⚖️ 判例マッチング
ホーム判例一覧裁判所裁判官解析 / 仮想裁判
🏠ホーム📋判例一覧📄解析⚖️仮想裁判
ホーム›裁判情報一覧›昭和43(ネ)2963 建物収去土地明渡請求事件

昭和43(ネ)2963 建物収去土地明渡請求事件

裁判所

昭和45年12月18日 東京高等裁判所

👤裁判官プロフィール機能は近日公開予定
全文PDFダウンロード

9,007 文字

主文 原判決を次のとおり変更する。控訴人Aは被控訴人に対し昭和四二年一月一日以降同年一〇月二四日まで一カ月金三、二〇〇円の割合による金員を支払え。被控訴人の控訴人Aに対するその余の請求および控訴人Bに対する請求をいずれも棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。事実 控訴代理人は「原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の事実上の陳述、証拠関係は次に付加・訂正するほか、原判決事実欄の記載と同一であるから、これを引用する(ただし、原判決原本二枚目裏五行目に「一〇月三〇日」とあるのは「一一月三〇日」の、同三枚目裏一〇行目に「敷地占有」とあるのは「敷地を占有」の、同五枚目表末行に「絶対絶命」とあるのは「絶体絶命」のいずれも明らかな誤記であるから訂正する。)。(被控訴人)一、 原判決原本二枚目表六行目に「被告」とあるのを「被告A」と同七行目に「月額金三、二〇〇円」とあるのを「月額金二、二〇〇円」といずれも訂正する。原判決事実欄一、(五)記載の昭和四二年一〇月二三日付内容証明郵便をもつてした本件賃貸借契約の解除は控訴人Aの賃料および更新料の不払を理由とするものである。二、 控訴人らの地上権の主張および本件賃貸借契約が無効である旨の主張はいずれも時機に後れた防禦方法であるから、却下さるべきである。三、 控訴人Aが昭和四二年三月中に同年一月から半年分の賃料を被控訴人の妻Cに提供した旨の控訴人らの主張事実は否認する。仮に、控訴人Aが賃料を提供したとしても、本件において同控訴人は約定の更新料の支払を再三に亘つて遅滞し、その都度支払の日 から半年分の賃料を被控訴人の妻Cに提供した旨の控訴人らの主張事実は否認する。仮に、控訴人Aが賃料を提供したとしても、本件において同控訴人は約定の更新料の支払を再三に亘つて遅滞し、その都度支払の日時・方法を約束しながら遂にその支払を全くせず、賃料のみを提供したにすぎないから、完全な弁済の提供があつたということはできず、被控訴人の妻Cがこの受領を拒んだとしても受領遅滞があるということはできない。 の日 から半年分の賃料を被控訴人の妻Cに提供した旨の控訴人らの主張事実は否認する。仮に、控訴人Aが賃料を提供したとしても、本件において同控訴人は約定の更新料の支払を再三に亘つて遅滞し、その都度支払の日時・方法を約束しながら遂にその支払を全くせず、賃料のみを提供したにすぎないから、完全な弁済の提供があつたということはできず、被控訴人の妻Cがこの受領を拒んだとしても受領遅滞があるということはできない。四、 控訴人Aは被控訴人の昭和四二年八月二九日付、同年一〇月一三日付の各催告にもかかわらず、更新料はもちろん賃料のみについての提供すらしなかつた。そればかりでなく、同控訴人は原審における昭和四三年一〇月三〇日の第八回口頭弁論期日において昭和四三年一一月一五日までに更新料および延滞賃料の提供の用意がある旨陳述しながら、右期日を経過しても更新料はおろか賃料さえも提供しなかつたもので、同控訴人の債務不履行は明らかであり、この点に関する控訴人らの主張は理由がない。五、 本件賃貸借契約の解除が権利の濫用である旨の控訴人らの主張は争う。控訴人Aは被控訴人が長期入院のため経済的に困難な事情にあることを知りながら、被控訴人の妻Cとの約束に基づく更新料の支払を再三に亘つて遅滞し、かつ、賃料の支払も怠つたもので同控訴人の債務不履行により当事者間の信頼関係は完全に破壊されていたものであるから、本件解除を権利の濫用とするには当らない。六、 控訴人Aと被控訴人の間において昭和四三年一月二七日再度原判決添付目録(一)記載の本件土地について賃貸借契約が成立した旨の控訴人らの主張事実は否認する。(控訴人ら)一、 被控訴人の前記一の訂正および釈明の事実は認める。