平成27年3月27日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成24年(ワ)第21128号売買代金請求事件口頭弁論終結日平成27年1月19日判決神戸市<以下略>原告兼松株式会社同訴訟代理人弁護士大野聖二同小林英了同訴訟復代理人弁護士本橋たえ子東京都港区<以下略>被告ソフトバンクBB株式会社同訴訟代理人弁護士高橋元弘同末吉 亙 主文 1 被告は,原告に対し,256万8409.18USドル及びこれに対する平成24年6月9日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求主文同旨第2 事案の概要本件は,被告との間で物品の売買に関する基本契約(以下「本件基本契約」という。)を締結した原告が,被告に対し,原告は,本件基本契約に基づく個別契約を被告と締結して,ADSLモデム用チップセット及びDSLA M用チップセットを被告に納入したが,被告が上記チップセットの売買代金の一部を支払わないと主張して,同契約に基づき,残代金256万8409.18USドル及びこれに対する平成24年6月9日(支払期日後の日)から支払済みまでの商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 被告は,「本件基本契約には,原告の納入する物品並びにその製造方法及びその使用方法が第三者の特許権を侵害しないこと,及び同物品に関して第三者との間で特許権侵害 延損害金の支払を求める事案である。 被告は,「本件基本契約には,原告の納入する物品並びにその製造方法及びその使用方法が第三者の特許権を侵害しないこと,及び同物品に関して第三者との間で特許権侵害を理由とする紛争が生じた場合,原告の費用と責任において解決し,又は被告に協力し,被告に一切迷惑をかけないこと,原告がこれらに違反した場合には被告に生じた損害を賠償する義務を負うことが規定されているところ,原告の納入した物品及びその使用方法等がウィ-ランインコーポレイテッドの有する特許権を侵害するものであり,かつ,原告が同社との間の紛争を解決することができなかったため,被告は,ライセンス料として2億円の支払を余儀なくされ,同額の損害を被った」旨主張した上,平成24年6月7日付け通知書により,債務不履行による損害賠償債権(損害賠償金2億円及びこれに対する同年3月17日〔ライセンス料支払の日の翌日〕から同年5月30日〔相殺適状日の前日〕までの商事法定利率年6分の割合による遅延損害金245万9016円に係る債権)を自働債権として,原告の売買代金債権と対当額で相殺したとして,原告の請求を争っている。 1 前提事実等(証拠等を付記しない事実は,当事者間に争いがない。書証の枝番は,省略することがある。)(1) 当事者等ア原告は,電子部品,食品,鉄鋼製品,プラント等の販売等を行う株式会社である。 イ被告は,電気通信事業法に基づく電気通信事業等を行う株式会社であり,平成19年3月31日に,BBテクノロジー株式会社より現在の名称に商 号変更した。 (2) 本件基本契約の締結原告は,平成17年12月19日,被告との間で,被告を買主,原告を売主として本件基本契約を締結した。本件基本契約には,次の内容の約定がある(甲1)。 ア本件基本 (2) 本件基本契約の締結原告は,平成17年12月19日,被告との間で,被告を買主,原告を売主として本件基本契約を締結した。本件基本契約には,次の内容の約定がある(甲1)。 ア本件基本契約は,被告を買主,原告を売主として締結される個々の物品に関する個別契約に適用される。〔1条1項〕イ本件基本契約における物品とは,被告の発注に基づき原告から被告に納入される資材,物品(ソフトウェアを含む)をいう。〔1条3項〕ウ被告は,原告に対し,被告の定める様式の注文書により,個別契約の申込みを行う。〔3条1項〕エ原告は,被告に対し,注文書受領後5営業日以内に,当該申込みに対する諾否を通知する。ただし,当該期間内に原告から通知がなされない場合には,当該期間の満了日をもって承諾の意思表示がなされたものとみなす。 〔3条3項〕オ原告は,被告に対し,物品の引渡しを完了した月の翌月の3営業日目までに請求書を提出して売買代金を請求し,被告は,原告に対し,個別契約に定める支払条件により代金を支払う。〔12条〕カ原告は,被告に納入する物品並びにその製造方法及び使用方法が,第三者の工業所有権,著作権,その他の権利を侵害しないことを保証する。 〔18条1項〕キ原告は,物品に関し,第三者との間で知的財産権侵害を理由とする紛争が生じた場合,自己の費用と責任でこれを解決し,又は被告に協力し,被告に一切の迷惑をかけないものとする。被告に損害が生じた場合には,原告は,被告に対し,その損害を賠償する。〔18条2項〕ク原告又は被告が,本件基本契約及び個別契約に基づく債務を履行しない ことにより相手方に損害を与えた場合,相手方に対し,同損害を賠償する責任を負う。〔24条〕(3) 被告の提供するサービス及びチップセット被告は,平成 個別契約に基づく債務を履行しない ことにより相手方に損害を与えた場合,相手方に対し,同損害を賠償する責任を負う。〔24条〕(3) 被告の提供するサービス及びチップセット被告は,平成13年9月より,高速データ通信を可能にするADSLサービスを提供している。ADSLサービスを提供するためには,加入者宅にADSL機能を搭載したADSLモデムを,電話局内に複数のADSLモデム機能を一つの筐体に収めたDSLAMをそれぞれ設置し,使用する必要がある。ADSLモデム及びDSLAMは,デジタル信号を電話回線で送受信可能なアナログ信号に変換する(変調)機能,及びアナログ信号をデジタル信号に変換する(復調)機能を有しており,これらの機能を実現する装置が,ADSLモデム及びDSLAMに搭載されるチップセットと呼ばれるものである。ADSL通信に用いられるチップセットは,CPU,DSP及びAFEからなるデータの受渡しを管理する一群のLSIセットのことであり,ADSL通信を制御するソフトウェアも含まれている。 (4) 被告によるチップセットの購入被告は,本件基本契約の締結以降,原告からチップセットを購入している。 被告は,本件基本契約を締結した当初から,ConexantSystems,Inc.(以下「コネクサント社」という。)が製造したチップセットを原告から購入していたが,コネクサント社が,平成20年10月にブロードバンド関連製品事業をIkanosCommunications,Inc.(以下「イカノス社」という。)に譲渡して以降は,イカノス社が製造するチップセットを原告から購入してきた。被告が原告から購入したイカノス社製のチップセットとその納品数は,以下のとおりである。(なお,下記イのDSLAM用チップセットは,後記(5)の個別契約に係る 造するチップセットを原告から購入してきた。被告が原告から購入したイカノス社製のチップセットとその納品数は,以下のとおりである。(なお,下記イのDSLAM用チップセットは,後記(5)の個別契約に係るものと同一である。)ア ADSLモデム用チップセット(以下,下記CPU,DSP,AFE (型番「GS3780-174-001ZD」又は「GS3780-174-001ZDZ」)の一つずつの組合せを,「本件ADSLモデム用チップセット」という。)(ア) チップ種別 CPU型番 GZH-0500-PCAA納品数 17万4000個(イ) チップ種別 DSP型番 AA4-7777-PCBB納品数 17万1000個(ウ) チップ種別 AFE型番 GS3780-174-001ZD納品数 10万7280個(エ) チップ種別 AFE型番 GS3780-174-001ZDZ納品数 6万5520個イ DSLAM用チップセット(以下,下記CPU一つ,DSP及びAFE三つずつの組合せを「本件DSLAM用チップセット」といい,本件ADSLモデム用チップセットと本件DSLAM用チップセットを総称して「本件チップセット」という。)(ア) チップ種別 CPU型番 GZZ-8000-HIA納品数 1万1625個(イ) チップ種別 DSP型番 GS7566-850-101W納品数 3万3375個(ウ) チップ種別 AFE 型番 GS3820-850-001CC納品数 3万3375個(5) 個別契約の締結被告は,平成23年5月12日,原告に対し,チップセットにつき,以下の注文書を送付し,同月19日,原告と被告との間で同物品の売買に関する CC納品数 3万3375個(5) 個別契約の締結被告は,平成23年5月12日,原告に対し,チップセットにつき,以下の注文書を送付し,同月19日,原告と被告との間で同物品の売買に関する個別契約(以下「本件個別契約」という。)が成立した。原告と被告は,本件個別契約において,売買代金の支払期日を被告による物品の検収後4か月を経過した月の末日とすること,並びに物品の納入日を平成23年12月12日,平成24年1月6日及び同月13日の3回に分けることを合意した(甲2)。 ア品名 DSP_GS7566-850-101W(以下「本件物品1」という。)単価 110.60USドル数量 3万3375個金額 369万1275USドルイ品名 AFE_GS3820-850-001CC(以下「本件物品2」という。)単価 47.40USドル数量 3万3375個金額 158万1975USドルウ品名 CPU_GZZ-8000-HIA(以下「本件物品3」といい,本件物品1ないし3を併せて「本件各物品」という。)単価 19.80USドル数量 1万1625個金額 23万0175USドル(6) 物品の納品 原告は,本件個別契約に基づき,被告に対し,以下のとおり本件各物品を納入した(甲3~5)。 ア平成23年12月12日本件物品1 5876個本件物品2 5829個本件物品3 1538個イ平成24年1月6日本件物品1 1万5124個本件物品2 1万5171個本件物品3 5462個ウ平成24年1月13日本件物品1 1万2375個本件物品2 1万2375個本件物品3 4625個(7) 被告の支払等ア被告は,原告に対し,平成23年12月12日に納入された本件各物品 成24年1月13日本件物品1 1万2375個本件物品2 1万2375個本件物品3 4625個(7) 被告の支払等ア被告は,原告に対し,平成23年12月12日に納入された本件各物品の売買代金全額95万6632.60USドルを支払った。 イ原告は,平成24年1月18日,被告に対し,平成24年1月6日及び同月13日に納入した本件各物品の請求書を送付した。同月6日及び同月13日に納入した本件各物品の売買代金は454万6792.40USドルであり,その支払期限は同年5月31日であった(甲6)。 ウ被告は,平成24年6月8日,原告に対し,同年1月6日及び同月13日に納入した本件各物品の売買代金として198万4346.23USドルを支払った。 (8) 本件紛争被告は,ウィ-ランインコーポレイテッド(Wi-LANInc.) から,本件チップセットに関し,同社の有する以下の9件の特許権(以下,「本件特許権1」ないし「本件特許権9」といい,本件特許権1ないし9を併せて「本件各特許権」という。また,本件各特許権に係る特許を,その番号に対応して「本件特許1」などといい,本件特許1ないし9を併せて「本件各特許」という。)のライセンスの申出(以下,この申出を契機とした本件各特許に関する紛争を「本件紛争」ということがある。)を受けたと主張して(なお,上記ライセンスの申出が,本件チップセットを問題としていたのか,同チップセットを組み込んだモデムを問題としていたのか,被告のサービスを問題としていたのかは,証拠上,明らかでない。),平成22年12月9日,原告に対し,本件各特許に関する調査協力を要請した(乙1,3,17)。 ア本件特許権1特許番号第3480313号発明の名称ディジタル加入者線伝送方法及びxDSL装置 22年12月9日,原告に対し,本件各特許に関する調査協力を要請した(乙1,3,17)。 ア本件特許権1特許番号第3480313号発明の名称ディジタル加入者線伝送方法及びxDSL装置出願番号特願平10-144913出願日平成10年5月26日公開番号特開平11-341153公開日平成11年12月10日登録日平成15年10月10日イ本件特許権2特許番号第3480466号発明の名称ディジタル加入者線伝送方法及びxDSL装置出願番号特願2002-269682分割の表示特願平10-144913の分割出願日平成10年5月26日公開番号特開2003-163648 公開日平成15年6月6日登録日平成15年10月10日ウ本件特許権3特許番号第3480467号発明の名称ディジタル加入者線伝送方法及びxDSL装置出願番号特願2002-269683分割の表示特願平10-144913の分割出願日平成10年5月26日公開番号特開2003-115814公開日平成15年4月18日登録日平成15年10月10日エ本件特許権4特許番号第3698145号発明の名称ディジタル加入者線伝送方法,xDSL装置及びxDSLシステム出願番号特願2003-35972出願日平成15年2月14日分割の表示特願2002-269683の分割原出願日平成10年5月26日公開番号特開2003-283704公開日平成15年10月3日登録日平成17年7月15日オ本件特許権5特許番号第3480469号発明の名称ディジタル加入者線伝送方法出願番号特願2 -283704公開日平成15年10月3日登録日平成17年7月15日オ本件特許権5特許番号第3480469号発明の名称ディジタル加入者線伝送方法出願番号特願2003-35973 分割の表示特願2002-269683の分割出願日平成10年5月26日公開番号特開2003-298550公開日平成15年10月17日登録日平成15年10月10日カ本件特許権6特許番号第3573152号発明の名称ディジタル加入者線伝送方法及びxDSL装置出願番号特願2003-35974出願日平成15年2月14日分割の表示特願2002-269683の分割原出願日平成10年5月26日公開番号特開2003-289290公開日平成15年10月10日登録日平成16年7月9日キ本件特許権7特許番号第3449373号発明の名称ディジタル加入者線伝送方法及びxDSL装置出願番号特願2003-35975分割の表示特願2002-269683の分割出願日平成10年5月26日登録日平成15年7月11日ク本件特許権8特許番号第3622510号発明の名称ディジタル加入者線伝送方法,ADSLトランシーバ,チャンネルアナリシステ方法及びADSL装置 出願番号特願平10-172464出願日平成10年6月19日公開番号特開2000-13520公開日平成12年1月14日登録日平成16年12月3日ケ本件特許権9特許番号第3685166号発明の名称ディジタル加入者伝送システム出願番号特願2002-269684出願日平成14年9月 登録日平成16年12月3日ケ本件特許権9特許番号第3685166号発明の名称ディジタル加入者伝送システム出願番号特願2002-269684出願日平成14年9月17日分割の表示特願平10-172464の分割原出願日平成10年6月19日公開番号特開2003-115815公開日平成15年4月18日登録日平成17年6月10日(9) ライセンス契約の締結被告は,平成24年2月23日,ウィ-ランインコーポレイテッド及びその子会社であるWi-LANInternationalJapanInc.(以下,両者を併せて「Wi-LAN社」という。)との間で,別紙A記載の特許権(これには本件各特許権が含まれる。)とWi-LAN社が被告にライセンスすることができる一定範囲のその余の特許権につき,ライセンス契約(以下「本件ライセンス契約」という。)を締結し,同年3月16日,Wi-LAN社に対し,ライセンス料として2億円(なお,この金員を約定どおり支払えば,別紙A記載の特許権に関しては更なる支払を要しないこととされた。)を支払った(乙10,16)。 (10) 発明の内容 ア本件特許1に係る明細書(本件特許1は平成15年6月30日以前にされた出願に係るものであるから,本件特許1に係る明細書は特許請求の範囲を含むものである〔平成14年法律第24号附則1条2号,3条1項,平成15年政令第214号〕。以下,本件特許2ないし9に係る明細書についても同様である。参照の便宜のため,本判決の末尾に本件特許1に係る特許公報の写しを別添1として添付する。)の「特許請求の範囲」における請求項1ないし4(以下,請求項1記載の発明を「本件特許発明1-1(方法1)」,請求項2の発明を「本件特 の末尾に本件特許1に係る特許公報の写しを別添1として添付する。)の「特許請求の範囲」における請求項1ないし4(以下,請求項1記載の発明を「本件特許発明1-1(方法1)」,請求項2の発明を「本件特許発明1-2(方法2)」,請求項3の発明を「本件特許発明1-3(装置1)」,請求項4の発明を「本件特許発明1-4(装置2)」といい,これらを併せて「本件特許発明1」という。)の記載は,次のとおりである(ア) 本件特許発明1-1(方法1)「ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を高速データ通信回線として利用し,DMTシンボル10個分の時間を400HzのTCMクロストークの1周期と合わせることなく該DMTシンボルを送信するディジタル加入者線伝送方法において,ISDNの400Hz位相情報もしくは局側から伝送された400Hz位相情報により,受信したDMTシンボルがFEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを判定するステップと,該判定結果より受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するステップと,該算出された各キャリア毎のS/Nから各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,FEXT区間用ビットマップを作成するステップとを有し,該作成されたFEXT区間用ビットマップをスライディングウインドウの内側のビットマップとして使用して,スライディングウインドウの内側のDMTシンボルでデータ伝送を行うことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」 (イ) 本件特許発明1-2(方法2)「ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を高速データ通信回線として利用し,DMTシンボル10個分の時間を400HzのTCMクロストークの1周期と合わせることなく該DMTシンボルを送 DNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を高速データ通信回線として利用し,DMTシンボル10個分の時間を400HzのTCMクロストークの1周期と合わせることなく該DMTシンボルを送信するディジタル加入者線伝送方法において,ISDNの400Hz位相情報もしくは局側から伝送された400Hz位相情報により,受信したDMTシンボルがFEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを判定するステップと,該判定結果より受信NEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するもしくは受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するステップと,該算出された各キャリア毎のS/Nから各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,NEXT区間用ビットマップとFEXT区間用ビットマップを作成するステップとを有し,該作成されたNEXT区間用ビットマップとFEXT区間用ビットマップをスライディングウインドウのそれぞれ外側と内側のビットマップとして使用してデータ伝送を行うことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」(ウ) 本件特許発明1-3(装置1)「ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を高速データ通信回線として利用し,DMTシンボル10個分の時間を400HzのTCMクロストークの1周期と合わせることなく該DMTシンボルを送信するxDSL装置において,ISDNの400Hz位相情報もしくは局側から伝送された400Hz位相情報により,受信したDMTシンボルがFEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを判定する位相判定器と,該位相判定器出力により受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するFE XT区間S/N 間かNEXT区間かそれ以外かを判定する位相判定器と,該位相判定器出力により受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するFE XT区間S/N測定器と,該FEXT区間S/N測定器の出力から各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,FEXT区間用ビットマップを作成する伝送bit数換算器とを有し,該作成されたFEXT区間用ビットマップをスライディングウインドウの内側のビットマップとして使用して,スライディングウインドウの内側のDMTシンボルでデータ伝送を行うことを特徴とするxDSL装置。」(エ) 本件特許発明1-4(装置2)「ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を高速データ通信回線として利用し,DMTシンボル10個分の時間を400HzのTCMクロストークの1周期と合わせることなく該DMTシンボルを送信するxDSL装置において,ISDNの400Hz位相情報もしくは局側から伝送された400Hz位相情報により,受信したDMTシンボルがFEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを判定する位相判定器と,該位相判定器出力により受信NEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するNEXT区間S/N測定器および受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するFEXT区間S/N測定器と,該NEXT区間S/N測定器の出力およびFEXT区間S/N測定器の出力から各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,NEXT区間用ビットマップおよびFEXT区間用ビットマップを作成する伝送bit数換算器とを有し,該作成されたNEXT区間用ビットマップおよびFEXT区間用ビットマップをスライディングウインドウのそれぞれ外 間用ビットマップおよびFEXT区間用ビットマップを作成する伝送bit数換算器とを有し,該作成されたNEXT区間用ビットマップおよびFEXT区間用ビットマップをスライディングウインドウのそれぞれ外側と内側のビットマップとして使用してデータ伝送を行うことを特徴とするxDSL装置。」イ本件特許2に係る明細書(参照の便宜のため,本判決の末尾に本件特許2に係る特許公報の写しを別添2として添付する。)の「特許請求の範 囲」における請求項1ないし4(以下,請求項1の発明を「本件特許発明2(方法1)」,請求項2の発明を「本件特許発明2(方法2)」,請求項3の発明を「本件特許発明2(装置1)」,請求項4の発明を「本件特許発明2(装置2)」といい,これらを併せて「本件特許発明2」という。)の記載は,以下のとおりである。 (ア) 本件特許発明2(方法1)「TCM400Hzの前半のサイクル,後半のサイクルでISDNからの近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける電話回線を経由して,DMTシンボル69個を1つのSuperFrameとし,該SuperFrameの境界を示すSyncSymbolを送信するディジタル加入者線伝送方法において,前記SuperFrame5個を1つの単位とし,その単位をTCM400Hz(2. 5ms)の整数倍に合わせ,このSuperFrame5個の境界を加入者側に送信するために,4番目のSyncSymbolをインバースSyncSymbolとして,加入者側のFEXT区間に送信することを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」(イ) 本件特許発明2(方法2)「TCM400Hzの前半のサイクル,後半のサイクルでISDNからの近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける電話回線を タル加入者線伝送方法。」(イ) 本件特許発明2(方法2)「TCM400Hzの前半のサイクル,後半のサイクルでISDNからの近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける電話回線を経由して,DMTシンボル69個を1つのSuperFrameとし,該SuperFrameの境界を示すSyncSymbolを送信するディジタル加入者線伝送方法において,前記SuperFrame5個を1つの単位とし,その単位をTCM400Hz(2. 5ms)の整数倍に合わせ,このSuperFrame5個の境界を局側へ通知するために,1番目のSyncSymbolをインバースSyncSymbolとして,局側のFEXT区間に送信することを 特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」(ウ) 本件特許発明2(装置1)「TCM400Hzの前半のサイクル,後半のサイクルでISDNからの近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける電話回線を経由して,DMTシンボル69個を1つのSuperFrameとし,該SuperFrameの境界を示すSyncSymbolを送信するxDSL装置において,前記SuperFrame5個を1つの単位とし,その単位をTCM400Hz(2.5ms)の整数倍に合わせ,このSuperFrame5個の境界を加入者側に送信するために,4番目のSyncSymbolをインバースSyncSymbolとして,加入者側のFEXT区間に送信する手段を有することを特徴とするxDSL装置。」(エ) 本件特許発明2(装置2)「TCM400Hzの前半のサイクル,後半のサイクルでISDNからの近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける電話回線を経由して,DMTシンボル69個を1つのSuperF 装置2)「TCM400Hzの前半のサイクル,後半のサイクルでISDNからの近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける電話回線を経由して,DMTシンボル69個を1つのSuperFrameとし,該SuperFrameの境界を示すSyncSymbolを送信するxDSL装置において,前記SuperFrame5個を1つの単位とし,その単位をTCM400Hz(2.5ms)の整数倍に合わせ,このSuperFrame5個の境界を局側へ通知するために,1番目のSyncSymbolをインバースSyncSymbolとして,局側のFEXT区間に送信する手段を有することを特徴とするxDSL装置。」ウ本件特許3に係る明細書(参照の便宜のため,本判決の末尾に本件特許3に係る特許公報の写しを別添3として添付する。)の「特許請求の範囲」における請求項1及び3(以下,請求項1の発明を「本件特許発明 3(方法)」,請求項3の発明を「本件特許発明3(装置)」といい,これらを併せて「本件特許発明3」という。)の記載は,以下のとおりである。 (ア) 本件特許発明3(方法)「電話回線を高速データ通信回線として利用してデータ通信するディジタル加入者線伝送方法において,通信を行うためのトレーニング中に,受信したDMTシンボルが,NEXT(近端漏話)区間もしくはFEXT区間(遠端漏話)に完全に入らないDMTシンボルをS/N測定対象外とし,NEXT区間に入っているDMTシンボルを用いて,NEXT区間でのS/N測定し,FEXT区間に入っているDMTシンボルを用いて,FEXT区間でのS/N測定するステップを有することを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」(イ) 本件特許発明3(装置)「xDSL装置において,通信を行うためのト DMTシンボルを用いて,FEXT区間でのS/N測定するステップを有することを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」(イ) 本件特許発明3(装置)「xDSL装置において,通信を行うためのトレーニング中に,受信したDMTシンボルが,NEXT(近端漏話)区間もしくはFEXT区間(遠端漏話)に完全に入らないDMTシンボルをS/N測定対象外とし,NEXT区間に入っているDMTシンボルを用いて,NEXT区間でのS/N測定し,FEXT区間に入っているDMTシンボルを用いて,FEXT区間でのS/N測定する測定手段を有することを特徴とするxDSL装置。」エ本件特許4に係る明細書(参照の便宜のため,本判決の末尾に本件特許4に係る特許公報の写しを別添4として添付する。)の「特許請求の範囲」における請求項1ないし3,5,6及び8(以下,請求項1の発明を「本件特許発明4-1(方法1)」,請求項2の発明を「本件特許発明4-2(方法2)」,請求項3の発明を「本件特許発明4-3(方法3)」,請求項5の発明を「本件特許発明4-5(方法4)」,請求項 6の発明を「本件特許発明4-6(装置3)」,請求項8の発明を「本件特許発明4-8(装置4)」といい,これらを併せて「本件特許発明4」という。)の記載は,以下のとおりである。 (ア) 本件特許発明4-1(方法1)「電話回線を高速データ通信回線として利用してDMTシンボルを用いて通信するためのトレーニングを行うディジタル加入者線伝送方法において,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を相手側へ通知するシンボルとして,そのシンボルの4値QAM信号点が90°異なるシンボルを伝送することを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」(イ) 本件特許発明4-2(方法2)「電話回線を 手側へ通知するシンボルとして,そのシンボルの4値QAM信号点が90°異なるシンボルを伝送することを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」(イ) 本件特許発明4-2(方法2)「電話回線を高速データ通信回線として利用してDMTシンボルを用いて通信するためのトレーニングを行うディジタル加入者伝送方法において,相手側からの前記DMTシンボルを復調し,90°異なる位相差を持つ2種類の信号点を用いて,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を検出することを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」(ウ) 本件特許発明4-3(方法3)「電話回線を高速データ通信回線として利用してDMTシンボルを用いて通信するためのトレーニングを行うディジタル加入者線伝送方法において,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を通知するDMTシンボルとして,特定の周波数キャリアを選択して,4QAMの信号点のうち,位相を90°ずらした2つの信号点を変調して伝送することを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」(エ) 本件特許発明4-5(方法4)「電話回線を高速データ通信回線として利用してDMTシンボルを用 いて通信するためのトレーニングを行うディジタル加入者線伝送方法において,受信したDMTシンボルを復調し,90°異なる位相差を持つ2種類の信号点を用いて,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を識別することを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」(オ) 本件特許発明4-6(装置3)「xDSL装置において,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を通知するDMTシンボルとして,特定の周波数キャリアを選択して,4QAMの信号点のうち,位相を90°ずらした2つの信号点を変調して伝送す いて,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を通知するDMTシンボルとして,特定の周波数キャリアを選択して,4QAMの信号点のうち,位相を90°ずらした2つの信号点を変調して伝送する手段を有することを特徴とするxDSL装置。 (カ) 本件特許発明4-8(装置4)「xDSL装置において,受信したDMTシンボルを復調し,90°異なる位相差を持つ2種類の信号点を用いて,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を識別する手段を有することを特徴とするxDSL装置。」オ本件特許5に係る明細書(参照の便宜のため,本判決の末尾に本件特許5に係る特許公報の写しを別添5として添付する。)の「特許請求の範囲」における請求項1(以下「本件特許発明5」という。)の記載は,以下のとおりである。 「ISDNピンポン伝送からの漏話の影響を受ける電話回線を高速データ通信回線として利用して,DMTシンボル69個を1つのSuperFrameとし,このSuperFrame5個を1つの単位とし,400Hz(2.5ms)の整数倍と合わせて,246μsの1DMTシンボルで伝送するディジタル加入者線伝送方法において,1シンボル目のDMTシンボルが400Hzの先頭に同期している場合,400Hz1周期のサンプル数である2760サンプルにおけるN個目のシンボルの先頭を 示すサンプルの値が,加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にシンボル全てが入るシンボルの先頭を示すサンプルの値より小さい,又はFEXT区間を示すサンプルの値(a)と加入者側NEXT区間を示すサンプル値の(b)を加算したサンプル値を超えた場合,そのN番目のシンボルがFEXTの区間に該当し,該2760サンプル中のN個目のシンボルの先頭を示すサンプル値が,加入者側FE 側NEXT区間を示すサンプル値の(b)を加算したサンプル値を超えた場合,そのN番目のシンボルがFEXTの区間に該当し,該2760サンプル中のN個目のシンボルの先頭を示すサンプル値が,加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にサンプルのシンボル全てが入るシンボルの先頭を示すサンプル値以上でFEXT区間を示すサンプル値(a)と加入者側NEXT区間を示すサンプル値(b)を加算したサンプル値以下なら,そのN番目のシンボルがNEXTの区間に該当することを識別することを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」カ本件特許6に係る明細書(参照の便宜のため,本判決の末尾に本件特許6に係る特許公報の写しを別添6として添付する。)の「特許請求の範囲」における請求項1及び2(以下,請求項1の発明を「本件特許発明6-1(方法)」,請求項2の発明を「本件特許発明6-2(装置)」といい,これらを併せて「本件特許発明6」という。)の記載は,以下のとおりである。 (ア) 本件特許発明6-1(方法)「ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける電話回線を高速データ通信回線として利用してデータ通信を行うディジタル加入者線伝送方法において,FEXT区間のみデータ伝送する方式でのスライディング・ウインドの外側のシンボルとして,パイロット・トーンを送信することを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」(イ) 本件特許発明6-2(装置)「ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける電話回線を高速データ通信回線として利用してデータ通信を行うxDSL装置において, FEXT区間のみデータ伝送する方式でのスライディング・ウインドの外側のシンボルとして,パイロット・トーンを送信する手段を有することを特徴とするxDSL装置。」キ本件特許7に係る明細 FEXT区間のみデータ伝送する方式でのスライディング・ウインドの外側のシンボルとして,パイロット・トーンを送信する手段を有することを特徴とするxDSL装置。」キ本件特許7に係る明細書(参照の便宜のため,本判決の末尾に本件特許7に係る特許公報の写しを別添7として添付する。)の「特許請求の範囲」における請求項1ないし6(以下,請求項1の発明を「本件特許発明7-1(方法1)」,請求項2の発明を「本件特許発明7-2(方法2)」,請求項3の発明を「本件特許発明7-3(方法3)」,請求項4の発明を「本件特許発明7-4(装置1)」,請求項5の発明を「本件特許発明7-5(装置2)」,請求項6の発明を「本件特許発明7-6(装置3)」といい,これらを併せて「本件特許発明7」という。)の記載は,以下のとおりである。 (ア) 本件特許発明7-1(方法1)「電話回線を高速データ通信回線として利用して通信するディジタル加入者線伝送方法において,通信を開始するために行うトレーニング中に,受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニングシーケンスの切り換えを示す信号を送信することを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」(イ) 本件特許発明7-2(方法2)「電話回線を高速データ通信回線として利用して通信するディジタル加入者線伝送方法において,通信を開始するために行うトレーニング中に,受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニングシーケンスの切り換えを示す信号の先頭を送信することを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」(ウ) 本件特許発明7-3(方法3)「電話回線を高速データ通信回線として利用して通信するディジタル 加入者線伝送方法において,通信を開始するために行うト ィジタル加入者線伝送方法。」(ウ) 本件特許発明7-3(方法3)「電話回線を高速データ通信回線として利用して通信するディジタル 加入者線伝送方法において,通信を開始するために行うトレーニング中に,受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニングシーケンスの切り換えを示すシンボルの先頭を送信することを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」(エ) 本件特許発明7-4(装置1)「xDSL装置において,通信を開始するために行うトレーニング中に,受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニングシーケンスの切り換えを示す信号を送信する手段を有することを特徴とするxDSL装置。」(オ) 本件特許発明7-5(装置2)「xDSL装置において,通信を開始するために行うトレーニング中に,受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニングシーケンスの切り換えを示す信号の先頭を送信する手段を有することを特徴とするxDSL装置。」(カ) 本件特許発明7-6(装置3)「xDSL装置において,通信を開始するために行うトレーニング中に,受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニングシーケンスの切り換えを示すシンボルの先頭を送信する手段を有することを特徴とするxDSL装置。」ク本件特許8に係る明細書(参照の便宜のため,本判決の末尾に本件特許8に係る特許公報の写しを別添8として添付する。)の「特許請求の範囲」における請求項1及び2(以下,請求項1の発明を「本件特許発明8-1(方法)」,請求項2の発明を「本件特許発明8-2(装置)」といい,これらを併せて「本件特許発明8」という。)の記載は,以下のとおりである。 (ア) 本件 下,請求項1の発明を「本件特許発明8-1(方法)」,請求項2の発明を「本件特許発明8-2(装置)」といい,これらを併せて「本件特許発明8」という。)の記載は,以下のとおりである。 (ア) 本件特許発明8-1(方法) 「TCM-ISDNからのノイズ環境下におけるトランシーバトレーニングを行うディジタル加入者線伝送方法において,シングルビットマップでイニシャライゼーションを行う場合,スライディングウィンドウのFEXT区間のみでトレーニングを行うことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。」(イ) 本件特許発明8-2(装置)「TCM-ISDNからのノイズ環境下における電話回線をデータ通信回線として利用するADSL装置において,ADSL装置のトレーニング時,スライディングウィンドウのFEXT区間のみ,ADSL装置の信号を送出する手段を有することを特徴とするADSL装置。」ケ本件特許9に係る明細書(参照の便宜のため,本判決の末尾に本件特許9に係る特許公報の写しを別添9として添付する。)の「特許請求の範囲」における請求項1(以下「本件特許発明9」という。)の記載は,以下のとおりである。 「既存の電話回線を介して局側の装置と加入者側の装置が通信を行うディジタル加入者線伝送システムにおいて,局側装置(ATU-C),加入者側装置(ATU-R)それぞれ独立したハイパーフレームカウンタ(501)を有し,そのハイパーフレームカウンタがDMTシンボルクロックを連続して所定回数カウントすることでDMTシンボル数のカウントを行い,カウント値を用いてスライディングウインドウDEC(503)によりスライディングウインドウのFEXTR,NEXTR,FEXTC,NEXTCの区間の特定を行う手段を有することを特徴とするディジタル加入者線伝送 を用いてスライディングウインドウDEC(503)によりスライディングウインドウのFEXTR,NEXTR,FEXTC,NEXTCの区間の特定を行う手段を有することを特徴とするディジタル加入者線伝送システム。」(11) 構成要件の分説ア本件特許発明1を構成要件に分説すると,別紙構成要件目録1記載のとおりである(以下,各構成要件をその符号に対応して「構成要件1A (方法1)」などという。)。 イ本件特許発明2を構成要件に分説すると,別紙構成要件目録2記載のとおりである(以下,各構成要件をその符号に対応して「構成要件2A(方法1)」などという。)。 ウ本件特許発明3を構成要件に分説すると,別紙構成要件目録3記載のとおりである(以下,各構成要件をその符号に対応して「構成要件3A(方法)」などという。)。 エ本件特許発明4を構成要件に分説すると,別紙構成要件目録4記載のとおりである(以下,各構成要件をその符号に対応して「構成要件4A(方法1)」などという。)。 オ本件特許発明5を構成要件に分説すると,別紙構成要件目録5記載のとおりである(以下,各構成要件をその符号に対応して「構成要件5A(方法)」などという。)。 カ本件特許発明6を構成要件に分説すると,別紙構成要件目録6記載のとおりである(以下,各構成要件をその符号に対応して「構成要件6A(方法)」などという。)。 キ本件特許発明7を構成要件に分説すると,別紙構成要件目録7記載のとおりである(以下,各構成要件をその符号に対応して「構成要件7A(方法1)」などという。)。 ク本件特許発明8を構成要件に分説すると,別紙構成要件目録8記載のとおりである(以下,各構成要件をその符号に対応して「構成要件8A(方法)」などという。)。 ケ本件特許発明9を構成 う。)。 ク本件特許発明8を構成要件に分説すると,別紙構成要件目録8記載のとおりである(以下,各構成要件をその符号に対応して「構成要件8A(方法)」などという。)。 ケ本件特許発明9を構成要件に分説すると,別紙構成要件目録9記載のとおりである(以下,各構成要件をその符号に対応して「構成要件9A」などという。)。 (12) 相殺の意思表示 被告は,平成24年6月7日付け通知書により,原告に対し,原告の本件基本契約18条違反により,被告には,被告がWi-LAN社に支払ったライセンス料相当額である2億円の損害が発生したとして,同契約24条に基づく損害賠償債権(損害賠償金2億円及びこれに対する同年3月17日から同年5月30日までの商事法定利率年6分の割合による遅延損害金245万9016円に係る債権)と,原告の被告に対する本件各物品の売買代金債権とを,相殺適状の日である同月31日に,対当額で相殺するとの意思表示をした。 平成24年5月31日時点の円USドル為替レートは,1USドル=78. 93円であった。 (13) 本件各特許に関連する技術事項(乙12,62,弁論の全趣旨)ア ADSLADSL(AsymmetricDigitalSubscriberLine)は,xDSLという技術の一つである。xDSLとは,電話回線(=メタル線)を用いて高速デジタルデータ通信を実現する技術の総称であり,xDSLのうち,上り速度(加入者側から局側への通信速度)と下り速度(局側から加入者側への通信速度)が非対称であるのがADSLである。 イモデムADSLサービスは,ADSL技術をサポートするモデムを利用して提供される。モデムは,電話回線を使ってアナログ通信を行うための装置であり,通信を行うためには,電話回線を挟んで両端に イモデムADSLサービスは,ADSL技術をサポートするモデムを利用して提供される。モデムは,電話回線を使ってアナログ通信を行うための装置であり,通信を行うためには,電話回線を挟んで両端にモデムを設置する必要がある。モデムの配下には,パソコンなどのコンピュータが接続されるところ,コンピュータとモデムとの間のやりとりはディジタル信号で行われることから,通信を行う際,送信側のモデムはコンピュータから送出されたディジタル信号をアナログ信号に変換(変調)して電話回線に送信し, これを受信した受信側のモデムはアナログ信号をディジタル信号に変換(復調)して,接続されているコンピュータに送出する。 ウ DMT方式ADSLには,CAP(CarrierlessAmplitudeandPhasemodulation)方式とDMT(DiscreteMulti-Tonemodulation)方式という変調方式がある。ADSLのITU-T(ITU-Telecommunicationstandardizationsector。国際電気通信連合(ITU)の電気通信標準化部門。)勧告として,下り伝送が6Mビット/秒程度のG.dmtと1.5Mビット/秒程度のG.liteが存在するが,いずれも変調方式としてDMT方式を採用しており,日本でもDMT方式が採用されている。DMT方式は,上り・下りとも複数の搬送波(キャリア)を用いることを特徴とするものである。G.dmtの下り方向(局側から加入者側)への変復調を見ると,DMT方式では,別紙【図1】のように1.104MHzの周波数帯域をΔf(=4.3125kHz)間隔の255個のマルチキャリア♯1~255に周波数分割する。そして,通信に先立って行われるトレーニングにおいて,各キャリアの 1】のように1.104MHzの周波数帯域をΔf(=4.3125kHz)間隔の255個のマルチキャリア♯1~255に周波数分割する。そして,通信に先立って行われるトレーニングにおいて,各キャリアのSN比(伝送したい信号とノイズの比率)を測定し,SN比に応じて各キャリアにおいて4-QAM(2ビットずつ送信する変調方式),16-QAM(4ビットずつ送信する変調方式),64-QAM(6ビットずつ送信する変調方式),128-QAM(7ビットずつ送信する変調方式)などのいずれの変調方式でデータを送信するかを決定する。別紙【図2】のように,SN比が小さい(ノイズの影響が大きい)キャリアには,4-QAMを割り当て,順次SN比が大きくなる(ノイズの影響が小さくなる)につれて,ビット数の多い変調方式でデータを送信する。キャリアごとに定めたビット数のことをビットマップという。なお,変調するごとに 送信されるデータの一区切りをシンボルという。 エ漏話電話回線の構造と特性によりADSLに影響が及ぼされることがある。 電話回線は,別紙【図3】のように,例えば4つの銅線(回線)を1カッドとし,更にカッドが複数集まってユニットを構成し,ユニットが複数集まってケーブルを構成する。このように回線が隣接して存在するために,ある回線から信号が漏れ,これによって通信が阻害される(ノイズが発生する)ことがある。これを「漏話(CrossTalk)」という。 オ Annex.CについてISDNもメタル回線を利用して通信を行うことから,日本ではISDNによる漏話が,ADSLを利用する上で問題となっており,これを解決する技術を規定したものがAnnex.Cである。 (ア) ISDNISDNでは,常に同じ周期(400Hz。1周期は1秒/400Hz=2.5ミリ秒 DSLを利用する上で問題となっており,これを解決する技術を規定したものがAnnex.Cである。 (ア) ISDNISDNでは,常に同じ周期(400Hz。1周期は1秒/400Hz=2.5ミリ秒(ms))で下り信号と上り信号を切り替えて,送信・受信を繰り返す。具体的には,ISDNの1周期の前半で下り信号(局側から加入者側へ)を,後半で上り信号(加入者側から局側へ)を送信しており,これをピンポン伝送方式という。ピンポン伝送方式は,時分割方向制御方式(TimeCompressionMultiplexing(TCM))とも呼ばれ,このピンポン伝送を用いるISDNのことはTCM-ISDNとも呼ばれる。 (イ) 信号の減衰メタル回線を伝わる電気信号の減衰は,その距離が遠くなれば遠くなるほど顕著にあらわれる。 ISDNの上り信号は,加入者側に近い伝送路では減衰していないためADSL信号に与える漏話の影響が大きくなるが,局側に近い伝送路 では減衰しているため漏話の影響が小さくなる。逆にISDNの下り信号(局側から加入者側への信号)は,局側に近い伝送路では減衰していないため漏話の影響が大きくなるが,加入者側に近い伝送路では減衰しているためADSL信号に与える漏話の影響が小さくなる(別紙【図4】参照)。 また,ADSLの上り信号は,加入者側の伝送路では減衰していないためISDNからの漏話の影響を受けにくいが,局側の伝送路では減衰しているため漏話の影響を受けやすくなる。逆に,ADSLの下り信号は,局側の伝送路では減衰していないためISDNからの漏話の影響を受けにくいが,加入者側の伝送路では減衰しているため漏話の影響を受けやすくなる(別紙【図5】参照)。 (ウ) ISDNからの漏話によるADSL信号に対する影響a 局側にある Nからの漏話の影響を受けにくいが,加入者側の伝送路では減衰しているため漏話の影響を受けやすくなる(別紙【図5】参照)。 (ウ) ISDNからの漏話によるADSL信号に対する影響a 局側にあるDSLAMがADSL上り信号を受信する場合ISDN1周期の前半では,ISDN下り信号を送信していることから,ADSL上り信号はISDN下り信号から漏話の影響を強く受けることとなる。このことを,漏話の原因となるISDN信号の発信源が受信側(この場合は局側)からみて近いことから「近端漏話(NearEndCrosstalk(NEXT))」という。一方,ISDNの1周期の後半では,ISDN上り信号(加入者側から局側への信号)を送信していることから,ADSL上り信号はISDN上り信号から漏話の影響を受けることとなる。このことを,漏話の原因となるISDN信号の発信源が受信側(この場合は局側)からみて遠いことから「遠端漏話(FarEndCrosstalk(FEXT))」という。 局側からみた近端漏話の影響を受ける区間(ISDNの前半区間)を「(ATU-C(=DSLAM)における)NEXT区間」又は 「NEXTC区間」といい,遠端漏話の影響を受ける区間(ISDNの後半区間)を「(ATU-C(=DSLAM)における)FEXT区間」又は「FEXTC区間」という。 b 加入者側にあるADSLモデムがADSL下り信号を受信する場合ADSL下り信号は,ISDNの1周期の前半ではISDN下り信号から漏話の影響を受ける(ISDN下り信号の発信源は受信側(この場合は加入者側)からみて遠いので,この場合は遠端漏話(FEXT))ことになり,また後半ではISDN上り信号からの漏話の影響を強く受ける(ISDN上り信号の発信源は受信側(この場合は加入者 (この場合は加入者側)からみて遠いので,この場合は遠端漏話(FEXT))ことになり,また後半ではISDN上り信号からの漏話の影響を強く受ける(ISDN上り信号の発信源は受信側(この場合は加入者側)からみて近いので,この場合は近端漏話(NEXT))こととなる。このように,加入者側からみた場合には,ISDNの1周期の前半で遠端漏話(FEXT)の影響を受け,後半で近端漏話(NEXT)の影響を受けることとなり,それぞれを,「(ATU-R(=ADSLモデム)における)FEXT区間」又は「FEXTR区間」,及び,「(ATU-R(=ADSLモデム)における)NEXT区間」又は「NEXTR区間」という。 2 争点(1) 本件基本契約18条1項違反の成否ア本件チップセットはAnnex.Cに準拠し,その規格仕様書に開示された構成を有するかイ本件各特許権との抵触の有無(ア) 本件特許権2との抵触の有無(イ) 本件特許権3との抵触の有無(ウ) 本件特許権4との抵触の有無(エ) 本件特許権1との抵触の有無(オ) 本件特許権9との抵触の有無 (カ) 本件特許権7との抵触の有無(キ) 本件特許権8との抵触の有無(ク) 本件特許権5との抵触の有無(ケ) 本件特許権6との抵触の有無ウ本件特許2は無効理由を有するか(2) 本件基本契約18条2項違反の成否(3) 相殺の成否第3 争点に対する当事者の主張 1 争点(1)(本件基本契約18条1項違反の成否)について(1) 争点(1)ア(本件チップセットはAnnex.Cに準拠し,その規格仕様書に開示された構成を有するか)について(被告の主張)ア ADSL規格の一つであるAnnex.Cは日本向けの規格であり,特段の事情のない限り,本件チップセットは ex.Cに準拠し,その規格仕様書に開示された構成を有するか)について(被告の主張)ア ADSL規格の一つであるAnnex.Cは日本向けの規格であり,特段の事情のない限り,本件チップセットはこれに準拠しているものである。 被告は,原告に対し,本件チップセットが本件各特許に抵触しているか否かの見解を提示するよう要請した際,本件チップセットがAnnex. Cに関する特許であるとするWi-LAN社の見解を伝えたが,原告からも,本件チップセットを製造するイカノス社からも,本件チップセットがAnnex.Cに記載の通信方法を採用していない部分があるとの見解は示されていない。また,本件チップセットと同一のチップセットを製造,販売していたコネクサント社は,Wi-LAN社との間で,本件各特許権を含む特許権のライセンス契約を締結していた。これらの状況に鑑みれば,本件チップセットがAnnex.Cに記載の通信方法を実現する機能を有していることは明らかである。 イ本件ADSLモデム用チップセットは,Argon550という商品 名のチップセットであるが,Argon550のリリースノート(乙44)には,本件ADSLモデム用チップセットがAnnex.Cに準拠していることを前提に,Annex.Cに基づく通信を行う場合の不具合の解消等を行ったことが記載されている。すなわち,本件ADSLモデム用チップセットは,Annex.Cに準拠していることは明らかである。 また,本件DSLAM用チップセットの納品書兼検査票等である甲3の1の請求書・品名欄には「OCTANEPLUS-DSP(GS7566-850-101W)」との記載があり,これは乙45の表37の「DSPパッケージ/部品番号」欄下段の部品番号と一致する。また,甲3の2の請求書・品名欄には「OCTA EPLUS-DSP(GS7566-850-101W)」との記載があり,これは乙45の表37の「DSPパッケージ/部品番号」欄下段の部品番号と一致する。また,甲3の2の請求書・品名欄には「OCTANEPLUS-AFE(GS3820-850-001CC)」との記載があり,これは乙45の表37の「AFEパッケージ/部品番号」欄の部品番号と一致する。したがって,乙45には,本件DSLAM用チップセットの使用が記載されており,乙45の表37には,このチップセットがAnnex.Cをサポートしていることが記載されている。また,イカノス社製の本件DSLAM用チップセットフォームウェアのバージョン情報は「Y67.29.68」であるところ,これはコネクサント社がバージョン「Y67.29.67」において発生した特定の不具合を解消するためにパイロットトーン電力値を変更したものであり,それ以外はバージョン「Y67.29.67」と同じである。 そして,バージョン「Y67.29.67」のリリースノートには,Annex.Cに準拠していることを前提に,Annex.Cに基づく通信を行う場合の不具合の解消等を行ったことが記載されているから,本件DSLAM用チップセットがAnnex.Cに準拠していることは明らかである。 ウ時機に後れた攻撃防御方法の却下の申立てについて 原告は,平成27年1月9日付け第13準備書面の主張,及び乙63号証ないし乙66号証による立証が時機に後れたものであると主張する。しかし,DSLAMは局舎側に存在することから,DSLAMのファームウェアのバージョンを確認するには,電話局に確認をとる必要があった。よって,被告に故意又は重過失はない。また,訴訟の完結を遅延させるものでもない。 エ製品の構成について本件チップセットはAnn ェアのバージョンを確認するには,電話局に確認をとる必要があった。よって,被告に故意又は重過失はない。また,訴訟の完結を遅延させるものでもない。 エ製品の構成について本件チップセットはAnnex.Cに準拠しているから,本件DSLAM用チップセットを搭載したDSLAM(以下「本件DSLAM」という。)及び本件ADSLモデム用チップセットを搭載したADSLモデム(以下「本件ADSLモデム」といい,本件DSLAMと併せて「本件製品」という。)はAnnex.Cの規格仕様書(乙13。以下「本件規格仕様書」という。)に記載の構成を有する。 (原告の主張)ア否認する。 (ア) 被告は,イカノス社の対応や,コネクサント社がWi-LAN社とライセンス契約を締結していたことを根拠として,本件チップセットがAnnex.Cに記載の通信方法を実現する機能を有していると主張するが,いずれの事情も,本件チップセットがAnnex.Cに準拠していることを示すものではない。 (イ) 被告は,本件チップセットがAnnex.Cに準拠していることの根拠として,乙44号証の記載を挙げるところ,乙44号証には「GspanPlus/Gspan/A.x/C.xの4タイプのスピードに対応する」との,「Annex.Cに固有の変更」との記載があるが,本件チップセットがAnnex.Cに準拠しているのか,Annex. Cのどの部分が具体的にサポートされているのかについて何ら示されて いない。また,被告は,乙45の表37にAnnex.Cをサポートしているとの記載があることを挙げるが,かかる記載からはAnnex. Cのどの部分が具体的にサポートされているのか不明である。そもそも,乙44号証及び乙45号証は,イカノス社製のチップセットが初めて被告に納品された平成21年よりも るが,かかる記載からはAnnex. Cのどの部分が具体的にサポートされているのか不明である。そもそも,乙44号証及び乙45号証は,イカノス社製のチップセットが初めて被告に納品された平成21年よりも4,5年前に作成された文書であり,また,いずれもコネクサント社製のチップセットの仕様を記載したものであって,イカノス社製の本件チップセットの仕様を示すものではない。 そして,乙44号証及び乙45号証には,それぞれ「仕様は予告なく変更されることがある。」,「コネクサントは,・・・予告なく本文書に変更を加える場合がある。」との記載があり,仕様が変更された可能性も否定できない。 (ウ) また,被告は,本件チップセットのファームウェアのバージョンを根拠に,本件チップセットがAnnex.Cに準拠していると主張する。 しかし,本件チップセットのファームウェアのバージョンについては,これを調査したとする報告書があるのみで,調査を行ったチップセットが原告から供給を受けたイカノス社製性のチップセットであることを示す客観的証拠はない。さらに,被告は,本件チップセットのファームウェアのバージョンは「Y67.29.68」であり,Annex.Cに準拠しているとするバージョンである「Y67.29.67」とほぼ同一であると主張するが,両者が同一であることにつき何ら根拠は示されていない。 イ時機に後れた攻撃防御方法の却下の申立てについて被告の平成27年1月9日付け第13準備書面の主張,及び乙63号証ないし乙66号証による立証は時機に後れたものとして却下されるべきである。本訴訟は,訴訟提起から2年近くの期間が経過して,平成26年8月4日までに被告が本件各特許権との抵触の有無に関する全ての主張,立 証を終え,その後,同年12月24日に弁論準備手続を終結し,平成 訟は,訴訟提起から2年近くの期間が経過して,平成26年8月4日までに被告が本件各特許権との抵触の有無に関する全ての主張,立 証を終え,その後,同年12月24日に弁論準備手続を終結し,平成27年1月19日の口頭弁論期日において審理が終結されることとなっていた。 そして,被告は,平成26年10月15日の弁論準備手続期日においても,本件各特許権との抵触の有無に関する追加の主張,立証の予定はないと述べたにもかかわらず,その後になって上記主張,立証を追加したものである。したがって,上記主張,立証が時機に後れたものであることにつき,被告には重大な過失がある。 被告は,乙63号証の提出が後れた理由につき,DSLAMのファームウェアのバージョンについては,電話局に確認する必要があったなどと弁解しているが,かかる弁解は,平成26年8月4日までに提出できなかった理由にはならない。 ウ製品の構成について仮に,本件チップセットがAnnex.Cに準拠しているとしても,被告が本件製品の構成を主張するに当たり基礎としている本件規格仕様書には,下記(2)に述べるとおり,被告の主張する全ての構成が開示されているわけではない。 さらに,仮に,本件規格仕様書に被告の主張する構成が開示されているとしても,本件規格仕様書には,「この勧告に従うかどうかは任意である。」との記載があり,本件規格仕様書において開示されている構成はADSL通信に必須のものとはいえないから,本件製品がその構成を有するともいえない。 (2) 争点(1)イ(本件各特許権との抵触の有無)について(被告の主張)ア争点(1)イ(ア)(本件特許権2との抵触の有無)について(ア) 本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特許発明2(装置1)の技術的範囲に属し,また,本 (被告の主張)ア争点(1)イ(ア)(本件特許権2との抵触の有無)について(ア) 本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特許発明2(装置1)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップ セットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明2(方法1)の技術的範囲に属する。 a 本件チップセットはAnnex.Cに準拠するものであるから,本件DSLAMは別紙本件製品等構成目録2記載1の構成を有する(以下,各構成をその符号に対応して「構成2a(1)」などという。)。 b 構成要件2A(方法1)及び2A(装置1)について構成要件2A(方法1)及び2A(装置1)の「TCM400Hzの前半のサイクル,後半のサイクル」について,TCMのサイクルは400Hz,すなわち毎秒400周期であるから,2.5ms(ミリ秒)となる。したがって,構成要件2A(方法1)及び2A(装置1)の「TCM400Hzの前半のサイクル,後半のサイクルでISDNからの近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける電話回線を経由して,」とは,その1周期が2.5ミリ秒である時分割制御伝送方式を使用したISDNの1周期の前半と後半とで,近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける電話回線を経由することを意味する。 一方で,構成2a(1)の「TCM-ISDN期間」とは,Annex.Cの「TTR期間」と同義である。TTRとは,「TCM-ISDNのタイミング基準」のことであり,その1周期は2.5ミリ秒である。したがって,「TCM-ISDN期間」とは,時分割制御伝送方式を使用したISDNの1周期のことを指し,その期間は2.5ミリ秒であるから,構成要件2A(方法1)及び2A(装置1)の「TCM400Hzの前半の て,「TCM-ISDN期間」とは,時分割制御伝送方式を使用したISDNの1周期のことを指し,その期間は2.5ミリ秒であるから,構成要件2A(方法1)及び2A(装置1)の「TCM400Hzの前半のサイクル,後半のサイクル」に該当する。 また,構成2a(1)の「NEXTノイズを受信」する,「FEXTノイズを受信する」とは,構成要件2A(方法1)及び2A(装置 1)の「ISDNからの近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける」ことと同義であるよって,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,構成要件2A(装置1)を充足し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件2A(方法1)を充足する。 c 構成要件2B(方法1)及び2B(装置1)について構成2b(1)の「スーパーフレーム5つをハイパーフレームとし,」は,構成要件2B(方法1)及び2B(装置1)の「SuperFrame5個を1つの単位とし,」に該当する。また,構成2b(1)では,「ハイパーフレームはTCM-ISDN期間の34倍に合わせて」いるところ,「TCM-ISDN期間」は,構成要件2B(方法1)及び2B(装置1)の「TCM400Hz(2.5ms)」で当たるから,構成2b(1)の「ハイパーフレームはTCM-ISDN期間の34倍に合わせて」は,構成要件2B(方法1)及び2B(装置1)の「その単位をTCM400Hz(2.5ms)の整数倍に合わせ」に該当する。 よって,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,構成要件2B(装置1)を充足し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件2B(方法1)を充足する。 d 構成要件2C(方法1)及び2C(装置1 AMは,構成要件2B(装置1)を充足し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件2B(方法1)を充足する。 d 構成要件2C(方法1)及び2C(装置1)について構成2cの「このハイパーフレームの境界」は,構成要件2C(方法1)及び2C(装置1)の「このSuperFrame5個の境界」に該当する。 よって,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは, 構成要件2C(装置1)を充足し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件2C(方法1)を充足する。 e 構成要件2D(方法1)及び2D(装置1)について構成2a(1)のシンクシンボルの送信を行い,構成2b(1)のハイパーフレーム構造を規定し,構成2c(1)のインバースシンクシンボルを送信しているのは,本件DSLAMの構成要素のうちの本件DSLAM用チップセットである。したがって,本件DSLAM用チップセットが,構成要件2D(装置1)の「xDSL装置」に該当する。そうではないとしても,本件DSLAMが,構成要件2D(装置1)の「xDSL装置」に該当する。 よって,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,構成要件2D(装置1)を充足し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件2D(方法1)の「ディジタル加入者線伝送方法」を充足する。 f 以上のとおり,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特許発明2(装置1)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明2(方法1)の技術的範囲に属する。 (イ) 本件ADSLモデム用チップセットないし本件A 技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明2(方法1)の技術的範囲に属する。 (イ) 本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,本件特許発明2(装置2)の技術的範囲に属し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを使用した伝送方法は,本件特許発明2(方法2)の技術的範囲に属する。 a 本件チップセットはAnnex.Cに準拠するものであるから,本件ADSLモデムは別紙本件製品等構成目録2記載2の構成を有する(以下,各構成をその符号に対応して「構成2a(2)」などとい う。)。 b 構成要件2A(方法2)及び2A(装置2)について構成2a(2)が,構成要件2A(方法2)及び2A(装置2)に該当することは,上記(ア)bと同様である。 よって,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,構成要件2A(装置2)を充足し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件2A(方法2)を充足する。 c 構成要件2B(方法2)及び2B(装置2)について構成2b(2)が,構成要件2B(方法2)及び2B(装置2)に該当することは,上記(ア)cと同様である。 よって,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,構成要件2B(装置2)を充足し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件2B(方法2)を充足する。 d 構成要件2C(方法2)及び2C(装置2)について構成2c(2)が,構成要件2C(方法2)及び2C(装置2)に該当することは,上記(ア)dと同様である。 よって,本件ADSLモデム用チップセット 構成要件2C(方法2)及び2C(装置2)について構成2c(2)が,構成要件2C(方法2)及び2C(装置2)に該当することは,上記(ア)dと同様である。 よって,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,構成要件2C(装置2)を充足し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件2C(方法2)を充足する。 e 構成要件2D(方法2)及び2D(装置2)について構成2a(2)のシンクシンボルの送信を行い,構成2b(2)のハイパーフレーム構造を規定し,構成2c(2)のインバースシンクシンボルを送信しているのは,本件ADSLモデムの構成要素のうち の本件ADSLモデム用チップセットである。したがって,本件ADSLモデム用チップセットが,構成要件2D(装置2)の「xDSL装置」に該当する。そうではないとしても,本件ADSLモデムが,構成要件2D(装置2)の「xDSL装置」に該当する。 よって,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,構成要件2D(装置2)を充足し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件2D(方法2)を充足する。 f 以上のとおり,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,本件特許発明2(装置2)の技術的範囲に属し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを使用した伝送方法は,本件特許発明2(方法2)の技術的範囲に属する。 (ウ) まとめしたがって,本件チップセットは,本件特許権2の直接侵害品であり,仮に本件製品が直接侵害品であっても,本件チップセットは本件製品の生産にのみ用いる物であるから,間接侵害品である。よって,本件チップセ たがって,本件チップセットは,本件特許権2の直接侵害品であり,仮に本件製品が直接侵害品であっても,本件チップセットは本件製品の生産にのみ用いる物であるから,間接侵害品である。よって,本件チップセットは,Wi-LAN社の特許権の直接侵害品ないし間接侵害品であるから,原告は本件基本契約18条1項に違反したものである。 また,本件DSLAMを使用すること,本件ADSLモデムを貸し渡す若しくは譲り渡すこと,及びこれらを用いて伝送を行うことは,本件特許権2の侵害行為となるから,この点からも,原告が本件基本契約18条1項に違反したことは明らかである。 (エ) 原告主張に対する反論a シンクシンボルとスーパーフレームの境界について原告は,本件規格仕様書には,シンクシンボルがスーパーフレームの境界を示していることについての記載がないと主張する。 しかし,本件規格仕様書の「表C.1/G.992.1-サブフレーム(下り)」には,本件DSLAMからADSLモデムに対する送信につき,シンクシンボルは,DMTシンボル番号0から344のうち,♯68,137,206,275,344のDMTシンボルであることが記載されており(但し,#275はインバースシンクシンボル),一つのスーパーフレームは69個のDMTシンボルから構成されているから,各スーパーフレームの最後のDMTシンボルは,♯68,137,206,275,344のDMTシンボルである。したがって,シンクシンボルは,一つのスーパーフレームの最後のDMTシンボルであり,スーパーフレームの境界を示していることは明らかである。また,本件規格仕様書の「表C.2/G.992.1-サブフレーム(上り)」には,本件ADSLモデムからDSLAMに対する送信についても同様の記載がある。 b インバース ていることは明らかである。また,本件規格仕様書の「表C.2/G.992.1-サブフレーム(上り)」には,本件ADSLモデムからDSLAMに対する送信についても同様の記載がある。 b インバースシンクシンボルについて原告は,本件規格仕様書には,インバースシンクシンボルが,4番目又は1番目のシンクシンボルであるかについて記載がないと主張する。 しかし,本件規格仕様書には,上記のとおり,本件DSLAMからADSLモデムに対する送信については,♯275のDMTシンボル,すなわち4番目のシンクシンボルがインバースシンクシンボルであることが,また,本件ADSLモデムからDSLAMに対する送信については,♯68のDMTシンボル,すなわち1番目のシンクシンボルがインバースシンクシンボルであることが記載されている。 イ争点(1)イ(イ)(本件特許3との抵触の有無)について(ア) 本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特許発明3(装置)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセ ットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明3(方法)の技術的範囲に属する。 a 本件チップセットはAnnex.Cに準拠するものであるから,本件DSLAMは別紙本件製品等構成目録3記載1の構成を有する(以下,各構成をその符号に対応して「構成3a(1)」などという。)。 b 構成要件3A(方法)及び3A(装置)について本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,構成要件3A(装置)の「xDSL装置」に該当する。 また,構成3a(1)の「電話回線を使い高速データ通信を行う技術であるADSLを用いてデータ通信を行う」は,構成要件3A(方法)の「電話回線を高速データ通信回線として利用してデータ通信する」に また,構成3a(1)の「電話回線を使い高速データ通信を行う技術であるADSLを用いてデータ通信を行う」は,構成要件3A(方法)の「電話回線を高速データ通信回線として利用してデータ通信する」に該当する。 よって,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,構成要件3A(装置)を充足し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件3A(方法)を充足する。 c 構成要件3B(方法)及び3B(装置)について構成3b(1)が,構成要件3B(方法)及び3B(装置)に該当することは明らかである。 d 構成要件3C(方法)及び3C(装置)について本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMが,構成要件3C(装置)の「xDSL装置」に該当し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを用いた伝送方法が,構成要件3C(方法)の「ディジタル加入者線伝達方法」に該当することは,上記bと同様である。 よって,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,構成要件3C(装置)を充足し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件3C(方法)を充足する。 e 以上のとおり,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特許発明3(装置1)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明3(方法1)の技術的範囲に属する。 (イ) 本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,本件特許発明3(装置)の技術的範囲に属し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを使用した伝送方法は,本件特許発明3(方法)の技術的範囲に属する。 本件ADSLモデムは,本件特許発明3(装置)の技術的範囲に属し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを使用した伝送方法は,本件特許発明3(方法)の技術的範囲に属する。 a 本件チップセットはAnnex.Cに準拠するものであるから,本件ADSLモデムは別紙本件製品等構成目録3記載2の構成を有する(以下,各構成をその符号に対応して「構成3a(2)」などという。)。 b 構成要件3A(方法)及び3A(装置)について本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,構成要件3A(装置)の「xDSL装置」に該当する。 また,構成3a(2)の「電話回線を使い高速データ通信を行う技術であるADSLを用いてデータ通信を行う」は,構成要件3A(方法)の「電話回線を高速データ通信回線として利用してデータ通信する」に該当する。 よって,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,構成要件3A(装置)を充足し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成 要件3A(方法)を充足する。 c 構成要件3B(方法)及び3B(装置)について構成3b(2)が,構成要件3B(方法)及び3B(装置)に該当することは明らかである。 d 構成要件3C(方法)及び3C(装置)について本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムが,構成要件3C(装置)の「xDSL装置」に該当し,また,ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを用いた伝送方法が,構成要件3C(方法)の「ディジタル加入者線伝達方法」に該当することは,上記bと同様である。 よって,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,構成要件3C(装置)を充足し, ,構成要件3C(方法)の「ディジタル加入者線伝達方法」に該当することは,上記bと同様である。 よって,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,構成要件3C(装置)を充足し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件3C(方法)を充足するe 以上のとおり,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,本件特許発明3(装置1)の技術的範囲に属し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを使用した伝送方法は,本件特許発明3(方法1)の技術的範囲に属する。 (ウ) まとめしたがって,本件チップセットは,本件特許権3の直接侵害品であり,仮に本件製品が直接侵害品であっても,本件チップセットは本件製品の生産にのみ用いる物であるから,間接侵害品である。よって,本件チップセットは,Wi-LAN社の特許権の直接侵害品ないし間接侵害品であるから,原告は本件基本契約18条1項に違反したものである。 また,本件DSLAMを使用すること,本件ADSLモデムを貸し渡す若しくは譲り渡すこと,及びこれらを用いて伝送を行うことは,本件 特許権3の侵害行為となるから,この点からも,原告が本件基本契約18条1項に違反したことは明らかである。 (エ) 原告の主張に対する反論a 通信を行うためのトレーニング中における処理について原告は,SN比の測定はトレーニングの区間よりも後の期間で行われていると主張する。 しかし,トレーニングについては,「ADSLをはじめとするxDSLで,モデムの電源投入時などに回線状況を調べ,最適な通信速度を決定する処理を指す。ADSLは通信に複数の搬送波を用いている。 トレーニング時は,モデムと交換局舎にあるDSLAMが はじめとするxDSLで,モデムの電源投入時などに回線状況を調べ,最適な通信速度を決定する処理を指す。ADSLは通信に複数の搬送波を用いている。 トレーニング時は,モデムと交換局舎にあるDSLAMが通信し合い,搬送波のある周波数帯ごとに雑音や信号減衰量を調べて,各搬送設に乗せられる情報量を決定する。トレーニングによってADSLのリンク速度(物理レベルの通信速度)か決まる。」(乙40)とされているから,SN比の測定も含めて,ADSLにおけるトレーニングに含まれることは明らかである。 bS/N測定対象外とするDMTシンボルについて原告は,本件規格仕様書には,FEXT区間のS/N推定のためのシンボルであるが,その一部がNEXT区間に含まれるもの,及びNEXT区間のS/N推定のためのシンボルであるが,その一部がFEXT区間に含まれるものが記載されていると主張する。 しかし,原告は,TTRC(ATU-Cで使用されるタイミング基準)が,別紙【図6】(本件規格仕様書図C.5)のとおり,TTRからSC(=55×0.9058μs)分オフセットされていることを理解していない。別紙【図6】から分かるように,TTRCの「0」の区間(谷の区間)の後端部はFEXTR区間であり,原告が,FEXT区間のS/N推定のためのシンボルであるが,その一部がN EXT区間に含まれるものであると指摘するDMTシンボル(本件規格仕様書の「図C.19/G.992.1-S/N推定のためのハイパーフレーム内のシンボルパターン-下り」の10,71,81,142,213及び284番のDMTシンボル)はいずれも,FEXTR区間に完全に入るものである。 また,TTRR(ATU-Rで使用されるタイミング基準)が,別紙【図7】のとおり,更にSR(42×0.9058μs)分オフ 4番のDMTシンボル)はいずれも,FEXTR区間に完全に入るものである。 また,TTRR(ATU-Rで使用されるタイミング基準)が,別紙【図7】のとおり,更にSR(42×0.9058μs)分オフセットされることも理解していない。別紙【図7】から分かるように,TTRRの「1」の区間(山の部分)の後端部はFEXTC区間であり,原告が,NEXT区間のS/N推定のためのシンボルであるが,その一部がFEXT区間に含まれるものであると指摘するDMTシンボル(本件規格仕様書の「図C.20/G.992.1-S/N推定のためのハイパーフレーム内のシンボルパターン-上り」の76,147,218及び289番のDMTシンボル)はいずれも,FEXTC区間に完全に入るものである。 ウ争点(1)イ(ウ)(本件特許権4との抵触の有無)について(ア) 本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特許発明4-6(装置3)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明4-1(方法1)及び本件特許発明4-3(方法3)の技術的範囲に属する。 a 本件チップセットはAnnex.Cに準拠するものであるから,本件DSLAMは別紙本件製品等構成目録4記載1の構成を有する(以下,各構成をその符号に対応して「構成4a」などという。)b 構成要件4A(方法1),4G(方法3)及び4G(装置3)について 本件DSLAMは,「非対称デジタル加入者線(ADSL)の送受信機」(構成4a)であるから,構成要件4G(装置3)の「xDSL装置」に当たることは明らかである。 そして,構成4aの「ADSL」は電話回線を高速データ通信回線として利用するものであり,また,DMTシンボルを用いて通信を行うた 要件4G(装置3)の「xDSL装置」に当たることは明らかである。 そして,構成4aの「ADSL」は電話回線を高速データ通信回線として利用するものであり,また,DMTシンボルを用いて通信を行うためのトレーニングを行うものであるから,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件4A(方法1)及び4G(方法3)の「電話回線を高速データ通信回線として利用してDMTシンボルを用いて通信するためのトレーニングを行うディジタル加入者線伝送方法」を充足する。 c 構成要件4B(方法1),4H(方法3)及び4H(装置3)について本件DSLAMは,構成4b記載のとおり,スライディング・ウィンドウのFEXTR区間内のシンボルであるFEXTRシンボルを示す座標(+,+)のDMTシンボルを送信し,また,スライディング・ウィンドウのNEXTR区間内のシンボルであるNEXTRシンボルを示す座標(+,-)のDMTシンボルを送信する(別紙【図8】(本件規格仕様書図C.6)参照)。 ここで,構成4bの「座標(+,+)」及び「座標(+,-)」とは,下記表(乙48)のとおり,4値QAM信号座標を示しており,その信号点が90°異なるシンボルである(本件規格仕様書には,4値QAM信号座標における180度位相反転により,当該座標のうち+が-にマッピング,-が+にマッピングされると記載されていることから,一方のみを+から-にマッピングすれば90°位相が異なることとなる。) d2i+1, d2i+210進法による分類Xi, Yi 0 0 + + 0 1 + - 1 0 - + 1 1 - -したがって,構成4bの「座標(+,+)」及び「座標(+,-)」は,構成要件4B(方法1)の「そのシ 0 1 + - 1 0 - + 1 1 - -したがって,構成4bの「座標(+,+)」及び「座標(+,-)」は,構成要件4B(方法1)の「そのシンボルの4値QAM信号点が90°異なるシンボル」,構成要件4H(方法3)及び4H(装置3)の「4QAMの信号点のうち,位相を90°ずらした2つの信号点」に該当する。 また,「座標(+,+)」及び「座標(+,-)」は,DMTシンボルとして送信されるが,ADSLはDMT変調方式を採用しており,送信時においてDSLAM及びADSLモデムは変調して伝送するのであるから,本件DSLAMは,「座標(+,+)」及び「座標(+,-)」を変調して伝送しているものである。さらに,本件DSLAMは,構成4b記載のとおり,「座標(+,+)」及び「座標(+,-)」を,プロファイル(本件規格仕様書に記載されている6種類の動作モード)1及び2の場合は48番目のキャリア,プロファイル4~6の場合は48番目のキャリア又は24番目のキャリアを選択して当該各座標をエンコード(変調)して伝送するから(別紙【図9】参照),「特定の周波数キャリアを選択して」(構成要件4H(方法3)及び4H(装置3))を充足する。 よって,本件DSLAMは,構成要件4H(装置3)を充足し,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件4B(方法1)及び4H(方法3)を充足する。 d 構成要件4C(方法1),4I(方法3)及び4I(装置3)につ いて本件DSLAMは,「xDSL装置」であり,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,「ディジタル加入者線伝送方法」であるから,本件DSLAMは,構成要件4I(装置3)を充足し,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件4C(方法1)及び4I( ,本件DSLAMを用いた伝送方法は,「ディジタル加入者線伝送方法」であるから,本件DSLAMは,構成要件4I(装置3)を充足し,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件4C(方法1)及び4I(方法3)を充足する。 e 以上のとおり,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特許発明4-6(装置3)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明4-1(方法1)及び4-3(方法3)の技術的範囲に属する。 (イ) 本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,本件特許発明4-8(装置4)の技術的範囲に属し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを使用した伝送方法は本件特許発明4-2(方法2)及び4-5(方法4)の技術的範囲に属する。 a 本件チップセットはAnnex.Cに準拠するものであるから,本件ADSLモデムは別紙本件製品等構成目録4記載2の構成を有する(以下,各構成をその符号に対応して「構成4d」などという。)。 b 構成要件4D(方法2),4M(方法4)及び4M(装置4)について本件ADSLモデムは,「非対称デジタル加入者線(ADSL)の送受信機」(構成4d)であるから,構成要件4M(装置4)に該当することは明らかである。 そして,ADSLは電話回線を高速データ通信回線として利用するものであり,また,DMTシンボルを用いて通信を行うためのトレー ニングを行うものであるから,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件4D(方法2)及び4M(方法4)の「電話回線を高速データ通信回線として利用してDMTシンボルを用いて通信するためのトレーニングを行うディジタル加入者線伝送方法」を充足する。 送方法は,構成要件4D(方法2)及び4M(方法4)の「電話回線を高速データ通信回線として利用してDMTシンボルを用いて通信するためのトレーニングを行うディジタル加入者線伝送方法」を充足する。 c 構成要件4E(方法2),4N(方法4)及び4N(装置4)について上記(ア)cのとおり,本件DSLAMは,スライディング・ウィンドウのFEXTR区間内のシンボルであるFEXTRシンボルを示す座標(+,+)のDMTシンボルを送信し,また,スライディング・ウィンドウのNEXTR区間内のシンボルであるNEXTRシンボルを示す座標(+,-)のDMTシンボルを送信する(構成4b)から,これを受信した本件ADSLモデムが,「DMTシンボルを復調」(構成要件4E(方法2),4N(方法4)及び4N(装置4))することは明らかである。また,「座標(+,+)」及び「座標(+,-)」は,4値QAM信号点が90°異なるシンボルであることも上記(ア)cのとおりであるから,「90°異なる位相差を持つ2種類の信号点」(構成要件4E(方法2),4N(方法4)及び4N(装置4))に該当する。 そして,本件ADSLモデムは,スライディング・ウィンドウのFEXTR区間内のシンボルであるFEXTRシンボルを示す座標(+,+)のDMTシンボル,及び,スライディング・ウィンドウのNEXTR区間内のシンボルであるNEXTRシンボルを示す座標(+,-)のDMTシンボルからTTRCの位相情報を検出し,当該位相情報から,NEXTC区間とFEXTC区間を検出する(構成4e)から,「90°異なる位相差を持つ2種類の信号点を用いて,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を検出」(構成要件 4E(方法2))及び「90°異なる位相差を持つ2種類の信号点を用いて,スラ る位相差を持つ2種類の信号点を用いて,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を検出」(構成要件 4E(方法2))及び「90°異なる位相差を持つ2種類の信号点を用いて,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を識別」(構成要件4N(方法4)及び4N(装置4))を行っている。 よって,本件ADSLモデムは,構成要件4N(装置4)を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件4E(方法2)及び4N(方法4)を充足する。 d 構成要件4F(方法2),4O(方法4)及び4O(装置4)について本件ADSLモデムは,「xDSL装置」であり,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,「ディジタル加入者線伝送方法」であるから,本件ADSLモデムは,構成要件4O(装置4)を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件4F(方法2)及び4O(方法4)を充足する。 e 以上のとおり,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,本件特許発明4-8(装置4)の技術的範囲に属し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを使用した伝送方法は,本件特許発明4-2(方法2)及び4-5(方法4)の技術的範囲に属する。 (ウ) まとめしたがって,本件チップセットは,本件特許権4の直接侵害品であり,仮に本件製品が直接侵害品であっても,本件チップセットは本件製品の生産にのみ用いる物であるから,間接侵害品である。よって,本件チップセットは,Wi-LAN社の特許権の直接侵害品ないし間接侵害品であるから,原告は本件基本契約18条1項に違反したものである。 また,本件DSLAMを使用すること,本件ADSLモデムを貸し渡す若しくは譲り渡すこと,及びこれらを用いて伝 接侵害品ないし間接侵害品であるから,原告は本件基本契約18条1項に違反したものである。 また,本件DSLAMを使用すること,本件ADSLモデムを貸し渡す若しくは譲り渡すこと,及びこれらを用いて伝送を行うことは,本件 特許権4の侵害行為となるから,この点からも,原告が本件基本契約18条1項に違反したことは明らかである。 (エ) 原告の主張に対する反論a オプションの構成であることについて原告は,A24信号(24番目のキャリアの座標のエンコーディング)及びA48信号(48番目のキャリアの座標のエンコーディング)が構成要件4B等及び構成要件4E等のDMTシンボルに該当するとしても,A24信号及びA48信号をサポートしないプロファイル3の構成が観念できる以上,A24信号及びA48信号の構成はAnnex.Cに必須の構成ではないと主張する。しかし,プロファイル3の場合も,本件DSLAMは,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を相手方へ通知するシンボルとして,特定の周波数キャリアを選択し,4QAMの信号点のうち,位相を90°ずらした二つの信号点を変調して伝送している(別紙【図10】参照)。 b 構成要件4B等及び構成要件4E等について原告は,本件規格仕様書によれば,TTRCの位相情報とスライディングウインドウのNEXT区間/FEXT区間とは一致していないと主張するが,この主張は,TTRCが「1」の区間がFEXT区間,TTRCが「0」の区間がNEXT区間に相当することを前提にするものであり,かかる前提が誤りであることは上記イ(エ)で述べたとおりである。 また,原告は,本件規格仕様書には,TTR表示信号であるA24信号及びA48信号が,スライディングウインドウのNEXT区間/FEXT区間を通知,検出するため は上記イ(エ)で述べたとおりである。 また,原告は,本件規格仕様書には,TTR表示信号であるA24信号及びA48信号が,スライディングウインドウのNEXT区間/FEXT区間を通知,検出するためのシンボルであるかについて何ら記載がないと主張する。 しかし,構成要件4Bの「スライディングウィンドウの・・・FE XT区間」とは,その全てが受信側FEXT区間内のシンボルであり,「スライディングウィンドウのNEXT区間」とは,受信側NEXT区間を含んだシンボルを意味するところ,Annex.Cに規定されているDSLAMの送信するFEXTRシンボルは,その全てがFEXTR区間内のシンボルを示し,NEXTRシンボルは,NEXTR区間を含んだシンボルを指すから,Annex.Cの「FEXTRシンボル」及び「NEXTRシンボル」はそれぞれ,構成要件4Bの「スライディングウィンドウの・・・FEXT区間」及び「スライディングウィンドウのNEXT区間」に該当する。そして,Annex.Cでは,座標(+,+)がFEXTRシンボルを,座標(+,-)がNEXTRシンボルを示しており,本件DSLAMが「スライディングウィンドウのNEXT区間/FEXT区間を通知」していることは明らかである。一方で,本件ADSLモデムは,DSLAMから受信したDMTシンボルを復調し,90°異なる位相差を持つ2種類の信号点を用いてTTRCを検出し,このTTRCからTTRRを生成して,上り方向のハイパーフレームとTTRRを同期するとともに,ハイパーフレームの先頭からR-REVERB1の送信を開始し,また,R-REVERB1に入った直後からカウンタを開始して,このカウンタに従って,FEXTC又はNEXTCを識別している(別紙【図11】参照)。そして,FEXTC及びNEXTCは の送信を開始し,また,R-REVERB1に入った直後からカウンタを開始して,このカウンタに従って,FEXTC又はNEXTCを識別している(別紙【図11】参照)。そして,FEXTC及びNEXTCは,上記同様,それぞれ構成要件4E等のスライディングウィンドウのFEXT区間及びNEXT区間に該当するから,本件ADSLモデムも,「受信したDMTシンボルを復調し,90°異なる位相差を持つ2種類の信号点を用いて,スライディングウィンドウのNEXT区間/FEXT区間を識別していることは明らかである。 エ争点(1)イ(エ)(本件特許権1との抵触の有無)について (ア) 本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは本件特許発明1-3(装置1)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセット,ないし本件DSLAMを使用した伝送方法は本件特許発明1-1(方法1)の技術的範囲に属する。 a 本件チップセットはAnnex.Cに準拠するものであるから,本件DSLAMは別紙本件製品等構成目録1記載1の構成を有する(以下,の各構成をその符号に対応して「構成1a」などという。)。 b 構成要件1A(方法1)及び1A(装置1)について「ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を高速データ通信回線として利用」(構成要件1A(方法1)及び1A(装置1))とは,時分割制御伝送方式(TCM)を採用するISDNの漏話雑音の影響を受ける電話回線を利用して高速データ通信を行うことを意味する。 一方,本件DSLAMは,構成1a記載のとおり,TCM方式を採用したISDNのデータ・ストリームのためにNEXTノイズ及びFEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用してADSL方式により通信(高速データ通信)を行い,DMTシンボルを送信する ,TCM方式を採用したISDNのデータ・ストリームのためにNEXTノイズ及びFEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用してADSL方式により通信(高速データ通信)を行い,DMTシンボルを送信するのであるから,「ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を高速データ通信回線として利用」(構成要件1A(方法1)及び1A(装置1))してDMTシンボルを送信している。 また,「400HzのTCMクロストークの1周期」(構成要件1A(方法1)及び1A(装置1))は2.5ミリ秒であるところ,本件DSLAMが送信するDMTシンボルは,345個のDMTシンボルがTTRの32周期と一致し(構成1a),TTRの1周期は2. 5ミリ秒である。345のDMTシンボルを32周期で除すると,約10.78となるから,本件DSLAMは,「DMTシンボル10個 分の時間を400HzのTCMクロストークの1周期と合わせることなく該DMTシンボルを送信する」(構成要件1A(方法1)及び1A(装置1))を満たす。 よって,本件DSLAMは,構成要件1A(装置1)を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件1A(方法1)を充足する。 c 構成要件1B(方法1)及び1B(装置1)について本件DSLAMは,構成1b記載のとおり,局舎から受信したTTRにより,受信したDMTシンボルがFEXTC区間かNEXTC区間かを判定しており,そのような判定をする位相判定器を備えている。 そして,TTRの1周期は2.5ミリ秒であり,400Hz位相情報(2.5ミリ秒)と同義であるから,本件DSLAMは,「ISDNの400Hz位相情報もしくは局側から伝送された400Hz位相情報により,受信したDMTシンボルがFEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを .5ミリ秒)と同義であるから,本件DSLAMは,「ISDNの400Hz位相情報もしくは局側から伝送された400Hz位相情報により,受信したDMTシンボルがFEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを判定する位相判定器」(構成要件1B(装置1))を充足し,本件DSLAMを用いた伝送方法は,「ISDNの400Hz位相情報もしくは局側から伝送された400Hz位相情報により,受信したDMTシンボルがFEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを判定するステップ」(構成要件1B(方法1))を充足する。 d 構成要件1C(方法1)及び1C(装置1)について構成要件1C(方法1)は,「該判定結果より受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するステップと,」との構成であり,構成要件1C(装置1)は,「該位相判定器出力により受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するFEXT区間S/N測定器と,」との構成である。 一方,本件DSLAMは,構成1c記載のとおり,受信されたFEXTCシンボルからSN比を算出しているが,具体的にいかなる方法でSN比を算出するかについて,Annex.Cに規定はない。しかし,本件チップセットの具体的な内容を熟知しているイカノス社が,本件特許発明1に関して,具体的にこれを実施していないと指摘していないのは,本件DSLAM用チップセットによるSN比の測定において,受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するからに他ならず,また,ADSLトレーニングにおいてSN比を算出するに当たっては,送信する信号と受信する信号との差を積分して算出することは一般的であり,むしろそれ以外の方法は考えられ /Nを算出するからに他ならず,また,ADSLトレーニングにおいてSN比を算出するに当たっては,送信する信号と受信する信号との差を積分して算出することは一般的であり,むしろそれ以外の方法は考えられない。 よって,本件DSLAMは,構成要件1C(装置1)を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件1C(方法1)を充足する。 e 構成要件1D(方法1)及び1D(装置1)について本件DSLAMは,構成1d記載のとおり,算出されたSN比から,各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,FEXT区間用ビットマップ(ビットマップ-FC)を作成するから,当該機能を有する「伝送bit数換算器」を有することも明らかである。 よって,本件DSLAMは,「該FEXT区間S/N測定器の出力から各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,FEXT区間用ビットマップを作成する伝送bit数換算器とを有し,」(構成要件1D(装置1))を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,「該算出された各キャリア毎のS/Nから各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,FEXT区間用ビットマップを作成するステップとを有し,」(構成要件1D(方法1))を充足する。 f 構成要件1E(方法1)及び1E(装置1)について構成要件1E(方法1)及び1E(装置1)は,「該作成されたFEXT区間用ビットマップをスライディングウインドウの内側のビットマップとして使用して,スライディングウインドウの内側のDMTシンボルでデータ伝送を行う」との構成要件である。ここで,「スライディングウインドウの内側のDMTシンボル」とは,受信側にとってのFEXT区間に受信するDMTシンボルのことである。 一方で,構成1d記載のとおり,本件DSLAMで作成されたビットマップ-F ライディングウインドウの内側のDMTシンボル」とは,受信側にとってのFEXT区間に受信するDMTシンボルのことである。 一方で,構成1d記載のとおり,本件DSLAMで作成されたビットマップ-FCは,ADSLモデムに送信され,FEXTビットマップ・モードを選択した場合,ADSLモデムは,受信したビットマップ-FCをFEXTCシンボルのビットマップとして使用して,FEXTCシンボルでデータ伝送を行う(構成1e)。そして,FEXTCシンボルとは,すべてがFEXTC区間内のシンボルを意味し,FEXTC区間とは,DSLAMとってのFEXT区間を意味することから,FEXTCシンボルは,「スライディングウインドウの内側のDMTシンボル」(構成要件1E(方法1)及び1E(装置1))に該当する。また,本件DSLAMで作成されたビットマップ-FCは,FEXTCシンボルのビットマップとして使用されるから,「該作成されたFEXT区間用ビットマップ」に該当し,「スライディングウインドウの内側のビットマップとして使用」(構成要件1E(方法1)及び1E(装置1))されているといえる。 よって,本件DSLAMは,構成要件1E(装置1)を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法,構成要件1E(方法1)を充足する。 g 構成要件1F(方法1)及び1F(装置1)について本件DSLAMは,「xDSL装置」(構成要件1F(装置1)) であり,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,「ディジタル加入者線伝送方法」(構成要件1F(方法1))であるから,本件DSLAMは,構成要件1F(装置1)を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件1F(方法1)を充足する。 h 以上のとおり,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特 LAMは,構成要件1F(装置1)を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件1F(方法1)を充足する。 h 以上のとおり,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特許発明1-3(装置1)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明1-1(方法1)の技術的範囲に属する。 (イ) 本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特許発明1-4(装置2)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明1-2(方法2)の技術的範囲に属する。 a 構成要件1G(方法2)及び1G(装置2)について上記(ア)bと同様に,本件DSLAMは,構成要件1G(装置2)を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件1G(方法2)を充足する。 b 構成要件1H(方法2)及び1H(装置2)について上記(ア)cと同様に,本件DSLAMは,構成要件1H(装置2)を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件1H(方法2)を充足する。 c 構成要件1I(方法2)及び1I(装置2)について上記(ア)dで主張したとおり,本件DSLAM用チップセットによるSN比の測定においては,受信NEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリアのS/Nを算出,若しくは受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリアのS/Nを算出していることは明らかであるから,本件DSLA Mは,「該位相判定器出力により受信NEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するNEXT区間S/N測定器および受信FEXT区間シ ,本件DSLA Mは,「該位相判定器出力により受信NEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するNEXT区間S/N測定器および受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するFEXT区間S/N測定器と,」(構成要件1I(装置2))を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,「該判定結果より受信NEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するもしくは受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するステップと,」(構成要件1I(方法2))を充足する。 d 構成要件1J(方法2)及び1J(装置2)について本件DSLAMは,構成1j記載のとおり,前記算出されたSN比から,各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,NEXT区間用ビットマップ(ビットマップ-NC)とFEXT区間用ビットマップ(ビットマップ-FC)を作成するから,当該機能を有する「伝送bit数換算器」を有することも明らかである。 よって,本件DSLAMは,「該NEXT区間S/N測定器の出力およびFEXT区間S/N測定器の出力から各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,NEXT区間用ビットマップおよびFEXT区間用ビットマップを作成する伝送bit数換算器とを有し,」(構成要件1J(装置2))を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,「該判定結果より受信NEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するもしくは受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するステップと,」(構成要件1J(方法2))を充足する。 積分して各キャリア毎のS/Nを算出するもしくは受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するステップと,」(構成要件1J(方法2))を充足する。 e 構成要件1K(方法2)及び1K(装置2)について構成要件1K(方法2)及び1K(装置2)は,「該作成されたNEXT区間用ビットマップとFEXT区間用ビットマップをスライディングウインドウのそれぞれ外側と内側のビットマップとして使用してデータ伝送を行う」との構成要件である。ここで,スライディングウインドウの内側のビットマップとは,受信側にとってのFEXT区間に受信するDMTシンボルを送信する際に用いるビットマップであり,スライディングウインドウの外側のビットマップとは,受信側にとってのNEXT区間で受信するDMTシンボルを送信する際に用いるビットマップである。 一方,構成要件1j記載のとおり,本件DSLAMで作成されたビットマップ-NC及びビットマップ-FCは,ADSLモデムに送信され,デュアルビットマップ・モードを選択した場合,ADSLモデムは,受信したビットマップ-NC及びビットマップ-FCを,NEXTCシンボル及びFEXTCシンボルのビットマップとして使用して,NEXTCシンボル及びFEXTCシンボルでデータ伝送を行う(構成1k)。そして,上記(ア)fで主張のとおり,ビットマップ-FCは,スライディングウインドウの内側のDMTシンボルのビットマップとして使用されるから,「スライディングウインドウの・・・内側のビットマップ」(構成要件1K(方法2)及び1K(装置2))に該当する。また,NEXTCシンボルとは,NEXTC区間を含んだシンボルを意味し,NEXTC区間とは,DSLAMにとってのNEXT区間を意味することから 構成要件1K(方法2)及び1K(装置2))に該当する。また,NEXTCシンボルとは,NEXTC区間を含んだシンボルを意味し,NEXTC区間とは,DSLAMにとってのNEXT区間を意味することから,NEXTCシンボルは,DSLAM(受信側)にとってのNEXT区間で受信するDMTシンボル(=「スライディングウインドウの・・・外側」のDMTシンボル)である。そして,ビットマップ-NCは,構成1k記載のとおり,N EXTCシンボルを送信する際に使用されるから,「スライディングウインドウの・・・外側のビットマップ」(構成要件1K(方法2)及び1K(装置2))に該当する。 よって,本件DSLAMは,構成要件1K(装置2)を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件1K(方法2)を充足する。 f 構成要件1L(方法1)及び1L(装置1)について本件DSLAMは,「xDSL装置」であり,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,「ディジタル加入者線伝送方法」であるから,本件DSLAMは,構成要件1L(装置1)を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件1L(方法1)を充足する。 g 以上のとおり,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特許発明1-4(装置2)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明1-2(方法2)の技術的範囲に属する。 (ウ) 本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは本件特許発明1-3(装置1)の技術的範囲に属し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを使用した伝達方法は本件特許発明1-1(方法1)の技術的範囲に属する。 a 本件チップセットはAnnex.Cに )の技術的範囲に属し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを使用した伝達方法は本件特許発明1-1(方法1)の技術的範囲に属する。 a 本件チップセットはAnnex.Cに準拠するものであるから,本件ADSLモデムは別紙本件製品目録1記載2の構成を有する(以下,各構成をその符号に対応して「構成1a’」などという。)。 b 構成要件1A(方法1)及び1A(装置1)について本件ADSLモデムは,構成要件1a’記載のとおり,TCM方式を採用したISDNのデータ・ストリームのためにNEXTノイズ及びFEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用してADSL方式に より通信(高速データ通信)を行い,DMTシンボルを送信するから,上記(ア)bで主張のとおり,「ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を高速データ通信回線として利用」(構成要件1A(方法1)及び1A(装置1))してDMTシンボルを送信しているといえる。 また,本件ADSLモデムが,「DMTシンボル10個分の時間を400HzのTCMクロストークの1周期と合わせることなく該DMTシンボルを送信する」(構成要件1A(方法1)及び1A(装置1))ことは,上記(ア)bと同様である。 よって,本件ADSLモデムは,構成要件1A(装置1)を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件1A(方法1)を充足する。 c 構成要件1B(方法1)及び1B(装置1)について本件ADSLモデムは,構成1b’記載のとおり,DSLAMから受信したTTRにより,受信したDMTシンボルがFEXTR区間かNEXTR区間かを判定しており,そのような判定をする位相判定器を備えている。そして,TTRは,「TCM-ISDNのタイミング基準」のことであ TTRにより,受信したDMTシンボルがFEXTR区間かNEXTR区間かを判定しており,そのような判定をする位相判定器を備えている。そして,TTRは,「TCM-ISDNのタイミング基準」のことであり,その1周期は2.5ミリ秒であるから,400Hz位相情報と同義である。 よって,本件ADSLモデムは,「ISDNの400Hz位相情報もしくは局側から伝送された400Hz位相情報により,受信したDMTシンボルがFEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを判定する位相判定器と,」(構成要件1B(装置1))を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,「ISDNの400Hz位相情報もしくは局側から伝送された400Hz位相情報により,受信したDMTシンボルがFEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを判定す るステップと,」(構成要件1B(方法1))を充足する。 d 構成要件1C(方法1)及び1C(装置1)について本件ADSLモデムは,構成1c’記載のとおり,FEXTビットマップ・モードの場合,受信されたFEXTRシンボルからSN比を算出しているが,具体的にいかなる方法でSN比を算出するかについて,Annex.Cには規定がない。しかし,上記(ア)dで述べたところと同様の理由で,本件ADSLモデム用チップセットによるSN比の測定においては,受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出しているといえる。 よって,本件ADSLモデムは,「該位相判定器出力により受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するFEXT区間S/N測定器と」(構成要件1C(装置1))を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,「該判定結果より受信FEXT区間シンボル との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するFEXT区間S/N測定器と」(構成要件1C(装置1))を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,「該判定結果より受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するステップと,」(構成要件1C(方法1))を充足する。 