昭和41(ワ)120 過誤納金返還請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和45年8月31日 旭川地方裁判所 租税
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【DRY-RUN】主   文 一、被告は原告に対し、金一万五、二〇〇円を支払え。 二、原告のその余の請求を棄却する。 三、訴訟費用は被告の負担とする。        事   実 第一、当事者の求めた裁判 一、原告 (一

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主文一、被告は原告に対し、金一万五、二〇〇円を支払え。 二、原告のその余の請求を棄却する。 三、訴訟費用は被告の負担とする。 事実第一、当事者の求めた裁判一、原告(一) 被告は原告に対し、金二万五、六一〇円を支払え。 (二) 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決二、被告(一) 原告の請求を棄却する。 (二) 訴訟費用は原告の負担とする。 との判決第二、当事者間に争いのない事実一、原告は昭和三五年一月一日当時より北海道<以下略>(昭和三九年五月一日町制を施行して村を町とした。)に住所を有している個人である。 二、原告は、中富良野村長に対し、原告の昭和三五年度ないし三八年度の村民税につき、それぞれ法定の期限内に前年の総所得金額を別表各申告欄記載のとおり申告したが、被告は同認定欄記載のとおり総所得金額を認定し、同村長は、次表のとおり村民税賦課決定(以下、本件各賦課決定と略称する。)をして、原告に対し納税の告知をした。 <略>三、原告は被告に対し、前記村民税合計金六万〇、九五〇円を次表のとおり納付した。 <略>四、ところで、前記のごとく、被告は、本件各賦課決定にあたり、原告の各年度の総所得金額を原告の申告額より増額して認定したが、右増額認定の詳細は以下のとおりである。 (一) 別表各申告欄記載の金額は、原告が昭和三四年度ないし三七年度の原告の所得税につき、富良野税務署長に対し提出した所得税に係る申告書記載の金額と同一であり、右各欄記載の総所得金額は、政府が原告に対し、右各所得税を賦課決定したときの基準となつた金額であるが、被告は、前記村民税における原告の各総所得金額の算定にあたり、収入金額から特別控除されるべき雇人費および土地改良費について、前記所得税に係る申告書記載の金額を基準とせずに、次の方法で算定し であるが、被告は、前記村民税における原告の各総所得金額の算定にあたり、収入金額から特別控除されるべき雇人費および土地改良費について、前記所得税に係る申告書記載の金額を基準とせずに、次の方法で算定した。 (二) すなわち、被告は、当時中富良野村に住所を有していた原告を含む農業所得者のうち、所得税のかかるいわゆる有資格者全員につき、その村民税の賦課決定における総所得金額の算定にあたり、収入金額から特別控除されるべき雇人費および土地改良費について、各自の所得税の基礎となつた金額を基準とすることなく、一律に、雇人費特別控除については、昭和三五、三六年度は全額控除を否認し、昭和三七、三八年度は臨時雇いにつき反当り二、〇〇〇円、常雇いにつき申告額の二分の一の控除のみ認め、土地改良費特別控除については、昭和三五年度ないし三八年度を通じて、土地改良区負担金の控除のみを認め、その余の金額の控除を否認する方法を採用した。 (三) 被告は、原告についても、右の方法により原告の各年度の総所得金額を算定したものである。 五、なお、別表各申告欄記載の総所得金額を基準として算出した村民税額および原告が納付した村民税額との差額は次表のとおりとなる。 <略>第三、争点一、原告の主張(一) 原告に対する本件各賦課決定において、被告が採用した前記所得の計算方法は、地方税法(以下、法と略称する。)三一六条所定の方法に該当する。 しかるに、被告は、右計算方法を採用することにつき、同条所定の自治大臣の許可を得ていないから、右計算方法により算定された所得に基づく本件各賦課決定は、当然無効である。 