平成9(行ウ)20 文書非公開処分取消事件

裁判年月日・裁判所
平成11年1月28日 静岡地方裁判所 情報公開
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判決文本文20,427 文字)

主文 一被告が原告に対して平成九年七月二四日付けでした別紙文書目録一記載の文書を開示しないとの処分のうち同目録記載の(一)及び(二)(1)を開示しないとする部分を取消す。 二被告が原告に対して平成九年七月二五日付けでした別紙文書目録二記載の文書を開示しないとの処分のうち同目録記載の1(一)及び2(一)を開示しないとする部分を取消す。 三原告のその余の請求を棄却する。 四訴訟費用は、これを五分し、その一を原告の、その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第一請求被告が原告に対し、平成九年七月二四日及び同月二五日付けでした別紙文書目録一、二記載の文書部分を開示しないとの処分をいずれも取消す。 第二事案の概要本件は、原告が、平成九年七月一一日、被告に対し、静岡県公文書の開示に関する条例(以下「本件条例」という。)に基づき、静岡県財政課及び東京事務所(以下「財政課」ないし「東京事務所」という。)の別紙文書目録一、二記載の文書部分を含む四件の食料費支出に係る文書(支出負担行為伺、支出票、請求書)の公開を請求したところ、被告が、右文書のうち、別紙文書目録一及び同目録二記載の部分(以下「本件文書部分一」、「本件文書部分二」という。)を開示しないとの決定をしたので、右決定のうち非開示とした部分の取消しを求めた事案である。 一前提となる事実等(証拠を掲記していない事実は、当事者間に争いがない。) 1 当事者原告は、静岡県の住民であり、本件条例五条に基づく公文書の開示請求権者であり、被告は、本件条例二条の実施機関である。 2 本件条例本件条例のうち、本件に関する部分は次のとおりである。 (目的)一条この条例は、県民の公文書の開示を求める権利を明らかにするとともに、公文書の開示に関し必要な事項を定めることにより、県政 件条例本件条例のうち、本件に関する部分は次のとおりである。 (目的)一条この条例は、県民の公文書の開示を求める権利を明らかにするとともに、公文書の開示に関し必要な事項を定めることにより、県政の公正な執行と県民の信頼の確保を図り、もって県民参加による開かれた県政を推進することを目的とする。 (公文書の開示の決定等)七条四項前項の場合において、実施機関は、公文書の開示をしない旨の決定(第一〇条の規定による公文書の開示の決定を含む。)をしたときは、その理由を同項の書面に記載しなければならない。(以下略)(開示をしないことができる文書)九条実施機関は、開示の請求に係る公文書に次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている場合は、当該公文書の開示をしないことができる。 三号法人その他の団体(国又は地方公共団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって開示することにより、当該法人等又は当該事業を営む個人の競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれると認められるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。 ア人の生命、身体又は健康を事業活動によって生ずる危害から保護するため、開示することが必要であると認められる情報。 イ人の生活を違法又は不当な事業活動によって生ずる支障から保護するため、開示することが必要であると認められる情報ウア又はイに掲げる情報に準ずる情報であって、開示することが公益上必要であると認められるもの。 八号監査、検査、取締り、徴税等の計画及び実施要領、渉外、争訟、交渉の方針、契約の予定価格、試験の問題及び採点基準、職員の身分取扱い、用地買収計画その他の実施機関が行う事務事業に関する情報であって、開示することにより、当該事務事業の目的が損なわれるおそれがあるもの 方針、契約の予定価格、試験の問題及び採点基準、職員の身分取扱い、用地買収計画その他の実施機関が行う事務事業に関する情報であって、開示することにより、当該事務事業の目的が損なわれるおそれがあるもの、関係当事者間の信頼関係が損なわれると認められるもの、当該事務事業若しくは将来の同種の事務事業の公正若しくは円滑な執行に支障が生ずるおそれがあるもの又は県の行政の公正若しくは円滑な運営に著しい支障が生ずることが明らかなもの。 (公文書の一部開示)一〇条実施機関は、開示の請求に係る公文書に前条各号のいずれかに該当する情報が記録されている部分(以下「非開示部分」という。)がある場合において、非開示部分とそれ以外の部分とに容易に、かつ、開示の請求の趣旨が損なわれない程度に分離することができるときは、同条の規定に拘わらず、当該非開示部分を除いて、公文書の開示をするものとする。 3 公文書の開示請求原告は、被告に対し、平成九年七月一一日、本件条例に基づき次の期日に実施した食料費支出(以下「本件支出」という。)に係る公文書について、閲覧及び写しの交付の方法による開示を請求した(以下「本件開示請求」という。)(一) 財政課 (1) 平成六年二月二三日(支出番号四〇二〇一関連)(2) 同年一〇月二六日(支出番号二一四〇一関連、以下「本件文書一」という。)(二) 東京事務所 (1) 同月二七日(支出番号五〇五〇一関連、以下「本件文書二1」という。)(2) 平成七年三月二四日(支出番号八一九〇一関連、以下「本件文書二2」という。)(本件文書部分一は、本件文書一の一部であり、本件文書部分二は、本件文書二1、2の一部である。) 4 本件処分被告は、平成九年七月二四日(東第三一号)及び同月二五日(財第二一〇号)付けで本件開示請求に係る公文書のうち、本 書一の一部であり、本件文書部分二は、本件文書二1、2の一部である。) 