平成30(行ウ)453 固定資産税都市計画税賦課処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年9月21日 東京地方裁判所
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判決文本文42,891 文字)

令和3年9月21日判決言渡平成30年(行ウ)第453号固定資産税都市計画税賦課処分取消請求事件主文 1 東京都新宿都税事務所長が平成29年6月1日付けで原告に対してした別紙2物件目録記載の土地及び建物に係る平成29年度の固定資産税及び 都市計画税の各賦課決定処分をいずれも取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求主文1項と同旨 第2 事案の概要 本件は,別紙2物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)及び同記載2の建物(以下「本件建物」といい,本件土地と併せて「本件不動産」という。)の所有者であり,A教の教義に基づき活動する宗教法人である原告が,東京都新宿都税事務所長(処分行政庁。以下「本件都税事務所長」という。) から,本件不動産の一部(①本件建物3階の管理人室〔以下「本件管理人室」という。〕,②本件建物の共用部分の一部〔以下「課税共用部分」という。〕及び③本件土地の一部〔以下「課税土地部分」といい,本件管理人室及び課税共用部分と併せて「本件課税部分」という。〕)について平成29年度の固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の各賦課決定処分(以 下「本件処分」という。)を受けたことから,本件不動産のうち本件課税部分は地方税法348条2項3号及び702条の2第2項(以下,併せて「本件非課税規定」という。)の適用対象たる境内建物及び境内地(以下,併せて「境内建物等」ということがある。)に当たり非課税である旨主張し,被告を相手に,本件処分の取消しを求める事案である。 1 関係法令の定め ⑴ 本件に関係する地方税法及び宗教法人法の定めは別紙3-1及び3-2に記載したとおりである。 ⑵ 本件非 に,本件処分の取消しを求める事案である。 1 関係法令の定め ⑴ 本件に関係する地方税法及び宗教法人法の定めは別紙3-1及び3-2に記載したとおりである。 ⑵ 本件非課税規定の適用対象たる境内建物等の概要について地方税法348条2項3号は,宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法3条に規定する境内建物及び境内地に対しては,固定資産税を課する ことができない旨規定し,地方税法702条の2第2項は,同法348条2項の規定により固定資産税を課することができない土地又は家屋に対しては,都市計画税を課することができない旨規定している。 そして,宗教法人法3条は,境内建物とは,宗教法人の目的(宗教の教義をひろめ,儀式行事を行い,信者を教化育成すること〔同法2条参照〕)の ために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物をいう旨規定し,これに当たるものとして,同法3条1号において,本殿,拝殿,本堂,会堂,僧堂,僧院,信者修行所,社務所,庫裏,教職舎,宗務庁,教務院,教団事務所その他宗教法人の目的のために供される建物及び工作物(附属の建物及び工作物を含む。)を掲げている。 また,宗教法人法3条は,境内地とは,宗教法人の目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう旨規定し,これに当たるものとして,同条2号から7号までにおいて,境内建物が存する一画の土地や宗教上の儀式行事を行うために用いられる土地等を掲げている。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠〔枝番号のあるも のは枝番号を含む。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 原告について原告は,B発祥の世界的宗教であるA教の教義に則り,その布教並びに信徒(以下「A信徒」又は単に「信徒」という。)のための を含む。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 原告について原告は,B発祥の世界的宗教であるA教の教義に則り,その布教並びに信徒(以下「A信徒」又は単に「信徒」という。)のための業務及び事業を行うことを目的として,昭和30年4月22日に本邦に設立された宗教法人で あり,本件不動産の所有者である(甲1,6)。 A教は,仏教やキリスト教などの他の宗教と異なり,住職や神父・牧師のような祭司や聖職者を置かず,信徒の互選による組織運営が行われている。 すなわち,ある地域に9名以上の成人のA信徒がいる場合は,それらの信徒は,その地域の信仰に関する統治組織である地方C会(以下「D」ということがある。)の構成員9名(以下「Dのメンバー」という。)を選挙する。 そして,十分な数のDが存在する国では,各地区から選出された代表者が,Dを統括する全国E会(以下「F」ということがある。)の責任役員9名(以下「Fのメンバー」という。このうち1名は代表役員を務める。)を選挙する。A信徒は,上記各選挙に当たっては,候補者の人柄を熟慮して,「まちがいない忠誠心,無私の献身,練れた精神,歴然とした能力,円熟の経験と いう必要な性格をうまく備えた人物」を選ぶべきものとされている。(甲2,4)。 Dは,その担当地区において,宗教活動を監督する責任を負い,その業務は,A教の布教,教育計画の実行,地域の広報活動と出版,礼拝式及び会合の開催,財政,宗教相談とされている。Fは,Dの活動を監督し,調整する。 (甲2,4)日本においては,東京都をはじめとする全国各地にDが存在しており(以下,東京都に所在するDを「東京地区D」という。),これらを統括するFが原告である。原告は,①A教の研究会,公開講演会,その他教育的・文化的・精神 東京都をはじめとする全国各地にDが存在しており(以下,東京都に所在するDを「東京地区D」という。),これらを統括するFが原告である。原告は,①A教の研究会,公開講演会,その他教育的・文化的・精神的会合の開催,②A教に関する図書,パンフレット,月報等の出版・ 配布,③内外のAの団体,その他自然人・法人と各種の連絡を取り,A教の根本教義たる人類の統合,世界平和の実現に努めることを目的としている。 (甲2,3)⑵ 本件不動産についてア原告は,昭和35年7月11日,本件土地を売買により取得し,以来, 本件土地上に本部事務所の建物を所有し,A教の活動のために使用してき た(甲6の1)。 原告は,昭和57年6月30日,本件土地上に新しく本件建物を建築し,同建物を「東京Aセンター」と呼称して原告の本部事務所として使用している。本件土地は,専ら本件建物の敷地として用いられている。登記簿上,本件建物の種類は礼拝所,本件土地の地目は境内地とされている。(甲5, 6)イ本件建物は3階建てであり,その構造は以下のとおりである(甲6,8,9,乙6)。 (ア) 1階(床面積115.83㎡。別紙6図面1枚目参照)玄関,エントランスホール,炊事場,集会室,事務室が存在する。 (イ) 2階(床面積115.83㎡。別紙6図面2枚目参照)事務室,図書室,会議室が存在する(甲9)。 (ウ) 3階(床面積112.59㎡。別紙6図面3枚目参照)本件管理人室のほか,礼拝室,洗面所,資料室,書庫・倉庫(信徒宿泊室を兼ねている。)が存在する。 礼拝室には,A教の重要人物であるGの遺体にかけられた布が保管されており,宗教上意義のある品とされている。 本件 拝室,洗面所,資料室,書庫・倉庫(信徒宿泊室を兼ねている。)が存在する。 礼拝室には,A教の重要人物であるGの遺体にかけられた布が保管されており,宗教上意義のある品とされている。 本件管理人室(34.83㎡。別紙6の図面3枚目の青囲いの部分。)は,本件建物の管理人(以下「管理人」という。)が起居するための部屋であり,管理人の寝室等のほか,台所,トイレ,浴室,脱衣所があり, ソファ,寝具その他の家具がある。 本件建物の外から本件管理人室に入るためには,共用の玄関,階段及び廊下等を通過しなければならず,本件管理人室は,本件建物のその余の部分と一体の構造になっている。 (エ) 屋上部分 塔屋(12.74㎡)があり,倉庫の用に供されている。 ⑵ 管理人についてア原告は,フィリピン出身の女性信徒であるH(以下「H」という。)との間で,平成24年10月20日,Hが本件建物の管理人に就任すること及び本件管理人室に居住すること等を内容とする契約を締結し,平成26年10月20日及び平成28年10月20日にそれぞれ更新した(甲13。 以下,更新の前後を問わず同契約を「本件管理契約」という。)。本件管理契約に基づき,Hは,平成24年10月から管理人に就任し,本件管理人室に居住している。 Hは,平成12年頃からA信徒になり,平成15年11月に来日した。 Hは,本件管理人室に居住する前は,東京都足立区(住所省略)に居住し, 平成25年11月までは,英語教師として勤めるとともにI所在の会社で勤務していたが,同月以降は東京都調布市所在の会社で勤務している。(証人H)イ Hは,原告の責任役員となったことはないが,遅くとも平成24年6月までに,東京地区Dのメンバーになっており,遅くと 勤務していたが,同月以降は東京都調布市所在の会社で勤務している。(証人H)イ Hは,原告の責任役員となったことはないが,遅くとも平成24年6月までに,東京地区Dのメンバーになっており,遅くとも平成27年までに, 若年の信徒に対応するJ(原告の役職の1つ)の担当にもなっていた。(甲3,乙8)⑷ 本件管理契約の概要について本件管理契約に係る契約書(更新の際の契約書を含む。以下同じ)には,以下の条項が定められている(甲13)。 ア原告は,Hが本件建物の管理人として以下の条件の下で住むことを承認する(契約期間は2年間)。 イ本件建物に居住する者は管理人及びその家族に限る。 ウ管理人は,次の(ア)から(カ)までの目的(それぞれの内容は,後記認定事実⑶に記載する。)のために本件建物を常に開放しておくこと。 (ア) 19日毎のK (イ) 聖なる日の活動(ウ) L(エ) Mやスタディサークル活動(オ) F,D,委員会,個人Aのための会議(カ) その他のA関連の活動 エ管理人は,上記の目的のために,本件建物を常に清潔で利用できる状態に保っておくこと。 オ管理人は,本件建物が位置する市や町の機関や住民と良好な関係を育み,保つこと。 カ管理人は,以下の事項については,事前に原告の承認を要する。 (ア) 本件建物を営利目的など上記以外の目的に使用するとき。 (イ) 本件建物の全体又は一部を改修したり,修理したりするとき。 (ウ) 本件土地内の建物や所属物を廃棄したり,手を加えたりするとき。 (エ) 家族以外の者を本件建物に宿泊させるとき。 キ管理人は,独自の生計を立てること。原告は管理人としての給与や経済 的援助をする義務はない。 ク管理 たり,手を加えたりするとき。 (エ) 家族以外の者を本件建物に宿泊させるとき。 キ管理人は,独自の生計を立てること。原告は管理人としての給与や経済 的援助をする義務はない。 ク管理人が外国人居住者である場合,適切なビサを有していること。 ケ管理人は,家賃を支払う義務はない。 コ管理人は,光熱費・水道費を支払う義務はない。 サ本件建物に開設されている電話の権利は原告が所有するが,月々の電話 料金支払は,基本料金を含めて管理人の責任とする。 シ自然な消耗や老朽によるもの以外で,管理人の不注意や無理な使用により生じる損害や修理の費用の支払は,管理人の責任とする。 ス管理人は,原告の書面による許可なくしてペットの飼育をすることができない。 ⑸ 本件建物に勤務する事務員について 本件建物は,日本全国のDを統括する原告の本部事務所として使用されており(上記⑴,⑵),その業務を行うため,管理人とは別に,原告から有給で雇用されている約2名の事務員が勤務している。事務員の標準的な勤務時間は午前10時から午後4時までであるが,早いときは午前9時頃に出勤することがあり,遅いときには午後9時頃まで残業することがある。事務員は, 基本的には,経理事務を含め,原告の運営等に関する各種事務(これらの事務の1つとして,本件建物の管理も含まれている。)を扱う。(証人H)⑹ 本件処分に至る経緯ア本件不動産は,平成27年度以前においては,その全部につき,固定資産税等を課されたことがなかった。しかし,本件都税事務所長は,平成2 7年に実施した調査に基づき,同年10月30日,本件不動産のうち本件課税部分については本件非課税規定の適用対象たる境内建物等に当たらず,課税対象に当たると認定した。 都税事務所長は,平成2 7年に実施した調査に基づき,同年10月30日,本件不動産のうち本件課税部分については本件非課税規定の適用対象たる境内建物等に当たらず,課税対象に当たると認定した。 なお,本件都税事務所長は,本件課税部分の面積を算定するに当たり,本件建物の床面積(合計356.99㎡)から,本件建物の共用部分(玄 関,エントランスホール,廊下,階段等。合計38.94㎡)を除いた部分を更に①本件管理人室(34.83㎡)と②それ以外の部分(283. 22㎡)とに分け,上記①と②の合計床面積のうちに上記①が占める割合をもって按分割合(以下「本件按分割合」という。)とし,上記共用部分の床面積に本件按分割合を乗じて得た床面積(4.26㎡)を課税共用部 分の床面積とし,これと上記①との合計39.09㎡が課税対象であるとした。また,課税土地部分については,本件土地の地積に本件按分割合を乗じて得た地積(40.52㎡)を課税土地部分の地積とした。 (以上につき,乙1,2,4,9,10)イ本件都税事務所長は,平成28年6月1日付けで,原告に対し,本件不 動産のうち本件課税部分に係る平成28年度の固定資産税等の賦課決定 処分をした(乙12)。 ウ原告は,上記イの賦課決定処分を不服として審査請求をしたが,東京都知事は,同審査請求は,審査請求期間の経過後にされた不適法なものであるとして,これを却下する裁決をした。原告は,上記イの賦課決定処分の取消しの訴えを提起したが,東京地方裁判所は,平成29年11月9日, 原告の訴えを却下する判決をし,同判決は確定した。(乙13,14,19)エ本件都税事務所長は,平成29年6月1日付けで,原告に対し,本件不動産のうち本件課税部分に係る平成29年度の固定資 原告の訴えを却下する判決をし,同判決は確定した。(乙13,14,19)エ本件都税事務所長は,平成29年6月1日付けで,原告に対し,本件不動産のうち本件課税部分に係る平成29年度の固定資産税等の賦課決定処分(本件処分)をした。なお,本件処分による固定資産税の納付税額は 14万8500円であり,都市計画税は3万1800円である。(甲10,乙15~17)⑺ 本件訴訟に至る経緯ア原告は,本件処分を不服として,平成29年8月28日付けで審査請求をしたが,東京都知事は,平成30年5月16日付けで,上記審査請求を 棄却する旨の裁決をした(甲11,乙18)。 イ原告は,平成30年10月18日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 3 争点本件の争点は,本件処分の適法性であり,具体的には,本件不動産のうち本件課税部分(本件管理人室,課税共用部分及び課税土地部分)が,本件非課税 規定の適用対象たる境内建物等に当たるか否かである。 4 当事者の主張争点に関する当事者の主張の要旨は,別紙4記載のとおりである。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,本件不動産のうち本件課税部分は,本件非課税規定の適用対象 たる境内建物及び境内地に当たり,非課税とされるべきものであるから,これ らに当たらないことを理由に本件課税部分につき固定資産税等を賦課した本件処分は違法であり,その取消しを求める原告の請求は理由があるから認容すべきものと判断する。その理由の詳細は以下のとおりである。 1 判断枠組み⑴ 本件非課税規定である地方税法348条2項3号は,その適用対象たる境 内建物及び境内地について,宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法3条に規定する境内建物等であると定め, 組み⑴ 本件非課税規定である地方税法348条2項3号は,その適用対象たる境 内建物及び境内地について,宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法3条に規定する境内建物等であると定め,同条1号は,本殿,拝殿,本堂,会堂,僧堂,僧院,信者修行所,社務所,庫裏,教職舎,宗務庁,教務院,教団事務所その他宗教法人の目的(宗教の教義をひろめ,儀式行事を行い,信者を教化育成すること)のために供される建物及び工作物が「境内建物」 に当たるものと規定している(関係法令⑵)。 ⑵ このように,宗教法人法3条1号が境内建物について,宗教法人が布教活動,儀式行事,信者の教化育成の実施に直接用いられる場所(例えば,本殿・本堂,信者修行所など)のみならず,庫裏・教職舎のように住職・牧師等が起居する建物や,教団事務所のように宗教法人の組織運営の事務を行うため の建物も含まれるものと定めているのは,これらの建物を用いることが宗教法人の目的を達成するために通常必要とされていることに鑑み,これらの建物も同目的のために供されるものとして宗教法人法に定める各種の規律(同法19条,23条,24条,52条2項7号等参照)にかからせることを適当としているためであると解される。また,同法3条1号が上記のとおり「そ の他宗教法人の前条に規定する目的のために供される建物及び工作物」が境内建物に含まれると定めているのは,各々の宗教法人によって教義,信条,宗教団体の宗風,伝統等が異なることから,これらの教義等に照らし,当該建物を用いることが当該宗教法人にとって上記目的を達成するために必要なもので,当該建物につき上記規律にかからせることが適当であるといえる場 合には,これを境内建物に含めることが相当であるとしたものと解される。 ⑶ そ 上記目的を達成するために必要なもので,当該建物につき上記規律にかからせることが適当であるといえる場 合には,これを境内建物に含めることが相当であるとしたものと解される。 ⑶ そして,地方税法348条2項3号が「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法3条に規定する境内建物」について固定資産税を課することができないものとしているのは,同条の境内建物に該当する建物が専らその本来の用に供されている限りは,宗教の教義を広め,儀式行事を行い,信者を教化育成するという宗教法人の目的のために供されるものとして,その性 質上,これが経済的活動の基礎となって収益が生じることを通常期待できないため,これを課税の対象から除外したものと解される。 ⑷ 以上によれば,宗教法人が所有する建物が地方税法348条2項3号の適用対象たる境内建物に該当するか否かを判断するに当たっては,①まず,宗教法人法3条に規定する境内建物に該当するかにつき,同条1号に例示的に 列挙された建物(本堂等)に当たるか否かのほか,当該宗教法人の教義・信条や宗風・伝統等に照らし,当該宗教法人にとって,当該建物を用いることが,宗教の教義を広め,儀式行事を行い,信者を教化育成するという宗教法人の目的を達成するために必要なもので,当該建物につき宗教法人法に定める規律にかからせることが適当なものといえるか否かという観点から検討し た上,②当該建物が宗教法人法3条の境内建物に該当するとした場合には,これが専らその本来の用に供されているか否かを検討すべきである。 なお,上記の各検討に当たっては,信教の自由の保障及び国家の宗教的中立性の確保等の観点に照らし,外形的事実からはうかがい知ることのできない宗教法人内部の主観的な意図にまで立ち入るのではなく,一般の社会通 ,上記の各検討に当たっては,信教の自由の保障及び国家の宗教的中立性の確保等の観点に照らし,外形的事実からはうかがい知ることのできない宗教法人内部の主観的な意図にまで立ち入るのではなく,一般の社会通念 に基づいて外形的,客観的にこれを行うべきである。 2 認定事実前記前提事実並びに掲記の証拠(枝番号のあるものは枝番号を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ⑴ A教について ア A教は,1844年,Bの宗教指導者Nが神からの啓示を受けたと宣言 し,Nに帰依する人々が現れたことに起源を有する世界的な宗教である。 