- 1 -平成24年4月16日判決言渡平成21年(ワ)第10678号地位確認等請求事件 主文 1 被告は,原告P1に対し,63万4078円及びうち13万8706円に対する平成21年2月24日から,うち13万8706円に対する同年3月24日から,うち13万3422円に対する同年4月24日から,うち22万3244円に対する同年5月24日から各支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告P2に対し,58万1341円及びうち12万7128円に対する平成21年2月24日から,うち12万7128円に対する同年3月24日から,うち12万2273円に対する同年4月24日から,うち20万4812円に対する同年5月24日から各支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告P3に対し,58万3088円及びうち12万7484円に対する平成21年2月24日から,うち12万7484円に対する同年3月24日から,うち12万2607円に対する同年4月24日から,うち20万5513円に対する同年5月24日から各支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 4 被告は,原告P4に対し,61万3218円及びうち13万0546円に対する平成21年2月24日から,うち13万0546円に対する同年3月24日から,うち12万5489円に対する同年4月24日から,うち22万6637円に対する同年5月24日から各支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 5 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 - 2 - 6 訴訟費用は,原告P1,原告P2,原告P3及び原告P4に生じた各費用のそれぞれの10分の1と被告に生じた費用の25分の1をいずれも被告の負担とし,原告P1,原告P2,原告P3及び原告P4に生じたその余の各 用は,原告P1,原告P2,原告P3及び原告P4に生じた各費用のそれぞれの10分の1と被告に生じた費用の25分の1をいずれも被告の負担とし,原告P1,原告P2,原告P3及び原告P4に生じたその余の各費用と被告に生じた費用の5分の2を原告P1,原告P2,原告P3及び原告P4の各負担とし,原告P5,原告P6及び原告P7に生じた各費用と被告に生じた費用の10分の3を原告P5,原告P6及び原告P7の各負担とし,原告P8,原告P9,原告P10,原告P11及び原告P12に生じた各費用と被告に生じた費用の50分の13を原告P8,原告P9,原告P10,原告P11及び原告P12の各負担とする。 7 この判決は,第1項から第4項までに限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 原告P1,原告P2,原告P3及び原告P4(以下,上記4名の原告をまとめて「第1グループ原告ら」と称することがある。)について(1) 原告P1ア原告P1が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 イ主文第1項と同旨ウ被告は,原告P1に対し,平成21年6月以降本判決確定の日まで,毎月23日限り,24万9662円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 エ被告は,原告P1に対し,平成21年11月以降本判決確定の日まで,毎年11月,5月の各月23日限り,42万円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 オ被告は,原告P1に対し,300万円及びこれに対する平成21年6月10日から支払ずみまで年5分の割合による金員を支払え。 - 3 -(2) 原告P2ア原告P2が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認 びこれに対する平成21年6月10日から支払ずみまで年5分の割合による金員を支払え。 - 3 -(2) 原告P2ア原告P2が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 イ主文第2項と同旨ウ被告は,原告P2に対し,平成21年6月以降本判決確定の日まで,毎月23日限り,22万9088円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 エ被告は,原告P2に対し,平成21年11月以降本判決確定の日まで,毎年11月,5月の各月23日限り,42万円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 オ被告は,原告P2に対し,300万円及びこれに対する平成21年6月10日から支払ずみまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 原告P3ア原告P3が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 イ主文第3項と同旨ウ被告は,原告P3に対し,平成21年6月以降本判決確定の日まで,毎月23日限り,22万9897円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 エ被告は,原告P3に対し,平成21年11月以降本判決確定の日まで,毎年11月,5月の各月23日限り,42万円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 オ被告は,原告P3に対し,300万円及びこれに対する平成21年6月10日から支払ずみまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 原告P4ア原告P4が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあること - 4 -を確認する。 イ主文第4項と同旨ウ被告は,原告P4に対し,平成21年6月以降本判決確定の日まで, ア原告P4が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあること - 4 -を確認する。 イ主文第4項と同旨ウ被告は,原告P4に対し,平成21年6月以降本判決確定の日まで,毎月23日限り,23万6752円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 エ被告は,原告P4に対し,平成21年11月以降本判決確定の日まで,毎年11月,5月の各月23日限り,42万円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 オ被告は,原告P4に対し,300万円及びこれに対する平成21年6月10日から支払ずみまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告P5について(1) 原告P5が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 (2) 被告は,原告P5に対し,平成21年2月以降本判決確定の日まで,毎月23日限り,28万8861円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 (3) 被告は,原告P5に対し,平成21年7月以降本判決確定の日まで,毎年7月,1月の各月23日限り,42万円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 (4) 被告は,原告P5に対し,300万円及びこれに対する平成21年6月10日から支払ずみまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告P6について(1) 原告P6が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 (2) 被告は,原告P6に対し,平成21年5月以降本判決確定の日まで,毎月23日限り,25万1361円及びこれらに対する各支払期日の翌日か - 5 -ら支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 ( は,原告P6に対し,平成21年5月以降本判決確定の日まで,毎月23日限り,25万1361円及びこれらに対する各支払期日の翌日か - 5 -ら支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 (3) 被告は,原告P6に対し,平成21年10月以降本判決確定の日まで,毎年10月,4月の各月23日限り,42万円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 (4) 被告は,原告P6に対し,300万円及びこれに対する平成21年6月10日から支払ずみまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告P7について(1) 原告P7が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 (2) 被告は,原告P7に対し,平成21年3月以降本判決確定の日まで,毎月23日限り,28万7697円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 (3) 被告は,原告P7に対し,平成21年8月以降本判決確定の日まで,毎年8月,2月の各月23日限り,42万円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払ずみまで年6分の割合による金員を支払え。 (4) 被告は,原告P7に対し,300万円及びこれに対する平成21年6月10日から支払ずみまで年5分の割合による金員を支払え。 5 原告P8,原告P9,原告P10,原告P11及び原告P12(以下,上記5名の原告をまとめて「第5グループ原告ら」と称することがある。)について被告は,原告P8,原告P9,原告P10,原告P11及び原告P12に対し,それぞれ300万円ずつ及びこれらに対する平成21年6月10日から支払ずみまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,自動車製造業等を営む株式会社である被告の期間労働者又は就業先 れ300万円ずつ及びこれらに対する平成21年6月10日から支払ずみまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,自動車製造業等を営む株式会社である被告の期間労働者又は就業先を被告とする派遣労働者であった原告らが,被告に対し,それぞれ大要以下の請求 - 6 -をした事案である。 (1) 第1グループ原告らについて第1グループ原告らは,いずれも被告の工場で作業に従事する請負先労働者又は被告を就業先とする派遣労働者として勤務した後,被告に雇用された期間労働者であり,①主位的に,平成21年4月の雇止めが無効であり期間の定めのある労働契約が継続しているとして,予備的に,被告との間で期間の定めのない労働契約が成立しているとして,労働者たる地位の確認を求めるとともに,②被告が,第1グループ原告らに対し,同年1月以降それぞれの契約期間満了日までの間休業としたことについて,民法536条2項による賃金(被告から支給された休業手当相当額を控除したもの。遅延損害金),③上記①で確認された労働者たる地位に基づき支払期限が同年6月以降に到来する分の賃金及び就業規則上の満期慰労金(遅延損害金)並びに④違法な雇止め等による不法行為に基づく慰謝料(遅延損害金)の支払を求めた。 (2) 原告P5について原告P5は,被告を就業先とする派遣労働者として勤務した後,被告に一旦期間労働者として雇用され,その後再び被告を就業先とする派遣労働者として勤務していた者であり,①主位的に,平成20年4月の雇止めが無効であり期間の定めのある労働契約が継続しているとして,予備的に,被告との間で期間の定めのない労働契約が成立しているとして,労働者たる地位の確認を求めるとともに,②上記①で確認された労働者たる地位に基づき支払期限が平成21年2月以降に到来 いるとして,予備的に,被告との間で期間の定めのない労働契約が成立しているとして,労働者たる地位の確認を求めるとともに,②上記①で確認された労働者たる地位に基づき支払期限が平成21年2月以降に到来する分の賃金及び就業規則上の満期慰労金(遅延損害金)並びに③違法な雇止め等による不法行為に基づく慰謝料(遅延損害金)の支払を求めた。 (3) 原告P6について原告P6は,被告を就業先とする派遣労働者として勤務した後,被告に一旦期間労働者として雇用され,その後再び被告を就業先とする派遣労働者として - 7 -勤務していた者であり,①主位的に,被告との間の合意解約が不存在又は無効であり期間の定めのある労働契約が継続しているとして,予備的に,被告との間で期間の定めのない労働契約が成立しているとして,当該内容の労働者たる地位の確認を求めるとともに,②前記①で確認された労働者たる地位に基づき支払期限が平成21年2月以降に到来する分の賃金(遅延損害金)及び③違法な解雇等による不法行為に基づく慰謝料(遅延損害金)の支払を求めた。 (4) 原告P7について原告P7は,被告の工場で作業に従事する請負先労働者及び被告を就業先とする派遣労働者として勤務した後,被告に一旦期間労働者として雇用され,その後再び被告を就業先とする派遣労働者として勤務していた者であり,①主位的に,被告との間の合意解約が不存在又は無効であり期間の定めのある労働契約が継続しているとして,予備的に,被告との間で期間の定めのない労働契約が成立しているとして,当該内容の労働者たる地位の確認を求めるとともに,②上記①で確認された労働者たる地位に基づく支払期限が平成21年3月以降に到来する分の賃金(遅延損害金)及び③違法な解雇等による不法行為に基づく慰謝料(遅延損害金)の支払を求めた。 めるとともに,②上記①で確認された労働者たる地位に基づく支払期限が平成21年3月以降に到来する分の賃金(遅延損害金)及び③違法な解雇等による不法行為に基づく慰謝料(遅延損害金)の支払を求めた。 (5) 第5グループ原告らについて第5グループ原告らは,いずれも被告を就業先とする派遣労働者として勤務していた者であり,被告が労働者派遣契約の違法な中途解除又は合意解約を行った(平成20年12月)ことにより職を失ったこと等による不法行為に基づく慰謝料(遅延損害金)の支払を求めた。 2 前提事実(争いのない事実。後掲証拠及び弁論の全趣旨による認定事実)(1) 被告等(乙2,6,7)ア被告のグループ企業(P13グループ)は,平成21年3月現在,被告と子会社88社,関連会社58社で構成され,資本金は406億4400万円,平成21年3月期(平成20年4月~平成21年3月)の売上高は,連結ベ - 8 -ースで1兆4247億0800万円,被告単独では8574億3900万円であり,平成21年3月末日現在の従業員数は,連結ベースで2万4257人,被告単独では8127人であり,主として自動車及び部品並びに産業用エンジンの製造,販売を事業内容とし,連結ベースで日本のみならず世界中に開発,生産,販売拠点を展開し,百数十の国や地域に商品販売を行うとともに,これらに関連する物流等の各種サービスを展開している。 イ平成20年12月時点の被告生産部門(生産直接部門及び生産間接部門)の組織及び業務内容(ア) 車両部門(α工場)車両部門(α工場)には,車両工務部,グローバル生産推進部,車両製造部,車体製造部,車両品質管理部がある。 車両工務部は,車両生産に関するM/C(モデルチェンジ),商品開発,生産準備の進捗管理,材料表・生産マスターの設定管理 工務部,グローバル生産推進部,車両製造部,車体製造部,車両品質管理部がある。 車両工務部は,車両生産に関するM/C(モデルチェンジ),商品開発,生産準備の進捗管理,材料表・生産マスターの設定管理及び製品改良の実施活動を推進するとともに,海外を含む車両生産全体の運営コスト及び量・納期を調整・統括する。グローバル生産推進部は,海外プロジェクトの計画立案,推進を行う。車両製造部は,小型トラック,大型トラックの艤装/総組立/完成検査作業及び設備,製造技術に関する業務を行う(平成21年2月9日付けで廃止)。車体製造部は,大・中・小型トラックのプレス成形及び車体組立,塗装,樹脂成形,検査作業までの生産活動とその管理及び生産設備管理を担当する。車両品質管理部は,車両の部品及び出荷製品(車両)の品質保証のために,品質管理体制作り,社内組立工場と協力企業への品質管理に関する具体的な方向付け,指示機能を有する。 (イ) PT部門(α工場及びβ工場)PT部門(α工場及びβ工場)には,PT(パワートレインの意で,エンジンで生まれた回転エネルギーを効率よくタイヤに伝える装置。以下同じ。)工務部,PT製造第一部,PT製造第二部,PT製造第三部,PT製 - 9 -造第四部,PT品質管理部がある。 PT工務部(α工場)は,PT系各製造部の運営コスト及び生産量・納期を管理・統括する。PT製造第一部(β工場)は,大型エンジン・アクスル(車軸)の部品加工,アクスルの組立作業,中間熱処理,粗型材の取入れ及び素材型打ちに関する業務,研試製品の加工と設備部品の加工を分掌する。PT製造第二部(β工場)は,小型エンジンの部品加工,大型・小型エンジン組立作業を分掌する(平成21年2月9日付けでPT製造第一部に統合された。)。PT製造第三部(α工場)は,小型系エンジン・ する。PT製造第二部(β工場)は,小型エンジンの部品加工,大型・小型エンジン組立作業を分掌する(平成21年2月9日付けでPT製造第一部に統合された。)。PT製造第三部(α工場)は,小型系エンジン・アクスルの部品加工,熱処理,組立作業及び設備,製造技術に関する業務を行う。PT製造第四部(α工場)は,トランスミッションのアルミ粗材鋳造,部品加工,熱処理,組立,エンジンのアルミ粗材鋳造,部品加工,熱処理作業及びそれら生産に関する設備,製造技術に関する業務を行う。PT品質管理部(α工場及びβ工場)は,部品及び出荷製品の品質保証のために,品質管理体制作り,社内組立工場と協力企業への品質管理に関する具体的な方向付け,指示機能を有する。 (ウ) 生産技術部門(α工場)生産技術部門(α工場)には,グローバル生産技術企画部,車両技術部,PT技術部,要素技術部がある。 グローバル生産技術企画部は,生産部門の中長期基本方針立案,新工場展開,商品開発プロジェクトの基本構想立案,統括・推進,P13・マニュファクチュアリング・マネージメントの企画立案と推進を行う(平成21年2月9日付けで生産企画部に名称変更)。車両技術部は,車両生産に関する生産技術関連業務及び生産設備の設計制作関連業務を担当する。PT技術部は,エンジン,トランスミッション,アクスルに対する加工・組立・熱処理の生産技術関連業務及び生産設備の設計製作関連業務を担当する。要素技術部は,生産全般に亘るプレス・樹脂・鍛造・粗材熱処理及び - 10 -アルミ鋳造技術関連業務,金型の設計製作及びダイカスト型の保全関連業務,先行生産技術関連業務を担当する。 (エ) 生産直接部門の要員数等被告の生産直接部門の要員数は,平成20年12月時点で,α工場及びβ工場合わせて,①正社員等(正社員及び再雇 ト型の保全関連業務,先行生産技術関連業務を担当する。 (エ) 生産直接部門の要員数等被告の生産直接部門の要員数は,平成20年12月時点で,α工場及びβ工場合わせて,①正社員等(正社員及び再雇用従業員。以下同じ。)3496人(α工場2388人,β工場1108人),②正社員等以外(臨時従業員及び派遣社員)1365人(α工場941人,β工場424人)であった。また,このうち②正社員等以外の内訳は,臨時従業員553人(α工場398人,β工場155人),派遣労働者812人(α工場543人,β工場269人)であった。 被告の生産直接部門の職制(役付職員)は,ライン長及びチームリーダーであり,同月時点の同職制数は,α工場がライン長59人及びチームリーダー157人の合計216人,β工場がライン長21人及びチームリーダー67人の合計88人であった。 (2) 第1グループ原告らについて第1グループ原告らは,下記のとおり被告との間で労働契約を締結し又は請負労働者若しくは派遣労働者として被告で勤務していた者である。 ア原告P1平成17年9月30日以前は,被告と業務請負契約を締結してきた請負会社株式会社P14(以下「P14」という。)の請負労働者としてβ工場で勤務していた。(甲A2,原告P1)同年10月1日~平成18年9月30日は,被告と労働者派遣契約を締結していたP14から派遣労働者として被告に派遣され,β工場で勤務していた。 同年10月1日~平成21年4月7日は,被告に臨時従業員(期間工。以下同じ。)として雇用され,β工場で勤務した。各契約期間は,以下のとお - 11 -り最短2か月間~最長6か月間で7回更新され,契約満了時に下記の満期慰労金が支払われた。 ① 平成18年10月1日~平成19年1月7日(満期慰労金17万 各契約期間は,以下のとお - 11 -り最短2か月間~最長6か月間で7回更新され,契約満了時に下記の満期慰労金が支払われた。 ① 平成18年10月1日~平成19年1月7日(満期慰労金17万円)② 平成19年1月8日~同年3月7日(満期慰労金6万円)③ 平成19年3月8日~同年5月7日(満期慰労金6万円)④ 平成19年5月8日~同年10月7日(満期慰労金35万円)⑤ 平成19年10月8日~平成20年1月7日(満期慰労金17万円)⑥ 平成20年1月8日~同年4月7日(3か月,満期慰労金17万円)⑦ 平成20年4月8日~同年10月7日(6か月,満期慰労金42万円)⑧ 平成20年10月8日~平成21年4月7日(満期慰労金42万円)イ原告P2平成17年9月30日以前は,被告と業務請負契約を締結してきた請負会社P14の請負労働者としてβ工場で勤務していた。(甲B2)同年10月1日~平成18年9月30日は,被告と労働者派遣契約を締結していたP14から派遣労働者として被告に派遣され,β工場で勤務していた。(乙B2の1~4)同年10月1日~平成21年4月7日は,被告に臨時従業員として雇用され,β工場で勤務した。各契約期間は,最短2か月間~最長6か月間で7回更新され,契約満了時に満期慰労金が支払われた(具体的な契約期間及び満期慰労金の額は,上記原告P1と同じ。)。 ウ原告P3平成17年9月30日以前は,被告と業務請負契約を締結してきた請負会社P15株式会社(以下「P15」という。)の請負労働者としてγ工場及びβ工場で勤務していた。(甲C2)同年10月1日~平成18年9月30日は,被告と労働者派遣契約を締結していたP15から派遣労働者として被告に派遣され,β工場で勤務してい - 12 -た。 β工場で勤務していた。(甲C2)同年10月1日~平成18年9月30日は,被告と労働者派遣契約を締結していたP15から派遣労働者として被告に派遣され,β工場で勤務してい - 12 -た。(乙C2の1~4)同年10月1日~平成21年4月7日は,被告に臨時従業員として雇用され,β工場で勤務した各契約期間は,最短2か月間~最長6か月間で7回更新され,契約満了時に満期慰労金が支払われた(具体的な契約期間及び満期慰労金の額は,上記原告P1と同じ。)。 エ原告P4平成18年6月14日~同年9月30日は,被告と労働者派遣契約を締結していたP15から派遣労働者として被告に派遣され,β工場で勤務した。 (乙D2)同年10月2日~平成21年4月2日は,被告に臨時従業員として雇用され,α工場で勤務していた。各契約期間は,以下のとおり最短2か月間~最長6か月間で7回更新され,契約満了時に下記の満期慰労金が支払われた。 ① 平成18年10月2日~平成19年1月2日(満期慰労金17万円)② 平成19年1月3日~同年3月2日(満期慰労金6万円)③ 平成19年3月3日~同年5月2日(満期慰労金6万円)④ 平成19年5月3日~同年10月2日(満期慰労金35万円)⑤ 平成19年10月3日~平成20年1月2日(満期慰労金17万円)⑥ 平成20年1月3日~同年4月2日(満期慰労金17万円)⑦ 平成20年4月3日~同年10月2日(満期慰労金42万円)⑧ 平成20年10月3日~平成21年4月2日(満期慰労金42万円)(3) 原告P5は,平成17年4月30日までは,被告と労働者派遣契約を締結していた株式会社P16(以下「P16」という。)から派遣労働者として被告に派遣され,β工場で勤務した。なお,平成17年4月30日までの間の原告P 17年4月30日までは,被告と労働者派遣契約を締結していた株式会社P16(以下「P16」という。)から派遣労働者として被告に派遣され,β工場で勤務した。なお,平成17年4月30日までの間の原告P5の就業形態については,後記のとおり請負労働者か派遣労働者かについて当事者間に争いがあるが,乙E1の1~3,乙E2の1~3により,上記のとおり派遣労働者であったものと認めるのが相当である。 - 13 -同年5月6日~平成20年4月5日は,被告に臨時従業員として雇用され,β工場で勤務した。各契約期間は最短3か月間~最長6か月間で6回更新され,契約満了時に下記の満期慰労金が支払われた(最後の契約の終了原因については当事者間に争いがある。)。(乙E3の1~7)① 平成17年5月6日~同年11月5日(満期慰労金42万円)② 平成17年11月6日~平成18年5月5日(満期慰労金42万円)③ 平成18年5月6日~同年11月5日(満期慰労金42万円)④ 平成18年11月6日~平成19年5月5日(満期慰労金42万円)⑤ 平成19年5月6日~同年10月5日(満期慰労金35万円)⑥ 平成19年10月6日~平成20年1月5日(満期慰労金17万円)⑦ 平成20年1月6日~同年4月5日(満期慰労金17万円)同年4月6日~同年12月26日は,被告と労働者派遣契約を締結していたP17株式会社(以下「P17」という。)から派遣労働者として被告に派遣され,β工場で勤務した。(乙E8の1,2)(4) 原告P6は,平成17年12月21日~平成18年9月30日は,被告と労働者派遣契約を締結していたP14から派遣労働者として被告に派遣され,β工場で勤務していた。 同年10月1日~平成19年10月7日は,被告に臨時従業員として雇用され,β工場で勤務し は,被告と労働者派遣契約を締結していたP14から派遣労働者として被告に派遣され,β工場で勤務していた。 同年10月1日~平成19年10月7日は,被告に臨時従業員として雇用され,β工場で勤務していた。各契約期間は最短2か月間~最長5か月間で3回更新され,契約満了時に下記の満期慰労金が支払われた。(乙F3の1~4)① 平成18年10月1日~平成19年1月7日(満期慰労金17万円)② 平成19年1月8日~同年3月7日(満期慰労金6万円)③ 平成19年3月8日~同年5月7日(満期慰労金6万円)④ 平成19年5月8日~同年10月7日(満期慰労金35万円)同月8日~平成20年12月26日は,被告と労働者派遣契約を締結していたP14から派遣労働者として被告に派遣され,β工場で勤務していた。P1 - 14 -4は,平成19年11月1日付けで株式会社P18(以下「P18」という。)に吸収合併され,同日,P14・原告P6間の労働契約上の地位は同社に包括承継された。(乙F6の1~4)(5) 原告P7は,平成17年9月30日以前は,被告と業務請負契約を締結していたP19株式会社(以下「P19」という。)の請負労働者としてγ工場及びα工場で勤務していた。(甲G2)同年10月1日~平成18年9月30日は,被告と労働者派遣契約を締結していたP19から派遣労働者として被告に派遣され,α工場で勤務していた。 (乙G2)同年10月2日~平成19年1月2日は,被告に臨時従業員として雇用され,α工場で勤務していた(契約期間約3か月間で,更新なし,契約満了時に満期慰労金として17万円が支払われた。)。(乙G3)同月3日~平成20年12月26日は,被告と労働者派遣契約を締結していたP19から派遣労働者として被告に派遣され,α工場で勤務し 契約満了時に満期慰労金として17万円が支払われた。)。(乙G3)同月3日~平成20年12月26日は,被告と労働者派遣契約を締結していたP19から派遣労働者として被告に派遣され,α工場で勤務していた。(乙G6の1~7)(6) 第5グループ原告ら第5グループ原告らは,下記のとおり被告と労働者派遣契約を締結していた派遣会社から派遣労働者として被告に派遣され,被告で勤務した者である。 ア原告P8平成20年3月28日~同年12月26日の間,被告と労働者派遣契約を締結していたP20株式会社(以下「P20」という。)から派遣労働者として派遣され,被告で勤務した。 イ原告P9平成20年8月22日~同年12月26日の間,被告と労働者派遣契約を締結していたP15から派遣労働者として派遣され,被告で勤務した。 ウ原告P10 - 15 -平成20年5月12日~同年12月26日の間,被告と労働者派遣契約を締結していた株式会社P21(以下「P21」という。)から派遣労働者として派遣され,被告で勤務した。 エ原告P11平成20年5月28日~同年12月26日の間,被告と労働者派遣契約を締結していたP21から派遣労働者として派遣され,被告で勤務した。 オ原告P12平成19年2月20日~同年12月26日の間,被告と労働者派遣契約を締結していた株式会社P22(以下「P22」という。)から派遣労働者として派遣され,被告で勤務した。 (7) 労働者派遣契約の中途解約及び臨時従業員の雇止めに至る経緯の概要ア平成20年11月当時,β工場には269名(同月17日時点)の,α工場には543名(同月1日時点)の派遣労働者が勤務していたが,そのころ,被告は,派遣労働者に係る各派遣会社との間の労働者派遣契約を中途解約した(以下「本 β工場には269名(同月17日時点)の,α工場には543名(同月1日時点)の派遣労働者が勤務していたが,そのころ,被告は,派遣労働者に係る各派遣会社との間の労働者派遣契約を中途解約した(以下「本件労働者派遣契約中途解約」という。)。本件労働者派遣契約中途解約により,原告P5,原告P6,原告P7及び第5グループ原告らは,被告への派遣が同年12月26日で打ち切られ,そのころ,各派遣会社から解雇された。 イ平成20年11月17日,被告は,β工場の155名(原告P1,原告P2及び原告P3を含む。)及びα工場の398名(原告P4を含む。)の合計553名の臨時従業員全員に対し,解雇日を平成20年12月26日とする解雇予告を通知した(以下「11.17解雇予告通知」という。)。 同解雇予告通知は,その根拠を「臨時従業員規則第8条第1項第5項(会社業務の都合により雇用の必要がなくなったとき)」とし,その理由を「急激な需要の冷え込みによる大幅な生産計画の見直しのため」としている。 ウ平成20年12月24日,被告は,上記イの合計553名の臨時従業員全 - 16 -員に対し,同年11月17日付け解雇予告を撤回する旨を通知する一方で,非組合員である臨時従業員及び原告らが所属するP23労働組合(以下「P23」という。)に対し,労働契約の合意解約を申し入れる(ただし,特別退職金として,①同年12月27日から当初の契約期間満了日までの間の労働日につき平均賃金の85%相当額及び②当初の契約期間満了まで勤続した場合発生する満期慰労金と被告が同月26日に支払う予定の満期慰労金の差額相当額の合計額を支払う。承諾の期間は原則として同月26日)とともに,これに応じない場合,同月27日から契約期間満了までの労働日につき休業とし,休業手当(平均賃金の6割)を翌月23 満期慰労金の差額相当額の合計額を支払う。承諾の期間は原則として同月26日)とともに,これに応じない場合,同月27日から契約期間満了までの労働日につき休業とし,休業手当(平均賃金の6割)を翌月23日に支払う旨を通知した(以下「12.24合意解約申入れ」という。)。 12.24合意解約申入れの結果,同月末日までに合計504名(β工場148名,α工場356名)が合意解約に応じ,残った臨時従業員は,合計49名(β工場7名,α工場42名)となった。その後,平成21年1月中に,合計34名(β工場1名,α工場33名)が合意解約に応じたことで同月末日に残った臨時従業員は,合計15名(β工場6名,α工場9名)となり,同年2月中に,α工場の2名が合意解約に応じた結果,同月末日で残った臨時従業員は,合計13名(β工場6名,α工場7名)となり,同年3月中に,α工場の1名が合意解約に応じた結果,同月末日時点で残った臨時従業員は,合計12名(β工場6名,α工場6名)となった。以上により,12.24合意解約申入れの結果,同年3月末日時点で,臨時従業員553名のうち541名(うちα工場392名,β工場149名)が合意退職した。 (乙91,284)エ被告は,12.24合意解約申入れに応じなかった臨時従業員(第1グループ原告らを含む。)