原判決事実欄一、(六)記載の事実のうち控訴人Bの本件土地の占有が無権原である点を除いて、その余の事実は認 事実は否認する。(控訴人ら)一、 被控訴人の前記一の訂正および釈明の事実は認める。原判決事実欄一、(六)記載の事実のうち控訴人Bの本件土地の占有が無権原である点を除いて、その余の事実は認める。同控訴人は控訴人Aの本件土地に対する占有権原を援用する。二、 控訴人Aは本件土地について地上権を有するものである。すなわち、本件土地を含むab丁目c番d宅地三一三・〇二平方米は、もと池沼であり控訴人Aの祖父Dの兄Eが所有していたものであるが、明治三〇年五月一〇日従兄である被控訴人の祖父Fに対し同人の母親の懇請によりこれを売渡した。 人Bの本件土地の占有が無権原である点を除いて、その余の事実は認める。同控訴人は控訴人Aの本件土地に対する占有権原を援用する。二、 控訴人Aは本件土地について地上権を有するものである。すなわち、本件土地を含むab丁目c番d宅地三一三・〇二平方米は、もと池沼であり控訴人Aの祖父Dの兄Eが所有していたものであるが、明治三〇年五月一〇日従兄である被控訴人の祖父Fに対し同人の母親の懇請によりこれを売渡した。Dは明治三三年頃右池沼を自己の費用をもつて埋立て、その頃本件土地の部分についてFから建物所有を目的とし期間を永久と定めて地上権の設定を受けた。Dは大正一二年九月一日死亡し同人の妻Gが家督相続により右地上権を取得し、同人が昭和一九年一月一八日死亡したので同人の養子で控訴人Aの夫Hがこれを家督相続により取得し、さらに、Hが昭和三七年一二月五日死亡したので同控訴人と四人の子が相続して現在に至つている。この間、本件土地を含む前記宅地の所有権はFから同I、被控訴人といずれも家督相続により承継されたものである。したがつて、控訴人Aは被控訴人に対し本件土地に対する地上権をもつて対抗できるから、被控訴人の控訴人らに対する本訴請求は失当といわなければならない。本件土地についての被控訴人とHとの本件賃貸借契約は、Hが本件土地に対する右のような地上権の存在を知らないまま締結したものであるから、法律行為の要素に錯誤があつたというべきであり、無効である。したがつて、賃貸借契約の解除を原因とする明渡請求権の発生の余地はない。三、 仮に、地上権の設定が認められず、本件賃貸借契約が無効でないとしても、控訴人Aの被控訴人に対する更新料の 無効である。したがつて、賃貸借契約の解除を原因とする明渡請求権の発生の余地はない。三、 仮に、地上権の設定が認められず、本件賃貸借契約が無効でないとしても、控訴人Aの被控訴人に対する更新料の支払契約は、本件土地を同控訴人の祖父が使用してきた前記のような事情を同控訴人が知らなかつたため締結したもので、同控訴人の更新料の支払の意思表示はその重要な部分に錯誤があり無効といわなければならない。したがつて、控訴人Aの賃料の提供は債務の本旨に従つたものであるから、被控訴人のした本件賃貸借契約解除の意思表示は無効である。被控訴人は控訴人Aに対する賃料の請求に当つて更新料の請求をもともにしてきた。 の支払契約は、本件土地を同控訴人の祖父が使用してきた前記のような事情を同控訴人が知らなかつたため締結したもので、同控訴人の更新料の支払の意思表示はその重要な部分に錯誤があり無効といわなければならない。したがつて、控訴人Aの賃料の提供は債務の本旨に従つたものであるから、被控訴人のした本件賃貸借契約解除の意思表示は無効である。被控訴人は控訴人Aに対する賃料の請求に当つて更新料の請求をもともにしてきた。これは賃料だけでは受領しないことを明示したものであるばかりでなく、過大かつ不当な催告であつて無効というべきである。このように有効な催告がない以上解除権も発生するいわれはない。四、 仮に、本件の更新料の支払契約が有効であるとしても、本来別個のものである更新料と賃料の各支払を片方だけでは受領しない旨表示しながら一体不可分のものとして催告することは、それぞれについて有効な催告ということはできないから、本件の解除権は発生しないものといわなければならない。証拠関係(省略) 理由 一、 控訴人らは本件訴が被控訴人の意思に基づかないで同人の妻Cの提起したものであり、不適法である旨主張するが、原審における証人Cの証言ならびに原審および当審における被控訴人本人尋問の結果によると、被控訴人が本件土地の管理その他家事処理の一切を妻であるCに包括的に委任していることを認めることができ、この認定に反する証拠はないから右主張は採用の限りでない。