平成23年5月20日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成21年(ワ)第4773号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成23年3月11日判決 主文 1 被告らは,原告に対し,連帯して1491万4783円及びこれに対する平成18年8月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,原告に生じた費用の3分の1を被告らの負担とし,被告らに生じた費用の各3分の2を原告の負担とし,その余を各自の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは,原告に対し,連帯して4246万5969円及びこれに対する平成18年8月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告学園は,原告に対し,100万円及びこれに対する平成21年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告Y1は,原告に対し,100万円及びこれに対する平成21年8月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告Y2は,原告に対し,100万円及びこれに対する平成21年8月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告Y3は,原告に対し,100万円及びこれに対する平成21年8月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,Aが解離性同一性障害に罹患してその後自死したことについて,Aの母である原告が,Aが被告学園の経営する中学校在学中に同級生から受けたいじめに対して,被告らが適切な措置を講ずべき義務を怠ったことによるものであるなどとして,被告学園に対しては債務不履行又は不法行 母である原告が,Aが被告学園の経営する中学校在学中に同級生から受けたいじめに対して,被告らが適切な措置を講ずべき義務を怠ったことによるものであるなどとして,被告学園に対しては債務不履行又は不法行為に基づき,その余の被告らに対しては不法行為に基づき,連帯して4246万5969円の損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めるとともに,被告らがそれぞれ原告に対してAに対するいじめの事実を否定し,暴言を吐くなどして精神的苦痛を与えたなどとして,被告らに対し,不法行為に基づき,それぞれ100万円の損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか,掲記の証拠(枝番号のある書証について,特に枝番号を記載しないものは,全部の枝番号を含む趣旨である。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) Aは,平成元年12月30日,原告とカナダ人であるBとの間の長女としてカナダ国,オンタリオ州トロント市で出生したが,原告とBは,平成5年5月20日,Aの親権者を原告と定め,離婚した(甲1)。 (2) Aは,平成6年7月,原告とともに日本に帰国し,平成8年4月,愛知県刈谷市(以下「刈谷市」という。)立E小学校に入学し,平成11年4月,愛知県岩倉市(以下「岩倉市」という。)立F小学校に転入し,平成14年3月,F小学校を卒業した(甲1,95)。 (3) Aは,平成14年4月5日,被告学園が設置,運営しているY 中学に入学し,平成15年3月31日まで在学していた(乙6)。 (4) Aは,1年A組(以下「本件クラス」という。)に所属し,バトン部に入部した。 (5) 被告学園は,明治○年○月○日に創立された学校法人(昭和○年○月○日認可)であり,Y中学のほか,Y高校,Z大学,Z大 1年A組(以下「本件クラス」という。)に所属し,バトン部に入部した。 (5) 被告学園は,明治○年○月○日に創立された学校法人(昭和○年○月○日認可)であり,Y中学のほか,Y高校,Z大学,Z大短期大学部,W高校,W中学等を設置,運営している(甲2)。 (6) 原告は,平成7年4月1日,被告学園に採用され,平成14年度当時,Z大学部助教授であり,現在,Z大短期大学部准教授である(甲95,101)。 (7) 被告Y1は,平成14年度当時から,被告学園の理事長であり,被告学園の学園長,Z大短期大学部学長等を兼務していた(甲2,101)。 (8) 被告Y2は,平成14年度当時から,Y中学及びY高校の校長であった(乙15)。 (9) 被告Y3は,本件クラスの担任教諭で,本件クラスを含むY中学1年全体の主任であった(乙14)。 (10) 本件クラスには,女子生徒として,Aのほか,S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8(以下,上記8名を「本件生徒ら」という。)等12名が在籍しており,男子生徒は13名在籍していた(乙5)。 (11) Aは,平成15年3月31日付けでY中学から転出し,同年4月1日付けで岩倉市立G中学校(以下「G中学」という。)に転入した(甲30の1,甲45,乙6)。 Aは,G中学在学中の平成15年9月11日から平成16年1月22日まで,フリースクールJに通所した(甲30の2・3)。 (12) Aは,平成16年2月1日付けでG中学から転出し,同日付け で私立I中学に転入し,平成17年4月,私立I高校に進学し,平成18年4月,I高校2年に進級した(甲30の2,31,47)。 (13) Aは,I高校2年であった平成18年8月18日,岩倉市の原告及びAが住んでいたマンション(以下「原告宅」という。)の8階から投 8年4月,I高校2年に進級した(甲30の2,31,47)。 (13) Aは,I高校2年であった平成18年8月18日,岩倉市の原告及びAが住んでいたマンション(以下「原告宅」という。)の8階から投身して死亡した(以下「本件自死」という。)。 (14) 原告は,平成21年4月15日,本件に関し,本件生徒ら及び本件生徒らの親を相手方として,愛知県弁護士会紛争解決センターにあっせん仲裁を申し立てたが,同年6月3日に指定された第1回期日に相手方らがいずれも欠席したため不調に終わった。 (15) 原告は,平成21年8月11日,被告らのほか,本件生徒ら及び本件生徒らの親を被告として,本件の訴えを提起し,本件の訴状は,被告学園に平成21年8月31日,被告Y1に同月29日,被告Y2に同月30日,被告Y3に同月29日,それぞれ送達された。 3 争点及びこれに関する当事者の主張(1) 本件生徒らがAに対して行った行為(原告)本件生徒らは,Aに対し,以下の各行為を行った(時期を記載していないものは,平成14年9月ころから平成15年3月までの間に行われたものである。)。 ア Aに対してシカト(無視)を続けた。 イ毎日のように,Aに,「ウザイ」,「キモイ」,「死ね。」,「反吐が出る。」,「鼻の脂」,「脂ういとるけど。」,「にきび」,「眉毛が太すぎなんだけど。」,「毛が濃い。」,「毛が濃いのに出さんといて。」,「天パー」,「デブ」,「ブス」,「へんな顔で学校に来るな。」,「汗臭い。」,「もう学校に来 んで欲しい。」などの言葉を浴びせ続けた。 これらの言葉は,Aに向かって言うよりも,複数名で寄り集まって,Aの横に行くなどし,Aをシカト(無視)しつつ,Aにわざと聞こえるように大声で発言されることが多く,教室の後ろのロッカーの近くで集まっ これらの言葉は,Aに向かって言うよりも,複数名で寄り集まって,Aの横に行くなどし,Aをシカト(無視)しつつ,Aにわざと聞こえるように大声で発言されることが多く,教室の後ろのロッカーの近くで集まって,Aを取り囲むようにして口々に述べることもあった。また,このような言葉による中傷は,登下校時や休憩時間だけではなく,授業中にも行われ,「今日もうざいんだけど。」などと席の離れた者同士でわざとAに聞こえるように会話することもあった。 ウ 1学期ころ,Aの制服のスカートを切った。 エ Aの机の横に掛けてある鞄を蹴るなどして,スリッパの跡をつけた。 オ何回も,机の上に置いてあるAの教科書やノートに,「ウザイ」,「キモイ」,「死ね」などと書き込んだ。 カ複数回にわたって,Aの机等にチョークで「死ね」などと書き,Aの机の中にチョークの粉を入れ,本件クラスの黒板の週番のAの名前の下に「死ね」と書くなどした。 キ Aの机の下にゴミを集めてAの机の周辺だけ汚くした。 ク Aがロッカーに入れていたアイドルグループ「K」の「L」のポスター(以下「Lポスター」という。)及び「M」のポスターを破ったり,くしゃくしゃにしたりした。 ケ Aの教科書,文房具等を隠したり,Aの机をわざと教室の外に出したりした。 コトイレの個室に入っているAに上から水を浴びせたり,黒板に汚い顔を描き,Aに見立ててトイレのスリッパを投げつけたりした。 サ本件クラス全体で撮影した写真にAだけ入れないように邪魔をしたり,学級写真のAの顔の部分を黒く塗りつぶしたりした。 シ Aがクラスの男子生徒と話そうとすると,その男子生徒に,Aと話さないように言った。 ス平成15年2月ころ,Aの靴の中一面に画鋲を敷き詰めたり,Aの靴箱の中に画鋲をばらまいたり,Aの靴箱と靴の裏 Aがクラスの男子生徒と話そうとすると,その男子生徒に,Aと話さないように言った。 ス平成15年2月ころ,Aの靴の中一面に画鋲を敷き詰めたり,Aの靴箱の中に画鋲をばらまいたり,Aの靴箱と靴の裏を接着剤でくっつけたりした。 セ Aが朝教室に入ろうとしたところ,Aに対し,「臭いから空気の入れ換えをする。」と大きな声で言い,教室や廊下の窓を開けるなどした。 ソ AがG中学に転出した平成16年4月以降,原告宅やAの携帯電話に,無言電話をかけた。 (被告ら)原告の主張は否認ないし争う。 Aが,Y中学に在学していた当時,本件クラスでも,些細な感情のすれ違いから生徒間で対立し,Aを含めた本件クラスの生徒らが,「ウザイ」,「キモイ」,「死ね。」といった悪口を言い合ったり,いたずらをする等の出来事はあった。しかし,それらの行為があったとしても,特定の生徒に対するいじめと評価すべきものではなく,Aに対するいじめではなかった。 (2) Aの解離性同一性障害罹患及び本件自死に対する被告らの責任(原告)被告学園は,原告及びAとの間で,被告学園が経営するY中学においてAが教育を受けることを内容とする契約を締結していたのであるから,被告学園は,当該契約に付随する信義則上の義務として,学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係 における生徒の安全を確保する義務を負うのであり,特に,生徒の生命,身体,精神等に大きな悪影響ないし危害が及ぶおそれがあるようなときには,そのような悪影響ないし危害の現実化を防止するため,その事態に応じた適切な措置を講ずる義務があり,本件生徒らのAに対するいじめについては,事実の有無を調査し,防止措置を講ずる等の義務があった。 また,被告Y3は,本件クラスの担任教諭として同様の義務を負っていたし,被 措置を講ずる義務があり,本件生徒らのAに対するいじめについては,事実の有無を調査し,防止措置を講ずる等の義務があった。 また,被告Y3は,本件クラスの担任教諭として同様の義務を負っていたし,被告学園は,被告Y3の行為についての使用者責任を,被告Y1及び被告Y2は,被告Y3の行為について,被告Y3の使用者である被告学園に代わって事業を監督する者としての責任を負う。 原告及びAは,平成14年8月ころから平成15年3月までの間,Aが,バトン部や本件クラスの中で,本件生徒らからいじめを受けている事実を被告Y3に何度も報告して対応を依頼し,原告は,平成14年10月18日には被告Y1に対しても対応を依頼するなどした。 そして,従来からいじめが原因で自死に至った事例が数多く新聞やテレビ等で報道されていたことなどからすれば,被告らは,Aが本件生徒らから受けた行為への適切な対応を怠れば,Aの心身に異常が生じ,自死に至るであろうことは容易に予見することができたし,被告らが,Aが本件生徒らから受けた行為について,その都度,適切な指導,対応をしていれば,Aに上記のような結果が生じることを回避することが可能であった。 しかし,被告らは,Aが本件生徒らから受けた行為について把握していたにもかかわらず,Aに対するいじめの事実を調査することも,いじめが再発しないように防止する措置を講ずることもし なかったため,Aは,本件生徒らの行為と,被告らがこれに対して何らの措置も講ずることなく,いじめを否定し続けたことによって,解離性同一性障害に罹患し,本件自死に至った。 したがって,被告学園は債務不履行及び不法行為(民法415条,709条,715条1項)に基づき,その余の被告らは不法行為(被告Y3につき民法709条,被告Y1及び被告Y2につき民法715 った。 したがって,被告学園は債務不履行及び不法行為(民法415条,709条,715条1項)に基づき,その余の被告らは不法行為(被告Y3につき民法709条,被告Y1及び被告Y2につき民法715条2項)に基づき,Aの解離性同一性障害罹患及び本件自死による損害を連帯して賠償する責任を負う。 (被告ら)原告の主張は否認ないし争う。 原告は,Aがいじめられていると思いこみ,被告Y3に電話してきたことは何度かあったが,被告Y3が調査したところ,Aの持っていたポスターが破られた,机に「死ね」と書かれた,教科書に落書きされた,シカト(無視)された等の原告が申告するような事実は確認できなかったし,仮に原告が主張するような本件生徒らの行為があったとしても,それはAがY中学在学中の平成14年度のことであり,Aの本件自死(平成18年8月18日)までには3年を超える期間があるから,Aの解離性同一性障害罹患や本件自死は,Y中学での学校生活とは別の原因によるものと考えられる。すなわち,Y中学を転出してからのAの学校生活,家庭環境,友人関係等の各場面における体験等が,Aの心身に多大な影響を与えたことは明らかであり,これらが原因となって,Aは解離性同一性障害に罹患し,本件自死に至ったと考えられる。 また,仮にAの解離性同一性障害罹患や本件自死が,AがY中学在学中に本件生徒らから受けた行為を原因とするものであったとしても,被告らが,その当時,これらを予見することは不可能で あったから,被告らにはAの解離性同一性障害罹患及び本件自死について予見可能性がない。 したがって,被告らの義務違反と,Aの解離性同一性障害罹患及び本件自死との間に相当因果関係はない。 (3) Aの解離性同一性障害罹患及び本件自死による損害(原告)ア Aに生じた損害 。 したがって,被告らの義務違反と,Aの解離性同一性障害罹患及び本件自死との間に相当因果関係はない。 (3) Aの解離性同一性障害罹患及び本件自死による損害(原告)ア Aに生じた損害(ア) 逸失利益本件自死当時の賃金センサスによる女子労働者の平均賃金額である年額343万2500円を基礎とし,生活費割合を3割とすると,本件自死当時のAの年齢である16歳のライプニッツ係数は16.480であるから,逸失利益は,次式のとおり,3959万7320円となる。 3432500×(1-0.3)×16.480=39597320(イ) 慰謝料被告らが,本件生徒らによるAへのいじめに対して適切な対応をせず放置したことにより,Aは,解離性同一性障害に罹患して,本件自死に至り,多大な精神的苦痛を被った。