今日のA教の教義は,初期の指導者Oが残した原理をもとに,その息子であるGが発展させたものである。A教は,19世紀末までに北米大陸に広がり,その後1世紀の間に世界のほとんど全ての国や地域に及び,最も信徒の多いインドには200万人以上の信徒がいる。(甲15の1,29) イ A教においては,キリスト教やイスラム教のような他の組織化された宗教と異なり,祭司や聖職者は存在せず,信徒のために聖典を解釈する専門家の学僧も存在しない。これは,読み書きのできる人がわずかであった時代に発祥した上記他の宗教においては,聖書やコーラン等の聖典に記載されている内容を信徒に告げたり,教義等に関する信徒の理解を援助する者 が必要であったのに対し,現代になって発祥したA教においては,信徒が独力で聖典を読み,理解することが可能であるためである。A教においては,聖職者がいない代わりに,信徒同士で集まり,あるいは信徒が友人や隣人を集会に招待するなどして,信仰上の問題について疑問点に答えたり,自らの信仰や精神の道程について議論をするなどしている。(甲15 の2,30,乙24)ウ A教の教義等は は信徒が友人や隣人を集会に招待するなどして,信仰上の問題について疑問点に答えたり,自らの信仰や精神の道程について議論をするなどしている。(甲15 の2,30,乙24)ウ A教の教義等は以下のとおりである(甲4の1及び3,15の1,16,28)。 (ア) 人間は誰でも,本来精神的な存在である。人はそれぞれ,道理をわきまえた不滅の魂を持っている。魂の充実には精神的な栄養が必要であ る。祈り,聖典,神の愛,高い道徳,人類への奉仕は,魂の食物である。 地上での時間は,精神の質を高め,神へと近づくために費やすべきである。魂は死後も生き続ける。肉体の死により,魂は神のもとに帰る。信徒が死亡した場合,その遺体は,速やかに土葬すべきである。 (イ) 全ての人類は1つの人種であり,等しく神の子である。人は,宗教 や人種,政治,国籍及び階層に基づくいかなる偏見も拭い去らなければ ならない。女性と男性は平等である。極端な貧富の差は撤廃しなければならず,子供は全て基礎教育を与えられるべきである。A教の重要な目標は,人類の福祉の増進にある。 (ウ) 自己の精神の成長のためには,他人への奉仕が重要な方法となる。 他の人々を助けることは,真の人間の特性である。A信徒は,他人を助 けるために,惜しげもなく自分の時間や能力を提供する。また,A信徒は,各自職業に就いて独自に生計を立てるべきである。仕事につくことは義務であり,神を崇拝することであり,信仰の1つである。A信徒は,奉仕活動の経費を自分で負担する。 ⑵ A教の機構及び原告について ア A教は,236の国又は地域において共同体を有しており,地方C会(D)は約1万1700以上,全国E会(F)は,約180以上存在する。 A教において最も権威を有する組織は,イスラ について ア A教は,236の国又は地域において共同体を有しており,地方C会(D)は約1万1700以上,全国E会(F)は,約180以上存在する。 A教において最も権威を有する組織は,イスラエルのPに所在する国際的な統治機構であるQであり,そのメンバーは各国のFから選挙される。A教の礼拝堂は,アメリカ合衆国のイリノイ州,インドのニューデリー,ウ ガンダのカンパラ,オーストラリアのシドニー,ドイツのフランクフルト,パナマのパナマシティ及びサモアのアピアにあるのみであり,A教の礼拝式はほとんどが個人の自宅か集会所(A教センター)で行われている。(前提事実⑴,甲4の2,29,乙24)イ日本におけるFである原告には,各種委員会等が設置されており,人材 開発局,外務局,資産管理局等のほか,J(若手の信徒に対応),葬祭デスク(信徒が亡くなった際の業務を担当),メーリングリスト・ウェブサイト管理デスク等があり,各地のDのメンバーが任命されている。本件建物の管理人であるHは,東京地区Dのメンバーであり,かつ,原告の委員会であるJの担当である。日本においては,東京地区Dのほか,札幌,仙 台,宇都宮,横浜,名古屋,芦屋,神戸,山陽,宇部,山口,高松,福岡, 久留米等にもDが存在している。(前提事実⑶,甲3)ウ原告は,本件建物を本部事務所(東京Aセンター)とし,これを,信徒が集まり宗教行事を行う集会所のほか,礼拝施設,遠方から来訪した信徒の宿泊施設,原告の運営事務を行う事務所などに用いている(前提事実⑵,⑸)。 原告は,本件建物を管理するため,本件建物に管理人を置き,管理業務を行わせている。本件管理契約によれば,管理人の業務は,後記⑶のような本件建物で行われるA教の宗教行事や組織活動(以下「イベント等」 原告は,本件建物を管理するため,本件建物に管理人を置き,管理業務を行わせている。本件管理契約によれば,管理人の業務は,後記⑶のような本件建物で行われるA教の宗教行事や組織活動(以下「イベント等」ということがある。)のために本件建物を常に開放するとともに,本件建物を常に清潔で利用できる状態に保つことであり,前者(常に開放すること) には,電話やメールによる本件建物へのアクセスを可能にすること,利用者のために様々なコーディネートや調整をすること,イベント等の参加者のために調理をし,飲食を提供するなどしてもてなすことなどが含まれ,後者(利用できる状態の保持)には,本件建物の清掃のほか,防犯のための見回り・点検をすることなども含まれる。また,管理人が外泊する場合 には,原告の許可を得て,代わりの者に本件建物の管理を行わせなければならない。(前提事実⑷,甲20,23,証人H)本件建物の管理人の選任及びその更新については,原告の定例会議において検討及び決議が行われている(甲22)。 管理人の業務はA信徒の奉仕として無報酬で行われるものであり,管理 人は無償で本件管理人室に居住できる反面,他の信徒と同様に自らの職業を持ち,余暇(平日の出勤前後の時間帯)や休日を管理人の業務に充てることになる。そのため,管理人となる者には,自身の時間等を犠牲にしてもA教の共同体のために貢献しようとする姿勢が求められる。(前提事実⑷,上記⑴ウ,証人H) ⑶ 本件建物で行われるイベント等としては,以下のものがあり,土曜日・日 曜日又は平日の夜間に行われることが多い。そのスケジュールは,「集いの予定表」として葉書等に記載され,信徒に周知されている。(甲2,5,13,20~25,30,証人H)アイベント等の種類・内容(ア) の夜間に行われることが多い。そのスケジュールは,「集いの予定表」として葉書等に記載され,信徒に周知されている。(甲2,5,13,20~25,30,証人H)アイベント等の種類・内容(ア) 19日毎のK 19日毎のKとは,A暦の1暦月である19日毎に信徒が集まり,祈りをささげ,礼拝を行い,Aの教えについて互いに説き合う学びの場であり,信徒同士で食事を共にすることとされている。 (イ) 聖なる日の活動Oの誕生日など,A教にとって聖なる特別な日を祝う行事である。そ こでは信徒同士が祈りをささげ,食事を共にし,その聖なる日をテーマにしたAの教えについて自己の考えを述べるなどの学びの場が設けられる(集いの予定表では,「聖約の日」と表記されている。)。 (ウ) L正式には「Lミーティング」といい,「炉辺集会」と訳される。元々 は個人の家で暖炉を囲んで開かれた小さな勉強会であり,そこでは信徒同士がそれぞれAについて互いの話を聴き,学ぶほか,信徒の友人らも招待してこれに参加させることができる(集いの予定表では,「Sの会」と表記されている。)。 (エ) M,スタディサークル活動 Mやスタディサークル活動は,聖典をベースとした教科書を使って,A教の教義等を系統的に勉強する場である。 (オ) F,D,委員会,個人Aのための会議本件建物においては,F(原告)の定例会のほかに,日本全国のDのメンバー等が一堂に集結し,日本におけるA教の宗教活動の方針が決定 される「T会議」,関東一円のA信徒が集まり,当該地域における宗教 活動の方針や課題が話し合われる「U会議」,東京地区Dの会議や,年に1回開かれる年次大会等,組織運営に関わるイベント等が開催されて 「T会議」,関東一円のA信徒が集まり,当該地域における宗教 活動の方針や課題が話し合われる「U会議」,東京地区Dの会議や,年に1回開かれる年次大会等,組織運営に関わるイベント等が開催されている。そのほか,各種委員会会議も行われている。 (カ) その他のA関連の活動その他のA関連の活動としては,子供及び青少年のための勉強会,若 年信徒のための活動(ミーティング,勉強会,勉強合宿,親睦会等),海外から訪れるAの要人との懇話会や勉強会等がある。 イ上記アのイベント等の企画は原告やDにおいて決定し,信徒への周知(葉書の郵送等)もDにおいて行っている。本件建物の管理人は,決定されたイベント等の実施に当たり,本件建物の施設設備が使えるように準備をし, 参加者への飲食の提供等を行っている。年次大会のような大規模なイベント等では多数の信徒のボランティアにより飲食の提供が行われるが,通常のK等での飲食の提供は管理人がほぼ1人で行っている。 ウ平成28年5月から同年7月まで,同年11月から同年12月まで,平成29年1月から同年5月までの間に,本件建物に信徒を集めて行われた イベント等は別紙5のとおりである(甲5)。これによれば,信徒同士が食事を共にしつつ行う集会であるKは,おおむね月1~2回程度行われており,そのほかにも要人を囲んでの食事会や聖約の日の集いなど飲食の提供が必要なイベント等が行われている。これら飲食の提供を伴うイベント等は土曜日・日曜日に行われることが多いが,平日の夜間に行われる場合 もあり,この場合には終了時刻が午後8時半か9時頃となる。また,Sの会もおおむね月に2回程度行われているところ,これも土曜日・日曜日又は平日の夜間に行われることが多く,夜間に行われる場合には終了時刻が午後9時 場合には終了時刻が午後8時半か9時頃となる。また,Sの会もおおむね月に2回程度行われているところ,これも土曜日・日曜日又は平日の夜間に行われることが多く,夜間に行われる場合には終了時刻が午後9時頃となる。管理人であるHは,これらのイベント等に際し,清掃や買出し,調理等を行い,その終了後には片付け,清掃等を行っている。 そのほか,D等が主催する上記イベント等以外にも,上記アのとおり各種 の会議や勉強会等のため,あるいは世界各国,国内各地から東京に訪れた信徒が礼拝や宿泊をするため,本件建物は信徒により随時利用されている。 ⑷ 本件管理人室の状況及びHの生活・業務の実態等(甲13,14,19~26,乙13,証人H) ア本件管理人室の状況本件管理人室は,礼拝室,資料室や,信徒宿泊室を兼ねる書庫・倉庫等のある本件建物の3階の一角に位置し,3階床面積112.59㎡のうち34.83㎡を占めている。本件管理人室から建物の外へ直接つながる出入口はなく,本件管理人室に入るためには,本件建物の共用部分である玄 関,階段,廊下(廊下は上記礼拝室等にそれぞれ面している。)を通過することが必要である。(前提事実⑵イ)また,本件管理人室は,四畳半及び六畳の和室,台所,トイレ,浴室等から成り,四畳半の和室は管理人の寝室として使われているが,六畳の和室にはソファのほか,パソコンが置かれたテーブルと椅子,ホワイトボー ドが設置され,固定電話機(電話番号は,本件建物の各階に備え付けられた他の電話機と共通のものである。)も設置されており,事務用スペースとしても用いられている。本件管理人室の出入口は施錠することができ,その錠は管理人及び本件建物の管理担当の事務員が保管している。(前提事実⑵イ,甲14, のである。)も設置されており,事務用スペースとしても用いられている。本件管理人室の出入口は施錠することができ,その錠は管理人及び本件建物の管理担当の事務員が保管している。(前提事実⑵イ,甲14,26) イ現在の管理人であるHは,管理人になる以前から東京地区Dのメンバーであったところ,平成24年9月頃に前の管理人が急に帰国したため本件建物の管理人が不在となり,本件建物は清掃もされず,鍵の管理も誰が行っているか分からないような状態となっていたことから,本件建物におけるイベント等の実施や日々の活動に支障が生じていた。そのため,Hは, 自ら管理人に応募することとし,同年10月20日に原告との間で本件管 理契約を締結するに至った。なお,管理人に就任した当初,Hは足立区(住所省略)の会社に勤務していたため通勤時間が長く,管理人の業務のために十分な時間を確保するのが困難であったが,平成25年11月以降は調布市の会社に転職し,十分な時間を確保することができるようになった。 (前提事実⑶ア,甲22,25,証人H) ウ平日(イベント等に関する業務がない日)におけるHの生活及び業務は,原則として以下のとおりである。 (ア) 午前6時30分から午前8時までの間に,本件建物の各階の窓,カーテン及びドアが閉まっているか等を見回り,清掃やごみ出しをする。 清掃は,毎日,本件建物の1階から3階までの全てにつき行う。 (イ) 出勤前に本件管理人室に鍵をかけ,その鍵を持って出勤する。午前9時から午後5時又は午後6時頃まで会社で勤務し,午後7時頃までに本件建物に帰宅する。この間,本件管理人室は誰もいない状態となる。 (ウ) 会社から帰宅すると,本件建物の見回りを行い,本件建物を来訪した信徒が使用した電化製品( まで会社で勤務し,午後7時頃までに本件建物に帰宅する。この間,本件管理人室は誰もいない状態となる。 (ウ) 会社から帰宅すると,本件建物の見回りを行い,本件建物を来訪した信徒が使用した電化製品(エアコンやガスヒーター等)を確認し,使 用しない電化製品の電源を切るなどの点検を行う。また,本件建物のエントランス部分と階段部分の照明を,防犯灯として点灯させる。これらを終えてから,本件管理人室において夕食を取る。その後は,就寝までの間,同室内に設置されたパソコンでメールを確認し,電話があれば応答する(このような電話及びメールへの対応は,早朝に行われることも ある。)。これら電話やメール等の内容は,本件建物で行われるイベント等に関する問合せや,宿泊する信徒の連絡等である。事務員(前提事実⑸)の帰宅後,本件建物の戸締りをする。戸締り後は,宿泊する信徒がいない限り,本件建物内にはHしかいない状態となる。午後11時から午後12時までの間に就寝する。 エ Hは,母国にいる家族に会いに行くときなどに原告の許可を得て6日間 から10日間程度外泊することもあるが,本件建物において週末にイベント等が行われることも少なくないため,週末も外出せず本件建物にいることが多く,外泊することはほとんどない。 オ本件建物でイベント等が行われる際,Hは,上記⑶イ,ウのとおり,管理人として,会場の設営を含むイベント等の準備,問合せへの対応,来訪 者の迎入れ,提供する飲食物の購入及び調理,開催前後の清掃を行っている。ただし,来訪者が多数であるなど繁忙状況によっては,事務員のうち本件建物の管理を担当している者が手伝うこともあるほか,平日の日中でHが会社に出勤している時間帯に行われるイベント等については,事務員が対応する。 カ ど繁忙状況によっては,事務員のうち本件建物の管理を担当している者が手伝うこともあるほか,平日の日中でHが会社に出勤している時間帯に行われるイベント等については,事務員が対応する。 カ Hは,管理人に就任して以降,原告から給与等の経済的対価を受けたことはなく,本件管理人室の家賃を支払ったこともない。本件建物の水道光熱費,通信費は,本件管理人室に係るものを含め,原告が負担している。 3 検討前記1の判断枠組みに基づき,前記前提事実及び上記認定事実を踏まえて検 討する。 ⑴ 本件管理人室が宗教法人法3条の境内建物に該当するかについてア本件管理人室は本件建物の3階の一角に位置するところ,本件建物(共用部分を除く。)のうち本件管理人室以外の部分については,A信徒が集まり宗教行事を行う集会所,礼拝施設,信徒の宿泊施設,日本全国のDを 統括し宗教活動を監督する原告の運営事務を行う事務所等として使用されるものであり,これが宗教法人法3条の境内建物に該当することは明らかである(被告もこの点については争っていない。)。 問題は,本件建物の管理人が起居するための施設である本件管理人室もまた,A教の教義を広め,儀式行事を行い,信徒を教化育成するという宗 教法人の目的を達成するために必要なもので,宗教法人法に定める規律に かからせることが適当なものといえるか否かという点である。 イそこで,この点を検討するに当たり,まず,管理人の業務が宗教法人の目的を達成するために必要なものといえるか否かを検討する。 本件管理契約に定められた管理人の業務は,本件建物で行われるA教の宗教行事や組織活動(イベント等)のために,本件建物を常に開放すると ともに清潔で利用できる状態に保つことであり,具体的には 本件管理契約に定められた管理人の業務は,本件建物で行われるA教の宗教行事や組織活動(イベント等)のために,本件建物を常に開放すると ともに清潔で利用できる状態に保つことであり,具体的には,電話やメールによる本件建物へのアクセスを可能にすること,利用者のためのコーディネートや調整をすること,イベント等の参加者のために調理をし,飲食を提供するなどしてもてなすこと,本件建物を清掃し,防犯のための見回り・点検をすることなどである(認定事実⑵ウ)。 A教においては,祭司や聖職者が置かれず,各々の信徒が独力で聖典を読んで学ぶべきものとされていることから,信徒同士で集まり,あるいは信徒が友人等を集会に招待するなどして,信仰上の問題について議論や質疑応答をする機会を持つことが特に重視されており(認定事実⑴イ),本件建物で行われるK等の宗教行事はA教の宗教的活動の中核を成すものと いえる。そして,これらの行事においては信徒同士が食事を共にすることが大切なこととされている(認定事実⑶ア)。また,A教では,共同体の組織運営が信徒からの選出によるD及びFの活動によって行われており,これらのメンバーの会議や委員会活動等は,A教の組織運営に欠かせないものである(前提事実⑴,認定事実⑵イ)。さらに,A教は236の国又 は地域に共同体を有する世界的宗教であり,日本においても多数の地域にDが置かれているところ(認定事実⑵ア,イ),国内各地及び海外から東京に訪れる信徒に礼拝や宿泊の場所を提供する必要もある。 本件建物は,日本全国のDを統括するFである原告の本部事務所として,上記の目的や必要に従って,宗教行事や会議・委員会活動の実施場所,信 徒の礼拝や宿泊の場所を提供するものであり,その活用が宗教法人の目的 を達成する するFである原告の本部事務所として,上記の目的や必要に従って,宗教行事や会議・委員会活動の実施場所,信 徒の礼拝や宿泊の場所を提供するものであり,その活用が宗教法人の目的 を達成するために必要なものであることは明らかである。また,本件建物には,上記の諸活動のために,随時,不特定の信徒が出入りするものであるから,通常の防犯(戸締りや見回り等)に加え,信徒が使用した後の施設設備の点検や日々の清掃を行うことも必要である。 ところで,本件建物において行われるイベント等の企画は原告やDにお いて決定し,信徒への周知もDにおいて行うものの,イベント等の実施に当たり必要な会場の設営・清掃や参加者への飲食提供等は,年次大会のような大規模なイベント等を除き,Dのメンバーその他の信徒が行うものとはされていない(認定事実⑶イ)。また,原告から有給で雇用されている事務員約2名が本件建物で勤務しているものの,これらの事務員は原告の 運営に関する各種事務を担当しており,本件建物の管理は多数の事務の1つとして行うにすぎない上,標準的な勤務時間は午前10時から午後4時までとされており,早出や残業をすることはあってもそれらは担当する各種事務の多忙によるものであることからすると,夜間にわたることが少なくない本件建物でのイベント等の準備や,その終了後の見回り・点検,清 掃等をこれらの事務員が行うことも困難である(前提事実⑸,認定事実⑶ウ)。 したがって,本件建物を上記の諸活動が円滑に行われるように活用するためには,管理人を配置して上記業務を行わせることが必要である。このことは,現在の管理人であるHが就任する前,一時的に管理人が不在にな ったときに,本件建物は清掃もされず,鍵の管理も不十分で,本件建物におけるイベント等の 業務を行わせることが必要である。このことは,現在の管理人であるHが就任する前,一時的に管理人が不在にな ったときに,本件建物は清掃もされず,鍵の管理も不十分で,本件建物におけるイベント等の実施や日々の活動に支障が生じていたことからも裏付けられているものといえる(認定事実⑷イ)。 ウ次に,管理人に業務を行わせるため,本件建物に起居させる必要性があるかについて検討する。 上記イのとおり,本件建物はD等が主催するイベント等以外にも,信徒 により随時利用されるものであるから,本件建物の見回り・点検,清掃等は,日々行う必要がある(管理人が外泊をするには,それが数日程度のものであっても原告の許可が必要であり,代わりの者にその業務を行わせなければならないとされている〔認定事実⑵ウ,⑷エ〕ことからも,管理人の業務が毎日行わなければならないことがうかがわれる。)