(「無効理由1」),②「審判甲1」(乙22)を主引用例とする新規性欠如(「無効理由2」),③「審判甲1」を主引用例とし,「審判甲7」(乙49)に記載された事項(以下「甲7事項」という場合がある。)を副 引用例とする進歩性欠如(「無効理由3」),④「審判甲2」(乙23)を主引用例とし,「審判甲1」(乙22)に記載された事項(以下「甲1事項」という場合がある。)等を副引用例とする進歩性欠如(「無効理由4」),⑤「審判甲2」(乙23)を主引用例とし,甲7事項等を副引用例とする進歩性欠如(「無効理由5」)を主張したが,特許庁は,控訴人日進主張の上記無効理由により本件特許を無効とすることはできない旨判断し,別件無効審判を不成立とする別件審決をした。控訴人日進が別件審決に対して審決取消訴訟を提起しなかったため,別件審決は,原判決の言渡し前に確定した。 控訴人日進の乙22を主引用例とする進歩性欠如の無効の抗弁の主張は,別件無効審判における「無効理由3」と実質的に同一の事実及び同一の証拠に基づくものであるから,訴訟上の信義則に反し,許されないというべきである。 イ控訴人セイエー及び控訴人OHUについて控訴人セイエー及び控訴人OHUは,別件無効審判の請求人ではないが,被告製品の製造において,控訴人日進と控訴人セイエー及び控訴人OHUは,委託者と受託者の関係にあり,本件特許を無効にすれば,本件訴訟に係る被控訴人の請求は OHUは,別件無効審判の請求人ではないが,被告製品の製造において,控訴人日進と控訴人セイエー及び控訴人OHUは,委託者と受託者の関係にあり,本件特許を無効にすれば,本件訴訟に係る被控訴人の請求はすべて棄却されることになるから,別件無効審判に関する利害は,控訴人ら3者で完全に一致していること,本件訴訟と別件審決の代理人が共通していること,控訴人ら3者は,原審において別件無効審判の審判請求書(乙46)を書証として提出していることに照らすと,控訴人ら3者は,密接な取引関係にあるといえる。このような密接な取引関係にある共同被告の1名との関係で特許無効不成立審決が確定した後に,他の共同被告が同一の事実及び同一の証拠に基づく無効主張を許すことは,実質的に同一の紛争において,同一の特許無効審判を請求することを許すことにほか ならないから,信義則に反するというべきである。 したがって,控訴人セイエー及び控訴人OHUの乙22を主引用例とする進歩性欠如の無効の抗弁の主張は,本件訴訟の共同被告である控訴人日進が請求した別件無効審判における「無効理由3」と実質的に同一の事実及び同一の事実に基づくものであるから,訴訟上の信義則に反し,許されないというべきである。 (5) 容易想到性の主張に対しア相違点2について乙22発明は,薬剤分包紙を使い切ることで芯管が露出した際に,そこに設けられた磁性体を磁気センサー9が感知し,紙切れを検知するものであるから,磁性体は薬剤分包紙によって覆われる位置に配置しなければならない。 また,本件訂正発明の「支持軸の片端」に設けた「角度センサによる検出が可能な位置」とは,本件明細書の図2の磁石24のように中空芯管の内周側であるところ,そのような位置に磁性体を配置しても,およそ紙切れの検知 訂正発明の「支持軸の片端」に設けた「角度センサによる検出が可能な位置」とは,本件明細書の図2の磁石24のように中空芯管の内周側であるところ,そのような位置に磁性体を配置しても,およそ紙切れの検知には役立たない。 そうすると,乙22発明において磁性体の位置が設計事項であるとしても,薬剤分包紙の残量検知を目的とする以上,「角度センサによる検出が可能な位置に」磁石を配置する構成(相違点2に係る本件訂正発明の構成)を採用することには阻害要因がある。 イ相違点3及び4について乙22発明は,薬剤分包紙の残量検知を目的とするものであるから,磁性体は芯管の外周上に幅をもって設けた方が検知を確実にすることができ,わざわざ端部に設ける必要がないし,コストをかけて複数の磁性体を配置する動機付けはない。 乙22発明と乙49発明とでは,残量検知を課題とする点では共通 するものの,乙22発明における磁性体6Xは,薬剤分包紙が切れるまでは薬剤分包紙に覆われていることをその特徴とするのに対し,乙49発明における磁気マーク6は,常に露出し,センサによって読み取られることを前提としている点において解決手段が全く異質である。 また,乙49発明は,残量を常時監視するための発明であって,複数の磁気マークを設けて精度を向上させることについて動機付けが働くのに対し,乙22発明は,紙切れが生じたときに一度だけ磁性体を感知できれば目的を達成できるのであって,控訴人らのいう「2値」以上の判断を要しない発明であるから,複数の磁石を配置する合理性はない。 したがって,当業者には,乙22発明に乙49発明を組み合わせて,乙22発明の磁性体6Xを中空芯管の先端部に複数配置することについて阻害要因があり,また,動機付けもないから,「支持軸の片端」に設けられた「 って,当業者には,乙22発明に乙49発明を組み合わせて,乙22発明の磁性体6Xを中空芯管の先端部に複数配置することについて阻害要因があり,また,動機付けもないから,「支持軸の片端」に設けられた「角度センサによる検出が可能な位置に複数の磁石を配置」する構成(本件訂正発明の構成)に容易に想到することができたものとはいえない。」 11 争点(4)カ(乙23を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如の無効理由の有無)以下のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第3の9記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決25頁16行目,21行目,26頁1行目,9行目,27頁2行目及び6行目の各「本件発明」をいずれも「本件訂正発明」と改める。 (2) 原判決25頁25行目の「相違点2」を「相違点2ないし4」と改める。 (3) 原判決26頁7行目から12行目までを次のとおり改める。 「 そして,乙23’発明の巻芯と乙22発明の巻心部材とは,薬剤分包用ロールペーパを巻きまわすものである点,非回転の支軸に着脱可能に固定 される点などで,技術分野及び機能が共通していること,乙22発明の巻心部材に設けた磁性体と磁気センサーによって巻心部材に巻きまわされたロールペーパの紙切れを検知するという課題は,巻芯に巻かれた物体を使用する際の極めて一般的な課題であって,乙23発明の巻芯に巻き回されたロールペーパにおいても共通する課題であることからすると,乙23’発明と乙22発明とを組み合わせる動機付けが存在する。 そして,乙23’発明に乙22発明を組み合わせるに当たり,乙22発明の磁性体の配置を巻芯の端部にすることは,当業者にとって設計事項である。 また,薬剤分包装置において,薬剤分包ロールペーパの残量が規定量内に達したことを検知す 明を組み合わせるに当たり,乙22発明の磁性体の配置を巻芯の端部にすることは,当業者にとって設計事項である。 また,薬剤分包装置において,薬剤分包ロールペーパの残量が規定量内に達したことを検知する手段を設けることは,本件原出願の優先日当時,周知の課題であったこと(乙22,58,59)からすると,乙23’発明の薬剤分包用ロールペーパに,上記周知の課題の解決のために,ロールペーパの回転角度を検知する手段として,ロールペーパと一体回転する回転体の端部に複数の磁石を設け,非回転部に磁気センサを設けることを開示している乙49発明を組み合わせる動機付けが存在する。そうすると,必要に応じて,乙23’発明に乙49発明を適用して,非回転部に磁気センサを設け,対応する端部(乙23’発明の巻芯の磁力結合手段とは反対側の端部)に複数の磁石を設けることは,当業者が容易に想到し得たことである。 以上のとおり,乙23’発明に,乙22発明又は乙22発明及び乙49発明を組み合わせることによって,相違点2ないし4に係る本件訂正発明の構成を容易に想到することができたものである。」(4) 原判決26頁15行目の「なお」から16行目の「争わない。」までを削る。 (5) 原判決27頁17行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(3) 訴訟上の信義則違反控訴人らの乙23を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如の無効の抗弁は,別件無効審判における「無効理由4」及び「無効理由5」と実質的に同一の事実及び同一の証拠に基づくものであるから,乙22を主引用例とする無効主張について述べたのと同様の理由により,訴訟上の信義則に反し,許されない。 (4) 容易想到性の主張に対しア控訴人らは,乙23’発明において,乙23’発明の永久磁石のほかに,乙22発明 張について述べたのと同様の理由により,訴訟上の信義則に反し,許されない。 (4) 容易想到性の主張に対しア控訴人らは,乙23’発明において,乙23’発明の永久磁石のほかに,乙22発明の磁気マークを加え,さらに,必要に応じて乙49発明を組み合わせることにより,当業者が本件訂正発明を容易に想到することができた旨主張する。 しかし,仮に乙23’発明に乙22発明を組み合わせることが可能であるとしても,それによって得られるのは,残量検知の磁性体が芯管の外周上の薬剤分包紙によって覆われる位置に配置された乙23´発明に係る巻芯であるところ,前述のとおり,その磁性体の位置を「支持軸の片端」に設けた「角度センサによる検出が可能な位置」に変更することには,薬剤分包紙の残量検知という乙22発明の課題に照らして阻害要因がある。 また,乙23’発明は,巻芯の支持装置に関する発明であって,残量を検知する機能については乙23に開示も示唆もされていない上,乙49発明はプリンタのロール紙の残量検知に関するものであって技術分野も異なるから,課題にも技術分野にも共通性がなく,両者を組み合わせる動機付けが全くない。