昭和38(う)131 宅地建物取引業法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和39年10月8日 広島高等裁判所 岡山支部
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴を棄却する。          理    由  弁護人佐々木禄郎、同小野実雄の控訴の趣意は記録編綴の各控訴趣意書記載のと おりであるから、ここにこれを引用する。  これ

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判決文本文3,321 文字)

主文 本件控訴を棄却する。 理由 弁護人佐々木禄郎、同小野実雄の控訴の趣意は記録編綴の各控訴趣意書記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。 これに対する当裁判所の判断は次のとおりである。 佐々木弁護人の論旨第一の(一)の点及び小野弁護人の論旨第一点(いずれも法令適用の誤の主張)について。 所論は、いずれも要するに、「原判決は、被告人の本件媒介行為をもつて、宅地建物取引業法第一二条第一項に違反し、同法第二四条第二号に該当するものと判断しているけれども、本件において、被告人が売買の媒介をなした土地は、いずれも農地であつて、同法第二条第一号にいわゆる宅地ではないのであるから、被告人の右媒介行為は、同法による規制の対象に属せず、本件は、罪とならない場合に該当するにもかかわらず、これを有罪とした原判決は、法令の解釈、適用を誤つたものである」というにある。 よつて按ずるに、被告人が昭和三三年八月頃から昭和三六年一月頃までの間、前後一二回にわたり、原判示のように、売買の媒介をなした土地がいずれも農地であつたこと、右売買に当り、各当事者は、該農地を宅地に転用せんがための所有権の移転につき、農地法所定の手続を経て、県知事の許可を受けたこと、而して、被告人は、宅地建物取引業者としての所定の登録を受けていたものでないことは、記録上明らかである。ところで、原判決は、被告人の右媒介行為をもつて、宅地建物取引業法第一二条第一項に違反し、同法第二四条第二号に該当すものと判断しているものであるところ、所論は、被告人が売買の媒介をなした土地は、いずれも農地であり、従つて、同法第二条第一号にいわゆる宅地ではないということを前提として、無罪を主張するにあるのであるが、抑も、宅地建物取引業を営む者の登録を実施し、その事 の媒介をなした土地は、いずれも農地であり、従つて、同法第二条第一号にいわゆる宅地ではないということを前提として、無罪を主張するにあるのであるが、抑も、宅地建物取引業を営む者の登録を実施し、その事業に対し必要な規制を行い、もつてその業務の適正な運営を図ることにより、宅地及び建物の利用を促進することが同法の目的であることは、同法第一条において明示されているところであつて、結局、その主眼とするところは、終戦後の急激なる住宅事情の悪化に伴い、宅地及び建物の取引を業とすると者が激増する共に、往々、悪徳業者が横行して、不正の利益を貪る等まことに目に余るもののあつた実情に鑑み、宅地建物取引業を営む者の登録の実施によつて、かかる悪徳業者の介入を排除し、且、これを厳重に取締つて、宅地及び建物の取引の公正を確保し、もつて国民生活の安定を図らんとするにあるものであることは、更にいうまでもない。さて、同法第二条第一号によれば、同法にいわゆる宅地とは、建物の敷地に供せられる土地をいうものと定義されているのであるが、同法の右のよ<要旨>うな立法目的より考察すれば、同法にいわゆる宅地の中には、現に、建物の敷地として使用されているか否を</要旨>問わず、公簿上の地目が宅地となつているすべての土地が含まれるのは勿論のこと、公簿上の地目が宅地となつていない土地でも、苟くも、建物の敷地として使用する目的をもつて取引されたものである限り、これ亦同法にいわゆる宅地の中に含まれるものと解するのが相当である。即ち、たとえ、売買その他の取引の目的物たる土地が農地である場合でも、その例外たり得るものでなく、右同様に解すべきものであることは当然であつて、農地法上農地を宅地に転用せんがための権利移動について制限が設けられているからとて、これを根拠として、該土地の宅地性を否定すべきではな 得るものでなく、右同様に解すべきものであることは当然であつて、農地法上農地を宅地に転用せんがための権利移動について制限が設けられているからとて、これを根拠として、該土地の宅地性を否定すべきではない。