令和5年6月28日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和4年(ワ)第83号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和5年3月8日判決当事者及び呼称別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告県及び被告高体連は、別紙認容額一覧表「原告番号」欄記載の1、2、5、6、10、11、13の各原告に対し、連帯して、同別紙「合計認容額」欄記載の各金員及びうち同別紙「小計2」欄記載の各金員に対する平成29年12月23日から、うち同別紙「弁護士費用」欄記載の各金 員に対する同年3月27日から、各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告県及び被告高体連は、別紙認容額一覧表「原告番号」欄記載の3、4、7、8、9、12、14、15、16、17、18の各原告に対し、連帯して、同別紙「合計認容額」欄記載の各金員及びこれらに対する平成 29年3月27日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告らの被告県及び被告高体連に対するその余の請求並びに被告S、被告T及び被告Uに対する請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は、(1) 原告らに生じた費用の10分の3並びに被告県及び被告高体連に生じ た費用の10分の7を、被告県及び被告高体連の負担とし、(2) 原告らに生じたその余の費用、被告県及び被告高体連に生じたその余の費用並びに被告S、被告T及び被告Uに生じた費用を、原告らの負担とする。 5 この判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは、連帯して、別紙請求額一覧表「原告番号」欄記載の1、2、5、6、10、11、13の各原告に に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは、連帯して、別紙請求額一覧表「原告番号」欄記載の1、2、5、6、10、11、13の各原告に対し、同別紙「合計」欄記載の各金員及びうち同別紙「小計3」欄記載の各金員に対する平成29年12月23日から、うち同別紙「弁護士費用」欄記載の各金員に対する同年3月27日から、各支払 済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告らは、連帯して、別紙請求額一覧表「原告番号」欄記載の17、18の各原告に対し、同別紙「合計」欄記載の各金員及びうち同別紙「小計3」欄記載の各金員に対する平成30年3月1日から、うち同別紙「弁護士費用」欄記載の各金員に対する平成29年3月27日から、各支払済みまで年5分の割合 による金員を支払え。 3 被告らは、連帯して、別紙請求額一覧表「原告番号」欄記載の3、4、7、8、9、12、14、15、16の各原告に対し、同別紙「合計」欄記載の各金員及びこれらに対する平成29年3月27日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 仮執行宣言第2 事案の概要 1 本件は、被告高体連主催の平成28年度春山安全登山講習会(以下「本件講習会」という。)において、平成29年3月27日雪崩が発生し、栃木県立高等学校の部活動の一環として参加していた生徒及び教師(以下「本件被災者 ら」という。)が死亡した雪崩事故(以下「本件事故」という。)について、被告県の公務員であり、かつ、本件講習会の講師であった被告S、被告T及び被告U(この3名を、以下「被告三講師」という。)並びに被告高体連が、雪崩の発生を予見し、本件講習会を中止すべき義務があったのにこれを怠ったことによって生じたものであるとして、本件 告S、被告T及び被告U(この3名を、以下「被告三講師」という。)並びに被告高体連が、雪崩の発生を予見し、本件講習会を中止すべき義務があったのにこれを怠ったことによって生じたものであるとして、本件被災者らの遺族である原告らが、被 告三講師及び被告高体連に対しては民法709条に基づき、被告県に対しては 国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき、各損害賠償金及びこれらに対する本件事故発生の日である平成29年3月27日から各支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金(既払額を除く。)の連帯支払を求めた事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 本件被災者ら平成29年3月27日当時、亡V(当時16歳)、亡W(当時17歳)、亡X(当時16歳)及び亡Y(当時16歳)(この4名を併せて、以下「本 件生徒ら」という。)は、栃木県立大田原高等学校(以下「本件高校」という。)