令和1(ワ)14303 不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和2年3月24日 東京地方裁判所
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令和2年3月24日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和元年(ワ)第14303号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日令和2年2月4日判決 原告ビジネスサポート協同組合 同訴訟代理人弁護士髙根英樹 被告協同組合ビジネスサポート 同訴訟代理人弁護士斎藤浩松森美穂眞並万里江主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,組合員のためにする高速道路ETCカード割引制度の共同精算事業 及び自動車燃料等共同購買事業につき,「協同組合ビジネスサポート」及び「ビジネスサポート」の名称及び表示を使用してはならない。 2 被告は,大津地方法務局平成28年8月1日設立の法人登記中,「協同組合ビジネスサポート」の名称の登記の抹消登記手続をせよ。 3 被告は,原告に対し,597万4000円及びこれに対する平成28年8月 1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,「ビジネスサポート協同組合」の名称で高速道路ETCカード割引制度の共同精算事業を営んでいる原告が,被告に対し,被告が高速道路ETCカード事業等を営むに当たり,「協同組合ビジネスサポート」との名称及びその略称又は通称である「ビジネスサポート」という表示を使用することが,不正競 争防止法2条1 項1 号の不正競争に当たると主張して,①同法3条1 項に基づき,同名称及び同表示の使用の差止めを,②同条2項に基づき,被告の法人登 サポート」という表示を使用することが,不正競 争防止法2条1 項1 号の不正競争に当たると主張して,①同法3条1 項に基づき,同名称及び同表示の使用の差止めを,②同条2項に基づき,被告の法人登記のうち名称部分の抹消登記手続を,③同法4条に基づき,損害賠償金597万4000円及びこれに対する被告の設立日である平成28年8月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案 である。 1 前提事実(証拠等を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。なお,枝番号の記載を省略したものは,枝番号を含む(以下同様)。)(1) 原告原告は,組合員のためにする高速自動車国道及び一般有料道路等の通行料 金の支払代行に関する業務等を事業目的として,平成6年3月29日に設立された協同組合であり,設立時より,「ビジネスサポート協同組合」との名称を使用している(甲1)。 原告の主要業務は,組合員のためにする高速道路ETCカード割引制度の共同精算事業である。 (2) 被告ア被告は,組合員のためにする高速道路ETCカード事業及び自動車燃料等の共同購買事業等を事業目的として,平成28年8月1日に設立された協同組合である。 イ被告は,上記事業を行うに当たり,「協同組合ビジネスサポート」という 名称のほか,その略称又は通称として「ビジネスサポート」という表示を ホームページ等において使用している(甲2,5)。 2 争点(1) 「ビジネスサポート協同組合」又は「ビジネスサポート」(以下,これらを併せて「原告表示」という。)が,原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されているか (2) 被告が「協同組合ビジネスサポート」又は「ビジネスサポート」を使用することにより,原告の営業 併せて「原告表示」という。)が,原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されているか (2) 被告が「協同組合ビジネスサポート」又は「ビジネスサポート」を使用することにより,原告の営業との混同が生じるか(3) 損害の発生及び損害額第3 争点に対する当事者の主張 1 争点1(原告表示が,原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されて いるか)について【原告の主張】原告は,設立当初から,その営業に関して「ビジネスサポート協同組合」の名称及びその略称である「ビジネスサポート」を使用し,積極的に広報宣伝を行ってきた。この他,原告について,①組合員数が342名であること,②活 動範囲が日本全国に及ぶこと,③組合員が多種多様な業種で構成されていること,④原告の営業活動や広報活動,⑤同業者団体への加入やそこでの活動などからすれば,原告表示は,原告の営業であることを示す表示として,全国の取引者及び需要者の間で広く認識されているといえる。 「ビジネスサポート」は,「顧客の営業に役立つ業務を行う」という意味であ り,事業の内容には該当しない。また,「ビジネスサポート」が普通名詞の組合せであるとしても,商品等表示に該当しないというものではない。普通名詞が商品等表示に該当しないのは,当該商品に当該商品の普通名詞を商品等の名称として命名するような場合であり,本件はこれに該当しない。さらに,同一名称を用いる他の団体が存在するだけでは,商品等表示の該当性は否定されない。 【被告の主張】 上記は争う。 「ビジネスサポート」は単に事業内容を表示するにすぎないものである。