令和3(ワ)3374 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年3月22日 東京地方裁判所
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判決文本文28,343 文字)

1令和6年3月22日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官令和3年(ワ)第3374号 損害賠償請求事件口頭弁論終結日 令和5年11月24日判 決 5主 文1 被告は、原告A1に対し、1788万8052円及びこれに対する平成29年8月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は、原告A2に対し、1788万8052円及びこれに対する10平成29年8月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は、これを5分し、その3を原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。 155 この判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由第1 請求1 被告は、原告A1に対し、4672万4015円及びこれに対する平成29年8月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 202 被告は、原告A2に対し、4672万4015円及びこれに対する平成29年8月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要原告らは、被告が輸入、販売する転落防止用のベッドガードを購入して、同ベッドガードをベッドに取り付けて使用していたところ、原告らの子(生後925か月)が、就寝中に同ベッドガードとベッドマットとの間に挟まって死亡する2事故が発生した。本件は、原告らが、同事故について、当該ベッドガードに設計上及び指示・警告上の欠陥があり、これによって上記事故が発生したと主張して、被告に対し、製造物責任法3条に基づく損害賠償請求として、それぞれ4672万4015円及びこれに対する上記事故が発生した日である平成 示・警告上の欠陥があり、これによって上記事故が発生したと主張して、被告に対し、製造物責任法3条に基づく損害賠償請求として、それぞれ4672万4015円及びこれに対する上記事故が発生した日である平成29年8月8日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のも の)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実及び後掲各証拠(証拠番号については、特に断りのない限り枝番を含む。)等により容易に認められる事実。証拠等の掲記のない事実は、当事者間に争いがない。)(1) 当事者 ア原告らは、亡B(平成28年10月17日生。以下「B」という。)の両親である。 イ被告は、育児用品及び家具の販売等を業とする株式会社であるところ、後記のとおり、本件で問題となる「製造物」(製造物責任法2条1項)であるベッドガードを業として輸入しており、「製造業者」(同条3項1号) に当たる。 (2) 事故に至る経緯ア被告によるベッドガードの輸入・販売(甲4、乙1、2)被告は、台湾のメーカーが平成24年9月5日に製造・出荷した「品番 63012 050912 MA-0780」の「ポータブルベッドガー ドネイビーブルー」という製品(以下「本件ベッドガード」という。)を同月13日に輸入し、平成25年7月頃までに小売店舗等に販売した。 イ原告らによる本件ベッドガードの購入・設置(甲7、9、弁論の全趣旨)原告A2は、平成29年7月末頃、インターネットオークションを利用して購入した本件ベッドガードを受領し、同年8月2日に原告らの寝室のベ ッドに設置した。 ウ Bの死亡事故の発生(甲9、22、25の5)原告A1は、平成29年8月8 を利用して購入した本件ベッドガードを受領し、同年8月2日に原告らの寝室のベ25ッドに設置した。 3ウ Bの死亡事故の発生(甲9、22、25の5)原告A1は、平成29年8月8日午後6時40分頃、Bが本件ベッドガードとベッドマットとの間に身体を挟むように転落しているのを発見し、すぐに抱き上げたものの、Bは呼吸をしていない状況であった(以下「本件事故」という。)。 5Bは、同日午後8時05分頃、死亡が確認された。なお、検視の結果、Bの死因は不詳とされたが、司法解剖の結果、胸郭運動制限による窒息死の可能性が高いと推定された。 (3) 本件ベッドガードア 構造(甲8、20、乙8)10(ア) 構造の概略本件ベッドガードの本体構造は、主にベッドマットに対して垂直に立ち上がるガード部(以下、単に「ガード部」という。)とベッドマットとベッドフレームの間に水平に挟み込まれる脚部(以下、単に「脚部」という。)に分けられる。ガード部と脚部は、ヒンジ(蝶番状の部品)で繋15がっており、ガード部は、立ち上がった状態から、脚部と反対方向に180度倒すことができる。ガード部には、主に網目状のメッシュ素材が使用されている。脚部のヒンジ付近には、本件ベッドガードの位置がずれ動くことにより、ベッドマットとの間に隙間が生じることを防止するためのセーフティベルト(以下、単に「セーフティベルト」という。)が20取り付けられている。本件ベッドガードの形状等は、別紙1の「完成図と各部の名称」のとおりであり、ベッドに取り付けた状況が別紙2の「使用方法」のとおりである(甲35の1)。 (イ) セーフティベルトの仕組みセーフティベルトには、これを間に通すことのできる構造に りであり、ベッドに取り付けた状況が別紙2の「使用方法」のとおりである(甲35の1)。 (イ) セーフティベルトの仕組みセーフティベルトには、これを間に通すことのできる構造になってい25るプレートと呼ばれる楕円形の留め具(以下、単に「プレート」という。)4が備え付けられている。本件ベッドガードを設置する際、ベッドマットの下からセーフティベルトを通し、本件ベッドガードが設置されている側と反対側にプレートを出した上で、プレートをベッドフレームに掛けて固定し、プレートをベッドフレームとベッドマットに跨るような位置に置いて押さえながらセーフティベルトを引っ張って長さを調節するこ5とにより、本件ベッドガードが移動しないように固定することができる。 イ 表示(ア) 取扱説明書(甲8、乙6)本件ベッドガードの取扱説明書(以下、単に「取扱説明書」という。)には、赤枠に警告マークを付して「使用上の注意」と表示の上、その枠10内に「生後18ヶ月から5歳くらいまでのお子様に使用して下さい。」、「絶対に乳幼児用として使用しないで下さい。」と表示されていた。 (イ) 「お客様へお願い」と題する書面(甲8、乙6)本件ベッドガードの取扱説明書に添付されていた「お客様へお願い」と題する文書(以下「警告文書」という。)には、「ベッドガードの使用15の際は、マットレスとのすき間で思わぬ事故が発生する恐れがあります。 取扱説明書の使用上の注意等に従って正しく使用して下さい。また、ベッドガードとマットレスの間にすき間がないか常に確認して下さい。」と表示されていた。 (ウ) カートンボックス(甲32の1、乙6)20本件ベッドガードのカートンボックス(本件ベッドガー ドガードとマットレスの間にすき間がないか常に確認して下さい。」と表示されていた。 (ウ) カートンボックス(甲32の1、乙6)20本件ベッドガードのカートンボックス(本件ベッドガードが収納されていた外箱。以下、単に「カートンボックス」という。)の両面には、横幅約11.2cmで「使用対象年齢 18ヶ月~60ヶ月頃まで」と表示されている。その下には、黄色の下地に「警告」との表示があり、その横には、赤字で「18ヶ月未満のお子様には適しておりません。絶対に25使用しないで下さい。」と表示されていた。 5(エ) 本体(甲4、20)本件ベッドガード本体には、前記(ア)ないし(ウ)のような警告表示や注意書きは一切ない。 (4) ベッドガードに関する製品安全基準ア BS規格(甲17、乙4)5(ア) 制定及び改訂イギリスにおけるベッドガードに関する製品安全基準として、BS規格が、平成13年9月24日に制定され、平成21年に一部改訂された。 本件に関連する具体的な基準等の要旨は、以下のとおりである。 (イ) 序文10ベッドガードは18か月未満の幼児には適さない。 また、ベッドガードの使用に際し、子供の体が隙間を通り抜け、頭が挟まって引っかかった状態が最も危険な状態であると認識されており、このような状況では子供が窒息死するおそれがあるため、非常に危険である。 15(ウ) 安全性試験及び基準(付録E)a 試験(E2.1)① 水平面に対して15度の角度に傾いた平面上に、試験表面、ベッドガード及びベッドマットを配置する。試験表面は動かないように固定して下の端部を傾け、ベッドマットは試験表面に沿って滑らな20 ① 水平面に対して15度の角度に傾いた平面上に、試験表面、ベッドガード及びベッドマットを配置する。試験表面は動かないように固定して下の端部を傾け、ベッドマットは試験表面に沿って滑らな いように括り付けて、その端部と平行にベッドガードを設置する。 ② 所定のサイズ・重量の円柱状テストダミーを所定の位置から所定の方法でベッドマット上に転がし、ベッドガードのガード部にもたれ掛けさせる。 ③ ②を合計10回繰り返す。 b 基準(5.1.7) 前記aの試験後、ベッドマットとベッドガードの隙間が40mmを超えてはならない(以下、この基準を「隙間に関する基準」という。)。 (エ) 表示(6.1)ベッドガードには、恒久的に、18か月未満の子供には使用できない旨の警告を表示すること。なお、「警告」の文字は、最小でも5mmの高 さで表記すること。 イ SG基準(甲10、19)(ア) 制定日本国内におけるベッドガードに関する製品安全基準として、SG基準が、平成23年3月30日に制定された。 本件に関連する具体的な基準等の要旨は、以下のとおりである。 (イ) 安全性品質(ベッドへの取付け性)a 基準ベッドガードを取扱説明書のとおりベッドの所定の位置に取り付けた後、ベッドへの取付け性試験を行ったとき、ベッドガードがベッド から移動しないこと。 b 基準確認方法(ベッドへの取付け性試験)15kgの質量をベッドマットの上に加え、半径10cm及び長さ30cmの半円形のあて板を用いて、ガード部分の中央に130Nの力を加えて確認すること。 (ウ) 表示及び取扱説明書a 基準ベッドガー ッドマットの上に加え、半径10cm及び長さ30cmの半円形のあて板を用いて、ガード部分の中央に130Nの力を加えて確認すること。 20(ウ) 表示及び取扱説明書a 基準ベッドガードには、容易に消えない方法で以下の事項を表示し、また、以下の事項を明示した取扱説明書を添付すること。なお、ベッドガードには、(a)の表示をその主旨が見やすい箇所にすること。 25(a) 使用年齢範囲は、生後18か月から60か月までであること。 7(b) 生後18か月未満の乳幼児には適さない旨。 b 基準確認方法(a) 安全警告標識(△)と4.9mm以上の大きさ(縦寸法)の「警告」及び「注意」のシグナルワードを併記し、目立つ色彩を用いるなどしてより認知しやすいものであることを確認すること。 5(b) ベッドガードを収納するカートンボックスにも表示すること。 (エ) 改訂前記(ウ)a(b)は、平成29年12月21日、具体的な危険性を併記し、より注意喚起を促すことを目的として、「小さな乳児の場合、隙間に挟まると自力では脱出できず窒息するおそれがあるため、生後18か月未10満の乳幼児には適さない旨。」に改訂された。 2 争点及びこれに関する当事者の主張(1) 本件ベッドガードの設計上の欠陥の有無(争点1)(原告らの主張)以下のとおり、本件ベッドガードは、その構造上の問題があり、少なくと15も、BS規格の隙間に関する基準を満たさないものであって、設計上の欠陥がある。 ア 本件ベッドガードの構造本件ベッドガードは、メッシュのガード部に荷重がかかった際に大きくたわみが生じること、ガード部が面に対して垂直方向にがたつくこと、ベ20ッドに固定するためのストッパーが1つであり、ストッパーを起点と ベッドガードは、メッシュのガード部に荷重がかかった際に大きくたわみが生じること、ガード部が面に対して垂直方向にがたつくこと、ベ20ッドに固定するためのストッパーが1つであり、ストッパーを起点としてガード部がずれやすく、ベッドの頭側ないし足側に隙間が生じやすいことが相俟って、本件ベッドガードとベッドマットとの間に乳幼児の身体が挟み込まれる程度の隙間が容易に生じる構造となっている。 イ 実証実験25(ア) BS規格の隙間に関する基準の適合試験8原告らにおいて、本件ベッドガードを用いて、BS規格の安全性試験を実施したところ、各計測後のみならず、テストダミーを取り外した後も、本件ベッドガードとベッドマットとの間に40mmを上回る隙間が生じた。 (イ) 再現実験5本件ベッドガードをベッドに取り付け、ベッドマット上に寝かせた7. 8kg(6か月児の体重相当)のダミー人形をベッドガードに接近させて、子供の動き程度に揺すったところ、ダミー人形がガード部のメッシュを押し広げ、本件ベッドガードとベッドマットとの間に80mm程度の隙間が生じた。 10ウ 原告らの使用方法に問題がなかったこと被告は、原告らの本件ベッドガードの使用方法に問題があったと主張するが、原告らは、セーフティベルトをベッドマットの幅からさらにベッドの土台に挟み込むことを考慮した長さに調節しつつ、プレートを2つのベッドの土台に挟み込んで引っ掛ける方法で、取扱説明書に記載された方法15よりも強固に本件ベッドガードを固定した。本件事故は、このように、原告らがベッドマットとの間に隙間が生じないよう留意して本件ベッドガードをベッドに取り付けた後、1週間も経たないうちに発生したもので、この点からも、本件 ドガードを固定した。本件事故は、このように、原告らがベッドマットとの間に隙間が生じないよう留意して本件ベッドガードをベッドに取り付けた後、1週間も経たないうちに発生したもので、この点からも、本件ベッドガードに設計上の欠陥があったことは明らかである。なお、本件ベッドガードとベッドマットとの間に最大で約10cmの 隙間が生じる状態となったのは、原告らによる救助活動後であって、本件事故当時からそのような状態であったものではない。 (被告の主張)以下のア、イのとおり、本件ベッドガードは、BS規格の隙間に関する基準及びSG基準の安全性品質(ベッドへの取付け性)に係る基準をいずれも 満たすもので、設計上の欠陥はない。本件事故は、以下のウのとおり、原告 らの本件ベッドガードの使用方法に問題があったことにより生じたもので、本件ベッドガードの構造に問題があったことによるものではない。 ア BS規格の隙間に関する基準に適合していることBS規格は、ベッドガードの使用に際し、子供が隙間に挟まった状態が最も危険な状態であるとの認識の下、ベッドガードの安全性として、隙間 に関する適合基準を厳格に設けている。そして、本件ベッドガードは、平成22年3月29日に、BS規格の製品安全基準に適合していることが報告されている。 また、被告においても、原告らが使用していたメーカーのベッドマットのうち、最も粘弾性に優れた低反発のベッドマットを使用し、本件ベッド ガードを用いて、BS規格の安全性試験を実施したところ、取扱説明書に記載されたとおりに本件ベッドガードを設置した場合に、40mmを上回る隙間が生じることはなかった。 イ SG基準の安全性品質(ベッドへの取付け性)に係る基準に適合していること 被告にお りに本件ベッドガードを設置した場合に、40mmを上回る隙間が生じることはなかった。 イ SG基準の安全性品質(ベッドへの取付け性)に係る基準に適合していること 被告において、本件ベッドガードを用いて、SG基準のベッドへの取付け性試験を実施したところ、ベッドガードがベッドマットから移動することはなかったのであるから、本件ベッドガードは、SG基準のベッドへの取付け性試験に合格していたといえる。 そして、SG基準のベッドへの取付け性試験は、BS規格の隙間に関す る安全性試験が基になっており、両者には互換性があるから、本件ベッドガードがSG基準の安全性品質(ベッドへの取付け性)に係る基準にも適合していたことは明らかである。 