について,平成20年12月27日から各人の労働契約の契約期間満了日(原告P1,原告P2及び原告P3は平成21年4月7日,原告P4は同月2日)までの所定労働日につき休業する扱いとし(以下, - 17 -この取扱いに係る業務命令を「本件休業命令」といい,本件休業命令に基づく休業を「本件休業」という。),その間,労働基準法26条,臨時従業員就業規則43条及び同規則に従う旨の労働契約書8条に基づき,平均賃金の6割の休業手当を支給 件休業命令」といい,本件休業命令に基づく休業を「本件休業」という。),その間,労働基準法26条,臨時従業員就業規則43条及び同規則に従う旨の労働契約書8条に基づき,平均賃金の6割の休業手当を支給した。(乙4,乙A3の1~8,乙B3の1~8,乙C3の1~8,乙D3の1~8)オ平成21年2月27日,被告は,合意解約に応じていない臨時従業員(第1グループ原告らを含む。)に対し,次回の契約期間満了時(原告P1,原告P2及び原告P3に対しては同年4月7日付け,原告P4に対しては同月2日付け)に対して労働契約の更新を拒絶すること(雇止め)を通告した(以下「本件雇止め」という。)。 カ平成21年3月26日,被告は,合意解約に応じていない臨時従業員(第1グループ原告らを含む。)に対し,再度合意解約を申し入れる(特別退職金として,平成20年12月27日から契約期間満了日までの間の労働日につき,平均賃金の2割相当額を支払う。)とともに,これに応じない場合には,本件雇止めに基づき,契約期間満了日に労働契約を終了する旨通知した(以下「3.26合意解約申入れ」という。)。 3.26合意解約申入れの結果,契約期間満了までに合意退職した臨時従業員は合計5名(α工場4名,β工場1名)で,本件雇止めにより労働契約終了となった者は,7名(α工場2名(原告P4を含む。),β工場5名(原告P1,原告P2及び原告P3を含む。)となった。(乙93)(8) その他前提となる事実ア被告の臨時従業員就業規則上の臨時従業員に関する規定被告の臨時従業員就業規則には,以下の規定がある。(乙4)・第2条(臨時従業員の定義)この規則で,臨時従業員とは,一般の作業に臨時に従事させるため,一定の期間を定めて雇用した者をいう。 - 18 -・第7条(労働契約の期 定がある。(乙4)・第2条(臨時従業員の定義)この規則で,臨時従業員とは,一般の作業に臨時に従事させるため,一定の期間を定めて雇用した者をいう。 - 18 -・第7条(労働契約の期間及び更新) 1 会社が臨時従業員と締結する労働契約の期間は,6か月以内とする。 2 前項の契約期間満了にあたり会社が必要と認める場合には,労働契約を更新することがある。 3 更新する契約の期間は,当初の契約期間と通算して3年間を超えることはない。 ・第43条(休業手当)臨時従業員が,会社の責に帰すべき事由により休業した場合には,会社は,休業期間中その平均賃金の6割を休業手当として支給する。 イ臨時従業員に対する社員登用制度被告は,平成20年3月21日,同年4月1日から臨時従業員につき社員登用制度を実施することを発表し,その後,3回にわたり合計65名の臨時従業員を正社員として登用した。同制度では,臨時従業員として1年以上勤務した者のうち,職場上長の推薦を受けた者が登用試験を受け,合格者が正社員に登用されることとなっていた。 3 争点(1) 第1グループ原告らの地位確認に係る主位的請求等についてア本件雇止めについての解雇に関する法理の類推適用の有無イ (解雇に関する法理が類推適用される場合)本件雇止めの有効性ウ (労働契約が存続する場合)第1グループ原告らの賃金請求権の内容(2) 原告P5の地位確認に係る主位的請求についてア平成20年4月5日の労働契約の終了原因イ終了原因が雇止めである場合,解雇に関する法理の類推適用の有無ウ (解雇に関する法理が類推適用される場合)上記雇止めの有効性エ (労働契約が存続する場合)原告P5の賃金請求権の内容(3) 原告P6の地位確認に係る主位的請求について - 適用の有無ウ (解雇に関する法理が類推適用される場合)上記雇止めの有効性エ (労働契約が存続する場合)原告P5の賃金請求権の内容(3) 原告P6の地位確認に係る主位的請求について - 19 -ア平成19年10月7日の労働契約の合意解約の効力及び合意解約が無効であった場合の期間の定めのある労働契約の継続の有無イ (労働契約が継続している場合)原告P6に対する解雇の有効性ウ (解雇が無効である場合)原告P6の賃金請求権の内容(4) 原告P7の地位確認に係る主位的請求についてア平成19年1月2日の労働契約の合意解約の効力及び合意解約が無効であった場合の期間の定めのある労働契約の継続の有無イ (労働契約が継続している場合)原告P7に対する解雇の有効性ウ (解雇が無効である場合)原告P7の賃金請求権の内容(5) 第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7の地位確認に係る予備的請求についてア被告・各請負会社間の業務請負契約並びに原告P1,原告P2,原告P3,原告P5及び原告P7と各請負会社間の労働契約が無効であることに基づく被告との間の期間の定めのない黙示の労働契約の成否イ被告と各派遣会社との間の労働者派遣契約並びに第1グループ原告ら,原告P6及び原告P7と各派遣会社との間の各派遣労働契約が無効であることに基づく被告との間の期間の定めのない黙示の労働契約の成否。労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)40条の4に基づく上記原告ら・被告間の期間の定めのない労働契約の成否ウ(期間の定めのない労働契約が成立する場合)第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7に対する解雇の有効性エ (解雇が無効である場合)第1グルー 告間の期間の定めのない労働契約の成否ウ(期間の定めのない労働契約が成立する場合)第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7に対する解雇の有効性エ (解雇が無効である場合)第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7の賃金請求権の内容(6) 第1グループ原告らの休業期間中の賃金請求権の有無及び額(7) 原告らの被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権 - 20 -ア第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7についてイ第5グループ原告らについて 4 争点に関する当事者の主張(1) 第1グループ原告らの地位確認に係る主位的請求等についてア本件雇止めについての解雇に関する法理の類推適用の有無(原告らの主張)第1グループ原告らと被告との間の各労働契約は,以下の各事情によれば,期間の定めのない状態と実質的に異ならない状態にあった,又は少なくとも更新に対する合理的な期待があり,本件雇止めについては,解雇に関する法理(労働契約法16条)が類推適用される。 (ア) 雇用の基幹性・常用性被告は,自動車製造会社であり,β工場及びα工場では,同じ生産ラインの中に,正社員,期間工,派遣工が混在して仕事をしており,基本的に,労働契約の態様によって労働時間や仕事内容が異なるものではなく,正社員と期間工(第1グループ原告らがこれに当たる。)を比較すると,基本的な違いは契約期間の定めの有無のみである。また,第1グループ原告らは,次のとおり被告の基幹的かつ常用性ある業務に従事してきた。 原告P1は,β工場で,PT製造第一部PT第一生産管理課に配属され,その仕事内容は,エンジン部品の搬送・格納であった。具体的には,工場内に運ばれてきたエンジン部品を,フォークリフトを使って仕分けし,組立ライン近 工場で,PT製造第一部PT第一生産管理課に配属され,その仕事内容は,エンジン部品の搬送・格納であった。具体的には,工場内に運ばれてきたエンジン部品を,フォークリフトを使って仕分けし,組立ライン近くの所定の位置に格納することと,その所定位置に部品がなくなったら補充をするという仕事であった。この仕事は,被告の正社員であるチームリーダーやライン長の指示によって行われ,同じ仕事に関わっている者は2,3名であり,原告P1と同じ仕事をする者には,臨時従業員,正社員及び派遣労働者が混在していた。 原告P2は,β工場で,PT製造第二部大型ENG(エンジン)組立課 - 21 -に配属され,大型エンジンの組立に従事していた。原告P2は,組立機械がしばしば故障することから,機械の構造,仕組み,操作方法を身に付け,機械トラブルが生じた場合でも,機械の保全係を呼ばないで自身で処理していた。大型エンジン組立工程では,課長,ライン長の他正社員,臨時従業員及び派遣労働者が混在して作業していた。 原告P3は,β工場で,PT製造第一部PT第一生産管理課に配属され,シリンダーブロック,ヘッド,ヘッドカバー,ボディ等で構成されるエンジン部品を集める作業に従事した。具体的には,自動でエンジン部品を運ぶP24という自走式搬送車までエンジン部品を運び,P24に部品を乗せて組立場所までエンジン部品を流すというものであった。原告P3の部署には,正社員,臨時従業員及び派遣労働者が混在して作業をしていたが,その作業内容は労働契約の態様にかかわらず同一であった。 原告P4は,α工場で,一貫して大型車輌の組立ラインのうち,キャブメンバー(トラック運転席の下方部分(キャブ)を支える部品)の組立工程(サブ加工工程)で働いてきた。原告P4の配属されたチームの総数は25名であり, 場で,一貫して大型車輌の組立ラインのうち,キャブメンバー(トラック運転席の下方部分(キャブ)を支える部品)の組立工程(サブ加工工程)で働いてきた。原告P4の配属されたチームの総数は25名であり,そのうち10名強のメンバーが同工程で働いていた。同工程で働いていたメンバーは,正社員,臨時従業員及び派遣労働者が常にほぼ同数であり,労働契約の態様にかかわらず,労働時間や仕事内容は同じであった。ただし,1名のみ全体を見る役目を負ったフォローマンという役職に就く者がおり,同役職は正社員が就くことが多かったが,原告P4も同役職に就いていたことがある。また,原告P4の担当業務は,同工程の最後のポジションであり,部品(チルドパイプ及びパワステホース)の取付け,エアクリーナーの取付けの他,製品全体のチェックや間違った製品が流れてきた場合の修正等も行っていた。さらに,原告P4は,他部署から移ってきた正社員等(P25,P26,P27,P28等)に対し,同工程の仕事を教えることもしばしばあった。 - 22 -(イ) 更新回数第1グループ原告らは,いずれも,臨時従業員になってからだけでも,7回契約更新を繰り返している。 (ウ) 雇用の通算期間原告P1及び原告P2は,いずれも臨時従業員として2年半以上,請負労働者及び派遣労働者として勤務した期間も通算すると約3年10か月間継続して勤務している。 原告P3は,臨時従業員として2年半以上,請負労働者及び派遣労働者として勤務した期間も通算すると約6年6か月間継続して勤務している。 原告P4は,臨時従業員として2年半以上,派遣労働者として勤務した期間も通算すると約2年10か月間継続して勤務している。 (エ) 契約期間管理の状況被告での臨時従業員の雇用期間の決め方は,被告の事情等で変わってお 員として2年半以上,派遣労働者として勤務した期間も通算すると約2年10か月間継続して勤務している。 (エ) 契約期間管理の状況被告での臨時従業員の雇用期間の決め方は,被告の事情等で変わっており,その長短の変動の理由は一切説明されることはなく,更新手続は淡々と形式的に行われており,個々の雇用期間の長短は特段の意味を持たない。 (オ) 雇用継続の期待を持たせる言動や制度被告では平成20年4月1日から社員登用制度が実施され,同制度では,臨時従業員として1年以上勤務した者のうち,職場上長の推薦を受けた者が登用を受けて正社員に登用されることとなっており,被告は,同制度に基づき,3回にわたり合計約65名の臨時従業員を正社員に登用している。 また,原告P4に対しては,上司であるα工場車輌製造部車輌組立第一課P29ライン長や同課P30課長から同制度に向けて頑張るようにと声を掛けられる等,正社員に登用されることを期待させる言動が繰り返しあり,原告P4も正社員登用に期待し,そのために懸命に働いていた。 (カ) 被告の臨時従業員についての主張に対する反論被告が主張する3年規定は,被告が有期契約の更新拒否をできなくなる - 23 -ことを回避し,合理的理由なく解雇権濫用法理の類推適用を潜脱するためのものであり,公序良俗に違反して(民法90条)無効である。 (キ) 被告の正社員と臨時従業員の差異についての主張に対する反論a 臨時従業員の採用について被告は,平成13年7月以降,正社員の非正社員(偽装請負に係る請負労働者,派遣労働者,臨時従業員)への置き換えを開始し,非正社員を正社員代替要員として基幹的・恒常的業務に従事させてきた。 b 担当業務について被告では,職制(部長,課長,ライン長,チームリーダー,キャプテン)以外の一 )への置き換えを開始し,非正社員を正社員代替要員として基幹的・恒常的業務に従事させてきた。 b 担当業務について被告では,職制(部長,課長,ライン長,チームリーダー,キャプテン)以外の一般正社員と臨時従業員との間で担当業務の差異はなく,新規高校卒業者で正社員(技能職)に採用された者でも,職制にならないまま一般社員で定年を迎える労働者の方が多い。 c 配置について被告での新規高校卒業者の配属先は,直接生産部門であるα工場,β工場がほとんどであり,両工場から設備の保全や品質管理,技術部等の生産間接部門,開発部門をはじめ営業部門,購買部門等へ異動することは極めて稀である。 被告は,平成18年に臨時従業員に公的資格を取得させたことがあり,原告P1のように,被告への入社前にフォークリフト技能講習修了者たる公的資格を取得していた者については,被告への入社後,同公的資格を前提とする業務に従事していた。さらに,被告は,正社員であるか否かを問わず,社内講習を受けさせてトラックや生産車両等の社内運転資格を取らせ,当該業務に従事させていた。 被告での新規高校卒業者の定期技能職社員も,配属された直接生産部門であるα工場及びβ工場の部署(部,課)から異動することはほとんどなく,そのほとんどが現場における生産作業に従事していた。 - 24 -d 育成について臨時従業員の育成について,入社時の安全教育及び職場配属時の作業習熟教育の他,被告での社内資格を取らせるための社内講習を受けさせていたし,β工場では2か月に1度正社員,臨時従業員及び派遣労働者を含め安全衛生について安全ミーティングを実施していた。 e 処遇について臨時従業員には,役割等級制度がなく,臨時従業員の給与は,本給が日給9000円と定額であることは認める。契 び派遣労働者を含め安全衛生について安全ミーティングを実施していた。 e 処遇について臨時従業員には,役割等級制度がなく,臨時従業員の給与は,本給が日給9000円と定額であることは認める。契約期間6か月の臨時従業員の退職時の給付金(満期慰労金)の支給時期が勤務期間6か月ごととなっていることは,認める。被告では,その他契約期間2か月,3か月,5か月等の臨時従業員を採用していた。 f 福利厚生について臨時従業員が独身寮の寮費を無料とされていることは認めるが,それは,臨時従業員の低賃金を補う趣旨である。自動車通勤について,臨時従業員の乗入れ車両が限定されていないことは認める。 (被告の主張)(ア) 被告での臨時従業員について被告での臨時従業員は,あらかじめ期間を定めた労働契約により被告に採用され,その業務は生産の繁忙期に生産作業のみに従事するという性質のものである。そして,期間については,労働契約が更新されても,当初契約期間と通算して3年を超えて契約されることはない(以下「3年規定」という。)と臨時従業員就業規則に規定されており,実際の運用としては,契約期間は最長2年11か月を限度にしている(以下,このような運用を「2年11か月運用」という。)。被告は,新たに被告との間に期間労働契約を締結する者(第1グループ原告らを含む。)に対し,α,βの両工場で説明会を開催し,3年規定を含む臨時従業員就業規則の内容及び2年11 - 25 -か月運用について説明した。被告は,臨時従業員全員に対し臨時従業員就業規則を交付していた。 臨時従業員については,契約更新の際も改めて契約書を作成する等,更新手続がきちんとされていた。 2年11か月運用の下,それ以上更新できなくなった場合には,臨時従業員は被告に退職願を提出し,合意退職によ 従業員については,契約更新の際も改めて契約書を作成する等,更新手続がきちんとされていた。 2年11か月運用の下,それ以上更新できなくなった場合には,臨時従業員は被告に退職願を提出し,合意退職により被告を退職しており,これまで計36名(原告P5を含む。)がこのような形で被告を退職していた。 従前,契約期間の通算が2年11か月に満たない場合でも,平成19年4月中に契約期間満了を迎える臨時従業員中,小型トラック組立関連職場に在籍する者について,小型トラック完成車(車名○)の生産量が大幅に減少し,更に生産量が減少することが予測される状況の中,契約期間満了日に49名の臨時従業員が合意退職により退職したこともあった。 このように,被告での臨時従業員は,業務の繁忙に合わせて「一般の作業に臨時に従事させるため,一定の期間を定めて雇用した者」であった。 (イ) 被告での正社員と臨時従業員の差異被告では,生産部門に従事する正社員は,期間の定めのない労働契約であり,ほとんどの場合高校卒業後新卒で入社し,その後60歳で定年退職(嘱託再雇用される場合もある。)するまでの長期にわたり被告で就労することが予定されており,以下の点で臨時従業員と異なる。 a 採用について被告の定期技能職(正社員)採用は,新規高校卒業者に限定しており,そのルールは労働局によって細かく取り決められ,高校を通じて行うこととなっており,被告の採用担当者が高校の就職担当者を訪問し,被告への就職を促している。毎年7月1日の学校訪問解禁に合わせ求人票を持参して高校の進路指導担当を尋ね,就職の依頼,生徒の進路に関する情報交換を行った後,選考試験解禁日以降各地区で順次選考試験を実施 - 26 -し,能力評価及び人物評価の両面から判断して選考基準に達した者に高校を通じ内定通知書を送 依頼,生徒の進路に関する情報交換を行った後,選考試験解禁日以降各地区で順次選考試験を実施 - 26 -し,能力評価及び人物評価の両面から判断して選考基準に達した者に高校を通じ内定通知書を送付する。内定後,内定者に対し社内報等による被告の情報を提供する等して,内定者のフォローを行っている。 一方,臨時従業員の採用については,定期採用の概念はなく,被告が必要と判断した時期に,新聞等に募集広告を掲載し,順次面接を行い,被告の現場作業に適しているかという基準から面接官が採用を即決して,その場で内定通知書を手交する。採用内定後入社までの間,被告からのフォローはなく,面接から入社まで早い場合は数日間,長い場合でも数週間程度しかない。 b 担当業務について生産直接部門の中で,臨時従業員は短期間で習熟可能な単純作業を中心に担当するが,正社員は,資格を要する業務,安全に特に配慮を要する業務,高度の専門知識を要する業務等をも担当し,習熟した業務の範囲も臨時従業員に比べて広範囲となっている。再雇用従業員も,正社員と同様の業務を担当している。 c 配置について正社員の配属先職場は,直接生産部門だけではなく,設備の保全や技術部等生産間接部門はもちろん,開発部門をはじめ営業部門,購買部門等広範囲にわたり在籍している。他方,臨時従業員は,生産部門のうち直接生産部門にのみ配属されている。 必要な公的資格について,正社員には,業務として資格取得を命ずることがあるが,臨時従業員には,基本的にこれを命ずることはない。 正社員は,必要に応じて配属部署と異なる部署への異動が行われるが,臨時従業員は,現場での生産作業と異なる部署への異動は行われていない。 d 育成について - 27 -正社員は,入社時,若手,中堅及び管理監督者という段 異なる部署への異動が行われるが,臨時従業員は,現場での生産作業と異なる部署への異動は行われていない。 d 育成について - 27 -正社員は,入社時,若手,中堅及び管理監督者という段階に応じた教育体系を設けているが,臨時従業員は,入社時の安全教育及び職場配属時の作業習熟教育の他は実施していない。 正社員は,P31学校で11か月間,車づくりの基礎を学ぶ制度がある。また,担当業務と直接は関係しない公的資格であっても,正社員を対象とした公的資格取得に対する援助制度がある。 e 処遇について正社員は仕事及び役割に基づいて等級区分を行い,当該等級ごとに階層別教育を実施している他,役割定義に照らして役割等級の上位への変更を実施している。他方,臨時従業員は,このような区分はない。 正社員の基準給与は,「基準給」,「行動給」,「業績給」からなる。臨時従業員の給与は,本給が日給9000円と定額である。 正社員の退職金制度は,基準内給与に基づいて付与される額の合計により退職金が決定する制度で,長期に会社に貢献した者を重視し,長期勤続者を優遇する観点から退職金カーブが設計されている。他方,臨時従業員については,契約期間満了の場合に,契約期間に応じて満期慰労金を支給しており,支給時期は勤務期間6か月ごととなっている。 さらに,正社員には,技能職から事務技術職への区分を変更するための試験を設けている。 f 福利厚生について正社員,臨時従業員ともに自宅からの通勤が困難な場合に独身寮への入寮を可としているが,正社員からは寮費を徴収しているが,臨時従業員は,期間を限定して生産作業に従事するため,寮費を無料にしている。 α工場では,通勤に自家用車を使用することを正社員にのみ許可し,β工場は,正社員,臨時従業員とも許可している ているが,臨時従業員は,期間を限定して生産作業に従事するため,寮費を無料にしている。 α工場では,通勤に自家用車を使用することを正社員にのみ許可し,β工場は,正社員,臨時従業員とも許可している。正社員の場合,構内への乗入れを許可する車輌を限定しているが,臨時従業員については, - 28 -乗り入れ車輌を限定することは現実的に困難であり,限定していない。 g 退職率について平成19年及び平成20年の自己都合による退職率は,正社員に比べて臨時従業員が極めて高い。 イ (解雇に関する法理が類推適用される場合)本件雇止めの有効性(原告らの主張)本件雇止めは,人員削減を理由とするものであることから,これに対し解雇に関する法理を類推適用してその有効性を判断するに当たっては,整理解雇の有効性を判断するために用いられる①人員削減の必要性,②解雇回避努力,③人選基準及び具体的人選の妥当性,④事前に説明・協議義務が尽くされていることという整理解雇4要件の充足性を判断すべきである。以下の各事情によれば,本件雇止めは,この要件を充足しておらず,無効である。 また,本件雇止めは,P23の組合活動を活発に行う第1グループ原告ら4名を被告から排除,放逐しようとするものであり,労働組合法7条1号の不利益扱いに該当し,違法無効である。 (ア) 人員削減の必要性の不存在被告の経営状況は,平成21年3月期の連結業績予想数値として,営業利益90億円,経常利益20億円を見込んでいたが,同期の連結決算では,営業利益216億5100万円,経常利益152億3600万円であった。 被告の株主への配当は,連結営業利益が1095億7300万円であった平成20年3月期実績で1株当たり5円(総額84億7700万円),同利益が216億5100万円であった平成21 0万円であった。 被告の株主への配当は,連結営業利益が1095億7300万円であった平成20年3月期実績で1株当たり5円(総額84億7700万円),同利益が216億5100万円であった平成21年3月期も1株当たり3円(総額50億8600万円)であり,平成21年2月6日時点で更なる配当の可能性を検討していたところ,同利益が110億1000万円であった平成22年3月期でも,同年6月29日の株主総会で,1株当たり3円(総額50億8400万円)の配当を実施することを決議している。 - 29 -また,被告は,平成21年3月決算時に,平成22年3月期の業績(連結)について,売上高1兆0800億円と予想したところ,同期の現実の売上高は1兆0809億円でほぼ予想通りであり,損益は,第1四半期(平成21年4月~6月)では連結営業損失146億円を計上したが,第2四半期(同年7月~9月)では連結営業損失が54億円に減少し,第3四半期(同年10月~12月)では連結営業利益144億円を計上して黒字に転換し,第4四半期(平成22年1月~3月)の連結営業利益は,167億円であった。被告の平成22年3月期の単独決算においては,営業利益61億8800万円,経常利益51億5100万円であった。このように,被告の経営状況は平成21年10月以降黒字に転換しており,平成23年3月期の連結決算見通しとしても,売上高増等のため,営業利益450億円,経常利益420億円の増加を見込んでいた。 被告では,本件雇止めの時点(平成21年4月2日)で,臨時従業員合計553名中541名が労働契約の合意解約に応じており,これに応じなかった者は第1グループ原告らを含めわずか12名(β工場6名,α工場6名)に過ぎず,また,本件雇止めで削減される第1グループ原告ら(4名)の賃金月 1名が労働契約の合意解約に応じており,これに応じなかった者は第1グループ原告らを含めわずか12名(β工場6名,α工場6名)に過ぎず,また,本件雇止めで削減される第1グループ原告ら(4名)の賃金月額合計は101万4755円に過ぎない。また,同年2月20日時点で,被告の解約申入れに応じなかった臨時従業員は第1グループ原告らを含む14名であるが,同月時点の正社員等の在籍人員は3471名であり,当該正社員等の稼働時間を2分ずつ(2分×3471名=6942分)非稼働時間に振り替えるだけで,14名分の労働時間として1日8時間(480分×14名=6720分)を創出することができる。 被告は,本件休業を実施する中で,被告の100%出資の子会社であるP32株式会社(以下「P32」という。)から44名(β工場26名,α工場18名)の出向労働者を受け入れ(在籍出向),労務の提供を受けており,同出向者の業務内容は,第1グループ原告らのいずれもが従事するこ - 30 -とのできるものである。 また,被告は,子会社であるP33株式会社(以下「P33」という。)との間で外注エンジン部品の受付業務について業務委託契約を締結しているが,同業務はもとは被告自身が行っていたものであり,第1グループ原告ら全員が従事できるものである。 被告の出荷台数は,平成20年10月が2万1128台,同年11月が2万1929台,同年12月が2万2502台と推移しており,いわゆるリーマンショック以前である同年4月の1万9407台,同年5月の2万0729台という水準を超えている。確かに国内需要については,同年9月以降減少傾向が見られるが,被告も加盟している社団法人P34が同年12月18日にした2009暦年自動車国内需要見通しを見ると,2009暦年は2008暦年と比較して,普 に国内需要については,同年9月以降減少傾向が見られるが,被告も加盟している社団法人P34が同年12月18日にした2009暦年自動車国内需要見通しを見ると,2009暦年は2008暦年と比較して,普通トラックで12.9%減少するとの見通しがされている。この見通しを前提に単純計算を行えば,被告の人員削減は12.9%で足りるが,被告は,同年12月に4861名いた人員を,平成21年1月には3496名まで削減しており,その削減率は約28%に及んでおり,上記の2009暦年自動車国内需要見通しを前提にしても,明らかな過剰な人員削減であったのであり,本件雇止め時点では,更に人員削減する必要は存しなかった。 この点につき,被告は,平成20年10月から平成21年4月にかけて被告での必要人員の数値が急激に落ち込んだ旨主張する。しかし,この必要人員は,①被告の極端な在庫減らしという政策により生産台数が絞られていること,②被告工場での教育,改善,環境整備,点検等の非生産活動に仕事を割り当てることによる必要人員の創出を考慮せず,非生産MH(生産設備の保全活動,安全ミーティング等の非生産活動に係るMH)を過剰に削減していること,③平成20年12月のα工場からβ工場への正社員50~60人の異動,同月~平成21年1月のα工場小型エンジン組立ラ - 31 -インでの生産の遅れの発生,同年2月のα工場PT製造第三部での生産応援者23名の受入れ等の事実から,これらの工場又は部署で要員不足を生じていたと認められること等から,客観性を欠くものである。 また,被告は,同年3月の時点で,同年4月を底にして,被告の自動車販売台数,生産台数,必要人員,営業利益等がV字回復することを見込み,また,同月の時点では,同月から実施ないし遡及適用された低排出ガス車認定制度に係る自 月の時点で,同年4月を底にして,被告の自動車販売台数,生産台数,必要人員,営業利益等がV字回復することを見込み,また,同月の時点では,同月から実施ないし遡及適用された低排出ガス車認定制度に係る自動車重量税・自動車取得税の特例措置(いわゆるエコカー減税)及び環境対応車への買替え・購入に対する補助金制度(いわゆるエコカー補助金)による増産を予測しており,上記のとおり,その予想どおり同年10月以降に黒字転換した。 被告の臨時従業員を除く従業員数は,平成20年3月期は7785名であったが,本件雇止めの時期(平成21年3月期)は8127名に増大しており,平成22年3月期も8104名と同水準を維持している。 被告は,連結営業利益が1069億8000万円であった平成19年3月期の役員報酬は4億5200万円,同利益が1095億7300万円であった平成20年3月期の役員報酬は4億6200万円であったが,連結営業利益が216億5100万円に落ち込んだ平成21年3月期の役員報酬は前期に比べて1800万円増の4億8000万円であった。また,連結営業利益が110億1000万円となった平成22年3月期の役員報酬も3億8800万円と,同利益が906億6100万円であった平成18年3月期と同水準の役員報酬を支払っている。 被告の平成21年3月期の連結利益剰余金は1454億0700万円(被告単体では671億4700万円)であった。次に,被告の同月期の連結自己資本比率は,27.3%であり,平成20年3月期の連結自己資本比率28.9%と比較してわずか1.6%低下したに過ぎず,過去最高の水準にあった。また,被告の平成21年3月期の連結流動比率は118% - 32 -(連結流動資産3996億÷連結流動負債3378億×100)で,平成20年3月期の連結流動比 過ぎず,過去最高の水準にあった。また,被告の平成21年3月期の連結流動比率は118% - 32 -(連結流動資産3996億÷連結流動負債3378億×100)で,平成20年3月期の連結流動比率119%(連結流動資産6125億÷連結流動負債5139億×100)と比較して,わずか1%低下したに過ぎない。 さらに,被告は,平成21年3月期には,平成20年3月期よりも有利な条件で長期借入れを行い,平成22年3月期には更に有利な条件で長期借入れを行っており,平成21年3月期及び平成22年3月期のいずれでも,以前よりも容易に資金調達できる状況にあった。そして,平成20年夏以降下落を続けた被告の株価は,平成21年3月3日89円を付けた後,徐々に上昇を続け,原告P1らの雇止め時(同年4月7日)には145円の高値を付けるまでに回復しており,株式市場においても,被告の業績回復を同年4月初旬に予測していたことが明らかである。 (イ) 雇止め回避努力の不存在被告は,第1グループ原告らの雇止めに際し,新規採用の停止,残業制限,配置転換,正社員や定年後再雇用従業員を含めた希望退職募集等を行っておらず,かえって,子会社から出向労働者44名を受け入れ,被告生産ラインに平成21年4月から新規の正社員60名を採用し,就労させる予定を持つなど,雇止め回避努力が尽くされているとは到底いえない。 (ウ) 雇止め対象者の人選に妥当性を欠くこと本件雇止めは,臨時従業員のみを対象としており,正社員や定年後再雇用従業員は対象にされておらず,差別的人選基準であって,妥当性を欠く。 (エ) 事前の説明,協議義務を尽くしていないこと第1グループ原告らの所属するP23と被告との間で団体交渉は行われたが,被告は,被告・P23間の事前協議約款があるのに,団体交渉で,経営環境等 (エ) 事前の説明,協議義務を尽くしていないこと第1グループ原告らの所属するP23と被告との間で団体交渉は行われたが,被告は,被告・P23間の事前協議約款があるのに,団体交渉で,経営環境等の一般的な説明に終始し,本件雇止めの具体的必要性や正社員及び定年後再雇用従業員との差別回避のための方策等について一切説明せず,不誠実なものであった。すなわち,被告は,団体交渉で,①経営状況 - 33 -や雇用継続を希望する臨時従業員の人数等の変化を一切顧慮せず,臨時従業員を全員雇止めするという方針を貫徹しようとする頑なな交渉態度に終始し,②平成21年4月以降の販売要求数(営業部門からの要求生産台数),生産計画,必要人員予測を一切明らかにしないで雇止めを強行した。