その慰謝料としては,2200万円を下らない。 (ウ) 原告の相続分は2分の1であるから,原告は,上記合計6159万7320円の2分の1にあたる3079万8660円の損害賠償請求権を相続した。 イ原告に生じた損害(ア) 治療費等原告は,Aの解離性同一性障害の治療費等として以下の①ないし⑥の合計27万5330円を支出した。 ① H1センター 3万8070円② ドラッグストアN1店 5万1790円③ H2病院 5450円④ H3病院 6万9380円⑤ N2薬局 6530円⑥ H4病院 10万4110円(イ) 葬儀費用原告は,Aの葬儀費用として,253万1940円を支出した。 (ウ) 慰謝料原告は,本件生徒らのAに対する行為について,再三にわたり被 10万4110円(イ) 葬儀費用原告は,Aの葬儀費用として,253万1940円を支出した。 (ウ) 慰謝料原告は,本件生徒らのAに対する行為について,再三にわたり被告らに報告し,対応を依頼したにもかかわらず,被告らは何らの対応もせず,その結果,Aは解離性同一性障害に罹患し,本件自死に至ったもので,原告は女手一つで育ててきたAを失うことになり,原告自身も悲嘆反応を起こすなど,多大な精神的苦痛を被った。その慰謝料しては,500万円を下らない。 ウ弁護士費用原告は,本件訴訟を弁護士に依頼しており,その弁護士費用としては386万0039円が相当である。 エ以上によれば,被告らは,原告に対し,連帯して4246万5969円及びこれに対するAの死亡日である平成18年8月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務がある。 (被告ら)原告の主張は否認ないし争う。 (4) 寄与度減額及び過失相殺 (被告ら)ア仮に被告らの義務違反等と,Aの解離性同一性障害罹患及び本件自死との間に因果関係が認められるとしても,Aが解離性同一性障害に罹患し,本件自死に至ったのは,Y中学転出後の学校生活,家庭環境,友人関係等の各場面における体験等も原因であるから,公平の見地から,相当額の寄与度減額がされるべきである。 イ Aは,平成18年7月12日,自殺未遂に及び,その後自殺防止目的で入院をするなど,本件自死直前には,精神的に不安定な状態にあった。原告は,Aの親権者で,原告宅でAとともに生活しており,上記のような状況を認識していたのだから,Aが自死しようとすることは十分に予見可能であり,原告が外泊する場合には,Aを監護できる者を付き添わせるべきであり,Aの祖母であるC等を付 に生活しており,上記のような状況を認識していたのだから,Aが自死しようとすることは十分に予見可能であり,原告が外泊する場合には,Aを監護できる者を付き添わせるべきであり,Aの祖母であるC等を付き添わせることは容易であったのに,そのような措置を講ずることなく,精神的に不安定な状態であったAを一人残して検査入院のため外泊し,その間にAは本件自死に至った。 このように,本件自死という結果を招いたことについては,原告にも過失があり,相当の責任がある。 したがって,仮にAの本件自死についての被告らの損害賠償責任が肯定された場合においても,公平の見地から,被害者側の過失として過失相殺がされるべきである。 (原告)被告らの主張は否認ないし争う。 (5) 原告に対する被告らの対応についての不法行為責任(原告)ア被告学園の責任 原告は,本件自死後,本件生徒らがY高校を卒業する前に本件についての真相を知りたいと考え,被告学園に対し,何度も被告Y3,被告Y2及び被告Y1との面談を求め,また,本件生徒らや被告Y3に対して事情聴取を行って真相を解明するよう求めた。 しかし,被告学園は,文部科学省からの問い合わせには,「対応には最善を尽くしたい。」と回答しながら,原告からの手紙の受け取りを拒否し,「面談,手紙,電話等一切応じない。」という文書を原告に送り,原告に対し「いじめはなかった。」,「いじめといたずらの認識の違い。」などとして学園ぐるみで不誠実な対応を取り続け,原告の気持ちを逆なでし,Aを亡くし悲嘆に暮れる原告の精神状態を悪化させた。 これらの被告学園の原告に対する対応は,原告に対して違法に精神的苦痛を与えるものであり,その慰謝料としては100万円を下らない。 したがって,被告学園は,不法行為に基づき,原告に対 悪化させた。 これらの被告学園の原告に対する対応は,原告に対して違法に精神的苦痛を与えるものであり,その慰謝料としては100万円を下らない。 したがって,被告学園は,不法行為に基づき,原告に対し,慰謝料100万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成21年9月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。 イ被告Y1の責任被告Y1は,平成14年10月18日の原告との面談の際,原告に対して,「何?子供が学校に行きたくないだと?そんなもん,横面はり倒して首に縄かけて学校に引っ張っていきゃあいい。それが親の務めだろ。あんたは子供を甘やかしすぎ。あんたは内部の教員だからその娘がいじめられるのは有名税。自分の娘もWに行っているときだって,いじめられたわ。あんたは 自分の娘がハーフで個性があると勘違いしているみたいだけど,それはあんたの勝手な勘違い。うちに来るような生徒はみな凡人ですよ,凡人。」などと罵詈雑言を吐いて原告を傷つけ,本件自死後も,原告の面談要請に応じず,原告の送付した手紙に黒い縁取りの付箋を付けたり,「受取拒否」と大書して返送するなど,原告の気持ちを逆なでし,Aを亡くし悲嘆に暮れる原告の精神状態を悪化させた。 これらの被告Y1の原告に対する対応は,原告に対して違法に精神的苦痛を与えるものであり,その慰謝料としては100万円を下らない。 したがって,被告Y1は,不法行為に基づき,原告に対し,慰謝料100万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成21年8月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。 ウ被告Y2の責任被告Y2は,中学1年ではそもそもいじめが起きにくいとの稚拙な誤認のもと,AがJに通所していた事実を把握して みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。 ウ被告Y2の責任被告Y2は,中学1年ではそもそもいじめが起きにくいとの稚拙な誤認のもと,AがJに通所していた事実を把握しても何らの対応もせず,本件自死後も本件生徒らからの聞き取りなど何らの調査もせず,平成20年2月26日,同年3月31日及び同年5月20日の3回にわたって行われた原告との面談の際,原告に対し,「自分のところにはいじめの報告などあがってきておらず,(Aが)いじめで転学したとはつゆほども知らなかった。」,「線香をあげに行くと,いじめを認めたと言われるから行けない。」,「いじめはなかったと認識している。」などと発言し,原告が,医師の意見を聞いて欲しいと伝えても,「主治医は一方の当事者の話しか聞いていないのだから。」な どと発言して原告の気持ちを逆なでし,Aを亡くし悲嘆に暮れる原告の精神状態を悪化させた。 これらの被告Y2の原告に対する対応は,原告に対して違法に精神的苦痛を与えるものであり,その慰謝料としては100万円を下らない。 したがって,被告Y2は,不法行為に基づき,原告に対し,慰謝料100万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成21年8月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。 エ被告Y3の責任被告Y3は,本件自死後も何の調査もしていないばかりか,平成20年5月20日の原告との面談の際,原告に対し,本件生徒らのAに対する行為について,「いじめという認識がない。」,「いたずら」などと発言し,不誠実な態度で接し続け,原告の気持ちを逆なでし,Aを亡くし悲嘆に暮れる原告の精神状態を悪化させた。 これらの被告Y3の原告に対する対応は,原告に対して違法に精神的苦痛を与えるものであり, 言し,不誠実な態度で接し続け,原告の気持ちを逆なでし,Aを亡くし悲嘆に暮れる原告の精神状態を悪化させた。 これらの被告Y3の原告に対する対応は,原告に対して違法に精神的苦痛を与えるものであり,その慰謝料としては100万円を下らない。 したがって,被告Y3は,不法行為に基づき,原告に対し,慰謝料100万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成21年8月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。 (被告ら)ア原告の主張は否認ないし争う。 イ原告は,被告らの対応や発言等によって精神的苦痛を被った と主張するが,これらの事実があったとしても,いずれも,被告らが,Aに対する問題についての原告と被告らとの認識の違いを説明したものなどであり,このような対応や発言等は不法行為を構成するものではない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実(1) 前記「前提事実」のほか,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア AのY中学入学までの状況等(甲1,6,7,95,原告本人。ただし,人証及び陳述書については,以下の認定に反する部分を除く。以下同じ。)Aは,平成元年12月30日,日本人である原告とカナダ人であるBとの間に生まれ,平成5年に原告とBが離婚したため,平成6年7月,原告とともに日本に帰国した。 Aは,幼いころ,発達に異状はなく,平成6年7月に帰国してから平成11年4月にE小学校からF小学校に転校するまでは,原告とともに,刈谷市の原告の母C宅で暮らし,その後は,原告と原告宅で二人暮らしであったが,原告に対して,「youarehurtingmyfeelings.」,「自分の顔が嫌い。」,「何でハーフに産んだんだ。」,などと言ったこともあった。 は,原告と原告宅で二人暮らしであったが,原告に対して,「youarehurtingmyfeelings.」,「自分の顔が嫌い。」,「何でハーフに産んだんだ。」,などと言ったこともあった。 Aは,E小学校1年のとき,男性教諭からプールの脱衣所でいたずらを受けたことがあり,平成15年10月18日ころになって,これを原告に打ち明けた。 AがF小学校4年のとき,同級生の男子に,「外人」と呼ばれたため,原告が,F小学校に対して苦情を述べ,同男子にも,Aを外人と呼ばないように注意したことがあった。 AがF小学校6年のとき,ランドセルにバカと書かれたり,原告宅玄関ドアの鍵穴にゴミが詰め込まれたことがあった。 イ AのY中学在学当時の一般的状況等(甲95,乙1,3~8,17~19,21,23~25,27,丙11,証人V,同S1,同S4,同S2,同S5,同S3,同S6,同S7,原告本人)(ア) Aは,平成10年4月,Y中学に入学し,本件生徒らと同じ,本件クラス(1年A組)に所属していた。本件クラスは,生徒数が26名であり,そのうち女子は13名であった。 (イ) Aは,Y中学入学後,バトン部に入部した。バトン部には,本件生徒らのうち,S8も入部し,S2も平成14年6月ころになって入部した。なお,S1は,Y中学のバトン部には入部しなかったが,小学校6年のときから,民間のバトンクラブに所属していた。Aは,平成14年9月ころ,バトン部を退部し,漫画研究部に入部した。 (ウ) AのY中学在学当時(平成14年4月1日から平成15年3月31日)の出席日数等は,授業日数192日のうち,1学期は,欠席が1日,遅刻が4回,2学期は,欠席が7日,遅刻が2回,3学期は,欠席が4日,遅刻が1回,早退が1回であった。欠席日数(合計12日)のうち 日)の出席日数等は,授業日数192日のうち,1学期は,欠席が1日,遅刻が4回,2学期は,欠席が7日,遅刻が2回,3学期は,欠席が4日,遅刻が1回,早退が1回であった。欠席日数(合計12日)のうちの10日は,感冒,発熱による病気欠席とされ,2日は,家事都合によるものとされ,遅刻(合計7回)の理由は,感冒,腹痛によるものとされ,早退(1回)の理由は,家事都合によるものとされていた。なお,Aは,S3に対し,学校を休みたいときは,原告が休ませてくれないので,体温計をお湯につけて熱があるふりをして休むなどと述べたこともあった。 (エ) Aは,Y中学在学当時,保健室を平成14年5月28日(主 訴は眠気),同年10月3日(主訴は胃痛),同月17日(主訴は風邪),平成15年1月10日(主訴は頭痛)の4回利用した。なお,AのY中学在学当時,Y中学には,悩みのある生徒に対してはカウンセラーがカウンセリングをする制度があったが,Aがこの制度を利用したことはなかった。 (オ) 被告Y3は,Aについて,Y中学の生徒指導要録(乙6)の「総合所見及び指導上参考となる諸事項」欄に,「明朗であるが,自分本位に考えることが多く,友人とのトラブルも多い。 もう少し相手の立場を理解し,自分と異なる意見にも耳を傾けて欲しい。」と記載した。 ウ AのY中学在学当時の出来事等(甲6,7,9,10,16~24,32,39,76,85,95,103,乙21,22,証人S1,同S4,同S2,同S5,同S3,同S6,同S7)(ア) Aは,その容姿や,活発で積極的な性格から,本件クラスでも目立つ存在で,自分の意見をはっきり述べることも多く,友人に対してだけでなく,被告Y3などの教諭らに対しても,その発言が男女差別だなどと述べて,授業の進行を止めてしまうこともあった。 件クラスでも目立つ存在で,自分の意見をはっきり述べることも多く,友人に対してだけでなく,被告Y3などの教諭らに対しても,その発言が男女差別だなどと述べて,授業の進行を止めてしまうこともあった。また,Aは,クラスメイトと言い争いをしたり,けんかをしたりすることも多く,S9等の男子生徒とも,けんかをしたり,言い争いになることもあった。 本件クラスでは,女子生徒と男子生徒との間でも,「ウザイ」,「キモイ」,「死ね。」と言い合いになったり,けんかをしたり,S9が,S4のバトミントンのラケットを持って逃げるなどしたことがあった。また,本件クラスの特定の男子生徒が,「○○」と呼ばれたり,「○○,キモイ。」と言われたりすることもあった。 本件クラスでは,Aも含め女子のほぼ全員が机を並べて昼食をとることもあった。Aは,原告が作った弁当に嫌いなものが入っていると,教室の窓から捨てたり,トイレに流したりし,本件生徒らに頼んで,Y中学のトイレや地下鉄のトイレに捨ててもらうこともあったし,クラスメイトらが食べている弁当を見て,「もらおうと思っていたのに,おいしそうな弁当がないな。」などと述べたこともあった。 Aは,本件生徒らに,原告がZ大短期大学部の助教授であることなどを自慢したりする反面,Aの希望で車をピンク色にした原告のことを,「アホだよね。」と言ったり,「ママなんて大嫌い。」などと言ったりすることもあった。 (イ) 原告は,平成14年8月ころ,Aから,バトン部で仲間はずれにされているから練習に行きたくないという話を聞いた。そこで,原告は,被告Y3に電話をかけ,Aがバトン部に行くのを嫌がっているので,対応して欲しい旨依頼した。 これに対し,被告Y3は,「わかりました。」などと答えた。 また,Aがバトン部の練習をしている間に 告は,被告Y3に電話をかけ,Aがバトン部に行くのを嫌がっているので,対応して欲しい旨依頼した。 