- 1 -主文 控訴人A,同B,同C及び同Dを除く控訴人らの控訴に基づき,(1)原判決中東京都新宿区建築主事がE株式会社及び株式会社Fに対して平成18年7月31日付けでした建築確認処分(新都建(確)第○号)の取消請求を棄却した部分を取り消す。 (2)上記建築確認処分を取り消す。 控訴人A,同B,同C及び同Dを除く控訴人らのその余の控訴並びに控訴人A,同B,同C及び同Dの控訴をいずれも棄却する。 訴訟費用は,控訴人A,同B,同C及び同Dと被控訴人の間においては,被控訴人に生じた控訴費用のうち2分の1を同控訴人らの負担とし,その余の控訴費用は各自の負担とし,その余の控訴人らと被控訴人との間においては,第1,2審を通じ,同控訴人らに生じた費用の2分の1を被控訴人の負担とし,その余は各自の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 東京都新宿区長が株式会社G及び株式会社Fに対して平成16年12月22日付けでした東京都建築安全条例4条3項に基づく認定処分(○新都建建審第(認)○号)を取り消す。 東京都新宿区建築主事がE株式会社及び株式会社Fに対して平成18年7月31日付けでした建築確認処分(新都建(確)第○号)を取り消す。 東京都新宿区建築主事がE株式会社に対して平成18年7月31日付けでし- 2 -た各工作物確認処分(新都建(確)○号及び同○号)をいずれも取り消す。 新宿区建築審査会が第2事件控訴人らに対して平成19年6月11日付けでした裁決(○新建審請第○号)を取り消す。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2事案の概要 東京都新宿区長(以下「新宿区長」という。)は,株式会社G及び株式会社F(以下「F」という。)に対して東京都建築安全条例(以下「本件安全 は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2事案の概要 東京都新宿区長(以下「新宿区長」という。)は,株式会社G及び株式会社F(以下「F」という。)に対して東京都建築安全条例(以下「本件安全条例」という。)4条3項に基づく認定(以下「本件認定」という。)をし,さらに,東京都新宿区(以下「新宿区」という。)建築主事が,E株式会社(以下「E」という。)及びFに対して本件認定に係る原判決別紙物件目録記載1の建築物(以下「本件建築物」という。)の建築計画に係る建築基準法6条1項に基づく建築確認処分(以下「本件建築確認」という。),並びにEに対して本件建築物の敷地(以下「本件敷地」という。)内の原判決別紙物件目録記載2の工作物(以下「本件工作物○号」という。)及び同目録記載3の工作物(以下「本件工作物△号」といい,本件工作物○号と併せて「本件各工作物」という。)の各築造計画に係る同法88条1項,6条1項に基づく各工作物確認処分(以下,本件工作物○号に係る確認処分を「本件工作物確認○号」,本件工作物△号に係る確認処分を「本件工作物確認△号」といい,両者を併せて「本件各工作物確認」という。)をしたため,本件敷地の周辺に居住などする控訴人らが,新宿区建築審査会(以下「審査会」という。)に対し,本件認定,本件建築確認及び本件各工作物確認の取消しを求める審査請求をしたところ,審査会は,これを棄却する裁決(以下「本件裁決」という。)をした。 - 3 -本件は,控訴人ら並びにH管理組合(以下「管理組合」という。),I,J及びK(以上を併せて「一審原告ら」ということがある。)が,被控訴人に対し,本件認定,本件建築確認及び本件各工作物確認並びに本件裁決の各取消しを求めた事案である。 原判決は,①本件認定の取消しを求める部分,②本件建築確認の取消しを求め うことがある。)が,被控訴人に対し,本件認定,本件建築確認及び本件各工作物確認並びに本件裁決の各取消しを求めた事案である。 原判決は,①本件認定の取消しを求める部分,②本件建築確認の取消しを求める部分のうち控訴人A,同B,同C,同D及び管理組合の請求に係る部分,③本件工作物確認○号の取消しを求める部分のうち控訴人A,同L,同B,同M,同N,同C,同O,同P,同Q,同D及び管理組合の請求に係る部分,並びに④本件工作物確認△号の取消しを求める部分のうち控訴人Nを除く一審原告らの請求に係る部分をいずれも却下し,一審原告らのその余の請求をいずれも棄却したので,控訴人らが控訴した(なお,一審原告らのうち,管理組合,I,J,Kは控訴しなかった。)。 本件における法令の定め,前提事実,争点及び当事者の主張の要旨は,下記3に当事者の当審における主張を付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」の2項ないし5項(原判決6頁20行目から同34頁13行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 当事者の当審における主張(1)控訴人らア本案前の争点について(ア)出訴期間についてa行政不服審査法14条1項の「処分があったことを知った日」とは,処分の事実及びその内容を現実に了知した日である。本件においては,- 4 -被控訴人から発せられた安全認定という処分があった事実及びその内容を知った日であって,何となく近くにマンションが建つらしいという噂話の類を知った日ではない。 b(a)処分庁及びその上級庁である審査会は,「安全認定によって直ちに建築行為を開始し得るわけではなく,建築確認処分がされた際に,当該建築確認処分により法律上保護された利益を侵害された者は,建築確認処分に対して抗告訴訟を提起すればよい。」として, 定によって直ちに建築行為を開始し得るわけではなく,建築確認処分がされた際に,当該建築確認処分により法律上保護された利益を侵害された者は,建築確認処分に対して抗告訴訟を提起すればよい。」として,安全認定の処分性を否定し,「安全認定そのものの取消しを求めることは,そもそも法制度上できない。」と説明していた。 (b)また,前回裁決においては,審査会が裁決で教示まで行って管理組合の審査請求適格を認めていた。 (c)これらは,処分庁や審査会が間違った教示をしていたことにほかならない。そして,これらのことは,管理組合のみならず,本件マンションに居住する控訴人らや周辺に居住する控訴人らの等しく知るところとなっていたのであるから,控訴人らが直接審査請求をしなくても本件認定の取消しを求める争いの目的は達成できると考えたとしても特段不思議なことではないのである。したがって,行政不服審査法18条,19条の類推適用により,本件認定処分の取消しを求める審査請求期間の起算点は,平成18年9月8日の前回第1審判決によって本件認定が処分に当たるとの司法判断が示された時と解すべきである。 (イ)原告適格について- 5 -火災や大地震の際にどの程度の被害がどの程度まで波及するかは,当該地域の住宅の密集の度合い,周辺道路の幅員状況,消火活動の困難さの度合い等,諸般の要因を総合的に勘案しなければ結論は出ないのであって,建築物の高さと控訴人ら宅までの距離を単純比較して結論が出るものではない。 イ本案の争点(本件建築確認の違法性)について(ア)本件認定の違法についてa違法性の承継について本件安全条例4条3項の要件を充足せず,したがって,4条1項が要求する接道義務を充足していないという違法は,本件認定と本件建築確認に共通するものであるから,本件認定に対し訴 a違法性の承継について本件安全条例4条3項の要件を充足せず,したがって,4条1項が要求する接道義務を充足していないという違法は,本件認定と本件建築確認に共通するものであるから,本件認定に対し訴訟の途を開き,その違法性を攻撃し得るからといって,本件建築確認取消しの訴えにおいて,その違法を攻撃し得ないと解すべきではない。本件認定について,審査請求,抗告訴訟を認めているのは,直ちにその違法の場合に行政庁にその是正の機会を与え,権利者の権利保護の簡便な途を開いただけであって,出訴期間内において訴訟上の手続を執らなかったからといって,本件建築確認取消訴訟において,先行する本件認定の違法を攻撃する機会を失わせる趣旨であるとは解されない。本件認定に対し審査請求等をせず,出訴期間を徒過したときは,当事者はもはや本件認定に対しその取消しを請求する権利を失うのであるから,その意味では確定的効力があるのであるが,その確定的効力は本件認定に存する違法を違法なしとして確定する効力があるものではない。 - 6 -また,処分庁自身も本件認定の段階では建築計画は確定していないと弁明し,審査会自身も本件認定の違法性については建築計画が確定して本件建築確認がされた際に,審査請求ないし抗告訴訟が提起でき,その中で主張すればよいと述べていたという経緯に照らせば,本訴において,本件認定の違法性を主張できないとすることは,控訴人らの正当な主張立証の機会を全面的に奪うものである。 b本件認定が違法であること(a)本件安全条例5条違反について本件安全条例5条の基準は,申請者の利益のために明確な基準として定められていなければならないことはいうまでもないが,それだけでなく,当該処分によって不利益を受ける申請者以外の第三者が存在するような場合には,そのような第三者にとって 利益のために明確な基準として定められていなければならないことはいうまでもないが,それだけでなく,当該処分によって不利益を受ける申請者以外の第三者が存在するような場合には,そのような第三者にとっても明確な基準として定められていなければならない。そうであってこそ,本件安全条例1条の目的である区民の利益保護,ひいては建築基準法1条の国民の生命,健康,財産の保護を全うできるのである。したがって,申請者以外の第三者も本件認定の違法事由として審査基準が設定されていなかったことを主張し得るものである。 特殊建築物該当性判断の遺脱⒝本件安全条例10条は,特殊建築物について安全規制を規定しているところ,「路地状部分のみによって道路に接する建築計画」の場合,まず先決法律要件として,申請建築計画が特殊建築物か普通建物かが判断されなければならない。しかし,本件認定は,新宿区- 7 -長において先決法律要件を判断せず,建築主の申請に基づいて普通建物として本件認定をしたもので違法である。 本件安全条例4条1項は,避難,消火及び救助活動を迅速かつ適⒞切に行うために8メートル以上道路に接することが必要であるとするものであるところ,同条3項の認定をするためには,同条1項と同等以上の安全性が確保されていなければならない。しかし,本件建築物に火災が発生した場合には,避難路は前面道路に通ずる敷地内通路(4メートル)に頼らざるを得ないところ,消防活動と居住者の避難行動が交錯し,大きな混乱が生じ,いずれの目的も達成できない事態となることが予想され,8メートル以上道路に接する場合と同等以上の安全性が確保されているということはできない。 (イ)1敷地1建物の原則についてエキスパンションジョイントは,構造体を物理的に分離しておく方法によって,構造体が相互に力学的影響を 場合と同等以上の安全性が確保されているということはできない。 (イ)1敷地1建物の原則についてエキスパンションジョイントは,構造体を物理的に分離しておく方法によって,構造体が相互に力学的影響を及ぼし合わないようにするところに本質があるのであり,だから建築基準法施行令81条2項においても,構造計算に当たっては,エキスパンションジョイント等の構造方法のみで接している当該建築部分は別な建物とみなすとされているのである。したがって,エキスパンションジョイントによる接続は構造上の一体性の根拠となり得るものではない。 (ウ)本件建築物の主要用途について共同住宅であるかどうかは,「本件建築物が不特定又は多数の人の通行の用に供する当該建築物の住戸の玄関に至る廊下,階段等の共用- 8 -部分を有しているかどうか」を形式的に判断するだけではなく,根本にさかのぼって「規模,形状等を含め,本件建築物全体を総合的に勘案して,災害時に住人等が安全な場所まで避難するのに困難を生ずるおそれがあるかどうか」を実態的に判断すべきである。本件建築物の災害時における避難の安全性を判断するに,104~111及び204~211の16戸の住人は,災害時には消防活動用空地と被控訴人が主張する部分より奥の敷地部分を通行して避難しなければならないところ,当該奥の敷地は,幅員1.7~2.2メートル程度であり,これは通常の共同住宅の廊下よりも狭隘であり,形も入り組んでいるから,住人等が錯綜して避難に困難を生ずるおそれがあり,安全を確保できないというべきである。 (2)被控訴人ア本案前の争点について(ア)出訴期間についてa本件審査請求に行政不服審査法14条3項ただし書の正当な理由がないことは以下の事情から明らかである。 本件建築物の建設については,周辺住民らによる反対 案前の争点について(ア)出訴期間についてa本件審査請求に行政不服審査法14条3項ただし書の正当な理由がないことは以下の事情から明らかである。 本件建築物の建設については,周辺住民らによる反対運動が平成⒜16年11月頃から本格化しており,本件認定が行われたことについても周辺住民らに知れ渡っていた。 前回審査請求において,控訴人らが管理組合とともに審査請求人⒝になることは十分に可能であった。 控訴人らは,平成18年9月8日の前回第1審判決の言渡しの前⒞- 9 -の同月5日に本件認定の取消しを求める本件審査請求を提起しているのであるから,本件認定の取消しを求める審査請求を審査請求期間内に提起することもできたはずである。 審査会は,前回裁決において,本件認定に処分性はないとの判断⒟を示したが,控訴人らは,本件認定に処分性があるという見解に立っており,前回裁決の判断を認めたことはない。 控訴人ら代理人が作成した平成18年3月20日付けの「α屋敷⒠森の開発に関する公開質問状(その2)」には,「近隣住民の多くは,・・・安全認定処分の取消訴訟を東京地裁に行っています。さらに建築確認が下りればその取消のための審査請求や訴訟を提起しようとしています。」と明記されている。 控訴人ら代理人が作成した平成18年3月20日付けの「上申書⒡(その2)」には,「上申人らは,・・・本件安全認定処分を違法として東京地裁において裁判中でありますが」と明記されている。 b控訴人らに行政不服審査法18条,19条が類推適用されるべき合理的根拠はない。新宿区長も審査会も,控訴人らに対して誤った教示やそれと同視されるべき行為をしたことはない。さらに,控訴人らは,前回審査請求において審査請求人ではなく,前回訴えにおいて原告でもなかったのである。控訴人らは,審査請 も,控訴人らに対して誤った教示やそれと同視されるべき行為をしたことはない。さらに,控訴人らは,前回審査請求において審査請求人ではなく,前回訴えにおいて原告でもなかったのである。控訴人らは,審査請求期間の起算点を前回第1審判決のあった平成18年9月8日とすべきであると主張するが,それ以前の同月5日に本件認定の取消しを求める本件審査請求を提起しているのであり,同主張と相容れない行動をしている。新宿区長は,- 10 -前回裁決まで管理組合の審査請求適格を認めていたという事実はないし,審査会も前回裁決において行政事件訴訟法46条1項に基づいて前回裁決の取消訴訟を提起できる旨教示したものにすぎないのであって,教示をしたことから管理組合の審査請求適格を認めていたものではない。 (イ)原告適格について本件建築物と控訴人らの居住地との位置関係に照らして,原判決が本件建築確認等の取消について原告適格がないとした控訴人らには,原告適格がないことは明らかである。 イ本案の争点(本件建築確認の違法性)について(ア)本件認定が違法でないことについてa違法性の承継について違法性の承継が認められるか否かは,一連の手続において独立の争訟の対象となるような複数の行政処分を設けている立法趣旨がどのようなものであるかという各行政実体法規の解釈問題であるところ,本件安全条例4条3項の立法趣旨等は次のとおりである。すなわち,東京都建築安全条例の一部を改正する条例(平成11年3月19日東京都条例第41号)による改正前の本件安全条例(以下「改正前安全条例」という。)4条3項は,「前2項の規定は,建築物の周囲に広い空地がある場合その他土地及び周囲の状況により安全上支障がない場合においては,適用しない。」と規定しており,建築主事が建築基準法6条1項の建築確認をす 条3項は,「前2項の規定は,建築物の周囲に広い空地がある場合その他土地及び周囲の状況により安全上支障がない場合においては,適用しない。」と規定しており,建築主事が建築基準法6条1項の建築確認をする際に改正前安全条例4条3項に該当する- 11 -かどうかの判断をしていた。 しかし,平成10年法律第100号による建築基準法の改正で,指定確認検査機関による確認検査制度が導入されたことにより,上記安全条例の一部を改正する条例は,建築主事が判断してきた「ただし書」等の規定のうち,敷地周辺の状況などを含めて判断することが必要な規定の適用については,適正な審査が必要であるため,知事の認定によることとした(これを以下「本件改正」という。)。そこで,本件安全条例4条3項においても,敷地周辺の状況などを含めて判断することについて適正な審査が必要であるとして,知事の認定とされたものである。 そして,この知事の認定は,申請者の法的地位に重大な影響を与えるものであり,申請個々人に対する権利義務を形成し,又はその範囲を確定するものというべきであるから,抗告訴訟の対象となる処分に該当するものと解されている。 上記のとおりであるから,建築主事又は指定確認検査機関は,本件安全条例4条3項に該当するかどうかの判断については,同項に基づく知事の認定という公定力を有する判断に基づいて建築基準法6条1項の建築確認をすることとなる。したがって,建築主事又は指定確認検査機関が建築基準法6条1項の建築確認をする際において,本件安全条例4条3項に基づく知事の認定が違法かどうかということが問題となる余地はないのであって,これを問題としなければならないとするならば,本件安全条例4条3項に基づく知事の認定は意味がなくな- 12 -るのであり,本件安全条例4条3項が適正な審査が必要 が問題となる余地はないのであって,これを問題としなければならないとするならば,本件安全条例4条3項に基づく知事の認定は意味がなくな- 12 -るのであり,本件安全条例4条3項が適正な審査が必要であるために知事の認定とした趣旨を没却することになる。よって,仮に本件認定に違法があったとしても,その違法が本件建築確認に承継される余地はない。また,違法性の承継を認めるか否かは,上記のとおり各行政実体法規の解釈問題であるから,控訴人らの主張する主張・立証の機会の確保の必要性というような事情は違法性の承継を認めるべき根拠となるものではない。 b本件認定が違法でないこと新宿区長は,①建築基準法の道路と同じ機能を有する道路状空地(以下「本件通路」という。)が設けられること,②本件建築物は容積率112.3%,建ぺい率42.2%と規模が小さいこと,③本件建築物の周囲に避難通路(以下「本件避難通路」という。)が設けられており,2階にバルコニーや避難梯子を設けて各住戸からそこに出られるようにしていること,④中庭が設置されること,⑤本件建築物が耐火建築物であること,⑥前面道路と本件通路が120度以上の角度で交わり,また,接道の長さが8.9メートルあること等を考慮して,本件認定をしたものであるから,本件認定に違法はない。 (イ)1敷地1建物の原則について本件建築物のようなコの字型に配置された建築物については,各部分の壁面を固着すれば,各部分が地震などの揺れに対して相互に影響を及ぼし合い構造耐力上の安全を確保できないため,各部分の壁面を固着しないでエキスパンションジョイントで接続して構造耐力上の安全を確保- 13 -するのが一般的・合理的であり,通常の工法である。 (ウ)本件建築物の主要用途について共同住宅と長屋とは,不特定又は多数の人の通行の用 ションジョイントで接続して構造耐力上の安全を確保- 13 -するのが一般的・合理的であり,通常の工法である。 (ウ)本件建築物の主要用途について共同住宅と長屋とは,不特定又は多数の人の通行の用に供する「階段,廊下等の共用部分」を有しているか否かによって区別されるのであり,「区分所有法2条4項の共用部分」を有しているか否かによって区別されるのではないし,多数の者が居住することから直ちに共同住宅であると解すべき合理的根拠はない。控訴人らは,長屋と共同住宅の区別について「規模形状等を含め,本件建築物全体を総合的に勘案して,災害時に住人等が安全な場所まで避難するのに困難を生ずるおそれがあるかどうか」を実態的に判断すべきであると主張するが,上記のような実態的な判断をすべき根拠はなく,また,上記のような不明確・不明瞭な見解によって長屋と共同住宅を区別することは不可能である。 第3当裁判所の判断 本件認定の取消しを求める訴えの適法性について当裁判所も,本件訴えのうち本件認定の取消しを求める部分は出訴期間を徒過した不適法な訴えであると判断する。