- 1 -平成23年10月31日判決言渡平成22年(ワ)28073号地位確認等請求事件 主文 1 被告らは,原告に対し,各自,20万円及びこれに対する平成22年4月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを40分し,その1を被告らの,その余を原告の各負担とする。 4 この判決の1項は仮に執行することができる。 事実及び主張 第1 請求 1 原告が,被告日本航空株式会社(以下「被告会社」という。)に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告会社は,原告に対し,平成22年6月以降,毎月25日限り,1か月22万0848円及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 3 被告会社は,原告に対し,40万円及びうち20万円に対する平成23年4月1日から,うち20万円に対する平成23年7月6日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 4 被告らは,原告に対し,各自,500万円及びこれに対する平成22年4月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は,被告会社と雇用契約を締結した原告が,(1) 被告会社から同契約の- 2 -雇止め(更新拒絶)を通告をされたが,この雇止めは無効であると主張して,被告会社に対し,ア雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認,イ平成22年6月以降,毎月25日限り,1か月22万0848円及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで あると主張して,被告会社に対し,ア雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認,イ平成22年6月以降,毎月25日限り,1か月22万0848円及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6分の割合による賃金の支払,ウ40万円及びうち20万円に対する履行期の翌日である平成23年4月1日から,うち20万円に対する履行期の翌日である平成23年7月6日から各支払済みまで年6分の割合による賃金(一時金)の支払を求め,また,(2) 被告会社における原告の上司であった被告Z1が,原告に対して,被告会社からの退職を強要するなどして,原告の人格権を侵害したと主張して,被告Z1に対しては不法行為に基づいて,被告会社に対しては不法行為(使用者責任)及び債務不履行責任(職場環境調整義務違反等)に基づいて,慰謝料500万円及びこれに対する平成22年4月30日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める事案である。 2 前提事実争いのない事実,証拠(認定事実に付記したもの。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 当事者ア被告会社(平成23年4月1日,商号を「株式会社日本航空インターナショナル」から「日本航空株式会社」に変更した。)は,定期航空運送事業等を営む会社であり,平成22年1月19日,東京地方裁判所において会社更生手続開始決定がされ,平成23年3月28日,同裁判所において更生手続終結決定がされた(甲2,なお,被告会社は,昭和28年10月1日に設立されて以後,株式会社日本エアシステムとの経営統合,商号の変更,上記会社更生手続等を経ているところ,本件においては,そのいずれの時期においても単に「被告会社」と表示することとする。)。 イ被告Z1は,昭和52年9月,被告会社に入社し, 合,商号の変更,上記会社更生手続等を経ているところ,本件においては,そのいずれの時期においても単に「被告会社」と表示することとする。)。 イ被告Z1は,昭和52年9月,被告会社に入社し,客室乗務員としての- 3 -業務に従事し,平成19年4月からは,被告会社の客室本部羽田第2客室乗員部(ただし,平成21年3月までは「東京空港支店フライト旅客部(通称・KPN)」,以下「羽田第2客室乗員部」という。)●●グループのマネージャー(以下「MGR」という。)の地位にあったが,平成22年5月31日に被告会社を退職した(乙116,被告Z1本人)。 ウ原告は,平成20年5月13日,被告会社に契約社員(被告会社が1年間の有期限契約にて雇用する社員を「契約社員」という(甲4))として入社した。 (2) 羽田第2客室乗員部の組織羽田第2客室乗員部には,171グループないし176グループ,181グループないし186グループ及び191グループないし196グループの合計18のグループがあり,それぞれのグループは,更にA~Dの小グループから構成されており,合計72の小グループがある。羽田第2客室乗員部の最上位職は部長であり,1名配置されている。部長の下に,3名の次長が置かれ,それぞれ上記の171グループないし176グループ,181グループないし186グループ及び191グループないし196グループを統括している。各グループの統括者として,1名のMGRが置かれており,各グループのAとBの小グループ及びCとDの小グループにそれらを統括するキャビンスーパーバイザー(以下「SU」という。)が各1名置かれている。 AないしDの小グループは,それぞれ,契約社員6ないし7名,正社員であり契約社員の指導者の立場にあるフライトインストラクター(以 ャビンスーパーバイザー(以下「SU」という。)が各1名置かれている。 AないしDの小グループは,それぞれ,契約社員6ないし7名,正社員であり契約社員の指導者の立場にあるフライトインストラクター(以下「FI」という。)3ないし4名,正社員でありFIの上位の地位にある国際線先任客室乗務員資格保有者(以下「CDI」という。)1名で構成されている。 (甲5)(3) 就業規則の定め被告会社における契約社員就業規則には,雇用期間について「契約社員の- 4 -雇用期間は,1年とし,雇用契約において定めるものとする。」「会社が必要とし,かつ本人が希望した場合には契約を更新することがある」(第19条)と定められている(甲4)。 (4) 原告と被告会社間の雇用契約(以下「本件雇用契約」という。)の内容ア原告は,平成20年5月13日,被告会社との間で,雇用期間を同日から平成21年4月30日までとする雇用契約(以下「1年目契約」という。)を締結して被告会社に入社し,所定の初期訓練を経て,同年7月12日,客室乗務員に任用され,羽田第2客室乗員部に配属され,●グループに所属した。 1年目契約の更新条項は,「本契約は,契約期間満了に際し,乙(原告を指す。)の業務適性,勤務実績,健康状態等を勘案し,甲(被告会社を指す。)が業務上必要とし,乙が希望する場合には,本契約を更新することがある。」というものであった。 イ 1年目契約は,平成21年4月20日,以下の内容で更新された(以下,更新後の雇用契約を「2年目契約」という。甲3)。 (ア) 雇用期間同年5月1日から平成22年4月30日までの1年間但し,勤務日数が著しく不足する場合,または勤務実績の総合評定が一定基準に達しな 」という。甲3)。 (ア) 雇用期間同年5月1日から平成22年4月30日までの1年間但し,勤務日数が著しく不足する場合,または勤務実績の総合評定が一定基準に達しない場合には,甲(被告会社)乙(原告)双方の合意に基づき本契約における雇用期間を延伸することがある。合意に至らない場合は雇止めとする。 (イ) 就業場所羽田第2客室乗員部(ウ) 賃金基本給(時間給)は,実労働1時間につき1233円を支払う。機内サービス手当は,乗務1時間につき,国内線乗務時700円,国際線乗務時900円を支払う。但し,DEADHEAD時は支払わない。 (エ) 支払日毎月1日から末日までの期間について計算し,翌月25- 5 -日に支払う。 (オ) 退職雇用契約の期間が満了し契約を更新しないとき。 (カ) 更新条項本契約は,契約期間満了に際し,乙(原告)の業務適性,勤務実績,健康状態等を勘案し,甲(被告会社)が業務上必要とし,乙が希望する場合には,本契約を更新することがある。 (5) 本件雇止め被告会社は,平成22年3月31日,羽田第2客室乗員部のZ2次長を介して,原告に対し,「会社の決定であなたの契約を終了する。今なら自己都合退職にしてあげることもできるので,4月5日のなるべく早い段階までに気持ちをまとめて伝えて欲しい。」などと通告し,さらに,客室本部客室企画部部長Z3(以下「Z3部長」という。)名義による,2年目契約の更新をしないことを内容とする平成22年4月22日付け通知書(以下「本件通知書」という。甲6)を原告に交付し,2年目契約の雇止め(更新拒絶)の通告をした(以下「本件雇止め」という。)。 (6) 本件雇用契約終了 する平成22年4月22日付け通知書(以下「本件通知書」という。甲6)を原告に交付し,2年目契約の雇止め(更新拒絶)の通告をした(以下「本件雇止め」という。)。 (6) 本件雇用契約終了の説明被告会社は,Z3部長名義による平成22年4月29日付け「契約社員雇用契約終了の説明」と題する書面(以下「本件契約終了説明書」という。甲7)によって,原告に対し,本件雇止めにあたり検討した主な内容などを説明した。 3 争点(1) 本件雇止めに解雇権濫用法理の適用ないし類推適用があるか(2) 本件雇止めの効力(3) 被告Z1及び被告会社による不法行為等の成否(4) 賃金及び損害等 4 争点に関する当事者の主張- 6 -(1) 争点1(本件雇止めに解雇権濫用法理の適用ないし類推適用があるか)について(原告の主張)ア解雇権濫用法理の適用(ア) 以下イに記載した事情に鑑みれば,原告の雇用は,長期に継続することが前提とされていたもので,原則として契約更新がされるものであることが本件雇用契約の内容である。そうでないとしても,少なくとも原告は契約更新についての期待利益を有しており,この利益は合理的なものとして保護されるべきである。 (イ) 契約更新されることが契約内容となっている,又は労働者に更新に関する期待利益が認められる場合,雇止めにあたっていわゆる解雇権濫用法理が適用ないし準用される。そして,労働契約法16条は,解雇は客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は無効とすると定めている。 イ解雇権濫用法理が適用されるべき事情(ア) 雇用継続に合理性があること 理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は無効とすると定めている。 イ解雇権濫用法理が適用されるべき事情(ア) 雇用継続に合理性があることa 被告会社は,平成6年以降,新規に客室乗務員を雇用する場合,雇用期間を1年間とする社員(契約社員)として雇用契約を締結し,同契約を2回更新して雇用期間が通算3年に達した後,正社員として雇用契約を締結するという雇用形態をとっている。この雇用形態は,そのうち有期の契約社員である間をいわゆる試用期間に当たるものとし,2回の更新をして都合3年間勤務すると,新たに採用試験などを行わずに期間の定めのない雇用契約を締結して正社員に切り替えるというものである。 b 実際に,平成6年に被告会社に採用された104名の客室乗務員は,いずれも雇用期間1年の契約社員として雇用された後雇用期間が3年- 7 -を経過するに際し,在籍していた89名全員が,平成9年11月1日付け(34名)及び同年12月1日付け(55名)で正社員になっている。 c また,被告会社は,平成9年9月当時,契約期間満了に当たって正社員への切替が行われなかった場合,個別のケースを見て,6か月の間に切替が行われなかった事情が解消される可能性があること,本人の意欲があることの二つが認められれば,6か月間契約社員として勤務し,改めて正社員への切替の確認を行う場合があるとの見解を示していた。さらに,被告会社は,その募集要項などにおいて,有期雇用契約による契約社員を3年間経て正社員に切り替える旨の説明をしている。 d したがって,被告会社が新たに雇用する客室乗務員については,当初は有期雇用契約による社員であるが,それが更新され,勤務年数が3年を経過することをもって正 替える旨の説明をしている。 d したがって,被告会社が新たに雇用する客室乗務員については,当初は有期雇用契約による社員であるが,それが更新され,勤務年数が3年を経過することをもって正社員として雇用されることが雇用契約の内容となっている。 (イ) 契約更新の合理的期待が認められることa 上記のような雇用形態がとられる前は,新たに採用される客室乗務員は,正社員として採用され,常用性のある雇用であった。そして,この客室乗務員は,その業務適性を判断をするための訓練を受け,経験を積むことが求められ,その業務・権限の範囲も,当初は客室乗務員に求められる業務全てには及んでいなかった。 b 被告会社は,客室乗務員の募集に当たり,そのホームページにおいて,4年目移行を黒囲みして「正社員」と明記し,客室採用チームの者が「入社後,保安業務・機内サービス業務・英語などの訓練を受けた後,国内線乗務が始まります,その後さらに訓練を経て,国際線に乗務します。3年後には正社員の道へと進んでいきます。」と説明し- 8 -ている。また,募集要項には,雇用形態として,「契約社員(1年間の有期限雇用。但し,契約の更新は2回を限度とし,3年経過後は,本人の希望・適性・勤務実績を踏まえて,正社員への切替を行います。)」と記載している。これらの説明などは,客室乗務員の募集に応じた者に対し,特段の事情がない限り,1年間の期間を定めた雇用契約が2回更新され,3年経過時には新たに採用試験などを行わずに身分を契約社員から正社員に切り替える扱いがされることを期待させるものである。 c 被告会社は,2年目契約締結の際に経過観察期間の留保が付されたことをもって,原告には雇用継続に対する合理的期待が存在しないと主張するが, る扱いがされることを期待させるものである。 c 被告会社は,2年目契約締結の際に経過観察期間の留保が付されたことをもって,原告には雇用継続に対する合理的期待が存在しないと主張するが,契約社員については,特段の事情のない限り,2回の更新がされ,3年経過時には正社員になるとの取扱いが確立していること,そのことが原告と被告会社の共通の認識であったことに照らせば,単に原告が契約更新に当たって経過観察期間の留保が付されたとの一事をもって上記合理的期待が認められないとすることは相当ではない。 ウ試用的有期雇用契約(ア) 被告会社の主張は,契約社員としての3年間を,正社員登用に先立つ業務適性を見極めるための期間とする点で,いわば試用的な有期雇用契約期間と位置付けるものと思われる。 (イ) 仮に上記のような立場に立つとしても,その場合の雇止めは,有期雇用契約期間が試用目的で設定されたことに照らして,雇止めに客観的に合理的な理由が存し,社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許されるものであり,被告会社は雇止めに当たっては,適格性欠如の判断の具体的根拠を示す必要があり,また,その判断の妥当性が客観的に判定されることになる。その結果,上記合理的理由が存しない場合には,- 9 -当該雇止めは,解雇権濫用法理の適用により無効となる。 (ウ) 本件雇止めは,予定された更新回数を経ずに更新を拒絶して正社員としての採用を拒否したものであり,予定された更新回数を経た上で正社員として採用を拒否する場合と対比して,より一層の合理性と相当性が求められる。具体的には,予定された更新回数を経るまでもなく,従業員としての適性に著しく欠けると判断できるような特段の事情を要すると解すべきである。 対比して,より一層の合理性と相当性が求められる。具体的には,予定された更新回数を経るまでもなく,従業員としての適性に著しく欠けると判断できるような特段の事情を要すると解すべきである。 エ本件雇用契約における契約更新に関する条項と本件雇止め2年目契約においては,勤務の総合評定が一定基準に達しない場合には雇用期間を延伸することがある旨が定められており,現実にそのような例も存在する。本件において,原告は,このような延伸について,提示されたことも,打診されたことも,協議を行ったこともなく,雇止めの通告を受けている。したがって,何らの協議も行われていない以上,契約条項に反した雇止めであり,当然に無効である。 オ解雇の基準解雇の基準について,正社員と契約社員の間に差を設ける根拠は,正社員が長期雇用下にあり,契約社員との間に雇用保障に関して合理的差異が存在することに求められる。このことは,翻って,契約社員であっても,採用当初から雇用保障の強い約束があるなど,雇用継続の期待利益が極めて高い特殊な場合では,正社員に準じた解雇の基準が設けられてしかるべきものであることを意味している。その意味で,本件についても,単純に解雇の基準を下げることが正当化されるものではない。 (被告会社の主張)ア本件雇用契約には,期間の定めがあり,また,同契約は,実質的に期間の定めのない契約と同視しうるものではないから,解雇権濫用法理は適用されない。 - 10 -イ合理性のある雇用継続期待が存する場合に解雇権濫用法理が類推適用されることがあるとしても,以下のとおり,本件雇用契約において雇用継続に対する合理的期待は存在しないから,解雇権濫用法理が類推適用されることはない。 用継続期待が存する場合に解雇権濫用法理が類推適用されることがあるとしても,以下のとおり,本件雇用契約において雇用継続に対する合理的期待は存在しないから,解雇権濫用法理が類推適用されることはない。 (ア) 客観的要素a 契約社員の地位契約社員の地位が正社員としての業務適性を判断するための経験の過程と位置付けられ,そのため,業務・権限の範囲が正社員とは明確に区分され客室業務のうちの一部に限定されていること,正社員に登用される以前の契約社員の期間中は,雇用継続が当然に保障されるものではないことからすれば,契約社員という地位の性質は,被告会社の恒常的業務に就くことを予定したものとはいえない。 b 本件雇用契約の内容契約社員の契約更新が当然に予定されているものとはなっておらず,本件雇用契約(2年目契約)が経過観察期間という留保付きで締結されている。 c 更新回数,契約期間本件雇止め時における原告との更新回数は1回,通算契約期間は2年間であり,雇用継続に対する合理的期待が認められるものではない。 d 更新手続の厳格性被告会社の契約社員については,期間満了ごとに勤務実績等を勘案して更新の可否を判断し,更新の都度新たな雇用契約書に署名・押印を行う運用がされている。 (イ) 主観的要素a 雇用継続を約束する言動の不存在契約社員の募集時,本件雇用契約締結時のいずれにおいても,被告- 11 -会社が原告に対し雇用継続を約束するような言動をしたことはなく,かえって,原告に対しては,それまでの勤務評価からして契約終了すらあり得る旨 ,本件雇用契約締結時のいずれにおいても,被告- 11 -会社が原告に対し雇用継続を約束するような言動をしたことはなく,かえって,原告に対しては,それまでの勤務評価からして契約終了すらあり得る旨を伝達せざるを得なかったのである。これらのことからすれば,原告に被告会社による雇用継続を合理的に期待する状況など起こり得るはずもない。 b 本件雇用契約継続中の事由平成21年9月頃の時点で,国内線のサービスリーダー業務にアサインできない状態にあった原告については,被告会社の指導に対して能力・態度の改善という形で応えない限り,平成22年5月以降の雇用継続を期待し得るとはいい難い状況にあった。 ウ試用的有期雇用契約本件雇用契約は,1年間の契約期間を定めており,かつ,当然に更新が予定されているものではなく,本件雇用契約が試用的有期雇用契約に該当するものではない。そのことはさて置くとしても,通常試用契約の期間は,3か月が多く,長くて6か月程度とされている。被告会社の客室乗務員の育成,適格性の判断のためには一定の期間が必要であるとはいえるが,そのことを考慮に入れても,本件における2年間という期間は,能力向上の機会を与え,かつ,業務適性を判断するためには十分な期間である。 エ本件雇止め実施の理由被告会社は,原告に対し,本件雇止めに至るまで継続して注意・指導を実施してきたにも関わらず,平成21年9月2日の時点におけるモニタリングではE評価となるなど,原告の入社後2年目における能力・業務内容は,1年目に比較してむしろ悪化している状態であった。被告会社は,上記のような原告が,残り1年でサービスリーダー業務へのアサインから国際線乗務訓 となるなど,原告の入社後2年目における能力・業務内容は,1年目に比較してむしろ悪化している状態であった。被告会社は,上記のような原告が,残り1年でサービスリーダー業務へのアサインから国際線乗務訓練に至るまでの過程を経て,正社員として登用可能な水準に到達する見込みはないと判断したものである。 - 12 -オ本件において求められる合理的理由の程度仮に本件において,解雇権濫用法理が類推適用される余地があるとしても,本件雇止めに求められる合理的理由の程度としては,以下のとおり解されるべきである。 すなわち,労働者側の事由に基づく雇止めに関しては,一般に,労働契約法16条にいう「客観的に合理的な理由」よりも緩やかであるとされている。本件に関しても,長期雇用システム下にあって長期の勤続実績のある正社員の解雇と正社員登用以前の育成段階にあって勤続実績もわずかである契約社員の雇止めとを同列に論じられないのは明らかであって,解雇規制のハードルは自ずから異なるものとなる。 加えて,前記イの事情からすれば,本件雇止め時に原告が有していた雇用継続に対する合理的期待の程度は,類推適用が認められる雇止め事案の中でも低い部類に属している。このような観点からも,本件で求められる合理的理由の程度は,相当緩やかなものとなると解すべきである。 (2) 争点2(本件雇止めの効力)について(原告の主張)ア雇止めについての合理的・客観的事由についての判断基準(ア) 客室乗務員の契約制の過程は,正社員登用を経て60歳定年までの長期雇用が予定されている過程のうちの最初の3年間であり,国内線新人養成訓練終了の日までとされている試用期間の満了時に本採用とされ,その後数十年 員の契約制の過程は,正社員登用を経て60歳定年までの長期雇用が予定されている過程のうちの最初の3年間であり,国内線新人養成訓練終了の日までとされている試用期間の満了時に本採用とされ,その後数十年間にわたるキャリアを通じての指導・育成,技能の向上,慣熟を通じてキャリアアップする最初の3年間である。そこで,採用後2,3年の段階では,能力等が疑問視されていた者が,その後めざましい成長を遂げた例もあり,このわずか2,3年の評価で,能力・適性を判別して,契約更新の可否や正規雇用への転換の可否を決定してしまうことは,一般的には合理性・相当性を欠いている場合が多くなるも- 13 -のと考えられる。したがって,その判断には厳密な客観性・合理性が必要とされるのであり,本件雇止めにおいても,契約更新をして指導・訓練を重ねても,正規雇用形態への変更にむけて「特別例外的」に契約を継続することが不可能なほどの客観的・合理的事情が存在していることが必要である。 (イ) 契約社員を指導・育成する責務を有している者は,客室乗務員として必要かつ適正で具体的な指導・育成のもとに,その指導対象としている契約社員を公正に評価し,その評価に基づいて適切で必要な業務上の経験を同人に可及的に与え,他方,契約社員は上記指導育成のもとで経験を積み重ねて行くことによって,客室乗務員として必要な能力・適性を形成していくのである。そのためには,何よりも明確でわかりやすく適正で具体的な指導・育成と公正な評価が不可欠である。本件に即していえば,本件雇止めが,客観的・合理的に正当と判断されるためには,少なくとも以下の判断基準に照らして検討されることが必要不可欠である。 ① 何よりも指導・育成の責務を有する者による「具体的で適正な指導・育成」のもとに と判断されるためには,少なくとも以下の判断基準に照らして検討されることが必要不可欠である。 ① 何よりも指導・育成の責務を有する者による「具体的で適正な指導・育成」のもとに公正に評価が行われ,その評価に基づく指導・育成が積み重ねられること。 ② 契約社員に業務上必要な経験を積み重ねさせて習熟させ,その能力と適性を形成・向上させていく上で必要な業務上の機会を可及的に与えていること。 ③ にもかかわらず,契約社員が,能力と適性の形成,その改善に向けて努力する姿勢・意思が欠如し,かつ,努力しないこと。 ④ そのため経験の積み重ねによる習熟により改善することを不可能とする客観的事情が生じていること。 ⑤ また,経験を積み重ねても改善することを不可能にするほどの客室- 14 -乗務員としての適性が欠如しているなどの特別の客観的事情が存在していること,とりわけ,この適性判断については,ある程度の長期的視点に基づく客観的判断が求められること。 ⑥ 指導・育成期間中に,本人に過誤が生じたときでも,それらの事象が改善不可能とする客観的事情に起因していること,しかも,それらの過誤に対して適切な指導・育成が行われた上で,なお改善不可能とする客観的事情が存在していること。 ⑦ およそ1年後の正社員登用にける審査を経ることも必要ないといえるほど,その能力・成績,適性が劣悪であり,かつ改善可能性がないと認定できる客観的事情が存在すること。 ⑧ 以上の各事実を踏まえて,その能力・成績,適性等の評価に当たっては,悪意に満ちた感情的評価によるものでなく,客観的・合理的評価に基づいていること。 イ被告会社の本件雇止め事由 上の各事実を踏まえて,その能力・成績,適性等の評価に当たっては,悪意に満ちた感情的評価によるものでなく,客観的・合理的評価に基づいていること。 イ被告会社の本件雇止め事由(ア) 被告会社主張の別紙1「原告の勤務の経緯」に対する認否反論は,別紙2「「原告の勤務の経緯」に対する認否反論」に記載のとおりである。 被告会社による本件雇止め事由は,前記した客観的・合理的な基準に照らして,厳密に検証したものとはほど遠く,個別事象の過誤を取り上げている。それも事実として存在している事情は,極めてわずかであり,その取り上げ方も原告から直接確認する手続を欠いた不公正なものであり,また,大仰な評価をしている。そうした個別事象に対する主観的・感情的な評価に基づいて,特に契約社員1年目の業務習熟度チェック(以下「P1チェック」という。)の成績評価については,意識的に低位評価をするための作出までして,その低位評価を理由にして,さらに客室乗務員として必要な業務上の経験・機会を剥奪し続けるなどした上で,- 15 -能力・適性が認められないとして,雇止め理由を構成しようとするものである。こうした本件雇止めに客観性・合理性を見い出すことはできない。 (イ) 契約社員は,業務上様々な経験を積み重ね習熟していることによって,客室乗務員として必要な能力・適性を形成していくのであり,この過程には,指導担当者による適切な指導が決定的に重要である。また,指導担当者による指導が適切に行われるためには,指導基準が一般的には必要かつ有効である。しかし,被告会社には,MGR等の指導担当者に対する指導基準はなく,また,指導担当者の指導を支える指導体制もない。指導担当者に対する指導基準がないところで,その指導・評価が は必要かつ有効である。しかし,被告会社には,MGR等の指導担当者に対する指導基準はなく,また,指導担当者の指導を支える指導体制もない。指導担当者に対する指導基準がないところで,その指導・評価が主観的・意図的に行われるときには,その評価に客観性・合理性・公正性が保たれない危険性がある。 (ウ) 被告会社において,契約社員の契約更新いかんを決定・判断する上で,MGRの契約社員に対する評価・判断資料は,決定的意味を有している。そこで,MGRの契約社員に対する評価・判断には,合理的客観性がきびしく検証されなければならない。しかし,原告に対する被告Z1の評価・判断には,特別の悪意に満ちた主観的・感情的なものとなっており,また,その評価・判断は,極めて不公正な手続のもとに決めつけ評価が行われていたものであり,そこに合理性・客観性・公正性を見い出すことができないものとなっている。 (被告会社の主張)ア契約社員に求められる能力・職務遂行の水準客室乗務員に求められる能力とは,①航空機の円滑かつ100%安全な運航に必要な業務知識を習得していること,②高い品質の旅客サービスを提供するため適切な接客対応を行うことにある。そして,契約社員に求められるのは,3年間の育成プログラムにおいて,今後被告会社の正社員と- 16 -して継続的に上記①②を遂行するに十分な知識・経験を身に付けることである。 イ客室乗務員の業務(ア) 被告会社は,運航の安全を確保するために,運航に関する基準・手続を定めている。そして,客室乗務員の業務手順・業務知識等はかかる運航に関する基準・手続を遵守するために必要なものであるとともに,客室乗務員が業務を行うに当たっては,かかる手順・知識に従っ 基準・手続を定めている。そして,客室乗務員の業務手順・業務知識等はかかる運航に関する基準・手続を遵守するために必要なものであるとともに,客室乗務員が業務を行うに当たっては,かかる手順・知識に従った業務を行う必要がある。 (イ) 被告会社が行う事業においては,乗客からの運賃収入が主要な収入となるが,同事業において客室乗務員には乗客から高水準のサービスが求められており,被告会社においては,これに応えるために客室乗務員の業務の基準を定め,同乗務員に対してその遵守を徹底している。 (ウ) 機内における客室乗務員の配置は,一定範囲の客席・ドア,ギャレーごとに担当を決め,担当範囲については,基本的に担当者一人で処理する体制となっている。そして,これを一通り処理できるだけの知識・技量を身に付けているかの確認を行うのがP1チェックである。 ウ被告会社における契約社員に対する指導(ア) 契約社員の育成を担うFI全員に対し,「KPN指導ガイダンス」を配布し,FIとしての心構え,日常乗務の中での指導要領,指導時の注意事項等について周知を図っている。 (イ) OJT実施の際のガイダンスとして,「新人OJT実施要領」をマニュアルとして定め,指導のポイント,評価のポイント等を定めている。 また,その評価の際の評価シートの書式,記入要領も定め,指導を行った客室乗務員が,評価シートを記入する際の基準について明記している。 (ウ) OJT終了後の育成については,「KPN指導ガイダンス」において,OJT終了後の育成カリキュラム,及びフライトにおける指導要領- 17 -について明示している。 (エ) パフォーマンスチェックを行い,その実施要領については,毎年度,担当するS いて,OJT終了後の育成カリキュラム,及びフライトにおける指導要領- 17 -について明示している。 (エ) パフォーマンスチェックを行い,その実施要領については,毎年度,担当するSU及びCDIの全員に対して,「HOZ契約社員パフォーマンスチェック実施要領」を配布し,その実施時期,評価基準等について周知を図っている。また,「パフォーマンス評価基準について」を定め,5段階による評価が恣意的なものとならないようにしている。 (オ) 本件における原告に対する指導,あるいは評価についても上記基準に従ってなされた適正なものである。 エ原告の勤務態様等(ア) 原告の被告会社における勤務態様は,別紙1「原告の勤務の経緯」のとおりである。これだけ多くの問題行動を重ね,改善がないまま2年間を費やした契約社員は,被告会社において過去に類例がない。しかも,その問題行動の数々は,いずれも過失というよりも,問題認識の欠落又は認識しつつもそれを放置した業務懈怠に起因するものである。 (イ) このように原告には,業務知識の不足,接客対応の不備,業務上必要な注意力不足,業務への取組み姿勢の不良,服装等に関する基準の違反といった問題があった。そして,原告の上司らは繰り返し注意・指導を行ってきたが,それにもかかわらず,上記諸点は解消されなかった。 さらには,原告は,表面上は反省の姿勢を見せることはあったが,平成21年3月頃からは,被告Z1との会話を無断録音し続けており,このことは,常に自己を正当化する,責任を自分ではない何ものかに転嫁する行動姿勢を示すものにほかならず,原告の上司らの指導を真摯に受け止める姿勢も見られなかった。原告は,客室乗務員として求められる一定水準以上の業務上の知識を有せず,また,接 ではない何ものかに転嫁する行動姿勢を示すものにほかならず,原告の上司らの指導を真摯に受け止める姿勢も見られなかった。原告は,客室乗務員として求められる一定水準以上の業務上の知識を有せず,また,接客態度についても必要な水準に達することはなかった。そして,上記各問題は改善する見込みもなかった。このように乗務に当たり不適切な行為を繰り返すことは,航- 18 -空安全に重大な影響を与えるものであり,航空事業を営む被告会社において軽視できるものではない。 (ウ) これらの問題行動の数々に関する原告の言動,本件訴訟における原告の主張のいずれを見ても,言い訳,自分以外の何ものかへの責任転嫁に終始し,自分自身の課題を認識することができなかったことが明らかであり,そして,そのこと又はそのように自身の問題点を認識できていないことこそが原告における客室乗務員としての適格性の欠如を明白に示している。 (エ) 被告会社は,原告を2年目経過時点において雇止めにしているが,それは,以下の理由による。すなわち,被告会社の客室乗務員育成プログラムにおいては,P1チェック,サービスリーダー業務へのアサイン,P2チェック,国際線移行選考,国際線乗務訓練という過程を経て,正社員登用可能と判断されるだけの能力を取得するものである。しかるに,入社後2年間が経過した時点において,P1チェックにおける標準レベルにも達していない原告が,残り1年で上記過程を経て正社員として登用可能な水準に達する見込みはないということである。 オまとめ以上のとおり,原告は,客室乗務員として求められる一定水準以上の業務上の知識を有せず,また接客態度についても必要な水準に達することはなかった。また,業務の懈怠や服装に関する規定の違反といった行為があり, とおり,原告は,客室乗務員として求められる一定水準以上の業務上の知識を有せず,また接客態度についても必要な水準に達することはなかった。