さらに,仮に乙49の磁気マーク6と磁気センサ7を乙23の第1図に示された巻芯に組み合わせようとすると,巻芯6の左端に磁気マークを設け,その左側に磁気センサを配置しなければならないが,薬剤分包用ロールペーパは,磁気センサ7と薬剤分包装置 本体に挟まれる形になり,着脱ができなくなるため,この点において両者の組合せには阻害要因がある。 そして,円板5に対面する位置にセンサを設け,円板5の外側の外周寄りに磁石を配置する方向に動機付けが働く乙49発明と,支持軸の片端にセンサを設け,芯管の内側の内周寄りに磁石を配置する方向に動機付けが働く本件 板5に対面する位置にセンサを設け,円板5の外側の外周寄りに磁石を配置する方向に動機付けが働く乙49発明と,支持軸の片端にセンサを設け,芯管の内側の内周寄りに磁石を配置する方向に動機付けが働く本件訂正発明とでは,技術的思想が全く異質なのであり,当業者が乙49発明に触れたとしても,「角度センサによる検出が可能な位置に複数の磁石を配置し」との構成に想到することはなく,また,「支持軸の片端」に角度センサが設けられた薬剤分包装置に「用いられ」との構成に想到することもない。 したがって,控訴人らの上記主張は理由がない。」 12 被控訴人の損害額(争点(5))原判決29頁17行目の「本件特許発明」を「本件訂正発明」と改めるほか,原判決の「事実及び理由」の第3の10記載のとおりであるから,これを引用する。 第4 当裁判所の判断当裁判所も,被控訴人の請求は,控訴人日進につき97万0768円,控訴人OHUにつき48万5384円,控訴人セイエーにつき24万2692円及びこれらに対する遅延損害金の支払を求める限度で,理由があるものと判断する。その理由は,次のとおりである。 1 本件明細書の記載事項について(1) 本件明細書(甲2,3)の発明の詳細な説明には,次のような記載がある(下記記載中に引用する「図1」ないし「図8」については別紙1を参照)。 ア 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は,ロールペーパから引き出されるシートの張力を調整しながら 給紙部からシートを送り分包部で薬剤を分包する薬剤分包装置に用いられる薬剤分包用ロールペーパに関する。 【0002】【従来の技術】薬剤分包装置として,熱融着性分包紙のシートをロール状に巻いたものを回転自在に支持したシート供給部からシートを引き出して移送する移送路にシ ロールペーパに関する。 【0002】【従来の技術】薬剤分包装置として,熱融着性分包紙のシートをロール状に巻いたものを回転自在に支持したシート供給部からシートを引き出して移送する移送路にシール装置が設けられ,このシール装置の上流側でシートを2つ折りにすると共にその間に薬剤を供給した後シール装置によりシートを幅方向と両側縁部とを帯状に加熱融着して薬剤を分包するようにしたものが知られている。 【0003】シートが使用されて無くなると新しいロールに交換され,その新しいロールからシートが引き出されて分包装置にセットされる。このシートロールから引き出されるシートは,2つ折りされた後周縁等を融着する際に正確に2つ折りされず,少しずれた状態で融着されることのないように常に一定の張力で引き出すのが好ましいが,実際にはシートの引出量に応じてロール径が変化するため,引出張力も少しずつ変動する。 【0004】このため,上記シートロールの径の変化が生じても張力がほぼ一定となるように調整するシート張力調整装置が実公平1−36832号公報により提案されている。この公報によるシート張力調整装置は,シートロールをロール支持筒に着脱自在に嵌合装着し,シートロール側方に複数の巻径検出センサを径方向に配置し,この検出センサの信号によりロール支持筒内部に設けた電磁ブレーキの電磁力を調整してロール径が小さくなるにつれて段階的にブレーキ力を弱めることにより張力を一定となるように調整している。 イ 【0005】【発明が解決しようとする課題】しかし,上述した従来のシート張力調整装置では,シートの使用による巻量の変化を径方向に配置した巻径検出センサで段階的に検出する方式を採用しているため,検出センサのランクが切替わる径になると,芯管軸の偏心, 上述した従来のシート張力調整装置では,シートの使用による巻量の変化を径方向に配置した巻径検出センサで段階的に検出する方式を採用しているため,検出センサのランクが切替わる径になると,芯管軸の偏心,シートの重量,巻き歪みなどの原因により電磁ブレーキのブレーキ力ランクが1回転毎に上下に変動するバイブレーション現象が生じる。このため,張力変動により分包部でシートを2つ折りした際にシートの縁部が正確に重ならない,いわゆる耳ずれが生じ,包装不良部分が生じることがある。 【0006】又,ブレーキ力のランクが急激に変動するため幅方向に裂傷が生じたりすることもある。検出センサの誤動作の原因は,上記以外にも,光反射式のものを用いていることによるものもある。薬剤包装装置に使用されるシートの材料として,グラシン紙(半透明),セロポリ紙(透明)等種々のものがあるが,これらシートの端面位置が各層毎に微妙に変化すると反射される反射光の戻りが異なり信号として検出されないため検出精度が悪化したり,特にセロポリ紙では湿度変化による影響が大きいため蛇行巻きされ易く,端面の凹凸が原因で検出精度が悪くなることもある。 【0007】さらに,シートを分包部で2つ折りする位置より上流側に一般には分包紙に印字するためのサーマルプリンタが設けられるが,このサーマルプリンタにおいて印字ドットの欠けや印字装置の残量表示機構のランプが,バイブレーション現象により耐久性の低下を起こしたりする。 【0008】一方,薬剤分包装置に用いられるロールペーパは,上述したグラシン紙や セロポリ紙の30μm程度の極薄のシートを中空芯管の外周にロール状に巻き付けて形成され,その長さは一般に300〜500mとかなり長尺である。このようなロールペーパの巻径の変化を検出する上記巻径検出セ セロポリ紙の30μm程度の極薄のシートを中空芯管の外周にロール状に巻き付けて形成され,その長さは一般に300〜500mとかなり長尺である。このようなロールペーパの巻径の変化を検出する上記巻径検出センサによる方法以外の方法として,ロールペーパを装着する回転支持軸上に支持軸の回転数を検出するセンサを取付ける方法,あるいはロールペーパの中空芯管の端に突出部を設け,突出部に設けたマークを光センサで読取る方法などが考えられる。 【0009】しかし,回転支持軸上のセンサではロールペーパのシートを繰り出す際の張力の程度によっては回転支持軸と中空芯管との間に回転のずれが生じることがあり,ロールペーパの回転を正確に検出するためにはロールペーパ自身の回転を直接検出する必要があり,回転支持軸上のセンサによる方法は必らずしも適当ではない。 【0010】又,中空芯管の端に突出部を設ける方法は,上記のような長尺のロールペーパは全体としてかなりの重さとなるため,回転支持軸への装着などの操作が重く,操作時に突出部を周囲の機器に当てて損傷させる虞れがあり,突出部を設ける方法は好ましくない。 【0011】この発明は,上記のような従来の薬剤分包装置における問題点に留意して,極薄のシートを巻いたロールペーパの巻状態によるロールペーパ直径の微妙な変動による影響で制御すべき段階的に選択されるブレーキ力のレベル変動を生じることなく各段階毎に的確にブレーキ力を設定しロールペーパの直径に応じた適正な張力を安定して給紙部に与え,シートに耳ずれや裂傷が生じたりせずに分包シートで薬剤を分包することのできる薬剤分包装置に用いられ,分包装置の給紙部における角度センサに対し回転角度デー タを与えることのできる薬剤分包用ロールペーパを提供することを課題とする。 ウ 薬剤を分包することのできる薬剤分包装置に用いられ,分包装置の給紙部における角度センサに対し回転角度デー タを与えることのできる薬剤分包用ロールペーパを提供することを課題とする。 ウ 【0012】【課題を解決するための手段】この発明は,上記課題を解決する手段として,非回転に支持された支持軸の周りに回転自在に中空軸を設け,中空軸にはモータブレーキを係合させ,中空軸に着脱自在に装着されるロールペーパのシートを送りローラで送り出す給紙部と,シートを2つ折りしその間にホッパから薬剤を投入し,薬剤を投入されたシートを所定間隔で幅方向と両側縁部とを帯状にヒートシールする加熱ローラを有する分包部とを備え,ロールペーパの回転角度を検出するために支持軸に角度センサを設け,分包部へのシート送り経路上でシート送り長さを測定する測長センサを設け,ロールペーパを上記中空軸に着脱自在に固定してその固定時に両者を一体に回転させる手段をロールペーパと中空軸が接する端に設け,両センサの信号に基づいてシート張力をロールペーパ径に応じて調整しながら薬剤を分包するようにした薬剤分包装置に用いられ,中空芯管とその上に薬剤分包用シートをロール状に巻いたロールペーパとから成り,ロールペーパのシートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与するために,支持軸に設けた角度センサによる回転角度の検出信号と測長センサの検出信号とからシートの巻量が算出可能であって,その角度センサによる検出が可能な位置に磁石を配置して成る薬剤分包用ロールペーパとしたのである。 【0013】上記薬剤分包装置では,分包部での分包作用において耳ずれや裂傷が生じないように給紙部から供給されるシートのシート張力を調整して分包作業が行われる。その際,測長センサと角度センサの2つのセンサによる信号 薬剤分包装置では,分包部での分包作用において耳ずれや裂傷が生じないように給紙部から供給されるシートのシート張力を調整して分包作業が行われる。その際,測長センサと角度センサの2つのセンサによる信号検出が前提である。上記2つのセンサによる検出信号を得ると,そのいず れか一方のセンサの所定量を基準として他方のセンサの変化による巻量の変化を直接得る。 【0014】巻量の変化の所定範囲をロールペーパの巻量直径の変化に予め対応させておけば,巻量の変化を検出するだけでブレーキ力の段階的な制御のレベルを選択することができ,従って巻量の直径に応じてブレーキ力を制御しシート張力を各段階毎に最適な張力に調整することができることとなる。 