その理由は,原判決35頁13行目から22行目までを次のとおり改めるほか,原判決の「第3争点に対する判断」の1項(原判決34頁15行目から同39頁3行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 「また,証拠(乙35ないし38)によれば,本件敷地の近隣住民が中心となって平成16年11月ころから本件建築物の建築に反対するトラスト運動が開始され,ホームページを立ち上げ,広くトラスト基金への寄付を求めるなど- 14 -大規模な反対運動が展開されていたのであり,その過程で,反対運動に関わる周辺住民らの間では,本件認定が行われたことも知れ渡ったものと推認されるところ,本件マンションに居住する控訴人らを - 14 -大規模な反対運動が展開されていたのであり,その過程で,反対運動に関わる周辺住民らの間では,本件認定が行われたことも知れ渡ったものと推認されるところ,本件マンションに居住する控訴人らを除く控訴人らは,いずれも,本件認定に係る建築物の敷地である本件敷地の周辺に居住する者で,本件マンションに居住する控訴人らと共に,本件建築物の建設に反対していた者であると認められるのである(上記トラスト基金のパンフレットには,本件マンションに居住する控訴人Rのほか,控訴人N,同L,同M,同D,同C,同B,同Qが基金メンバーとして記載されている。また,平成18年3月20日付けの区長に対する公開質問状や新宿消防署長に対する上申書では,控訴人Rとともに,控訴人N,同L,同M,同D,同S,同Oが上申人として名前を連ねているのである。そして,控訴人Aも,周辺に居住する者であり,一審原告に名を連ねていることからみて,従前からこのような反対運動に関わっていたものと推認される。)。そうすると,本件マンションに居住する控訴人ら以外の控訴人らも,本件マンションに居住する控訴人らと同様に,平成17年1月12日ころには,ないしは遅くとも後記のように本件訴えのため訴訟委任状の作成がされるようになった平成18年3月30日ころまでには,本件認定がされたことを知ったものと推認するのが相当である(なお,本件訴えの訴訟委任状の作成日付けは,控訴人N,同O,同P及び同Qについては平成18年3月29日,同Mについては同月30日であるから,同人らがその各作成時点で本件認定がされたことを知っていたことは明らかである。)。」 控訴人らが本件建築確認の取消し及び本件各工作物確認の取消しを求めるにつき,法律上の利益を有しているかどうかについて- 15 -当裁判所も,①控訴人A,同B,同 いたことは明らかである。)。」 控訴人らが本件建築確認の取消し及び本件各工作物確認の取消しを求めるにつき,法律上の利益を有しているかどうかについて- 15 -当裁判所も,①控訴人A,同B,同C及び同Dは本件建築確認の取消しを求める訴えにつき原告適格を有しないが,その余の控訴人らは原告適格を有する,②控訴人S及び本件マンションに居住する控訴人らは本件工作物確認○号の取消しを求める訴えにつき原告適格を有するが,その余の控訴人らは原告適格を有しない,③控訴人Nは本件工作物確認△号の取消しを求める訴えにつき原告適格を有するが,その余の控訴人らは原告適格を有しないものと判断する。その理由は,原判決の「第3争点に対する判断」の2項及び3項(原判決39頁4行目から同49頁11行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 本件建築確認の違法性についてそこで,控訴人A,同B,同C及び同Dを除くその余の控訴人ら(以下,この項において単に「控訴人ら」という。)の請求に基づき,本件建築確認の違法性の有無について判断する。 (1)本件建築確認と本件認定の関係についてア証拠(甲1の1ないし3,甲36,37,乙1,9,10,13,14)及び弁論の全趣旨によると,本件敷地は,別紙図面のように,約34メートルの長さの路地状部分のみによって道路に接しており,最小幅員約4メートルの道路状空地により外部の道路へ通じる計画になっている。接道部分の長さは前面道路に対して現況では8.9メートル(なお,道路境界線とみなされる線との接道の長さは8.169メートル)である。そして,そこに地上3階・地下1階・鉄筋コンクリート造・建築面積805. 34平方メートル・延べ面積2823.09平方メートルの建物(ファミ- 16 -リータイプ29戸,ワンルーム1戸の合計 ある。そして,そこに地上3階・地下1階・鉄筋コンクリート造・建築面積805. 34平方メートル・延べ面積2823.09平方メートルの建物(ファミ- 16 -リータイプ29戸,ワンルーム1戸の合計30戸からなる。)を建築しようとするものである。建築物の形状はコの字型をしていて,東棟,南棟及び西棟部分からなるところ,3棟の壁面は固着させず,エキスパンションジョイントで接続することとされている。 イ(ア)ところで,本件安全条例の第1章総則には以下の定めが置かれている(なお,続く第2章には,共同住宅などの特殊建築物について制限をより加重する規定が置かれている。)。 (路地状敷地の形態)3条1項建築物の敷地が路地状部分のみによつて道路(中略)に接する場合には,その敷地の路地状部分の幅員は,路地状部分の長さに応じて,次の表に掲げる幅員以上としなければならない。ただし,建築物の配置,用途及び構造,建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合は,この限りでない。 敷地の路地状部分の長さ幅員20メートル以下のもの2メートル20メートルを超えるもの3メートル2項耐火建築物及び準耐火建築物以外の建築物で延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合は,それらの延べ面積の合計とする。)が200平方メートルを超えるものの敷地に対する前項の規定- 17 -の適用については,同項の表中「2メートル」とあるのは「3メートル」と,「3メートル」とあるのは「4メートル」とする。 (路地状敷地の建築制限)3条の2前条第1項に規定する敷地で路地状部分の幅員が4メートル未満のものには,階数(主要構造部が耐火構造の地階を除く。第7条第1項において同じ。)が3(耐火建築物,準耐火建築物又は令第136条の2に定め 前条第1項に規定する敷地で路地状部分の幅員が4メートル未満のものには,階数(主要構造部が耐火構造の地階を除く。第7条第1項において同じ。)が3(耐火建築物,準耐火建築物又は令第136条の2に定める技術的基準に適合する建築物の場合は,4)以上の建築物を建築してはならない。 (建築物の敷地と道路との関係)4条延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合は,その延べ面積の合計とする。)が千平方メートルを超える建築物の敷地は,その延べ面積に応じて,次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。 延べ面積長さ千平方メートルを超え,2千平方メートル以下のもの6メートル2千平方メートルを超え,3千平方メートル以下のもの8メートル3千平方メートルを超えるもの10メートル2項延べ面積が3千平方メートルを超え,かつ,建築物の高さが15メートルを超える建築物の敷地に対する前項の規定の適用については,同項中「道路」とあるのは,「幅員6メートル以上の道路」とする。 - 18 -3項前2項の規定は,建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合においては,適用しない。 (イ)なお,本件安全条例4条3項の知事の権限は,特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例(平成11年東京都条例第106号)により特別区に委任され,新宿区においては新宿区長が行使することとされている(したがって,以下では,知事とあるのはすべて新宿区長を意味することになる。)。 ウそうすると,本件敷地は,本件安全条例4条1項により,本来,道路に8メートル接しなければならないものである。しかも,本件安全条例3条の趣旨等にも徴すると,本件敷地のように,約34メートルもの路地状部分により道路に接している敷地で,路地状部分が途中か 本来,道路に8メートル接しなければならないものである。しかも,本件安全条例3条の趣旨等にも徴すると,本件敷地のように,約34メートルもの路地状部分により道路に接している敷地で,路地状部分が途中から約4メートルの幅員しかなくなるという場合については,前面道路との接道部分が8メートルあるだけでは同項の求める接道の基準を充足していないものといわなければならない。同項の基準を充足するというためには,原則として路地状部分も8メートルの幅員があることを要するというべきである。 したがって,本件建築確認が適法であるというためには,1項適用の例外を定める同条3項に基づく本件認定がされていることが前提となるものである。 (2)本件安全条例4条3項に基づく知事の安全上支障がないという認定(なお,以下これを「安全認定処分」という。なお,安全上支障がなく1項,2項の規定を適用しないという判断そのものを「安全判断」ということが- 19 -ある。)の違法を建築確認の取消事由として主張できるかについてアまず,安全認定処分は,以下のとおり,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるというべきである。すなわち,建築基準法43条1項本文は,「建築物の敷地は,道路(中略)に2メートル以上接しなければならない。」,同条2項は,「地方公共団体は,(中略)延べ面積(中略)が千平方メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員,その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性により,前項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては,条例で,必要な制限を付加することができる。」と定めている。 この建築基準法43条2項を受けて,本件安全条例4条は,一定以上の延べ面積を 難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては,条例で,必要な制限を付加することができる。」と定めている。 この建築基準法43条2項を受けて,本件安全条例4条は,一定以上の延べ面積を有する建物について制限を加重しているものである。したがって,安全認定処分の申請をした者は,知事が安全認定処分をした場合には,建築基準法42条1項の規定する幅員4メートル(特定の区域内では6メートル)以上の道路に2メートル以上接しなければならないという同法43条1項本文所定の制限を受けるにとどまるのに対し,知事が上記認定をしなかった場合には,本件安全条例4条1項及び2項の規定に基づくより厳しい接道の規制を受けることとなり,その結果,建築基準法43条1項所定の接道の要件を満たすものの,本件安全条例4条1項及び2項所定の接道要件を満たすことができない場合には,建築確認を受けることができないことになるものである。このような点にかんがみると,知事の安全認定処分は,申請者の法的地位に直接影響を与えるものであり,申請者個々人- 20 -に対する権利義務を形成し,又はその範囲を確定するものというべきであり,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるというべきである。 イ(ア)このように,安全認定処分は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されるから,たとえこれに違法があったとしても,それ自体の取消訴訟などによって公定力が排除されない限り,原則として,安全認定処分を前提としてされる後行の行政処分(建築確認)の取消事由としてその違法を主張することは許されない筋合になるものである。 (イ)しかしながら,安全認定処分については,後行の建築確認との関係で,以下の点を指摘できる。 本件安全条例4条1項ないし3項の関係をみると,1項,2項は避難や通行の安全上求められる接 のである。 (イ)しかしながら,安全認定処分については,後行の建築確認との関係で,以下の点を指摘できる。 本件安全条例4条1項ないし3項の関係をみると,1項,2項は避難や通行の安全上求められる接道の長さや道路の幅員の基準を定め,3項はその適用についての例外を定めるものということができる。このように,いわば1,2項は本文,3項はただし書の関係にあるもので,本来,同一の行政庁が両者を一体として判断することが自然であるということができるものである。現に改正前安全条例4条3項においては,「前2項の規定は,建築物の周囲に広い空地がある場合その他土地及び周囲の状況により安全上支障がない場合においては,適用しない。」と定めており,建築主事が建築確認において一体のものとして判断する仕組みになっていた。ところが,建築基準法の一部を改正する法律(平成10年法律第100号)により,それまで建築主事が行ってきた建築確認・検査業務を新たに民間機関(指定確認検査機関)でも行えるようになったことが契機となって,改正前安全条例が改正され,建築物の設計内容の- 21 -ような客観的な判断には馴染みにくい3項の安全判断については,これを知事が別途認定する仕組みが採られるようになったものである。 これにより,本件安全条例4条1項の規定の適用を受けないで建築確認を得ようとする者は,まず知事に対して安全認定処分の申請をし,知事が安全認定処分をした場合には,建築主事は,それを前提として,本件安全条例4条1項,2項適合性の判断はしないという仕組みになったものである。なお,知事により安全認定処分がされた場合,申請者に通知はされるが,建築確認(建築基準法89条参照)の場合のようにこれを外部に表示する措置等は義務付けられていない。 (ウ)このように,本件安全条例においては,4条 安全認定処分がされた場合,申請者に通知はされるが,建築確認(建築基準法89条参照)の場合のようにこれを外部に表示する措置等は義務付けられていない。 (ウ)このように,本件安全条例においては,4条1項,2項の接道義務適合性を判断する権限と3項の安全判断をする権限とが行政機関内部で分かれることになったが,1項,2項と3項との,原則と例外の関係にあるという性質は変わっていないものである。本件改正により判断権限が知事と建築主事とで分属されるようになった趣旨は,3項の安全判断を民間の機関に判断させるのはふさわしくないということにあるのであり,安全判断部分を先に判断しそれを確定させた上で建築確認に進むという仕組みを採らないと特に不都合があるという趣旨からされたものではないのである。また,知事が本件安全条例4条3項に基づき安全認定処分をしたとしても,建築確認に際して建築主事ないし指定確認検査機関が当該建築物を共同住宅等の特殊建築物に当たると判断すれば(なお,建築物が共同住宅などの特殊建築物に当たるかどうかという判断は,建築物の設計内容等により客観的に判断できるものであり,建築確認にお- 22 -いて建築主事ないし指定確認検査機関が最終的に判断することになっているものと解される。),特殊建築物については本件安全条例第2章においてより厳しい制限が課されているのであるから,同項の安全認定処分はその効力を発揮しないことになるのである(すなわち,同項の安全認定処分は,建築確認の段階までは,その効力を発揮するかどうか確定しないものなのである。)。 (エ)上記のような点を考えると,本件改正により安全判断については別の行政庁が行政処分の形ですることになり,安全判断に対して独立した争訟の機会が付与されることになったが,それは申請者の権利保護のため争訟の機 のような点を考えると,本件改正により安全判断については別の行政庁が行政処分の形ですることになり,安全判断に対して独立した争訟の機会が付与されることになったが,それは申請者の権利保護のため争訟の機会を増やす趣旨のものと捉えるのが相当で,改正前と異なり建築確認の段階においてはもはや安全判断の違法を争うことをできなくするという趣旨までは含まれていないと解するのが相当である(このことは,安全認定処分は,建築確認と同様に,周辺住民にも大きな利害関係があるにもかかわらず,建築確認のようにこれを外部に表示する措置が義務付けられていないことからも裏付けられる。)。 (オ)そうすると,安全認定処分がその取消訴訟で取り消され,公定力が排除されない場合においても,建築確認の取消訴訟においては,知事のした安全認定処分の違法を建築確認の取消事由の一つとして主張することができるというべきである。 (3)本件認定の違法性についてアそこで,本件認定が違法かどうかについて検討する。 上記のように,建築基準法43条2項は,「地方公共団体は,(中略)- 23 -延べ面積(中略)が千平方メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員,その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性により,前項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては,条例で,必要な制限を付加することができる。」と定めているところ,これを受けて本件安全条例4条1項は,建物の延べ面積(すなわち,建築基準法にいう規模の特殊性)に着目して,千平方メートルを超える建築物につき,面積に応じて3段階に分け,段階的に接道の要件を加重している。このように建築物の延べ面積に応じて接道の要件を加重して ,建築基準法にいう規模の特殊性)に着目して,千平方メートルを超える建築物につき,面積に応じて3段階に分け,段階的に接道の要件を加重している。このように建築物の延べ面積に応じて接道の要件を加重しているのは,建物の規模が大きくなると,それだけ当該建物に居住したり利用したりする人の数が増大し,また,火災による周囲への延焼の危険等も増大することが予想されることから,その規模に見合った,平常時における円滑な通行や災害時における避難,消火及び救助活動のための通路の確保を図ったものと考えられる。 そして,3項は,この1項の規定を適用しない例外について定めるものであるから,3項にいう「安全上支障がない」というのは,1項が求める接道の基準を充たすことで確保されるのと同程度に,平常時の円滑な通行のみならず災害時における避難,消火及び救助活動に支障を来さないような状況にあると判断できる場合であることを要するというべきである(なお,その判断においては,敷地の現状のみならず当該敷地の利用計画も勘案されることになろう。)。そのような判断ができる典型的な場合としては,3項の建築物の「周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況によ- 24 -り」という文言のとおり,道路に出なくとも直接,通行や避難等ができるような公共的空地(例えば公園)が敷地に接しているとか,敷地内に広い空地があり,道路に出なくともそこに避難が可能であるといったような場合が挙げられよう。 もっとも,建築物の周囲の空地の状況その他の土地及び周囲の状況により安全上支障がないと認める場合というその規定の仕方等からすると,その判断は,知事の専門的かつ技術的な裁量にゆだねられていると解される。 イ(ア)そうすると,本件では,本件敷地につき認められる状況により,本件安全条例4条1項が求める接道の基準を充たす らすると,その判断は,知事の専門的かつ技術的な裁量にゆだねられていると解される。 イ(ア)そうすると,本件では,本件敷地につき認められる状況により,本件安全条例4条1項が求める接道の基準を充たすこと(上記のように,そのためには原則として路地状部分に8メートルの幅員の通路があることを要する。)で確保されているのと同程度に,平常時の通行のみならず災害時における避難,消火及び救助活動に支障がない状況にあると判断することが,明らかに合理的根拠を欠くもので,裁量権の逸脱濫用に当たらないかどうかという観点から検討する必要がある。 (イ)上記認定事実及び証拠(甲1の1ないし3,乙1,9,15,16)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる。 a本件敷地は,1871.12平方メートルの別紙図面のような形状の土地で,約34メートルの長さの路地状部分により道路に接している。 本件敷地は,第一種低層住居専用地域,準防火地域,第一種高度地区,指定建ぺい率60%,指定容積率150%の地域に属する。 本件敷地は,周囲の多くが崖になっていて,そこにはよう壁が設けられており,路地状部分を通る以外は外部に出ることは困難である。公園- 25 -などの公共的空地が近接して存在するようなこともない。 b本件建築物は,建築面積805.34平方メートル,延べ面積2823.09平方メートルの鉄筋コンクリート造,地上3階地下1階の建物で,戸数30戸(ファミリータイプ29戸,ワンルーム1戸)の住戸からなることが予定されている。各住戸は,それぞれ専用の玄関口から本件建築物の外に出る構造になっており,不特定又は多数の人が通行の用に供する廊下,階段等の共用部分は存在しない。なお,本件建築物の容積率は112.3%であり,建ぺい率は42.2%である。 c本件敷地は,上記のように る構造になっており,不特定又は多数の人が通行の用に供する廊下,階段等の共用部分は存在しない。なお,本件建築物の容積率は112.3%であり,建ぺい率は42.2%である。 c本件敷地は,上記のように路地状部分で道路に接するが,路地状部分に有効幅員4メートルの道路状空地を設けて外部の道路への通路とすることとし(本件通路),これを緊急時の車両の通行経路及び本件建築物の住民等の避難経路として機能するものに位置付けている。なお,本件通路の延長は40メートルを超えるものとなっている。そして,特段,終端部分及び区間35メートル以内ごとに自動車の転回広場を設けるようにはされていない。また,前面道路との接道部分の長さは現況では8. 9メートルである(道路境界線とみなされる線での接道の長さは8.169メートル)。