また,業務の懈怠や服装に関する規定の違反といった行為があり,その勤務態度も不良であった。この点について被告会社は,繰り返し指導を行ったものの改善することはなかった。そこで,被告会社としては,これ以上改善の見込みはないとして,本件雇止めの判断に至ったものである。 したがって,仮に本件雇止めについて解雇権濫用法理の類推適用があるとしても,原告が客室乗務員としての適性及び能力を欠くことは明らかで- 19 -あり,本件雇止めは有効である。 (3) 争点3(被告Z1及び被告会社による不法行為等の成否)について(原告の主張)ア被告Z1(ア) 原告の直属上司である被告Z1は,原告を退職させようと企て,部下のCDIらと意思を相通じて,原告に対し,執拗な退職勧奨,退職強要行為を行い,原告の人格権を侵害した。このような被告Z1の一連の人格権侵害行為のうち,個別の言動それ自体が人格権を侵害する行為については,別紙3「Z1MGRによる人格権侵害行為」に記載のとおりである。これらの退職強要は,被告らが主張するような原告に対する指導・育成などというものではなく,明確に原告を退職させようとして行われたものであり,しかも原告が明確に退職の意思がないことを伝えていたにもかかわらず,繰り返し長時間かけて行われたものであって,その途中に被告Z1が原告に発した原告の人間性・人格を否定する内容の発言,机を叩き,大きな声で話すといった威迫的な行為と合わせて,明らかに原告の人格権を侵害する違法な行為である。 (イ) 被告Z1は,前記した退職強要自体は平成21年9月をもって取り 内容の発言,机を叩き,大きな声で話すといった威迫的な行為と合わせて,明らかに原告の人格権を侵害する違法な行為である。 (イ) 被告Z1は,前記した退職強要自体は平成21年9月をもって取りあえず中止しているが,退職強要に引き続き,これと一体として,被告会社をして原告を雇止めとするように誤った職務執行を行い,原告の人格的利益を構成する,雇用契約において正常な処遇を受ける利益を侵害する行為を行った。 イ被告会社(ア) 被告Z1の上記行為は,被告会社の業務の一環として行われたことが明らかであるから,被告会社は,被告Z1の使用者として,被告Z1の不法行為に基づく責任を負う。 (イ) 被告会社は,雇用契約における使用者として,被告Z1らが退職強- 20 -要等の違法行為を行うことがないよう,また,被告会社の管理職による誤った職務執行行為等によって違法な雇止め等の措置が講じられることのないようにに職場環境を調整し,従業員が適切な処遇を受けられるように配慮する義務があるのにこれを怠り,原告に対する違法な本件雇止めがされたのであり,かかる被告会社の行為は,原告に対する債務不履行を構成する。 (被告らの主張)ア被告Z1ら原告の上司は,知識あるいは業務スキルが十分に定着していないと評価された原告に対して,業務後の振り返りや面談を行うなどして,問題意識をもって注意・指導を行ってきたが,指導した内容が定着せず,平成21年4月頃からは,原告は,指導に対して反抗的な姿勢も示すようになった。原告は,上司らの指導に対して,「私だけに冷たい態度をとる」といった被害者意識を持つようになるなど,改善姿勢が見られず,本件雇止めに至るまで原告の能力不足の問題は解消することがなかった。被告Z1らは,原告に対して,能力 対して,「私だけに冷たい態度をとる」といった被害者意識を持つようになるなど,改善姿勢が見られず,本件雇止めに至るまで原告の能力不足の問題は解消することがなかった。被告Z1らは,原告に対して,能力改善のために十分な指導を行ってきたものである。 イ被告Z1の発言の録音内容からしても,被告Z1の原告に対する指導が適切になされたこと,被告Z1の指導が原告の人格権を侵害するものでないことは明らかである。また,本件雇止めの判断に被告Z1は関与していない。 ウ被告Z1の行為が原告に対する不法行為を構成することはないし,被告会社が債務不履行責任を負うこともない。 (5) 賃金及び損害等(原告の主張)ア賃金(ア) 賃金- 21 -原告は,本件雇止め前3か月間の賃金として,平成22年2月支払分20万8414円,同年3月支払分23万5130円,同年4月支払分21万9000円の各支払を受けた。以上の1か月当たりの平均額は22万0848円となる。 (イ) 一時金a 被告会社は,平成23年3月29日,契約社員に対し,生活調整手当名目で,以下①ないし③の内容の一時金の支給を決めた。 ① 支払額夏期分と年末分の合算額とする。夏期分は,平成22年7月5日時点で,3年目の社員は10万円とする。年末分は,同年12月10日時点で,3年目の社員は10万円とする。 ② 支払対象者平成23年3月31日時点で契約社員として在籍した者。 ③ 支払日平成23年3月31日b 被告会社は,平成23年6月9日,契約社員に対し,夏 平成23年3月31日時点で契約社員として在籍した者。 ③ 支払日平成23年3月31日b 被告会社は,平成23年6月9日,契約社員に対し,夏期精勤手当名目で,以下の①及び②の内容の一時金の支給を決めた。 ① 支払額契約社員3年目以降の者は20万円② 支払日平成23年7月5日イ慰謝料原告は,被告Z1による前記人格権侵害行為及びこれと一体となった被告会社による本件雇止めを受け,甚大な精神的苦痛を被った。これに対する慰謝料は500万円を下ることはない。 (被告らの主張)- 22 -原告の契約終了前3か月間の賃金の支払実績,平均額は認め,その余は争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件雇止めに解雇権濫用法理の適用あるいは類推適用があるか)について(1) 認定事実争いのない事実,前提事実,証拠(認定事実に付記したもの。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア契約社員制度導入の経緯等平成6年8月頃,被告会社は,子会社であるジャパンエアチャーターで契約社員を採用し,出向形態で被告会社の国内線に乗務させるとの施策を示したところ,これが社会的な問題として取り上げられ,被告会社は,労働条件の一部を見直し,「雇用形態は1年間の有期限雇用とする。但し,3年経過後,本人の希望・適性・勤務実績を踏まえて一般の正社員への切り替えを行う。」などの計画を運輸省(当時)に提出し,運輸省もこれを了承したことから,このような形で客室乗務員の募集をすることに ,3年経過後,本人の希望・適性・勤務実績を踏まえて一般の正社員への切り替えを行う。」などの計画を運輸省(当時)に提出し,運輸省もこれを了承したことから,このような形で客室乗務員の募集をすることになった。 そして,これを契機に,当時の日本エアシステム株式会社,全日本空輸株式会社等も契約社員の採用を開始し,以後,日本の主な航空会社では客室乗務員の採用はすべて契約制となった。(甲10)イ被告会社の募集要項の記載被告会社は,客室乗務員の募集要項において,募集内容として「客室乗務員業務(国内線及び国際線)および一部地上業務の両方に従事します。」,雇用形態として「1年間の有期限雇用,但し,契約の更新は2回を限度とし,3年経過後は,本人の希望・適性・勤務実績を踏まえて正社員への切り替えを行います。」と記載した(甲9の1・2)。 ウ被告会社の団体交渉の際の発言- 23 -使用者側として被告会社において団体交渉を担当した社員は,平成21年6月12日の労働組合との団体交渉の際に,契約社員について「余程のことがない限り契約更新するのは当たり前です。」「基本的に多くの方に正社員になっていただきたいというのは会社の考え方」「自己都合で退職される方はいらっしゃるが,退職強要はない。」などと発言した。 エ正社員としての採用平成6年に被告会社に採用された102名の契約社員は,平成9年11月1日付けで34名,同年12月1日付けで55名,総数89名の在籍者全員が正社員として採用された(当初採用された契約社員との比較でいえば,約87パーセントの契約社員が正社員として雇用されたことになる。)。 当時,2年経過した契約社員の中で保安要員としての適性に欠けるとして契約更新され 用された(当初採用された契約社員との比較でいえば,約87パーセントの契約社員が正社員として雇用されたことになる。)。 当時,2年経過した契約社員の中で保安要員としての適性に欠けるとして契約更新されなかった社員が1名存在した。(甲11)オ本件雇用契約本件雇用契約においては,2年目契約の雇用期間について「平成21年5月1日から平成22年4月30日までの1年間,但し,勤務日数が著しく不足する場合,又は勤務実績の総合評定が一定基準に達しない場合には,甲(被告会社)乙(原告)双方の合意により雇用期間を延伸することがある。合意に至らない場合は雇止めとする。」と,契約更新について「本契約は,契約期間満了に際し,乙(原告を指す。)の業務適性,勤務実績,健康状態等を勘案し,甲(被告会社を指す。)が業務上必要とし,乙が希望する場合には,本契約を更新することがある。」とされていた。 カ原告の認識原告は,1年目契約を締結するに際しては,被告会社の募集要項等を見て,また,被告会社担当者からの説明を聞いて,3年後には正社員に登用されるものと考えた(原告本人)。 キ被告会社が契約社員制度を採用した理由- 24 -被告会社が,契約社員制度を採用したのは,契約社員は,その雇用期間中,様々な教育,研修を受けながら,実際に機内業務及び地上業務に就き,その勤務状況についてSU,CDI等からの指導,評価を受けることによって,正社員としての知識,技能等を習得していき,1年間の期間を区切って毎年の期間満了時に更新の可否を判断されつつ,合計3年間の経験を経た上で正社員としての業務適性があると認められたときに初めて長期の雇用継続が保障されうる正社員の地位に登用されることになるという考え 毎年の期間満了時に更新の可否を判断されつつ,合計3年間の経験を経た上で正社員としての業務適性があると認められたときに初めて長期の雇用継続が保障されうる正社員の地位に登用されることになるという考え方に基づいている。 ク被告会社の契約社員に対する育成プログラム(ア) 1年目a 契約社員は,入社直後の2日間に入社教育が行われ,次に32日間のTID訓練(国内線乗務に就くための客室サービス・保安任務等に関する初期の専門訓練)が行われる。その後14日間のOJT訓練(インストラクターについて,実際に乗務しながら実業務を習得する訓練),1日間のOJTレビュー(OJT訓練の評価)が実施される。 以上の教育・訓練を経た上で,客室乗務員に任用され,MGR・SU・CDIのもとで国内線乗務に就き,その指導・評価を日々の業務の中で受けながら経験を重ねていく。日々の業務における習熟度の確認としては,必要に応じてモニタリングが実施され,所属するグループ以外のFIによって機内業務の遂行状況が評価される。 b 1回目の契約更新の約3か月前にP1チェックが実施され,1年目の契約社員に対する業務習熟度のチェックがされる。そして,P1チェックの評価結果などを勘案して1回目の更新の可否が判断され,①無条件での更新,②経過観察期間を伴う条件付きの更新,③雇止め対象,に分けられる。①の場合には,更新後にサービスリーダー業務(国内線の機内サービスの取りまとめ役としてSUやCDI等の先任客室- 25 -乗務員(客室の総責任者)を補佐する役割)にアサイン(業務割当て)され次のステップに進むことになるが,②の場合には,部長面談を実施して部長指導書が交付され,経過観察期間中はサービスリーダー業務へのアサインがさ の総責任者)を補佐する役割)にアサイン(業務割当て)され次のステップに進むことになるが,②の場合には,部長面談を実施して部長指導書が交付され,経過観察期間中はサービスリーダー業務へのアサインがされない。 (イ) 2年目2年目は,サービスリーダー教育・CRM訓練(他の客室乗務員との連携を発揮できるよう適切なコミュニケーションの取り方などを習得する訓練)を受講した上で,国内線サービスリーダー業務に従事することになる。これにより,国際線業務を遂行するに足る知識,技量及び経験を身につけていく。サービスリーダー業務を一定程度経験した契約社員は随時P2チェックとして,上記業務の習熟度がチェックされる。入社から約1年半経過した後に国際線移行選考が行われる。選考において基準に達した者は,国際線移行訓練を受講した上で国際線乗務に就くことになる。以上に対し,1回目の更新時に経過観察期間中とされた契約社員は,引き続き国内線乗務に就き,同業務において,MGR,SU,CDI等が評価してサービスリーダー業務に就くに足る知識・経験を習得したと判断された場合には,無条件で1回目の契約更新された契約社員と同じ処遇を受ける。 (ウ) 3年目3年目は,国際線乗務に進んだ者について,同乗務の業務習熟度チェックが実施される。そして,3年目の期間満了に当たって,上記チェックの結果や日常乗務の状況をMGR・次長・部長の3次にわたりそれぞれ評価を行い,正社員に相当する基準に達すると認められる場合には,正社員化委員会での社内決済を経て,被告会社との間で期間の定めのない雇用契約を締結することになる。 (2) 検討- 26 -ア解雇権濫用法理の適用について前記(( 委員会での社内決済を経て,被告会社との間で期間の定めのない雇用契約を締結することになる。 (2) 検討- 26 -ア解雇権濫用法理の適用について前記((1)オ)認定のとおり,本件雇用契約は,契約期間の存在が明記され,また,業務適性,勤務実績,健康状態等を勘案し,被告会社が業務上必要とする場合に契約を更新することがあるという条件が明示され,契約の自動更新について何らの定めがない雇用契約であるから,前記((1)アないしウ)認定事実を考慮にいれても,契約社員の2年目契約が自動的に更新されることあるいは雇用期間が通算3年に達した後に正社員として雇用されることが原告と被告会社間の雇用契約の内容となっているということはできない。したがって,契約社員の雇止めについて,当然に解雇権濫用法理の適用がある旨の原告の主張は採用することができない。 イ解雇権濫用法理の類推適用について(ア) 一方,被告会社において契約社員制度が採用された経過(前記(1)ア),被告会社における客室乗務員は,すべて契約社員として採用され,その後正社員に登用されるのであって別に正社員として採用される制度が存在しているわけではないこと(弁論の全趣旨),被告会社の募集要項にも,雇用形態として「契約社員(1年間の有期限雇用。但し,契約の更新は2回を限度とし,3年経過後は,本人の希望・適性・勤務実績を踏まえて,正社員への切り替えを行います。)」と記載されていること(前記(1)イ),このような募集要項を前提として採用された原告を含む契約社員においては,将来正社員として採用され,長期間雇用されることを通常期待するであろうし,原告もそれを期待したこと(前記(1)カ,弁論の全趣旨),被告会社も,労働組合との団体交渉において,契約 契約社員においては,将来正社員として採用され,長期間雇用されることを通常期待するであろうし,原告もそれを期待したこと(前記(1)カ,弁論の全趣旨),被告会社も,労働組合との団体交渉において,契約社員について,「余程のことがない限り,契約更新するのは当たり前です。」との見解を述べていること(前記(1)ウ)などからすれば,一般的にいえば,被告会社の契約社員についての雇用継続に対する期待利益は法的保護に値するものがあるといえる。 - 27 -(イ) 被告会社は,雇用継続に対する合理的期待が存在しない理由として,契約社員制度における同社員の地位等の客観的な事情に加えて,原告については,2年目契約締結に当たっては,それまでの勤務評価等から原告が被告会社による雇用継続を合理的に期待する状況が起こり得るはずもないなどと本件雇用契約継続中に生じた原告固有の事情を主張する。 確かに,雇用継続に対する合理的期待については,個別の雇用契約について検討されるべきものであるから,被告会社が主張する事情が上記の点の検討に当たり無関係な事情とはいえない。しかし,それ自体が完成された一つのシステムであるといえる契約社員制度が問題となっている本件においては,上記合理的期待の有無の検討に当たっては,契約社員としての業務の性格・内容,契約更新手続の実態,被告会社の継続雇用を期待させる一般的な言動の有無などの事情を重視すべきものであって,当該契約社員の業務適性やこの点に関して被告会社と原告間に生じた事情等を重視するのは相当ではない(本件は,被告会社の原告に対する勤務評価それ自体の相当性が争われている事案といえる。)。 (ウ) 以上検討してきたところからすれば,本件雇用契約において,その雇用期間経過によって,雇用契約が当然に終了するとい る勤務評価それ自体の相当性が争われている事案といえる。)。 (ウ) 以上検討してきたところからすれば,本件雇用契約において,その雇用期間経過によって,雇用契約が当然に終了するというのは相当ではなく,本件雇止めに当たっては,解雇権濫用法理が類推適用されると解すべきである。 