【0015】この場合,ブレーキ力を段階的に変化させてもその切替えによる張力の変化によって耳ずれや裂傷が生じない範囲内でブレーキ力が変化するようにブレーキ力の各ランクが順次大きい方から小さい方へ切替えられるようになっているから,従来のようにロールペーパの巻径をセンサで直接検出する方式では巻径の不均等な巻きによりブレーキ力のランク切替え直径付近でブレーキ力の各ランクが急激に上下に変動するような不都合はその制御方式の違いにより生じることはない。 【0016】上記本発明の薬剤分包用ロールペーパは,上記薬剤分包装置に用いられる。 使用の際は給紙部における支持軸の中空軸に着脱自在かつ接合回転自在に装着され,上記角度センサに対し中空軸に係合するブレーキ手段を制御するためシートの巻量データを検出可能に配設した磁石により発生させる。 エ 【0017】【実施の形態】以下,この発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は薬剤分包装置の給紙部と分包部とを取り出した概略構成図である。給紙部は水平に支持さ せる。 エ 【0017】【実施の形態】以下,この発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は薬剤分包装置の給紙部と分包部とを取り出した概略構成図である。給紙部は水平に支持された支持軸1に芯管Pに薬剤分包用のシートをロール状に巻いたロールペーパRが回転自在に装着され,上記ロールペーパRから引き出 された包装シートSが送りローラ2,3を通り,次の分包部へ供給されるように形成されている。 【0018】分包部は,三角板4で2つ折りにされた際にホッパ5から所定量の薬剤が投入された後,ミシン目カッタを有する加熱ローラ6により所定間隔で幅方向と両側縁部とを帯状にヒートシールするように設けられている。なお,分包部はこれ以外の構成部材も多数あるが,複雑になるのを避けるため必要な部材のみを示している。 【0019】図2は給紙部にロールペーパRと芯管Pを装着した状態の主縦断面図である。図示のように,支持軸1はその一端がナットにより支持板11に取付固定された中心軸1aと,これに一体に嵌合された外軸1bと,上記外軸1bの左右両端寄り位置に設けた軸受12,12を介して回転自在に取り付けられる中空軸1cとから成る。 【0020】13は中心軸1aの片端の軸ヘッド,14は外軸1bの片端のフランジ部である。中空軸1cの反対側端にもフランジ部15が設けられている。 上記支持軸1に芯管Pとこれに巻回されたロールペーパRが装着されると,ロールペーパRは,支持軸1に中空軸1cを介して回転自在に支持されると共に,フランジ部15の内径面に適宜間隔に配置された複数個の磁石16とこれに対向して予め芯管Pの端面円周に沿って配設された強磁性体(鉄部)17に対する吸着力により,装着された芯管PとロールペーパRが中空軸1cに着脱自在に固定され 宜間隔に配置された複数個の磁石16とこれに対向して予め芯管Pの端面円周に沿って配設された強磁性体(鉄部)17に対する吸着力により,装着された芯管PとロールペーパRが中空軸1cに着脱自在に固定される。その固定時,芯管PとロールペーパRは中空軸1cと一体に回転する。 【0021】上記中空軸1cにはモータブレーキ20が係合し,ロールペーパRから繰 り出される包装シートSに適度な張力を付与している。モータブレーキ20は支持板11に取付けられており,図示しない伝動ベルトを介して歯車ユニット21を回転させ,その出力軸上に設けたピニオン22が,フランジ部15の外端面に設けた大歯車23に係合して中空軸1cにブレーキ力を与えるようになっている。 【0022】モータブレーキ20は,小さな交流モータ(AC)であり,供給電源として直流電圧を加えることによりブレーキ力を与えるように使用される。この場合,後で説明するように,直流電圧の値を4段階に変化させて繰り出される包装シートSの張力の大きさに応じてブレーキ力を変化させる。 【0023】磁石24とホール素子センサ25,及び近接スイッチ26と突起27については,さらに図2及び図5に示すように,芯管Pに設けた磁石24とホール素子センサ25から成る回転角度センサからの信号,及び近接スイッチ26と突起27から成る包装シートのずれ検出センサからの信号が,図3に示すように,制御回路30へ入力される(制御回路30については後で説明する)。 【0024】即ち,第1実施形態の測長センサの信号と,上記回転角度センサの信号とからロールペーパRの包装シートSの繰出量を正確に算出してロールペーパRの巻直径の変化に対応したブレーキ力の調整をし張力調整を適正に行おうとするものである。 【0025】図6 度センサの信号とからロールペーパRの包装シートSの繰出量を正確に算出してロールペーパRの巻直径の変化に対応したブレーキ力の調整をし張力調整を適正に行おうとするものである。 【0025】図6に示すように,この実施形態の芯管Pの内周沿いと支持軸1の片端にそれぞれ設けられる磁石24とホール素子センサ25は,4つの磁石24が1つの基点から67.5°ずつ位置が異なる各4点に配置され,4つの ホール素子センサ25は上記基点を通る中心線とこれに直交する中心線上の4つの位置に配置されている。【0026】上記配置は,磁石24とホール素子センサ25の数と配置が最も合理的な組合せとして選定したものであり,例えば図7の(a)〜(d)に示すように,種々の変形例があり得る。しかし,いずれの配置であれホール素子センサ25が芯管Pの回転を表す角度信号は芯管Pが22.5°回転する毎に1つのパルス信号を発する点ではいずれの配置であってもよいことは説明するまでもない。 【0027】なお,上記芯管Pの回転を検出する検出器として上記例では磁石24とホール素子25の組合せとしたが,これ以外にも光センサを用いることもできる。光センサは,発光素子と受光素子から成るものとし,これらをホール素子25と同様に支持軸1(外軸1b)の片端に固定して取り付ける。 【0028】但し,取付位置は図2のホール素子センサ25より外端寄りに外軸1bのフランジ端の一部を延長し,又は同等の取付座を形成し,これに対応して芯管Pの側端にも突起部を所定の角度ピッチ22.5°で,かつ光センサの発光素子と受光素子で突起部を挾むように設ける。光センサと突起部の数はホール素子センサ25の場合と同様である。 オ 【0029】図3は給紙部から包装シートを分包部へ送り薬剤を分包する装置の主要部 光素子と受光素子で突起部を挾むように設ける。光センサと突起部の数はホール素子センサ25の場合と同様である。 オ 【0029】図3は給紙部から包装シートを分包部へ送り薬剤を分包する装置の主要部材を制御する回路の概略ブロック図である。制御回路30は,エンドセンサ31からの信号,送りローラ3に設けられたロータリエンコーダ32からの信号,あるいは加熱ローラ6の軸に連結されるモータ6aの出力軸上でその回転数を計測する回転数カウンタ33からの信号のいずれかによりモータブレーキ20へブレーキ力を与えるための制御指令,及びモータ6aへの制御指令を出力するように構成されている。なお,34は外部から データを入力するための入力部である。 【0030】図5は図2の矢視V−Vから見た側面図であり,主として上記包装シートのずれ検出センサの配置を示すためのものである。この例では支持板11に1つの近接スイッチ26が設けられ,支持軸1の回転する中空軸1c端のフランジ部15に16ケの突起27が形成されている。 【0031】このずれ検出センサは,前述したホール素子センサ25による回転角度センサの信号を基準として,その基準信号と同一ピッチの信号が検出されないことにより包装シートの繰出しずれの有無を検出しようとするものである。 【0032】以上の構成とした実施形態の薬剤分包装置ではシート張力を次のように調整しながら薬剤の分包作業が行われる。この実施形態では給紙部にセットされるロールペーパRは最大径dmax ,最小径d0 とし,図8に示すように,ロータリエンコーダ32による測長信号に基づいて得られる包装シートの繰出量lと,角度センサであるホール素子センサ25のパルス信号に基づく角度θとによってモータブレーキ20のブレーキ力を4段階に制御してロ リエンコーダ32による測長信号に基づいて得られる包装シートの繰出量lと,角度センサであるホール素子センサ25のパルス信号に基づく角度θとによってモータブレーキ20のブレーキ力を4段階に制御してロールペーパRの直径の変化に応じて最適なブレーキ力で張力調整を行う。 【0033】図示の例のロールペーパRは,最大径dmax =160mm,最小径d0 ≒64mm,シート厚みγ=30μmが用いられている。従って,直径が包装シートSの使用によって変化する範囲を単純に4段階に分けるとすると,(160−64)/4=24mm直径が減少する毎にモータブレーキを変化させればよい。 カ 【0068】【効果】以上詳細に説明したように,薬剤分包装置に用いられるこの発明の薬剤分包用ロールペーパは,中空芯管とこれに巻付けたロールペーパとから成り,シート巻量が検出できる位置に配置した磁石を支持軸の角度センサで検出してシート張力の調整を可能とするものとしたから,簡易な構成のロールペーパであって,これを薬剤分包装置に用いることによりその分包作用において耳ずれや裂傷のない分包作用を実現できるという利点が得られる。 (2) 前記(1)の記載事項によれば,本件明細書には,本件訂正発明に関し,次のような開示があることが認められる。 アシート供給部(給紙部)から熱融着性分包紙のシートをロール状に巻いたロールペーパのシートを引き出して,シートを2つ折りにすると共にその間に薬剤を供給した後,分包部でシール装置によりシートを幅方向と両側縁部とを帯状に加熱融着して薬剤を分包する薬剤分包装置においては,シートが周縁等を融着する際に正確に2つ折りされず,少しずれた状態で融着されることのないように常に一定の張力でシートを引き出すのが好ましいが,実際にはシート て薬剤を分包する薬剤分包装置においては,シートが周縁等を融着する際に正確に2つ折りされず,少しずれた状態で融着されることのないように常に一定の張力でシートを引き出すのが好ましいが,実際にはシートの引出量に応じてロール径が変化し,引出張力も少しずつ変動するという問題があった(【0001】ないし【0003】)。 