令和6(わ)17 非現住建造物等放火、森林法違反、窃盗、建造物侵入

裁判年月日・裁判所
令和7年1月22日 山形地方裁判所 鶴岡支部
ファイル
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判決文本文3,270 文字)

令和7年1月22日宣告令和6年(わ)第17号、第20号、第24号、第25号、第29号、第33号判決(被告人の表示省略)主文 被告人を懲役5年に処する。 未決勾留日数中150日をその刑に算入する。 山形地方検察庁鶴岡支部で保管中のチャッカマン1個(令和6年領第70号符号1)及び簡易ライター1個(令和6年領第70号符号2)を没収する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、第1(令和6年12月9日付け起訴状記載第1の1の公訴事実)令和5年8月14日頃、山形県酒田市a所在のA株式会社資材置き場において、同所に駐車中の自動車の荷台から、B所有のインパクトドライバー等5点 在中のプラスチックケース1個(時価合計約4万3500円相当)を窃取し、第2(令和6年12月9日付け起訴状記載第1の2の公訴事実)窃盗の目的で、同日頃、前記資材置き場に設置された前記A株式会社代表取締役Cが看守するコンテナハウスに無施錠の北側出入口から侵入し、その頃、同所において、D所有のインパクトドライバー等4点在中のプラスチックケー ス1個(時価合計約1万2500円相当)を窃取し、第3(令和6年12月9日付け起訴状記載第2の公訴事実)窃盗の目的で、同年9月17日頃、前記Cが看守する前記コンテナハウスに無施錠の北側出入口から侵入し、その頃、同所において、E所有のインパクトドライバー等5点在中のプラスチックケース1個(時価合計約9100円相当) を窃取し、 第4(令和6年9月19日付け起訴状記載の公訴事実)令和6年5月5日午後6時頃から同日午後6時55分頃までの間に、東北森林管理局庄内森林管理署管理の山形県酒田市bにおいて、積み上げられていた伐採木に灯油をまいた上、チャッカマン型 載の公訴事実)令和6年5月5日午後6時頃から同日午後6時55分頃までの間に、東北森林管理局庄内森林管理署管理の山形県酒田市bにおいて、積み上げられていた伐採木に灯油をまいた上、チャッカマン型ライターでその付近に点火して火を放ち、その火を付近の立木等に燃え移らせ、よって、同署管理の国有林約8. 4平方メートルを焼損し、もって他人の森林に放火し、第5(令和6年8月21日付け起訴状記載の公訴事実)Fが所有し、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物である山形県酒田市c所在のA株式会社事務所(木造平家建、床面積約172.03平方メートル)に放火しようと考え、令和6年5月5日午後9時57分頃から 同日午後10時14分頃までの間に、同事務所東側勝手口付近に灯油をまいた上、チャッカマン型ライターでその付近に点火して火を放ち、その火を同事務所の壁面等に燃え移らせ、よって、同事務所を全焼させて焼損し、第6(令和6年7月11日付け起訴状記載の公訴事実)Gが所有し、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物である 山形県酒田市d所在の居宅(木造かわらぶき2階建、床面積約91.56平方メートル)に放火しようと考え、令和6年5月10日午後10時頃から同日午後10時20分頃までの間に、同居宅西側物置部分壁面の通気口枠周辺に灯油をまいた上、ライターで同通気口枠に点火して火を放ち、その火を同居宅の壁、天井等に燃え移らせ、よって、同居宅を焼損(焼損面積合計約57.68平方 メートル)し、第7(令和6年11月1日付け起訴状記載の公訴事実)Hが所有し、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物である山形県酒田市e所在の居宅(木造かわらぶき2階建、床面積合計約85.94平方メートル)に放火しようと