平成24(わ)896 詐欺

裁判年月日・裁判所
平成25年7月9日 神戸地方裁判所
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判決文本文9,688 文字)

平成25年7月9日宣告平成24年第896号                             主              文        被告人を懲役3年6月に処する。        未決勾留日数中130日をその刑に算入する。        訴訟費用は被告人に負担させる。                            理              由罪となるべき事実  被告人は,,,,, ,及び と共謀の上,故意に交通事故を作出して保険金支払名下に金員を詐取しようと企て,平成20年5月14日午後11時30分頃,兵庫県明石市丁目 番 号先路上で,真実は, ,及び が同乗する所有の普通乗用自動車(軽四)を が運転し, が同乗し が運転する 所有の普通乗用自動車に故意に衝突させたのに, が,及び を同乗させて 所有車両を運転中に, 及び が同乗する 運転車両に追突したとの虚偽の交通事故を起こしたとして,急激かつ偶然な交通事故により, ,, ,, 及び がそれぞれ負傷し,両車両が共に損傷したように装い,第1 別表1~6(省略)記載のとおり,同年5月22日頃から平成22年3月23日頃までの間,88回にわたり,, ,, ,, 及び において, 所有車両について, が自動車保険契約(任意保険)を締結していた 保険株式会社の サービスセンター(現・ サービスセンター,神戸市 区 通 丁目 , ,, 及び において, 所有車両について, が自動車保険契約(任意保険)を締結していた 保険株式会社の サービスセンター(現・ サービスセンター,神戸市 区 通 丁目 番 号所在)等に対し,直接又は情を知らない病院事務員らを介するなどして,急激かつ偶然な前記交通事故により損害が生じた旨の内容虚偽の事実を記載した自動車保険金請求書,診療報酬明細書等を提出し,上記保険契約に係る人身傷害補償保険等の支払を請求し,上記センター職員らに,急激かつ偶然な交通事故により ,, ,, 及び にそれぞれ損害が生じたものと誤信させて保険金の支払手続をさせ,よって,平成20年6月4日頃から平成22年3月30日頃までの間,上記会社から株式会社 銀行 支店(兵庫県三木市所在)に開設された 名義の普通預金口座等に合計1219万3741円の振込入金を受け,第2 別表7~9(省略)記載のとおり,平成20年7月14日頃から同年10月8日頃までの間,13回にわたり,, 及び において, 所有車両について, が自動車保険契約(任意保険)を締結していた 保険株式会社の 課(兵庫県明石市j町k丁目 番 号所在)に対し,直接又は情を知らない病院事務員らを介するなどして,急激かつ偶然な前記交通事故により損害が生じた旨の内容虚偽の事実を記載した自動車保険金請求書等を提出し,上記保険契約に係る人身傷害補償保険等の支払を請求し,上記 課職員らに,急激かつ偶然な交通事故により, 及び にそれぞれ損害が生じたものと誤信させて保険金の支払手続をさせ,よって,平成20年7月29日頃から同年10月16日頃までの間,上記会社から前記第1の口座等に合計381万5057円の振込入金を受け,第3 平成21年9月3日頃, 信させて保険金の支払手続をさせ,よって,平成20年7月29日頃から同年10月16日頃までの間,上記会社から前記第1の口座等に合計381万5057円の振込入金を受け,第3 平成21年9月3日頃, において, 所有車両について, が自動車保険契約(自動車損害賠償責任保険)を締結していた! 保険株式会社の" お支払センター(大阪市# 区$% 丁目& 番' 号所在)に対し,直接又は情を知らない事務員らを介するなどして,急激かつ偶然な前記交通事故により損害が生じた旨の内容虚偽の事実を記載した自動車損害賠償責任保険支払請求書兼支払指図書等を提出し,上記保険契約に係る後遺障害保険の支払を請求し,上記センター( らに,急激かつ偶然な交通事故により に損害が生じたものと誤信させて保険金の支払手続をさせ,よって,同年10月5日頃,上記会社から前記 銀行 支店に開設された の代理人である) 名義の普通預金口座に75万円の振込入金を受け,もってそれぞれ人を欺いて財物を交付させた。