。 ところで,A教においては,信徒は各自職業に就いて独自に生計を立てるべきものとされており,また,他人への奉仕が自己の精神の成長のための重要な方法とされている(認定事実⑴ウ(ウ))ところ,本件建物の管理人の業務も,信徒の奉仕として無報酬で行われるものとされており,管理人は,他の信徒と同様に自ら生計を立てるための職業を持ち,その余暇や 休日を管理人の業務に充てることとなる(認定事実⑵ウ)。このように管理人が職業を持つことが前提とされている状況下において,管理人が就業前あるいは就業後に,本件建物に毎日通って本件建物の見回り・点検,清掃を行うことは,多大な困難を伴うものである。また,本件建物におけるイベント等はしばしば夜間に実施され,その場合の終了時刻は午後8時半 から9時頃となるところ(認定事実⑶ウ),その後の片付けや清掃が完了するのはそれより 伴うものである。また,本件建物におけるイベント等はしばしば夜間に実施され,その場合の終了時刻は午後8時半 から9時頃となるところ(認定事実⑶ウ),その後の片付けや清掃が完了するのはそれよりもさらに遅い時刻となるから,管理人が上記状況下でこれらの業務を行うとすれば,困難の程度はより一層高まるものといえる。 そうすると,原告が管理人の起居する場所を提供しない限り,管理人に応募する信徒は容易に見出し難いことと考えられるが,東京都新宿区に所 在する本件建物の近傍の賃料相場を考慮すると,本件建物内に管理人の起居する場所(本件管理人室)を設けることは合理的である。加えて,防犯上の観点からも,管理人が夜間常駐することでより高い防犯効果を期待できるほか,事務員の終業後の夜間の時間帯において電話等による本件建物へのアクセスを確保することもできることになり,これらに照らしても本 件建物内に本件管理人室を設けることが最も合理的である。 なお,Hは,管理人に就任した当初から本件管理人室に起居していたが,それでも,当時勤務していた会社への通勤時間が長かったため,管理人の業務を実施するために十分な時間を確保できないことが問題とされていたものであり(認定事実⑷イ),Hが従前の住所に居住しながら本件建物に通って管理人の業務を行うことはおよそ不可能であったといわざるを得な い。 以上によれば,本件建物内に本件管理人室を設け,これに管理人を起居させることの必要性もあると認められる。そうすると,本件管理人室は,管理人の業務を日々滞りなく行わせ,本件建物をA教の諸活動が円滑に行われるように活用し,宗教法人の目的を達成するために必要な建物である というべきである。 エまた,本件管理人室につき宗教法人法に定める規律にかからせ 行わせ,本件建物をA教の諸活動が円滑に行われるように活用し,宗教法人の目的を達成するために必要な建物である というべきである。 エまた,本件管理人室につき宗教法人法に定める規律にかからせることが適当であるといえるかという観点から見ても,本件管理人室は,本件建物の3階の他の施設と壁で仕切られ,戸口は施錠できるとはいえ,建物の外へ直接つながる出入口はなく,同じ階にある礼拝室や信徒宿泊室とも隣接 しており,不特定の信徒が出入りする空間の一部であるといえる(認定事実⑷ア)。また,本件管理契約においては,本件管理人室に居住する者を管理人及びその家族に限り,管理人が家族以外のものを宿泊させるには原告の承諾を要するなど,通常の建物賃貸借契約にはないような制限が課されており(前提事実⑷),本件管理人室も含めて本件建物が信徒のための 施設であるとの性質が確保できるような配慮がされている。さらに,本件建物において多人数でのイベント等が実施される際には,飲食の準備に1階の台所だけでは足りない場合に本件管理人室の台所が使われたり,イベント等の参加者が本件管理人室を使用することもある(甲25,証人H)というのであり,実際には,本件管理人室も集会所としての機能の一翼を 担っているということができる。 これらに鑑みると,このような構造・機能を有する本件管理人室に,宗教法人法に定める規律が及ばず,著しい模様替えや用途変更を行う場合に信徒等への公告等をしなくてもよいなどとすることは,かかる規律を定めた同法の趣旨に照らして相当ではなく,本件管理人室は,宗教法人法に定める規律にかからせることが適当な施設であるというべきである。 オ以上によれば,本件管理人室は,本件建物の他の部分と同様に,宗教法人法3条の境内建物に該当するも 件管理人室は,宗教法人法に定める規律にかからせることが適当な施設であるというべきである。 オ以上によれば,本件管理人室は,本件建物の他の部分と同様に,宗教法人法3条の境内建物に該当するものと認めるのが相当である。 ⑵ そこで,次に,本件管理人室が専らその本来の用に供されているか否かを検討すると,上記⑴に説示したところに照らせば,本件管理人室の「本来の用」とは,本件建物において業務を行う管理人の起居に用いることにほかな らず,Hが本件管理人室をこれ以外の用途に用いた事実はうかがわれない(なお,Hが本件管理人室をイベント等の際に用いたり,本件管理人室内で東京地区Dの業務を行ったりする場合があることは,管理人の業務や本件管理人室を設けた目的と抵触するものではなく,これらをもって目的外使用ということはできない。)。 したがって,本件管理人室は,専らその本来の用に供されているものというべきである。 ⑶ 以上のとおり,本件管理人室は,宗教法人法3条の境内建物に該当し,かつ,専らその本来の用に供されていると認められるから,地方税法348条2項3号の適用対象たる境内建物に該当する。そうすると,本件管理人室に 対応する共用部分である課税共用部分(前提事実⑹)も,当然に同号の適用対象たる境内建物に該当する。また,本件管理人室に対応する敷地部分である課税土地部分も,宗教法人法3条2号の土地(同条1号の建物が存する一画の土地)に該当し,かつ,専らその本来の用に供されているものとして,地方税法348条2項3号の適用対象たる境内地に該当する。 ⑷ 被告の主張について ア被告は,本件建物におけるイベント等のための会場の設営・準備,問合せへの対応,来訪者の迎入れ,調理及び飲食の提供,開催前後の清掃等の事務 該当する。 ⑷ 被告の主張について ア被告は,本件建物におけるイベント等のための会場の設営・準備,問合せへの対応,来訪者の迎入れ,調理及び飲食の提供,開催前後の清掃等の事務(以下「イベント等補助業務」という。)は管理人の業務とは認め難い旨主張する。 しかしながら,本件管理契約においては,19日毎のK,聖なる日の活 動,Lなどの具体的なイベント等の名称を掲げて,これらのために,本件建物を常に開放しておくこと及び常に清潔で利用できる状態に保っておくことを管理人に義務付けているのであるから,上記にいう「開放」の意味は,単に本件建物の鍵を開けるというだけでなく,実際にイベント等を実施する上で必要とされる雑事全般(すなわちイベント等補助業務)を行 うことを含むものと解するのが自然である。また,管理人であるHは,現に,イベント等補助業務を行っているところ(認定事実⑷オ),これらは,同人が管理人に就任する前から行ってきたイベント等の企画や信徒への周知に係る業務(証人H)とは異なり,同人が管理人に就任してから行うようになった業務であるから,管理人の業務として行っているものと解さ れる。以上に鑑みると,管理人は,本件管理契約上の義務としてイベント等補助業務を行う義務を負担しているものというべきであるから,被告の上記主張は採用することができない。 イ被告は,信徒が夜間に事前連絡なく本件建物を訪問することや緊急の連絡の頻度は少なく,管理人が夜間において本件建物への電話やメール等の 対応を行う必要性が高いとはいえない旨主張する。 しかしながら,上記⑴ウにおいて説示したとおり,管理人を本件管理人室に住まわせる必要があるのは,管理人が本件建物の見回り・点検,清掃を日々行い,また夜間に行われるイベント等 ない旨主張する。 しかしながら,上記⑴ウにおいて説示したとおり,管理人を本件管理人室に住まわせる必要があるのは,管理人が本件建物の見回り・点検,清掃を日々行い,また夜間に行われるイベント等の終了後の片付け等の業務を行うのに,本件建物外の住居から通うのでは多大な困難を伴うことと併せ て認められるものであり,単に管理人に夜間の連絡への対応等を行わせる 必要があることだけを理由とするものではない。また,自らの職業を有する信徒が夜間に電話やメール等で連絡をしてくることは少なくないところ(認定事実⑷ウ(ウ),証人H),事務員の終業後である夜間においても管理人がこれらの連絡を受けることにより,本件建物へのアクセスが充実したものとなることは否定できず,これは,管理人を本件管理人室に起居さ せる必要性を根拠付ける理由の1つとなるものである。以上によれば,被告が主張する上記事情は,その前提を欠き,あるいは,上記⑴の認定判断を左右するに足りないものというべきである。 ウ被告は,本件管理契約においては清掃や見回りの頻度等が定められておらず,一般的な住宅における清掃や見回り等と異なるものではない旨主張 する。 しかしながら,本件建物の見回り・点検,清掃は毎日実施しなければならないものである上,管理人が清掃を行う本件建物の1階から3階までの床面積は合計344.25㎡に及ぶこと(前提事実⑵イ),信徒が本件建物を利用する際の汚れ(飲食の提供を伴うイベント等においては特に汚れ が生じやすいと考えられる。)を落とす必要があることも考慮すると,これらの業務の負担は軽いものとはいえない。以上によれば,被告が主張する上記事情は,その前提を欠き,あるいは,上記⑴の認定判断を左右するに足りないものというべきである。 エ被 とも考慮すると,これらの業務の負担は軽いものとはいえない。以上によれば,被告が主張する上記事情は,その前提を欠き,あるいは,上記⑴の認定判断を左右するに足りないものというべきである。 エ被告は,管理人が会社への出勤などで不在にしている間は本件管理人室 は使用されていないこと,本件管理契約における居住の条件ないし制限は一般の賃貸住宅と異なるものでないことからすれば,本件管理人室は管理人の私生活に供されているものにすぎない旨主張する。 