したがつて、本件各賦課決定に基づいて原告が納付した村民税額中、当事者間に争いのない事実第五項記載の表中、差額欄の合計一万九、一七〇円は誤納金であるから、原告に還付すべきものである。 無効である。 したがつて、本件各賦課決定に基づいて原告が納付した村民税額中、当事者間に争いのない事実第五項記載の表中、差額欄の合計一万九、一七〇円は誤納金であるから、原告に還付すべきものである。 (二) 法一七条の四の規定に基づく右誤納金に対する還付加算金は、昭和四〇年一二月三一日の時点で計算すると次表のとおり合計六、四四〇円である。 なお、次表中、日歩欄の三銭とあるのは、昭和三八年九月三〇日までの分であり、二銭とあるのは同年一〇月一日から昭和四〇年一二月三一日までの分である。 <略>(三) よつて、原告は被告に対し、前記(一)の一万九、一七〇円と同(二)の六、四四〇円の合計二万五、六一〇円の支払いを求める。 二、原告の主張に対する被告の答弁および主張(一) 本件各賦課決定にあたり、被告の採用した所得の計算方法が法三一六条所定の方法に該当する旨の原告の主張ならびに一万九、一七〇円が誤納金であるとした場合の還付加算金額が昭和四〇年一二月三一日当時六、四四〇円となることはいずれも争う。 (二) 本件各賦課決定にあたり、被告が採用した所得の計算方法は、(1)昭和三五、三六年度は法三一五条二号(同二五年法律第二二六号)、(2)同三七、三八年度は法三一五条一号但し書(改正同三六年法律第七四号)、中富良野村村税賦課徴収条例(同村同二五年条例第二号、改正同三七年条例第二号)二三条の三、一号但し書にそれぞれ準拠するものである。 すなわち、特別控除としての雇人費と土地改良費については、一般的にその申告額の信憑性が乏しい実情にあるため、右実情を考慮のうえ、いずれも信憑性の認められる部分に限り控除を認めた。 第四、証拠(省略) 理由第一、争点に対する判断一、本件各賦課決定における原告の総所得金額の算定にあたり、被告の採用した所得の計 も信憑性の認められる部分に限り控除を認めた。 第四、証拠(省略) 理由第一、争点に対する判断一、本件各賦課決定における原告の総所得金額の算定にあたり、被告の採用した所得の計算方法が、原告主張のとおり法三一六条所定の方法に該当するか否かについて判断する。 (一) 原本の存在および成立に争いのない乙第一八ないし第二〇号証、証人Aの証言により原本の存在および成立を認める乙第一三号証ならびに右A証言を総合すれば、本件各賦課決定中昭和三八年度の賦課決定について、被告が当事者間に争いのない事実第四項(一)ないし(三)記載の所得の計算方法(以下、本件所得の計算方法と略称する。)を採用するに至つた事情は次のとおりであることが認められ、右認定を妨げるに足りる証拠はない。 (1) 昭和三八年当時、中富良野村に住所を有していた全農業所得者(水稲耕作者)約一、三〇〇名のうち、原告を含む所得税課税の対象となるいわゆる有資格者(以下、有資格者と略称する。)約六〇〇名は、富良野税務署長に対し、法定の期限内に被告の税務担当者を通じて昭和三七年度の各自の所得税の申告をしたが、右所得税に係る申告書は、被告に対する昭和三八年度の各自の村民税に係る申告書を兼ねていた。 (2) しかして、右所得税に係る申告書記載の総所得金額は、次のような経緯を経て計上された。 まず、前記農業所得者らは、例年どおり各自の昭和三七年における水稲の作付反別および雇人費、土地改良費等の必要経費等を、各部落会長もしくは農業所得者の利益代表団体である農民連盟を通じて、昭和三八年二月ころまでに被告に事実上申告書を提出し、その申告総作付反別は二、九三二町三反五畝であつた。これに対し、所轄税務署長が中富良野村全体の総作付反別として査定した反別は三、〇三一町歩であつた。 そこで被告の税 に被告に事実上申告書を提出し、その申告総作付反別は二、九三二町三反五畝であつた。これに対し、所轄税務署長が中富良野村全体の総作付反別として査定した反別は三、〇三一町歩であつた。 そこで被告の税務担当者と農民連盟は、協議のうえ、査定総反別と申告総反別との差額九八町六反五畝のうち、四五町八反二畝は他町村の住民の耕作反別とし、残りの五二町八反三畝は農業所得者中低所得のため所得税のかからないいわゆる失格者(以下、失格者と略称する。)