本件についてこれをみるに、被告人が原判示のように売買の媒介をなした農地は、いずれも建物の敷地として使用する目的でその取引がなされたものであつて、現に、各買主において、既にいずれもこれを宅地となし、工場、住宅等の敷地として使用していることは、原判決挙示の各証拠によつて明らかであるから、右売買当時、該農地は、いずれも宅地建物取引業法にいわゆる宅地の中に含まれる土地であつたものと断ぜざるを得ない。而して、被告人は、業として本件媒介行為を行つたものであるとの原判決の判断の相当であることは、後段において説示するとおりであるから、如上の判断と同趣旨に出で、被告人の原判示所為をもつて、宅地建物取引業法第一二条第一項に違反し、同法第二四条第二号に該当するものとした原判決の判断は相当であつて、原判決には、所論にいうが如き法令適用の誤はないから、論旨は、いずれも理由がない。 佐々木弁護人の論旨第一の(二)の点(法令適用の誤の主張)及び小野弁護人の論旨第二点(事実誤認の主張)について。 所論は、いずれも要するに、「原判決は、被告人の本件媒介行為をもつて、宅地建物取引業を営んだものと認定し、宅地建物取引業法第二四条第二号を適用して処断したものであるけれども、被告人としては、反覆継続の意思を有していたものではなく、又、当初から、報酬を得る目的があつた訳でもないから、被告人は、業として本件媒介行為を行つたものであるということはできない。このことは、本件媒介行為がいずれも被告人の知己からの依頼に基づくものであり、又、被告人の住居地周辺地域内においてのみなされたもので は、業として本件媒介行為を行つたものであるということはできない。このことは、本件媒介行為がいずれも被告人の知己からの依頼に基づくものであり、又、被告人の住居地周辺地域内においてのみなされたものであることからしても明らかである。然るに被告人のかかる所為をもつて、宅地建物取引業を営んだものと認定処断した原判決には、事実の誤認或は法令適用の誤がある」というにある。 しかしながら、原判決挙示の各証拠により、被告人の本件媒介行為は、昭和三三年八月中一回、昭和三四年二月から同年八月までの期間中六回、昭和三五年四月から同年一一月までの期間中四回、昭和三六年一月中一回、以上前後一二回にわたりなされたものであることが明らかであり、その他、被告人の本件媒介行為の態様、その報酬を受領した際の状況及びその金額等右各証拠を綜合して認められる諸般の情況に照し、被告人の本件媒介行為については、いわゆる営業犯の構成要件としての反覆性、継続性に欠けるところはないものと断ぜざるを得ない。然らば、これと同趣旨に出でた原判決の判断は相当であつて、記録を精査しても、原判決には、所論の如き事実誤認のかどはないし、又、何等法令適用の誤もないから、論旨はいずれも理由がない。 佐々木弁護人の論旨第二点及び小野弁護人の論旨第三点(いずれも量刑不当の主張)について。 所論は、いずれも原判決の量刑不当を主張し、「本件は、罰金刑のみをもつて処断するのが相当である」というにある。 よつて、記録を精査し、本件媒介行為の態様、回数、被告人の受領せる報酬の金額等に関する諸点の外、犯行当時、被告人は、岡山市農業委員会委員たる地位に在つたものであること等記録に現われた諸般の情状を考慮すれば、原審が懲役刑と罰金刑を併料したことは相当な措置であつて、又、その科刑も相当であるというべく、所論の被告人に 山市農業委員会委員たる地位に在つたものであること等記録に現われた諸般の情状を考慮すれば、原審が懲役刑と罰金刑を併料したことは相当な措置であつて、又、その科刑も相当であるというべく、所論の被告人に有利な諸事情を参酌しても、なお原判決の量刑が重きに失し不当であるということはできないから、論旨はいずれも採用し難い。 よつて、刑事訴訟法第三九六条により、本件控訴を棄却すべく、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官組原政男裁判官西尾政義裁判官谷口貞)

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