ウ本件に解雇権濫用法理を類推適用する場合の考え方(ア) 解雇権濫用法理が類推適用されると,一般的にいえば,雇止めが,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合には権利の濫用として無効となることになる(労働契約法16条)が,雇止めの場合において,雇用契約の内容としては,契約期間が定められ,その期間が経過することにより雇用契約が終了が合意されている事案ということができるから,雇止めが「客観的に合理的な理由を欠き,社会- 28 -通念上相当であると認められない」かどうかの判断に当たっては,解雇権濫用法理が当然に適用される期間の定めのない雇用契約の場合と同一とはいえず,当該雇用契約の性質,内容を十分に考慮した上での判断が求められるというべきである。 (イ) この点について,本件雇用契約について検討すると,前記((1)キ)認定のとおり,被告会社が,契約社員制度を採用したのは,契約社員は,その雇用期間中,様々な教育,研修を受けながら,実際に機内業務及び地上業務に就き,その勤務状況についてSU,CDI等からの指導,評価を受けることによって,正社員としての知識,技能等を習得していき,1年間の期間を区切って毎年の期間満了時に更新の可否を判断されつつ,合計3年間の経験を経た上で正社員としての業務適性があると認められたときに初めて長期の雇用継続が保障されうる正社員の地位に登用されることになるという考え方に基 期間満了時に更新の可否を判断されつつ,合計3年間の経験を経た上で正社員としての業務適性があると認められたときに初めて長期の雇用継続が保障されうる正社員の地位に登用されることになるという考え方に基づいているところ,航空機の運航の安全を確保するためには,運航に関する基準・手続が定められ,客室乗務員の業務手順・業務知識等はかかる運航に関する基準・手続を遵守するために必要なものであるとともに,客室乗務員が業務を行うに当たっては,かかる手順・知識に従った業務を行う必要があり,また,客室乗務員は,緊急時の保安要員として乗客の安全に重大な責任を負う立場にあると認識されていること(甲11,弁論の全趣旨),さらには,一般に,航空機の乗客は,客室乗務員に対しては,高い水準のサービスを求め,客室乗務員はこれに応じるべき立場にあるといえること(弁論の全趣旨)からすれば,上記被告会社が契約社員制度を採用した理由について,不合理なものということはできない。 (ウ) そうすると,被告会社において,採用した契約社員について,前記((1)ク)認定にかかる育成プログラムによって指導するとともに,その期間中,客室乗務員としての適性判断を行うことは重要なことであると- 29 -考えられ,客室乗務員として業務適性を欠くと判断される契約社員を雇止めにすることには合理性が認められる。したがって,解雇権濫用法理が類推適用され,雇止めが「客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない」かどうかということについて,雇止めが業務適性の欠如を問題とする場合(被告会社は,「原告は,客室乗務員として求められる一定水準以上の業務上の知識を有せず,また接客態度についても必要な水準に達することはなかった。残り1年で正社員として登用可能な水準に達する見込みはないと判断 は,「原告は,客室乗務員として求められる一定水準以上の業務上の知識を有せず,また接客態度についても必要な水準に達することはなかった。残り1年で正社員として登用可能な水準に達する見込みはないと判断した。」と主張する。),被告会社における,当該契約社員についての業務適性を欠くという判断が不合理なものということができるかという観点から検討されるべきであり,上記判断が不合理なものと認められれば,雇止めが,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められず,無効となるといえる。 (エ) 原告は,客室乗務員の契約制の過程は,正社員登用を経て60歳定年までの長期雇用が予定されている過程のうちの最初の3年間であり,この期間の評価で,能力・適性を判別して,契約更新の可否や正規雇用への転換の可否を決定してしまうことは,一般的には合理性・相当性を欠いているのであり,本件雇止めにおいても,契約更新をして指導・訓練を重ねても,正規雇用形態への変更(登用)にむけて「特別例外的」に契約を継続することが不可能なほどの客観的・合理的事情が存在していることが必要とされ,契約社員の雇止めについては,契約更新をして指導・訓練を重ねても,正規雇用形態への変更に向けて「特別例外的」に契約を継続することが不可能なほどの合理的・客観的事情が存在していることが必要であり,2年目から3年目にかけての雇止めが,客観的・合理的に正当と判断されるための判断基準について,前記(第2・4(2)(原告の主張)ア(イ)①ないし⑧)のとおり主張する。しかし,この- 30 -見解は,前記したところに照らして,採用することはできない。 エ契約更新条項についてなお,原告は,2年目契約においては,雇用期間を延伸することがある旨が定められてい 見解は,前記したところに照らして,採用することはできない。 エ契約更新条項についてなお,原告は,2年目契約においては,雇用期間を延伸することがある旨が定められているにもかかわらず,本件において,原告は,この延伸について何らの打診を受けず,何らの協議も行われてないまま雇止めされているから,本件雇止めは契約条項に反し,当然に無効である旨主張する。 しかし,前記(第2・2(4)イ(ア))認定のとおり,2年目契約においては,勤務実績の総合評定が一定基準に達しない場合などには,被告会社と原告の双方の合意に基づき契約の雇用期間を延伸することがあり,合意に至らない場合は雇止めとすると定められているのであるから,延伸について打診,協議がされずに雇止めがされたとしてもそれをもって契約条項に反するとはいえない。原告の上記主張は独自の見解といわざるを得ず,採用することはできない。 2 争点2(本件雇止めの効力)について(1) 事実経過及び被告会社による原告の評価争いのない事実,前提事実,証拠(乙85,98,被告Z1本人,認定事実に付記したもの。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア原告は,平成20年5月13日,被告会社との間で,1年目契約を締結して被告会社に入社した。そして,原告に対して,同月15日から同年6月27日までの間,TID訓練と呼ばれる客室乗務員としての初期訓練が,同月28日から同年7月11日までの間,OJT訓練が実施され,同月14日,チェックアウト(訓練過程が終了し,実運航の業務に就くこと。)した。原告に対しては,TID訓練の期間において「集中力が続かない」「表情が維持できない」という点が指摘されていた。また,原告は,上記期間中に実施された危険物試験で合格点に達せず 業務に就くこと。)した。原告に対しては,TID訓練の期間において「集中力が続かない」「表情が維持できない」という点が指摘されていた。また,原告は,上記期間中に実施された危険物試験で合格点に達せず,追試により合格した。 原告の他23名の訓練生中,上記追試を受験したのは原告のみであった。 - 31 -(乙1ないし3)イ原告は,同年7月12日,客室乗務員に任用されて羽田第2客室乗員部に配属され,●グループに所属した。同グループにおける上司は,Z4CDI,Z5SU,被告Z1(MGR),Z6次長及びZ7部長であった。 ウ同年8月21日,Z5SUは,被告Z1に対し,月次報告書をメール送信する際,「原告が気になる。」旨記載した。また,被告会社は,契約社員に関する勤務時の問題点,あるいはそれに対する注意指導の内容についてとりまとめていたところ,原告に関してはこれをZ5SUが月毎にとりまとめていた。Z5SUは,原告について,Z4CDI等からの報告も踏まえて,平成20年8月以降,平成21年3月までの間の原告の業務について,平成20年8月には「一生懸命に努力をしているが定着が遅く,知識の行動化ができていない。08新人の中,最も気がかりなATである。」などと,同年9月には「技量面,知識面,どちらも定着が遅い。今後が大変心配である。FIだけでなく,AT*のシニアにもどんどんアドバイスしてあげるよう依頼済み。」などと,同年10月には「仕事に対する意欲は感じられる。しかしながら単純なGLYWORKでのケアレスミスが多く,成長があまり見られない。各DUTYをしっかりとこなせるよう,アドバイスを行った。」などと,同年11月には「自分の担当ではないドアのモードを変更しようとした事例が発生した,寸前で声をかけることができ,変更には至らなかったが, UTYをしっかりとこなせるよう,アドバイスを行った。」などと,同年11月には「自分の担当ではないドアのモードを変更しようとした事例が発生した,寸前で声をかけることができ,変更には至らなかったが,それ以外にもケアレスミスは多い。仕事に対する意欲は感じられる。コミュニケーション力に欠ける。」などと,同年12月には「仕事内容が*Bのレベルに達しておらず,どのDUTYも業務定着が十分ではない。何度も個別に指導を実施している。先日のFLTでは,ブリーフィング時の発言は積極的であり頑張りがみられた。」などと,平成21年1月には「最近はD/H時にも勉強するなど意欲的に取り組んでいる。知識が行動に結び付いていない点と自分のレベルを把握- 32 -(認識)できていない点において今後も要注意である。」などと,同年2月には「どのDUTYにおいても定着しておらず,業務を任せられない。 本人はやる気を見せているが,他のクルーに負担がかかっているのは明らかである。DH時,シートポケット内の雑誌,イヤホン袋など適当に突っ込んで降機しようとしていた。」などと,同年3月には「未だすべての業務において定着していない。適性の面でも,明らかにこの仕事には不向きである。今後も業務の定着度をCHKし,努力しても定着に結び付かなければ,仕事としてやっていけないことを理解させる。」などと評価した。 (乙4,5,7,109,証人Z5)エ平成20年12月4日,原告は,Z4CDIに対し,メールを送り,同メールに「今日は色々とご迷惑をかけてしまって本当にごめんなさい。」「でも,ダメな所とか出来ていない部分を沢山教えて下さってありがとうございます。」「私,ホント頭悪くて,失敗ばかりしてしまい最近悩んでいます。でもいつも温かく見守って下さってありがとうございます。」などと記載し 所とか出来ていない部分を沢山教えて下さってありがとうございます。」「私,ホント頭悪くて,失敗ばかりしてしまい最近悩んでいます。でもいつも温かく見守って下さってありがとうございます。」などと記載した(乙6)。 オ平成21年1月4日から10日にかけて(主に4日と10日),原告に対し,Z4CDIによるP1チェックが実施された。また,同年2月12日,被告Z1は,P1チェックの評価のために原告との同乗フライトを行った。P1チェックに対する評価は,5段階でなされるところ,総合評価として,Z4CDI(先任客室乗務員)はD評価(やや劣る(業務の遂行に支障を生じることが多く効果を損ねている。))と判断した。また,所見として,Z4CDIは,「この1ヶ月ほど,かなり努力をし,以前よりも積極的に業務に取り組み,意欲も出てきたようである。しかしながら,付け焼き刃な知識のため,定着しておらず,しばしば業務に支障をきたしている。本人はミスに対して反省はするものの,以前よりスムースに実務ができるようになった事への自信の方が先行している。実務内容も標準レ- 33 -ベルに達していない項目があるが,それ以上に適性面において問題があると思われる。「サービス業」としての意識,社会人としての自覚などにおいて,意志があまり感じられない。今後知識を定着させ,業務に対する意欲を継続させるよう指導した。」と記載した。また,被告Z1(所属長)は,所見欄に「当初より取組姿勢が弱く,努力の積み重ねを怠っていた為,P1CK時点で習得しておくべき知識の蓄積と行動化が懸念されていた。 現時点においても,実務・知識は標準レベルに達しておらず,注意力・判断力・業務処理の確実性等に課題が残る。自分の足らない部分を謙虚に認め,積極的に指導を仰ぐと共に,日々のたゆまぬ努力と円滑なコミュニケ 点においても,実務・知識は標準レベルに達しておらず,注意力・判断力・業務処理の確実性等に課題が残る。自分の足らない部分を謙虚に認め,積極的に指導を仰ぐと共に,日々のたゆまぬ努力と円滑なコミュニケーションによって,今後の著しい成長に繋げるよう期待する。」と記載し,総合評価をD評価とした。(乙7,10ないし13,110,111,120,証人Z4)カ同年2月12日付けで,被告Z1は,「Z8P①CK(D評価)報告」と題する書面を作成し,同書面に原告のD評価の理由について上記所見と同旨の理由を詳細に記載した。また,同日付けでZ6次長及びZ7部長もそれぞれP1チェックの総合評価をD評価とした。また,原告に対する指導について,被告Z1は,それまでSUやCDIに任せていたところがあったが,原告が上記のとおりD評価を受けたことから,直接指導することとした。なお,被告Z1が指導する客室乗務員29名のうち,D評価を受けたのは原告を含め3名であり,原告と同時期にP1チェックを受けた客室乗務員は145名のうちD評価が7名(原告を含む。),E評価が4名であった。なお,その後,原告の同期の親しい知人の1人が1年目契約の更新がされなかった。(甲51,乙10ないし14)キ同年2月ころ,原告は,被告Z1に対し,「先日は二日間,どうも有り難うございました。終わってからお時間を作って戴いたにもかかわらず,頭が真っ白になってしまい,何も答えられず,きちんと話しが出来ません- 34 -でした。呆れられたのではないかと思います。申し訳ございませんでした。」「研修中,私はクラスで一番面白いと言われていました。面白いと思われた理由の一つとして,人と同じ事を普通にすることができない私がいたからだと思います。人と同じ事ができるようになるには相当な努力が必 「研修中,私はクラスで一番面白いと言われていました。面白いと思われた理由の一つとして,人と同じ事を普通にすることができない私がいたからだと思います。人と同じ事ができるようになるには相当な努力が必要だと感じ,努力して何とか研修を乗り越え,OJTに臨みました。」「CHECKOUTしてからもやはり間抜けな部分が沢山ある為,多くのアドバイスや助言,お叱りを戴きました。その都度,改善しようとメモにまとめました。」「最初の頃Z8さんは慌てんぼうだねとよくご指摘を受けました。実際,慌ててうっかり聞き間違えてしまったり,ある時などは,危うく自分の担当Doorを間違えてしまいそうになった事さえありました。」などと記載した書面を渡した(乙17,原告本人)。 ク同年3月7日,Z4CDIは,「Z8さんに関する報告」と題する書面を作成し,同書面に,①業務に関し,7月下旬から12月末までについて「FLT前の事前準備,事前学習が不十分」「GCKでの手際が悪く,常にヘルプを受けている」「ドアモード変更時,担当ではないドアに突進し変更しようとした(小職が阻止)」など8項目の問題点を指摘し,また,P1CKから今日までについて「CK当日,KPN手帳で知識の確認を行ったところ,答えることはできたが行動化が不充分」などと6項目の問題点を指摘し,②普段の言動に関し,「CKOUT当初より言動が新人として危惧する部分があった」など8項目の問題点を指摘した(乙7,証人Z4)。 ケ同年3月10日,原告とZ7部長との面談が実施され,その際,原告は,同部長から,「業務姿勢については何か指摘を受けたか」と聞かれたのに対し,「直接指導を受けた記憶はない。P1チェックの結果を聞きに行ったが教えてもらえず,ただ適性がない,謙虚さが足りないと言われた。自分なりには 業務姿勢については何か指摘を受けたか」と聞かれたのに対し,「直接指導を受けた記憶はない。P1チェックの結果を聞きに行ったが教えてもらえず,ただ適性がない,謙虚さが足りないと言われた。自分なりには努力している。」などと答え,また,「これまでいろいろな人- 35 -に指導を頂いた認識はあるか。」と聞かれたのに対し,「はい。ドジな面も間抜けな面もあるが,懲りずに指導を続けてくれた先輩方にはとても感謝している,そういう人達のいる日本航空という会社もすばらしい会社と思った。」などと答えた。また,同日,同部長から原告に対し,部長注意書(甲15)が交付されたところ,同注意書の内容は,概ね以下のとおりであった。(甲15,乙97)(ア) 2年目の契約更改にあたり,業務成績を精査した結果,実務面・適性面について問題が認められ,業務を安心して任せる信頼性に欠けることから,総合評価D(標準より劣る)との判断を下した。その内容は次のとおりである。 a 業務への取組姿勢が弱く,努力を怠っている。 b 業務知識の定着が不十分。 c 注意力・判断力が不足しており,確実性に欠ける。 (イ) 今般,契約更改は実施するものの,今後,3か月を限度に経過観察期間と位置付け,改善が見られない限り,サービスリーダーとしての業務アサインは見合わせることとします。また,経過観察中に改善無き場合,契約の終了もあり得ることを申し添えます。 コ同年3月25日,原告は,被告Z1に対し,「先日はフライトをご一緒させて頂き,多くの点に於いてご指導下さり有難うございました。