の耕作反別にして、税務署長査定の反別に合致させることとし、有資格者の耕作反別の増加を抑え、その農業所得、ひいては所得税額を軽減する措置を講じた。 さらに、水稲耕作による収入金額から控除されるべき必要経費としての土地改良費について、被告の税務担当者は農民連盟と協議のうえ、有資格者全員について各自の申告額に一律に反当り六〇〇円の架空な経費を加えた額を土地改良費として前記所得税に係る申告書に計上させ、この面からも所得税額を軽減する方策をとつた。 同様に、必要経費としての雇人費についても、有資格者各自の申告額中、税務署の基準表に基づく査定により切り捨てられた額について、被告と農民連盟は一体となつて税務署と復活折衝を行い、その結果、個々の有資格者別の復活という形をとらずに、有資格者全体の総額として復活額が認められ、それが個々の有資格者に対し復活額として振り分けられた。かようにして増額された雇人費が有資格者各自の所得税に係る申告書に計上された。 (3) 右のごとく、被告の理事者や税務担当者が有資格者らの総所得金額ひいては所得税額の軽減を計つたのは、中富良野村に居住する農民のためにその保護助成を計るとともに、同村全体の住民の所得税の基礎となる所得額を減少させることにより、被告に対する地方交付税交付金の交付額を増加させるとい の軽減を計つたのは、中富良野村に居住する農民のためにその保護助成を計るとともに、同村全体の住民の所得税の基礎となる所得額を減少させることにより、被告に対する地方交付税交付金の交付額を増加させるという被告自身の財政上の理由もあつた。 (4) しかして、被告は、農業所得者に対する昭和三八年度の村民税の賦課にあたり、有資格者の前記所得税に係る申告書記載の土地改良費については架空の経費が申告されていること、雇人費については前記税務署作成の基準表の範囲内では架空の経費であつても申告が無条件に認められる実情にあつたため、有資格者の中には虚偽の申告をするものが多々あり、その申告額が信憑性に乏しいこと等の事情から、これらの金額を基準にして有資格者に対し村民税を賦課する場合、低額所得者である失格者との権衡を失し、かえつて高額所得者である有資格者を不当に優遇する結果になると判断した。 そこで、被告は、かかる結果を回避するため有資格者全員について、個別的具体的な調査をすることなく、したがつて各有資格者の個別的具体的な所得の実体を捕捉せず、一律に本件所得の計算方法を採用するに至つた。 (二) 前掲各証拠ならびに弁論の全趣旨を総合すれば、本件各賦課決定中昭和三五年度ないし三七年度の賦課決定について、被告がなした所得の計算方法を採用するに至つた経緯は、前認定の昭和三八年度の賦課決定の場合と略同様であることが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。 (三) 次に、市町村民税賦課の際の所得計算に関する法の規律について検討する。 (1) 本件各賦課決定中、昭和三七、三八年度の賦課決定当時施行されていた法三一五条(ただし、昭和三七年法律第六七号による一部改正を経た同三六年法律第七四号、以下、新法三一五条と略称する。)一号本文によれば、市町村は市町村内に住所を有する 度の賦課決定当時施行されていた法三一五条(ただし、昭和三七年法律第六七号による一部改正を経た同三六年法律第七四号、以下、新法三一五条と略称する。)一号本文によれば、市町村は市町村内に住所を有する個人に対して所得割を課する場合において、その者が所得税に係る申告書を提出した場合、政府が総所得金額を更正し、もしくは決定した場合を除き、当該申告書に記載された金額を基準としてその者の法三一三条一項の総所得金額を算定する旨規定されその例外として、新法三一五条一号但し書により、市町村は当該申告書に記載された金額が過少であると認められる場合、自ら調査し、その調査に基づいて総所得金額を算定する旨規定されているほか、法三一六条(ただし、昭和三六年法律第七四号による一部改正を経た同二五年法律第二二六号、以下、新法三一六条と略称する。)