昭和25(う)606 行進及び集団示威運動に関する徳山市公安条例違反被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和26年12月4日 広島高等裁判所 破棄自判
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      被告人A同B同Cを各懲役五月に処する。      被告人等に対し孰れも原審における未決勾留日数中各拾五日を右本刑に 算入する。      但し被告

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判決文本文4,032 文字)

主文 原判決を破棄する。 被告人A同B同Cを各懲役五月に処する。 被告人等に対し孰れも原審における未決勾留日数中各拾五日を右本刑に算入する。 但し被告人等に対し孰れも本裁判確定の日から参年間右刑の執行を猶予する。 原審における訴訟費用は全部被告人等の負担とする。 理由 本件控訴の趣意は別紙控訴趣意書と題する書面記載のとおりである。よつてこれに対し順次判断をすることとする。 控訴趣意第一点について。 しかし原判決の認定した事実は被告人Bの申請による昭和二十五年三月六日挙行の重税反対徳山市民大会については同市公安委員会により官署の周囲二百ヤードの範囲内において行進を開始若しくは之を終了又は集団示威運動を行つてはならない旨の許可条店が附せられていたにも拘らず同日右条件に違反して徳山税務署前二百ヤード内に於て行進を停止して行われた約二百名の大衆による集団示威運動において被告人Cは指揮者としてこれに参加し次で同税務署内における交渉委員の交渉を激励するため右大衆に労働歌を合唱せしめ被告人Bは右大衆に向つて数回にわたり交渉経過の報告演説をなし被告人Aは同大衆に向つて税務署当局が大衆の面前における交渉を拒絶しおる旨報告演説をなしもつて孰れも右集団示威運動に参加したものであると云うのであつて所論のように徳山税務署前二百ヤード内においてデモ行進を停止した行為だけを違反としたものでないこと及び被告人等三名の共謀の事実については何等触れていないことは原判決自体により明らかである。そして右原判決の認定事実は原判決挙示の証拠により優にこれを認定することができるのであるから原判決には所論のような違法はなく弁護人の所論は独自の見解に基くものであり論旨け理由がない。 同第二点について 右原判決の認定事実は原判決挙示の証拠により優にこれを認定することができるのであるから原判決には所論のような違法はなく弁護人の所論は独自の見解に基くものであり論旨け理由がない。 同第二点について。 既に控訴趣意第一点について説明したように原判決は被告人等が許可条件違反の集団示威運動に各参加した事実を判示事実として認定しておるのであつて所論のように条件違反の集団示威運動を計画した事実についてはこれを認定していないことは原判決自体により自ら明らかである。そして原判決挙示の証拠によれば原判示事実は優にこれを認定することができるのであつて、原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。 同第三点の(一)について。 <要旨第一>先づ徳山市条例の規定が憲法第二十一条の条規に反するかどうかについて考えてみるに憲法第二十一条の条</要旨第一>規によつて保障する集会及び言論の自由は国民の無制約な恣意のままに許されるものではなく常に公共の福祉によつて調整されなければならないことは憲法第十二条の条規により自ら明らかである。 而して徳山市公安委員会の附した許可条件に違反して徳山税務署前二百ヤード内において行進を停止して行われた約二百名の大衆、による集団示威運動に各参加した被告人等の原判示所為の如きは国の事務を妨害し、ひいては公安を害し公共の福祉を害するものであつてかかる所為は憲法の保障する集会及び言論の自由の限界を逸脱し社会生活において道義的に責むべきものであるからこれを犯罪として処罰する徳山市条例の規定は何等憲法第二十一条の条規に反するものではないのである。次に憲法第二十八条の点についてであるが憲法第二十八条が保障するいわゆる団結権乃至団体交渉権の規定は本件のような単なる一般市民の集合に過ぎないものに関しては適用されないのであるから右憲法第二十八条 次に憲法第二十八条の点についてであるが憲法第二十八条が保障するいわゆる団結権乃至団体交渉権の規定は本件のような単なる一般市民の集合に過ぎないものに関しては適用されないのであるから右憲法第二十八条の条規が本件に適用あるものとし、又は適用あることを前提とする論旨は採用することができない。 同第三点の(二)について。 <要旨第二>本件徳山市条例は徳山市議会において制定した地方公共団体である徳山市の条例であつて国会において制定</要旨第二>したものでないことは所論のとおりである。しかし憲法第九十四条には地方公共団体はその財産を管理し事務を処理し及び行政を執行する権能を有し法律の範囲内で条例を制定することができると規定されており、そして又地方自治法第二条第二項には普通地方公共団体はその公共事務並びに従来法令により及び将来法律又は政令により普通地方公共団体に属するものの外その区域内におけるその他の行政事務で国の事務に属しないものを処理すると規定し次で同条第三項には前項の事務を例示すると概ね次のとおりである。