Z1マネージャーの姿やお言葉から多くの事を学ばさせて頂き,まだまだ未熟で気付きの足りない自分について猛省しております。先日のフライトにより学んだ改善すべき点は大きくま 導下さり有難うございました。Z1マネージャーの姿やお言葉から多くの事を学ばさせて頂き,まだまだ未熟で気付きの足りない自分について猛省しております。先日のフライトにより学んだ改善すべき点は大きくまとめ以下の5点です。『周囲をもっとよく見る』『動きが遅い』『プライオリティーを常に考える』『自らを客観的に捉える』」「この他にも課題は沢山ございますが,常に先輩等から頂いたアドバイスを有難く受け止め日々努力していこうと思います。」などと記載た書面を渡した。また,同書面には,3月16日の出来事(Z9党議- 36 -員にZ10の搭乗お礼カードを交付したこと。)についての反省の弁も記載していた。(乙16)サ同年4月1日,羽田第2客室乗員部のZ11部長は,原告に対し,契約の更新をを行うことを決定した旨の通知をした。これに伴い,原告の所属グループが「●」から「●●」に変更になった。同グループにおける原告の上司は,Z12CDI,Z13SU,被告Z1(MGR),Z2次長,Z11部長となった。(甲16)シ同年4月29日,原告は,「客室乗務員の適性について」と題する書面を作成した。また,同年5月2日のモニタリングでは65点(C),同月5日のモニタリングではD(59点)とされた。(乙19,23,85)ス同年5月17日ころ,原告は,被告Z1に対し,「17日のKP2では大変な勘違いをしてしまい,自分が信じられなくなり,本当に情けなく感じました。そんな私に『今までの自分と対峙しなさい。』とアドバイスをくださいました。」「ただ,Z1さんに感謝したくお手紙を書きました。 今月25歳を向かえたばかりですが,人生の節目に大切なアドバイスを下さった事に感謝致します。そして,この度の失敗,今までの失敗を心から反省しております。私の成長の手 に感謝したくお手紙を書きました。 今月25歳を向かえたばかりですが,人生の節目に大切なアドバイスを下さった事に感謝致します。そして,この度の失敗,今までの失敗を心から反省しております。私の成長の手助けをして下さるZ1さん,いつも本当にありがとうございます。」などと記載した書面を渡した(乙28)。 セ同年5月26日,被告Z1は,原告についての「●●Z8(●)現況報告書」と題する書面を作成し,同書面の「実務及び知識」欄に,原告の多くの問題点を指摘し,「適性」欄に「以上に記述した実務の事例にも重複するが,注意力・判断力・理解力・知識の行動化や創意工夫,業務処理適性全般,接客適性全般(身だしなみを除く),協調性において,本来有している性格に起因すると思われる課題が顕著であり,短期間での改善は困難である。」と,その所属長所感欄に「本人は以前に比べ懸命に努力すると共に,分からない事を質問するようになった自分の姿に満足しており,- 37 -所属長面談においても「この仕事が好きで努力して行ける人が,適性のある人である。」との持論を主張するが,自分の適性不足,及び現段階の業務レベルでは先のSTEPには進めない現状を理解しておらず「努力すれば何とかなる。自分からは決して辞めるつもりはない。」との決意を繰り返し述べている。面談を重ねる程開き直りのような言動に傾いており,理解力欠如や他者との良好な人間関係を築けない性格を憂慮せざるを得ない。」「所属長の見極めとして総合的に判断し,現段階でも2年目のATして求められる標準レベルには達しておらず,Q-PTNアサインに向けS/LのOJTを開始するのは時期尚早であり,6月末までに改善に至らない場合は契約終了が相当であると思料する。」などと記載した(乙22)。 ソ同年6月1日,原告は,決意 サインに向けS/LのOJTを開始するのは時期尚早であり,6月末までに改善に至らない場合は契約終了が相当であると思料する。」などと記載した(乙22)。 ソ同年6月1日,原告は,決意書等を作成し,同書面に課題点として,①基本的態度を改善する,②確実な業務の遂行を心掛ける(セールスの失敗は二度と起こさない,ノベルティの配布漏れから学んだ事),③受けた指示を正確に理解するよう努める,④安全に関する事項は基本に忠実に遂行する,⑤好印象が感じられるよう,表情に気を付ける,などと記載した(乙31,32)。 タ同日,Z13SUは,「AT*CZ8の業務状況,及びその指導内容等について」と題する書面を作成し、同書面に,①●便SPK到着後FIから聞き取った内容として3項目の,②当方からの指摘事項として10項目の,③所感として4項目の記載をした。上記所感中には,「今後,期待役割が量・質共に急激に大きくなっていく時期を迎えるにあたり,乗務員として求められる成長スピードには追いついていけず,今後求められる業務の習熟に不安があると思われる。」と記載する一方,「但し,Z8AT同様にそれぞれの職位に求められる業務遂行能力を発揮できていない乗務員は他にも散見されるということも,また事実であると考える。」などと記載した。また,同月4日付けで,CD3Z14は,原告についての「フ- 38 -ライト指導報告書」を作成し,同書面に「指導内容(注意・アドバイス)及びその経緯」を記載した。(乙25~27)チ同年6月13日,原告は,「現在の取り組み,失敗と改善策」と題する書面を作成し,同書面に「5月17日のJL●便にて販売レシートの渡し違いをしてしまい,お客様,会社,周りの方々に大変御迷惑をお掛けしました。過去を遡ると,4月2日のJL●便に於いてノベル 」と題する書面を作成し,同書面に「5月17日のJL●便にて販売レシートの渡し違いをしてしまい,お客様,会社,周りの方々に大変御迷惑をお掛けしました。過去を遡ると,4月2日のJL●便に於いてノベルティーの配布漏れをしてしまった事がございます。」「3月17日のJL●便に於いて,クラスJのお客様に頼まれた際にそちらに優先的に販売するといった意図によりAFTからMIDのセールスカートに移した残りの1つの商品を理解不足によりAFTのお客様にすぐ販売してしまいました。また,5月26日のJL●便に於いては,クレームを挙げられている最後列のお客様に一早くDrinkを出して欲しいといった意図にそぐわない行動をしてしまいました。」「以前,お客様のお荷物を代行して棚にお入れした際に「○番と○番の間の番号が付いていない棚にお入れしました。」とお伝えしました。しかし,そのお客様には伝わっておらず,お降りの際に御迷惑をお掛けしてしまいました。」「また,ヘッドフォンから音が聞こえないとのお申し出があった際に,新しいヘッドフォンをお渡ししたままにしてしまい,新しい物で聞こえているのかをすぐにその場で確かめませんでした。後になり新しいヘッドフォンでも聞こえていない事がわかりました。」「6月7日のJL●便にて,座席移動を行った際,お客様のお荷物が予想以上に多く,移動の完了がDemoの始まる寸前になり,自分の状況判断力について見直す場面がありました。」「自分はミスを起こし易い人間であるとの認識を忘れず様々な取り組みに於いて危機感を持って行動するよう心掛けます。」などと記載した(乙20)。 ツ同年6月17日,原告は,リフレッシャー教育(研修)の際,会場を案内する紙が掲示されていることを知っていたにもかかわらず確認をせず,- 39 -自らの思い込みに た(乙20)。 ツ同年6月17日,原告は,リフレッシャー教育(研修)の際,会場を案内する紙が掲示されていることを知っていたにもかかわらず確認をせず,- 39 -自らの思い込みにより,本来の出頭場所である羽田空港内とは異なるZ15に出頭して,約35分の遅刻をした。原告は,この件について,反省文の提出を指示され,同月18日付けで同書面を作成した。この件について,原告が,行ったこともない場所にいってしまって自分でも分からなかったという話をしたことから,被告Z1は,そういう発言をする人に空の安全を任していいのかとの危惧を感じた。(乙29,30,証人Z12,原告本人)テ同年6月23日,被告Z1は,Z2次長に宛てた「Z8 同乗・面談報告」と題するメールに「Z8の行動は,これまで指摘されてきた課題が顕著であると共に,更に深刻な事象が散見されます。以前に厳しく指導された事を意識し過ぎると,同時に必要な複数の行動や思考・優先順位が抜け落ちる傾向があります。」「7月初旬にセラピー的な面談を持ち,本人にとって最良の選択に導ければと考えています。」「先日の勤務指導の件で,「やはりこれ以上無理でしょうか?」「自分でも自信がなくなって来た」と漏らしていますので,経過観察中の遅刻に対し「次長注意書」を手交して頂く事で,本人も納得して決断出来るのではないかと思います。」などと記載した(乙34)。 ト同年6月下旬頃,原告は,Z12CDIに対する書面を作成し,同書面に「Z12さん,いつも本当に私の事で御迷惑をお掛けしてしまし,心から申し訳なく,また,感謝の気持ちで一杯です。」「いつも親身になって,アドバイスを下さって,本当に何と感謝の言葉をお伝えしたら良いのか,と思っております。本当にありがとうございます」などと記 ,心から申し訳なく,また,感謝の気持ちで一杯です。」「いつも親身になって,アドバイスを下さって,本当に何と感謝の言葉をお伝えしたら良いのか,と思っております。本当にありがとうございます」などと記載した(乙35)。 ナ同年7月8日,前記遅刻の件を指摘し,業務姿勢に対して猛省を促すと共に自らに課せられた諸課題に対して真摯に取り組むように要請するとの趣旨のZ2次長名義の次長注意書(甲17)が原告に対し交付された。 - 40 -そして,同日,Z2次長は,被告Z1に対し,原告と面談した際の内容を記載したメールを送り,同メールに,原告のコメント(9項目),Z2次長の指導した事項(6項目)を記載した。また,原告は,同年7月ころ,「経過観察期間中の取り組みと今後の課題」と題する書面を作成した。 (甲17,乙33,37)ニ同年7月21日及び8月15日,被告Z1は,原告と同乗フライトした後,面談し,同月17日付で「●●Z8(●)同乗・面談報告書」と題する書面を作成し,同書面に面談内容として「何度同乗し面談を重ねても,のらりくらりした態度に危機感が一切感じられず,同じ内容を一から説明せざるを得ない。双方が同じ次元で向かい合い,課題改善に向けて話し合うための面談にはなり得ない状況である。今後も指導は継続するが,3ヶ月間の経過観察中に課題克服出来なかった状況を認識した上で自分がどのように対処していくかを熟慮するようアドバイスした。」などと,所属長所感として「3ヶ月間の経過観察中の指導,及び基本動作の反復により,事例によっては実務の遂行に改善が図られているものの,注意力・判断力・理解力・知識の行動化が極めて弱く,業務姿勢・業務処理適性・接客適性に関しては本人の性格に由来する問題であり,経験による改善は見込めないと思われる。又,協調性に欠けコミュニ ものの,注意力・判断力・理解力・知識の行動化が極めて弱く,業務姿勢・業務処理適性・接客適性に関しては本人の性格に由来する問題であり,経験による改善は見込めないと思われる。又,協調性に欠けコミュニケーションが図れない実態は,この仕事をする上で致命的である。安全性に関する不安要素が最近になって頻発しており,最も見逃せない重要な課題である。」「本人の潜在的な可能性を見落とさないよう,所属長として細心の注意を払い充分に見極めを行い検証したが,これ以上の指導を継続してもP1CK標準レベルに達するとは期待出来ず,安全運航及び品質管理の観点からも,本人のS/LへのSTEPUPやOJTの直接指導者アサインは回避すべきであると思料する。」などと記載した(乙40)。 ヌ同年8月17日,原告は,Z12CDIに対し,メールを送り,同メー- 41 -ルに「Z12さんが返信<下さった内容を拝見しまして,本当に私の事を考えて下さっていると感じました。」「入社してから,様々な方からご指導を受け,何とか頑張ってこの仕事を続けようと頑張ってきましたが,今回のアドバイスを受け,何か注意されると言い訳をしてしまう自分の姿が様々な場面から思い出されまして,いつからこんな自分になってしまったのだろうかと,とても悲しくなりました。」「今,実家に帰り,入社してからここまでを振り返り,客観的に自分の仕事を見つめ直し,今後どうあるべきなのかじっくり考えております。考えがまとまりましたら,またご連絡させて頂きたいと思います。」などと記載した。また,同年8月,原告の経過観察期間は,延長されることになった。(乙54の8,57)ネ同年8月24日,Z13SUは,「AT*Z8 経過報告書」と題する書面を作成し、同書面に,①現在の状況として,安心して業務を任せることができないとして5 れることになった。(乙54の8,57)ネ同年8月24日,Z13SUは,「AT*Z8 経過報告書」と題する書面を作成し、同書面に,①現在の状況として,安心して業務を任せることができないとして5項目の,フライト毎に於ける指導を活かせず,業務スキルの向上が見られないとして2項目の,社会人としての自覚に欠ける行動・態度が止まないとして2項目の指摘をした上で,②所見として「ダブルアサイン時のお客様の対応の不備や,頼まれ物忘れによりクレームがあった際など,その経緯を当フライトの中で上位職が確認すると,自分が初期対応したにもかかわらず「たぶん私だと思います。」との答えをするばかりで,対応したことや頼まれたこと自体について,確かな記憶を持っていないことが多い。細かな対応や,頼まれ物内容をしっかり覚えていないことはあるとしても,依頼されたこと自体を指摘されても思い出せないことは考え難く,お客様へのサービスだけではなく,安全業務遂行に於いても,非常に大きな問題を抱えていると思われる。繰り返し課題点については指導を行っているが,改善が全く見られず,問題点が増えるばかりであり,指導する立場として苦慮している。」と記載した(乙44)。 ノ同年9月2日,原告に関するパフォーマンスチェックシートが作成さ- 42 -れ,同シートにおいて,Z12CDIが総合評価として,E(極めて劣る)との評価をし,同人は所見として「保安要員としてもサービス要員としても,求められるものと完全に異質の感性を持っており,客室乗務員として「適性が無い」一言に尽きる。何とかミスを犯させまいと周囲がどんなに配慮を重ねても,他者の想像をはるかに超えた次元のミスを連発し,クラスJはもちろんCBNに出すことすらも強く躊躇する毎日で,同乗CAの負荷も高い。残されるのは本人の取組み姿勢次第と と周囲がどんなに配慮を重ねても,他者の想像をはるかに超えた次元のミスを連発し,クラスJはもちろんCBNに出すことすらも強く躊躇する毎日で,同乗CAの負荷も高い。残されるのは本人の取組み姿勢次第と指導を続けてきたが,本人の「努力する」との発現とは裏腹に,身だしなみ等基本についてまで注意を受けている現状にはみじんのやる気も感じられず,先任として,今後の指導育成はおろか同乗そのものについてまで不安を禁じ得ない。」と記載した。また,所属長(被告Z1)は,同月8日付けで,上記シートに所見として「09 1月実施のP①CK(D評価)から7ヶ月が経過し,現時点でのパフォーマンスがどの程度かを確認する為,各項目についてモニタリングを実施した。同期ATがP②CKを終了している時期にAT*A~Cの業務内容を著しく低い水準でしか遂行出来ておらず,適性全般においては後退が見られる。」などと記載した(乙47)。 ハ同年9月5日,原告は,被告Z1宛の書面を作成し,同書面に「先日は,自分の失敗や,意識の欠如について落ち込み呆れてしまいました。そして,Z1さんをはじめ,日頃より熱心にご指導下さっている方々をも落胆させてしまい,大変申し訳なく思っております。」「今の私はその日描いていた姿とは到底懸け離れており,日々様々な方に御迷惑をお掛けしてしまいます。いっその事,辞めた方が良いのではないかと迷っておりました。しかしながら,今後仕事を続けていく中で何とか自分の壁を越えたい,夢を実現したいという思いには些かの迷いもございません。自分から諦めてしまう事だけは,一生後悔しますし,私は,仕事を続けられる限り,どんな努力もしていこう,常に危機感を持ち,意識を高く持ち続けようと,決意- 43 -を新たに致しました。」などと記載し,また,Z12CDI宛ての書面 一生後悔しますし,私は,仕事を続けられる限り,どんな努力もしていこう,常に危機感を持ち,意識を高く持ち続けようと,決意- 43 -を新たに致しました。」などと記載し,また,Z12CDI宛ての書面にも同趣旨の内容を記載した。Z12CDI宛て書面中には「Z12さんには,そんな私の事をも受け入れて下さり,御自身の身を粉にしてまでも,私と向き合って御指導下さいました。そんなZ12さんに,何とか恩返しをしたいと思っておりましたが,結局は巻き込んで御迷惑をお掛けしてしまう次第であり,そんな自分の存在に悩んでおりました。」などと記載した(乙48,49,99)。 ヒ同年9月11日,原告は,早朝便乗務のため,午前5時15分出頭の予定で,午前4時05分にタクシーが配車されたが,寝過ごしたことにより,同タクシーに乗車できず,自らは別のタクシーに乗車して午前4時45分に出頭した。また,同日,原告は,同月9日に差し替えを指示されていたCAMSAFETYというマニュアルについて,同月11日,差し替えを確認された際,終わっている旨答えたが実際は,加除式のマニュアル本体への差し替えが未了であった。