ウ原告らの使用方法に問題があったこと本件ベッドガードは、取扱説明書に記載されたとおりに設置すれば、ベ ッドガードとベッドマットとの間に隙間が生じない構造となっているが、 本件ベッドガードは、当時、ベルトの長さの調整具合から、本件ベッドガードとベッドマットとの間に最大で約10cmの隙間が生じる状態となっていた。 また、原告らの当時の設置方法は、①プレートがベッドマットの側面にかかっていないため、本件ベッドガード本体とプレートとの間でベッドマ ットが隙間なく両サイドから締め付けられるようなサンドイッチ構造になっていないこと、②プレートは、2つのベッドフレームとの間に挟まっているだけで、非常に不安定となっており、締付固定器具としての機能を全く果たしていないことから、取扱説明書に記載された重要事項に反した不適切なものであった。さらに、原告らは、シングルベッドとダブルベッド を並べて使用しており、組立ての際に取扱説明書や使用上の注意書きを確認もしていないことか 明書に記載された重要事項に反した不適切なものであった。さらに、原告らは、シングルベッドとダブルベッド10を並べて使用しており、組立ての際に取扱説明書や使用上の注意書きを確認もしていないことからすれば、本件ベッドガードを適切に使用していたとはいえない。 (2) 本件ベッドガードの指示・警告上の欠陥の有無(争点2)(原告らの主張)15本件ベッドガードについてはその危険性についての十分な指示・警告が必要であるが、以下のとおり、本件ベッドガードに付された指示・警告はいずれも不十分なものであって、指示・警告上の欠陥があるというべきである。 ア 指示・警告の必要性について本件ベッドガードのような使用対象年齢が制限された製品は、使用者で20ある親にとっても初めての経験であることが通常であり、使用者にとってなじみのない新規性の高い製品である。そして、新規性の高い製品については、使用者にはどのような具体的危険が内在しているか予見することが困難なため、指示・警告の表示により具体的危険を知らせる必要性が高い。 イ 本件ベッドガード本体に表示がないこと25ベッドガードは、ベッドマットに設置された後は長期的に使用されるも11のである上、本件ベッドガードは、折り畳みを可能にして収納袋を用意していることから、外箱なしで保管し、繰り返して使用することを考慮した製品となっている。そのため、指示・警告の表示は、設置時だけでなく、使用中にも視認しやすいものであることが必要であるから、本件ベッドガード本体に具体的な危険を表示することが必要である。 5しかし、本件ベッドガード本体には、指示・警告の表示が一切なかった。 ウ 表示された指示・警告の内容が具体性を欠くこと(ア) 取扱説明書 とが必要である。 しかし、本件ベッドガード本体には、指示・警告の表示が一切なかった。 ウ表示された指示・警告の内容が具体性を欠くこと(ア) 取扱説明書取扱説明書には、「生後18ヶ月から5歳くらいまでのお子様に使用して下さい。」との記載があるが、「くらいまで」という表現であると、 目安が示されていると読むのが自然であり、対象外の年齢の乳幼児に使用する場合、どのような危険が生じるのかが具体的に示されていない。 また、「絶対に乳幼児用として使用しないで下さい」との記載も、使用対象年齢に幼児が含まれているため、意味合いが判然としない。 (イ) 警告文書 警告文書には、本件ベッドガードの使用に際しては、ベッドマットとの間の隙間で「思わぬ事故」が発生する恐れがあるため、取扱説明書の指示に従い、隙間がないかを常に確認すべき旨の記載があるが、「思わぬ事故」として子供が窒息死する事故を想定することはできない。 (ウ) カートンボックス カートンボックスには、「18ヶ月未満のお子様には適しておりません。絶対に使用しないで下さい。」との記載があるが、その理由は説明されておらず、乳幼児が窒息死する事故を想定することはできない。 そもそも、商品を梱包する外箱はすぐに廃棄されたり、片づけられたりすることが多く、カートンボックスへの表示のみでは不十分である。 エ併用に適さないベッドマットに関する表示がないこと 本件ベッドガードには、低反発のベッドマットと併用することを禁じる指示・警告の表示は一切なかった。 (被告の主張)以下のとおり、本件ベッドガードには適切な場所に十分な内容の指示・警告が施されているも ガードには、低反発のベッドマットと併用することを禁じる指示・警告の表示は一切なかった。 (被告の主張)以下のとおり、本件ベッドガードには適切な場所に十分な内容の指示・警告が施されているものであって、指示・警告上の欠陥は存しない。 ア使用対象年齢に関する表示使用対象年齢に関する指示・警告は、使用のたびに注意喚起すべきような細かな使用方法に関する事柄ではなく、その性質上、使用の大前提として製品購入時に注意喚起し、適切な購買に導くことで足りる。 そして、本件ベッドガードのカートンボックスの両面には、使用対象年 齢を「18ヶ月~60ヶ月頃まで」と大きく表示するとともに、黄色の下地を使用して警告と注意喚起した上で、赤字で「18ヶ月未満のお子様には適しておりません。絶対に使用しないで下さい。」と表示されている。 また、取扱説明書にも、赤枠で強調し、警告マークまで付して「生後18ヶ月から5歳くらいまでのお子様に使用して下さい。」、「絶対に乳幼児 用として使用しないで下さい。」との表示がなされている。さらに、取扱説明書に警告文書を添付し、「ベッドガードの使用の際は、マットレスとのすき間で思わぬ事故が発生する恐れがあります。取扱説明書の使用上の注意等に従って正しく使用してください。また、ベッドガードとマットレスの間にすき間がないか常に確認して下さい。」と具体的な注意喚起がさ れている。 したがって、本件ベッドガードには、使用対象年齢という性質に照らして、適切な指示・警告の表示がなされている。 イ併用に適さないベッドマットに関する表示本件ベッドガードは、低反発のベッドマットを使用してBS規格の安全 性試験を実施した結果、BS規格の隙間に関する基準に適合していること が確認 さないベッドマットに関する表示本件ベッドガードは、低反発のベッドマットを使用してBS規格の安全25性試験を実施した結果、BS規格の隙間に関する基準に適合していること13が確認されているのであって、低反発のベッドマットと適合しないわけではないから、併用を禁じる指示・警告の表示をする必要はない。 (3) 本件ベッドガードの欠陥とBの死亡との間の因果関係の有無(争点3)(原告らの主張)以下のとおり、Bの死因は、胸郭運動制限による窒息死であり、本件ベッ5ドガードの欠陥と因果関係があることは明らかである。 ア Bの死因Bは、本件ベッドガードとベッドマットとの間に生じた隙間に挟まれて身動きが取れなくなり、胸郭が圧迫され、窒息状態となって死亡した。その際、Bの口と鼻は全てベッドマット上に出ている状態であった。 10仮にBの口と鼻がベッドマットに埋もれていたとしても、それは隙間が生じやすい本件ベッドガードの欠陥により、Bが本件ベッドガードとベッドマットとの間の隙間に落ち込んだ結果である。 イ ベッドの構造本件ベッドガードは、壁に面しないベッドマットの端部に設置されてい15たものであるから、仮に本件ベッドガードが設置されていなかった場合、隙間が生じることはなく、Bが死亡することもなかった。 ウ 原告らの認識及び使用方法原告らは、本件ベッドガードの使用対象年齢が18か月以上であることや窒息事故が発生する危険性があることを全く認識していなかった。そし20て、原告らは、本件ベッドガード本体に適切な指示・警告の表示があれば、Bに本件ベッドガードを使用することの危険性を具体的に認識することができ、使用自体を控えた。また、本件ベッドガードは、取扱説明書のとお 原告らは、本件ベッドガード本体に適切な指示・警告の表示があれば、Bに本件ベッドガードを使用することの危険性を具体的に認識することができ、使用自体を控えた。また、本件ベッドガードは、取扱説明書のとおりに設置しても、隙間が生じる構造であった。 (被告の主張) 以下のとおり、Bの死因は胸郭運動制限による窒息死ではなく、ベッドマ ットの構造や、原告らの不適切な本件ベッドガードの使用方法に起因するものであって、仮に本件ベッドガードに欠陥があるとしても、それとBの死亡との間に因果関係はない。 