主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第一当事者の求めた裁判一原告ら 1 被告らは,連帯して,原告aに対し4195万0885円,原告bに対し2097万5442円,原告cに対し2097万5442円,原告dに対し3673万3747円,原告eに対し1378万0405円,原告fに対し459万3468円,原告gに対し4996万3966円,原告hに対し1009万5593円及びこれらに対する平成7年7月30日から支払済みまで年5分の割合による各金員を支払え。 2 訴訟費用は被告らの負担とする。 3 仮執行宣言二被告ら主文と同旨第二事案の概要一本件は,赤平市において開催されたスカイスポーツをテーマとしたイベント(以下「本件イベント」という。)において小型飛行機によるデモフライト(以下「本件デモフライト」という。)を担当することになっていた操縦者(i)が,その予行演習(以下「本件予行飛行」という。)中に,地上約26.5メートルの高さの鉄塔(以下「本件鉄塔」という。)に,小型飛行機(以下「i機」という。)の右主翼を衝突させて墜落し,同操縦者及び同機の同乗者2名(j,k)が死亡した事故(以下「本件事故」という。)について,同操縦者及び同乗者らの遺族らが,被告社団法人北海道スカイスポーツ協会(以下「被告スカイスポーツ協会」という。)及び被告赤平市に対して,本件イベントの主催者としてiとの飛行委託契約上,飛行経路の設定等についてiが安全に飛行できるよう配慮する義務があったにもかかわらず,これを怠ったとして債務不履行に基づき,被告mに対して,本件イベントの実行委員会において本件デモフライト及び本件予行飛行(以下,まとめて「本件飛行」ともいう。)の担当責 義務があったにもかかわらず,これを怠ったとして債務不履行に基づき,被告mに対して,本件イベントの実行委員会において本件デモフライト及び本件予行飛行(以下,まとめて「本件飛行」ともいう。)の担当責任者として,本件飛行の計画,飛行経路の設定等についてiが安全に飛行できるよう配慮する義務があったにもかかわらず,これを怠ったとして不法行為に基づき,被告滝川市及び被告社団法人滝川スカイスポーツ振興協会(以下「被告振興協会」という。)に対して,同被告らは被告mの使用者であるとして,使用者責任に基づき,それぞれ損害賠償を請求した事案である。 二前提事実(争いのない事実以外は証拠を併記) 1 当事者(一) 原告ら原告aはiの妻であり,原告b及び原告cはiの子らである。原告dはjの妻であり,亡nはjの父,原告eはjの母である。亡nは,平成12年3月26日,死亡した。原告eは亡nの妻であり,原告fは亡nの次男である。同原告らは,亡nの権利義務を2分の1ずつの割合で相続した。原告gは本件事故当時kの妻であり,原告hはkの母である。 (二) 被告ら被告スカイスポーツ協会は,平成2年に設立され,主に北海道におけるスカイスポーツに関する啓蒙普及事業等を目的とする公益法人であり,本件イベントの主催者であった。 被告赤平市は,本件イベントの開催地の地方自治体である。 被告滝川市は,被告赤平市に隣接する地域の地方自治体である。 被告振興協会は,平成2年に設立され,主に滝川市におけるスカイスポーツの振興を図ることなどを目的とする公益法人である。 被告mは,平成7年7月29日当時,被告滝川市教育委員会社会教育部スカイスポーツ課長であり,被告振興協会に出向して同協会の事務局長及び運航主任を兼務し,本件イベント実行委員会の実施運営本部運航管理部飛行管制班長を務めていた。 当時,被告滝川市教育委員会社会教育部スカイスポーツ課長であり,被告振興協会に出向して同協会の事務局長及び運航主任を兼務し,本件イベント実行委員会の実施運営本部運航管理部飛行管制班長を務めていた。 2 本件事故の発生平成7年7月30日,赤平市α町空知川河川敷所在の北海道パラプレーン道央空港において,被告スカイスポーツ協会及び赤平市スカイスポーツフェア実行委員会(以下「実行委員会」という。)の主催により,スカイダイビングや小型飛行機等のデモフライト(展示飛行),体験フライト,スカイスポーツ用各種航空機の展示等を内容とする「’95北海道スカイスポーツフェア遊・ユア・フェス’95イン赤平」(本件イベント)の開催が予定されていた(乙イ5)。上記デモフライトとして,小型飛行機3機による縦列飛行(本件デモフライト)が予定されており,各機の操縦者は,1番機がo,2番機がi(昭和21年1月2日生),3番機がpであった。 上記3機は,本件イベント開催日の前日である同月29日午後2時25分ころから,本件デモフライトの予行演習(本件予行飛行)を実施した。本件予行飛行は,主催者側の被告mが作成した飛行要領(以下「本件飛行要領」という。)に基づき,本番と同様,3機の小型飛行機が縦列して同じ飛行経路を飛行するもので,滝川場外離着陸場を離陸した後,別紙1(添付省略)の飛行経路図(乙ハ3号証の3枚目)のとおり,HA-A(以下「ホールディングエリア」という。)でホールディング(旋回しながら各機の間隔等隊形を整える飛行)を行った後,道道江部乙赤平線(以下「道道」という。)と国道38号線の交差点であるIP1地点に向かって高度を低下させながら直進し,IP1地点を対地高度200フィート(約60メートル)で飛行しながら右旋回して本件イベント会場(別紙1の長方形の黒塗りの部 国道38号線の交差点であるIP1地点に向かって高度を低下させながら直進し,IP1地点を対地高度200フィート(約60メートル)で飛行しながら右旋回して本件イベント会場(別紙1の長方形の黒塗りの部分)に向かい,本件イベント会場上空において対地高度150フィート(約45.3メートル)でローパス(着陸に準じて,定められた高度まで降下した状態で通過し,その後再び高度を上げる飛行方法)を行うというものであった(以下「本件飛行経路」という。)。2番機であるi機は,本件予行飛行の途中,IP1地点を右旋回せずに直進し,高度を下げて飛行し,IP1地点から南側に約230メートルの地点にある,高さ約87フィート(約26.5メートル)の無線アンテナ用の本件鉄塔(別紙1の×印の箇所にある)の地上73フィート(約22.3メートル)の部分にその右主翼を衝突させ,墜落した(本件事故)。 i機には,iのほか,iが専務取締役を務めるq産業株式会社の従業員であったj(昭和32年11月19日生),k(昭和42年9月13日生)が同乗しており,同人ら3名は,本件事故によって死亡した。 なお,各関係地点の標高は,IP1地点が約157フィート(約48メートル),本件鉄塔基部が約148フィート(約45メートル),本件イベント会場が約130フィート(約39.6メートル),滝川場外離着陸場が約76フィート(約23メートル)であり,本件鉄塔は,細くて灰色であったため,上空からは見えにくいものであった。 3 事故調査委員会による事故調査運輸省航空事故調査委員会は,平成7年7月30日から同年8月2日までの間,主管調査官ほか1名の調査官を本件事故の現場調査に当たらせ,上記調査官らによる調査結果(本件鉄塔の北東約300メートルの地点にいた目撃者A,本件鉄塔の南約200メートルの地点にいた目撃 までの間,主管調査官ほか1名の調査官を本件事故の現場調査に当たらせ,上記調査官らによる調査結果(本件鉄塔の北東約300メートルの地点にいた目撃者A,本件鉄塔の南約200メートルの地点にいた目撃者B,o及びpらからの事情聴取,i機の損壊状況及び事故現場の状況の見分,本件事故当時の気象状況及びiの経歴等の確認等)に基づき,平成8年11月7日,同委員会決議をもって,航空事故調査報告書(甲1,以下「事故調査報告書」という。)を作成した。事故調査報告書は,前記2の事実を認定しているほか,以下のように言及するものであった。 (一) 事実認定(1) 高度計の設定についてo,i及びpは,本件予行飛行前の打合せで,高度計を滝川場外離着陸場(標高76フィート)の高度を0フィートにセットすることを確認した(以下,上記のようにセッティングされた操縦者らの高度計を「調整高度計」といい,調整高度計の表示による高度を「調整高度」という。)。 (2) o機及びi機の飛行経路及び飛行高度についてi機に先行していたo機は,IP1地点を調整高度200フィート(対地高度約119フィート),本件イベント会場上空を調整高度150フィート(対地高度約96フィート)で通過した。この認定は,oの供述によるものであり,目撃者A及びBが,o機はi機とほぼ同じ飛行経路でIP1地点を通過して飛行しているのを目撃した旨供述していることからも肯定される。 (3) iの飛行経験等についてiは,自家用操縦士技能証明書(飛行機)第20218号(限定事項陸上単発平成5年10月25日,陸上多発平成6年8月8日)等を得ており,本件事故までの総飛行時間は125時間余,iの同型式機の飛行時間は37時間余,そのうち最近30日間の飛行時間は2時間55分であった。 (4) i機の状態についてi機 成6年8月8日)等を得ており,本件事故までの総飛行時間は125時間余,iの同型式機の飛行時間は37時間余,そのうち最近30日間の飛行時間は2時間55分であった。 (4) i機の状態についてi機は,陸上単発機のハイパー式PA-28-140型(昭和46年4月28日製造)で,平成7年6月19日耐空証明検査を受けており,本件事故当時,エンジン及び操縦系統に異常はなかったとみられる。 (5) 気象条件について本件事故現場の西約4キロメートルに位置する札幌管区気象台滝川地域気象観測所の本件事故前後の観測値は次のとおりであった。 平成7年7月29日午後2時風向南,風速5メートル,気温25.7度,降水量0ミリメートル同日午後3時風向南,風速6メートル,気温25.5度,降水量0ミリメートルまた,oによると,本件事故当時の本件事故現場付近の気象状況は,「天候曇り,風速5ないし10メートル,視程良好」というものであった。 (6) 航空法81条但書に基づく許可申請後の飛行経路の変更等について本件飛行経路は,航空法81条但書に基づく許可申請書に記載された飛行経路(別紙2,添付省略)を南寄り(本件鉄塔寄り)に変更し,本件イベント会場上空の飛行高度を許可申請時より50フィート低い対地150フィートと変更したものであり,本件飛行要領には本件鉄塔の存在は記載されていなかった。 (二) i機が低空飛行をした理由o,i及びpが標高差を考慮せずに高度計を滝川場外離着陸場の標高76フィートが0フィートになるようにセットして飛行したため,本件鉄塔頭頂部は調整高度計で159フィート(対地87フィート)となり,調整高度200フィート(対地128フィート)との差が約41フィート(約12メートル)と高度的余裕がなくなったうえ,i機が高度の確保に十分な注意を払わなか 159フィート(対地87フィート)となり,調整高度200フィート(対地128フィート)との差が約41フィート(約12メートル)と高度的余裕がなくなったうえ,i機が高度の確保に十分な注意を払わなかったことが,i機が対地高度73フィートという低空で飛行した理由として考えられる。