また,被告は,第1グループ原告らの雇止めに際し,同人らの個別的事情を一切聴取せず,当面の生活維持のための配慮を一切しなかった。 (被告の主張)(ア) 人員削減の必要性について以下のとおり,被告には本件雇止めに係る人員削減の必要性が存在した。 第1グループ原告らに係る労働契約期間と概ね一致する平成20年10月~平成21年3月の被告の連結決算の実績は,平成21年3月第3四半期(平成20年10月~同年12月)の売上高3404億円,営業損益は16億円の赤字,経常損益は37億円の赤字であり,平成21年3月期第4四半期(平成21年1月~同年3月)の売上高2246億円,営業損益は159億円の赤字,経常損益は212億円の赤字,当期損益は117億円の赤字である。被告は,平成21年3月の期末配当金を無配とした。 平成21年3月期第4四半期(平成21年1月~同年3月)の売上高は2246億円,営業損益は159億円の赤字,経常損益は212億円の赤字,当期損益は453億円の赤字である。そして 金を無配とした。 平成21年3月期第4四半期(平成21年1月~同年3月)の売上高は2246億円,営業損益は159億円の赤字,経常損益は212億円の赤字,当期損益は453億円の赤字である。そして,平成22年3月期第1四半期(平成21年4月~同年6月)の連結ベースでの損益は,146億円の営業損失,162億円の経常損失,166億円の当期損失である。 他方,被告の107期(平成21年3月期)単体決算は,営業損益で約140億円の赤字決算であり,本件に関連して被告の収益について検討するのであれば,あくまで被告単体のものをベースに検討すべきである。 なお,本件で被告の利益剰余金の存在を検討要素とすべきではないが,念のため利益剰余金の取崩しの可否について言及すると,被告はシンジケ - 34 -ートローンによる銀行団からの借入を行っているが,シンジケートローンでは,被告の財務状況が悪化した場合に金融機関が債権の保全を図ることを目的としてコベナンツ(特約条項)を付与しており,同コベナンツの中に純資産維持条項があり,純資産の絶対額以上の維持についての制限があり,同制限に抵触した場合,借入契約が終了し借入金を全額返済しなければならないところ,利益剰余金が減少することは同コベナンツに抵触するおそれを意味することから,当期純利益が赤字となって利益剰余金が減少する中で,更に利益剰余金を取り崩すことはできない。 平成21年3月末日時点で,臨時従業員が従前業務に従事していた生産直接部門では,臨時従業員だけでなく相当数の正社員も剰員となっていた。 P32は,平成14年11月に従前自動車用エンジンを製造していた被告のδ工場が被告の事業再構築の一環として分社,独立した被告の100%出資の子会社であり,その設立経緯,P32の製品がすべて被告を通じて出荷 ,平成14年11月に従前自動車用エンジンを製造していた被告のδ工場が被告の事業再構築の一環として分社,独立した被告の100%出資の子会社であり,その設立経緯,P32の製品がすべて被告を通じて出荷されるという商流等から,従前から被告では,P32を被告の生産部門のPT部門の傘下として位置付けており,事実上被告と一体であって,他の関連企業とは全く異なる位置付けをしている。上記の状況下で,P32で生産しているディーゼルエンジンシリンダーヘッドの生産台数が当初計画台数から大幅に減産となったため,同生産ラインを平成20年7月~同年9月の間稼働休止することとなり,同社で正社員の剰員が発生したため,α工場及びβ工場への異動を実施することになった。その後,当初3か月とした前記稼働休止の計画が平成21年3月まで延長され,また,同シリンダーヘッド以外の製品についても減産となったため,受入期間の延長を行ったものであり,このような被告の対応に問題はない。 被告とP33との間の業務委託契約は,被告として経費削減等を意図したものであり,生産直接部門での作業のために雇用した第1グループ原告らを当該業務に従事させることは予定されていない。また,被告とP33 - 35 -との間の業務委託契約は2月1日から翌年1月31日までの1年契約であり,かつ,期間満了の3か月前までに終了しなければ自動更新となるから,平成20年10月末日の経過により平成22年1月31日まで同契約は更新されており,同契約を解約して第1グループ原告らを当該業務に従事させることはできなかった。 商用車の生産では,生産開始から出荷まで数か月程度を要し,被告では,数か月先の出荷見込みを踏まえて生産計画を策定しており,出荷台数が堅調な時期にあっても,その先の出荷台数が見込まれない場合は,その時点 車の生産では,生産開始から出荷まで数か月程度を要し,被告では,数か月先の出荷見込みを踏まえて生産計画を策定しており,出荷台数が堅調な時期にあっても,その先の出荷台数が見込まれない場合は,その時点で生産台数を減らさざるを得ないところ,現に,被告の平成21年1月の商用車出荷台数は1万1359台,同年2月の商用車出荷台数は9964台,同年4月の商用車出荷台数は5371台と,従前に比べて激減した。 (イ) 国内外の経済状況と被告の受注状況,生産台数,出荷台数の推移等平成20年9月~同年12月には,サブプライムローン問題の表面化から始まった米国発の金融危機は,平成20年9月中旬のリーマンブラザーズの破たんにより悪化し,自動車産業でも,自動車ローンの与信喪失と実体経済の冷込みによる買控えに起因する影響があった。被告でも,海外出荷実績比較で,同年11月に,対前年同月比で,北米で63.9%減,欧州で62.6%減,中南米で40.2%減となり,著しく減少した。 また,輸出比率の高い被告では,当時円高となっていた為替(被告は平成21年3月期の連結決算見通しの為替前提を1ドル102円としていたが,実際には,平成20年12月17日の東京外国為替市場で1ドル88円台まで円高になった。)も販売価格等に影響し,このことも輸出台数の大幅減少の要因となって先の見えない危機的状況に陥った。 トラック,バスを製造・販売している被告は,国内でも景気減速の影響を真っ先に受け,乗用車メーカー以上に生産・販売への影響は甚大で,同年11月の新車登録実績は前年比約20%減と大幅に減少し,同年のトラ - 36 -ックの国内総需要は,昭和37年のレベルまで落ち込むと予想された。 このような厳しい状況下,被告は,平成20年11月6日に全社で緊急会議を開催し,完成車,エン 少し,同年のトラ - 36 -ックの国内総需要は,昭和37年のレベルまで落ち込むと予想された。 このような厳しい状況下,被告は,平成20年11月6日に全社で緊急会議を開催し,完成車,エンジン等の生産数量を大幅に減少することとし,各ラインの昼夜2交替制を大幅に昼のみの体制に変更し,全ラインで約1500人の剰員(臨時従業員及び派遣労働者の合計約1400名及び正社員約100名)が生ずることになり,これについては,上記の世界的不況が急激かつ深刻であること等から,その後短期間に剰員が解消する見込みはなかったことから,被告は,臨時従業員の解雇予告(後に撤回)及び労働者派遣契約の中途解約を決定した。 平成21年1月20日に内閣府が発表した同月の月例経済報告,同月23日に日本銀行が公表した同月の金融経済月報では,景気の総括判断は下方修正され,輸出と設備投資についての判断も引き下げられた。 売上高の海外割合が3分の2近くを占めている被告では,事業活動及び業績にとって世界経済の動向が極めて重要であるが,同月28日,国際通貨基金(IMF)は,最新の世界経済見通しを発表し,同年の世界経済の実質成長率は戦後最悪の0.5%に落ち込むと予測した。 また,平成20年10月~12月期の日本の実質GDPの成長率が年率換算で12.7%のマイナスとなり,このころ,国内経済の見通しも戦後最悪となった。平成21年2月19日内閣府が発表した同月の月例経済報告,同月20日に日本銀行が公表した金融経済月報,同年3月16日に内閣府が発表した月例経済報告,同月19日に日本銀行が公表した金融経済月報でも,景気の総括判断について大幅に悪化している,輸出は大幅に減少している,生産の減少幅はさらに拡大しているとされ,その後の見通しについても,非常に厳しい見方が示された。さら が公表した金融経済月報でも,景気の総括判断について大幅に悪化している,輸出は大幅に減少している,生産の減少幅はさらに拡大しているとされ,その後の見通しについても,非常に厳しい見方が示された。さらに,同年4月17日時点で厚生労働省が把握できた雇用調整が,派遣労働者は13万2458人,期間工等の契約社員は4万4250人に上った。 - 37 -以上のような世界規模の景気減速の影響から,以下のとおり,国内外のほとんどの事業地域で受注,販売が減少した。 すなわち,商用車の海外要求台数は,平成20年9月の2万5007台をピークに,同年10月が1万9960台,同年11月が1万7998台,同年12月が1万1356台,平成21年1月が5538台,同年2月が6570台,同年3月が6571台,同年4月が3732台に激減した。 商用車の国内受注は,平成20年7月の5153台をピークに,同年8月が4576台,同年9月が4393台,同年10月が3380台,同年11月が2715台,同年12月が2682台,平成21年1月が2349台,同年2月が2155台,同年3月が2356台,同年4月が2196台に激減した。 被告は,この受注・販売の急減等を踏まえ,また,今後も景気の停滞が続くと見込み,以下のとおり,やむなく大幅な減産に踏み切った。すなわち,商用車の生産台数は,同年1月の実績が8443台,同年2月の実績が9714台,同年3月の実績が9014台で,平成20年9月の約3万台と比較して約7割減の状態となり,平成21年4月には,5915台と同年3月比で約34%減となった。 β工場でのエンジンの生産台数は,平成20年9月は2万4552台であったが,平成21年1月は5006台,同年2月は7308台,同年3月は5490台,同年4月は3539台に落ち込み %減となった。 β工場でのエンジンの生産台数は,平成20年9月は2万4552台であったが,平成21年1月は5006台,同年2月は7308台,同年3月は5490台,同年4月は3539台に落ち込み,同工場でのファイナルドライブの生産台数は,平成20年9月には5万3004台であったが,平成21年1月は1万7738台,同年2月は2万9926台,同年3月は2万7622台,同年4月は1万2963台に落ち込んだ。 そして,受注とタイムラグがある出荷台数についても,平成21年1月以降急激に減少した。 (ウ) 被告の必要人員の推移,ラインの稼働状況及び残業の実態について - 38 -被告は,必要人員につき,「必要延べマン・アワー(MH)」(1人の1時間当たりの仕事量を1マン・アワー(MH)とした場合の当該仕事に必要となる延べマン・アワー(MH)をいう。)を1人当たりの稼働時間で除する数式により求めているが,部署ごとに,毎月,製品の製造に必要な延べMH及び1人当たりの稼働時間を算出し,必要人員を算出している。 このように,必要人員は,被告の通常業務の一環として算出するものであり,平成20年10月以降,その数値は急激に落ち込んでいた。 平成21年1月から,臨時従業員及び派遣労働者がβ工場及びα工場の生産ラインからいなくなったが,まず,β工場の生産ラインでは,時間外労働及び休日労働は全くなかった。次に,α工場の生産ラインでは,平成20年1月と比較して計画停止(安全管理,品質管理及び生産調整等によりラインを計画的に止めること)が大幅に増加し,生産量の著しい減少により第1グループ原告らを含む臨時従業員全員が余剰となった。 平成21年2月には,β工場について,大型エンジン組立ラインでは,ラインスピードを上げ,できるだけ作業者が必要になる 産量の著しい減少により第1グループ原告らを含む臨時従業員全員が余剰となった。 平成21年2月には,β工場について,大型エンジン組立ラインでは,ラインスピードを上げ,できるだけ作業者が必要になるような生産方法を採ったが,そのことにより1日で予定している生産台数を終業時刻前に達成することとなったため,ほぼ毎日のように午後3時ころに生産ラインを停止し,午後5時の終業時刻まで,改善,整理,清掃を行った。同工場の小型エンジン組立ラインでも,剰員を抱えたままライン生産を行ったため,2日間終日ライン非稼働日を設けた。同工場全体では,98名が剰員となり,各所属において本来の生産業務に従事させずに,改善,整理,清掃を終日実施していた。次に,α工場について,大型組立ラインにおける生産計画では当初3週目と4週目に各2回ずつ合計4回の残業が計画されていたが,同月6日,緊急生産調整として同月の就業日はすべて定時間運営計画に変更することが決定された。また,同緊急生産調整により,同月16日から大型組立ラインの1台当たりのサイクルタイムを大幅にダウンさせ - 39 -ての運営を余儀なくされ,これにより発生した剰員については,TPM活動(トータル・プロダクティブ・メンテナンス活動。全員参加による生産設備の保全活動),作業改善活動,品質向上活動又は他の作業工程に出向いての同作業工程習得の時間に充てる等した状況であった。 同年3月には,被告では,生産台数の減少に伴い,車両系,PT系ともに非稼働日を最大9日間(車両系は7~9日間,PT系は4~5日間)設定したが,以下のとおり,α工場及びβ工場で,剰員が発生した。α工場では,車両系では,非稼働日を最大9日間設けてもなお46名の剰員が発生し,同余剰人員については,内製化,職場の清掃,改善活動等をその都度職制が判 のとおり,α工場及びβ工場で,剰員が発生した。α工場では,車両系では,非稼働日を最大9日間設けてもなお46名の剰員が発生し,同余剰人員については,内製化,職場の清掃,改善活動等をその都度職制が判断し,指示することによって対応した。同工場のPT系でも非稼働日を最大5日間設けても22名の乗員が発生し,同余剰人員については改善活動に従事させることで対応した。β工場では,非稼働日を5日間設け,さらに毎日午後3時又は午後4時にラインを停止させる稼働時間短縮を行ったが,191名の剰員が発生し,余剰人員は,改善活動や機械清掃,工場内美化活動に従事させることで対応した。 同年4月には,商用車生産台数見込みが5977台と,同年3月比で約34%減となったことに伴い,就業日のうち2日間を休業日,2日間を同年8月への稼働日振替とし,さらに稼働割れの対応が必要となるラインについては,別途2日間のライン停止日を設定せざるを得なかった。 同年5月には,商用車生産台数見込みが8697台と,同年3月の9014台よりも少ない状況となっていたことに伴い,就業日のうち2日間を休業日とし,さらに稼働割れの対応が必要となるラインについては,別途最大3日間のライン停止日を設定せざるを得なかった。 これに伴って,被告での残業状況について見ると,被告生産部門の一人平均残業時間の推移(平成20年1月~平成21年4月)は,平成20年前半期には,一人平均月30時間以上で推移していたが,同年10月以降 - 40 -急激に減っており,平成21年1月は0.9時間,同年2月には0.3時間,同年3月には0.1時間,同年4月には0.2時間となった。 (エ) 雇止め回避努力について被告では,本件雇止めに先立ち,設備投資について,平成21年3月期期初契約(以下「期初計画」という。)9 ,同年3月には0.1時間,同年4月には0.2時間となった。 (エ) 雇止め回避努力について被告では,本件雇止めに先立ち,設備投資について,平成21年3月期期初契約(以下「期初計画」という。)930億円のところ実績620億円,減価償却費について,期初計画440億円のところ実績390億円と,合計360億円の費用削減に努め,様々な固定費の緊急コスト圧縮対策を行い,被告単体で同月期後半期(平成20年10月~平成21年3月)だけで,固定費80億円規模の削減を達成し,残業制限,ライン非稼働日及びライン非稼働時間の設定,正社員の配置転換,臨時従業員に対する再就職支援,当初の期間労働契約の雇用期間経過後も在寮者については家賃光熱費無料での平成21年6月30日までの滞在延長を認める等の内容のP23に対する希望退職募集の提案等,様々な経営努力をした。 また,同年4月以降,P32から被告に対し特定の業務の研修目的以外で生産要員を出向受入した事実はないし,同月から就労する被告生産部門技能職正社員134名の採用については,平成20年9月の時点で内定し,期間の定めのない労働契約が成立していた。その後平成21年4月から新規正社員60名が採用された事実はない。 (オ) 雇止め対象者の人選の妥当性長期雇用が予定されていない臨時従業員との労働契約解消を,正社員や定年後再雇用従業員に先行させたとしても,それはあくまで合理的な区別であり差別に当たらない。 (カ) 事前の説明,協議義務を尽くしていないことについて原告らの主張は,全体として否認ないし争う。 ウ (労働契約が存続する場合)第1グループ原告らの賃金請求権の内容(原告らの主張) - 41 -(ア) 第1グループ原告らは,被告から,日給9000円,早出手当,残業手当,休日出勤手当,深夜勤務手 約が存続する場合)第1グループ原告らの賃金請求権の内容(原告らの主張) - 41 -(ア) 第1グループ原告らは,被告から,日給9000円,早出手当,残業手当,休日出勤手当,深夜勤務手当及び変則勤務手当を含めて,平成20年10月~同年12月の3か月間に,原告P1が平均月額賃金26万7105円,原告P2が同24万5451円,原告P3が24万6529円,原告P4が同25万5670円を受給していた。第1グループ原告らは本件雇止め後の賃金請求権としてそれぞれ同額(月額)の請求権を有する。 (イ) 被告の臨時従業員就業規則7条によれば,臨時従業員の契約期間は6か月と規定されており,第1グループ原告らと被告との間では,勤務期間満6か月で不就業6日以下の場合,満期慰労金として,契約期間満了月の翌月23日に,42万円を支払うことを合意していた。労働契約法17条2項に照らすと,第1グループ原告らの労働契約は満6か月とするのが適切であることから,第1グループ原告らは,平成21年11月23日を始期として,それぞれ同内容の請求権を有する。 (被告の主張)原告らの主張は争う。 (2) 原告P5の地位確認に係る主位的請求についてア平成20年4月5日の労働契約の終了原因(原告らの主張)原告P5は,平成20年4月4日,被告に退職願(以下「原告P5退職願」という。)を提出したが,これは存在しないか,以下の理由により無効又は取消可能であり,原告P5は,同月5日,被告に雇止めされた。 原告P5は,原告P5退職願を提出した当時,被告との労働契約を終了させなければならない客観的,合理的理由はなく,退職意思もなかったが,被告が原告P5に対し,3年規定に基づく2年11か月運用により雇止め通告をしたことを受け,原告P5は,雇止めを法的に争い得 を終了させなければならない客観的,合理的理由はなく,退職意思もなかったが,被告が原告P5に対し,3年規定に基づく2年11か月運用により雇止め通告をしたことを受け,原告P5は,雇止めを法的に争い得ることを知らず,もはや労働契約の継続はあり得ないと信じたため,これを提出した。したがっ - 42 -て,原告P5退職願が提出されたからといって,退職の意思表示や合意解約の申出には該当せず,原告P5の退職の意思表示は存在しない。 また,被告は,原告P5に対し,解雇権濫用法理の回避という公序良俗違反の目的で,3年規定及び2年11か月運用による雇止めを有効であると信じ込ませ,原告P5退職願を提出させた。したがって,これに基づく退職合意は,解雇権濫用法理の回避を目的とする法律行為として,公序良俗に反する事項を目的とする法律行為(民法90条)に該当し,無効である。 次に,原告P5は,雇止めが法律的に違法無効であり,その効力を争えることを知らないで原告P5退職願を作成し,提出したのであり,これを知っていれば,上記の行動を採らなかったから,動機の錯誤(民法95条)がある。そこで,原告P5退職願に係る退職の意思表示は,無効である。 さらに,原告P5は,被告から「平成20年4月5日で2年11か月になるので,もう更新はないので,退職願を出してくれ」等と言われ,その旨誤信して,原告P5退職願を提出したのであり,原告P5の上記退職の意思表示は,被告の詐欺(民法96条1項)によるものとして取消原因があり,原告P5は,本件訴状でこれを取り消した。 (被告の主張)原告P5は,平成20年4月4日,被告に原告P5退職願を提出し,被告がこれを受理したことにより,原告P5と被告との間には退職合意が成立し,これにより同月5日付けで原告P5は被告を退職した。 イ 原告P5は,平成20年4月4日,被告に原告P5退職願を提出し,被告がこれを受理したことにより,原告P5と被告との間には退職合意が成立し,これにより同月5日付けで原告P5は被告を退職した。 イ終了原因が雇止めである場合,解雇に関する法理の類推適用の有無(原告らの主張)原告P5・被告間の労働契約は,以下の各事情によれば,期間の定めのない状態と実質的に異ならない状態にあったか,少なくとも更新に対する合理的な期待があり,本件雇止めには,解雇権濫用法理が類推適用される。 (ア) 従事する仕事内容 - 43 -原告P5は,平成17年5月6日に被告の臨時従業員になってから,大きなエンジン部品をエンジン組立ラインへ渡す物流作業に従事した後,ミニラインで,ボルト等小さな部品をラインに渡す物流作業に従事した。さらに,組立ラインでも作業に従事し,NC旋盤を用いて部品を加工する作業にも従事した。いずれの作業も,正社員,臨時従業員及び派遣労働者が混在した形態でチーム編成がされ,同じ仕事に従事しており,原告P5は正社員と同じ作業に従事し,その仕事内容は正社員と何ら差異がなかった。 また,原告P5が,臨時従業員として雇止めされた後も,引き続きβ工場で派遣労働者として勤務したことは,原告P5が従事した作業が一時的,臨時的な業務ではなく,基幹的・恒常的な業務であることを裏付ける。 (イ) 雇用継続の期待を持たせる言動等被告は,原告P5との間で,契約期間平成20年1月6日~同年4月5日(通算契約期間が2年11か月となる時期)とする契約更新をした際,労働条件通知書上「更新する場合がありえる」の欄に○印が付されていたため,原告P5は,同月6日以降も契約が更新されるものと期待した。 実際に,原告P5と同時期に臨時従業員になり,同月5日(通算契約期 働条件通知書上「更新する場合がありえる」の欄に○印が付されていたため,原告P5は,同月6日以降も契約が更新されるものと期待した。 実際に,原告P5と同時期に臨時従業員になり,同月5日(通算契約期間が2年11か月となる時期)に雇止めされた他の2名の者(原告P5の同僚)は,当該雇止めが不当であるとして被告と交渉した結果,被告は,当該臨時従業員2名に金銭解決を提案し,和解が成立している。 (ウ) 被告の契約書作成の形骸化被告は,原告P5との契約更新の際に契約書を作成したが,機械的・形式的なものに過ぎず,契約更新の都度新たな契約締結の手続をとっていたとはいえない。このことは,3年規定があったのに,上記のように通算した契約期間が2年11か月となる時期の契約更新に関し,「更新する場合もありえる」の欄に○印が付されていたことからも明らかである。また,原告P5の契約書には,契約期間が「平成17年11月6日より平成17年 - 44 -5月5日迄」と,あり得ない期間の記載もあり,被告作成の契約書が形だけのものであったことを示している。 (エ) 雇止めを争われた事案の存在β工場では,臨時従業員に対し,通算した契約期間2年11か月で雇止めにしていたが,原告P5の同僚2名は雇止めの有効性を争って交渉した結果,金銭解決をしており,必ずしも臨時従業員の全員が2年11か月の通算期間満了により法的に問題なく雇止めされていたわけではない。 (オ) 脱法的な期間制限原告P5に対する雇止めは,被告が原告P5について3か月~6か月という短期間の契約を反復更新することにより,雇用の調整弁として労務の提供を受けた上で,通算契約期間が2年11か月を経過することから行われたのであり,原告P5が正社員と同じ基幹的・恒常的な作業に従事していたことからすれば,被告が原 とにより,雇用の調整弁として労務の提供を受けた上で,通算契約期間が2年11か月を経過することから行われたのであり,原告P5が正社員と同じ基幹的・恒常的な作業に従事していたことからすれば,被告が原告P5と締結していた労働契約は「労働者を使用する目的に照らして,必要以上に短い期間を定め」(労働契約法17条2項)ており,同項の趣旨に反するものである。 したがって,3年規定は,脱法的な意図に基づき,臨時従業員の雇用を不安定にさせるもので無効(民法90条)である。 (被告の主張)原告らの主張は,全体として争う。 なお,原告らが主張する「平成17年11月6日より平成17年5月5日迄」との記載は,原告P5本人の記入間違いであったが,これについては,ライン長経由で「平成17年5月5日」を「平成18年5月5日」に修正するよう原告P5に依頼し,修正した。 ウ(解雇に関する法理が類推適用される場合)上記雇止めの有効性(原告らの主張)(ア) 原告P5は,β工場で勤務を開始し,その後平成20年4月5日に至る - 45 -まで,心身ともに良好であり,労働能力は欠如しておらず,無断欠勤や仕事の懈怠もなく,勤務態度,業務内容又は成績が著しく不良ということもなかった。むしろ,原告P5が,雇止め後も派遣労働者としてβ工場に受け入れられたことからすれば,被告は,原告P5のことを労働力として必要不可欠であると評価していたといえる。したがって,被告の原告P5に対する雇止めは,客観的合理性も社会的相当性もなく,無効である。 (イ) 雇止めの有効性については,第1グループ原告らについて論じたとおり,①人員削減の必要性,②雇止め回避努力,③人選の妥当性,④事前の説明・協議義務といったいわゆる整理解雇4要件に準じて検討されるべきであり,被告の原告P5に対す 1グループ原告らについて論じたとおり,①人員削減の必要性,②雇止め回避努力,③人選の妥当性,④事前の説明・協議義務といったいわゆる整理解雇4要件に準じて検討されるべきであり,被告の原告P5に対する雇止めはこのいずれの要件も充足しない。 (被告の主張)原告らの主張を全体として争う。 エ(労働契約が存続する場合)原告P5の賃金請求権の内容(原告らの主張)原告P5は,被告から,平成20年1月~同年4月の4か月間に,平均月額賃金28万8861円を受給しており,原告P5は雇止めされた後の賃金請求権としてそれぞれ同額(月額)の請求権を有する。 第1グループ原告らの賃金請求権の際に論じたとおり,臨時従業員就業規則7条から,満期慰労金として,契約期間満了月の翌月23日に42万円を支払うことを合意していたから,原告P5は,平成21年7月23日を始期として,上記の内容の請求権を有する。 (被告の主張)原告らの主張は争う。 (3) 原告P6の地位確認に係る主位的請求についてア平成19年10月7日の労働契約の合意解約の効力及び合意解約が無効であった場合の期間の定めのある労働契約の継続の有無 - 46 -(原告らの主張)(ア) 原告P6は,①平成17年12月21日以降P14から派遣労働者として被告に派遣され,②平成18年10月1日付けで被告の臨時従業員として雇用された後,③平成19年10月8日付けで再びP14から被告に派遣される派遣労働者に復帰された取扱いになっている。 しかし,③の取扱いは,①の時期から原告P6が引き続き住んでいたアパートに平成19年10月8日以降も住み続けるための名目的・仮装的な取扱いで,原告P6は,被告を退職する意思を有していなかった。このことは,原告P6がP14又はP18との間で労働契 続き住んでいたアパートに平成19年10月8日以降も住み続けるための名目的・仮装的な取扱いで,原告P6は,被告を退職する意思を有していなかった。このことは,原告P6がP14又はP18との間で労働契約の締結・更新の手続を一切していないこと等から明らかである。また,原告P6は,平成19年9月27日付けで被告に退職願(以下「原告P6退職願」という。)を作成・提出しているが,これは,引き続き被告で働き続けるための形式的な書類として作成したに過ぎない。 他方,被告は,原告P6を基幹的・恒常的な業務に働かせながら雇用責任を免れるため,P14と共謀の上,原告P6について被告の臨時従業員からP14の派遣労働者への転籍を仮装したのであり,このことは,同年10月中旬ころに被告が直接指示して原告P6を配置換えしたこと,③の取扱いの前後を通じて,原告P6の従事する業務の内容や就業日,勤務時間等の働き方に全く変化がなく,給与振込額にも殆ど変化がなかったこと,原告P6に振り込む給与額は被告がP14又はP18に対する支払額の決定に応じて決定されていたこと,P18の原告P6に対する解雇(平成20年12月26日付け)が被告の臨時従業員全員に対する解雇予告通知(解雇日を同日とするもの)と軌を一にして行われていること等から明らかである。 よって,③の取扱いの際,原告,被告,P14の三者はいずれも原告P6を被告の臨時従業員からP14の派遣労働者に転籍させる意思を有して - 47 -いないから,原告P6は被告を退職しておらず,平成19年10月8日以降も被告が原告P6を引き続き雇用していたと評価できる。 (イ) 原告P6と被告との間で退職合意が成立していたとしても,以下のとおり,上記合意は,心裡留保,錯誤,詐欺により無効又は取消原因があり,平成19年10月 6を引き続き雇用していたと評価できる。 (イ) 原告P6と被告との間で退職合意が成立していたとしても,以下のとおり,上記合意は,心裡留保,錯誤,詐欺により無効又は取消原因があり,平成19年10月8日以降も被告が原告P6を引き続き雇用していた。 まず,被告,P14ともに,被告を退職し,P14と派遣労働契約を締結する旨の原告P6の意思表示が真意に基づくものでないことを承知していたから,上記意思表示は,相手方がその真意を知る心裡留保(民法93条ただし書)であって無効である。 次に,原告P6は,P14との派遣労働契約に切り替えなければそれまで住んでいたアパートに住み続けられないとの,また,被告では最長2年11か月しか働くことができないとの錯誤に陥り,被告を退職し,P14と派遣労働契約を締結したものであるから,上記各意思表示は,錯誤(民法95条)に該当するものとして無効である。 また,原告P6は,被告総務人事部β総務グループに派遣受入れされていたP14の従業員から「今住んでいる寮に住み続けたいのであれば派遣に戻らないと駄目である」「被告の臨時従業員は最長2年11か月しか働くことができない。派遣に戻った方が長く働くことができる」と告げられ,その旨誤信して,被告を退職し,P14と派遣労働契約を締結したものであり,当該取扱いは,被告の了解の下に行われたものであるから,原告P6の当該意思表示は,P14の詐欺(被告が当該事実を知っていた。民法96条1項,2項)又は被告の詐欺(同条1項)によって取り消すことができる。原告P6は,本件訴状及び平成23年8月30日付け原告準備書面(28)で,上記意思表示を取り消した。 さらに,原告P6・被告間の1回目の有期労働契約の期間は,3か月余り(3か月と7日)とされており,原告P6の合意退職及び再 3年8月30日付け原告準備書面(28)で,上記意思表示を取り消した。 さらに,原告P6・被告間の1回目の有期労働契約の期間は,3か月余り(3か月と7日)とされており,原告P6の合意退職及び再度の被告へ - 48 -の派遣は,「派遣先が講ずべき措置に関する指針」(平成11年労働省告示第138号)第2の14(3)「労働者派遣の役務の提供を受けていた派遣先が新たに労働者派遣の役務の提供を受ける場合には,当該新たな労働者派遣の開始と当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣の終了との間の期間が3月を超えない場合には,当該派遣先は,当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣から継続して労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなすこと。」で規定されたいわゆるクーリング期間(3か月)を悪用する公序良俗に違反する行為であり,民法90条により無効である。 加えて,被告は,派遣労働者から臨時従業員になった者の労務管理について,被告に派遣受入れしたP14の従業員に担当させておきながら,そのことを原告P6には告げないまま,P14の従業員を通じて原告の退職願を提出させたのであり,原告P6がそれを知っていれば,P14の従業員の勧誘・説得に応じて退職することはなかったから,同退職願による退職は,被告の信義則違反により無効である。 (被告の主張)原告P6は,原告P6退職願を提出し,被告がこれを受理したことにより,原告P6・被告間に退職合意が成立し,これにより平成19年10月7日付けで原告P6は被告を退職したのであり,原告P6が被告を退職したのは,原告P6の自由意思に基づくものである。 また,原告P6の退職の意思表示に,心裡留保,錯誤又は詐欺はない。 被告が原告P6を臨時従業員とし を退職したのであり,原告P6が被告を退職したのは,原告P6の自由意思に基づくものである。 