本件通路と前面道路は120度以上の角度で交わっている。 dそして,本件建築物と隣地境界線の間には,東側で有効幅員2.5メートル,そのほかでは2メートルの空地を設け,緊急時の避難経路として機能するようにし(本件避難通路),かつ,これを本件通路に接続するように計画されている(別紙図面参照)。そして,各住戸部分の2階- 26 -にはそれぞれバルコニーが設けられて,そこに避難梯子が設置され,それを使用して各住戸から本件避難通路に下りられるように計画されている。 e東棟,西棟,南棟に囲まれた本件敷地の中央部分には東西約6メートル,南北約12メートルの空地(以下「中庭」という。)が設けられることになっている。この中庭は,各住戸の出入口に面しており,本件通路に通じている(別紙図面参照)。この中庭は消防活動に利用されることが予定されている。また,消火活動のため,本件敷地内に40トンの防火水槽が設置される計画になっている。 (ウ)以上によると,本件建築物 通じている(別紙図面参照)。この中庭は消防活動に利用されることが予定されている。また,消火活動のため,本件敷地内に40トンの防火水槽が設置される計画になっている。 (ウ)以上によると,本件建築物は延べ面積が2800平方メートルを超える建物で,接道の長さ8メートルを求められる建築物のうちでも規模が大きいものであるところ,本件敷地は,周りの多くが崖状になっていて,約34メートルもの長さの,最小幅員約4メートルの路地状敷地(本件通路)のみで道路に通じており(なお,本件通路をもって建築基準法の道路と同視できないことは,後記のとおりである。),それによるほか外部に避難,通行ができない構造になっているものである。本件敷地に近接して外部に通行したり,避難できる公共的空地があるとは認められない。そして,本件敷地内に災害時に避難するに足りるほどの空間があるとも認め難いものである。すなわち,中庭は,6メートル×12メートル程度の空間で,本件通路に連なる通路的部分であり,三方を本件建築物に囲まれているのであるから,そのような避難にふさわしい場所でないことは明らかである。本件避難通路も,せいぜい幅員が2メートル前後しかないから,- 27 -そのような避難にふさわしい場所とはいえないものである。したがって,本件敷地につき,本件安全条例4条1項が求める接道の基準を充たすことで確保されているのと同程度に,平常時の通行のみならず災害時における避難,消火及び救助活動に支障がない状況にあると判断することは,明らかに合理的根拠を欠くものというべきである。 (エ)これに対し,被控訴人は,①建築基準法の道路と同じ機能を有する本件通路が設けられること,②本件建築物は容積率112.3%,建ぺい率42.2%と規模が小さいこと,③本件避難通路が設けられており,2階にバルコニ ,被控訴人は,①建築基準法の道路と同じ機能を有する本件通路が設けられること,②本件建築物は容積率112.3%,建ぺい率42.2%と規模が小さいこと,③本件避難通路が設けられており,2階にバルコニーや避難梯子を設けて各住戸からそこに出られるようにしていること,④中庭が設置されること,⑤本件建築物が耐火建築物であること,⑥前面道路と本件通路が120度以上の角度で交わり,また,接道の長さが8.9メートルあること等を考慮して,本件認定をしたものであるから,本件認定に違法はないなどと主張する。 しかしながら,本件通路は,一方の端が道路に接しておらず(袋地状道路),かつ,その延長は35メートルを超えており,終端及び区間35メートル以内ごとに自動車の転回広場が設けられているとは認められないのであるから,建築基準法42条1項5号,同法施行令144条の4第1項の定める「道に関する基準」に適合しないものであり,被控訴人の①の主張のように,本件通路をもって建築基準法42条1項の道路と実質的に同視することは困難であるというべきである。そうすると,本件通路があることは1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならないというべきである。 - 28 -また,②の建ぺい率,容積率を低く抑えているという点も,本件建築物は延べ面積2800平方メートルと,接道の長さ8メートルを要求されている延べ面積2000平方メートルから3000平方メートルの建築物のうち規模の大きい方に属するものであるから,1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならないものであるし(これに対し,2000平方メートルをわずかに超えるというような規模の建築物を考えると,規模の点も1項の基準を緩和するための一つの考慮要素になるといえる。),容積率,建ぺい率を低く抑えたことで,上記のように,本件敷地内に外部に トルをわずかに超えるというような規模の建築物を考えると,規模の点も1項の基準を緩和するための一つの考慮要素になるといえる。),容積率,建ぺい率を低く抑えたことで,上記のように,本件敷地内に外部に出なくとも避難できるような空地が確保されたというようなことも認められないのであるから,災害時の避難路の確保等を目的とする1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならない。また,③の本件避難通路が設けられ,2階にバルコニーや避難梯子を設けて各住戸からそこに出られるようにしているという点は,本件避難通路から直接外部に避難できるわけではなく,結局,道路延長が40メートルを超え,かつ,最小幅員約4メートルの本件通路を経なければ外部に避難ができないのであるから,同じく1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならないというべきである。④の中庭があることも,上記のように,中庭は災害時の避難にふさわしい場所とはいえないから,避難路の確保等を目的とする1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならない。そのほか,消火活動のため本件敷地内に40トンの防火水槽を設置する計画であることも,それによって直ちに災害時に外部に避難したり,外部からの消火,救助活動の必要がなくなるといえるようなものではないことが明らかであるから,1項の規定の適用の例外を認め- 29 -る根拠にはならない。⑤の本件建築物が耐火建築物であるということも,災害時の避難路の確保等を目的とする1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならない。その他,被控訴人の挙げる諸点を総合しても,直ちに1項の規定の適用の例外を認める根拠にはならないというべきである。 (オ)以上によれば,本件で,本件敷地に認められる状況に照らし,路地状部分に幅員8メートルの通路がある場合と同程度に安全上の支障はないと判断することには明 認める根拠にはならないというべきである。 (オ)以上によれば,本件で,本件敷地に認められる状況に照らし,路地状部分に幅員8メートルの通路がある場合と同程度に安全上の支障はないと判断することには明らかに合理的根拠がないといわざるを得ないから,本件認定は,新宿区長が裁量権を逸脱濫用したもので,違法といわなければならない。 (4) 結論 そうすると,その余の点を判断するまでもなく本件認定は違法であるから,本件建築物は本件安全条例4条1項の接道要件を充足しないものということになる。そうすると,その余の点を判断するまでもなく(なお,本件建築物が特殊建築物に当たるとすると,本件安全条例第2章により更に制限が加重されることになるのである。),本件建築確認は違法になるというべきである。 本件各工作物確認の違法性について当裁判所も,本件各工作物の建築確認はいずれも適法であるものと判断する。 その理由は,原判決の「第3争点に対する判断」の6項(1)(2)(原判決62頁1行目から同65頁13行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 本件裁決の違法性について- 30 -当裁判所も,本件裁決は適法であるものと判断する。その理由は,原判決の「第3争点に対する判断」の7項(1)ないし(4)(原判決65頁14行目から同74頁19行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 結論 よって,控訴人A,同B,同C及び同Dを除く控訴人らの本件建築確認の取消請求は理由があるから,原判決中同請求を棄却した部分を取り消して,これを認容することとし,上記控訴人らのその余の控訴及び控訴人A,同B,同C及び同Dの控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第9民事部裁判長裁判官大坪丘裁判官宇田 記控訴人らのその余の控訴及び控訴人A,同B,同C及び同Dの控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第9民事部裁判長裁判官大坪丘裁判官宇田川基裁判官足立哲(原裁判等の表示)主文- 31 - 本件訴えのうち,以下の部分をいずれも却下する。 (1)東京都建築安全条例4条3項に基づく認定処分の取消しを求める部分(2)建築確認処分の取消しを求める部分のうち原告A,同B,同C,同D及び同H管理組合の請求に係る部分(3)工作物確認処分(新都建(確)○号)の取消しを求める部分のうち原告A,同L,同B,同M,同N,同C,同O,同P,同Q,同D及び同H管理組合の請求に係る部分(4)工作物確認処分(新都建(確)○号)の取消しを求める部分のうち原告Nを除く原告らの請求に係る部分 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求 第1事件(1)東京都新宿区長が株式会社G及び株式会社Fに対して平成16年12月22日付けでした東京都建築安全条例4条3項に基づく認定処分(○新都建建審第(認)○号)を取り消す。 (2)東京都新宿区建築主事がE株式会社及び株式会社Fに対して平成18年7月31日付けでした建築確認処分(新都建(確)第○号)を取り消す。 (3)東京都新宿区建築主事がE株式会社に対して平成18年7月31日付けでした各工作物確認処分(新都建(確)○号及び同○号)をいずれも取り消- 32 -す。 第2事件新宿区建築審査会が第2事件原告らに対して平成19年6月11日付けでした裁決(○新建審請第○号)を取り消す。 第2事案の概要 本件は,東京都新宿区長(以下「新宿区長」という。)が,株式会社G( 新宿区建築審査会が第2事件原告らに対して平成19年6月11日付けでした裁決(○新建審請第○号)を取り消す。 第2事案の概要 本件は,東京都新宿区長(以下「新宿区長」という。)が,株式会社G(以下「G」という。)及び株式会社F(以下「F」という。)に対して東京都建築安全条例4条3項に基づく認定(以下「本件認定」という。)をし,さらに,東京都新宿区(以下「新宿区」という。)建築主事が,E株式会社(以下「E」という。)及びFに対する本件認定に係る別紙物件目録記載1の建築物(以下「本件建築物」という。)の建築計画に係る建築基準法6条1項に基づく建築確認処分(以下「本件建築確認」という。),並びにEに対する本件建築物の敷地(以下「本件敷地」という。)内の別紙物件目録記載2の工作物(以下「本件工作物○号」という。)及び同目録記載3の工作物(以下「本件工作物△号」といい,本件工作物○号と併せて「本件各工作物」という。)の各築造計画に係る同法88条1項,6条1項に基づく各工作物確認処分(以下,本件工作物○号に係る確認処分を「本件工作物確認○号」といい,本件工作物△号に係る確認処分を「本件工作物確認△号」といい,両者を併せて「本件各工作物確認」という。)をしたため,本件敷地の周辺に居住などする原告らが,新宿区建築審査会に対し,本件認定,本件建築確認及び本件各工作物確認の取消しを求める審査請求(以下「本件審査請求」という。)をしたところ,これを却下し,又は棄却する旨の裁決(以下「本件裁決」という。)を受けたこと- 33 -から,原告らが,被告に対し,本件認定,本件建築確認及び本件各工作物確認並びに本件裁決の各取消しを求める事案である。 法令の定め(1)建築基準法施行令ア1条この政令において次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各 件認定,本件建築確認及び本件各工作物確認並びに本件裁決の各取消しを求める事案である。 法令の定め(1)建築基準法施行令ア1条この政令において次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。 1号敷地1の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地をいう。 2号以下略イ81条(平成19年政令第49号による改正前のもの)1項法第20条第2号に規定する建築物(超高層建築物を除く。)の構造計算は,次の各号のいずれかに定める構造計算によらなければならない。ただし,次の各号のいずれかに定める構造計算による場合と同等以上に安全さを確かめることができるものとして国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算又は次条の規定により国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算による場合においては,この限りでない。 1号許容応力度等計算2号限界耐力計算2項2以上の部分がエキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接している建築物の当該建築物の部分は,前項の規定の適用については,それぞれ別の建築物とみなす。 - 34 -(2)東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号。以下「本件安全条例」という。)ア1条建築基準法(以下「法」という。)第40条(…(略)…)による建築物の敷地,構造及び建築設備並びに工作物に関する制限の附加,法第43条第2項による建築物の敷地及び建築物と道路との関係についての制限の附加,建築基準法施行令(…(略)…。以下「令」という。)第128条の3第6項による地下街に関する令と異なる定め並びに令第144条の4第2項による道に関する令と異なる基準については,この条例の定めるところによる。 イ1条の2第4条,第10条の2,第10条の3,第22 6項による地下街に関する令と異なる定め並びに令第144条の4第2項による道に関する令と異なる基準については,この条例の定めるところによる。 イ1条の2第4条,第10条の2,第10条の3,第22条,第41条及び第82条の規定は,都市計画区域及び準都市計画区域内に限り適用する。 ウ4条1項延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合は,その延べ面積の合計とする。)が1000平方メートルを超える建築物の敷地は,その延べ面積に応じて,次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。 延べ面積長さ1000平方メートルを超え,2000平方メートル以6メートル下のもの2000平方メートルを超え,3000平方メートル以8メートル- 35 -下のもの3000平方メートルを超えるもの10メートル2項延べ面積が3000平方メートルを超え,かつ,建築物の高さが15メートルを超える建築物の敷地に対する前項の規定の適用については,同項中「道路」とあるのは,「幅員6メートル以上の道路」とする。 3項前2項の規定は,建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合においては,適用しない。 エ6条1項略2項高さ2メートルを超えるがけの下端からの水平距離ががけ高の2倍以内のところに建築物を建築し,又は建築敷地を造成する場合は,高さ2メートルを超える擁壁を設けなければならない。ただし,次の各号のいずれかに該当する場合は,この限りでない。 1号略2号がけ上に建築物を建築する場合において,がけ又は既設の擁壁に構造耐力上支障がないとき。 3号略3項以下略オ9条この章の規定は,次に掲げる用途に供する特殊建築物に適用する。 - 36 -1号略2号共同住宅,寄宿舎又は下宿(以下 は既設の擁壁に構造耐力上支障がないとき。 3号略3項以下略オ9条この章の規定は,次に掲げる用途に供する特殊建築物に適用する。 - 36 -1号略2号共同住宅,寄宿舎又は下宿(以下「共同住宅等」という。)3号以下略カ10条特殊建築物は,路地状部分のみによつて道路に接する敷地に建築してはならない。ただし,次に掲げる建築物については,この限りでない。 1号路地状部分の幅員が10メートル以上で,かつ,敷地面積が1000平方メートル未満である建築物2号略3号前2号に掲げるもののほか,建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める建築物キ11条の2法第22条第1項の規定により指定する区域内にある木造建築物等である特殊建築物で,階数が2であり,かつ,第9条各号に掲げる用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるものは,その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造としなければならない。 ク18条1項木造建築物等である共同住宅等(耐火建築物又は準耐火建築物を除く。)の避難階以外の階で,住戸等の数が6を超えるものには,その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。 2項略- 37 -(3)新宿区行政手続条例(平成7年新宿区条例第2号。以下「本件手続条例」という。)ア1条1項この条例は,処分,行政指導及び届出に関する手続に関し,共通する事項を定めることによって,行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について,その内容及び過程が区民にとって明らかであることをいう。)の向上を図り,もって区民の権利利益の保護に資することを目的とする。 2項略イ2条この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各 の内容及び過程が区民にとって明らかであることをいう。)の向上を図り,もって区民の権利利益の保護に資することを目的とする。 2項略イ2条この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。 1号及び2号略3号申請条例等に基づき,行政庁の許可,認可,免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって,当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。 4号以下略ウ5条1項行政庁は,申請により求められた許認可等をするかどうかをその条例等の定めに従って判断するために必要とされる基準(以下「審査基準」という。)を定めるものとする。 - 38 -2項行政庁は,審査基準を定めるに当たっては,当該許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。 3項行政庁は,行政上特別の支障があるときを除き,条例等により当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により,審査基準を公にしておかなければならない。 前提事実本件の前提となる事実は,次のとおりである。証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実等はその旨付記しており,それ以外の事実は当事者間に争いがない。 (1)当事者等についてア原告H管理組合(以下「原告管理組合」という。)は,建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)3条に基づき,本件敷地の隣接地に存する建築物である「H」(以下「本件マンション」という。)の区分所有者により構成されている団体である。(弁論の全趣旨)イ原告管理組合を除く原告らは,いずれも本件敷地の周辺である肩書地にそれぞれ居住する者である。原告管理組合を除く原告らの居住地と,本件敷 区分所有者により構成されている団体である。(弁論の全趣旨)イ原告管理組合を除く原告らは,いずれも本件敷地の周辺である肩書地にそれぞれ居住する者である。原告管理組合を除く原告らの居住地と,本件敷地,本件建築物及び本件各工作物との位置関係は,別紙図面1のとおりである。(弁論の全趣旨)ウ新宿区長は,特別区における東京都の事務処理に関する条例(平成11年東京都条例第106号)に基づき,本件安全条例4条3項の認定に係る権限を有するものである。(弁論の全趣旨)(2)前回訴えの経緯等について- 39 -アG及びFは,新宿区長に対し,平成16年12月17日,本件安全条例4条3項に基づく認定の申請をした。(甲1の3,乙1から3まで)イ新宿区長は,G及びFに対し,平成16年12月22日付けで,本件認定をした。(乙1から3まで)ウ原告管理組合は,新宿区建築審査会に対し,平成17年1月12日,本件認定の取消しを求める審査請求(以下「前回審査請求」という。)をした。(乙2,3,22)エ新宿区建築審査会は,平成17年7月6日,本件認定には処分性がないとして,前記ウの前回審査請求を却下する旨の裁決(以下「前回裁決」という。)