これに対し,被告Y3は,「わかりました。」などと答えた。 また,Aがバトン部の練習をしている間に,何者かによって,置いてあったAの制服のスカートが切られるということがあった。 (ウ) S3は,2学期になって,Aがクラスメイトから借りたお金を返さないことについて,Aに対し,借りたお金を返すように言ったが,Aは,「A,借りてない。」などと答えた。 その数日後,S3が登校すると,S3のいすの上に画鋲が置かれ,机の上にチョークの粉がまかれており,Aが,これを行ったことを認めたため,S3が,「同じことをやり返すよ。」と述べたところ,Aは,「いいよ。」と言った。 さらにその数日後,S3は,同様にAの机にチョークの粉をまき,いすに画鋲を置いたところ,翌朝,Aがこれを見て騒いだため,被告Y3は,朝のホームルームの時間に,「Aの机があんな状態になっているけど,だれがやったんだ。」などとクラス全体に問うたところ,S3が,「私がやりました。」と名乗り出た。S3は,その場で被告Y3から注意され,後で職員室に来るように言われ,Aの机を雑巾でふき,画鋲を片付けた。 S3は,その日の1限終了後に職員室へ行き,Aとのやり取りの経緯を被告Y3に話した。被告Y3は,S3に,「そんなことをやるのは間違っている。」などと述べ,Aも同様に被告Y3に呼び出され,注意を受けた。 (エ) 平成14年9月ころ,本件生徒らのうち,S1,S5及びS2らのグループと,S4,S6及びS3らのグループとの仲が良好ではなく,お互いに避け合っていた。このとき,S1はAを信頼して,Aに相談をするなどしていたが,Aは,S4らからも同様に相談を受けており,S4に対して,S1から受け 及びS3らのグループとの仲が良好ではなく,お互いに避け合っていた。このとき,S1はAを信頼して,Aに相談をするなどしていたが,Aは,S4らからも同様に相談を受けており,S4に対して,S1から受けた相談の内容を話すなどしていたため,S1が話した内容がS4らに筒抜けとなってしまっているということがあった。S1らは,これをS4らから聞いてショックを受け,Aを次第に避けるようになった。S4も,Aが,S1らに対し,S4らの悪口を言っていたことを後から知った。 (オ) 2学期ころ,S2がバトン部で使用していたバトンの金属の部分が曲げられ,両端のゴムキャップの中に画鋲が詰められたことがあった。 この件に関して,S2は,S7からAがバトンを曲げたと聞き,また,本件クラス内で,S2のバトンを折り曲げた犯人は Aではないかとの噂が広まったが,確証がないからAがやったとは断定できないという者もあった。 本件生徒らのうち,このころ比較的仲が良かったS1,S4,S2,S5,S3及びS6の6名(以下「本件6名」という。)は,この当時,Aとの関係が良好ではなかったことなどから,AがS2のバトンを曲げたのではないかと思った。 (カ) 本件6名は,前記(イ)ないし(オ)の出来事等が原因で,次第にAを疎ましく思うようになった。そして,本件6名の全部又は一部は,Aに対し,以下のような行為を行った(時期を記載していないものは,平成14年9月ころから平成15年3月までの間に行われたものである。)。 aAを避けたり,仲間はずれにしたり,シカト(無視)したりした。 b 毎日のように,教室のロッカーの近くに集まるなどして,Aについて,「ウザイ」,「キモイ」,「死ね。」,「天然パーマ」,「(眉毛が)太すぎなんだよ。」,「油ういとるけど。」,「毛が濃い。」 。 b 毎日のように,教室のロッカーの近くに集まるなどして,Aについて,「ウザイ」,「キモイ」,「死ね。」,「天然パーマ」,「(眉毛が)太すぎなんだよ。」,「油ういとるけど。」,「毛が濃い。」,「毛が濃いのに出さんといて。」,「ニキビ」,「汗臭い。」,「反吐が出る。」などと繰り返し言った。 また,授業中のAの発言に対し,「今日もうざいんだけど。」,「うるさい。」などと言うこともあった。 cAの机の横に掛けてある鞄を蹴るなどして,スリッパの跡をつけた。 d 授業の合間に,机の上に置いてあるAの教科書やノートに,「ウザイ」,「キモイ」,「死ね。」などと書いたり,いすの裏側に,「死ね。」とチョークで書いたりした。 e 教室を掃除する際,Aの机の下にわざとごみを集めて,周囲を汚くした。 fAが自分のロッカーに貼っていたLポスターを破った。 gAの教科書等を隠したり,Aの机だけを教室の外に出すなどした。 h 黒板にAの顔を書いて,それに向かってスリッパを投げつけた。 i 平成15年3月11日ころ,靴箱に入れてあったAの靴の中に画鋲を入れた。 J 「終了式」のあった平成15年3月20日,Aが登校したところ,「臭いから空気の入れ換えをする。」などと言い,教室の窓を開けた。 (キ) 平成14年10月ころから,Aは,朝,原告に対して体調不良を訴え,学校に行くのを嫌がるようになった。また,Aは,本件6名から,シカト(無視)されたり,仲間外れにされたり,「死ね。」などと悪口を言われたりしていることなどを原告に話した。 原告は,これらの状況について相談するため,少なくとも,平成14年10月16日,同月17日,同月18日及び同年11月1日に,被告Y3に電話をして,Aが本件6名から,シカト(無視)されたり,「死ね 原告は,これらの状況について相談するため,少なくとも,平成14年10月16日,同月17日,同月18日及び同年11月1日に,被告Y3に電話をして,Aが本件6名から,シカト(無視)されたり,「死ね。」と言われていることなどについて報告し,対応を依頼した。これに対し,被告Y3は,「分かりました。」,「対応します。」などと述べた。 (ク) 原告は,被告Y3に連絡して対応を依頼するだけでは,Aの悩みが解決しないと考えたため,被告Y1に対応を依頼することとし,被告Y1と面談するため,平成14年10月17日, 被告Y1の自宅に2度電話をした。この電話に対しては,いずれも被告Y1の妻が応対した。 原告は,平成14年10月18日,Y中学を欠席したAとともに,被告学園の理事長室を訪ね,Aを原告の研究室に待機させたうえで,被告Y1と面談した。なお,この面談には,平成14年度当時,被告学園の総務部長であったUも同席した。 原告は,この面談の席で,被告Y1に対し,Aが本件6名にいじめられており,学校に行くのを嫌がっていることなどを伝え,早急に対応してほしい旨申し入れるとともに,Aが原告と当時被告学園の事務局長であったDが親しいとクラスメイトに言いふらしていることについて,Uが原告にやめさせるように言ったことについて,苦情を申し入れた。 これに対し,被告Y1は,原告に対し,「いちいち子供の言うことに耳を真剣に傾けることが原因であることがわからんか。」,「子どもが傷つくのはたいしたことではない。頭ピシャッとたたいて,首に縄つけて学校に引っ張っていけばいい。」,「あんたは子供を甘やかしすぎ。あんたは内部の教員だから娘がいじめられるのは有名税。自分の娘もWに行っている時だって,いじめられた。あんたは娘がハーフで個性あると勘違いしているみたいだ いい。」,「あんたは子供を甘やかしすぎ。あんたは内部の教員だから娘がいじめられるのは有名税。自分の娘もWに行っている時だって,いじめられた。あんたは娘がハーフで個性あると勘違いしているみたいだけど,それはあんたの勝手な間違い。うちに来るような生徒はみな凡人ですよ,凡人。」などと述べ,Uの言動についても,「Uは親切で言ってやっとることをなぜわからんのか。」などと述べた。 原告が,被告Y1の発言をメモに書き留めてもいいかと聞くと,被告Y1は,「好きにやってくれ。組合や共産党のやり方だわ。」と述べた。 (ケ) 平成15年1月以降,Aは,Y中学から泣いて帰ってくることが何度かあり,原告に対し,本件6名から,「ウザイ」,「キモイ」,「死ね。」,「おまえの顔を見ると反吐が出る。」などと言われたこと,大切にしていたLポスターが本件6名によって破られたこと,教科書やノートが抜き取られたことなどを話したため,原告は,被告Y3に電話して,AがLポスターを破られたと言っていることなどを話し,対応を依頼した。 (コ) Aは,前記(カ)i の際,この画鋲を持って被告Y3のところへ行き,助けを求めたが,被告Y3は,「画鋲は学校の備品だからもらっておく。」などと述べて,画鋲を受け取っただけで,何の対応もしなかった。 (サ) 平成15年3月11日ころ,Aが泣いて帰宅し,原告に対し,画鋲がAの靴に入れられたなどと言ったため,原告は,すぐに被告学園に電話をしたが,被告Y3が不在であったため,電話に出たT教諭に対し,「Aのいじめに対する学校の対応はどうなっているのか。」,「陰湿ないじめが発生しているのだから学年で事実を共有すべきではないか。」などと述べた。 翌日,原告は,被告Y3の自宅に電話をかけ,被告Y3に対し,Aから前日に聞いた出来事を話し っているのか。」,「陰湿ないじめが発生しているのだから学年で事実を共有すべきではないか。」などと述べた。 翌日,原告は,被告Y3の自宅に電話をかけ,被告Y3に対し,Aから前日に聞いた出来事を話し,Aと他の生徒らとの双方から話を聞いて,問題の解決を図って欲しいと,対応を依頼した。 (シ) 「終了式」のあった平成15年3月20日,Y中学から帰宅途中のAから原告の携帯電話に電話があり,Aは,「もうY中学だけは絶対に嫌だ。もう無理。」などと述べた。そのため,原告は,AをY中学から転出させることにした。 原告は,被告Y3に対し,平成15年3月22日,AをY中 学から転出させたいと連絡したところ,被告Y3は,「分かりました。降参です。」などと述べた。 エ AのY中学転出後の出来事等(甲6~10,16~18,21,22,30~39,41~47,50,51,85~88,95,原告本人)(ア) G中学Aは,平成15年3月31日付けでY中学から転出し,同年4月1日付けで,G中学に転入した。 このころ,Aの携帯電話や原告宅の電話に,何度か無言電話がかかってくることがあった。 Aは,平成15年5月の連休に,S8及びS7と遊びに行ったことがあったが,その後,G中学の友人との交換日記(甲21,32)に,「GW何やってた?Aは,いとこの家とまったりY中の子と遊んだヨそれがさぁー,Y中の時,A,イジメられてたでしょ。だから,Y中の子といるとはきけばっかして楽しくなかったもお,2度とあんな思いしたくない。2度と遊ばない。絶対に。」などと記載し,さらに,Y中学在学中に本件6名から受けた行為について,「んっとねえ,教科書かくされる&黒板にヘタクソな似顔絵かかれてそれにトイレスリッパを投げつけられたり&ロッカーに入ってたLⒸのポスタービ ,さらに,Y中学在学中に本件6名から受けた行為について,「んっとねえ,教科書かくされる&黒板にヘタクソな似顔絵かかれてそれにトイレスリッパを投げつけられたり&ロッカーに入ってたLⒸのポスタービリビリにされる&大きな声で悪口いったり,・・・・とまぁほかにもいっぱいヨあのころは毎日泣いてたなぁ。今でも泣けてくるよ…。マジで。だからG中にこれてヨカッタ」などと記載した。 Aは,G中学に転入後まもなく,頭痛や腹痛等の症状を頻繁に訴えるようになるなど,体調不良が顕著となった。そのため, Aは,平成15年5月15日から同年9月ころまで,かかりつけであったH6内科小児科を受診した。担当医は医師①であり,医師①は,頭痛薬や精神安定剤を処方してAを治療していた。 また,Aは,平成15年5月24日,同月28日,同年6月20日,同年7月16日と,G中学の保健室を利用し,同年5月28日に保健室を利用した際,養護教諭に対し,約1時間にわたり,Y中学時代に受けたとするいじめ等の話をした。 Aは,G中学2年の1学期,「テス勉ノート」と題したノート(甲3)の表紙に,「S4,S1,S2,S3,S6,S5,S8,S7最後にY3!!おぼえとけ!お前らなんかギタ×2にしてやる」と,裏表紙に,「Yのやつら,お前なんかいい高校いけねぇーんだヨざまーみろ!イジメたやつら一生忘れん!死んでもな!」と,その反対の面に,「Yなんかつぶしてやる!」などと記載した。 原告は,AがY中学を転出した後まもなく,被告Y3に対し,Aに対する励ましの手紙を書くように依頼し,平成15年5月ころ,Y中学及びY高校の副校長であったRを介して,被告Y3に同様の依頼をした。これに対し,被告Y3は,平成15年5月,Aに対し,手紙(甲9。以下「本件手紙」という。)を書いて送った。被告Y 5月ころ,Y中学及びY高校の副校長であったRを介して,被告Y3に同様の依頼をした。これに対し,被告Y3は,平成15年5月,Aに対し,手紙(甲9。以下「本件手紙」という。)を書いて送った。被告Y3は,本件手紙に,「Yでの一年間は,私もAさんの力になることが出来ずに,嫌な思いばかりさせて大変申し訳なく思っております。本当にごめんなさい。」,「私もあなたの転校を無駄にすることのないように『いじめ』に対して真っ正面からぶつかり何んとか無くすことが出来るよう努力をしてゆきたいと常々思っております」などと記載した。 Aは,平成15年7月11日ころ,原告に対し,Y中学在学 中から,自分が本件6名からいじめられているときに,その場所にいるのではなく,その光景をビデオカメラを通して見ている感覚があったことを話した。この話を原告から伝え聞いた医師①は,社会保険診療録(甲8の2p3)に,Aの状態について,「現実感の欠如離人感覚」と書き留めた。 AのG中学1学期(平成15年4月1日~同年7月18日)の通学状況は,授業日数72日のうち,欠席が4日であった。 しかし,2学期が始まって以降,Aは,ますます体調が悪化するとともに,原告にも無断で学校を欠席することが多くなった。 Aは,学校に行かない理由として,「学校に行っても一人だから行きたくなかった。」,「またいじめにあうかもしれないと思うと怖くて教室にいられない。」,「フリースクールならなんとか行けるかもしれない。」などと言い,G中学校に通学することを拒んだ。 Aは,G中学に平成15年9月1日は出席したが,同月2日は欠席し,同月3日は出席したものの,その後同月4日,5日,8日,9日及び10日といずれも欠席したため,原告は,当時の担任教諭と相談のうえ,同月11日からAをフリースクールであるJ たが,同月2日は欠席し,同月3日は出席したものの,その後同月4日,5日,8日,9日及び10日といずれも欠席したため,原告は,当時の担任教諭と相談のうえ,同月11日からAをフリースクールであるJに通所させることとした。 (イ) JAは,平成15年9月11日から平成16年1月22日までJに通所した。このころからAは,原告に対し,以前にもまして偏頭痛や腹痛,吐き気などの体調不良を訴えるようになった。 医師①は,平成15年10月14日付け「紹介回答書」(甲6の1p3)に,「まだ,同年代の子(知らない子)にかこまれると恐怖があり,前回イジメの時に学校が動かなかった為の 不拒感が大きいそうです。母親のイカリも大きいようです。」と記載した。 Aは,専門医を受診したほうがよいという医師①の勧めもあり,平成15年10月22日,H1センター心療科を受診した。 原告は,H1センターの問診票(甲6の1p4)に,「◎ 今困っていること・相談したいことはどんなことですか。」に対する答えとして,「1.中1時代(私立Y中学校) いじめにあい中学退学後地元のG中学校に転校したものの(学校側のいじめ放置も大きな問題)偏頭痛情緒不安定,フラッシュバック,解離症状等PTSDにより不登校.現在は岩倉市教育委員会のいわゆるフリースクールに通学。2.小1時代男性教員からの性的いたずらによる心の傷」と記載し,「◎ それはいつ頃から始まり(気づき),どのように対応されましたか。」に対する答えとして,「1.