また,原告P6の退職の意思表示に,心裡留保,錯誤又は詐欺はない。 被告が原告P6を臨時従業員として雇用した際,それまでP14が借り上げていたアパートについて,当初は被告の社宅として原告P6が住んでよいこととされたが,その後,被告がP14に対し当該アパートを返還することとなり,引き続き原告P6が被告の社宅に住むためには別の社宅に転居する必要が生じたが,原告P6が被告の別の社宅に入寮するか否かはあくまで原 - 49 -告P6の自由な選択に委ねられていたものである。 また,「派遣先が講ずべき措置に関する指針」は,いわゆるクーリング期間を意識して派遣先が対応すること自体を禁ずるものではない。確かに被告は,クーリング期間を意識することもあったが,現場のラインでは,派遣労働者の中には臨時従業員として稼働するより派遣労働者として稼働することを希望する者もいるという話が出ていたことから,有期労働契約で3か月と若干日という期間設定をしていたものであって,公序良俗に反するものではない。 さらに,P14の従業員が臨時従業員に対して契約更新の意思確認をするに当たっては,あくまで被告の人事担当として契約の更新の申入れを行い,契約更新の意思があるか否かを確認するのが目的であり,本人の意思で再び派遣労働者として被告で稼働したいというのであれば別であるが,P14の従業員から対象の臨時従業員に対して再び派遣労働者に戻らないかという勧誘は絶対しないようにと,被告からP14の従業員に対し注意を喚起していたものであって,信義則違反はない。 イ (労働契約が継続している場合)原告P6に対する解雇の有効性(原告らの主張)原告P6と被告との間に労働契約が らP14の従業員に対し注意を喚起していたものであって,信義則違反はない。 イ (労働契約が継続している場合)原告P6に対する解雇の有効性(原告らの主張)原告P6と被告との間に労働契約が継続ないし成立しているとすれば,平成20年12月26日,被告が原告P6を解雇したと評価すべきであり,この解雇は整理解雇であるから,①人員削減の必要性,②解雇回避努力を尽くすこと,③人選基準及び具体的人選の妥当性,④事前に説明・協議義務が尽くされていることという整理解雇4要件の充足が必要であるのに,この解雇はこれを充足しておらず,無効である。 (被告の主張)平成20年12月26日当時,被告と原告P6との間には労働契約関係がなく,被告は解雇をしていない。 ウ(解雇が無効である場合)原告P6の賃金請求権の内容 - 50 -(原告らの主張)原告P6・被告間の期間の定めのない労働契約における賃金月額は,平成19年7月支給分~同年10月支給分平均月額賃金25万1361円である。 第1グループ原告らの賃金請求権の際に論じたとおり,臨時従業員就業規則7条から,満期慰労金として,契約期間満了月の翌月23日に42万円を支払うことを合意していたから,原告P6は,平成21年11月23日を始期として,上記の内容の請求権を有する。 (被告の主張)原告らの主張は争う。 (4) 原告P7の地位確認に係る主位的請求についてア平成19年1月2日の合意解約の有効性及び合意解約が無効であった場合の期間の定めのない労働契約の継続の有無(原告らの主張)平成19年1月2日,原告P7は,被告との間の労働契約を解約し,同月3日からP19と派遣労働契約を締結しているが,原告P7の意思表示は,心裡留保,錯誤又は詐欺により無効又は取消し得べきも 張)平成19年1月2日,原告P7は,被告との間の労働契約を解約し,同月3日からP19と派遣労働契約を締結しているが,原告P7の意思表示は,心裡留保,錯誤又は詐欺により無効又は取消し得べきものである。 被告,P19ともに,被告を退職し,P19と派遣労働契約を締結する旨の原告P7の意思表示が真意に基づくものでないことを承知していたから,心裡留保(民法93条ただし書)により無効である。 原告P7は,被告では最長2年11か月間しか働くことはできないとの錯誤に陥って被告を退職し,P19と派遣労働契約を締結したのであるから,これは,錯誤(民法95条)に該当するものとして無効である。 原告P7は,被告総務人事部α労務グループに派遣受入れされていたP19の従業員から「被告では最長2年11か月しか働くことができないが,P19の派遣労働者に戻ればもっと長く働き続けることができる」旨説明され,当該説明が有期契約の更新を阻止しようとする脱法行為を正当化する虚偽説 - 51 -明であるのにその旨誤信して被告を退職し,P19と派遣労働契約を締結したのであり,これは,被告了解の下に行われたもので,原告P7の当該意思表示は,P19の詐欺又は被告の詐欺によるものだから,民法96条1項,2項により取消原因があり,原告P7は,本件訴状及び平成23年8月30日付け原告準備書面(28)で,取消の意思表示をした。 原告P7の被告との間の1回目の有期労働契約の期間は,3か月と1日とされており,原告P7の上記合意退職及び再度の被告への派遣は,「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の14(3)で規定されたいわゆるクーリング期間(3か月)を悪用する公序良俗違反行為(民法90条)で,無効である。 被告は,派遣労働者から臨時従業員になった者の労務管理 べき措置に関する指針」第2の14(3)で規定されたいわゆるクーリング期間(3か月)を悪用する公序良俗違反行為(民法90条)で,無効である。 被告は,派遣労働者から臨時従業員になった者の労務管理について,被告に派遣受入れしたP19の従業員に担当させておきながら,そのことを原告P7には告げないまま,P19の従業員を通じて原告の退職願を提出させた。 原告P7がそのことを知っていれば,当該P19の従業員の勧誘・説得に応じて退職することはなかったから,この退職願による退職の意思表示は,被告の信義則違反により無効である。 平成19年1月3日以降も被告が原告P7を引き続き雇用していたと解すべき場合における期間に関しては,平成18年10月3日に原告P7が被告の臨時従業員として雇用されて以降,契約更新の手続が全くされていないことから,民法629条1項により期間の定めのない労働契約になっている。 (被告の主張)被告は,平成18年9月,新たに被告との間に期間労働契約を締結する派遣労働者(原告P7を含む。)に対し,α及びβの両工場で説明会を開催し,3年規定を含む臨時従業員就業規則の内容及び2年11か月運用について説明した。3年規定は公序良俗違反ではないし,期間の定めのある労働契約で更新を含めた通算期間の上限を定めることも違法ではない。上限について使用者が労働者に説明したことは虚偽説明には当たらず,原告P7が被告との - 52 -労働契約を更新して被告の臨時従業員として働くかは,原告P7の自由な選択に委ねられており,心裡留保,錯誤又は詐欺の成立する余地はない。 「派遣先が講ずべき措置に関する指針」は,いわゆるクーリング期間を意識して派遣先が対応することを禁ずるものではない。被告は,確かにクーリング期間を意識することもあったが,現場の る余地はない。 「派遣先が講ずべき措置に関する指針」は,いわゆるクーリング期間を意識して派遣先が対応することを禁ずるものではない。被告は,確かにクーリング期間を意識することもあったが,現場のラインで,派遣労働者の中には臨時従業員として稼働するより派遣労働者として稼働することを希望する者もいるという話が出ていたことから,有期労働契約で3か月と若干日という期間設定をしていたのであって,公序良俗に反するものではない。 さらに,被告に派遣受入れしたP19の従業員による臨時従業員に対する契約更新の意思確認に当たっては,被告の人事担当として契約の更新の申入れを行い,契約更新の意思の有無を確認するのが目的であり,本人の意思で再び派遣労働者として被告で稼働したいというのであれば別であるが,P19の従業員から対象の臨時従業員に対して再び派遣労働者に戻らないかという勧誘は絶対しないように,被告からP19の従業員に対し注意を喚起しており,信義則違反はない。 イ (労働契約の継続を前提として)原告P7に対する解雇の有効性(原告らの主張)原告P7・被告間の労働契約の継続を前提とすれば,平成20年12月26日,被告が原告P7を解雇したと評価すべきであり,この解雇は整理解雇に該当するから,①人員削減の必要性,②解雇回避努力を尽くすこと,③人選基準及び具体的人選の妥当性,④事前に説明・協議義務が尽くされていることという整理解雇4要件を充足することが必要である。この解雇はこれを全く充足しておらず,無効である。 (被告の主張)原告らの主張は全体として争う。 ウ (解雇が無効である場合)原告P7の賃金請求権の内容 - 53 -(原告らの主張)原告P7は,被告から,平成18年11月~平成19年1月に,平均月額賃金28万76 して争う。 ウ (解雇が無効である場合)原告P7の賃金請求権の内容 - 53 -(原告らの主張)原告P7は,被告から,平成18年11月~平成19年1月に,平均月額賃金28万7697円を受給しており,原告P7は解雇後の賃金請求権として月額同額の請求権を有する。 第1グループ原告らの賃金請求権の際に論じたとおり,臨時従業員就業規則7条から,満期慰労金として,契約期間満了月の翌月23日に42万円を支払うことを合意していたから,原告P7は,平成21年8月23日を始期として,上記の内容の請求権を有する。 (被告の主張)原告らの主張は争う。 (5) 第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7の地位確認に係る予備的請求についてア被告・各請負会社間の業務請負契約並びに原告P1,原告P2,原告P3,原告P5及び原告P7と各請負会社間の労働契約が無効であることに基づく被告との間の期間の定めのない黙示の労働契約の成否(原告らの主張)原告P1,原告P2及び原告P3が被告に請負労働者として勤務した始期は,原告P1が平成17年6月10日,原告P2が同月ころ,原告P3が平成14年10月25日,原告P7が平成15年4月1日であり,原告P5は平成16年10月中旬~平成17年4月30日の間,被告と業務請負契約を締結していたP16の請負労働者としてβ工場で勤務していた可能性がある。 上記原告らは,常時請負契約の注文主である被告の直接の指揮命令を受けて就労し,請負会社の従業員として被告から独立して作業をするという請負の実態は全くなかった。よって,上記原告らに係る被告・各請負会社間の契約は,上記原告らを被告の指揮命令を受けて被告のために労働に従事させる目的で締結した労働者供給契約であり,各請負会社・上記原告ら間の労働契 全くなかった。よって,上記原告らに係る被告・各請負会社間の契約は,上記原告らを被告の指揮命令を受けて被告のために労働に従事させる目的で締結した労働者供給契約であり,各請負会社・上記原告ら間の労働契約 - 54 -は,その目的達成のための契約であって,労働者供給事業を原則として禁止した職業安定法44条,中間搾取を禁じた労働基準法6条に違反する強度の違法性を有し,公序良俗違反(民法90条)により無効である(以下,これらの契約を「偽装請負」という。)。 被告が各請負会社との間の請負代金を,請負会社が担当する要員数をベースに1要員1時間当たりの単価を定めて計算していたことから,被告が上記原告らの賃金を実質的に決定していたといえること,上記の労働実態からして,被告・原告P1間には平成17年6月10日から,被告・原告P2間には同月ころから,被告・原告P3間には平成14年10月25日から,被告・原告P7間には平成15年4月1日(遅くとも平成17年3月1日)から,被告・原告P5間には平成16年10月中旬から,黙示の労働契約が成立していたと評価すべきであり,労働契約が期間の定めのないことが原則であるから,上記の黙示の労働契約も期間の定めがないと解するのが相当である。 (被告の主張)原告らの主張のうち,原告P5は,平成16年10月13日~平成17年4月30日の間P16の派遣労働者としてβ工場として勤務していたが請負労働者として勤務していない。 労働者派遣法違反の派遣が直ちに労働者供給(職業安定法44条)となるわけではなく,被告に職業安定法違反はないし,同法違反の法的効果として,黙示の労働契約の成立を認める法的根拠はない。請負業者が注文主から受領する報酬の一部を控除して請負業者の労働者に賃金を支払う関係であっても,請負業者が独立 法違反はないし,同法違反の法的効果として,黙示の労働契約の成立を認める法的根拠はない。請負業者が注文主から受領する報酬の一部を控除して請負業者の労働者に賃金を支払う関係であっても,請負業者が独立した事業主体として自らの計算と裁量で労働者への賃金額を決めている場合は,原則として請負業者が賃金額を決定して当該労働者に支払うという意思が推認されると解釈するのが経験則上通常である。 請負業者・被告間の請負契約を職業安定法違反の労働者供給と考えたとしても,直ちに強度の違法性を有し公序良俗違反として無効となるものではな - 55 -いし,仮に公序良俗違反で無効となっても,そこから直ちに請負業者に雇用された労働者・被告間に労働契約が成立するわけではない。 労働基準法6条(中間搾取の排除)については,請負契約又は労働者派遣契約のいずれの形態でも,労働契約関係が請負会社又は派遣会社との間に存在し,派遣先との間には存在しない以上,派遣元が第三者として労働関係に介入したとはいえず,同条で禁止された中間搾取に該当しない。 原告P1,原告P2,原告P3及び原告P7が請負労働者として被告に勤務していた期間中,作業上の指揮命令は被告がしていたが,配置(請負労働者をどの注文主に配置するか。),懲戒,解雇という請負労働者に対する基本的な労務給付請求権は被告ではなく各請負会社に存していたこと,上記原告らの採用は,各請負会社の判断で行われ,被告は関与しておらず,請負労働者の受入れに際し,請負労働者個人に着目していなかったこと,被告が,請負会社と請負代金について交渉し,個々の請負労働者や派遣労働者の賃金を直接請負労働者と交渉しておらず,請負労働者がどの程度の賃金を得ていたかは,被告は知らず,請負会社が被告と独立して決定し各労働者との間で合意しているこ て交渉し,個々の請負労働者や派遣労働者の賃金を直接請負労働者と交渉しておらず,請負労働者がどの程度の賃金を得ていたかは,被告は知らず,請負会社が被告と独立して決定し各労働者との間で合意していること,被告と取引のあった請負会社と被告とは資本関係・人的関係はなく,請負会社の取引先は被告に限られていないこと,上記原告らは,その後被告との間で雇用期間の明示された契約書及び労働条件通知書により期間の定めのある労働契約を締結し,それを前提として原告ら及びP23が被告に対し,社員登用制度の活用等により期間の定めのない契約とするように要求,要請していたことから,上記原告らと被告との間に期間の定めのない黙示の労働契約の成立を認めることはできない。 イ被告・各派遣会社間の労働者派遣契約並びに第1グループ原告ら,原告P6及び原告P7と各派遣会社との間の各派遣労働契約が無効であることに基づく被告との間の期間の定めのない黙示の労働契約の成否。労働者派遣法40条の4に基づく上記原告ら・被告間の期間の定めのない労働契約の成否 - 56 -(原告らの主張)製造業への労働者派遣が許されることとなったのは平成16年3月1日施行の改正労働者派遣法(平成15年法律第82号)の施行日(平成16年3月1日)以後であり,同施行日から起算して3年を経過する日(平成19年2月末日)までの間は,派遣可能期間の制限は1年とされている。偽装請負が実質的には労働者派遣であるから,偽装請負である業務請負契約中の原告らの就労についても,労働者派遣法上の派遣可能期間の制限との関係では,請負契約偽装請負に係る期間も派遣期間とみなすべきである。 そうすると,原告P1(偽装請負及び労働者派遣の始期が平成17年6月10日)は平成18年6月10日に,原告P2(上記の始期が平成17年 請負契約偽装請負に係る期間も派遣期間とみなすべきである。 そうすると,原告P1(偽装請負及び労働者派遣の始期が平成17年6月10日)は平成18年6月10日に,原告P2(上記の始期が平成17年6月ころ)は平成18年6月ころに,原告P3(上記の始期が平成14年10月25日)及び原告P7(上記の始期が平成15年4月1日)はいずれも平成16年3月1日(改正労働者派遣法の施行日)を始期として計算しても平成17年3月1日に,派遣可能期間の制限を超えることとなる。また,原告P4が平成18年6月14日から派遣労働者として従事していたα工場の車輌製造部車輌組立第一課のメンバー&マスカバーサブ業務は,遅くともその業務開始時である平成16年5月~平成18年9月30日の間,原告P6が平成19年10月中旬以降に派遣労働者として派遣されて従事していたβ工場のトラックのサイドギア研磨業務は,遅くとも平成17年10月中旬以前から,いずれも偽装請負に係る請負労働者又は派遣労働者を受け入れており,労働者派遣法40条の2の派遣可能期間の制限に違反していた。したがって,原告P4については,平成18年6月14日から,原告P6については,平成19年10月中旬から,労働者派遣法40条の2の派遣可能期間の制限に違反していた。 以上の被告・各派遣会社間の違法な労働者派遣契約は,いずれも上記原告らを被告の指揮命令を受けて被告のために労働に従事させる目的で締結した - 57 -労働者供給契約であり,各派遣会社・上記原告ら間の派遣労働契約は,いずれも同目的達成のための契約で,労働者供給事業を原則として禁止した職業安定法44条及び中間搾取を禁じた労働基準法6条に違反する強度の違法性を有し,公序良俗違反として無効(民法90条)である。 したがって,被告と上記原告らとの 働者供給事業を原則として禁止した職業安定法44条及び中間搾取を禁じた労働基準法6条に違反する強度の違法性を有し,公序良俗違反として無効(民法90条)である。 したがって,被告と上記原告らとの間には,黙示の労働契約が成立していたものと評価すべきであり,労働契約が期間の定めのないことが原則であるから,上記の黙示の労働契約も期間の定めがないと解するのが相当である。 被告には,同各制限超過日以降,労働者派遣法40条の4に基づき,上記原告らに対する直接雇用申込義務が生じており,同各制限超過日以降,被告が上記原告らについて指揮命令を続け,労務提供を受け続けたことは労働契約申込に当たり,上記原告らが労務提供をし続けたことは労働契約申込に対する承諾に該当するから,被告・上記原告ら間には労働契約が成立していたと評価すべきであり,労働契約が期間の定めのないことが原則であるから,上記の黙示の労働契約も期間の定めがないと解するのが相当である。 (被告の主張)原告らの主張は否認ないし争う。黙示の労働契約の成否については,上記のとおりである。 労働者派遣法40条の4は,派遣先が派遣元から派遣可能期間を超えて派遣を継続しない旨の事前通知(同法35条の2第2項)を受けたことを前提とする規定であり,事前通知がない本件には適用の余地はない。 ウ (期間の定めのない労働契約の成立を前提として)被告による第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7に対する解雇の有効性(原告らの主張)第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7と被告との間に期間の定めのない労働契約が成立しているとすれば,本件雇止めは,解雇の意思表示となり,これは整理解雇であるから,①人員削減の必要性,②解雇回 - 58 -避努力を尽くすこと,③人選基準及び具 期間の定めのない労働契約が成立しているとすれば,本件雇止めは,解雇の意思表示となり,これは整理解雇であるから,①人員削減の必要性,②解雇回 - 58 -避努力を尽くすこと,③人選基準及び具体的人選の妥当性,④事前に説明・協議義務が尽くされていることという整理解雇4要件の充足が必要である。 上記の解雇は,これを全く充足しておらず,無効である。 また,第1グループ原告らに対する解雇は,被告内でP23の組合活動を活発に行う上記原告らを被告から排除,放逐するためのものであり,労働組合法7条1号の不利益取扱いに該当するから,違法無効なものである。 (被告の主張)原告らの主張は全体として争う。 エ (被告による解雇が無効である場合)第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7の賃金請求権の内容(原告らの主張)第1グループ原告ら及び原告P5・被告間の期間の定めのない労働契約における賃金月額は,原告P1が24万9662円(平成20年10月支給分~平成21年1月支給分の平均月額賃金),原告P2が22万9088円(同上),原告P3が22万9897円(同上),原告P4が23万6752円(同上),原告P5が28万8861円(平成20年1月支給分~同年4月支給分の平均月額賃金),原告P6が25万1361円(平成19年7月支給分~同年10月支給分の平均月額賃金),原告P7が28万7697円(平成18年11月支給分~平成19年1月支給分の平均月額賃金)とするのが相当である。 (被告の主張)原告らの主張は争う。 (6) 第1グループ原告らの休業期間中の賃金請求権の有無及び額(原告らの主張)ア本件休業命令と民法536条2項「債権者の責めに帰すべき事由」の関係賃金減額を伴う休業命令に関して民法536条2項の債権者の ープ原告らの休業期間中の賃金請求権の有無及び額(原告らの主張)ア本件休業命令と民法536条2項「債権者の責めに帰すべき事由」の関係賃金減額を伴う休業命令に関して民法536条2項の債権者の責めに帰す - 59 -べき事由の判断に当たっては,休業命令の実施により労働者が被る不利益の程度,労働者間の不利益扱いに差が生じているか,休業命令実施に係る使用者側の必要性の内容及び程度,労働組合等との交渉経緯,他の労働組合又は他の従業員の対応等を総合考慮して,必要性及び合理性の有無を判断する手法によるべきである。債権者の責めに帰すべき事由については,その不存在を債権者である使用者に主張立証責任があると解すべきである。 イ本件休業命令の必要性及び合理性について本件休業命令は,以下の各事情によれば,必要性及び合理性が全くなく,第1グループ原告らは被告の責めに帰すべき事由により就労できなくなったのであるから,第1グループ原告らは,被告に対し,当該休業期間中の賃金全額の支払請求権を有する。 (ア) 「優良な被告の経営状況」「子会社からの労働者の受入れ」については,上記のとおり。 (イ) 正社員に対し休業命令を発しない状況下での本件休業命令の必要性正社員と臨時従業員とを比較して,労働契約法上,臨時従業員の方が解雇事由が厳しく制限されている(同法16条,17条)ことからすれば,期間の定めの雇用保障的意義に照らし,正社員から優先的に賃金減額を伴う休業を命じるべきであり,その必要性が生じた場合でも,臨時従業員に対する休業命令及び実質的な賃金減額を正社員に対するものよりも先行させる必要性は存しないというべきである。 (ウ) 更なる人員削減の必要性の欠缺上記主張と同様の他,①β工場及びα工場では,平成20年12月末日までに,12 額を正社員に対するものよりも先行させる必要性は存しないというべきである。 (ウ) 更なる人員削減の必要性の欠缺上記主張と同様の他,①β工場及びα工場では,平成20年12月末日までに,12.24合意解約申入れに対し,β工場の148名及びα工場の356名の合計504名が合意解約に応じ,同日時点で被告に残った臨時従業員は,β工場の7名及びα工場の42名の合計49名であったこと,②平成21年1月~同年3月の間に更にβ工場の1名及びα工場の35 - 60 -名の合計36名が合意解約に応じた結果,同年4月2日時点では,β工場の149名及びα工場の392名の合計541名が合意解約に応じ,結局,被告に残った臨時従業員は,β工場の6名及びα工場の6名の合計12名に過ぎなかったことからすれば,平成21年1月以降,被告に残った臨時従業員(上記12名~49名)が従事すべき業務は存在し,また,賃金を全額支払うことは十分可能であったものであって,本件休業命令の必要性は存しなかった。 (エ) 労働条件の変更についての事前協議約款違反P23と被告との間には,本件覚書が締結され,その3項で本件事前協議約款を定めているが,これは,雇用・労働条件の変更は団体交渉で事前協議した後に実施するという意味である。 ところが,被告は,平成20年12月24日,12.24合意解約申入れで,P23に対し,2日間で「退職」か休業かの選択を迫る性急かつ乱暴な申入れをし,その後の団体交渉でも,休業している正社員及び定年後再雇用従業員に対しては賃金全額相当額の休業手当を支払う一方,臨時従業員に対しては本件休業の期間中,平均賃金の6割の休業手当しか支給しない取扱いを強行しており,明らかな不誠実団体交渉を繰り返していた。 (オ) 臨時従業員退職促進及び労働組合活動妨害目的 臨時従業員に対しては本件休業の期間中,平均賃金の6割の休業手当しか支給しない取扱いを強行しており,明らかな不誠実団体交渉を繰り返していた。 (オ) 臨時従業員退職促進及び労働組合活動妨害目的被告は,本件休業命令発令の際,臨時従業員のうち,合意解約に応じた者には平均賃金の85%を支給するが,これに応じない者には休業手当として平均賃金の6割を支給する取扱いとした。合意解約に応じた者を優遇する必要性及び合理性はないことから,この取扱いは,被告が,多くの臨時従業員が合意解約に応じずに被告に残り,P23に加入して賃金全額支払や有期労働契約の更新を要求することを恐れたことに基づくものである。 このような取扱いは,臨時従業員の退職を促進し,労働組合の活動を妨害するためのものであるといわざるを得ない。 - 61 -(カ) 休業手当に関する正社員及び定年後再雇用従業員との不合理な差別被告は,正社員及び定年後再雇用従業員にも休業を実施しているが,その際,臨時従業員とこれらの者とは就業規則上の休業手当に関する規定内容が同じであるのに,正社員及び定年後再雇用従業員に対しては賃金全額相当額の休業手当を支払っており,臨時従業員と正社員及び定年後再雇用従業員とを不合理に差別したものである。 (キ) 臨時従業員就業規則43条の位置付け被告は,臨時従業員就業規則43条により本件休業に際して臨時従業員に支払われる休業手当の額が平均賃金の6割となると説明しているが,同条は労働基準法26条の規定内容を確認したものであるから,この規定により民法536条2項の適用が排斥されるものではない。 (被告の主張)ア民法536条2項の要件事実の主張立証責任は,使用者の帰責事由の存在を含めすべて原告らにある。 イ本件休業命令の必要性及び合理性について の適用が排斥されるものではない。 (被告の主張)ア民法536条2項の要件事実の主張立証責任は,使用者の帰責事由の存在を含めすべて原告らにある。 イ本件休業命令の必要性及び合理性について(ア) 「被告の経営状況」「子会社からの労働者の受入れ」については,上記の被告の主張のとおりである。 平成21年1月以降,被告の生産直接部門で正社員すら相当数の剰員となっている状況下では,休業の必要性が存することは明らかである。 (イ) 正社員に対し休業命令を発しない状況下での本件休業命令の必要性わが国の労働法制の下では,期間従業員と期間の定めのない正社員について,労働契約の締結段階から同終了段階までの間で様々な差異を設け,期間従業員に比して期間の定めのない正社員について手厚く処遇することが,当然の前提とされており,被告でも,生産部門に従事する正社員は,期間の定めのない労働契約であり,高校を卒業後新卒で入社し,その後60歳で定年退職(嘱託再雇用の場合もある。)するまでの長期にわたり被 - 62 -告で就労することを予定しているのに対し,臨時従業員は,あらかじめ期間を定めた労働契約であり,その業務は生産の繁忙期に生産作業のみに従事することを前提としているため,自ずと正社員とは処遇が異なる。そうすると,本件のように生産直接部門に従事する臨時従業員全員のみならず正社員にも相当数剰員が生じている場合に,臨時従業員からまず休業とすることに何ら問題はなく,第1グループ原告らにつき休業として取り扱う必要性が存することに何ら変わりはない。 (ウ) 労働条件の変更についての事前協議約款違反の有無等本件覚書に署名した被告総務担当のP35及びP36には,被告を代表して労働協約を締結する権限を有しておらず,同覚書は無効である。 (ウ) 労働条件の変更についての事前協議約款違反の有無等本件覚書に署名した被告総務担当のP35及びP36には,被告を代表して労働協約を締結する権限を有しておらず,同覚書は無効である。 被告は,12.24合意解約申入れで,承諾期間を平成20年12月26日までと定める一方で,同日までに到達しなかった場合でも,やむを得ない場合には,個別事情を踏まえて被告の判断で承諾を受け付ける場合がある旨明記し,実際に,そのような取扱いをしており,原告が主張するような性急かつ乱暴な申入れをしたものではない。 民法536条2項の帰責事由の存否は,取引の一般原則である過失責任主義に基づいて客観的に定まるものであり,使用者と労働組合との交渉過程は,帰責事由の存否に係る考慮要素になり得ないし,被告はP23と繰り返し団体交渉を行い,休業について誠実に必要な説明をしている。 (エ) 臨時従業員退職促進及び労働組合活動妨害目的の有無合意解約に応じた臨時従業員に対する平均賃金の85%の支給は再就職支援の一環としての特別退職金である一方,合意解約に応じない臨時従業員の休業手当額は,個別の労働契約書8条で個別合意の内容となっている臨時従業員就業規則43条で定める平均賃金の6割を支払っているものであって,このような取扱いに何ら問題はなく,臨時従業員退職促進及び労働組合活動妨害目的が存する旨の原告の主張には理由がない。 - 63 -(オ) 休業手当に関する正社員と定年後再雇用従業員との不合理な差別の有無上記の被告の主張の他,再雇用従業員については,平成18年4月施行の改正高年齢者等の雇用の安定等に関する法律9条により,65歳未満の定年の定めをしている企業は,定年年齢の引上げ,継続雇用制度の導入,定年廃止の雇用確保措置を講ずることが義務付けら 成18年4月施行の改正高年齢者等の雇用の安定等に関する法律9条により,65歳未満の定年の定めをしている企業は,定年年齢の引上げ,継続雇用制度の導入,定年廃止の雇用確保措置を講ずることが義務付けられ,継続雇用制度で再雇用される労働者は,たとえ有期労働契約であっても,そうでない期間労働者(被告における臨時従業員)に比して,休業手当の支給の面においてより手厚い保護を受けるとしても,何ら法的に問題はない。実質的にみても,正社員として定年まで勤め上げた従業員は企業にとってはより大切な存在であって,再雇用従業員がそうでない臨時従業員に比して休業手当の支給の面でより手厚い保護を受けるとしても,何ら問題はない。 (カ) 臨時従業員就業規則43条に係る個別合意について被告は,第1グループ原告らとの間で,労働条件について,臨時従業員就業規則の内容によることを労働契約書8条で合意している。臨時従業員就業規則43条によれば,被告と第1グループ原告らとの間には,休業手当を平均賃金の6割とする旨の個別合意が存在することとなり,当該個別合意の存在は,本件休業命令の合理性を基礎付けるものである。 (7) 原告らの被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無及び額ア第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7について(原告らの主張)上記の原告らの主張で主張したとおり,被告の第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P5に対する違法な雇止め又は解雇は,上記原告らに対する不法行為を構成し,これについて被告に故意ないし重過失がある。 被告は,上記で主張したとおり,上記原告らに対し,偽装請負に係る請負労働者ないし派遣可能期間制限に違反した状況下での派遣労働者としての勤務を余儀なくさせ,詐欺に該当する説明等で誤信させて臨時従業員としての で主張したとおり,上記原告らに対し,偽装請負に係る請負労働者ないし派遣可能期間制限に違反した状況下での派遣労働者としての勤務を余儀なくさせ,詐欺に該当する説明等で誤信させて臨時従業員としての - 64 -労働契約の解消を余儀なくさせる等しており,これらは,上記原告らに対する不法行為を構成し,これについて被告に故意ないし重過失がある。 第1グループ原告らに関する11.17解雇予告通知は,違法無効であることが明白であり,これにより第1グループ原告らは,生活への不安の他,解雇予告効力停止及び賃金仮払仮処分申立てや解雇撤回を求めるための組合活動等,多大な労力等の負担や精神的負担を負い,平均賃金の4割カットを伴う本件休業により,生活費にも事欠く生活を余儀なくされ,賃金仮払仮処分申立てや本件訴訟提起等,多大な労力等の負担や精神的苦痛を受けた。 さらに,「有期労働契約の締結,更新及び雇止めに関する基準」4条は,「使用者は,有期労働契約(当該契約を1回以上更新し,かつ,雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限る。)