ア Bの死因解剖結果報告書は、解剖所見からは胸郭運動制限による窒息と診断する ことは困難であると判断している上、単に空気を吐いた状態で胸郭が既に10.6cmもあるから、10cm以下の隙間に挟まるとそれ以上胸郭が膨らんで空気を吸うことができなくなることもあるであろうと推論したものであり、その推論を超えて、ベッドマットとメッシュのような柔軟な素材に挟まれたことで、どれほどの胸郭運動制限を来すのか、Bの胸郭が吸 気時に膨らむ力と本件ベッドガードやベッドマットが凹む際の反発力との関係が検討された形跡はない。そして、被告において実験したところ、本件ベッドガードがベッドマットとの間で10cmの隙間が生じた際に生じる圧力は約5kgであり、Bの体重よりも軽い負荷であったから、胸郭運動制限による窒息は科学的に導き得ない。 これに対し、乳児は鼻周辺を塞がれると呼吸ができなくなる可能性があるところ、本件事故においては、ベッドマット上に残されたBの顔面が柔らかい素材に埋もれ、口と鼻が塞がれたことにより呼吸ができなくなった可能性が高い。 イベッドマットの構造 本件事故はベッドの端部で発生したものであると されたBの顔面が柔らかい素材に埋もれ、口と鼻が塞がれたことにより呼吸ができなくなった可能性が高い。 イ ベッドマットの構造20本件事故はベッドの端部で発生したものであるところ、本件のように粘弾性の高いベッドマットは特に端部において沈み込みが激しいため、仮にベッドマットの側面が本件ベッドガードではなく、壁に接していた場合であっても、隙間が生じてBが挟まり込む可能性が大いにあった。 ウ 原告らの認識及び使用状況25原告らは、本件ベッドガードの使用対象年齢について、取扱説明書やカ15ートンボックスの表示、さらにはインターネット記事等から認識していたはずである。仮にこれを認識していなかったのであれば、本件ベッドガード本体に表示があっても、同様に認識しなかったと考えられ、結局、本件ベッドガードの使用を控えることは期待できなかったというべきである。 また、原告らは、取扱説明書を見ることなく、本件ベッドガードを設置5しており、適正に使用していなかった。それに加えて、原告らは、取扱説明書に記載された方法よりも強固に本件ベッドガードを設置できていると主張しており、指示・警告の表示に素直に従う姿勢はなかった。 (4) 原告らの損害額(争点4)(原告らの主張)10以下のとおり、原告らは、本件事故により、合計9344万8030円(各4672万4015円)の損害を被った。 ア 葬儀費用 71万0487円イ Bの死亡慰謝料 2500万円ウ Bの逸失利益 5423万7543円15エ 原告ら各慰謝料 各250万円オ 原告ら各弁護士費用 各425万円(被告の主張)いずれも否認ないし争う。 (5) 過失相殺の可否(争点5)20 3円 エ原告ら各慰謝料各250万円オ原告ら各弁護士費用各425万円(被告の主張)いずれも否認ないし争う。 (5) 過失相殺の可否(争点5) (被告の主張)原告らには、以下のとおり、Bの死亡につき過失がある。 ア原告A1は、生後9か月の乳児であるBを2時間、寝室に一人きりにし、状況を確認せずに放置した。 イ原告A1は、生後9か月の乳児であるBを、大人用ベッドで、かつ、使用 しないよう警告されていた低反発のベッドマット上に寝かせていた。 ウ原告らは、18か月未満の乳幼児への使用を禁じられていたのに、生後9か月の乳児であるBに対して本件ベッドガードを使用した。 エ原告らは、取扱説明書の指示に反する方法で、本件ベッドガードを設置し、使用を続けた。 オ原告らは、本件ベッドガードをカートンボックスまで完備された状態で 購入しているところ、カートンボックスには、18か月未満への使用を禁じる指示・警告の表示があった。 (原告らの主張) 原告らには、以下の理由により、被告の主張するような過失はない。 ア親が、子が就寝するのを四六時中監視することは想定できず、本件ベッ ドガードは、まさに、親が見ていないときの乳幼児のベッドからの転落防止を目的とした製品である。したがって、原告A1がBを一人で寝かせていたことが、過失であるとはいえない。 イ本件ベッドガードの取り付け方やサイズに照らすと、本件ベッドガードは、ベビーベッドではなく、大人用ベッドに装着することを予定した製品 であるといえる。また、Bは、本件事故当時、既に寝返りを打つことができていたため、低反発のベッドマットの警告対象ではない ドは、ベビーベッドではなく、大人用ベッドに装着することを予定した製品15であるといえる。また、Bは、本件事故当時、既に寝返りを打つことができていたため、低反発のベッドマットの警告対象ではないし、使用が禁止される理由やそれを使用した際に予想される危険性の説明もなかった。 ウ 本件ベッドガードを18か月未満の乳幼児に使用することが禁じられている実質的かつ科学的な根拠が示されていない。 20エ 原告らの本件ベッドガードの設置方法は、取扱説明書と多少異なるものであったが、指示に反するものではないし、本件事故につながるものでもなかった。 オ カートンボックスに表示があっても、製品をカートンボックスから出してしまえば表示は失われるのであるから、製品本体に表示をすべきである。 25第3 当裁判所の判断171 認定事実前提事実及び後掲各証拠等によれば、以下の事実が認められる。 (1) 本件ベッドガードの設置状況等ア 原告らの寝室内の位置関係等(甲6、25の4、原告A2本人)原告らの寝室には、その長辺部分が南側壁面に接する位置にダブルサイ5ズのベッドが、同ベッドの北側に接する位置にシングルサイズのベッドが横並びで設置されていた。もっとも、ダブルサイズのベッドフレームの横幅がベッドマットの横幅よりも大きかったため、原告らはシングルサイズのベッドマット(以下「本件ベッドマット」という。)をダブルサイズのベッド側に詰めて載せていた。そのため、本件ベッドマットはシングルサイ10ズとダブルサイズのベッドフレームにまたがる状態となり、シングルサイズのベッドフレームの北側部分には一部露出した部分が生じていた。 そして、本件ベッドガードは、本件ベッドマットの北側側面の中央部に設置されていた ズのベッドフレームにまたがる状態となり、シングルサイズのベッドフレームの北側部分には一部露出した部分が生じていた。 そして、本件ベッドガードは、本件ベッドマットの北側側面の中央部に設置されていた。 イ 原告A2による本件ベッドガードの設置方法等(甲9、27、原告A215本人)原告A2は、カートンボックスに掲載された写真を参考にして、取扱説明書を見ることなく、本件ベッドガードを組み立てた。 続いて、原告A2は、本件ベッドガードのセーフティベルトを、本件ベッドマットの幅にベッドフレームの土台に挟み込むための部分を加えた長さ20に調整し、プレートをベッドフレームの土台に挟み込んで引っ掛ける方法により固定した後、本件ベッドマットを、ダブルサイズのベッドマットと本件ベッドガードのガード部とで挟み込むような状態で入れた。 ウ 本件ベッドマット(乙11、14)本件ベッドマットは、粘弾性に優れた低反発のベッドマットであった。 25(2) 本件事故の経緯(甲9、原告A1本人)18ア 原告A1は、平成29年8月8日午後1時半頃、Bを寝かしつけた際、一緒に寝入ってしまった。 原告A1は、同日午後4時15分頃、目を覚ましたところ、その際、Bは、シングルベッドの中央部付近で左半身を下にして寝ており、異常はなかった。 5イ その後、原告A1は、夕食の支度をし、同日午後5時過ぎ頃から原告らの長女(当時2歳。以下「長女」という。)と夕食をとり始めたが、その頃までBの声等は聞こえなかった。同日午後6時頃、長女がBの泣き声が聞こえると言ったが、原告A1にはBの声は聞こえなかったため、そのときには、寝室に入ってBの様子を直接確認することはなかった。 10ウ 原告A1は、同日午後6時40分 頃、長女がBの泣き声が聞こえると言ったが、原告A1にはBの声は聞こえなかったため、そのときには、寝室に入ってBの様子を直接確認することはなかった。 ウ原告A1は、同日午後6時40分頃、寝室にBの様子を見に行くと、Bが本件ベッドガードと本件ベッドマットとの間に挟まって動かない状態でいるのを発見し、119番通報した。