e 構成要件1D(方法1)及び1D(装置1)について本件ADSLモデムは,構成1d’記載のとおり,算出されたSN比から,各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,FEXT区間用ビットマップ(ビットマップ-FR)を作成するから,当該機能を有する「伝送bit数換算器」を有することも明らかである。 よって,本件ADSLモデムは,「該FEXT区間S/N測定器の出力から各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,FEXT区間用ビットマップを作成する伝送bit数換算器とを有し,」(構成要件1D(装置1))を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,「該算出された各キャリア毎のS/Nから各キャリア毎に伝 送するビット数を算出し,FEXT区間用ビットマップを作成するステップとを有し,」(構成要件1D(方法1))を充足する。 f 構成要件1E(方法1)及び1E(装置1)について構成1d’記載のとおり,本件ADSLモデムで作成されたビットマップ-FRは,DSLAMに送信され,FEXTビットマップ・モードを選択した場合,DSLAMにおいて,受信したビットマップ-FRをFEXTRシンボルのビットマップとして使用して,FEXTRシンボルでデータ伝送を行う(構成1e’)。そして,FEXTRシンボルとは,すべてがFEXTR区間内のシンボルを意味し,FEXTR区間とは,ADSLモデムにとってのFEXT区間を意味することから,FE ボルでデータ伝送を行う(構成1e’)。そして,FEXTRシンボルとは,すべてがFEXTR区間内のシンボルを意味し,FEXTR区間とは,ADSLモデムにとってのFEXT区間を意味することから,FEXTRシンボルは,「スライディングウインドウの内側のDMTシンボル」(構成要件1E(方法1)及び1E(装置1))に該当する。また,本件ADSLモデムで作成されたビットマップ-FRは,FEXTRシンボルのビットマップとして使用されるから,「該作成されたFEXT区間用ビットマップ」に該当し,「スライディングウインドウの内側のビットマップとして使用」(構成要件1E(方法1)及び1E(装置1))されているといえる。 よって,本件ADSLモデムは,構成要件1E(装置1)を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件1E(方法1)を充足する。 g 構成要件1F(方法1)及び1F(装置1)について本件ADSLモデムは,「xDSL装置」であり,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,「ディジタル加入者線伝送方法」であるから,本件ADSLモデムは,構成要件1F(装置1)を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件1F(方法1)を充足する。 h 以上のとおり,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,本件特許発明1-3(装置1)の技術的範囲に属し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを使用した伝送方法は,本件特許発明1-1(方法1)の技術的範囲に属する。 (エ) 本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは本件特許発明1-2(装置2)の技術的範囲に属し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを使用した伝達方法は本件特許 件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは本件特許発明1-2(装置2)の技術的範囲に属し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを使用した伝達方法は本件特許発明1-4(方法2)の技術的範囲に属する。 a 構成要件1G(方法2)及び1G(装置2)について上記(ウ)bと同様に,本件ADSLモデムは,構成要件1G(装置2)を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件1G(方法2)を充足する。 b 構成要件1H(方法2)及び1H(装置2)について上記(ウ)cと同様に,本件ADSLモデムは,構成要件1H(装置2)を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件1H(方法2)を充足する。 c 構成要件1I(方法2)及び1I(装置2)について上記(ウ)dで主張したとおり,本件ADSLモデム用チップセットによるSN比の測定においては,受信NEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリアのS/Nを算出,若しくは受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリアのS/Nを算出していることは明らかであるから,本件ADSLモデムは,「該位相判定器出力により受信NEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するNEXT区間S/N測定器および受信FEXT区間シンボルのリ ファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するFEXT区間S/N測定器と,」(構成要件1I(装置2))を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,「該判定結果より受信NEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するもしくは受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号 本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,「該判定結果より受信NEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するもしくは受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するステップと,」(構成要件1I(方法2))を充足する。 d 構成要件1J(方法2)及び1J(装置2)本件ADSLモデムは,構成1j’記載のとおり,,前記算出されたSN比から,各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,NEXT区間用ビットマップ(ビットマップ-NR)とFEXT区間用ビットマップ(ビットマップ-FR)を作成するから,当該機能を有する「伝送bit数換算器」を有することも明らかである。 よって,本件ADSLモデムは,「該NEXT区間S/N測定器の出力およびFEXT区間S/N測定器の出力から各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,NEXT区間用ビットマップおよびFEXT区間用ビットマップを作成する伝送bit数換算器とを有し,」(構成要件1J(装置2))を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,「該判定結果より受信NEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するもしくは受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するステップと,」(構成要件1J(方法2))を充足する。 e 構成要件1K(方法2)及び1K(装置2)構成要件1j’記載のとおり,本件ADSLモデムで作成されたビットマップ-NR及びビットマップ-FRは,DSLAMに送信され, デュアルビットマップ・モードを選択した場合,DSLAMは,受信したビットマップ-NR及びビットマップ-FRを,NEXTRシンボル及びFEXTRシンボ プ-FRは,DSLAMに送信され, デュアルビットマップ・モードを選択した場合,DSLAMは,受信したビットマップ-NR及びビットマップ-FRを,NEXTRシンボル及びFEXTRシンボルのビットマップとして使用して,NEXTRシンボル及びFEXTRシンボルでデータ伝送を行う(構成1k’)。そして,上記(ウ)fで主張のとおり,ビットマップ-FRは,スライディングウインドウの内側のDMTシンボルのビットマップとして使用されるから,「スライディングウインドウの・・・内側のビットマップ」(構成要件1K(方法2)及び1K(装置2))に該当する。また,NEXTRシンボルとは,NEXTR区間を含んだシンボルを意味し,NEXTR区間とは,ADSLモデムにとってのNEXT区間を意味することから,NEXTRシンボルは,ADSLモデム(受信側)にとってのNEXT区間で受信するDMTシンボル(=「スライディングウインドウの・・・外側」のDMTシンボル)である。そして,ビットマップ-NRは,構成1k’記載のとおり,NEXTRシンボルを送信する際に使用されるから,「スライディングウインドウの・・・外側のビットマップ」(構成要件1K(方法2)及び1K(装置2))に該当する。 よって,本件ADSLモデムは,構成要件1K(装置2)を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件1K(方法2)を充足する。 f 構成要件1L(方法2)及び1L(装置2)について本件ADSLモデムは,「xDSL装置」であり,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,「ディジタル加入者線伝送方法」であるから,本件ADSLモデムは,構成要件1L(装置2)を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件1L(方法2)を充足する。 は,「ディジタル加入者線伝送方法」であるから,本件ADSLモデムは,構成要件1L(装置2)を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件1L(方法2)を充足する。 g 以上のとおり,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,本件特許発明1-4(装置2)の技術的範囲を属し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを使用した伝送方法は,本件特許発明1-2(方法2)の技術的範囲に属する。 (オ) まとめしたがって,本件チップセットは,本件特許権1の直接侵害品であり,仮に本件製品が直接侵害品であっても,本件チップセットは本件製品の生産にのみ用いる物であるから,間接侵害品である。よって,本件チップセットは,Wi-LAN社の特許権の直接侵害品ないし間接侵害品であるから,原告は本件基本契約18条1項に違反したものである。 また,本件DSLAMを使用すること,本件ADSLモデムを貸し渡す若しくは譲り渡すこと,及びこれらを用いて伝送を行うことは,本件特許権1の侵害行為となるから,この点からも,原告が本件基本契約18条1項に違反したことは明らかである。 (カ) 原告の主張に対する反論a 「位相情報」について,原告は,NDMTは単なるカウンタ値であって位相を示すものではないと主張するが,NDMTは400Hz位相情報により同期されたDMTシンボルのカウンタ値である。 b 「それ以外を判定する」原告は,Annex.Cの方法は,FEXT区間,NEXT区間のいずれでもないものを判定しないと主張する。 しかし,本件規格仕様書の「C.7.8.3 R-MEDLEY(10.7.8の補足)」に記載されている下記の式から,FEXTC区間,NEXTC区間のいずれでもないものが判定される しないと主張する。 しかし,本件規格仕様書の「C.7.8.3 R-MEDLEY(10.7.8の補足)」に記載されている下記の式から,FEXTC区間,NEXTC区間のいずれでもないものが判定されることは明 らかである。 また,本件規格仕様書の「C.7.6.2 C-MEDLEY(10.6.6の補足)」に記載されている下記の式から,FEXTR区間,NEXTR区間のいずれでもないものが判定されることは明らかである。 c 構成要件1C等「リファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出する」について原告は,構成要件1C等の「S/N」が,送信信号と受信信号との差(雑音)を積分したものであるとの前提に立ち,SN比は送信信号と雑音(ノイズ)との比であるから,SN比の算出方法が異なると主張する。しかし,構成要件1C(方法1)における「該判定結果より受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出する」とは,当該差を積分し,さらにその値とリファレンス信号点との比を算出するものと解すべきことは明らかであるから,算出方法に相違はない。 また,原告は,送信信号と受信信号との差を積分する以外の方法によりSN比を算出することがあるとして,上記方法が一般的で,むしろそれ以外の方法は考えられないとする被告の主張を論難する。しか し,SN比の算出に積分を用いないということは,ある一時点の一つの受信信号のみを計測し,これと送信信号との差を雑音(ノイズ)として,SN比を求めることを意味するが,アナログ伝送される雑音の影響は時々刻々と変化することから,一時点の送信信号と受信信号の差のみでは,正確なSN比は測れず,そのようなSN比の算出はありえない。また,原告が送信信号と受信信号との差 ,アナログ伝送される雑音の影響は時々刻々と変化することから,一時点の送信信号と受信信号の差のみでは,正確なSN比は測れず,そのようなSN比の算出はありえない。また,原告が送信信号と受信信号との差を積分する以外の方法の記載があるものとして挙げる文献(甲44~46)には,雑音(ノイズ)の算出についての言及がなく,送信信号と受信信号との差を積分せずにSN比を算出しているかは不明であるし,少なくとも,甲44では,外来ノイズPSDの単位が「dBm/Hz」となっており,帯域幅1ヘルツ当たりのノイズ電力量(デシベル)により雑音(ノイズ)を表しているから,1点の送信信号と受信信号の差により雑音(ノイズ)を算出したものではないことが明らかである。 オ争点(1)イ(オ)(本件特許権9との抵触の有無)について(ア) 本件チップセットを用いた伝送システム(以下「本件伝送システム」という。)は本件特許発明9の技術的範囲に属する。 a 本件チップセットはAnnex.Cに準拠するものであるから,本件チップセットを用いた伝送システムの構成は別紙本件製品等構成目録9記載の構成を有する(以下,各構成をその符号に対応して「構成9a」などという。)。 b 構成要件9Aについて本件伝送システムは,構成9a記載のとおり,既存の電話回線を介して本件DSLAMと本件ADSLモデムが通信を行う非対称ディジタル加入者線伝送システムであり,本件DSLAM及び本件ADSLモデムは,それぞれ「局側の装置」及び「加入者側の装置」(構成要件9A)に該当する。 よって,本件伝送システムは,「既存の電話回線を介して本件DSLAMと本件ADSLモデムが通信を行う非対称ディジタル加入者線伝送システムにおいて,」(構成要件9A)を充足する。 c 構成要件9B及び9Cについて 送システムは,「既存の電話回線を介して本件DSLAMと本件ADSLモデムが通信を行う非対称ディジタル加入者線伝送システムにおいて,」(構成要件9A)を充足する。 c 構成要件9B及び9Cについて本件DSLAMは,構成9b・c記載のとおり,C-PILOT1に入った直後に,NSWF(スライディング・ウィンドウ・フレーム)カウンタを0から開始し,各DMTシンボルの送信の後にNSWFカウンタをモジュロ345でインクリメント,すなわち,C-PILOT1に入った直後に,NSFWを0からスタートし,1ずつ増してカウントし,345個目(NSFW=344)までカウントしたら,再度0からカウントする処理を行うカウンタを有している。そして,当該カウントに従って,FEXTRまたはNEXTRのいずれかのシンボルで,後続のシンボルをすべて送信することを決定する。したがって,本件DSLAMは,DMTシンボルを連続して345番目までカウントし(=「DMTシンボルクロックを連続して所定回数カウントすることでDMTシンボル数のカウントを行い」(構成要件9C)),当該カウントに従ってFEXTR又はNEXTRのいずれかのシンボルで送信することを決定する(=「カウント値を用いてスライディングウインドウDEC(503)によりスライディングウインドウのFEXTR,NEXTR,・・・の区間の特定を行う」(構成要件9C))独自のカウンタを有している。 また,本件ADSLモデムは,構成9b・c記載のとおり,R-REVERB1に入った直後に,そのNSWFカウンタを開始し,各DMTシンボルの送信の後にNSWFカウンタを0からモジュロ345でインクリメント,すなわち,R-REVERB1に入った直後に,NSFWを0からスタートし,1ずつ増してカウントし,345個目(NS ボルの送信の後にNSWFカウンタを0からモジュロ345でインクリメント,すなわち,R-REVERB1に入った直後に,NSFWを0からスタートし,1ずつ増してカウントし,345個目(NS FW=344)までカウントしたら,再度0からカウントする処理を行うカウンタを有している。そして,当該カウントに従って,FEXTCまたはNEXTCのいずれかのシンボルで,後続のシンボルをすべて送信することを決定する。したがって,本件ADSLモデムは,DMTシンボルを連続して345番目までカウントし(=「DMTシンボルクロックを連続して所定回数カウントすることでDMTシンボル数のカウントを行い」(構成要件9C)),当該カウントに従ってFEXTC又はNEXTCのいずれかのシンボルで送信することを決定する(=「カウント値を用いてスライディングウインドウDEC(503)によりスライディングウインドウの・・・FEXTC,NEXTCの区間の特定を行う」(構成要件9C))独自のカウンタを有している。 よって,本件伝送システムは,構成要件9B及び9Cを充足する。 d 構成要件9Dについて本件伝送システムが,「ディジタル加入者線伝送方法」であることは明らかであるから,構成要件9Dを充足する。 e 以上のとおり,本件伝送システムは本件特許発明9の技術的範囲に属する。 (イ) まとめしたがって,本件チップセットは,本件特許権9の直接侵害品であり,仮に本件伝送システムの生産及び使用が直接侵害行為であっても,本件チップセットは本件伝送システムの生産にのみ用いる物であるから,間接侵害品である。よって,本件チップセットは,Wi-LAN社の特許権の直接侵害品ないし間接侵害品であるから,原告は本件基本契約18条1項に違反したものである。 また,本件チップセッ であるから,間接侵害品である。よって,本件チップセットは,Wi-LAN社の特許権の直接侵害品ないし間接侵害品であるから,原告は本件基本契約18条1項に違反したものである。 また,本件チップセットを使用して本件伝送システムを生産し,又は 本件伝送システムを用いて伝送を行うことが,本件特許権9の侵害行為となるから,この点からも,原告が本件基本契約18条1項に違反したことは明らかである。 (ウ) 原告の主張に対する反論a 構成要件9Bについて原告は,DSLAM(ATU-C)とADSLモデム(ATU-R)のカウンタは,互いに同じ値を持つように制御されているから,それぞれ独立したものではないと主張する。しかし,「独立した」とは,単に異なるハードウェアにおいて,物理的に独立したカウンタを有していることを指すから,原告の主張は失当である。 b 構成要件9Cについて原告は,本件規格仕様書においては,FEXTR,NEXTR,FEXTC,NEXTCの区間の特定を行うことは何ら開示されていないと主張する。しかし,構成要件9Cは「スライディングウインドウのFEXTR,NEXTR,FEXTC,NEXTCの区間の特定を行う」と記載されており,「FEXTR,NEXTR,FEXTC,NEXTCの区間の特定」ではない。そして,スライディングウインドウの区間の特定とは,送信シンボルが,完全にFEXTR区間又はFEXTC区間に含まれるシンボルであるのか,その一部がNEXTR区間又はNEXTC区間に含まれるのかの特定を行うことを意味するから,本件DSLAMが,FEXTR又はNEXTRのいずれかを決定し,本件ADSLモデムが,FEXTC又はNEXTCのいずれかを決定することは,「スライディングウインドウのFEXTR,NEXTR,FEXTC,NE AMが,FEXTR又はNEXTRのいずれかを決定し,本件ADSLモデムが,FEXTC又はNEXTCのいずれかを決定することは,「スライディングウインドウのFEXTR,NEXTR,FEXTC,NEXTCの区間の特定を行う」に該当する。 カ争点(1)イ(カ)(本件特許権7との抵触の有無)について(ア) 本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特許 発明7-4(装置1),7-5(装置2)及び7-6(装置3)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明7-1(方法1),7-2(方法2)及び7-3(方法3)の技術的範囲に属する。 a 本件チップセットはAnnex.Cに準拠するものであるから,本件DSLAMは別紙本件製品等構成目録7記載の構成を有する(以下,各構成をその符号に対応して「構成7a」などという。)b 構成要件7A(方法1ないし3)及び7A(装置1ないし3)について本件DSLAMは,構成7a記載のとおり,電話回線を高速データ通信回線として利用して通信する非対称ディジタル加入者線伝送を行う送受信機(xDSL装置)であるから,「xDSL装置において,」(構成要件7A(装置1ないし3))を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,「電話回線を高速データ通信回線として利用して通信するディジタル加入者線伝送方法において,」(構成要件7A(方法1ないし3))を充足する。 c 構成要件7B(方法1ないし3)及び7B(装置1ないし3)について構成要件7B(方法1)は,「通信を開始するために行うトレーニング中に,受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニングシーケンスの切り換えを示す信号を送信する」との構成で 成要件7B(方法1)は,「通信を開始するために行うトレーニング中に,受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニングシーケンスの切り換えを示す信号を送信する」との構成であり,構成要件7B(方法2)及び7B(方法3)は,構成要件7B(方法1)の「信号」の部分が,それぞれ「信号の先頭」及び「シンボルの先頭」となっている。また,構成要件7B(装置1)は,「通信を開始するために行うトレーニング中に,受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニ ングシーケンスの切り換えを示す信号を送信する手段を有する」との構成であり,構成要件7B(装置2)及び7B(装置3)は,構成要件7B(装置1)の「信号」の部分が,それぞれ「信号の先頭」及び「シンボルの先頭」となっている。 一方,本件DSLAMは,構成7b記載のとおり,トレーニングにおける各シーケンスのうち,C-RATES1の最初のシンボルをハイパーフレームの初めと同期し,C-RATES1に入るタイミングをADSLモデムに知らせるため,C-SEGUE1の最初のシンボルをFEXTR区間内に送信するところ,C-SEGUE1の最初のシンボルは,「トレーニングシーケンス」であるC-RATES1の切り替えを本件DSLAM(=「送信側」)からADSLモデム(=「受信側」)に示す信号に該当する。また,FEXTR区間とは,ADSLモデムにおけるFEXT区間のことであるから,本件DSLAMは,受信側であるADSLモデムがFEXT区間に受信できるようなタイミングで,トレーニングシーケンスC-RATES1の切り替えを示す信号であるC-SEGUE1の最初のシンボルを送信しているものである(別紙【図11】参照)。そして,シンボルは信号の一種であり,最初のシンボル トレーニングシーケンスC-RATES1の切り替えを示す信号であるC-SEGUE1の最初のシンボルを送信しているものである(別紙【図11】参照)。そして,シンボルは信号の一種であり,最初のシンボルは「信号の先頭」(構成要件7B(方法2)及び7B(装置2)),及び「シンボルの先頭」(構成要件7B(方法3)及び7B(装置3))に該当する。 よって,本件DSLAMは,構成要件7B(方法1ないし3)を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件7B(装置1ないし3)を充足する。 d 構成要件7C(方法1ないし3)及び件7C(装置1ないし3)について本件DSLAMは,「xDSL装置」であり,本件DSLAMを用 いた伝送方法は,「ディジタル加入者線伝送方法」であるから,本件DSLAMは,構成要件7C(装置1ないし3)を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件7C(方法1ないし3)を充足する。 e 以上のとおり,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特許発明7-4(装置1),7-5(装置2)及び7-6(装置3)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明7-1(方法1),7-2(方法2)及び7-3(方法3)の技術的範囲に属する。 (イ) まとめしたがって,本件DSLAM用チップセットは,本件特許権7の直接侵害品であり,仮に本件DSLAMが直接侵害品であっても,本件DSLAM用チップセットは本件DSLAMの生産にのみ用いる物であるから,間接侵害品である。よって,本件DSLAM用チップセットは,Wi-LAN社の特許権の直接侵害品ないし間接侵害品であるから,原告は本件基本契約18条1項に違反したものである。 また,本 であるから,間接侵害品である。よって,本件DSLAM用チップセットは,Wi-LAN社の特許権の直接侵害品ないし間接侵害品であるから,原告は本件基本契約18条1項に違反したものである。 また,本件DSLAM用チップセットを使用してDSLAMを使用すること,及びこれらを用いて伝送を行うことは,本件特許権7の侵害行為となるから,この点からも,原告が本件基本契約18条1項に違反したことは明らかである。 (ウ) 原告の主張に対する反論a 構成要件7B「トレーニングシーケンスの切り替えを示す信号」について原告は,トレーニング区間はC-REVERB1からC-SEGUE1までの区間であり,それ以後の区間であるC-RATES1はト レーニングシーケンスではないと主張する。しかし,上記イ(エ)で述べたところと同様に,構成要件7Bの「通信を行うためのトレーニング」は,少なくともSN比の測定を行う区間までのことをいうものであり,SN比の測定を行う区間であるC-MEDLEYよりも前の区間であるC-RATES1がトレーニングシーケンスに該当することは明らかである(別紙【図11】参照)。 b 構成要件7B「受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミング」について原告は,FEXTR区間はあくまで推定される区間であり,受信側のFEXT区間と同一ではなく,DSLAM(ATU-C)が送信するタイミングとADSLモデム(ATU-R)が受信するタイミングも,DSLAMとADSLモデム間の信号の伝送遅延のため,同一ではないと主張する。 しかし,Annex.Cにおいては,伝送遅延も考慮に入れて受信側FEXT区間を推定しており,FEXTR区間が受信側FEXT区間であることは明らかである。 キ争点(1)イ(キ)(本件特許権8との抵触の有無)につい x.Cにおいては,伝送遅延も考慮に入れて受信側FEXT区間を推定しており,FEXTR区間が受信側FEXT区間であることは明らかである。 キ争点(1)イ(キ)(本件特許権8との抵触の有無)について(ア) 本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは本件特許発明8-2(装置)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は本件特許発明8-1(方法)の技術的範囲に属する。 a 本件チップセットはAnnex.Cに準拠するものであるから,本件DSLAMは別紙本件製品等構成目録8記載1の構成を有する(以下,各構成をその符号に対応して「構成8a」などという。)。 b 構成要件8A(方法)及び8A(装置)について本件DSLAMは,構成8a記載のとおり,TCM-ISDNのデ ータ・ストリームによって,ノイズの影響を受け,当該環境下において送受信機(=トランシーバ)トレーニングを行う非対称ディジタル加入者線伝送を行うADSL装置であるから,本件DSLAMは,「TCM-ISDNからのノイズ環境下における電話回線をデータ通信回線として利用するADSL装置において,」(構成要件8A(装置))を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,「TCM-ISDNからのノイズ環境下におけるトランシーバトレーニングを行うディジタル加入者線伝送方法において,」(構成要件8A(方法))を充足する。 c 構成要件8B(方法)及び8B(装置)について本件DSLAMは,構成8b記載のとおり,プロファイル3によりイニシャライゼーションを行う場合,送受信機トレーニングにおいてNEXTRシンボルの中で信号を送信せず,FEXTRシンボルの中でのみ信号を送信するところ,ここで,プロファイル3とは,上り信号 よりイニシャライゼーションを行う場合,送受信機トレーニングにおいてNEXTRシンボルの中で信号を送信せず,FEXTRシンボルの中でのみ信号を送信するところ,ここで,プロファイル3とは,上り信号(ADSLモデムからDSLAMへの送信)はビットマップ-FCのみを,下り送信(DSLAMからADSLモデムへの送信)はビットマップ-FRのみを使用する動作モードのことであるから,この場合,1種類のビットマップ(ビットマップ-FR)によりトレーニングを行うことを意味する。そして,本件DSLAMは,構成8b記載のとおり,FEXTRシンボル(=すべてがFEXTR区間内のシンボル)中でのみ信号を送信するのであるから,本件DSLAMを用いた伝送方法では,「シングルビットマップでイニシャライゼーションを行う場合(=プロファイル3の場合),スライディングウィンドウのFEXT区間のみでトレーニングを行う」のであり,本件DSLAMはかかる手段を有している。 よって,本件DSLAMは,「ADSL装置のトレーニング時,ス ライディングウィンドウのFEXT区間のみ,ADSL装置の信号を送出する手段」(構成要件8A(装置))を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,「シングルビットマップでイニシャライゼーションを行う場合,スライディングウィンドウのFEXT区間のみでトレーニングを行う」を充足する。 d 構成要件8C(方法)及び8C(装置)について本件DSLAMは,「ADSL装置」であり,本件DSLAMを用いた伝送方法は,「ディジタル加入者線伝送方法」であるから,本件DSLAMは,構成要件8C(装置)を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件8C(方法)を充足する。 e 以上のとおり,本件DSLAM用チップセットないし本件DS であるから,本件DSLAMは,構成要件8C(装置)を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件8C(方法)を充足する。 e 以上のとおり,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特許発明8-2(装置)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明8-1(方法)の技術的範囲に属する。 (イ) 本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは本件特許発明8-2(装置)の技術的範囲に属し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは本件特許発明8-1(方法)の技術的範囲に属するか。 a 本件チップセットはAnnex.Cに準拠するものであるから,本件ADSLモデムは別紙本件製品等構成目録8記載2の構成を有する(以下,各構成をその符号に対応して「構成8a’ 」などという。)b 構成要件8A(方法)及び8A(装置)について本件ADSLモデムは,構成8a’記載のとおり,TCM-ISDNのデータ・ストリームによって,ノイズの影響を受け,当該環境下において送受信機(=トランシーバ)トレーニングを行う非対称ディ ジタル加入者線伝送を行うADSL装置であるから,本件ADSLモデムは,上記(ア)bと同様に,構成要件8A(装置)を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件8A(方法)を充足する。 c 構成要件8B(方法)及び8B(装置)について本件ADSLモデムは,構成8b’記載のとおり,FEXTビットマップ・モードによりイニシャライゼーションを行う場合,送受信機トレーニングにおいてNEXTCシンボルの中で信号を送信せず,FEXTCシンボルの中でのみ信号を送信するところ,ここで,FEXTビッ マップ・モードによりイニシャライゼーションを行う場合,送受信機トレーニングにおいてNEXTCシンボルの中で信号を送信せず,FEXTCシンボルの中でのみ信号を送信するところ,ここで,FEXTビットマップ・モードとは,ビットマップ-NCが無効であること,すなわち,ビットマップ-FCのみを使用して信号を送信するモードを意味する。そして,本件ADSLモデムは,構成8b’記載のとおり,FEXTCシンボル(=すべてがFEXTC区間内のシンボル)中でのみ信号を送信するのであるから,本件ADSLモデムを用いた伝送方法では,「シングルビットマップでイニシャライゼーションを行う場合(=FEXTビットマップ・モードの場合),スライディングウィンドウのFEXT区間のみでトレーニングを行う」(構成要件8B(方法)及び8B(装置))のであり,本件ADSLモデムはかかる手段を有している。 よって,本件ADSLモデムは,構成要件8B(装置)を充足し,また,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件8B(方法)を充足する。 d 構成要件8C(方法)及び8C(装置)本件ADSLモデムは,「ADSL装置」であり,本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,「ディジタル加入者線伝送方法」であるから,本件ADSLモデムは,構成要件8C(装置)を充足し,また, 本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,構成要件8C(方法)を充足する。 e 以上のとおり,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムは,本件特許発明8-2(装置)の技術的範囲に属し,また,本件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,本件特許発明8-1(方法)の技術的範囲に属する。 (ウ) まとめ本件チップセットは,本件特許権8の直接侵害品であり, 件ADSLモデム用チップセットないし本件ADSLモデムを用いた伝送方法は,本件特許発明8-1(方法)の技術的範囲に属する。 (ウ) まとめ本件チップセットは,本件特許権8の直接侵害品であり,仮に本件製品が直接侵害品であっても,本件チップセットは本件製品の生産にのみ用いる物であるから,間接侵害品である。よって,本件チップセットは,Wi-LAN社の特許権の直接侵害品ないし間接侵害品であるから,原告は本件基本契約18条1項に違反したものである。 また,本件DSLAMを使用すること,本件ADSLモデムを貸し渡す若しくは譲り渡すこと,及びこれらを用いて伝送を行うことは,本件特許権8の侵害行為となるから,この点からも,原告が本件基本契約18条1項に違反したことは明らかである。 (エ) 原告の主張に対する反論a 構成要件8B(方法)について原告は,「トレーニング」に,ノイズの状況を調べ,各周波数帯域の伝達ビット数を決める処理が含まれるところ,本件規格仕様書には,このような処理が,FEXT区間のみで行われることの記載がないと主張する。 原告の主張する処理は,Annex.CにおけるC-MEDLEY及びR-MEDLEYのことであるが,本件規格仕様書の「C.7. 6.2 C-MEDLEY(10.6.6の補足)」には,「bit map-NRが無効(FEXTビットマップ・モード)の場合,ATU-Cは,FEXTRシンボルの中でのみ信号を送信し,ATU-Rは,受信されたFEXTRシンボルからSN比を推定する。・・・プロファイル3の場合,ATU-Cは,NEXTRシンボルで信号を送信しない。」とあり,本件DSLAMにおいて,プロファイル3の場合に,上記処理がスライディングウィンドウのFEXT区間でのみ行われることが記載されている。また,本 Cは,NEXTRシンボルで信号を送信しない。」とあり,本件DSLAMにおいて,プロファイル3の場合に,上記処理がスライディングウィンドウのFEXT区間でのみ行われることが記載されている。また,本件規格仕様書の「C.7.8. 3 R-MEDLEY(10.7.8の補足)」には,「bitmap-NCが無効(FEXTビットマップ・モード)の場合,ATU-Rは,FEXTCシンボルの中でのみ信号を送信し,ATU-Cは,受信されたFEXTCシンボルからSN比を推定する。」とあり,本件ADSLモデムにおいて,FEXTビットマップ・モードの場合,上記処理がスライディングウィンドウのFEXT区間のみで行われることが記載されている。したがって,原告の主張は失当である。 b 構成要件8B(装置)について(a) 原告は,本件規格仕様書上,DSLAM(ATU-C)において,C-PILOTn及びC-QUIENTnの区間にNEXTRシンボルを送信しないとは記載されていないと主張する。 しかし,本件規格仕様書の「C.7.4.1 C-PILOT1(10.4.2の補足)」には,本件DSLAMがC-PILOT1においてパイロットトーンとしてTTR表示信号を送信することが記載されており,また,「C.7.6 チャンネル分析(ATU-C)(10.6の補足)」のには,「C.3.4で定義されたプロファイルを使用しないモデム,およびプロファイル1,2,4,5,6を使用するモデムの場合,ATU-Cは,パイロット・トーンを除き,NEXTRシンボルを送信しない。プロファイル3の場 合,ATU-Cは,NEXTRシンボルで信号を送信しない。・・・C.3.4で定義されたプロファイルを使用しないモデム,およびプロファイル1を使用するモデムの場合,bitmap-NRが無効(FEX 合,ATU-Cは,NEXTRシンボルで信号を送信しない。・・・C.3.4で定義されたプロファイルを使用しないモデム,およびプロファイル1を使用するモデムの場合,bitmap-NRが無効(FEXTビットマップ・モード)のとき,ATU-Cは,パイロット・トーンを除き,NEXTRシンボルを送信しない。プロファイル3の場合,ATU-Cは,NEXTRシンボルで信号を送信しない。」との記載があるから,本件DSLAMは,プロファイル3によりイニシャライゼーションを行う場合,C-PILOT1においてもパイロットトーンをNEXTRシンボルで送信しない。 また,本件規格仕様書の「C.7.4.1 C-PILOT1(10.4.2の補足)」には,プロファイル3の場合,TTR表示信号は,連続するFEXTRシンボルの最初と最後のシンボルと,連続するFEXTRシンボルの他のシンボルで送信することが記載されていることから,本件DSLAMは,プロファイル3によりイニシャライゼーションを行う場合,C-PILOT1においてもTTR表示信号をNEXTRシンボルで送信しない。 さらに,本件規格仕様書の「C.7.4.2 C-PILOT1A(10.4.3の補足)には,「C-PILOT1Aには,2つの信号があり,C-PILOT1で送信される信号と同じである(C.7.4.1を参照)。」との記載があるから,本件DSLAMは,プロファイル3によりイニシャライゼーションを行う場合,C-PILOT1Aにおいてもパイロットトーン及びTTR表示信号をNEXTRシンボルで送信しない。 