二、 被控訴人が本件土地を含む墨田区ab丁目c番d宅地三一三・〇二平方米を所有し、控訴人Aがその地上に 任していることを認めることができ、この認定に反する証拠はないから右主張は採用の限りでない。二、 被控訴人が本件土地を含む墨田区ab丁目c番d宅地三一三・〇二平方米を所有し、控訴人Aがその地上に原判決添付目録(二)(三)記載の各建物を所有して本件土地を占有していることは当事者間に争いがない。ところで、被控訴人が本件土地についての被控訴人と控訴人A間の賃貸借契約の解除による終了を原因として本件土地の明渡を請求するのに対し、控訴人らは控訴人Aが本件土地について地上権を有し、右賃貸借契約は無効である旨抗争する。被控訴人は控訴人らの右抗弁は時機に後れた防禦方法であるから却下さるべきであると主張するところ、本件審理の経過に照すと控訴人らの右防禦方法の提出が故意または重大な過失によつて時機に後れて提出されたものとは認められないから右主張は採用しない。 間の賃貸借契約の解除による終了を原因として本件土地の明渡を請求するのに対し、控訴人らは控訴人Aが本件土地について地上権を有し、右賃貸借契約は無効である旨抗争する。被控訴人は控訴人らの右抗弁は時機に後れた防禦方法であるから却下さるべきであると主張するところ、本件審理の経過に照すと控訴人らの右防禦方法の提出が故意または重大な過失によつて時機に後れて提出されたものとは認められないから右主張は採用しない。しかしながら、当審における証人Bの証言をもつても控訴人Aの祖父Dが被控訴人の祖父Fから本件土地について地上権の設定を受けた旨の控訴人らの主張事実を認めるに足りず、他にこの事実を認めるに足りる証拠はない。したがつて、控訴人らのこの主張は採用できない。そして、被控訴人が控訴人Aの亡夫Hに対し昭和二二年四月一日本件土地を普通建物所有を目的として賃料月額金二、二〇〇円、毎月末日持参払、期間二〇年と定めて賃貸したことは当事者間に争いがなく、右契約が要素の錯誤により無効である旨の控訴人らの主張は、その前提である亡Hが承継したと主張する本件土地に対する地上権について、その設定を認めるに足りる証拠がないことが前記のとおりであるから、これも採用の限りでない。右Hが昭和三七年一二月五日死亡し、控訴人AにおいてHの賃貸借契約上の権利義務を承継したことは、右本件賃貸借契約が有効であることを前提に(原審においては無条件 りであるから、これも採用の限りでない。右Hが昭和三七年一二月五日死亡し、控訴人AにおいてHの賃貸借契約上の権利義務を承継したことは、右本件賃貸借契約が有効であることを前提に(原審においては無条件に賃貸借の承継を認めていたが、当審においては新たな主張との関係でこのようになる。)、控訴人らの認めるところであり、昭和四一年九月以降の賃料が一カ月金三、二〇〇円であることは争いがない。本件賃貸借契約は昭和四二年三月三一日期間が満了となるべきところ、前記認定のとおり本件土地の管理について被控訴人のため包括的に代理権を有していた被控訴人の妻Cと控訴人Aの間において、昭和四一年三月五日本件賃貸借契約の更新料として金四〇万円を同年四月三〇日以降同年一一月三〇日まで毎月金五万円宛分割して支払う旨の契約が成立したこと、その後同控訴人が右Cの請求にもかかわらず右更新料の支払をしなかつたため同年六月右金員を同年八月および一一月の各末日限り金二〇万円宛支払う旨約定したこと、ところが同控訴人がなお支払をしなかつたため昭和四二年二月五日右更新料に遅滞による損害金および違約金として金一〇万円を加え、合計金五〇万円を同年二月末日限り支払う旨の合意が成立したことならびに右Cにおいて上記金員の支払を同年八月末まで猶予したが同控訴人が支払をしなかつたことは、いずれも当事者間に争いがない。 なかつたため同年六月右金員を同年八月および一一月の各末日限り金二〇万円宛支払う旨約定したこと、ところが同控訴人がなお支払をしなかつたため昭和四二年二月五日右更新料に遅滞による損害金および違約金として金一〇万円を加え、合計金五〇万円を同年二月末日限り支払う旨の合意が成立したことならびに右Cにおいて上記金員の支払を同年八月末まで猶予したが同控訴人が支払をしなかつたことは、いずれも当事者間に争いがない。