中1時代ほぼ1年間,学校問題で悩んでおりました。2.つい先日(10月18日土曜日)突然うちあけられました。」と記載した。 Aは,平成15年10月22日から平成17年12月20日まで,原告とともにあるいは原告が来院してAの様子を伝える形で,H1センターを受 10月18日土曜日)突然うちあけられました。」と記載した。 Aは,平成15年10月22日から平成17年12月20日まで,原告とともにあるいは原告が来院してAの様子を伝える形で,H1センターを受診した(甲6,51)。H1センターにおけるAの担当医は,平成15年10月22日から平成16年2月19日までは医師②,同日から平成17年12月20日までは医師③であった。 Aは,J通所中,交換日記をする友人等ができ,担任教諭がジャニーズのファンで,よく話が合うなどと原告に楽しそうに話すこともあったが,平成15年10月22日には,医師②に,「自分の居場所がない。学校が怖い。」と,同年12月13日 には,「J行っているけど,嫌い。」,「『私たちは仲いいのよね.』という仲良しグループ的な雰囲気があってなじめない。」と,同月16日には「Jの嫌いな先生が何とか友好を図ろうとする。○○ちゃんと遊ぶのもうざい。」などと,平成16年1月7日には,「友達とのズレが特に感じてしまう。」などと話していた。Aは,Jに通所しても体調不良が回復することはなく,朝から通所できる日はほとんどなかったし,いじめられてから学校に行けないなどと,夜泣いて原告に訴えることもあった。 Aは,平成15年12月9日,医師①により,「片頭痛 PTSD」と診断された。医師①は,同日付け診断書(甲8)に,「2003年5月下旬より,偏頭痛がしばしばあり,頭痛薬,精神安定剤で診ていたが改善は乏しかった。9月初めより,腹痛,吐き気,パニック障害様の症状,離人症様も出現した。通常の学校にて,教室内や集団内で上記症状が出現し,恐怖感を伴なった。以前受けたいじめによるPTSDが考えられる。」と記載した。 Aは,原告に対し,Jでは勉強が十分にできず,このまま通所していては高校に進学でき 教室内や集団内で上記症状が出現し,恐怖感を伴なった。以前受けたいじめによるPTSDが考えられる。」と記載した。 Aは,原告に対し,Jでは勉強が十分にできず,このまま通所していては高校に進学できないのではないかとの不安を訴えるようになったため,原告は,AをI中学に転出させることにした。 AのJ通所当時(平成15年9月11日~平成16年2月1日)の出席日数等は,2学期が,授業日数68日のうち,欠席が15日であり,3学期のうち,平成16年1月22日まで,授業日数17日のうち,出席停止・忌引等が1日,欠席が9日であった。ただし,Jの出席日数は,遅刻や早退にかかわらず, 教室に入室さえすれば,出席とみなされるものであった。 AがJ通所中であった平成15年9月18日,原告は,S1と電話で会話をした。この会話において,原告が,「画鋲がね,ロッカーに撒かれて,ねえ,こう,画鋲がとれないように,こうテープか何かで張り付いてたりとか,そういうこともあったよね?」と述べたのに対し,S1は,「あぁ,あの。なんか,いろいろ。」,S2のバトンが曲げられた件について,「私たちとAは,あまりちょっと上手くいってなかったと思うんですよ。なにかうちらに,なにかされていたりすると,やっぱりAのせいにしちゃってたりしたから,多分それで,Aがやったみたいな感じになって。」と,AがY中学を転出した理由について,「やっぱりうちらが関係してたのかなって思った。」と,S1らがAに対して行った行為についての被告Y3の対応について,「そういう一人だけを呼び出して,そういう話ってのは,全然してない。」,「うちらも,Y3先生がいないところで対立してたから,Y3先生も気づかなかったと思うし。」などと述べた。 同日,原告は,S8とも電話で会話をした。この会話において, ってのは,全然してない。」,「うちらも,Y3先生がいないところで対立してたから,Y3先生も気づかなかったと思うし。」などと述べた。 同日,原告は,S8とも電話で会話をした。この会話において,電話口の近くにいたAが,横から,「ポスターの事聞いてみや,ポスター。」と述べたのに対し,S8は,「だれだったっけ。見た事はあります。」,「一緒にいたから見てました。」などと述べ,原告が,Aが大切にしていたLポスターを破られた件について質問したところ,「はい,知ってます。」と述べ,さらに,Aが,横から,「教科書,隠されたぁ。」と述べたことから,原告が,「あ,それから教科書を隠された。ロッカーの中から。」と聞いたところ,「はい。」などと述べた。また, 原告が,「誰がね,あの6人のいじめの中心だったと思う?」と述べたのに対し,「なんか,みんなでやってたから,わかんない。」と述べ,Aは,この会話の中で,Aの靴に画鋲が入れられるなどした件について,横から,「絶対,知ってる。」(S8が知っているという趣旨)と述べた。 (ウ) I中学,I高校Aは,平成16年2月1日,G中学から転出して,I中学に転入し,平成17年4月,I高校に進学した。I中学及びI高校は,Aと同様いわゆるハーフの生徒も多数在学する学校であり,I中学からI高校へは内部進学することができた。 Aは,I中学では,同世代の友人も何人かできるようになったが,女子生徒1名とは仲が悪かった。 Aは,I中学に転入して間もない平成16年2月16日深夜,突然,「私はAじゃありません。」,「Aさんに,Aさんのことを教える人です。」などと話し出したため,原告は,その時のAと原告との会話を録音した(甲33)。その際,Aは,Y中学時代について,「Aさん,辛かったでしょうねえ。」,「Aさん,可哀 ,Aさんのことを教える人です。」などと話し出したため,原告は,その時のAと原告との会話を録音した(甲33)。その際,Aは,Y中学時代について,「Aさん,辛かったでしょうねえ。」,「Aさん,可哀想です。」と述べ,被告Y3について,「なんで助けてくれなかったんでしょうね。唯一の大人がさ。」,「ひどい人ですね。」などと述べた。 その後,Aは,平成16年3月2日に,「ランちゃん」という人格を,3月7日に「あやちゃん」,「ランちゃん」及び「みゆうちゃん」という人格を,それぞれ表出させるなどして,原告と会話をし,また,平成16年3月7日及び同月11日には,急に泣き出し,Y中学時代について,泣きながら,「S8とかS7に裏切られたから,それがすごく辛かった。」,「見ると 反吐が出るって言われた。」などと述べたため,原告は,これらを録音した(甲34~39)。 Aは,平成16年5月28日,医師③に対し,「Y学園には怒り等感じない。学校という場面への反応だけが残っている。」などと述べた。Aは,同日,医師③により,「♯1 学校恐怖症 ♯2 外傷後ストレス障害」と診断され,医師③は,同日付け診断書(甲8の1p29)に,「♯2によると思われる♯1にて,日常の登校に重大な困難を生じている。学校場面での過干渉などにより,♯1の増悪が考えられる。又,現在,パニック障害の前症状と思われる諸症状が生じており,焦らずに休養できる形を作ることが緊急に必要である。以上から,今後,約3週間の休学,自宅療養を要する見込みである。」などと記載した。 Aは,平成16年9月14日深夜,四肢が脱力し,視線が合わない状態になるなどしたため,H1センターに救急車で搬送され,経過観察目的でH1センターに入院し,同月15日に退院した。H1センターの医師である医師⑤は,入院 月14日深夜,四肢が脱力し,視線が合わない状態になるなどしたため,H1センターに救急車で搬送され,経過観察目的でH1センターに入院し,同月15日に退院した。H1センターの医師である医師⑤は,入院概要及び入院病名票(甲51)の「入院経過」欄に,Aの入院経過について,「上記にて心療科通院中の児 9/14突然の解離あり救急車で来院。家族の不安,夜間による物理的帰宅不可能の理由で一晩経過観察目的で入院となった入院数時間後,患者が突然泣き出し,母親も解離であることを納得した。朝には通常に戻り,退院」と記載した。 Aは,小学校3年のころから,児童劇団に通っており,I中学に転入後も,児童劇団に通い続けていた。児童劇団では仲の良い友人もいたものの,男子劇団員から,「天パー」,「デブ」, 「眉毛が濃い。」,「キモイ」などとからかわれたり,Aがよい役をもらうと,周囲から嫉妬を受け,仲間外れにされたりホームページに悪口を書かれるなどして,周囲の劇団員とトラブルになることもあったし,平成16年10月ころ,原告に対し,児童劇団について,「無理して行っていたしもう無理。」などと言ったこともあった。 Aは,I中学,I高校在学当時,飲食店でのアルバイトやバンド活動を行っていたが,アルバイト先では,客から「そんな汚い顔をして食べ物屋さんにいるの。」などと言われたこともあった。 Aは,平成17年4月1日,I高校へ進学したが,同年6月29日午前2時ないし3時ころ,原告に対し,「学校へ登校したら,Yの時に受けたいじめが幻覚で出てくる。生徒らが取り囲んで来る。机が廊下に出されている。はっと我に返れた。試験中も生徒らが,『まだ生きてたのか』と言ってくる。」などと述べた。 Aは,I高校1年の夏にモデル事務所の面接に合格し,モデルとしての活動もするよう 。机が廊下に出されている。はっと我に返れた。試験中も生徒らが,『まだ生きてたのか』と言ってくる。」などと述べた。 Aは,I高校1年の夏にモデル事務所の面接に合格し,モデルとしての活動もするようになった。 Aは,2学期に入ると,体調不良から,I高校に登校できる日が少なくなり,欠席することが多くなった。また,Aは,平成17年10月26日,I高校の保健室前で意識を失い,救急車で病院(H7病院)に搬送された。 このように,2学期に体調不良による不登校が続いていたAに対し,I高校のクラスメイト及び担任教諭のOは,Aに対するメッセージを書いた黒板を背景にした集合写真(甲86)を撮影し,その写真とクラスメイトが書いた手紙とをAに届けた。 Aは,これに対する返事の手紙(甲88)の中で,「クラスのみんなへ。」と題して,「学校では平気なフリをしていても,実際ツライのが現状です。クラスのみんな大好きです。」などと記載し,「先生方へ。」と題して,「授業中,教室の中というのが,どうしてもコワくて,恐ろしくて泣きだしそうな自分をおさえるタメ,誰にも,さとられない様にするタメに,なかなか普通に授業を受ける事ができず,友達と話していたり,寝ていたりしていました。」などと記載した。 Aは,I高校1年2学期の終わりころ,「二学期を振り返って」と題した作文(甲87)に,「私にとって『二学期』とは,無であり,濃い時間,でした。ほとんど,学校にも行けなくなり,学校での私の存在は,透明であり,無だったのです。」,「学校で倒れた後,本気で,学校をやめようと思っていた私は,みんなの手紙や,みんなの写真で,学校に残ることを決めました。そのあとも,ちょこちょこと学校に行くと,『A!おはよー!!』と元気な声と,笑顔で,C組の仲間が,私を迎えてくれました。この先 た私は,みんなの手紙や,みんなの写真で,学校に残ることを決めました。そのあとも,ちょこちょこと学校に行くと,『A!おはよー!!』と元気な声と,笑顔で,C組の仲間が,私を迎えてくれました。この先ずっとずっと,一生,C組でいたいです。」などと記載した。 Aは,I高校1年であった平成17年,「自分との戦い」と題した作文(甲22)に,「今,私は,自分自身と戦っています。その理由は今から三年前,中学一年生の時に受けた『いじめ』にあります。『いじめ』ほど残酷なものはありません。いじめを受けた人は,深い心の傷を負い,いじめを思い出しては,何年も苦しむのです。」,「いじめを受けた最初の頃のことです。いきなりクラスの仲間からシカトされ,机を教室の外に出されたのです。あげくのはてには大声で悪口。何故,昨日まで 仲良くしていた友達がそんな事をするのか… 。裏切られた気持ちと自分の身に何が起こっているのかが分からない気持ちでいっぱいになりました。そして,いじめはどんどんエスカレートしていきました。『自分なんていない方が良いんじゃないか。』『死んだら楽になるのかな。死にたい… 。』こんな事ばかり考え,頭がパンクしそうになりました。私は今日まで生きることが出来たけど,いじめを受けた人の中には本当に死んでしまう人もいるほどです。いじめがひどくなると,ついには,何も考えられなくなり,心が『麻痺』してしまうからです。全てがどうでもよくなり,自分自身が分からなくなってしまう。 私自身も広い宇宙にたった一人自分だけがとり残され,まっ暗やみの中をどこへ行けばいいのか行く先もないまま,ひたすらさまよう,そういう気持ちになりました。」,「私には目の前で繰り広げられているいじめの現実が到底理解できないまま,どうしようもない絶望感で一杯でした。こんなに悲惨な状 のか行く先もないまま,ひたすらさまよう,そういう気持ちになりました。」,「私には目の前で繰り広げられているいじめの現実が到底理解できないまま,どうしようもない絶望感で一杯でした。こんなに悲惨な状況なのに担任は知らんぷり。そんな毎日に耐えられなくなった私はついにその学校を退学したのです。このIには中学二年の三学期に転校してきました。最初の頃は,やはり学校が怖くて学校に毎日通うことができませんでした。私は今もなお学校が怖い,人が怖いという気持ちと戦っています。」などと記載した。 Aは,医師③の異動に伴い,I高校1年在学中の平成18年1月30日から同年8月まで,H3病院の精神科,親子診療に,原告とともにあるいは原告が来院しあるいは電話でAの様子を伝える形で受診した(甲7)。 Aは,平成18年3月2日,原告に対し,Y中学在学当時,本件6名から,「お前なんかいなくなってしまえ。」と学級写 真の顔を黒く塗りつぶされたこと,靴に画鋲を入れられた際に,被告Y3に助けを求めたにもかかわらず,「画鋲は学校の備品だからもらっておく。」と言われただけで追い返されてしまったこと,あのとき被告Y3はなぜ助けてくれなかったのか,本当は泣きたかったけれど,あまりにショックで声も出なかったことを泣いて話した。これを聞いた原告は,同月4日,担任教諭のOに,上記のようなAの状態について報告し,相談するメール(甲85)を送った。 Aは,平成18年3月29日,医師③により「外傷後ストレス障害」と診断された。医師③は,同日付け診断書(甲4)に,「学校場面での対人関係に関連する恐怖心が強く残存しており,重い解離症状が生じることも多く,しかも,その結果が疾病利得的ではなく,本人の意志に沿わない結果につながることが明らかな場合にも生じてしまいます。即ち,本人に 係に関連する恐怖心が強く残存しており,重い解離症状が生じることも多く,しかも,その結果が疾病利得的ではなく,本人の意志に沿わない結果につながることが明らかな場合にも生じてしまいます。即ち,本人にとって不利益で日常生活を困難にする『解離性障害』の状態が合併しています。」などと記載した。 Aは,I高校2年1学期の平成18年6月14日,医師③に対し,「Iは八方美人。面と向かって言うことと,陰で言うことが全然違う子が沢山いる。」,「Iでもグループが変動するたびに,寄ってきたり,別の所に行って悪口言ったりする。」などと述べた。 AのI中学在学当時の出席日数等は,2年3学期が,授業日数34日のうち,欠席が16日,遅刻が5回,早退が3回であり,3年1学期が授業日数70日のうち欠席が52日,遅刻が13回,早退が2回,2学期が授業日数76日のうち欠席が40日,遅刻が20回,早退が4回であり,3学期が授業日数4 8日のうち,欠席が30日,遅刻が8回であった。 