4 本件処分被告は、平成九年七月二四日(東第三一号)及び同月二五日(財第二一〇号)付けで本件開示請求に係る公文書のうち、本件文書部分一及び同二の各部分、すなわち、会議名及び相手方名称並びに支出が行われた飲食業者(以下「債主」という。)の口座振替先金融機関名及び預金種別、口座番号の各記載(以下「本件非開示部分」という。)を非開示とし、その余の部分を原告に開示した。 二争点本件の争点は、本件非開示部分のうち、会議名及び相手方名称の記載が本件条例九条八号に該当するか並びに債主の口座振替先金融機関名、預金種別、口座番号の各記載が同条三号に該当するかである。 1 本件条例九条八号該当性について(被告の主張)(一) 本件条例の解釈等について本件条例は、県の保有する公文書を原則として開示することとする一方で、九条八号において、実施機関が行う各種の事務事業の公正又は円滑な執行を確保する等の観点から「開示をしないことができる公文書」を規定している。そして、相手方との間の信頼関係ないし友好関係の維持増進として行われる懇談等の事務(以下「交際的な懇談事務」という。)においては、相手方の氏名等を公表することによって、相手方に不快、不信の感情を抱かしめ、今後この種の会合への出席を避けるなどの事態が生ずることも考えられ、また、一般に、交際費の支出の要否、内容等は、地方公共団体の相手方との関わり等を斟酌して個別に決定されるものであるから、右のような感情を抱く者が出ることが容易に予想される。そのような事態が生ずると、これによって交際の相手方との信頼関係あるいは友好関係を損なうおそれがあり、交際の目的が達成できなくなるおそれがある。したがって、「交際的な懇談」に関する文書については、知 のような事態が生ずると、これによって交際の相手方との信頼関係あるいは友好関係を損なうおそれがあり、交際の目的が達成できなくなるおそれがある。したがって、「交際的な懇談」に関する文書については、知事の交際費に関する文書と同様、当該懇談において相手方の氏名等の公表、披露が当然予定されているような場合を除き、相手方の氏名等は、本件条例九条八号に該当する。 そして、被告が本件文書部分一及び同二が本件条例九条八号に該当することを主張立証するについては、被告としては、本件文書一及び二1、2に記録されている懇談が「交際的な懇談」であって、相手方の氏名等の公表、披露が当然予定されているものであることを主張立証すれば足りる。 これに対し、原告は、情報公開を求める権利を優先せしめ、その立場から厳格な解釈が要求されると主張するが、本件条例に基づく公文書開示請求権は、本件条例によって創設された権利であり、その権利内容はあくまで本件条例により定められているものであるから、本件条例の文言に沿って、その要件該当性を判断すべきであって、右主張は誤りである。 (二) 本件文書一及び二1、2について(1) 本件文書一にかかる支出(財政課の支出番号二一四〇一の支出。)右支出は「川奈ホテル」での懇談に関するものであるが、右ホテルは、静岡市から遠く、交通の便も悪いことから、事務事業の遂行のための懇談に使用することはなく、また、風光明媚な場所に立地する格式の高いホテルで料金も高額であるから、右懇談が「交際的な懇談」であることは明らかである。 (2) 本件文書二1、2にかかる支出ア支出番号五〇五〇一「吉祥」での懇談は、国の省庁職員との間で行われ、右職員及び東京事務所職員計八名が出席、懇談し、もって同省庁と本県との信頼関係を築こうとしたものである。 「しれとこ」での懇 支出番号五〇五〇一「吉祥」での懇談は、国の省庁職員との間で行われ、右職員及び東京事務所職員計八名が出席、懇談し、もって同省庁と本県との信頼関係を築こうとしたものである。 「しれとこ」での懇談は、右とは異なる国の省庁職員との間で行われ、右職員及び東京事務所職員計七名が出席、懇談し、もって同省庁と本県との信頼関係を築こうとしたものである。 イ支出番号八一九〇一「牡丹」での懇談は、日頃業務の上で関係の深い国の複数省庁の職員及び東京事務所職員等計三七名が出席し、日頃の本県に対する支援、協力に感謝するとともに懇談し、もって一層の信頼関係を築こうとしたものである。 東京事務所が、産業振興業務を別にすれば、連絡・調整を主にしており、具体的な事務・事業を持たないことを考慮すると、右懇談は、いずれも具体的な事務・事業に関する協議や打合せ又は懇談ではなく、懇談それ自体、すなわち、一般的な友好、信頼、協力関係の維持増進を目的として実施された儀礼的な懇談、いわゆる「交際的な懇談」であることは明かである。 (三) 本号該当性本号前段に例示されている「渉外」とは、外国、国、地方公共団体、民間団体等と行う接遇、式典、交際等の対外的事務をいうものであり、県の各部局が行う「交際的な懇談」が右事務事業に該当する。そして、財政課についていえば、同課は予算編成等を通じて県の行財政全般を総括する部署であり、財源確保や県政全般にわたる意見・情報の交換、支援・協力の要請等を行う立場にある。他方、東京事務所は、県と中央官庁等との連絡・調整、情報収集、その他首都圏の各種情報の収集を行うために設置されたものであり、国等に対し、県の行財政全般にわたる意見・情報の交換、支援・協力の要請等を行う立場にある。このため、財政課及び東京事務所としては、普段から県を代表して、国等の関 集を行うために設置されたものであり、国等に対し、県の行財政全般にわたる意見・情報の交換、支援・協力の要請等を行う立場にある。このため、財政課及び東京事務所としては、普段から県を代表して、国等の関係者と友好、信頼、協力等の関係を維持増進しておかなければならず、それ故、特定の事務事業との関連なしに、儀礼的な交際として「交際的な懇談」事務を行っている。 支出負担行為伺及び支出票の非開示部分に記録されている相手方名称(財政課にあっては相手方名称を示す会議名を含む。)の記録は、誰と交際的な懇談を行ったかという県の各部局の「交際的な懇談」事務に関する情報であり、本号前段の実施機関の行う事務事業に関する情報に該当するものである。 