但し法律に特別の定があるときはこの限りでないとしその(一)として地方公共の秩序を維持し住民及び滞在者の安全健康及び福祉を保持することと定め更に同法第十四条には普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し条例を制定することができる。普通地方公共団体は法令に特別の定があるものを除く外その条例中に条例に違反した者に対し二年以下の懲役若しくは禁錮十万円以下の罰金、拘留、科料又は没収の刑を科する旨の規定を設けることができると規定しておるのであるから右によれば普通地方公共団体がその公共団体の事務に関し条例を制定し得ることそしてその条例中に条例に違反した者に対し(法令に特別の定があるものを除き)二年以下の懲役若しくは禁錮十万円以 おるのであるから右によれば普通地方公共団体がその公共団体の事務に関し条例を制定し得ることそしてその条例中に条例に違反した者に対し(法令に特別の定があるものを除き)二年以下の懲役若しくは禁錮十万円以下の罰金拘留科料又は没収の刑を科する旨の規定を設けることは憲法において是認されておるものと云うべきである。 尤も憲法第七十三条第六号但書には政令には特にその法律の委任がある場合を除いては罰則を設けることができない旨を規定し政令に対する刑罰権の包括的授権を禁じておるのであるからこの規定の趣旨からおすと条例についても刑罰権の包括的授権は禁じられているのではないかと一応考えられるのであるが、しかし憲法の趣旨とするところは政令は行政権によつて制定されるのであるからこれに刑罰権の包括的授権をするときは立法権に対する行政権の活躍をほしいままにするおそれを招くので行政権による刑罰権の濫用を防止するにあるのであつて、住民の代議会である地方公共団体の議会の議決によつて成立する民主的な基礎を有する地方公共団体の条例にその条例の効力を担保するために刑罰を定めることを包括的に委任することをも禁止する趣旨ではないのである。してみれば憲法第九十四条に基く法律である地方自治法に従い制定された徳山市条例は何等憲法に違反するものではなく従つて被告人等の本件所為に対し右徳山市条例を適用処断した原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。 同第四点について。 <要旨第三>しかし、地方自治法第二条及び同法第十四条によれば地方公共団体の条例はその地方公共団体の区域内にお</要旨第三>いてはその総ての者に効力を及ぼすものであることは自ら明らかであるから徳山市内で行われた本件被告人等の所為に対し徳山市条例の規定を適用処断した原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。 >いてはその総ての者に効力を及ぼすものであることは自ら明らかであるから徳山市内で行われた本件被告人等の所為に対し徳山市条例の規定を適用処断した原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。 ところで職権をもつて調査するに既に控訴趣意第一点について説明したように原判決の認定した事実は重税反対徳山市民大会については官公署の周囲二百ヤードの範囲内において行進を開始若しくは之を終了し又は集団示威運動を行つてはならない旨の許可条件が附せられていたに拘らず右条件に違反して徳山税務署前二百ヤード内に於て行進を停止して行われた約二百名の大衆による集団示威運動において被告人Cは指揮者としてこれに参加し徳山税務署内における交渉委員の交渉を激励するため右大衆に労働歌を合唱せしめ被告人Bは右大衆に向つて数回にわたり交渉経過の報告演説をして参加し被告人Aは右大衆に向つて税務署当局が大衆の面前における交渉を拒否しおる旨報告演説をして参加したと云うのであつてかかる被告人等の所為のごときはかかる集団行為には普通常に附随して起る行為であるばかりでなく本件記録によれば被告人等には前科もないのであるから被告人等の本件行為に対しては執行猶予の言渡をするのが相当であると思料する。 よつて刑事訴訟法第三百九十七条第三百八十一条に則り原判決を破棄し同法第四百条但書により更に判決をすることとする。 原判決の認定した事実に法律を適用するに被告人等の所為は孰れも徳山市条例第六〇号(行進及び集団示威運動に関する条例)第五条第四条第二項に該るのでその所定刑中懲役刑を選択しその所定刑期範囲内で被告人等を孰れも懲役五月に処し刑法第二十一条に則り原審の未決勾留日数中各拾五日を孰れも右本刑に算入し但し情状により同法第二十五条を適用して被告人等に対しては孰れも本裁判確定の日から参年間右刑の で被告人等を孰れも懲役五月に処し刑法第二十一条に則り原審の未決勾留日数中各拾五日を孰れも右本刑に算入し但し情状により同法第二十五条を適用して被告人等に対しては孰れも本裁判確定の日から参年間右刑の執行を猶予し原審における訴訟費用は刑事訴訟法第百八十一条に則り全部被告人等に負担せしむべきものとする。 (裁判長裁判官柳田躬則裁判官藤井寛裁判官永見真人)

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