により、市町村は、当該市町村の市町村民税の納税義務者に係る所得税の基礎となつた所得の計算が当該市町村を通じて著しく適正を欠くと認められる場合、新法三一五条の規定にかかわらず、自治大臣の許可を得て、各納税義務者について地方税法またはこれに基づく政令で特別の定めをする場合を除くほか、所得税法その他の所得税に関する法令に規定する所得の計算方法に従い自らその所得を計算し、その計算したところに基づいて市町村民税を課することができる旨規定されている。 そして、新法三一五条一号本文の例外規定である同号但し書に基づく所得の計算方法は、右原則規定による基準金額が過少であると認められる場合、市町村独自の個別的、具体的な調査に基づく各納税義務者の所得の実際に即した個別的な所得の算定であるのに対し、新法三一六条に基づく場合は、当該市町村の市町村民税の納税義務者に係る所得税の基礎となつた所得の計算が、それを基礎として市町村民税を賦課した場合に当該市 際に即した個別的な所得の算定であるのに対し、新法三一六条に基づく場合は、当該市町村の市町村民税の納税義務者に係る所得税の基礎となつた所得の計算が、それを基礎として市町村民税を賦課した場合に当該市町村の同種もしくは異種所得者相互間において広範囲にわたつて著しい不平等、不均衡を招来させる等当該市町村を通じて著しく適正を欠くと認められる場合に、市町村が自治大臣の許可を得たうえ、所得税法等の法令に規定する所得計算の方法に従い、自ら一般的に行う所得の再計算であると解せられる。 (2) 本件各賦課決定中、昭和三五、三六年度の賦課決定については、その当時施行されていた法三一六条(ただし、昭和三五年度の賦課決定については同三三年法律第五四号による。同三六年度の賦課決定については同三五年法律第一一三号による一部改正を経た同二五年法律第二二六号、以下、旧法三一六条と略称する。)の規定は新法三一六条の規定と一部字句を異にする(ことに、昭和三五年度の賦課決定当時は、自治庁長官の許可を得るものとされていた。)が、規定の趣旨は同一であるから、新法三一六条の解釈に関する前記説示は旧法三一六条の解釈にそのまま妥当する。 これに対し、右両賦課決定当時施行されていた法三一五条(ただし、昭和三三年法律第五四号による一部改正を経た同二五年法律第二二六号)(以下、旧法三一五条と略称する。)によれば、各号列記以外の部分において、市町村は左の各号に掲げる場合においては、市町村民税の納税義務者の所得について、この法律またはこれに基づく政令で特別の定めをする場合を除くほか、所得税法その他の所得税に関する法令に規定する所得および所得税額の計算方法に従い自らその所得を計算し、その計算したところに基づいて所得税額等を算定して市区町民税を課することができる旨規定し、その二号において、所得 所得税に関する法令に規定する所得および所得税額の計算方法に従い自らその所得を計算し、その計算したところに基づいて所得税額等を算定して市区町民税を課することができる旨規定し、その二号において、所得税法二六条一項の確定申告書または同法二七条一項および二項(同条三項および五項において準用する場合を含む。)の申告書の提出があつた場合において、これらに記載された課税総所得金額もしくは所得税額が過少であると認められる場合において政府がこれを更正しなかつたとき、または政府が更正した課税総所得金額もしくは所得税額が過少であると認められるとき、と規定されている。 そこで、新法三一五条の規定と対比して、旧法三一五条二号の規定の趣旨を考察するに、所得税に係る申告書の提出があつた場合において、右申告書に記載された課税総所得金額が過少であると認められるとき、市町村が独自に所得の計算をなし得る要件として、新法三一五条一号但し書が市町村自らの調査を必要としているのに対し、旧法三一五条二号においてはかかる要件の明示的規定を欠くが、右新旧両法の改正の経緯ならびに市町村独自の所得の一般的な再計算について新法三一六条と同旨の旧法三一六条の規定が存することに鑑みれば、旧法三一五条二号に基づく市町村独自の所得の計算は、新法三一五条一号但し書に基づく計算と同様各納税義務者の所得の実際に即した個別的な所得の再計算であると解するのが相当である。 