をした。(乙2,3,22)オ原告管理組合は,平成17年9月1日に前回裁決の取消しを求める訴えを,同年10月5日に本件認定の取消しを求める訴え(以下,両訴えを併せて「前回訴え」という。)をそれぞれ提起した。(乙2,3)カ東京地方裁判所は,平成18年9月8日,前回訴えについて,本件認定は処分性を有するものの,原告管理組合はその取消しを求める原告適格を有しないとして,本件認定の取消しを求める部分を却下し,前回裁決の取消しを求める部分を棄却する旨の判決(以下「前回第1審判決」という。)をした。(乙2)キ原告管理組合は 取消しを求める原告適格を有しないとして,本件認定の取消しを求める部分を却下し,前回裁決の取消しを求める部分を棄却する旨の判決(以下「前回第1審判決」という。)をした。(乙2)キ原告管理組合は,前回第1審判決を不服として,東京高等裁判所に対して控訴したが,同裁判所は,平成19年1月24日,原告管理組合の控訴を棄却する旨の判決(以下「前回控訴審判決」という。)をした。(乙3)- 40 -ク原告管理組合は,前回控訴審判決を不服として,最高裁判所に対して上告及び上告受理の申立てをしたが,同裁判所は,平成19年7月6日,同上告を棄却し,また,同上告受理の申立てについて上告審として受理しないとの決定をした。(弁論の全趣旨)(3)本件訴えの経緯等についてア(ア)E及びFは,新宿区建築主事に対し,平成18年1月30日,本件建築物の建築計画について,平成18年法律第46号による改正前の建築基準法6条1項に基づく建築確認申請をした。(甲2の2)(イ)新宿区建築主事は,E及びFに対し,平成18年2月8日,平成18年法律第92号による改正前の建築基準法6条5項に基づき,前記(ア)の確認申請について,同条4項の定める期限内に確認することができない旨の通知をした。(甲8)イ(ア)Eは,新宿区建築主事に対し,平成18年6月23日,本件各工作物について,平成18年法律第5号による改正前の建築基準法88条1項が準用する平成18年法律第46号による改正前の建築基準法6条1項に基づく各工作物確認申請をした。 本件敷地内における本件各工作物等の位置は別紙図面2のとおりであり,本件工作物○号は本件敷地の南東側境界付近に,本件工作物△号は本件敷地内の北側部分にそれぞれ築造されるものである。(甲3の2,4の2)(イ)新宿区建築主事は,Eに対し,平成1 2のとおりであり,本件工作物○号は本件敷地の南東側境界付近に,本件工作物△号は本件敷地内の北側部分にそれぞれ築造されるものである。(甲3の2,4の2)(イ)新宿区建築主事は,Eに対し,平成18年6月29日,平成18年法律第92号による改正前の建築基準法6条5項に基づき,前記(ア)の- 41 -各確認申請について,同法20条及び建築基準法施行令38条に基づく地耐力等について疑義があるので,所定の期限内に確認することができない旨の通知をした。(甲9の1,9の2)ウ新宿区建築主事は,平成18年7月31日,平成18年法律第46号による改正前の建築基準法6条1項に基づき,前記ア(ア)の確認申請に対して本件建築確認を,平成18年法律第5号による改正前の建築基準法88条1項が準用する平成18年法律第46号による改正前の建築基準法6条1項に基づき,前記イ(ア)の各確認申請に対して本件各工作物確認を,それぞれした。(甲2から4までの各1及び2)エ原告らは,新宿区建築審査会に対し,平成18年9月5日,本件認定,本件建築確認及び本件各工作物確認の各取消しを求める本件審査請求をした。(甲10)オ原告らは,平成19年5月26日,本件認定,本件建築確認及び本件各工作物確認の各取消しを求める第1事件に係る訴えを提起した(ただし,原告管理組合は,本件訴えにおいて,本件認定の取消しを求めていない。)。(当裁判所に顕著な事実)カ新宿区建築審査会は,平成19年6月11日,本件審査請求について,原告管理組合の審査請求を却下し,その余の原告らの審査請求をいずれも棄却する旨の本件裁決をした。(乙4)キ原告J,同K,同T及び同Uを除く原告らは,平成19年10月10日,第1事件を基本事件として,本件裁決の取消しを求める第2事件に係る訴えを追加的に併合した 棄却する旨の本件裁決をした。(乙4)キ原告J,同K,同T及び同Uを除く原告らは,平成19年10月10日,第1事件を基本事件として,本件裁決の取消しを求める第2事件に係る訴えを追加的に併合した。(当裁判所に顕著な事実)- 42 - 争点 (1)本案前の争点ア出訴期間の遵守本件訴えのうち本件認定の取消しを求める部分は,適法な審査請求を経たものとして,出訴期間を遵守した適法な訴えということができるか。 イ原告適格の有無原告らは,本件各工作物確認の取消しを求めるにつき,法律上の利益を有しているということができるか。 また,別紙原告目録記載2の原告らは,本件認定及び本件建築確認の各取消しを求めるにつき,法律上の利益を有しているということができるか。 さらに,原告管理組合は,本件建築確認の取消しを求めるにつき,法律上の利益を有しているということができるか。 (2)本案の争点ア本件認定の違法性の有無①本件建築物の建築計画には安全上重大な支障があること,②本件建築物は長屋ではなく共同住宅であること,③本件認定は本件手続条例5条に基づく基準が定められていないにもかかわらずされたものであること,④本件認定において定められた条件が遵守されなかったことにより事後的な取消原因があることなどを理由に,本件認定が違法であるということができるか。 イ本件建築確認の違法性の有無①本件建築確認の前提となる本件認定が違法であること,②エキスパン- 43 -ションジョイントで接続された本件建築物は1の建築物であるということができず,一敷地一建物の原則に反すること,③新宿区建築主事は本件建築確認に当たって既設の擁壁に構造耐力上支障がないことを確認していないこと,④新宿区建築主事は本件建築物の建築計画について法適合性を確認していないことなどを理由と すること,③新宿区建築主事は本件建築確認に当たって既設の擁壁に構造耐力上支障がないことを確認していないこと,④新宿区建築主事は本件建築物の建築計画について法適合性を確認していないことなどを理由として,本件建築確認が違法であるということができるか。 ウ本件各工作物確認の違法性の有無①新宿区建築主事は本件各工作物の築造計画について法適合性を確認していないこと,②新宿区建築主事は本件工作物確認○号に当たって既設の擁壁に構造耐力上支障がないことを確認していないこと,③行政手続法違反があることなどを理由として,本件各工作物確認が違法であるということができるか。 エ本件裁決の違法性の有無本件裁決は,本件審査請求の手続において,原告らに十分な反論の機会を与えないままされたものであることを理由として,違法であるということができるか。 当事者の主張の要旨(1)争点(1)ア(出訴期間の遵守)について(原告らの主張)ア(ア)被告及び新宿区建築審査会は,前回第1審判決が言い渡された平成18年9月8日まで,本件安全条例4条3項に基づく認定には処分性がない旨主張しており,当該主張は,被告及び新宿区建築審査会の公式見- 44 -解だった。 (イ)ある行政行為に処分性があるか否かが裁判で争われている場合,当該裁判の判決において処分性があると判断された時点から遅滞なく当該行政行為の取消しを求めて審査請求をすれば,行政不服審査法(以下「行服法」という。)14条3項ただし書に規定する「正当な理由」があるということができる。 原告らは,本件認定には処分性がなく,建築確認の取消しを求める中で本件認定の違法性を争うべきであるとの前回裁決における判断に従い,本件建築確認がされてから遅滞なく本件審査請求をしているのであり,しかも,本件認定の処分性の有無が争 く,建築確認の取消しを求める中で本件認定の違法性を争うべきであるとの前回裁決における判断に従い,本件建築確認がされてから遅滞なく本件審査請求をしているのであり,しかも,本件認定の処分性の有無が争われた前回訴えにおける前回第1審判決によって前回裁決における上記判断が覆される以前に,本件審査請求をしているのであるから,本件においては「正当な理由」が存在する。 イ本件裁決においても,前回裁決における判断に従い,本件建築確認がされてから遅滞なく本件審査請求をしたものであるから「正当な理由」がある旨の判断がされている。 裁決は関係行政庁を拘束するから(行服法43条1項),被告は,「正当な理由」がある旨の新宿区建築審査会の判断と異なる主張をすることは許されない。 (被告の主張)ア(ア)新宿区長が本件認定をしたのは平成16年12月22日であるところ,原告らが本件認定の取消しを求める本件審査請求をしたのは同18- 45 -年9月5日であるから,本件審査請求は審査請求期間を徒過した不適法なものである。 したがって,本件訴えのうち,本件認定の取消しを求める部分は,行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)14条2項の出訴期間を徒過した不適法な訴えである。 (イ)原告管理組合は,平成17年1月12日,本件認定の取消しを求める前回審査請求をし,同年10月5日,本件認定の取消しを求める前回訴えを提起している。そうすると,原告らのうち,本件マンションに居住している別紙原告目録記載1の原告ら(以下「本件マンション居住原告ら」という。)は,本件認定がされたことを遅くとも同日以前には知っていたはずであるところ,本件マンション居住原告らが本件認定の取消しを求める本件審査請求をしたのは同18年9月5日であるから,本件審査請求は審査請求期間を徒過した不適法なもの くとも同日以前には知っていたはずであるところ,本件マンション居住原告らが本件認定の取消しを求める本件審査請求をしたのは同18年9月5日であるから,本件審査請求は審査請求期間を徒過した不適法なものである。 したがって,本件訴えのうち,本件マンション居住原告らが本件認定の取消しを求める部分は,行訴法14条1項の出訴期間を徒過した不適法なものである。 イ前回裁決における本件認定に処分性がない旨の判断並びに前回裁決及び前回訴えにおける本件認定に処分性がない旨の被告の主張は,いずれも原告管理組合に対するものであり,その余の原告らに対するものではない上,原告管理組合は,上記判断及び主張にはいずれも理由がないと主張し続けていた。 また,上記判断及び主張によって,原告管理組合を除く原告らが本件認- 46 -定の取消しを求める審査請求又は訴えを提起することができなくなるといった事情はない。 したがって,本件審査請求には,行服法14条3項ただし書に規定する正当な理由はない。 ウ本件裁決は,原告らの本件審査請求を却下し,又は棄却したものであるから,行服法43条1項の拘束力は働かない。 (2)争点(1)イ(原告適格の有無)について(原告らの主張)ア原告らの本件各工作物確認の取消しを求める部分について(ア)建築基準法19条4項及び本件安全条例6条2項の規定の趣旨は,がけ崩れによる建築物そのものへの被害を防止することはもとより,がけ崩れによる建築物の倒壊等が周辺住民に及ぼす影響を防止するために設けられた規定である。したがって,そのような影響を受ける可能性のある近隣住民には,技術基準を満たさない危険な擁壁の築造につき,当該擁壁の工作物確認の取消しを求める法律上の利益がある。 本件裁決でも,原告管理組合を除く原告らについて,本件各工作物確認の取消しを ある近隣住民には,技術基準を満たさない危険な擁壁の築造につき,当該擁壁の工作物確認の取消しを求める法律上の利益がある。 本件裁決でも,原告管理組合を除く原告らについて,本件各工作物確認の取消しを求める法律上の利益を有すると判断されている。 (イ)本件工作物○号の南側に隣接する敷地及び同敷地上に建築されている「V」は,いずれも原告Sが所有するものである。本件工作物○号が崩壊すれば,同原告所有の土地及び建物に重大な損害が生じる。 イ別紙原告目録記載2の原告らの本件認定及び本件建築確認の各取消しを求める部分について- 47 -前回第1審判決では,本件安全条例4条3項に基づく認定に係る建築物の火災等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者は,当該認定の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する旨判断されている。そして,このような判断は,建築確認の取消しを求める法律上の利益についても当てはまる。 したがって,別紙原告目録記載2の原告らは,本件認定及び本件建築確認の取消しを求める法律上の利益を有する。 本件裁決でも,本件建築物と原告らの居住地の距離関係及び延焼の危険性から,原告管理組合を除くすべての原告らにつき,本件認定及び本件建築確認の取消しを求める法律上の利益を有すると判断されている。 ウ原告管理組合の本件建築確認及び本件各工作物確認の各取消しを求める部分について被告の下記主張は争う。 (被告の主張)ア原告らの本件各工作物確認の取消しを求める部分について(ア)本件工作物確認○号について建築基準法19条4項が周辺住民の個別的利益を保護する趣旨を含むとしても,がけ崩れ等による直接的な被害を受けることが予想される一定範囲の住民の個別的利益を保護するものである。 本件工作物○号は,本 建築基準法19条4項が周辺住民の個別的利益を保護する趣旨を含むとしても,がけ崩れ等による直接的な被害を受けることが予想される一定範囲の住民の個別的利益を保護するものである。 本件工作物○号は,本件敷地の南東側境界付近に新設される高さ4mの鉄筋コンクリート造の擁壁であり,本件工作物○号と原告らの居住地の位置関係は別紙図面1のとおりであるところ,本件工作物○号により- 48 -がけ崩れ等による直接的な被害を受けることが予想されるとの原告らの主張はない。 したがって,原告らは,本件工作物○号が築造されたとしても,法律上保護された利益が侵害されるおそれはなく,本件工作物確認○号の取消しを求める法律上の利益を有しない。 (イ)本件工作物確認△号について本件工作物△号は,本件敷地内に新設される高さ4.35mの鉄筋コンクリート造の擁壁であるところ,本件工作物△号と原告らの居住地の位置関係は,別紙図面1のとおりである。 また,本件敷地内における本件工作物△号の位置は別紙図面2のとおりであり,駐車場のための擁壁であって,本件工作物確認△号においては建築基準法19条4項,本件安全条例6条2項の適用はない。 したがって,原告らは,本件工作物△号が築造されたとしても,法律上保護された利益が侵害されるおそれはなく,本件工作物確認△号の取消しを求める法律上の利益を有しない。 イ別紙原告目録記載2の原告らの本件認定及び本件建築確認の各取消しを求める部分について本件建築物と別紙原告目録記載2の原告らの居住地の位置関係は,別紙図面1のとおりである。 したがって,別紙原告目録記載2の原告らは,本件建築物が建築されたとしても,法律上保護された利益が侵害されるおそれはなく,本件認定及び本件建築物の各取消しを求める法律上の利益をいずれも有しない。 - 49 -ウ原 告目録記載2の原告らは,本件建築物が建築されたとしても,法律上保護された利益が侵害されるおそれはなく,本件認定及び本件建築物の各取消しを求める法律上の利益をいずれも有しない。 - 49 -ウ原告管理組合の本件建築確認及び本件各工作物確認の各取消しを求める部分について前回第1審判決及び前回控訴審判決によると,原告管理組合は,本件認定の取消しを求める法律上の利益を有しないのであるから,本件建築確認及び本件各工作物確認の取消しを求める法律上の利益を有しないことも同様である。 (3)争点(2)ア(本件認定の違法性の有無)について(原告らの主張)ア本件建築物の建築計画の安全性について本件安全条例4条3項に基づく認定をするには,同条1項に定める基準と同等以上の安全性が認められなければならないところ,本件建築物の建築計画は,消防活動の専門家がその危険性を指摘するように,建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況から安全上重大な支障があるから,本件認定は違法である。 イ本件建築物は長屋か共同住宅かについて(ア)以下の事実に照らすと,本件建築物は長屋ではなく共同住宅である。 a本件建築物は,階数が地上3階,地下1階であり,戸数が約30戸で,延べ床面積が2800㎡を超える大規模な集合住宅であり,その形状は複雑なコの字型をしているのであって,多数の居住者の就寝の用に供されるという点において,火災等の際における危険性はマンション等の共同住宅と変わらない。消防署長による消防同意の際にも,共同住宅と同様の適正な防火管理をするよう指導されている。 - 50 -b「廊下・階段等の共用部分」を有していれば長屋ということはできないところ,本件建築物は,給排水設備,電気設備,ガス設備等の「共用部分」を有している。 c本件建築物に類似する建築物 - 50 -b「廊下・階段等の共用部分」を有していれば長屋ということはできないところ,本件建築物は,給排水設備,電気設備,ガス設備等の「共用部分」を有している。 c本件建築物に類似する建築物が長屋と判定された事例は存在しない。 d本件敷地には大規模な集合住宅を建築することはできないと認識されていたところ,本件建築物を長屋と判定し,上記認識に反してその建築を可能とすることは違法である。 e新宿区建築主事は,本件建築物の建築主らに対し,本件建築物に連結送水管を設置するよう指導しているところ,連結送水管は「共用部分」の一部である上,管理組合が無ければ実効性のある管理をすることができないものである。新宿区建築主事がそのような連結送水管の設置を指導したということは,本件建築物が実質的に共同住宅であることを自ら認めたことにほかならない。 (イ)そして,本件敷地は路地状部分のみによって道路と接している敷地であり,本件安全条例10条に違反するため,本件認定は違法である。 ウ本件手続条例5条違反の点について(ア)新宿区長は,本件安全条例4条3項に基づく認定をするにつき,事前に審査基準を定めておかなければならなかったにもかかわらず,それを定めずに本件認定をしているから,本件認定は本件手続条例5条に違反する。 被告が主張する基準は,単なる文献における解説を引用したものにすぎず,具体性がない。東京都渋谷区など他の特別区は,具体的な数値を- 51 -用いて基準を定めている。 (イ)本件手続条例1条は,「申請者」ではなく,「区民」の権利利益の保護を目的とする旨規定している。処分の基準が明確に定められていなければ,当該処分によって不利益を受ける申請者以外の第三者の権利利益の保護を図ることができない。 エ事後的な取消原因の存在について新宿区長は とする旨規定している。処分の基準が明確に定められていなければ,当該処分によって不利益を受ける申請者以外の第三者の権利利益の保護を図ることができない。 エ事後的な取消原因の存在について新宿区長は,本件認定に当たり,本件建築物と敷地境界線の間に有効幅員2m以上の空地を設けることなどの条件を付し,同条件が遵守されない場合には,認定を取り消すことがあるとしていた。そうであるにもかかわらず,本件建築確認においては,上記空地の幅員が1.5m以上であればよいと変更されてしまっている。 したがって,本件認定は,認定に当たっての条件が遵守されていないから,直ちに取り消されなければならない。 (被告の主張)ア本件建築物の建築計画の安全性について(ア)本件安全条例4条3項に基づく認定をするかの判断は,建築物の構造及び規模,敷地の形状,敷地内の空地等の状況などの諸事情を総合的に考慮した上での,特定行政庁の専門的かつ技術的な裁量にゆだねられているところ,新宿区長は,①本件敷地が西側で接する道路(以下「前面道路」という。)から本件建築物まで,建築基準法上の道路と同様の機能を有する有効幅員4m以上の通路が設けられること,②本件敷地の容積率制限は150%,建ぺい率制限は60%であるところ,本件建築- 52 -物の容積率は112.3%,建ぺい率は42.2%であり,規模が小さいこと,③本件建築物と敷地境界線の間には約2mから約4mの安全空地が設けられること,④本件建築物の各住戸の出入口の反対方向にはバルコニーが設置され,各住戸からは2方向避難が可能であること,⑤本件各住戸の出入口付近には,東西に6m,南北に12mの消防活動空地が設けられること,⑥本件建築物は耐火建築物であること,⑦本件敷地内には消防水利(防火水槽)が設置されること,⑧前面道路と上記①の通 件各住戸の出入口付近には,東西に6m,南北に12mの消防活動空地が設けられること,⑥本件建築物は耐火建築物であること,⑦本件敷地内には消防水利(防火水槽)が設置されること,⑧前面道路と上記①の通路は,120度以上の角度で交わっており,本件敷地への緊急車両の進入が容易であること,⑨本件敷地と前面道路の接道長は,8.9mあることなどから,本件建築物の建築計画について,建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により安全上支障がないと判断して,本件認定をした。したがって,本件認定は適法である。 (イ)本件安全条例4条3項において,同条1項の場合と同等「以上」の安全性が確保されることは要件とされていない。 イ本件建築物は長屋か共同住宅かについて(ア)共同住宅とは,住戸の玄関に至る階段,廊下等の共用部分を有する住宅をいうところ,本件建築物には,住戸の玄関に至る階段,廊下等の共用部分はない。また,長屋とは,2以上の住戸を有する1戸の建築物で,隣接又は重ね合う住戸と内部での行き来ができない完全分離型の構造で,階段,廊下等の共用部分を有しない形式の建築物をいう。 