の生徒であり、山岳部に所属し、本件講習会に参加していた。 亡Z(当時29歳。)は、本件高校の教師であり、山岳部の第三顧問を務め、本件講習会には、引率教員として参加していた。 ⑵ 原告ら ア原告A及び原告Bは、亡Vの父母で相続人である(法定相続分各2分の1)。原告Cは亡Vの弟、原告Dは亡Vの祖父である。(甲10の1及び2、弁論の全趣旨)イ原告E及び原告Fは、亡Wの父母で相続人である(法定相続分各2分の1)。原告Gは、亡Wの兄であり、原告Hは、亡Wの姉であり、原告I は、亡Wの祖母である。(甲11の1及び2、弁論の全趣旨)ウ原告J及び原告Kは、亡X 続人である(法定相続分各2分の1)。原告Gは、亡Wの兄であり、原告Hは、亡Wの姉であり、原告I は、亡Wの祖母である。(甲11の1及び2、弁論の全趣旨)ウ原告J及び原告Kは、亡Xの父母で相続人である(法定相続分各2分の1)。原告Lは、亡Xの祖母である。(甲12の1及び2、弁論の全趣旨)エ原告Mは、亡Yの母で唯一の相続人である。原告Pは、亡Yの兄であ り、原告N及び原告Oは、亡Yの祖父母である。(甲13の1及び2、弁 論の全趣旨)オ原告Q及び原告Rは、亡Zの父母で相続人である(法定相続分各2分の1)。(甲14、弁論の全趣旨)⑶ 被告高体連及び被告県ア被告高体連は、栃木県内における高等学校体育・スポーツの健全な発達 を目的として、栃木県内に所在する高校の職員・生徒をもって組織された権利能力なき社団である。もともとは昭和21年に発足した栃木県学校体育連盟を母体とし、昭和34年に高等学校部が分離独立して被告高体連となった。(甲1、19の1)被告高体連の組織内には、登山専門部を含む、35の競技種目別専門部 が設置されている。登山専門部は、登山種目の加盟校を構成員としており、役員として、部長1名、副部長若干名、委員長1名、副委員長3名、専門委員若干名、監事2名、顧問若干名が置かれている。(甲1、20の1)イ被告県は、本件高校及び栃木県立真岡高等学校を設置運営する地方公共 団体である。 ⑷ 被告三講師ア被告S被告Sは、本件事故当時、本件高校の教諭であり、被告高体連では、登山専門部の委員長を務めており、登山専門部の運営上の一切の業務を処理 する立場にあった。 また、被告Sは、本件講習会においては、会長及び講師を務めていた。 (甲1 り、被告高体連では、登山専門部の委員長を務めており、登山専門部の運営上の一切の業務を処理 する立場にあった。 また、被告Sは、本件講習会においては、会長及び講師を務めていた。 (甲1、20の1及び2)イ被告T被告Tは、本件事故当時、栃木県立真岡高等学校の教諭であり、被告高 体連では、登山専門部の副委員長及び強化委員長を務めていた。 また、被告Tは、本件講習会においては、副会長及び講師を務めていた。 (甲1、20の2)ウ被告U被告Uは、本件事故当時、栃木県立真岡高等学校の教諭であり、被告高 体連では、登山専門部の副部長を務めていた。 また、被告Uは、本件講習会においては、講師を務めていた。 (甲1、20の2)⑸ 行政庁の通知(これらの通知を、以下「本件各通知」という。) アスポーツ庁の通知スポーツ庁は、毎年、都道府県知事、都道府県教育委員会教育長、公益財団法人全国高等学校体育連盟会長等に対し、「冬山登山の事故防止について」と題する通知を発している。平成28年11月28日付け「冬山登山の事故防止について(通知)」(28ス庁第422号)では、「高校生 及び高等専門学校生(1年生から3年生まで)以下については、原則として冬山登山は行わないよう御指導願います。」とされていた。(甲1、2)イ被告県の通知被告県は、「冬山登山の事故防止について」(昭和41年11月22日 健教第775号教育長通知)、「高校生冬山登山実施の範囲」(同年12月)及び「夏山登山の実施の範囲」(昭和40年7月)を発出していた(なお、本件事故後にこれらの通知は廃止された。)。 このうち、「冬山登山の事故防止について」 「高校生冬山登山実施の範囲」(同年12月)及び「夏山登山の実施の範囲」(昭和40年7月)を発出していた(なお、本件事故後にこれらの通知は廃止された。)。 このうち、「冬山登山の事故防止について」では、「冬季積雪期における登山については極力さけることを原則」とし、実施する場合には、「か なりの基礎訓練をつんだものを対象に安全確保のできる場所で基礎的技術 訓練にとどめるよう慎重な態度でのぞむものとする。」と定め、高等学校において冬山登山訓練を実施する場合は県教育委員会の事前承認を受けるものとしていた。さらに、「11月~5月末日頃までを冬山登山の要注意期間としてとくに留意することが必要である。」とし、「冬山はいつでもなだれのおこる危険性があるので、降雪中とその翌日は行動を中止するよ うにすること。」と規定していた。 また、「高校生冬山登山実施の範囲」では、「冬山登山要注意期間は11月末~5月末」までとし、「事前に気象状況を研究しておくこと。」と定めていた。 (甲3、4) ⑹ 春山安全登山講習会の概要栃木県学校体育連盟(当時)は、積雪期登山の正しいあり方を示し、安全登山に必要な知識、技術を習得させ、登山事故防止に資することを目的として、積雪期の登山講習会を、昭和33年5月から栃木県山岳連盟との共催で実施するようになった。