証拠の標目省略 事実認定の補足説明 1 判示の各事実について,被告人は,自分は全く関与していない旨公判廷で供述*し,主任弁護人(以下,単に「弁護人」という。)も無罪主張をするので,検討すると,本件で人証調べをした,共犯者の一部とされている 及びは,共に,被告人から本件詐欺の話を持ちかけられ被告人の主導で本件が実行された旨の具体的な証言をしている(すなわち,大要, は,本件前に自分が行った偽装事故による保険金詐欺〔休業損害に係る詐取を主体とするもの〕の話を被告人にしたが,被告人から,ばれる確率が高い,別にもっといい手段があるなどと言われていたところ,平成20年2月頃,被告人から電話で,偽装事故による保険金詐欺をやるかと誘われ,すぐに るもの〕の話を被告人にしたが,被告人から,ばれる確率が高い,別にもっといい手段があるなどと言われていたところ,平成20年2月頃,被告人から電話で,偽装事故による保険金詐欺をやるかと誘われ,すぐにこれに乗った,その後,被告人の知り合いの行政書士を通じて傷害保険のことを詳しく聞き,また,自分の取り分は300万円が欲しいと伝えるなどした,そして,被告人からの指示に従って,自分が詐欺に誘った, と共に,複数の保険に加入するなどしていたところ,本件の数日前頃に,被告人から偽装事故を同年5月14日の夜に実行する旨の連絡を受けた,その後,被告人の指示を受けて同日の午後10時頃に被告人の経営する板金塗装店に,と一緒に集合すると,被告人と がおり,自分は被告人に言われて被告人の運転する車に乗り,自分が乗ってきた車は が運転し( は助手席), が1人で車を運転して,この3台の車が同店を出た後,被告人の指示・主導で本件偽装事故が実行された,詐取金は後日,被告人に言われて自分らの取り分を除いたものを5回に分けて被告人に手渡した,などと証言し,また,は,同年3月頃,被告人から偽装事故による保険金詐欺に加わる人を探していると言われ,すぐに返事はしなかったが,自分の役割は車に乗っているだけだと言われるなどするうち,本件に近い頃に詐欺に加わる旨被告人に伝え,その頃自分の分け前は受け取った保険金の4割だとも言われた,その後,被告人から,自分の彼女の も一緒に加わってはどうかと言われ,自分と が+ ホテルの一室に案内されて,その中で保険金詐欺の詳しい話を聞かされた, はその翌日か翌々日に詐欺に加わる旨言ってきたので,被告人にその旨電話で伝え,本件の数日前頃,被告人から偽装事故を同年5月14日の夜に実行する旨の連絡を受けた,その後,被告人に指示 を聞かされた, はその翌日か翌々日に詐欺に加わる旨言ってきたので,被告人にその旨電話で伝え,本件の数日前頃,被告人から偽装事故を同年5月14日の夜に実行する旨の連絡を受けた,その後,被告人に指示さ,れ同日の夕方に明石駅前の- で被告人と待ち合わせをし,被告人の運転する車で焼鳥屋に連れていかれ,そこで と食事をした後,午後11時頃,同店の従業員でもあるに案内され同店を出て車に乗り込み,その後,本件偽装事故が実行された,詐取金は,自分と が受け取った保険金を被告人に手渡し,自分らの分け前を被告人から受け取った,などと証言している。)。  そこで,被告人が本件で有罪と認められるかどうかは,この両証言の信用性如何にかかるものである。 2 ところで,判示の偽装事故が起こされた数か月後に( 証言によれば平成20年9月25日頃で,被告人も特段これを争っていない。), が被告人に次頁の計算表(省略)(以下「本件計算表」という。)を渡した事実,及び,同計算表が何らかの偽装交通事故に関係するものであることは,共に証拠上明らかで,当事者間に争いもない。そして,本件を含む一連の偽装交通事故に絡んだ詐欺事件のすべてに関わった が,本件計算表に出てくる, と共に詐欺に及んだ事件は,本件以外になく, が同計算表を被告人に渡したという上記の時期等にも照らすと,同計算表中の各金額の正確性如何に関わらず,同計算表は本件の偽装交通事故に関するものであることが,比較的容易に認められる。本件計算表省略  この本件計算表について,被告人は, から自分の言うとおりに偽装交通事故を起こして保険金をだまし取れば300万円以上儲かるから被告人を含め3人の人間を用意するよう誘われた際,その儲け額の根拠資料として渡されたものであ ,被告人は, から自分の言うとおりに偽装交通事故を起こして保険金をだまし取れば300万円以上儲かるから被告人を含め3人の人間を用意するよう誘われた際,その儲け額の根拠資料として渡されたものである旨供述する。  