このため,シートの使用による巻量の変化を径方向に配置した巻径検出センサで段階的に検出し,この巻径検出センサの信号により電磁ブレーキの電磁力を調整してロール径が小さくなるにつれて段階的にブレーキ力を弱めることにより,ロール径の変化が生じても張力がほぼ一定となるように調整するシート張力調整装置が従来から提案されている(【0004】)。 しかし,従来のシート張力調整装置では,シートの使用による巻量の変化を巻径検出センサで段階的に検出する方式を採用しているため,検出センサのランクが切り替わる径になると,芯管軸の偏心,シートの重量,巻 き歪みなどの原因により電磁ブレーキのブレーキ力ランクが1回転毎に上下に変動するバイブレーション現象が生じ,張力変動により,分包部でシートを2つ折りした際にシートの縁部が正確に重ならない,いわゆる耳ずれが生じ,包装不良部分が生じたり,また,ブレーキ力ランクが急激に変動するため,幅方向に裂傷が生じることもあった(【0005】,【0006】)。 イ 「この発明」は,従来の薬剤分包装置における問題点に留意して,極薄のシートを巻いたロールペーパの巻状態によるロールペーパ直径の微妙な変動による影響で制御すべき段階的に選択されるブレーキ力のレベル変動を生じることなく,各段階毎に的確にブレーキ力を設定し,ロールペーパの直径に応じた適正な張力を安定して給紙部に与え,シートに耳ずれや裂傷が生じたりせずに分包シー 的に選択されるブレーキ力のレベル変動を生じることなく,各段階毎に的確にブレーキ力を設定し,ロールペーパの直径に応じた適正な張力を安定して給紙部に与え,シートに耳ずれや裂傷が生じたりせずに分包シートで薬剤を分包することのできる薬剤分包装置に用いられ,分包装置の給紙部における角度センサに対し回転角度データを与えることのできる薬剤分包用ロールペーパを提供することを課題とし,上記課題を解決するための手段として,非回転に支持された支持軸の周りに回転自在に中空軸を設け,中空軸にはモータブレーキを係合させ,中空軸に着脱自在に装着されるロールペーパのシートを送りローラで送り出す給紙部と,シートを2つ折りしその間にホッパから薬剤を投入し,薬剤を投入されたシートを所定間隔で幅方向と両側縁部とを帯状にヒートシールする加熱ローラを有する分包部とを備え,ロールペーパの回転角度を検出するために支持軸に角度センサを設け,分包部へのシート送り経路上でシート送り長さを測定する測長センサを設け,ロールペーパを上記中空軸に着脱自在に固定してその固定時に両者を一体に回転させる手段をロールペーパと中空軸が接する端に設け,両センサの信号に基づいてシート張力をロールペーパ径に応じて調整しながら薬剤を分包するようにした薬剤分包装置に用いられ,中空芯管とその上に薬剤分包用シートをロール状に 巻いたロールペーパとから成り,ロールペーパのシートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与するために,支持軸に設けた角度センサによる回転角度の検出信号と測長センサの検出信号とからシートの巻量が算出可能であって,その角度センサによる検出が可能な位置に磁石を配置して成る薬剤分包用ロールペーパの構成を採用した(【0011】,【0012】)。 「この発明」の薬剤分包用ロールペーパは,中空芯管 算出可能であって,その角度センサによる検出が可能な位置に磁石を配置して成る薬剤分包用ロールペーパの構成を採用した(【0011】,【0012】)。 「この発明」の薬剤分包用ロールペーパは,中空芯管とこれに巻付けたロールペーパとから成り,シート巻量が検出できる位置に配置した磁石を支持軸の角度センサで検出してシート張力の調整を可能とした簡易な構成のロールペーパであり,これを薬剤分包装置に用いることにより耳ずれや裂傷のない分包作用を実現できるという効果を奏する(【0068】)。 2 争点(1)(一体化製品の本件訂正発明の技術的範囲の属否)について(1) 争点(1)ア(一体化製品は構成要件Aの「用いられ」を充足するか。)について以下のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第4の2(1)記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決35頁4行目から23行目までを次のとおり改める。 「ア構成要件Aの「用いられ」の意義について本件訂正発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載によれば,本件訂正発明は,構成要件AないしDの構成から成る「薬剤分包用ロールペーパ」(構成要件E)の物の発明であり,構成要件Aには,薬剤分包装置に関する事項が,構成要件B及びDには,「薬剤分包用ロールペーパ」の「中空芯管」,「ロールペーパ」及び「複数の磁石」(以下,これらを併せて「本件ロールペーパ等」)に関する事項が,構成要件Cにはその両者に関する事項がそれぞれ記載され,構成要件Aにおいて,薬剤分包用ロールペーパが薬剤分包装置に「用いられ」るものとして記載されている。 そして,構成要件Aの「非回転に支持された支持軸の周りに回転自在に中空軸を設け,中空軸にはモータブレーキを係合させ,中空軸に着脱自在に装着されるロールペーパの のとして記載されている。 そして,構成要件Aの「非回転に支持された支持軸の周りに回転自在に中空軸を設け,中空軸にはモータブレーキを係合させ,中空軸に着脱自在に装着されるロールペーパのシートを送りローラで送り出す給紙部と,2つ折りされたシートの間にホッパから薬剤を投入し,薬剤を投入されたシートを所定間隔で幅方向と両側縁部とを帯状にヒートシールする加熱ローラを有する分包部とを備え,ロールペーパの回転角度を検出するために支持軸の片端に角度センサを設け,上記中空軸と上記支持軸の固定支持板間で上記中空軸のずれを検出するずれ検出センサを設け,分包部へのシート送り経路上でシート送り長さを測定する測長センサを設け,ロールペーパを上記中空軸に着脱自在に固定してその固定時に両者を一体に回転させる手段をロールペーパと中空軸が接する端に設け,角度センサ及び測長センサの信号に基づいてシート張力をロールペーパ径に応じて調整しながら薬剤を分包するようにし,さらに角度センサの信号とずれ検出センサの信号との不一致により上記中空軸に着脱自在に装着されたロールペーパと上記中空軸とのずれを検出するようにした薬剤分包装置に用いられ,」にいう「用いられ」の用語については,「られる」の助動詞は,受け身とともに可能を示すものであること,物の発明の特許請求の範囲の記載は,物の構造,特性等を特定するものとして解釈すべきであることに鑑みると,「用いることが可能な」を意味するものと解するのが自然である。 次に,本件明細書には,構成要件Aの「薬剤分包装置に用いられ,」にいう「用いられ」の用語を定義した記載はなく,また,上記解釈に抵触する記載もない。 そうすると,構成要件Aの「用いられ」とは,「用いることが可能な」を意味すると解するのが相当である。」イ原判決35頁2 られ」の用語を定義した記載はなく,また,上記解釈に抵触する記載もない。 そうすると,構成要件Aの「用いられ」とは,「用いることが可能な」を意味すると解するのが相当である。」イ原判決35頁24行目の「イ構成要件Aの「用いられ」の意味」を「イ 一体化製品の充足性について」と,同頁末行の「支持軸」を「支持軸の片端」と改める。 ウ原判決36頁1行目の「そのような位置」を「支持軸の片端に設けられた「角度センサ」による「検出が可能な位置」(構成要件C)」と改め,同頁4行目の「本件ロールペーパ等について,」の次に「薬剤分包装置の中空軸と接する中空芯管の端に,中空軸と着脱自在に固定する手段を設けて,」を加える。 エ原判決36頁7行目から12行目までを次のとおり改める。 「 そうすると,本件訂正発明の技術的範囲は,構成要件BないしDに記載された事項と,構成要件Aによる本件ロールペーパ等についての上記特定事項とから画されるものであるから,一体化製品が構成要件AないしEの構成を備えれば上記技術的範囲に属するものであって,一体化製品が構成要件Aによって特定される薬剤分包装置に実際に使用されるか否かは,一体化製品が上記技術的範囲に属するか否かの判断に影響を及ぼすものではないというべきである。」オ原判決36頁16行目から17行目にかけての「仮にこれが認められないとしても,」の後に「構成要件Aの「用いられ」は,薬剤分包用ロールペーパの構成又は構造を特定するものではなく方法的要素(ステップ)を要件としたものと考えられ,」を加える。 カ原判決36頁25行目から37頁3行目までを次のとおり改める。 「 また,控訴人らは,被控訴人が,本件出願時の請求項1に係る発明にについて,「引用文献4」(特開平8-198206号公報)を引 原判決36頁25行目から37頁3行目までを次のとおり改める。 「 また,控訴人らは,被控訴人が,本件出願時の請求項1に係る発明にについて,「引用文献4」(特開平8-198206号公報)を引用例とする進歩性欠如の平成19年7月26日付けの拒絶理由通知(乙24)を受けたのに対し,「引用文献4」記載の薬剤分包用ロールペーパと上記請求項1に係る発明の薬剤分包用ロールペーパとの構成の相違を何ら主張せず,むしろ,上記請求項1中の薬剤分包装置の構成を補正する本 件補正をした上で,同年10月1日付けの意見書(乙25)において,「引用文献4」記載の薬剤分包装置と本件補正後の請求項1記載の薬剤分包装置との構成の相違を強調して特許査定を受けたものであり,かかる出願経緯を考慮すれば,被控訴人は,単に構成要件Aを充足する薬剤分包装置に「用いられることが可能な構成」を有しているに過ぎない薬剤分包用ロールペーパを本件訂正発明の範囲から意識的に除外したものと考えるべきである旨主張する。 