本件建築物は,隣接又は重ね合う住戸と内部での行き来ができない構造となっており,住戸の玄関に至る階段,廊下等の共用部分がないから,- 53 -長屋である。 本件建築物が有する給排水設備,電気設備,ガス設備等は,「階段,廊下等の共用部分」には含まれない。 (イ)したがって,本件建築物は特殊建築物ではないから,本件認定は本件安全条例10条に反しない。 ウ本件手続条例5条違反の点について(ア)本件安全条例4条3項に基づく認定については,「敷地の形状,建築物の構造・規模に配慮するほか,建築物の敷地内において広い空地を設けた場合等の状況や,建築物の敷地が公園と接続している等の敷地外 ア)本件安全条例4条3項に基づく認定については,「敷地の形状,建築物の構造・規模に配慮するほか,建築物の敷地内において広い空地を設けた場合等の状況や,建築物の敷地が公園と接続している等の敷地外の土地の状況,建築物の敷地周囲の市街地の密集の度合いや,その他都市計画等で,道路整備等が段階的に行われる場合などを総合的に判断して知事が安全上支障がないと認めた場合に適用される」という基準が設けられている。 また,本件安全条例4条3項に基づく認定は,個々の申請について個別具体的に判断せざるを得ないものであり,個々の案件に応じた適切な判断を期待して特定行政庁に裁量を与えているのであるから,上記基準でも本件手続条例5条2項所定の「審査基準の具体性」を満たすというべきである。なお,東京都や他の多くの特別区においても,独自の審査基準は定めていない。 したがって,本件認定は,本件手続条例5条に反しない。 (イ)また,本件手続条例5条は,本件手続条例2条3号の申請をしようとする者の利益を保護する趣旨の規定であり,原告らの法律上保護され- 54 -た利益を個別的に保護する趣旨を含まない。そのため,本件認定の違法事由として本件手続条例5条違反を主張するのは,行訴法10条1項の「自己の法律上の利益に関係のない違法」を主張するものである。 エ事後的な取消原因の存在について新宿区長は,本件認定において,本件建築物と敷地境界線の間に約2mから約4mの安全空地が設けられることを考慮要素の1つとしたのであり,本件建築確認に係る計画においても,本件建築物と敷地境界線の間には約2mから約4mの安全空地が設けられているから,本件認定を取り消さなければならない理由はない。 (4)争点(2)イ(本件建築確認の違法性の有無)について(原告らの主張)ア本件認定が違法である 2mから約4mの安全空地が設けられているから,本件認定を取り消さなければならない理由はない。 (4)争点(2)イ(本件建築確認の違法性の有無)について(原告らの主張)ア本件認定が違法であるという点について本件建築確認は本件認定が前提となっているところ,上記のとおり,本件認定は違法であり,取り消されるべきものであるから,本件建築確認も違法である。 イ一敷地一建物の原則違反の点について本件建築物は,東側部分(以下「東棟」という。),南側部分(以下「南棟」という。)及び西側部分(以下「西棟」という。)の3棟から成っているところ,上記3棟は構造的に分離独立し,用途は密接不可分の関係にないため,それぞれ独立の建物である。したがって,1つの敷地に3の建物が存在することとなり,一敷地一建物の原則(建築基準法施行令1条1号)に違反する。 - 55 -本件建築物の3棟の外壁間にはエキスパンションジョイントが設けられているが,本件建築物は上記のように用途可分な3棟の独立した建物が近接して建てられているにすぎない。そのため,上記エキスパンションジョイントは,上記3棟の外壁間の空地を目隠しし,外観上の一体性を作り出すためだけのものである。したがって,本件建築物がエキスパンションジョイントで接続されているからといって,1の建物ということはできない。 ウ既設擁壁の構造耐力を確認していないという点について本件建築物の建築計画においては,本件安全条例6条2項2号により,既設の擁壁に構造耐力上支障がないことを確認した上で建築確認をしなければならない。しかし,本件建築確認の申請時に提出された擁壁計画平面図(乙10の9枚目)に「確認申請後,着工前に試掘調査を行い既存底版をはじめとする既存擁壁の状態を確認する。調査結果に基づき,鋼製山留めの位置及び必要性に 件建築確認の申請時に提出された擁壁計画平面図(乙10の9枚目)に「確認申請後,着工前に試掘調査を行い既存底版をはじめとする既存擁壁の状態を確認する。調査結果に基づき,鋼製山留めの位置及び必要性について検討し,安全性を確保する。また,建築主事との協議を行う。」との記載があることから明らかなように,新宿区建築主事は,本件敷地のがけ及び既設のコンクリート擁壁(以下「本件既設擁壁」という。)に構造耐力上支障がないことの調査及び確認をしないまま,本件建築確認をした。したがって,本件建築確認は,本件安全条例6条2項に違反する。 また,本件建築物の荷重が本件既設擁壁に影響を与えないと判断した根拠が不明である。 エ法適合性に疑義があった点について確認していないとの点について新宿区建築主事は,本件建築物の確認申請について,建築主らに対し,- 56 -法適合性に疑義があり,期限内に確認することができない旨の通知をしたにもかかわらず,その後,当該疑義がある点について法適合性を確認しないまま,本件建築確認をしているため,本件建築確認は違法である。 (被告の主張)ア本件認定が違法であるという点について(ア)本件安全条例4条3項に基づく認定と建築基準法6条1項に基づく建築確認では,処分の主体が異なるのであり,建築確認を行う建築主事等は,本件安全条例4条3項に基づく認定が適法であるか否かを審査する権限を有しない。 したがって,本件認定の違法が本件建築確認に承継されることはない。 (イ)また,仮に違法性の承継が認められるとしても,本件認定に違法がないことは前記のとおりであるから,原告らの主張はその前提を欠く。 イ一敷地一建物の原則違反の点について(ア)本件建築物は,当初からコの字型に配置された1つの建築物として計画されていたのであり,別棟の3棟を接続 とおりであるから,原告らの主張はその前提を欠く。 イ一敷地一建物の原則違反の点について(ア)本件建築物は,当初からコの字型に配置された1つの建築物として計画されていたのであり,別棟の3棟を接続しようとしたものではない。 (イ)また,本件建築物は,以下の事実から,機能上も外形上も一体性を有し,全体として1つの建築物であることが明らかである。 a本件建築物のようにコの字型に配置された建築物については,構造耐力上の安全性を確保するため,それぞれの部分の壁面を固着させず,エキスパンションジョイントで接続するのが通常の工法である。本件建築物においても,本件建築物の東棟,南棟及び西棟は,それぞれの壁面中心線間に構造的に必要な間隔を設けて,エキスパンションジョ- 57 -イントで接続したものである。 b本件建築物のうち1つの棟で支持された階段が他の棟の住戸専用階段として利用されるなど,3棟は用途上不可分の関係にある。 cエキスパンションジョイントによる接続箇所にはエキスパンションジョイントカバーが設けられており,上記3棟は,外壁とあいまって外観上も一体となっている。 d本件建築物の給排水設備,電気設備等は,本件建築物が1の建築物であることを前提に計画されている。 ウ既設擁壁の構造耐力を確認していないという点について新宿区建築主事は,本件建築確認に先立つ現地調査において,本件既設擁壁に問題がないことを確認している。 また,本件建築物の建築計画においては,本件建築物の荷重が本件既設擁壁に影響を与えないようにし,さらに,本件既設擁壁に対する背面土圧の軽減を図るなどしている。 加えて,本件既設擁壁の底版の背面側への突出状態が不明であることから,本件既設擁壁の安全性を担保するため,上記底版の突出が無いものと仮定して,背面側に山留めを設けることと の軽減を図るなどしている。 加えて,本件既設擁壁の底版の背面側への突出状態が不明であることから,本件既設擁壁の安全性を担保するため,上記底版の突出が無いものと仮定して,背面側に山留めを設けることとしている。もっとも,本件既設擁壁の底版の突出状態が適切であれば同山留めを設ける必要がない可能性もあることから,実際の工事段階において底版等の状態を確認し,その上で新宿区建築主事との協議により,同山留めの必要性等を検討することとしたのである。 以上の事実を考慮した結果,新宿区建築主事は,本件既設擁壁が「構造- 58 -耐力上支障がないとき」に該当することを確認している。 エ法適合性に疑義があった点について確認していないとの点について新宿区建築主事は,本件建築物の建築主らに対し,期限内に確認できない旨の通知書を送付したものの,その後,同通知書に記載された疑義については,本件建築確認の申請書の修正等の結果,建築基準関係規定に適合していることが確認できたため,本件建築確認をした。 (5)争点(2)ウ(本件各工作物確認の違法性の有無)について(原告らの主張)ア新宿区建築主事は,本件各工作物の確認申請について,築造主に対し,法適合性に疑義があり,期限内に確認することができない旨の通知をしたにもかかわらず,その後,当該疑義がある点について法適合性を確認しないまま,本件各工作物確認をしているため,本件各工作物確認は違法である。 イ新宿区建築主事は,本件工作物確認○号をする際,本件工作物○号の南側に位置する擁壁(以下「本件敷地外擁壁」という。)に構造耐力上支障がないことを確認しなければならなかったにもかかわらず,それをしていないから,本件工作物確認○号は違法である。 ウ本件敷地の南西側境界付近には,古い石積擁壁がある。そのやり替え(造り替え)をす 障がないことを確認しなければならなかったにもかかわらず,それをしていないから,本件工作物確認○号は違法である。 ウ本件敷地の南西側境界付近には,古い石積擁壁がある。そのやり替え(造り替え)をするには,隣地住民の協力が不可欠であるところ,それが得られない状況で上記石積擁壁のやり替えを指導することは,行政手続法32条から35条までに違反する。 (被告の主張)- 59 -ア新宿区建築主事は,本件各工作物について,建築基準関係規定に適合することを確認したことから,本件各工作物確認をした。 イ本件工作物○号は,その荷重及び背面側の土圧が本件敷地外擁壁に構造的な影響を与えないようにしているため,本件工作物確認○号において,本件敷地外擁壁に構造耐力上支障がないことを確認しなければならない根拠はない。 ウ原告が主張する石積擁壁に関する事情は,本件各工作物との関連が不明であり,本件各工作物確認の違法事由とはならない。 (6)争点(2)エ(本件裁決の違法性の有無)について(原告らの主張)被告は,本件審査請求の手続において,本件建築物は階段,廊下等の共用部分を有しないことから長屋である旨主張していたところ,平成19年5月30日付け「弁明書4」(甲18)において,新たに,本件建築物には共用の給排水設備,電気設備等が設置されることから1の建築物である旨の主張を追加した。そして,新宿区建築審査会は,上記追加主張に対する原告らの反論書の提出期限を2週間と定め,原告らは,平成19年6月4日,その旨記載された書面の送達を受けた。 本件審査請求における最大の争点は本件建築物が長屋であるか共同住宅であるかであったところ,上記追加主張の内容からすると,本件建築物は共用部分を有するため共同住宅であるということになるから,原告らは,その点に関する主張を準備してい 本件建築物が長屋であるか共同住宅であるかであったところ,上記追加主張の内容からすると,本件建築物は共用部分を有するため共同住宅であるということになるから,原告らは,その点に関する主張を準備していたにもかかわらず,新宿区建築審査会は,反論の期限とされた平成19年6月18日の1週間も前である同月11日に本件裁- 60 -決をした。このように,原告らの反論期限の前にされた本件裁決は,原告らの反論権(行服法23条)を意図的に奪ったものであり,違法である。 (被告の主張)新宿区建築審査会は,原告らの反論権を意図的に奪ったものではなく,原告らの反論期限を2週間と設定したことを失念して本件裁決をしたのであり,原告らの反論権を意図的に奪ったのではない。 被告が「弁明書4」においてした主張は,本件建築物が1の建築物であるか否かという点に関する補充の主張であったところ,原告らは,上記争点について,既に繰り返し反論しており,十分に主張を尽くしていたと考えられる。実際に,本件裁決の後,原告らから本件裁決に関する異議等は申し立てられなかった。 したがって,本件裁決には,取り消されなければならないほどの重大な違法はない。 第3争点に対する判断 争点(1)ア(出訴期間の遵守)について(1)前記前提事実のとおり,本件認定は平成16年12月22日にされているところ,本件認定の取消し等を求める本件審査請求が同18年9月5日にされており,本件裁決前である同19年5月26日に本件認定の取消しを求める本件訴えが提起されている。そうすると,本件認定の取消しを求める本件訴えが行訴法14条3項本文の適用によって,出訴期間内に提起された適法なものであるというためには,①原告らが本件審査請求をした平成18年9月5日が,原告らが本件認定がされたことを知った日の翌日から起算して 行訴法14条3項本文の適用によって,出訴期間内に提起された適法なものであるというためには,①原告らが本件審査請求をした平成18年9月5日が,原告らが本件認定がされたことを知った日の翌日から起算して- 61 -60日以内であるか,又は行服法14条1項ただし書所定の「やむをえない理由」がやんだ日の翌日から起算して1週間以内であることを要するとともに,②本件審査請求が本件認定がされた日の翌日から起算して1年を経過する前にされなかったことについて,同条3項所定の「正当な理由」があることをも要すると解すべきであるから,これらの点について検討する。 アまず,前記①の要件について検討する。 前記前提事実のとおり,原告管理組合は本件マンションの区分所有者により構成されている団体であるところ,本件マンション居住原告らは,いずれも本件マンションの区分所有者又はその家族として本件マンションに居住する者であるから,遅くとも,原告管理組合が前回審査請求をした平成17年1月12日までには,本件認定がされたことを知っていたものと推認することができ,これを覆すに足りる証拠はない。 また,原告管理組合及び本件マンション居住原告らを除く原告らは,いずれも,本件認定に係る建築物(本件建築物)の敷地である本件敷地の周辺に居住し,本件マンション居住原告らと共に,本件建築物の建設に反対していた者であるから,本件マンション居住原告らと同様に,平成17年1月12日ころまでには,本件認定がされたことを知っていたものと推認することができ,また,本件訴えの訴訟委任状の作成日付によれば,原告N,同O,同P及び同Qは,平成18年3月29日までに,同Mは同月30日までに,本件認定がされたことを知っていたと認めることができるのであり,遅くとも同日ころまでには原告ら全員が本件認定がされたことを ,同O,同P及び同Qは,平成18年3月29日までに,同Mは同月30日までに,本件認定がされたことを知っていたと認めることができるのであり,遅くとも同日ころまでには原告ら全員が本件認定がされたことを知ったものと推認することができる。 - 62 -そうすると,本件審査請求は平成18年9月5日にされたものであるから,原告らが本件認定がされたことを知った日の翌日から起算して60日以内にされたものでないことが明らかであり,そのことについて「やむをえない理由」(行服法14条1項ただし書)があったことをうかがわせる事情はないのであるから,本件審査請求のうち本件認定の取消しを求める部分は,同項所定の審査請求期間を徒過したという点において不適法なものというべきである。 イ次に,前記②の要件について検討する。 (ア)本件審査請求は,本件認定がされた平成16年12月22日から1年8箇月余を経過した後にされたものであるところ,前記のとおり,原告管理組合は平成17年1月12日に本件認定の取消しを求める前回審査請求をしているのであるから,原告管理組合を除く原告らも同様に,同日ころに,本件認定の取消しを求める審査請求をすることができたのであり,原告管理組合を除く原告らが同審査請求をすることを妨げる事情があったとは認められない。 (イ)ところで,原告らは,平成17年7月6日の前回裁決において示された「本件認定には処分性がなく,後に建築確認がされた段階で,当該建築確認の取消しを求める審査請求をすべきである」との判断に従い,同18年7月31日に本件建築確認がされた後,同年9月5日に本件審査請求をしたのであるから,正当な理由がある旨主張する。 しかし,原告らは,本件審査請求において,本件認定に処分性があることを前提として本件認定の取消しを求めており,しかも,原告ら 年9月5日に本件審査請求をしたのであるから,正当な理由がある旨主張する。 しかし,原告らは,本件審査請求において,本件認定に処分性があることを前提として本件認定の取消しを求めており,しかも,原告らが本- 63 -件審査請求をしたのは,本件認定に処分性がある旨判断した前回第1審判決言渡し前であるのであるから,原告らは,一貫して本件認定には処分性があるという見解に立って行動していたものであり,本件認定には処分性がないとした前回裁決に従っていたとは到底認められず,原告らの上記主張を認めることはできない。 (ウ)また,原告らは,被告は行服法43条1項によって本件裁決に拘束されることから,本件裁決における「正当な理由」があるとの判断に反する主張をすることができない旨主張する。 しかしながら,行服法43条1項が,裁決は関係行政庁を拘束するとしたのは,処分を取り消す旨の裁決がされた後に,行政庁が同裁決の趣旨に反する行動をすることを防ぎ,もって同裁決の実効性を確保するためであると解されるから,同項にいう「裁決」は,処分を取り消す旨の裁決に限られると解するのが相当である。 したがって,原告らの本件審査請求を却下し,又は棄却した本件裁決には行服法43条1項に規定する拘束力は生じないから,原告らの上記主張を採用することはできない。 (エ)そのほか,審査請求期間が経過したことにつき原告らに正当な理由があることを示す事情はない。 したがって,原告らに「正当な理由」はなく,本件審査請求のうち本件認定の取消しを求める部分は,行服法14条3項所定の審査請求期間を徒過したという点においても不適法なものというべきである。 (2)上記のとおり,本件審査請求のうち本件認定の取消しを求める部分は,- 64 -不適法な審査請求である。 そして,行訴法14条3項本文の適用 たという点においても不適法なものというべきである。 (2)上記のとおり,本件審査請求のうち本件認定の取消しを求める部分は,- 64 -不適法な審査請求である。 そして,行訴法14条3項本文の適用によって本件認定の取消しを求める訴えが適法とされるためには,適法な審査請求があったことを要するというべきであるところ,不適法な審査請求に対して裁決庁により実体審理がされた上,これを棄却する旨の裁決がされたとしても,当該審査請求が客観的に不適法である以上,適法な審査請求を経たということはできないというべきであるから(最高裁昭和46年(行ツ)第86号同48年6月21日第一小法廷判決・訟務月報19巻10号51頁参照),原告らは,本件裁決を経ているとしても,本件訴えのうち本件認定の取消しを求める部分につき,適法な審査請求を経ていないというべきである。 (3)以上によると,原告らにつき,行訴法14条3項本文は適用されないというべきである。 そして,本件訴えは平成19年5月26日に提起されたものであるから,本件認定がされた同16年12月22日から1年を経過した後にされたものであるところ,前記(1)イにおいて判示したところに照らすと,原告らに「正当な理由」(行訴法14条2項ただし書)があるということはできないから,本件訴えのうち本件認定の取消しを求める部分は,同項に定める出訴期間を徒過しているという点において不適法な訴えである。 また,前記(1)アのとおり,本件マンション居住原告らは遅くとも平成17年1月12日までに,その余の原告らは遅くとも同18年3月30日ころまでに,それぞれ,本件認定がされたことを知ったものと認めることができるところ,前記(1)イにおいて判示したところに照らすと,上記各原告らに- 65 -「正当な理由」(行訴法14条1項ただし書) までに,それぞれ,本件認定がされたことを知ったものと認めることができるところ,前記(1)イにおいて判示したところに照らすと,上記各原告らに- 65 -「正当な理由」(行訴法14条1項ただし書)があるということはできないから,本件訴えのうち原告らが本件認定の取消しを求める部分は,同項に定める出訴期間を徒過しているという点においても不適法な訴えである。 争点(1)イ(原告適格の有無)について(1)行訴法9条は取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮すべきであり,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれ にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項参照)(以上に- 66 -つき,最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 (2)ア建築基準法6条1項が,同項各号に掲げる建築物の計画が,例えば,同法21条,52条,55条,56条,56条の2等の建築基準関係規定に適合するものであることについて確認することができなければ,当該建築物の建築等の工事をすることができないこととしているのは,①当該建築物並びにその居住者の生命,身体の安全及び健康の保護を図り,②当該建築物及びその周辺の建築物における日照,通風,採光等を良好に保つなど快適な居住環境を確保することができるようにするとともに,③地震,火災等により当該建築物が倒壊し,又は炎上するなど万一の事態が生じた場合に,その周辺の建築物やその居住者に重大な被害が及ぶことのないようにするためであると解される。 