操縦者らが上記のように高度計をセッティングしたこと及びi機が飛行高度に対して十分な注意を払わなかったことについては,主催者らが操縦者らに対して本件鉄塔の存在を知らせず,本件鉄塔が灰色で細く見えにくかったために,操縦者らが当該鉄塔の存在を知らなかったことが関与した可能性がある。 (三) 本件事故の原因について本件事故の原因については,以下のことが関与したものと考えられる。 (1) 本件飛行経路が本件鉄塔に接近しており,また,本件飛行要領に本件鉄塔に関する情報が示されていなかったこと。 (2) iが高度の確保に十分な注意を払わず,また,操縦者らが標高差を考慮せず,滝川場外離着陸場の標高76フィートが0フィートになるように高度計をセットしたこと。 (3) 本件鉄塔が細くて灰色で見えにくかったこと。 (四) 所見デモフライトにおいて低空を飛行する場合の安全確保を図るために,主催者は,周辺の地形,障害物件等の事前調査を十分に行い,適切な飛行経路を設定するとともに,参加操縦者と綿密な調査を行い,注意箇所を周知させる等の措置を講ずること,参加操縦者は,自らも飛行経路及び周辺の地形,障害物件等の事前確認を行うことが望まれる。 第三争点一過失について 1 被告赤平市,被告スカイスポーツ協会及び被告mの飛行計画作成・事前準備段階における過失(原告ら)(一) 主催者である被告スカイスポーツ協会及び被告赤平市(本件イベントの主催者は,被告スカイスポーツ協会と実行委員会であるが ーツ協会及び被告mの飛行計画作成・事前準備段階における過失(原告ら)(一) 主催者である被告スカイスポーツ協会及び被告赤平市(本件イベントの主催者は,被告スカイスポーツ協会と実行委員会であるが,実行委員長が赤平市長であること,被告赤平市が本件イベントに300万円出資していること,被告赤平市の職員が多数実行委員会の従事者として稼動していること,実行委員会本部が赤平市教育委員会に設置されたこと,本件イベントの名称の一部に被告赤平市が独自に開催してきた「遊・ユア・フェス」が使用されていることから,実行委員会の実体は被告赤平市そのものである。以下,被告スカイスポーツ協会と被告赤平市をあわせて「主催者ら」ということもある。)は,iら操縦者らとの間で操縦者らに本件デモフライト及び本件予行飛行をしてもらうことを内容とする飛行委託契約を締結したものであるから,これに基づき,本件デモフライト及び本件予行飛行について,飛行経路周辺の標高や障害物を十分に調査したうえ,操縦者らが安全に飛行できる飛行経路及び飛行方法を設定するとともに,操縦者らに対して飛行経路周辺の障害物や飛行範囲内の標高について情報を与え,これらを周知させる義務があった。また,被告mは,実行委員会における本件デモフライトの担当責任者(飛行管制班長)であったものであるから,不法行為責任に基づき,上記のような主催者らと同様の義務を負っていた。 そして,主催者ら及び被告mは,本件デモフライト及び本件予行飛行について,本件飛行経路及び飛行方法を設定したものであるが,本件鉄塔は,本件飛行経路上のIP1地点から南約230メートルの地点に存在する高さ約87フィート(約26.5メートル)の物件であり,本件飛行経路を飛行した場合に接触の可能性のある障害物であったから,主催者ら及び被告mは,本件鉄塔 1地点から南約230メートルの地点に存在する高さ約87フィート(約26.5メートル)の物件であり,本件飛行経路を飛行した場合に接触の可能性のある障害物であったから,主催者ら及び被告mは,本件鉄塔や周辺地域の標高について十分調査し,本件デモフライトの操縦者らが本件鉄塔に接触しないよう本件鉄塔から十分離れた安全な飛行経路を設定するとともに,操縦者らに対し,本件鉄塔の位置,高さ,現地の標高等について情報を提供し,これらを周知させる義務があったにもかかわらず,主催者ら及び被告mは,これを怠り,本件鉄塔に接近した本件飛行経路を設定するとともに,操縦者らに本件鉄塔の存在等を周知させなかった過失がある。 被告らは,本件鉄塔が本件飛行経路を飛行した場合に衝突の可能性のある障害物であることを争うが,230メートルという距離は,時速170キロメートルで飛行する場合,わずか約4.8秒で到達する距離であり,本件飛行経路上のIP1地点と本件鉄塔とは近接している。 また,高度については,本件鉄塔頭頂部(対地高度87フィート)と本件飛行経路(対地高度200フィート)との高度差は,対地高度でみると約113フィートであるが,調整高度計でみると,本件鉄塔の頭頂部(調整高度159フィート)と調整高度200フィートとの差は,約41フィート(約12メートル)であり,その差はわずかである(なお,本件のように滝川場外離着陸場とローパスを行う本件イベント会場上空との標高差が少ない場合には,上記離着陸場を0フィートにして高度計をセットすることは通常行われていることである。)。そして,本件飛行要領によると,IP1地点を対地高度200フィートで飛行するものとされているが,事故調査報告書によれば,i機のみならずo機もIP1地点を調整高度200フィート(対地高度119フィート)に近 本件飛行要領によると,IP1地点を対地高度200フィートで飛行するものとされているが,事故調査報告書によれば,i機のみならずo機もIP1地点を調整高度200フィート(対地高度119フィート)に近い高度で飛行していたというのであるから,操縦者らは,本件予行飛行前の打合せにおいて,IP1地点で調整高度200フィート,本件イベント会場で調整高度150フィートで飛行するというように飛行高度を変更する旨合意し,その合意に従って調整高度で飛行したものと考えられる。本件デモフライト及び本件予行飛行のような有視界飛行においても,高度計の表示を見ながら飛行するのが一般的であるうえ,主催者ら及び被告mは,操縦者らが上記打合せをしてこれに従って飛行することを知り得たのであるから,操縦者らの飛行高度(調整高度200フィート)と本件鉄塔頭頂部との高度差がわずか41フィートに接近することを予見できたはずである。 このように,本件飛行経路と本件鉄塔とは,水平距離で230メートル,高度的に41フィートと接近していたうえ,本件予行飛行においては,以下のような事情から,どのように飛行するかについて各操縦者に広範な裁量が認められていたため,本件飛行経路を飛行する際,本件鉄塔に衝突する危険性は一層高かったといえる。すなわち,本件予行飛行に先だって各操縦者に別紙1の飛行経路図が添付された本件飛行要領が交付されていたが,これらによる飛行経路及び飛行方法の記載内容は簡易なものであり,ローパスの仕方について,本件イベント会場上空を通過する旨記載されているにすぎず,飛行経路図にも,本件イベント会場上空への進入角度が記載されているのみで,最終的に本件イベント会場上空に,IP1地点から225度の角度で進入すれば,その飛行過程は問わない内容であった。また,本件予行飛行は,計器に頼 件イベント会場上空への進入角度が記載されているのみで,最終的に本件イベント会場上空に,IP1地点から225度の角度で進入すれば,その飛行過程は問わない内容であった。また,本件予行飛行は,計器に頼らない有視界飛行であり,一般観覧者に対するデモフライトの予行演習であるという性質上,設定された飛行経路を正確に飛行する必要はなく(なお,イニシャルポイント(IP)とは,計器飛行で使用される航空用語であり,計器飛行の際は,イニシャルポイントを正確に通過する必要があるが,有視界飛行においてはその必要はない。),本件イベント会場までの飛行経路は目安にすぎなかった。そして,実際には,正確にIP1地点上空で右旋回しなくても,IP1地点から半径370メートルの円周内の地点において,時速170キロメートルの速度で最大バンク角(飛行機の傾く角度)である30度を使って旋回すれば,目標地である本件イベント会場上空を通過することができた。 翻って,iは,前記のとおり,自家用陸上単発機の技能証明を得たのが平成5年10月25日であり,本件事故当時,資格取得後2年も経っていなかったから,i機が本件飛行経路どおりに飛行することは技術的に困難であった。したがって,i機が,実際の飛行において水平距離にして230メートル,高度にして41フィート程度,本件飛行経路からずれて飛行することは予想できることであり,本件鉄塔が灰色で細く,接近しても気が付きにくいものであることを考慮すると,本件飛行経路はi機が本件鉄塔と衝突するおそれのある危険なものであった。 また,本件鉄塔に関する点を除いても,本件飛行経路及び飛行方法は,ホールディングエリア(対地高度1000フィート)からIP1地点(対地高度200フィート)に向けて急降下し,IP1地点で右旋回して対地高度150フィートで本件イベン も,本件飛行経路及び飛行方法は,ホールディングエリア(対地高度1000フィート)からIP1地点(対地高度200フィート)に向けて急降下し,IP1地点で右旋回して対地高度150フィートで本件イベント会場上空をローパスするといういわばアクロバット的な飛行であり,飛行経験が2年未満のiには危険な飛行経路及び飛行方法であったといえる。 被告らは,本件鉄塔が,本件イベント会場上空を滑走路と想定した場合の進入区域(航空法2条6項,49条1項,別紙3(添付省略)参照)からはずれて存在しており,飛行の障害物にはなり得ない旨主張するが,そもそも,進入区域とは,滑走路に着陸する場合に,着陸機が滑走路からはずれないようにするための概念であって,本件飛行のように,ローパスするにとどまり,着陸しない場合には,進入区域の外を飛行することもあり得るから,本件鉄塔が飛行の障害物になり得ないとはいえない。また,被告らは,操縦者がIP1地点付近を本件のように低空で飛行することは通常ではあり得ないことであると主張するが,その理由は操縦者の恐怖心のみである。実際,事故調査報告書によれば,本件予行飛行において,1番機であるo機は,本件鉄塔付近をi機とほぼ同じように,低空で飛行しており,iはこれに追従して飛行した可能性もある。 (二) 飛行機による飛行は,その性質上,操縦者の体調変化,気流変化,機体の故障等の原因により緊急不時着が必要となる可能性があり,その場合は当然飛行経路をはずれるから,本件予行飛行において,i機が緊急不時着するなどして本件鉄塔に接触する可能性があった。この点からも,主催者ら及び被告mは,本件鉄塔について各操縦者に情報を与える義務があったにもかかわらず,これを怠った過失がある。 (被告ら)(一) 主催者らが設定した本件飛行経路及び飛行方法は,前提事実 からも,主催者ら及び被告mは,本件鉄塔について各操縦者に情報を与える義務があったにもかかわらず,これを怠った過失がある。 (被告ら)(一) 主催者らが設定した本件飛行経路及び飛行方法は,前提事実2に記載したとおりであるが,飛行経路及び飛行方法そのものとしては飛行が容易であり,安全上も何ら問題がなく,原告ら主張のようなアクロバット的飛行を要求するようなものでは到底なかった。 