しかし,被告人は,本件前に から,同人が平成18年に主導して犯した偽装交通事故による保険金詐欺の話を聞かされた際, の言っていた儲け額(150万円から200万円程度)が少なかったため,その程度の金額の儲けで警察に捕まるリスクを自分は負えないなどと話したというのである(「まあ,当時,そのと.きに彼が150万から200万もうけたと言ってはったんで,そんな程度の金で警察に追っ掛け回されて捕まるようなリスクを私はよう負わんと,そういう話をしました」,「どうせ捕まることを前提で,構わないのであれば,私やったら,8桁狙ってほかに保険を重複さしますって言いました」,「私が,もしするのであれば,捕まるリスクまで負うんであれば,言うたら,8桁のもうけを出すために,保険を,傷害保険,共済保険等,ほかの保険,生命保険,ほかにもいろいろあると思いますけど,要は,もらえる保険の数を増やして,1回の事故で大量にもらうっていう手口を,僕やったらしますというようなことを言いました」,「要は,150万ぐらいで自分の人生捨てれませんという話をしました」などと公判廷で供述している〔これらの供述については,被告人質問前の実施であったため具体的内容についての記憶の喚起等はされなかったものであるが 証言とも一部符合するほか,次に見る保険の重複の客観的事実にも照らし,信用性に格別疑いがない。〕。)。そうすると, が,その話に出ていた8桁(1千万円台)の利益には遠く及ばない300万円程度の利益の話を持ちかけるのは,被告人の思惑に明らかにそぐわな 実にも照らし,信用性に格別疑いがない。〕。)。そうすると, が,その話に出ていた8桁(1千万円台)の利益には遠く及ばない300万円程度の利益の話を持ちかけるのは,被告人の思惑に明らかにそぐわない( が,その当時,上記のような印象的で関心のある話を失念していたとも考えられない。)。  そして, が関わった7件の偽装交通事故による保険金詐欺のうち,時系列で3件目以降の事件では,被告人の上記の話に出ていた保険(傷害保険と共済)の重複をさせていたことが明らかであり,また,2件目となる本件でも,起訴分には含まれていない(従って客観証拠もすべて提出されている訳ではない)が,本件証拠中に預金口座への振込事実の裏付けが一部あって信用できる 証言によれば,上記と同様の保険の重複をさせていたことが認められ(例えば の預金口座には共済金〔/〕や傷害保険金〔0〕の各詐取金に係る振込があり〔甲3(省略)〕, の預金口座にも傷害保険金〔1〕の詐取金に係る振込がある〔同(省略)。〕,これらはまさに,被告人の話を受けた保険の重複の実践であることは,被告人も認めるところである。そうすると, が被告人を保険金詐欺の話に誘い込もうとし たというのであれば,保険(傷害保険と共済)の重複により高額の詐取金が得られた(得られる)ことを当然に示してしかるべきである(実際,本件では,傷害保険金と共済金分で, は合計306万5000円, は合計275万0383円, は合計136万1000円の各詐取金があったというのである〔 証言〕。)が,本件計算表は,何らそのような内容とはなっていない(前掲のとおり,傷害保険金として,,, の順に69万5000円,78万5000円,55万円の各金額が掲げられているに過ぎない。)。なお,本件計算表を が被告 らそのような内容とはなっていない(前掲のとおり,傷害保険金として,,, の順に69万5000円,78万5000円,55万円の各金額が掲げられているに過ぎない。)。なお,本件計算表を が被告人に渡したのは,各保険金や共済金が全部支払われる前であったことが認められるが,受領金の見込額を示すこともできたと思われる上に,そもそも が,そのような中途半端な段階の資料を使って被告人に保険金詐欺の話を持ちかけたということ自体,不自然さを免れないものといわねばならない。 3 一方, は,被告人に本件計算表を渡したのは,被告人との間で本件での自分の取り分が300万円と約束していたのに,被告人から,, と併せて3人分の取り分が300万円であると言われたため,自分の取り分はあくまで300万円が妥当であることを示すためであった旨証言するところ,その内容は,各人の取り分の金額の点を始め本件計算表の記載とも整合する,自然で合点のゆくものであるだけでなく, らが保険金等を一部しか受け取っていない段階で本件計算表を が被告人に示したことの理由や事情も極めて容易に理解できるものである。  