(甲22,23,証人Z12)フ同日,Z12CDIは,原告に対し,「「これまでを猛省し,とにかくひたむきに一生懸命努力します。」というあなたの言葉を信じて,なんとかその思いを叶えてあげたいと応援してきましたが,まさか,その同じ言葉を何度も聞く事になろうとは思ってもみませんでした。業務での失敗は仕方がないと思います。その都度きちんと正し,以降同じ失敗が無くなれば良い事で,誰にでもある事です。ただ,Z8さんの場合は次元が違いました。注意を受けてもしばらくの間のみ,また時間がたつと一からやり直しの繰り返しでした。」「Z8さんに掛かりきりの私には,自分の目指す い事で,誰にでもある事です。ただ,Z8さんの場合は次元が違いました。注意を受けてもしばらくの間のみ,また時間がたつと一からやり直しの繰り返しでした。」「Z8さんに掛かりきりの私には,自分の目指すフライトを創るほどの余裕は無く,最近では,正直に言ってあなたが同乗しないと分かるとほっとしてします自分がいます。CDIになりたての私には,Z8さんを指導出来るまでの力が無い事を申し訳なく思います。」「いつもはらはらしながらあなたの言動をフォローしてくれている同僚- 44 -の負荷を考えたことがありますか?いつかお客様の命にかかわるような重大な失敗をしてしまわないかと緊張しながら乗務を続ける周囲の方々の心労を考えた事はありますか?あなたの業務技量も取り組み姿勢も全てをひっくるめて「適性が無い」と言わざるを得なかった方々の心情を理解しようと思った事はありますか?」「あなたが,あなたに本当に合った幸せな生き方を見つけられるよう心から願っています。」などと記載した手紙を渡すとともに,同日の出来事及びそれに関連して原告と面談した際の内容等を記載した同日付の「Z8指導報告書」を作成した(乙50,56)。 ヘ同年9月17日から21日にかけて,原告は,タクシー不乗の件,マニキュアの色が規定に反していた件,マニュアルを差し替えていなかった件に関する顛末書,決意書を作成し,上記決意書(甲21)に,①身だしなみに細心の注意を払います,②遅刻,配車不乗は二度と起こさぬよう注意致します,③マニュアルの差し替えは,定められた期日に必ず差し替えます,④頼まれ忘れや配布漏れに気をつけます,⑤セールスに於けるミスは繰り返しません,⑥基本的態度に留意します,⑦安全が第一である事を忘れません,と記載した(甲18~25,乙51,52)。 ホ同年9月1 布漏れに気をつけます,⑤セールスに於けるミスは繰り返しません,⑥基本的態度に留意します,⑦安全が第一である事を忘れません,と記載した(甲18~25,乙51,52)。 ホ同年9月19日,被告Z1は,「●●Z8(●)勤務指導報告書」題する書面を作成し,同書面に,①寝過ごしによるTAXI不乗,②CAM/S差し替え未実施,③美容基準の度重なる逸脱について,原告に対して指導した内容を記載した(乙53)。 マ同年9月29日,原告は,「2日間のフライトに於ける反省点」と題する書面を作成し,同書面に同月25日及び26日のフライトにおける反省事項を記載した(乙60)。 ミ同年10月2日,原告は,被告会社において,当時加入していた労働組合(JALFIO)を脱退し,同じく被告会社の労働組合である日本航空- 45 -キャビンクルーユニオン(以下「日本航空ユニオン」という。)に加入した(甲87)。 ム同年10月17日,原告に対し,原告のタクシー不乗,マニュアル差し替え不実施,美容基準逸脱に対して,Z2次長名義の「指導書」(甲26)が交付された。 メ同年12月6日,原告は,「本日のフライトの反省」と題する書面を作成し,同書面に「R41のABC,HJKの席は58番までしか無いが,58Aの席の方を60Aの席の方であると誤ってお伝えしてしまった。」「今後は,確実に,伝える前に番号をメモし,正しく席の番号でお伝えする事が出来るようにしたいと思う。」と記載した(乙70)。 モ平成22年1月11日,原告は,Z12CDIに対し,メールを送り,同メールに「R41のL5で$のDutyでしたが,インベントリーをGLYに忘れてしまい,他の方が気が付いて下さって,一度降機した後に機内に取りに戻りました。」「以前にも,レシートの受け渡しミスを ,同メールに「R41のL5で$のDutyでしたが,インベントリーをGLYに忘れてしまい,他の方が気が付いて下さって,一度降機した後に機内に取りに戻りました。」「以前にも,レシートの受け渡しミスをしてしまったのに,また今日もセールスでミスをしてしまいました。前に受け渡しミスをした際にも,Z12さんを始めとする多数の方々にご迷惑をお掛けしてしまったのに,今日も周りの方々にご迷惑をお掛けしてしまい,心より反省致しております。」などと記載した(乙54の12)。 ヤ平成22年1月13日,被告Z1は,「●●Z8(●)同乗報告書」題する書面を作成し,同書面に所属長所感として「2008年5月入社より1年9ヶ月が経過した現時点でAT*Bにも劣る業務スキルに加え,理解・判断力・コミュニケーション能力の欠如,非常識極まりない言動の数々,周囲の乗務員への悪影響や精神的負担や,今後の成長は改善が期待出来ないと思われる様々な事例を勘案し,次年度の契約更新に繋げる事なく,2010年4月末の契約満了妥当であると思料致します。」と記載した(乙71)。 - 46 -ユ同年2月1日,Z13SUは,「●●/AT* Z8 経過報告書」と題する書面を作成し、同書面に平成21年9月から平成22年1月の業務状況等について,業務時の事例及び指導内容として14項目の,業務外の事例として1項目を指摘し,現在の業務状況として,「未だ安心して業務を任せることができない(言動から目を離すことができない),フライト毎に於ける指導を活かせず,技量の向上がみられない,常識的なマナーやコミュニケーション能力に欠け,チームワークを醸成して業務に当たることができない。」との指摘をし,さらには所感として「同じミスを繰り返し,何度同じ指摘を受けても改善が見られず(改善されたと思って やコミュニケーション能力に欠け,チームワークを醸成して業務に当たることができない。」との指摘をし,さらには所感として「同じミスを繰り返し,何度同じ指摘を受けても改善が見られず(改善されたと思っても,しばらくすると同じミスをする。),業務習熟度の遅れに対する危機感も全く見られない。CDIから,ミスを無くすために一つの業務について「チェックリスト」を作成するように指導されても,すぐに実践しない。その取り組み姿勢は客室乗務員の仕事を軽く見ていると受け取れる。真摯に業務に取り組む姿勢が見られれば一定の評価はできるがそれもできない状況である。JALスタンダード(基本マニュアル・身だしなみ・表情・言葉遣い・動作・マナー)を理解,体得できず,お客さま(周囲)がなぜ不快なのかを感じる力(感性)に欠け,どうすれば喜ばれるかを考える力も弱い。周囲と連携して,繰り返し指導を続けているが,未だ当人に自分の現状,課題を理解させることができず,その指導には苦慮している。」などと記載した(乙72)。 ヨ同年2月13日,被告Z1は,「●●Z8(●)同乗報告書」題する書面を作成し,同書面に所属長所感として「前月(1月)の同乗報告より更に業務スキルの後退や理解力・判断力・コミュニケーション能力の欠如が露呈しており,次年度の契約更新に繋げる事なく,2010年4月末の契約満了が妥当であると思料する。」などと記載した(乙82)。 ラ同年3月6日,Z12CDIは,「状況と指導内容」と題する書面を作- 47 -成し,同書面に平成21年8月9日から平成22年2月10日までの原告の状況と指導内容に関する詳細な事項を記載した(乙84)。 リ同年3月16日,原告は,被告Z1に対し,P1チェックを再度受けさせて欲しい旨申し出たが,被告Z1は,その必要はない,サービス の状況と指導内容に関する詳細な事項を記載した(乙84)。 リ同年3月16日,原告は,被告Z1に対し,P1チェックを再度受けさせて欲しい旨申し出たが,被告Z1は,その必要はない,サービスリーダーを任せられる技量には達していない旨返答した。 ル同年3月31日,被告会社は,Z2次長を介して,原告に対し,「会社の決定であなたの契約を終了する。今なら自己都合退職にしてあげることもできるので,4月5日までのなるべく早い段階までに気持ちをまとめて伝えて欲しい。」などと通告した。原告は,その後,「自己都合退職はしない,今後も客室乗務員として頑張りたいので契約の継続をお願いします。」と申し入れたが,Z2次長らは,自己都合退職しないなら,4月で契約は終了であると雇止めを通告した。 レ同年4月7日,原告が所属する労働組合である日本航空ユニオンは,被告会社に対し,本件雇止めの撤回及び団体交渉開催の申し入れを行った(甲27)。 ロ同年4月22日,被告会社は,原告に対し,本件通知書を交付したところ,同通知書には,大要,以下のとおり記載されていた(甲6)。 (ア) 被告会社は,原告との間で,平成20年5月13日付けで契約社員としての雇用契約を締結し,平成21年4月20日付けで1回目の契約更新をした。 (イ) 被告会社は,同年2月に実施された原告の業務慣熟度チェックにおいて,原告には,業務への取組姿勢,業務知識,注意力・判断力を主として数多くの問題点が認められたため,総合評価として標準より劣る「D」評価の判断を下した。 (ウ) 被告会社は,上記評価結果を受け,同年3月10日に部長面談を実施し,改めて原告に対して課題の確認を行い,併せて,「契約は更新す- 48 -るものの,今 「D」評価の判断を下した。 (ウ) 被告会社は,上記評価結果を受け,同年3月10日に部長面談を実施し,改めて原告に対して課題の確認を行い,併せて,「契約は更新す- 48 -るものの,今後3か月間を限度に経過観察期間と位置付け,改善が見られない限り(2年目の契約社員がアサインされる。)サービスリーダーとしての業務アサインは見合わせることとする」,「経過観察中に改善無き場合,契約の終了もありえる」ことを伝えた。 (エ) その後,被告会社は,原告に対し,日々の乗務においても度重なる注意や指導を施し,諸課題の改善を促してきたが,依然として課題の改善が認められないばかりか,加えて勤怠面においても,原告は,平成21年6月17日には遅刻を,同年9月11日には寝過ごしによる配車タクシー不乗及び安全マニュアルの差替え漏れを起こしたため,それぞれ次長面談により注意,指導を実施するとともに,文書を手交した。 (オ) このような事情により,2回目の契約満了時期を迎えようとする現在に至っても,原告にはサービスリーダーをアサインできないため,サービスリーダー業務のアサインが前提となる2年目の業務慣熟度チェックも実施できない異例の事態となった。 (カ) 本来であれば,上記3か月の経過観察期間のうちに職務レベル及び勤怠面等が改善していないことから,その時点において契約を解消すべきところ,被告会社は,原告に対して再三挽回の機会を与えてきたが,残念ながら改善するには至らず,経過観察期間のまま現在に至っている。 (キ) 以上に述べた状況とこれまでの経緯を勘案し,被告会社は,原告の課題及び職務遂行レベルのこれ以上の改善は困難と判断するに至った。 そこで,平成22年3月31日に伝えたとおり,契約の更新をしないこととした。 状況とこれまでの経緯を勘案し,被告会社は,原告の課題及び職務遂行レベルのこれ以上の改善は困難と判断するに至った。 そこで,平成22年3月31日に伝えたとおり,契約の更新をしないこととした。 ワ同年4月24日,日本航空ユニオンは,被告会社に対し,本件雇止めを撤回し,契約更新手続を速やかに行うこと及び団体交渉の申入れを行った(甲28)。 ヲ同年4月29日,被告会社は,原告に対し,本件契約終了説明書を交付- 49 -したところ,同説明書には,雇用期間の終期が到来することによって契約社員雇用契約が終了する旨,被告会社として平成22年5月1日以降の契約社員雇用契約を締結することを申し出る事はしないと決定した旨及びその経緯(前記本件通知書と同趣旨)並びに「主な具体的な課題及び指導に至った事象」(1回目の契約更新をすることを伝えた後に関する主な事項)として,①業務知識の定着が不十分である点として13項目の,②通常求められるレベルの接客対応ができない点として11項目の,③注意力が不足,または継続しない点として14項目の,④業務への取組姿勢が著しく不足乃至は欠如している点として11項目の,⑤その他として2項目(以上合計51項目)が記載されていた(甲7)。 (2) 補足説明(P1チェックについて)ア認定事実証拠(甲51,80,乙7,10ないし14,110,111,113,120,証人Z4,原告本人,被告Z1本人)及び弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる。 (ア) P1チェック実施要領においては,①時期について「1年目契約満了日の2~3ヶ前を基準とする。」と,②通知について「パフォーマンスチェック対象組と実施時期については,掲示で通知する。実施者及び対象者は双方 ェック実施要領においては,①時期について「1年目契約満了日の2~3ヶ前を基準とする。」と,②通知について「パフォーマンスチェック対象組と実施時期については,掲示で通知する。実施者及び対象者は双方で確認する。」などと,③実施者について「グループ長もしくは,所属グループCDIが実施することを原則とするが,対象月に実施対象者が多数居る場合は,MGRもしくは先任SUが代行することもありうる。」と,④実施について「実施者と対象者の対象月のSKDを可能な範囲でFIXする。実施者は対象者に対しチェックの予定を事前に知らせる。区間は2~3区間とし,1日で終了させる。CK項目に基づいて実施する。対象者について日常の指導を通じて把握している点も十分に勘案して評価する。」などと,⑤評価について「実務,適性に- 50 -ついてA~Eの5段階評価する。」旨,⑥評価基準について「総合評価Dは,適性重点項目を含めE評価が2箇所以上ある場合,又は適性重点項目を除くD評価が3カ所以上ある場合」「総合チェックD評価以下はRE-CKの対象とし,所属長のCKを受ける。」などと定められていた。 (イ) P1チェックは,最終的には,特定の1日の乗務を確認し,乗務における慣熟度を査定するものであるが,同チェックの実施月に用意されたCDIと対象者の同乗フライトパターンの中でどの日をP1チェックシートの確認に用いるかはCDIに任されており,慣熟度が低い場合には,最初の同乗フライトですぐに結論を出してしまわず,それ以降の同乗フライトで再度チェックすることも行われていた。 (ウ) Z4CDIは,平成21年12月23日頃,原告に対し,P1チェックを,平成22年1月4日に行う旨を伝えた。ただ,Z4CDIは,原告については,同日から同月10日までの 。 (ウ) Z4CDIは,平成21年12月23日頃,原告に対し,P1チェックを,平成22年1月4日に行う旨を伝えた。ただ,Z4CDIは,原告については,同日から同月10日までの間(主に4日と10日)の同乗フライトを対象としてP1チェックを行い,その結果をP1チェックシートに記載した。 (エ) P1チェックの評価は,AいしEの5段階評価を行うこととされていたところ,原告に関するP1チェックについては,Z4CDIは,チェックシート(乙10)において実務に関する5項目について,4項目につきC(標準「業務を支障なく遂行しており,所定の効果を挙げている。」),1項目につきD(やや劣る「業務の遂行に支障を生じることが多く効果を損ねている。」)と,適性に関する5項目について,3項目につきD,2項目につきCと,総合評価としてDと記載して,チェックシートをZ5SUを経由して所属長である被告Z1に提出した。なお,その後,被告Z1は,Z4CDIの了解を得て,Z4CDIが実務に関してCと記載した1項目及び適性に関してCと記載した1項目をDに,- 51 -それに伴い,上記判断の基となる契約社員パフォーマンスチェック項目(乙11)の「実務及び知識」(合計37項目)のうちの4項目をCからDに,1項目をDからCに,「適性」(合計22項目)のうち1項目をCからDにそれぞれ訂正した。 イ(ア) 原告は,P1チェックについて,1月4日に実施されたものである旨主張するところ,Z4CDIによる同チェックは,同日から同月10日にかけて実施された(主に4日と10日)ことが認められる。確かに,同チェック実施要領においては,実施日を対象者に通知し,1日で終了させるとされていることからすれば,原告に対するZ4CDIによる同チェックは,4 された(主に4日と10日)ことが認められる。確かに,同チェック実施要領においては,実施日を対象者に通知し,1日で終了させるとされていることからすれば,原告に対するZ4CDIによる同チェックは,4日以外の日に実施することについて原告に通知したとは認めるに足りず,また,1日で終了させなかった点において,上記実施要領に沿ったものではなかったといえる。しかし,被告会社においては,慣熟度の低い対象者については,複数日にわたって同チェックを行う運用もされていたこと,また,同チェックの評価は,「対象者について日常の指導を通じて把握している点も十分に勘案して評価する。」