そして,本件鉄塔との関係からみて本件飛行経路が安全であったか否かについてみると,主催者ら及び被告mとしては,操縦者が本件飛行要領に従って飛行することを前提に障害物や注意すべき物件の有無を検討すれば足りるのであって,操縦者が本件飛行要領を無視した飛行をした場合の障害物等を検討する義務はない。本件飛行要領等による本件飛行経路及び飛行方法は,本件イベント会場(厳密には北海道パラプレーン道央空港滑走路)上空をIP1地点から225度の角度で進入してローパスするというものであり(別紙1の飛行経路図を見れば,上記滑走路上空を通過するということは容易に理解できる。),本件鉄塔は,IP1地点から約230メートルも離れており,また,その頭頂部の高度(地上約87フィート)は,IP1地点の飛行高度(対地高度200フィート)より113フィートも低かった。ローパスは,飛行高度が低く,進入角度が定まっているという点で着陸と同様であることから,着陸の場合と同じ要領で実施するのが一般的であるところ,着陸の場合には,着陸帯を基準として,進入表面,転移表面又は水平表面の上に出る高さの建造物,植物その他の物件を設置,植栽,留置してはならない区域(航空法49条1項。以下「物件制限区域」という。別紙4(添付省略)参照)が定められており,物件制限区域以外であれば障害物を設置することに制限がないため,操 件を設置,植栽,留置してはならない区域(航空法49条1項。以下「物件制限区域」という。別紙4(添付省略)参照)が定められており,物件制限区域以外であれば障害物を設置することに制限がないため,操縦者は,物件制限区域をはずれないように飛行して着陸しなければならない。本件鉄塔は,ローパス場である本件イベント会場を着陸帯と考えた場合に想定される進入表面を地表面に投影した区域(進入区域)から85メートル外側にあり,本件イベント会場上空をローパスする場合の障害物とはなり得ないものであった。さらに,本件鉄塔の高さは,前記のとおり地上約87フィートであるが,およそ,操縦者は,地上物件に衝突する恐怖から,対地100フィート以下の高度で飛行するのを避けるものであり,対地高度200フィートの飛行計画であるにもかかわらず,対地高度87フィート以下という低空を飛行することは考えられない。実際,本件予行飛行前,o機のほか,4機のモーターグライダーがのべ8回本件飛行経路及び飛行方法に従って飛行したが,本件鉄塔の存在を知らなくても何の問題もなかった。したがって,本件飛行要領等による本件飛行経路及び飛行方法に従って飛行する限り,本件鉄塔に衝突するおそれはなかったものであるから,本件飛行経路及び飛行方法は安全であった。 原告らは,本件予行飛行において,どのように飛行するかについては,操縦者に広い裁量が認められていた旨主張するが,予行演習といっても本番と同様に行うのが通常であり,小型飛行機3機が同時に低空を飛行するという本件予行飛行においては,飛行機同士の衝突防止等安全を確保する必要があることからも,各操縦者は,本件飛行要領及び操縦者間の事前の打合せに従って飛行しなければならず,そこに操縦者の裁量はない。 原告らは,本件飛行要領にはIP1地点等を対地高度で飛行する 確保する必要があることからも,各操縦者は,本件飛行要領及び操縦者間の事前の打合せに従って飛行しなければならず,そこに操縦者の裁量はない。 原告らは,本件飛行要領にはIP1地点等を対地高度で飛行する旨の記載があるにもかかわらず,操縦者らが直前の打合せで調整高度で飛行するように本件飛行経路及び飛行方法を変更し,操縦者らがIP1地点を調整高度で飛行したことを前提として,本件鉄塔との高度差がわずかにすぎず,本件飛行経路及び飛行方法は危険であった旨主張する。しかし,o及びpは,本件予行飛行前の打合せにおいて本件飛行要領に従いIP1地点等を対地高度で飛行する旨確認し,実際にもIP1地点等を対地高度で飛行したものである。原告らの主張は,事故調査報告書に基づくものと思われるが,oは,事故調査委員会からの事情聴取の際,IP1地点等の飛行高度について「高度は200フィート,150フィートくらい」と述べたかもしれないが,調整高度で飛行したと述べたことはない。仮にIP1地点を調整高度200フィートで飛行したとすれば,対地高度でいえば100フィート前後を飛行することになるが,対地高度100フィート以下での飛行が恐怖であることは,すべての操縦者に共通するところであって,本件予行飛行の操縦者らが,合理的理由もなくあえて恐怖を感じるような対地高度100フィート以下で飛行する飛行経路及び飛行方法に変更することは考えられない。事故調査報告書は,目撃者A及びBが,o機もIP1地点付近を低空で飛行していたと供述しているとして,操縦者らの打合せによる本件飛行経路及び飛行方法の変更の事実を認定しているが,目撃者Aに相当するrは,IP1地点付近において,o機を目撃しておらず,また,目撃者Bについては,そもそも実在するのか疑問があるばかりでなく,その供述内容がoの飛行状況と 更の事実を認定しているが,目撃者Aに相当するrは,IP1地点付近において,o機を目撃しておらず,また,目撃者Bについては,そもそも実在するのか疑問があるばかりでなく,その供述内容がoの飛行状況と整合せず,仮に目撃者Bの供述どおり,o機が対地高度20メートルで飛行し,i機がそれより低く飛行していたとすれば,i機は本件事故の衝突位置(地上約23メートル)よりさらに低く飛行していたことになり,客観的事実に反することになるから,目撃者A及びBの供述を根拠にo機がIP1地点を低空で飛行していたことを認定することはできず,操縦者らの打合せによる本件飛行経路及び飛行方法の変更の事実を認めることはできない。 次に,本件鉄塔との関係以外の点から本件飛行経路及び飛行方法の安全性についてみても,本件飛行経路は,ホールディングエリアからIP1地点までの間に対地1000フィートから対地200フィートまで800フィート降下するというものであるが,有視界飛行においては,対地1500フィートから対地500フィートまでの1000フィートの降下が一般的であることからすると,上記の降下が危険な急降下であるとはいえない。また,本件飛行経路及び飛行方法においてホールディングエリアからIP1地点までは道道沿いであり,旋回地点であるIP1地点は,道道と国道38号線の交差点であったから,上空から識別しやすい飛行経路であり,旋回角度についても,技能証明を有する操縦者なら90度の角度で旋回する技術を有しているところ,IP1地点における旋回角度は72度にすぎなかったから,本件飛行経路及び飛行方法は無理のない安全なものであった。 ところで,本件デモフライト及び本件予行飛行の安全にかかわる調査及び情報提供については,被告mが,本件飛行要領作成にあたり,上空から細部の検討を行い,実行委 飛行方法は無理のない安全なものであった。 ところで,本件デモフライト及び本件予行飛行の安全にかかわる調査及び情報提供については,被告mが,本件飛行要領作成にあたり,上空から細部の検討を行い,実行委員会の運航管理部長であるsが本件予行飛行前に実際に本件飛行経路を飛行し,いずれも本件飛行経路及び飛行方法の安全性を確認しているうえ,被告mは,本件予行飛行前,iに対して現地を上空から確認するよう指示するとともに,操縦者間の打合せに先立ち,oに対し,操縦者間の調整事項,管制塔との交信,2番機,3番機に対する飛行統制等についてアドバイスをし,これらの事項が上記打合せを通してi及びpに伝えられるなど,十分に配慮を尽くしていた。 原告らは,本件飛行経路を調整高度で飛行することを前提に,操縦者らに飛行地域等の標高を告知する義務があった旨主張するが,本件デモフライト及び本件予行飛行のような有視界飛行では,目視により対地高度を確認しながら飛行するのが原則であり,技能証明を有する操縦者は,対地高度200フィート以下であれば,高度を目測する高度感覚をそなえているのが通常であるから,本件のような有視界飛行のデモフライトにおいて,飛行地域等の標高を主催者らが操縦者らに告知する義務はないし,そもそも,飛行場以外の場所で正確に標高を出すことは困難である。 (二) 飛行経路から離れていても,飛行経路と緊急不時着適地との間にある物件は障害物ないし注意を要する物件ということができるが,本件飛行経路のIP1地点の南方向には緊急不時着適地はなかったから,本件鉄塔は,IP1地点と緊急不時着地点を結んだ線上になく,この点でも障害物には当たらない。したがって,主催者及び被告mは,iら操縦者らに対して本件鉄塔の位置,高さ,本件飛行経路との関係等について情報を与える義務はなかった。 不時着地点を結んだ線上になく,この点でも障害物には当たらない。したがって,主催者及び被告mは,iら操縦者らに対して本件鉄塔の位置,高さ,本件飛行経路との関係等について情報を与える義務はなかった。 (被告m)被告mは,本件イベントにおいて,実行委員会の運行管理部の飛行管制班長として同部長sの指揮の下でその業務の補助をしたにとどまり,主催者らと並んで独立の不法行為責任を負うものではない。 (被告赤平市)本件イベントの主催者は,被告スカイスポーツ協会と実行委員会であり,被告赤平市は,本件イベントの主催者ではなく,後援団体の一つにすぎない。本件イベントの名称中に「遊・ユア・フェス」が使用されたが,赤平市において開催されていたスカイスポーツのイベントである「遊・ユア・フェス」は,あかびらスカイスポーツ振興協会が主催し,その所属会員である北海道パラシュートプレーン協会が主体的に運営していたものであって,被告赤平市主催のイベントではなかった。本件イベントの後援団体には,被告赤平市のほか,北海道開発庁,運輸省東京航空局,北海道,赤平市教育委員会,財団法人日本航空協会,全国スカイレジャー振興協議会,社団法人北海道観光連盟,北海道観光誘致宣伝協議会,財団法人北海道開発協会,財団法人北海道地域総合振興機構(はまなす財団),財団法人河川環境管理財団などがあった。 2 本件予行飛行中における被告赤平市,被告スカイスポーツ協会及び被告mの過失について(原告ら)i機は,本件予行飛行中,ホールディングエリアからIP1地点に至る飛行過程において,他の2機に比して低空を飛行しており,本件鉄塔と本件飛行経路との位置関係については前記のとおりであったから,i機がIP1地点に至るまでの間,同機が本件鉄塔に接触する危険が顕在化していた。主催者らは,被告mをして,本件イ 飛行しており,本件鉄塔と本件飛行経路との位置関係については前記のとおりであったから,i機がIP1地点に至るまでの間,同機が本件鉄塔に接触する危険が顕在化していた。主催者らは,被告mをして,本件イベント会場内の仮設管制塔において,以上のようなi機の低空飛行を監視させており,仮設管制塔には各操縦者との無線交通設備があったのであるから,飛行委託契約に基づき,iに対して,本件鉄塔に接近しないよう,また,高度を上げるように指示する義務があったにもかかわらず,これを怠った過失がある。