Bは、国立病院機構東京医療センターに救急搬送されたが、同日午後8時頃、死亡が確認された。 エ本件事故後、本件ベッドマットと本件ベッドガードのガード部との間に は、最大で約7cmの隙間が認められた。また、セーフティベルトの長さの調整具合から、本件ベッドガードのガード部と本件ベッドマットとの間には、最大で約10cmの隙間が生じる状態となっていた。 (3) 本件事故の同種事故の状況等ア本件事故の約1か月後の平成29年9月12日、生後6か月の乳児がベ ッドガードとベッドマットとの間に挟まり、死亡する事故が発生した(甲13)。 イ消費者庁は、平成29年11月8日、乳児の大人用ベッドからの転落事故への注意を促すニュースリリースを公表し、併せて、ベッドガードを生後18か月未満に使用すると、隙間に挟まって自力で抜け出せずに窒息す るリスクがある、平成29年度に0歳児がベッドガードとベッドマットと の間に挟まれて死亡する事故が2件発生しているなどとして、生後18か月未満には絶対に使用しないよう注意を促した(甲14)。 ウまた、令和2年1月22日にも、生後5か月の乳児がSG基準を満たしたベッドガードとベッドマットとの間に挟まり、死亡する事故が発生している(甲36)。 2 争点1(本件ベッドガードの設計上の欠陥の有無)について(1) 原告らは、本件ベッ 準を満たしたベッドガードとベッドマットとの間に挟まり、死亡する事故が発生している(甲36)。 52 争点1(本件ベッドガードの設計上の欠陥の有無)について(1) 原告らは、本件ベッドガードについては、メッシュのガード部に荷重がかかった際に大きくたわみが生じること、ガード部が面に対して垂直方向にがたつくこと、ベッドに固定するためのストッパーが1つであり、ストッパーを起点としてガード部がずれやすく、ベッドの頭側ないし足側に隙間が生じ10やすいことなどの構造上の問題があり、本件ベッドガードにつき、ベッドマットとの間に乳幼児の身体が挟み込まれる程度の隙間が容易に生じる構造となっており、BS規格の隙間に関する基準にも適合しないもので、設計上の欠陥があると主張するところ、被告は、同欠陥の存在について争うので、以下、この点について検討する。 15ア 本件ベッドガードがBS規格の隙間に関する基準に適合するかについて原告らは、本件ベッドガードがBS規格の隙間に関する基準に適合していないと主張し、その実験結果(甲28)を提出する。他方、被告は、本件ベッドガードがBS規格の隙間に関する基準に適合していると主張し、その実験結果(乙9)を提出する。 20そこで、上記各実験結果の信用性を検討して、本件ベッドガードがBS規格の隙間に関する基準に適合しているか否かについて判断する。 (ア) 前提事実(4)アのとおり、BS規格は、ベッドガードには子供が隙間に挟まって窒息死する危険性があることを踏まえて、ベッドガードの製品安全基準として制定されたものであり、隙間に関する基準として、水平25面に対して15度に傾けた試験表面上に沿って滑らないように括り付け20られたベッドマットにベッドガードを設置 ガードの製品安全基準として制定されたものであり、隙間に関する基準として、水平25面に対して15度に傾けた試験表面上に沿って滑らないように括り付け20られたベッドマットにベッドガードを設置し、テストダミーをベッドマット上に10回繰り返して転がした後、ベッドガードとベッドマットとの間に40mm以上の隙間が生じないことを求めている。 しかるところ、BS規格が製品安全基準であること(前提事実(4)ア(ア))からすると、その安全性試験は同規格に定められた一律の条件の下で実5施されるべきであって、基本的に、それ以外の製品特性を考慮するのは相当でないというべきである。 (イ) 原告ら提出に係るC技術士(以下「C技術士」という。)作成の意見書(以下「C意見書」という。)においては、BS規格の安全性試験と同様の試験を行ったところ、本件ベッドガードと本件ベッドマットとの間10に40mm以上の隙間が確認できたとされる(甲20、28、証人C)。 しかしながら、C技術士の測定方法は、ベッドガードの脚部の全体を試験表面上に載せず、当初からその一部が試験表面からはみ出した状態で測定されているもので、この点において、BS規格上で示されている安全性試験の図(乙4の1・16丁)と異なっている。また、C技術士の15測定方法においては、ベッドマットが試験表面から移動しないようにするための特段の対応をとっておらず、しかも、ベッドガードとベッドマットとの間に当初から隙間が生じた状態で当該試験を実施しているところ(甲20・21頁表2)、ベッドマットが試験表面から移動する状態であったり、当初から隙間が生じている状態では、ベッドガードの移動20によってどれだけの隙間が生じたのかを正確に測定することができなくなるから、この 2)、ベッドマットが試験表面から移動する状態であったり、当初から隙間が生じている状態では、ベッドガードの移動20によってどれだけの隙間が生じたのかを正確に測定することができなくなるから、この点において、C技術士の測定方法は適切ではない。さらに、C技術士は、その証人尋問において、ベッドガードのメッシュ部分のたわみないし膨らみも含めて、ベッドガードとベッドマットとの間の隙間を測定すべきである旨述べており(同尋問調書25ないし27頁)、25C意見書において、そのような測定の結果、本件ベッドガードはBS規21格の隙間に関する基準に不適合であるという結論を導いている。しかしながら、BS規格がメッシュ素材の使用を許容し、その使用を前提としている(BS規格の「5.4 メッシュ」及び「付録D(標準)」の「D.2 手順」参照。甲17、乙4)にもかかわらず、上記(ア)のとおり、BS規格における隙間に関する基準においては、ベッドガードとベッドマットと5の間の40mm以上の隙間が生じないことを求めるにとどまり、メッシュのたわみ等を含めて測定することを求める文言はない。上記(ア)のとおり、BS規格による安全性試験において、同規格に定められた一律の条件以外の製品特性を考慮すべきでないことに鑑みると、この点においてもC技術士の測定方法は適切とはいえない。 10このように、C技術士による測定は、BS規格の安全性試験の試験条件に即して実施されていないというべきであるから、この測定結果をもって、本件ベッドガードがBS規格の隙間に関する基準に適合していないということはできない。 (ウ) これに対し、被告による安全性試験においては、①本件ベッドガード15の全体を試験表面上に載せた状態で、②ベッドマットが試験表面から滑らない 合していないということはできない。 (ウ) これに対し、被告による安全性試験においては、①本件ベッドガード15の全体を試験表面上に載せた状態で、②ベッドマットが試験表面から滑らないように金具で固定し、③ベッドガードとベッドマットとの間に隙間がない状態で安全性試験を実施したところ、本件ベッドガードと本件ベッドマットとの間に40mm以上の隙間は確認されなかったとされている(乙9)。上記①ないし③の試験条件は、前記(イ)で説示した内容に20照らすと、いずれも適切であるといえ、その測定方法等についても特段の問題は認められない。 そうすると、被告の実験は、BS規格の安全性試験の試験条件に即して実施されているということができ、同実験結果によれば、本件ベッドガードがBS規格の隙間に関する基準に適合していると認められる。 25なお、原告らは、被告がテストダミーを取り除いた状態で隙間を測定22しており、BS規格の安全性試験の測定方法に反している旨主張するが、BS規格の隙間に関する基準において、メッシュ等のたわみを含めてベッドガードとベッドマットの隙間を測定すべきでないことは上記(イ)で説示したとおりであるから、この点に関する原告らの主張は採用できない。 イ 本件ベッドガードがSG基準の安全性品質(ベッドへの取付け性)に係5る基準に適合するか否かについて証拠(乙7、16)によれば、本件ベッドガードは、SG基準のベッドへの取付け性試験(前提事実(4)イ(イ))に合格していることが認められる。 これに加えて、SG基準のベッドへの取付け性試験は、BS規格の安全性試験と内容を同じくするものであると認められるところ(甲10、19)、10上記アのとおり、本件ベッドガードがBS 。 