昭和38年度からは毎年3月下旬に那須で定期的に 開催されるようになり、昭和40年度から被告高体連が独自に実施することとなり、そのころから「春山安全登山講習会」と称されるようになった。 同講習会は、登山専門部が運営し、登山専門部の委員長、副委員長以下の登山専門部役員が講師を務めることとされていた。 (甲1、8) ⑺ 本件講習会の概 れるようになった。 同講習会は、登山専門部が運営し、登山専門部の委員長、副委員長以下の登山専門部役員が講師を務めることとされていた。 (甲1、8) ⑺ 本件講習会の概要本件講習会は、被告高体連が主催したものであるが、同時に、県立高等学校の教育活動の一環として行われる課外のクラブ活動(いわゆる部活動)として実施されたものである。 本件講習会は、学科を那須塩原市の「a」において、実技を那須町に位置 する那須岳周辺において、平成29年3月25日から同月27日まで(以 下、この3日間については、年月の記載を省略して「27日」のようにいう。)の3日間で開催され、27日は、午前7時から、学校別の茶臼岳での登山訓練を行うことが計画されていた。(甲1、8)なお、本件講習会の実施に先立ち、同月11日、本件講習会の役員2名が現地に赴き、那須温泉ファミリースキー場(以下「本件スキー場」とい う。)駐車場、幕営予定の小丸山展望園地付近及び本件スキー場センターハウス付近の下見を行った。その際の所要時間は30分程度であり、雪上訓練の実施予定場所であった峠の茶屋付近や、3日目に雪上歩行訓練を実施した、第2ゲレンデや樹林帯付近の確認は行われなかった。(甲1)⑻ 本件講習会の実施 本件講習会は、25日に開始され、同日は、aで講義等が行われた後、本件スキー場に移動し、テントの設営などが行われた。講習会本部は、「b」に設置された。なお、本件スキー場のゲレンデや講習会本部、テントサイト等の位置関係は、別紙図面1のとおりである。 26日は、峠の茶屋付近において、班編成での雪上訓練が行われた。 (甲1)⑼ 26日から27日にかけての気象状況等 イト等の位置関係は、別紙図面1のとおりである。 26日は、峠の茶屋付近において、班編成での雪上訓練が行われた。 (甲1)⑼ 26日から27日にかけての気象状況等栃木県の北部山地では26日夜から27日昼前までにかけてまとまった雪が降り、大雪となっていた。(甲18の1)26日午前10時32分には、茶臼岳が位置する那須町に対して、大雪注 意報、雪崩注意報及び着雪注意報が発令された。27日午後2時22分には、大雪注意報及び着雪注意報は解除されたものの、雪崩注意報については継続することが発表された。(甲1、18の1)本件講習会の参加者の多くは、27日午前5時頃の時点で積雪及び降雪を認識しており、被告Sも、同日午前6時頃には、参加者の教員の一人から、 積雪について、「テントから出てトイレに行くのも大変なので今日は無理だ と思います。」との連絡を受けていた。(甲1、17の1の1)⑽ 本件事故当日の状況ア 27日の予定27日は、当初の計画では、茶臼岳で学校別の登山訓練が計画されていたが、前日からの積雪や当日の降雪があったことから、被告三講師は、午 前6時過ぎ頃、当日の進行を協議した。その結果、訓練の開始時刻を午前7時30分に変更するとともに、茶臼岳への登山を中止して、本件スキー場ゲレンデ周辺での雪上歩行訓練を行うという計画に変更した。この際、被告三講師は、いずれも、テレビや携帯電話等を通じて気象情報や雪崩注意報等の発令の有無の確認はせず、また、雪上歩行訓練を実施する具体的 な範囲について話し合っていなかった。 また、27日は、学校単位で実技講習が行われる予定であったが、装備の不十分な生徒がいたことなどの理由から、前日と同様に 行訓練を実施する具体的 な範囲について話し合っていなかった。 また、27日は、学校単位で実技講習が行われる予定であったが、装備の不十分な生徒がいたことなどの理由から、前日と同様に班編成で実施されることになり、五つの班が編成された。このうち、第1班は本件高校の生徒により編成され、被告Tが主講師として第1班の責任者となり、亡Z は引率教師として第1班に随行することになった。 被告Uは、第2班の主講師として同班に随行し、被告Sは、訓練には参加せず、講習会本部付近で待機することになった。 (甲1、17の1の1)イ本件事故の発生 第1班は、27日午前7時50分頃から本件スキー場第2ゲレンデ内でラッセル訓練を行い、その後、縦一列になり、本件高校の生徒、亡Z、被告Tの順で樹林帯を登り始めた。 その後、第1班は、樹林帯を抜け、前方に見えた岩を目指して樹林帯の上の斜面を登っていたところ、午前8時30分頃から同45分頃までに樹 林帯の上部の斜面で雪崩が発生し、本件被災者らはいずれも雪崩に巻き込 まれ、そのころ死亡した。 なお、第1班が進行したルート及び雪崩に巻き込まれた地点は、別紙図面2のとおりである。 (甲1、17の1の1)ウ本件事故発生後の対応 雪崩が発生した直後、複数の教員が講習会本部に対して何度か無線による連絡を試みたものの、被告Sは、連絡用無線機から離れ、無線機や携帯電話を所持していなかったことから、これらに応答しなかった。 