控訴人らは、右更新料の支払契約は控訴人Aにおいて同控訴人の祖父Dが当時池沼であつた本件土地を自己の費用で埋立てて使用してきた事情を知らなかつたため締結したもので、意思表示の重要な部分に錯誤がある旨主張するけれども、契約締結時にこのような事情を知らなかつたとしてもそれだけでいわゆる更新料の支払契約が無効となると解することはできないから、この主張は採用できない。三、 被控訴人は、控訴人 る旨主張するけれども、契約締結時にこのような事情を知らなかつたとしてもそれだけでいわゆる更新料の支払契約が無効となると解することはできないから、この主張は採用できない。三、 被控訴人は、控訴人Aが右更新料ばかりでなく昭和四二年一月以降賃料の支払も怠つていたので、被控訴人において同年八月二九日付書面をもつて更新料五〇万円および延滞賃料の支払を催告したが支払がなく、同年一〇月一三日付内容証明郵便をもつて上記郵便到達の日から五日以内に右更新料および同年一月以降九月までの延滞賃料を支払うよう催告し、右郵便が同月一七日控訴人に到達したにもかかわらず、なお同控訴人は催告指定期間内に右各金員の支払をしない、そこで同月二三日付内容証明郵便をもつて本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしたところ、これは同月二四日同控訴人に到達したから同日の経過によつて本件賃貸借契約は終了した旨主張する。ところで、原審および当審における証人Cの証言(後記信用しない部分を除く)ならびに控訴人A本人尋問の結果によると、控訴人Aが昭和四二年三月中に被控訴人方を訪れ、同人の妻Cに対し同年一月から六月までの賃料の支払を申し出て現金を提供したところ、右Cから金五〇万円の更新料と同時でなければ受領できない旨強く拒まれたことを認めることができ、右証人Cの証言中この認定に反する部分は控訴人A本人尋問の結果(ことに、同控訴人が右Cに賃料のみを提供したところ、すごい剣幕で突つ返えされた旨の当審における供述は十分信用できる。 ると、控訴人Aが昭和四二年三月中に被控訴人方を訪れ、同人の妻Cに対し同年一月から六月までの賃料の支払を申し出て現金を提供したところ、右Cから金五〇万円の更新料と同時でなければ受領できない旨強く拒まれたことを認めることができ、右証人Cの証言中この認定に反する部分は控訴人A本人尋問の結果(ことに、同控訴人が右Cに賃料のみを提供したところ、すごい剣幕で突つ返えされた旨の当審における供述は十分信用できる。)と対比して容易に信用できないし、他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。<要旨第一第二>右認定の事実によると控訴人Aは少なくも賃料に限れば被控訴人に対し現実に提供したものというべき</要旨第一第二>ところ、賃料とともに前記約定によるいわゆる更新料を同時に提供しない <要旨第一第二>右認定の事実によると控訴人Aは少なくも賃料に限れば被控訴人に対し現実に提供したものというべき</要旨第一第二>ところ、賃料とともに前記約定によるいわゆる更新料を同時に提供しない場合には本件賃貸借契約における賃借人の債務の履行の提供といえないかどうかが問題となる。前記証人Cの証言および控訴人A本人尋問の結果によると本件更新料の支払契約は、たまたま同控訴人が事業資金を必要とするため本件土地上の建物を他に担保として提供するについて被控訴人に地主の承諾印をもらいに行つた機会に被控訴人の妻Cの要求によつて締結したもので、Cとしては単に世間並に更新料の支払を求めたに過ぎないものと認められるほか、とくに被控訴人に本件賃貸借期間満了を待つて土地の使用について異議を述べ、本件土地の明渡を求めることのできるような正当の事由があり、控訴人Aもこれを承認しいわゆる更新料の支払をすることによつて契約の更新を図つたというような特別の事情を認めるに足りる証拠は全くない。このような事実関係から考えると、本件賃貸借契約は法定更新により当然当初の約定期間を超えて存続すべきところ、本件更新料の支払契約は、賃貸借契約の存続を条件とするとしても、更新料の不払が本来の賃貸借契約の消滅をもたらすようなものではないと解するのが相当である。