弁護人は,本件計算表にその作成時点で生じていた種々の経費が記載されていない点を難詰し,それでは 自身の実際の手取りが少ないことを被告人に分からせることができず,何ら説得材料にはなっていない旨主張するが,まず,経費がどれだけかかっているかを示す必要があったなどというのは, が弁護人等の誘導尋問に対してこれを肯定したものであるにすぎず,本件計算表の中で支出の記載が果たしてどのような意味を持つのかについては慎重にみる必要がある。そして, 証言のほか,収支の計算結果が最後に示されている同計算表の体裁等によれば,同計算表を被告人に見せることの意味は,結局のと が果たしてどのような意味を持つのかについては慎重にみる必要がある。そして, 証言のほか,収支の計算結果が最後に示されている同計算表の体裁等によれば,同計算表を被告人に見せることの意味は,結局のところ, が300万円 の取り分を得ても取り過ぎでないことを被告人に示すことにあったと理解できるのであるから, らが合計435万円の取り分を得,さらに各保険掛金を差し引いても,本件計算表を示した時点で,既に175万円余りの余剰があることを被告人に示すことは,まさに被告人への説得材料となり得るものであって,むしろ上記の目的(余剰が出ることのアピール)からは,諸経費を余分に記載するだけの動機付けはなかったということができる。  また弁護人は,被告人が本件に関わっていたとすれば,客観的な犯罪の痕跡がない本件では,被告人が証拠が残らないよう注意を払っていたことになるから,本件計算表を処分しなかったはずがなく,ましてや共犯者らが次々と身柄拘束され起訴されてゆく中で同計算表を残していたはずがないなどとも主張するが,同計算表は,被告人が経営する職場内に残されていたものであり,そのような私的な場所までは神経質にならなかったというのもあり得ることであるし,またそうであれば,共犯者らが逮捕等された時点で本件は約4年も前のことであって被告人が本件計算表のことを忘れていたというのもあり得ることなどからすると,被告人が同計算表を残していたことが不自然とはいえない。 4 以上によれば, が被告人に本件計算表を渡した理由についての被告人の公判供述は信用できない一方, の証言は十分に信用でき,本件計算表は,被告人が本件に関わったことを前提に, からの申し出を受けて同人らの取り分についてのやり取りがあったこと(従って,被告人は本件の詐取金全体を把握・管 一方, の証言は十分に信用でき,本件計算表は,被告人が本件に関わったことを前提に, からの申し出を受けて同人らの取り分についてのやり取りがあったこと(従って,被告人は本件の詐取金全体を把握・管理する立場にあったものであること)を有力に裏付ける客観的証拠であるといえ,本件には全く関与していない旨の被告人の公判供述が信用できないのは既に明らかである。  そして,被告人が本件保険金詐欺を誘ってきて主導したことを述べる 証言の具体的な内容を見ても,おおむね自然で格別怪しむべき点はなく,このことは,上記と同旨を述べる証言についても同様であるし,両証言は,特に本件当日の時間の点を含む事実関係において極めて整合したものとなっており,相互に信用 性を補強しあっている(なお,は,自分の知っている共犯者の点等で逮捕された直後は事実でない供述をしていたことなどが認められるが,記憶の減退も当然にあり得ることなどからすれば,そのことにより被告人の関与・主導を述べる証言の根幹部分の信用性が揺らぐものではない。また, は,傷害保険の内容の詳細については被告人と詐欺の事情の通じた行政書士に教示を受けた旨証言し,この行政書士はその事実を否定しているところ,そもそも があえて同行政書士に不利益な証言をするだけの事情等は何ら見当たらない一方,同行政書士が上記事実を矮小化する動機は十分にあることなどからすると, の上記証言の信用性についても格別の疑義はない。)。 