AのI高校在学当時の出席日数等は,1年1学期が授業日数71日のうち欠席が4日,遅刻が9回,早退が2回,2学期が授業日数75日のうち,欠席が26日,遅刻が20回,早退が1回,3学期が授業日数50日のうち,欠席が12日,遅刻が22回,早退が2回であり,2年1学期は,授業日数72日のうち,欠席が40日,遅刻が13回,早退が2回であった。 (エ) H1センター及びH3病院への通院原告及びAのH1センターへの通院等の回数は,平成15年が3回,平成16年が19回,平成17年が12回であった(甲6)。なお,通院日は,平成15年10月22日(来院者:原告及びA。以下括弧内について同様),同年11月29日(原告及びA),同年12月13日(原告及びA),平成16年2月19日(原告),同年2月 6)。なお,通院日は,平成15年10月22日(来院者:原告及びA。以下括弧内について同様),同年11月29日(原告及びA),同年12月13日(原告及びA),平成16年2月19日(原告),同年2月21日(原告及びA),同年3月13日(原告),同年3月25日(原告),同年4月8日(原告),同年4月22日(原告),同年5月7日(原告及びA),同5月28日(原告及びA),同年6月4日(原告及びA),同年6月25日(原告),同年7月8日(原告及びA。なお,この日は医師②が担当した。),同年7月22日(原告),同年8月19日(原告),同年9月15日(原告及びA),同年9月17日(原告),同年9月24日(原告),同年10月14日(原告),同年11月12日(原告),同年12月10日(原告),平成17年1月7日(原告及びA),同年2月3日(原告及びA),同年3月10日(原告),同年4月6日(原告),同年5月11日(原告),同年6月8日(原告),同年7月6日(原告),同年8月3日(原告),同年9月7日(原 告),同年10月12日(原告),同年11月15日(原告及びA)及び同年12月20日(原告)であった。 原告及びAのH3病院への通院回数等は,12回であった(甲7,51)。なお,通院日は,平成18年1月30日(原告),同年2月15日(原告が電話),同年2月27日(原告及びA),同年3月29日(原告),同年5月10日(原告),同年5月31日(原告),同年6月14日(原告及びA),同年6月29日(原告が電話),同年7月3日(原告及びA),同年7月5日(原告),同年7月6日(原告が電話),同年8月4日(原告)であった(甲7)。 (オ) AがI中学2年在学中であった平成16年2月20日,原告は,被告Y3と電話で話をした。 この電話におい 5日(原告),同年7月6日(原告が電話),同年8月4日(原告)であった(甲7)。 (オ) AがI中学2年在学中であった平成16年2月20日,原告は,被告Y3と電話で話をした。 この電話において,原告が,「Aは,先生もご存じだと思いますが,ロッカーの中から物が無くなったりとか,それからポスターが破られたりって言う事もありましたね。」と述べたのに対し,被告Y3は,「ありました。」と答え,Aの靴に画鋲が入れられるなどした件について,原告が,「『先生,何とかしてください』と,私,何度もお電話してたと思うんです。」と述べたのに対し,「そうですね。」と述べ,原告が,Aが泣いて帰ってきたことも被告Y3に伝えたと思うと述べたところ,「お聞きしましたね。」などと述べた。そのほか,被告Y3は,平成15年3月20日の「終了式」の日,クラス全体に対して,いじめはやめるように話をしたなどと述べ,原告は,これを録音した(甲17)。 平成16年3月28日にも,原告は,被告Y3と電話で話をした。この電話の際,被告Y3は,原告が,AがY中学在学中 の3学期に,しょっちゅう泣いて帰ってきたと被告Y3に電話で報告していたことについて,「はいはい。ありましたね。はいはい。」などと述べ,原告が,「それで,先生としては,どういう対策をされていたのか?教えていただきたいんですが。」と述べたのに対して,「まあ,あんまり力になれなかったですねぇ。」,「個人的に誰かっていうことが,あの,すべて把握してなかったもんですからね。あのう,指導し切れなかった部分があると思います。それは。正直。」,などと述べた。 また,Aの靴に画鋲が入れられるなどした件について,「ただ画鋲をやったのが誰かということが特定できなかった。」などと述べたため,原告が,「それは特定できなかったと 。それは。正直。」,などと述べた。 また,Aの靴に画鋲が入れられるなどした件について,「ただ画鋲をやったのが誰かということが特定できなかった。」などと述べたため,原告が,「それは特定できなかったとしても! Aをいじめていた6人というのは先生と私との間で,あの,共通の認識がありましたよ!」と述べたところ,被告Y3は,「うん,名前は分かってましたけどねぇ。」などと述べ,原告はこれを録音した(甲18)。 オ本件自死前のAの状況等(甲7,8,23,95,原告本人)(ア) Aは,平成18年6月30日,同年7月3日,同月5日,同月10日と,4回にわたって,大量服薬やリストカットによる自殺未遂を行った。 そのため,原告は,平成18年7月3日,AをH8病院に入院させようとした。その際,原告は,H8病院の医師である医師④から,Aの入院に,原告が付き添うことができないと言われたので,原告は,AをすぐにH8病院から退院させた。なお,医師④は,原告に対し,母子を分離してAを治療することも必要であるとして,Aを入院させるよう説得したが,原告は納得しなかった。Aは,その後も自殺願望が強かったため,平成1 8年7月12日から同月19日まで,H3病院に自殺防止目的で医療保護入院した。 (イ) Aは,平成18年8月ころ,児童劇団の打ち上げの席上,来年に備えて連絡を密に取ろうと提案したが,女子劇団員から冷淡な態度を取られたと落ち込んだ様子であった。 Aが悲しそうな様子だったので,原告が,他の子達にも都合があるんだよ,と声をかけると,Aは,「そんな事を聞きたいんじゃない。気持ちをありのままに聞いて欲しい。」などと述べた。 同じころ,原告が,Aに対して洗濯物を干すように頼んだところ,Aがいい加減に洗濯物を干したことがあった。そのため,原告が,Aに いんじゃない。気持ちをありのままに聞いて欲しい。」などと述べた。 同じころ,原告が,Aに対して洗濯物を干すように頼んだところ,Aがいい加減に洗濯物を干したことがあった。そのため,原告が,Aに対し,「気持ちを分かってよ。」などと言うと,Aは,「ママだって分かってよ。」と怒りながら言い返し,会話が止まってしまったことがあった。 (ウ) 原告は,平成18年8月17日,同日から19日までの予定で,緑内障の検査のため,H5病院に入院した。当初,同月17日及び18日は,Aの友人が原告宅に泊まりに来てAと一緒に過ごす予定であったが,友人が来られなくなってしまったため,Aは,同月17日の夜は,一人で過ごすこととなった。 同月17日の夕方,Aの友人が来られなくなってしまったことを知った原告は,原告が原告宅を留守にする間,CにAと一緒にいてもらおうとしたが,Aは,Cがいなくても大丈夫であると述べた。原告は,同日の夜にも再度Cに原告宅に行ってもらおうかとAに提案したが,Aは,一人で大丈夫だと述べ,カナダに語学留学に行かせて欲しいなどと述べた。そのため,原告は,Aを一人にしても心配ないと考え,CをAに付き添わせな かった。Aは,同日の夜,一人で原告宅で過ごした。 (エ) Aは,平成18年8月18日未明,原告宅のあるマンションの8階から投身して死亡した(本件自死)。原告は,同日,本件自死について,被告学園に連絡した。 カ原告と被告学園との間の訴訟等(甲95,101~104,原告本人)(ア) 原告は,平成7年4月1日,被告学園に教員として採用され,平成14年度当時,Z大短期大学部助教授の地位にあったが,平成16年3月,被告学園から,諭旨退職処分及び解雇通知を受けた。 (イ) 原告は,上記各処分がいずれも無効であるなどと主張し,被 用され,平成14年度当時,Z大短期大学部助教授の地位にあったが,平成16年3月,被告学園から,諭旨退職処分及び解雇通知を受けた。 (イ) 原告は,上記各処分がいずれも無効であるなどと主張し,被告学園を被告として,名古屋地方裁判所に,原告がZ大短期大学部助教授の地位にあることの確認,未払賃金の支払等を求める訴えを提起した(同裁判所平成○年(ワ)第○号地位確認請求事件。以下「別件訴訟」という。)。 名古屋地方裁判所は,平成17年○月○日,別件訴訟について,原告の解雇を相当とするような客観的に合理的な理由があったとは認められないなどとして,原告の請求の一部を認容する判決をした(以下「別件一審判決」という。)。 (ウ) 原告及び被告学園は,別件一審判決を不服としてそれぞれ控訴し(名古屋高等裁判所平成○年(ネ)第○号地位確認請求各控訴事件),原告は,控訴審において,平成17年度の年末一時金等の支払を求める請求を追加した。 名古屋高等裁判所は,平成18年○月○日,原告の追加した請求を認容し,原告及び被告学園の控訴をいずれも棄却する判決をし(以下「別件控訴審判決」という。),その後別件控訴 審判決は確定した。 (エ) 別件訴訟において,被告学園は,原告の解雇事由の一つとして,原告が,Dと不倫関係にあって,Dが原告宅を訪れていたこと等を主張した。これに対し,原告は,原告とDとの不倫関係を否認し,Dが原告宅に来たのは,Y中学時代のいじめによる後遺症のため不登校状態に苦しむAを訪問する目的であったなどと主張し,被告学園は,Aに対するいじめの事実を否認した。 この点について,別件一審判決は,AがY中学において深刻ないじめにあい,それが原因で転校し,その後解離症状が起きるようになったなどと認定した上,Dは,Y中学でのいじめが原因 の事実を否認した。 この点について,別件一審判決は,AがY中学において深刻ないじめにあい,それが原因で転校し,その後解離症状が起きるようになったなどと認定した上,Dは,Y中学でのいじめが原因で不登校となり,小児診療専門医の診察を受けるような状態にあるAと直接会って話をする必要があると考え,原告宅に赴くことにしたなどと認定し,別件控訴審判決も,Y中学において,Aへのいじめ問題が存在したといわざるを得ない旨判断した。 (オ) 被告Y3は,別件訴訟について,平成16年○月○日付け陳述書(甲103。以下「別件Y3陳述書」という。)を作成した。別件Y3陳述書には,「Aは入学当初より,勝気で我がままな性格から,級友とのトラブルが数多くあった。これは本人も認めている。その性格から人を傷つける無神経な発言を度々するために,他人から時には無視されたり,授業用具などを外のロッカーに移動し隠されたりして,本人は探したこともあったが,それは,殆ど子供同士のいたずら程度の出来事で,決していわゆる『いじめ』に当たるものではない。しかし,その後この件につき,母親原告,娘Aから,たいそうおおげさに被害 を受けたとして,これらいたずらをした生徒6名の名前を出し,自分のほうで糾弾するとの申し出があったので,担任である私は,すぐ様その該当生徒を呼び出し,いたずらをした事情を聴取し指導した。しかし,呼び出された生徒たちは,軽い気持ちのいたずら程度のことで呼び出されてまで事情を聞かれることに疑問を持っていた。結果的には,実際に誰がいたずらを実行したのかを特定することはむずかしく私はこの出来事をクラス全体の問題として捉え,例え単なる『いたずら』でも人が困るようなことをしないよう話をし指導した。生徒も私の話を理解し事なきを得た。しかし,原告は納得せず,生 ることはむずかしく私はこの出来事をクラス全体の問題として捉え,例え単なる『いたずら』でも人が困るようなことをしないよう話をし指導した。生徒も私の話を理解し事なきを得た。しかし,原告は納得せず,生徒やその母親に糾弾を続けた。」,「母親原告は自己中心的で,他人の迷惑も考えず夜9時以降,数度にわたり私の自宅に電話をかけてきた。その外にもせっかくの休日(日曜日)に,自分の思いつきで電話をかけてきて,その度にいつも一方的に,しかもヒステリックに長時間しゃべりまくり大変迷惑を蒙っていました。 それは,当時の副校長Q先生も同様です。」等の記載がある。 (カ) 被告Y1は,別件訴訟の被告代表者本人尋問において,原告から,平成14年の秋ころ,Aが受けていたとされるいじめのことで,いじめに関与している生徒や親を集めて指導できるような機会を作って欲しいという要望があったこと,Y中学では,生徒の動向に関して,担任から教頭に報告があってそれを踏まえた指導がされ,その後,校長に報告が行き,被告Y1がY中学,Y高校に行くときに校長や教頭から報告を受けること,Aの件でも,教頭や校長に確認をしたところ,Aも非常に自己中心的なところがあったり,人の悪口を言ったり,パンを買うために人からお金を借りて返さない等の問題があるとの報告 を受けたこと,本件手紙の記載内容について被告Y3に聞いたところ,被告Y3は,Aに対する行為は,いわゆる社会通念上のいじめではないと述べていたことなどを供述した。 キ本件自死後の原告と被告らとのやり取り等(甲5,26,76,90,91,95,96,乙15)(ア) 原告は,平成18年8月19日,同月20日に行われたAの通夜及び葬儀に,被告学園からの献花や香典がなかったため,平成18年9月ころ,被告学園に対し,その理由を問い質 ,95,96,乙15)(ア) 原告は,平成18年8月19日,同月20日に行われたAの通夜及び葬儀に,被告学園からの献花や香典がなかったため,平成18年9月ころ,被告学園に対し,その理由を問い質した。 これに対し,Uは,慶弔の扱いは全て被告Y1の専権事項であるなどと答えた。 (イ) 原告は,本件生徒らがY高校を卒業する前に,Aに対するいじめについて真相を知りたいと考え,平成20年2月8日ころ,Y高校に電話をかけ,被告Y2との面談を希望する旨伝えた。 これに対し,Rは,原告の要望を被告Y2に伝える旨述べたが,その後も,被告Y2との面談の日は決まらず,原告が,愛知県○○室に何度も相談した結果,同室のP室長補佐が,原告と被告Y2との面談の約束を取り付けた。 (ウ) 原告は,平成20年2月26日,原告の姉とともに,Y高校に出向いて,被告Y2と面談した。なお,この面談に先だって,原告は,被告学園に対し,被告Y3を面談に同席させること等を依頼していたが,被告Y2以外の被告学園の関係者は同席しなかった。 原告は,この面談において,被告Y2に対し,Aの葬儀の際の写真等を見せた上,AがY中学から転出し,その後自死したのはY中学での本件6名によるいじめが原因ではないかと述べた。これに対し,被告Y2は,Aがいじめで転学したとは知 らなかったし,転学時には,書類に判を押しただけで,いじめの報告など一切あがっていなかったと述べた。 (エ) 原告は,前記(ウ)の面談後も,被告学園に対し,何度も面談を要望したが,被告学園は面談に消極的であった。そのため,原告は,再度Pを通じて面談の日を設定してもらった。 原告は,平成20年3月31日,母Cとともに,Y高校に出向いて,被告Y2及びRと面談した。なお,原告は,この面談に先だって,被告学園に,被告 ,原告は,再度Pを通じて面談の日を設定してもらった。 原告は,平成20年3月31日,母Cとともに,Y高校に出向いて,被告Y2及びRと面談した。なお,原告は,この面談に先だって,被告学園に,被告Y3を面談に同席させることや,本件生徒らが卒業するまでに本件生徒らの事情聴取を行っておくこと等を依頼していたが,被告Y3は同席せず,被告学園は,本件生徒らに対して事情聴取を行っていなかった。 