これに加えて、SG基準のベッドへの取付け性試験は、BS規格の安全性試験と内容を同じくするものであると認められるところ(甲10、19)、10上記アのとおり、本件ベッドガードがBS規格の隙間に関する基準に適合することからすると、本件ベッドガードは、SG基準の安全性品質(ベッドへの取付け性)に係る基準にも適合するものと認められる。 ウ 原告らの使用方法について上記ア及びイで説示したとおり、本件ベッドガードは、BS規格の隙間15に関する基準及びSG基準の安全性品質(ベッドへの取付け性)に係る基準に適合するものといえる。また、原告らの本件ベッドガードの設置方法については後記(ア)のとおりの問題があったもので、その点も、本件ベッドガードに設計上の欠陥がなかったことを裏付けるというべきである。 (ア) 設置方法について20原告らは、セーフティベルトをあらかじめ適当な長さに調整し、プレートを2つのベッドの土台に挟み込んで引っ掛ける方法で固定して、本件ベッドガードを設置している(認定事実(1)イ)が、このような設置方法は、取扱説明書に記載された本件ベッドガードの本来の設置方法(前提事実(3)ア(イ))と明らかに異なる。その上、プレートをベッドフレーム25とベッドマットに跨るような位置に置いて押さえながらセーフティベル23トの長さを調整するという動作がない分、固定の度合いがかなり感覚的なものとならざるを得ない。現に、原告らの設置方法では、本件事故直後の捜査の結果として、セーフティベルトが本件ベッドガードと本件ベッドマットとの間に最大で約10cmもの隙間を生じさせるような状態となっていたものである(認定事実(2)エ)。なお、原告らは、本件事故5後のセーフティベルトが原告A1の救助活動 ドガードと本件ベッドマットとの間に最大で約10cmもの隙間を生じさせるような状態となっていたものである(認定事実(2)エ)。なお、原告らは、本件事故5後のセーフティベルトが原告A1の救助活動によって斜めにずれたものであると主張するが、セーフティベルトは、プレートを2つのベッドの土台に挟み込むことで固定されているのである(認定事実(1)イ)から、プレートをベッドの土台から外してそれを取り出さない限り、セーフティベルトが斜めにずれることはないということができる。したがって、10原告A1の救助活動によって、セーフティベルトの設置状態が影響を受けたということはできない。 このように、原告らの本件ベッドガードの設置方法が、取扱説明書の記載やセーフティベルトの仕組みに照らし、適正であったということはできない。 15(イ) 本件ベッドマットの材質についてなお、被告は、原告らが、粘弾性の優れた低反発のベッドマットを使用していたことを指摘して、本件ベッドガードを適正な方法で使用していなかったと主張するが、本件ベッドガードには、低反発のベッドマットの使用を禁止する表示は一切なく(甲4、8、20、32の1、乙6、20弁論の全趣旨)、本件ベッドマットにも、寝返りができない乳幼児への使用を禁止する表示があるのみで(乙14)、本件事故の1週間ほど前から寝返りを始めていたBは(甲9、原告A1本人、原告A2本人)、使用禁止の対象ではなかったというべきであるから、被告の上記主張は採用できない。 25(2) 小括24以上のとおり、本件ベッドガードはBS規格の隙間に関する基準及びSG基準の安全性品質(ベッドへの取付け性)に係る基準に適合するもので、かつ、原告らの使用方法に問題があったことにも鑑みると、 以上のとおり、本件ベッドガードはBS規格の隙間に関する基準及びSG基準の安全性品質(ベッドへの取付け性)に係る基準に適合するもので、かつ、原告らの使用方法に問題があったことにも鑑みると、直ちに、本件ベッドガードに設計上の欠陥があったということはできず、他にこれを認めるに足りる的確な証拠はない。原告らは、メッシュのガード部にたわみが生じる こと、ガード部が垂直方向にがたつくこと、ベッドに固定するためのストッパーが1つでありガード部がずれやすいこと、ベッドの頭側ないし足側に隙間が生じやすいことなどの構造上の問題をも指摘するものの、これらの原告ら主張に係る点は、いずれも、本件ベッドガードがBS規格の隙間に関する基準及びSG基準の安全性品質(ベッドへの取付け性)に係る基準に適合し ていることに照らし、上記の判断に影響を与えないというべきである。 3 争点2(本件ベッドガードの指示・警告上の欠陥の有無)について(1)ア製造物責任法2条2項の「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠 いていることをいうとされるところ、設計上の観点から当該製造物が通常有すべき安全性を欠いているとは直ちにいえないとしても、当該製造物の使用方法によっては、当該製造物に内在する危険が現実化することがあることから、製造業者としては、そのような危険の現実化を防止すべく十分な指示・警告をして情報を提供すべきであり、そのような指示・警告が全 く行われていないか、又は適切さを欠いている場合には、指示・警告上の観点から、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていると解するのが相当である(指示・警告上の欠陥)。 のような指示・警告が全 く行われていないか、又は適切さを欠いている場合には、指示・警告上の観点から、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていると解するのが相当である(指示・警告上の欠陥)。 イこれをベッドガードについてみれば、使用対象年齢未満の乳幼児に使用した場合、乳幼児が隙間に挟まって窒息死する危険性がある(前提事実(4) ア (イ)、同イ(エ))。実際に、本件事故後のことではあるものの、使用対象年 齢未満の乳幼児にベッドガードを使用したことによって、その乳幼児が隙間に挟まれて死亡する事故も発生しており(認定事実(3)アないしウ)、消費者庁が注意を促していた(同イ)。BS規格において、遅くとも平成21年時点において、ベッドガードは18か月未満の幼児には適さないとされ、その具体的な危険性として子供の窒息死の危険について明示している ものである上(前提事実(4)ア(イ))、平成23年3月30日に日本国内における製品安全基準として制定された改正前のSG基準においても、ベッドガードの使用年齢範囲として、生後18か月から60か月までであることや、生後18か月未満の乳幼児には適さない旨が明記されており(同(4)イ(ウ))、本件事故当時、少なくともベッドガードの製造業者らにおいては、 既に、ベッドガードの使用による乳幼児の窒息死の危険を、具体的に想起し得る状態にあったものと認められる。 他方で、ベッドガードを使用する者(以下「使用者」という。)の立場からすれば、ベッドガードは、本来、子供がベッドから転落するのを防止し、子供の安全を確保するための製品であると一般的に認識されているもので (甲18)、ベッドガードの使用により乳幼児が窒息死に至るというのは通常予測し難い事態と思われるし、使用対象 るのを防止し、子供の安全を確保するための製品であると一般的に認識されているもので15(甲18)、ベッドガードの使用により乳幼児が窒息死に至るというのは通常予測し難い事態と思われるし、使用対象年齢の制限があることを認識しないままベッドガードを購入した使用者が、購入後にそのことを認識した場合であっても、その危険性の内容について具体的に認識、把握できないまま、その危険性の程度を軽視して使用を継続してしまうことも十分に20考えられる。また、本件ベッドガードはセーフティベルト及びその先端に備え付けられたプレートを用いて固定する仕組みを採っているものの(前提事実(3)ア)、基本的に使用者の手作業による組み立てによるものであって、その設置の仕方に一定程度の巧拙や個人差が生じ得ることは否めず、その意味において、上記の危険性を完全に排除できるものではない。 25このような本件ベッドガードの危険性の内容、性質や、使用者側の一般26的な本件ベッドガードに対する認識に鑑みれば、本件ベッドガードの製造業者である被告においては、ベッドガードが使用対象年齢未満の乳幼児に使用されることのないよう、使用者が容易に認識することができるような場所に、使用対象年齢を表示するとともに、使用者が通常の注意を払えば視認できるような方法で使用対象年齢未満の乳幼児に使用した場合の危険5性につき、購入後にその危険性を認識した場合であってもその使用の中止に踏み切れる程度に、可能な限り具体的に表示して警告を行うべきであって、そのような警告を欠いた製品については、指示・警告上の欠陥があると認めるのが相当である。 (2)ア 上記(1)を前提として、本件ベッドガードの指示・警告について具体的に10検討するに、原告らは、本件ベッドガードの指示・警告上の欠 示・警告上の欠陥があると認めるのが相当である。 (2)ア 上記(1)を前提として、本件ベッドガードの指示・警告について具体的に10検討するに、原告らは、本件ベッドガードの指示・警告上の欠陥として、①本件ベッドガード本体に一切の表示がなく、指示・警告が全く行われていないこと及び②取扱説明書、警告文書及びカートンボックスの使用対象年齢に関する表示が具体的な危険を想起するには不十分で、指示・警告として適切さを欠いている旨主張する。 15イ まず、本件ベッドガードの使用対象年齢は、本件ベッドガード本体には表示されておらず(前提事実(3)イ(エ))、取扱説明書とカートンボックスに表示されていたのみである(同(ア)、同(ウ)、弁論の全趣旨)。しかるところ、本件ベッドガードの形状や構造からすると、使用に先立ち取扱説明書を不可避的に読まなければならないわけではなく、使用者が取扱説明書の表示20を必ず認識するとはいえない。また、本件ベッドガードは、子供用製品という性質上、同一の使用者が使用できる期間は限られており、転々流通することも当然に想定される製品であることからすると、流通の過程でカートンボックスが処分されて、本件ベッドガードを購入した使用者の下に届かない可能性もあり、取扱説明書と同様、使用者がカートンボックスの表25示を必ず認識するとはいえない。そうすると、本件ベッドガードの使用対27象年齢は、使用者が容易に認識することができるような場所に表示されていたとは認められない。 ウ また、本件ベッドガードの使用に伴う危険性は、取扱説明書に添付された警告文書において、ベッドマットとの隙間で思わぬ事故が発生するおそれがあり、取扱説明書の使用上の注意に従って使用すべき旨の表示がある5のみであって(同(イ)、弁論 険性は、取扱説明書に添付された警告文書において、ベッドマットとの隙間で思わぬ事故が発生するおそれがあり、取扱説明書の使用上の注意に従って使用すべき旨の表示がある のみであって(同(イ)、弁論の全趣旨)、発生するおそれのある事故の具体的な内容が指摘されていないことに加え、警告文書自体には使用対象年齢が記載されておらず、警告文書の記載のみでは使用対象年齢未満の乳幼児に使用した場合を想定した内容となっていないことからすれば、使用者が使用対象年齢未満の乳幼児に使用した場合の危険性を具体的に認識できる ような方法で表示されていたとは認められない。 エ以上によれば、本件ベッドガードは、使用対象年齢未満の乳幼児に使用されることがないように十分な指示・警告がなされていたとはいえず、指示・警告上の観点から、通常有すべき安全性を欠いており、製造物責任法上の「欠陥」があったと認められる。 (3) これに対し、被告は、使用対象年齢に関する指示・警告は、使用のたびに注意喚起すべきような事柄ではなく、製品購入時に注意喚起することで足りるところ、本件ベッドガードには、取扱説明書やカートンボックスにおいて使用対象年齢が表示され、警告文書において具体的な注意喚起がされているから、指示・警告上の欠陥はないと主張する。 しかしながら、被告の主張を踏まえても、本件ベッドガードの取扱説明書やカートンボックス等の表示では、警告表示としての内容が不十分であるのは上記説示のとおりであるから、被告の主張は上記認定を左右しない。 4 争点3(本件ベッドガードの欠陥とBの死亡との間の因果関係の有無)について (1)ア原告らは、Bは本件ベッドガードと本件ベッドマットとの間の隙間に挟 まれて胸郭が圧迫されたことによって窒 件ベッドガードの欠陥とBの死亡との間の因果関係の有無)について (1)ア原告らは、Bは本件ベッドガードと本件ベッドマットとの間の隙間に挟 まれて胸郭が圧迫されたことによって窒息死したのであり、本件ベッドガードの欠陥とBの死亡との間には因果関係があると主張するところ、被告は、後記のとおりBの死因について争うほか、同人の死亡は本件ベッドマットや、原告らの本件ベッドガードの使用方法等に起因するなどと主張して、同因果関係の存在を否認ないし争う。 イそこで検討するに、Bの胸部の前後径は空気を吐いた状態で約10.6cmであった(甲25の5)のに対し、本件ベッドガードと本件ベッドマットとの間は最大で約10cmの隙間が生じる状態であった(認定事実(2)エ)のであるから、ガード部がメッシュ素材であったこと(前提事実(3)ア(ア))を考慮してもなお、本件ベッドガードと本件ベッドマットとの間の隙 間に挟まれたBの胸郭が強く圧迫されていたというべきであり、Bの死因は胸郭運動制限による窒息であると認められる。 そして、本件ベッドガードには、上記3で説示したとおり、本件ベッドガード本体に使用対象年齢の表示がなく、また、取扱説明書等に使用対象年齢未満の乳幼児に使用した場合の危険性の具体的な表示がないという指 示・警告上の欠陥があり、これらの表示が適切になされていれば、原告らが使用対象年齢未満の乳児であるBに本件ベッドガードを使用することもなかったというべきであるから、本件ベッドガードの指示・警告上の欠陥により、本件事故が発生し、Bが死亡したと認められる。 そうすると、本件ベッドガードの欠陥とBの死亡との間には因果関係が あると認められる。 (2)アこれに対し、被告は、概要、①Bは 本件事故が発生し、Bが死亡したと認められる。 そうすると、本件ベッドガードの欠陥とBの死亡との間には因果関係が20あると認められる。 (2)ア これに対し、被告は、概要、①Bは、その顔面が本件ベッドマットに埋もれて口と鼻が塞がれたことにより、呼吸が出来なくなって死亡した可能性が高い、②粘弾性の高い本件ベッドマットは特に端部において沈み込みが激しいところ、本件事故はベッドの端部で発生したものであるから、仮25に、本件ベッドマットが本件ベッドガードではなく壁に接していた場合で29あっても、隙間が生じてBが挟まり込む可能性があった、③原告らは本件ベッドガードの使用対象年齢を認識していたはずであるし、仮に認識していなかったとしても、本件ベッドガード本体に使用対象年齢に関する表示があっても、使用を控えることは期待できなかった、④そもそも本件事故の原因は原告らが取扱説明書に従った適正な方法で使用しなかったことに5あると主張する。 イ しかしながら、①の点については、原告A1が、本件事故直後に警察官に対し、ベッドガードとベッドマットとの間に体幹を挟まれたBの頭部が本件ベッドマットの上に出ていた旨供述しているところ(甲9)、原告A1が、本件事故直後に、(被告を含む第三者への責任追及等を意識して、)Bの10死因につき意図的に自己に有利な虚偽供述をしたとはおよそ考えられず、他に、原告A1が虚偽供述をする動機等はうかがわれない上、原告A1は本人尋問においても一貫して同旨の供述をし、反対尋問においても同供述内容は揺るがなかったものであって(原告A1本人)、そのほかに、原告A1の上記供述の信用性を否定すべき事情は証拠上うかがわれない。そうする15と、本件事故時のBの体勢については、原告A1の供述のとおりであると かったものであって(原告A1本人)、そのほかに、原告A1の上記供述の信用性を否定すべき事情は証拠上うかがわれない。そうする15と、本件事故時のBの体勢については、原告A1の供述のとおりであると認められるのであって、Bの顔面が、本件ベッドマットに埋もれていたことを前提とする被告の主張①は採用できない。その点を措いても、Bは、本件事故の1週間ほど前から、寝返りを始めていたのであるから(甲9、原告A1本人、原告A2本人)、仮にBの顔面が本件ベッドマットに埋もれて20いたとしても、Bが本件ベッドガードに挟まれていなければ、寝返りを打つことにより窒息死には至らなかったと認められる。