加えて,本件規格仕様書の「C.7.1 ハイパーフレームによるイニシャライゼーション(10.1.5の差し替え)」には, 「C.3.4で定義されたプロファイルを使用しないモデム,およびプロファイル 本件規格仕様書の「C.7.1 ハイパーフレームによるイニシャライゼーション(10.1.5の差し替え)」には, 「C.3.4で定義されたプロファイルを使用しないモデム,およびプロファイル1を使用するモデムの場合,次の場合を除き,ATU-Cは,NEXTR信号としてパイロット・トーンのみを送信する。・・・C-QUIETn。この間,信号は送信されない。」との表記に続き,「プロファイル3の場合,ATU-Cは,NEXTRシンボルの中で信号を送信しない。」と記載されているから,本件DSLAMは,プロファイル3によりイニシャライゼーションを行う場合,C-QUIETnにおいても信号をNEXTRシンボルで送信しない。 したがって,本件規格仕様書上,DSLAM(ATU-C)において,C-PILOTn及びC-QUIETnの区間にNEXTRシンボルを送信しないことが明記されている。 (b) 原告は,本件規格仕様書上,ADSLモデム(ATU-R)において,R-QUIETnの区間にNEXTCシンボルを送信するか否かは記載されていないと主張する。 しかし,本件規格仕様書の「C.7.5 送受信機トレーニング-ATU-R(10.5の補足)」には,NEXTCシンボルを送信するとは記載されておらず,一方で,「C.7.1 ハイパーフレームによるイニシャライゼーション(10.1.5の差し替え)」には,「FEXTビットマップ・モードでは,ATU-Rは,NEXTCシンボル区間の間,信号を送信しない。」と記載されているから,R-QUIETnを含めてNEXTCシンボルを送信しないことは明らかである。 c オプションの構成について原告は,DSLAMにおいてプロファイル3の構成を選択するか,また,ADSLモデムにおいてビットマップ-NCを無効とする構成 しないことは明らかである。 c オプションの構成について原告は,DSLAMにおいてプロファイル3の構成を選択するか,また,ADSLモデムにおいてビットマップ-NCを無効とする構成 を採用するかは任意であるとするが,これらの構成を選択ないし採用していないとすれば,平成23年当時に,イカノス社及び原告においてその旨が指摘されていたはずである。そうすると,これらの指摘がなされていない以上,本件チップセットにおいてプロファイル3の構成を選択し,ビットマップ-NCを無効とする構成を採用していたことは明らかである。 ク争点(1)イ(ク)(本件特許権5との抵触の有無)について(ア) 本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は本件特許発明5の技術的範囲に属する。 a 本件チップセットはAnnex.Cに準拠するものであるから,本件DSLAMは別紙本件製品等構成目録5記載の構成を有する(以下,各構成をその符号に対応して「構成5a」などという。)b 構成要件5A(方法)について本件DSLAMは,構成5a記載のとおり,TCM方式を採用したISDNのデータ・ストリームのためにNEXTノイズ及びFEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用してADSL方式により通信(高速データ通信)を行うから,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件5A(方法)の「ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を高速データ通信回線として利用」した「ディジタル加入者線伝送方法」に該当する。 また,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成5a記載のとおり,DMTシンボル69個を1つのスーパーフレームとし,このスーパーフレーム5個をハイパーフレーム(=「1つの単位」)とし,TTRクロック(=2.5ms)(=「400 伝送方法は,構成5a記載のとおり,DMTシンボル69個を1つのスーパーフレームとし,このスーパーフレーム5個をハイパーフレーム(=「1つの単位」)とし,TTRクロック(=2.5ms)(=「400Hz(2.5ms)」)の34倍(=「整数倍」)と合わせて,246μsの1DMTシンボルで伝送している(別紙【図12】参照)。 よって,本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件5A(方法)を充足する。 c 構成要件5B(方法)について構成要件5B(方法)において,400Hzの34周期と,345DMTシンボルが一致している場合,1DMTシンボルは272(=2760×34÷345)サンプルとなる。そして,「400Hz1周期のサンプル数である2760サンプルにおけるN個目のシンボルの先頭を示すサンプル値」は,1個目のシンボルの先頭を示すサンプル値を「0」とした場合,「272×(N-1)」で表される。ただし,12番目以降のDMTシンボルについて,「272×(N-1)」で計算されるサンプルの値が,400Hz1周期のサンプル数である2760を超えてしまうことに鑑みると,「400Hz1周期のサンプル数である2760サンプルにおけるN個目のシンボルの先頭を示すサンプル値」は,「272×(N-1)」を2760で除した余り(整数)とすべきであり,これを計算式で表すと「272×(N-1)mod2760」(=Sとする。)となる。 そして,「加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にシンボル全てが入る」とは,DMTシンボルの後尾のサンプルの値がaよりも小さいことであるから,「S+271<a」で表される。また,「N個目のシンボルの先頭を示すサンプルの値が,・・・FEXT区間を示すサンプルの値(a)と加入者側NEXT区間を示すサンプル値の(b りも小さいことであるから,「S+271<a」で表される。また,「N個目のシンボルの先頭を示すサンプルの値が,・・・FEXT区間を示すサンプルの値(a)と加入者側NEXT区間を示すサンプル値の(b)を加算したサンプル値を超えた場合」とは,式「S>a+b」で表される。したがって,構成要件5B(方法)の「400Hz1周期のサンプル数である2760サンプルにおけるN個目のシンボルの先頭を示すサンプルの値が,加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にシンボル全てが入るシンボルの先頭を示すサンプルの 値より小さい,又はFEXT区間を示すサンプルの値(a)と加入者側NEXT区間を示すサンプル値の(b)を加算したサンプル値を超えた場合,そのN番目のシンボルがFEXTの区間に該当」とは,「S+271<a」又は「S>a+b」を充足する場合に,N番目のシンボルがFEXT区間に該当することを意味する。 また,「該2760サンプル中のN個目のシンボルの先頭を示すサンプル値が,加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にサンプルのシンボル全てが入るシンボルの先頭を示すサンプル値以上」は,「S+271≧a」で表され,「該2760サンプル中のN個目のシンボルの先頭を示すサンプル値が,・・・FEXT区間を示すサンプル値(a)と加入者側NEXT区間を示すサンプル値(b)を加算したサンプル値以下」とは,式「S≦a+b」で表される。よって,構成要件5B(方法)の「該2760サンプル中のN個目のシンボルの先頭を示すサンプル値が,加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にサンプルのシンボル全てが入るシンボルの先頭を示すサンプル値以上でFEXT区間を示すサンプル値(a)と加入者側NEXT区間を示すサンプル値(b)を加算したサンプル値以下なら,そのN番 値(a)内にサンプルのシンボル全てが入るシンボルの先頭を示すサンプル値以上でFEXT区間を示すサンプル値(a)と加入者側NEXT区間を示すサンプル値(b)を加算したサンプル値以下なら,そのN番目のシンボルがNEXTの区間に該当する」とは,「S+271<a」又は「S>a+b」を充足する場合以外の場合を意味する。 これに対し,本件DSLAMは,構成5b記載のとおり,ハイパーフレームの先頭のDMTシンボル(Ndmt=0)は,TTRの先頭,すなわち400Hzの先頭に同期している。また,Ndmtには,0から344までの番号が振られており,DMTシンボルの順序(番目)はNdmt+1で表されるから,本件DSLAMの「S=272×Ndmtmod2760」は,構成要件5B(方法)の「400Hz1周期のサンプル数である2760サンプルにおけるN個目のシンボルの先 頭を示すサンプル値」に当たる。 また,構成5bの「if{(S+271<a)or(S>a+b)}」は,Ndmt番目のDMTシンボルがFEXTR区間であることを本件DSLAMにおいて識別するための式であり,「a」及び「b」は,それぞれFEXTR区間及びNEXTR区間を示すサンプル値であるから,構成要件5B(方法)の「400Hz1周期のサンプル数である2760サンプルにおけるN個目のシンボルの先頭を示すサンプルの値が,加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にシンボル全てが入るシンボルの先頭を示すサンプルの値より小さい,又はFEXT区間を示すサンプルの値(a)と加入者側NEXT区間を示すサンプル値の(b)を加算したサンプル値を超えた場合,そのN番目のシンボルがFEXTの区間に該当」に当たる。 さらに,本件DSLAMでは,構成5b記載のとおり,「if{(S+271<a)or(S すサンプル値の(b)を加算したサンプル値を超えた場合,そのN番目のシンボルがFEXTの区間に該当」に当たる。 さらに,本件DSLAMでは,構成5b記載のとおり,「if{(S+271<a)or(S>a+b)}」以外は,NEXTR区間(ADSLモデムにおけるNEXT区間のこと)と識別するから,構成要件5B(方法)の「該2760サンプル中のN個目のシンボルの先頭を示すサンプル値が,加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にサンプルのシンボル全てが入るシンボルの先頭を示すサンプル値以上でFEXT区間を示すサンプル値(a)と加入者側NEXT区間を示すサンプル値(b)を加算したサンプル値以下なら,そのN番目のシンボルがNEXTの区間に該当することを識別する」に該当する。 したがって,本件DSLAMを伝送方法は,構成要件5B(方法)を充足する。 d 構成要件5C(方法)について本件DSLAMを用いた伝送方法は,「ディジタル加入者線伝送方 法」であるから,構成要件5C(方法)を充足する。 e 以上のとおり,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明5の技術的範囲に属する。 (イ) まとめしたがって,本件DSLAM用チップセットを用いた伝送方法は,本件特許権5の侵害行為となり,本件DSLAMチップセットは当該伝送方法にのみ用いる物であるから,間接侵害品である。よって,本件DSLAM用チップセットは,Wi-LAN社の特許権の間接侵害品であるから,原告は本件基本契約18条1項に違反したものである。 また,本件DSLAM用チップセットや本件DSLAMを使用することは,本件特許権5の侵害行為となるから,この点からも,原告が本件基本契約18条1項に違反したことは明らかである。 (ウ) 原告 。 また,本件DSLAM用チップセットや本件DSLAMを使用することは,本件特許権5の侵害行為となるから,この点からも,原告が本件基本契約18条1項に違反したことは明らかである。 (ウ) 原告の主張に対する反論a 構成要件5B「400Hz1周期のサンプル数である2760サンプル」について原告は,本件規格仕様書では,400Hz1周期当たりのサンプル数が5520サンプルであると主張する。しかし,原告の指摘するサンプル数は,あくまで下り用のDMTシンボルのサンプル数であり,400Hz1周期のサンプル数を示したものではない。 b 構成要件5B「加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にシンボルすべてが入るシンボル」について原告は,本件規格仕様書には,「加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にシンボルすべてが入るシンボル」が,具体的にどのシンボルであるのかについて記載がないと主張する。しかし,本件規格仕様書には,下記の式とともに別紙【図13】が参照されており,図の2本の破線のうち,左側のものがサンプル値(a),左側の破線から右側の 破線までがサンプル値(b)に当たるから,「加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にシンボルすべてが入るシンボル」が具体的にどのシンボルであるかが明記されているといえる。 thenFEXTR シンボルthenNEXTR シンボルケ争点(1)イ(ケ)(本件特許権6との抵触の有無)について(ア) 本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特許発明6-2(装置)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセット,ないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明6-1(方法)の技術的範囲に属する。 a 本件チップセットはAnnex.Cに準拠する の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセット,ないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明6-1(方法)の技術的範囲に属する。 a 本件チップセットはAnnex.Cに準拠するものであるから,本件DSLAMは別紙本件製品等構成目録6記載の構成を有する(以下,各構成をその符号に対応して「構成6a」などという。)。 b 構成要件6A(方法)及び6A(装置)について本件DSLAMは,構成6a記載のとおり,TCM方式を採用したISDNのデータ・ストリームのためにNEXTノイズ及びFEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用してADSL方式により通信(高速データ通信)を行い送信するxDSL装置であるから,「ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を高速データ通信回線として利用」してデータ通信を行うxDSL装置に該当する。 したがって,本件DSLAMは,「ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける電話回線を高速データ通信回線として利用してデータ通信を行うxDSL装置において,」(構成要件6A(装置))を 充足し,また,本件DSLAMを利用した伝送方法は,「ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける電話回線を高速データ通信回線として利用してデータ通信を行うディジタル加入者線伝送方法において,」(構成要件6A(方法))を充足する。 c 構成要件6B(方法)及び6B(装置)について構成要件6B(方法)及び6B(装置)の「FEXT区間のみデータ送信する方式でのスライディング・ウインドの外側のシンボル」とは,受信側がNEXT区間で受信されるシンボルのことを意味するから,構成要件6B(方法)及び6B(装置)は,FEXT区間のみデータ伝送をする方式で,受信側がNEXT区間で受信されるシンボルとし とは,受信側がNEXT区間で受信されるシンボルのことを意味するから,構成要件6B(方法)及び6B(装置)は,FEXT区間のみデータ伝送をする方式で,受信側がNEXT区間で受信されるシンボルとして,パイロット・トーンを送信するとの構成要件である。 これに対して,本件DSLAMは,構成6b記載のとおり,ビットマップ-NRが無効(FEXTビットマップ・モード)の場合,NEXTRシンボルとしてパイロット・トーンを送信するところ,ビットマップ-NRが無効であるから,FEXTビットマップ・モードとは,ビットマップ・モード-FRのみを使用して信号を送信することを意味する。そして,ビットマップ-FRは,FEXTRシンボルを送信する際に使用されるビットマップであり,FEXTRシンボルは,すべてがFEXTR区間内のシンボルであるから,FEXTビットマップ・モードとは,受信側であるADSLモデムがFEXT区間で受信されるようにデータ伝送をする方式を意味する。また,本件DSLAMでは,受信側であるADSLモデムがFEXT区間で受信されるようにデータ伝送をする方式で,NEXTRシンボル,すなわち,受信側であるADSLモデムがNEXT区間で受信されるシンボルとして,パイロット・トーンを送信している。 したがって,本件DSLAMは,構成要件6B(装置)を充足し, 本件DSLAMを用いた伝送方法は,構成要件6B(方法)を充足する。 d 構成要件6C(方法)及び6C(装置)について本件DSLAMは,「xDSL装置」であり,本件DSLAMを用いた伝送方法は,「ディジタル加入者線伝送方法」であるから,本件DSLAMは構成要件6C(装置)を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は構成要件6C(方法)を充足する。 e 以上のとおり,本件DSLA は,「ディジタル加入者線伝送方法」であるから,本件DSLAMは構成要件6C(装置)を充足し,また,本件DSLAMを用いた伝送方法は構成要件6C(方法)を充足する。 e 以上のとおり,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMは,本件特許発明6-2(装置)の技術的範囲に属し,また,本件DSLAM用チップセットないし本件DSLAMを使用した伝送方法は,本件特許発明6-1(方法)の技術的範囲に属する。 (イ) まとめしたがって,本件DSLAM用チップセットは,本件特許権6の直接侵害品であり,仮に本件DSLAMが直接侵害品であっても,本件DSLAM用チップセットは本件DSLAMの生産にのみ用いる物であるから,間接侵害品である。よって,本件DSLAM用チップセットは,Wi-LAN社の特許権の直接侵害品ないし間接侵害品であるから,原告は本件基本契約18条1項に違反したものである。 また,本件DSLAMを使用すること,及びこれらを用いて伝送を行うことは,本件特許権6の侵害行為となるから,この点からも,原告が本件基本契約18条1項に違反したことは明らかである。 (ウ) 原告の主張に対する反論原告は,「FEXT区間のみデータ送信する方式でのスライディング・ウィンドの外側のシンボル」について,プロファイルを使用しないモデム,及びプロファイル1を使用するモデムについてのみ,NEXTRシンボルとしてパイロット・トーンのみを送信することが記載されて いるが,プロファイルの選択は任意であると主張する。しかし,プロファイルを使用しないものではなく,かつ,プロファイル1を選択していないのであれば,平成23年当時に,イカノス社及び原告においてその旨が指摘されていたはずである。そうすると,これらの指摘がなされていない以上,少なくとも本件チ なく,かつ,プロファイル1を選択していないのであれば,平成23年当時に,イカノス社及び原告においてその旨が指摘されていたはずである。そうすると,これらの指摘がなされていない以上,少なくとも本件チップセットにおいて,プロファイル1の構成を選択していたことは明らかである。 コ間接侵害についての原告主張に対する反論原告は,本件チップセットがAnnex.Cに準拠しているとしても,本件チップセットはAnnex.C以外の規格にも対応しているから,本件製品は,特許法101条1号及び4号の「その方法の使用にのみ用いる物」ではないと主張する。 しかし,特許発明に係る方法の使用に用いる物に,当該特許発明を実施しない使用方法自体が存する場合であっても,当該特許発明を実施しない機能のみを使用し続けながら,当該特許発明を実施する機能は全く使用しないという使用形態が,その物の経済的,商業的又は実用的な使用形態として認められない限り,その物を製造,販売等することによって侵害行為が誘発される蓋然性が極めて高いことに変わりはないというべきであるから,なお「その方法の使用にのみ用いる物」に当たると解されるところ,Annex.CはISDN環境下における規格であり,日本におけるISDNのエリアカバー率は平成14年の段階で約97%であって,本件製品において,Annex.Cに準拠した通信を全く使用しないという使用形態は想定されていないことからすれば,本件製品は「その方法の使用にのみ用いる物」に該当するというべきである。 (原告の主張)ア争点(1)イ(ア)(本件特許権2との抵触の有無)について(ア) 被告は,本件規格仕様書の記載を根拠として,本件特許権2との抵 触を主張する。しかし,本件規格仕様書には,少なくとも,①「SuperFrameの境界を との抵触の有無)について(ア) 被告は,本件規格仕様書の記載を根拠として,本件特許権2との抵 触を主張する。しかし,本件規格仕様書には,少なくとも,①「SuperFrameの境界を示すSyncSymbolを送信する」こと(構成要件2A(方法1),2A(装置1),2A(方法2)及び2A(装置2)),②「4番目のSyncSymbolをインバースSyncSymbolとして,加入者側のFEXT区間に送信する」「1番目のSyncSymbolをインバースSyncSymbolとして,局側のFEXT区間に送信する」こと(構成要件2C(方法1),2C(装置1),2C(方法2)及び2C(装置2)。)が記載されておらず,これらの構成がAnnex.Cに準拠する場合に必須となる構成であることは示されていない。 (イ) シンクシンボルとスーパーフレームの境界について被告は,「DSLAMは,スーパーフレームを構成するDMTシンボルの最後のDMTシンボルにおいて,スーパーフレームの境界を示すシンクシンボルを送信する」,「ADSLモデムは,スーパーフレームを構成するDMTシンボルの最後のDMTシンボルには,スーパーフレームの境界を示すシンクシンボルを送信する」などと主張するが,本件規格仕様書には,一部のスーパーフレーム内にシンクシンボルと呼ばれるシンボルが設けられていることは開示されているものの,当該シンクシンボルがスーパーフレームの境界を示しているかどうかについては何ら記載がない。 (ウ) インバースシンクシンボルについて被告は,「DSLAMでは,ハイパーフレームの境界を示すため,4番目のスーパーフレームにインバースシンクシンボルを使用し」,「ADSLモデムは,ハイパーフレームの境界を示すため,1番目のスーパーフレームにインバ LAMでは,ハイパーフレームの境界を示すため,4番目のスーパーフレームにインバースシンクシンボルを使用し」,「ADSLモデムは,ハイパーフレームの境界を示すため,1番目のスーパーフレームにインバースシンクシンボルを使用し」などと主張するが,構成要件2C(装置1)及び2C(方法1)は,4番目のSyncS ymbolをインバースSyncSymbolとする旨規定しているのであって,4番目のスーパーフレームにインバースシンクシンボルを使用することを規定しているものではない。また,本件規格仕様書には,インバースSyncSymbolが用いられることは記載されているものの,それが4番目のSyncSymbolであるかについては何ら記載がない。同様に,構成要件2C(装置2)及び2C(方法2)は,1番目のSyncSymbolをインバースSyncSymbolとする旨規定しているのであって,1番目のスーパーフレームにインバースシンクシンボルを使用することを規定しているものではないし,本件規格仕様書には,インバースSyncSymbolが用いられることは記載されているもののそれが1番目のSyncSymbolであるかについては何ら記載がない。 イ争点(1)イ(イ)(本件特許権3との抵触の有無)について(ア) 被告は,本件規格仕様書の記載を根拠として,本件特許権3との抵触を主張する。しかし,本件規格仕様書には,少なくとも,①通信を行うためのトレーニング中に,受信したDMTシンボルを測定対象外とし,S/N測定を行うこと(構成要件3B(方法)及び3B(装置)。以下「構成要件3B等」という。),②受信したDMTシンボルが,NEXT区間もしくはFEXT区間に完全に入りきらないDMTシンボルをS/N測定対象外とすること(構成要件3B等)が 及び3B(装置)。以下「構成要件3B等」という。),②受信したDMTシンボルが,NEXT区間もしくはFEXT区間に完全に入りきらないDMTシンボルをS/N測定対象外とすること(構成要件3B等)が記載されておらず,これらの構成がAnnex.Cに準拠する場合に必須となる構成であることは示されていない。 (イ) 通信を行うためのトレーニング中における処理について本件規格仕様書の「C.7.4 送受信機トレーニング ATU-C(10.4の補足)」には,「C-PILOTnおよびC-QUIENTnを除き,C-REVERB1からC-SEGUE1への送受信機ト レーニングの間,bitmap-NRが有効(デュアルビットマップ・モード)の場合,ATU-Cは,FEXTRとNEXTRの両方のシンボルを送信する。」との記載があることから,Annex.Cの規格上,DSLAMにおけるトレーニング期間は,C-REVERB1からC-SEGUE1の区間である。一方で,本件規格仕様書の「C.7.6. 2 C-MEDLEY(10.6.6の補足)」の記載によれば,SN比の推定に用いるDMTシンボルの決定処理及びSN比の推定処理は,C-SEGUE1の後の区間であるC-MEDLEYの区間において行われる。また,ADSLモデムの動作に関しても,本件規格仕様書の「C.7.5 送受信機トレーニング ATU-R(10.5の補足)」には,「R-QUIENTnを除き,R-REVERB1からR-SEGUE1への送受信機トレーニングの間,bitmap-NCが有効(デュアルビットマップ・モード)の場合,ATU-Rは,FEXTCとNEXTCの両方のシンボルを送信し,」との記載があることから,Annex.Cの規格上,ADSLモデムにおけるトレーニング期間は,R-REVERB1からR- ード)の場合,ATU-Rは,FEXTCとNEXTCの両方のシンボルを送信し,」との記載があることから,Annex.Cの規格上,ADSLモデムにおけるトレーニング期間は,R-REVERB1からR-SEGUE1の区間である。一方で,本件規格仕様書には,SN比の推定に用いるDMTシンボルの決定処理及びSN比の推定処理は,R-SEGUE1の後の区間であるR-MEDLEYの区間において行われると記載されている。 よって,本件規格仕様書には,通信を行うためのトレーニング中に,受信したDMTシンボルを測定対象外とし,S/N測定を行うことが記載されていない。 (ウ) S/N測定対象外とするDMTシンボルについて構成要件3B等では,「受信したDMTシンボルが,NEXT(近端漏話)区間もしくはFEXT区間(遠端漏話)に完全に入らないDMTシンボルをS/N測定対象外とし」と規定されているところ,本件規格 仕様書には,FEXT区間のS/N推定のためのシンボルであるが,その一部がNEXT区間に含まれるもの(本件規格仕様書の「図C.19/G.992.1-S/N推定のためのハイパーフレーム内のシンボルパターン-下り」の10,71,81,142,213及び284番のDMTシンボル。),及びNEXT区間のS/N推定のためのシンボルであるが,その一部がFEXT区間に含まれるもの(本件規格仕様書の「図C.20/G.992.1-S/N推定のためのハイパーフレーム内のシンボルパターン-上り」の76,147,218及び289番のDMTシンボル。)が記載されている。 ウ争点(1)イ(ウ)(本件特許権4との抵触の有無)について(ア) 被告は,本件規格仕様書の記載を根拠として,本件特許権4との抵触を主張する。しかし,本件規格仕様書には,少なくとも,①スライデ ウ争点(1)イ(ウ)(本件特許権4との抵触の有無)について(ア) 被告は,本件規格仕様書の記載を根拠として,本件特許権4との抵触を主張する。しかし,本件規格仕様書には,少なくとも,①スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を相手方へ通知するシンボルとして,4値QAM信号点が90°異なるシンボルを伝送すること(構成要件4B(方法1),4H(方法3)及び4H(装置3)。以下「構成要件4B等」という。),及び90°異なる位相差を持つ2種類の信号点を用いて,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を検出すること(構成要件4E(方法2),4N(方法4),4N(装置4)。以下「構成要件4E等」という。)が記載されていない。また,②4値QAM信号点が90°異なるシンボルを用いて,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を通知ないし検出することはオプションの構成であるから,これらの構成がAnnex. Cに準拠する場合に必須となる構成であることは示されていない。 (イ) 構成要件4B等及び構成要件4E等について被告は,本件規格仕様書に記載のA24信号及びA48信号が,トレーニングシーケンスC-Pilot1の際に送受信されるものであり, 構成要件4B等及び構成要件4E等のDMTシンボルに該当する旨主張する。しかし,本件規格仕様書の「C.7.4.1 C-PILOT1(10.4.2の補足)」には,「2番目の信号は,NEXTR/FEXTR情報の送信に使用されるTTR表示信号である。ATU-Rは,この信号からTTRCの位相情報を検出することができる」との記載があり,TTR信号としてA24信号及びA48信号が定められているものの,当該A24信号及びA48信号が,C-Pilot1の区間内でどのように送受信さ RCの位相情報を検出することができる」との記載があり,TTR信号としてA24信号及びA48信号が定められているものの,当該A24信号及びA48信号が,C-Pilot1の区間内でどのように送受信されるのか(当該区間のどのタイミングで送受信されるのか)については何ら記載がない。また,本件規格仕様書によれば,TTRC(ATU-C(DSLAM)で使用されるタイミング基準)の位相情報とスライディングウィンドウのNEXT区間/FEXT区間とは一致していない。 したがって,上記被告の主張は失当である。 (ウ) オプションの構成であること仮に,A24信号及びA48信号が,構成要件4B等及び構成要件4E等のDMTシンボルに該当するとしても,A24信号又はA48信号を送受信する構成はオプションにすぎない。本件規格仕様書には,動作モードとして,プロファイル1~6が定義されており,このうち,プロファイル3が設定される場合,TTR表示信号としては,B48信号,B24信号,C-REVERB6-31のいずれかから選択されるが,これらの信号がスライディングウィンドウのNEXT区間/FEXT区間を通知,検出するためのシンボルであるとの記載はない。そして,Annex.Cの規格上,プロファイルの選択は任意であるから,上記プロファイル3の構成が観念できる以上,A24信号及びA48信号の構成はAnnex.Cに必須の構成ではない。 エ争点(1)イ(エ)(本件特許権1との抵触の有無)について (ア) 被告は,本件規格仕様書の記載を根拠として,本件特許権1との抵触を主張する。しかし,本件規格仕様書には,少なくとも,①「400Hz位相情報により,受信したDMTシンボルがFEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを判定する」こと(構成要件1B(方法1),1B(装 を主張する。しかし,本件規格仕様書には,少なくとも,①「400Hz位相情報により,受信したDMTシンボルがFEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを判定する」こと(構成要件1B(方法1),1B(装置1),1H(方法2),1H(装置2)。以下「構成要件1B等」という。),②「受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出する」こと(構成要件1C(方法1),1C(装置1),1I(方法2),1I(装置2)。 以下「構成要件1C等」という。)が記載されておらず,これらの構成がAnnex.Cに準拠する場合に必須となる構成であることは示されていない。 (イ) 構成要件1B等について被告の主張は,本件規格仕様書記載の計算式(構成1b,1h,1b’,及び1h’に記載の各計算式。)に基づくものと解されるが,同計算式は,フレームカウンターの値であるNDMTからシンボルの値がFEXTとNEXTのいずれかであるかを決定するものではあるが,NDMTは単なるカウンタ値であって,位相を示すものではないから,「ISDNの400Hz位相情報」ではないし,「局側から伝送された400Hz位相情報」でもない。また,構成要件1B等は,「FEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを判定する」ことを規定しているところ,同計算式は,FEXT区間とNEXT区間のいずれかを判定するものであり,「それ以外かを判定する」ものではない。 (ウ) 構成要件1C等について構成要件1C等の構成が本件規格仕様書で開示されていないことは,被告も認めている。被告は,イカノス社が本件特許権1に係る発明を実施していないことを指摘していないことを理由に,構成要件1C等に記 載の方法でSN比を算出している旨主張するが,明らかに失当である。 また,被告は,S イカノス社が本件特許権1に係る発明を実施していないことを指摘していないことを理由に,構成要件1C等に記 載の方法でSN比を算出している旨主張するが,明らかに失当である。 また,被告は,SN比の算出に当たって,送信信号と受信信号との差を積分して算出することは一般的であるなどと主張するが,SN比とは受信信号と雑音との比であって,送信信号と受信信号との差(雑音)を積分したものではないし,他の方法によりSN比を算出することも開示されている(甲44~46)。 オ争点(1)イ(オ)(本件特許権9との抵触の有無)について(ア) 被告は,本件規格仕様書の記載を根拠として,本件特許権9との抵触を主張する。しかし,本件規格仕様書には,少なくとも,①局側装置(ATU-C),加入者側装置(ATU-R)がそれぞれ独立したハイパーフレームカウンタ(501)を有」すること(構成要件9B),②「スライディングウインドウDEC(503)によりスライディングウインドウのFEXTR,NEXTR,FEXTC,NEXTCの区間の特定を行う」こと(構成要件9C)が記載されていない。 (イ) 構成要件9Bについて本件規格仕様書上,DSLAM(ATU-C)とADSLモデム(ATU-R)のカウンタは,ATU-CとATU-Rの間のハイパーフレームのアラインメントを維持するために,互いに同じ値を持つように制御されており,それぞれが独立したものではない。 (ウ) 構成要件9Cについて本件規格仕様書の「C.7.4.1 C-PILOT1(10.4. 2の補足)」及び「C.7.5.2 R-REVERB1(10.5. 2の補足)」には,「スライディング・ウインドウ機能とこのカウンタに従って,ATU-Cは,FEXTRまたはNEXTRのいずれかのシンボルで,後続のシンボルを全て .2 R-REVERB1(10.5. 2の補足)」には,「スライディング・ウインドウ機能とこのカウンタに従って,ATU-Cは,FEXTRまたはNEXTRのいずれかのシンボルで,後続のシンボルを全て送信することを決定する。」,「スライディング・ウインドウとこのカウンタに従って,ATU-Rは,FE XTCまたはNEXTCのいずれかのシンボルで,後続のシンボルを全て送信することを決定する。」と規定されている。ここで,DSLAM(ATU-C)とADSLモデム(ATU-R)は,互いに独立した別個の装置であり,「スライディングウインドウDEC(503)」に相当する構成があるとすれば,それは,DSLAM(ATU-C)とADSLモデム(ATU-R)の各々に備えられていることとなる。そして,本件規格仕様書では,DSLAM(ATU-C)は,FEXTR又はNEXTRのいずれかを決定することが記載されているものの,FEXTR,NEXTR,FEXTC,NEXTCの区間の特定を行うことは何ら示されていない。同様に,本件規格仕様書では,ADSLモデム(ATU-R)は,FEXTc又はNEXTCのいずれかを決定することが記載されているものの,FEXTR,NEXTR,FEXTC,NEXTCの区間の特定を行うことは何ら示されていない。 カ争点(1)イ(カ)(本件特許権7との抵触の有無)について(ア) 被告は,本件規格仕様書の記載を根拠として,本件特許権7との抵触を主張する。しかし,本件規格仕様書には,少なくとも「受信側がFEXT区間内で受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニングシーケンスの切り替えを示す」信号またはシンボルを送信すること(構成要件7B(方法1~3)及び7B(装置1~3)。以下「構成要件7B等」という。)が記載されておらず,こ グで,送信側からトレーニングシーケンスの切り替えを示す」信号またはシンボルを送信すること(構成要件7B(方法1~3)及び7B(装置1~3)。以下「構成要件7B等」という。)が記載されておらず,この構成がAnnex. Cに準拠する場合に必須となる構成であることは示されていない。 (イ) 被告は,「本件DSLAMは,受信側であるADSLモデムがFEXT区間に受信できるようなタイミングで,トレーニングシーケンスC-RATES1の切り替えを示す信号であるC-SEGUE1の最初のシンボルを送信している。」と主張するが,上記イで述べたとおり,トレーニング区間は,C-REVERB1からC-SEGUE1までの区 間であり,それ以後の区間であるC-RATES1はトレーニングシーケンスではない。 また,本件規格仕様書において,FEXTR区間は「ATU-Cによって推定されるATU-RにおけるTCM-ISDNFEXT区間」と記載されており,あくまで推定される区間であって,受信側のFEXT区間と同一ではなく,DSLAMとADSLモデム間の信号の伝達遅延により,DSLAM(ATU-C)が送信するタイミングとADSLモデム(ATU-R)が受信するタイミングも同一ではないから,本件規格仕様書には,FEXTR区間内が「受信側がFEXT区間内で受信できるようなタイミング」であることについて何ら記載がない。 キ争点(1)イ(キ)(本件特許権8との抵触の有無)について(ア) 被告は,本件規格仕様書の記載を根拠として,本件特許権8との抵触を主張する。しかし,本件規格仕様書には,少なくとも,①「スライディングウィンドウのFEXT区間のみでトレーニングを行うこと」(構成要件8B(方法)),②「ADSL装置のトレーニング時,スライディングウィンドウのFEX 件規格仕様書には,少なくとも,①「スライディングウィンドウのFEXT区間のみでトレーニングを行うこと」(構成要件8B(方法)),②「ADSL装置のトレーニング時,スライディングウィンドウのFEXT区間のみ,ADSL装置の信号を送出する」こと(構成要件8B(装置))が記載されておらず,③仮に記載があったとしても,それはオプションの構成であるから,これらの構成がAnnex.Cに準拠する場合に必須となる構成であることは示されていない。 (イ) 構成要件8B(方法)について被告は,「8b 本件DSLAMは,プロファイル3によりイニシャライゼーションを行う場合,送受信機トレーニングにおいてNEXTRシンボルの中で信号を送信せず,FEXTRシンボルの中でのみ信号を送信する」,「8b’本件ADSLモデムは,FEXTビットマップ・モードでイニシャライゼーションを行う場合,送受信機トレーニングに おいてNEXTCシンボルの中で信号を送信せず,FEXTCシンボルの中でのみ信号を送信する」と主張する。しかし,「トレーニング」とは,「ADSLの伝送に使う多数の周波数帯域(これをビンと呼ぶ)ごとにノイズの状況などを調べ,そのビンで伝送するビット数を決める」ことを意味するところ,単に信号(シンボル)を送信するという処理のみならず,ノイズの状況を調べ,各周波数帯域の伝送ビット数を決める処理も含まれるから,「FEXTRシンボルの中でのみ信号を送信する」,「FEXTCシンボルの中でのみ信号を送信する」だけでは,「FEXT区間のみでトレーニングを行う」ことには当たらない。そして,本件規格仕様書には,上述したトレーニングがスライディングウィンドウのFEXT区間のみで行われることについての記載はない。 (ウ) 構成要件8B(装置)について本件規格 には当たらない。そして,本件規格仕様書には,上述したトレーニングがスライディングウィンドウのFEXT区間のみで行われることについての記載はない。 (ウ) 構成要件8B(装置)について本件規格仕様書上,DSLAM(ATU-C)では,C-PILOTn及びC-QUIETnの区間においてNEXTRシンボルを送信しないとは記載されておらず,同様に,ADSLモデム(ATU-R)では,R-QUIETnの区間においてNEXTCシンボルを送信するか否かは記載されていない。トレーニング区間であるC-PILOTn,C-QUIETn及びR-QUIETnの区間に,FEXTRシンボルにおいて信号を送信することは否定されていないのであるから,本件規格仕様書に,「ADSL装置のトレーニング時,スライディングウィンドウのFEXT区間のみ,ADSL装置の信号を送出する」ことは記載されていない。 (エ) オプションの構成であること仮に,構成要件8B(方法)及び8B(装置)の構成が,本件規格仕様書に開示されていたとしても,これらの構成はオプションにすぎない。 本件規格仕様書の「C.7.4 送受信機トレーニング ATU-C (10.4の補足)」には,DSLAMの動作に関して,「プロファイル3の場合,ATU-Cは,NEXTRシンボルの中で信号を送信しない」と記載されているところ,プロファイルの選択は任意である。また,本件規格仕様書の「C.7.5 送受信機トレーニング ATU-R(10.5の補足)」には,ADSLモデムの動作に関して,「ATU-Rは,・・・bitmap-NCが無効(FEXTビットマップ・モード)の場合,NEXTCシンボルを送信しない。」と記載されているところ,同じく本件規格仕様書の「C.4.5 FEXTのビットマッピング(7.16の差し替 ap-NCが無効(FEXTビットマップ・モード)の場合,NEXTCシンボルを送信しない。」と記載されているところ,同じく本件規格仕様書の「C.4.5 FEXTのビットマッピング(7.16の差し替え)」には,「FEXTビットマッピング・モードは,デュアル・ビットマッピング技術(C.4.4)を使用して,FEXTの間だけデータを送信する。オプションとして,上りと下りのFEXTのビットマッピング・モードを別々に制御するために,モデムは,bitmap-NCとは独立してbitmap-NRを有効または無効とする」とされており,ビットマップ-NCを無効とする構成はオプションである。 ク争点(1)イ(ク)(本件特許権5との抵触の有無)について(ア) 被告は,本件規格仕様書の記載を根拠として,本件特許権5との抵触を主張する。しかし,本件規格仕様書には,少なくとも,構成要件5B(方法)における①「400Hz1周期のサンプル数である2760サンプル」,②「400Hz1周期のサンプル数である2760サンプルにおけるN個目のシンボルの先頭を示すサンプルの値」を用いていること,③「加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にシンボル全てが入るシンボル」を用いることが記載されておらず,これらの構成がAnnex.Cに準拠する場合に必須となる構成であることは示されていない。 (イ) 400Hz1周期のサンプル数について 本件規格仕様書においては,1DMTシンボルは544サンプルであり,また,ハイパーフレームはDMT345シンボルである。そして,ハイパーフレームは400Hzの34周期に相当する。したがって,400Hz1周期当たりのサンプル数は5520(=544×345/34)であるから,構成要件5B(方法)の「400Hz1周期のサンプル数で パーフレームは400Hzの34周期に相当する。したがって,400Hz1周期当たりのサンプル数は5520(=544×345/34)であるから,構成要件5B(方法)の「400Hz1周期のサンプル数である2760サンプル」とは異なる。 (ウ) N個目のシンボルの先頭を示すサンプルの値について被告は,「12番目のDMTシンボルは,式『272×(N番目-1)』で計算するとサンプルの値が『2992』となり,『400Hz1周期のサンプル数である2760サンプル』を超えてしまう。そこで,『400Hz1周期のサンプル数である2760サンプルにおけるN個目のシンボルの先頭を示すサンプルの値』は,式『272×(N番目-1)』を2760で除した余り(整数)としなければならない」と主張するが,上述のとおり,400Hz1周期のサンプル数は2760サンプルではない。また,構成要件5B(方法)の「400Hz1周期のサンプル数である2760サンプルにおけるN個目のシンボルの先頭を示すサンプルの値」との文言は,400Hz1周期が2760サンプルであるとした場合にN個目のシンボルの先頭を示すサンプルの値と理解するのが合理的であり,被告の主張は失当である。 (エ) 加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にシンボル全てが入るシンボルについて構成要件5B(方法)の加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にシンボル全てが入るシンボル」が具体的にどのシンボルであるかについて,本件規格仕様書には記載がなく,被告もこの点について何ら言及していない。 ケ争点(1)イ(ケ)(本件特許権6との抵触の有無)について (ア) 被告は,本件規格仕様書の記載を根拠として,本件特許権6との抵触を主張する。しかし,本件規格仕様書には,少なくとも,①「FEXT区間 )(本件特許権6との抵触の有無)について (ア) 被告は,本件規格仕様書の記載を根拠として,本件特許権6との抵触を主張する。しかし,本件規格仕様書には,少なくとも,①「FEXT区間のみデータを伝送する方式でのスライディング・ウインドの外側のシンボルとして,パイロット・トーンを送信する」こと(構成要件6B(方法),6B(装置))が記載されておらず,また,②仮に記載があったとしても,それはオプションの構成であるから,この構成がAnnex.Cに準拠する場合に必須となる構成であることは示されていない。 (イ) 「FEXT区間のみデータ伝送する方式でのスライディング・ウインドの外側のシンボル」について被告は,特許明細書(乙1の6)の段落【0041】及び図7の記載を根拠として,「スライディングウインドウの内側のシンボルは,受信側がFEXT区間で受信されるシンボルである。したがって,構成要件6B(方法)・同(装置)の『FEXT区間のみデータ伝送する方式でのスライディング・ウインドの外側のシンボル』とは,受信側がNEXT区間で受信されるシンボルのことを意味する」と主張する。しかし,上記図7には,スライディング・ウインドの内側のシンボル(判決注:(5)の左から1番目シンボル)の一部が,受信側のNEXT区間(送信側のFEXT区間)で受信されており,また,スライディング・ウインドの外側のシンボル((5)の左から5番目のシンボル)の一部が,受信側のFEXT区間(送信側のNEXT区間)で受信されている。よって,スライディング・ウインドウの内側のシンボルは,受信側がFEXT区間で受信されるシンボルではなく,スライディング・ウインドの外側のシンボルが,受信側がNEXT区間で受信されるシンボルであるとして展開される被告の主張は誤りである。 シンボルは,受信側がFEXT区間で受信されるシンボルではなく,スライディング・ウインドの外側のシンボルが,受信側がNEXT区間で受信されるシンボルであるとして展開される被告の主張は誤りである。 (ウ) オプションの構成であること 仮に,スライディング・ウインドの外側のシンボルが,受信側がNEXT区間で受信されるシンボルを意味するとしても,「FEXT区間のみデータを伝送する方式でのスライディング・ウインドの外側のシンボルとして,パイロット・トーンを送信する」構成はオプションにすぎない。本件規格仕様書には,動作モードとしてプロファイル1~6が定義されているが,当該プロファイルを使用しないモデム,及びプロファイル1を使用するモデムについてのみ,NEXTRシンボルとしてパイロット・トーンのみを送信することが記載されている。そして,Annex.Cの規格上,プロファイルの選択は任意であり,あるプロファイルをサポートする(しない)場合に限り実行される構成は,必須の構成であるとはいえない。 コ間接侵害について本件チップセットは,Annex.C以外の規格,例えばAnnex. AやGspanにも対応しているから,本件チップセットを搭載した本件DSLAM及び本件ADSLモデムは,特許法101条1号及び4号の「その方法の使用にのみ用いる物」には当たらない。 (3) 争点(1)ウ(本件特許2は無効理由を有するか)について(被告の主張)原告は,本件特許2は無効理由を有すると主張するが,以下のとおり,原告の主張には理由がない。 ア公知文献について原告が根拠として挙げる文献(甲48~50。以下,証拠番号に対応して「甲48文献」などという。)はいずれも国際電気通信連合(ITU-T)の会合の資料とされる文書であるが,これらの公知性 献について原告が根拠として挙げる文献(甲48~50。以下,証拠番号に対応して「甲48文献」などという。)はいずれも国際電気通信連合(ITU-T)の会合の資料とされる文書であるが,これらの公知性は明らかではない。 イ容易想到性について (ア) 相違点1について原告は,本件特許発明2(方法1)と甲48文献に開示されている発明(以下「甲48発明」という。)とは,「一つのスーパーフレームに含まれるDMTシンボルの個数が,本件特許発明2(方法1)では69個であるのに対し,甲48発明では68個である点」(相違点1)で相違するところ,甲49文献及び甲50文献には,一つのスーパーフレームに69個のDMTシンボルが含まれることが開示されているから,相違点1に係る構成は,当業者が容易に想到し得ると主張し,本件特許発明2(装置1),本件特許発明2(方法2)及び本件特許発明2(装置2)についても,同様の主張をする。 しかし,甲48文献,甲49文献及び甲50文献はいずれも,1シンボルを250マイクロ秒とし,10シンボルを2.5ミリ秒として,TCM-ISDN1周期に合わせた構成を開示しているところ,甲48発明は,DMTシンボル68個を1スーパーフレームとし,5個のスーパーフレーム(340シンボル)を1スーパー・スーパーフレームとして,TCM400Hz(2.5ms)の34倍に合わせているのに対し,甲49文献及び甲50文献記載の技術は,DMTシンボル69個を1スーパーフレームとして,10個のスーパーフレームを1スーパー・スーパーフレーム(690シンボル)として,TCM 400Hz(2.5ms)の69倍に合わせている。すなわち,甲49文献及び甲50文献記載の技術においては,5個のスーパーフレームを1単位としても,86. 25ミリ秒(=2 0シンボル)として,TCM 400Hz(2.5ms)の69倍に合わせている。すなわち,甲49文献及び甲50文献記載の技術においては,5個のスーパーフレームを1単位としても,86. 25ミリ秒(=250マイクロ秒×69個×5個)となり,TCM400Hz(2.5ms)の整数倍にならない。 そうすると,本件特許発明2(方法1)の構成要件2Aが,「前記SupreFrame5個を1つの単位とし,その単位をTCM400Hz(2.5ms)の整数倍に合わせ」との構成を含むものである以上, 甲48発明に,甲49文献及び甲50文献記載の技術を組み合わせたとしても,相違点1に係る構成を容易に想到できないことは明らかであり,本件特許発明2(装置1),本件特許発明2(方法2)及び本件特許発明2(装置2)についても同様である。 そもそも,本件特許発明2は,甲48文献,甲49文献及び甲50文献に記載された,1DMTシンボル当たり250μSとし,TCMCross-talkの1周期とDMTシンボル10個分の時間を合わせる構成の課題を解決するものであり,かかる構成を前提とした文献を組み合わせても,容易に想到することができない。 (イ) 相違点2について原告は,本件特許発明2(方法1)と甲48文献とは,「本件特許発明2(方法1)では,SuperFrame5個の境界を加入者側に送信するために4番目のシンクシンボルをインバース・シンクシンボルとするのに対し,甲48発明では,スーパー・スーパーフレームの最終フレームを示すために5番目のシンクシンボルをインバース・シンクシンボルとする点」(相違点2)で相違するところ,ハイパーフレームないしスーパー・スーパーフレームの境界を示すために,5個のシンクシンボルのうち何番目のシンクシンボルをインバースシンクシン ・シンクシンボルとする点」(相違点2)で相違するところ,ハイパーフレームないしスーパー・スーパーフレームの境界を示すために,5個のシンクシンボルのうち何番目のシンクシンボルをインバースシンクシンボルとして選択するかは,当業者の設計事項にすぎないと主張し,本件特許発明2(装置1),本件特許発明2(方法2)及び本件特許発明2(装置2)についても,同様の主張をする。 しかし,甲48発明は,本件特許発明2(方法1)のようなフレーム構造を有しない以上,FEXT区間で受信できるシンクシンボルを特定することはできず,何番目のシンクシンボルをインバースシンクシンボルとするかについて,甲48発明に基づいて想到することはできない。 このことは,本件特許発明2(装置1),本件特許発明2(方法2)及 び本件特許発明2(装置2)についても,同様である。 (原告の主張)本件特許発明2(方法1)は,本件特許2の出願(原出願)前に頒布された刊行物である甲48文献記載の発明(甲48発明)に基づき,当業者が容易に想到できたものである。 ア甲48文献には,以下の発明(甲48発明)が開示されている。 aTCM-ISDNによるFEXT/NEXTの影響を受ける電話回線,すなわち,TCM400Hzの前半のサイクル,後半のサイクルでISDNからの近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける電話回線を経由して,シンボル68個を1つのスーパーフレームとし,各スーパーフレームの最後のシンボルの位置にシンクシンボルを挿入して送信するディジタル加入者線伝送方法であって,b スーパー・スーパーフレームは,スーパーフレーム5個を1つの単位とし,その単位(85ミリ秒)は,TCM400Hz(2.5ms)の整数倍(34倍)に合わせられており,cATU-C あって,b スーパー・スーパーフレームは,スーパーフレーム5個を1つの単位とし,その単位(85ミリ秒)は,TCM400Hz(2.5ms)の整数倍(34倍)に合わせられており,cATU-C(局側ADSL装置)は,スーパー・スーパーフレームの最終フレームを加入者側に示すために,5番目のシンクシンボルをインバース・シンクシンボルとし,加入者側のFEXT区間(FEXTR区間)において,4個の下りビットマップAデータシンボル(DS-A)を送信する。 c’ ATU-R(加入者側ADSL装置)は,スーパー・スーパーフレームの最終フレームを局側に示すために,5番目のシンクシンボルをインバース・シンクシンボルとし,局側のFEXT区間(FEXTC区間)において,4個の下りビットマップBデータシンボル(US-B)を送信する。 イ本件特許発明2(方法1) (ア) 相違点本件特許発明2(方法1)と甲48発明は,以下の点で相違し,その余の点で一致する。 a 一つのスーパーフレームに含まれるDMTシンボルの個数が,本件特許発明2(方法1)では69個であるのに対し,甲48発明では68個である点(相違点1)b 本件特許発明2(方法1)では,SuperFrame5個の境界を加入者側に送信するために4番目のシンクシンボルをインバース・シンクシンボルとするのに対し,甲48発明では,スーパー・スーパーフレームの最終フレームを示すために5番目のシンクシンボルをインバース・シンクシンボルとする点(相違点2)(イ) 相違点の容易想到性a 相違点1について本件特許2の出願(原出願)前に頒布された甲49文献及び甲50文献には,一つのスーパーフレームに69個のDMTシンボルが含まれることが開示されている。 よって,シンボルを伝送する 違点1について本件特許2の出願(原出願)前に頒布された甲49文献及び甲50文献には,一つのスーパーフレームに69個のDMTシンボルが含まれることが開示されている。 よって,シンボルを伝送するための構成単位であるハイパーフレーム,ないしスーパー・スーパーフレームと呼ばれるフレーム構造において,当該フレーム構造に含まれるシンボルの個数に若干の変更を加えて69個のシンボルとすることは,上記の公知文献に基づき,当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。 b 相違点2について甲48発明において,インバースシンクシンボルを設けているのは,シンボルを伝送するための構成単位であるスーパー・スーパーフレームの最終フレームを加入者側に示すためであり,これは当該スーパー・スーパーフレームの境界を示すことに他ならない。また,本件 特許2の明細書において,インバースシンクシンボルを4番目のスーパーフレーム内に設けることの技術的意義は何ら示されていない。 よって,インバースシンクシンボルが当該スーパー・スーパーフレームのどのフレーム内に設けられているとしても,加入者側は,インバースシンクシンボルを受信することで,当該スーパー・スーパーフレームの境界を認識することができるのであるから,ハイパーフレーム,ないしスーパー・スーパーフレームの境界を示すために,5個のシンクシンボルのうちの何番目のシンクシンボルをインバースシンクシンボルとして選択するかは,当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。 (ウ) 以上によれば,本件特許発明2(方法1)は,甲48発明に基づき,当業者が容易に想到できたものといえる。 ウ本件特許発明2(装置1)本件特許発明2(装置1)は,カテゴリーが異なる点を除けば,本件特許発明2(方法1)と実質的に同一の構成である。 明に基づき,当業者が容易に想到できたものといえる。 ウ本件特許発明2(装置1)本件特許発明2(装置1)は,カテゴリーが異なる点を除けば,本件特許発明2(方法1)と実質的に同一の構成である。したがって,上記イと同様の理由により,本件特許発明2(装置1)は,甲48発明に基づき,当業者が容易に想到できたものといえる。 エ本件特許発明2(方法2)(ア) 本件特許発明2と甲48発明は,以下の点で相違し,その余の点で一致する。 a 一つのスーパーフレームに含まれるDMTシンボルの個数が,本件特許発明2(方法2)では69個であるのに対し,甲48発明では,68個である点(相違点1)b 本件特許発明2(方法2)では,SuperFrame5個の境界を局側に送信するために,4番目のSyncSymbolをインバースSyncSymbolとして局側のFEXT区間に送信する のに対し,甲48発明は,かかる構成を開示していない点(相違点2)(イ) 相違点の容易想到性a 相違点1について相違点1にかかる構成が,当業者が容易に想到し得るものであることは,上記イ(イ)a記載のとおりである。 b 相違点2について上記イ(イ)b記載のとおり,ハイパーフレーム,ないしスーパー・スーパーフレームの境界を示すために,5個のシンクシンボルのうちの何番目のシンクシンボルをインバースシンクシンボルとして選択するかは,当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。また,甲48発明におけるインバースシンクシンボルは,被告の主張に従えば当該スーパー・スーパーフレームの境界を示すものであり,局側におけるシンボルの受信タイミングを定めるものであるから,当該インバースシンボルを,ISDNからの漏話の影響が小さな局側FEXT区間に送信するように構成す ーパーフレームの境界を示すものであり,局側におけるシンボルの受信タイミングを定めるものであるから,当該インバースシンボルを,ISDNからの漏話の影響が小さな局側FEXT区間に送信するように構成することは,当業者において容易になしうる設計事項にすぎない。 (ウ) 以上によれば,本件特許発明2(方法2)は,甲48発明に基づき,当業者が容易に想到できたものといえる。 オ本件特許発明2(装置2)本件特許発明2(装置2)は,カテゴリーが異なる点を除けば,本件特許発明2(方法2)と実質的に同一の構成である。したがって,上記エと同様の理由により,本件特許発明2(装置2)は,甲48発明に基づき,当業者が容易に想到できたものといえる。 カまとめしたがって,本件特許発明2はいずれも,甲48発明に基づき当業者が 容易に想到できたものであるから,特許法29条2項により特許を受けることができず,本件特許2は,同法123条1項2号に該当し,無効にされるべきものである。 2 争点(2)(本件基本契約18条2項違反の成否)について(被告の主張)(1) 本件基本契約18条2項に基づく原告の義務原告は,本件基本契約18条2項に基づき,少なくとも,①第三者が保有する特許権を侵害しないこと,具体的には特許請求の範囲記載の発明の技術的範囲に納入した物品が含まれないことや,当該特許が無効であることなどの抗弁があることを明確にし,また,②当該第三者から特許権の実施許諾を得て,当該第三者に対してライセンス料を支払うなどして,当該第三者からの差止め及び損害賠償請求により被告が被る不利益を回避する義務を負っていた。 (2) 原告の義務違反被告は,原告に対し,本件各特許と本件チップセットの関連性に関する技術分析を依頼するとともに,Wi-LAN 損害賠償請求により被告が被る不利益を回避する義務を負っていた。 (2) 原告の義務違反被告は,原告に対し,本件各特許と本件チップセットの関連性に関する技術分析を依頼するとともに,Wi-LAN社との間でライセンス契約を締結する場合に備えてライセンス料の算定に必要な料率に関する情報の提供を求めたが,原告は,本件チップセットが本件各特許に抵触しているか否かの見解を提示せず,また,ライセンス料に関する情報も提供しなかった。そして,原告は,自ら又はイカノス社をして,Wi-LAN社との間でライセンス契約を締結するということもしなかったことから,被告においてWi-LAN社と本件ライセンス契約を締結することになったのである。したがって,原告は,その費用と責任において紛争を解決することができず,被告に迷惑を掛けることとなったのであり,本件基本契約18条2項に違反したことは明らかである。 なお,原告が提示すべきであったライセンス料に係る情報とは,①Wi- LAN社の提示した特許のロイヤルティ料率に関する実例(訴外コネクサント社と訴外Wi-LAN社との間のライセンス契約におけるロイヤルティ料率を含む。),②イカノス社が第三者と締結しているライセンス契約におけるロイヤルティ料率の実例,③訴外Wi-LAN社が提示した特許と同様の特許権に関する標準的なロイヤルティ料率を示す実例その他の資料などである。 本件各特許は,いずれもAnnex.Cの制定に関わった富士通株式会社(以下「富士通」という。)の出願に係るものであり,また,日本電気株式会社(以下「NEC」という。)や住友電工ネットワーク株式会社(以下「住友電工」という。)等の日本企業や,コネクサント社もライセンスを受けており,回避が困難であることが想定された。そして,Wi-LAN社は,被 NEC」という。)や住友電工ネットワーク株式会社(以下「住友電工」という。)等の日本企業や,コネクサント社もライセンスを受けており,回避が困難であることが想定された。そして,Wi-LAN社は,被告に対してライセンスの申出をするに当たり,①早期ライセンス,②交渉された又は遅延したライセンス,③訴訟後のライセンスの3段階に分け,後者になるほどライセンス料が高くなるとしており,被告としては,紛争が長引けば高額のライセンス料の支払を余儀なくされるばかりか,訴訟になればADSLサービスを停止するリスクを負うことになることから,紛争を早期に解決することが極めて重要であった。なお,原告から技術解析等を求められたイカノス社は,平成23年3月22日に行われた会議において,コネクサント社やNEC等が詳細な技術的検討を経た上でライセンス契約を締結しているとして,Wi-LAN社の主張が妥当なものである可能性が高いこと,ライセンス契約は被告がWi-LAN社と締結すべきことを述べていたものである。 (3) 原告の主張に対する反論ア本件基本契約18条2項の解釈について原告は,本件紛争の最終決定権が原告に留保されていたなどと主張するが,そのような事実はなく,本件基本契約18条2項は原告の義務を規定 したにすぎず,権利を規定するものではない。 イイカノス社による技術分析結果の提供について(ア) 原告は,イカノス社が本件各特許と本件チップセットの関連性に関する技術分析結果を提供したと主張するが,イカノス社は,本件各特許に係る発明がADSLモデムに関するものであるか,DSLAMに関するものであるかという観点のコメントしか行っていない。なお,イカノス社は,本件各特許以外のWi-LAN社の特許については使用していないとコメントしており,かかる発 するものであるか,DSLAMに関するものであるかという観点のコメントしか行っていない。なお,イカノス社は,本件各特許以外のWi-LAN社の特許については使用していないとコメントしており,かかる発言は,実質的に,本件チップセットが本件各特許に抵触することを認めていたものといえる。 (イ) また,原告は,イカノス社が技術的な検討をするに当たり,被告から部品表,回路図,仕様書などの必要な資料が提供されなかったと主張する。しかし,本件チップセットが本件各特許と抵触するか否かの検討に当たって,本件チップセット以外の図面は不要である。仮に,部品表,回路図,仕様書が必要であったとしても,イカノス社はコネクサント社からそれらを受領済みであり,その後変更は加えられていないから,改めて被告から提供を受ける必要はない。 (ウ) 原告は,平成23年7月20日のイカノス社による分析結果について,イカノス社製のDSLAM用チップセットが初めて被告に納入されたのは同年12月以降のことであるから,この時点でDSLAM用チップセットに関する見解を示す必要はなかったなどと主張するが,被告は,同年5月,原告に対し,DSLAM用チップセットを発注していたのであるから,DSLAM用チップセットについての見解を示す必要があったことは明らかである。 ウライセンス料に関する情報について原告は,本件各特許に関してはFRAND宣言がなされていたから,Wi-LAN社にはFRAND条件でライセンスを提供する義務があり,ラ イセンス料に関する情報は,被告においてWi-LAN社に要求すれば足るのであって,原告に提供を求める必要はないと主張する。しかし,FRAND宣言に基づく義務は,標準化に参加した企業,個人に課せられるものであり,また,特許を譲渡した企業が特許声明書を に要求すれば足るのであって,原告に提供を求める必要はないと主張する。しかし,FRAND宣言に基づく義務は,標準化に参加した企業,個人に課せられるものであり,また,特許を譲渡した企業が特許声明書を提出していたとしても,譲渡先にまで効力が及ぶものではないから,標準化に参加しておらず,またFRAND宣言をした当人でもないWi-LAN社は,FRAND宣言に基づく義務を負わない。 エ帰責事由について原告は,Wi-LAN社からのライセンス料の提示額が減額されたことや,Wi-LAN社がパテントトロールであり,差止請求に関心がないことから,本件ライセンス契約を締結した時点では,いまだ被告においてWi-LAN社との間でライセンス契約を締結する必要性はなかったと主張する。しかし,Wi-LAN社からの提示額が減額されたのは,当初の提示額はコネクサント社製のチップセットも含めたものであったところ,コネクサント社製のチップセットは許諾済みであることをWi-LAN社に対して示したことが理由である。また,パテントトロールが差止請求に関心がないというのは原告の独自の主張である。 (原告の主張)(1) 原告の義務について原告が,本件基本契約18条2項に基づき義務を負っていたことは否認する。 原告と被告との間では,両社が本件紛争の対応協議を開始した当初から,本件基本契約18条2項に基づき,原告の費用と責任において本件紛争を解決するとの合意がなされており,最終的な決定権限は原告に留保されていた。 すなわち,本件基本契約18条2項には,第三者との間に紛争が生じた場合の原告の債務の内容として,「自己の費用と責任においてこれを解決」する ことと,「被告に協力し,被告に一切の迷惑をかけない」ことが選択的に規定されており,したがって,原告の債務は,選 合の原告の債務の内容として,「自己の費用と責任においてこれを解決」する ことと,「被告に協力し,被告に一切の迷惑をかけない」ことが選択的に規定されており,したがって,原告の債務は,選択権を有する債務者により定められることになる(民法406条)。そして,原告は,平成23年2月21日付けの書簡において,債権者である被告に対し,「自己の費用と責任においてこれを解決する」ことを選択したものである。 (2) 原告の義務違反についてア技術分析結果の提供について被告は,原告が技術分析結果を提供していないと主張するが,イカノス社においてこれを提供している。そもそも,イカノス社が詳細な技術的検討を行うことができなかったのは,イカノス社の要求にもかかわらず,被告が被告の販売するモデム装置の部品表,回路図及び仕様書等の必要な資料を提供しなかったからである。また,イカノス社製のDSLAM用チップセットが初めて被告に納入されたのは,平成23年12月以降のことであるから,イカノス社が技術分析結果を提示した同年7月ないし11月の時点において,DSLAM用チップセットに関する見解を示す必要はなかった。 イライセンス料に関する資料の提供について被告は,原告がライセンス料の算定に必要な情報を提供しなかったと主張する。しかし,本件各特許に関しては,ITUに対しFRAND宣言がなされている以上,Wi-LAN社にはFRAND条件でライセンスを提供する義務が課されているから,被告は,ライセンス料の算定に必要な情報をWi-LAN社に要求すれば足り,原告に提供を求める必要はない。 したがって,原告においてライセンス料の算定に必要な情報を提供する義務はない。また,仮に,原告がライセンス料の算定に必要な情報を提供する義務を負っていたとしても,原告は,コネ 供を求める必要はない。 したがって,原告においてライセンス料の算定に必要な情報を提供する義務はない。また,仮に,原告がライセンス料の算定に必要な情報を提供する義務を負っていたとしても,原告は,コネクサント社に対してWi-LAN社との間のライセンス契約の情報開示を求めるとともに,イカノス社 に対してもライセンス料の情報を提供するよう要求し続けていたのであり,原告として最善を尽くしていたのであるから,上記義務を果たしたというべきである。 ウ(ア) 被告は,本件各特許は,ADSLの規格の制定に関わった富士通の出願に関わるものであり,著名な日本企業もライセンスを受けていたことから,回避が困難であることが想定されたと主張するが,かかる事実と本件チップセットが本件各特許権の侵害品であるか否かは無関係である。 (イ) また,被告は,ライセンス料の高額化やADSLサービス停止のリスクから,紛争を早期に解決することが重要であったと主張する。しかし,被告がWi-LAN社とライセンス契約を締結した平成24年3月時点では,Wi-LAN社による詳細な調査違反は行われておらず,かえって,Wi-LAN社による提示額が当初の480万米ドルから290万米ドルとかなり減額がなされており,依然としてWi-LAN社がいうところの「早期ライセンス」の段階であったのであるから,被告においてライセンス契約を締結する必要性は全くなかった。また,Wi-LAN社は,世界的に著名なパテントトロールであり,差止請求に関心を有していないことは明らかであるから,ADSLサービス停止のリスクもありえない。 (ウ) 被告は,イカノス社が,平成23年3月22日の会議において,コネクサント社や日本電気株式会社等が詳細な技術的検討を経た上でライセンス契約を締結しているとして,Wi- リスクもありえない。 (ウ) 被告は,イカノス社が,平成23年3月22日の会議において,コネクサント社や日本電気株式会社等が詳細な技術的検討を経た上でライセンス契約を締結しているとして,Wi-LAN社の主張が妥当なものである可能性が高いこと,ライセンス契約は被告がWi-LAN社と締結すべきことを述べていたと主張する。しかし,イカノス社は,同年1月20日の会議において,NECが早期の段階でライセンス契約を締結したこと,住友電工は技術的な検討が終了しないままライセンス契約を 締結したことを述べており,イカノス社の発言が確定的なものでなかったことは明らかである。また,被告においてライセンス契約を締結すべきとの発言についても,イカノス社は「最良のビジネスソリューションは,ソフトバンクとWi-LANとのライセンス契約かもしれないと考えている。」と述べただけである。この発言は,Wi-LAN社が被告をターゲットとして交渉していたこと,また,Wi-LAN社が問題としている製品の大半がコネクサント社のライセンス許諾品であり,かつ,日本の特許権のみが対象となっていたことから,イカノス社よりも被告が交渉を行うのが妥当であるとの自社の見解を述べたにすぎない。そもそも,イカノス社の発言は非公式なものであり,また,本件紛争については,原告に最終決定権が留保されていたのであるから,イカノス社の発言は原告による本件紛争の解決に影響を及ぼすものではない。 エ原告による本件紛争の解決が不可能となったのは,原告に本件紛争の最終的な決定権限が留保されていたにもかかわらず,被告が,原告の意向を無視して,独自にWi-LAN社と本件ライセンス契約を締結したためであり,被告の一方的な行為を原因とするものであるから,原告の責に帰すべき事由はない。 3 争点( かかわらず,被告が,原告の意向を無視して,独自にWi-LAN社と本件ライセンス契約を締結したためであり,被告の一方的な行為を原因とするものであるから,原告の責に帰すべき事由はない。 3 争点(3)(相殺の成否)について(被告の主張)被告は,原告が本件基本契約18条1項及び2項に違反したことにより,Wi-LAN社に対して支払った2億円相当の損害を被った。 (1) 被告が本件ライセンス契約を締結したのは,上記2記載のとおり,イカノス社において本件チップセットが本件各特許権の侵害品であることを認めており,Wi-LAN社からもライセンス契約の締結を迫られていたことから,差止め及び損害賠償のリスクを回避するためにやむを得なかったためである。したがって,本件チップセットが現実に本件各特許権の侵害品である か否かにかかわらず,原告の本件基本契約18条違反と,被告が被った2億円のライセンス料相当額の損害に因果関係があることは明らかである。イカノス社製のADSLモデム用チップセットに対して課される実施料相当額や,Wi-LAN社からの本件各特許権に基づく差止請求を回避するために要する費用などを考慮すると,ライセンス料として支払った2億円は極めて合理的である。 (2) 原告は,本件各特許権1以外の14件の特許権,ないしコネクサント社製のチップセットも本件ライセンス契約に含まれていると主張する。しかし,被告において検討した結果,上記14件の特許は実施していないことが判明しており,また,コネクサント社製のチップセットは既にWi-LAN社から実施許諾を得ていたのであるから,これらも対象とするものであれば,被告は本件ライセンス契約を締結していない。つまり,上記14件の特許権や,コネクサント社製のチップセットが含まれていたとしても,これによ 施許諾を得ていたのであるから,これらも対象とするものであれば,被告は本件ライセンス契約を締結していない。つまり,上記14件の特許権や,コネクサント社製のチップセットが含まれていたとしても,これによりライセンス料が高額になったというものではなく,被告がWi-LAN社に対して支払った2億円のライセンス料全額が本件ライセンス契約チップセットに係るものであり,同額が原告の本件基本契約18条違反に基づく損害であることは明らかである。 (原告の主張)(1) 本件ライセンス契約には,本件各特許権以外に14件の特許権も含まれているところ,これら14件の特許権は,Wi-LAN社においてAnnex.Cに関するものとして挙げておらず,また,本件でも問題とされていないことから,本件チップセットと無関係であることは明らかである。また,本件ライセンス許諾では,期限付きライセンス特許として,Wi-LAN社及びその子会社が保有しており,または将来保有することになる特許権等について,「SoftbankBroadbandServices」を対象とした実施許諾がなされているところ,「SoftbankBroa dbandServices」には光ファイバー通信を含む被告のブロードバンドサービスに関する全ての被告製品ないしサービスが含まれている。 したがって,本件ライセンス契約に基づくライセンス料には,本件チップセットとは無関係なサービスに係る部分もあり,同部分は原告による本件基本契約18条違反と相当因果関係がない。また,本件ライセンス契約の対象製品には,イカノス社の供給に係る本件チップセットだけでなく,コネクサント社の供給に係るチップセットも含まれている。したがって,本件ライセンス契約に基づくライセンス料には,同チップセットに係る部分もあり,同部分 ノス社の供給に係る本件チップセットだけでなく,コネクサント社の供給に係るチップセットも含まれている。したがって,本件ライセンス契約に基づくライセンス料には,同チップセットに係る部分もあり,同部分は原告による本件基本契約18条違反と相当因果関係がない。 被告は,被告がWi-LAN社に支払った2億円のライセンス料は,全て本件チップセットに係るものであると主張するが,その場合,本件チップセットの販売額から算定される実施料率は20%を超えるものとなり,本件各特許権の合理的なロイヤルティ率は,以下の計算のとおり,0.483%を上回ることはないから,上記実施料率は極めて不合理である。 0.483%(合理的なロイヤルティ率)=5%(規格必須特許全体の実施料率の上限値)×1/3(被告製品であるBBModemでは,少なくとも三つの標準規格が採用されている。)×9/31(ADSL規格では少なくとも31件の必須特許が存在する。)(2) 過失相殺被告は,本件ライセンス契約を締結するに当たり,本件各特許権との抵触の有無について議論を尽くしておらず,また,Wi-LAN社に対し,本件ライセンス契約の対象となった特許権のうち,本件各特許権を除く14件の特許権について,本件チップセットがこれらの特許権の侵害品ではないことを主張していない。さらに,上記(1)のとおり,不合理に高額なライセンス 料を受け入れたものである。これらの事情は,被告の過失を基礎付けるものとして斟酌されるべきである。 (3) 損害額についての予備的な主張仮に,原告に本件基本契約18条2項違反があり,これにより被告がWi-LAN社に対して支払った2億円のライセンス料に関し,原告が負担すべきものがあるとしても,それは原告が販売したイカノス社製のチップセットにより惹起 本契約18条2項違反があり,これにより被告がWi-LAN社に対して支払った2億円のライセンス料に関し,原告が負担すべきものがあるとしても,それは原告が販売したイカノス社製のチップセットにより惹起される特許権侵害を回避するために取得したライセンスの範囲に限られる。被告の主張によれば,被告の提供するADSLサービスにおいて用いられたADSLモデムの累積総数は718万8940台(ADSLの規格としてAnnex.Aを採用した284万1455台を含む。)であり,これに将来購入予定のADSLモデム(12万1000台)を加えると,本件ライセンス契約の対象であるADSLサービスで用いられるADSLモデムの総数は,730万9940台となる。また,被告の提供するADSLサービスにおいて用いられたDSLAMの累積総数は33万6857台であるから,上記ADSLモデムとの合計台数は764万6797台となる。一方で,このうち本件チップセットが搭載されたものは18万2125台(ADSLモデム17万1000台,DSLAM1万1125台)である。また,本件ライセンス契約には,本件特許権1ないし9のほかに,本件チップセットとは無関係な14件の特許権が含まれている。 以上を考慮すれば,原告が負担すべき金額は186万3951円(=2億円×(18万2125台/764万6797台)×(9件/23件))である。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件基本契約18条1項違反の成否)について(1) 争点(1)ア(本件チップセットはAnnex.Cに準拠し,その規格仕様書に開示された構成を有するか)について ア被告は,ADSL規格の一つであるAnnex.Cは,日本向けの規格であり,特段の事情のない限り,本件チップセットはこれに準拠していると主張する。しかし た構成を有するか)について ア被告は,ADSL規格の一つであるAnnex.Cは,日本向けの規格であり,特段の事情のない限り,本件チップセットはこれに準拠していると主張する。しかし,そもそも,被告のいう「準拠」が技術的にいかなる内容をいうのか明確とは言い難い。また,この点をひとまず措くとしても,Annex.Cが日本向けの規格であり,本件チップセットが日本の事業者である被告に納入されたことのみから,当然に本件チップセットがこれに「準拠」していると認めることは困難である。この点,被告が証拠として提出したADSL技術に関する書籍(乙12。