この面談において,被告Y2及びRは,Aに対するいじめはなかったと述べ,被告Y3を同席させないことについて,被告Y3は旅行に出ていて連絡が取れないと述べ,本件生徒らを事情聴取していなかった点について,今の段階では被告Y3からいたずら程度と聞いているだけだし,未成年なので親の許可がないと子供がどうのこうのというところまで進めないなどと述べ,原告は,このような被告Y2及びRの態度に激昂した。 (オ) その後,被告学園は,Pから,原告と被告Y3との面談の機会を設けるように要請されたため,これを行うことにした。 原告は,平成20年5月20日,Y高校に出向いて,被告Y2,被告Y3及びRと面談した。この面談において,被告Y3は,原告に対し,「いじめという認識がない。」,「いじめはなかった。」,「いじめといたずらの認識の違い。」,Aの靴に画鋲が入れられるなどした件についても,「普通っていうか,いたずらですわね。その画鋲の件に関しても。」,「だから, 画鋲のことも話してくれたし。私に。」,「信じていただけるかどうかわかりませんけどもね,その画鋲の件に関してはですね,まぁ備品っていうふうに発言した,まぁ,聞いてくださいね,と言うつもりはないです。えぇ,そういうケースの場合にね,備品だなんていうような発言はしないです,私は。えー,『私がまぁもらっておく』 ね,まぁ備品っていうふうに発言した,まぁ,聞いてくださいね,と言うつもりはないです。えぇ,そういうケースの場合にね,備品だなんていうような発言はしないです,私は。えー,『私がまぁもらっておく』ということは言ったかもしれません。」,「画鋲の件とか具体的に分かった部分ではね,悪戯だったというふうに言ってるわけですよ,私。」などと発言し,原告がAをY中学から転出させると連絡した際の,原告とのやり取りについて,「力不足ということは言ったかもわかりませんけどね。」などと発言し,被告Y2及びRも,本件生徒らの行為をいじめとは認識していない旨述べ,原告はこれを録音した。 (カ) 医師③は,平成20年6月27日付け診断書(甲5)に,Aの病名を「解離性障害」と記載し,付記として,「上記にて2006年8月18日に自殺既遂に到った。自殺既遂時も含めて,症状からはY学園中学時代のいじめが常に症状に主要な影響を及ぼしていることが高い蓋然性を持って推測された。」などと記載した。 (キ) 原告は,平成20年5月23日,被告Y2に対し,被告Y1と面談したいと頼んだが,被告Y2は面談について確約をせず,その後も原告は,平成20年5月から6月ころにかけて,被告Y2に電話をしたり,Uと面談するなどして,被告Y1との面談を求めたが,被告学園は,原告と被告Y1との面談を設定しようとしなかった。 原告は,被告学園に対し,平成20年10月7日付け配達記 録郵便を被告Y1,被告Y2及び被告Y3らに送付し,同月23日付け内容証明郵便を被告Y1及びUらに送付するなどして,被告Y1らに対し,原告と被告Y3らとの面談を求めたが,被告学園及び被告Y1は,原告から送付された封筒(甲90,91,96)の表面に「受取拒否」と記載して返送するなどした。 (ク) 原告は, て,被告Y1らに対し,原告と被告Y3らとの面談を求めたが,被告学園及び被告Y1は,原告から送付された封筒(甲90,91,96)の表面に「受取拒否」と記載して返送するなどした。 (ク) 原告は,名古屋地方裁判所に,平成21年○月○日,被告らのほか本件生徒ら及び本件生徒らの親を被告として,本件訴えを提起したが,本件生徒ら及び本件生徒らの親に対する訴えについては,平成22年○月○日成立の訴訟上の和解等によって終了した。 (2) 事実認定に関する補足ア被告らは,Aに対するいじめがあったとの原告の主張を否認し,AがY中学に在学していた当時,本件クラスでも,些細な感情のすれ違いから生徒間で対立し,Aを含めた生徒らが,「ウザイ」,「キモイ」,「死ね。」といった悪口を言い合ったり,いたずらをする等の出来事はあったが,それらの行為があったとしても,特定の生徒に対するいじめと評価すべきものではなく,Aに対するいじめは存在しなかったと主張し,これに沿う証拠として,本件生徒らの陳述書(乙17~19,21,23~25,27)を提出し,S1,S2,S3,S4,S5,S6及びS7は,それぞれ自分の陳述書に記載した内容は間違いないとして,同趣旨の証言をしている。 しかし,上記各生徒らの陳述書は,原告から,本件の被告として訴えられた後訴訟上の和解が成立するまでの間に作成されたものであるし,S8の陳述書(乙27の1)についても,原告と S8との間で訴訟上の和解が成立した後である平成22年12月6日付けでS8が署名,押印しているものの,実質的な内容は,訴訟上の和解が成立する前に作成されていたものと認められ(乙27の2),本件生徒らが,訴訟の当事者として,原告からの高額の責任追及に対して防衛的となり,自己の責任を否定するような内容の陳述書を作成 訴訟上の和解が成立する前に作成されていたものと認められ(乙27の2),本件生徒らが,訴訟の当事者として,原告からの高額の責任追及に対して防衛的となり,自己の責任を否定するような内容の陳述書を作成する可能性が十分に考えられることからすると,上記各陳述書の信用性は低いといわざるを得ず,ただちに採用することができないし,上記各生徒らの証言も,被告らが上記各陳述書を入手し,書証として提出した上で行われたもので,上記各陳述書と同様にただちに採用することができないものである。 また,上記被告らの主張に沿う証拠として,被告らが提出するV,被告Y3及び被告Y2の各陳述書(乙8,14及び15)並びにVの証言及び被告Y2の本人尋問での供述もある。 このうち,被告Y3の陳述書(乙14)は,被告Y2など被告学園の関係者が毎回同席して打合せをした上,平成22年11月8日ころ完成したものと認められるところ,別件Y3陳述書(甲103)とさえも内容が異なるものであるし,被告Y3は,前記(1)エ(ア)のとおり,平成15年5月ころ,自らAへの「いじめ」があったことを認める内容の本件手紙(甲9)を作成しており,また,前記(1)エ(オ)のとおり,平成16年2月20日及び同年3月28日の原告との電話の際にも,Aの靴に画鋲が入れられたこと,ロッカーの中から物がなくなったこと,ポスターが破られたことなどを認識している内容の発言をしていること,被告Y3は指定された本人尋問の期日に病気を理由に出頭せず,原告からの反対尋問のテストを経ていないことなどからすると,上記発言等 の内容と矛盾している被告Y3陳述書は,到底採用することができないものである。 同様に,被告学園の職員であるV及び被告Y2の各陳述書(乙8,15)並びにVの証言及び被告Y2の供述のうち,原告と本 の内容と矛盾している被告Y3陳述書は,到底採用することができないものである。 同様に,被告学園の職員であるV及び被告Y2の各陳述書(乙8,15)並びにVの証言及び被告Y2の供述のうち,原告と本件生徒らや被告Y3との出来事についての以上の認定に反する部分も,いずれも採用することができないものである。 なお,原告とS1,S4及びS5との各会話の録音のうち,本件自死後のもの(甲11~15)については,原告が,本件6名がAに対し,「いじめ」を行っていたことを当然の前提とした上で,「嘘をついたら,許さない。」などと発言したり,Aの葬儀の写真を見せるなどしたりして,S1,S4及びS5が自由に発言することが困難な状況下で行われたものであり,誘導的な質問が多々見られ,S1,S4及びS5も,迎合的な応答をしている部分が認められることなどからすれば,その前後のメールのやり取りがあるなどしても,これらの全てをただちに採用することはできないというべきである。他方,本件自死より前に行われた原告とS1及びS8との各電話の録音(甲10,16)については,Aの生前であり,上記のような事情も窺われないことからすれば,いずれも採用することができるものである。 イ被告らは,Aと本件生徒らの一部が,一緒にプリクラを撮影し,プロフィール帳を交換していたこと,AがY中学転出後,本件生徒らの一部と遊んだことがあることなどから,Aと本件生徒らの仲は良好であり,本件生徒らによるいじめはなかったと主張し,証拠(丙1の1・2,2の1・2,3の1・2,4~9,証人S1,同S5,同S6,同S7)及び弁論の全趣旨によれば,Aは,本件生徒らの一部とプロフィール帳を交換したり,平成1 4年の夏ころや冬ころ,一緒にプリクラを撮影したり,AがY中学から転出した後の平成15年5月 ,同S7)及び弁論の全趣旨によれば,Aは,本件生徒らの一部とプロフィール帳を交換したり,平成1 4年の夏ころや冬ころ,一緒にプリクラを撮影したり,AがY中学から転出した後の平成15年5月ころ,S8及びS7と,S8の家で遊んだことなどが認められる。 しかし,プロフィール帳を交換したり,一緒にプリクラを撮影したことがあったとしても,思春期の生徒であれば,人間関係をさらに悪化させないため,表面的に取り繕って付き合いをしているだけの可能性も十分に考えられるから,これらの事実が認められるからといって,ただちに前記認定の本件6名の各行為がなかったということはできない。そして,原告と被告Y3との電話による会話でも,本件6名が特定の者として前提とされているように,Aに対する前記(1)ウ(カ)の各行為を行ったのは,本件6名であり,S8及びS7は,Aとの関係が比較的良好であったと認められるし,また,前記(1)エ(ア)のとおり,A自身,S8及びS7と遊んだ後に書いたG中学の友人との交換日記(甲21,32)には,「Y中の子といるとはきけばっかしてたのしくなかった。」,「2度と遊ばない。絶対に。」などと記載していることからすれば,Aが良好な状態でY中学に通学していたわけではないことが明らかである。 そのほか,被告らは,AのY中学在学当時の保健室の利用回数や欠席日数が特段多いわけではなかったこと,Aがカウンセリングを受診した事実がないことなどから,上記各行為はなかったなどとも主張する。 しかし,一般に,嫌がらせを受けた生徒が示す反応は,当該生徒の性格や周囲の環境により様々であると考えられるのであり,嫌がらせを受けた生徒が,必ず学校を長期間休んだり,保健室を利用したり,カウンセリングを利用したりするとは限らないし, 本件6名による 性格や周囲の環境により様々であると考えられるのであり,嫌がらせを受けた生徒が,必ず学校を長期間休んだり,保健室を利用したり,カウンセリングを利用したりするとは限らないし, 本件6名による行為がY中学内で行われたこと,被告Y3が適切な対応をしてくれなかったことなどからすると,Aとして,Y中学の保健室やカウンセリングの利用に消極的になる可能性も十分に考えられるのであり,被告ら主張の上記各事実が認められるからといって,ただちに前記認定の本件6名の行為がなかったといえるものではない。 2 本件生徒らがAに対して行った行為について(1) Aは,Y中学入学後,前記1(1)ウ(ア)ないし(オ)のとおり,S2,S1及びS3らとのトラブル等を通じて,2学期ころには,本件6名との関係が悪化し,本件6名から敬遠されるようになり,本件6名のグループから離れるようになったことが窺われ,その後,本件6名によって,前記1(1)ウ(カ)認定の各行為が行われたことが認められる。そして,Aは,前記1(1)ウ(ケ)のとおり,3学期になると,泣いて帰ってくることが多くなり,原告に対し,本件6名から受けた行為の一部を泣きながら話していたのである。 これら本件6名の行為のうち,靴に画鋲を入れる行為は,Aに対する害悪を示す攻撃的なものであり,Aの授業用具を隠したりする行為は,学校生活の中心である授業を正常に受けることを積極的に妨害する行為であるし,Aが大切にしていたLポスターを破る行為は,有形力の行使を伴う侵害行為であって,Y中学で学校生活を送っていたAに対し,いずれも相当の精神的苦痛を与える,悪質かつ陰湿な行為というべきである。 また,シカト(無視)や,「ウザイ」,「キモイ」,「死ね。」などの発言や,机を教室の外に出す行為は,Aに対し,集団内における孤立 も相当の精神的苦痛を与える,悪質かつ陰湿な行為というべきである。 また,シカト(無視)や,「ウザイ」,「キモイ」,「死ね。」などの発言や,机を教室の外に出す行為は,Aに対し,集団内における孤立感を強めさせ,本件クラスという集団からの排除の恐怖を与えるものであるし,「(眉毛が)太すぎなんだよ。」,「毛 が濃い。」,「天然パーマ」などという容姿等の中傷や,「臭いから空気の入れ換えをする。」などと言って窓を開ける行為は,容姿や体臭を気にすることの多い思春期の少女の心に深く傷を残すものであって,Aは前記1(1)アのとおり,幼いころ,原告に対し,「自分の顔が嫌い。」,「何でハーフに産んだんだ。」と言うなど,自らの容姿を気にしていたこともあり,上記のような本件6名の発言がAの心を深く傷つけるものであったことは容易に理解することができる。そして,Aに向けられた「反吐が出る。」との発言に至っては,人格そのものを否定されたに等しい屈辱を与えるものである。 本件6名は,それぞれ日時,場所等の機会や態様は異なったとしても,このような行為を,数人又は単独で,平成14年9月ころから「終了式」があった平成15年3月20日までの約半年の間,自分の他にも同様の行為をしている者がいることを認識しながら,継続的に行っていたのである。 このような本件6名の行為を総合的に評価すれば,Aに耐え難い精神的苦痛を与え,心身に異常を生じさせるのに十分な行為と認められ,優に違法性を肯定することができるものである。 (2) 被告らは,本件生徒らがAに対して行った行為は,単なる生徒同士のいたずらやけんかにすぎず,また,一部の行為(「ウザイ」,「キモイ」,「死ね。」という発言等)は,A自身も行っていたことなどを理由に,本件生徒らは,違法と評価されるべき「いじめ」は行 る生徒同士のいたずらやけんかにすぎず,また,一部の行為(「ウザイ」,「キモイ」,「死ね。」という発言等)は,A自身も行っていたことなどを理由に,本件生徒らは,違法と評価されるべき「いじめ」は行っていないなどと主張する。 しかし,被告らが主張するように,Aが本件6名やその他の生徒らに「ウザイ」,「キモイ」,「死ね。」などと言ったり,S3の机にチョークをまき,いすに画鋲を置いたことなどがあったと しても,本件では,加害行為を行ったのは6人の集団で,本件クラスの女子生徒の約半数であったのに対し,標的はA1人であり,これらの悪質かつ陰湿な行為が約半年にもわたって継続的に行われたこと,少なくともその後半においては,立場の互換性が失われていたことなどからすると,仮にAの言動に触発されて行われた行為があったり,個々の行為に対してAがやり返したことがあったりしたとしても,前記認定の本件6名の行為は,生徒同士のいたずらやけんかで違法性がないと評価することは到底できないものである。また,仮に,本件6名において,その当時,「いじめ」という認識がなかったとしても,「いじめ」であるか否かの判断は,少なくとも学校や教員が行うべき対応を検討し,対応として行われた行為を評価する場面においては,行われた客観的行為及びそれが行われた状況に基づいて,当該行為を受けた児童生徒の立場に立って行うべきものであるから,上記判断を左右するものではない。 したがって,この点に関する被告らの主張は理由がない。 3 Aの解離性同一性障害罹患及び本件自死に対する被告らの責任について(1) 学校を運営する法人は,在学契約に基づく義務として,学校において,生徒を教育する責務を負い,生徒に対し,必要とされる学科について形式的に授業を実施するだけではなく,生徒が実質的に ついて(1) 学校を運営する法人は,在学契約に基づく義務として,学校において,生徒を教育する責務を負い,生徒に対し,必要とされる学科について形式的に授業を実施するだけではなく,生徒が実質的に学科の教育を受けることのできる人的・物的環境を整え,学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係における生徒の生命,身体,精神等の安全を確保し,これらに危害が及ぶおそれがあるような場合には,危害の現実化を未然に防止し,生徒が安心して教育を受けることができるように,その事態に応じ た適切な措置を講ずる一般的な義務がある。