平成20(わ)362 殺人

裁判年月日・裁判所
平成21年2月23日 松山地方裁判所
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判決文本文1,687 文字)

- 1 -主文被告人を懲役2年6月に処する。 未決勾留日数中80日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,実母であるAと無理心中をしようと考え,平成20年9月28日午前9時ころ,愛媛県西条市内の駐車場に駐車中の自動車内において,同女(当時79歳)に対し,ビニール製のレジ袋を伸ばしてひも状にしたものを同女の頚部に巻き付けて絞め付け,よって,そのころ,同所において,同女を窒息死させて殺害したものであるが,本件犯行当時重症うつ病等のため心神耗弱の状態にあったものである。 (証拠の標目)省略(法令の適用)【判示行為】刑法199条【刑種の選択】有期懲役刑を選択【法律上の減軽】刑法39条2項(心神耗弱者),68条3号【未決勾留日数の算入】刑法21条(量刑の理由)本件は,被告人が,ビニール製のレジ袋を伸ばしてひも状にしたものを実母である被害者の頚部に巻き付けて絞め殺したという事案である。 被告人は,まず家から持って行ったペティナイフで刺し殺そうとしたが,被害者に抵抗されたことなどから,ナイフを使うことを諦め,スーパーで買物をした際にもらったレジ袋を使って絞め殺すこととし,これを裂いてひも状に伸ばし,被害者の首に二重に巻き付け,被害者が苦しそうにせき込んだり,首に掛かったレジ袋を引っかいてつかもうとしているのに構わず,繰り返し締め付けて窒息死させている。 - 2 -その殺害の態様は,何としても殺害の目的を遂げようとした執ようで悪質なものである。 被害者は,79歳と高齢ではあったが,重篤な病もなく,余生を安らかに過ごしていたのに,突如,寝食を共にしていた実の娘の手でその余命を断たれるという悲惨な最期を迎えている。その経過をみても,被害者に落ち度はもとより,悔やまれるべき事情は何もなく,長時間に及ぶ苦し に過ごしていたのに,突如,寝食を共にしていた実の娘の手でその余命を断たれるという悲惨な最期を迎えている。その経過をみても,被害者に落ち度はもとより,悔やまれるべき事情は何もなく,長時間に及ぶ苦しみの中でこの世を去ったその肉体的,精神的苦痛や無念さは計り知れないものがある。 被告人は,数年前から被害者と内縁の夫との3人暮らしを送っていたところ,被害者が一時期入院したことなどから,精神的に不安定となり,内夫が財産を持って家を出て行くのではないかなどと不安を抱くようになり,重症のうつ病に罹患し,自殺を考えるようになった。そして,自分が死んだら被害者の面倒を見る人がいなくなるので,被害者をその道連れにすることを思い付き,生来の強迫性格から本件犯行の実現に至っている。当時の状況には,被害者を巻き込んで自殺を図らなければならないような事情は見いだせず,被告人が精神障害の状態であった点を考慮したとしても,なお非難は免れ得ない。 以上の事情からすると,被告人の刑事責任は重い。 そうすると,被告人が,重症うつ病に罹患して自殺を決意したことが,犯行の引き金となっており,その強迫性格から犯行を中止できなかったものと推察され,本件は心神耗弱下の行為として評価されるべきであること,現在では,病状も落ち着き,反省の弁を述べるとともに,母親の殺害に対する後悔の念を深めていること,娘や内夫が被告人の社会復帰を支援すると述べ,被告人自身もこれを受け入れており,そうした家族の支援の下で,今回の犯行の原因となったうつ病の治療を続けることが期待できること,これまでに体刑前科はないことといった事情を最大限に考慮しても,その罪を償わせるには,被告人に実刑を科す必要がある。なお,上記犯情を考慮し,その刑期は法律上の減軽を施した刑期の最下限とする。 (求刑・懲役5年)- 3 -平 といった事情を最大限に考慮しても,その罪を償わせるには,被告人に実刑を科す必要がある。なお,上記犯情を考慮し,その刑期は法律上の減軽を施した刑期の最下限とする。 (求刑・懲役5年)- 3 -平成21年2月23日松山地方裁判所刑事部村越一浩裁判長裁判官西前征志裁判官杉本敏彦裁判官

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