を更新しようとする場合では,当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて,契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない。」と定め,労働契約法17条2項は,「使用者は,期間の定めのある労働契約について,その労働契約により労働者を使用する目的に照らして,必要以上に短い期間を定めることにより,その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。」と定めているが,第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7は,臨時従業員として被告に雇用された際,これらの規定又はその趣旨に反して,契約期間6か月,5か月,3か月,2か月という短期間の雇用を強いられ,契約期間5か月以下の雇用を強いられたこと 及び原告P7は,臨時従業員として被告に雇用された際,これらの規定又はその趣旨に反して,契約期間6か月,5か月,3か月,2か月という短期間の雇用を強いられ,契約期間5か月以下の雇用を強いられたことで,満期慰労金の金額が少額に留まるという損害を被り,精神的苦痛を受けた。 被告の不法行為により上記原告らが被った精神的苦痛を金銭評価した額に弁護士費用額(損害賠償額の1割強)を合計すれば,300万円を下ることはなく,被告は,上記原告らに対し,同額の損害賠償義務を負う。 (被告の主張)上記原告らと被告との間の労働契約は有効に終了し,被告の労働契約終了 - 65 -時の対応につき,被告には不法行為を構成する違法性はない。 仮に被告で過去労働者派遣法等の行政法規に何らかの違反があったとしても,行政法規への抵触が上記原告らに対する私法上の不法行為を構成するわけではなく,慰謝料請求を認めるべき苦痛を上記原告らに与えたわけでもないから,上記原告らに被告に対する損害賠償請求権は何ら存しない。 「有期労働契約の締結,更新及び雇止めに関する基準」4条は努力規定に過ぎず,労働契約法17条2項も訓示規定であるから,これらの規定は慰謝料請求の根拠規定たり得ない上,被告には契約期間をどのように設定するかも含め採用の自由があり,上記原告らにおいても,契約期間及び同契約期間に対応して満期慰労金が算出されることを十分認識して被告と契約を締結したものであって,当該契約締結に不法行為が成立する余地はない。 イ第5グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7について(原告P5,原告P6及び原告P7については予備的請求)(原告らの主張)(ア) 本件労働者派遣契約中途解約に係る慰謝料平成20年11月に被告によってされた本件労働者派遣契約中途解約は,各派遣会 P5,原告P6及び原告P7については予備的請求)(原告らの主張)(ア) 本件労働者派遣契約中途解約に係る慰謝料平成20年11月に被告によってされた本件労働者派遣契約中途解約は,各派遣会社に債務不履行等の存しないもので,各労働者派遣契約の中途解約に関する条項にも違反する違法無効なものである。そして,本件労働者派遣契約中途解約は,労働者派遣法27条で禁止する公序に反する労働者派遣契約の解除として無効である。 被告は,各派遣会社に対する支配的地位を利用して本件労働者派遣契約中途解約をし,各派遣会社をして第5グループ原告らを解雇させたのであるから,本件労働者派遣契約中途解約は,各派遣会社が第5グループ原告らに対してした違法な解雇と一体の行為であり,第5グループ原告らとの関係で民法上不法行為を構成する。 仮に,被告の申入れに基づいて,被告と各派遣会社が労働者派遣契約を - 66 -合意解約しても,上記と同様,被告は,各派遣会社に対する支配的地位を利用して各派遣会社に合意解約に応じさせ,各派遣会社をして第5グループ原告らを解雇させたのであるから,被告の合意解約の申入れ及び合意解約は,第5グループ原告らとの関係で民法上不法行為を構成する。 第5グループ原告らは,被告による労働者派遣契約の違法な中途解約を原因とする各派遣会社の解雇により職を失い,生活の糧を失うのみならず,住む場所を追われる等の精神的苦痛を被った。 仮に原告P5,原告P6及び原告P7の地位確認請求等が認められない場合,上記原告らも,第5グループ原告らと同様,被告による労働者派遣契約の違法な中途解約を原因とする各派遣会社の解雇により職を失い,生活の糧を失い,住む場所を追われる等の精神的苦痛を被ったこととなる。 (イ) 派遣期間制限違反の労働者派遣に係る慰謝料被 者派遣契約の違法な中途解約を原因とする各派遣会社の解雇により職を失い,生活の糧を失い,住む場所を追われる等の精神的苦痛を被ったこととなる。 (イ) 派遣期間制限違反の労働者派遣に係る慰謝料被告は,第5グループ原告らを派遣期間制限違反の状況下で働かせていた。製造業への労働者派遣が許されることとなったのは改正労働者派遣法の施行日(平成16年3月1日)以後であり,同施行日から起算して3年を経過する日(平成19年2月末日)までの間は,派遣可能期間の制限は1年とされており,偽装請負が実質的には労働者派遣であり,労働者派遣法上の派遣可能期間の制限との関係では偽装請負に係る期間も派遣期間とみなすべきであるが,第5グループ原告らの所属部署及び担当業務(原告P8がPT製造第三部ENG組立課のEA-3後半A,B業務,原告P9がPT製造第二部小型ENG組立課のML-D・マーシャル後半業務,原告P10がPT製造第一部大型ENG機械課のP・6W・CRANK・P・6W・6S・6HCAM業務,原告P11がPT製造第一部F/D(ファイナルドライブ)機械・熱処理課のDIFFGEAR業務,原告P12がPT工務部PT第一生産管理課のピッキング出庫業務A)については,第5グループ原告らがそれぞれ当該各部署に配属された時点でいずれも派遣 - 67 -可能期間の制限違反の状態であったことから,被告としては,第5グループ原告らとの間で期間の定めのない労働契約を締結して直接雇用すべきであったが,それにもかかわらず,被告は,第5グループ原告らを派遣労働者として業務に従事させる違法行為を継続したものである。 第5グループ原告らは,このような被告の違法行為により,期間の定めのない労働者として直接雇用される利益及び人格権すなわち満期慰労金を含むより高い賃金で安定雇用される利 法行為を継続したものである。 第5グループ原告らは,このような被告の違法行為により,期間の定めのない労働者として直接雇用される利益及び人格権すなわち満期慰労金を含むより高い賃金で安定雇用される利益と人格権を侵害された。 仮に原告P5,原告P6及び原告P7の地位確認請求等が認められない場合,上記原告らも,第5グループ原告らと同様,上記の被告の違法行為により,期間の定めのない労働者として直接雇用される利益及び人格権すなわち満期慰労金を含むより高い賃金で安定雇用される利益と人格権を侵害されたこととなる。 (ウ) 上記の被告の当該不法行為により第5グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7(上記原告らの地位確認請求等が認められない場合)が被った精神的苦痛の金銭評価額に弁護士費用額(損害賠償額の1割強)を合計すれば,300万円を下ることはない。 (被告の主張)各労働者派遣契約の解除についての慰謝料について,第5グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7について,被告は各派遣会社との労働者派遣契約を各契約に基づいて中途解除したのであって,被告と派遣会社は一体ではなく,少なくとも被告が上記原告らを解雇したわけでもないから,上記原告らに被告に対する損害賠償請求権は何ら存しない。 派遣期間制限違反の労働者派遣についての慰謝料について,仮に被告において過去労働者派遣法等の行政法規に何らかの違反があったとしても,行政法規に抵触することが上記原告らに対する私法上の不法行為を構成するわけではなく,慰謝料請求を認めるべき苦痛を上記原告らに与えたわけでもない - 68 -から,上記原告らに被告に対する損害賠償請求権は存しない。 第3 当裁判所の判断 1 第1グループ原告らの地位確認に係る主位的請求等について(1) 本件雇止めについての ない - 68 -から,上記原告らに被告に対する損害賠償請求権は存しない。 第3 当裁判所の判断 1 第1グループ原告らの地位確認に係る主位的請求等について(1) 本件雇止めについての解雇に関する法理の類推適用の有無ア認定事実(認定に用いた証拠は項目ごと又は事実ごとに掲記した。)(ア) 被告によるいわゆる非正規雇用の活用の推移(甲6,7,乙119,120,282,283,344,370,375,乙402の1~11,乙452,453,458,471,472,証人P37,証人P38)a 概要被告での昭和54年~平成21年の正社員(全技能職),臨時従業員,派遣労働者(社員)及び請負労働者(社員)の数の推移は,別紙1「社員(全技能職)及び社員外在籍推移」のとおりであり,棒グラフで表したのが,別紙2「社員(全技能職)及び社員外在籍推移グラフ」である(ただし,請負労働者については,平成14年11月以降,被告で同年末までに約1000人,平成15年半ばまでに約2000人の請負社員を受け入れていたが,現在被告が把握している人数は,別紙1及び別紙2記載の人数に限られている。)。 b 昭和54年~平成14年10月の臨時従業員数昭和57年及び昭和58年に臨時従業員数が0人となったのは,日米自動車部貿易摩擦解消を目的とする対米自動車輸出規制の影響により,被告の自動車生産台数が減少し,正社員のみによる生産が可能となったためである。 昭和61年及び昭和62年に臨時従業員数が0人となったのは,急激な円高ドル安の結果,売上高に占める輸出比率の高い被告の生産台数が落ち込み,正社員のみによる生産が可能となったためである。 平成12年~平成14年10月に臨時従業員数が0人となったのは, - 69 -バブル経済崩壊後の景気低迷等を背景と い被告の生産台数が落ち込み,正社員のみによる生産が可能となったためである。 平成12年~平成14年10月に臨時従業員数が0人となったのは, - 69 -バブル経済崩壊後の景気低迷等を背景として,商用車需要が停滞し,正社員のみによる生産が可能な情勢となったためである。 c 平成14年11月~平成17年9月の正社員数及び請負労働者数平成14年11月,同年9月に実施した希望退職募集への応募により被告の正社員(全技能職)数が約2500人減少し,その結果,直接生産部門所属の技能職正社員は約3400人となったが,被告は,同月以降の被告の直接生産部門での大幅な要員不足については,1000人~2000人の請負労働者を同部門の作業に従事させることで対応した。 なお,この請負労働者は,その全員が被告の製造現場のラインに組み込まれ,正社員と混在して,正社員のライン長やチームリーダーの指揮命令の下で業務に従事していた。 これに先立つ平成13年5月28日,被告は,業績のV字回復を目指すための中期経営計画である「P39」を発表し,計画の柱として,γ工場を閉鎖し,α工場とβ工場に機能集約することや,人員削減(被告単体3300名,国内販社2000名,関連企業4400名の合計9700名)等を掲げ,また,平成14年6月,P19,P15等の請負業者と請負基本契約を締結した。 d 平成17年10月~平成18年4月の正社員数及び派遣労働者数物の製造業務への労働者派遣を適法化した労働者派遣法の平成15年改正法(平成15年法律第82号,平成16年3月1日施行。ただし,平成19年2月末日までの派遣可能期間は1年)の施行後の平成17年10月以降,被告は,従前の請負労働者に代えて,直接生産部門に第1グループ原告らを含む約2000人の派遣労働者を受け入れた。 被告は, 成19年2月末日までの派遣可能期間は1年)の施行後の平成17年10月以降,被告は,従前の請負労働者に代えて,直接生産部門に第1グループ原告らを含む約2000人の派遣労働者を受け入れた。 被告は,同月1日から,P15,P19,P14等の派遣会社の従業員(現場監督ら)を,総務人事部β総務グループ及びα労務グループに派遣受入れし,派遣労働者の労務管理全般に専属的に当たらせていた。 - 70 -e 平成18年5月~平成20年12月の派遣労働者数及び臨時従業員数被告は,平成18年5月15日に期間満了を迎える生産直接部門の派遣労働者約210名(α工場約130名,β工場約80名)について,同月16日以降も同人らを要員として受け入れる必要があると判断し,同年3月に対象者全員に対し臨時従業員としての直接雇用の申込みを行い,希望者については,臨時従業員として採用した。 被告は,同年9月30日で派遣期間満了を迎える生産直接部門の派遣労働者約1570名(α工場約1100名,β工場約470名)についても,同年10月1日以降も要員として受け入れる必要があると判断し,同年8月以降対象者全員に対して臨時従業員としての直接雇用の申込みを行い,希望者(第1グループ原告ら,原告P6及び原告P7を含む。)については,臨時従業員として採用した。 その際,被告は,同年5月,P15,P19,P14等との間で,被告の臨時従業員(期間従業員)に関する労務管理業務を委託する「労務管理委託契約」を締結し,これを更新して,派遣会社に臨時従業員(期間従業員)の労務管理に当たらせていた。これらの労務管理委託契約では,臨時従業員1名につき1か月につき5万円の報酬が被告から派遣会社に支払われることとなっていたが,これは,同派遣会社に所属する派遣労働者を被告の臨時従業員として移籍さ 。これらの労務管理委託契約では,臨時従業員1名につき1か月につき5万円の報酬が被告から派遣会社に支払われることとなっていたが,これは,同派遣会社に所属する派遣労働者を被告の臨時従業員として移籍させることにより,同派遣会社が派遣契約の対価を取得できないことについて,被告が同派遣会社に対しその補償を行うという意味をも有していた。 f 平成21年1月~同年4月の派遣労働者数及び臨時従業員数前記前提事実のとおり,本件労働者派遣契約中途解約,12.24合意解約申入れ,3.26合意解約申入れ及び本件雇止めにより,平成21年4月までに,被告の派遣労働者数及び臨時従業員数は0となった。 g その後,被告は,平成22年7月に臨時従業員の採用を再開した。 - 71 -(イ) 第1グループ原告らの契約形態a 募集形態第1グループ原告らは,平成18年9月当時,いずれも派遣労働者として勤務していた。原告P1,原告P2及び原告P3は,被告作成の「期間従業員募集概要」記載のとおり契約期間「3ヶ月1週間(‘06/10/1~’07/1/7)」,勤務地「β工場」,所定勤務時間「8:15~17:00(昼勤),21:30~6:15(夜勤)」,休日「当社就業カレンダーの通り」,給与例「日給9,000円」,月収例「合計189,000円~284,848円」「(3ヶ月勤務時)満期慰労金170,000円」等の募集内容に応じて,また,原告P4は,被告作成の「期間従業員募集」記載に係る応募資格「18歳~50歳までの方。 (学歴不問)但し,40歳以上の方は自動車製造ライン作業経験者に限ります。」,仕事「自動車製造に関する作業で特に経験や技術は必要ありません。(配属は会社が決定)」,契約期間「3ヶ月~6ヶ月(契約期間延長の場合もあります。)」,勤務地「α工場・β工場」 経験者に限ります。」,仕事「自動車製造に関する作業で特に経験や技術は必要ありません。(配属は会社が決定)」,契約期間「3ヶ月~6ヶ月(契約期間延長の場合もあります。)」,勤務地「α工場・β工場」,所定勤務時間「8:15~17:00(昼勤),21:30~6:15(夜勤)」,休日「当社就業カレンダーの通り」「日給9,000円」,月収例「合計189,000円~284,848円」「(6ヶ月勤務時)満期慰労金420,000円」等の募集内容に応じて,平成18年10月1日から被告の臨時従業員となった。 (乙188,194)b 契約内容第1原告グループらの契約内容は,前記aの契約期間(当初),勤務地,所定勤務時間,休日,日給及び満期慰労金について募集内容どおりである他,前記前提事実のとおり,臨時従業員就業規則上,3年規定を含む労働契約の期間及び更新に関する規定(7条)等が設けられていた。また,契約期間満了で退職する者については,勤務期間と不就業(欠勤, - 72 -代休)日数に応じて契約期間満了時に満期慰労金が支払われることとされ,その額は,勤務期間1か月以上2か月未満の場合3万円(不就業1日以内),2か月以上3か月未満の場合6万円(不就業2日以内),3か月以上4か月未満の場合17万円(不就業3日以内),4か月以上5か月未満の場合25万円(不就業4日以内),5か月以上6か月未満の場合35万円(不就業5日以内),6か月以上7か月未満の場合42万円(不就業6日以内)となっていた。(乙4,187~197,乙A3の1,乙B3の1,乙C3の1,乙D3の1)c 契約更新についての運用状況(a) 被告は,第1グループ原告らを含む臨時従業員らに対し,臨時従業員就業規則を交付したり,説明会を開いてその内容を説明する等して,3年規定を含む臨時従業 1)c 契約更新についての運用状況(a) 被告は,第1グループ原告らを含む臨時従業員らに対し,臨時従業員就業規則を交付したり,説明会を開いてその内容を説明する等して,3年規定を含む臨時従業員就業規則の内容や2年11か月運用についての周知を図った。(甲104,甲D2,乙4,178,325,証人P40,証人P41,原告P1,原告P7)(b) 第1グループ原告らと被告との間の契約更新の際には,改めて契約書を作成する形式がとられていたが,一部の契約書について,第1グループ原告らの署名・押印について他の者が代署したり,第1グループ原告らから印鑑を預かっていた被告担当者が押印したことがあった他,第1グループ原告らが,業務従事中の短時間の間に署名・押印を求められて作成したこともあった。 (甲A3,甲C3,乙A3の1~8,乙B3の1~8,乙C3の1~8,乙D3の1~8,乙F3の1~4,原告P3,原告P6)(c) 平成19年2月23日,被告は,α工場の車両生産分門の小型トラック完成車(○)の生産量の大幅な減少に伴い,同年4月中に契約期間満了日を迎える臨時従業員のうち,小型トラック組立関連職場に在籍する者(契約通算期間が2年11か月に満たない。)について,契約 - 73 -更新要請をしない旨通知し,その結果,当該契約期間満了日に合意退職により49名の臨時従業員が退職した。また,平成20年3月~同年11月の間,35名の臨時従業員(β工場10名,α工場25名。 原告P5を含む。)が,2年11か月運用に基づいて被告を合意退職した。(乙181,299,325,証人P40,証人P41)(ウ) 第1グループ原告らの具体的業務内容・態様第1グループ原告らは,いずれも,被告の工場(β工場又はα工場)で,自動車部品を組立て又はその部品の収集・整 9,325,証人P40,証人P41)(ウ) 第1グループ原告らの具体的業務内容・態様第1グループ原告らは,いずれも,被告の工場(β工場又はα工場)で,自動車部品を組立て又はその部品の収集・整理・搬送を行う部署(いわゆる生産直接部門)で,次のとおり業務に従事していた。 原告P1は,β工場で,PT製造第一部PT第一生産管理課(本件雇止め当時)に配属され,その仕事内容は,一貫してエンジン部品の搬送・格納であった。具体的には,工場内に運ばれてきたエンジン部品をフォークリフトを使って仕分けし,組立ライン近くの所定の位置に格納することと,当該所定位置に部品が無くなったら補充をするという業務に従事していた。 この業務は,被告の正社員であるチームリーダーやライン長の指示によって行われ,同じ業務を担当する者が2,3名おり,原告P1と同じ仕事をする者には,臨時従業員,正社員及び派遣労働者が混在していた。また,日常業務で問題となった事柄について,原告P1が提案した改善案が採用されたことがあった。(甲A2,原告P1)原告P2は,β工場で,PT製造第一部ENG組立課(本件雇止め当時)に配属され,大型エンジンの組立に従事していた。大型エンジン組立工程では,課長,ライン長の他正社員,臨時従業員,正社員及び派遣労働者が混在して作業していた。また,原告P2は,ボルトを締める機械にボルトが噛む等のトラブルが発生した際には,機械の保全係を呼ぶことなく自身で処理していた。(甲B2,3)原告P3は,β工場で,PT製造第一部PT第一生産管理課(本件雇止 - 74 -め当時)に配属され,エンジン部品を集める作業,具体的には,自動でエンジン部品を運ぶ「P24」という自走式搬送車までエンジン部品を運び,P24に部品を乗せて組立場所まで当該エンジン部品を流すという作 め当時)に配属され,エンジン部品を集める作業,具体的には,自動でエンジン部品を運ぶ「P24」という自走式搬送車までエンジン部品を運び,P24に部品を乗せて組立場所まで当該エンジン部品を流すという作業に従事した。原告P3の部署には,正社員,臨時従業員及び派遣労働者が混在して作業をしていた。日常業務で問題となった事柄について,原告P3が提案した改善案が採用されたことがあった。(甲C2,原告P3)原告P4は,α工場で,一貫して大型車輌の組立ラインのうち,キャブメンバー(トラック運転席の下方部分(キャブ)を支える部品)の組立工程(サブ加工工程)に従事していた。原告P4の配属されたチームの総数は20~30名で,うち10名強のメンバーが同工程で働いており,同工程では,正社員,臨時従業員及び派遣労働者が混在して作業をしていた。 また,原告P4は,部品(パワステホース等)の取付け,エアクリーナーの取付けも行っていた。さらに,原告P4は,他部署から移ってきた正社員等に対し,同工程の仕事を教えることもあった。(甲D2)(エ) 被告内における臨時従業員と正社員との差異(乙344)a 採用について被告の正社員(技能職)採用の多くを占める定期採用は,すべて新規高校卒業者に限定しており,採用スケジュールは,毎年7月1日の学校訪問解禁に合わせ求人票を持参して高校の進路指導担当を尋ね,就職の依頼,生徒の進路に関する情報交換を行った後,平成20年度の場合は9月16日の選考試験解禁日以降各地区で順次選考試験を実施し,能力評価及び人物評価の両面から判断して選考基準に達した者は高校を通じ内定通知書を送付し,内定後,内定者に対し社内報等による情報提供等をして,内定者のフォローを行っている。(乙9~12)一方,臨時従業員については,正社員のように定期採用の概念は した者は高校を通じ内定通知書を送付し,内定後,内定者に対し社内報等による情報提供等をして,内定者のフォローを行っている。(乙9~12)一方,臨時従業員については,正社員のように定期採用の概念はなく,生産現場の繁閑や退職者の発生に伴い,被告が必要と判断した時期に, - 75 -新聞,雑誌等の媒体への募集広告を掲載し,順次面接を行い,被告の現場作業に適しているかという基準から面接官が採用の合否を即決した上で,その場で内定通知書を手交する。採用内定後入社までの間,一切被告からのフォローはないが,面接から入社まで早い場合は数日間,長い場合でも数週間程度しかない。(乙13~15)b 担当業務について生産直接部門の中で,臨時従業員は,上記の第1グループ原告らの担当業務のとおり,全員が比較的短期間で一通り従事することが可能な作業を中心に担当していた。 他方,正社員は,臨時従業員の行っている作業に加え,資格を要する業務,安全に特に配慮を要する業務,異常対応を要する業務,品質保持に特に密接に関連する業務,長期間にわたる経験の蓄積を要する業務,高度の専門知識を要する業務も担当することが予定され,また,習熟する業務の範囲も臨時従業員に比べて広範囲となることが予定されている。 また,再雇用従業員についても,正社員と同様の業務を担当している。 c 配置について定期技能職社員(正社員)の配属先職場は,直接生産部門だけではなく,設備の保全や品質管理,技術部等生産間接部門はもちろん,開発部門をはじめ営業部門,購買部門等広範囲にわたっている。他方,臨時従業員は,生産部門のうち,直接生産部門にのみ配属されている。 被告の設備保全を行う部署等における作業に必要とされる公的資格について,正社員に対しては,業務として資格取得を命ずることがあるが,直接 業員は,生産部門のうち,直接生産部門にのみ配属されている。 被告の設備保全を行う部署等における作業に必要とされる公的資格について,正社員に対しては,業務として資格取得を命ずることがあるが,直接生産職場における生産作業に従事することを前提とする臨時従業員に対しては,基本的にこれを命ずることはない。 正社員は,入社から定年まで同じ部署に在籍するとは限らず,必要に応じて定期入社社員として配属された部署と異なる部署への異動が実施 - 76 -されるが,臨時従業員は,現場における生産作業と異なる部署への異動は実施していない。(乙20)d 育成について正社員は,入社時,若手,中堅及び管理監督者という段階に応じた教育体系を設けている(例えば,定期技能職として入社直後に,年約2週間の導入教育を実施している。)が,臨時従業員については,入社時の安全教育及び職場配属時の作業習熟教育の他は実施していない。(乙2,22,23)正社員は,定期新入社員として入社した者の中から選抜して,社内にあるP31学校(神奈川県認定職業訓練校)で11か月間,車づくりの基礎を学ぶ制度がある。また,課長補以上を除くすべての正社員を対象とした公的資格取得に対する援助制度が設けられている。 (乙2,371,372)e 処遇について正社員については,担っている仕事及び役割の大きさに基づいて等級区分を行い,等級ごとに階層別教育を実施している他,役割定義に照らして上位の役割を担う実力があると期待される場合に役割等級の上位への変更を実施しているが,臨時従業員については,同様の区分はない。 (乙3,4)。 正社員の基準給与は,主に役割等級に応じた「基準給」,役割等級ごとに期待される行動ができたかを評価する「行動給」(毎年期初の査定により決定),期初に立て は,同様の区分はない。 (乙3,4)。 正社員の基準給与は,主に役割等級に応じた「基準給」,役割等級ごとに期待される行動ができたかを評価する「行動給」(毎年期初の査定により決定),期初に立てた目標を達成できたかを評価する「業績給」(半期ごとに実施する賞与査定の結果が反映される。)の3つからなる。臨時従業員の給与は,本給が日給9000円と定額である。(乙16,17)正社員の退職金制度は,入社から退職まで毎年の基準内給与に基づいて付与される額の合計により退職金が決定する制度となっており,長期 - 77 -勤続者がより高額の退職金を受け取れるように退職金カーブが設計されている。他方,臨時従業員については,契約期間満了の場合(契約途中退職の場合は,3か月以上勤務した場合に限り規定の半額)に,当該契約期間に応じて満期慰労金を支給するとしており,更新回数の多寡にかかわらず一定額である。(乙18)さらに,正社員には,技能職から事務技術職への区分を変更するための試験を設けている。(乙19)(オ) その他被告の社員登用制度は,日頃の仕事の取組や職場同僚への振る舞い等から資質があると職場で判断し,推薦された者が試験を受け,試験に合格した者のみが正社員に登用される制度であり,平成20年4月~同年10月の間に,β工場及びα工場の臨時従業員計99名が受験し,うち65名が合格した。(乙135,198,証人P37)。 なお,原告らは,原告P4について,上司から社員登用制度に向けて頑張るようにと声を掛けられる等,被告側から正社員に登用されることを期待させる言動が繰り返しあった旨主張し,甲D2には,これに沿う記載がある。しかし,仮にそのような言動があったとしても,上記認定の被告の社員登用制度の内容・運用の下,社員登用制度に係 用されることを期待させる言動が繰り返しあった旨主張し,甲D2には,これに沿う記載がある。しかし,仮にそのような言動があったとしても,上記認定の被告の社員登用制度の内容・運用の下,社員登用制度に係る試験に受験するための推薦を受けていない段階では,その言動は,雇用継続に対する合理的期待を基礎付けるとは認められないから,上記原告らの主張は採用できない。 イ判断上記認定事実によれば,①臨時従業員の募集及びその契約内容において,第1グループ原告らと被告との間では,被告が更新上限期間3年とする意向であることが示された上で期間の定めのある労働契約が締結されていたこと,②契約更新手続で,契約ごとに契約書が作成され,被告では契約期間が管理されていたこと,③これまで被告では,2年11か月運用に基づいて通 - 78 -算契約期間が2年11か月となる臨時従業員の合意退職の手続をとり,生産量の減少があった場合には通算契約期間が2年11か月に満たない臨時従業員についても契約更新をしない旨通知した上で合意退職の手続をとっていること,④被告では,期間の定めのある従業員である臨時従業員と期間の定めのない正社員とでは,採用形態,担当することが予定されている業務の範囲,育成のための措置及び処遇の各点で,明瞭な差異があり,この差異は,期間の定めの有無がその主な要因の一つとなっていると認められる上,臨時従業員から正社員に登用されるための社員登用制度が設けられ,臨時従業員は,同制度による登用によって初めて正社員たる地位を取得していること,以上の諸点に鑑みれば,第1グループ原告らと被告との間の労働契約が,実質的に期間の定めのない契約と同一の状態にあったものと認めることはできないというべきである。 他方,上記認定事実のとおり,⑤第1グループ原告らの契約が, ループ原告らと被告との間の労働契約が,実質的に期間の定めのない契約と同一の状態にあったものと認めることはできないというべきである。 他方,上記認定事実のとおり,⑤第1グループ原告らの契約が,本件雇止めまでの間,最短で2か月,最長で6か月の雇用期間で計7回,期間にして約2年半もの間更新を重ねてきたこと,⑥第1グループ原告らの業務内容が,いずれも,生産ラインを担当するものであって,被告の生産直接部門の正社員の中に同一の業務に従事している者もいることから,臨時的・補助的な業務に限定されているとはいえないこと,⑦契約更新に係る各契約書の作成手続で,その一部の署名・押印について他の者が代署したり,被告担当者が預かっていた印鑑を使用して押印したりする等,更新手続が相当程度簡易なものとなっていたことという諸点に鑑みれば,第1グループ原告らについては,職務能力や勤務態度に問題がなく,不況等の事情の変化による生産計画の変更に伴う要員計画に変更がない限り,契約更新により少なくとも契約通算期間2年11か月までは雇用が継続される合理的期待を有していたというべきである。なお,通算契約期間2年11か月を超える雇用継続の期待については,3年規定及び2年11か月運用によりこれが直ちに否定されるもので - 79 -はないと解されるが,同2年11か月までの雇用継続の期待に比して,相対的に合理的期待の程度は低くなるものと解される。 以上によれば,本件雇止めには解雇に関する法理が類推適用されるべきであると解するのが相当である。したがって,本件雇止めが有効であるというためには,上記の雇用継続に対する合理的期待に照らし,客観的に合理的な理由の有無と,社会通念上の相当性を検討することが必要である。 (2) 本件雇止めの有効性ア認定事実(ア) 国内外の うためには,上記の雇用継続に対する合理的期待に照らし,客観的に合理的な理由の有無と,社会通念上の相当性を検討することが必要である。 (2) 本件雇止めの有効性ア認定事実(ア) 国内外の経済状況等(平成20年9月~平成21年3月)平成20年9月中旬,信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題による住宅ローン資産等の値下がりに起因して多額の損失を計上した米国大手証券会社リーマン・ブラザーズの経営破たんにより,サブプライムローン問題に端を発した米国の経済危機は,欧州や新興国にも波及し,同年10月現在,世界同時不況の様相を呈していた。(乙28~30)平成21年1月20日,内閣府は,同月の月例経済報告で,生産と輸出が過去最大の落ち込みを記録する等,加速度的に悪化している景気の現状を反映し,景気の基調判断を平成20年12月の「悪化している」から「急速に悪化している」に下方修正し,「輸出,生産は,極めて大幅に減少している」「企業収益は,大幅に減少している」「設備投資は,減少している」「雇用情勢は,急激に悪化しつつある」「個人消費は,このところ弱含んでいる」と発表するとともに,「先行きについては,当面,悪化が続くとみられ,急速な減産の動きなどが雇用の大幅な調整につながることが懸念される。加えて,世界的な金融危機の深刻化や世界景気のいっそうの下振れ懸念,株式・為替市場の大幅な変動の影響など,景気をさらに下押しするリスクが存在することに留意する必要がある」と発表した。(乙37~40)平成21年1月23日,日本銀行は,同月の金融経済月報で,経済の急 - 80 -激な落ち込みを反映し,景気の総括判断を平成20年12月の「悪化している」から「大幅に悪化している」に下方修正し,「景気は,当面,悪化を続ける可能性 月の金融経済月報で,経済の急 - 80 -激な落ち込みを反映し,景気の総括判断を平成20年12月の「悪化している」から「大幅に悪化している」に下方修正し,「景気は,当面,悪化を続ける可能性が高い。