また,上記義務について,学校を運営する法人の理事長は,法人に代わって事業を監督する者として,校長や所属の教員を監督する義務を負い,学校の校長は,同様に所属の教員を監督する義務を負い,教員は,その担当する職務に応じて上記義務を具体的に履行する義務を負うものであり,被告らがそれぞれ上記のような義務を負っていることは,教育基本法,学校教育法等の趣旨からも明らかである。 そして,証拠(乙29,丙13~15,Y2)及び弁論の全趣旨によれば,平成14年度当時,いじめに関する新聞やテレビの報道等によって,学校内におけるいたずらや悪ふざけと称して行われている児童や生徒同士のやり取りを原因として,中学生等が自死に至った事件が続発していることが既に周知されており,中学生等がいじめを契機として精神疾患や自死等に至るおそれがあることは,公知の事実であったというべきであり,いわゆる学校関係者である被告らがこのような事実を知らないはずはなく,仮に知らなかったとすれば,それ自体,学校関係者としての責任の自覚が欠落していたことを示すものといわざるを得ない。 また,被告学園においては,平成14年度当時,いじめ問題等が起こった場合のマニュ 仮に知らなかったとすれば,それ自体,学校関係者としての責任の自覚が欠落していたことを示すものといわざるを得ない。 また,被告学園においては,平成14年度当時,いじめ問題等が起こった場合のマニュアル(乙28)は作成されていなかったものの,いじめ問題等の生徒間のトラブルが起こった場合,担任教諭から,月に1回程度開かれる学年会(なお,学年会には校長は出席しない。)に報告し,指導方法について協議することとなっており,場合によっては,中学校担当副校長(平成14年12月まではQ,平成15年1月からはR)に報告し,さらに校長(被告Y2)に報告し,最終的には理事長(被告Y1)にまで報告することとなっていたこと,被告学園は,平成14年度の男女共学 化に先立つ平成12年ないし13年ころ,生徒指導をテーマとする職員研修(全ての教諭の参加が義務づけられていた。)が実施され,生徒指導に関する諸問題の一つとして,いじめ問題に関する研修が行われており,平成14年度の初めにも,教員会議の席上,被告Y2から,被告Y3を含む各教員に対し,生徒指導に関する説明,指導が行われており,その中で,いじめ問題が発生した場合における対処方法についても言及されていたことが認められる。 したがって,被告らとしては,生徒間でトラブルが発生し,あるいは生徒や生徒の保護者等からトラブルについての連絡を受けるなどした場合,その都度,当該トラブルに関係した者を呼び,事情を聞き,注意をするという指導に加え,状況に応じた適切な措置を講ずべき義務があったというべきである。 具体的には,状況に応じ,①トラブルに関係した生徒及びその保護者等からの情報収集等を通じて,事実関係の把握を正確かつ迅速に行う,②現場の教員の目の届かないところでいじめが行われるのを避けるために,トラブルの当事 況に応じ,①トラブルに関係した生徒及びその保護者等からの情報収集等を通じて,事実関係の把握を正確かつ迅速に行う,②現場の教員の目の届かないところでいじめが行われるのを避けるために,トラブルの当事者以外の生徒からも事情を聞くなどしてその実態を的確に把握する,③加害者側の生徒に対し,生徒間での行為でも,いたずらや悪ふざけに名を借りた悪質で見過ごし難いものであり,時として重大な結果が生じるおそれがあることを認識,理解させ,直ちにやめるように厳重な指導を継続する,④いじめについてのアンケート調査を実施したり,道徳の時間やホームルームの時間にいじめの問題を取り上げ,クラスでの討論,発表等を通じて,クラスの生徒全体にいじめに対する指導を行う,⑤生徒間でのトラブルについて,学年会に報告し,学年会で指導方法について協議して,複数の教員と意見を交換し たりするなど教員相互間の共通理解を図って共同で指導に当たったり,中学校担当副校長や校長に報告して指示を仰ぎ,組織的対応を取るなどの義務があったというべきである。 (2) 本件6名のAに対する行為は,前記1(1)ウ(カ)のとおり,平成14年の9月ころから平成15年3月20日まで継続的に行われており,前記1(1)イ(オ),ウ(ア),(イ),(キ)ないし(サ)のとおり,被告Y3は,もともとAについて,自己主張の強い性格であり,クラスメイトとのトラブルが多い生徒と認識していた上,原告は,遅くとも平成14年10月以降平成15年3月まで,何度も,被告Y3に対し,Aの靴に画鋲が入れられた件などAが本件6名から受けた行為について電話で連絡し,対応を依頼しており,A自身も,直接被告Y3に,靴に画鋲が入れられたことなどを報告して,対応を求めていたのであるし,原告は,被告Y1に対しても,平成14年10月18 受けた行為について電話で連絡し,対応を依頼しており,A自身も,直接被告Y3に,靴に画鋲が入れられたことなどを報告して,対応を求めていたのであるし,原告は,被告Y1に対しても,平成14年10月18日,Aが他の生徒からいじめを受けていること等を伝えて,対応を求めていたのである。 以上の事実からすると,被告らは,平成14年10月以降,その各時期に本件6名が行っていたAに対する前記1(1)ウ(カ)認定の各行為,特に平成15年1月以降は,Aの靴に画鋲が入れられるなど,Aに対して行われた悪質な行為を認識していたか,少なくとも認識することが十分に可能であったし,Aに対する本件6名の行為が継続するのを放置した場合には,Aの精神的負担が累積,増大し,Aの心身に大きなダメージが生じるほか,場合によっては自死という結果を招くおそれがあることを予見することも十分可能であったというべきである。 (3) ところが,以上の認定事実に証拠(甲95,103,証人S1,同S4,同S2,同S5,同S3,同S6,同S7)及び弁論の 全趣旨を総合すると,被告Y3が,Aと本件6名との間で行った指導としては,S3がAの机にチョークの粉をまき,いすに画鋲を置いた際に,S3とAの双方を別々に職員室に呼んで注意を与えたことのほかには,一般的に,いじめはよくないとクラス全体に話したことが認められるのみであって,その他,被告Y3が,Aに対する本件6名の行為について,Aや原告からのより詳細な事情聴取を行ったり,当事者と考えられる者の事情聴取を行ったり,男子生徒を含めた本件クラスの生徒全体に対する事情聴取を行ったり,いじめについてのアンケート調査を行ったり,Aと他の生徒らとの関係について継続的に注意深く観察したり,クラスでの討論,発表を通じて本件クラス全体にいじめに対する指 徒全体に対する事情聴取を行ったり,いじめについてのアンケート調査を行ったり,Aと他の生徒らとの関係について継続的に注意深く観察したり,クラスでの討論,発表を通じて本件クラス全体にいじめに対する指導をしたり,学年会に報告したり,被告Y2や中学校担当副校長に報告したりした等の事実はいずれも認めることができない。そして,前記1(1)エ(ア)のとおり,被告Y3自身も,本件手紙に「私もAさんの力になることが出来ずに,嫌な思いばかりさせて大変申し訳なく思っております。本当にごめんなさい。」などと記載しているように,本件6名の行為に対して必要な措置を講じていなかったと認識していることは明らかである。なお,上記の点について,別件Y3陳述書(甲103)には,「すぐさまその生徒を呼び出し,いたずらをした事情を聴取し指導した。」との記載があるが,本件生徒ら(ただし,証人尋問が行われなかったS8を除く。)は,いずれも,前記1(1)ウ(ウ)のS3とAとのやり取りについてのほかは,Aに対するいじめやいたずらについて,本件生徒らが被告Y3から呼び出されて個別に聞かれたり,指導を受けたりしたことは一切ないと明確に証言しているし,平成15年9月18日の原告とS1との電話(甲10)においても,原告から, 被告Y3からの注意や指導を受けたことがあるか聞かれたのに対し,S1は,「それはなかった。」と述べるなどしており,これらの証拠に反する別件Y3陳述書の上記記載部分は,S3とAとの上記やり取りについて指導したことを除き,採用できない。 特に,被告Y3は,前記1(1)ウ(コ)のとおり,Aの靴に画鋲が入れられた件について,Aから直接申告を受けているのに,「画鋲は学校の備品だからもらっておく。」などと述べて画鋲を受け取るのみで具体的な対応をしなかったのであり, )ウ(コ)のとおり,Aの靴に画鋲が入れられた件について,Aから直接申告を受けているのに,「画鋲は学校の備品だからもらっておく。」などと述べて画鋲を受け取るのみで具体的な対応をしなかったのであり,このような被告Y3の対応は,極めて不誠実であって,いじめに対する適切な措置を講ずる義務に著しく反したものといわざるを得ない。この点について,被告Y3は,平成16年3月28日の原告との電話での会話の際,「ただ画鋲をやったのが誰かということが特定できなかった。」などと述べている(前記1(1)エ(オ))が,生徒が特定できないとしても,靴に画鋲を入れられるというのは健全な生徒同士の関係では想定しがたい事態で,いじめそのものというべきものであるし,さらには背後にあるその他のいじめの存在を窺わせるものであり,しかも,担任教諭である被告Y3に対し,被害者本人であるAが助けを求めているのだから,被告Y3としては,犯人が特定できないからといってこれを放置するのではなく,Aの言い分をさらに具体的に聞き,本件クラスの生徒らに事情を聴取するなど,具体的な措置を講ずる義務があったのであり,被告Y3がこのような対応を取らなかったことは,被告Y3がいじめに対して何らの取組みも行わなかったことを如実に示すものであり,本件クラスの担任教諭及び中学1年全体の主任の対応として,極めて不十分なものであったことは明らかである。 (4) 被告Y1は,前記(1)のとおり,被告学園の理事長であり,平成 14年度当時,Y中学におけるいじめ等の生徒間のトラブルについては,問題があれば担任教諭から学年会を通じて校長に報告がされ,最終的には理事長である被告Y1に報告されることとなっていたのであって,被告Y1は,実質的にも被告Y2及び被告Y3を監督すべき立場にあったということができ 任教諭から学年会を通じて校長に報告がされ,最終的には理事長である被告Y1に報告されることとなっていたのであって,被告Y1は,実質的にも被告Y2及び被告Y3を監督すべき立場にあったということができ,しかも,前記1(1)ウ(ク)のとおり,被告Y1は,平成14年10月18日,直接原告から,Aと本件6名とのトラブルについて報告を受け,対応を求められていたのであるから,Aに対して行われている行為を調査させて,Y中学全体として組織的対応を取るよう,校長(被告Y2)や中学校担当副校長に指示するなどの措置を講ずることは容易であったというべきである。しかし,被告Y1が,被告Y2等に対して調査等を指示したなどの事実を認めることはできないのである。なお,別件訴訟において,被告Y1は,原告からAのいじめについて報告を受けた後,校長等に確認したなどと供述するが,仮に被告Y1が被告Y2等に確認をしたのなら,当然被告Y2から被告Y3に事実の確認がされるはずであるが,本件ではそのような事実は窺われず,むしろ,被告Y2は,平成14年度当時,被告Y1からこの件について報告を求められたことは一切なかったと供述しているし,被告Y1が,原告から対応を求められたことについて,その後具体的に何らかの措置が講じられた事実がないことからしても,被告Y1の別件訴訟における供述は,採用できないというべきである。 (5) 被告Y2は,前記(1)のとおり,Y中学の校長であり,平成14年度当時,生徒間でいじめ等のトラブルが起こった際には,担任から,学年会に報告され,学年会で指導方法について協議し,場合によっては,校長(被告Y2)に報告することとなっており, 平成14年度の初めには,教員会議の席上,被告Y2から,生徒指導に関する説明,指導が行われ,その中で,いじめ問題が発生 議し,場合によっては,校長(被告Y2)に報告することとなっており, 平成14年度の初めには,教員会議の席上,被告Y2から,生徒指導に関する説明,指導が行われ,その中で,いじめ問題が発生した場合における対処方法についても言及されていたのであって,被告Y2は,実質的にも被告Y3ら現場の教員を監督すべき地位にあったということができる。 しかし,Aが本件6名から受けた行為について,被告Y2が,被告Y3から報告を受けたり,被告Y1から調査の指示を受けるなどして,被告Y3に報告を求めるなどの措置を講じたことは全く認めることができないのであり,被告Y2は,本件6名の行為について,その事実のみならず,原告が問題としていることさえ全く把握できておらず,行うべき措置を全く講じなかったのである。 (6) 以上のとおり,本件クラスの担任教諭である被告Y3は,前記1(1)ウ(カ)の本件6名の行為について,原告及びAからの連絡等によってこれを認識しながら,何らの対応も行うことなく,学年会や被告Y2への報告もしていなかったし,被告Y1も,原告からの報告等があったのに,被告Y2に対する調査の指示等も全く行っておらず,被告Y2は,原告が問題としていることさえ把握していなかったのであって,被告学園が,前記(1)の学校(Y中学)を運営する法人としての生徒(A)に対する義務を果たさなかったこと,その余の被告らも,前記(1)の義務を果たさなかったことは明らかであるから,被告学園には,前記(1)の義務違反が認められ,これは債務不履行であるとともに,不法行為と評価できるものであり,被告Y3の対応も,不法行為と評価できるものであり,被告Y1及び被告Y2は,被告Y3の行為について使用者である被告学園に代わって事業を監督する者としての責任を負うものである。 ものであり,被告Y3の対応も,不法行為と評価できるものであり,被告Y1及び被告Y2は,被告Y3の行為について使用者である被告学園に代わって事業を監督する者としての責任を負うものである。 (7) そして,証拠(甲33~39,52,53,113,乙31,証人医師③,原告本人)によれば,Aは,遅くとも平成16年2月16日以降,解離性同一性障害の診断基準として一般的である,「DSM― Ⅳ―TR」の基準を満たす,解離性同一性障害の状態にあったこと,強い外傷体験を受けた場合,時間が経過してから解離症状が出現することも珍しくなく,むしろ,外傷体験が大きければ,その分不安や恐怖が大きくなるため,解離症状が出現するのに時間がかかる場合があること,さらに,Aは,Y中学在学中から,自分が本件6名からいじめられているときに,その場所にいるのではなく,その光景をビデオカメラを通して見ているような感覚を持っていたもので,病的な解離の初期状態にあったことが認められるし,Aは,G中学に転入後,平成15年12月9日には,医師①により「偏頭痛 PTSD」と診断され,同日付け診断書(甲8)に,「9月初めより,腹痛,吐き気,パニック障害様の症状,離人症様も出現した。通常の学校にて,教室内や集団内で上記症状が出現し,恐怖感を伴った。以前受けたいじめによるPTSDが考えられる。」