そして,以上のような建築基準法6条1項の趣旨及び目的,同項が同項各号に掲げる建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることの確認において保護しようとしている利益の内容及び性質等のほか同,法が建築物の敷地,構造等に関する最低の基準を定めて国民の生命,健康及び財産の保護を図ることなどを目的としていること(1条)をも考慮すると,同法6条1項は,同項による確認に係る建築物並びにその居住者の生命又は身体の安全及び健康を保護し,その建築等が市街地の環境の整備改善に資するようにするとともに,当該建築物の倒壊,炎上等による被害が直接的に 1項は,同項による確認に係る建築物並びにその居住者の生命又は身体の安全及び健康を保護し,その建築等が市街地の環境の整備改善に資するようにするとともに,当該建築物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築- 67 -物についてその居住者の生命又は身体の安全等及び財産としてのその建築物を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきである。 そうすると,建築確認に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者は,当該建築確認の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消しの訴えにおける原告適格を有すると解するのが相当である。 イまた,建築基準法43条1項は,「建築物の敷地は,道路(…(略)…)に2メートル以上接しなければならない。ただし,その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で,特定行政庁が交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては,この限りでない。」と規定しているところ,これは,道路が,平常時における通行の場として必要であるのみならず,当該建築物及びこれに隣接する建築物等における日照,通風,採光等を良好に保つとともに,当該建築物に火災等の災害が発生した場合における避難,消火及び救助活動を迅速かつ適切に行うために必要であり,道路のないところに建築物が相当の密度で立ち並ぶことは,当該建築物の居住者等のみならずこれに隣接する建築物等の居住者等の平時の利用に不便なばかりでなく,その災害時の避難や消火活動にも大きな支障を来すことから,建築物の敷地は一定の広さを有する道路に接してい 建築物の居住者等のみならずこれに隣接する建築物等の居住者等の平時の利用に不便なばかりでなく,その災害時の避難や消火活動にも大きな支障を来すことから,建築物の敷地は一定の広さを有する道路に接していなければならないものとしたのであり,そうであるとすると,同- 68 -項の規定は,当該建築物及びこれに隣接する建築物等における日照,通風,採光等を良好に保つことのほかに,当該建築物に災害が発生した場合に,当該建築物及びその隣接する建築物等についてその居住者等の生命又は身体の安全等及び財産としてのその建築物を保護することをもその目的に含むものと解するのが相当である。 また,建築基準法43条2項は,「地方公共団体は,…(略)…延べ面積(…(略)…)が1000平方メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員,その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性により,前項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては,条例で,必要な制限を付加することができる。」と規定しているところ,これは,一定の用途や規模を有する建築物の場合,それらの建築物の敷地が同条1項の規定する幅員4m(特定の区域内では6m)(同法42条1項参照)の道路に2m接すればよいという制限だけでは,平常時における通行の確保並びに火災等の災害の発生時における迅速かつ適切な避難,消火及び救助活動ができないおそれがあることから,地方公共団体の条例で,建築物の用途又は規模の特殊性に応じて,各地方の実情に合わせて必要な制限を付加することができる旨規定したものと解するのが相当である。 上記規定を受けて,本件安全条例4条1項は,「延べ面積(…(略)…)が1000平方メートルを超える建築 ,各地方の実情に合わせて必要な制限を付加することができる旨規定したものと解するのが相当である。 上記規定を受けて,本件安全条例4条1項は,「延べ面積(…(略)…)が1000平方メートルを超える建築物の敷地は,その延べ面積に応じて,次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。」と規定し,- 69 -同条2項は,「延べ面積が3000平方メートルを超え,かつ,建築物の高さが15メートルを超える建築物の敷地に対する前項の規定の適用については,同項中「道路」とあるのは,「幅員6メートル以上の道路」とする。」と規定しているところ,これらの規定が設けられたのは,建築基準法43条2項の趣旨も考慮すると,そのような一定の規模を超える建築物について,平常時における通行を確保するためだけではなく,火災等の災害が発生した場合における避難,消火及び救助活動を迅速かつ適切に行うためであると解するのが相当である。 そして,本件安全条例4条3項は,「建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合」に限り,同条1項及び2項の規定を適用しないことを認めているところ,同条1項及び2項の上記趣旨,目的等をも考慮すれば,同条3項が知事の認定に当たり「建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況」を勘案すべきものとしているのは,当該建築物が火災等により炎上するなどの事態が生じた場合に,これに隣接する建築物等やその居住者等に重大な被害が及ぶことのないようにするためであると解するのが相当である。 以上のような本件安全条例4条3項の趣旨や目的,同項が知事の認定を通して保護しようとしている利益の内容や性質等を考慮すると,同項は,同項の認定に係る建築物の火災等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建 目的,同項が知事の認定を通して保護しようとしている利益の内容や性質等を考慮すると,同項は,同項の認定に係る建築物の火災等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命又は身体の安全等及び財産としてのその建築物を,個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきである。 - 70 -そうすると,本件安全条例4条3項の認定に係る建築物の火災等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者は,当該認定の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するものと解するのが相当である。 ウさらに,建築基準法88条1項は,煙突,広告塔,高架水槽,擁壁その他これらに類する工作物で政令で指定するもの等について,同法6条,20条,32条,33条,37条等の建築物に関する規定を準用し,上記工作物の計画が,上記規定等に適合するものであることについて確認することができなければ,当該工作物の築造等の工事をすることができないこと地震,火災等により当該工作物が倒壊し,としているところ,これは,又は炎上するなど万一の事態が生じた場合に,その周辺の建築物やその居住者に重大な被害が及ぶことのないようにするためであると解される。 以上のような建築基準法の趣旨及び目的,同項が同項88条1項に掲げる工作物の計画が上記規定に適合するものであることの確認において保護しようとしている利益の内容及び性質等のほか,前記同法の目的(1条)をも考慮すると,同法88条1項アにおいて述べたは,同項及び同項の準用する同法6条1項による確認に係る工作物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命又は において述べたは,同項及び同項の準用する同法6条1項による確認に係る工作物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命又は身体の安全等及び財産としてのその建築物を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとす- 71 -る趣旨を含むものと解すべきである。 そうすると,建築基準法88条1項,同法6条1項に基づく確認に係る工作物の火災等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者は,当該確認の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するものと解するのが相当である。 (3)上記の見地から,本件訴えにおける原告らの原告適格の有無について検討する。 ア原告管理組合の本件建築確認及び本件各工作物確認の各取消しを求める原告適格について前記前提事実のとおり,原告管理組合は区分所有法3条所定の区分所有者の団体であるところ,原告管理組合が本件建築確認及び本件各工作物確認の各取消しを求める原告適格を有すると認められるためには,原告管理組合自身につき本件建築確認及び本件各工作物確認の各取消しを求める法律上の利益を有することが必要である。 前述のとおり,建築基準法6条1項及び同法88条1項は,同法6条1項による確認に係る建築物又は工作物の火災等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命又は身体の安全等及び財産としてのその建築物を,個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきところ,建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うための区分所有者の団体である原告管理組合が,生命又は身体の安全等という法律上の利益を有していると認めることはできず,また,区分所有 ものと解すべきところ,建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うための区分所有者の団体である原告管理組合が,生命又は身体の安全等という法律上の利益を有していると認めることはできず,また,区分所有建物を所有しているものでも- 72 -ない原告管理組合が,財産としての建築物という法律上の利益を有しているということもできない。このことは,仮に,本件マンションの区分所有者に本件建築確認あるいは本件各工作物確認の取消しを求める原告適格が認められるとしても,同様である。 したがって,原告管理組合は,本件建築確認及び本件各工作物確認の各取消しを求める原告適格をいずれも有しないというべきである。 イ別紙原告目録記載2の原告らの本件認定及び本件建築確認の各取消しを求める原告適格について前記前提事実のとおり,本件建築物と原告管理組合を除く原告らの居住地の位置関係は別紙図面1のとおりであり,また,弁論の全趣旨によると,本件敷地の南側に位置する「V」は原告Sが所有する建築物であることが認められる。そうすると,本件建築物から,原告Aの居住地までの距離は約45m,同Lの居住地までの距離は約10m,同Bの居住地までの距離は約300m,同Cの居住地までの距離は約325m,同Sが所有する「V」までの距離は約6m,同Dの居住地までの距離は約55mとなるところ,本件建築物は,鉄筋コンクリート造で,階数が地上3階,地下1階であり,また,最高の高さが9.750mであることを考慮すると,別紙原告目録記載2の原告らのうち,原告L及び同Sは,本件建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者と認めることができるが,原告A,同B,同C及び同Dは,本件建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想 害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者と認めることができるが,原告A,同B,同C及び同Dは,本件建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを- 73 -所有する者と認めることが困難であるといわざるを得ない。 したがって,別紙原告目録記載2の原告らのうち,原告L及び同Sは,本件認定及び本件建築確認の各取消しを求める原告適格をいずれも有するというべきであるが,原告A,同B,同C及び同Dは,本件認定及び本件建築確認の各取消しを求める原告適格をいずれも有しないというべきである。 ウ原告管理組合を除く原告らの本件各工作物確認の取消しを求める原告適格について(ア)前記前提事実のとおり,本件各工作物と原告管理組合を除く原告らの居住地の位置関係は別紙図面1及び同2のとおりである。 (イ)そうすると,本件工作物○号は,前記イのとおり原告Sが所有する「V」とほぼ隣接して築造され,また,本件工作物○号の東端から本件マンションの南端までの距離は約5mであるが,原告管理組合,同S及び本件マンション居住原告らを除く原告らの居住地までの距離は,いずれも,約20m以上あることになるところ,本件工作物○号が鉄筋コンクリート造の高さ4mの擁壁であることを考慮すると,原告管理組合を除く原告らのうち,原告S及び本件マンション居住原告らは,本件工作物○号の倒壊等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者と認めることができるが,原告S及び本件マンション居住原告らを除く原告らは,いずれも本件工作物○号の倒壊等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者と認めるこ きるが,原告S及び本件マンション居住原告らを除く原告らは,いずれも本件工作物○号の倒壊等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者と認めるこ- 74 -とが困難であるといわざるを得ない。 したがって,原告管理組合を除く原告らのうち,原告S及び本件マンション居住原告らは,本件工作物確認○号の取消しを求める原告適格を有するというべきであるが,原告S及び本件マンション居住原告らを除く原告ら,すなわち,原告A,同L,同B,同M,同N,同C,同O,同P,同Q及び同Dは,本件工作物確認○号の取消しを求める原告適格を有しないというべきである。 (ウ)また,本件工作物△号から原告Nの居住地までの距離は約5mであるが,原告管理組合及び同Nを除く原告らの居住地までの距離は,いずれも,約15m以上あることになるところ,本件工作物△号が鉄筋コンクリート造の高さ4.35mの擁壁であることを考慮すると,原告管理組合を除く原告らのうち,原告Nは,本件工作物△号の倒壊等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者と認めることができるが,原告Nを除く原告らは,いずれも本件工作物△号の倒壊等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者と認めることが困難であるといわざるを得ない。 したがって,原告管理組合を除く原告らのうち,原告Nは,本件工作物確認△号の取消しを求める原告適格を有するというべきであるが,原告Nを除く原告らは,本件工作物確認△号の取消しを求める原告適格を有しないというべきである。 争点(1)(本案前の争点)についてのまとめ- 75 -以上によると,本件訴えのうち,①本件認定の取消しを求める 告らは,本件工作物確認△号の取消しを求める原告適格を有しないというべきである。 争点(1)(本案前の争点)についてのまとめ- 75 -以上によると,本件訴えのうち,①本件認定の取消しを求める部分,②本件建築確認の取消しを求める部分のうち原告A,同B,同C,同D及び原告管理組合の請求に係る部分,③本件工作物確認○号の取消しを求める部分のうち原告A,同L,同B,同M,同N,同C,同O,同P,同Q,同D及び原告管理組合の請求に係る部分,並びに④本件工作物確認△号の取消しを求める部分のうち原告Nを除く原告らの請求に係る部分は,いずれも不適法であるから,却下を免れないが,本件訴えのうちその余の部分は適法な訴えと認めることができる。 争点(2)ア(本件認定の違法性の有無)について既に判示したとおり,本件訴えのうち本件認定の取消しを求める部分は不適法であるから,判断を要しない。 争点(2)イ(本件建築確認の違法性の有無)について既に判示したとおり,本件建築確認の取消しを求める部分のうち原告A,同B,同C,同D及び原告管理組合の請求に係る部分は不適法であるから,以下,その余の原告ら(以下,この項において単に「原告ら」という。)の請求に係る部分についてのみ判断する。 (1)本件認定が違法であるとの主張について原告らは,本件建築確認の前提となっている本件認定が違法であり,取り消されるべきものであるから,本件建築確認も違法である旨主張する。 しかしながら,既に判示したとおり,本件訴えのうち本件認定の取消しを求める部分は不適法であって,本件認定が違法であり,取り消されるべきものということはできないから,原告らの上記主張はその前提を欠くものであ- 76 -り,採用することができない。 (2)一敷地一建物の原則違反の主張について原告らは,本 であり,取り消されるべきものということはできないから,原告らの上記主張はその前提を欠くものであ- 76 -り,採用することができない。 (2)一敷地一建物の原則違反の主張について原告らは,本件建築物は「1の建築物」でなく,本件建築物の建築計画は一敷地一建物の原則に違反するから,本件建築確認は違法である旨主張する。 ア建築基準法施行令1条1号は,敷地について,「1の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地をいう」と規定しており,原則として「1の建築物」ごとに1の「敷地」が成立し,2以上の建築物が用途上不可分の関係にあるときは,「用途上不可分の関係にある2以上の建築物」ごとに1の「敷地」が成立するものとし(一敷地一建物の原則),「1の建築物」あるいは「用途上不可分の関係にある2以上の建築物」という概念によって「敷地」の個数が決せられるものとしている。 そして,建築基準法は,敷地の接道義務(43条1項),容積率及び建ぺい率の制限(52条,53条),隣地斜線規制及び北側斜線規制(56条),日影規制(56条の2)など,都市計画実現の一環として,都市環境の整備及び保護を図るために建築物の用途,密度,形態及び規模について建築規制を行うための規定による規制を「敷地」単位で行うものとしており,一敷地一建物の原則は,上記規制を実効あらしめる役割を担っている。 ところで,建築物がいかなる場合に「1の建築物」に当たるかという点については,建築基準法,建築基準法施行令等にはこれを定めた規定はない。そして,「1の建築物」が同法による上記規制を実効あらしめるための重要な概念であることを考慮すると,ある建築物が「1の建築物」に当- 77 -たるか否かについては,同法の趣旨を踏まえて,社会通念に基づき各事案ごとに決せざるを得ないが,同 を実効あらしめるための重要な概念であることを考慮すると,ある建築物が「1の建築物」に当- 77 -たるか否かについては,同法の趣旨を踏まえて,社会通念に基づき各事案ごとに決せざるを得ないが,同法施行令1条1号が,「1の建築物」と定めていることからすると,同法の趣旨を踏まえて,社会通念に照らし,構造上,外観上及び機能上の一体性があると認められる建築物は,「1の建築物」に当たると解するのが相当である。 