宣告日令和6年5月13日事件番号令和6年第35号事件名過失運転致死傷 主文 被告人を禁錮3年に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和6年2月15日午後3時52分頃、普通乗用自動車を運転し、福島県岩瀬郡a町bc番地先道路を同町d方面から時速約30キロメートルで進行してきて同所先の交差点入口で一時停止の道路標識に従って一時停止するに当たり、ブレーキを的確に操作して安全に一時停止すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、制動措置を講じようとしてブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み続けた過失により、自車を加速させて前方に暴走させ、折から前方の歩道上を左方から右方に向かい進行中のA(当時19歳)に自車前部を衝突させて同人を跳ね上げて自車フロントガラスに衝突させた上、同人を路上に転倒させるとともに、同B(当時19歳)に自車前部を衝突させて同人を前方に跳ね飛ばして建物のガラスを突き破らせた上、同人を同建物内に転倒させ、よって、前記Aに頭部外傷の傷害を負わせ、その頃、前記路上において、同人を前記傷害により死亡させるとともに、前記Bに加療約90日間を要する重症頭部外傷等の傷害を負わせたものである。 (証拠の標目)省略(法令の適用) 省略(量刑の理由)本件の犯情としてまず指摘すべきは、被害者1名が死亡し、もう1名も重傷を負ったという結果の重大性である。被害者両名は、一緒に自動車教習所の合宿に通い、共に卒業試験に合格して帰宅する途中で、不運にも本件事故に遭遇したもので、歩道上を歩いていた被害者両名に何ら落ち度はない。被害者Aは、本件当時19歳の若 害者両名は、一緒に自動車教習所の合宿に通い、共に卒業試験に合格して帰宅する途中で、不運にも本件事故に遭遇したもので、歩道上を歩いていた被害者両名に何ら落ち度はない。被害者Aは、本件当時19歳の若さであり、大学に通学するなど充実した生活を送っていたのに、本件事故によって唐突にその尊い生命と将来を奪われたのであり、その苦痛や無念さは計り知れない。被害者Bも、非常に大きな肉体的苦痛を受けたことはもとより、交際相手であった被害者Aが死亡したことで、強い喪失感にもさいなまれている。被害者Aを失った遺族や被害者Bが、できるならば被害者Aを返してほしいなどと述べつつ、それぞれ被告人に対して厳重な処罰を望む旨述べているのも、至極当然といえる。 過失の内容についてみると、被告人は、自車を一時停止させる際にブレーキペダルと誤ってアクセルペダルを踏み込み、自車が停止しなかったことから更にアクセルペダルを踏み続けるという過ちを重ねた結果、自車を少なくとも時速約46キロメートルまで加速させて、被害者らに衝突させた。自動車運転者として極めて基本的な注意義務に違反したもので、過失の程度は相当に大きい。もっとも、危険な高速度運転やわき見運転など、運転者の不良な運転態度を発端として発生した同種事案と比較して、本件の態様が特段に悪質なものとまでは言い難いことからすると、被告人に対して、施設における矯正教育以外にとるべき選択肢がないとまではいえない。 そこで、犯情以外の点についてみると、被告人は、対人賠償無制限の保険契約に加入しており、今後、被害の経済面については適切な賠償がされる見込みがある。 被告人が、事実を認めて被害者らに対する謝罪の言葉を述べるとともに、今後自動車を運転しない旨誓約し、実際に本件自動車を含む所有していた自動車全てを処分していること、被告人には前科 れる見込みがある。 被告人が、事実を認めて被害者らに対する謝罪の言葉を述べるとともに、今後自動車を運転しない旨誓約し、実際に本件自動車を含む所有していた自動車全てを処分していること、被告人には前科はもとより交通違反歴も認められないことなどに照 らすと、被告人に対しては、執行猶予を付し得る中で最長の刑期を課すことでその刑事責任を明確にした上で、その執行を猶予して、社会内において、被害者らに対する慰謝の措置を行わせつつ、更生する機会を与えるのが相当であると判断した。 (求刑-禁錮3年6月)令和6年5月13日福島地方裁判所郡山支部 裁判官下山洋司
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