そして、旧法三一五条二号ならびに旧法三一六条が例外的に一定の要件のもとに市町村による所得の計算ならびに所得税額等を算出できる旨定められ、原則は前年の所得について算定された所得税額等を課税標準として市町村民税を賦課すべきである(旧法二九四条)から、所得税に係る申告書の提出があつた場合における市町村民税賦課の際の所得計算に関する法の規律は、 年の所得について算定された所得税額等を課税標準として市町村民税を賦課すべきである(旧法二九四条)から、所得税に係る申告書の提出があつた場合における市町村民税賦課の際の所得計算に関する法の規律は、新旧両法を通じて同一であると解される。 (四) ところで、本件の場合、前認定のとおり、被告は、農業所得者に対する昭和三五年度ないし三八年度の村民税の賦課にあたり、中富良野村に住所を有していた全農業所得者中、有資格者全員について、一律に本件所得の計算方法を採用したが、これは村民税の賦課にあたり、農業所得者中低額所得者である失格者と高額所得者である有資格者を比較した場合、前者よりも後者を不当に優遇する結果になると判断し、これを避けるための措置として、右有資格者全員について一律になされた所得計算の方法であるから、新旧両法三一六条に関する前記説示に照らして、同条所定の方法に該当するというべきである。 これに対し、被告は、本件所得の計算方法が昭和三五、三六年度については旧法三一五条二号、昭和三七、三八年度については新法三一五条一号但し書およびこれをうける中富良野村村税賦課徴収条例(同村昭和二五年条例第二号、改正昭和三七年条例第二号)二三条の三、一号但し書(以下、右条例二三条の三は新法三一五条の規定と同内容であるので、右条例に関する説示は省略する。)に依拠する旨主張する。 なるほど、前認定のとおり、有資格者提出の所得税に係る申告書記載の金額中、土地改良費と雇人費については一般的に信憑性に乏しいことおよびそのことは被告の理事者や税務担当者が有資格者の所得税の申告に関与、協力していたことから被告にとつて明らかであつたことが窺われる。 しかしながら、各個人ごとに当然差異が考えられる土地改良費と雇人費について、個別的、具体的な調査をすることなく、したがつて各 に関与、協力していたことから被告にとつて明らかであつたことが窺われる。 しかしながら、各個人ごとに当然差異が考えられる土地改良費と雇人費について、個別的、具体的な調査をすることなく、したがつて各有資格者の個別的具体的な所得の実体を捕捉することなく、有資格者全員の所得税に係る申告書記載の総所得金額が過少であるとして、一律に雇人費については昭和三五、三六年度は全額控除を否認し、同三七、三八年度は臨時雇いにつき反当り二、〇〇〇円、常雇いにつき申告額の二分の一の控除のみを認め、その余を否認し、土地改良費については昭和三五年度ないし三八年度を通じて土地改良区負担金の控除のみを認め、その余を否認するがごとき所得の計算方法は、たとえそれが申告額の信憑性が一般的に乏しい故であつたとしても、旧法三一五条二号、新法三一五条一号但し書の予定する所得の計算方法の範囲を逸脱したものと断定せざるを得ない。 したがつて、被告の主張は失当であり、採用の限りでない。 二、而して、被告が本件所得の計算方法を採用するについて、新旧両法三一六条所定の自治大臣(ただし、昭和三五年度については自治庁長官――以下、右記述を省略する。)の許可を得ていないことは、弁論の全趣旨により明らかである。 三、そこで次に、本件各賦課決定の効力について検討する。 (一) 市町村が新旧両法三一六条所定の所得の計算方法を採用するにつき、同条が自治大臣の許可を得なければならないとしている趣旨は、他の市町村の住民との関係で租税負担の公平が保たれるか否かを自治大臣の判断にかからしめようとするところにあると解されるから、自治大臣の許可は市町村が同条所定の方法により計算した所得に基づいて市町村民税を賦課する場合の効力要件をなしているものと解するのが相当である。 したがつて、自治大臣の許可を得ることなく、新旧両 ら、自治大臣の許可は市町村が同条所定の方法により計算した所得に基づいて市町村民税を賦課する場合の効力要件をなしているものと解するのが相当である。 