け起訴状記載の公訴事実)Hが所有し、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物である山形県酒田市e所在の居宅(木造かわらぶき2階建、床面積合計約85.94平方メートル)に放火しようと考え、令和6年5月29日午後6時52分頃か ら同日午後6時55分頃までの間に、同居宅南側玄関付近に灯油をまいた上、 チャッカマン型ライターでその付近に点火して火を放ち、その火を同居宅の柱等に燃え移らせ、よって、同居宅を焼損(焼損面積合計約0.09平方メートル)し、第8(令和6年6月20日付け起訴状記載の公訴事実)酒田市が所有し、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物で ある山形県酒田市南新町1丁目6番13号所在の酒田市公園会館(瓦葺木造平家建、床面積約165.25平方メートル)に放火しようと考え、令和6年5月30日午後6時1分頃から同日午後6時21分頃までの間に、同会館西側壁面に灯油をまいた上、チャッカマン型ライターでその付近に点火して火を放ち、その火を同会館の壁に燃え移らせ、よって、同会館を焼損(焼損面積合計約2. 04平方メートル)したものである。 (証拠の標目)(記載省略)(法令の適用) (記載省略)(量刑の理由) 1 本件は、被告人が、山形県酒田市内で行った非現住建造物等放火4件(判示第5から第8まで)と国有林内の伐採木に放火した森林法違反1件(判示第4。以下、上記各放火を「本件各放火」と総称する。)、勤務先事務所の敷地内で行った 従業員の工具等の窃盗又は建造物侵入、窃盗の3件(判示第1から第3までの事実。以下「本件各窃盗等」という。)の事案である。 2 まず、本件の量刑の中心となる判示第5の事実を含む本件各放火をみると、放火の対象となった空き家や会社事務所 窃盗の3件(判示第1から第3までの事実。以下「本件各窃盗等」という。)の事案である。 2 まず、本件の量刑の中心となる判示第5の事実を含む本件各放火をみると、放火の対象となった空き家や会社事務所は、いずれも住宅等が密集する地域であった。公園会館や森林も、周辺に建物があるのみならず、公園会館の付近には樹木 や下草が、伐採木の周辺には立木が生い茂っていた。このような場所での放火は、 不特定多数の者の生命や財産が奪われる危険性が大きく、現に、判示第5の事実では、建物が全焼し、近隣民家への延焼の危険が極めて大きかったといえる。本件各放火が1か月も経たないうちに連続的に行われたことにより周辺住民が感じた恐怖が拡大したと考えられる点も無視できない。加えて、本件各放火で生じた財産的損害も甚大である。 被告人は、消防団の副分団長になったことのストレスが本件各放火の動機であったなどと述べるが、ストレスが生じていたこと自体は理解ができるとしても、こうした個人的な理由を犯罪の動機とした点は、身勝手というほかなく、同情することはできない。消防団員として、火災の危険性を人一倍認識しており、火災の予防、鎮圧を行うべき立場にあった被告人が放火を繰り返したことには、強い 非難が与えられるべきである。 3 次いで、本件各窃盗等をみると、被害額は総額で6万5100円と少なくなく、判示第2及び第3の各窃盗については被害品が被害者に還付されているものの、被告人の自発的な意思によるものではない。被告人は、当時の勤務先を困らせようと考えたのが窃盗のきっかけであり、酒代欲しさに本件各窃盗等に及んだ旨を 述べるが、身勝手かつ自己中心的な犯行といわざるを得ず、酌むべき点はない。 4 このように、総じて本件各放火及び本件各窃盗等の犯情は重いもので、相応の り、酒代欲しさに本件各窃盗等に及んだ旨を 述べるが、身勝手かつ自己中心的な犯行といわざるを得ず、酌むべき点はない。 4 このように、総じて本件各放火及び本件各窃盗等の犯情は重いもので、相応の実刑は免れないが、被告人に前科がなく、一部の事実については、被告人が自発的に自白をしたといった有利な事情を考慮し、主文のとおりの刑を科すことが相当であると判断した。 (求刑:懲役6年及び主文同旨の没収)令和7年1月22日山形地方裁判所鶴岡支部 裁判長裁判官萩原孝基 裁判官伊藤健太郎 裁判官海野泰信

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