講習会本部と連絡が取れないことを不安に思った1人の教員が、講習会本部が設置されていた「b」に徒歩で向かい、「b」の駐車場において、 被告Sに対して、本 、これらに応答しなかった。 講習会本部と連絡が取れないことを不安に思った1人の教員が、講習会本部が設置されていた「b」に徒歩で向かい、「b」の駐車場において、 被告Sに対して、本件雪崩の発生を告げ、午前9時20分頃、警察や消防への最初の救助要請がなされた。 (甲1、17の1の1、甲17の2の1) 3 争点⑴ 被告三講師に対する請求について ア公務員個人の責任(争点1)イ被告三講師の過失(争点2)ウ本件被災者ら及び原告らの損害(争点3)⑵ 被告県及び被告高体連に対する請求についてア本件被災者ら及び原告らの損害(争点3) イ亡Zについての過失相殺(争点4) 4 争点に関する当事者の主張⑴ 争点1(公務員個人の責任)について(原告らの主張)国賠法は、明治憲法下で救済可能性のなかった領域を同法1条の範囲とす る歴史的沿革があり、被害者救済範囲を拡大する方向で解釈すべきである。 そもそも、国賠法1条1項により認められる責任は国の代位責任であって、同じく代位責任を認める民法715条が被用者個人の責任を否定するものではない趣旨であることから、本件のような萎縮効果を問題にする必要のない教育・研究活動については、公務員個人としての責任を認めるべきである。 また、本件のように公務員に重大な過失が認められる事案においては、萎 縮効果を問題とする必要はないため、公務員個人の責任を認めるべきである。 (被告三講師の主張)被告三講師は被告県の公務員であるから、賠償責任を負うのは被告県であって、被告三講師は賠償責任を負わない。よって、原告らの被告三講師に 対する訴えは、 。 (被告三講師の主張)被告三講師は被告県の公務員であるから、賠償責任を負うのは被告県であって、被告三講師は賠償責任を負わない。よって、原告らの被告三講師に 対する訴えは、被告適格のない者に対する訴えとして不適法却下されるか、理由のない請求として棄却されるべきである。 ⑵ 争点2(被告三講師の過失)について(原告らの主張)ア注意義務の内容及びその程度 一般に、学校の教育活動の一環として行われる登山においては、参加者を指導する者に対して、参加者の安全を確保すべき高度の注意義務が課されるところ、本件講習会は、部活動の一環として実施されたものであるから、参加者を指導する立場にあった被告三講師には、参加者の安全面に十分な配慮をし、滑落等の事故の発生を未然に防止すべき一般的な注意義務 を負っていた。 そして、本件講習会は単なる登山ではなく、雪山の登山を含むものであるところ、雪山の登山には雪崩等による生命への危険が内在することに加え、本件各通知において高校生による冬山登山を原則として禁止し、特に降雪中とその翌日は行動を中止するよう要請していることからすれば、被 告三講師には、参加者の生命、身体の安全を確保すべき、より高度の注意 義務が存していたといえる。 したがって、被告三講師には、遅くとも本件事故当日の朝の時点で、気象情報や雪崩注意報等の発令の有無を確認し、訓練内容を変更するのではなく、本件講習会自体を中止して雪崩に遭遇する危険を回避すべき義務があった。それにもかかわらず、被告三講師は、単に登山計画を変更しただ けで、本件講習会を中止しなかった。 イ予見可能性雪山登山において、雪崩に遭遇する危険は一般人に 義務があった。それにもかかわらず、被告三講師は、単に登山計画を変更しただ けで、本件講習会を中止しなかった。 イ予見可能性雪山登山において、雪崩に遭遇する危険は一般人において認識可能であるほか、本件各通知は、被告三講師が所属する被告高体連に対して発出されたものであることから、被告三講師は、遅くとも本件事故当日の朝の時 点で気象情報や雪崩注意報等の発令の有無を確認すべきであったといえ、かかる義務を履践していれば、那須町付近で雪崩が発生する可能性があることは容易に予見することができた。 (被告三講師の主張)ア注意義務の内容及びその程度 被告三講師が生徒に対する安全配慮義務を負っていたことは認め、その余は否認する。 イ予見可能性被告三講師においては、本件雪崩の発生について予見することは不可能であった。 (被告県及び被告高体連の主張)請求原因事実については、本件被災者ら及び原告らの損害の一部を否認するほかは、積極的に争うものではない。被告県及び被告高体連としては、被告三講師に限らず、組織管理等の観点から、本件被災者らに対する安全配慮義務違反ないし過失があったと考え、賠償責任を負うことを認めるものであ る。 ⑶ 争点3(本件被災者ら及び原告らの損害)について(原告らの主張)各原告の請求額は、別紙請求額一覧表のとおりである。 