- 1 - 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 白河税務署長が,控訴人に対し,平成19年6月29日付けでした,平成18年分の所得税に係る更正処分のうち課税総所得金額1億7054万4000円,納付すべき税額6240万8600円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分(ただし,いずれも,平成19年10月26日付けでされた異議決定及び平成20年10月30日付けでされた裁決により一部取り消された後のもの)を取り消す。 3 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件の事案の概要,前提事実,所得税額等に関する当事者の主張,争点,争点に関する当事者の主張の要旨は,下記2に付加,訂正し,同3に控訴人の当審における主張を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」(原判決2頁14行目から同10頁14行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 原判決9頁1行目の「明らかである。」の次に「すなわち,①A株式会社(以下「A」という。)は,本件組合契約の業務執行組合員ではなく,また,- 2 -Bが投資会社の育成等に関する事項を第三者に委任することは禁止されている(本件組合契約9条(3))から,Aが業務執行組合員であるBから新規事業の提案等を行う行為について委任されたことはなく,AがCに対してした投資案件の紹介等の行為は,株主として自社のために行ったものであって,本件組合のためにしたものではない。②本件組合がCに対して新規事業の提案等を行うことは本件新株予約権の権利行使の条件とされていない。」を加え,同9頁3行目末尾に改行して「ウ所得税法34条1項の「労務その他の役務 したものではない。②本件組合がCに対して新規事業の提案等を行うことは本件新株予約権の権利行使の条件とされていない。」を加え,同9頁3行目末尾に改行して「ウ所得税法34条1項の「労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの」という文言は,対価の対象を「報酬」としての性質(報酬性)に基づくものに限定する趣旨であるから,報酬性が認められないものを対価に当たると解することは課税要件明確主義(憲法84条)に反する。」を加える。 3 控訴人の当審における主張(1) 民法上の任意組合から組合員が得た所得についての所得税法上の所得区分は,組合とは別に,組合員の段階で独立に判定されるべきであるから,控訴人の役務提供の有無にかかわらず,対価としての性質があると認めることはできない。 (2) 控訴人は,C株式190万株のうち145万株については平成18年中に株券を受領しておらず,Cの第131期ないし第133期(平成17年4月1日ないし平成20年3月31日まで)の有価証券報告書には控訴人が145万株の株主として記載されていないから,平成18年分の所得税法36条の「収入」として上記145万株について課税することは許され- 3 -ない。 (3) 本件組合を通じてC株式を取得した法人組合員については,新株予約権を付与した時点で課税しているのに,自然人の組合員については権利行使時における証券取引所の終値(控訴人の場合は1株当たり195円)で課税することは,租税平等主義(憲法14条1項,84条)に反する。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人の請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は,下記2に付加,訂正し,同3に当裁判所の判断を補足するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」1項ないし3項(原判決1 も,控訴人の請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は,下記2に付加,訂正し,同3に当裁判所の判断を補足するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」1項ないし3項(原判決10頁16行目から同24頁16行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 原判決11頁19行及び20行目の「根拠はないから,」を「根拠はなく,上記イのように解することが課税要件明確主義に反するということはできないから,」と改め,同20行目の「原告の主張」を「控訴人の主張(池本征男の意見(甲117の1)を含む。)」と改め,同13頁21行目の「その後,」を「また,」と改め,同行及び同22行目の「平成18年6月20日付け覚書(以下「本件覚書」という。)を作成し,」を「平成17年6月29日,」と改め,同14頁6行目の「確認している。」を「合意し,その後,平成18年6月20日付け覚書(以下「本件覚書」という。)において上記合意を確認した。」と改め,同17頁9行目の「別であり,」の次に「Aは,本件組合契約の業務執行組合員ではなく,業務執行組合員であるBから委任- 4 -されていないから,Aの行為は本件組合のためのものではなく,また,」を加え,同18頁1行目の「前記各陳述書」から同3行目の「左右するものではない。」までを「前記各陳述書及び電話聴取書は,乙20ないし23に照らし,いずれもたやすく採用することができない。そして,上記認定の事実によれば,AがCに対して新規事業の提案等をしたことは,非業務執行組合員であるAが業務執行組合員であるBのために活動し,Bがこれを黙示に承認したものであると評価できること(なお,本件組合契約9条(3)は,非業務執行組合員に対する委任又は準委任を禁止した趣旨であるとは解されない。),前記1(1)イのとおり, 活動し,Bがこれを黙示に承認したものであると評価できること(なお,本件組合契約9条(3)は,非業務執行組合員に対する委任又は準委任を禁止した趣旨であるとは解されない。),前記1(1)イのとおり,所得税法34条1項の「労務その他役務の対価」には,給付が抽象的又は一般的な役務行為に密接に関連してされる場合を含むと解されるところ,Aの上記行為は本件組合の労務その他役務であると認めることができるから,Aが本件組合の業務執行権を有していないことは,上記認定を左右しない。」と改める。 3 当裁判所の判断の補足(1) 控訴人が平成18年1月25日に本件組合契約の定めに従い出資払込みを行い,本件組合が,控訴人の出資払込みを受けて,同月26日に本件権利行使を行い,本件スキームによれば,控訴人が同日C株式190万株を取得し,本件経済的利益を得たことは前提事実(原判決の「事実及び理由」欄の第2の2(4))のとおりであるところ,控訴人は,C株式190万株のうち145万株については平成18年中に株券を受領しておらず,Cの第131期ないし第133期(平成17年4月1日ないし平成20年3- 5 -月31日まで)の有価証券報告書には控訴人が145万株の株主として記載されていないから,平成18年分の所得税法36条の「収入」として上記145万株について課税することは許されないと主張する。 しかしながら,新株予約権の行使により取得する株式が証券取引所に上場されている場合には,その株式の権利行使の日における価額(時価)は,特段の事情がない限り,同取引所の終値によるのが相当であるところ,控訴人は,平成18年2月1日,本件組合から占有改定の方法によって,C株145万株の株券の交付を受けた(甲95の1及び2)ことが認められるのであるから,控訴人が上記145万株の株券に であるところ,控訴人は,平成18年2月1日,本件組合から占有改定の方法によって,C株145万株の株券の交付を受けた(甲95の1及び2)ことが認められるのであるから,控訴人が上記145万株の株券につき直接に占有していないことをもって上記特段の事情があるということはできない。また,Cにおいて誰を上記145万株の株主として取り扱っているかについても同様である。 したがって,控訴人が,本件経済的利益を平成18年1月26日に取得したとして,本件経済的利益を所得税法36条の「収入」として課税することは適法であり,控訴人の上記主張は採用することができない。 (2) 控訴人は,本件組合の法人組合員については権利行使時ではなく,新株予約権付与時で課税されており,控訴人に対する課税との間に著しい不平等があるから,本件課税が租税平等主義に反すると主張するが,控訴人に対する課税に著しい不平等があることを認めるに足りる証拠はない。 4 よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 - 6 -東京高等裁判所第9民事部 裁判長裁判官下田文男 裁判官綿引穣 裁判官北澤純一
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