しかしながら,上記⑴において説示したとおり,本件管理人室が宗教法人の目的を達成するために必要なものと認められるのは,A教の宗教行事 の実施等のために重要な役割を果たす本件建物を円滑に活用するために管 理人の業務が必要であり,管理人の業務を滞りなく行うためには管理人を本件建物内の本件管理人室に起居させることが必要かつ合理的であるためであって,本件管理人室が管理人の不在時に施錠され,他者が出入りできないようになっているのは,不特定の信徒が出入りする本件建物内に起居する管理人の最低限のプライバシーを守るために必要かつ相当な措置であ るというべきである。また,建物外部への固有の出入口を持たず,礼拝室等の施設に隣接するという構造を有し,家族以外の者を泊める場合に許可が必要とされるなどの制限も存在する本件管理人室が,通常の賃貸アパート等と異なることは,上記⑴エにおいて説示したとおりである。以上によれば,被告が主張する上記事情は,その前提を欠き,あるいは,上記⑴の 認定判断を左右するに足りないものというべきである。 オ被告は,本件管理人室を聖職者の起居する場所である庫裏や教職舎と同視することはできない旨主張する。 しかしながら,上記⑴に説示したとおり,本件管理人室が 足りないものというべきである。 オ被告は,本件管理人室を聖職者の起居する場所である庫裏や教職舎と同視することはできない旨主張する。 しかしながら,上記⑴に説示したとおり,本件管理人室が宗教法人の目的を達成するために必要なものと認められるのは,管理人が聖職者と同視 されるためではなく,A教における宗教行事や組織活動を実施するための本件建物の活用状況及びその円滑な活用のために管理人が果たしている役割,自らの職業を持ちながら管理人の業務を行わなければならない特殊性等に鑑みたものであるから,被告の上記主張はその前提を欠くものといわざるを得ない。 カ以上のとおり,被告の上記主張はいずれも採用することができない。また,そのほかに被告が述べる主張は,上記の説示に照らし採用することができない。 ⑸ 以上によれば,本件不動産のうち本件課税部分(本件管理人室,課税共用部分,課税土地部分)は本件非課税規定の適用対象たる境内建物等に当たり, 非課税とされるべきものであるから,これらに当たらないことを理由に本件 課税部分につき固定資産税等を賦課した本件処分は違法であって,取り消すべきものである。 第4 結論以上によれば,原告の請求は理由があるからこれを認容することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官 清水知恵子 裁判官 横地大輔 裁判官 定森俊昌 横地大輔 裁判官 定森俊昌 (別紙3-1) ○ 地方税法 (固定資産税の非課税の範囲) 第三百四十八条 市町村は、国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区及び合併特例区に対しては、固定資産税を課することができない。固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合には、当該固定資産の所有者に課することができる。 一~二の八(省略) 三 宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第三条に規定する境内建物及び境内地(旧宗教法人令の規定による宗教法人のこれに相当する建物、工作物及び土地を含む。) 四~四十五 (省略) ~ (省略) (都市計画税の非課税の範囲) 第七百二条の二 市町村は、国、非課税独立行 省略) ~ (省略) (都市計画税の非課税の範囲) 第七百二条の二 市町村は、国、非課税独立行政法人、国立大学法人等及び日本年金機構並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区、合併特例区及び地方独立行政法人に対しては、都市計画税を課することができない。 前項に規定するもののほか、市町村は、第三百四十八条第二項から第五項まで、第七項若しくは第九項又は第三百五十一条の規定により固定資産税を課することができない土地又は家屋に対しては、都市計画税を課することができない。 (都における普通税の特例) 第七百三十四条 都は、その特別区の存する区域において、普通税として、第四条第二項に掲げるものを課するほか、第一条第二項の規定にかかわらず、第五条第二項第二号及び第六号に掲げるものを課するものとする。 この場合においては、都を市とみなして第三章第二節及び第八節の規定を準用する。 ~ するものとする。 この場合においては、都を市とみなして第三章第二節及び第八節の規定を準用する。 (別紙3-2) ○ 宗教法人法 (宗教団体の定義) 第二条 この法律において「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。 一 礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体 二 前号に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体 (境内建物及び境内地の定義) 第三条 この法律において「境内建物」とは、第一号に掲げるような宗教法人の前条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物をいい、「境内地」とは、第二号から第七号までに掲げるような宗教法人の同条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう。 一 本殿、拝殿、 ような宗教法人の同条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう。 一 本殿、拝殿、本堂、会堂、僧堂、僧院、信者修行所、社務所、庫裏、教職舎、宗務庁、教務院、教団事務所その他宗教法人の前条に規定する目的のために供される建物及び工作物(附属の建物及び工作物を含む。) 二 前号に掲げる建物又は工作物が存する一画の土地(立木竹その他建物及び工作物以外の定着物を含む。以下この条において同じ。) 三 参道として用いられる土地 四 宗教上の儀式行事を行うために用いられる土地(神せん田、仏供田、修道耕牧地等を含む。) 五 庭園、山林その他尊厳又は風致を保持するために用いられる土地 六 歴史、古記等によつて密接な縁故がある土地 七 前各号に掲げる建物、工作物又は土地の災害を防止するために用いられる土地 (事務の決定) 第十九条 規則に別段の定がなければ、宗教法人の事務は、責任役員の定数 いられる土地 (事務の決定) 第十九条 規則に別段の定がなければ、宗教法人の事務は、責任役員の定数の過半数で決し、その責任役員の議決権は、各々平等とする。 (財産処分等の公告) 第二十三条 宗教法人(宗教団体を包括する宗教法人を除く。)は、左に掲げる行為をしようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、その行為の少くとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならない。 但し、第三号から第五号までに掲げる行為が緊急の必要に基くものであり、又は軽微のものである場合及び第五号に掲げる行為が一時の期間に係るものである場合は、この限りでない。 一、二 (省略) 三 主要な境内建物の新築、改築、増築、移築、除却又は著しい模様替をすること。 四 境内地の著しい模様替をすること。 五 主要な境内建物の用途若しくは 又は著しい模様替をすること。 境内地の著しい模様替をすること。 主要な境内建物の用途若しくは境内地の用途を変更し、又はこれらを当該宗教法人の第二条に規定する目的以外の目的のために供すること。 (行為の無効) 第二十四条 宗教法人の境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物について、前条の規定に違反してした行為は、無効とする。 但し、善意の相手方又は第三者に対しては、その無効をもつて対抗することができない。 (設立の登記) 第五十二条 宗教法人の設立の登記は、規則の認証書の交付を受けた日から二週間以内に、主たる事務所の所在地においてしなければならない。 設立の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。 一~六 (省略) 七 規則で境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物に係る第二十三条第一号に掲げる行為に関する事項を 物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物に係る第二十三条第一号に掲げる行為に関する事項を定めた場合には、その事項 八、九 (省略) (宗教上の特性及び慣習の尊重) 第八十四条 国及び公共団体の機関は、宗教法人に対する公租公課に関係がある法令を制定し、若しくは改廃し、又はその賦課徴収に関し境内建物、境内地その他の宗教法人の財産の範囲を決定し、若しくは宗教法人について調査をする場合その他宗教法人に関して法令の規定による正当の権限に基く調査、検査その他の行為をする場合においては、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。 (別紙4)当事者の主張の要旨 1 被告の主張の要旨⑴ 判断枠組み 地方税法348条2項3号は,宗教法人が専らその本来の用に供する「宗教法人法3条に規定する境内建物及び境内地」を非課税とする旨定めている。 境内建物等とは,宗教法人が,宗教の教義を広め,儀式行事を行い,信者を教化育成するという目的のために必要な当該宗教法人の固有の境内建物等をいい,「固有の」と び境内地」を非課税とする旨定めている。 境内建物等とは,宗教法人が,宗教の教義を広め,儀式行事を行い,信者を教化育成するという目的のために必要な当該宗教法人の固有の境内建物等をいい,「固有の」とは,宗教団体の存立に本来的に不可欠という趣旨である。 また,「宗教法人が専らその本来の用に供する」とは,宗教の教義を広め,儀式行事を行い,信者を教化育成するという宗教法人の本質的な活動のために専ら使用されることをいい,「専ら使用される」とは,境内建物等を宗教法人の主たる目的のために限って使用する状態をいうと解すべきである。