しかしながら,被控訴人は,上記意見書において,「引用文献4」記載の装置は,シート張力の調整方式が基本的に相違すること,ロールペーパと中空軸とのずれを検出することが全く記載されていないことを指摘した上で,「本願発明では,「回転角度と測長センサの検出信号を検出してロールペーパの巻量が検出可能な位置に配置された磁石」の構成を有し,かつ「角度センサの信号とずれ検出センサの信号との不一致により上記中空軸に着脱自在に装着されたロールペーパと上記中空軸とのずれを検出するようにした」薬剤分包装置に用いられることを前提とするロールペーパについての発明であり」(乙25の6頁2行~6行)と述べているのであるから,本件特許の出願経緯において,被控訴人が,構成要件Aによって特定される 薬剤分包装置に用いられることを前提とするロールペーパについての発明であり」(乙25の6頁2行~6行)と述べているのであるから,本件特許の出願経緯において,被控訴人が,構成要件Aによって特定される薬剤分包装置に用いることが可能な構成の薬剤分包用ロールペーパを本件訂正発明の技術的範囲から意識的に除外したものと解することはできない。 したがって,控訴人らの上記主張は,理由がない。」キ原判決37頁4行目の「本件無効審判」を「別件無効審判」と,同頁同行目の「本訂正後の発明」を「本件訂正発明」と,同頁6行目の「本件発明」を「本件訂正発明」と改め,同頁9行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「ウまた,控訴人らは,構成要件Aの「用いられ」との文言,本件訂正 発明と従来技術との「相違点④」(本件訂正発明は相違点①ないし③の構成を有することで,「シートの巻量」を算出し,「シートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与」するものであること),本件特許の出願経緯を考慮すれば,一体化製品が構成要件Aの「用いられ」を充足しているというためには,薬剤分包用ロールペーパが単に構成要件A及びCを充足する薬剤分包装置に用いられることが可能な構成を有しているだけでは足りず,構成要件Aを充足する薬剤分包装置(少なくとも「相違点①」(「角度センサ」が「ロールペーパの回転角度」を検出するものであって,支持軸の片端に設けられていること)及び「相違点②」(「磁石」は「ロールペーパのシートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与するために,支持軸に設けた角度センサによる回転角度の検出信号と測長センサの検出信号とからシートの巻量が算出可能であって,その角度センサによる検出が可能な位置」に配置されるものであること)の構成の一部を備えた薬剤 軸に設けた角度センサによる回転角度の検出信号と測長センサの検出信号とからシートの巻量が算出可能であって,その角度センサによる検出が可能な位置」に配置されるものであること)の構成の一部を備えた薬剤分包装置)に現実に「用いられ」ることの主張立証が必要である旨主張する。 しかしながら,先に説示したとおり,本件訂正発明の構成要件Aの「用いられ」とは,「用いることが可能な」を意味するものであり,一体化製品が構成要件Aによって特定される薬剤分包装置に実際に使用されるか否かは,一体化製品が本件訂正発明の技術的範囲に属するか否かの判断に影響を及ぼすものではないから,控訴人らの上記主張は採用することができない。」ク原判決37頁10行目の「ウ」を「エ」と改める(2) 争点(1)イ(一体化製品は構成要件Aの「2つ折りされたシート」を充足するか。)について以下のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第4の2(2)記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決38頁2行目の「本件発明」を「本件訂正発明」と改める。 イ原判決38頁7行目の「三角板4以前に」を「構成要件Aの「2つ折りされたシート」は,三角板4に到達する前に」と改める。 (3) 争点(1)全体について以下のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第4の2(3)記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決39頁5行目及び10行目の各「本件発明」をいずれも「本件訂正発明」と改める。 イ原判決39頁12行目及び14行目の各「本訴訟」をいずれも「本件訴訟」と改める。 3 争点(2)(特許法101条1号の間接侵害の成否)について以下のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第4の3記載のと 目及び14行目の各「本訴訟」をいずれも「本件訴訟」と改める。 3 争点(2)(特許法101条1号の間接侵害の成否)について以下のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第4の3記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決39頁17行目から40頁5行目までを次のとおり改める。 「(1) 被告製品が一体化製品の「生産にのみ用いる物」(特許法101条1号)と認められるかについて」(2) 原判決41頁9行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 控訴人らは,被告製品は,控訴人日進製の薬剤分包装置に使用するための専用品であり,また,エルク製薬剤分包装置及びウエダ製分包装置への使用という社会通念上経済的,商業的ないしは実用的な用途も認められるる旨主張する。 しかしながら,控訴人らの主張は,以下のとおり理由がない。」(3) 原判決41頁12行目の「分包紙」を「本製品」と,13行目の「貴社」を「お客様」と改める。 (4) 原判決43頁11行目の「(3) 特許権侵害についての判断」を「(2) 間接侵害についての判断」と改め,同頁19行目末尾に行を改めて次のとおり 加える。 「 これに対し控訴人らは,①本件訂正発明は,用途発明そのものではないが,薬剤分包用ロールペーパが構成要件Aを充足する薬剤分包装置に「用いられ」た場合に「シートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与する」という顕著な効果をはじめて奏するものであり,用途発明と同様の特徴を備えており,本件訂正発明の実施は,用途発明の実施行為と同様に考えることができるから,「構成要件Aを充足する薬剤分包装置に使用するため」に,構成要件B以下で特定される薬剤分包用ロールペーパを生産,使用,譲渡等をする行為に限られると解するのが相当であること,②被控 ことができるから,「構成要件Aを充足する薬剤分包装置に使用するため」に,構成要件B以下で特定される薬剤分包用ロールペーパを生産,使用,譲渡等をする行為に限られると解するのが相当であること,②被控訴人製の薬剤分包装置は,構成要件Aを充足していないことからすると,ユーザは,構成要件Aを充足する薬剤分包装置に使用するために一体化製品を製造(生産),使用することはないから,ユーザによる一体化製品の製造(生産)は,本件訂正発明に係る「物の生産」に該当しない旨主張する。 しかしながら,前記認定のとおり,一体化製品は本件訂正発明の技術的範囲に属するから,ユーザによる一体化製品の製造(生産)は,本件訂正発明に係る「物の生産」に該当するというべきである。 したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。」 4 争点(4)(無効の抗弁の成否)について(1) 争点(4)ア(補正要件違反の無効理由の有無)について控訴人らは,本件補正のうち,本件出願時の請求項1の「シートを2つ折りしその間にホッパから薬剤を投入し」にいう「シートを2つ折りし」を「2つ折りされたシート」と補正したことは,薬剤分包装置外であらかじめ折り畳まれたシートという新たな技術的事項を導入するものであり,本件出願の願書に最初に添付した明細書(以下「出願当初明細書」という。乙31)に記載した事項の範囲内においてしたものといえないから,本件特許には,補正要件違反の無効理由(特許法17条の2第3項,123条1項1号)があ る旨主張する。 そこで検討するに,出願当初明細書の【0018】には,「分包部は,三角板4で2つ折りにされた際にホッパ5から所定量の薬剤が投入された後,ミシン目カッタを有する加熱ローラ6により所定間隔で幅方向と両側縁部とを帯状にヒートシールするよ 【0018】には,「分包部は,三角板4で2つ折りにされた際にホッパ5から所定量の薬剤が投入された後,ミシン目カッタを有する加熱ローラ6により所定間隔で幅方向と両側縁部とを帯状にヒートシールするように設けられている。」との記載がある。 しかるところ,薬剤分包紙の構成については,乙22(特開昭59-115223号公報)の「従来は第1図から第3図までに示すように,薬剤分包機内に二つ折りの状態で収装されている分包紙5Xは,後記するボビン型の巻心部材3Xかまたはリール型の巻心部材4に巻取られていた。」(1頁左下欄17行~20行),「第4図から第6図までに示すように,従来から巻心部材に巻着して使用されている二つ折りによる分包紙の規定量宛消費後に補給交換を必要とする基準位置,すなわち最終端から初端方向に限定距離Lを経た当該分包紙5の表面側となる自体面に,この種の薬剤分包機に使用されている公知の磁気センサー9が直接的に接触してその磁力を検知するのに充分な面積を持つ磁性体層6(例えば磁性粉あるいは磁性粉を合成ゴム等の内部に混入して成形された磁性片)が,印刷あるいは貼着等により一体状の露出態に形成されて磁気付の分包紙5に構成されている。」