そして、本件文書一及び二1、2の非開示部分に記録されている前記情報は、これを開示することにより、相手方が特定されうるものであり、以下に述べるとおり、本号の「当該事務事業の目的が損なわれるおそれがあるもの」及び「関係当事者間の信頼関係が損なわれると認められるもの」、「当該事務事業又は将来の同種の事務事業の公正又は円滑な執行に支障が生ずるおそれがあるもの」に該当する。 すなわち、前記のとおりの「交際的な懇談」事務の目的・性格からすれば、関係者等にいやしくも不快、不信の念を生じさせことは厳に避けなればならないものであるが、財政課、東京事務所の実施する「交際的な懇談」が逐一公開されて、その内容が衆人環視のもとに置かれた場合には、関係者間で様々な議論を呼んだり、相手方に不快、不信の念を生じさせることは十分に予想され、そうなっては、「交際的な懇談」事務の目的が損なわれ、関係当事者間の信頼関係も損なわれるし、将来の「交際的な懇談」事務の公正、円滑な執行に支障が生ずることは明らかである。 なお、原告は、被告が平成九年三月から食料費につ 的な懇談」事務の目的が損なわれ、関係当事者間の信頼関係も損なわれるし、将来の「交際的な懇談」事務の公正、円滑な執行に支障が生ずることは明らかである。 なお、原告は、被告が平成九年三月から食料費について懇談の相手方名称の公開を実施していることをもって、右のような支障等は生じないと主張するが、右公開は、一か月間の周知期間を置くとともに、懇談の開催に当たって相手方に対し、その名称の公開について事前に伝える措置を講じて行っているものであるから、相手方は、右公開を承知で「交際的な懇談」に応じているのであり、本件と同一に論じることはできない。 (四) 違法支出と非開示事由についてさらに、原告は、食料費から「交際的な懇談」事務の経費を支出することは許されず、違法支出に関する文書は開示されるべきであると主張する。しかし、当該懇談が非開示条項に該当するかどうかはもっぱら当該懇談の性格によって判断されるべき問題であり、その経費が適切な予算科目から支出されたかどうかという会計処理上の問題とは全く別問題である。しかも、節・交際費と節・需用費(細節・食料費)とは重なり合う部分があるのであって、「交際的な懇談」事務の経費を節・需用費(細節・食料費)から支出することが許されないわけではない。「交際的な懇談」事務も、地方公共団体の行政事務の一つであり、その直接的必要性から費消される経費は、節・需用費から支出することができる。 (原告の反論)(一) 本件条例の解釈等について本件条例が県政の公正な執行と県政に対する県民の信頼を得て、県民参加の開かれた県政を推進するために制定されたものであること(本件条例一条)及び憲法前文や同法二一条に基づく県民の知る権利、同法一五条による参政権を静岡県政において実質的に保障するものであること、情報の公開を原則とし非公開を例外として 定されたものであること(本件条例一条)及び憲法前文や同法二一条に基づく県民の知る権利、同法一五条による参政権を静岡県政において実質的に保障するものであること、情報の公開を原則とし非公開を例外としていること等に照らせば、本件条例の非開示事由は厳格に解釈されなければならない。 そして、本号の非開示事由は、主として行政執行上の利益を図って制定されたと考えられるので、その解釈に当たっては、そこで保護されるべき利益が実質的に保護に値する正当なものであるか否か、また、利益侵害の程度が具体的に存在するといえるのかを客観的に検討することが必要である。 したがって、被告は、当該懇談が、事業の施行のため必要な事項についての関係者との内密な協議を目的とするものであり、かつ、本件文書一及び二1、2に記録された情報について、その記録内容自体から、あるいは他の関連情報と照合することにより懇談会等の相手方等が了知される可能性があることを主張、立証する義務がある。 (二) 本件文書一及び二1、2について(1) 本件文書一国の職員らがその私的飲食に要した経費を財政課に支払わせた、いわゆる「つけ回し」の疑いが強い。 (2) 本件文書二1、2本件支出に係る懇談は、いずれも国の省庁職員との懇談ではない。 ア本件文書二1静岡県監査委員が、東京事務所の定期監査のため上京した際、東京事務所職員らの接待で私的飲食したものである。 イ本件文書二2国の職員との懇談ではなく、東京事務所職員同志の歓送迎会である。 (三) 本号該当性被告の主張する財政課及び東京事務所の「交際的な懇談」事務は、組織規則に定められたその所掌の事務・事業そのもの、すなわち、中央官庁等との連絡や情報の収集、ないしは、その事務・事業の遂行のためになされたものであるから、儀礼的なものではない。 懇談」事務は、組織規則に定められたその所掌の事務・事業そのもの、すなわち、中央官庁等との連絡や情報の収集、ないしは、その事務・事業の遂行のためになされたものであるから、儀礼的なものではない。 そして、本件文書一及び二1、2には、相手方名称として省庁名や団体名の記載があるのみで個人名の記載はなく、団体名等により個人を特定することはできないから、相手方名称が公開されても相手方が県に対して不信、不快の感情を抱くことはあり得ない。もっとも、相手方やその所属団体の構成員の中には、特定の省庁若しくは団体との酒食を伴う懇談等の存在そのものが公開されることに必ずしも好意的な感情を抱かないものがいるかも知れないが、そのことから直ちに相手方と県との信頼関係が損なわれること等にはならない。 本件支出にかかる懇談が、仮に、儀礼的な懇談であったとしても、右懇談は、円滑な人間関係を築く目的の県職員による公人を相手とする単なる宴会に過ぎないから、懇談の相手方等の情報が公開されたからといって、相手方に対し、不快、不信の念を抱かせ、県の事務の円滑な執行に支障が生ずることはおよそあり得ない。 また、本号の「関係当事者間の信頼関係が損なわれると認められるもの」とは、公にしないことを条件にしていたにも関わらず、その条件に違背してまで公表することなどを指すものであって、単に相手方に対し、懇談会の開催に当たりその名称が公開されることを示唆しなかったとか、了解を求めなかったという理由で非開示処分をすることは許されない。