なお、被告は、原告らが粘弾性に優れた低反発である本件ベッドマットを使用していたことをも指摘するが、前記2(1)ウ(イ)で説示したとおり、このような本件ベッドをBに使用させることが不適切であったとはいえないことにも照らすと、い25ずれにせよ、被告の①の指摘により、上記(1)イの認定は左右されない。 30また、被告主張②について、認定事実(2)エのとおり、本件事故後の状態として、セーフティベルトの調整具合から本件ベッドガードと本件ベッドマットとの間に約10cmの隙間ができる状況であったことも考慮すると、本件ベッドマットが壁面に接していた場合に、本件ベッドガードと隙間ができる可能性が同程度あったということはできないから、採用できな5い。被告は、粘弾性の高い本件ベッドマットについては、特に端部において沈み込みが激しいことから、壁面に接している場合であっても、同様に乳幼児が隙間挟まり込む可能性が高い旨主張するが、抽象的な可能性をいうものにすぎず、採用できない。 さらに、③の点についても、原告らが、本件ベッドガードの使用対象年10齢を認識していたこと に乳幼児が隙間挟まり込む可能性が高い旨主張するが、抽象的な可能性をいうものにすぎず、採用できない。 さらに、③の点についても、原告らが、本件ベッドガードの使用対象年10齢を認識していたことや、仮に認識していないとして、本件ベッドガード本体に使用対象年齢に関する表示があっても、使用を控えることは期待できなかったことを裏付ける具体的な事情までは見当たらない。 そして、④の点についても、上記3(1)イ及び(2)で説示したとおり、そもそも本件ベッドガード(取扱説明書はもとより本体を含む。)に使用対象15年齢及び使用対象年齢未満の乳幼児に使用した場合の危険性を具体的に表示しての警告表示が適切になされていれば、原告らがBに本件ベッドガードを使用すること自体もなかったというべきであるから、原告らの取扱説明書の記載に沿わない不適切な使用方法が、前記(1)イの認定を左右するものではない(原告らの本件ベッドガードの使用方法に問題があったことに20ついては、後記5のとおり、過失相殺の判断において斟酌するのが相当である。)。 ウ したがって、被告の上記主張はいずれも採用することができない。その他の被告の主張を踏まえ、本件全証拠に照らしても、上記認定を左右する事情は見当たらない。 255 争点4(原告らの損害額)及び争点5(過失相殺の可否及び割合)について31(1) 葬儀費用 71万0487円証拠(甲15、16)によれば、原告らが、Bの葬儀費用等として、71万0487円を支出したと認められるところ、これらは、いずれも本件ベッドガードの欠陥と相当因果関係のある損害として認められる。 (2) Bの死亡慰謝料 2200万円5Bの年齢や、死亡という本件事故の結果の重大性等の諸般の事情を考慮すると 本件ベッドガードの欠陥と相当因果関係のある損害として認められる。 (2) Bの死亡慰謝料 2200万円5Bの年齢や、死亡という本件事故の結果の重大性等の諸般の事情を考慮すると、Bの死亡慰謝料としては、2200万円と認めるのが相当である。 (3) Bの逸失利益 2082万6805円Bの労働能力喪失期間を49年としたときのライプニッツ係数は7.5495であり、基礎収入を平成29年の賃金センサスの男性学歴計全年齢平均10賃金551万7400円とした上で、生活費控除率を50%として算定すると、以下のとおり、Bの逸失利益は、2082万6805円となる。 5,517,400×7.5495×50%=20,826,805(4) 原告ら固有の慰謝料 各150万円前記(2)の認定に係る損害額に加え、子を失った原告らの心情等(原告A1本15人、原告A2本人)など諸般の事情を考慮すると、原告ら固有の慰謝料として、各150万円と認めるのが相当である。 (5) 過失相殺前の小計(原告らの合計額) 4653万7292円(6) 過失相殺ア(ア) 原告A2は、本件ベッドガードを設置する際、取扱説明書を見ることな20く、本件ベッドガードを組み立てて固定しているが(認定事実(1)イ)、この設置方法は、上記2(1)ウ(ア)で説示したとおり、適切とはいえないものであり、実際に、本件事故直後の本件ベッドガードは、本件ベッドマットとの間で最大約10cmもの隙間が生じる状態となっていた(認定事実(2)エ)。このことが本件事故の一因となっていることは明らかであ25って、原告らの落ち度というべきである。 32(イ) また、原告らは、本件ベッドガードを設置した後、取扱説明書を発見したもの )エ)。このことが本件事故の一因となっていることは明らかであ25って、原告らの落ち度というべきである。 32(イ) また、原告らは、本件ベッドガードを設置した後、取扱説明書を発見したものの、改めてそれを閲読することをしなかった(原告A1本人、原告A2本人)。しかしながら、取扱説明書には使用対象年齢が表示されていたのであるから(前提事実(3)イ(ア))、原告らが、この時点で取扱説明書の内容を確認していれば、Bが使用対象年齢未満であることを認識し、5本件ベッドガードの使用を回避した可能性もないわけではなかった。そうすると、このことも本件事故の一因をなしているというべきであって、原告らの落ち度といわざるを得ない。 もっとも、上記3(2)ウで説示したとおり、取扱説明書、警告文書及びカートンボックスに表示された警告はいずれもその内容面で不十分なも10のであって、使用対象年齢未満の乳幼児に使用した場合に発生するおそれのある事故の具体的内容を認識し得るものではなかったのであって、この点は、上記の原告らの落ち度の程度を評価する上で、斟酌されるべき事情であるといえる。 (ウ) その他、被告は、原告らには、①Bを2時間も寝室に一人きりにした15過失及び②Bを大人用ベッドで低反発のベッドマット上に寝かせた過失があると主張する。 しかしながら、①の点については、本件事故当時、原告A1は育児のみならず家事全般を行っていた上、本件事故当時、原告らにはBのほかに3歳に満たない長女がおり(甲1)、原告A1が一人でBと長女の世話を20していたこと(原告A1本人)などの事情によると、寝室で寝ていたBの様子を2時間ほど確認しなかったからといって、原告A1を非難することはできない。 また、②の点についても、本件ベッドガードは 0していたこと(原告A1本人)などの事情によると、寝室で寝ていたBの様子を2時間ほど確認しなかったからといって、原告A1を非難することはできない。 また、②の点についても、本件ベッドガードは子供がベッドから転落するのを防止するための製品であるから、当然に大人用ベッドに使用さ25れることが想定されているし、上記4(2)イで説示したとおり、Bはその33顔面が本件ベッドマットに埋もれて呼吸困難になって死亡したとは認められないことからすれば、Bを低反発のベッドマット上に寝かせたことをもって、原告らの落ち度と評価することはできない。 したがって、被告の上記主張はいずれも採用することができない。 (エ) 上記(ア)及び(イ)のとおり認められる原告らの落ち度を総合的に評価す5ると、上記(5)の原告らの損害額については、3割の過失相殺をするのが相当である。 イ したがって、以下のとおり、過失相殺後の原告らの損害額は、各1628万8052円となる。 46,537,292×(1-0.3)×1/2=16,288,05210(7) 弁護士費用 各160万円原告らは、本件訴訟の追行を原告ら訴訟代理人らに委任したところ、以上の認定に係る損害額、本件事案の内容その他本件に顕れた一切の事情を考慮すると、被告の製造物責任との間で相当因果関係のある弁護士費用は各160万円と認められる。 15(8) 合計額 各1788万8052円第4 結論以上によれば、原告らの請求は、主文第1項及び第2項の限度で理由があるからこれらを認容し、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 20東京地方裁判所民事第4部 裁判長裁判官 西 項の限度で理由があるからこれらを認容し、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 20東京地方裁判所民事第4部 裁判長裁判官 西 村 康 一 郎 25 34裁判官 君 島 直 之 裁判官 篠 原 優 斗5

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