そして,非課税となる境内建物等の要件該当性については,対象となる固定資産の実際 の使用状況について,賦課期日に加え,賦課期日以前の状態をも踏まえて認められる外形的,客観的事実関係に基づき,一般の社会通念に照らして,賦課期日現在において要件該当性が認められるか否かを判断すべきである。 ⑵ 本件管理人室が宗教法人法3条の「境内建物」に当たらず,専らその本来の用に供されているとはいえないこと ア本件管理人室は,主として,Hが私生活を営むために使用されていたこと本件処分当時,Hは,住民票上の住所は本件建物に置き,本件管理人室で起居していたところ,本件管理人室には,本件建物の他の部分とは独立してトイレ,浴室,台所,寝室が備えられていたほか,ソファ,寝具その他Hが私生活を営むために必要な家具が設置されており,実際に,同人が本件管理 人室において,日常的に私生活を営んでいたことがうかがえる。 Hは,本件管理契約において,独自に生計を立てることとされており,平日の日中は会社に出勤しているほか,許可を得て外泊することもある。こうしてHが不在である間においては,本件管理人室は,施錠されて Hは,本件管理契約において,独自に生計を立てることとされており,平日の日中は会社に出勤しているほか,許可を得て外泊することもある。こうしてHが不在である間においては,本件管理人室は,施錠されて人がいない状態になるのであり,原告の宗教活動に使用する必要はなく,実際にも宗教活動に使用されていない。 また,本件管理契約における居住の条件ないし制限(同居が許される者の範囲,許可を得なければならない事項等)は,一般の賃貸住宅と異なるものではない。 以上によると,本件管理人室は,年間を通じて,平日の日中は原告の宗教活動に使用されておらず,平日の夜間等はHの起居,すなわち同人の私的空 間として使用されていたものというべきであり,本件管理契約の条件等を踏まえても,一般の賃貸住宅と何ら変わりがないものであったといえる。そして,一般の社会通念に照らし,Hが本件管理人室において私生活を営むことが,原告の宗教活動等に不可欠であるとはいえず,一時的に宗教行事などに用いられることがあっても例外的なものにすぎず,本件管理人室が宗教法人 の本来の目的のために限って使用されていると評価することはできない。 イ Hが,本件建物において,24時間信徒のアクセスを可能にするための具体的な活動をしている実態は乏しいことHは,本件建物について,日本におけるA教の中核拠点として,常にアクセス可能であることが求められるとし,その例として,大規模なイベントが 開催されるような場合には,日本各地及び海外から多くの信徒が本件建物を訪れ,その中には早朝に訪れる者もいる旨供述する。しかしながら,そのような場合がどれだけの頻度であるのか等は明らかにされておらず,平成28年11月頃以降の宗教行事等が記載された予定表(甲5)を見ても,午後に開始されるもの れる者もいる旨供述する。しかしながら,そのような場合がどれだけの頻度であるのか等は明らかにされておらず,平成28年11月頃以降の宗教行事等が記載された予定表(甲5)を見ても,午後に開始されるものが多く,午前に開始されるものでも午前10時の開始が多 い。そうすると,早朝の時間帯において,Hが何らかの対応を要する宗教行 事等があるとは認め難い。 Hは,夜間には本件建物を施錠し,遅くとも午後12時までには就寝することから,夜間から早朝にかけて,海外からの来客等に対応するために何らかの活動をしていることはうかがわれない。 夜間の電話対応についてみても,Hは,自分が電話を受けるのは就寝前と 決めている旨供述している。そして,Hによれば,本件建物に設置された電話は1回線のみであり,子機は本件建物の1階,2階及び3階に設置されているものの,本件管理人室内に設置されているものはなく,本件管理人室のそばに1台あるとのことであり,これらによれば,本件建物内の電話は,管理人が夜間に電話対応するためというより,主に事務員が使用するために設 置されているものというべきである。 この点は,Hによれば,①管理人に就任する際,電話対応について原告から具体的に説明を受けたわけではないこと,②Hが,管理人として,信徒が死亡した旨の電話連絡を夜中に受けたのは数年前に1度あったのみであり,緊急連絡を夜中に受けた実績はほとんどないこと,③海外からの電話は多く ないことからも裏付けられる。 Hは,就寝前の夜間においては,電話やメールが相応にある旨供述するものの,Hが平日の日中は仕事で本件管理人室に不在であること,その時間帯には他の信徒の多くも仕事をしていること,上記のとおり緊急性のある電話やメールが頻回にあるとはうかがわれないことから 旨供述するものの,Hが平日の日中は仕事で本件管理人室に不在であること,その時間帯には他の信徒の多くも仕事をしていること,上記のとおり緊急性のある電話やメールが頻回にあるとはうかがわれないことからすれば,これらのような 電話やメールについて,Hが対応しなければならないことは,基本的にほとんどないものと推察される。 以上のようなHの生活ないし活動実態からすると,Hが,本件建物を24時間アクセス可能なものとするために,本件管理人室に居住しながら何らかの具体的な活動をしているとはうかがわれず,本件管理人室が主にHの私生 活に供されていることを覆すものではない。 ウその他の本件管理人室の使用状況をみても,宗教法人の主たる目的に限って使用されているとは認められないこと(ア) Hは,管理人として本件建物の見回りや清掃を行っているというものの,本件管理契約では「本件建物を常に清潔で利用できる状態に保っておくこと」と定められているのみで,行うべき時間や回数等については格別 定められておらず,例えば,見回りについては,朝と夕方にそれぞれ5分から10分程度と限られた時間のみ行うものである。 なお,原告は,本件建物の防犯のために本件管理人室を設け,24時間関係者が所在する体制を整える必要がある旨主張するが,本件管理契約において,管理人に対して「防犯管理」や夜間及び休日の待機などを義務付 ける規定は見当たらない上,Hが夜間等に本件建物の「防犯管理」に従事しているとはにわかに認められない。Hが,単に,夜間や休日に本件管理人室に在室しているにすぎないのであれば,客観的に見れば自宅で日常生活を営んでいるのと何ら変わりがない。 以上によれば,Hが行う本件建物の清掃,見回り等は,一般の住宅にお や休日に本件管理人室に在室しているにすぎないのであれば,客観的に見れば自宅で日常生活を営んでいるのと何ら変わりがない。 以上によれば,Hが行う本件建物の清掃,見回り等は,一般の住宅にお いて行われる内容を格別超えるものではないとうかがわれる。 (イ) また,Hが本件管理人室で行っているという宗教活動は,信徒等の立場で行っている活動や,H自身も参加するイベントの補助,準備等にすぎず,これらをもって,外形的・客観的にみて本件管理人室が原告の宗教活動のために使用されているとはいい難く,これらのためにHが本件管理人 室に居住することが不可欠であるともいえない。 すなわち,Hは,本件管理人室に設置されたパソコンで,イベントに関する情報発信,コーディネート,事務作業,ちらし・ポスターの作成,招待状の発送,ホームページの更新作業を行う旨供述する。しかしながら,これらの作業を行うことは,本件管理契約において管理人の業務として定 められているものではない上,ちらし・ポスターの作成についてはHが管 理人になる前から行っていることであることも踏まえると,上記各作業は,Hが,管理人の業務としてではなく,A教の一信徒ないしDのメンバー等としての活動を本件管理人室において行っているにすぎず,いずれも,本件管理人室において行うことが必要不可欠な活動であるとはいえない。Hが主催しているというSの会や勉強会についても,信徒等としての 活動にすぎないと考えられるから,本件管理人室において行うことが必要不可欠な活動ということはできない。 そうすると,本件建物において,仮に予定表(甲5)に記載された頻度及び開催時間で宗教行事等が行われているとしても,その実施のためにHが本件管理人室に居住する必要性は必ずしも認められず,別途に住居を そうすると,本件建物において,仮に予定表(甲5)に記載された頻度及び開催時間で宗教行事等が行われているとしても,その実施のためにHが本件管理人室に居住する必要性は必ずしも認められず,別途に住居を有 し,予定表にある時間前後に通えば足りるのであって,掃除等の管理業務を考慮したとしても,原告がその主たる目的を達するためにHを本件管理人室に24時間常駐させるべく,本件管理人室を設け,そこに居住させる必要性は見出しがたい。 (ウ) Hは,原告の宗教行事等のために本件管理人室を使用する場合とし て,大きなイベントが開催される場合,信徒が赤ちゃんを連れてきた場合,特別な配慮を要する信徒がいた場合のほか,イベントのための十分な部屋が確保できない場合を挙げる。また,大きなイベントで,提供する食事の量が多いときは,本件管理人室の台所も使用して料理をすると供述する。 しかしながら,Hが上記のように本件管理人室を使用する場合とは,い ずれも,H自身も参加するイベントが開催される際に,必要に応じて,自らの判断で第三者に使用させる場合等があるという趣旨と解され,たまたま宗教行事の際に使用させる機会があることをいうものにすぎない。本件管理人室の台所がイベントの際に使用される機会があったとしても,それが本件管理人室を設けた目的ではないと考えられるし,本件管理人室が原 告の宗教行事等のために用いられる頻度は明らかにされておらず,例外的 な場合であるというべきである。 (エ) 以上によれば,本件建物の維持管理や宗教行事等の補助の関係での本件管理人室の使用状況を踏まえても,本件管理人室は,主としてHが私生活を営むなど私的に利用するための空間として利用されていたことは左右されないというべきである。 教行事等の補助の関係での本件管理人室の使用状況を踏まえても,本件管理人室は,主としてHが私生活を営むなど私的に利用するための空間として利用されていたことは左右されないというべきである。 エ本件管理人室は庫裡・教職舎等と同視できないこと(ア) 原告は,仏教における庫裡やキリスト教における教職舎は,寺院・教会等の維持管理をするために必要な建物であるため宗教法人法3条に規定する「境内建物」に該当すると解されているとの見解を前提として,本件管理人室は上記のような庫裡等に類するものであるから「境内建物」に 該当すると主張する。 (イ) しかしながら,本件管理人室が庫裏等に類するものとはいえない。 