しかも、被告は、平成九年三月分から、食料費について相手方名称(会議名を含む)の公開を実施しているのであるから、それ以前の食料費について相手方名称を非公開とする理由はない。 (四) 違法支出と非開示事由について食料費は、予算科目上、節・需用費の内節として計上され 名を含む)の公開を実施しているのであるから、それ以前の食料費について相手方名称を非公開とする理由はない。 (四) 違法支出と非開示事由について食料費は、予算科目上、節・需用費の内節として計上され、行政事務執行上の直接的必要性から費消されるものであり、宴会のための費用は含まれない。これに対し、「交際費」は、予算科目上節に計上されており、一般的には対外的に活動する地方公共団体の長その他の執行機関が、その行政執行のために必要な外部との交際上要する経費に費消されるものである。 食料費と交際費は、このようにその費消すべき対象が明確に区分され、他の節の事業に対する支出は禁止されているから(地方自治法二一六条、同法二二○条、同法施行令一五〇条一項三号)、交際事務に対して食料費を支出することは違法行為である。また、仮に食料費を宴会に費消できるとしても、行政事務執行と全く無関係の宴会、即ち単なる「飲み会」に費消することは許されない。 本件条例の目的に照らせば、違法支出に関する文書について、本号によって保護される行政運営上の利益の有無を問題とする余地はない。 2 本件条例九条三号該当性について(被告の主張)本件条例九条三号の規定は、法人等の事業活動の自由その他正当な利益を尊重し保護する観点から、開示することにより事業を行う者の事業活動その他正当な利益を害することになるような情報を非開示とする旨定めたものであり、具体的には、取引先名、顧客名、預金口座名、製造原価等の販売、営業に関する情報、あるいは経営方針、経理、人事等の内部管理に関する情報等がこれに該当する。 本件の支出票及び請求書の非開示部分には、債主の金融機関名、預金種別、口座番号が記載されている。事業主(債主)の取引銀行、口座番号等は、営業に関する情報ないし経理に関する内部管理情報として、取 。 本件の支出票及び請求書の非開示部分には、債主の金融機関名、預金種別、口座番号が記載されている。事業主(債主)の取引銀行、口座番号等は、営業に関する情報ないし経理に関する内部管理情報として、取引上必要な限度で取引先に示すだけであって、それ以外は秘密にするのが一般であり、これを開示することは、事業者の側からすればその意思によらずして一般的には秘密にしている営業に関する情報ないし経理に関する内部管理情報を明らかにされる結果となる。 したがって、右非開示部分に記載されている情報は、本号に該当する。 (原告の反論)本号の「競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれると認められる」情報とは、生産技術上、販売上、営業上のノウハウに関する情報など一般に競争の分野として捉えられる情報、経営方針、財産管理、労務管理に関する情報、社会的評価又は社会活動の自由等が損なわれると認められる情報など、競争上、内部管理上、信用上等の支障を生じさせることが明らかであると認められるものであり、本来外部に公開することを予定しないものである。 ところが、本件の振込口座に関する情報は、元来外部に公開して使用することを予定している情報であり、事実、本件開示請求書にはもちろん、当該飲食店が発行する一般の請求書にも記載されており、一般的に明らかにされているものである。 本件の振込口座に関する情報は、営業上の情報であるとしても、秘密に管理される情報にも、経理に関する内部情報にも該当せず、これらを公開することによって、当該飲食店を経営する業者等の競争上の地位が害されたり、社会的評価の低下その他の正当な利益が害されることはない。 したがって、振込口座に関係する情報は、本号の非開示事項に該当しない。 第三当裁判所の判断一本件条例九条八号該当性について 1 争いのない 的評価の低下その他の正当な利益が害されることはない。 したがって、振込口座に関係する情報は、本号の非開示事項に該当しない。 第三当裁判所の判断一本件条例九条八号該当性について 1 争いのない事実並びに証拠(証拠は各事実の冒頭に掲記した。)及び弁論の全趣旨によれば、本件文書及び本件文書に関する懇談について次の事実が認められる。 (一) 財政課及び東京事務所の所掌事務について(甲一〇)静岡県行政組織規則(以下「組織規則」という。)によれば、財政課及び東京事務所の所掌事務は次のとおりである。 (1) 財政課ア予算の編成及び執行の総括に関することイ県債の発行及び償還に関することウ県議会及び監査委員に関することエ宝くじに関することオその他県財政に関することカ東京事務所に関することキ他部の主管に属しない事務に関すること(2) 東京事務所ア中央官庁その他関係方面との連絡に関することイ県行政に必要な情報及び資料の収集に関することウ企業の誘致・人材の確保及びテクノポリスの推進の連絡調整に関することエ観光及び物産の宣伝、照会等に関することオその他特に知事が命ずること(二) 本件文書一及び二1、2の支出負担行為伺及び支出票等について(1) 支出負担行為伺食料費の支出に関する契約をしようとするときに、立案、決裁を受けるために作成される文書であり(静岡県財務規則二三条)、「執行日時」欄には会議等の実施日を、「件名」欄及び「執行理由」欄には相手方名称が記載され、財政課においては、相手方名称を示す会議名が記載される。さらに、「債主」欄には、飲食業者の名称、住所等が記載され、その他に出席人数、一人当たりの会費がメモ書きの形で記載される。 (2) 支出票及び請求書支出票は、食料費を支出しようとするときに、立案、決裁を 「債主」欄には、飲食業者の名称、住所等が記載され、その他に出席人数、一人当たりの会費がメモ書きの形で記載される。 (2) 支出票及び請求書支出票は、食料費を支出しようとするときに、立案、決裁を受けるために作成される文書であり(静岡県財務規則一〇条)、飲食業者の請求書が添付される。「件名」欄及び「摘要」欄に相手方名称等が記載され、財政課においては、右各欄に相手方名称を示す会議名が記載される。「債主」欄には、飲食業者の名称、住所の外に金融機関名、預金種別、口座番号等が記載される。 また、支出票添付の「請求書」には、飲食業者の口座振替先金融機関名、預金口座(預金種別、口座番号)がそれぞれ記載される。 (3) 本件文書の「賄料」との記載について本件文書一及び二1、2の各文書のうち、支出負担行為伺及び支出票には、「賄料」との記載がある(乙七の一、二、乙八の一ないし三、乙九の一、二)ところ、本件支出にかかる食料費は、予算科目上、執行科目である節・需用費に含まれるものであるが、県における食料費支出の実情は、その支出目的から、「賄料」(主として勤務時間外に行われる国その他の団体・機関又は個人【以下「国等」という。】との会合の出席者に供与する飲食の代金)、「昼食代」・「茶菓」(国等との会合の出席者及びその他来客に供与する昼食、茶菓等の代金)、「残業者食事代」(時間外勤務を行う県の職員に供与する夜食等の代金)に分類され、「賄料」との記載のある支出にかかる懇談は、勤務時間外に行われた会合であることがわかる。 なお、食料費は、予算科目上、節の区分「需用費」の細節として計上されるものであり(地方自治法施行規則一五条)、これに対し、「交際費」は、予算科目上、節に計上されている。 (4) 本件文書部分一及び二の記載内容について(甲八の一、二)財政課支出 細節として計上されるものであり(地方自治法施行規則一五条)、これに対し、「交際費」は、予算科目上、節に計上されている。 (4) 本件文書部分一及び二の記載内容について(甲八の一、二)財政課支出文書に記載された会議名には、懇談参加者の所属団体名が記載されており、東京事務所支出文書に記載された相手方名称には、懇談参加者の所属団体名ないし事務名、職名が記載されており、いずれにも個人名の記載はなく、その情報内容も一行に満たないものである。 (三) 本件文書一及び二1、2にかかる各懇談について(1) 本件文書一にかかる懇談について(甲二五、二六の一、二、二七の一ないし六、乙二、七の一、三、証人A)懇談が行われたのは、平成六年一〇月五日であり、支出負担行為伺に「・・・賄料について」(・・・は、非開示部分)との記載があることからすれば、勤務時間外に行われたもので、場所は、静岡県伊東市川奈所在の川奈ホテルである。出席人数は七〇名で、一人当たりの会費は一万六〇〇〇円で、ビール一四〇本、お酒一二〇本、ウーロン茶二〇本、ウイスキーのボトル二本、ミネラルウォーター一四本が提供された。右懇談には、財政課の職員は、参加しておらず、財政課において、右懇談の具体的な内容について記憶しているものはいなかった。 (2) 本件文書二1、2にかかる懇談について(乙二、三、証人B)ア本件文書二1関係(乙二、乙八の一、二、四)懇談が行われたのは、同月二四日であり、支出負担行為伺に賄料と記載されていることからすれば、勤務時間外の懇談であり、「吉祥赤坂店」において、八人が参加して行われた。一人当たりの会費は四万円であつた。 また、同日、いわゆるスナック「しれとこ」において、右同様勤務時間外に懇談が行われ、出席人数は七名で、一人当たりの会費は一万円であった。 イ本件文書二 行われた。一人当たりの会費は四万円であつた。 また、同日、いわゆるスナック「しれとこ」において、右同様勤務時間外に懇談が行われ、出席人数は七名で、一人当たりの会費は一万円であった。 イ本件文書二2関係(乙九の一、三)懇談が行われたのは、平成七年三月一五日であり、支出負担行為伺の賄料との記載からすれば、勤務時間外に行われており、場所は「牡丹」であり、出席人数は三七人で、一人当たりの会費は一万二〇〇〇円である。酒が七五本、ビールが三四本、ジュースが一〇本提供されている。 東京事務所支出にかかる右各懇談は、東京事務所の職員及び国の複数の省庁の職員が参加し、東京事務所の職員は、国の職員に対し、省庁の職員としての地位に基づいてではなく、勤務時間外にその地位を離れて、任意の出席を求め、懇談では、国の職員との間で静岡県の事務・事業に関する話題や当時の世の中の動き等を素材にして各種情報交換、意見交換を行った。 2 八号の趣旨等静岡県が作成した職員向けの「情報公開事務の手引き」(乙一、以下「手引き」という。)によれば、本件条例九条において、開示しないことができる文書を定めた趣旨は、制度の基本理念を原則公開としながらも、公文書の開示により請求者以外のものの権利利益が侵害されたり、円滑な行政執行等が損なわれることがあってはならないので、それらとの調整を図ったものであり、同条八号については、実施機関が行う各種事務事業の公正又は円滑な執行を確保する等の観点から定めたものであるとされている。 これを敷衍すれば、同条八号は、県民の知る権利を確保するとともに、行政の公正かつ円滑な執行を維持するための調整規定であるということができる。そして、本号に定める非開示の要件は、当該情報を公開することによって行政事務の執行に支障を生ずるおそれ等があることであるところ、 公正かつ円滑な執行を維持するための調整規定であるということができる。そして、本号に定める非開示の要件は、当該情報を公開することによって行政事務の執行に支障を生ずるおそれ等があることであるところ、その判断には、行政事務の全容の把握を必要とし、また、過去の行政事務の運営の経験等も前提とした的確な判断や予測が必要とされることから、右要件に該当するか否かの判断には、実施機関の裁量が認められるというべきである。もっとも、右条例が、公文書の公開を原則としてうたい、右公開を通じて、県政の公正な執行と県民の信頼の確保を図り、県民参加による開かれた県政を推進することを目的とし(一条)、開示にあたっては非開示部分が分離できれば、その部分を分離して開示することを求め(一○条)、非開示とする処分には、理由付記を求めて(七条四項)、非開示についての適正、慎重な運用を求めていることからすれば、右条項が単に開示により一般的抽象的に行政上の支障が生ずるおそれ等がある場合にまで、公文書を非開示とすることを許容したというべきではない。 