したがつて、自治大臣の許可を得ることなく、新旧両法三一六条所定の方法により計算された所得に基づく市町村民税の賦課決定は、右方法により計算された所得に基づく限り当然無効と解すべきである。 (二) ところで、本件各賦課決定は、前認定のとおり自治大臣の許可を得ることなく新旧両法三一六条所定の方法により算定された所得を基礎としているが、収入金額ならびに土地改良費と雇人費を除く必要経費については、すべて原告の所得税に係る申告書記載の金額を基準としており、土地改良費と雇人費についても右所得税に係る申告書記載の金額を基準として総所得金額を算出するとすれば、それは本件各賦課決定中、昭和三五、三六年度の賦課決定については旧法二九四条により、昭和三七、三八年度の賦課決定については新法三一五条一号本文により適法になし得るところである。 そして、右適法に計算した総所得金額を基準として村民税額を算出すると、右金額と原告が本件各賦課決定に基づいて納付した村民税額との差額は、当事者間に争いのない事実第五項記載のとおりとなる。 このような場合、被告の違法な計算による総所得金額を基礎とする本件各賦課決定を全体として無効とすべきか、あるいは、本来適法に計算し得る限度を超える部分についてのみ無効とすべきかは、見解の分れるところと思われるが、本件においては、原告は違法に計算された所得に基づく税額から、適法に計算した場合の所得に基づく税額を差引いた差額を誤納金として支払いを求めるものであるから右の点について判断するまでもなく、少くとも本件各賦課決定は当事者間に争いのない事実第五項記載の表中、差額欄の各金額に対応する部分は当然無効 額を差引いた差額を誤納金として支払いを求めるものであるから右の点について判断するまでもなく、少くとも本件各賦課決定は当事者間に争いのない事実第五項記載の表中、差額欄の各金額に対応する部分は当然無効と認められ、右差額欄記載の金額合計一万九、一七〇円は無効な賦課処分に基づく誤納金といわねばならない。 第二、誤納金返還請求権の一部時効消滅の認定法一八条の三(昭和三四年法律第一四九号―現行法)一項によれば、地方団体の徴収金の過誤納により生ずる地方団体に対する請求権は、その請求をすることができる日から五年を経過したときは時効により消滅する旨規定され、右規定におけるその請求をすることができる日とは、無効な賦課処分に基づく誤納の場合は、現実に納付がなされた日を指すものと解される。また同条二項により準用される法一八条二項により、右時効については時効の援用は要しないものとされている。 そこで、被告により時効の援用はなされていない本件においても、弁論に現われた事実および前認定の事実によるとき、前記誤納金一万九、一七〇円中、昭和三五年度分の六、五七〇円については、それが昭和三五年一一月四日までに納付され、本訴提起の日が昭和四一年三月一日であることは記録上明らかであるから、右納付日から、本訴提起日に至るまで五年以上経過していることが明らかであり、時効の中断もしくは停止事由の存在について主張、立証のない本件においては、昭和三五年度分の誤納金六、五七〇円の返還請求権はその納付のあつた日から五年を経過した時に時効により消滅したことが認められる。 第三、還付加算金について一、前判示のとおり、被告は原告に対し、無効な賦課処分に基づく誤納金として、当事者間に争いのない事実第五項記載の表中、差額欄の昭和三六年度ないし三八年度分の合計金一万二、六〇〇円を返還すべき義務が 一、前判示のとおり、被告は原告に対し、無効な賦課処分に基づく誤納金として、当事者間に争いのない事実第五項記載の表中、差額欄の昭和三六年度ないし三八年度分の合計金一万二、六〇〇円を返還すべき義務があるところ、法一七条の四、一項(ただし、昭和三四年法律第一四九号)によれば、地方団体の長は、過誤納金を還付すべき場合には、その過誤納金が納付または納入された日の翌日から地方団体の長が還付のため支出を決定した日までの期間に応じ、その金額一〇〇円につき一日三銭の割合を乗じて計算した金額をその還付する金額に加算しなければならない旨規定され、右規定中「三銭」とあるのは、昭和三八年一〇月一日施行の同年法律第八〇号により「二銭」に改正されている。 