とされていることもあり,これらの点も考慮すると,原告に対するZ4CDIの評価については,一部実施要領に沿ったものではなかったことがうかがえるものの,そのことをもってZ4CDIによる評価を不当なものということは相当ではない。 (イ) 原告は,原告の低位評価を作出するために,被告Z1がP1チェックシートを意図的に書き替えた旨主張する。この点に関する経過は,前記(ア(エ))認定のとおりであるところ,人事評価において,一次評価者と二次評価者が評価内容について意見交換をし,その結果,一次評価者が見解を変えるということもあり得ることであり,また,それをもって不当なものということはできないから,前記経過をもって,原告の低位評価を作出するために,被告Z1がP1チェックシートを意図的に書- 52 -き替えたと評価することは相当ではない(被告Z1とZ4CDIの関係を考えれば,Z4CDIが被告Z1の意向を無視し難いとは考えられるし,また,Z4CDIの記載部分であれば,同CDI自身が書き替えるのが一般的であることからすると,この書替えが被告Z1の意思を反映したものとはいえるが,Z4 被告Z1の意向を無視し難いとは考えられるし,また,Z4CDIの記載部分であれば,同CDI自身が書き替えるのが一般的であることからすると,この書替えが被告Z1の意思を反映したものとはいえるが,Z4CDIも総合評価としては当初からD評価と判断しており,また,評価については迷うことはいろいろとある(証人Z4)ことからすると,Z4CDIが被告Z1の意向を受け入れたとしても,そのことをもって,Z4CDIの評価が同人の意思に基づかない評価であるとはいえない。)。なお,被告Z1において訂正した部分がZ4CDIが当初記入したCであったとしても,パフォーマンスチェック評価基準によれば総合評価としてはD評価となる(乙12)。 (3) 被告会社における契約社員に対する指導要領等証拠(認定事実に付記したもの。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア契約社員の育成を担うFI全員に対し,「KPN指導ガイダンス」を配布し,FIとしての心構え,日常乗務の中での指導要領,指導時の注意事項等について周知を図っている(乙104)。 イ OJT実施の際のガイダンスとして,「新人OJT実施要領」をマニュアルとして定め,指導のポイント,評価のポイント等を定めている。また,その評価の際の評価シートの書式,記入要領を定め,指導を行った客室乗務員が,評価シートを記入する際の基準について明記している(乙105,106)。 ウ OJT終了後の育成については,「KPN指導ガイダンス」において,OJT終了後の育成カリキュラム,及びフライトにおける指導要領について明示している(乙104)。 エパフォーマンスチェックを行い,その実施要領については,毎年度,担- 53 -当するSU及びCDIの全員に カリキュラム,及びフライトにおける指導要領について明示している(乙104)。 エパフォーマンスチェックを行い,その実施要領については,毎年度,担- 53 -当するSU及びCDIの全員に対して,「HOZ契約社員パフォーマンスチェック実施要領」を配布し,その実施時期,評価基準等について周知を図っている。また,「パフォーマンス評価基準」を定めている(乙12,13)。 (4) 検討ア被告会社は,本件雇止めの理由は,「原告は,客室乗務員として求められる一定水準以上の業務上の知識を有せず,また接客態度についても必要な水準に達することはなかった。残り1年で正社員として登用可能な水準に達する見込みはないと判断した。」と主張しているところ,本件雇止め時におけるこの判断が不合理なものと言えるかどうかについて検討する。 イ前記認定事実によれば,被告会社(原告の上司ら)においては,原告について,既に入社後約4か月を経た平成20年9月の時点で「技量面,知識面,どちらも定着が遅い。今後が大変心配である。」など(前記(1)ウ)と,約9か月を経たP1チェック後の平成21年2月の時点で「D評価,実務・知識は標準レベルに達しておらず,注意力・判断力・業務処理の確実性等に課題が残る。」など(前記(1)オカ)と判断したこと,また,原告に対し,同年3月には,「業務への取組姿勢が弱く,努力を怠っている,業務知識の定着が不十分,注意力・判断力が不足しており,確実性に欠けると指摘し,契約更改は実施するものの3か月を限度に経過観察期間と位置づけられた旨の「部長注意書」が(前記(1)ケ),同年7月には,リフレッシャー教育の際の遅刻の件を指摘し,業務姿勢に対して猛省を促すと共に自らに課せられた諸課題に対して真摯に取り組むように要請すると づけられた旨の「部長注意書」が(前記(1)ケ),同年7月には,リフレッシャー教育の際の遅刻の件を指摘し,業務姿勢に対して猛省を促すと共に自らに課せられた諸課題に対して真摯に取り組むように要請するとの趣旨の「次長注意書」がそれぞれ交付された(前記(1)ナ)こと,そして,同年8月までの原告の経過観察期間は延長され(前記(1)ヌ),同年9月に作成されたパフォーマンスチェックシートにおいて,Z12CDIは,原告についてE(極めて劣る)評価を行った(前記(1)ノ)こと,同年10月に- 54 -は,原告に対し,タクシー不乗,マニュアル差し替え不実施,美容基準逸脱に対して,「指導書」が交付され(前記(1)ム),平成22年に入ると,被告Z1は,平成22年4月末の契約満了を妥当とする旨の報告を行う(前記(1)ヤヨ)ようになり,最終的には,2年目契約の更新にあたって,被告会社は,原告の課題及び職務遂行レベルのこれ以上の改善は困難と判断するに至ったとして,本件雇止めを通告した(前記(1)ロヲ)ことが認められるところ,前記(1(2)ウ(イ))認定のとおり,客室乗務員は,緊急時の保安要員として乗客の安全に重大な責任を負う立場にあること,乗客に対して,高い水準のサービスを提供すべき立場にあることなどの同乗務員の職務内容を考慮すると,その基となったそれまでの評価・判断の妥当性を考慮した上で,被告会社における上記(ア)の最終的な評価・判断が不合理なものといえないとすれば,本件雇止めは相当なものであって,これが無効なものとなることはないというべきである。 ウ(ア) そこで,上記評価・判断が不合理なものといえるかどうかについて検討する。まず,上記評価・判断の基となった事実関係についてみるに,被告会社は,別紙1「原告の勤務の経緯」に主張のとおり,原告が客室乗 そこで,上記評価・判断が不合理なものといえるかどうかについて検討する。まず,上記評価・判断の基となった事実関係についてみるに,被告会社は,別紙1「原告の勤務の経緯」に主張のとおり,原告が客室乗務員として業務適性を欠くということに関する極めて多数の事実関係を主張するところ,原告は,1年目契約が更新された経過観察期間中の平成21年6月17日には出頭すべきリフレッシャー教育会場を間違えて遅刻し(前記(1)ツ),同年9月11日には寝過ごしたことにより配車されたタクシーに乗車できず,また,マニュアルの差し替えについて確認された際,終わっている旨答えたが,実際は未了であったこと(前記(1)ヒ)が認められる。また,争いのない事実,証拠(認定事実に付記したもの。)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,平成20年11月,自らの担当ではないドアモードを変更しようしたこと(乙5,7,109,証人Z5),平成21年2月,D/H時,シートポケット内の雑誌やイ- 55 -ヤホン等を適当に突っ込んで降機しようとして指導を受けたこと(乙5,7,109,証人Z5),同年3月16日,簡単な謝辞をもらった顧客販売上重要な顧客(衆議院議員)に対し,成人の乗客に渡すには相応しくない,幼児向けの絵はがきを手渡したこと,同月17日,AFT(客席後方)からMID(客席中央)のセールスカートに移した残り一つの商品を,理解不足により指示に反してAFTの乗客にすぐに販売し,指導を受けたこと(甲49の4,乙15,16,20,被告Z1本人),同年4月2日,乗客の手荷物を十分な説明を行わず収納したため,降機時に乗客から荷物が見あたらないとのクレームがあり,また,乗客に対するノベルティの配布漏れを生じさせたこと(乙20,26,85),同年5月17日,機内販売の際にクレジットカード売上票を渡 ため,降機時に乗客から荷物が見あたらないとのクレームがあり,また,乗客に対するノベルティの配布漏れを生じさせたこと(乙20,26,85),同年5月17日,機内販売の際にクレジットカード売上票を渡し間違ったこと(乙20,117,証人Z12,原告本人),同年6月25日から26日にかけて,本来は最終確定後のリストに基づき声かけを行うべきところ,最終確定前の旅客情報に基づき,誤って明らかに「シニアおでかけサポートサービス」の対象者とは思われない乗客に対して同サービスを実施したこと(乙85),同年8月30日,弁当を持ち込んだ乗客に対して,それを弁当だと思わず,シートポケットに入れるように案内し,また同人に飲み物を提供しなかったことについて,同人から強いクレームを受け,その乗客についてZ12CDIに対し,「怒りやすいお客様です。」と報告したこと(乙45,46,99,123,証人Z12,原告本人),同日,マニキュアの色について美容基準違反との指摘を受けるなど,マニキュアの件では複数回にわたり注意を受けたこと(乙52,原告本人),同年9月25日,毎回確実に実施するよう注意喚起されていた緊急時案内ビデオを上映する際のスクリーン確認を行わなかったこと(乙58,60,84),同日,非常口座席への移動を希望したパニック障害の乗客に対する説明が不十分であったためクレーム- 56 -に至ったこと(乙58),同日,乗務に当たり,機内のセキュリティチェックを行っている際に原告が担当しているギャレーにて,前便からのゴミ袋が残置されていることを見過ごし,チェックが完了した旨の報告を行ったこと(乙58),同年10月20日,機内で乗客から預かった杖を固定せずに通路に放置したこと(乙64,84,90,94),同月30日,機内販売のインベントリー用紙の記入漏れを行った た旨の報告を行ったこと(乙58),同年10月20日,機内で乗客から預かった杖を固定せずに通路に放置したこと(乙64,84,90,94),同月30日,機内販売のインベントリー用紙の記入漏れを行ったこと,同年11月6日,乗客の靴にスープをこぼしたこと,同年12月2日,整備作業終了後に,動作状況確認や座席周辺の安全確認を実施しないまま,「安全確認OK」の報告をしたこと(乙69),同月6日,乗客の座席番号を質問された際に機材にない座席番号を答えたこと(乙70,92),同月22日,乗務の際,客室乗務員の制服着用基準に違反して,半袖のブラウスの下にグレーの長袖下着を着用したこと(乙71,72),平成22年1月9日,安全情報保存版の差し替えが未了であったこと(原告本人),同月11日,機内販売のインベントリーフォームを機内に起き忘れたまま降機したこと(乙71,74)がそれぞれ認められる(上記各事実は,その多くが,争いのない事実,行為の評価について争いがあるとしても,少なくとも外形的な事実について原告が認めている事実,原告が作成した反省文等においてその対象とされていると理解できる事実である。)。上記の他の被告会社主張の別紙1「原告の勤務の経緯」事実についても,被告会社においては,上記各事実を裏付ける多数の証拠(原告の上司らの現認報告,原告と同乗フライトした客室乗務員からの報告,アドバイザリースリップ(乙38,39,41,42,48,59,61,64,65,74,77,80,81,),上記別紙1に主張の各事実に付記された証拠等)が存するところであり,それらの各証拠が意図的に作出された不自然不合理なものであるとは考え難い。以上のことからすれば,原告の上司らが,原告に対して行った評価・判断- 57 -が,その基となる事実関係を欠く不当なものであると の各証拠が意図的に作出された不自然不合理なものであるとは考え難い。以上のことからすれば,原告の上司らが,原告に対して行った評価・判断- 57 -が,その基となる事実関係を欠く不当なものであると認めることはできない。 (イ) そして,原告が客室乗務員としての業務適性を欠く旨の評価は,原告と同乗フライトをした被告会社における原告の複数の上司ら(Z1MGR,Z5SU,Z13SU,Z4CDI,Z12CDI)の概ね一致した判断であるところ,原告の上司らが,特に原告について,業務適性以外の面で契約更新に消極的な意見を述べるべき事情,あるいは,原告を特に個人的に嫌悪すべき事情は認めるに足りず,むしろ,Z12CDIにおいては,原告が経過観察期間中であったこともあって,特に配慮して指導に当たり,原告がこれに対して感謝していたことがうかがえる(前記(1)トヌ,乙98,証人Z12,なお,原告も,Z12CDIは「非常にいろいろとアドバイスをくださったり,当初はすごくいい関係だと思っております。私が実家に帰りますというメールを送って戻ってきたあたりから目に見えるように関係が変わったと感じました。」と供述している。)。 (ウ) これらの事情を総合考慮すれば,原告の本件雇止めに関する被告会社の前記最終的な評価・判断は不合理なものとは認められないというべきである。 エ(ア) 上記の点について,原告は,被告会社による本件雇止め事由は,前記した客観的・合理的な基準に照らして,厳密に検証したものとはほど遠い旨主張するが,原告が主張するところの客観的・合理的な基準を本件雇止めの効力を検討するに当たって,その前提とすることが相当ではないことは前記((1)ウ(エ))したところである。 上記の点に関して,原告は,被告会社には指導担当者に対する 合理的な基準を本件雇止めの効力を検討するに当たって,その前提とすることが相当ではないことは前記((1)ウ(エ))したところである。 上記の点に関して,原告は,被告会社には指導担当者に対する指導基準がなく,また,原告に対して,指導・育成の責務を有する者による具体的で適正な指導・育成がなされていなかった旨主張する。 - 58 -しかし,被告会社において,指導基準等が存したことは前記((3))認定のとおりである。また,指導担当者についてみると,Z1MGRは,昭和52年に被告会社に入社後,昭和56年にアシスタントパーサーに,平成元年にはパーサーに,平成9年にはキャビンスーパーバイザーに,平成14年にはMGRに昇格し,平成22年5月に退職するまでの間,多くの後輩社員の教育・指導育成,人事考課業務に当たってきたと認められ(乙116,被告Z1本人),上記業務については経験豊富な社員であるといえる。原告は,原告に対する被告Z1の偏見ともいうべき感情的・主観的で公正性・客観性を欠如した評価がなされたと主張するが,前記((1))認定事実及び後記するところからすれば,この間の被告Z1の同業務において,上記のような評価をしたとは認めるに足りず,原告の上記主張は採用できない(後記認定のとおり,本件における原告に対する一部言動について不法行為の成立を認めるが,このことは,上記判断を妨げるものではない。)。そして,Z5SU,Z13SU,Z4CDI,Z12CDIについても指導担当者としての適性を欠くと認めるべき証拠はない。そして,指導状況についてみるに,前記((1)ア~ラ)認定事実によれば,原告は,原告の上司らはじめ,多くのCDI,FIらから,具体的な指導を受けたことが認められ,原告もまた,本人尋問において,アドバイスなどたくさんのことをことを 前記((1)ア~ラ)認定事実によれば,原告は,原告の上司らはじめ,多くのCDI,FIらから,具体的な指導を受けたことが認められ,原告もまた,本人尋問において,アドバイスなどたくさんのことをことをFIの方などから教えてもらった旨,Z4CDI及びZ1MGRからも業務に関することで具体的な注意,指導を受けたことはもちろんある旨の供述をしているし,また,原告は,その指導に対する感謝の意思を表明する書面を作成しているところである(前記(1)エコストヌハ,もとより,部下としては,立場上,上司に対し,真意とは異なり感謝の念を表明するということが考えられないではないが,前記認定にかかる書面の内容等をみると,その多くが原告の真意に基づかないものとは考え難い。)。こ- 59 -れらのことからして,被告会社において,原告に対し,具体的で適正な指導・育成がなされていなかった旨の主張は採用できない。 (イ) 確かに,原告はその勤務期間中に被告会社に明らかな損害を与えるような過誤を生じさせたわけではなく,一つ一つの過誤を取り上げてみれば,他の客室乗務員においても起こり得ることであるといえる。しかし,原告の場合には,それが極めて多数回に及びまた繰り返されているということに問題があり,それが原告が客室乗務員としての業務適性を欠く大きな理由であるということは,上記原告の上司らの見解が一致している(証人Z12,証人Z5,被告Z1本人)ところである(原告は,多くの過誤を生じさせ,過誤を起こしやすいことを自認する旨の書面を作成するなどしている(前記(1)エスチ)。)。