そして,「ビジネスサポート」という表示が,普通名詞の平凡な組合せであり,ありふれた名称であること,「ビジネスサポート」という名称は広く ジネスサポート」は単に事業内容を表示するにすぎないものである。そして,「ビジネスサポート」という表示が,普通名詞の平凡な組合せであり,ありふれた名称であること,「ビジネスサポート」という名称は広く一般に用いられていることからすれば,「ビジネスサポート」という表示には自他識別力がな く,商品等表示に該当しない。そして,原被告以外にも,「ビジネスサポート」という名称を使用している協同組合等の存在が認められるから,「ビジネスサポート協同組合」にも自他識別力はない。 また,小規模事業者向けのサービスにおいて「ビジネスサポート」という名称はありがちであり,商品等表示として周知性を認めるに足りないし,現に, 「ビジネスサポート協同組合」や「ビジネスサポート」が原告の商品等表示として,需要者に広く認識されているという事実もない。 2 争点2(被告が「協同組合ビジネスサポート」又は「ビジネスサポート」を使用することにより,原告の営業との混同が生じるか)について【原告の主張】 被告は,原告表示と類似する「協同組合ビジネスサポート」又は「ビジネスサポート」をその営業に使用しているところ,原告と被告の事業は同一であり,営業の競合関係からも,誤認混同のおそれが強い。 【被告の主張】上記は争う。 3 争点3(損害の発生及び損害額)について【原告の主張】被告は,平成28年8月1日に設立後,これまでに597万4000円の営業利益を上げており,この金額が,原告が被告の行為により被った損害と推定される。 【被告の主張】 被告の営業利益が原告の損害であると推定されることはない。原告の組合員数が約340社であるのに対し,被告は,原告よりも20年以上後に設立されたにもかかわらず,その組合員数が約750社である 被告の営業利益が原告の損害であると推定されることはない。原告の組合員数が約340社であるのに対し,被告は,原告よりも20年以上後に設立されたにもかかわらず,その組合員数が約750社であることからすれば,被告の利益は被告自身の営業努力等によるものといえる。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(原告表示が,原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されているか)について(1) 不正競争防止法2条1項1号は,「不正競争」として,「他人の商品等表示(人の業務に係る氏名,商号,商標,標章,商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く 認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し,又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し(中略)て,他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」を挙げており,不正競争行為が成立するためには,他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されていること(周知性)が必要である旨を規定している。 そして,法人の名称は,法人の事業又は営業全体を表す点で,個別の商品や役務を表す商標と区別されるものであって,当該事業又は営業との関係でみて一般的名称といえる性質を有するものもあり得るところ,そのような法人の名称は,自他識別力を欠くか,自他識別力が極めて弱いものというべきであるから,当該名称の使用の時期が相当程度に長くその浸透度も極めて大 きいことなどから商品等表示該当性を獲得したといえるなどの事情がない限り,それが法人の営業等を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っているものと認めて周知性を肯定することは,極めて困難といわなければならない。 (2) そこで,以上を前提に,原告表示(「ビジネスサポート協同組合」又は「ビ のとして需要者の間に広く認識されるに至っているものと認めて周知性を肯定することは,極めて困難といわなければならない。 (2) そこで,以上を前提に,原告表示(「ビジネスサポート協同組合」又は「ビ ジネスサポート」)について以下検討する。 まず,「ビジネスサポート」については,「ビジネス」と「サポート」という,いずれも一般的な概念を表現するために用いられるいわゆる普通名詞の単純な組合せであり,原告の主たる事業である,組合員のためにする高速道路ETCカード割引制度の共同精算事業という事業内容との関係からみても,他社(組合員)のビジネスを支援するという業務内容を示すものであり,そ の事業内容の性質を名称化したものとして,一般的名称といえる性質を有するものというほかない。加えて,証拠(乙3)により,実際に,多数の法人が「ビジネスサポート」をその名称の一部に用いていることが認められることをも併せ考慮すれば,「ビジネスサポート」は,自他識別力を欠くか,自他識別力が極めて弱いものというほかはない。 また,「ビジネスサポート協同組合」についても,上記説示のように自他識別力を欠くか,極めて弱い「ビジネスサポート」と,法人の形態を示すものにすぎない「協同組合」を組み合わせたものであるにすぎず,証拠(甲12)により,原被告以外に,「ビジネスサポート協同組合」を名称の一部に用いている法人が複数存在することをも併せ考慮すれば,「ビジネスサポート協同 組合」についても,「ビジネスサポート」と同様に,自他識別力を欠くか,自他識別力が極めて弱いものというべきである。 