右規定は、過誤納金の還付を受ける者に対し、地方団体に対する権利として還付加算金請求権を認めたものと解されるから、訴訟において過誤納金の返還を求める場合においても右規定は当然適用されるものと解すべきである。この場合、右規定にいわゆる地方団体の長が還付のため支出を決定した日は存しないことになるが、還付加算金が遅延損害金の性質を有すると考えられるから、過誤納金が完済されるまで前記割合の還付加算金の請求をすることができるものと解するのが相当である。 (註・法一七条の四、一項の規定は、その後昭和四四年四月九日施行の同年法律第一六号により、還付加算金の計算の起算日について改正がなされたが、右法第一六号の付則三条但し書により、右施行日前の期間に対応する還付加算金の計算についてはなお従前の例による旨規定されているから、本件の場合、還付加算金の計算の起算日は右改正前の規定によるべきである。)二、次に、前記誤納金合計一万二、六〇〇円に対する右各納付のなされた日の翌日から原告の求める昭和四〇年一二月三一日までの間の還付加算金額の算 加算金の計算の起算日は右改正前の規定によるべきである。)二、次に、前記誤納金合計一万二、六〇〇円に対する右各納付のなされた日の翌日から原告の求める昭和四〇年一二月三一日までの間の還付加算金額の算定について検討する。 まず、納付日についてみるに、法一七条の四、五項(ただし、昭和三四年法律第一四九号。その後昭和三八年法律第八〇号により、五項が三項に繰上げられたほか、昭和四四年法律第一六号により字句が一部改正されているが、内容的には同趣旨である。)の規定により、昭和三六年度分の誤納金四、七五〇円は同三六年一一月八日、同三七年度分の誤納金三、〇五〇円は同三七年一一月一六日、同三八年度分の誤納金四、八〇〇円は同三八年一一月二五日に各納付されたものとみなされる。 一方、法二〇条の四の二(ただし、昭和四二年六月一日施行の同年法律第二五号によつて一部改正された同三八年法律第八〇号)、二項および七項によれば、還付加算金を計算する場合において、その計算の基礎となる過誤納金の額に一、〇〇〇円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てる旨規定され、右法律第二五号の付則二条において、右改正規定は右施行日以後に還付のため支出を決定した過誤納金にかかる還付加算金について適用する旨規定している趣旨よりすれば、本件の場合も右規定が適用されるべきであると解する。 そこで、以上の説示に従い前記誤納金合計一万二、六〇〇円に対する右各納付のなされた日の翌日から昭和四〇年一二月三一日までの間の還付加算金額を算定する(ただし、昭和三八年九月三〇日までは一〇〇円につき一日三銭、それ以後は二銭の割合による。)と、昭和三六年度分の誤納金については一、三八七円、同三七年度分の誤納金については七七九円、同三八年度分の誤納金については六一三円となるところ、昭和四三年四月一日施行の れ以後は二銭の割合による。)と、昭和三六年度分の誤納金については一、三八七円、同三七年度分の誤納金については七七九円、同三八年度分の誤納金については六一三円となるところ、昭和四三年四月一日施行の同年法律第四号により改正された法二〇条の四の二、五項および七項によれば、還付加算金額に一〇〇円未満の端数があるときはその端数金額を切り捨てる旨規定されており、右法律第四号の付則三条の規定の趣旨より、本件の場合も右改正規定が適用されるべきものと解する。 したがつて、被告が原告に対し、支払いをなすべき還付加算金額は昭和三六年度分の誤納金については、一、三〇〇円、同三七年度分の誤納金については七〇〇円、同三八年度分の誤納金については六〇〇円である。 第四、結論以上判示のとおり、原告の本訴請求は、被告に対し、昭和三六年度ないし三八年度分の誤納金計一万二、六〇〇円およびそれに対する還付加算金計二、六〇〇円の各支払いを求める限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、九二条但し書を適用のうえ、主文のとおり判決する。 (裁判官志水義文上野茂横山匡輝)

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