「わかりやすいADSL技術」45頁)にも,「伝送方式にCAP,DMT(G.dmtorG.lite),さらにDMTの中でもAnnex.Cを使用するかどうかは,ADSL事業者やISPによります。」との記載があるし,被告自身,ADSLの規格として,Annex.A(乙12〔28頁〕では,北米仕様とされている。)のみを採用していた時期があることを認めているところである(被告第10準備書面2頁)。 また,被告は,乙44号証及び乙45号証の書面の記載を根拠に,本件チップセットがAnnex.Cに「準拠」していると主張する。しかし,仮に,これらの書面に記載された製品と,本件チップセットの商品名や製品番号が一致するとしても,乙44号証は平成17年に,乙45号証は平成16年にコネクサント社が作成したものであり,いずれも被告が原告を通じてイカノス社製のチップセットを購入する約4,5年前のものであることからすれば,イカノス社製の本件チップセットが上記書面に記載された仕様を有するものと直ちに認めることはできない。イカノス社がコネクサント社の事業を承継したことは,上記認定を直ちに左右するものとはいえない。そして カノス社製の本件チップセットが上記書面に記載された仕様を有するものと直ちに認めることはできない。イカノス社がコネクサント社の事業を承継したことは,上記認定を直ちに左右するものとはいえない。そして,上記書面には,「Annex.Cに固有の変更」との記載や,「サポート」の欄に「AnnexesAandC」との記載があるのみで,その根拠や内容などが客観的に明らかではないことからも, 上記書面は被告の主張を裏付けるものとは言い難い(上記書面の記載からも被告のいう「準拠」の具体的意義は明らかでない。この点をひとまず措くとしても,「準拠」の対象は,Annex.Cのみでなく,Annex. Aでもあるはずである。)。 さらに,被告は,本件DSLAM用チップセットのファームウェアのバージョンが「Y67.29.68」であり,これは,Annex.Cに「準拠」しているコネクサント社製のDSLAM用チップセットのファームウェアのバージョン「Y67.29.67」において発生した特定の不具合を解消するためにパイロットトーン電力値を変更したものであって,それ以外はコネクサント社製のものと同じであるから,本件DSLAM用チップセットはAnnex.Cに「準拠」していると主張する。しかし,証拠(乙63,64の2)によっても,ファームウェアのバージョンが「Y67.29.68」と,ファームウェアのバージョンが「Y67.29.67」であるものが,被告の主張する点を除き同一の仕様を有していると直ちに認めることはできず,被告の主張は採用することができない。 イ時機に後れた攻撃防御方法の却下の申立てについて原告は,被告の平成27年1月9日付け第13準備書面の主張,及び乙63号証ないし乙66号証による立証は時機に後れたものとして却下されるべきである旨の申立てをす た攻撃防御方法の却下の申立てについて原告は,被告の平成27年1月9日付け第13準備書面の主張,及び乙63号証ないし乙66号証による立証は時機に後れたものとして却下されるべきである旨の申立てをするが,上記書面及び書証の内容,本訴訟の経過等に鑑みても,被告に上記書面を陳述させ,上記書証を取り調べることにより,本訴訟の完結を遅延させるものとは認められないから,原告の同申立ては採用しない。 ウ本件製品の構成について仮に,本件チップセットがAnnex.Cに「準拠」しているとしても,本件規格仕様書に,「この勧告に従うかどうかは任意である。」(「CompliancewiththisRecommendation isvoluntary」)との記載があることには争いがないから,本件規格仕様書が勧告する構成のすべてが,Annex.Cに必須の構成であると認めることはできず,ほかに被告の主張に係る本件製品の構成がAnnex.Cに必須のものと認めるに足りる証拠はない。 また,前記アで説示したとおり,本件チップセットがAnnex.Cに「準拠」しているとしても,同チップセットは,Annex.Aにも「準拠」しているはずであるから,Annex.Cの規格にのみ用いられるところのいわゆる専用品であると認めるには足りない。 エ被告は,裁判所の釈明に対し,本件チップセットが本件各特許に係る発明の技術的範囲に属することにつき,本件チップセット自体を解析した上での立証を行うつもりがないことを明らかにしている(当審第14回弁論準備手続調書)。 そして,被告は,本件チップセットの具体的構成についても,本件製品中の本件チップセット以外の部分の具体的構成についても,具体的な技術上の裏付けを伴った主張立証を行おうとしないのであり,後記2(1)で認定 ,被告は,本件チップセットの具体的構成についても,本件製品中の本件チップセット以外の部分の具体的構成についても,具体的な技術上の裏付けを伴った主張立証を行おうとしないのであり,後記2(1)で認定する事実経過(殊に,被告が被告のサービスや本件製品中の本件チップセット以外の部分の具体的構成につき,原告及びイカノス社に情報を提供することを拒否したこと)をも踏まえると,仮に,本件製品の構成に関する被告の主張の全部又は一部に理由があるとしたところで,直ちに当該構成が専ら本件チップセットにより実現されていると認めることは,困難というほかはない。 (2) 争点(1)イ(本件各特許権との抵触の有無)について上記(1)で検討したところによれば,本件チップセットがAnnex.Cに「準拠」していることも,本件規格仕様書に開示された構成を有することも,認めるには足りず,また,同チップセットがAnnex.Cの規格にのみ用いる物であると認めるにも足りない。 したがって,本件チップセットが本件各特許権の直接侵害品ないし間接侵害品であるとか,同チップセットの使用が本件各特許権の侵害行為となるという被告の主張は,その前提を欠き,採用することができない。 よって,被告による本件基本契約18条1項違反の主張は,その余の点について検討するまでもなく,理由がない。 2 争点2(本件基本契約18条2項違反の成否)について(1) 前記前提事実及び後掲の証拠(下記認定に反する部分は,採用することができない。)並びに弁論の全趣旨によれば,原告,被告及びイカノス社との間の交渉経過として,以下の事実が認められる。 ア被告は,平成22年12月9日,原告に対し,本件各特許権に関する調査の協力依頼をした。具体的には,①チップ・ベンダであるコネクサント社及びイカノス 間の交渉経過として,以下の事実が認められる。 ア被告は,平成22年12月9日,原告に対し,本件各特許権に関する調査の協力依頼をした。具体的には,①チップ・ベンダであるコネクサント社及びイカノス社とWi-LAN社とのライセンスの有無及びライセンス条件,②Wi-LAN社からコネクサント社及びイカノス社に対するライセンスの申出の有無及び交渉状況,③特許抵触に関する見解及び対応方針についてであった。被告は,原告に協力を依頼するに際し,上記①及び②の項目の回答期限を同月15日,上記③の項目の回答期限を同月22日とし,同項目については,コネクサント社及びイカノス社と協議した上で回答するよう求めた(乙3)。(なお,原告は,平成23年1月11日付けのメール(甲29)を根拠に,上記回答期限については,被告の指示に従いイカノス社への連絡を見合わせ,本件紛争に対する対応の協議は,被告からイカノス社に対する連絡を待って平成23年に開始されたと主張する。 同メールには,「SoftbankBBからの調査依頼書の回答はSoftbankBBからの指示待ちで,それまでは保留とさせていただく旨のMail.」との記載があるが,これは原告の従業員間のやりとりにすぎず,被告の了解を前提にしたものと認めることはできない。確かに,甲29号証に引用されているメールには,被告の従業員であるAによる「なお, チップ・ベンダへは,それぞれ当方より打診いたします。※チップ・ベンダへの頭出しが完了するまでコンタクトはお控えください。」との記載が存在するが,このメールは,平成22年12月7日に送信されたものであり,被告が原告に対し協力を依頼するよりも前のことである。そして,同月9日にAから送られたメールには,「過日,お願いした件,正式書面にて改めてご協力要請させて頂きます。」 月7日に送信されたものであり,被告が原告に対し協力を依頼するよりも前のことである。そして,同月9日にAから送られたメールには,「過日,お願いした件,正式書面にて改めてご協力要請させて頂きます。」とあり(甲29),この正式書面は,被告から原告に対し送付された同日付け「知的財産権の侵害に関する調査協力のお願い」(乙3),すなわち,被告の原告に対する協力依頼に係る書面であると解されるから,上記のとおり,被告は,協力依頼の内容として,原告においてチップ・ベンダであるコネクサント社及びイカノス社と協議することを求めている以上,同月7日付けのAのメールの記載は既に意味を失っていたものと認められ,このことは原告において明白であったといえる。)イ原告,被告及びイカノス社は,平成23年1月20日,以下のとおり,三者間で協議を行った(甲10)。 (ア) 被告は,原告及びイカノス社に対し,Wi-LAN社からの要求内容を開示した。Wi-LAN社は,被告に対し,ライセンス交渉として,以下の三つの進め方を提案していた。 ① EarlyLicense特許の抵触の有無を協議せずにライセンスを実施する。 ライセンス内容:5年間,総額480万USドル条件:平成23年3月15日までに合意すること② NegotiatedorDelayedLicense特許の抵触の有無を被告とWi-LAN社間で判断する①の場合よりもライセンス料は高額になる。 ③ 裁判により特許の抵触の有無を争う (イ) イカノス社は,被告に対し,平成21年に,NTTのADSLモデムを設計,製造していたNEC及び住友電工に対しWi-LAN社からライセンスの提案があったこと,この提案に対し,NECは早い段階でライセンス料を支払い,また,住友電工は技術的な検証の終 ADSLモデムを設計,製造していたNEC及び住友電工に対しWi-LAN社からライセンスの提案があったこと,この提案に対し,NECは早い段階でライセンス料を支払い,また,住友電工は技術的な検証の終了を待たずにライセンス料を支払い,いずれも解決したことを報告した。 (ウ) 被告は,原告に対し,以下の事項などを要求した。 ① 本件紛争に対する原告としての方向性の明示(平成23年2月4日まで)② 本件チップセットにおける本件各特許発明の実施の有無(同月4日まで)③ 本件各特許の無効に関する資料調査(同月14日まで)ウ原告と被告は,平成23年1月25日,以下のとおり,協議を行った(甲30,乙27)。 (ア) 原告は,被告に対し,原告における進捗状況として,①コネクサント社とイカノス社に対し正式な対応依頼を申し入れたこと,②コネクサント社から,本件各特許について,コネクサント社分は既にライセンス契約済みであるが,イカノス社分は同契約に含まれないとの回答があったことを報告した。 (イ) 原告は,被告に対し,①ライセンス契約を締結するか,訴訟で争うかについての原告の最終判断は,本件各特許の技術の使用の有無が明確になってから行うこと,②Wi-LAN社との対応主体につき,他のチップ販売先への影響を理由に,イカノス社がWi-LAN社への対応当事者になる可能性があることを説明した。 (ウ) 原告は,被告に対し,Wi-LAN社が提案しているライセンス料480万USドルの算定根拠を質問し,これに対し,被告は,算定根拠はないと思われるとの回答をした。 (エ) 被告は,原告に対し,①本件各特許の技術の使用の有無につき,原告の回答期限が平成23年2月4日であることを前提に,コネクサント社及びイカノス社に対して同事項の回答期限を明確 (エ) 被告は,原告に対し,①本件各特許の技術の使用の有無につき,原告の回答期限が平成23年2月4日であることを前提に,コネクサント社及びイカノス社に対して同事項の回答期限を明確にすること,②コネクサント社に対し,本件各特許につき既にライセンス契約が締結されているのかを再度確認し,締結されている場合は,正式な回答書面とそのことを確認できる資料を提出するよう要求することを依頼した。 エ原告は,平成23年2月10日,被告に対し,書面にて以下の内容を報告した(乙6)。 (ア) コネクサント社は,平成21年12月22日に,Wi-LAN社との間でライセンス契約を締結しており,本件各特許が含まれている。 (イ) 上記ライセンス契約における特許の許諾範囲には,コネクサント社が過去に販売した全ての製品が含まれるが,イカノス社が販売した製品は含まれない。 (ウ) コネクサント社は,上記ライセンス契約の写しを提供する用意があるが,Wi-LAN社との間における守秘義務の対象であるため,提供にはWi-LAN社の承諾が必要となる。 (エ) 原告は,イカノス社に対し,本件各特許とイカノス社製のチップセットとの関連性に関する技術解析,及び技術解析の結果を踏まえた上での本件紛争に対する対処案の回答を求めている。 (オ) 原告は,イカノス社から,被告製品の技術情報の入手を依頼されている。 オ原告と被告は,平成23年2月17日,以下のとおり,協議を行った(乙18の1)。 (ア) 原告は,被告に対し,原告における進捗状況として,イカノス社に対し本件紛争に関する責任を全面的にイカノス社が負う旨を伝えているが,イカノス社からこれに対する回答がないことを報告した。 (イ) 被告は,原告に対し,原告が対応方針を明確にすれば,被告もそ 件紛争に関する責任を全面的にイカノス社が負う旨を伝えているが,イカノス社からこれに対する回答がないことを報告した。 (イ) 被告は,原告に対し,原告が対応方針を明確にすれば,被告もそれに合わせて調整を行うが,そうでなければ,被告としては様々な可能性を含め検討する必要があり,その結果原告の意思に反する可能性があることを説明するとともに,本件各特許の技術の使用の有無が明らかにならない場合でも,原告としての対応方針を同月21日までに明確にするよう求めた。 カ原告は,平成23年2月21日,被告に対し,本件基本契約18条2項に基づき,原告の責任において本件紛争を解決するよう最善を尽くすことを述べるとともに,将来のイカノス社に対する責任追及の観点から,イカノス社の関与なく,Wi-LAN社と直接解決することを差し控えるよう求めた(乙7)。 キ(ア) 原告は,平成23年2月22日,被告に対し,イカノス社からの要請に基づき,被告のモデムに関する,①部品表,②回路図,③モデム仕様書(被告のArgon550を使用したモデムの仕様書)の提供を求めた。なお,部品表と回路図については,コネクサント社から受領した資料が存在するが,古いものであり,現状の設計と同じかどうかが不明であるとのことであった(甲12の1)。 (イ) 原告は,平成23年2月24日,被告に対し,上記資料の提供を再度要求した(甲12の2)。 (ウ) 被告は,平成23年2月25日,原告に対し,イカノス社製チップ及びOS部分の仕様に基づき,技術的検討が可能であると考えること,及び提供を希望する詳細設計書は,被告において準備が不可能であり,モデムベンダーと交渉をしているが,提出する旨の同意は得られていないことを報告するとともに,モデムの技術資料を要請する意図をイカノス社に確認 を希望する詳細設計書は,被告において準備が不可能であり,モデムベンダーと交渉をしているが,提出する旨の同意は得られていないことを報告するとともに,モデムの技術資料を要請する意図をイカノス社に確認すること,及び同資料の提出の遅延が,イカノス社における対応の遅れの理由とされるのを回避することを要請した(甲12の3)。 ク原告と被告は,平成23年3月2日,協議を行い,本件紛争に対する対応方針を確認した。原告は,被告に対し,引き続きイカノス社を動かしてWi-LAN社と交渉していく方針であることから,Wi-LAN社が示した回答期限である同月15日を過ぎてライセンス金額が大きくなった場合には,原告において負担する旨を伝えた(乙23)。 ケ原告,被告及びイカノス社は,平成23年3月22日,以下のとおり,三者間で協議を行った(乙8)。 (ア) イカノス社は,被告に対し,①NEC及び住友電工が詳細な技術分析の結果として,Wi-LAN社とライセンス契約を締結していることから,Wi-LAN社の主張が妥当なものである可能性が高いこと,②イカノス社において,多くの時間とリソースを費やして技術的分析を行うことは望んでいないこと,③コネクサント社製のチップセットについては既にライセンス契約が締結されており,同チップセットに比べるとイカノス社製のチップセットの供給量は少なく,また,日本の特許権が対象となっていることから,被告とWi-LAN社とのライセンス契約が最良の解決であると考えていることを伝えた。 (イ) 被告は,原告及びイカノス社に対し,同月14日にWi-LAN社に連絡を取り,Wi-LAN社の主張の大半が,既にライセンス契約を締結しているコネクサント社製のチップセットに関連していることを伝え,コネクサント社とのライセンス契約の条件を開 4日にWi-LAN社に連絡を取り,Wi-LAN社の主張の大半が,既にライセンス契約を締結しているコネクサント社製のチップセットに関連していることを伝え,コネクサント社とのライセンス契約の条件を開示するよう求めていることを報告した。 コ原告,被告及びイカノス社は,平成23年4月26日,三者間で協議を行った。被告は,コネクサント社とWi-LAN社との間のライセンス契約書(金銭的部分を除く。)のコピーを入手したこと,及びWi-LAN社との間で交渉を開始したことを報告し,三者間で,ライセンス料,算定根拠,期間等の観点から検討が必要であることが確認された。イカノス社 は,本件各特許に対する標準的な料率に関する情報を準備し,提示することを述べた(乙9)。 サ原告,被告及びイカノス社は,平成23年6月24日,三者間で協議を行った。被告は,Wi-LAN社が日本での災害に鑑みて請求額を430万USドルに引き下げたが,同額についての具体的な計算式は提示されていないことを報告するとともに,イカノス社に対し,本件各特許とは別の3件の特許に係る技術を使用しているかの確認,及びロイヤルティ算定のための本件チップセットの価格を基準にした提案を要請した。イカノス社はこれらを行うことを同意した(乙28)。 シ被告は,平成23年7月11日,原告に対し,イカノス社から本件各特許とは別の3件の特許の調査,及びロイヤルティ率の提示について何ら回答がないことを報告するとともに,今後も,本件基本契約18条に基づき,Wi-LAN社との交渉は被告が行い,原告に対しては協力の要請と過去発注分の求償を行うことを伝えた(乙18の3)。 ス(ア) 原告,被告及びイカノス社は,平成23年7月13日,三者間で協議を行い,本件紛争に関し,Wi-LAN社との連絡は被告が担 は協力の要請と過去発注分の求償を行うことを伝えた(乙18の3)。 ス(ア) 原告,被告及びイカノス社は,平成23年7月13日,三者間で協議を行い,本件紛争に関し,Wi-LAN社との連絡は被告が担当して全員が共同でサポートする体制を維持することを確認した。イカノス社は,被告に対し,数日以内に本件各特許と本件チップセットに関する技術的検討の結果を提示することを述べるとともに,合理的なロイヤルティ率については,具体的な数字を提示することは困難であるが,被告のADSL設備に使用されるADSLチップセットの約90%をコネクサント社製のチップセットが占めていることから,コネクサント社製のチップセットに適用されるロイヤルティ率に基づき検討することが有意義と考えられるとして,同ロイヤルティ率を突き止めるよう努力し,翌週までに結果を報告すると述べた(乙29)。 (イ) イカノス社は,平成23年7月20日,被告に対し,コネクサント 社チップセットに係るロイヤルティ率についての新たな情報を発見することができなかったことを報告した(甲31)。 セイカノス社は,平成23年7月20日,及び同年8月2日の三者間での協議において,技術分析の結果を報告した。イカノス社は,本件各特許とは別の3件の特許(特許番号3717363,4391702,3732707)については,これらの技術を使用していないとの報告を,本件特許1,2,4,6及び9については,これらの特許がDSLAMに関連する特許であり,イカノス社が提供したCPEの機能に必要な技術とは無関係であるとの報告を行った。本件特許3,5,7及び8についての報告はなかった(甲13,乙20,30)。 ソ原告,被告及びイカノス社は,平成23年10月12日,三者間で協議を行った。被告は,Wi-LAN社から 報告を行った。本件特許3,5,7及び8についての報告はなかった(甲13,乙20,30)。 ソ原告,被告及びイカノス社は,平成23年10月12日,三者間で協議を行った。被告は,Wi-LAN社からさらに追加の特許を提示されたことを報告するとともに,Wi-LAN社が,Annex.Cを使用する被告のシステムがWi-LAN社のAnnex.C関連の特許を侵害すると主張している旨を補足した上で,イカノス社に対し,本件各特許のクレームについての侵害の有無を区別するため,更なる技術解析を要請した。これに対し,イカノス社は,Wi-LAN社の主張が妥当である部分については,掘り下げるつもりはないと付言した(甲14)。 タ原告,被告及びイカノス社は,平成23年10月26日,三者間で協議を行った。被告は,イカノス社に対し,本件チップセットが本件各特許権を侵害しているか否かを理解するため,及びWi-LAN社に対するアプローチの方法を改善するため,分析結果のポイントを明確にした資料の提示を求めた。イカノス社は,被告に対し,本件各特許が被告のサービスに関連するか否かについての被告の分析を共有することを求めたが,被告はこれを拒否し,被告とモデムベンダー及びDSLAMベンダーとの議論に基づき,本件各特許はチップに関連するものであると考えている旨回答し た(甲15)。 チイカノス社は,平成23年11月15日,被告に対し,技術分析の結果として資料を送付した。被告は,同月24日,イカノス社に対し,同資料には本件各特許についての新しい実質的な説明はなく,Wi-LAN社との交渉において,同資料をどのように使用することができるのか不明であるとして,説明をもとめた(乙21,31)。 ツ原告,被告及びイカノス社は,平成23年12月13日,三者間で協議を行っ AN社との交渉において,同資料をどのように使用することができるのか不明であるとして,説明をもとめた(乙21,31)。 ツ原告,被告及びイカノス社は,平成23年12月13日,三者間で協議を行った。被告は,Wi-LAN社の提示額が290万USドルまで減額されたこと,この金額に論理的な根拠がないことを報告した(甲28)。 テ原告は,平成24年2月7日,被告に対し,イカノス社の回答を待つよう要請したが,被告は,同日,被告においてイカノス社の動向を考慮しないとして,これを拒否した(甲16,乙32)。 (2) 本件基本契約18条2項に基づく義務本件基本契約18条2項の文言によれば,同項は,原告が納品した物品に関して,第三者が有する知的財産権の侵害が問題となった場合に,原告がとるべき包括的な義務を規定したものと解すべきである。この点,原告は,本件基本契約18条2条は「自己の費用と責任においてこれを解決」する債務と,「被告に協力し,被告に一切の迷惑をかけない」債務を選択的に規定したものであり,選択権を有する原告は,前者の債務を選択したから,本件紛争の解決件は原告に留保されていたものであると主張するが,同項の文言を曲解したものであり,採用することはできない。 一方,被告は,原告が,本件基本契約18条2項に基づき,少なくとも①第三者が保有する特許権を侵害しないこと,具体的には特許請求の範囲記載の発明の技術的範囲に納入した物品が含まれないことや,当該特許が無効であることなどの抗弁があることを明確にし,また,②当該第三者から特許権の実施許諾を得て,当該第三者に対してライセンス料を支払うなどして,当 該第三者からの差止め及び損害賠償請求により被告が被る不利益を回避する義務を負っていたと主張する。しかし,同項の文言のみから,直ちに原告の 第三者に対してライセンス料を支払うなどして,当 該第三者からの差止め及び損害賠償請求により被告が被る不利益を回避する義務を負っていたと主張する。しかし,同項の文言のみから,直ちに原告の負うべき具体的な義務が発生するものと認めることはできず,上述のとおり,同項は,原告がとるべき包括的な義務を定めたものであって,原告が負う具体的な義務の内容は,当該第三者による侵害の主張の態様やその内容,被告との協議等の具体的事情により決まるものと解するのが相当である。 (3) 本件基本契約18条2項に基づく原告の具体的義務についてア被告はWi-LAN社から,本件各特許権のライセンスの申出を受けていたこと(前記前提事実(8)及び上記(1)イ。なお,Wi-LAN社のライセンスの申出が,本件チップセットあるいは本件製品を問題としていたのか,被告のサービスを問題としていたのかは,証拠上,明らかでない。),被告は,原告に対し協力を依頼した当初から,本件チップセットが本件各特許と抵触するか否かについての回答を求めていたこと(上記(1)ア),原告,被告及びイカノス社の間において,ライセンス料,その算定根拠等の検討が必要であることが確認され,イカノス社において,必要な情報を提示する旨を回答していたこと(上記(1)コ)に鑑みれば,原告は,本件基本契約18条2項に基づく具体的な義務として,①被告においてWi-LAN社との間でライセンス契約を締結することが必要か否かを判断するため,本件各特許の技術分析を行い,本件各特許の有効性,本件チップセットと本件各特許との抵触等についての見解を,裏付けとなる資料と共に提示し,また,②被告においてWi-LAN社とライセンス契約を締結する場合に備えて,合理的なライセンス料を算定するために必要な資料等を収集,提供しなければ 等についての見解を,裏付けとなる資料と共に提示し,また,②被告においてWi-LAN社とライセンス契約を締結する場合に備えて,合理的なライセンス料を算定するために必要な資料等を収集,提供しなければならなかったものと認めるのが相当である。 これに対し,被告は,原告が自ら又はイカノス社をして,Wi-LAN社から特許権の実施許諾を得てライセンス料を支払うことにより,被告が被る不利益を回避する義務をも負っていたと主張する。しかし,上記(1) で認定した原告と被告との間の交渉の経緯及び内容,並びに上記1説示のとおり,本件ライセンス契約が締結される以前はおろか,現段階に至っても,本件チップセットが本件各特許権の侵害品であるか否かは明らかではないことに鑑みても,本件基本契約18条2項に基づく具体的な義務として,原告において,自ら又はイカノス社をして,Wi-LAN社との間でライセンス契約を締結すべきであったとまで認めることはできない。 イ技術分析について(ア) 上記(1)セ及びチで認定したとおり,イカノス社は,平成23年7月及び同年11月,被告に対し,技術分析の結果を報告しているものの,証拠(乙20,21)によれば,その内容は,単に本件各特許がDSLAMに関連するものであるとか,イカノス社が提供したCPEの機能に必要な技術とは無関係であるとの簡単な意見を付したものにすぎず,およそ詳細な技術分析を行ったものとはいえないし,本件証拠上,上記イカノス社の意見を客観的に裏付ける資料の存在も認めることはできない。 (イ) これに対し,原告は,イカノス社において詳細な分析ができなかったのは,被告が部品表等の必要な資料を提供しなかったことが原因であると主張する。 確かに,イカノス社は,原告を介して,被告に対し,被告の部品表等の資料の開示を求 ス社において詳細な分析ができなかったのは,被告が部品表等の必要な資料を提供しなかったことが原因であると主張する。 確かに,イカノス社は,原告を介して,被告に対し,被告の部品表等の資料の開示を求めていたものの(上記(1)キ),本件各特許の有効性,本件チップセットと本件各特許との抵触等を調査するに当たっての上記資料の必要性は必ずしも明らかではない。そして,上記(1)キのとおり,開示を求められた被告においても,上記資料の必要性に疑問を呈し,イカノス社に対してその意図を確認するよう原告に求めているところ,イカノス社から上記資料の必要性について回答がなされたと認めるに足りる証拠はない。そうすると,単にイカノス社が上記資料の開示を求めていたというだけでは,技術分析における上記資料の必要性を認めること はできず,原告の主張は採用することができない。 (ウ) また,原告は,イカノス社製のDSLAM用チップセットが初めて被告に納入されたのは平成23年12月以降のことであるから,イカノス社が技術分析の結果を提示した同年7月ないし11月の時点において,本件各特許がDSLAMに関連するものであることが分かれば,本件チップセットと本件各特許との抵触に関する見解をそれ以上示す必要はなかったなどとも主張する。 しかし,イカノス社の報告自体が客観的な資料により裏付けられたものとはいえないことは,上述のとおりである。そして,前記前提事実(3)及び(5)認定のとおり,ADSLサービスにおいてはADSLモデム用及びDSLAM用のいずれのチップセットも使用されるところ,被告と原告は,平成22年12月から被告のADSLサービスに係るWi-LAN社との間の紛争について協議を重ねていたこと(上記(1)ア),被告が,平成23年5月の時点で,原告に対してDSLA ところ,被告と原告は,平成22年12月から被告のADSLサービスに係るWi-LAN社との間の紛争について協議を重ねていたこと(上記(1)ア),被告が,平成23年5月の時点で,原告に対してDSLAM用チップセットを発注していることに鑑みれば,原告及びイカノス社は,遅くとも,平成23年11月に行った技術分析結果の報告の際には,本件DSLAM用チップセットに関してもその見解を示す必要があったものと認めるのが相当である。 (エ) 以上によれば,イカノス社において報告された技術分析の結果は十分なものであるとはいえず,その他,本件証拠上,原告又はイカノス社が,本件各特許の有効性や本件チップセットと本件各特許との抵触等についの見解を,裏付けとなる資料と共に提示したものと認めることはできないから,原告には本件基本契約18条2項の違反があるというべきである。 ウライセンス料の算定に関する情報の提供について(ア) 被告が,ライセンス料の算定に関する情報を必要としていたことは, 上記(1)コ,サ及びスで認定したとおりであるところ,これに対し,イカノス社は,本件各特許に対する標準的な料率に関する情報を提示することを述べたものの,結局,合理的なロイヤルティ率については,具体的な数字を提示することは困難であるとして,提示することができず,次に,コネクサント社製のチップセットに適用されるロイヤルティ率に基づく検討を提案し,同ロイヤルティ率を突き止めようとするも,こちらも新たな情報を発見することができなかったと報告するにとどまっている(上記(1)ス)。そうすると,原告又はイカノス社から,被告に対し,ライセンス料の算定に関する情報が提供されたと認めることはできない。 (イ) これに対し,原告は,本件各特許についてはITUにFRAND宣言が )。そうすると,原告又はイカノス社から,被告に対し,ライセンス料の算定に関する情報が提供されたと認めることはできない。 (イ) これに対し,原告は,本件各特許についてはITUにFRAND宣言がなされており,Wi-LAN社において,被告に対しライセンス料を算定するための情報を提供すべき義務があるから,原告においてかかる情報を提供する必要はなかったと主張する。 しかし,原告が,本件基本契約18条2項に基づき,上記情報を提供する義務を負うことと,Wi-LAN社に上記情報を提供する義務があるか否かは無関係であるから,原告の主張は主張自体失当である。 (ウ) また,原告は,仮に,原告にライセンス料を算定するための情報を提供する義務があったとしても,継続的にコネクサント社やイカノス社へ情報提供を要求していたから,この義務を果たしていたと主張する。 しかし,本件基本契約18条2項に基づく原告の義務は,単なる努力義務ではないし,例えば,被告は,本訴訟において,ライセンス料の算定に関する資料として,①Wi-LAN社の提示した特許のロイヤルティ料率に関する実例,②イカノス社が第三者と締結しているライセンス契約におけるロイヤルティ料率の実例,③訴外Wi-LAN社が提示した特許と同様の特許権に関する標準的なロイヤルティ料率を示す実例そ の他の資料を挙げているところ(これらがおよそ不合理なものとはいえない。),イカノス社が第三者と締結しているライセンス契約におけるライセンス料率の実例はイカノス社に回答を委ねるとしても,本件各特許のライセンス料に関する実例や,本件各特許と同様の特許権に関する標準的なライセンス料率の資料などは,原告において,自ら,又はコネクサント社及びイカノス社以外の他社の協力を仰ぎ,資料の収集,調査等を行うことが不可能なも る実例や,本件各特許と同様の特許権に関する標準的なライセンス料率の資料などは,原告において,自ら,又はコネクサント社及びイカノス社以外の他社の協力を仰ぎ,資料の収集,調査等を行うことが不可能なものとはいえないから,コネクサント社やイカノス社に対して継続的に情報提供を要求しただけではおよそ最善を尽くしたとはいえない。 (エ) 以上によれば,原告は,被告においてWi-LAN社とライセンス契約を締結する場合に備えて,合理的なライセンス料を算定するための資料の提供を怠ったものといえるから,原告には本件基本契約18条2項の違反がある。 3 争点3(相殺の成否)について被告は,被告がWi-LAN社に対してライセンス料2億円の支払を余儀なくされたことと,原告による本件基本契約18条2項違反との間に,相当因果関係がある旨主張する。 しかし,前記1説示のとおり,本件チップセットが本件各特許権の侵害品であるか否かが明らかではない以上,本件ライセンス契約が締結された時点において,客観的に見て,被告においてWi-LAN社との間でライセンス契約を締結すること,及びライセンス料として2億円を支払う必要性があったと認めることはできない。 この点,被告は,Wi-LAN社からライセンス契約を迫られており,差止め及び損害賠償のリスクを回避するためにやむを得なかったと主張するが,本件証拠上,Wi-LAN社から,被告に対し,本件チップセットが本件各特許権の侵害品であることについて,何らかの具体的な根拠を示されたと認めるこ とはできないし,Wi-LAN社が被告にライセンスの申出をしてから,本件ライセンス契約までの約1年3か月の間,Wi-LAN社が被告に対して具体的に何らかの法的手続をとる態度を示した事実も認めることはできない。また,Wi-LAN社は, にライセンスの申出をしてから,本件ライセンス契約までの約1年3か月の間,Wi-LAN社が被告に対して具体的に何らかの法的手続をとる態度を示した事実も認めることはできない。また,Wi-LAN社は,被告に対し,当初の提案において,時間の経過に伴いライセンス料が高額になることを示唆しているものの(上記2(1)イ),一貫して提示するライセンス料の具体的根拠を示しておらず(上記2(1)ウ及びツ),結局のところ,当初の提示額よりも大幅にライセンス料を減額している(上記2(1)ツ)。そうすると,本件ライセンス契約が締結された時点で,被告において,本件チップセットを使用等することによる本件各特許権の侵害の成否や,提示されているライセンス料の根拠が不透明であることを措いて,直ちにライセンス契約を締結しなければならない事情があったと認めることはできない。 なお,被告は,イカノス社において本件チップセットが本件各特許権の侵害品であることを認めていたと主張し,その根拠として,イカノス社が,NEC及び住友電工とWi-LAN社とのライセンス契約の経緯に鑑み,Wi-LAN社の主張が妥当なものである可能性が高いなどと述べていることなどを挙げるが,被告が挙げる事実は,技術分析などの調査を経ずに述べられた単なる見通しにすぎず,直ちにイカノス社において,本件チップセットが本件各特許権の侵害品であることを自認していたことを基礎付けるものと認めることはできない。そもそも,被告自身,本件チップセットが本件各特許の侵害品であるか否かについてのイカノス社の見解が明らかではないからこそ,イカノス社に対し技術分析をするよう求めていたものとみるべきである。その他,被告は,本件各特許がAnnex.Cの制定に関わった富士通の出願に係るものであることや,NECや住友電工がWi-LAN社とライ ノス社に対し技術分析をするよう求めていたものとみるべきである。その他,被告は,本件各特許がAnnex.Cの制定に関わった富士通の出願に係るものであることや,NECや住友電工がWi-LAN社とライセンス契約を締結していたことなど縷々主張するが,いずれも本件ライセンス契約を締結する必要性があったことを直ちに基礎付けるものとはいえない。 上記検討したところによれば,被告は,法的根拠が明らかとは言い難いWi -LAN社の要求に対して,原告の同意のないまま,同要求に任意に従ったにすぎず,法的に見て,ライセンス料2億円の支払を余儀なくされたと評価することは,困難である。 したがって,原告による本件基本契約18条2項違反と,被告の主張に係るライセンス料2億円相当額の損害の全部又は一部との間に相当因果関係を認めることはできないから,被告がした相殺の意思表示に係る自働債権は,その存在の証明がなく,同意思表示は,効力を有しないものというほかはない。 4 原告の売買代金請求権について原告が,平成24年1月6日及び同月13日,被告に対し,本件各物品を納入し,その売買代金が454万6792.40USドルであり,支払期限が同年5月31日であったこと,被告が,同年6月8日,原告に対し,上記売買代金として198万4346.23USドルを支払ったことは前記前提事実(7)のとおりである。そして,上記既払金は,上記売買代金に対する支払期限の翌日である同月1日から同月8日までに発生した商事法定利率年6分の割合による遅延損害5963.01USドル(=4,546,792×0.06×8/366),上記売買代金の元本の順番に充当されるべきものと認められるから,充当後の上記売買代金の残額は,256万8409.18USドルとなる。したがって,原告は,被告に対し,上 92×0.06×8/366),上記売買代金の元本の順番に充当されるべきものと認められるから,充当後の上記売買代金の残額は,256万8409.18USドルとなる。したがって,原告は,被告に対し,上記売買代金の残額である256万8409. 18USドル及びこれに対する同月9日から支払済みまでの年6分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 第5 結論以上によれば,原告の請求はすべて理由があるから,その全部を認容することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 嶋末和秀 裁判官 西村康夫 裁判官 本井修平 構成要件目録1 1 本件特許発明1-1(方法1)1A(方法1)ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を高速データ通信回線として利用し,DMTシンボル10個分の時間を400HzのTCMクロストークの1周期と合わせることなく該DMTシンボルを送信するディジタル加入者線伝送方法において,1B(方法1)ISDNの400Hz位相情報もしくは局側から伝送された400Hz位相情報により,受信したDMTシンボルがFEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを判定するステップと,1C(方法1)該判定結果より受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するステップと,1D(方法1)該算出された各キャリア毎のS/Nから各キャリア毎に伝 1)該判定結果より受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するステップと,1D(方法1)該算出された各キャリア毎のS/Nから各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,FEXT区間用ビットマップを作成するステップとを有し,1E(方法1)該作成されたFEXT区間用ビットマップをスライディングウインドウの内側のビットマップとして使用して,スライディングウインドウの内側のDMTシンボルでデータ伝送を行う1F(方法1)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 2 本件特許発明1-2(方法2) 1G(方法2)ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を高速データ通信回線として利用し,DMTシンボル10個分の時間を400HzのTCMクロストークの1周期と合わせることなく該DMTシンボルを送信するディジタル加入者線伝送方法において,1H(方法2)ISDNの400Hz位相情報もしくは局側から伝送された400Hz位相情報により,受信したDMTシンボルがFEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを判定するステップと,1I(方法2)該判定結果より受信NEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するもしくは受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するステップと,1J(方法2)該算出された各キャリア毎のS/Nから各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,NEXT区間用ビットマップとFEXT区間用ビットマップを作成するステップとを有し,1K(方法2)該作成されたNEXT区間用ビットマップとFEXT区間用ビットマップをスライディングウインドウのそれぞれ 間用ビットマップとFEXT区間用ビットマップを作成するステップとを有し,1K(方法2)該作成されたNEXT区間用ビットマップとFEXT区間用ビットマップをスライディングウインドウのそれぞれ外側と内側のビットマップとして使用してデータ伝送を行う1L(方法2)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 3 本件特許発明1-3(装置1) 1A(装置1)ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を高速データ通信回線として利用し,DMTシンボル10個分の時間を400HzのTCMクロストークの1周期と合わせることなく該DMTシンボルを送信するxDSL装置において,1B(装置1)ISDNの400Hz位相情報もしくは局側から伝送された400Hz位相情報により,受信したDMTシンボルがFEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを判定する位相判定器と,1C(装置1)該位相判定器出力により受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するFEXT区間S/N測定器と,1D(装置1)該FEXT区間S/N測定器の出力から各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,FEXT区間用ビットマップを作成する伝送bit数換算器とを有し,1E(装置1)該作成されたFEXT区間用ビットマップをスライディングウインドウの内側のビットマップとして使用して,スライディングウインドウの内側のDMTシンボルでデータ伝送を行う1F(装置1)ことを特徴とするxDSL装置。 