そうすると,このような原告表示(「ビジネスサポート協同組合」又は「ビジネスサポート」)が,法人の営業等を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っている 極めて弱いものというべきである。 そうすると,このような原告表示(「ビジネスサポート協同組合」又は「ビジネスサポート」)が,法人の営業等を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っているものとして周知性が肯定されることは,当該名称の 使用の時期が相当程度に長くその浸透度も極めて大きいことなどから商品等表示該当性を獲得したといえるなどの事情がない限り,極めて困難というほかない。 しかして,原告の事業が全国の多種多様な業種の企業を対象にしていること(弁論の全趣旨)に照らせば,原告表示の周知性を判断するに当たり,上 記需要者は,特定の業種に限定されない全国各地の企業と認めるのが相当で ある。その上で,原告が,原告表示が広く認識されていることを具体的に立証するものとして提出した証拠(甲21~25,27~29,31)をみても,原告が平成6年から「ビジネスサポート協同組合」という名称を使用していることや,既に取引などにより原告と何らかの関係を有している,都内近郊の企業や金融機関など数社が,原告表示が原告の事業を表示する旨認識 していることが認められるが,それにとどまり,上記のような需要者における浸透度が上記事情を肯定できるほど大きいとは必ずしもいえず,事柄の性質上,これらによって当然に,原告表示が上記のような商品等表示該当性を獲得したといえるなどの事情が存するということはできず,原告表示の周知性を基礎付けるに足りないというほかない。その他,原告は縷々主張するが, その主張内容に照らして本件全証拠を精査しても,原告表示の周知性を認めるに足りるものは見当たらない。 したがって,原告表示は,そのいずれも,原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されているということはできない。 (3) 原告の主張について 表示の周知性を認めるに足りるものは見当たらない。 したがって,原告表示は,そのいずれも,原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されているということはできない。 (3) 原告の主張について ア原告は,その設立時から原告表示を使用していることに加え,①組合員数が342名であること,②活動範囲が日本全国に及ぶこと,③組合員が多種多様の業種で構成されていること,④原告の営業活動や広報活動,⑤同業者団体への加入やそこでの活動などからすれば,原告表示である「ビジネスサポート協同組合」又は「ビジネスサポート」が,原告の商品等表 示として需要者の間に広く認識されていると主張する。 しかし,前記説示のとおり,原告表示自体が,自他識別力を欠くものか,自他識別力が極めて弱いものであり,その需要者における浸透度が商品等表示該当性を肯定できるほど大きいものとは必ずしもいえないことに照らせば,原告が主張する上記事情を考慮したとしても,これらをもって直ち に原告表示の周知性を基礎付けることができることとなるとはいえないと いうほかない。 したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 イ原告は,「ビジネスサポート」は,「顧客の営業に役立つ業務を行う」という意味であり,事業の内容には該当せず,また,「ビジネスサポート」が普通名詞の組合せであるとしても,当該商品に当該商品の普通名詞を商品 等の名称として命名するような場合ではないから,商品等表示に該当しないというものではないし,さらに,同一名称を用いる他の団体が存在するだけでは,商品等表示の該当性は否定されない旨主張する。 しかし,前記説示のとおり,「ビジネスサポート」は,原告の主たる事業である,組合員のためにする高速道路ETCカード割引制度の共同 が存在するだけでは,商品等表示の該当性は否定されない旨主張する。 しかし,前記説示のとおり,「ビジネスサポート」は,原告の主たる事業である,組合員のためにする高速道路ETCカード割引制度の共同精算事 業という事業内容との関係からみても,他社(組合員)のビジネスを支援するという業務内容を示すものであり,その事業内容の性質を名称化したものとして,一般的名称といえる性質を有するものというほかない。そして,これに加えて,証拠(乙3)により,実際に,多数の法人が「ビジネスサポート」をその名称の一部に用いていることが認められることをも併 せ考慮して,「ビジネスサポート」は,自他識別力を欠くか,自他識別力が極めて弱いものというほかはないことなどを踏まえ,原告表示の需要者への浸透度等を検討した上で原告表示の周知商品等表示への該当性(周知性)を否定した前記説示に,不合理な点があるとはいえない。 したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 2 その他,原告は縷々主張するが,その主張内容を精査しても,いずれも前記説示を左右するに足りるものはない。 以上によれば,その余の争点につき判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がない。 3 結論 よって,原告の請求をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官田中孝一 裁判官奥俊彦 裁判官本井修平

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