また,原告が勤務開始の初期の頃から,業務適性に疑問が呈されたことから,さらには2年目契約時には経過観察期間とされたことから,原告の上司らが原告の業務内容を注意深くチェックしたことにより,他の客室乗務 ,原告が勤務開始の初期の頃から,業務適性に疑問が呈されたことから,さらには2年目契約時には経過観察期間とされたことから,原告の上司らが原告の業務内容を注意深くチェックしたことにより,他の客室乗務員と比較して過誤とされる個別事象が積み上がったという面が無いわけではないにしても,それは自らが招いたことなのであって,その事実が多いことをもって,原告の上司らによるチェックが意図的に原告を退職に追い込もうとするためのものであるということはできないし,それらのチェック手続,またそれに基づき原告に対する評価に関する手続を不公正なものということはできない。 前記((2)イ(ア))のとおり,P1チェックについては,その実施手続において一部実施要領に沿わない点があったことは認められるが,同チェックにおける最終的な評価自体を不当なものということはできないし,被告会社の上司において,意識的に低位評価をするための作出をしたとは認められないことは前記((2)イ(イ))のとおりである。原告に対する本件雇止めが無効なものかどうかは,前記のとおり,被告会社- 60 -における最終的な判断の合理性にかかるものであって,前記PIチェックもその一つの判断要素なのであり,この点に関する事情が,前記(ウ)判断を左右するものではない。また,後記認定のとおり,被告Z1の原告に対する言動について,一部不法行為と認められる部分があるが,そのことを考慮しても,本件雇止めに関する前記(ウ)判断が左右されるものではない。 エしたがって,本件雇止めが解雇権濫用法理が類推適用されるとしても,同法理によって無効なものになるとはいえない。 3 争点3(被告Z1及び被告会社による不法行為等の成否)について(1) 原告は,被告Z1は,原告を退職させようと企て,部下の るとしても,同法理によって無効なものになるとはいえない。 3 争点3(被告Z1及び被告会社による不法行為等の成否)について(1) 原告は,被告Z1は,原告を退職させようと企て,部下のCDIらと意思を相通じて,原告に対し,執拗な退職勧奨,退職強要行為を行い,原告の人格権を侵害した旨主張するところ,原告は,その前提として,本件雇止めが無効,違法なものである(原告の業務適性において,本件雇止めを正当化するような事情はない。)旨,また,被告Z1らが,原告に対して,誠実に指導,育成するという対応をとらなかった旨主張するが,原告の業務適性を理由とする本件雇止めが無効,違法なものとは認められないこと及び被告Z1ら原告の上司が,原告に対し,概ね適切に指導育成を行っていたことは前記(2)認定のとおりである。したがって,被告Z1が,原告が客室乗務員として業務適性に欠ける点があり,そのことによって雇止めの可能性があること,また,そのことを踏まえて退職勧奨したとしても,そのこと自体違法なこととはいえないし,それが原告の雇用契約において正常な処遇を受ける権利を侵害したことになるものではない。 退職勧奨を行うことは,不当労働行為に該当する場合や,不当な差別に該当する場合などを除き,労働者の任意の意思を尊重し,社会通念上相当と認められる範囲内で行われる限りにおいて違法性を有するものではないが,その説得のための手段,方法が上記範囲を逸脱するような場合には違法性を有- 61 -すると解されるから,このような観点から,被告Z1の原告に対する言動が不法行為に当たるかどうかについて検討する。 ア被告Z1作成の報告書前記(2(1)セ)認定のとおり,被告Z1は,平成21年5月26日付け現況報告書における所属長所感にお 法行為に当たるかどうかについて検討する。 ア被告Z1作成の報告書前記(2(1)セ)認定のとおり,被告Z1は,平成21年5月26日付け現況報告書における所属長所感において,原告について「「努力すれば何とかなる。自分からは決して辞めるつもりはない。」との決意を繰り返し述べている。」と,また,「現段階でも2年目のATして求められる標準レベルには達しておらず,Q-PTNアサインに向けS/LのOJTを開始するのは時期尚早であり,6月末までに改善に至らない場合は契約終了が相当であると思料する。」と記載し,また,同年6月23日には,Z2次長宛てのメールにおいて「経過観察中の遅刻に対し「次長注意書」を手交して頂く事で,本人も納得して決断出来るのではないかと思います。」と記載したことが認められる。 イ原告と被告Z1との面談内容証拠(甲39,甲85の1ないし12,甲86(原告が平成21年3月頃から被告Z1との面談の際の会話内容を録音したもののうち,原告が証拠として提出した平成21年5月以降同年9月15日までの期間に関するもの。),原告本人)によれば,上記面談内容のうち,原告の退職に関する部分の会話として,以下の事実が認められる。なお,被告Z1は,原告が被告Z1との面談に被害者意識を持っているようであれば,これ以上面談を続ける必要がないと考え,同日以降,距離を置いて見守ることとし,原告との長時間の面談は行わないこととした(乙98,原告本人)。 (ア) 平成21年5月初旬における面談(甲85の1)被告Z1は,上記面談の中で「6月9日で3ヶ月終わりですよ。」と述べ,その後,会話が継続された後,原告が「多分Z1さんは私辞めたほうがいいんじゃないかと思ってらっしゃるのはわか 5の1)被告Z1は,上記面談の中で「6月9日で3ヶ月終わりですよ。」と述べ,その後,会話が継続された後,原告が「多分Z1さんは私辞めたほうがいいんじゃないかと思ってらっしゃるのはわかるんです。」と述- 62 -べたのに対し,「うーん」と答え,さらに原告が「でも自分では,んー,そう思わないというか。」と述べたのに対し,「じゃあ,この先どうするのかってとこでしょ。」と述べ,その後「少なくとも6月9日で3ヶ月になります。そこでちゃんと答えを出してもらわないといけない。」と述べた。 (イ) 同年5月26日における面談(甲85の2)被告Z1は,同日の面談の中で「駄目ならちゃんと,あれです。本当にはっきり言うけど,もうお辞めいただきます。」「それしかないです。 会社としては」と述べ,また,その後決意書の作成を求めた際に「そこの決意は,職を辞する覚悟で,って事を書いて下さい。それを書いてもらった上で面談します。」と述べた。 (ウ) 同年5月末ないし6月初旬頃(甲85の3)被告Z1は,同日の面談の中で「もう,ここまで来たら,いつまでに何をします,何が出来なければ職を辞する覚悟でというのを書いてもらわなければならない。」と述べた。 (エ) 同年7月中旬(甲85の5)被告Z1は,同日の面談の中で「うんまこのままね,来年の,ねえ,あの契約更改にならないからね,うんうん,結局このままやるしかないので,ね,そこはちょっと自分でも覚悟決めて仕事するしかないよねえ。」と述べた。 (オ) 同年9月14日(甲85の8・9)被告Z1は,同日の面談の中で「うん,自分でねえ,どうするかちょっともう明日決めていただき 仕事するしかないよねえ。」と述べた。 (オ) 同年9月14日(甲85の8・9)被告Z1は,同日の面談の中で「うん,自分でねえ,どうするかちょっともう明日決めていただきますから,とりあえずね。」「期限決めましょう。期限。もう。どうするのか,自分がこの与えられた中で,ね。」「希望はね,もう限られた中での希望は私はできるだけ聞いときます。 ラストをどういうふうにするのかも。」「だからここでもうね飛ばない- 63 -でお辞めいただいて良かったんですよ。」「できるだけいい形で,ね,ちゃんと仕上げたいと思っているので,そこを受け入れていただきたいです。Z8さんにも。」と述べた。 (カ) 同年9月15日(甲85の10)被告Z1は,同日の面談の中で「この先の自分のスケジュールっていうんですか,どういうふう考えているの。」「だって,ほら,1年後とか2年後とかのことじゃない。それは早いか遅いかだけの話でしょ。1か月早いか遅いかだけの話でしょというところなのね。うん,それが現実だからね。うん,もう夢は見えないの。1年,2年の先の話は,こっから先行けないわけなのね。」「あなたは未だにこういうことを起こしているので,もう,これ,ありませんよっていうふうに言われているわけだから,自分でも,じゃあわかるよね。」「ただ自分がとにかく今飛んでるのだけでも飛びたいからあ,しがみついているってことなんだけど,じゃあ,これをいつまでしがみつくつもりなのかなっていうところ。 もっと具体的に考えてみて。だって,私がこうしなさいって,言うことじゃないもの。自分の美学でしょ。人間としてのプライドがあるならね。」「そこでちゃんと自分で責任とって進めていただきたいの。」などと述べ,その後原告が「働ける限り,働くしか, しなさいって,言うことじゃないもの。自分の美学でしょ。人間としてのプライドがあるならね。」「そこでちゃんと自分で責任とって進めていただきたいの。」などと述べ,その後原告が「働ける限り,働くしか,会社に迷惑かけないで。」「真剣に取り組みたいと思います。」「働かせていただく限りはということです。」などと述べ,その後被告Z1は,「CAMSAFETY差し替えていないで乗務したこと,それは,あってはならない事態なのでもう乗務員としての資格はありませんので,うん,辞めていただくのが筋です。」などと述べた。 (キ) 同日(甲85の11)原告が,同日の面談の中で「私は,この仕事を本当に続けていきたいと思っているので。あの,周りのかたに大変ご迷惑おかけしているとい- 64 -うことは,すごく身にしみて分かっていますし。注意を払って,決して,指導してくれた,下さった方々を後悔させることはしませんから,どうか,あの,この先も受けさせていただきたいという思いを伝えたくて,今日,ここにまいりました。」と述べたのに対し,被告Z1は,「うん,いつまで,いつまで続けるの,あの,うん,いいです。会社ですからね。」と述べ,その後,原告が「残ると,自分この先」と述べたのに対し,被告Z1は,「そんなことないわよ。違うところで,いくらでも,あなたはいいところがあるから,活かせます。でも,この仕事では活かせません。」「それだったら,「今度何か起こしたら。もう辞めます」って,一筆書いて下さい。」「もう,ぎりぎり,もう9月末ですよ。9月末で,もうデッドラインですよ。」「これ以上,もう猶予は与えられないの。 そこはもうお分かりでしょう,自分で。懲戒免職とかになったほうがいいんですか。そうなったら,次の,まだ25歳ですから,自分を生かす人 もうデッドラインですよ。」「これ以上,もう猶予は与えられないの。 そこはもうお分かりでしょう,自分で。懲戒免職とかになったほうがいいんですか。そうなったら,次の,まだ25歳ですから,自分を生かす人生がなくなちゃいますよ。」「自分が夢だから。この仕事をやりたいと言われても困りますよ。やることなってくれないのにね。もう,はっきり言ってごり押しじゃないですか。それじゃあ,自分で身を引くのが美学ですよ,これだったら自分のプライドですよ。逆に。」などと述べた。 (ク) 同日(甲85の12)被告Z1は,同日の面談の中で「って言うのはさっき言ったみたいに,記憶力に問題があるんで,ね,私ももしかしたら悪いけど,若年性の認知症じゃないのかと疑うぐらい物事を覚えていないんで,自分が書いたこと言ったことに責任を持っていただきたい。」「これだけ失敗を起こしてしまったこと,ね,それで,もう,本来であったらね,もう,もう今日限りっていうところですよ。」と述べた。 ウ原告の意思表示- 65 -原告は,被告Z1らの退職勧奨に対し,平成21年8月17日には,Z12CDIに「今,実家に帰り,入社してからここまでを振り返り,客観的に自分の仕事を見つめ直し,今後どうあるべきなのかじっくり考えております。考えがまとまりましたら,またご連絡させて頂きたいと思います。」などと記載したメールを送り,自主退職も検討していると理解できる旨の意思を示していた(前記2(1)ナ)が,同年9月5日,原告は,被告Z1宛の書面において「今の私はその日描いていた姿とは到底懸け離れており,日々様々な方に御迷惑をお掛けしてしまいます。いっその事,辞めた方が良いのではないかと迷っておりました。しかしながら,今後仕事を続けてい において「今の私はその日描いていた姿とは到底懸け離れており,日々様々な方に御迷惑をお掛けしてしまいます。いっその事,辞めた方が良いのではないかと迷っておりました。しかしながら,今後仕事を続けていく中で何とか自分の壁を越えたい,夢を実現したいという思いには些かの迷いもございません。自分から諦めてしまう事だけは,一生後悔しますし,私は,仕事を続けられる限り,どんな努力もしていこう,常に危機感を持ち,意識を高く持ち続けようと,決意を新たに致しました。」などと記載し(前記2(1)ハ),自ら退職する意思のないことを明らかにした。 (2)ア前記((1)ア)認定事実によれば,平成21年5月末時点において,被告Z1は,原告は客室乗務員としての業務適性に欠ける部分が多々あるとして,将来の雇止めや自主退職も視野に入れて指導を継続していたこと,原告は,上記時点において,被告Z1に対し,自主的に退職するつもりはない旨の意思を表明していたこと,被告Z1は,その後も同年7月にかけて,原告に対し,自主退職を促すかのような言動をとり,同年8月には,原告も自主退職を検討していると理解できる意向を示していたが,同年9月5日には,自主退職する意思のないことを明確に表示したこと,同月14日及び15日に至り,被告Z1は,原告に対し,前記(イ(オ)(カ)(キ)(ク))認定のとおりの言動をとったことが認められる。 イ原告主張の別紙3「Z1MGRによる人格権侵害行為」に記載の多く事実のうち,①ないし⑦に記載の点については,その表現において,一部適- 66 -切さを欠くものもないではないが,前記認定にかかる経過における長期間にわたる指導の際の出来事であること,態様において威迫的であるとは認めるられないこと(甲86),被告Z1の退職勧奨の示唆に対して,原告がこ くものもないではないが,前記認定にかかる経過における長期間にわたる指導の際の出来事であること,態様において威迫的であるとは認めるられないこと(甲86),被告Z1の退職勧奨の示唆に対して,原告がこれを検討している経過もうかがえることに,各言動におけるその前後のやりとりなども総合考慮すると,被告Z1の上記言動について未だ社会的相当性を逸脱するものとまでいえず,不法行為の成立を認めることはできない。 ウしかし,同年9月14日及び15日の退職勧奨を趣旨とする言動(前記イ(オ)(カ)(キ)(ク))は,原告が同月5日付け書面で明確に自主退職しない意思を示しているにもかかわらず,「いつまでしがみつくつもりなのかなっていうところ。」「辞めていただくのが筋です。」などと強くかつ直接的な表現を用い,また,「懲戒免職とかになったほうがいいんですか。」と懲戒免職の可能性を示唆するなどして,原告に対して退職を求めているものであり,当時の原告と被告Z1の職務上の関係,同月15日の面談は長時間に及んでいると考えられること(甲85の10~12,甲86,原告本人)などの諸事情を併せ考慮すると,上記言動は,社会通念上相当と認められる範囲を逸脱している違法な退職勧奨と認めるのが相当である。 上記両日の面談については,被告Z1の度重なる指導にもかかわらず,その直前である同月11日に,原告が,配車不乗及びマニュアルの差し替え未了という過誤を生じさせていたという事情があり,被告Z1の原告に対する対応が厳しくなるのもやむを得ないという事情がうかがえるところではあるが,このような事情を考慮しても,被告Z1の上記言動が違法性を有する旨の認定は左右されるものではない。 エそして,被告Z1の上記不法行為は,被告会社の業務執行に関してされたものであるといえ が,このような事情を考慮しても,被告Z1の上記言動が違法性を有する旨の認定は左右されるものではない。 エそして,被告Z1の上記不法行為は,被告会社の業務執行に関してされたものであるといえるから,被告会社もまた,この点についての使用者責任を負うというべきである。 - 67 -(3) 原告の被告Z1らに関するその余の不法行為の主張については,前記したところから採用できない。また,被告会社は,雇用契約における使用者として,被告Z1らが退職強要等の違法行為を行うことがないよう,また,被告会社の管理職による誤った職務執行行為等によって違法な雇止め等の措置が講じられることのないようにに職場環境を調整し,従業員が適切な処遇を受けられるように配慮する義務があるのにこれを怠った債務不履行がある旨主張するが,この主張もまた,採用することができない。 4 争点4(損害)について証拠(原告本人)によれば,原告は,被告Z1の前記(3(2))認定にかかる不法行為により精神的苦痛を被ったと認められるところ,上記不法行為の態様等,前記認定にかかる諸般の事情を考慮すれば,これについての慰謝料としては20万円を相当と認める。 5 結論以上によれば,原告の本件請求は,被告ら各自に対し,20万円及びこれに対する平成22年4月30日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるが,その余の請求は理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第19部 裁判官古久保正人 部 裁判官古久保正人
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