(2頁右下欄6行~17行)との記載及び第4図(別紙2参照)の記載,乙23(実公昭61-45074号公報)の「巻芯の外側に巻取つた二つ折り分包紙の折り目間に一定容量(一定重量)の薬剤を供給する動作と,上記薬剤の供給後に分包紙を一定長さ巻戻して開放部をシールする動作とを交互に繰り返して分包作業を連続して行なうようにした薬剤分包機においては,…」(1欄11~16行)との記載からすれば,薬剤分包装置に使用されるロールペーパにおいて,芯管に2つ折りされたシートがロール状に巻かれたもの(ダブルタイプ)が存在することは,本件出願 においては,…」(1欄11~16行)との記載からすれば,薬剤分包装置に使用されるロールペーパにおいて,芯管に2つ折りされたシートがロール状に巻かれたもの(ダブルタイプ)が存在することは,本件出願の優先日当時(優先日平成8年9月20日),技術常識であったことが認められる。 上記技術常識を考慮すると,出願当初明細書の【0018】の「分包部は,三角板4で2つ折りにされた際にホッパ5から所定量の薬剤が投入された」との記載は,分包部の三角板4によってシートに折り目を付けてV字状にし,その間に薬剤が投入される場合だけでなく,ダブルタイプのロールペーパのように,分包部に搬送される前にあらかじめ2つ折りに折り畳まれたシートを開いてV字状にし,その間の開口部に薬剤が投入される場合も想定されているものと理解できる。 そうすると,本件出願時の請求項1の「シートを2つ折りし」を「2つ折りされたシート」と補正することによって,出願当初明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではないものと認められる。 したがって,上記補正は,出願当初明細書に記載した事項の範囲内のものであると認められるから,控訴人らの上記主張は理由がない。 (2) 争点(4)イ(明確性要件違反の無効理由の有無)についてア 「その角度センサによる検出が可能な位置」について以下のとおり訂正するから,原判決の「事実及び理由」の第4の4(1)記載のとおりであるから,これを引用する。 (ア) 原判決43頁24頁及び44頁10行目の各「本件発明」をいずれも「本件訂正発明」と改める。 (イ) 原判決44頁19行目から21行目までを次のとおり改める。 「 したがって,本件訂正発明の「 決43頁24頁及び44頁10行目の各「本件発明」をいずれも「本件訂正発明」と改める。 (イ) 原判決44頁19行目から21行目までを次のとおり改める。 「 したがって,本件訂正発明の「その角度センサによる検出が可能な位置」の内容は明確であるから,控訴人らの上記主張は理由がない。」イ 「2つ折りされたシート」について控訴人らは,本件訂正発明の「2つ折りされたシート」は,いかなる態様のシートが含まれるのか明確に把握できないから,不明確である旨主張する。 しかしながら,前記2(2)のとおり,本件訂正発明の「2つ折りされたシート」との構成は,あらかじめ薬剤分包紙が装置外で2つに折り畳まれていたか(ダブルタイプ)否か(シングルタイプ)に関わらず,薬剤分包紙が搬送方向にV字状に折り曲げられた状態を指すものと理解できる。そして,本件明細書の【0012】及び【0018】には,薬剤を投入しやすいように薬剤分包紙を搬送方向にV字状に折り曲げた状態にすること,すなわち2つ折りにすることの記載がある。この記載を参酌すれば,「2つ折り」がどのような状態を指すかは明確に理解できる。 したがって,本件訂正発明の「2つ折りされたシート」の内容は明確であるから,控訴人らの上記主張は理由がない。 ウ 「用いられ」について控訴人らは,構成要件Aの「用いられ」とは,構成要件Aを充足する薬剤分包装置において使用することが可能な構成を有していることで足りるとすれば,構成要件Aの「上記中空軸と上記支持軸の固定支持板間で」,「測長センサ」,「分包部へのシート送り経路上でシート送り長さを測定する」,「シート送りローラで送り出す」,「中空軸のずれを検出する」といった要件の充足性を判断する必要がない 軸の固定支持板間で」,「測長センサ」,「分包部へのシート送り経路上でシート送り長さを測定する」,「シート送りローラで送り出す」,「中空軸のずれを検出する」といった要件の充足性を判断する必要がないことになるため,これらの要件のいずれかを充足しない薬剤分包装置にロールペーパが使用されていた場合であっても,当該ロールペーパも侵害品となるおそれがあるから,構成要件Aの「用いられ」との要件は,特許発明の外延を不明確にするものであり,第三者に不測の不利益を及ぼすこととなるので,明確性要件に違反する旨主張する。 しかしながら,前記2(1)ア認定のとおり,本件訂正発明の「用いられ」とは「用いることが可能な」を意味するものと明確に理解できるから,控訴人らの上記主張は理由がない。 エ小括 以上のとおり,本件訂正発明の「その角度センサによる検出が可能な位置」,「2つ折りされたシート」及び「用いられ」の内容はいずれも明確であり,本件訂正発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載は,特許を受けようとする発明が明確であるものと認められるから,本件特許は明確性要件に適合する。 したがって,本件特許の明確性要件違反をいう控訴人らの主張は理由がない。 (3) 争点(4)ウ(サポート要件違反の無効理由の有無)についてア前記(2)イのとおり,本件訂正発明の「2つ折りされたシート」については,本件明細書の【0012】及び【0018】に記載があり,本件訂正発明は,本件明細書の「発明の詳細な説明」に記載したものであることが認められる。 イ控訴人らは,薬剤分包装置の角度センサによって検知される磁石を備えてはいるが,角度センサと測長センサの検出信号を検出してロールペーパの巻量を検出する構成も,シートの巻量を検出し,シートの イ控訴人らは,薬剤分包装置の角度センサによって検知される磁石を備えてはいるが,角度センサと測長センサの検出信号を検出してロールペーパの巻量を検出する構成も,シートの巻量を検出し,シートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与する構成も有しない薬剤分包用ロールペーパが,構成要件Aを充足する薬剤分包装置に使用可能であれば,本件訂正発明の技術的範囲に含まれるとすれば,このような薬剤分包用ロールペーパは,本件訂正発明の課題を解決できないから,本件明細書のサポート要件に欠ける旨主張する。 しかしながら,控訴人ら主張の薬剤分包用ロールペーパは,本件訂正発明の技術的範囲に属するものとはいえないから,控訴人らの上記主張は,その前提を欠くものであり,理由がない。 ウ以上のとおり,本件特許のサポート要件違反をいう控訴人らの主張は,理由がない。 (4) 争点(4)エ(乙60を主引用例とする本件訂正発明の新規性欠如の無効理 由の有無)についてア控訴人らは,原出願明細書には,少なくとも測長センサの検出信号に基づき,ブレーキ力を制御することによって発明の課題を解決することが記載されているが,本件訂正発明は,あくまで「ロールペーパ」という物の発明であり,「ロールペーパの回転速度を検出するために支持軸に角度センサを設け」,「ロールペーパを上記中空軸に着脱自在に固定してその固定時に両者を一体に回転させる手段をロールペーパと中空軸が接する端に設け」ている薬剤分包装置において用いることができ,当該角度センサによって検出可能な位置に複数の磁石を設けたロールペーパであると認定した場合には,測長センサの検出信号の検出や,それに基づいてシートの巻量を検出し,シートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与するとの事項は本件訂正発明の要 数の磁石を設けたロールペーパであると認定した場合には,測長センサの検出信号の検出や,それに基づいてシートの巻量を検出し,シートの巻量に応じたシート張力を中空軸に付与するとの事項は本件訂正発明の要旨に含まれないため,本件明細書には原出願明細書記載の発明の課題を解決することを超えた技術的事項が記載されていることになり,新規事項の追加に当たるから,本件出願は,分割出願の要件を満たしていない旨主張する。 しかしながら,原出願明細書には,本件訂正発明の特許請求の範囲(請求項1)に記載された事項の記載があること(請求項3,【0005】ないし【0009】,【0012】,【0016】ないし【0019】,【0043】ないし【0051】,【0108】)が認められるから,本件訂正発明は原出願明細書に記載した事項の範囲内のものであることが認められる。 したがって,控訴人らの上記主張は理由がない。 イ控訴人らは,本件明細書の【0010】の記載は,原出願明細書に記載がないこと,上記【0010】の記載に係る中空芯管の端に突出部を設ける方法が回転支持軸への装着などの操作が重く,操作時に突出部を周囲の機器に当てて損傷させる虞があるため好ましくないものに当たることまで 本件原出願の優先日当時の技術常識であるということはできないことからすると,上記【0010】の記載は,新規事項の追加に当たるから,本件出願は,分割出願の要件を満たしていない旨主張する。 そこで検討するに,本件明細書の【0010】は,「又,中空芯管の端に突出部を設ける方法は,上記のような長尺のロールペーパは全体としてかなりの重さとなるため,回転支持軸への装着などの操作が重く,操作時に突出部を周囲の機器に当てて損傷させる虞れがあり,突出部を設ける方法は好ましくない は,上記のような長尺のロールペーパは全体としてかなりの重さとなるため,回転支持軸への装着などの操作が重く,操作時に突出部を周囲の機器に当てて損傷させる虞れがあり,突出部を設ける方法は好ましくない。」というものである。 そして,本件明細書には,【0008】に「…このようなロールペーパの巻径の変化を検出する上記巻径検出センサによる方法以外の方法として,…あるいはロールペーパの中空芯管の端に突出部を設け,突出部に設けたマークを光センサで読取る方法などが考えられる。」との記載があることに照らすと,上記【0010】の記載は,従来の薬剤分包装置に関する問題点として,「ロールペーパの巻径の変化を検出する上記巻径検出センサによる方法以外の方法」の一つである「中空芯管の端に突出部を設ける方法」の問題点を具体的に記載したものと理解できる。 