4 本件特許発明1-4(装置2)1G(装置2) ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を高速データ通信回線として利用し,DMTシンボル10個分の時間を40 4 本件特許発明1-4(装置2)1G(装置2) ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける既存の電話回線を高速データ通信回線として利用し,DMTシンボル10個分の時間を400HzのTCMクロストークの1周期と合わせることなく該DMTシンボルを送信するxDSL装置において,1H(装置2)ISDNの400Hz位相情報もしくは局側から伝送された400Hz位相情報により,受信したDMTシンボルがFEXT区間かNEXT区間かそれ以外かを判定する位相判定器と,1I(装置2)該位相判定器出力により受信NEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するNEXT区間S/N測定器および受信FEXT区間シンボルのリファレンス信号点との差を積分して各キャリア毎のS/Nを算出するFEXT区間S/N測定器と,1J(装置2)該NEXT区間S/N測定器の出力およびFEXT区間S/N測定器の出力から各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,NEXT区間用ビットマップおよびFEXT区間用ビットマップを作成する伝送bit数換算器とを有し,1K(装置2)該作成されたNEXT区間用ビットマップおよびFEXT区間用ビットマップをスライディングウインドウのそれぞれ外側と内側のビットマップとして使用してデータ伝送を行う1L(装置2)ことを特徴とするxDSL装置。 構成要件目録2 1 本件特許発明2(方法1)2A(方法1)TCM400Hzの前半のサイクル,後半のサイクルでISDNからの近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける電話回線を経由して,DMTシンボル69個を1つのSuperFrameとし,該SuperFrameの境界を示すSyncSy SDNからの近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける電話回線を経由して,DMTシンボル69個を1つのSuperFrameとし,該SuperFrameの境界を示すSyncSymbolを送信するディジタル加入者線伝送方法において,2B(方法1)前記SuperFrame5個を1つの単位とし,その単位をTCM400Hz(2.5ms)の整数倍に合わせ,2C(方法1)このSuperFrame5個の境界を加入者側に送信するために,4番目のSyncSymbolをインバースSyncSymbolとして,加入者側のFEXT区間に送信する2D(方法1)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 2 本件特許発明2(方法2)2A(方法2)TCM400Hzの前半のサイクル,後半のサイクルでISDNからの近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける電話回線を経由して,DMTシンボル69個を1つのSuperFrameとし,該SuperFrameの境界を示すSyncSymbolを送信するディジタル加入者線伝送方法において, 2B(方法2)前記SuperFrame5個を1つの単位とし,その単位をTCM400Hz(2.5ms)の整数倍に合わせ,2C(方法2)このSuperFrame5個の境界を局側へ通知するために,1番目のSyncSymbolをインバースSyncSymbolとして,局側のFEXT区間に送信する2D(方法2)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 3 本件特許発明2(装置1)2A(装置1)TCM400Hzの前半のサイクル,後半のサイクルでISDNからの近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける電話回線を経由 送方法。 3 本件特許発明2(装置1)2A(装置1)TCM400Hzの前半のサイクル,後半のサイクルでISDNからの近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける電話回線を経由して,DMTシンボル69個を1つのSuperFrameとし,該SuperFrameの境界を示すSyncSymbolを送信するxDSL装置において,2B(装置1)前記SuperFrame5個を1つの単位とし,その単位をTCM400Hz(2.5ms)の整数倍に合わせ,2C(装置1)このSuperFrame5個の境界を加入者側に送信するために,4番目のSyncSymbolをインバースSyncSymbolとして,加入者側のFEXT区間に送信する手段を有する2D(装置1)ことを特徴とするxDSL装置。 4 本件特許発明2(装置2)2A(装置2)TCM400Hzの前半のサイクル,後半のサイクルでISDNからの近端漏話(NEXT)や遠端漏話(FEXT)の影響を受ける電話回線を経由して,DMTシンボル69個を1つのSuperFrameとし,該SuperFrameの境界を示すSyncSymbolを送信するxDSL装置において,2B(装置2)前記SuperFrame5個を1つの単位とし,その単位をTCM400Hz(2.5ms)の整数倍に合わせ,2C(装置2)このSuperFrame5個の境界を局側へ通知するために,1番目のSyncSymbolをインバースSyncSymbolとして,局側のFEXT区間に送信する手段を有する2D(装置2)ことを特徴とするxDSL装置。 構成要件目録3 1 本件特許発明3(方法)3A(方法)電話回線を高速データ通信 側のFEXT区間に送信する手段を有する2D(装置2)ことを特徴とするxDSL装置。 構成要件目録3 1 本件特許発明3(方法)3A(方法)電話回線を高速データ通信回線として利用してデータ通信するディジタル加入者線伝送方法において,3B(方法)通信を行うためのトレーニング中に,受信したDMTシンボルが,NEXT(近端漏話)区間もしくはFEXT区間(遠端漏話)に完全に入らないDMTシンボルをS/N測定対象外とし,NEXT区間に入っているDMTシンボルを用いて,NEXT区間でのS/N測定し,FEXT区間に入っているDMTシンボルを用いて,FEXT区間でのS/N測定するステップを有する3C(方法)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 2 本件特許発明3(装置)3A(装置)xDSL装置において,3B(装置)通信を行うためのトレーニング中に,受信したDMTシンボルが,NEXT(近端漏話)区間もしくはFEXT区間(遠端漏話)に完全に入らないDMTシンボルをS/N測定対象外とし,NEXT区間に入っているDMTシンボルを用いて,NEXT区間でのS/N測定し,FEXT区間に入っているDMTシンボルを用いて,FEXT区間でのS/N測定する測定手段を有する 3C(装置)ことを特徴とするxDSL装置。 構成要件目録4 1 本件特許発明4-1(方法1)4A(方法1)電話回線を高速データ通信回線として利用してDMTシンボルを用いて通信するためのトレーニングを行うディジタル加入者線伝送方法において,4B(方法1)スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を相手側へ通知するシンボルとして,そのシンボルの4値QAM信号点が90°異な ニングを行うディジタル加入者線伝送方法において,4B(方法1)スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を相手側へ通知するシンボルとして,そのシンボルの4値QAM信号点が90°異なるシンボルを伝送する4C(方法1)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 2 本件特許発明4-2(方法2)4D(方法2)電話回線を高速データ通信回線として利用してDMTシンボルを用いて通信するためのトレーニングを行うディジタル加入者伝送方法において,4E(方法2)相手側からの前記DMTシンボルを復調し,90°異なる位相差を持つ2種類の信号点を用いて,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を検出する4F(方法2)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 3 本件特許発明4-3(方法3)4G(方法3) 電話回線を高速データ通信回線として利用してDMTシンボルを用いて通信するためのトレーニングを行うディジタル加入者線伝送方法において,4H(方法3)スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を通知するDMTシンボルとして,特定の周波数キャリアを選択して,4QAMの信号点のうち,位相を90°ずらした2つの信号点を変調して伝送する4I(方法3)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 4 本件特許発明4-5(方法4)4M(方法4)電話回線を高速データ通信回線として利用してDMTシンボルを用いて通信するためのトレーニングを行うディジタル加入者線伝送方法において,4N(方法4)受信したDMTシンボルを復調し,90°異なる位相差を持つ2種類の信号点を用いて,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を識別する4O(方法4) 法において,4N(方法4)受信したDMTシンボルを復調し,90°異なる位相差を持つ2種類の信号点を用いて,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を識別する4O(方法4)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 5 本件特許発明4-6(装置3)4G(装置3)xDSL装置において,4H(装置3)スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を通知するDMTシンボルとして,特定の周波数キャリアを選択して,4QAMの信号点 のうち,位相を90°ずらした2つの信号点を変調して伝送する手段を有する4I(装置3)ことを特徴とするxDSL装置。 6 本件特許発明4-8(装置4)4M(装置4)xDSL装置において,4N(装置4)受信したDMTシンボルを復調し,90°異なる位相差を持つ2種類の信号点を用いて,スライディングウィンドウのNEXT区間とFEXT区間を識別する手段を有する4O(装置4)ことを特徴とするxDSL装置。 構成要件目録5 5A(方法)ISDNピンポン伝送からの漏話の影響を受ける電話回線を高速データ通信回線として利用して,DMTシンボル69個を1つのSuperFrameとし,このSuperFrame5個を1つの単位とし,400Hz(2.5ms)の整数倍と合わせて,246μsの1DMTシンボルで伝送するディジタル加入者線伝送方法において,5B(方法)1シンボル目のDMTシンボルが400Hzの先頭に同期している場合,400Hz1周期のサンプル数である2760サンプルにおけるN個目のシンボルの先頭を示すサンプルの値が,加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にシンボル全てが入るシンボルの先頭を示すサンプ ,400Hz1周期のサンプル数である2760サンプルにおけるN個目のシンボルの先頭を示すサンプルの値が,加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にシンボル全てが入るシンボルの先頭を示すサンプルの値より小さい,又はFEXT区間を示すサンプルの値(a)と加入者側NEXT区間を示すサンプル値の(b)を加算したサンプル値を超えた場合,そのN番目のシンボルがFEXTの区間に該当し,該2760サンプル中のN個目のシンボルの先頭を示すサンプル値が,加入者側FEXT区間を示すサンプル値(a)内にサンプルのシンボル全てが入るシンボルの先頭を示すサンプル値以上でFEXT区間を示すサンプル値(a)と加入者側NEXT区間を示すサンプル値(b)を加算したサンプル値以下なら,そのN番目のシンボルがNEXTの区間に該当することを識別する5C(方法)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 構成要件目録6 1 本件特許発明6-1(方法)6A(方法)ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける電話回線を高速データ通信回線として利用してデータ通信を行うディジタル加入者線伝送方法において,6B(方法)FEXT区間のみデータ伝送する方式でのスライディング・ウインドの外側のシンボルとして,パイロット・トーンを送信する6C(方法)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 2 本件特許発明6-2(装置)6A(装置)ISDNピンポン伝送の漏話雑音の影響を受ける電話回線を高速データ通信回線として利用してデータ通信を行うxDSL装置において,6B(装置)FEXT区間のみデータ伝送する方式でのスライディング・ウインドの外側のシンボルとして,パイロット・トーンを送信する手段6C(装置)を有することを特徴 xDSL装置において,6B(装置)FEXT区間のみデータ伝送する方式でのスライディング・ウインドの外側のシンボルとして,パイロット・トーンを送信する手段6C(装置)を有することを特徴とするxDSL装置。 構成要件目録7 1 本件特許発明7-1(方法1)7A(方法1)電話回線を高速データ通信回線として利用して通信するディジタル加入者線伝送方法において,7B(方法1)通信を開始するために行うトレーニング中に,受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニングシーケンスの切り換えを示す信号を送信する7C(方法1)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 2 本件特許発明7-2(方法2)7A(方法2)電話回線を高速データ通信回線として利用して通信するディジタル加入者線伝送方法において,7B(方法2)通信を開始するために行うトレーニング中に,受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニングシーケンスの切り換えを示す信号の先頭を送信する7C(方法2)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 3 本件特許発明7-3(方法3)7A(方法3) 電話回線を高速データ通信回線として利用して通信するディジタル加入者線伝送方法において,7B(方法3)通信を開始するために行うトレーニング中に,受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニングシーケンスの切り換えを示すシンボルの先頭を送信する7C(方法3)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 4 本件特許発明7-4(装置1)7A(装置1)xDSL装置において,7B(装置1)通信を開始するため を送信する7C(方法3)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 4 本件特許発明7-4(装置1)7A(装置1)xDSL装置において,7B(装置1)通信を開始するために行うトレーニング中に,受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニングシーケンスの切り換えを示す信号を送信する手段を有する7C(装置1)ことを特徴とするxDSL装置。 5 本件特許発明7-5(装置2)7A(装置2)xDSL装置において,7B(装置2)通信を開始するために行うトレーニング中に,受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニングシーケンスの切り換えを示す信号を送信する手段を有する 7C(装置2)ことを特徴とするxDSL装置。 6 本件特許発明7-6(装置3)7A(装置3)xDSL装置において,7B(装置3)通信を開始するために行うトレーニング中に,受信側がFEXT区間に受信できるようなタイミングで,送信側からトレーニングシーケンスの切り換えを示すシンボルの先頭を送信する手段を有する7C(装置3)ことを特徴とするxDSL装置。 構成要件目録8 1 本件特許発明8-1(方法)8A(方法)TCM-ISDNからのノイズ環境下におけるトランシーバトレーニングを行うディジタル加入者線伝送方法において,8B(方法)シングルビットマップでイニシャライゼーションを行う場合,スライディングウィンドウのFEXT区間のみでトレーニングを行う8C(方法)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 2 本件特許発明8-2(装置)8A(装置)TCM-ISDNからのノイズ環境下における電話回 T区間のみでトレーニングを行う8C(方法)ことを特徴とするディジタル加入者線伝送方法。 2 本件特許発明8-2(装置)8A(装置)TCM-ISDNからのノイズ環境下における電話回線をデータ通信回線として利用するADSL装置において,8B(装置)ADSL装置のトレーニング時,スライディングウィンドウのFEXT区間のみ,ADSL装置の信号を送出する手段8C(装置)を有することを特徴とするADSL装置。 構成要件目録9 9A既存の電話回線を介して局側の装置と加入者側の装置が通信を行うディジタル加入者線伝送システムにおいて,9B局側装置(ATU-C),加入者側装置(ATU-R)それぞれ独立したハイパーフレームカウンタ(501)を有し,9CそのハイパーフレームカウンタがDMTシンボルクロックを連続して所定回数カウントすることでDMTシンボル数のカウントを行い,カウント値を用いてスライディングウインドウDEC(503)によりスライディングウインドウのFEXTR,NEXTR,FEXTC,NEXTCの区間の特定を行う手段9Dを有することを特徴とするディジタル加入者線伝送システム。 本件製品等構成目録1 1 本件DSLAM1aTCM-ISDNのデータ・ストリームは,TTR期間に送信され,CO(局舎)は,TTR期間の前半にストリームを送信し,RT(宅内)は,TTR期間の後半に送信するため,本件DSLAMは,TTR期間の前半にISDNからNEXTノイズを受け,TCM-ISDN期間の後半にISDNからFEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用してDMTシンボルを送信する。 本件DSLAMが送信するDMTシンボルは,345個のDMTシンボルがTTRの32周 M-ISDN期間の後半にISDNからFEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用してDMTシンボルを送信する。 本件DSLAMが送信するDMTシンボルは,345個のDMTシンボルがTTRの32周期と一致している。 1b局側から受信したTTRと5つのスーパーフレームと同期させ(TTRと同期した5つのスーパーフレームを「ハイパーフレーム」という),ハイパーフレームは,0から344までの番号が振られた345個のDMTシンボルから構成される。本件DSLAMは,次の式により,受信したNdmt番目のDMTシンボルが,FEXTC区間かNEXTC区間かそれ以外かを判定する。 1c本件DSLAMは,FEXTビットマップ・モードの場合,受信されたFEXTCシンボルからSN比を算出する。 1d本件DSLAMは,前記算出されたSN比から,各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,FEXT区間用ビットマップ(ビットマップ-FC)を作成し,ADSLモデムに送信する。 1eFEXTビットマップ・モードを選択した場合,ADSLモデムは,受信したビットマップ-FCをFEXTCシンボルのビットマップとして使用して,FEXTCシンボルでデータ伝送を行う。 1gTCM-ISDNのデータ・ストリームは,TTR期間に送信され,CO(局舎)は,TTR期間の前半にストリームを送信し,RT(宅内)は,TTR期間の後半に送信するため,本件DSLAMは,TTR期間の前半にISDNからNEXTノイズを受け,TCM-ISDN期間の後半にISDNからFEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用してDMTシンボルを送信する。 本件DSLAMが送信するDMTシンボルは,345個のDMTシンボルがTTRの32周期と一致している。(以上構成1aと同じ) ノイズを受ける既存の電話回線を利用してDMTシンボルを送信する。 本件DSLAMが送信するDMTシンボルは,345個のDMTシンボルがTTRの32周期と一致している。(以上構成1aと同じ)1h局側から受信したTTRと5つのスーパーフレームと同期させ(TTRと同期した5つのスーパーフレームを「ハイパーフレーム」という),ハイパーフレームは,0から344までの番号が振られた345個のDMTシンボルから構成される。本件DSLAMは,次の式により,受信したNdmt番目のDMTシンボルが,FEXTC区間かNEXTC区間かそれ以外かを判定する。 1i本件DSLAMは,デュアルビットマップ・モードの場合,受信されたFEXTCシンボル及びNEXTCシンボルからSN比を算出する。 1j本件DSLAMは,前記算出されたSN比から,各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,NEXT区間用ビットマップ(ビットマップ-NC)とFEXT区間用ビットマップ(ビットマップ-FC)を作成し,ADSLモデムに送信する。 1kデュアルビットマップ・モードを選択した場合,ADSLモデムは,受信したビットマップ-NC及びビットマップ-FCを,NEXTCシンボル及びFEXTCシンボルのビットマップとして使用して,NEXTCシンボル及びFEXTCシンボルでデータ伝送を行う。 2 本件ADSLモデム1a’TCM-ISDNのデータ・ストリームは,TTR期間に送信され,CO(局舎)は,TTR期間の前半にストリームを送信し,RT(宅内)は,TTR期間の後半に送信するため,本件ADSLモデムは,TTR期間の前半にISDNからFEXTノイズを受け,TTR期間の後半にISDNからNEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用してDMTシンボルを TR期間の後半に送信するため,本件ADSLモデムは,TTR期間の前半にISDNからFEXTノイズを受け,TTR期間の後半にISDNからNEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用してDMTシンボルを送信する。 本件ADSLモデムが送信するDMTシンボルは,345個のDMTシンボルがTTRの32周期と一致している。 1b’DSLAMから受信したTTRと5つのスーパーフレームと同期させ(TTRと同期した5つのスーパーフレームを「ハイパーフレーム」という),ハイパーフレームは,0から344までの番号が振られた345個のDMTシンボルから構成される。本件ADSLモデムは,次の計算式により,受信したNdmt番目のDMTシンボルが,FEXTR区間かNEXTR区間かそれ以外かを判定する。 1c’本件ADSLモデムは,FEXTビットマップ・モードの場合,受信されたFEXTRシンボルからSN比を算出する。 1d’本件ADSLモデムは,前記算出されたSN比から,各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,FEXT区間用ビットマップ(ビットマップ-FR)を作成し,DSLAMに送信する。 1e’FEXTビットマップ・モードを選択した場合,DSLAMは,受信したビットマップ-FRをFEXTRシンボルのビットマップとして使用して,FEXTRシンボルでデータ伝送を行う。 1g’TCM-ISDNのデータ・ストリームは,TTR期間に送信され,CO (局舎)は,TTR期間の前半にストリームを送信し,RT(宅内)は,TTR期間の後半に送信するため,本件ADSLモデムは,TTR期間の前半にISDNからFEXTノイズを受け,TTR期間の後半にISDNからNEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用してDMTシンボルを送信する 後半に送信するため,本件ADSLモデムは,TTR期間の前半にISDNからFEXTノイズを受け,TTR期間の後半にISDNからNEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用してDMTシンボルを送信する。 本件ADSLモデムが送信するDMTシンボルは,345個のDMTシンボルがTTRの32周期と一致している。 1h’DSLAMから受信したTTRと5つのスーパーフレームと同期させ(TTRと同期した5つのスーパーフレームを「ハイパーフレーム」という),ハイパーフレームは,0から344までの番号が振られた345個のDMTシンボルから構成される。本件ADSLモデムは,次の計算式により,受信したNdmt番目のDMTシンボルが,FEXTR区間かNEXTR区間かそれ以外かを判定する。(以上構成1b’と同じ) 1i’本件ADSLモデムは,デュアルビットマップ・モードの場合,受信されたFEXTRシンボル及びNEXTRシンボルからSN比を算出する。 1j’本件ADSLモデムは,前記算出されたSN比から,各キャリア毎に伝送するビット数を算出し,NEXT区間用ビットマップ(ビットマップ-NR)とFEXT区間用ビットマップ(ビットマップ-FR)を作成し,DSLAMに送信する。 1k’デュアルビットマップ・モードを選択した場合,DSLAMは,受信したビットマップ-NR及びビットマップ-FRを,NEXTRシンボル及びFEXTRシンボルのビットマップとして使用して,NEXTRシンボル及びFEXTRシンボルでデータ伝送を行う。 本件製品等構成目録2 1 本件DSLAM2a(1)TCM-ISDN期間の前半にISDNからNEXTノイズを受信し,TCM-ISDN期間の後半にISDNからFEXTノイズを受信する電話回線 本件製品等構成目録2 1 本件DSLAM2a(1)TCM-ISDN期間の前半にISDNからNEXTノイズを受信し,TCM-ISDN期間の後半にISDNからFEXTノイズを受信する電話回線を経由して,DMTシンボル69個を1つのスーパーフレームとし,当該スーパーフレームの境界を示すシンクシンボルを送信する本件チップセットを搭載したDSLAMであり,2b(1)前記スーパーフレーム5つをハイパーフレームとし,当該ハイパーフレームはTCM-ISDN期間の34倍に合わせており,2c(1)このハイパーフレームの境界を示すため,4番目のスーパーフレームにインバースシンクシンボルを使用して加入者側のFEXT区間に送信する,2d(1) ことを特徴とする本件チップセットを搭載したDSLAM。 2 本件ADSLモデム2a(2)TCM-ISDN期間の前半にISDNからFEXTノイズを受信し,TCM-ISDN期間の後半にISDNからNEXTノイズを受信する電話回線を経由して,DMTシンボル69個を1つのスーパーフレームとし,当該スーパーフレームの境界を示すシンクシンボルを送信する本件チップセットを搭載したADSLモデムであり,2b(2)前記スーパーフレーム5つをハイパーフレームとし,当該ハイパーフレー ムはTCM-ISDN期間の34倍に合わせており,2c(2)このハイパーフレームの境界を示すため,1番目のスーパーフレームにインバースシンクシンボルを使用して局側のFEXT区間に送信する,2d(2)ことを特徴とする本件チップセットを搭載したADSLモデム。 本件製品等構成目録3 1 本件DSLAM3a(1)電話回線を使い高速データ通信を行う技術であるADSLを用いて,デ を特徴とする本件チップセットを搭載したADSLモデム。 本件製品等構成目録3 1 本件DSLAM3a(1)電話回線を使い高速データ通信を行う技術であるADSLを用いて,データ通信を行う本件チップセットを搭載したDSLAMにおいて,3b(1)通信を行うためのトレーニング中に,DSLAMに搭載された本件チップセットによりSN比を測定する場合において,受信したDMTシンボルが,DSLAM側からみたFEXT区間及びNEXT区間に完全に入らないDMTシンボルを使用せず,NEXT区間に入っているDMTシンボルを用いてNEXT区間のSN比を測定し,FEXT区間に入っているDMTシンボルを用いて,FEXT区間でのSN比を測定する3c(1)ことを特徴とする伝送方法を行う装置。 2 本件ADSLモデム3a(2)電話回線を使い高速データ通信を行う技術であるADSLを用いて,データ通信を行う本件チップセットを搭載したADSLモデムにおいて,3b(2)通信を行うためのトレーニング中に,ADSLモデムに搭載された本件チップセットによりSN比を測定する場合において,受信したDMTシンボルが,DSLAM側からみたFEXT区間及びNEXT区間に完全に入らないDMTシンボルを使用せず,NEXT区間に入っているDMTシンボルを用いてNEXT区間のSN比を測定し,FEXT区間に入っているD MTシンボルを用いて,FEXT区間でのSN比を測定する3c(2)ことを特徴とする伝送方法を行う装置。 本件製品等構成目録4 1 本件DSLAM4a本件DSLAMは,非対称デジタル加入者線(ADSL)の送受信機であり,DMTシンボルを用いて通信をするためのトレーニングを行う。 4b 本件製品等構成目録4 1 本件DSLAM4a本件DSLAMは,非対称デジタル加入者線(ADSL)の送受信機であり,DMTシンボルを用いて通信をするためのトレーニングを行う。 4b本件DSLAMは,トレーニングシーケンス「C-Pilot1」の際に,スライディング・ウィンドウのFEXTR区間内のシンボルであるFEXTRシンボルを示す座標(+,+)のDMTシンボルを送信し,また,スライディング・ウィンドウのNEXTR区間内のシンボルであるNEXTRシンボルを示す座標(+,-)のDMTシンボルを送信する。FEXTRシンボル及びNEXTRシンボルは,プロファイル1及び2の場合は48番目のキャリア,プロファイル4~6の場合は48番目のキャリア又は24番目のキャリアを選択して当該各座標をエンコード(変調)して伝送する。 2 本件ADSLモデム4d本件ADSLモデムは,非対称デジタル加入者線(ADSL)の送受信機(xDSL装置)であり,DMTシンボルを用いて通信をするためのトレーニングを行う。 4e本件ADSLモデムは,DSLAMから伝送されたスライディング・ウィンドウのFEXTR区間内のシンボルであるFEXTRシンボルを示す座標(+,+)のDMTシンボル,及び,スライディング・ウィンドウのN EXTR区間内のシンボルであるNEXTRシンボルを示す座標(+,-)のDMTシンボルからTTRCの位相情報を検出する。本件ADSLモデムは当該位相情報から,NEXTC区間とFEXTC区間を検出する。 本件製品等構成目録5 5aTCM-ISDNのデータ・ストリームは,TTR期間に送信され,CO(局舎)は,TTR期間の前半にストリームを送信し,RT(宅内)は,TTR期間の後半に送信するため, 製品等構成目録5 5aTCM-ISDNのデータ・ストリームは,TTR期間に送信され,CO(局舎)は,TTR期間の前半にストリームを送信し,RT(宅内)は,TTR期間の後半に送信するため,本件DSLAMは,TTR期間の前半にISDNからNEXTノイズを受け,TCM-ISDN期間の後半にISDNからFEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用して通信する非対称ディジタル加入者線伝送を行う送受信機(ADSL装置)である。 本件DSLAMからADSLモデムへの伝送にはハイパーフレーム構造が用いられる。ハイパーフレームは,5つのスーパーフレームから構成されており,1つのスーパーフレームは,69個のDMTシンボルから構成されている。1DMTシンボルの長さは264μsである。スーパーフレーム5個分85msは,TTRクロック(=2.5ms)の34倍と一致する。 5b本件DSLAMは,C-PILOT1に入った直後に,NSWF(スライディング・ウィンドウ・フレーム)カウンタを0から開始し,各DMTシンボルの送信の後にNSWFカウンタをモジュロ345でインクリメントする。ハイパーフレームは,0から344までの番号が振られた345個のDMTシンボルから構成される。ハイパーフレームの先頭のDMTシンボルは,TTRの先頭に同期している。 本件DSLAMでは,以下の計算式に基づき,送信するDMTシンボルがFEXTRシンボルなのか,NEXTRシンボルであるかを識別する。 本件製品等構成目録6 6aTCM-ISDNのデータ・ストリームは,TTR期間に送信され,CO(局舎)は,TTR期間の前半にストリームを送信し,RT(宅内)は,TTR期間の後半に送信するため,本件DSLAMは,TTR期間の前半にISDNからNE タ・ストリームは,TTR期間に送信され,CO(局舎)は,TTR期間の前半にストリームを送信し,RT(宅内)は,TTR期間の後半に送信するため,本件DSLAMは,TTR期間の前半にISDNからNEXTノイズを受け,TCM-ISDN期間の後半にISDNからFEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用して通信する非対称ディジタル加入者線伝送を行う送受信機(ADSL装置)である。 6b 本件DSLAMは,ビットマップ-NRが無効(FEXTビットマップ・モード)の場合,NEXTRシンボルとしてパイロット・トーンを送信する 本件製品等構成目録7 7a本件DSLAMは,既存の電話回線を高速データ通信回線として利用して通信する非対称ディジタル加入者線伝送を行う送受信機(xDSL装置)である。 7b本件DSLAMは,通信を開始するためのトレーニングを行う。 本件DSLAMは,トレーニングにおける各シーケンスのうち,C-RATES1の最初のシンボルをハイパーフレームの初めと同期し,C-RATES1に入るタイミングをADSLモデムに知らせるため,C-SEGUE1の最初のシンボルをFEXTR区間内に送信する。 本件製品等構成目録8 1 本件DSLAM8aTCM-ISDNのデータ・ストリームは,TTR期間に送信され,CO(局舎)は,TTR期間の前半にストリームを送信し,RT(宅内)は,TTR期間の後半に送信するため,本件DSLAMは,TTR期間の前半にISDNからNEXTノイズを受け,TCM-ISDN期間の後半にISDNからFEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用して通信する非対称ディジタル加入者線伝送を行う送受信機(ADSL装置)である。 本件DSLAMは,かかる環境下において,送受信機トレーニン にISDNからFEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用して通信する非対称ディジタル加入者線伝送を行う送受信機(ADSL装置)である。 本件DSLAMは,かかる環境下において,送受信機トレーニングを行う。 8b本件DSLAMは,プロファイル3によりイニシャライゼーションを行う場合,送受信機トレーニングにおいてNEXTRシンボルの中で信号を送信せず,FEXTRシンボルの中でのみ信号を送信する。 2 本件ADSLモデム8a’TCM-ISDNのデータ・ストリームは,TTR期間に送信され,CO(局舎)は,TTR期間の前半にストリームを送信し,RT(宅内)は,TTR期間の後半に送信するため,本件ADSLモデムは,TTR期間の前半にISDNからFEXTノイズを受け,TTR期間の後半にISDNからNEXTノイズを受ける既存の電話回線を利用して通信する非対称ディジタル加入者線伝送を行う送受信機(ADSL装置)である。 本件ADSLモデムは,かかる環境下において,送受信機トレーニングを行う。 8b’本件ADSLモデムは,FEXTビットマップ・モードでイニシャライゼーションを行う場合に,送受信機トレーニングにおいてNEXTCシンボルの中で信号を送信せず,FEXTCシンボルの中でのみ信号を送信する。 本件製品等構成目録9 9a既存の電話回線を介して本件DSLAMと本件ADSLモデムが通信を行う非対称ディジタル加入者線伝送システムにおいて,9b・c本件DSLAMは,C-PILOT1に入った直後に,NSWF(スライディング・ウィンドウ・フレーム)カウンタを0から開始し,各DMTシンボルの送信の後にNSWFカウンタをモジュロ345でインクリメントする。スライディング・ウィンドウ機能とこのカウ NSWF(スライディング・ウィンドウ・フレーム)カウンタを0から開始し,各DMTシンボルの送信の後にNSWFカウンタをモジュロ345でインクリメントする。スライディング・ウィンドウ機能とこのカウンタに従って,本件DSLAMは,FEXTRまたはNEXTRのいずれかのシンボルで,後続のシンボルをすべて送信することを決定する。 本件ADSLモデムは,R-REVERB1に入った直後に,そのNSWFカウンタを開始し,各DMTシンボルの送信の後にNSWFカウンタを0からモジュロ345でインクリメントする。スライディング・ウィンドウとこのカウンタに従って,本件ADSLモデムは,FEXTCまたはNEXTCのいずれかのシンボルで,後続のシンボルをすべて送信することを決定する。 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 【図5】 【図6】 CO(局舎) 0 ≤ 伝播遅延 ≤ 16 UI受信ISDN送信ISDN受信ISDN送信ISDN 【図7】 CO(局舎) 0 ≤ 伝播遅延 ≤ 16 UI受信ISDN送信ISDN受信ISDN送信ISDN 受信されたTTRC 0 ≤ 伝播遅延 ≤ 18.5 UI FEXTR 【図8】 【図9】 ハイパーフレーム=345シンボル漏話区間ATU-CTフレームスライディング・ウィンドウ・バッファスライディング・ウィンドウ 【図10】 【図11】 U-CTフレームスライディング・ウィンドウ・バッファスライディング・ウィンドウ
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