以上の観点から、本件非開示部分が、同条八号に定める情報に該当するか否か検討する。 3 八号該当性(一) 本件文書一にかかる懇談について前記認定のとおり、本件文書一にかかる懇談は、静岡市から離れたホテルで開催されたもので、勤務時間外に行われ、酒が提供されたことなどが認められ、また、地方公共団体の一機関が「交際的な懇談」事務を行う権限を有することは否定できないことなどを考慮すると、右懇談は、交際的な意義をも有する懇談であるということが窺われる。しかしながら、被告は、右懇談が交際的な懇談であることを主張するのみでその内容を具体的に明らかにしないこと、前記認定のとおり、右懇談には、財政課の職員が一人も参加していないことからすれば、右懇談を 。しかしながら、被告は、右懇談が交際的な懇談であることを主張するのみでその内容を具体的に明らかにしないこと、前記認定のとおり、右懇談には、財政課の職員が一人も参加していないことからすれば、右懇談を交際的な懇談であると断定することはできない。 そこで、以上のとおりの事実関係を前提に、まず、本件非開示部分を開示することにより、「当該事務事業(すなわち、右各懇談)の目的が損なわれるおそれがある」か検討する。 被告は、交際費が一般に地方公共団体の相手方との関わり等を斟酌して個別的に決定されるものであるから、右費用を公開すれば、不満や不快の念を持つものも当然予想されると主張する。しかしながら、前記認定のとおり、右懇談が交際的な意義を有する懇談であるかは断定できない上、仮にそうだとしても、本件非開示部分を公開しても、個人名は特定されず、しかも、県の一機関が食料費を使って開催する懇談であるから、その支出した費用を公開したからといって、当然に、当該懇談の相手方において不満や不快の念を抱くことが当然予想され、交際的な懇談の目的を損なうということはできない。 同様に、「当該事務事業又は将来の同種の事務事業の公正又は円滑な執行に支障が生ずるおそれがあるもの」に該当するということもできない。 次に、「関係当事者間の信頼関係が損なわれると認められるもの」に該当するか検討する。 前記認定のとおり、被告が本号に該当するとして非開示とした情報は、懇談参加者の所属団体名が記載されているだけの情報であり、右情報から直ちに右懇談会への参加者を特定することはできない。しかも、右情報が公開されても、右懇談の外形的な事実(懇談の存在)が明らかになるに過ぎず、その公開により、当然に関係当事者間の信頼関係が損なわれるということはできない。 また、右懇談が、内密の協議を目的と 右情報が公開されても、右懇談の外形的な事実(懇談の存在)が明らかになるに過ぎず、その公開により、当然に関係当事者間の信頼関係が損なわれるということはできない。 また、右懇談が、内密の協議を目的としたり、非公開とすることを約束して懇談を開催したと認めるべき証拠はないから、相手方に対し、懇談当時からその所属する団体名を公開することを予告していなかったからといって、公開により、直ちに、信頼関係が損なわれ、以後相手方の協力等を得ることが困難になるなどのおそれがあるとまでは断定することはできない。 そうすると、別紙文書目録一(一)の「件名」欄の会議名は、同条八号の情報に該当するということはできない。 (二) 本件文書二1、2にかかる懇談について(1) 前記認定のとおり、東京事務所は、県と中央官庁等との連絡・調整、情報収集、その他首都圏の各種情報の収集を行う部署であること、本件支出にかかる各懇談は、いずれも勤務時間外に行われたこと、出席者は、いずれも省庁の職員としての地位に基づき出席を求めたものではなく、勤務時間外にその地位を離れて任意の出席を求めたものであること、右懇談の内容は、特定の事務事業に関してのものではなく、静岡県の事務・事業に関する話題や当時の世の中の動き等を素材にしたものであること、しかも、「吉祥赤坂店」での懇談については、一人当たりの会費が四万円で通常の会議の場合の食費としては額が大きいこと、「しれとこ」での懇談については場所がスナックであること、「牡丹」での飲食においては酒が相当量提供されたことがそれぞれ認められ、地方公共団体の一機関が「交際的な懇談」事務を行う権限を完全に否定することはできないことを考慮すれば、右各懇談は、個々的な事務事業を直接の目的とするものではなく、信頼関係を増進し、迅速かつ円滑な情報の収集、ないしは、 が「交際的な懇談」事務を行う権限を完全に否定することはできないことを考慮すれば、右各懇談は、個々的な事務事業を直接の目的とするものではなく、信頼関係を増進し、迅速かつ円滑な情報の収集、ないしは、支援、協力要請を行うための交際的な意義を有する懇談であるということができる。 しかしながら、食料費については、予算中の需用費の細節であり、行政事務執行上の直接的必要性から費消されるものであって、交際費と区別されるべきであるから、本件支出にかかる懇談に要する支出についても、交際的な意義を有する懇談であるというだけで、知事の交際費に関する文書と同様の取扱いをすることはできない。 しかも、地方公共団体である県を代表する知事においては、交際という儀礼的事務それ自体の公正かつ適切な執行を期して、交際事務に支障を及ぼすおそれのある情報を非公開とすることも合理的であるということができるが、他方で、交際費は濫用的に費消されるおそれが強く、住民から公正、適切な行使を強く期待されているものであることからすれば、知事において認められているような交際費の範囲を拡大することは厳に慎まなければならないというべきである。それに加えて、本件条例が、県政の公正な執行と県民の信頼確保をはかり、もって県民参加による開かれた県政を推進することを目的として、住民に対し、公文書の開示を求める権利を創設したことに照らせば(本件条例一条)、地方公共団体の一機関である東京事務所について、知事と同様の意味での儀礼的な交際事務の存在を認めることはできない。