しかるところ,原出願明細書には,本件明細書の上記【0008】及び【0010】に相当する記載はないが,他方で,本件訂正発明は,シートの使用による巻量の変化を巻径検出センサで段階的に検出する方式による問題点(【0004】ないし【0006】)を解決し,「…薬剤分包装置に用いられ,分包装置の給紙部における角度センサに対し回転角度データを与えることのできる薬剤分包用ロールペーパを提供することを課題」(【0011】)とする発明であり,従来の「中空芯管の端に突出部を設ける方法」の問題点を解決することを課題とするものではないことからすると,本件明細書の上記【0010】の記載は,本件訂正発明の技術的意義に影響を及ぼすものではなく,原出願明細書に新たな技術的事項を導入 するものではない。 したがって,上記【0010】の記載が新規事項の追加に当たるとする控訴人らの上記主張は,理由がない。 ウ以上によれば,本件出願 細書に新たな技術的事項を導入 するものではない。 したがって,上記【0010】の記載が新規事項の追加に当たるとする控訴人らの上記主張は,理由がない。 ウ以上によれば,本件出願が分割要件を満たしていないことを前提に本件訂正発明の乙60を主引用例とする新規性欠如をいう控訴人らの主張は,その前提を欠くものであるから,理由がない。 (5) 争点(4)オ(乙22を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如の無効理由の有無)について被控訴人は,①控訴人らが原審において無効の抗弁を主張した後,控訴人日進のみが本件特許を無効にすることを求める別件無効審判を請求し,本件特許の設定登録時の請求項1及び2に係る発明の無効理由として,明確性要件違反(「無効理由1」),「審判甲1」(乙22)を主引用例とする新規性欠如(「無効理由2」),「審判甲1」(乙22)を主引用例とし,「審判甲7」(乙49)に記載された事項(「甲7事項」)を副引用例とする進歩性欠如(「無効理由3」),「審判甲2」(乙23)を主引用例とし,「審判甲1」(乙22)に記載された事項(「甲1事項」)等を副引用例とする進歩性欠如(「無効理由4」),「審判甲2」(乙23)を主引用例とし,「甲7事項」等を副引用例とする進歩性欠如(「無効理由5」)を主張したが,別件審決は,控訴人日進主張の上記無効理由1ないし5はいずれも理由がないとして,請求不成立とする審決をしたところ,控訴人日進が別件審決に対する審決取消訴訟を提起しなかったため,別件審決は,原判決の言渡し前に確定した,②控訴人ら主張の乙22を主引用例とする進歩性欠如の無効理由は,別件無効審判における「無効理由3」と実質的に同一の事実及び同一の証拠に基づくものであるから,別件無効審判の請求人である控訴人日進並びに控訴人日進と密接 22を主引用例とする進歩性欠如の無効理由は,別件無効審判における「無効理由3」と実質的に同一の事実及び同一の証拠に基づくものであるから,別件無効審判の請求人である控訴人日進並びに控訴人日進と密接な取引関係にある控訴人セイエー及び控訴人OHUの3者が,当審において,上記無効理由による無効の抗弁を主張することは, 訴訟上の信義則に反し,許されない旨主張するので,以下において判断する。 ア前記第2の1の前提事実と一件記録によれば,本件訴訟の経過等として,次の事実が認められる。 (ア) 控訴人日進は,平成26年12月頃から,調剤薬局等に対し,控訴人日進と控訴人セイエーが共同開発した被告製品を販売するようになった。 控訴人日進,控訴人OHU及び控訴人セイエーの3者間には,被告製品に関し,控訴人日進が控訴人OHUに対して被告製品を発注し,この発注を受けた控訴人OHUが控訴人セイエーに対して被告製品の製造を委託し,この委託を受けた控訴人セイエーが被告製品を製造して,控訴人日進に供給し,これにより,控訴人セイエーは控訴人OHUに対し,控訴人OHUは控訴人日進に対し被告商品をそれぞれ販売するという継続的な取引関係があった。 (イ) 被控訴人は,平成28年7月4日,控訴人らによる被告製品の製造,販売が被控訴人の有する本件特許権の間接侵害等に当たる旨主張して,控訴人らに対し,本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償金の連帯支払を求める本件訴訟を原審に提起した。 控訴人らは,同年12月8日の原審第2回弁論準備手続期日において,準備書面(2)(無効論)に基づき,明確性要件違反,乙22を主引用例とする新規性欠如,乙23を主引用例とする新規性欠如の無効理由による無効の抗弁を主張し,平成29年3月16日の原審第4回弁論準備手続期日において,準 効論)に基づき,明確性要件違反,乙22を主引用例とする新規性欠如,乙23を主引用例とする新規性欠如の無効理由による無効の抗弁を主張し,平成29年3月16日の原審第4回弁論準備手続期日において,準備書面(5)(無効論)に基づき,上記無効理由に加えて,乙22を主引用例とする進歩性欠如,乙23を主引用例とする進歩性欠如,補正要件違反,サポート要件違反,明確性要件違反(「2つ折りされたシート」に係るもの)の無効理由による無効の抗弁を主張した。 その後,控訴人らは,同年6月30日の原審第6回弁論準備手続期日 において,準備書面(7)(無効論)に基づき,新たに乙23(乙23’発明)を主引用例,乙22(乙22発明)を副引用例とする進歩性欠如の無効理由による無効の抗弁を主張した。 (ウ) 控訴人日進は,平成29年7月10日,本件特許の設定登録時の請求項1及び2に係る発明についての特許を無効にすることを求める別件無効審判を請求した。控訴人日進が別件無効審判で主張した無効理由は,明確性要件違反(「無効理由1」),「審判甲1」(乙22)を主引用例とする新規性欠如(「無効理由2」),「審判甲1」(乙22)を主引用例とし,「審判甲7」(乙49)に記載された事項(「甲7事項」)を副引用例とする進歩性欠如(「無効理由3」),「審判甲2」(乙23)を主引用例とし,「審判甲1」(乙22)に記載された事項(「甲1事項」)等を副引用例とする進歩性欠如(「無効理由4」),「審判甲2」(乙23)を主引用例とし,「甲7事項」等を副引用例とする進歩性欠如(「無効理由5」)である。上記「無効理由3」は,乙22を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如の無効理由と,上記「無効理由4」及び「無効理由5」は,乙23を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如による無効理由と実 である。上記「無効理由3」は,乙22を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如の無効理由と,上記「無効理由4」及び「無効理由5」は,乙23を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如による無効理由と実質的に同一の事実及び同一の証拠に基づくものである。 被控訴人は,同年10月6日,別件無効審判において,本件訂正をした後,同月19日の原審第9回弁論準備手続期日において,第7準備書面に基づき,本件訂正と同一内容の訂正に係る訂正の再抗弁の主張をした。また,控訴人らは,上記弁論準備手続期日において,別件無効審判の審判請求書(乙46)を書証として提出した。 控訴人らは,同年12月11日の原審第10回弁論準備手続期日において,準備書面(9)に基づき,被控訴人の訂正の再抗弁に対する反論をした。 原審の受命裁判官は,平成30年1月29日の原審第11回弁論準備手続期日において,本件の侵害論の審理を終了し,損害論の審理を進めると述べた。 控訴人らは,同年3月12日の原審第12回弁論準備手続期日において,別件無効審判に係る被控訴人作成の同年2月2日付け「口頭審理陳述要領書(2)」(乙56)を書証として提出した。 (エ) 特許庁は,平成30年6月26日,本件訂正を認めた上で,控訴人日進主張の「無効理由1」ないし「無効理由5」により本件特許を無効とすることはできないとして,別件無効審判の請求は成り立たないとの別件審決をした。その後,控訴人日進は,出訴期間内に別件審決に対する審決取消訴訟を提起しなかったため,別件審決は,確定し,同年8月28日,その旨の確定登録が経由された。 原審は,同月24日,原審第2回口頭弁論期日において,口頭弁論を終結した後,同年12月18日,被控訴人の請求を一部認容する原判決を言い渡した。原判決は,控訴人ら主張の無効の抗 定登録が経由された。 原審は,同月24日,原審第2回口頭弁論期日において,口頭弁論を終結した後,同年12月18日,被控訴人の請求を一部認容する原判決を言い渡した。原判決は,控訴人ら主張の無効の抗弁はいずれも理由がないものと判断した。 (オ) 控訴人は,平成30年12月28日,本件控訴を提起した。 その後,控訴人は,平成31年2月15日付け控訴理由書において,原判決には,乙22を主引用例とする進歩性欠如,乙23を主引用例とする進歩性欠如,明確性要件違反及びサポート要件違反の無効理由の判断に誤りがあることを主張するとともに,新たに本件出願に分割要件違反があることを前提とした乙60を主引用例とする進歩性欠如の無効理由を主張した。 当審は,令和元年5月16日の本件第1回口頭弁論期日において,口頭弁論を終結した。 イ特許法167条は,特許無効審判の審決が確定したときは,当事者及び 参加人は,同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができないと規定している。この規定の趣旨は,先の審判の当事者及び参加人は先の審判で主張立証を尽くすことができたにもかかわらず,審決が確定した後に同一の事実及び同一の証拠に基づいて紛争の蒸し返しができるとすることは不合理であるため,同一の当事者及び参加人による再度の無効審判請求を制限することにより,紛争の蒸し返しを防止し,紛争の一回的解決を実現させることにあるものと解される。