5 この両証言につき,弁護人は, が被告人に総額約955万円を渡したと証言し,も被告人に総額数百万円を渡したと証言しているのに,それら多額の金銭の流れを裏付ける証拠等が何もないことを指摘するが, 証言によれば,被告人は保険金を手渡しするよう言ってきたといい,1回当たりの も被告人に総額数百万円を渡したと証言しているのに,それら多額の金銭の流れを裏付ける証拠等が何もないことを指摘するが, 証言によれば,被告人は保険金を手渡しするよう言ってきたといい,1回当たりの手渡し金も高々二百万円余りであったという上,本件が平成20年の事件であり捜査着手の時点で既に時を経ていることからすると,被告人に手渡しされた後の金の流れを捜査機関が把握しきれなかったとしても不自然とはいえない(これに対し, らが被告人に手渡したという金員の根拠については,少なからず把握ができるところである〔甲3〕。)。  また弁護人は,さしたる前科のない被告人が,前記平成18年の同種犯罪歴のある に犯行を持ちかけ,さらには同人が被告人に言われるまま詐取金を渡してゆき実際の手取りは殆どなかったというのは不自然である旨主張するが,それらは被告人の人となりや犯罪にまつわる知識(本件では保険関係)等如何に関わることであって,上記のことが不自然であるという経験則はない。実際,弁護人も認めるとおり被告人は よりも自動車等の保険についての知識があり(そのことは,被告人が から上記平成18年の事件のことを聞いた際の前記2中の被告人の発言内容からもうかがえるところである。),そして何よりも, が被告人に本 件計算表を渡して自身の取り分につき300万円が妥当である旨を申し出ていることからすれば,被告人が本件を主導していたことがむしろ比較的自然に導かれるというべきである(なお, の実際の手取りについては,被告人に申告しないで が取得した分もあり〔37万5000円の傷害保険6 分〕,また,被告人に手渡した最終分の現金159万円については,その原資とみられる共済金〔/ 分の70万5000円〕と傷害保険金〔0 分の98万5000円,以上 り〔37万5000円の傷害保険6 分〕,また,被告人に手渡した最終分の現金159万円については,その原資とみられる共済金〔/ 分の70万5000円〕と傷害保険金〔0 分の98万5000円,以上につき甲3(省略)の各金額との比較からして, が10万円を抜いて渡したことがうかがわれるところである。)。  さらに弁護人は,が被告人にホテルまで案内されて共犯者の と共に本件を誘われたと証言していることにつき,同ホテルの予約ないし宿泊に関する裏付け証拠がないことを指摘するが,被告人が本名で同ホテルの予約ないし宿泊をしていたとは限らない上,当該裏付け捜査を着手すべき頃には宿泊者名簿の保存期間(兵庫県では3年以上〔兵庫県旅館業法施行細則13条2項〕)を過ぎていた可能性があるから,このことも不自然なものとはいえない。  そして,その他の弁護人の主張を仔細に検討しても,被告人の関与・主導を具体的に述べる・証言の信用性を疑わせるものはない。 6 よって,信用できる上記・証言によれば,被告人が本件を主導したことが十分認定でき,本件で被告人が有罪となることに合理的疑いを差し挟む余地はない。法令の適用省略 量刑の理由本件は,被告人主導の下で計画的・組織的に敢行された悪質な保険金詐欺事案であり,詐取金の総額は1675万円余りと相当高額であって,本件が保険制度や業務に与えた悪影響の点も看過できない。そして被告人は共犯者らの中で最も多い取り分を得ているが,本件を否認して被害弁償を全くしておらず,反省の態度も全く7ない。被告人の刑責は重く,相応の服役は免れないところである(なお, から受け取った詐取金の中には起訴がされていない傷害保険や共済金の分が明らかに含まれており,特に上記取り分につき 全く7ない。被告人の刑責は重く,相応の服役は免れないところである(なお, から受け取った詐取金の中には起訴がされていない傷害保険や共済金の分が明らかに含まれており,特に上記取り分につきその点を考慮すべきは当然である。)。そこで,本件は偽装交通事故1件の事案であり共犯者らとの刑の均衡も考慮する必要があるといえること,これまでに交通関係の罰金前科3犯以外に前科はないことなどの被告人のために酌むべき事情も併せ考慮して,主文の量刑をした。検察官 古﨑孝司,私選弁護人 瀧澤 崇〔主任〕各出席求刑 懲役4年6月    平成25年7月9日        神戸地方裁判所第1刑事部                      裁 判 官西森英司

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