イ(ア)証拠(該当箇所に付記したもののほか,甲1の3,36,37,乙10,13,14)及び弁論の全趣旨によると,①エキスパンションジョイントは,構造体の接続方法の1つで,構造体を物理的に分離しておく方法によって,構造体が相互に力学上影響を及ぼし合わないようにすることで,構造体の構造耐力上の安全性等を向上させることを意図する接続方法であること,②本件建築物は,東棟,南棟及び西棟から成るコの字型をしたもので,東棟と南棟の壁面中心線間に400㎜の空間(クリアランス)を,南棟と西棟の壁面中心線間に325㎜の空間をそれぞれ設けており,エキスパンションジョイントで接続したものであること,③エキスパンションジョイントによる接続箇所には,床の連続性や雨仕舞を確保するため,当該空間を覆うエキスパンションジョイントカバーを設けており,外壁とエキスパンションジョイントカバーがあいまって,外観上,一体となっていること,④本件建築物は,総戸数29戸の集合住宅として利用されること,⑤本件建築物の南棟の東端住戸の専用階段は,東棟によって支持され,また,南棟の西端住戸の専用階段は,西棟によって支持されること,⑥本件建築物の給水設備は,貯水槽を通さず,給水用増圧ポンプを利用して各住戸へ直接給水する増圧給水方式を採用- 78 -しているところ,前面道路に埋設された 用階段は,西棟によって支持されること,⑥本件建築物の給水設備は,貯水槽を通さず,給水用増圧ポンプを利用して各住戸へ直接給水する増圧給水方式を採用- 78 -しているところ,前面道路に埋設された給水本管から1本の給水引込管で引き込み,1個の給水メーターを経て,1基の増圧ポンプにより増圧し,29戸すべての住戸に住戸用メーターを介して給水していること(甲42の1,乙19),⑦本件建築物の排水設備は,29戸すべての住戸からの排水を,本件敷地中心付近の消防活動空地に埋設される1箇所の汚水槽に集中して貯留し,1基のポンプにより揚水し,1本の排水管を経て,前面道路に埋設された排水本管に排出していること(甲42の2,乙20),⑧本件建築物の電気設備は,高圧で引き込まれた電力を1基の地上用変圧器により減圧し,低圧電力を29戸すべての住戸に住戸用分電盤を介して供給していること(甲42の3,乙21),⑨本件建築物のガス設備は,前面道路に埋設されたガス本管から1本の引込管で本件建築物の外壁付近まで引き込み,各住戸に分岐して供給していること(甲42の1,乙19)が認められる。 (イ)上記認定事実のとおり,本件建築物の3つの棟はエキスパンションジョイントで接続しているのであるから,上記3棟は構造上の一体性を有するといい得るものである。そして,本件全証拠を精査しても,上記3棟が構造上一体であると認めることが,接道義務,建ぺい率及び容積率の制限,隣地斜線規制及び北側斜線規制,日影規制などの点において,上記各規制を定めた建築基準法の趣旨及び目的を没却するものであると認めることはできない。したがって,上記3棟は構造上の一体性があると認められる。 また,上記認定事実のとおり,本件建築物の3つの棟のエキスパンシ- 79 -ョンジョイントによる接続箇所にはエキスパ 認めることはできない。したがって,上記3棟は構造上の一体性があると認められる。 また,上記認定事実のとおり,本件建築物の3つの棟のエキスパンシ- 79 -ョンジョイントによる接続箇所にはエキスパンションジョイントカバーが設けられており,それと外壁があいまって,上記3棟は外観上の一体性があると認められる。 さらに,上記認定事実のとおり,本件建築物の南棟の住戸の専用階段のうち一部は他の2つの棟によって支持されており,また,本件建築物は総戸数29戸の集合住宅として利用されるところ,各住戸の住人が生活を維持するために必要な給水設備,排水設備,電気設備及びガス設備等のいわゆるライフラインは,一体として管理され,すべての住戸の住人が共同して利用するものとして設置されるのであるから,本件建築物の3つの棟は機能上の一体性があると認められる。 ウ(ア)原告らは,エキスパンションジョイントによって接続された本件建築物の3つの棟は,構造的にはそれぞれ分離独立した別個の3の建築物であるから,「1の建築物」ではない旨主張する。 (イ)しかしながら,前述のとおり,エキスパンションジョイントは,構造体を物理的に分離しておく方法によって,構造体が相互に力学上影響を及ぼし合わないようにすることで,構造体の構造耐力上の安全性等を向上させることを意図する接続方法なのであって,エキスパンションジョイントを使用したとしても,それは構造物を接続する1つの方法であり,それにより当該部分は一応一体化するということができる。 (ウ)また,平成18年法律第92号による改正前の建築基準法20条2号は,一定の建築物にあっては,政令で定める基準に従った構造計算によって確かめられる安全性を有することを要する旨規定し,これを受け- 80 -て,平成19年政令第49号による改正前の建築基 0条2号は,一定の建築物にあっては,政令で定める基準に従った構造計算によって確かめられる安全性を有することを要する旨規定し,これを受け- 80 -て,平成19年政令第49号による改正前の建築基準法施行令81条は,同法20条2号に規定する建築物(超高層建築物を除く。)の構造計算について規定し,そして,同法施行令81条2項は,「2以上の部分がエキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接している建築物の当該建築物の部分は,前項の規定の適用については,それぞれ別の建築物とみなす。」と規定している(なお,建築基準法施行令81条4項参照)。 このように,平成19年政令第49号による改正前の建築基準法施行令81条2項は,その文理上,1の「建築物」であっても,構造計算に当たっては,エキスパンションジョイント等の構造方法のみで接している「当該建築物の部分」は,別の建築物とみなすという規定であり,エキスパンションジョイントが力学上相互に応力を伝えないものである以上,エキスパンションジョイント等の構造方法のみで接している部分をそれぞれ別の建築物として構造計算の規定を適用するのは,当然の事理であるから,同項がエキスパンションジョイントを使用している場合には「1の建築物」であることを否定する趣旨の規定であると解することはできない。 むしろ,平成19年政令第49号による改正前の建築基準法施行令81条2項が「前項の規定の適用については」,それぞれ別の建築物と「みなす」と規定していることからすると,エキスパンションジョイント等の構造方法のみで接している部分がある建築物であっても,全体として「1の建築物」に当たる場合があることを前提としているものと解- 81 -される。 (エ)そうすると,本件建築物がエキスパンションジョイントを使 で接している部分がある建築物であっても,全体として「1の建築物」に当たる場合があることを前提としているものと解- 81 -される。 (エ)そうすると,本件建築物がエキスパンションジョイントを使用して3つの棟を接続していることをもって,上記3棟がそれぞれ分離独立した別個の建築物であるとして,本件建築物が「1の建築物」でないということはできず,原告らの上記主張を採用することはできない。 エそして,そのほかに,本件建築物が「1の建築物」に当たらないとすべきことをうかがわせるに足りる証拠はない。 したがって,本件建築物は建築基準法施行令1条1項にいう「1の建築物」であると認められるから,本件建築物の建築計画が一敷地一建物の原則に違反し,本件建築確認は違法である旨の原告らの主張を採用することはできない。 (3)本件既設擁壁に構造耐力上支障がないことを確認していないとの主張についてア本件建築物の建築計画が本件安全条例6条2項の規定する要件を満たす必要があるものであることについては,当事者間に争いがないところ,原告らは,本件建築確認の申請時に提出された擁壁計画平面図(乙10の9枚目)に「確認申請後,着工前に試掘調査を行い既存底版をはじめとする既存擁壁の状態を確認する。調査結果に基づき,鋼製山留めの位置及び必要性について検討し,安全性を確保する。また,建築主事との協議を行う。」との記載があることから,新宿区建築主事は本件建築確認に当たり,本件既設擁壁に構造耐力上支障がないことを確認していないなどとして,本件建築確認は本件安全条例6条2項に違反する旨主張する。 - 82 -イそこで検討すると,証拠(乙10,15)及び弁論の全趣旨によると,①本件敷地の南側境界付近には,既にコンクリート製の本件既設擁壁が設置されていること,②新宿区建築主事 旨主張する。 - 82 -イそこで検討すると,証拠(乙10,15)及び弁論の全趣旨によると,①本件敷地の南側境界付近には,既にコンクリート製の本件既設擁壁が設置されていること,②新宿区建築主事らは,本件建築確認に先立つ現地調査において,本件既設擁壁の擁壁面が垂直ではないこと,構造耐力上の影響があるような目立ったはらみや亀裂がないこと,本件既設擁壁の下部には排水施設が設けられていることなどを確認したこと,③本件建築物の建築計画は,本件建築物の基礎(直接基礎)を本件既設擁壁への影響範囲外の位置及び深さ,すなわち,当該地盤の擁壁を要しないこう配の上限内に設けることにより,本件建築物の荷重が本件既設擁壁に影響を与えないようにしていること,④本件建築物の建築計画は,本件既設擁壁の背面側(本件建築物側)の高低差が一定でない土を15㎝から50㎝すきとることで,本件既設擁壁に対する背面土圧を軽減することを図っていること,⑤本件既設擁壁の底版の背面側への突出状態が適切であれば,本件既設擁壁の背面側に「既設擁壁保護用鋼製山留」を設ける必要はない可能性があったものの,上記底版の状態の調査及び確認には大規模な工事が必要となるため,建築確認をする以前にその調査及び確認を行うことは著しく困難であったこと,⑥そのため,本件建築物の建築計画は,上記底版の突出が無いものと仮定し,本件既設擁壁の背面側に「既設擁壁保護用鋼製山留」を設け,本件既設擁壁への背面側からの土圧を遮断することにより,本件既設擁壁の構造耐力上の安全性を確実なものとすることとしたこと,⑦本件建築確認後,実際の工事の段階においては,上記底版の状態の調査及び確認が可能となるため,その段階において,改めて上記底版の状態の調査- 83 -及び確認することとしたこと,⑧実際の工事の段階において,上記底 ,実際の工事の段階においては,上記底版の状態の調査及び確認が可能となるため,その段階において,改めて上記底版の状態の調査- 83 -及び確認することとしたこと,⑧実際の工事の段階において,上記底版の調査及び確認をし,その結果,上記底版の背面側への突出状態が適切であれば,「既設擁壁保護用鋼製山留」を設ける必要はない可能性があることから,その段階において,建築主らが新宿区建築主事と協議を行い,「既設擁壁保護用鋼製山留」の設置位置及び必要性を再検討することとしたことが認められる。 ウ本件建築物の建築計画は,本件敷地の南側境界付近に新たな擁壁を設けるとはしていないため,本件安全条例6条2項の規定する要件を満たすためには,本件既設擁壁に構造耐力上支障がないということができなければならないところ,上記認定事実のとおり,確かに,新宿区建築主事は,本件建築確認に当たり,事前に本件既設擁壁の底版の状態について調査及び確認をしていないものの,それは,上記底版の調査及び確認には大規模な工事が必要であるなど,その実施が著しく困難であることによるものである。また,上記底版の調査及び確認によって,本件既設擁壁の底版の突出状態が適切であることを確認することができないため,本件建築物の建築計画は,上記底版の突出状態が最も不適切である状態,すなわち上記底版の突出がないものと仮定し,そのような状態においても本件既設擁壁の安全性を確保し得るように,本件既設擁壁への背面側からの土圧を遮断するための「既設擁壁保護用鋼製山留」を設置することとされたのであるから,新宿区建築主事が本件建築確認に当たり,事前に本件既設擁壁の底版の状態について調査及び確認をしていないとしても,それをもって,「構造耐力上支障がない」ことを確認していないということはできない。 - 84 -そして 本件建築確認に当たり,事前に本件既設擁壁の底版の状態について調査及び確認をしていないとしても,それをもって,「構造耐力上支障がない」ことを確認していないということはできない。 - 84 -そして,上記認定事実によると,新宿区建築主事らは,本件建築計画の内容の審査及び現地調査等によって本件既設擁壁の状態等を確認し,仮に,本件既設擁壁の底版に突出が無かったとしても,「既設擁壁保護用鋼製山留」を設置することにより本件既設擁壁の安全性が確保されるとして,本件既設擁壁に「構造耐力上支障がない」と確認した上で,本件建築確認をしたということができる。 エそして,そのほかに,本件既設擁壁に「構造耐力上支障がない」ことを否定するに足りる証拠はない。 したがって,本件建築確認は本件安全条例6条2項に違反する旨の原告らの上記主張を採用することはできない。 (4)法適合性に疑義があった点について確認していないとの主張について原告らは,新宿区建築主事は,本件建築物の建築主らに対し,本件建築物の建築計画が建築基準関係規定に適合することについて疑義があり,期限内に確認することができない旨の通知をしたにもかかわらず,その後,当該疑義がある点について法適合性を確認しないまま本件建築確認をしたとして,本件建築確認は違法である旨主張する。 しかしながら,前記前提事実のとおり,新宿区建築主事は,本件建築物の建築主らに対し,本件建築物の確認申請について,建築基準法の定める期限内に確認することができない旨の通知をしたにすぎない。そして,新宿区建築主事は,上記通知から5箇月以上経過した後に本件建築確認をしていることからすると,上記通知において期限内に確認することができないことの理由として挙げた点(甲8)について,建築基準関係規定に適合する旨を確認- 85 -した上で本件建 た後に本件建築確認をしていることからすると,上記通知において期限内に確認することができないことの理由として挙げた点(甲8)について,建築基準関係規定に適合する旨を確認- 85 -した上で本件建築確認をしたものと推認することができ,これを覆すに足りる証拠は見当たらない。 したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 (5)本件建築物は長屋ではなく共同住宅であるとの主張についてア原告らは,本件建築物は長屋ではなく共同住宅であり,特殊建築物に当たるのであって,路地状部分のみによって道路に接する本件敷地には本件建築物を建築することはできないから(本件安全条例10条),本件建築確認は同条に違反し違法である旨主張するものと解される。 イところで,建築基準法においては,長屋と共同住宅はそれぞれ異なるものとして区別され(30条,93条1項),両者のうち共同住宅のみが特殊建築物とされ(2条2号),特殊建築物については,長屋を含む他の建築物に比べてより高度の安全性を要求する規定などが設けられている(6条1項1号,24条,27条,35条等)。 また,本件安全条例においても,長屋と異なり,共同住宅は特殊建築物とされ(9条2号),特殊建築物には,接道,防火構造,避難階段等の点に関して他の建築物に比べて厳しい特別の規制が設けられている(10条,11条の2,18条等)。 このように,建築基準関係法令において共同住宅が長屋に比べ厳しい規制を受けることとされているのは,共同住宅及び長屋は,いずれも2以上の住戸を有する1の建築物で,隣接又は重ね合う住戸と内部での行き来ができない完全に分離された構造を有するものであるが,共同住宅は,長屋と異なり,不特定又は多数の人が通行の用に供する廊下,階段等の共用部- 86 -分を有しており,災害時において,当該共同 行き来ができない完全に分離された構造を有するものであるが,共同住宅は,長屋と異なり,不特定又は多数の人が通行の用に供する廊下,階段等の共用部- 86 -分を有しており,災害時において,当該共同住宅の住人等が,それぞれ自己の住戸の玄関等から直接敷地外に避難することはできず,当該共用部分を通行して避難しなければならないため,その避難に困難が生じるおそれがあることから,その安全を確保する必要があるためであると解される。 そうすると,長屋であるか共同住宅であるかの判断は,不特定又は多数の人が通行の用に供する当該建築物の住戸の玄関に至る廊下,階段等の共用部分を有しているか否かによるべきであると解するのが相当である。 ウ前記(2)イ(ア)のとおり,本件建築物は,給水設備,排水設備,ガス設備,電気設備等の各住戸の住人が共用する設備を有しているものの,上記各設備は,不特定又は多数の人が通行の用に供する本件建築物の住戸の玄関に至るものではなく,また,本件建築物の住人が上記各設備を共用することによって,災害時において,本件建築物の住人等の本件敷地外への避難に関し,困難が生じるという事情はうかがわれないから,上記各設備は,長屋であるか共同住宅であるかを判断する際の要素である不特定又は多数の人が通行の用に供する当該建築物の住戸の玄関に至る廊下,階段等の共用部分には該当しないというべきである。 また,証拠(甲1の3,37,49,50の1,乙9,10,13,14,34)及び弁論の全趣旨によると,本件建築物は外階段,バルコニー及び緑化屋上を有するものの,これらは,いずれも特定の住戸の住人等のみの用に供されるものであり,不特定又は多数の人が通行の用に供するものではなく,また,本件建築物に設置される連結送水管は,送水口,配管,放水口,放水器具等により構成されるも れも特定の住戸の住人等のみの用に供されるものであり,不特定又は多数の人が通行の用に供するものではなく,また,本件建築物に設置される連結送水管は,送水口,配管,放水口,放水器具等により構成されるものであり,不特定又は多数の人が- 87 -通行の用に供するものではないことが認められる。 したがって,本件建築物は不特定又は多数の人が通行の用に供する当該建築物の住戸の玄関に至る廊下,階段等の共用部分を有しないということができるから,本件建築物は長屋であるというべきである。 エ原告らは,①本件建築物に類似する建築物が長屋と判定された事例はない,②連結送水管は共同住宅の住人により組織する管理組合がなければ実効性のある管理をすることができない,③本件建築物の外階段,給水設備等は区分所有法上の「共用部分」に該当する旨主張するが,仮に,原告らが主張する事実が認められたとしても,本件建築物が不特定又は多数の人が通行の用に供する当該建築物の住戸の玄関に至る廊下,階段等の共用部分を有しないことから長屋であるとした上記判断を左右するものではないから,上記各主張はいずれも失当である。 オそして,長屋である本件建築物に本件安全条例10条は適用されないから,本件建築確認は同条に違反する旨の原告らの上記主張を採用することはできない。 (6)まとめ以上によると,本件建築確認は違法である旨の原告らの主張はいずれも採用することができない。 そして,本件全記録を精査しても,そのほかに本件建築確認に違法な点は見当たらないから,本件建築確認は適法であるというべきである。 争点(2)ウ(本件各工作物確認の違法性の有無)について(1)本件工作物確認○号について- 88 -既に判示したとおり,本件工作物確認○号の取消しを求める部分のうち原告A,同L,同B,同M,同N, (2)ウ(本件各工作物確認の違法性の有無)について(1)本件工作物確認○号について- 88 -既に判示したとおり,本件工作物確認○号の取消しを求める部分のうち原告A,同L,同B,同M,同N,同C,同O,同P,同Q,同D及び原告管理組合の請求に係る部分は不適法であるから,以下,その余の原告らである原告S及び本件マンション居住原告ら(以下,この項において単に「原告ら」という。)の請求に係る部分についてのみ判断する。 ア法適合性に疑義があった点について確認していないとの主張について原告らは,新宿区建築主事は,本件工作物○号の築造主らに対し,本件工作物○号の築造計画が建築基準関係規定に適合することについて疑義があり,期限内に確認することができない旨の通知をしたにもかかわらず,その後,当該疑義がある点について法適合性を確認しないまま本件工作物確認○号をしたとして,本件工作物確認○号は違法である旨主張する。 しかしながら,前記前提事実のとおり,新宿区建築主事は,本件工作物○号の築造主らに対し,本件工作物○号の確認申請について,平成18年法律第92号による改正前の建築基準法20条及び建築基準法施行令38条に基づく地耐力等について疑義があるので,所定の期限内に確認することができない旨の通知をしたにすぎない。そして,新宿区建築主事は,上記通知から約1箇月を経過した時期に本件工作物確認○号をしていることからすると,上記通知において期限内に確認することができないことの理由として挙げた点について,建築基準関係規定に適合する旨を確認した上で本件工作物確認○号をしたものと推認することができ,これを覆すに足りる証拠は見当たらない。 したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 - 89 -イ本件敷地外擁壁に構造耐力上支障がないことを確認していな したものと推認することができ,これを覆すに足りる証拠は見当たらない。 したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 - 89 -イ本件敷地外擁壁に構造耐力上支障がないことを確認していないとの主張について原告らは,新宿区建築主事は,本件工作物確認○号に当たり,本件敷地外擁壁に構造耐力上支障がないことを確認していないとして,本件工作物確認○号は違法である旨主張する。 しかしながら,証拠(乙16)及び弁論の全趣旨によると,本件工作物○号の築造計画は,本件工作物○号の基礎底版を本件敷地外擁壁へ影響を与える範囲外の位置及び深さに設けることにより,本件工作物○号の荷重及び本件工作物○号の背面側の土圧が本件敷地外擁壁に構造的な影響を与えないようにしていることが認められ,そのほかに,本件工作物確認○号において,本件敷地外擁壁に構造上支障がないことを確認しなければならない事情をうかがわせる証拠はない。 したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 ウ石積擁壁に関する主張について原告らは,本件敷地の南西側境界付近にある石積擁壁について,隣地住民の協力を得ることができない状況でやり替えを指導しており行政手続法に違反する旨主張するものと解されるが,仮に,原告らの主張する事実が認められたとしても,それが本件工作物確認○号の違法事由となるとは解されないから,その主張は失当である。 