主文 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,第1・2審とも被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 申立て 1 控訴人主文同旨 2 被控訴人(1) 本件控訴を棄却する。 (2) 控訴費用は控訴人の負担とする。 第2 被控訴人の請求及び事案の概要 1 被控訴人の請求控訴人は,被控訴人に対し,金750万円及びこれに対する平成12年10月31日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 事案の概要本件は,交通事故により死亡した被害者が保険会社との間で締結していた保険契約のいわゆる災害割増特約に基づいて,保険金受取人である被控訴人がその会社から保険契約上の義務を承継した控訴人に対して,特別死亡保険金の支払を求めた事案である。 (1) 前提となる事実原判決の2頁4行目から3頁13行目までの記載を引用する。ただし,2頁14行目の次に以下のとおり加える。 「災害割増特約についての条項中には,保険金を支払う場合(支払事由)として,「被保険者がこの特約の責任開始期以後に発生した別表1に定める「不慮の事故」を直接の原因として,その事故の日からその日を含めて180日以内でかつ,この特約の保険期間中に死亡したとき」と定めた約定及び支払事由に該当しても保険金を支払わない場合(免責事由)として,「保険契約者または被保険者の故意または重大な過失により支払事由が生じたとき」と定めた約定がそれぞれあり,その別表1では,対象となる不慮の事故とは急激かつ偶発的な外来の事故であるとして,自動車交通事故,自動車非交通事故,その他の道路交通機関事故,他人の加害による損傷等が挙げられている(乙1)。」(2) 争点及び当事者の主張ア原判決の「第2 事案の概要」の「 あるとして,自動車交通事故,自動車非交通事故,その他の道路交通機関事故,他人の加害による損傷等が挙げられている(乙1)。」(2) 争点及び当事者の主張ア原判決の「第2 事案の概要」の「2 争点」の記載(3頁15行目から4頁23行目まで)を引用する。 イ当審における控訴人の主張(原判決非難)原判決の,本件事故が「不慮の事故」に当たるとの判断及び亡Aに重過失がなかったとの判断は,社会通念や経験則に反する。 本件事故は,不慮の事故の構成要素である偶発性を欠いている。亡Aの行動から見て,車両の運転手が驚愕と恐怖心から車両を発進させることは予見でき,さらに,亡Aは,対面信号に背を向けており,泥酔状態であったから,対面信号が赤色表示であることを意識していたはずはないので,B車両が再び発進することは容易に予見可能であった。亡Aは危険な状況に自ら接近して行ったのであり,これは通常人にはあり得ない状況であった。本件事故は,通常の社会通念から見て,極めて特殊な事情のもとでしか発生し得ない事故であったから,多数の保険契約者の負担において填補すべき場合であるといえない。 亡Aは,深夜,泥酔状態で,幹線道路の交差点の中心付近に停車していた10トントラックに絡んで,車両にしつこくしがみつき,その結果転落して轢過されたのであり,被保険者である亡Aに重過失があったことは明らかである。 ウ当審における被控訴人の主張本件において,運転者が驚愕と恐怖心から車両を発進させることは通常予見できない。さらに,本件事故の結果については,被保険者である亡Aにとって予知し得ないものであったから,本件事故は「偶発的」なものであったとの原判決の判断は相当である。 訴外Bは,危険が差し迫っていたわけではなかったのに,亡Aに絡まれて足止めをされ る亡Aにとって予知し得ないものであったから,本件事故は「偶発的」なものであったとの原判決の判断は相当である。 訴外Bは,危険が差し迫っていたわけではなかったのに,亡Aに絡まれて足止めをされることをおそれ,亡Aをふりほどこうとして車両を発進させたのであり,轢過されることを亡Aが予見することは不可能だった。 第3 争点に対する判断 1 原判決の4頁25行目から6頁13行目までの記載を引用する。ただし,4頁25行目の「甲第2号証」を「甲第1号証」と,6頁12行目から13行目にかけての「被告車両」を「B車両」とそれぞれ改める。 2 本件保険契約の災害割増特約における「不慮の事故」とは,急激かつ偶発的な外来の事故をいうものとされているところ,「偶発的」とは,原因又は結果の発生が被保険者にとって予知し得ない場合をいうものと解するのが相当である。 