ア逸失利益(ア) 本件生徒らの逸失利益について 基礎賃金を平成28年賃金センサス男性大卒者の年収額662万6100円とし、就業可能期間を67歳までの期間としたライプニッツ係数(亡Wにつき13.927、そのほかの本件生徒らにつき13 基礎賃金を平成28年賃金センサス男性大卒者の年収額662万6100円とし、就業可能期間を67歳までの期間としたライプニッツ係数(亡Wにつき13.927、そのほかの本件生徒らにつき13.263)を採用し、生活費控除率を50%として算出すると、亡Wにつき4614万0847円(このうち4614万0846円を請求する。)、 そのほかの本件生徒らにつき各4394万0982円となる。 (イ) 亡Zの逸失利益について基礎賃金を平成28年賃金センサス男子高等学校教師・企業規模計の年収額693万3800円とし、就業可能期間を67歳までの期間としたライプニッツ係数(16.868)を採用し、生活費控除率を50% として算出すると、5847万9669円となる(このうち5847万9668円を請求する。)。 イ本件被災者ら本人の慰謝料本件被災者ら本人の慰謝料は、各2800万円が相当である。 ウ葬儀費用 亡V 133万8362円亡W 266万0000円亡X 347万9000円亡Y 150万0000円亡Z 424万1840円 エ小計及び相続 (ア) 亡V 7327万9344円原告A及び原告Bが2分の1ずつ相続したため、各3663万9672円となる。 (イ) 亡W 7680万0846円原告E及び原告Fが2分の1ずつ相続したため、各3840万042 3円となる。 (ウ) 亡X 7541万9982円原告J及び原告Kが2分の1ずつ相続したため、各3770万9991円となる。 (エ) 亡Y 7344万0982円 。 (ウ) 亡X 7541万9982円原告J及び原告Kが2分の1ずつ相続したため、各3770万9991円となる。 (エ) 亡Y 7344万0982円 原告Mが全部相続した。 (オ) 亡Z 9072万1508円原告Q及び原告Rが2分の1ずつ相続したため、各4536万0754円となる。 オ原告ら固有の慰謝料 原告ら固有の慰謝料は、別紙請求額一覧表の各「近親者慰謝料」欄のとおりである。 カ既払金及びその控除本件生徒らの保護者たる別紙請求額一覧表の「原告番号」欄記載の1、2、5、6、10、11、13の各原告に対しては、独立行政法人日本ス ポーツ振興センター(以下「センター」という。)から平成29年12月22日に死亡見舞金として本件生徒ら1人当たり2800万円が支払われた。また、同17、18の各原告に対しては、地方公務員災害補償基金から平成30年2月28日に遺族補償一時金1018万8000円(各原告につき509万4000円)及び葬祭補償金62万0640円(各原告に つき31万0320円)が支払われた。 これらの既払金の充当については、いずれの給付についても、本件事故日である平成29年3月27日から各給付が行われた日までの間の遅延損害金から先に充当し、次いで元本の順に充当すべきである。 キ弁護士費用別紙請求額一覧表の各「弁護士費用」欄のとおりである。 (被告県及び被告高体連の主張)ア逸失利益について(ア) 本件生徒らの逸失利益について認める。 (イ) 亡Zの逸失利益について 以下の合 県及び被告高体連の主張)ア逸失利益について(ア) 本件生徒らの逸失利益について認める。 (イ) 亡Zの逸失利益について 以下の合計額たる5421万5198円が相当である。 a 給与等 5287万5034円ただし、60歳までの年齢ごとの中間利息控除後の俸給等の合計額5004万6231円及びその後の再任用を前提とした67歳までの年齢ごとの中間利息控除後の給与等の合計額282万8803円 b 退職手当減額分 134万0164円60歳を迎える年度末の退職手当額(中間利息控除後)234万6410円から既払の退職手当分100万6246円を控除した額イ本件被災者ら本人の慰謝料及び原告ら固有の慰謝料(ア) 本件生徒らの慰謝料及び近親者慰謝料について 本件生徒ら1人につき、本件生徒ら本人の慰謝料及び原告ら固有の慰謝料を合わせて2500万円の限度で認め、それを超える部分は争う。 (イ) 亡Zの慰謝料及び近親者慰謝料について亡Z本人の慰謝料及びその両親固有の慰謝料を合わせて2000万円の限度で認め、それを超える部分は争う。 ウ葬儀費用 本件被災者ら1人につき150万円の範囲内で認め、それを超える部分は争う。 エ既払金及びその控除本件生徒らについてはセンターから死亡見舞金2800万円が、亡Zについては地方公務員災害補償基金から遺族補償一時金1018万8000 円及び葬祭補償金62万0640円が支払われたことは認める。 これらの各給付は、特定の損害について填補するために支給されるもの 方公務員災害補償基金から遺族補償一時金1018万8000 円及び葬祭補償金62万0640円が支払われたことは認める。 これらの各給付は、特定の損害について填補するために支給されるものであるため、その制度の趣旨目的に従い、その全額について元本に充当すべきである。 オ弁護士費用 争う。 (被告三講師の主張)争う。 ⑷ 争点4(亡Zについての過失相殺)について(被告県の主張) 亡Zは、自身の生命身体を守るための判断が可能であり、自身の生命身体を守るための可能性が皆無であったとはいえないと考えられるため、自身の損害について10%の過失相殺がなされてもやむを得ない。 (原告らの主張)使用者は、労働者の不注意を予測して、労働者の生命・身体・健康の侵害 を予防すべき義務を負うため、労使関係により生じた労災・職業病は、上記義務の違反により生じた侵害であって、労働者の不注意は使用者の上記義務違反に吸収されることから、労災・職業病においては、過失相殺の適用は全面的に排除されるべきところ、被告県は、亡Zに対して使用者的地位にあるため、本件においても過失相殺の適用は排除されるべきである。 また、亡Zは、本件講習会の計画変更や第1班のルートの決定に関与して いないこと、亡Zは、登山歴が1年弱しかなく、登山経験は本件高校の第三顧問に就いてからであったため、本件講習会における27日のラッセル訓練において雪崩の危険があることを認識できたはずがないこと、注意を払ったとしても本件雪崩を回避することは不可能であったことなどから、過失はない。 第3 当裁判所の判断 1 被告三講師に対する請求について⑴ 争点 認識できたはずがないこと、注意を払ったとしても本件雪崩を回避することは不可能であったことなどから、過失はない。 第3 当裁判所の判断 1 被告三講師に対する請求について⑴ 争点1(公務員個人の賠償責任)についてア公権力の行使に当たる国又は公共団体の公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を与えた場合には、国又は 公共団体がその被害者に対して賠償の責に任ずるのであって、公務員個人はその責を負わないと解するのが相当である(最高裁判所昭和30年4月19日第三小法廷判決・民集9巻5号534頁、最高裁判所昭和47年3月21日第三小法廷判決・裁判集民事105号309頁、最高裁判所昭和53年10月20日第二小法廷判決・民集32巻7号1367頁参照)。 被告三講師はいずれも被告県の公務員たる栃木県立高等学校の教員であり、本件講習会は、学校教育の一環として実施されたものであって、本件事故は、公務員が職務行為を行うについて発生した事故であるから、被告三講師は原告らに対して賠償責任を負うものではない。 なお、原告らは、公務員に故意や重過失が認められる場合には、公務員 への萎縮効果を問題とする必要はないと主張する。しかし、国賠法1条は、1項が国又は公共団体の賠償責任を定めるとともに、2項が公務員に故意又は重大な過失があったときは、国又は公共団体がその公務員に対して求償権を有する旨を定めている。これは、公務員個人に対する請求の当否を、個別の案件における個々の事情に応じて、国又は公共団体の適切な 裁量に委ねた趣旨と解され、被害者から公務員個人への直接請求を肯定す ることは、かかる趣旨を没却するものであって、採用することはできない。 イなお、被告三講師は、 切な 裁量に委ねた趣旨と解され、被害者から公務員個人への直接請求を肯定す ることは、かかる趣旨を没却するものであって、採用することはできない。 イなお、被告三講師は、同被告らには被告適格がないから、同被告らに対する訴えは不適法として却下すべきであると主張する。しかし、原告らの被告三講師に対する訴えは、金銭の支払を求める給付の訴えであって、原 告らによって給付義務者と主張される者に被告適格が認められ、被告三講師が給付義務者であるか否かは、不法行為に基づく損害賠償請求権の成否そのものの問題であるから、被告三講師には、被告適格が認められるというべきである。 ⑵ 小括 そうすると、原告らの被告三講師に対する請求は、その余の点について判断するまでもなく、いずれも理由がないから棄却すべきである。 2 被告県及び被告高体連に対する請求について⑴ 責任原因原告らは、被告三講師及び被告高体連において、遅くとも27日の朝の時 点で、那須町付近の気象情報や雪崩注意報等の発令の有無などを確認し、雪崩が発生する危険性を想定して本件講習会を中止すべき義務があったにもかかわらず、これを怠って漫然と本件講習会を続行し、それによって本件事故が発生したと主張するところ、被告県及び被告高体連は、被告三講師及び被告高体連の注意義務違反(違法性ないし過失)を争うことを明らかにしない。 よって、被告県は国賠法1条1項に基づき、被告高体連は民法709条に基づき、本件事故により本件被災者ら及び原告らに生じた損害について賠償責任を負う。 ⑵ 争点3(本件被災者ら及び原告らの損害)についてア逸失利益 (ア) 本件生徒らの逸失利益(争いがない。) 生じた損害について賠償責任を負う。 ⑵ 争点3(本件被災者ら及び原告らの損害)についてア逸失利益 (ア) 本件生徒らの逸失利益(争いがない。) 亡V 4394万0982円亡W 4614万0846円亡X 4394万0982円亡Y 4394万0982円(イ) 亡Zの逸失利益 基礎となる年収額について、亡Zは栃木県立高等学校の教員であったが、本件事故当時、未だ20代の若年労働者であって、67歳までの年数が38年と長いことからすると、現在の栃木県立高等学校教員の年齢ごとの俸給額及び退職手当額、定年60歳(乙A3)を前提とする被告県及び被告高体連の計算方法によらず、原告Q及び原告Rが主張する、 広く高等学校教員を対象とした職種別(高等学校教員)賃金センサス・企業規模計・男性・全年齢平均賃金693万3800円(平成28年)を基礎収入とすることには、合理性があるものと認められる。 