したがって、交際的な懇談であって、相手方の氏名等の公表、披露が当然予定されているものでないことが認められれば本号に該当するとの見解は採用できない。 (2) そこで、まず、本件非開示部分を開示することにより、「当該事務事業(すなわち、右各懇談 等の公表、披露が当然予定されているものでないことが認められれば本号に該当するとの見解は採用できない。 (2) そこで、まず、本件非開示部分を開示することにより、「当該事務事業(すなわち、右各懇談)の目的が損なわれるおそれがある」か検討する。 前記手引きによれば、懇談等の目的が損なわれるおそれのある情報とは、各種試験の問題、検査、取締り等の計画が事前に開示されると当該試験等の実施が無意味となる場合のような、その事務事業の性質上、開示することにより、当該事務事業が本来の目的を失うような情報をいうとされている。東京事務所支出にかかる本件の各懇談が、国等に対し、支援、協力要請等を行うに当たっての友好、信頼関係を維持増進することにあるとしても、前記認定のとおり、本件非開示部分の「件名」欄には、懇談参加者の所属団体名ないしは事務名、職名が記載されているだけであり、個人名の記載はない。右情報と官庁職員録等の関連情報とを組み合わせて、相手方の範囲をある程度限定することができるとしても、特定の個人が識別されうるとまではいうことができない。したがって、相手方の所属する省庁名が明らかになっただけで、懇談の参加者において、不快、不信の念が生じ、直ちに、懇談における信頼、友好関係の増進が図れなくなり、右交際本来の目的が損なわれるということはできない。 乙五、六によれば、国等の職員との懇談に関し、相手方の職員の氏名を公表したところ、相手方の不満を生じたとの新聞記事があるが、右記事を精査すると、右相手方の不満は、いわゆる空出張に名前を利用されたことに対するものが中心であり、右記事は、右判断を覆すにたるものではない。 (3) 次に、「関係当事者間の信頼関係が損なわれると認められるもの」に該当するかであるが、前記手引きによれば、右情報とは、公にしないことを条件に任意 り、右記事は、右判断を覆すにたるものではない。 (3) 次に、「関係当事者間の信頼関係が損なわれると認められるもの」に該当するかであるが、前記手引きによれば、右情報とは、公にしないことを条件に任意に第三者から提供された情報等のように、開示することにより、県と第三者との間における信頼関係が損なわれ、それ以後、相手方の理解、協力を得ることが困難になるなどのおそれがある情報とされる。具体例としては私立学校実態調査復命書や補償交渉の経緯等の情報があげられている。 被告は、相手方名称を公開することを予告していなかった懇談について、その名称を公開することは、相手方との信頼関係を損なうことになると主張するが、前記認定のとおり、本件文書にかかる懇談は省庁の職員に対し、その地位を離れて、任意の出席を求めたものであり、本件各文書には、相手方名称として省庁名や団体名の記載があるのみで個人名の記載はなく、本件文書に記載された団体名等により個人を特定することはできないものであり、本件支出にかかる各懇談は、県の一機関が食料費を使って開催し、静岡県の事務事業等を題材にして、一般的な友好、信頼関係を築くものとして開催されたものであって、内密の協議を目的としたり、非公開とすることを約束して懇談を開催したものではないのであるから、相手方に対し、その所属する省庁名等の公開を予告していなかったからといって、その公開により、直ちに、その信頼関係が損なわれ、以後相手方の協力を得ることが困難になるなどのおそれがあるということはできない。 また、被告は、交際費は一般に地方公共団体の相手方との関わり等を斟酌して個別的に決定されるものであるから、右費用を公開すれば、相手方が不満や不快の念を持つことが当然予想されると主張する。しかしながら、本件の懇談は、交際的な懇談という側面がある一 との関わり等を斟酌して個別的に決定されるものであるから、右費用を公開すれば、相手方が不満や不快の念を持つことが当然予想されると主張する。しかしながら、本件の懇談は、交際的な懇談という側面がある一方で、地方公共団体たる県の一機関が食料費を使って開催する懇談であり、懇談の相手方が国の公務員であることに鑑みれば、相手方においても、右懇談は、東京事務所の事務と離れては存在せず、懇談の費用にも自ずから限界があることを当然知りうる立場にあるというべきで、右交際的な懇談に要した費用を公開したからといって、直ちに懇談の相手方が不満や不快の念を抱くことが当然予想されるということはできない。 (4) さらに、「当該事務事業又は将来の同種の事務事業の公正又は円滑な執行に支障が生ずるおそれがあるもの」に該当するかについて検討する。 右手引きによれば、右の情報とは、現在行われつつある事務事業又は行われようとしている事務事業の公正又は円滑な執行に支障が生ずるおそれのある情報はもとより、定期監査、用地買収計画等のように継続し、又は反復して実施する事務事業に関する情報等を指し、これを開示することにより、将来の同種の事務事業の公正又は円滑な執行に支障が生ずるおそれがあるものをいうとされている。 被告主張のとおり、相手方やその所属団体の構成員の中には、県と特定の省庁若しくは団体との酒食を伴う懇談等の存在そのものが公開されることに必ずしも好意的な感情を抱かない者もおり、今後、右懇談等に参加せず、被告の主張する交際的な懇談事務の執行に支障が生ずることも考えられなくはないが、被告は、自認するとおり、平成九年三月から懇談の相手方について公表しており、その後特段の支障なく、右事務を執行してきているのであるから、本件支出にかかる懇談の相手方名称を公開したからといって、将来同種の事 自認するとおり、平成九年三月から懇談の相手方について公表しており、その後特段の支障なく、右事務を執行してきているのであるから、本件支出にかかる懇談の相手方名称を公開したからといって、将来同種の事務事業の公正若しくは円滑な執行に支障が生じるおそれがあるということはできない。 (5) そうすると、別紙文書目録二1及び2の各(一)の「件名」欄の相手方名称は、同条八号の情報に該当するということはできない。 二本件条例九条三号該当性について 1 三号の趣旨等前記手引きによれば、本件条例九条三号は、法人その他の団体及び個人事業者(以下「法人等」という。)の事業活動の自由その他の正当な利益を尊重し保護する観点から、開示することにより事業を行うものの事業活動その他正当な利益を害することになるような情報は非開示とすることを定めたものであり、「競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれると認められるもの」としては、(1)生産技術、販売、営業等に関する情報で、開示することにより、法人等の事業活動に対し競争上不利益を与えると認められるもの。具体的には、取引先名、顧客名、預金口座名、製造原価、販売計画書、各種資金調達計画書等、(2)経営方針、経理、人事、労務管理等事業活動を行う上での内部管理に関する情報で開示することにより、法人等の事業運営に不利益を与えると認められるもの、具体的には、個人事業税台帳、法人等の役員会議事録、労働争議の状況文書、労使交渉記録等、(3)その他開示することにより法人等の名誉、社会的信用、社会的評価、社会的活動の自由等に支障があると認められるものがあげられている。 2 三号該当性前記認定のとおり、支出票添付の「請求書」には、債主の口座振替先金融機関名、預金口座(預金種別、口座番号)がそれぞれ記載されているところ、一般に ると認められるものがあげられている。 2 三号該当性前記認定のとおり、支出票添付の「請求書」には、債主の口座振替先金融機関名、預金口座(預金種別、口座番号)がそれぞれ記載されているところ、一般に、銀行口座の番号等はその開設する預金口座を特定するものであり、法人等にとり、当該金融機関との取引関係に関する重要な情報であり、これを開設する法人等にとり、事業運営ないし信用上正当に保護されるべき情報である。そして、通常は、一定の取引に関して、継続的な取引がある相手方や特に信用関係がある相手方等に、当該取引関係から生ずる債権債務の決済等のため、必要に応じて限定して取引先等に開示するに過ぎない情報であって、一般には公開していない内部の経理に関する情報であるというべきであり、右情報の性質上、これを開示することによって当該法人等の競争上又は事業運営上の地位が損なわれるものに該当すると認められる。 したがって、別紙文書目録一(二)(2)及び(三)、同目録二1(二)、(三)、2(二)、(三)の口座振替先金融機関名、預金種別、口座番号の各記載は、同条三号の情報に該当する。 これに対し、原告は、九条三号によって非開示とされる情報は、競争上、内部管理上及び信用上等の支障を生じさせることが明らかであると認められるもので、本来外部に公開することを予定しないものを指すと主張するが、同条三号の文言からみて、そのように制限的に解釈することは妥当でなく、右主張は採用できない。 三結論以上のとおり、本件請求は、本件文書部分一及び二の会議名及び相手方名称が記載された部分の開示を求める限度において理由があるのでこれを認容し、その余の債主の口座振替先金融機関名、預金口座(預金種別、口座番号)について開示を求める部分は理由がないのでこれを棄却し、主文のとおり判決する。 静岡地 求める限度において理由があるのでこれを認容し、その余の債主の口座振替先金融機関名、預金口座(預金種別、口座番号)について開示を求める部分は理由がないのでこれを棄却し、主文のとおり判決する。 静岡地方裁判所民事第二部裁判長裁判官田中由子裁判官田中治裁判官松葉佐隆之文書目録一静岡県財政課が、平成六年一〇月二六日(支出番号二一四〇一関連)に実施した懇談等にかかる食料費の支出に関する文書のうち、(一) 支出負担行為伺 「件名」欄の会議名(二) 支出票(兼支出負担行為) (1) 「件名」欄の会議名(2) 「債主」欄の口座振替先金融機関名、 預金種別、口座番号(三) 請求書 「債主」欄の口座振替先金融機関名、預金種別、口座番号文書目録二 1 静岡県財政課東京事務所が、平成六年一〇月二七日(支出番号五〇五〇一関連)に実施した懇談等にかかる食料費の支出に関する文書のうち、(一) 支出負担行為伺(二枚) 「件名」欄の相手方名称(二) 支出票(兼支出負担行為) 支出票(兼支出負担行為)内訳書の「債主」欄の口座振替先金融機関名、預金種別、口座番号(三) 請求書(二枚) 口座振替先金融機関名、預金種別、口座番号 2 静岡県財政課東京事務所が、平成七年三月二四日(支出番号八一九〇一関連)に実施した懇談等にかかる食料費の支出に関する文書のうち、(一) 支出負担行為伺 「件名」欄の相手方名称(二) 支出票(兼支出負担行為) 支出票(兼支出負担行為)内訳書の「債主」欄の口座振替先金融機関名、預金種別、口座番号(三) 請求書 「預金口座」欄の口座振替先金融機関名、預金種別、口座番号更正決定当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり右当事者間の平成九年行ウ第二〇号文書非公開処分取消請求事件について、平成一一年一月二八日当裁判所がなした判決に 金融機関名、預金種別、口座番号更正決定当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり右当事者間の平成九年行ウ第二〇号文書非公開処分取消請求事件について、平成一一年一月二八日当裁判所がなした判決に明白な誤謬があるから、職権により、次のとおり決定する。 更正決定の主文右判決の主文中、第一項に「平成九年七月二四日付け」とあるのを、「平成九年七月二五日付け」と、第二項に「平成九年七月二五日付け」とあるのを、「平成九年七月二四日付け」とそれぞれ更正する。 平成一一年二月二日静岡地方裁判所民事第二部裁判長裁判官田中由子裁判官田中治裁判官松葉佐隆之

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