すなわち、本件におけるいわゆる更新料はたかだか被控訴人において土地賃貸借契約の期間満了時に有する異議権の行使を放棄する対価に過ぎないというべきで、この支払の遅滞により本件更新料の支払契約を解除して異議権を行使することができると解する余地はあつても、本件更新料の不払がそれにもかかわらず法定更新された賃貸借契約の債務不履行に当るものと解することはできない。 らすようなものではないと解するのが相当である。すなわち、本件におけるいわゆる更新料はたかだか被控訴人において土地賃貸借契約の期間満了時に有する異議権の行使を放棄する対価に過ぎないというべきで、この支払の遅滞により本件更新料の支払契約を解除して異議権を行使することができると解する余地はあつても、本件更新料の不払がそれにもかかわらず法定更新された賃貸借契約の債務不履行に当るものと解することはできない。したがつて、控訴人Aの賃料のみの弁済の提供が本件賃貸借契約において賃借人の 地はあつても、本件更新料の不払がそれにもかかわらず法定更新された賃貸借契約の債務不履行に当るものと解することはできない。したがつて、控訴人Aの賃料のみの弁済の提供が本件賃貸借契約において賃借人の債務の履行遅滞となり、債務不履行になるということはできない。してみれば、前記認定のように控訴人Aにおいて昭和四二年三月中に被控訴人に対し同年一月から六月までの賃料を現実に提供した以上、同年六月分までの賃料については遅滞の責を免れるというべきところ、被控訴人が昭和四二年一〇月一三日付で控訴人Aに対し前記更新料金五〇万円および同年一月から九月までの賃料の支払請求をし、催告指定期間である同月二三日までに同控訴人がその支払をしなかつたため、被控訴人がさらに同月二三日付で本件賃貸借契約解除の意思表示をし、これが翌二四日同控訴人に到達したことは当事者間に争いがない。そして、控訴人の妻Cの前記認定のような賃料のみでは受領しない強い態度と本件口頭弁論の全趣旨を合わせ考えると、右催告もまた賃料のみの提供では受領しない趣旨であることが明らかで、控訴人Aとしては、たとえ、賃料提供の意思があつても被控訴人の受領が全く期待できない状況にあるといわなければならないから、このような催告は賃料支払の催告としては効力を生じないといわなければならない。したがつて、有効な催告のあることを前提とする本件賃貸借契約の解除権は発生しないというべきである。被控訴人はなお控訴人Aが原審第八回口頭弁論期日において昭和四三年一一月一五日までに更新料および延滞賃料を支払う用意がある旨陳述しながら、右期日を経過しても更新料はおろか賃料の支払すらしないと非難するけれども、被控訴人において本件賃貸借契約の解除による終了を主張し、本訴を維持している以上、たとえ、同控訴人が右期日までに更新料および ことを前提とする本件賃貸借契約の解除権は発生しないというべきである。被控訴人はなお控訴人Aが原審第八回口頭弁論期日において昭和四三年一一月一五日までに更新料および延滞賃料を支払う用意がある旨陳述しながら、右期日を経過しても更新料はおろか賃料の支払すらしないと非難するけれども、被控訴人において本件賃貸借契約の解除による終了を主張し、本訴を維持している以上、たとえ、同控訴人が右期日までに更新料および 右期日を経過しても更新料はおろか賃料の支払すらしないと非難するけれども、被控訴人において本件賃貸借契約の解除による終了を主張し、本訴を維持している以上、たとえ、同控訴人が右期日までに更新料および賃料の提供をしたとしても、その受領はほとんど期待できないといわなければならないから、まずもつて被控訴人が更新料および賃料の受領の意思を表明すべきで、これをしない以上、同控訴人の態度を債務不履行として非難するのは当らない。四、 以上のとおりであつて、本件賃貸借契約が解除により終了したことを前提とする被控訴人の控訴人らに対する請求部分はいずれも失当であるといわなければならないが、被控訴人はなお控訴人Aに対し昭和四二年一月一日以降本件賃貸借契約が解除されたと主張する同年一〇月二四日までの賃料を請求するところ、この部分の請求は理由があるので、原判決を変更することとし、訴訟費用については民訴法第九六条、第八九条、第九二条を適用し、請求認容部分について仮執行の宣言は付さないこととし、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官桑原正憲裁判官寺田治郎裁判官浜秀和)

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る