被告mも,不法行為上,上記のような主催者らと同様の義務を負っていたのに,これを怠った過失がある。 (被告ら)本件予行飛行中,ホールディングエリアからIP1地点に至る飛行過程において,i機が他の2機に比して低空を飛行していたとしても,iが外界を目視して,飛行高度を正確に認識すれば,直ちに飛行高度を修正することができたのであり,このことを技能証明を有するiに期待するのは当然であるから,衝突の危険が顕在化していたとはいえない。 また,被告mが,i機が危険と思われるほど低空飛行をしていたことに気が付いたのは本件事故の直前であり,それ以前は,1番機であるo機の飛行状況を注視していたため,i機が対地高度100フィート以下という常識では考えられない危険な低空飛行をしていることを認識することはできなかった。したがって,主催者ら及び被告mに監視指示義務違反の過失はない。 (被告m)一1について述べたと同様,被告mは,主催者らと並んで,独立の不不法行為責任を負うものではない。 3 被告滝川市及び被告振興協会の過失について(原告ら)被告滝川市及び被告振興協会は,被告mの使用者であるところ,被告mは,同被告らの地域振興及びスカイスポーツ振興事業の執行として本件デモフライトの飛行管制 市及び被告振興協会の過失について(原告ら)被告滝川市及び被告振興協会は,被告mの使用者であるところ,被告mは,同被告らの地域振興及びスカイスポーツ振興事業の執行として本件デモフライトの飛行管制班長を務め,その際,前記過失によって,本件事故を発生させ,iら3名を死亡させた。被告滝川市及び被告振興協会は,被告mが本件デモフライトの飛行管制班長を務めるにつき,同人が過失によって他人に損害を与えないよう指揮監督する義務があったのに,これを怠った過失がある。 (被告滝川市,被告振興協会)被告滝川市及び被告振興協会は,被告mを本件イベントに派遣したが,本件イベントの運営には全くかかわっておらず,派遣した人員の指揮監督は本件イベントの主催者である実行委員会が行っていたものである。 また,被告mが主張するとおり,同被告は,主催者らと並んで独立の不法行為責任を負う地位にはないから,被告滝川市及び被告振興協会の使用者責任も成立する余地がない。 二被告赤平市,被告スカイスポーツ協会及び被告mの過失と本件事故との因果関係について(原告ら)i機が本件鉄塔に衝突した原因は,主催者ら及び被告mから本件鉄塔についての情報が与えられなかったため,操縦者間の事前の打合せに基づいて滝川場外離着陸場の標高を0フィートにセットして高度計を調整したうえ,飛行高度に十分注意せずに調整高度で飛行し,かつ,本件鉄塔が上空から認識しにくいものであったことから,本件鉄塔に接近していることに気が付かなかったことにある。したがって,本件事故は,主催者ら及び被告mの過失に起因する。 なお,i機には,同乗者が2名いたが,i機の定員は4名であり,また,同乗者のうちkは操縦練習許可を受けている者であって,iの操縦補助者ともいうべきものであったから,同乗者がいたことと本件事故の発生とは無 i機には,同乗者が2名いたが,i機の定員は4名であり,また,同乗者のうちkは操縦練習許可を受けている者であって,iの操縦補助者ともいうべきものであったから,同乗者がいたことと本件事故の発生とは無関係である。 (被告ら)iは,本件飛行要領及び本件予行飛行前の操縦者間の打合せにより,IP1地点を対地高度200フィートで右旋回すること,滝川場外離着陸場の標高が約76フィート,本件イベント会場の標高が約130フィートであること等を確認したうえで飛行したにもかかわらず,IP1地点付近を通過しても右旋回することなく直進し,飛行高度についても,エンジン等に異常がないのにIP1地点付近において対地高度200フィート以下,衝突直前においては対地高度73フィートの低空で飛行しており,その飛行は,本件飛行要領及び操縦者間の打合せに反するものであった。 しかしながら,iは,本件予行飛行が行われた平成7年7月29日の午前中に,本件イベント会場上空を飛行して飛行地域を下見し,滝川場外離着陸場でタッチアンドゴーの練習をするなどして本件予行飛行に臨んでいたから,本件飛行要領及び操縦者間の打合せに故意に反して危険な対地100フィート以下の低空飛行をするとは考えられない。 したがって,iは,本件予行飛行の際,IP1地点を見失って通過し,高度認識も誤っていたものと考えるほかない。すなわち,iは,滝川場外離着陸場の標高を0フィートにセットせず,海抜高度のまま飛行し,この高度計の表示にとらわれて外界に対する視認作業を怠り,衝突時においても,本件鉄塔の衝突部分の海抜高度である221フィートを対地高度であると誤認していた可能性が高い。海抜高度221フィートを対地高度と認識していないまでも,本件鉄塔の存在するような工場地帯を対地高度100フィート以下で飛行することは操縦者の常識 ィートを対地高度であると誤認していた可能性が高い。海抜高度221フィートを対地高度と認識していないまでも,本件鉄塔の存在するような工場地帯を対地高度100フィート以下で飛行することは操縦者の常識では考えられないことから,iは,何らかの原因で対地高度100フィート以上で飛行していると誤認していたものと思われる。 このように,iは,本件予行飛行中,少なくともIP1地点付近以降の飛行において,自己機の飛行位置,飛行高度を認識できていなかったのであり,仮に,主催者ら及び被告mが,iに対して本件鉄塔の所在や高度についての情報を与えていたとしても,iが自己機の飛行経路を変更していたとは考えられないから,主催者ら及び被告mの上記過失と本件事故との間に相当因果関係はないというべきである。 なお,iは,本件予行飛行において,本来乗員1名で飛行すべきところ,2名を主催者らの承諾なく同乗させており,その結果,150馬力と比較的エンジン出力の小さかったi機が,急激な高度の低下及び障害物回避のための運動能力の低下をきたした可能性もある。 三被告の予備的主張(被告ら)仮に,被告らに損害賠償責任があるとしても,iにおいては,本件予行飛行において,自己機の飛行位置,飛行高度を失認するなど,操縦者として著しい注意義務違反が存するので,過失相殺されるべきである。 また,同乗者については,iの操縦の見張りとして同乗していた場合には,見張りとしての事故防止の注意義務を怠ったため本件事故が起きたという側面もあるから,過失相殺されるべきである。なお,kは,操縦練習許可を受けていた。仮に,単なる同乗者であった場合には,本来このような飛行に無関係な者が同乗すべきではないから,好意同乗として損害が減額されるべきである。 (原告ら)iが自己機の飛行位置,飛行高度を失認したという 。仮に,単なる同乗者であった場合には,本来このような飛行に無関係な者が同乗すべきではないから,好意同乗として損害が減額されるべきである。 (原告ら)iが自己機の飛行位置,飛行高度を失認したということはなく,iの本件予行飛行は,操縦者に許されている裁量の範囲内の飛行であり,また,i機はo機に追従して飛行していたものであって,iに過失はない。 (原告g,原告h)kは,iが道内に散在するq産業の土木現場への視察に飛行機を使用していたことから,自らも操縦練習許可を得て,iの操縦するi機に同乗してその運航補助をするなどしていたところ,本件予行飛行においても,iからの業務命令でi機に同乗し,その運航補助をしていたものである。 (原告d,原告e,原告f)jは,iからの業務命令により同乗していたものであって,仮にiの操縦に何らかの落ち度が認められたとしても,jはiと生活関係上,身分関係上一体の関係にあるものではないから,iの過失を被害者側の過失と評価することはできない。また,jは,飛行機の操縦に関して何の資格も有しておらず,見張り等の操縦補助者とはいえないから,仮にiに過失があったとしても,これに何の関与もしておらず,好意同乗減額の法理の適用はあり得ない。そもそも,好意同乗減額を主張する主体は,同乗させた者であって,被告らとの関係で主張されるいわれはない。 なお,jは,主催者らの承諾を得ることなくi機に同乗したが,i機の定員は4名であり,安全上問題はなかったし,主催者らや他の機長らも,jらがi機に同乗するのを知っていて,承諾等の手続が必要であったことを注意しておらず,この点に問題はなかったものである。 四損害について(原告ら)主催者ら及び被告mの前記過失によって,i,j及びk(以下「被害者ら」ということもある。)が死亡し,被害者らはそれぞれ別 意しておらず,この点に問題はなかったものである。 四損害について(原告ら)主催者ら及び被告mの前記過失によって,i,j及びk(以下「被害者ら」ということもある。)が死亡し,被害者らはそれぞれ別紙3被害表の被害者の損害欄記載の損害を被り,その金銭的評価についても同欄記載のとおりである。原告fを除く原告ら及び亡nは,被害者らの相続人として,それぞれ別紙3被害表の原告の損害額欄記載の損害賠償請求権を相続した。亡nは,平成12年3月26日に死亡し,原告e及び原告fは,亡nの上記損害賠償請求権を2分の1ずつ相続した。 (被告ら)中間利息の控除にはライプニッツ係数を用いるべきであり,kの逸失利益の計算は,実収入によってなされるべきである。 第四当裁判所の判断一認定事実証拠(甲イ1,2の1ないし4,4ないし6,15,16,の1,2,甲ハ1ないし3,乙イ1ないし8,9の1,2,10,11の1,2,12ないし16,乙ロ1ないし6,7の1,2,8の1ないし4,9の1,2,10,11,12の1,2,13ないし17,乙ハ1ないし11,証人o,証人p,証人r,証人t,証人u,証人v,証人w,証人x,被告m本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 1 本件イベントに至る経緯被告スカイスポーツ協会は,平成2年に設立されてから,スカイスポーツを通じて地域の振興に貢献する目的で,1年に1度,北海道内の各地方自治体の協力を得て「スカイスポーツフェア」を開催してきた。上記フェアの実施形態は,開催地の地方自治体の首長を実行委員長とした実行委員会を組織し,上記実行委員会及び被告スカイスポーツ協会が主催者としてイベントの計画,準備,実施をするというものであった。被告スカイスポーツ協会は,各地方自治体との共催により,平成3年には網走郡β町において「 ,上記実行委員会及び被告スカイスポーツ協会が主催者としてイベントの計画,準備,実施をするというものであった。被告スカイスポーツ協会は,各地方自治体との共催により,平成3年には網走郡β町において「’91北海道スカイスポーツフェアインβ」を,平成4年には上川郡γ町において「’92北海道スカイスポーツフェアインγ」を,平成5年には滝川市において「スカイ・レジャー・ジャパン93-北海道スカイスポーツフェアイン滝川-」を,平成6年には河東郡δ町において「’94北海道スカイスポーツフェアインδ」を開催した。 