エ以上によると,本件工作物確認○号が違法である旨の原告らの主張はいずれも採用することができない。 そして,本件全記録を精査しても,そのほかに本件工作物確認○号に違- 90 -法な点は見当たらないから,本件工作物確認○号は適法であるというべきである。 (2)本件工作物確認△号について既に判示したとおり,本件工作物確認△号の取消しを求める部分のうち原告Nを 90 -法な点は見当たらないから,本件工作物確認○号は適法であるというべきである。 (2)本件工作物確認△号について既に判示したとおり,本件工作物確認△号の取消しを求める部分のうち原告Nを除く原告らの請求に係る部分は不適法であるから,以下,原告Nの請求に係る部分についてのみ判断する。 ア法適合性に疑義があった点について確認していないとの主張について原告Nは,新宿区建築主事は,本件工作物△号の築造主らに対し,本件工作物△号の築造計画が建築基準関係規定に適合することについて疑義があり,期限内に確認することができない旨の通知をしたにもかかわらず,その後,当該疑義がある点について法適合性を確認しないまま本件工作物確認△号をしたとして,本件工作物確認△号は違法である旨主張する。 しかしながら,前記前提事実のとおり,新宿区建築主事は,本件工作物△号の築造主らに対し,本件工作物△号の確認申請について,平成18年法律第92号による改正前の建築基準法20条及び建築基準法施行令38条に基づく地耐力等について疑義があるので,所定の期限内に確認することができない旨の通知をしたにすぎない。そして,新宿区建築主事は,上記通知から約1箇月を経過した時期に本件工作物確認△号をしていることからすると,上記通知において期限内に確認することができないことの理由として挙げた点について,建築基準関係規定に適合する旨を確認した上で本件工作物確認△号をしたものと推認することができ,これを覆すに足りる証拠は見当たらない。 - 91 -したがって,原告Nの上記主張を採用することはできない。 イ石積擁壁に関する主張について原告Nは,石積擁壁について,前記(1)ウと同旨の主張をするものと解されるが,その主張が失当であることについては,前記(1)ウにおいて本件工作物確認○号に きない。 イ石積擁壁に関する主張について原告Nは,石積擁壁について,前記(1)ウと同旨の主張をするものと解されるが,その主張が失当であることについては,前記(1)ウにおいて本件工作物確認○号に関して判示したところと同様である。 ウ以上によると,本件工作物確認△号が違法である旨の原告Nの主張はいずれも採用することができない。 そして,本件全記録を精査しても,そのほかに本件工作物確認△号に違法な点は見当たらないから,本件工作物確認△号は適法であるというべきである。 争点(2)エ(本件裁決の違法性の有無)について(1)前記前提事実に加え,証拠(該当箇所に付記したもの)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる。 ア(ア)原告らは,新宿区建築審査会に対し,平成18年9月5日,本件認定,本件建築確認及び本件各工作物確認の各取消しを求める本件審査請求をした。(前記前提事実,甲10)(イ)新宿区建築審査会は,新宿区建築主事に対し,行服法22条1項の規定に基づき,本件審査請求に係る原告らの「審査請求申立書」の副本を送付するとともに,平成18年9月13日付け「審査請求書の送付について」と題する書面により,弁明書の提出を求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知した。(乙23)イ(ア)新宿区長及び新宿区建築主事は,新宿区建築審査会に対し,平成1- 92 -8年10月4日付け「弁明書」を提出した。(甲11の2)(イ)新宿区建築審査会は,原告らに対し,行服法22条5項に基づき,「弁明書」の副本を送付するとともに,平成18年10月4日付け「弁明書の送付について」と題する書面により,「弁明書」に対する反論があるときは反論書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知した。(乙2 18年10月4日付け「弁明書の送付について」と題する書面により,「弁明書」に対する反論があるときは反論書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知した。(乙24)ウ(ア)原告らは,新宿区建築審査会に対し,行服法23条に基づき,平成18年10月23日付け「反論書(1回)」を提出し,その中で,①本件建築物は長屋ではなく共同住宅である旨,②本件建築物はエキスパンションジョイントで接続されていても1の建築物ではないから,本件建築確認は一敷地一建物の原則に違反する旨等主張した。(甲12)(イ)新宿区建築審査会は,新宿区長及び新宿区建築主事に対し,「反論書(1回)」の副本を送付するとともに,平成18年10月27日付け「反論書及び意見書の送付について」と題する書面により,「反論書(1回)」に対する弁明があるときは弁明書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知した。(乙25)エ(ア)新宿区長及び新宿区建築主事は,新宿区建築審査会に対し,平成18年12月7日付け「弁明書2」を提出し,その中で,「反論書(1回)」に対する反論として,①本件建築物は「廊下・階段等の共用部分を有しない」ことなどから長屋である旨,②本件建築物はエキスパンションジョイントによる接続,住戸専用階段の設置状況等に照らすと,構- 93 -造上,機能上及び外観上一体の建築物であるから,1の建築物である旨等主張した。(甲13)(イ)新宿区建築審査会は,原告らに対し,行服法22条5項に基づき,「弁明書2」の副本を送付するとともに,平成18年12月8日付け「弁明書2の送付について」と題する書面により,「弁明書2」に対する反論があるときは反論書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむ 副本を送付するとともに,平成18年12月8日付け「弁明書2の送付について」と題する書面により,「弁明書2」に対する反論があるときは反論書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知した。(乙26)オ(ア)原告らは,新宿区建築審査会に対し,行服法23条に基づき,平成19年1月24日,同月29日付け「反論書(2回)」を提出し,その中で,「弁明書2」に対する反論として,①本件建築物は,その規模,形状,接道,駐車施設,給排水設備及び電気設備等の状況,安全性等に照らすと,長屋ではなく共同住宅である旨,②本件建築物は3棟から成る3の建築物である旨等主張した。(甲14,乙27)(イ)新宿区建築審査会は,新宿区長及び新宿区建築主事に対し,「反論書(2回)」の副本を送付するとともに,平成19年1月26日付け「反論書(2)の送付について」と題する書面により,「反論書(2回)」に対する弁明があるときは弁明書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知した。(乙27)カ新宿区建築審査会は,平成19年1月29日,建築基準法94条3項に基づき,本件審査請求について口頭審査を行った。(甲19)キ(ア)原告らは,新宿区建築審査会に対し,行服法23条に基づき,平成- 94 -19年2月20日付け「反論書(3回)」を提出した。(甲15)(イ)新宿区建築審査会は,新宿区長及び新宿区建築主事に対し,「反論書(3回)」の副本を送付するとともに,平成19年2月22日付け「反論書(3)の送付について」と題する書面により,「反論書(3回)」に対する弁明があるときは弁明書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知した。(乙28)ク(ア)新宿区長及び新宿区建 と題する書面により,「反論書(3回)」に対する弁明があるときは弁明書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知した。(乙28)ク(ア)新宿区長及び新宿区建築主事は,新宿区建築審査会に対し,平成19年2月22日,同月21付け「弁明書3」を提出し,その中で,「反論書(2回)」に対する反論として,①「弁明書2」において示した長屋の基準に当てはめると本件建築物は長屋であり,原告らが「反論書(2回)」において主張する長屋の基準を採用することはできない旨,②「弁明書2」において示したとおり,本件建築物は構造上,機能上及び外観上の観点から1つの建築物である旨等主張した。(甲16)(イ)新宿区建築審査会は,原告らに対し,行服法22条5項に基づき,「弁明書3」の副本を送付するとともに,平成19年2月26日付け「弁明書3の送付について」と題する書面により,「弁明書3」に対する反論があるときは反論書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知した。(乙29)ケ(ア)原告らは,新宿区建築審査会に対し,行服法23条に基づき,平成19年3月30日付け「反論書(4回)」を提出し,その中で,「弁明書3」に対する反論として,①新宿区長及び新宿区建築主事が「弁明書- 95 -2」において示した長屋の基準に本件建築物が当てはまるとしても,建築基準法の趣旨に照らすと,本件建築物を長屋ということはできない旨,②新宿区長及び新宿区建築主事の「弁明書3」における住戸専用階段の設置状況に関する主張は,本件建築物が「完全分離型の構造」で「廊下・階段等の共用部分を有しない」ことから長屋である旨の主張と矛盾する旨主張した。(甲17)(イ)新宿区建築審査会は,新宿区長及び新宿区建築主事に対し,「反論 建築物が「完全分離型の構造」で「廊下・階段等の共用部分を有しない」ことから長屋である旨の主張と矛盾する旨主張した。(甲17)(イ)新宿区建築審査会は,新宿区長及び新宿区建築主事に対し,「反論書(4回)」の副本を送付するとともに,平成19年4月6日付け「反論書(4)の送付について」と題する書面により,「反論書(4回)」に対する弁明があるときは弁明書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知した。(乙30)コ(ア)原告らは,新宿区建築審査会に対し,行服法23条に基づき,平成19年4月5日付け「反論書(4回その2)」を提出した。(乙31の2)(イ)新宿区建築審査会は,新宿区長及び新宿区建築主事に対し,「反論書(4回その2)」の副本を送付するとともに,平成19年4月9日付け「反論書(4回その2)の送付について」と題する書面により,「反論書(4回その2)」に対する弁明があるときは弁明書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知した。(乙31の1)サ(ア)原告らは,新宿区建築審査会に対し,行服法23条に基づき,平成19年5月18日付け「反論書(5回)」を提出し,その中で,本件建- 96 -築物はエキスパンションジョイントで接続されているにすぎないことなどから1の建築物ということはできない旨主張した。(乙32の2)(イ)新宿区建築審査会は,新宿区長及び新宿区建築主事に対し,「反論書(5回)」の副本を送付するとともに,平成19年5月24日付け「反論書(5回)の送付について」と題する書面により,「反論書(5回)」に対する弁明があるときは弁明書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知した。(乙32の1)シ(ア) の送付について」と題する書面により,「反論書(5回)」に対する弁明があるときは弁明書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知した。(乙32の1)シ(ア)新宿区長及び新宿区建築主事は,新宿区建築審査会に対し,平成19年5月30日付け「弁明書4」を提出し,その中で,「反論書(5回)」に対する反論として,「弁明書2」及び「弁明書3」において主張した事情に加え,本件建築物が1の建築物であることを示す事情として,新たに,本件建築物の給排水設備,電気設備等の計画は,本件建築物が1の建築物であることを前提としたものとなっていることを挙げた。 (甲18)(イ)新宿区建築審査会は,原告らに対し,行服法22条5項に基づき,「弁明書4」の副本を送付するとともに,平成19年5月31日付け「弁明書4の送付について」と題する書面により,「弁明書4」に対する反論があるときは反論書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知した。原告らは,同年6月4日,同書面の送達を受けた。(甲43)ス新宿区建築審査会は,平成19年6月11日,本件審査請求について,- 97 -原告管理組合の審査請求を却下し,その余の原告らの審査請求をいずれも棄却する旨の本件裁決をした。新宿区建築審査会は,本件裁決において,エキスパンションジョイントによって接続されていることや住戸専用階段の設置状況等から,本件建築物は1の建築物である旨判断した。(前記前提事実,乙4)(2)ア行服法23条が,審査請求人は,処分庁からの弁明書に対する反論書を提出することができるとしたのは,審査請求手続において審査請求人に十分な主張及び立証を尽くさせることによって,審査請求人の手続保障を図るとともに,裁決の公正及び妥当性を確保する 明書に対する反論書を提出することができるとしたのは,審査請求手続において審査請求人に十分な主張及び立証を尽くさせることによって,審査請求人の手続保障を図るとともに,裁決の公正及び妥当性を確保するためであると解される。 そうすると,審査庁が審査請求人に対して反論書を提出させないことで,審査請求人が十分な主張及び立証をすることができなかったにもかかわらず,そのような状態においてされた裁決は,審査請求人の手続的利益を侵害するものである上,公正かつ妥当な裁決ということができず,違法というべきであるが,審査請求人において十分な主張及び立証の機会が確保されたといえる限り,審査請求人にいかなる程度の反論をさせるかは,審査庁の合理的な裁量にゆだねられていると解するのが相当である。 イ上記認定事実によると,①原告らは「反論書(1回)」において,本件建築物は1の建築物ということができず,本件建築確認は一敷地一建物の原則に違反する旨主張し,②これに対し,新宿区長及び新宿区建築主事は,「弁明書2」において,本件建築物は,エキスパンションジョイントによる接続,住戸専用階段の設置状況等に照らすと,構造上,機能上及び外観上,一体の建物であり,1の建築物である旨反論し,③これに対し,原告- 98 -らは,「反論書(2回)」において,本件建築物は3棟から成る3の建築物である旨反論し,④これに対し,新宿区長及び新宿区建築主事は,「弁明書3」において,「弁明書2」におけるのと同様の主張をし,⑤これに対し,原告らは,「反論書(4回)」において,新宿区長及び新宿区建築主事による住戸専用階段の設置状況が1の建築物であることを示す事情となる旨の主張は,新宿区長及び新宿区建築主事による本件建築物が共同住宅ではなく長屋である旨の主張と矛盾する旨反論し,さらに,「反論書(5回) 住戸専用階段の設置状況が1の建築物であることを示す事情となる旨の主張は,新宿区長及び新宿区建築主事による本件建築物が共同住宅ではなく長屋である旨の主張と矛盾する旨反論し,さらに,「反論書(5回)」において,本件建築物はエキスパンションジョイントで接続されているにすぎないことなどから1の建築物とはいえない旨反論し,⑥これに対し,新宿区長及び新宿区建築主事は,「弁明書4」において,本件建築物が1の建築物であることを示す事情として,「弁明書2」及び「弁明書3」において主張した事情に加え,新たに,本件建築物の給排水設備,電気設備等の計画を挙げたことが認められる。 そうすると,本件審査請求の手続において,原告らと新宿区長及び新宿区建築主事は,本件建築物が1の建築物ということができるか否かについて,エキスパンションジョイントによる接続及び住戸専用階段の設置状況に関する点を中心に,互いに複数回にわたり主張及び反論を繰り返しており,その内容も,従前の主張と重複する点にわたることが多く,双方の主張及び立証は十分に尽くされていたということができる。また,新宿区長及び新宿区建築主事は,当初から,本件建築物が構造上,機能上及び外観上,一体であることから1の建築物ということができる旨主張しており,本件建築物の給排水設備,電気設備等の計画は,本件建築物が機能上一体- 99 -であることを示す事情の1つであるから,「弁明書4」の内容は,新たに主張を追加するものではなく,従前の主張を補充するものにすぎない。 ウ原告らは,「弁明書4」において示された本件建築物の給排水設備,電気設備等の計画が,本件建築物は共同住宅でなく長屋であることを示す重要な事情であるとして,「弁明書4」に対する反論をさせなかったことが違法である旨主張するものと解される。 しかしながら,本件建 ,電気設備等の計画が,本件建築物は共同住宅でなく長屋であることを示す重要な事情であるとして,「弁明書4」に対する反論をさせなかったことが違法である旨主張するものと解される。 しかしながら,本件建築物が長屋であるか共同住宅であるかの判断において,本件建築物の給排水設備,電気設備等の設置状況が結論に影響を与えないことは,前記5(5)において判示したとおりであるから,そもそも,原告らが「弁明書4」に対して上記反論をしたところで,適切な反論とはなり得なかったと考えられる上,上記認定事実のとおり,原告らは,「反論書(2回)」において,本件建築物が共同住宅であることを示す事情として給排水設備,電気設備等の状況を挙げていることからすると,その時点において,既に,本件建築物の給排水設備,電気設備等の計画を認識していたということができるから,「弁明書4」において示された事情が,原告らにとって当該書面により新たに判明した事情であったということも困難である。 そうすると,新宿区建築審査会が原告らに対して「弁明書4」に対する反論をさせなかったとしても,原告らに十分な反論の機会が確保されなかったということはできない。 エ以上によると,新宿区建築審査会が,原告らに対し,「弁明書4」の内容について,更なる反論をさせないまま,本件建築物は1の建築物である- 100 -旨判断して本件裁決をしたことをもって,原告らに十分な主張及び立証の機会が確保されなかったということはできず,また,上記反論をさせないまま本件裁決をすることが不合理であったということもできない。 そうすると,新宿区建築審査会は,原告らに対し,書面において,「弁明書4」に対する反論があるときは反論書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知しており,原告らは,平成 ,新宿区建築審査会は,原告らに対し,書面において,「弁明書4」に対する反論があるときは反論書を提出するよう求め,その提出期限を同書面到達の日からおおむね2週間とする旨通知しており,原告らは,平成19年6月4日,同書面の送達を受けているのであるから,同日から2週間を経過しない同月11日の時点で本件裁決をしたことは不適切な対応であったといわざるを得ないとしても,そのことをもって,本件裁決が取り消されるべき違法なものであるということはできない。 (3)また,原告らは,新宿区建築審査会は原告らの反論権を意図的に奪った旨主張するが,本件全証拠を精査しても,そのような事情をうかがわせる証拠はなく,その主張を採用することはできない。 さらに,そのほかに原告らが主張する本件裁決の違法事由は,結局のところ,いずれも原処分である本件認定,本件建築確認等の違法事由にすぎないから,本件裁決の違法事由とはならないというべきである(行訴法10条2項参照)。 (4)以上によると,本件裁決が違法である旨の原告らの主張はいずれも採用することができない。 そして,本件全記録を精査しても,そのほかに本件裁決に違法な点は見当たらないから,本件裁決は適法であるというべきである。 第4 結論 - 101 -よって,その余の点について判断するまでもなく,本件訴えのうち,①本件認定の取消しを求める部分,②本件建築確認の取消しを求める部分のうち原告A,同B,同C,同D及び原告管理組合の請求に係る部分,③本件工作物確認○号の取消しを求める部分のうち原告A,同L,同B,同M,同N,同C,同O,同P,同Q,同D及び原告管理組合の請求に係る部分,並びに④本件工作物確認△号の取消しを求める部分のうち原告Nを除く原告らの請求に係る部分はいずれも不適法であるから,これらをいずれも却下し,原告ら ,同P,同Q,同D及び原告管理組合の請求に係る部分,並びに④本件工作物確認△号の取消しを求める部分のうち原告Nを除く原告らの請求に係る部分はいずれも不適法であるから,これらをいずれも却下し,原告らのその余の請求はいずれも理由がないから,これらをいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行訴法7条,民訴法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部裁判長裁判官杉原則彦裁判官松下貴彦裁判官島田尚人
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