すなわち,輸出は,海外経済の減速や為替円高を背景に,減少を続けるとみられる。国内民間需要も,企業の収益や資金調達環境が悪化し,雇用・所得環境も厳しさを増すもとで,さらに弱まっていく可能性が高い。この間,公共投資は低調に推移すると考えられる。以上の需要動向と在庫調整圧力の高まりを背景に,生産は減少を続けるとみられる」と発表した。(乙41,42)平成21年1月28日,国際通貨基金(IMF)は,同年の世界経済の実質成長率が戦後最低の0.5%に落ち込み,日米欧の主要国はそろってマイナス成長になる(米国マイナス1.6%,ユーロ圏マイナス2.0%,英国マイナス2.8%,日本マイナス2.6%,中国6.7%,インド5. 1%,ロシアマイナス0.7%,ブラジル1.8%)と予想した。(乙43)同年2月16日に内閣府が発表した平成20年10月~12月期の日本の国内総生産(GDP)の成長率は,年率換算で12.7%のマイナスで,マイナス成長は3四半期連続となり,これは,世界不況の影響で輸出が過去最大の落ち込みとなり,個人消費,設備投資も大きく減ったことによるものであった。(乙44~47)平成21年2月19日,内閣府は,同月の月例経済報告で,景気の基調判断を「急速な悪化が続いており,厳しい状況にある」に更なる下方修正をし,「輸出,生産は,極めて大幅に減少している」「企業収益は,大幅に減少している」「設備投資は,減少している」「雇用情勢は,急激に悪化しつつある」「個人消費は,緩やかに減少している」と発表した。(乙48~50)同月20日 減少している」「企業収益は,大幅に減少している」「設備投資は,減少している」「雇用情勢は,急激に悪化しつつある」「個人消費は,緩やかに減少している」と発表した。(乙48~50)同月20日,日本銀行は,同月の金融経済月報で,前月に引き続き,景気の総括判断について引き続き「大幅に悪化している」と発表し,その後 - 81 -の見通しについても,前月と同様に厳しい見方を示した。(乙51)同年3月16日,内閣府は,同月の月例経済報告で,景気の基調判断を引き続き「急速な悪化が続いており,厳しい状況にある」とするとともに,企業収益について,前月の「大幅に減少している」から「極めて大幅に減少している」に下方修正して発表した。(乙52)同月19日,日本銀行は,同月の金融経済月報で,前月に引き続き,景気の総括判断について引き続き「大幅に悪化している」と発表し,その後の見通しについても,前月と同様に厳しい見方を示した。(乙54)派遣又は請負契約の期間満了,中途解除による雇用調整及び有期契約の非正規労働者の期間満了,解雇による雇用調整について,平成20年10月~平成21年6月の間に実施ずみ又は実施予定として,同年4月17日時点で厚生労働省が把握できたものは,全国で3253事業所,約20万7000人であり,就業形態別でみると,派遣労働者が13万2458人,期間工等の契約社員が4万4250人,請負労働者が1万6189人,その他が1万4484人である。(乙55)(イ) 被告の損益状況等(いずれも概数。▲は赤字。乙79~84,475)a 連結決算被告(連結)の107期(平成21年3月期)の通期の売上高は1兆4247億0800万円,営業利益は216億5100万円,経常利益は152億3600万円,利益剰余金は145億0700 a 連結決算被告(連結)の107期(平成21年3月期)の通期の売上高は1兆4247億0800万円,営業利益は216億5100万円,経常利益は152億3600万円,利益剰余金は145億0700万円であった。 被告(連結)の107期の第1四半期(平成20年4月~6月)の売上高は4152億円,営業利益は203億円,経常利益は219億円,当期利益は177億円であった。 同第2四半期(平成20年7月~同年9月)の売上高は4445億円,営業利益は189億円,経常利益は182億円,当期利益は124億円であった。 - 82 -同第3四半期(平成20年10月~同年12月)の売上高は3404億円,営業損益は▲16億円,経常損益は▲37億円,当期損益は▲117億円であった。 同第4四半期(平成21年1月~同年3月)の売上高は2246億円,営業損益は▲159億円,経常損益は▲212億円,当期損益は▲453億円であった。 被告(連結)の108期(平成22年3月期)第1四半期(平成21年4月~同年6月)の売上高は1874億円,営業損益は▲146億円,経常損益は▲162億円,当期損益は▲166億円であった。 b 単体被告(単体)の107期の通期の売上高は8574億3900万円,営業損益は▲140億円,経常損益は▲32億円,当期純損益は▲352億円であった。 c 株式配当について,被告は,平成20年3月期に期末配当金として1株当たり5円(総額84億7700万円)を配当し,平成21年3月期も中間配当として1株当たり3円(総額50億8600万円)を配当したが,同期の期末配当金については,引き続き厳しい経営環境が予想されること等を勘案して,無配とした。 (ウ) 被告の受注状況,生産台数及び出荷台数の推移(乙8,56の1,2,乙57,343, 当したが,同期の期末配当金については,引き続き厳しい経営環境が予想されること等を勘案して,無配とした。 (ウ) 被告の受注状況,生産台数及び出荷台数の推移(乙8,56の1,2,乙57,343,344,361,証人P38,証人P42)a 受注状況被告は,海外販売比率が70%以上であるが,平成20年1月~平成21年5月の被告の商用車の海外販売要求台数の推移は,別紙3「海外受注動向」のとおりであり,平成20年9月の2万5007台をピークに,同年10月が1万9960台,同年11月が1万7998台,同年12月が1万1356台,平成21年1月が5538台,同年2月が6 - 83 -570台,同年3月が6571台,同年4月が3732台となった。 平成12年1月~平成21年5月の被告の商用車の国内受注の推移は,別紙4「国内受注推移」のとおりであり,平成20年7月の5153台をピークに,同年8月が4576台,同年9月が4393台,同年10月が3380台,同年11月が2715台,同年12月が2682台,平成21年1月が2349台,同年2月が2155台,同年3月が2356台,同年4月が2196台となった。 b 生産台数,出荷実績及び在庫実績平成18年1月~平成21年4月の被告の商用車の生産台数,出荷実績及び在庫(被告単体)実績の推移は,別紙5「生産台数,出荷実績,在庫実績」のとおりであり,このうち商用車の生産台数は,同年1月の実績が8443台,同年2月の実績が9714台,同年3月の実績が9014台であり,同月の実績は平成20年9月の生産台数約3万台に比べ約7割減となっている。平成21年4月の商用車生産台数は,5915台と,同年3月比でも更に約34%減となった。 β工場でのエンジン生産台数は,平成20年9月には2万4552台であった 3万台に比べ約7割減となっている。平成21年4月の商用車生産台数は,5915台と,同年3月比でも更に約34%減となった。 β工場でのエンジン生産台数は,平成20年9月には2万4552台であったが,平成21年1月には5006台,同年2月には7308台,同年3月には5490台,同年4月には3539台となった。 β工場でのファイナルドライブの生産台数は,平成20年9月には5万3004台であったが,平成21年1月には1万7738台,同年2月には2万9926台,同年3月には2万7622台,同年4月には1万2963台となった。 受注と時間差の生じる出荷実績についても,同年1月には1万1359台であったが,同年2月には9964台,同年3月には1万3267台,同年4月には5371台となった。 (エ) 被告の生産直接部門における必要人員,ライン稼働状況及び月次時間外 - 84 -労働時間の推移等(乙58~78,104,325,340,344,362,376,393,証人P42,証人P37,証人P41,証人P43)a 被告生産直接部門における必要人員の計算方法被告は,生産直接部門における必要人員につき,以下のとおり,「必要延べマン・アワー(MH)」(1人の1時間当たりの仕事量を1マン・アワー(MH)とし,当該仕事に必要となる延べマン・アワー(MH))を「1人当たりの稼働時間」で除する数式により求め,部署ごとに,毎月,製品の製造に必要な延べMH及び1人当たりの稼働時間を算出し,これに基づいて必要人員を算出しており,同算出式では,変数として,①台当たりMH(1台製造するのに必要とされるMH),②生産台数,③就業日数,④1日当たり所定労働時間,⑤残業時間(含む休日出勤),⑥非稼働時間,⑦出勤率が設定されている。 (a) 必要延べMH(1 当たりMH(1台製造するのに必要とされるMH),②生産台数,③就業日数,④1日当たり所定労働時間,⑤残業時間(含む休日出勤),⑥非稼働時間,⑦出勤率が設定されている。 (a) 必要延べMH(1か月当たり)の算出例えば,トラックAを1台製造するのに10人でそれぞれ90分を要する場合,台当たりMH(①)は10人×90分÷60分=15. 0MH/台となり,トラックBを1台製造するのに10人でそれぞれ120分を要する場合,台当たりMH(①)は10人×120分÷60分=20.0MH/台となる。 そして,生産台数(②)について,部署Xで1か月当たりトラックAを1000台,トラックBを500台それぞれ製造する場合,部署Xにおける必要延べMH(1か月当たり)は,15.0MH/台×1000台+20.0MH/台×500台=2万5000MHとなる。 (b) 1人当たりの稼働時間(1か月当たり)の算出1人当たりの稼働時間(1か月当たり)は,(就業日数(③)×8時間(1日当たりの所定労働時間(④))+残業時間(⑤)-非稼働時間 - 85 -(⑥))×出勤率0.925(⑦,(年間労働日数244日-目標年次有給休暇日数18日)÷244日)の式により求められる。例えば,就業日数20日,残業時間0時間,非稼働時間2時間の場合,(20日×8時間+0時間-2時間)×0.925≒146時間となる。 (c) 必要人員の算出上記(a),(b)で求めた部署Xにおける必要延べMH(1か月当たり)及び1人当たりの稼働時間(1か月当たり)を前提にすると,部署Xでの必要人員(1か月当たり)は,2万5000MH÷146時間≒171人となる。 b 平成20年10月~平成21年4月の必要人員の推移等被告は,平成20年11月6日に全社で緊急会議を開催し,完成車,エンジ (1か月当たり)は,2万5000MH÷146時間≒171人となる。 b 平成20年10月~平成21年4月の必要人員の推移等被告は,平成20年11月6日に全社で緊急会議を開催し,完成車,エンジン等の生産数量を大幅に減少することとして,ラインについて,従前の昼夜2交替制から昼のみの体制に変更する等とした。その結果,上記の算出方法に基づく平成20年10月~平成21年4月の間の被告生産直接部門における要員状況の推移は,別紙6「生産部門(直接)要員状況…全社計」のとおりとなった。このうち,「必要人員(非稼働日未反映)の数値は,平成21年1月~同年4月の間に被告で設けたライン非稼働日を仮に設けなかった場合における必要人員数である。 被告の計算では,平成20年12月時点で,生産直接部門で,派遣労働者及び臨時従業員の合計約1400人の他,正社員も約100人の剰員が生ずる見込みとなったため,正社員のうち約40人を研究開発部門に異動したほか,生産部門の中での配置転換等を実施した。 c 平成20年10月~平成21年4月のライン稼働状況及び月次時間外労働時間の推移平成20年10月の時点で,β工場では,組立ラインの一部について昼夜2交替制から昼勤のみの1直運営とし,生産直接部門従業員一人当 - 86 -たりの月次時間外労働時間は,約12.7時間であった。α工場では,組立ライン,機械加工ラインともに昼夜2交替制を採っており,生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,約14.3時間であった。β工場とα工場を合わせた生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,約13.9時間であった。 同年11月の時点で,β工場では,小型系の組立ラインについて昼勤のみの1直運営とし,生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間 当たりの月次時間外労働時間は,約13.9時間であった。 同年11月の時点で,β工場では,小型系の組立ラインについて昼勤のみの1直運営とし,生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,約9.8時間であった。α工場では,組立ライン,大型系の職場について昼勤のみの1直運営とし,生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,約8.0時間であった。β工場とα工場を合わせた生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,約8.5時間であった。 同年12月の時点で,β工場では,一部の組立ライン及び機械加工職場を除き,昼勤のみの1直運営とし,生産直接部門従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,約5.0時間であった。α工場では,一部の職場を除き,昼勤のみの1直運営とし,生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,約2.6時間であった。β工場とα工場を合わせた生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,約3. 4時間であった。 平成21年1月の時点で,β工場では,生産ラインにおける時間外労働及び休日労働はなくなり,予定していた22日間の稼働日のうち,7日間のライン非稼働日を設定して当該非稼働日を年次有給休暇の取得促進日とし,小型エンジン組立課については,更に2日間をライン非稼働日とした。また,生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,保全職場について数時間程度あったことにより,β工場全体で約1.0時間であった。このライン非稼働日においては,正社員をTPM - 87 -(トータル・プロダクティブ・メンテナンスの略であり,いわゆる全員参加による生産設備の保全活動),作業改善活動等の業務に割り当てたほか,職場の清掃,改善活動等をその都度職制が判断して,指示することにより対応した ロダクティブ・メンテナンスの略であり,いわゆる全員参加による生産設備の保全活動),作業改善活動等の業務に割り当てたほか,職場の清掃,改善活動等をその都度職制が判断して,指示することにより対応した(平成21年2月以降も同じ。)。α工場では,β工場と同様に7日間のライン非稼働日を設定したが,生産調整や通常より多く実施されたTPMにより,ラインの計画停止が合計約70時間となった。 また,生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,保全職場について数時間程度あったことにより,α工場全体で約0.9時間であった。β工場とα工場を合わせた生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,約0.9時間であった。 同年2月の時点で,β工場では,予定していた21日間の稼働日のうち,1日間のライン非稼働日(有給休暇取得促進日)を設けた上で,更に小型エンジン組立ラインは2日間のライン非稼働日が設定された。また,生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,保全職場も含め0時間であった。α工場では,予定していた21日間の稼働日のうち,2日間のライン非稼働日を設定するとともに,平成20年12月に昼勤のみの1直生産に変更された大型組立ラインのサイクルタイムを1分以上遅らせて運営した。また,生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,0.4時間であった。β工場とα工場を合わせた生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,約0. 3時間であった。 同年3月の時点で,β工場では,予定していた22日間の稼働日のうち,4日間の休業日及び1日間の非稼働日が設定され,小型エンジン組立課及び大型エンジン組立課は更に1日間のライン非稼働日が設定された。また,生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,保全職場も含めほ 業日及び1日間の非稼働日が設定され,小型エンジン組立課及び大型エンジン組立課は更に1日間のライン非稼働日が設定された。また,生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,保全職場も含めほぼ0時間であった。α工場では,予定していた22日 - 88 -間の稼働日のうち,最大9日間の非稼働日(車両系7~9日間,PT系4~5日間)が設定された。また,生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,β工場と同じくほぼ0時間であった。β工場とα工場を合わせた生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,約0.1時間であった。 同年4月の時点で,β工場,α工場ともに,予定していた18日間の稼働日のうち,2日間を休業日,2日間を同年8月への稼働振替日とし,稼働割れ(生産量が少ないためラインを最低のスピードで運営しても,生産計画上の稼働日数が当初予定の稼働日数を下回る状態)への対応が必要となるラインについては,稼働日の中で別途2日間のライン停止日を設定する等した。β工場とα工場を合わせた生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,約0.2時間であった。 同年5月以降の被告生産直接部門の従業員一人当たりの月次時間外労働時間は,同年5月が0.2時間,同年6月が0.2時間とほぼ横ばいに推移した後,同年7月が4.2時間となった。 d 被告での生産計画等の決定・確認手続としてのSPI承認会議被告では,毎月15日~20日ころ,販売要求及び在庫状況を基に,翌月以降の生産条件(ライン別生産計画,稼働条件)を確認する社内会議体であるSPI(SalesProductInventory)承認会議が開催され,同会議で決まった生産条件を受け,工場工務部で当該条件に沿った生産要員を算出している。SPI承認会議は,基本的に 議体であるSPI(SalesProductInventory)承認会議が開催され,同会議で決まった生産条件を受け,工場工務部で当該条件に沿った生産要員を算出している。SPI承認会議は,基本的には次月の生産計画を決めるための会議であるが,毎年3月と6月のSPIでは,それぞれ6か月先までの販売要求の予測を示した資料が作成され,参照されている。 (オ) P32からの労務提供受入状況(乙107,108の1,2,乙204,205の1~11,乙344,証人P37)aP32は,平成14年11月に被告δ工場から分社,独立した被告の - 89 -100%出資の子会社であり,P32で製造した製品は,すべて被告を通じて出荷されている。 P32の分社化は,当時,被告が5期連続の当期純損失を計上し,売上高も減少し続けていた中で,被告内で希望退職者募集を実施する等の事業再構築をする一環としてされたものであり,平成14年11月1日時点でP32の正社員はすべて被告からの転籍者であった。 b 平成20年7月~平成21年12月のP32から被告への要員受入れの状況(部署,内容及び人数)は別紙7「P32(株)からの要員受入れ」のとおりであり,概要は以下のとおりである。なお,出向期間中の出向対象者の月例給与,賞与引当金等の労務費は,全額被告が負担していた。 P32で製造しているディーゼルエンジンシリンダーヘッドの生産台数が当初計画台数から大幅な減産となったため,平成20年7月~同年9月の間,当該生産ラインを稼働休止することとなり,同社で正社員の剰員が発生したため,同正社員のα工場及びβ工場への異動(出向)が実施された。その後,当初3か月とされていた稼働休止計画が平成21年3月まで延長され,上記シリンダーヘッド以外の製造品についても減産となったため, ため,同正社員のα工場及びβ工場への異動(出向)が実施された。その後,当初3か月とされていた稼働休止計画が平成21年3月まで延長され,上記シリンダーヘッド以外の製造品についても減産となったため,同月まで被告への出向期間の延長を行ったが,同年4月の生産ラインの稼働再開に伴い,同年3月をもって同出向は終了となった。 別紙7「P32(株)からの要員受入れ」①記載の同年4月~同年7月の3名は,生産部品の検査員1名及び設備保全員2名を業務習得の研修目的で,平成20年10月から引き続き受け入れていたものである。 別紙7②記載の平成21年7月の4名は,生産直接作業員2名,生産部品検査員1名及び設備保全員1名を業務習得の研修目的で約1か月間受け入れていたものである。別紙7③④記載の同年11月の8名,同年1 - 90 -2月の18名については,同年4月にP32で生産ラインが再稼働した後,再び生産ラインを一部停止することとなったことにより,同社で正社員の剰員が発生したため,被告が出向を受け入れたものである。 (カ) P33との間の業務委託契約(外注エンジン部品受付業務について)(乙206,344,証人P37)被告は,平成17年2月以降,コスト競争力を高める目的で,被告の子会社であるP33との間で,外注エンジンの受付業務を含めた物流関連業務について,被告がP33に対して継続的に業務を委託する業務委託契約を締結している。 被告とP33との間の業務委託契約は,毎年2月1日から翌年1月末日までの1年契約であり,かつ,期間満了の3か月前までに終了する旨の意思表示がなければ自動更新される内容になっており,同契約内容によれば,平成20年10月末日の経過により,平成22年1月末日まで当該業務委託契約が更新されている。 (キ) 被告の固定費削減策等( 意思表示がなければ自動更新される内容になっており,同契約内容によれば,平成20年10月末日の経過により,平成22年1月末日まで当該業務委託契約が更新されている。 (キ) 被告の固定費削減策等(乙83,182,469,証人P38)被告は,費用削減目的で,平成21年3月期(平成20年4月~平成21年3月)の設備投資(連結。リース分を除く。)を期初計画930億円のところ実績約620億円,同期の減価償却費(連結。リース分を除く。)を期初計画440億円のところ実績約390億円とし,これら合計約360億円の費用削減を実施した。 また,被告は,平成21年3月期後半期(平成20年10月~平成21年3月)の固定費(単体)について,①研究開発費を当初計画約650億円から630億円に削減して実施,②上級職の年俸削減,スタッフ部門の残業時間抑制等による間接労務費の削減,③役員報酬の自主返上及び削減,④教育プログラムの見直し(研修計画の一部凍結),④販売促進費,広告宣伝費削減等の緊急対策を実施し,当初計画約1000億円のところ,合計 - 91 -80億円の削減を実行した。 (ク) 本件雇止めまでの被告・P23間の交渉経緯等(甲1,4,45~64,86~88,乙91,104,301,313~321,340,376,401の1~3,乙463,464,証人P44,証人P43,証人P42,証人P36,証人P38)a 平成20年12月4日,P23は,被告に対し,同日付け「組合結成のご通知と要求」を交付し,P23P46支部(以下,同支部と併せて「P23」と総称することがある。)の結成を通知し,要求事項として,①臨時従業員に対する11.17解雇予告通告及び派遣労働者に係る本件労働者派遣契約中途解約の撤回,②寮からの退去予告の撤回,③雇用・労働条件に関わ することがある。)の結成を通知し,要求事項として,①臨時従業員に対する11.17解雇予告通告及び派遣労働者に係る本件労働者派遣契約中途解約の撤回,②寮からの退去予告の撤回,③雇用・労働条件に関わるすべての事項で労働組合との合意をもって実施すること,④希望者全員を正社員として雇用すること等を示し,文書による回答及び同月12日午後1時からの団体交渉の実施を求めた。 同日午前9時ころ,P23書記長・P44,P23β地方本部執行委員長・P45,P23P46支部執行委員長・原告P1及び同書記長・P40ら計7名は,β工場を訪れ,責任者との面談を申し入れ,対応に当たった被告総務人事部β総務グループのP35及びP36に対し,上記「組合結成のご通知と要求」を読み上げた。その上で,P44書記長が,P35及びP36に対し,被告がP23P46支部を労働組合と認め,団体交渉に応ずるか否かの確認を求めたところ,P35及びP36は,法律に則った形で対応する旨回答したことから,P44書記長は,その旨の覚書を交わしたいと申し入れたところ,本件事前協議約款を含む本件覚書が作成された。 同日,β工場勤務のP23P46支部執行委員長・原告P1及び同副委員長原告P3は,宇都宮地方裁判所β支部に対し,11.17解雇予告通告に基づく解雇の無効を主張して,当該解雇予告の効力の停止と平 - 92 -成21年1月~同年4月7日の平均賃金による賃金仮払を求めて仮処分の申立てをした(同庁平成○年(ヨ)第○号)。 b 平成20年12月15日,被告・P23間で会合が開かれ,被告・P23間で,上記「組合結成のご通知と要求」を踏まえて団体交渉を実施することの確認,団体交渉の人数等についての合意がされた。P23は被告に対し,同日付「要求書」を交付し,追加要求事項として,⑤P46グルー で,上記「組合結成のご通知と要求」を踏まえて団体交渉を実施することの確認,団体交渉の人数等についての合意がされた。P23は被告に対し,同日付「要求書」を交付し,追加要求事項として,⑤P46グループで受け入れている派遣労働者に対し,本件労働者派遣契約中途解約を撤回し,少なくとも,契約期間満了までの間仕事と賃金を保障すること,⑥11.17解雇予告通告及び本件労働者派遣契約中途解約によって退職を余儀なくされる臨時従業員及び派遣労働者について,責任をもって次の雇用の場を確保すること,⑦本件労働者派遣契約中途解約によって派遣会社の寮の退去を迫られている派遣労働者について,派遣先の責任者として住居を確保すること,⑧ハローワークが被告工場内で行っている「移動ジョブカフェ」(就職相談窓口)をすべての臨時従業員及び派遣労働者に周知することを示した。 c 平成20年12月19日,被告・P23間で第1回団体交渉が開かれ,P23に対し, 上記「組合結成のご通知と要求」記載の要求事項①~④及び上記「要求書」記載の要求事項⑤~⑧について,同月19日付け「回答書」で回答した。その概要は,①について,11.17解雇予告通告に係る解雇は急速かつ深刻な世界不況の中苦渋の決断であって応じられないこと,②について,本来は退職と同時に退寮することとなっているが,臨時従業員からの個別申出により,一定の条件の下,当初契約満了日まで継続して寮費・光熱費無料で居住することを認め,その旨を同月12日に周知していること,③及び④はいずれも応じられないこと,⑤及び⑦について,派遣労働者の労働条件については被告との関係では義務的団交事項ではないこと,⑥について,派遣労働者については⑤に対 - 93 -する回答と同様で,臨時従業員については,再就職支援措置を行っているが,次の雇用 条件については被告との関係では義務的団交事項ではないこと,⑥について,派遣労働者については⑤に対 - 93 -する回答と同様で,臨時従業員については,再就職支援措置を行っているが,次の雇用先確保を約束することはできないこと,⑧について,被告として可能な周知を行っていることであった。P23は,被告に対し,不誠実な回答であるとして抗議し,再考を求めた。 d 平成20年12月24日,被告は,P23に対し,同日付け「申入書」をファクシミリ送信することにより12.24合意解約申入れを行い,その後,被告とP23との間で,第2回団体交渉が開かれた。その席上で,被告は,改めて12.24合意解約申入れに係る提案を行い,これに対し,P23は,「2008年12月24日付P23宛会社書簡「申入書」についてのP23の見解」を提出し,労働組合と協議することなく一方的に労働契約の合意解約と休業を押し付けようとしている等として抗議し,労使合意の上で実施すべきである等と要求した。 e 平成20年12月26日及び同月28日,P23は被告に対し,同月26日付け「要求書」を交付し,要求事項として,①P23との協議中は同組合員に対する合意解約申入れ及び休業を行わないこと,②被告の売上高,営業利益,経常利益,当期利益,配当総額,従業員数について,過去10年間の実績値並びに平成21年3月及び平成22年3月の見込値のほか,12.24合意解約申入れに応じた臨時従業員の人数及びそれによる経費削減効果,被告の行った解雇回避努力の内容等の質問事項に対する書面による回答,③11.17解雇予告通告に係る解雇予告の撤回の明確化,これに関する謝罪及び解決金の支払等,④臨時従業員の今後の雇用保障,⑤本件休業命令に係る休業実施に当たり正社員と臨時従業員との間で差別を行わないこと,⑥休業中 予告通告に係る解雇予告の撤回の明確化,これに関する謝罪及び解決金の支払等,④臨時従業員の今後の雇用保障,⑤本件休業命令に係る休業実施に当たり正社員と臨時従業員との間で差別を行わないこと,⑥休業中の賃金の100%補償,⑦休業日数やローテーション等について生産量等を考慮して毎月労使協議の上実施すること,⑧合意解約に応じる組合員について,期間満了日までに支払われるべき賃金満額及び満期慰労金の満額相当分の退職金と - 94 -しての支払,⑨派遣労働者に対し,少なくとも派遣会社との契約満了までに支払われるべき賃金相当額の慰謝料の支払,⑩派遣労働者の今後の雇用と仕事の確保,⑪派遣労働者が新たな雇用を確保できるまでの間の派遣労働者の住居の確保及び転居費用の負担,⑫希望する派遣労働者の直接雇用,⑬今後の生産直接部門への労働者派遣の受入れ再開に当たり,今回中途解約された派遣労働者を優先すること,⑭以上の要求に対する被告の回答にP23の理解・納得が得られない場合には休業を行わないことを示した。 そのころ,原告P1及び原告P3は,上記仮処分申立事件(宇都宮地方裁判所β支部平成○年(ヨ)第○号)に係る申立ての趣旨について,民法536条2項による賃金請求権として平成21年1月分~同年4月分の賃金(債務者支給の休業手当相当額を控除)の仮払いを求める旨に変更し,α工場に勤務していた原告P4らは,横浜地方裁判所に対し,同趣旨の仮処分申立てをした(同庁平成○年(ヨ)第○号)。その後,原告P2も平成21年1月19日に宇都宮地方裁判所β支部に同趣旨の仮処分申立てをし(同庁平成○年(ヨ)第○号),同事件は上記の原告P1及び原告P3に係る同庁の仮処分事件と併合審理された。 f 平成20年12月29日,被告・P23間で第3回団体交渉が開かれ,その席上で,被告はP (同庁平成○年(ヨ)第○号),同事件は上記の原告P1及び原告P3に係る同庁の仮処分事件と併合審理された。 f 平成20年12月29日,被告・P23間で第3回団体交渉が開かれ,その席上で,被告はP23に対し,上記同月26日付け「要求書」記載の要求事項①~⑭について,同日付け「回答書」で回答した。その概要は,要求事項①について,12.24合意解約申入れについては,今後も団体交渉を行い,P23と妥結できた場合に,P23組合員に対し行う意向であること,②について,平成11年3月期~平成20年3月期の被告(単体と連結双方)の売上高,営業利益,経常利益,当期利益,配当総額,従業員数(派遣労働者を含む。)は,別添の有価証券報告書記載のとおりであり,事業計画については,現在改めて見直し中であるこ - 95 -との他,12.24合意解約申入れについての承諾状況が未確定であること等,③について,謝罪,解決金の支払等についてはいずれも応じられないこと等,④について,当該要求に関する団体交渉には応じるが,臨時従業員の社員登用の予定はなく,他の要求はいずれも応じられない等,⑤について,臨時従業員と正社員との間の雇用期間の定めの有無という差異から休業の実施に当たって差異を設けても合理的な区別であると考えること,⑥について,休業手当6割は,臨時従業員就業規則43条に基づくものであって,要求には応じられないこと及び同条は民法536条2項の規定を排除する旨の特約であること,⑦について,休業については今後とも団体交渉を行うこと,⑧について,被告の提案は12. 