令和7年10月14日宣告令和7年(わ)第55号判決被告人に対する危険運転致死傷被告事件について、当裁判所は、裁判員の参加する合議体により、検察官大濱新悟、同伊東冬実、国選弁護人渡部泰輔(主任)、同釜井裕介各出席の上審理し、次のとおり判決する。 主文 被告人を懲役5年に処する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和5年8月27日午後10時23分頃、普通乗用自動車を運転し、札幌市a区bc番地先の最高速度が40キロメートル毎時と指定されている右方に湾曲した下り勾配の道路を南区方面から北区方面に向かい進行するに当たり、その進行を制御することが困難な時速約116ないし119キロメートルの高速度で自車を走行させたことにより、自車を道路の湾曲に応じて進行させることができず、自車を左斜め前方に暴走させて同所先歩道上に設置された電柱に自車右前部を衝突させるなどし、よって、自車の同乗者A(当時20歳)に脳挫滅の傷害を負わせ、その頃、同所において、同女を同傷害により死亡させるとともに、同B(当時19歳)に高次脳機能障害の後遺障害を伴う加療約91日間を要する外傷性くも膜下出血等の傷害を負わせた。 (量刑の理由) 1 高速度類型の危険運転致死事案の中でも、本件犯行態様は、片側1車線で道幅が狭く、また下り勾配で速度が落ちにくい道路を、四囲の状況が判断しづらい時間帯に走行中、制限速度を大幅に超えるのみならず、時速約91ないし98キロメートルという限界旋回速度をも優に超える高速度で走行してカーブに突入したものであり、相応に危険である(なお、被告人は不用意に速度が出過ぎていたと 述べているが、そのことはこの種事案の性質上量刑を左右するとはいえない。)。 これによって、被害者Aが てカーブに突入したものであり、相応に危険である(なお、被告人は不用意に速度が出過ぎていたと 述べているが、そのことはこの種事案の性質上量刑を左右するとはいえない。)。 これによって、被害者Aが死亡しただけでなく、被害者Bも、くも膜下出血に加え顎を骨折するなどし、高次脳機能障害の後遺障害により日常生活に支障を来すようになっており、時間の経過に伴う近時の容体が証拠上明確でないものの、同女の傷害も到底軽微といえるものではない。 被告人は、被害女性側から先行車両を追いかけようなどと言われたことを受けて、高速度運転を開始し、これに同女らが「楽しい」などと歓声を繰り返し上げたことから、更に同女らを楽しませたいなどと考えて本件運転行為に及んだものと認められる。酒に酔った被害女性らの軽はずみな態度であったとはいえ、同乗者である同女らの上記言動が被告人の危険運転を心理的に後押ししたことは否定できず、この点は被告人の意思決定に対する非難を多少弱めるといえるが、動機自体に何ら酌むべき点はない。 以上を踏まえると、本件は、その犯情からして、冒頭の同種事案の中で執行猶予を付することができるような極めて軽い部類には位置付けられない。 2 その他の事情をみると、被告人は、本件の罪を認め、また本件捜査にも協力したものと認められ、今後は二度と車両を運転することはないと誓っており、母親も書面でその監督を誓約しているから、更生には一定程度期待できる。さらに、対人賠償無制限の任意保険により被害女性らに対する適切な損害賠償も見込まれ、その他被告人が受けたといえる社会的な制裁等も考慮すべきである。 以上の情状を考慮し、被告人を主文の刑に処するのが相当と判断した。 よって、主文のとおり判決する。 (求刑-懲役6年6月、弁護人の科刑意見-懲役3年、執行猶予5年)令和 主文 以上の情状を考慮し、被告人を主文の刑に処するのが相当と判断した。 よって、主文のとおり判決する。 (求刑-懲役6年6月、弁護人の科刑意見-懲役3年、執行猶予5年)令和7年10月15日札幌地方裁判所刑事第3部 裁判長裁判官渡邉史朗 裁判官西功 裁判官小松美緖
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