などと記載される状況にあったことが認められ,その後,これが悪化する経過をたどったものであるから,本件6名の行為と,それに対して被告Y3等,被告学園の関係者が何らの対応も行わず,放置したことによって,Aが解離性障害を発症し,その後解離性同一性障害に罹患し,本件自死に至ったことは明らかであり,被告らにおいて,平成14年10月以降,本件6名に対する適切な措置を講じていれば,その後の本 によって,Aが解離性障害を発症し,その後解離性同一性障害に罹患し,本件自死に至ったことは明らかであり,被告らにおいて,平成14年10月以降,本件6名に対する適切な措置を講じていれば,その後の本件6名による行為の続発を阻止することができ,Aが絶望感を持つこともなく,解離性同一性障害に罹患し,本件自死に至ることもなかったと認められる。また,被告らにAの解離性同一性 障害罹患及び本件自死の予見可能性があったことは前記(2)のとおりである。 したがって,被告らの義務違反等と,Aの解離性同一性障害罹患及び本件自死との間には,相当因果関係があるというべきである。 (8) なお,被告らは,本件生徒らがAをいじめた事実はなく,被告らがAに対するいじめを放置した事実は存在しないから,被告らは不法行為責任等を負わないなどと主張するが,本件6名の行為が単なるいたずらの程度を超えており,優に違法性を肯定することができることは,前述のとおり明らかであるし,被告らが,Aに対する本件6名の行為を,いじめではなく単なるいたずらと認識していたのだとすれば,それ自体被告らのいじめ問題に対する認識及び対応の不十分さを示すものでしかない。 また,被告らは,Aが解離性同一性障害に罹患し,自死したのは,Y中学時代の出来事が原因ではなく,特にY中学を転出してからのAの学校生活,家庭環境,友人関係等の各場面における体験等による精神的ストレスに原因があると主張する。 確かに,前記1(1)エ(イ),(ウ)及びオ(イ)に認定の各事実からすると,Aは,Y中学転出後も,各学校や児童劇団等において,同世代の友人との対立やトラブルを抱えていたこと,原告とも必ずしも常時良好な関係にあったわけではないこと,容姿について思い悩むことがあったことなどが窺われ,これらの体験が,Aにと 童劇団等において,同世代の友人との対立やトラブルを抱えていたこと,原告とも必ずしも常時良好な関係にあったわけではないこと,容姿について思い悩むことがあったことなどが窺われ,これらの体験が,Aにとって精神的ストレスとなっていたことが推測される。 しかし,これらの悩みやトラブルは,思春期の生徒であれば多かれ少なかれ抱えている悩みやトラブルというべきであって,これらの悩みやトラブルをAが抱えていたからといって,ただちに被告らの前記(1)ないし(6)の義務違反と,Aの解離性同一性障害罹 患及び本件自死との間の因果関係を否定するものとはならないし,そもそも,本件では前記(7)のとおり,Aは,Y中学在学当時から,既に病的な解離の初期状態にあったこと等が認められるのであるから,AのY中学転出後の学校生活等によって解離性同一性障害に罹患したとはいえないのであって,Aは,Y中学時代の本件6名による行為及びこれについての被告Y3の放置等を原因として解離性障害を発症し,その後解離性同一性障害に罹患して本件自死に至ったことが優に認められるものである。 また,被告らは,Aが自死したのは平成18年8月で,Y中学を転出してから3年以上経過した後であることなどから,Aが自死することについては全く予見不可能であったなどと主張する。 しかし,Aに重大な精神的苦痛が増大して蓄積し,場合によっては自死に至ることも十分予見可能であったことは前記(2)のとおりであり,この点についての被告らの主張も理由がない。 (9) 以上によれば,本件6名の行為及びこれを被告Y3が放置したこと等によってAが解離性同一性障害に罹患し,本件自死に至ったことについて,被告学園は,債務不履行及び不法行為責任(民法415条,709条,715条1項)を負い,被告Y1,被告Y2及び被告 置したこと等によってAが解離性同一性障害に罹患し,本件自死に至ったことについて,被告学園は,債務不履行及び不法行為責任(民法415条,709条,715条1項)を負い,被告Y1,被告Y2及び被告Y3は,それぞれ不法行為責任(被告Y1及び被告Y2につき民法715条2項,被告Y3につき民法709条)を負い,被告らは,連帯して損害賠償責任を負うというべきである。 4 Aの解離性同一性障害罹患及び本件自死による損害について(1) Aに生じた損害ア逸失利益Aは,本件自死(平成18年)当時16歳の高等学校在学中の女子であったから,その逸失利益は,賃金センサス平成18年産 業計・企業規模計・女子労働者・学歴計・全年齢平均年収額343万2500円を基礎とし,生活費控除率を30パーセント,就労可能期間を18歳から67歳までの49年間として,その間の中間利息をライプニッツ方式により控除して算出するのが相当であり,次式のとおり3959万6358円となる。 3432500×(1-0.3)×(18.3390-1.8594)=39596358イ慰謝料本件6名の行為について,被告らが適切な措置を講ずることなく放置したことに対するAの絶望感,解離性同一性障害罹患による長期間の闘病生活と,別の学校にも適応できないことへの焦り,未だ高等学校2年で本件自死という自らの命を絶つ方法を選択せざるを得なかった無念さなど一切の事情を考慮すると,Aの精神的苦痛は極めて大きなものであると認められ,その慰謝料としては,解離性同一性障害罹患までにつき500万円,本件自死につき1700万円(合計2200万円)が相当である。 (2) 原告に生じた損害ア治療費証拠(甲121~126)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,本件6名及び被告らの行為によるA 本件自死につき1700万円(合計2200万円)が相当である。 (2) 原告に生じた損害ア治療費証拠(甲121~126)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,本件6名及び被告らの行為によるAの解離性同一性障害等の治療のため,以下の①ないし⑥の合計27万5330円を負担したことが認められる。 ① H1センター 3万8070円② ドラッグストアN1店 5万1790円③ H2病院 5450円④ H3病院 6万9380円⑤ N2薬局 6530円 ⑥ H4病院 10万4110円イ葬儀費用Aの葬儀費用(253万1940円。甲127)のうち,150万円が相当因果関係のある損害と認められる。 ウ慰謝料原告が,Aの解離性同一性障害罹患等によりAとともに苦しみ,その治療について,Aとともにあるいは原告単独で通院するなどして病状の改善に努めていたこと,原告が,未だ高等学校2年の一人娘であるAを本件自死により失った無念さ,原告自身,本件自死後,「悲嘆反応」と診断され,現在も通院を続けていること(甲114~118,証人医師③)など一切の事情を考慮すると,原告自身の精神的苦痛も多大なものであると認められ,その慰謝料としては,Aの解離性同一性障害罹患につき100万円,本件自死につき300万円(合計400万円)が相当である。 5 寄与度減額及び過失相殺について(1) 被告らは,Aが解離性同一性障害に罹患し本件自死に至ったのは,Y中学転出後の学校生活や家庭環境等も原因であるから,公平の見地から,相当額の寄与度減額がされるべきである旨主張する。 しかし,前記3(8)のとおり,Aが,Y中 障害に罹患し本件自死に至ったのは,Y中学転出後の学校生活や家庭環境等も原因であるから,公平の見地から,相当額の寄与度減額がされるべきである旨主張する。 しかし,前記3(8)のとおり,Aが,Y中学転出後,各学校や児童劇団等において悩みやトラブル等を抱えていたり,原告とも必ずしも常時良好な関係にあったわけではなかったとしても,これらの悩みやトラブルは,思春期の生徒であれば多かれ少なかれ抱えているものであり,解離性同一性障害罹患や本件自死に与えた影響としては,極めて軽微なものというべきであり,前述のとおり,本件6名の行為や被告らの義務違反行為が決定的要因となっ ていることからしても,寄与度減額をすることは相当と認められない。 したがって,この点に関する被告らの主張は理由がない。 (2) 原告は,Aの母であり親権者であって,Aの監護養育について,責任を有しているところ,前記1(1)オ(ア)のとおり,Aは,平成18年夏ころ,大量服薬やリストカットを何度も試みるなど,特に自殺願望が強く,自死する危険性が極めて高い状況であったことが認められ,Aは,自殺防止のために同年7月12日,H3病院に入院し,同月19日,退院したことが認められる。 このような状況においては,原告は,Aが自死という衝動的な行動に出ないように,その動静を監視し,精神の安定をはかって自死を防止する義務を負っていたということができる。ところが,前記1(1)オ(ウ)のとおり,原告は,平成18年8月17日から,監護できる者をつけずにAを原告宅に1人で置いたままH5病院に検査入院してしまったものであり,上記義務を十分に果たさなかったことは明らかである。なお,この点について,原告は,Aが1人でいても大丈夫であると述べたことから安心して付き添わせなかったなどと供述している 院してしまったものであり,上記義務を十分に果たさなかったことは明らかである。なお,この点について,原告は,Aが1人でいても大丈夫であると述べたことから安心して付き添わせなかったなどと供述しているが,仮にAからそのような発言があったとしても,上記のとおり,Aはその当時自殺未遂を繰り返し,原告はこれを認識していたのであるから,Aの意思にかかわらず,Aの動静を監視し,精神の安定をはかって自死を防止できる者を付き添わせるべきであったのである。 したがって,原告の上記対応は,Aの本件自死について一定の過失があるというべきであり,本件自死が,AのY中学転出から3年以上経過し,専ら原告が監護養育する中で生じたものであることからすると,被害者側の過失割合を7割とするのが相当である。 (3) 以上の点を考慮すると,Aに生じた損害のうち,4(1)アの3959万6358円(逸失利益)及び同イのうち1700万円(本件自死についての慰謝料)の合計である5659万6358円及び原告に生じた損害のうち,4(2)イの150万円(葬儀費用)及び同ウのうち300万円(本件自死についての慰謝料)の合計である450万円については,それぞれ7割を減じ,同減額後の損害額は,それぞれ,1697万8907円(Aに生じた損害)及び135万円(原告に生じた損害)となる(なお,前記(2)のとおり,過失相殺の対象は,本件自死に対するものであるから,前記4(1),(2)の損害のうち,本件自死より前の解離性同一性障害罹患等についての慰謝料(Aにつき500万円,原告につき100万円)及び治療費等(27万5330円)は,これを過失相殺の対象とすることはできない。)。 したがって,Aの損害は,過失相殺後の1697万8907円と,前記3(1)イのうちAの解離性同一性障害罹患等に対 及び治療費等(27万5330円)は,これを過失相殺の対象とすることはできない。)。 したがって,Aの損害は,過失相殺後の1697万8907円と,前記3(1)イのうちAの解離性同一性障害罹患等に対する慰謝料である500万円との合計2197万8907円となり,原告の損害は,過失相殺後の135万円,同ウのうちAの解離性同一性障害罹患に対する慰謝料である100万円及び治療費等27万5330円の合計262万5330円となる。 6 被告らが原告に賠償すべき損害(1) 原告は,Aが被告らに対して有する2197万8907円の2分の1である1098万9453円の損害賠償請求権を相続した。 したがって,原告は,被告らに対し,Aから相続した1098万9453円及び原告に生じた262万5330円(合計1361万4783円)の損害賠償請求権を有しており,本件訴訟の内容,審理経過等諸般の事情を考慮すると,弁護士費用は130万 円が相当である。 (2) 以上によれば,被告らは,原告に対し,合計1491万4783円(Aから相続した1098万9453円,原告に生じた262万5330円及び弁護士費用130万円)並びにこれに対するAが死亡した平成18年8月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務がある。 7 原告に対する被告らの対応についての不法行為責任について(1) 原告は,前記3の被告らの責任とは別に,各被告に対して,主に本件自死後に,被告らが,原告に対し,本件生徒らのAへのいじめを否定したり,原告の申入れや面談を拒否したりなどする言動等によって精神的苦痛を被ったなどとして,被告らに対し,それぞれ100万円の慰謝料及びこれに対する遅延損害金の支払を求めている。 (2) ところで,前記1(1)カのとおり,原告と被 りなどする言動等によって精神的苦痛を被ったなどとして,被告らに対し,それぞれ100万円の慰謝料及びこれに対する遅延損害金の支払を求めている。 (2) ところで,前記1(1)カのとおり,原告と被告学園との間には,Aの本件自死より前の平成16年から別件訴訟が係属しており,しかも,別件訴訟においては,争点に関連する事実として,Aに対するいじめの事実等が争われていたことが認められる。すなわち,少なくとも平成16年以降,原告と被告学園及びその関係者であるその余の被告らとは,Aに対するいじめの有無について,既に紛争当事者ないしそれに準ずる関係にあったというべきである。 そして,原告自身,前記1(1)エ(オ)のとおり,平成16年2月20日及び同年3月28日の原告と被告Y3との電話を録音し,前記1(1)キ(オ)のとおり,平成20年5月20日の原告と被告Y2,被告Y3及びRとの面談においても,訴訟等への利用に備えて録音を行うなどしているのである。 (3) このように,紛争当事者ないしそれに準ずる関係にあった者が,相手方に対し,その主張事由や見解を否定し,自己の見解を表明し,申入れや面談を拒否したりしたとしても,特段の事情がない限り違法と評価されるものではなく,原告がAの本件自死後の被告らの行為として主張するところは,いずれもそれ自体不法行為を構成するものではないというべきである。 (4) また,被告Y1が,前記1(1)ウ(ク)のとおり平成14年10月18日に原告に対して行った発言等,AのY中学在学中の行為については,本件においては,Aの解離性同一性障害罹患及び本件自死に対する被告らの責任を生じさせる行為の一つ(監督義務を果たしていないことなどを示すもの)として考慮されているものであるから,これとは別に独立の不法行為を構成するも 解離性同一性障害罹患及び本件自死に対する被告らの責任を生じさせる行為の一つ(監督義務を果たしていないことなどを示すもの)として考慮されているものであるから,これとは別に独立の不法行為を構成するものではないというべきである。以上によれば,前記の原告の請求はいずれも理由がない。 第4 結論 よって,原告の請求は,被告らに対し,連帯して1491万4783円及びこれに対する平成18年8月18日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があり,その余はいずれも理由がなく,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第8部 裁判長裁判官長谷川恭弘 裁判官中畑章生 裁判官堀田次郎は転官のため署名押印することができない。 裁判長裁判官長谷川恭弘
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