以上を前提に、就労可能期間を38年(ライプニッツ係数16.868)、生活費控除率を50%として逸失利益の額を計算すると、584 7万9668円を下らない。 (計算式)693万3800円×(1-0.5)×16.868=5847万9669円(1円未満切捨て、以下同じ。)イ本件被災者ら本人の慰謝料 前提事実⑸、⑼及び原告ら、被告県及び被告高体連間に争いがない事実によれば、本件事故は、遅くとも27日の朝の時点で、気象情報等を確認していれば、雪崩が発生する可能性を認識することのできる状況であったにもかかわらず、雪崩に対する危機意識の希薄さから、被告三講師及び被告高体連が本件講習会を とも27日の朝の時点で、気象情報等を確認していれば、雪崩が発生する可能性を認識することのできる状況であったにもかかわらず、雪崩に対する危機意識の希薄さから、被告三講師及び被告高体連が本件講習会を中止しなかったことが一因であるものということ ができる。これに加え、雪崩発生後の対応が遅れたこと(前提事実⑽ウ)、 本件講習会を続行したことにつき本件被災者らに落ち度は認められないこと、本件被災者らの年齢、家族構成など本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件被災者ら固有の慰謝料については、それぞれ2200万円と認めるのが相当である。 ウ葬儀費用 本件被災者ら1人につき150万円の範囲内では原告らと被告県及び被告高体連との間で争いがなく、これを超える費用の発生及び相当性につき立証がないことからすれば、亡Vについては133万8362円、その他の本件被災者らについては1人当たり150万円の限度で認めるのが相当である。 エ小計及び相続(ア) 亡V 6727万9344円原告A及び原告Bが2分の1ずつ相続したため、各3363万9672円となる。 (イ) 亡W 6964万0846円 原告E及び原告Fが2分の1ずつ相続したため、各3482万0423円となる。 (ウ) 亡X 6744万0982円原告J及び原告Kが2分の1ずつ相続したため、各3372万0491円となる。 (エ) 亡Y 6744万0982円原告Mが全部相続した。 (オ) 亡Z 8197万9668円原告Q及び原告Rが2分の1ずつ相続したため、各4098万9834円となる。 オ原告ら固有 原告Mが全部相続した。 (オ) 亡Z 8197万9668円原告Q及び原告Rが2分の1ずつ相続したため、各4098万9834円となる。 オ原告ら固有の慰謝料 上記イの諸事情のほか、本件事故により息子あるいは親しい親族を突然失った原告らの心情(甲36から48まで、原告A本人、原告B本人、原告F本人、原告J本人、原告M本人、原告Q本人)等を勘案すると、本件被災者らの父母である原告らについては本件被災者ら1人当たり(父母の合計額)400万円、兄弟姉妹及び祖父母である原告らについては原告ら 1人当たり50万円と認めるのが相当である。 カ既払金の控除と確定遅延損害金(ア) 死亡見舞金について本件生徒らの保護者たる別紙請求額一覧表の「原告番号」欄記載の1、2、5、6、10、11、13の各原告が、センターから、本件生徒ら 1人当たり2800万円の死亡見舞金(以下「本件見舞金」という。)を受給したことに争いはなく、弁論の全趣旨によれば、上記各原告らはこれを法定相続分に応じて受領したものと認められる。 本件見舞金は、独立行政法人日本スポーツ振興センター法15条1項7号に基づく災害共済給付として給付されたものであるところ、セン ターが災害共済給付を行った場合において、当該給付事由の発生につき、国賠法、民法その他の法律により損害賠償の責めに任ずる者があるときは、その給付の価額の限度において、当該災害に係る児童生徒等がその者に対して有する損害賠償の請求権を取得することから(同法31条2項)、本件見舞金の給付は、本件事故から生じた損害の填補を目的とす るものであるといえ、公平の見地から、原告らの損害賠償請求権の額から控除すべきものといえる。 を取得することから(同法31条2項)、本件見舞金の給付は、本件事故から生じた損害の填補を目的とす るものであるといえ、公平の見地から、原告らの損害賠償請求権の額から控除すべきものといえる。 そして、同法の規定上、同法15条1項7号に基づく死亡見舞金の給付については、その給付を充当すべき費目に限定はなく、本件で元本充当の黙示の合意を認めるに足りる証拠も見当たらないことからすれば、 本件見舞金は、本件事故により生じた損害全ての填補を対象としている というべきである。 したがって、本件見舞金については、損害総額に対する本件事故日から受領日まで(弁論の全趣旨によれば、いずれも平成29年12月22日までの271日間)に生じた改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の額に対してまず充当し、その残額を元本に充当すべきである。 (イ) 遺族補償一時金及び葬祭補償金について亡Zの相続人たる別紙請求額一覧表の「原告番号」欄記載の17及び18の各原告が、平成30年2月28日、地方公務員災害補償基金から遺族補償一時金1018万8000円及び葬祭補償金62万0640円(以下「本件補償一時金等」という。)を受給したことに争いはなく、 弁論の全趣旨によれば、上記各原告らはこれを法定相続分に応じて受領したものと認められる。 地方公共団体が国賠法、民法その他の法律による損害賠償の責めに任ずる場合において、地方公務員災害補償基金がこの法律による補償を行ったときは、同一の事由については、地方公共団体は、その価額の限 度においてその損害賠償の責めを免れることから(地方公務員災害補償法58条1項)、同補償は、同一事由による損害の填補を目的としているものということ 由については、地方公共団体は、その価額の限 度においてその損害賠償の責めを免れることから(地方公務員災害補償法58条1項)、同補償は、同一事由による損害の填補を目的としているものということができる。そして、遺族補償一時金は、原則として、地方公務員が公務上死亡し、又は通勤により死亡した場合に、当該地方公務員の配偶者その他その収入によって生計を維持していた遺族に支給 されるものであり(同法31条、36条、37条)、遺族に対して、地方公務員の死亡のためその収入によって受けることのできた利益を喪失したことに対する損失補償及び生活保障を与えることを目的とし、かつ、その機能を営むべきものであるから(同法38条1項括弧書、36条2項2号、33条1項参照)、遺族補償一時金の給付によって遺族が受け る利益は、死亡した者の得べかりし収入によって受けることのできた利 益(死亡逸失利益)と同性質であり、かつ、相互補完性があるものと解される。 また、葬祭補償金については、その名称から明らかなとおり、葬儀費用と同性質であり、かつ、相互補完性があるものということができる。 これに対し、損害の元本に対する遅延損害金に係る債権は、飽くまで も債務者の履行遅滞を理由とする損害賠償債権であるから、遺族補償一時金及び葬祭補償金による塡補対象となる損害が、遅延損害金と同性質であるということも、相互補完性があるということもできない。 したがって、既に受領した遺族補償一時金は逸失利益の元本との間で、葬祭補償金は葬儀費用の元本との間で、損益相殺的な調整を行うべ きものと解するのが相当である。また、遺族補償一時金及び葬祭補償金の支給を受けたことにより、その限度で逸失利益及び葬儀費用は現実にはないものと評価で の元本との間で、損益相殺的な調整を行うべ きものと解するのが相当である。また、遺族補償一時金及び葬祭補償金の支給を受けたことにより、その限度で逸失利益及び葬儀費用は現実にはないものと評価できるから、制度の予定するところと異なってその支給が著しく遅滞するなどの特段の事情のない限り、その塡補の対象となる損害は不法行為の時に塡補されたものと法的に評価して損益相殺的な 調整をすることが、公平の見地からみて相当であるというべきである(最高裁平成27年3月4日大法廷判決・民集69巻2号178頁参照)。 本件において上記の特段の事情は見当たらないから、亡Zの相続人らに対する遺族補償一時金1018万8000円及び葬祭補償金62万0 640円は、逸失利益及び葬儀費用の各元金に充当され、充当後の残額について、本件事故日から遅延損害金が発生することになる。 キ弁護士費用本件事案の内容、調停及び訴訟の経過、訴訟活動、認容額その他諸般の事情を考慮すると、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用の額として は、別紙認容額一覧表中「弁護士費用」欄記載の額が相当である。 ⑶ 争点4(亡Zについての過失相殺)について被告県及び被告高体連は、亡Zの過失について、自身の生命身体の安全を確保する措置を講ずる権限ないし余地があったなどと抽象的な主張をするのみであって、亡Zの過失に係る具体的な評価根拠事実を主張していない。 そうである以上、亡Zに過失は認められず、亡Zについて過失相殺は相当 ではない。 ⑷ 小括よって、被告県は国賠法1条1項に基づき、被告高体連は不法行為に基づき、各原告に対し、別紙認容額一覧表の記載額の範囲内で賠償責任を負う。 第4 結論 以上によれば、原 ⑷ 小括 よって、被告県は国賠法1条1項に基づき、被告高体連は不法行為に基づき、各原告に対し、別紙認容額一覧表の記載額の範囲内で賠償責任を負う。 第4 結論 以上によれば、原告らの被告県及び被告高体連に対する請求は、それぞれ主文第1項記載の限度で理由があるから、その限度でこれを認容し、その余の被告県及び被告高体連に対する請求並びに被告三講師に対する請求は、いずれも理由がないからこれを棄却することとする。なお、仮執行免脱宣言は、相当でないからこれを付さない。 宇都宮地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官浅岡千香子 裁判官玉本恵美子 裁判官小島惇史
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