前記のとおり認定した事実によれば,亡Aは,深夜,交差点内に停車中の10トントラックであるB車両に自ら接近して,助手席側の窓ガラスを叩いたり,運転席外側ステップによじ登って窓ガラスを叩いたりしながら,大声を出すなどの行為を行ったのであり,かかる場合,運転者が驚愕あるいは恐怖心から,これを振り払おうとて,車両を発進させることがあり得ることは通常予知し得ないことではない。確かに,B車両の対面信号の表示が赤信号であったことや,しがみついている者が道路上に転落する危険があったことからして,この場合に車両を発進させることが,道路交通法に違反し,あるいは,業務上過失致死傷罪となる可能性のある行為であるとみることはできる。しかし,車両を発進させればしがみついている者が自ら危険を察知して任意に車両から離れてくれると期待することは,ありがちな発想であって,不自然不合理なものとはいえない。運転者が車両を発進させ はできる。しかし,車両を発進させればしがみついている者が自ら危険を察知して任意に車両から離れてくれると期待することは,ありがちな発想であって,不自然不合理なものとはいえない。運転者が車両を発進させることが予知できるか否かを判断するのに,それが違法行為であればまったく予知できないというものではない。そして,車両の発進が予知できれば,道路上に転落すること及びそのときの亡Aの体勢や位置によってはB車両の前輪の直前に落下して轢過される可能性があることは容易に予知できる。当時,亡Aは,相当酒に酔った状態であったのであるから,本件交差点に設置された信号機の表示については意識になかったものとみることができ,また,自己が車両にしがみついている体勢や位置等についても正しく認識していなかった可能性が高く,本件事故を現実には予知していなかったといえるが,問題は,亡Aが本件事故を現に予知していたかどうかではなく,同人においてこれを予知し得たか否かである。 亡Aの訴外Bに対する行動は,相当酒に酔っていたとしても,過失行為ではなく故意に基づくもので,何の落ち度もない訴外Bを著しく困惑させるものであったことは明らかで,B車両を発進させて亡Aを轢過した訴外Bの行為に先行しているのであり,本件事故は亡Aの先行した行動がなければ起こり得なかったものである。亡Aの行動は,自ら本件事故を招いたと評価し得るものといってよい。 以上で検討したところによると,本件事故を「不慮の事故」に該当するとみることには疑問があり,仮にこれを「不慮の事故」とみることができるとしても,本件事故の発生について亡Aに重大な過失があったことが明らかである。 第4 結論以上の次第で,控訴人は本件保険契約の災害割増特約による特別死亡保険金の支払義務を負わないことになる。被控訴人の本件請求は理由が 生について亡Aに重大な過失があったことが明らかである。 第4 結論以上の次第で,控訴人は本件保険契約の災害割増特約による特別死亡保険金の支払義務を負わないことになる。被控訴人の本件請求は理由がないので,これを理由があるとして認容した原判決は失当である。よって,原判決を取り消して,本件請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第7民事部裁判長裁判官妹尾圭策裁判官稻葉重子裁判官栂村明剛 原審平成12年(ワ)第10707号保険金請求事件平成13年6月15日判決言渡 主文 1 被告は、原告に対し、金750万円及びこれに対する平成12年10月31日から支払済まで年6分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 この判決第1項は仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告は、原告に対し、金750万円及びこれに対する平成12年10月31日(訴状送達の日の翌日)から支払済まで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は、交通事故により死亡した被害者が被告との間で締結していた保険契約のいわゆる災害割増特約に基づいて、保険金受取人である原告が被告に対し、特別死亡保険金の支払を求めた事案である。 1 争いのない事実等(1) 訴外A(以下「亡A」という。)は、平成3年6月28日、訴訟脱退前被告C生命保険相互会社(以下「C生命」という。)との間で、下記終身保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結した。 証券番号 151-670 A」という。)は、平成3年6月28日、訴訟脱退前被告C生命保険相互会社(以下「C生命」という。)