一方,被告赤平市は,かねてより町おこし等の目的でスカイスポーツに積極的に取り組んでおり,独自にスカイスポーツのイベントとして「遊・ユア・フェス」を開催していた。 平成6年春ころ,被告スカイスポーツ協会は,従前より被告赤平市がスカイスポーツを推進していることを聞き及んでいたこともあって,赤平市において平成7年のスカイスポーツフェアを開催することを被告赤平市に持ちかけた。被告赤平市は,同年夏ころ,これを承諾した。被告スカイスポーツ協会及び被告赤平市は,被告スカイスポーツ協会の実施してきた「スカイスポーツフェア」と被告赤平市の実施してきた「遊・ユア・フェス」とを合わせる趣旨から,本件イベントの名称を「’95北海道スカイスポーツフェア遊・ユア・フェス’95 イン赤平」と命名し,平成7年6月1日には実行委員会(実行委員長赤平市長y,実行委員は,同市助役,同市収入役,同市議会議長,同市教育長,同市体育協会会長,あかびらスカイスポーツ振興協会会長代行,同会副会長,同会相談役,被告スカイスポーツ協会会長,同会常務理事,同会理事,同会事務局長,北海道パラプレーン道央空港長)を組織し,被告スカイスポーツ協会及び実行委員会の主催により本件イベントを開催する 会長,同会相談役,被告スカイスポーツ協会会長,同会常務理事,同会理事,同会事務局長,北海道パラプレーン道央空港長)を組織し,被告スカイスポーツ協会及び実行委員会の主催により本件イベントを開催することとした。実行委員会の実施運営本部は,赤平市教育委員会内に置かれ,本件イベントの運営に被告赤平市の職員140余名が携わった。本件イベントの予算は1400万円であったが,被告赤平市は,そのうち300万円を負担した。 2 被告mの参加本件イベントは,実行委員会が実際の運営に当たる形で行われ,その中では,主に被告スカイスポーツ協会の関係者が空の運航部門を担当し,被告赤平市の職員が会場の設営等の仕事を担当した。空の運航部門は,実行委員会の運航管理部(部長のsは日本飛行連盟に所属)が担当した。運航管理部は,本件イベントにおいて,小型飛行機,滑空機等によるデモフライトを実施することを計画した。 ところで,滝川市教育委員会社会教育部スカイスポーツ課長の被告mは,かつて防衛庁で20年間飛行機の操縦に携わり,その間,アメリカ陸軍の航空学校において航空事故調査を学び,2年間航空事故調査に従事した経験を有しており,被告スカイスポーツ協会主催のスカイスポーツフェアに操縦者として参加したことがあった(平成11年6月14日現在において,総飛行時間約8000時間の経験であった。)。被告赤平市の助役は,赤平市に隣接し,スカイスポーツの振興普及に積極的に取り組んでいた被告滝川市に本件イベントについての支援を求めた。被告滝川市は,これを受けて,被告mを本件イベントの実行委員会の実施運営本部に派遣し,被告mは,運航管理部飛行管制班長を務めることになった。被告mは,本件デモフライトについて飛行計画の作成,航空局への飛行許可申請手続,飛行統制を担当した(なお,被告mは,平成7 施運営本部に派遣し,被告mは,運航管理部飛行管制班長を務めることになった。被告mは,本件デモフライトについて飛行計画の作成,航空局への飛行許可申請手続,飛行統制を担当した(なお,被告mは,平成7年の本件イベント後,毎年,被告スカイスポーツフェアの運行管理部長を務めた。)。 3 各操縦者の経歴等前記のとおり,本件デモフライトは,3機の小型飛行機による縦列飛行であり,操縦者は,1番機がo,2番機がi,3番機がpとされた。 oは,北海道立林産試験場に勤務する者であるが,昭和63年に飛行機(陸上単発)の自家用操縦士の技能証明を取得し,滑空機については教育証明を有し,平成7年7月当時,被告振興協会において滑空機の教官(ボランティア)を勤めていた(平成11年2月26日現在で滑空機を含めた総飛行時間は768時間であった。)。oは,本件イベントの参加団体の一つであった北海道滑空協会の要請により本件デモフライトに参加することになった。また,pは,特許庁に勤務するかたわら,昭和55年に飛行機の操縦士(自家用,陸上単発)の技能証明(昭和60年には事業用の技能証明)を取得し,アメリカやポーランドで飛行機や滑空機の曲技技能訓練を受け,被告スカイスポーツ協会の主催するスカイスポーツフェアのデモフライトに平成4年から毎年参加しているほか,航空自衛隊のデモフライトや,フランスで開催された滑空機曲技世界選手権に参加した経験を持ち,滑空機については教育証明を有している(平成10年6月現在で滑空機を含めた総飛行時間は1300時間であった。)。pは,被告スカイスポーツ協会の要請により本件デモフライトに参加することになった。以上のとおり,o及びpは,いずれもベテランの操縦者であり,同人らが使用した航空機は,いずれもアピオン・ピエールロパン式で,比較的軽量で出力の大き 請により本件デモフライトに参加することになった。以上のとおり,o及びpは,いずれもベテランの操縦者であり,同人らが使用した航空機は,いずれもアピオン・ピエールロパン式で,比較的軽量で出力の大きいものであった。 これに対し,iは,平成5年10月に飛行機(自家用,単発機)操縦士の技能証明を取得し,本件事故時までの総飛行時間は125時間余であり,o及びpに比べると飛行経験が少なかった。iは,被告振興協会の会員であり,同会常務理事のzから飛行技術について教育を受けていたため,同人を通じて被告mと面識を有していた。被告mは,上記zから,iの操縦技能が本件デモフライトに参加するにあたり問題がないことを確認し,iに対して本件イベントがあることを伝えたところ,iは,本件デモフライトに参加する意向を示し,本件デモフライトに参加することになった。iの使用した航空機は,ハイパーチェロキー式で,o及びpの使用した飛行機に比較すると重量があり,逆に出力は小さかったが,一般的に使用されているタイプであり,搭乗定員は4名であった。 4 本件飛行経路及び飛行方法の作成経緯及び許可申請等本件デモフライトでは,航空法81条本文及び航空法施行規則174条で定める最低安全高度以下の高度で飛行することが予定されていたことから,航空法81条但書に基づいて,運輸大臣の許可を受ける必要があった。 本件デモフライトは,赤平市α町空知川河川敷の北海道パラプレーン道央空港滑走路(約50メートル)上空で実施されることになっていたが,その周辺地域は,農地が広がる比較的平坦な地域で工場,住宅等が点在している状況であった。被告mは,本件デモフライトの飛行空域を何度か飛行した経験があり,その地域の状況についてある程度知っていたが,さらに本件デモフライトのための調査を行った。すなわち,被告 点在している状況であった。被告mは,本件デモフライトの飛行空域を何度か飛行した経験があり,その地域の状況についてある程度知っていたが,さらに本件デモフライトのための調査を行った。すなわち,被告mは,地図の確認,現地踏査等により,周辺の地形や障害物の有無を認識し,別紙2のとおり,本件デモフライトの飛行経路図を作成した。その際,被告mは,本件鉄塔の南側の空知川河川敷が不時着適地となるため,本件鉄塔が飛行経路と上記不時着適地との間に存在して障害物になり得るものと考え,上記飛行経路図の本件鉄塔の位置(同図の右下の2つの黒点のうち,右上の黒点の位置)に障害物の存在を示す黒点を記入し,本件鉄塔の高度を赤平市の職員から聞いたとおり15メートル(実際は約26.5メートルであったが,被告mはその確認をしなかった。)と記載した。 被告mは,平成7年7月29日及び同月30日の両日の午前9時から午後3時まで(有視界飛行可能な条件時のみ),小型飛行機,滑空機が本件イベント会場上空において単機ごとに対地高度200フィートの飛行を予定していることを記載し,別紙2と同様の飛行経路図を添付して,東京航空局新千歳航空長に対し,航空法81条但書の許可申請書を提出した。被告mは,新千歳航空事務所において,同事務所職員から不時着適地も記載するように指導され,別紙2のとおり不時着適地を記入し,また,同事務所職員からほかに人工物はないかと質問され,本件イベント会場南側(別紙2の2つの黒点のうち左下の黒点の位置)に高さ15メートルほどの建物がある旨述べ,同事務所職員の指導により,同図上の上記建物の所在地点に黒点を記入してかたわらに「15m」と付記した。被告mは,その場で別紙2の右下に「不時着適地障害物(最高度)」と記載したうえ,同図を上記許可申請書に添付して提出した。 上 図上の上記建物の所在地点に黒点を記入してかたわらに「15m」と付記した。被告mは,その場で別紙2の右下に「不時着適地障害物(最高度)」と記載したうえ,同図を上記許可申請書に添付して提出した。 上記申請について,運輸大臣の許可を受けたことから,被告mは,同月12日及び13日,別紙2の飛行経路図のとおり実際に飛行してみたところ,最終旋回地点が上空から認識しにくいことが判明するなどしたため,最終旋回地点を上空から容易に識別することができるIP1地点(変更前の最終旋回地点から南に約500メートルの地点)に変更し,飛行経路としても,ホールディングエリアからIP1地点に降下した後,IP1地点から本件イベント会場上空をローパスすることに修正し,かつ本件イベント会場から本件デモフライトを見易くするためローパスの高度を対地150フィートに下げることとし,別紙1の飛行経路図を作成した。また,被告mは,上記飛行の結果,本件鉄塔の南側の空知川河川敷が不時着できる状態ではないことが明らかとなったため,本件鉄塔が本件飛行経路と不時着適地との間に存する障害物には当たらないと判断した。 被告mは,同月18日ころ,別紙1の飛行経路図及び本件イベント会場の図面(乙ロ8の1)等をp及びiに郵送し,同月22日ころ,同じものをoに手渡したが,これらには不時着適地及び障害物は記載されていなかった。IPというのは,計器飛行における通過地点を意味するものであるが,被告mは上記飛行経路図の作成においてIP1地点を最終旋回地点を意味するものとして使用し,o,i及びpにおいても,これを同様に理解した。 5 本件予行飛行前の練習及び操縦者らによる打合せ平成7年7月29日,本件デモフライトに参加する操縦者らによる予行飛行が実施された。同日の午前中,s及びpが操縦を交替しながら1回ずつ に理解した。 5 本件予行飛行前の練習及び操縦者らによる打合せ平成7年7月29日,本件デモフライトに参加する操縦者らによる予行飛行が実施された。同日の午前中,s及びpが操縦を交替しながら1回ずつ本件飛行経路を飛行し,oも2回本件飛行経路を飛行したが,特に問題はなかった。pは,対地200ないし300フィートの高度で本件飛行経路上に障害物がないか否か注意して確認しながら飛行したが,飛行の障害になりそうな物件はなく,本件鉄塔には気付かなかった。oも,本件鉄塔には気付かなかった。