このような紛争の蒸し返しの防止及び紛争の一回的解決の要請は,無効審判手続においてのみ妥当するものではなく,侵害訴訟の被告が同法104条の3第1項に基づく無効の抗弁を主張するのと併せて,無効の抗弁と同一の無効理由による無効審判請求をし,特許の有効性について侵害訴訟手続と無効審判手続のいわゆるダブルトラックで審理さ 告が同法104条の3第1項に基づく無効の抗弁を主張するのと併せて,無効の抗弁と同一の無効理由による無効審判請求をし,特許の有効性について侵害訴訟手続と無効審判手続のいわゆるダブルトラックで審理される場合においても妥当するというべきである。 そうすると,侵害訴訟の被告が無効の抗弁を主張するとともに,当該無効の抗弁と同一の事実及び同一の証拠に基づく無効理由による無効審判請求をした場合において,当該無効審判請求の請求無効不成立審決が確定したときは,上記侵害訴訟において上記無効の抗弁の主張を維持することは,訴訟上の信義則に反するものであり,民事訴訟法2条の趣旨に照らし許されないと解するのが相当である。 これを本件についてみるに,前記アの認定事実によれば,①控訴人らは,本件訴訟の原審において,本件特許について,明確性要件違反,サポート要件違反,乙22を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如,乙23を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如等の無効理由による無効の抗弁を主張したこと,②控訴人らのうち,控訴人日進のみが本件特許を無効にすることを求める別件無効審判を請求し,本件特許の設定登録時の請求項1及び2に係る発明の無効理由として「無効理由1」ないし「無効理由5」 を主張し,被控訴人は別件無効審判手続において本件訂正をしたところ,特許庁は,本件訂正を認めた上で,控訴人日進主張の「無効理由1」ないし「無効理由5」により本件特許を無効とすることはできないとして,別件無効審判の請求は成り立たないとの別件審決をしたこと,③控訴人日進が別件審決に対する審決取消訴訟を提起しなかったため,別件審決は,原判決の言渡し前に確定したことが認められる。 加えて,控訴人日進が原審及び当審において主張する乙22を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如の無 する審決取消訴訟を提起しなかったため,別件審決は,原判決の言渡し前に確定したことが認められる。 加えて,控訴人日進が原審及び当審において主張する乙22を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如の無効理由は,確定した別件審決で排斥された「無効理由3」と実質的に同一の事実及び同一の証拠に基づくものと認められるから(前記ア(ウ)),被控訴人日進が当審において乙22を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如の無効理由による無効の抗弁を主張することは,訴訟上の信義則に反するものであり,民事訴訟法2条の趣旨に照らし許されないと解すべきである。 ウ次に,控訴人セイエー及び控訴人OHUについて検討するに,①控訴人セイエー及び控訴人OHUは,別件無効審判の請求人又は参加人のいずれでもないが,控訴人日進,控訴人OHU及び控訴人セイエーの3者間には,被告製品に関し,控訴人セイエーは控訴人OHUに対し,控訴人OHUは控訴人日進に対し被告商品をそれぞれ販売するという継続的な取引関係があり,本件特許が別件無効審判で無効とされた場合には,被控訴人の控訴人らに対する請求はいずれも理由がないことに帰するので,別件無効審判に関する利害は,控訴人ら3者間で一致していること,②控訴人セイエー及び控訴人OHUは,原審において,控訴人日進の主張する無効の抗弁と同一の無効の抗弁を主張し,また,控訴人日進とともに,別件無効審判の審判請求書(乙46)及び被控訴人作成の「口頭審理陳述要領書(2)」(乙56)を書証として提出していることからすると,控訴人セイエー及び控訴人OHUは,別件無効審判の内容及び経緯について十分に認識し,別件 無効審判における被告日進の主張立証活動を事実上容認していたものと認められること,上記①及び②の事実関係の下においては,控訴人セイエー及び控訴 判の内容及び経緯について十分に認識し,別件 無効審判における被告日進の主張立証活動を事実上容認していたものと認められること,上記①及び②の事実関係の下においては,控訴人セイエー及び控訴人OHUは,別件無効審判の請求人の控訴人日進と同視し得る立場にあるものと認めるのが相当であるから,確定した別件審決で排斥された「無効理由3」と実質的に同一の事実及び同一の証拠に基づく乙22を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如の無効理由による無効の抗弁の主張をすることを控訴人セイエー及び控訴人OHUに認めることは,紛争の蒸し返しができるとすることにほかならないというべきである。 したがって,控訴人セイエー及び控訴人OHUにおいても,控訴人日進と同様に,当審において乙22を主引用例とする進歩性欠如の無効理由による無効の抗弁を主張することは,訴訟上の信義則に反するものであり,民事訴訟法2条の趣旨に照らし許されないと解すべきである。 エ以上によれば,被控訴人の前記主張は理由があるから,その余の点について判断するまでもなく,乙22を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如をいう控訴人らの主張は理由がない。 (6) 争点(4)カ(乙23を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如の無効理由の有無)について被控訴人は,控訴人ら主張の乙23を主引用例とする進歩性欠如の無効理由は,別件無効審判における「無効理由4」及び「無効理由5」と実質的に同一の事実及び同一の証拠に基づくものであるから,別件無効審判の請求人である控訴人日進並びに控訴人日進と密接な取引関係にある控訴人セイエー及び控訴人OHUの3者が,当審において,上記無効理由による無効の抗弁を主張することは,訴訟上の信義則に反し,許されない旨主張する。 そこで検討するに,控訴人らが原審及び当審において 控訴人セイエー及び控訴人OHUの3者が,当審において,上記無効理由による無効の抗弁を主張することは,訴訟上の信義則に反し,許されない旨主張する。 そこで検討するに,控訴人らが原審及び当審において主張する乙23を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如の無効理由は,前記(5)ア(ウ)認定のとおり,控訴人日進及び被控訴人間の確定した別件審決で排斥された「無 効理由4」及び「無効理由5」と実質的に同一の事実及び同一の証拠に基づくものと認められる。 そうすると,前記(5)ウ及びエで説示したのと同様の理由により,控訴人らが当審において乙23を主引用例とする進歩性欠如の無効理由による無効の抗弁を主張することは,訴訟上の信義則に反するものであり,民事訴訟法2条の趣旨に照らし許されないと解すべきであるから,被控訴人の上記主張は理由がある。 したがって,その余の点について判断するまでもなく,乙23を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如をいう控訴人らの主張は理由がない。 (7) 小括以上のとおり,控訴人ら主張の無効理由はいずれも理由がなく,本件特許は,特許無効審判により無効にされるべきものと認められないから,控訴人らの無効の抗弁(特許法104条の3第1項に基づく本件特許権の権利行使の制限)は理由がない。 5 争点(5)(被控訴人の損害額)について原判決の「事実及び理由」の第4の5記載のとおりであるから,これを引用する。 6 結論以上によれば,被控訴人の請求は,控訴人日進に対し,97万0768円及びこれに対する平成28年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払(うち48万5384円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員については控訴人OHUと連帯,うち24万2692円及びこれに対す 14日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払(うち48万5384円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員については控訴人OHUと連帯,うち24万2692円及びこれに対する同月15日から支払済みまで年5分の割合による金員については控訴人セイエーと連帯)の支払を,控訴人OHUに対し,48万5384円及びこれに対する同月14日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払(全額について控訴人日進と連帯,うち24万2692円及びこれに対する同 月15日から支払済みまで年5分の割合による金員については控訴人セイエーと連帯)を,控訴人セイエーに対し,24万2692円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払(全額について控訴人日進及び控訴人OHUと連帯)の支払をそれぞれ求める限度で理由があり,その余は理由がない。 したがって,これと同旨の原判決は相当であるから,控訴人らの本件控訴をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官古河謙一 裁判官岡山忠広 別紙1 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 【図5】 【図6】 【図7】 【図8】 別紙2【第4図】 【図7】 【図8】 別紙2【第4図】

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