との間で、下記終身保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結した。 証券番号 151-6708459契約者亡A被保険者亡A保険金受取人原告特約被保険者の死亡が災害によるものである場合は、通常の死亡保険金とは別に、特別死亡保険金として750万円を支払う(以下「災害割増特約」という。)(2) 亡Aと訴外B(以下「訴外B」という。)との間で、下記交通事故(以下「本件事故」という。)が発生した。 日時平成11年5月7日午前1時45分ころ場所大阪市k区a町b丁目c番d号先路上事故の状況訴外Bは、大型貨物自動車(10トントラック、大阪ef-ghij。以下「B車両」という。)を運転し、前記日時、前記場所に設置された横断歩道手前で、信号待ちにより停車したところ、亡Aが酒に酔った状態でB車両運転席外側ステップによじ登り窓ガラスを連打し、大声で叫び出すなどしたことから、同人と関わり合いになることをおそれ、ゆっくりと同車両を前進させたが、そのうち運転席側バックミラーから同人の姿が消えたため、同人が車両から離れたものと軽信し、その動静を十分に確認しないままB車両を時速約10キロメートルの速度で進行させた過失により、同車運転席ステップから路上に転落し転倒していた同人を同車右前輪で轢過し、同人に対し体幹部圧挫傷(骨盤骨折、後腹膜下出血、左外腸骨動脈挫傷、膀胱挫傷)、左脛骨骨折等の傷害を負わせ、同日午前9時20分ころ、D救命救急センターにおいて、右傷害に基づく出血性ショックにより死亡させたもの。 (3) C生命は、平成13年4月2日付で、被告に対し、保険契約の包括移転を行い、被告は、本件保 午前9時20分ころ、D救命救急センターにおいて、右傷害に基づく出血性ショックにより死亡させたもの。 (3) C生命は、平成13年4月2日付で、被告に対し、保険契約の包括移転を行い、被告は、本件保険契約に関する義務のすべてをC生命から承継した。 2 争点(1) 本件事故が「不慮の事故」に該当するかア原告の主張亡Aが自らB車両に接近していった行為が本件事故の誘因になったことは否定し得ないが、訴外BがB車両を走行させて、その結果自分が轢過されることまで亡Aが予期していたとまではいうことができないから、本件事故が「不慮の事故」に該当することは明らかである。 イ被告の主張災害割増特約は「不慮の事故」による傷害を直接の原因とする死亡に対して支払われ、「不慮の事故」は、急迫性、偶然性及び外来性をその要件とするところ、本件事故は、偶然性の要件を欠く。すなわち、偶然性の要件は、被保険者が一定の注意力・判断力を有し、危険を予見してそれを回避しようとすることを前提としているところ、酒に酔った状態で大型貨物自動車に絡み、しかも同車両が動き出したにもかかわらずこれに掴まって運転席側に回り込めば、路上に転落して轢過されることは通常予見可能であり、亡Aには危険を予見してそれを回避しようとする前提が欠けていたものといわざるを得ないから、偶然性があるとはいえない。 (2) 亡Aの重過失の有無ア被告の主張災害保険金の免責事由である「保険事故が被保険者の故意または重過失によって招致されたとき」にいう「重過失」とは、「わずかの注意さえ払えば、違法有害な結果を予見することができたのに、その注意を怠ったために結果を予見できなかった場合をいう。」と解すべきところ、本件事故の態様に鑑みれば、亡Aには少なくとも重過失があるから、被告に災害割増保険金 害な結果を予見することができたのに、その注意を怠ったために結果を予見できなかった場合をいう。」と解すべきところ、本件事故の態様に鑑みれば、亡Aには少なくとも重過失があるから、被告に災害割増保険金の支払義務はない。 イ原告の主張災害保険金の免責事由としての「重過失」の意味については、被保険者の不注意が著しいばかりでなく、その不注意による保険事故招致が故意によるものと同視しうるほどに悪質であるため、具体的事案のもとにおいて当該事故により保険金を支払わせることが信義則上不当とされる場合をいうものと解されるべきであるが、仮に、「重過失」の意味を、商法641条にいうそれと同様、「通常人に要求される程度の相当の注意をしないでも、わずかの注意さえすれば、違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然とこれを見過ごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態」と解したとしても、本件において、亡Aに保険金の請求を許さないほどの故意に近い重過失が存したとはいえない。 