iは,同日午前中に,滝川場外離着陸場でタッチアンドゴー(飛行機を滑走路に着陸させ,その直後にエンジンを全開にして再び離陸するトレーニングである。本件デモフライト及び本件予行飛行で予定されていたローパスは,着陸体勢をとらず,一定の高度を保ったままで滑走路上を通過するだけであり,タッチアンドゴーより容易であるとされている。)の練習を行うとともに,被告mの助言を受けて本件イベント会場上空を飛行し,上空から本件イベント会場を確認した。pは,同日がiと初対面であったため,本件デモフライトにおいて同時に飛行するiがどのような操縦者であるか興味をもって見ていたが,iは,人格,技術ともに問題ない人物であるという印象を受けた。 同日午後には,本番と同じ形での予行飛行が行われた。小型飛行機による本件予行飛行の前に滑空機2機により本件飛行経路を飛行する予行飛行が行われたが,問題なく終了した。小型飛行機の操縦者であるo,i及びpは,本件予行飛行前までに,本件飛行要領に基づいて打合せを行い,当日の風向きに都合の良いホールディングエリア(HA)Aから降下するコースを選択し,IP1地点を対地高度200フィートで旋回し,本件イベント会場上空を対地高度150フィートでローパスすること,滝川場外 の風向きに都合の良いホールディングエリア(HA)Aから降下するコースを選択し,IP1地点を対地高度200フィートで旋回し,本件イベント会場上空を対地高度150フィートでローパスすること,滝川場外離着陸場,本件イベント会場の標高がそれぞれ約76フィート,約120フィート(本件イベント会場の実際の標高は約130フィートであったが,この時点では10フィート低く認識していた。)であり,両者の差が大きくないことから,慣例に従い,滝川場外離着陸場の標高を0フィートにして高度計を調整して飛行することを確認するとともに,本件飛行要領では,ホールディングエリアでの飛行高度が対地800フィートとされていたが,対地1000フィートの方がより安全であると考え,被告mの了承を得たうえで,ホールディングエリアでの飛行高度を対地1000フィートで行うこととした(原告らは,上記打合せにおいて,操縦者らが,IP1地点を調整高度200フィートで飛行することを確認した旨主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。すなわち,事故調査報告書によると,oからの事情聴取結果並びに目撃者A及びBの供述に基づき,o機は,i機と同じように,IP1地点付近を調整高度200フィート(対地高度119フィート)で飛行したとの事実認定がなされている。しかし,o証人は,事故調査委員会からの事情聴取に対し,「高度はIP1地点を対地高度200フィート,本件イベント会場上空を対地高度150フィートくらいで飛行した」と述べたかもしれないが,調整高度で飛行したとは述べていない旨供述している。後記のとおり,本件予行飛行のような有視界飛行,中でも対地高度200フィート程度以下の飛行においては,下界を目視しての高度判断によって行うのが原則であるうえ,本件飛行要領にはIP1地点を対地高度200フィートで飛行 予行飛行のような有視界飛行,中でも対地高度200フィート程度以下の飛行においては,下界を目視しての高度判断によって行うのが原則であるうえ,本件飛行要領にはIP1地点を対地高度200フィートで飛行し,本件イベント会場上空を対地高度150フィートでローパスすることが明記されていたのであるから,操縦者らがあえてこれに反して調整高度でIP1地点等を飛行するように変更する理由は全くない。そして,o証人は,本件予行飛行前の打合せでも本件飛行要領どおりIP1地点等を対地高度で飛行する旨の確認を行い,実際にその確認のとおりIP1地点を対地高度200フィートで飛行した旨供述している。目撃者Aは,r証人と同一人物であると認められるところ,r証人は,本件鉄塔の北東にある工場で仕事をしていた際,i機が低空で工場の上を飛行し,本件鉄塔に衝突した状況を目撃したが,i機より先に飛行していたo機については,工場の中で飛行している音を聞き,機影を一瞥し,随分低く飛んでいるなという印象を受けたにすぎず,その飛行高度や飛行経路は分からない旨供述しているのであり,これをもってo機がIP1地点等を調整高度で飛行していたと認定することはできない。また,目撃者Bについては,人物を特定できないことからその事情聴取結果の内容を検証することはできないが,地上からの目撃では,飛行機の飛行位置,飛行高度を正確に認識することは通常困難であるから(目撃者Bの事情聴取結果によると,o機が対地高度約20メートルで飛行し,i機はさらに高度を低くして飛行していたというのであるが,i機が本件鉄塔に衝突した位置が地上22.3メートルであったから,この点で客観的事実と整合していない結果となっている。),目撃者Bの事情聴取結果も信用性は低いといわざるを得ない。以上のように,o機がIP1地点等を調整高度 位置が地上22.3メートルであったから,この点で客観的事実と整合していない結果となっている。),目撃者Bの事情聴取結果も信用性は低いといわざるを得ない。以上のように,o機がIP1地点等を調整高度で飛行したとする事故調査報告書の記載は信用することができない。)。なお,o,i及びpは,本件予行飛行を始めるまでに,被告mに対し,不時着適地の所在場所や障害物の有無を質問したりしたことはなかった。 6 本件予行飛行の実施(一) o,i及びpは,同日午後2時25分ころから,本件飛行要領及び操縦者間の上記打合せに基づいて,本件予行飛行を実施した。i機は,ホールディングエリアで旋回していた際,打ち合わせていた対地高度1000フィートより低い高度で飛行していたため,oは,iに対し,少し高度を上げるよう注意し,i機はこれに応じて高度を修正した。ホールディングエリアからIP1地点に向けて飛行していた際も,i機は,o機とp機とを結んだ線より低い高度で飛行していた。 そして,i機の高度は,IP1地点に至るころには対地高度約160フィート(約50メートル)となった。i機は,南北に通じる道道よりも東側を飛行し,IP1地点を旋回せずに進み,IP1地点をすぎたあたりで急に高度を下げ,同地点の南東側の工場の上空を飛行し,同地点から約230メートル南の本件鉄塔の高さ約72フィート(約22.3メートル)の部分に衝突した。なお,iは,主催者に無断でi機にj及びkを同乗させていた。 o機は,ホールディングエリアからIP1地点までの経路においてi機の先方約1000メートルを飛行し,道道に沿ってその西側を降下し,IP1地点を対地高度約200フィートで旋回(アンダーシュート)して本件イベント会場上空に向かいローパスを終えた。p機は,i機の後方約1000メートルをIP1地点に向か 道に沿ってその西側を降下し,IP1地点を対地高度約200フィートで旋回(アンダーシュート)して本件イベント会場上空に向かいローパスを終えた。p機は,i機の後方約1000メートルをIP1地点に向かって対地高度で飛行していたが,i機が墜落するのを見て本件飛行経路をはずれ,本件事故現場の方へ向かった(事故調査報告書中には,目撃者Aは,o機が前記工場の真上を飛行していった旨供述し,目撃者Bも,あいまいながらもこれと同旨の供述をしたかのような記載部分がある。しかし,目撃者Aであるr証人は,前記のとおり,事故調査報告書の記載のような供述はしていない。また,o証人は,o機の飛行状況について上記のとおり供述している。そして,t証人は,本件事故当時,自動車を運転して道道を北から南へ進行中にo機及びi機等の飛行状況を目撃したものであるが,o機は,道道のやや西側を飛行し,その先で右旋回し,その後のi機は,道道の東側を飛行していて,本件鉄塔に衝突した旨供述している。t証人は,自衛隊に5年間勤務し,飛行機の離着陸に係る業務に従事したことがあり,また,22年にわたるハングライダー操縦の経験を有し,その指導にも当たっていることなどから,低空を飛行する飛行機の経路についての認識は比較的正確であるものと考えられ,t証人の供述は信用できるものである。以上のようなr証人,o証人及びt証人の各供述に照らすと,上記目撃者A及び目撃者Bの各供述記載は採用することができない。)。 (二) 本件予行飛行中,被告mは,本件イベント会場内の仮設管制塔において,o,i及びpの無線でのやりとりを傍受し,o機がIP1地点手前を飛行していたあたりから目視でo機を追跡し,o機がIP1地点通過をレポートするのを無線で聞きながら,同機の高度を注視し,o機が本件イベント会場上空をローパスしたの りを傍受し,o機がIP1地点手前を飛行していたあたりから目視でo機を追跡し,o機がIP1地点通過をレポートするのを無線で聞きながら,同機の高度を注視し,o機が本件イベント会場上空をローパスしたのを確認した後,再びIP1地点付近に目を転じてi機を見たところ,同機がIP1地点付近で降下したことから,無線機で「ハイパー(i機の通称)低い」と告げたが,その直後にi機は本件鉄塔に衝突して墜落した。 7 飛行に関する一般則について(一) 有視界飛行における飛行高度の基準及び高度感覚について飛行には,飛行機の姿勢,高度,位置及び針路の測定を計器にのみ依存して行う計器飛行(航空法2条14項)と,それ以外の有視界飛行とがあるところ,有視界飛行においても,対地高度800フィートないし1000フィート以上と飛行高度が高い場合や,山岳部を飛行する場合には高度計の表示によって高度を判断するが,飛行高度が800フィートより低くなると,計器高度は参考にはするものの,目視によって車や電柱の大きさから高度を判断し,これを優先するのが通常である。そして,着陸の訓練において対地高度300フィート以下で,着陸地点までの距離及び高度を目測してどの段階で機首を挙げて速度を落とすかということを繰り返し訓練するため,技能証明を有する操縦者であれば対地300フィート以下においては,誤差1割ないし2割の範囲内で高度を判定する能力が養われている。 また,高い高度で飛行している場合には,地上のものの動きは緩やかであるが,低空を,例えば時速170キロで飛行すると,同じ速度で高速道路を走行しているのと同様,地上の物体の動きが早くなるため,危険を感じるのが通常であり,工場等の存在する地域において対地高度100フィート以下で飛行することは相当の恐怖感をともなうものであるため,通常このような るのと同様,地上の物体の動きが早くなるため,危険を感じるのが通常であり,工場等の存在する地域において対地高度100フィート以下で飛行することは相当の恐怖感をともなうものであるため,通常このような低空飛行をすることはない。 (二) 降下,旋回及びローパスについて本件飛行経路及び飛行方法は,ホールディングエリアからIP1地点までの約3キロメートルの間に対地高度1000フィートから200フィートまで降下した後,IP1地点において旋回角度72度で右旋回し,約1キロメートル先の本件イベント会場上空を対地高度150フィートでローパスするというものであるが,有視界飛行においては,対地高度1500フィートから500フィートまで降下するのが一般的であることからすると,約3キロメートルの間に800フィート降下する飛行には危険性はない。 