24合意解約申入れのとおりであり,同要求には応じられないこと,⑨~⑫について,派遣労働者について被告との関係では義務的団交事項ではないので,回答不要であること,⑬について,休業については,急速かつ深刻な 解約申入れのとおりであり,同要求には応じられないこと,⑨~⑫について,派遣労働者について被告との関係では義務的団交事項ではないので,回答不要であること,⑬について,休業については,急速かつ深刻な世界不況の中,P23組合員をはじめとする臨時従業員の業務がないことから,組合員か否かを問わず,β工場及びα工場の製造現場で作業に従事していたすべての臨時従業員につき,当初契約期間満了日まで休業とし,その間の労働日につき休業手当(平均賃金の6割)を支給すること,被告の製造現場で作業に従事していたすべての臨時従業員全員が剰員となっており,休業が必要であることは原告P1らが申し立てた各仮処分申立事件で被告が提出した準備書面及び証拠に加え,平成21年1月にα工場及びβ工場で生産ラインを7日間停止することや,同業他社の財務状況の厳しさからも裏付けられる,というものであった。 g 平成21年1月3日,被告・P23間で第4回団体交渉が開かれ,その席上で,P23は,被告に対し,同日付け「協定書」(協定書案)を交付し,その趣旨を説明した。協定書案は,12.24合意解約申入れ及び本件休業命令について,大要,①被告とP23が相互の立場を尊重し, - 96 -今日の経営環境を配慮しつつ,被告の維持・発展と臨時従業員の雇用安定,労働条件維持のために協力する,②被告が12.24合意解約申入れに基づいてP23組合員に合意解約申入れを行うことを認め,それに対する承諾は同月9日までにP23を通じて行う,③当該合意解約に応じない組合員は,同月6日~同年2月5日の間休業とするが,休業手当は平均賃金の100%とする,④同月7日以降,引き続き団体交渉を継続し,今後の生産量,収支状況を勘案し,休業を継続するかどうか検討し労使合意の上決定する,というものであった。 他方,被告 休業手当は平均賃金の100%とする,④同月7日以降,引き続き団体交渉を継続し,今後の生産量,収支状況を勘案し,休業を継続するかどうか検討し労使合意の上決定する,というものであった。 他方,被告は,P23に対し,平成20年12月SPI承認会議に基づく平成20年4月~平成21年1月の商用車(CV)の販売状況のグラフを提示するとともに,要員状況についての説明を行った。 h 被告での平成21年の就業日は同年1月6日からであったが,被告は,本件休業命令に基づき,臨時従業員の労務提供を拒否した。 i 平成21年1月8日,被告・P23間で第5回団体交渉が開かれ,その席上で,被告は,P23に対し,上記の協定書案について,同日付け「回答書」で回答し,その中で,上記①について,合意解約が得られない場合,今後の見通しとしては,当初契約期間満了をもって雇止めとせざるを得ないと考えているため,協定書案に係る労働協約締結が困難であること,②について,12.24合意解約申入れに対する承諾の期限を同月9日まで延長することは認めること,③について,休業手当について臨時従業員就業規則43条及び個別の労働契約書8条で定める平均賃金の6割を上回る内容の労働協約は締結できないこと,④について,義務的団交事項でない事項についてまで継続協議を行う旨の労働協約は締結できないこと等を示した。 j 平成21年1月21日,被告・P23間で第6回団体交渉が開かれ,その席上で,P23は,被告に対し,同日付け「要求書」を提出し,そ - 97 -の中で,①被告の同年3月及び平成22年3月の損益状況等の見通し,②平成20年3月決算時の内部留保額及び保有投資有価証券額,③平成21年度の役員報酬・役員賞与の減額予定,④12.24合意解約申入れに対する諾否の状況,⑤平成21年2月以降の商 損益状況等の見通し,②平成20年3月決算時の内部留保額及び保有投資有価証券額,③平成21年度の役員報酬・役員賞与の減額予定,④12.24合意解約申入れに対する諾否の状況,⑤平成21年2月以降の商用車の生産台数等見込み,⑥平成20年11月~平成21年1月の製造部門での月別時間外労働時間総数等を質問し,「休業」及び「雇止め」の方針を撤回し,臨時従業員及び派遣労働者を守るために最大限の努力を行うことを要求した。 これに対し,被告は,P23に対し,休業期間中の臨時従業員に対してアルバイト等のために被告以外で就業することを認める趣旨の通知及び就業規則の一部改定に関する通知を交付した。 k 平成21年2月4日,被告・P23間で第7回団体交渉が開かれ,その席上で,被告は,P23に対し,上記の「要求書」について,同日付け「回答書」で回答し,その中で,上記①について,同年2月6日に予定されている平成21年3月第3四半期決算の発表に基づいて回答可能な範囲で後日改めて回答する旨,②について,平成20年3月決算時の当該額についての回答,③は回答できないこと,④について,当該人数の回答,⑤について,販売要求及び要員状況資料を配布する旨,⑥について,当該労働時間総数(平成21年1月については後日改めて回答する旨)を回答する等し,販売要求及び要員状況資料を提示した。 l 平成21年2月17日,被告は,P23に対し,「2009年3月度休業日の設定について(申し入れ)」により,正社員及び定年後再雇用従業員に対する3月の休業(計4日)の申入れをしたが,その際,休業手当については,基本日給の100%を支給するものとした。 m 平成21年2月20日,被告・P23間で第8回団体交渉が開かれ,その席上で,被告は,P23に対し,同日付け「回答書兼団体交渉申入書」を提 については,基本日給の100%を支給するものとした。 m 平成21年2月20日,被告・P23間で第8回団体交渉が開かれ,その席上で,被告は,P23に対し,同日付け「回答書兼団体交渉申入書」を提出し,上記の「要求書」の質問中,後日回答するとしていた部 - 98 -分について回答し,「既に実質的には団交事項となっておりますが,改めて貴組合組合員である期間従業員全員の雇止めにつきまして,団体交渉を申し入れます」として,雇止めについての団体交渉の申入れを行い,同団体交渉が実施されることになった。 n 平成21年2月27日,被告は,第1グループ原告らに対し,「契約期間の満了について(通知)」を送付し,本件雇止めの通知を行った。 o 平成21年3月2日,P23は,被告に対し,同日付け「要求書」を交付し,その中で,①生産部門(直接)要員状況で示されている必要人員の定義(計算根拠),②販売要求と生産実績(平成20年1月~平成21年1月)に対応する各月の販売台数(売上台数)と在庫台数,③平成21年2月以降の当面の売上(販売)予測についての資料開示を求め,雇止めの理由や経営状況を納得できるようにするため,④平成21年3月期決算時の内部留保額,投資有価証券額の見込み,⑤平成21年度の役員報酬・役員賞与の減額予定の有無,⑥12.24合意解約申入れに同意していない臨時従業員を当初契約期間満了後更に1年間雇い続けた場合の賃金総額の説明を求めた。 p 平成21年3月6日,被告・P23間で第9回団体交渉が開かれ,その席上で,被告は,上記の「要求書」について,同日付け「回答書」,「販売要求と生産実績(2008年1月~2009年3月)」,「生産部門(直接要員状況)」,「車両生産台数と要員状況・α(車両系)」等,「必要人員の考え方」,「販売要求,生産実績, 日付け「回答書」,「販売要求と生産実績(2008年1月~2009年3月)」,「生産部門(直接要員状況)」,「車両生産台数と要員状況・α(車両系)」等,「必要人員の考え方」,「販売要求,生産実績,在庫実績,出荷実績(2008年1月~2009年3月)」,「生産実績(2008年1月~2009年1月)及び販売要求(2009年2月~3月)」を提出し,雇止めの理由,被告の経営状況,出荷状況,生産部門におけるライン稼働状況及び残業実態のほか,P23からの質問に関する説明を行った。ただし,上記⑥については,本件雇止めの通知を行ったことを理由に回答できないとし,ま - 99 -た,③について,平成21年4月以降の売上(販売)見込みについては明らかにしなかった。 q 平成21年3月17日,被告は,「2009年3月SPI承認会議」を開催し,その資料中で,同月4月以降の販売要求数(営業部門からの要求生産台数)の見込みに関し,同月の5977台を底値として,同年5月には9144台,同年10月には1万5432台,同年12月には1万6747台と右肩上がりに上昇した後,平成22年3月まで概ね1万6000台前後で推移する折れ線グラフが示されていた。 r 平成21年3月18日,被告・P23間で第10回団体交渉が開かれ,その席上で,被告は,第9回団体交渉でP23から出された質問に対する回答や必要人員の算出方法に関する質疑応答を行い,「受注台数と出荷台数(海外)」,「受注台数と出荷台数(国内)」を提示して,平成20年1月~平成21年1月の受注及び出荷の推移を説明した。その中で,被告は,P32からの出向者が被告提出の「生産部門(直接要員状況)」の正社員等として計上されていることを明らかにしたが,平成21年4月以降の売上(販売)見込みは明らかにしなかった。 s の中で,被告は,P32からの出向者が被告提出の「生産部門(直接要員状況)」の正社員等として計上されていることを明らかにしたが,平成21年4月以降の売上(販売)見込みは明らかにしなかった。 s 平成21年3月26日,被告・P23で第11回団体交渉が開かれ,その席上で,P23は,被告に対し,同日付け「要求書」を提出し,臨時従業員に対する雇止め通知の撤回,同年4月以降の雇用保障等を求めた。被告は,P23に対し,同日付け「回答書」並びに「生産部門(直接)要員状況・全社計」及び「生産台数(2008年4月~2009年4月)」を提出して,第10回団体交渉でのP23からの質問に回答し,次に,同日付け「契約期間の満了について」を提出して,同年4月の生産台数見込みを開示して稼働割れが発生する状況であること,同年5月以降は需要動向が極めて不透明で見通しが立たない状況であるが,少なくとも景気が短期的に回復し,好転する兆しが未だになく,引き続き稼 - 100 -働割れの発生があり得る状況に代わりがないこと等を説明した上で,同日付け「申入書」を提出して,3.26合意解約申入れをした。 t 平成21年4月6日,被告・P23間で第12回団体交渉が開かれ,その席上で,P23は,被告に対し,同日付け「要求書」を提出し,β工場における時差出勤,仮処分和解案,休業手当,雇用調整助成金,組合への便宜供与に関する件等の要求内容についての説明をした。被告は,P23に対し,同日付け「回答書」を提出して上記「要求書」に対し,本件雇止めの方針に変わりがない旨回答した。 イ判断上記判断のとおり,第1グループ原告らについては,職務能力や勤務態度に問題がなく,不況等の事情の変化による生産計画の変更に伴う要員計画に変更がない限り,契約更新により少なくとも契約通算期間2年11 上記判断のとおり,第1グループ原告らについては,職務能力や勤務態度に問題がなく,不況等の事情の変化による生産計画の変更に伴う要員計画に変更がない限り,契約更新により少なくとも契約通算期間2年11か月までは雇用が継続される合理的期待を有していたというべきであるから,本件雇止めが有効であるというためには,上記合理的期待の内容に照らし,客観的に合理的な理由の有無と,社会通念上の相当性を検討することが必要である。 そこで,以下,本件雇止めの理由及びその過程において,上記の客観的合理性及び社会的相当性について検討する。 (ア) 本件雇止めの理由について本件雇止めの理由は,上記認定事実によれば,平成20年秋以降の世界同時不況下にあって,国内外の景気の悪化による商用車受注の急激かつ大幅な減少及びそれによる被告の経営状況の悪化に起因して,生産計画,生産実績の大幅な減少とそれに伴う要員計画がされたことにより,生産直接部門で,平成21年1月以降臨時従業員全員について剰員が生じたことによるものであり,当該要員計画は,その算出方法に合理性を認めることができる。そして,商用車受注の急激かつ大幅な減少が,世界同時不況に伴うものであることから,被告としては,同年4月の本件雇止め時に至るま - 101 -で,当該状況がいつまで続くのか,更なる悪化に導かれないのかを的確に予測することは困難であったというべきであることも併せ鑑みると,上記の本件雇止めの理由は,上記の第1グループ原告らに認められる合理的期待の内容に照らし,客観的合理性があるというべきである。 この点につき,原告らは,平成21年3月期連結決算(通年)の営業利益及び経常利益が黒字であること及び被告が平成21年10月以降,黒字に転じていることから,本件雇止めの必要性がなかった旨主張する。しかし, につき,原告らは,平成21年3月期連結決算(通年)の営業利益及び経常利益が黒字であること及び被告が平成21年10月以降,黒字に転じていることから,本件雇止めの必要性がなかった旨主張する。しかし,上記認定事実のとおり,被告の経営状況が,連結決算では平成20年秋ころから急激に悪化しており,上記判断のとおり,本件雇止め時まで,その先行きが予測困難であったというべきであるし,被告(単体)の連結決算では,同期(通年)の営業利益及び経常利益は赤字となっていることからすれば,平成21年3月期(通年)の連結決算で営業利益及び経常利益が黒字であることから,本件雇止めの必要性がなかったとはいえない。 次に,原告らは,被告がP32から出向労働者を受け入れていたことや,P33との間で業務委託契約を締結して外注エンジン部品の受付業務を業務委託していることから,本件雇止めの必要性がなかった旨及び被告が雇止め回避努力を尽くしていない旨主張する。しかし,上記認定事実の被告とP32との関係や同社から被告への要員受入れの目的及び内容に照らし,被告に当該要員受入れを回避して臨時従業員の雇用を継続すべき義務があるとはいえない。また,上記認定事実の被告とP33との業務委託契約の目的及び内容に照らし,これらの出向受入れや業務委託契約に基づく業務に係る要員数を臨時従業員に割り当てられるものとして考慮することなく必要人員を算出することが合理性を欠くものとは認められないし,被告に同契約を解消して臨時従業員の雇用を継続すべき義務があるとまではいえないから,これらの義務が被告にあることを前提に本件雇止めの必要性を否定する原告らの主張には理由がない。 - 102 -また,原告らは,被告主張に係る必要人員について,①被告の在庫減らしという政策により生産台数が絞られていること,② に本件雇止めの必要性を否定する原告らの主張には理由がない。 - 102 -また,原告らは,被告主張に係る必要人員について,①被告の在庫減らしという政策により生産台数が絞られていること,②被告工場での教育,改善,環境整備,点検等の非生産活動に仕事を割り当てることによる必要人員の創出を考慮せず,また,被告は要員数の算出に当たり,非生産MHを過剰に削減していること,③平成20年12月のα工場からβ工場への正社員50~60人の異動,同月~平成21年1月のα工場小型エンジン組立ラインにおける生産の遅れの発生,同年2月からのα工場PT製造第三部における生産応援者23名の受入れ等の事実から,これらの工場又は部署では要員不足を生じていたと認められること等から,客観性を欠く旨及び④被告は同年3月の時点で,同年4月を底にして,被告の自動車販売台数,生産台数,必要人員,営業利益等がV字回復することを見込み,また,同年4月の時点で,いわゆるエコカー減税及びエコカー補助金による増産予測をしていた旨主張する。しかし,①別紙5「生産台数,出荷実績,在庫実績」記載のとおり,被告(単体)の商用車の在庫実績は平成20年10月~平成21年3月の間一貫して減少し続けており,このうち平成20年10月~同年12月の間は,出荷台数は増加していたものの,上記認定事実のとおり,特に同年秋以降,被告の国内外の受注が急激かつ大幅に減少していることや,平成21年1月以降は出荷台数も急激かつ大幅に減少していることに鑑みれば,被告が,経営判断として,平成20年10月以降にコストの発生する在庫の減少を計画・実践し,そのことに基づいて必要人員を算出し,本件雇止めの要否を判断することには,一定の合理性があるというべきである。次に,②上記の第1グループ原告らに認められる合理的期待の内容 在庫の減少を計画・実践し,そのことに基づいて必要人員を算出し,本件雇止めの要否を判断することには,一定の合理性があるというべきである。次に,②上記の第1グループ原告らに認められる合理的期待の内容に照らし,生産計画,生産実績の大幅な減少が発生している状況下で,臨時従業員を非生産活動に割り当てて必要人員を算出すべきものとは解されず,また,生産ラインを削減している状況下で被告が非生産活動に割り当てる人員の割合を一定程度減少させて要員数を算出し - 103 -たとしても,直ちに被告計算に係る要員数が不合理であることを基礎付ける事情にはならないというべきであるから,この点に関する原告らの主張には理由がない。さらに,③証拠(甲113,114,証人P37,証人P41)によれば,原告ら主張に係るα工場からβ工場への労働者の異動や生産応援者の受入れは,いずれも被告生産直接部門内で行われたものであって,同部門全体の要員数に影響を及ぼすべき事柄ではないこと,α工場での生産ラインの遅れは,主に従事者の習熟面によるところが大きく,当該遅れが一時期生じたからといって,直ちに被告計算に係る要員数が不合理であることを基礎付ける事情にはならないことが認められるのであり,その他同要員数の合理性に合理的疑いを差し挟むべき事情は見あたらないから,この点に関する原告らの主張にも理由がない。そして,④について,上記認定事実のとおり,被告は,「2009年3月SPI承認会議」で,平成21年4月以降の販売要求数の見込みに関し,同月を底値として,以降右肩上がりに上昇するグラフを会議資料として用いているが,その当時の国内外の経済状況等に照らし,本件雇止め時に,同グラフに示された見込み数値について,本件雇止めの必要性を否定する程に確実視できる状況にはなかったものと認められること 料として用いているが,その当時の国内外の経済状況等に照らし,本件雇止め時に,同グラフに示された見込み数値について,本件雇止めの必要性を否定する程に確実視できる状況にはなかったものと認められることに加え,証拠(乙464)によれば,同グラフは,平成20年10月の販売要求実績である2万3674台に対し,平成22年3月まで概ね1万6000台前後で推移するというものであって,同グラフの数値を前提としても,被告の販売要求数,生産台数,必要人員,営業利益等がいわゆるV字回復するまでには至っていないこと,以上からすれば,同グラフを根拠として,被告が,本件雇止めの必要性を否定する程に販売要求数が回復することを認識していたものとは解されない。 いわゆるエコカー減税及びエコカー補助金による増産予測については,これらの優遇措置の効果は国内需要の増大に止まるものであって,海外販売比率が70%以上である被告への効果は限定的であること,平成21年4 - 104 -月以降に効果が現れる当該国内需要増加の程度について,本件雇止め時点までに正確に予測することは困難であること(この点につき,証拠(乙479)によれば,同年4月以降の国内月別生産数は,同年3月SPIの時点の予測よりも低調に推移していたことが認められる。)からすれば,上記の低排出ガス車認定制度に係る各措置に基づいて被告が一定程度増産予測を立てていたとしても,当該予測が本件雇止めの必要性を否定し得る程のものであったとまでは認められないのであって,この点に関する原告らの主張には理由がない。 さらに,原告らは,平成20年3月期よりも平成21年3月期の方が被告の臨時従業員を除いた従業員数が増加していることから本件雇止めの必要性を否定するとともに,平成21年4月から被告生産ラインに新規正社員60名を採用してい 20年3月期よりも平成21年3月期の方が被告の臨時従業員を除いた従業員数が増加していることから本件雇止めの必要性を否定するとともに,平成21年4月から被告生産ラインに新規正社員60名を採用していることから,被告が雇止め回避努力を尽くしていない旨主張する。しかし,平成20年3月期と平成21年3月期の被告の従業員数(臨時従業員を除く。)を比較して,後者が前者を若干上回っていることから直ちに本件雇止めの必要性を否定する理由になるものとは認められず,また,被告生産部門技能職正社員の採用については,既に平成20年9月の時点で内定していたものと認められるから,当該内定に基づいて平成21年4月に被告の正社員数が増加したことから直ちに被告が雇止め回避努力を尽くしていないことの根拠にはならないのであって,これらの点に関する原告らの主張にも理由がないというべきである。 加えて,原告らは,被告の平成21年3月期の役員報酬が前年同月期よりも1800万円増加していること,被告の平成21年3月期の利益剰余金が連結で1454億0700万円,単体で671億4700万円あり,同期の連結自己資本比率や連結流動比率も低くないこと等の被告の財務状況に鑑み,本件雇止めの必要性がなかった旨主張する。しかし,被告が,固定費削減策等の一環として,平成21年3月期後半(平成20年10月 - 105 -~平成21年3月)の固定費(単体)について,役員報酬の自主返上及び削減を含む削減策を実施していること,上記の第1グループ原告らに認められる合理的期待の内容に照らし,被告の利益剰余金を取り崩して臨時従業員の雇用を継続する可能性を考慮して本件雇止めの必要性を判断すべきであるとは解し難いこと,原告主張に係る被告の自己資本比率(連結)27.3%及び流動比率(連結)118%は,その数値 り崩して臨時従業員の雇用を継続する可能性を考慮して本件雇止めの必要性を判断すべきであるとは解し難いこと,原告主張に係る被告の自己資本比率(連結)27.3%及び流動比率(連結)118%は,その数値自体,それ程優良な値であるとは解されないこと,以上からすれば,原告ら主張の点から,本件雇止めの必要性を否定する理由にはならないというべきである。 (イ) 本件雇止めの過程について上記認定事実のとおり,本件雇止めに至るまでの間,被告は,P23に対し,遅くとも平成21年1月8日付け「回答書」で,合意解約が得られない場合には,当初期間満了をもって雇止めとせざるを得ないと考えている旨を述べ,本件雇止めについて予告した上で,その後,本件雇止めまでの間に複数回開催された団体交渉で,本件雇止め及び本件休業の必要性に関し,平成21年3月期決算資料のほか,同月までの被告生産直接部門における必要人員やその算出方法,同年4月までの生産台数(見込み)等の資料を示しながら説明したのであって,その過程を観察すれば,本件雇止めを無効にする程の問題点があるとは認められない。 この点につき,原告らは,本件雇止めについて,①本件事前協議約款に反すること,②平成21年4月以降の販売要求数,生産計画,必要人員予測を一切明らかにしないまま強行したもので,無効である旨主張する。しかし,本件事前協議約款は,その文言及び上記認定事実の本件覚書の作成経緯に鑑みれば,仮に本件覚書が労働協約としての性質を有するとしても,労働組合法上の団体交渉応諾義務(誠実交渉義務を含む。)を確認した趣旨を出ないのであって,被告が同法所定の義務を超える義務を負担するものとは解されないことから,本件事前協議約款違反から直ちに本件雇止めが - 106 -無効であるとの原告らの主張は,その前提を欠いている のであって,被告が同法所定の義務を超える義務を負担するものとは解されないことから,本件事前協議約款違反から直ちに本件雇止めが - 106 -無効であるとの原告らの主張は,その前提を欠いている。また,上記認定事実のとおり,被告が,「2009年3月SPI承認会議」で,同年4月以降の販売要求数の見込みに関し,同月を底値として,以降右肩上がりに上昇するグラフを会議資料として用いていることを踏まえても,なお,上記認定事実の国内外の経済状況等に照らし,本件雇止め時に,同グラフに示された見込み数値について,本件雇止めの必要性を否定する程に確実視できる状況にはなかったと認められるから,被告が本件雇止めまでの間にP23に対して平成21年4月以降の必要人員予測等を明らかにしなかったことから,本件雇止めを無効にする程の問題点があるとは認められない。 (ウ) 以上によれば,本件雇止めには客観的合理性及び社会的相当性に欠けるところはないと認められるから,その余の点を判断するまでもなく,第1グループ原告らの地位確認に係る主位的請求には理由がない。 2 原告P5の地位確認に係る主位的請求について平成20年4月5日の原告P5・被告間の労働契約の終了原因を検討する。 証拠(乙E6,証人P47,原告P5)によれば,原告P5は,3年規定及びこれに基づく2年11か月運用により被告に更新意思がないことを踏まえ,そのことを前提として,自ら原告P5退職願(「この度,下記の通り退職致したいと存じますので,ご承認下さいます様お願い致します。」と印字された「退職願」の用紙に所属,職番,氏名,退職日,退職理由及び退職後の連絡先を手書きで記入したもの)を作成して被告に提出し,被告がこれを受領したことが認められ,これによれば,原告P5・被告間に退職合意が成立したものと認められ ,職番,氏名,退職日,退職理由及び退職後の連絡先を手書きで記入したもの)を作成して被告に提出し,被告がこれを受領したことが認められ,これによれば,原告P5・被告間に退職合意が成立したものと認められる。 この点につき,原告らは,原告P5退職願が提出された当時,3年規定及び2年11か月運用に基づく被告による雇止めを法的に争い得ることを全く知らなかったことを理由として,原告P5退職願の作成,提出したことは,原告P5の退職の意思表示又は合意退職の申出には当たらない旨を主張する。しかし,退職の意思表示の内容を理解して上記の退職願を提出した以上,原告らの上記主張を - 107 -採用する余地はないといわなければならない。 次に,原告らは,被告が,解雇に関する法理の回避という公序良俗に違反することを目的とする3年規定及び2年11か月運用による雇止めを有効であると信じ込ませて原告P5退職願を提出させたものであり,これに基づく退職合意は,解雇に関する法理の回避を目的とする法律行為として,民法90条により無効であること,原告P5は,上記雇止めが法律的に違法無効であり,その効力について争えるということを知らないで原告P5退職願を作成し,提出しており,これを知っていれば,原告P5退職願を提出することはなかったから,動機の錯誤(民法95条)があり,退職の意思表示は無効であること,被告から「平成20年4月5日で2年11か月になるので,もう更新はないので,退職願を出してくれ」等と言われ,その旨誤信して,原告P5退職願を提出したから,原告P5の退職の意思表示は,被告の詐欺(民法96条1項)であって,原告P5は本件訴状でこの意思表示を取り消したことを主張する。しかし,3年規定及び2年11か月運用が,いわゆる期間の定めのある労働契約の雇止め制限の法理に配慮し 被告の詐欺(民法96条1項)であって,原告P5は本件訴状でこの意思表示を取り消したことを主張する。しかし,3年規定及び2年11か月運用が,いわゆる期間の定めのある労働契約の雇止め制限の法理に配慮して,労働者に合理的期待を抱かせないようにすることにより臨時従業員の雇止めが無効なものとならないようにする意図があったことを否定することはできないが,3年規定及び2年11か月運用に基づく雇止めが直ちに有効になるか否かは別論としても,3年規定及び2年11か月運用に基づく臨時従業員の期間管理そのものが公序良俗に違反するとまではいえないのであって,民法90条による無効をいう原告らの主張には理由がない。また,原告P5が雇止めの法的効果やそれを争い得ることを知らなかったとしても,それは法律の不知に準ずる内容に係る動機の錯誤であり,その動機が表示されていることの根拠が見出せないから,原告の錯誤無効の主張には理由がない。さらに,原告らの主張事実を前提としても,被告が原告P5に対し,雇止めの法的効果やそれを争い得ることの欺罔行為とは評価できず,3年規定及び2年11か月運用に基づく雇用期間管理を行っていたことが,原告P5に対する欺罔行為とは評価できないことから,詐欺取消に係る - 108 -原告らの主張にも理由がない。以上によれば,その余の点を判断するまでもなく,原告P5の地位確認に係る主位的請求には理由がない。 3 原告P6の地位確認請求に係る主位的請求について(1) 平成19年10月7日の原告P6・被告間の労働契約の終了原因証拠(甲F1の1~23,2,乙F8,原告P6)によれば,原告P6は,平成19年9月下旬ころ,被告総務人事部β総務グループに派遣受入れしていた派遣会社(平成19年11月1日まではP14,同日以降はP18)の従業員であるP4 ,乙F8,原告P6)によれば,原告P6は,平成19年9月下旬ころ,被告総務人事部β総務グループに派遣受入れしていた派遣会社(平成19年11月1日まではP14,同日以降はP18)の従業員であるP48から,被告臨時従業員のままであれば,それまでP14が借り上げていたアパート(臨時従業員となった当初は被告の社宅として使用していたもの)から出て被告の別の社宅に転居する必要があること,被告の臨時従業員だと最長2年11か月しか働けず,派遣労働者の方が長く働ける旨を告げられたことから,再度派遣労働者となった方がよいと考えて,自ら原告P6退職願(「この度,下記の通り退職致したいと存じますので,ご承認下さいます様お願い致します。」と印字された「退職願」と題する用紙に所属,職番,氏名,退職日,退職理由及び退職後の連絡先を手書きで記入したもの)を作成して被告に提出し,被告がこれを受領したことが認められ,これによれば,原告P6と被告との間に退職合意が成立したものと認められる。 原告らは,原告P6退職願は,引き続き被告で働き続けるための形式的な書類として作成されたに過ぎないと主張するが,この書面の形式及び内容から,原告P6退職願が被告を退職することを願い出る書面であることは容易に了解可能であることに加え,証拠(甲F1の11~23)によれば,原告P6退職願に記載された退職日である平成19年10月7日以降に原告P6に交付された給与明細書はP14又はP18名義のもので,臨時従業員のときに被告から交付されていたものとは異なるものと認められることも併せ鑑みれば,原告P6は,被告を退職し,P14の派遣労働者として再び被告に派遣されることを認識して原告P6退職願を作成・提出したと認めるのが相当であり,原告らの - 109 -上記主張には理由はない。 (2) は,被告を退職し,P14の派遣労働者として再び被告に派遣されることを認識して原告P6退職願を作成・提出したと認めるのが相当であり,原告らの - 109 -上記主張には理由はない。 (2) 原告P6の合意解約の有効性原告らの心裡留保(民法93条ただし書)の主張については,上記判断のとおり,原告P6は,P48の発言から再度派遣労働者となった方がよいと考えて,被告を退職してP14の派遣労働者として再び被告に派遣されることを選んだのであって,被告と合意解約するにつき,表示行為に対応する真意がなかったとはいえないから,心裡留保が成立すると解する余地はない。 次に,原告らの錯誤(民法95条)及び詐欺(民法96条)の主張に関し,派遣労働契約に切り替えなければそれまで住んでいたアパートに住み続けられない旨の錯誤ないし欺罔行為があったとの主張については,原告P6が被告を退職した当時,原告P6が引き続き被告の臨時従業員であり続けた場合に,それまでP14が借り上げていたアパートから出ていく必要がなかったことを認定するだけの証拠はなく,この点について,原告P6の動機と客観的事実との間の不一致又はP48の欺罔行為を認めるだけの根拠はない。また,被告の臨時従業員だと最長2年11か月しか働けず,派遣労働者の方が長く働ける旨の錯誤ないし欺罔行為の主張については,被告が3年規定及び2年11か月運用に基づいて臨時従業員の期間管理(この期間管理そのものが公序良俗に違反するとまではいえないことは上記判断のとおりである。)を行っている状況下では,平成19年9月時点で,被告の臨時従業員よりもP14(又はP18)の派遣労働者としての方が長く勤められる可能性も十分にあったことに関する原告P6の認識,雇止めの法的効果及びそれを争い得ること並びに被告の生産量の減少 で,被告の臨時従業員よりもP14(又はP18)の派遣労働者としての方が長く勤められる可能性も十分にあったことに関する原告P6の認識,雇止めの法的効果及びそれを争い得ること並びに被告の生産量の減少により派遣労働契約が中途解約される可能性の有無に関する認識において,原告P6が錯誤に陥ったり,P48が言及していたものではないことから,この点についても,原告P6の動機と客観的事実との間の不一致又はP48の欺罔行為を認めるだけの根拠はないというべきである。 さらに,原告らの民法90条による無効の主張については,仮に原告P6と - 110 -被告との間の1回目の有期労働契約の期間(3か月と7日)が,原告主張に係る労働省(当時)通達のいわゆるクーリング期間(3か月)を意識していたとしても,そのことが直ちに公序良俗違反を基礎付けるとまでは評価できないから,この点についての原告らの主張もまた,理由がない。