第3 争点に対する判断 1 証拠(甲第2号証ないし第10号証)によれば、以下の事実が認められる。 (1) 亡Aは、昭和36年4月19日生まれの男性で、建設会社に勤務し、妻及び2男1女との5人暮らしをしていた。亡Aは、C型肝炎及びアルコール依存症を患っていたことから、日頃飲酒は控え気味にしており、本件事故前日の平成11年5月6日も、自宅では飲酒していなかったが、同日午後11時ころ行き先を告げずに自宅を出た後、同月7日午前1時35分ころ本件事故現場付近に現れたときには相当酒に酔った様子が見られ、交差点内で信号待ちをしていたタクシーに近付いていって運転手に絡んだり、無人の交番内で大声を上げたり、同交番の入り口ドアを何度か蹴ったりしていた。 (2) 本件事故現場は、別 に酔った様子が見られ、交差点内で信号待ちをしていたタクシーに近付いていって運転手に絡んだり、無人の交番内で大声を上げたり、同交番の入り口ドアを何度か蹴ったりしていた。 (2) 本件事故現場は、別紙「現場の概況(三)現場見取図」(以下「別紙図面」という。)記載のとおりの五叉路交差点(以下「本件交差点」という。)内であり、訴外Bは、B車両を運転して西方から本件交差点に差し掛かった際、対面信号機が赤色表示であったことから、同交差点西詰の車両停止線手前(別紙図面記載①地点)に先頭車両として停車した。 (3) 亡Aは、別紙図面記載<A>地点付近から、停車中のB車両に歩み寄って行き、助手席側の窓ガラスから顔を覗かせながら、同ガラスを手拳で数回叩いたり、助手席ドアの取っ手に手を掛けてしきりに引っ張るなどした。 訴外Bは、酔っぱらいが絡んできたと感じるとともに、迷彩服の上下を着用し短髪で口髭とあご髭を生やしている亡Aの人相風体から、同人がやくざであると思い、関わり合いになるのを避けるため、B車両を発進させれば同人も怖がって車両から離れるものと考えて、別紙図面記載②さらには③地点まで徐行速度で進行して停止したところ、その間に、亡Aは、フロントワイパー付近に手を掛けながらB車両の前方から運転席側に回り込み、同図面記載<E>地点付近において、同車両運転席側外側ステップによじ登って運転席側窓を手拳で叩き始めた(関係地点間の距離は、別紙図面の「関係距離」欄記載のとおり。以下同じ。)。 (4) 訴外Bは、亡AがB車両から離れないため、対面信号機が赤色を表示していることを認識しながら、交差道路から走行してくる車両がないことを確認した上、B車両を再度発進させ、時速約10キロメートル程度の速度まで加速しながら別紙図面記載④、⑤地点を経由して⑥地点まで進行したところ、 を認識しながら、交差道路から走行してくる車両がないことを確認した上、B車両を再度発進させ、時速約10キロメートル程度の速度まで加速しながら別紙図面記載④、⑤地点を経由して⑥地点まで進行したところ、⑤地点までは運転席側窓ガラス越しに見えていた亡Aの姿が視界から消えたことから、同人が危険を感じて自ら運転席側ドアステップから降りたものと考え、そのまま同車両を進行させた。 ところが、訴外Bは、同図面記載⑦地点においてB車両の右前輪が何かに乗り上げたような衝撃を感じ、同図面記載⑧地点でミラーにより後方を確認したところ、同図面記載<I>地点路上に亡Aが転倒していたことから同人を轢過したことに気付いたが、同車両を停止させることなく、同図面記載⑨の方向へ右折してそのまま事故現場から逃走した。 (5) B車両の右前輪タイヤ外側及び右前輪後軸タイヤの外側及び内側には、亡Aの身体との接触により生じたと思われる擦過痕があり、亡Aは、被告車両の右前輪と接触した後、右前輪後軸タイヤで轢過された。 2 乙第1号証によれば、本件保険契約が対象とする「不慮の事故」とは、急激かつ偶発的な外来の事故をいうものとされているところ、「偶発的」とは、原因または結果の発生が被保険者にとって予知し得ない場合をいうものと解するのが相当である。 前記のとおり認定した事実によれば、亡Aは、深夜、交差点で停車中のB車両に自ら近付いて行き、助手席側の窓ガラスを叩いたり、運転席外側ステップによじ登って窓ガラスを叩いたりしながら大声を出すなどの行為を行っており、かかる場合、運転者が驚愕あるいは恐怖心から車両を発進させることがあり得ることは通常予見し得ないことではないから、本件事故の原因となったB車両の発進については、亡Aにとって予知し得たものと解するべきである。 しかしながら、亡Aにとって、 車両を発進させることがあり得ることは通常予見し得ないことではないから、本件事故の原因となったB車両の発進については、亡Aにとって予知し得たものと解するべきである。 