次に,旋回方法については,旋回地点を越えて旋回する(オーバーシュート)と,旋回のために必要な飛行機の傾き(バンク角)が大きくなり,失速するおそれがあるうえ,進入コースにのせるためにもう一度旋回する必要が生じるなど操作が繁雑になるため危険である。これに対し,旋回地点より内側を旋回する(アンダーシュート)と,バンク角を調整して容易に進入コースにのせることができる。操縦者は,技能証明を取得する際の飛行訓練において,オーバーシュートしないよう,アンダーシュート気味に旋回し,旋回角度についても90度で操縦できるように教育されている。したがって,本件飛行経路及び飛行方法におけるIP1地点の旋回角度は72度であるから,技能証明を有する操縦者にとって,同地点をアンダーシュートで旋回することは容易であり,危険性はない。なお,飛行機の速度とバンク角によって旋回半径が決まる関係があるので,例えば本件飛行経路のIP1地点を旋回して本件イベ 者にとって,同地点をアンダーシュートで旋回することは容易であり,危険性はない。なお,飛行機の速度とバンク角によって旋回半径が決まる関係があるので,例えば本件飛行経路のIP1地点を旋回して本件イベント会場上空を通過する場合を考えると,時速170キロメートルの速度で最大バンク角30度を使えば,IP1地点を中心に半径370メートルの円の内側で旋回すれば本件イベント会場上空を通過することは可能となる計算になるが,上記のとおり,IP1地点を越えてから旋回を始めた場合,本件イベント会場上空に進入するためには,さらに旋回する操作が必要となる。 ローパスは,一定の地点を低空で飛行するというものであるから,降下してそのまま飛行した後,エンジンの出力を上げて上昇すれば容易に行えるものであり,タッチアンドゴーに比べて初歩的な飛行方法である。 (三) 本件デモフライト及び本件予行飛行における飛行経路及び飛行方法の順守について本件予行飛行は,翌日に行われる本件デモフライトの予行演習であるから,本件デモフライトと同様の飛行経路及び飛行方法によってなされるべきものである。本件デモフライトにおいては,本件飛行要領によって,3機の小型飛行機による縦列飛行であることや,具体的な飛行経路及び飛行方法が示され,本件予行飛行前には操縦者間の飛行に関する打合せが行われたから,操縦者は,本件飛行要領及び上記打合せによる飛行経路及び飛行方法を順守しなければならない。そうでなければ,本件イベント会場上空をローパスしてその飛行状況を観覧してもらうというデモフライトの目的を達成することができなくなるおそれがあるのみならず,3機の小型飛行機同士のニアミスを招くなどの危険性が大きくなる(w証人は,一般的に有視界飛行の飛行経路及び飛行方法について操縦者の裁量があるかのような供述をするけ きなくなるおそれがあるのみならず,3機の小型飛行機同士のニアミスを招くなどの危険性が大きくなる(w証人は,一般的に有視界飛行の飛行経路及び飛行方法について操縦者の裁量があるかのような供述をするけれども,少なくとも本件予行飛行については,操縦者は本件飛行要領及び操縦者間の打合せに従わなければならない旨供述するものであるから,同証人の供述を上記認定に反するものとし評価するのは相当でない。)。 (四) 本件飛行区域における物件の制限について本件デモフライト及び本件予行飛行のメインは,本件イベント会場(正確には北海道パラプレーン道央空港滑走路)上空を対地高度150フィートでローパスするというものであり,同所に着陸するというものではないものの,進入経路の設定や障害物の有無の判断に際しては,本件イベント会場に着陸するのと同様に考えればより安全な飛行が確保され得る。ところで,本件イベント会場に着陸するとした場合,航空法2条により進入区域,進入表面,水平表面,転移表面が定まり,同法49条1項により進入表面,転移表面又は水平表面の上に出る高さの建造物,植物その他の物件の設置,植栽が禁止されるが,禁止される空域に障害物はなく,本件鉄塔は,進入表面の投影面である進入区域の外側(南側)85メートルの場所に存在する。 二被告赤平市,被告スカイスポーツ協会の飛行計画作成・事前準備段階における過失について 1 被告赤平市の地位前記一1の認定事実によると,被告赤平市は,実行委員会の設立,本件イベントの運営に中心的に携わり,実質的に被告スカイスポーツ協会とともに実行委員会を構成し,本件イベントを主催していたものと認められるから,被告赤平市は,本件イベントの主催者の一人であったというべきである(以下において,主催者らには被告赤平市も含まれる趣旨で「主催者ら」 委員会を構成し,本件イベントを主催していたものと認められるから,被告赤平市は,本件イベントの主催者の一人であったというべきである(以下において,主催者らには被告赤平市も含まれる趣旨で「主催者ら」を用いる。)。 2 主催者らの注意義務について本件イベントの主催者である被告赤平市及び被告スカイスポーツ協会は,航空法81条所定の最低安全高度以下の飛行を内容とする本件デモフライトの実施を企画し,o,i及びpの3名に対し,本件デモフライト及び本件予行飛行の実行を依頼したものである。そして,同条が原則として最低安全高度以下の飛行を禁止し,運輸大臣の許可を得た場合のみ例外的に最低安全高度以下の飛行を認める趣旨は,最低安全高度以下の低空飛行には以下のような危険が伴うことからこれを規制することにあるといえる。すなわち,①飛行機は,飛行高度が低いほど操縦者の視野が狭くなり,かつ,高速であるため,障害物に衝突する危険が大きくなり,②機体に何らかのトラブルが生じた場合,飛行高度が低いと不時着までの時間及び飛行距離が短くなるため,安全に不時着できない可能性が高く,③航空機が低空において失速すると,回復高度が十分でないためそのまま地面に衝突してしまう危険が大きく(小型飛行機の場合でも,飛行機が一度失速すると,速度を回復するまで100メートル程度の高度を必要とする。),④低空飛行をする前の降下に伴って速度が増加し,引き起こしのタイミングが狂ってそのまま地面に激突する可能性があるなど,低空飛行には,通常の高度で飛行した場合以上に危険が伴う。したがって,このような危険のある最低安全高度以下の本件デモフライトを企画し,本件デモフライト及び本件予行飛行の実行を上記3名に委託した主催者らは,飛行委託契約上の義務として,上記3名に対し,飛行をする地域の状況を調査把握し ある最低安全高度以下の本件デモフライトを企画し,本件デモフライト及び本件予行飛行の実行を上記3名に委託した主催者らは,飛行委託契約上の義務として,上記3名に対し,飛行をする地域の状況を調査把握し,飛行経路上に障害物がないか,低空飛行でもたどりつける範囲に不時着適地を確保できるか,急旋回など飛行機が失速するおそれのある飛行方法ではないか,低空飛行に至るまでの降下率に無理はないかなど考慮して安全な飛行経路及び飛行方法を設定するとともに,障害物の存在等安全に飛行するために必要な情報を教示する義務(以下「安全配慮義務」という。)があると解するのが相当である。 3 そこで,まず主催者らによる安全な飛行経路及び飛行方法の設定義務違反の有無について検討する。 (一) 本件飛行経路及び飛行方法は,飛行経路及び飛行方法そのものとして安全であったか否かについてみると,まず,被告mは,事前の現地調査等により飛行計画を立案して運輸大臣の許可を得,その後に実際に飛行してみて,最終旋回地点を識別しやすいIP1地点に変更するなどして本件飛行経路及び飛行方法を設定したものである。そして,対地高度1000フィート(この高度は操縦者間の打合せで変更されたものである。)から同200フィートへの降下は一般的であり,最終旋回地点のIP1地点における旋回角度72度は,技能証明を取得するための訓練で行われる旋回角度90度以内のものであり,対地高度150フィートでのローパスも容易な操縦で可能であったから,本件飛行経路及び飛行方法は,アクロバット的飛行を要求されるようなものでは到底なく,安全な飛行が期待できるものであったと認められる。現に本件予行飛行前のp及びs,oによる練習やoによる本件予行飛行においては何の問題も生じていない。 (二) 次に,本件飛行経路が本件鉄塔と接近しす ,安全な飛行が期待できるものであったと認められる。現に本件予行飛行前のp及びs,oによる練習やoによる本件予行飛行においては何の問題も生じていない。 (二) 次に,本件飛行経路が本件鉄塔と接近しすぎていて危険であったか否かについてみるに,本件鉄塔は,本件飛行経路のIP1地点の南約230メートルの地点に存在し,本件イベント会場(正確には北海道パラプレーン道央空港滑走路)を着陸帯とした場合の進入区域の外側85メートルの地点に位置していたうえ,操縦者らにはIP1地点内側(北西側)を旋回(アンダーシュート)することが期待できたから,水平距離的にみて,本件飛行経路上を飛行する小型飛行機と接触するおそれはなかったものと認められる。原告らは,操縦者らには飛行についての裁量があり,IP1地点を中心に半径370メートルの円周内であればいずれの地点から旋回しても本件イベント会場上空をローパスすることができたから,操縦者らがこのような飛行経路をとってローパスしようとすれば本件鉄塔と衝突するおそれがあった旨主張するけれども,操縦者らは,主催者らに示された本件飛行要領及び操縦者間の打合せによって決定した本件飛行経路及び飛行方法を順守しなければならないのであり,IP1地点に対する目測判断による誤差の範囲を超えて,操縦者らによる裁量の余地はなかったから,原告らの主張は採用することができない。 また,本件鉄塔の高さは約87フィートであり,本件予行飛行におけるIP1地点の飛行高度は対地200フィートであって,その高度差は113フィート程度もあるうえ,技能証明を有する者は,対地高度300フィート以下の高度感覚を体得しており,特に対地高度100フィート以下の飛行には恐怖を感じてこれを回避する傾向があるため,高度差からみても,本件飛行経路上を飛行する小型飛行機が本件 対地高度300フィート以下の高度感覚を体得しており,特に対地高度100フィート以下の飛行には恐怖を感じてこれを回避する傾向があるため,高度差からみても,本件飛行経路上を飛行する小型飛行機が本件鉄塔に接触するおそれはなかったものと認められる。原告らは,飛行高度についても,操縦者らに飛行の裁量がある旨主張するけれども,上記のとおり,操縦者らは,本件飛行要領及び操縦者間の打合せで決められた飛行高度を順守しなければならないのであり,飛行高度についての目測判断による誤差の範囲を越えて(低空飛行の飛行高度については1割ないし2割の誤差があるとされているところ,仮に2割の誤差があると仮定しても,IP1地点を対地高度160フィートで飛行することになり,本件鉄塔との高度差はなお73フィート存するから,本件鉄塔と接触するおそれはなかった。),操縦者らによる裁量の余地はなかったから,原告らの主張は採用することはできない。