加えて,原告らの信義則違反の主張については,証拠(証人P41,証人P37,証人P38,原告P6)及び弁論の全趣旨によれば,被告が,派遣労働者から臨時従業員になった者の労務管理について,被告に派遣受入れしたP14の従業員であるP48に担当させながら,そのことを原告P6に告げないまま,P48を通じて原告P6退職願の提出を受けたことが認められるが,他方で,原告P6がそのことを知っていれば被告を退職することはなかった旨の原告らの主張を認めるだけの根拠はないから,原告P6の退職を無効とする程の信義則違反が被告にあったとは認め難く,この点についての原告の主張にも理由がない。 以上により,原告P6退職願に係る原告P6と被告との間の合意解約又は同解約に係る意思表示に無効原因ないし取消原因を認めることはできない。したがって,原告P6と被告との合意解約の も理由がない。 以上により,原告P6退職願に係る原告P6と被告との間の合意解約又は同解約に係る意思表示に無効原因ないし取消原因を認めることはできない。したがって,原告P6と被告との合意解約の不存在ないし無効を前提とする原告P6の主位的請求は,その余の点を判断するまでもなく理由がない。 4 原告P7の地位確認に係る主位的請求について原告P7が,平成19年1月2日,被告との間の労働契約を解約し,同月3日からP19と派遣労働契約を締結したことについては当事者間に争いがない。証拠(甲G1の1~39,2,乙G4,原告P7)によれば,合意解約は,原告P7が,「この度,下記の通り退職いたしたいと存じますので,ご承認下さいます様お願い致します。なお,退職後においても,在職中に入手した秘密情報を貴社の事前の書面による承諾なくして第三者に開示したり,使用させたり致しません。」と印字された「退職願」の用紙に所属,職番,氏名,退職日,退職理由及び退職後の連絡先を手書きで記入した書面(以下「原告P7退職願」という。)を作成して被告に提出したものであること,原告P7は,平成18年12月ころ,被告総 - 111 -務人事部α労務グループに派遣受入れしていたP19の従業員から,再度P19の派遣労働者とならないかという誘いを受け,その際,被告に残れば2年11か月しか働くことができないが,P19に戻ればずっと働き続けられるし,今回被告との労働契約を更新すれば,P19との縁が切れる等と告げられたことから,再度派遣労働者となった方がよいと考えて,原告P7退職願を作成,提出したことが認められる。 以上の認定事実によれば,原告らの心裡留保(民法93条ただし書)の主張については,上記のとおり,原告P7は,P19の従業員の発言から再度派遣労働者となった方が 成,提出したことが認められる。 以上の認定事実によれば,原告らの心裡留保(民法93条ただし書)の主張については,上記のとおり,原告P7は,P19の従業員の発言から再度派遣労働者となった方がよいと考えて,被告を退職してP19の派遣労働者として再び被告に派遣されることを選んだのであって,被告と合意解約するにつき,表示行為に対応する真意がなかったとはいえないから,心裡留保の成立する余地はない。 また,錯誤(民法95条)及び詐欺(民法96条)の主張のうち,被告の臨時従業員だと最長2年11か月しか働けず,派遣労働者の方が長く働ける旨の錯誤ないし欺罔行為の主張については,被告が3年規定及び2年11か月運用に基づいて臨時従業員の期間管理(当該期間管理そのものが公序良俗に違反するとはいえないことは上記判断のとおりである。)を行っている状況下では,平成18年12月ないし平成19年1月の時点で,被告の臨時従業員よりもP19の派遣労働者としての方が長く勤められる可能性があることに関する原告P7の認識,雇止めの法的効果及びそれを争い得ること並びに被告の生産量の減少により派遣労働契約が中途解約される可能性の有無について原告P7が錯誤に陥ったりP19の従業員が言及したりしていたものではないから,この点で,原告P7の動機と客観的事実との間の不一致又はP19の従業員の欺罔行為は認められない。 さらに,原告らの民法90条による無効の主張及び信義則違反の主張については,上記判断のとおり,原告主張事実が公序良俗違反又は信義則違反を基礎付けるとまでは評価できないから,原告らの主張には理由がない。 以上によれば,原告P7退職願に係る原告P7と被告との間の合意解約には, - 112 -無効原因ないし取消原因は認められない。したがって,原告P7と被告との合意 らの主張には理由がない。 以上によれば,原告P7退職願に係る原告P7と被告との間の合意解約には, - 112 -無効原因ないし取消原因は認められない。したがって,原告P7と被告との合意解約の無効を前提とする原告P7の主位的請求は,その余の点を判断するまでもなく理由がない。 5 第1グループ原告ら及び原告P5,原告P6及び原告P7の地位確認に係る予備的請求について(1) 認定事実(甲1の1~5,甲A1,2,甲B1の6~13,2,甲C1の1~32,2,甲D1の1~4,乙154~158,465,甲F1の1~23,甲G1の1~39,乙A1,乙B1,乙C1,乙D1,乙E1,原告P1,原告P3,原告P6,原告P7)ア被告と請負業者との間の請負契約における請負代金の算出根拠被告と,被告生産直接部門の業務を請け負っていた請負会社(第1グループ原告らが請負労働者として所属していた会社を含む。)との間の請負代金は,請負会社が担当する要員数をベースに,1要員1時間当たりの単価を定めて算出していた。その単価は,各請負会社共通で,①所定時間内の就業部分は1要員1時間当たり1820円,②所定時間外の就業部分は1要員1時間当たり2275円(1820円×1.25),③深夜(午後10時~午前5時)時間内の就業部分は別途1要員1時間当たり455円(1820円×0.25)が加算されていた。1820円の単価は,各請負会社から提案された請負代金の下限が同金額であったことから,その金額と定められたものである。 イ被告・派遣会社間の労働者派遣契約での派遣料金の算出根拠被告は,平成17年以降に被告生産直接部門に導入した派遣労働者(第1グループ原告らを含む。)に係る派遣料金も,上記の請負代金と同様,派遣会社が担当する要員数をベースに,1要員1時間当たりの 出根拠被告は,平成17年以降に被告生産直接部門に導入した派遣労働者(第1グループ原告らを含む。)に係る派遣料金も,上記の請負代金と同様,派遣会社が担当する要員数をベースに,1要員1時間当たりの単価を定めて算出していた。単価は,各派遣会社共通で,①所定時間内の就業部分は1要員1時間当たり1950円,②所定時間外の就業部分は1要員1時間当たり2437円(1950円×1.25),③深夜(午後10時~午前5時)時間内の就 - 113 -業部分は別途1要員1時間当たり487円(1820円×0.25)が加算されていた。1950円の単価は,各派遣会社から提案された派遣代金の下限が同金額であったことから,その金額と定められたものである。 また,被告が平成16年6月に被告生産特設部門に派遣労働者(平成17年4月まで。原告P5を含む。)を導入するに当たり,入札方式により派遣料金の単価の一番安い派遣会社から数社を選定した。その派遣料金は,①所定時間内の就業部分は1要員1時間当たり1700円~1800円,②所定時間外の就業部分は1要員1時間当たり2125円~2250円,③深夜(午後10時~午前5時)時間内の就業部分は別途1要員1時間当たり425円~450円が加算されていた。 ウ原告P1,原告P2,原告P3及び原告P7の業務請負契約当時の法律関係原告P1,原告P2,原告P3及び原告P7が平成17年10月まで請負労働者として被告に派遣されていた当時,上記原告らは,注文者である被告から直接具体的な指揮命令を受けて作業に従事していた。 そして,上記原告らの請負会社への採用に被告は関与していなかったし,上記原告らが各請負会社から支給を受けていた給与額は,請負会社ごとに差があり,また,その支払の際には請負会社ごとに別様式の給与明細書が交付されていた の請負会社への採用に被告は関与していなかったし,上記原告らが各請負会社から支給を受けていた給与額は,請負会社ごとに差があり,また,その支払の際には請負会社ごとに別様式の給与明細書が交付されていた。そして,各請負会社は派遣元としての独立した企業としての実質を有していた。 エ第1グループ原告ら,原告P6及び原告P7と派遣会社との法律関係上記原告らの派遣会社への採用に被告は関与してはいなかった。そして,上記原告らが各派遣会社から支給を受けていた給与額は,派遣会社ごとに差があり,また,その支払の際には派遣会社ごとに別様式の給与明細書が交付されていた。さらに,各派遣会社はそれぞれ派遣元としての独立した企業としての実質を有していた。 - 114 -(2) 第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7と被告間の期間の定めのない労働契約の成否ア被告・各請負会社間の業務請負契約及び原告P1,原告P2,原告P3,原告P5及び原告P7と各請負会社との間の労働契約が無効であることに基づく期間の定めのない黙示の労働契約の成否について原告らの上記主張に係る当事者のうち,原告P5は,平成17年4月30日まで派遣労働者として被告に派遣されていたから,請負労働者であったことを前提とする原告の主張には理由がない。以下,同年10月まで請負労働者であった原告P1,原告P2,原告P3及び原告P7について検討する。 上記認定事実によれば,上記原告らが平成17年10月まで請負労働者として被告に派遣されていた当時,上記原告らは,被告から直接具体的な指揮命令を受けて作業に従事していたことが認められるのであるから,各請負会社と被告との関係は,請負契約という法形式が採られているものの,これを請負契約と評価することはできない。 このような場合に,注文者(被 受けて作業に従事していたことが認められるのであるから,各請負会社と被告との関係は,請負契約という法形式が採られているものの,これを請負契約と評価することはできない。 このような場合に,注文者(被告)と労働者(上記原告ら)との間に労働契約が締結されていないのであれば,上記三者間(注文者,労働者,各請負会社)の関係は,労働者派遣法2条1号にいう労働者派遣に該当するのであり,そうすると,職業安定法4条6項にいう労働者供給に該当するとは解し得ないのであり,また,労働者派遣法の趣旨及びその取締法規としての性質,さらには派遣労働者を保護する必要性等に鑑みれば,労働者派遣法に違反する労働者派遣が行われた場合でも,特段の事情のない限り,そのことだけで派遣労働者と派遣元との間の労働契約が無効になることはないと解すべきである(最高裁第二小法廷平成21年12月18日判決・民集63巻10号2754頁)。そして,本件で,上記原告らと各請負会社との間の労働契約を無効と解すべき特段の事情は認められないから,平成17年10月までの間,当該各労働契約は有効に存在していたものと解することになる。 - 115 -他方,被告と上記原告らとの間の法律関係をみると,上記認定事実によれば,上記原告らの各請負会社への採用に,被告は関与していなかったこと,上記原告らが各請負会社から支給を受けていた給与額は,請負会社ごとに差があり,支払の際には請負会社ごとに別様式の給与明細書が交付されていたこと,各請負会社は派遣元としての独立した企業としての実質を有していたことが認められ,上記原告らの給与等を事実上決定していた等,被告が派遣先としての権限を越えて,請負労働者の人事労務管理等を事実上支配していたというだけの事情も窺われず,上記原告らが各請負会社と労働契約を締結していた期間中 らの給与等を事実上決定していた等,被告が派遣先としての権限を越えて,請負労働者の人事労務管理等を事実上支配していたというだけの事情も窺われず,上記原告らが各請負会社と労働契約を締結していた期間中,被告・上記原告ら間に,労働契約関係が黙示的に成立していたと評価するだけの事情は存しない。 以上によれば,被告・各請負会社間の業務請負契約及び上記原告ら・各請負会社間の労働契約が無効であることに基づいて被告との間に期間の定めのない黙示の労働契約が成立していたとする原告らの主張には理由がない。 イ被告・各派遣会社間の労働者派遣契約並びに第1グループ原告ら,原告P6及び原告P7と各派遣会社との間の各派遣労働契約が無効であることに基づく被告との間の期間の定めのない黙示の労働契約の成否職業安定法4条6項によれば,労働者派遣は同法にいう労働者供給に該当する余地はないし,労働者派遣法に違反する労働者派遣が行われた場合でも,特段の事情のない限り,そのことだけで派遣労働者と派遣元との間の労働契約が無効になることはないと解すべきである。そして,本件で,第1グループ原告ら,原告P6及び原告P7と各派遣会社との間の労働契約を無効と解すべき特段の事情は認められないから,上記原告らと各派遣会社との間の労働契約の無効を主張する原告らの主張には理由がない。 また,上記認定事実によれば,上記原告らの派遣会社への採用に,被告は関与してはいなかったこと,上記原告らが各派遣会社から支給を受けていた給与額は,派遣会社ごとに差があり,また,その支払の際には派遣会社ごと - 116 -に別様式の給与明細書が交付されていたこと,各派遣会社はそれぞれ派遣元としての独立した企業としての実質を有していたことが認められるのであり,一方,被告が上記原告らの給与等を事実上決定していた等 -に別様式の給与明細書が交付されていたこと,各派遣会社はそれぞれ派遣元としての独立した企業としての実質を有していたことが認められるのであり,一方,被告が上記原告らの給与等を事実上決定していた等,被告が,派遣先としての権限を越えて,派遣労働者の人事労務管理等を事実上支配していたといえるような事情も窺われないのであるから,上記原告らが各派遣会社と労働契約を締結していた期間中,被告と上記原告らとの間に労働契約関係が黙示的に成立していたと評価するだけの事情は存しない。 以上によれば,被告・各派遣会社間の労働者派遣契約並びに上記原告らと各派遣会社との間の各派遣労働契約が無効であることに基づいて,被告との間に期間の定めのない黙示の労働契約が成立していたとする原告らの主張には,理由がないという結論になる。 ウ労働者派遣法40条の4に基づく第1グループ原告ら,原告P6及び原告P7と被告との間の期間の定めのない労働契約の成否本件で,各派遣会社から被告に対し,原告ら主張に係る派遣可能期間に抵触することとなる日以降は,第1グループ原告ら,原告P6及び原告P7を派遣しない旨の通知(労働者派遣法35条の2第2項)がされておらず,被告に直接雇用の申込義務が生じる要件(同法40条の4)は満たされていないというべきである。また,派遣先が同法40条の4に規定する直接雇用の申込義務を履行しない場合にも,私法上,契約の申込が擬制されたり,派遣先と派遣労働者との間に労働契約関係が創設されたりするものと解するだけの根拠はない。したがって,本件では,同40条の4に基づいて上記原告らと被告との間に期間の定めのない労働契約が成立したという原告らの主張にはいずれも理由がない。 (3) 以上によれば,その余の点を判断するまでもなく,第1グループ原告ら,原告P5,原告P6 記原告らと被告との間に期間の定めのない労働契約が成立したという原告らの主張にはいずれも理由がない。 (3) 以上によれば,その余の点を判断するまでもなく,第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7の地位確認に係る予備的請求には,いずれも理由がないという結論になる。 - 117 - 6 第1グループ原告らの休業期間中の賃金請求権の有無(1) ここで問題となるのは,被告が,第1グループ原告らに対して,命令によって本件休業をさせたことが,使用者の「責めに帰すべき事由」(民法536条2項)によるものであるか否かという点である。一般に使用者が企業を運営するに当たり,企業運営の必要の範囲内で,それに見合う人数の労働者と,相応の労働条件の下で労働契約を締結しているのが通常なのであり,使用者が労務を受領しないのは,例外的な事態であるから,本件休業のように,労働者が労務を提供し,使用者がこれを受領しないことが,使用者の責に帰すべき事由に基づくものと推認されると解するのが相当である。そして,この意味での帰責事由がないというためには,休業の必要性,両当事者の状況等の事情に照らして,休業がやむを得ないものと認められることが必要である。 (2) 本件休業の理由は,上記判断のとおり,平成20年秋以降の世界同時不況下にあって,国内外の景気の悪化による商用車受注の急激かつ大幅な減少及びそれによる被告の経営状況の悪化に起因して,生産計画,生産実績の大幅な減少とそれに伴う要員計画がされたことにより,被告生産直接部門で,平成21年1月以降臨時従業員全員について剰員が生じたことによるものである。そして,当該要員計画は,算出方法において合理性を有すると認められることから,同月以降,生産直接部門に従事していた従業員に対し,一定期間の休業を命じる一応の必要 て剰員が生じたことによるものである。そして,当該要員計画は,算出方法において合理性を有すると認められることから,同月以降,生産直接部門に従事していた従業員に対し,一定期間の休業を命じる一応の必要性があったものと判断することができる。 しかしながら,一方で,本件は,労働者である第1グループ原告らの勤務態度等に問題があって本件休業に至ったのではなく,使用者である被告の経営上の障害によって,本件休業を命じたものであることを考慮しなければならない。 そして,その対象となっている第1グループ原告らは,いずれも期間の定めのある労働契約による労働者であることは,本件休業がやむを得ないものであるか否かを判断する上で,重要な要素であるといわなければならない。一般に,被告での臨時従業員のように,期間の定めのある労働契約を締結している労働 - 118 -者は,正社員(期間の定めのない従業員)に比して長期雇用に対する合理的期待は相対的に低くなると考えられるが,その一方で,当該契約期間内の雇用継続及びそれに伴う賃金債権の維持については合理的期待が高いものと評価すべきである。そして,第1グループ原告らは,被告の臨時従業員として,労働期間内での昇級,昇進等の期待なく,固定された賃金収入を主な目的として短期間の期間労働契約を締結,更新しているのであって,その意味でも,雇用継続期間中の賃金債権の維持についての期待は高度の合理性を有するというべきである。そうすると,本件休業命令は,合意退職に応じなかった臨時従業員全員を対象として,その契約期間の満了日までとする包括的,かつ,一律に定め,第1グループ原告らは,3か月以上もの間,その平均賃金の4割相当額を支給しないとするもので,本件休業により第1グループ原告らが被る不利益は,重大かつ顕著であるというべきである。以 かつ,一律に定め,第1グループ原告らは,3か月以上もの間,その平均賃金の4割相当額を支給しないとするもので,本件休業により第1グループ原告らが被る不利益は,重大かつ顕著であるというべきである。以上のような,第1グループ原告らの置かれた状況に鑑みれば,このような期間の途中に一定の長期間の休業を命じるについては,より高度の必要性が認められなければならないというべきである。 一方,上記認定事実のとおり,被告は,正社員及び定年後再雇用従業員については,本件休業期間中,平成21年3月の1か月に4日間の個別の休業日を設定,実施するのみで,それに伴い支給される休業手当の金額についても,基本日給の100%を支給している。これは,上記のとおり,期間の定めのある労働契約によって職務に従事する労働者が置かれている状況に照らして考えると,著しく均衡を欠くとの評価を免れないといわざるを得ない。さらに,前記前提事実及び上記認定事実から認められる本件休業実施前後の経緯によれば,被告は,平成21年4月に予定した臨時従業員の雇止めに備え,それに伴う労使紛争を回避するための方策の一環として平成20年12月26日までを承諾の期限とし,当初契約期間満了日までの労働日につき平均賃金の85%相当額及び満期の退職慰労金相当額を支払う条件での合意解約の申入れを行い,それに応じない臨時従業員については一律契約期間満了まで本件休業を実施する旨 - 119 -を告知し,P23組合員を含む臨時従業員に対し,合意退職に応じるか,又は平均賃金の4割カットを伴う本件休業命令を受けるかの二者択一を迫り,そのまま本件休業を実施し続けたと評価できる。 以上によると,被告に,本件休業によって,平均賃金の4割カットによらなければならないというだけの,上記の高度の必要性までをも認めることは 一を迫り,そのまま本件休業を実施し続けたと評価できる。 以上によると,被告に,本件休業によって,平均賃金の4割カットによらなければならないというだけの,上記の高度の必要性までをも認めることは困難であるといわなければならない。そうすると,本件休業がやむを得ないものであると認めることはできない。 (3) 被告は,本件休業に係る休業手当額を平均賃金の6割にすることについては,第1グループ原告らとの間の労働契約及び臨時従業員就業規則43条により,その旨の個別合意が存在し,この合意は本件休業の合理性を基礎付ける旨主張する。しかし,上記の規定は,労働基準法26条に規定する休業手当について定めたものと解すべきであって,民法536条2項の「債権者の責めに帰すべき事由」による労務提供の受領拒絶がある場合の賃金額について定めたものとは解されないから,被告の上記主張は,その前提を欠くというべきである。 以上によれば,本件休業による被告の労務提供の受領拒絶については,「債権者の責めに帰すべき事由」によるとの推認を覆すに足りる事由はないから,第1グループ原告らの被告に対する民法536条2項に基づく賃金請求権は,これを認めることができる。 (4) 上記判断により,第1グループ原告らは,本件休業がされずに所定労働日に就労した場合の日額9000円による賃金額から,被告より支払われた休業手当相当額を控除した額として,原告らが第1の1(1)イ,同(2)イ,同(3)イ及び同(4)イで請求する額の賃金及びこれに対する遅延損害金の支払を求める権利を有するものと認められるという結論になる。 7 原告らの被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無及び額(1) 第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7について上記判断のとおり,被告が,第1グループ という結論になる。 7 原告らの被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無及び額(1) 第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7について上記判断のとおり,被告が,第1グループ原告ら,原告P5,原告P6及び - 120 -原告P7に対する違法な雇止め又は解雇をしたとも,詐欺に該当する説明等によって誤信させることにより臨時従業員としての労働契約の解消を余儀なくさせた等の事実も認められないから,この点に関する原告らの主張は,その前提を欠くものというべきである。 次に,派遣禁止業務について派遣労働者を受け入れ,また,派遣可能期間を超えて派遣労働者を受け入れるという労働者派遣法違反事実から,直ちに不法行為上の違法があるとは解せないから,このような労働者派遣法違反の事実に基づいて不法行為が成立するという原告らの主張も,理由がない。 また,11.17解雇予告通知は,解雇の理由を「急激な需要の冷え込みによる大幅な生産計画の見直しのため」とし,その根拠を臨時従業員規則8条1項5項(会社業務の都合により雇用の必要がなくなったとき)とするものであり,上記認定事実のとおり,平成20年10月以降被告の国内外の受注数が現実に減少し,同年11月6日に全社で開催された緊急会議で,完成車,エンジン等の生産数量を大幅に減少することを決定したことに鑑みれば,被告が,その経営判断として前記の理由及び根拠に基づいて11.17解雇予告通知を行ったこと自体に違法性があるとは評価できないというべきであり,仮に11. 17解雇予告通知に基づく解雇の有効性が認められないとしても,同解雇予告通知自体が不法行為を構成するものとは認められない。 そして,本件休業については,上記判断のとおり,その合理性を肯定できるものではなく,第1グループ原告らの賃金債権は消滅し ないとしても,同解雇予告通知自体が不法行為を構成するものとは認められない。 そして,本件休業については,上記判断のとおり,その合理性を肯定できるものではなく,第1グループ原告らの賃金債権は消滅しないため,被告は当該賃金支払義務につき履行遅滞による債務不履行責任を負うが,他方,平成21年1月以降,生産直接部門に従事していた従業員に対し,一定期間の休業を命じる必要性はあったというべきであるから,上記判断のとおり本件休業期間に係る未払賃金及びこれに対する遅延損害金の支払請求が認められることを前提とすれば,本件休業について,その余の損害賠償請求権を基礎付ける不法行為を構成する程の違法性を有するとまではいえないと解すべきである。 - 121 -さらに,原告ら主張に係る「有期労働契約の締結,更新及び雇止めに関する基準」(平成15年厚生労働省告示第357号)4条及び労働契約法17条2項は,私法上有期労働契約に関して必要な期間の設定そのものを直接義務づける規定とは解されず,このような努力や配慮を求めた規定であると解されるから,当該規定を直接の根拠として被告の不法行為責任を問う原告らの主張は,その前提を欠くというべきである。 以上により,上記原告らの被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権は,いずれも認められない。 (2) 第5グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7について(原告P5,原告P6及び原告P7については予備的請求)ア本件労働者派遣契約中途解約に係る慰謝料請求に関する認定事実(甲G4,甲H3,甲I3,4,甲J3,甲K3,甲L2,乙121~134,乙E7,乙F5,乙G5,乙H1,乙I1,乙J1,乙K1,乙L1)(ア)第5グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7に係る被告と各派遣会社との間の各派遣契約における L2,乙121~134,乙E7,乙F5,乙G5,乙H1,乙I1,乙J1,乙K1,乙L1)(ア)第5グループ原告ら,原告P5,原告P6及び原告P7に係る被告と各派遣会社との間の各派遣契約における中途解約に関する規定上記原告らに係る被告とP17,P18,P19,P20,P15,P21及びP22の各派遣会社との間の労働者派遣基本契約では,被告都合の中途解約に関し,「甲は,専ら甲の起因する事由により,本契約又は個別契約の中途解約を行おうとする場合には,解約の理由を乙に明示し,乙の合意を得ることはもとより,あらかじめ1ヶ月程度以上の猶予期間をもって乙に文書で解約の申入れを行うこととする。」「甲及び乙は,派遣労働者の責に帰すべき事由によらない本契約又は個別契約の中途解約に関しては,他の派遣先をあっせんする等により,当該個別契約に係わる派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとする。」との規定が設けられていた。 労働者派遣基本契約に基づき,上記原告らに関し被告が各派遣会社との間で締結した労働者派遣個別契約で,同内容の規定が設けられていた。 - 122 -(イ) 本件労働者派遣契約中途解約とその後の各派遣会社の上記原告らに対する解雇通告被告は,各派遣会社との間で締結した上記原告らに係る労働者派遣契約の契約期間が平成21年3月31日までであり,平成20年11月14日ころ,各派遣会社に対し,契約解除日を平成20年12月26日とする各労働者派遣契約の中途解約(本件労働者派遣契約中途解約)の申入れをした。その際,被告は,本件労働者派遣契約中途解約の理由について,各派遣会社に対し,原油価格の高騰や流通出荷量の減少による国内完成車需要の冷え込みから,平成20年9月より生産計画を急遽調整し,更にその後の世界的な金融不安に端を 者派遣契約中途解約の理由について,各派遣会社に対し,原油価格の高騰や流通出荷量の減少による国内完成車需要の冷え込みから,平成20年9月より生産計画を急遽調整し,更にその後の世界的な金融不安に端を発する大きな経済環境の悪化のため,稼働日の振替えも実施したが,需要低下は想定を超えるレベルの速さで進んでおり,同年12月以降には生産計画のみならず,生産体制をも抜本的に見直さざるを得ない状況である旨を述べた。 本件労働者派遣契約中途解約を受け,各派遣会社は,上記原告らに対し,原告P7には同年11月27日,その余の上記原告らには同月17日,同年12年末日で労働契約の更新を拒絶すること(原告P5)又は同月26日で中途解雇すること(その余の上記原告ら)を告げた。 イ本件労働者派遣契約中途解約に係る慰謝料請求権の成否上記認定事実によれば,被告は,各派遣会社との間の各労働者派遣契約(基本契約及び個別契約)の中途解約に関する規定に基づき,平成20年11月14日ころ,各派遣会社に対し,1か月程度以上の猶予期間で,解約の理由を明示して解約の申入れをし,各派遣会社は,これに応じた上で,同月中下旬に,上記原告らに対して更新拒絶又は中途解雇の告知をしたと認められる。 したがって,本件労働者派遣契約中途解約は,被告と各派遣会社との間の各労働契約者派遣契約の中途解約手続に関する規定に従ってされたものであるから,中途解約手続に関し,契約違反の問題を生じないというべきである。 - 123 -この点につき,原告らは,他の派遣会社が,被告に対して同年12月26日より前に派遣契約期間満了日までの派遣契約の継続等を求めていたり,P21が,本件労働者派遣契約中途解約の申入れを受けた際に,少なくとも派遣契約期間満了日までの派遣契約の維持等を願い出たりしたとし 日より前に派遣契約期間満了日までの派遣契約の継続等を求めていたり,P21が,本件労働者派遣契約中途解約の申入れを受けた際に,少なくとも派遣契約期間満了日までの派遣契約の維持等を願い出たりしたとして,その事実に基づいて,本件労働者派遣契約中途解約に係る被告と各派遣会社との間の合意が成立していないと主張する。しかし,上記認定事実のとおり,各派遣会社は,同年11月下旬までの間に上記原告らに対して労働契約の更新拒絶又は解雇を通告しているから,被告による本件労働者派遣契約中途解約の申入れに応じてこれらの通告をしたものと認めるのが相当であること,原告ら主張に係る他の派遣会社及びP21の被告に対する要求ないし願入れは,合意解約に応じた上で,契約期間延長の再検討や再就職先のあっせん等の派遣労働者の新たな就業先確保について要望を提出したものと解されることから,原告らの上記主張には理由がない。 次に,被告と各派遣会社との間の各労働契約者派遣契約の中途解約に関する規定中,「甲及び乙は,派遣労働者の責に帰すべき事由によらない本契約又は個別契約の中途解約に関しては,他の派遣先をあっせんする等により,当該個別契約に係わる派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとする」については,被告が,各派遣労働者に対し,この規定を根拠として直接法的義務を負担するものとは解されないから,この規定違反を理由に被告に対して不法行為責任を問う原告らの主張には,理由がないというべきである。 以上の他,上記の本件労働者派遣契約中途解約の理由も併せ考慮すれば,本件労働者派遣契約中途解約が上記原告らに対する不法行為を構成する程に違法性を有するものとは評価できず,本件労働者派遣契約中途解約に係る慰謝料請求は,これを認めることはできない。 (3) 派遣期間制限違反の労働者派遣に 解約が上記原告らに対する不法行為を構成する程に違法性を有するものとは評価できず,本件労働者派遣契約中途解約に係る慰謝料請求は,これを認めることはできない。 (3) 派遣期間制限違反の労働者派遣に係る慰謝料請求について上記判断のとおり,派遣禁止業務について派遣労働者を受け入れ,また,派 - 124 -遣可能期間を超えて派遣労働者を受け入れるという労働者派遣法違反の事実があったからといって,直ちに不法行為上の違法があるとはいえないと解すべきであるから,このような労働者派遣法違反の事実に基づいて不法行為が成立するという原告らの主張も,理由がない。 (4) 以上によれば,上記原告らの被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権(原告P5,原告P6及び原告P7については予備的請求)を認めることはできない。 第4 結論以上のとおり,原告らの請求のうち,第1グループ原告らの,本件休業に伴う民法536条2項による賃金残額(遅延損害金)の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,原告らのその余の各請求にはいずれも理由がないから,棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第36部 裁判官光岡弘志 裁判長裁判官渡邉弘は転補につき,裁判官三島聖子は差し支えにつき,署名押印することができない。 裁判官光岡弘志
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