しかしながら、亡Aにとって、B車両が本件交差点西詰横断歩道上で一旦停止した後、赤信号を無視して再び発進を始め、停止することなく本件交差点中央付近まで進行し、その際、自己が車両の右前輪に巻き込まれて轢過されるという結果まで予知していたとは認めることができないし、また、通常人にとっても、運転者が歩行者の安全や信号表示を無視し、人が車外にしがみついていることを認識しながら車両を十数メートルにわたって走行させる行為に出ることにより、自己が轢過されるに至るという結果までは予見しがたいというべきである。 したがって、少なくとも本件事故の結果については、被保険者である亡Aにとって予知し得ないものであったというべきであるから、本件事故は「偶発的」なものということができ、また、本件事故が急迫な外来の事故であることは明らかであるから、本件事故は、本件保険契約にいう「不慮の事故」に当たるものと認めることができるというべきである。 3 そこで、さらに、本件事故の発生につき、亡Aに本件保険契約の免責事由とされている「重過失」が認められるかどうかを検討する。 上記「重過失」の意味については、一般民事法上にいう「重過失」と特段別異に解すべき理由はないから、「通常人に要求されている程度の相当の注意をしないでも、わずかの注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見過ごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すもの」(最高裁第3小法廷判決昭和32年7月9日・民集11巻7号1203頁参照)と理解するのが相当である。 前記のとおり認定した事実に基 ごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すもの」(最高裁第3小法廷判決昭和32年7月9日・民集11巻7号1203頁参照)と理解するのが相当である。 前記のとおり認定した事実に基づいて、本件において亡Aに上記「重過失」があったといえるか否かについて判断するに、確かに、亡Aが酒に酔った状態で停車中のB車両の運転席外側ステップによじ登り、運転席側窓ガラスを手拳で殴打する行動に出たことは軽率のそしりを免れないというべきであるが、前叙のとおり、本件事故は、訴外BがB車両を横断歩道付近で一旦停止させた後、本件交差点の対面信号機が赤色を表示していたにもかかわらずこれを無視し、かつ、亡Aが運転席外側ステップに乗ってB車両にしがみついていることを認識しながら、同車両を十数メートルにわたり時速約10キロメートルに加速させながら走行させた行為に起因して発生したものというべきところ、停車中の車両のステップによじ登り運転席窓ガラスを手拳で叩くという亡Aの行為は必ずしも運転者を差し迫った危険に直面させるものとはいえないから、運転者が交通法規を無視して車両外に掴まっている人が転落するかもしれない危険を敢えて冒して車両を進行させるという行動に出ることは、通常人にとって予見可能とは言い得ないのみならず、上記亡Aの行為それ自体には必ずしも車両に轢過されて死亡するに至るということまでの具体的な危険性が認められないことからすれば、亡Aがわずかの注意によって有害な結果を予見することができたのに漫然とこれを見過ごし、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態により本件事故を惹起したものとまではいうことができないというべきである。 したがって、被告は、原告に対し、本件保険契約に基づき、約定の特別死亡保険金を支払う義務があるというべきである。なお、本件保険契約は、相 故を惹起したものとまではいうことができないというべきである。 したがって、被告は、原告に対し、本件保険契約に基づき、約定の特別死亡保険金を支払う義務があるというべきである。なお、本件保険契約は、相互会社であるC生命との間で締結されたものであるが、相互会社の行う行為については商法の商行為の規定が準用される(保険業法21条2項)から、原告は、商事法定利率年6分の割合による遅延損害金を請求することができる。 4 以上の次第であるから、原告の請求はすべて理由がある。 よって、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第15民事部
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