原告らは,本件予行飛行前,操縦者間で,滝川場外離着陸場の標高76フィートを0フィートとするように高度計を調整したうえ,IP1地点を調整高度200フィートで飛行するように打ち合せた結果,小型飛行機はIP1地点を調整高度200フィート,対地高度119フィートで飛行することになり,本件鉄塔との高度差が41フィート(276-148-87=41)しかなくなり,本件鉄塔と接触するおそれが生じた旨主張するけれども,操縦者間で原告ら主張のとおり高度計を調整した事実は認められるものの,IP1地点を調整高度200フィートで飛行するよう打合せをした事実は認められないから,原告らの主張はその前提を欠くものである。なお,事故調査報告書は,操縦者らが滝川場外離着陸場の標高76フィートを0フィートとするよう高度計を調整したことが本件事故の原因に関与した旨の見解 ないから,原告らの主張はその前提を欠くものである。なお,事故調査報告書は,操縦者らが滝川場外離着陸場の標高76フィートを0フィートとするよう高度計を調整したことが本件事故の原因に関与した旨の見解を表明しているところ,これについては,高度計の調整をするべきではなかったというのか,それとも高度計の調整をするのであればより標高の高い本件イベント会場の標高約130フィートを0フィートとするよう調整すべきであったというのか,その趣旨が明確でないが,仮に前者であるとすれば,高度計は海抜高度を表示することになり,IP1地点における計器高度200フィートは対地高度43フィートに相当するから,計器高度で飛行した場合,より低空を飛行することになるおそれがあり,また,後者とすれば,本件予行飛行のように同じ場所を離着陸してローパスをする飛行においては,離着陸する場所の標高を0フィートとして高度計の調整をし,離着陸しないローパスの場所の標高を0フィートとして高度計の調整をすることはないという飛行慣行に反することになるから,いずれにしても上記見解に従うことはできない。 (三) (一),(二)に述べたことは,iの飛行経験及び技能を考慮しても,何ら変わらないというべきである。すなわち,iは,p及びoに比べて飛行経験がかなり少なく,技能も劣っていたものであるが,本件飛行経路及び飛行方法は,技能証明を有するiにとって比較的容易であったものと認められる。このことは,本件予行飛行前の練習において,滝川場外離着陸場であるとはいえ,iがローパスより難しいタッチアンドゴーの飛行を無事終えていたことからも肯認される(なお,証人a1は,iの友人であるb1が,本件予行飛行の数日前にiから本件予行飛行についてローパスがあるために自信がないと述べているのを聞いた旨証言するけれども 無事終えていたことからも肯認される(なお,証人a1は,iの友人であるb1が,本件予行飛行の数日前にiから本件予行飛行についてローパスがあるために自信がないと述べているのを聞いた旨証言するけれども,iは,本件予行飛行前にタッチアンドゴーの練習をし,本件予行飛行に当たっては主催者らに無断でj及びkを同乗させていることなどに照らすと,仮にiがb1に対し上記のような発言をしたことがあったとしても,実際にはiが本件予行飛行につき不安を抱いていたとは認められない。)。 (四) 以上によると,主催者らは,iら操縦者らに対し,本件デモフライト及び本件予行飛行について,安全な飛行経路及び飛行方法を設定してその飛行を委託したものと認められるから,主催者らに安全な飛行経路及び飛行方法の設定義務違反はないというべきである。 もっとも,本件飛行経路及び飛行方法は,主催者らが事前に運輸大臣の許可を得たものについて,その後の実際の飛行結果により,最終旋回地点を識別しやすいIP1地点に移し,ローパスの飛行高度を50フィート下げるなどの変更を加えたものであるけれども,基本的に本件イベント会場付近の上空空域から降下して同会場上空をローパスするという飛行目的及び飛行経路の点においては変わりがないというべきであるから,上記許可がなされたものと同一性のある変更にとどまり,運輸大臣の許可を欠く飛行であったということはできず,したがって,この許可を欠くゆえに危険な飛行経路及び飛行方法であったということもできない。 4 次に,主催者らは,iら操縦者らに対し安全な飛行に必要な情報として本件鉄塔の存在を教示すべき義務を負っていたか否かについてみるのに,本件鉄塔は,前記のとおり本件飛行経路上の障害物には当たらないのみならず,IP1地点の南方向の空知川河川敷に不時着適地がないため,不 件鉄塔の存在を教示すべき義務を負っていたか否かについてみるのに,本件鉄塔は,前記のとおり本件飛行経路上の障害物には当たらないのみならず,IP1地点の南方向の空知川河川敷に不時着適地がないため,不時着適地に飛行する場合の障害物にも当たらないから,主催者らがiら操縦者らに対し本件鉄塔の存在を教示すべき義務はなかったというべきである。したがって,主催者らがiら操縦者らに本件鉄塔の存在を教示しなかったことをもって過失と評価することはできない。 これに関して,主催者らは,本件予行飛行にあたり,本件飛行要領に不時着適地を記載せず,iら操縦者らにこれを教示しなかったものであるけれども,本件予行飛行当時,i機のエンジンに異常は生じておらず,iの身体も本件事故直前の飛行状況等に照らし正常であったものと推認され,本件事故直前においてi機が不時着適地まで飛行しようとしていたものとは認められないから,主催者らがiに対し不時着適地を教示しなかったことは本件事故との関係で過失であるということはできない。また,主催者らは,本件予行飛行に際し,iら操縦者らに対し本件イベント会場,IP1地点その他周辺地域の標高を教示していないけれども,操縦者らが本件飛行経路及び飛行方法により本件予行飛行をするにあたっては必ずしも上記地点の標高を知る必要はなかったものと認められ,上記標高の点は安全な飛行に必要な情報であったとはいえないから,これをiら操縦者らに教示しなかった主催者らに過失はない。 なお,事故調査報告書は,i機が低空で飛行して本件事故に至った原因について,主催者らからiに対し本件鉄塔の存在が教示されなかったことが関与している旨の見解を表明しているところ,その趣旨は必ずしも明確ではないものの,仮に主催者らがiに対し本件鉄塔の存在が教示しなかったことが本件事故の原因となっ 件鉄塔の存在が教示されなかったことが関与している旨の見解を表明しているところ,その趣旨は必ずしも明確ではないものの,仮に主催者らがiに対し本件鉄塔の存在が教示しなかったことが本件事故の原因となっていて主催者らの法的責任を認めるというものであれば,上記のとおり,主催者らがiら操縦者らに対し本件鉄塔の存在を教示しなかったことをもって安全配慮義務違反の過失とすることはできないのであるから,事故調査報告書の上記見解を支持することはできない(なお,iが本件事故に至る低空飛行をした原因は定かではないが,p証人が証言するように,iが,本件予行飛行前の操縦者間の打合せに従い滝川場外離着陸場の標高(76フィート)を0フィートにして高度計を調整することを失念したうえ,IP1地点を対地高度200フィートで飛行するという本件飛行要領の指示を誤解し,海抜高度200フィートで飛行したとすれば,高度計上,本件鉄塔頭頂が235フィート,本件鉄塔のi機との衝突部分が221フィートと表示されることから(乙ロ12の2),i機が本件鉄塔と衝突した可能性が考えられる。他方,原告らが主張するように,iが,滝川場外離着陸場の標高を0フィートにセットしたうえ,IP1地点を調整高度200フィートで飛行しようとしたとすると,本件事故の衝突時の対地高度73フィートは調整高度では159フィートとなり,iが調整高度159フィートで飛行しようとしたことについて合理的な説明ができない。)。 5 以上のとおりであるから,主催者らには,iら操縦者らによる本件予行飛行について,安全な飛行経路及び飛行方法の設定並びに操縦者らに対する安全な飛行に必要な情報の教示を内容とする安全配慮義務違反の過失がなかったものといえる。 三被告赤平市及び被告スカイスポーツ協会の本件予行飛行中における過失について の設定並びに操縦者らに対する安全な飛行に必要な情報の教示を内容とする安全配慮義務違反の過失がなかったものといえる。 三被告赤平市及び被告スカイスポーツ協会の本件予行飛行中における過失について主催者らは,本件デモフライト及び本件予行飛行について,操縦者らとの飛行委託契約に基づき,理念的には,操縦者らの飛行を監視し,その飛行状況に応じ,安全な飛行のために必要な指示をすべき義務を負うものであるが,実際には,主催者らは,前記のとおり,本件デモフライト及び本件予行飛行について,安全な飛行経路及び飛行方法を設定するとともに,安全な飛行に必要な情報を教示するという安全配慮義務を尽くしており,これを受けて技能証明を有する操縦者らが飛行に当たっていたものであって,小型飛行機の動きは高速であり,一瞬にして危険に遭遇することがあり得ることなどを考慮すると,その飛行を監視して,指示をすればたやすく危険を回避できるような場合に限り,これを尽くす義務があったものと解するのが相当である。主催者らは,実行委員会の運行管理部飛行管制班長の被告mをして本件イベント会場内の仮設管制塔から本件予行飛行の監視に当たらせており,被告mは,本件事故前,まずo機の飛行を目視で追跡し,o機が本件イベント会場上空を無事ローパスしたのを確認した後,再びIP1地点付近に目を転じてi機を見たところ,同機がIP1地点付近で降下したことから,無線機で「ハイパー低い」と告げたが,その直後にi機が本件鉄塔に衝突して墜落したのであるから,被告mにおいて,i機が本件鉄塔との衝突を回避できるような指示をすることは不可能であったと認められ,主催者らに本件予行飛行中の監視義務違反の過失はなかったものというべきである。 四被告mの不法行為上の過失の有無について仮に被告mが実行委員会の運行管理部飛行管 ることは不可能であったと認められ,主催者らに本件予行飛行中の監視義務違反の過失はなかったものというべきである。 四被告mの不法行為上の過失の有無について仮に被告mが実行委員会の運行管理部飛行管制班長として本件予行飛行について不法行為上の安全配慮義務及び飛行監視指示義務を負うとしても,既に述べたところからすると,その義務違反は認め難い。 また,以上のとおりであるから,被告滝川市及び被告振興協会の使用者責任が認められる余地はない。 第三結論以上によると,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第1部裁判長裁判官坂井満裁判官山田真紀裁判官小 田 桐泉
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