すなわち,宗教法人法3条1号は,境内建物の例として,庫裏・教職舎等を挙げているところ,庫裡とは,禅宗寺院では事務所兼厨房,一般寺院では,寺院の住職及びその家族の居住している建物をいうとされ,教職舎 とは,教会の管理,宗教活動を行うため,司祭,牧師などの宗教教師が常駐し,信者の教化育成や自らの修行のための施設で司教館,主教館,牧師館,司祭館,宣教師館,伝道師館などと呼称されるものをいうとされている。また,住職とは,寺の首長である僧のことをいい,牧師とはプロテスタント教会における牧会責任者の一般的呼称とされ,神父とは,カトリッ ク教における司祭(聖職の一つ)の呼称とされており,いずれも一定程度の責任者を指しているものである。 他方,A教においては,住職・牧師等の聖職は設けられておらず,本件管理人室に居住していたHは,本件処分当時,日中は外部で別途職業に従事しており,神父・牧師や住職のように宗教活動に専従しているわけでは ない上,原告の役員でもなく,責任ある立場にはなかった。 Hは,家賃の支払なく 時,日中は外部で別途職業に従事しており,神父・牧師や住職のように宗教活動に専従しているわけでは ない上,原告の役員でもなく,責任ある立場にはなかった。 Hは,家賃の支払なく本件管理人室に居住できる代わりに管理業務をするという本件管理契約を締結したものにすぎず,原告が管理人の選任に当たって厳重な審査をしているとは直ちに認め難い。仮に,Hが,自己の職業及び管理人業務以外の時間に宗教活動を行っていたとしても,それは通常の信徒による宗教活動と何ら変わりはなく,これを宗教の主宰者たる住 職・牧師等に類似するなどとはいえない。加えて,仮にHがJの事務に従事していたとしても,それは宗教内部における活動の一つに過ぎず,そのことが直ちに宗教の主宰者たる住職・牧師等に該当するということの証左にはならない。 このように,庫裡・教職舎は,住職・牧師等が常駐ないし居住する施設 であることに鑑みると,聖職者が常駐しない本件管理人室を庫裡・教職舎等と類似する施設ということはできない。 (ウ) そして,庫裏等と称されている建物であっても,そのことから直ちに,寺院等の維持管理に必要なものとして「境内建物」に該当するものではなく,前述のとおり,その該当性は,対象となる固定資産の実際の使用状況 に係る外形的,客観的事実関係に基づき,一般の社会通念に照らして判断されるべきものである。こうした観点からみて,本件処分当時,本件管理人室は,主にHの私的な空間(自宅)として利用されていたとして,境内建物に該当しないと判断されたものである。 オ小括 以上によれば,本件管理人室は,本件処分当時,年間を通じて本件管理人の私的な空間として用いられており,宗教活動のために使用される機会は例外的であり,原告の宗教活動のために,Hが オ小括 以上によれば,本件管理人室は,本件処分当時,年間を通じて本件管理人の私的な空間として用いられており,宗教活動のために使用される機会は例外的であり,原告の宗教活動のために,Hが住み込んで管理人業務を行うことは必要不可欠ではなかった。 したがって,本件管理人室の実際の使用状況に係る外形的,客観的事実関 係に基づき,一般の社会通念に照らせば,本件管理人室は,宗教の教義を広 め,儀式行事を行い,信者を教化育成するために必要な当該宗教法人の固有の境内建物ということはできず,まして,宗教法人の主たる目的のために限って使用されている状態ということはできないから,地方税法348条2項3号所定の「宗教法人が専らその本来の用に供する境内建物」に該当せず,本件非課税規定は適用されないというべきである。 ⑶ 共用部分及び本件土地についてア課税共用部分について本件建物においては,その構造上,本件管理人室(課税部分)とそれ以外の部分に区分することができ,3階にある同室に行くためには階段や廊下等の共用部分を利用する必要がある。 課税部分と非課税部分が混在している場合の共用部分の取扱いについては,当該共用部分が課税部分のためにも利用されている場合には,課税部分と非課税部分の床面積で按分するのが適当であると解される。したがって,本件建物の共用部分については,本件管理人室の面積とそれ以外の面積の割合(本件按分割合)で按分した面積を課税対象とすることが,使用状況の実 態に基づいた合理的な算出方法である。 イ本件土地について家屋の一部について非課税となった場合の敷地の用途は,当該敷地上に存する用途と同様であるというべきであるから,当該家屋の敷地も家屋と同様の比率(非課税部 法である。 イ本件土地について家屋の一部について非課税となった場合の敷地の用途は,当該敷地上に存する用途と同様であるというべきであるから,当該家屋の敷地も家屋と同様の比率(非課税部分の床面積に対する課税部分の床面積)で按分して課税す るのが相当であると解される。したがって,本件土地についても本件按分割合に応じて課税されることとなる。 2 原告の主張の要旨⑴ 判断枠組みア ①「宗教法人法3条に規定する境内建物(宗教目的のために必要な当該宗 教法人に固有の建物及び工作物)及び境内地(宗教目的のために必要な当該 宗教法人に固有の土地)」で,②「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものについては,固定資産税等を課することができない。 イ宗教法人法3条の「境内建物」の意義本件管理人室と同様,台所,寝室及びトイレ等があり,宗教団体の関係者が生活することが予定されている建物としては,仏教にいう庫裡やキリスト 教にいう教職舎があり,これらは,「境内建物」に該当することが宗教法人法3条1号において明文で規定されている。 仏教及びキリスト教においても,宗教団体が宗教活動を行うに当たり,庫裡や教職舎においてその関係者が生活することは,厳密な意味で必須とはいえない。 それにもかかわらず,宗教法人法が庫裡等を,あえて「境内建物」の例示として明文で掲げたのは,これらの建物は,寺院及び教会等の維持管理をするために必要なものであり,社会通念上,宗教団体の宗教の教義を広め,儀式行事を行い,信者を教化育成する上で必要不可欠なものであるから,宗教目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物に該当すると考 えたからにほかならない。 そうすると,仏教及びキリスト教以外の宗教に 者を教化育成する上で必要不可欠なものであるから,宗教目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物に該当すると考 えたからにほかならない。 そうすると,仏教及びキリスト教以外の宗教においても,宗教施設の維持管理のために必要な建物は,庫裡等と同様に,「境内建物」に該当すると解すべきである。 なお,「境内建物」該当性の判断に当たっては,A教の宗教上の特性及び 慣習を尊重する必要がある(宗教法人法84条)。 ⑵ 本件管理人室が宗教法人法3条の「境内建物」に当たり,専らその本来の用に供されていることア本件管理人室の客観的使用状況(ア) 本件建物の管理人は,本件管理人室を利用して,本件建物をA信徒の ために24時間開放しておく必要があること a 本件管理契約において,管理人は,本件建物を24時間開放しておくことと定めている。ここでいう開放とは,本件建物への信徒の訪問があれば迎え入れ,電話等による連絡があればこれに対応するという意味で,信徒が常に本件建物にアクセス可能な状態とすることを意味する。 本件管理契約が明示していることからも明らかなとおり,信徒が本件 建物に24時間アクセス可能にすることは,原告が宗教活動を行う上で極めて重要であることから,原告は本件管理人室を設置し,管理人を常駐させることとしたのである。 bA教は,地上での時間(現世での生活)を,A信徒として精神の質を高め,神へと近づくために費やすべきであるとの教義を有しており,原 告は,こうした教義に基づいて,休日や祝日だけでなく,平日や夜間の時間帯においても,本件建物において宗教活動を行っている。 また,特定の宗教行事とは別に,A信徒の中には日々の宗教活動の中で,本 告は,こうした教義に基づいて,休日や祝日だけでなく,平日や夜間の時間帯においても,本件建物において宗教活動を行っている。 また,特定の宗教行事とは別に,A信徒の中には日々の宗教活動の中で,本件建物の礼拝室において祈りをささげたいとして訪問する者もいる。この場合,A信徒はその教義から独自に職業を有しているため,本 件建物への訪問時間は,一般企業等の営業時間が終了した夕方から夜間になることが多い。 そのほか,A教の重要人物であるOの崩御の時刻が午前3時2分,Gの崩御の時刻が午前1時15分とされているところ,同時刻において自室ではなく,A教の活動拠点である本件建物の礼拝室で祈りをささげた いとの希望を述べる者もいる。 本件建物は,日本におけるA教の中心的な活動拠点であり,年間で日本国内だけでなく,世界中からA信徒が訪れる施設である。訪問数が多いため比率としては必ずしも多くはないものの,中には事前の連絡をしない者が存在しており,そうであるからこそ,原告は,管理人に対し, 急な礼拝等の求めに対しても対応するよう求めているのである。仮に管 理人が本件建物外で別途住居を有し,本件建物に通って管理業務に従事することとされた場合,上記のような急な個人の礼拝が十分に行えないことになり,世界236か国に信徒を有するA教の宗教目的は達成できないことになりかねない。 本件建物には宿泊用設備が存在するところ,本件建物に訪問して宿泊 を希望するA信徒もおり,その場合,管理人は,宿泊者を迎え入れて,本件建物のルールを遵守しているか監督する必要がある。 被告は,夜間にA信徒が本件建物を訪れることが少ない等と主張する。しかしながら,管理人に求められているのは,単に訪問者が来た場合に対応することだけではなく,いつ るか監督する必要がある。 被告は,夜間にA信徒が本件建物を訪れることが少ない等と主張する。しかしながら,管理人に求められているのは,単に訪問者が来た場合に対応することだけではなく,いつ来訪があるかわからない信徒のた めにも常に本件建物を開放し,訪問を受け入れる体制を整えることである。そのため,管理人が同体制を整えている以上,実際に信徒が訪れて対応する時間の多寡にかかわらず,本件管理人室が原告の宗教活動のために使用されていることに変わりはない。したがって,実際に本件管理人室が来訪者に対応した時間数を根拠に,本件管理人室が原告の宗教活 動のためではなく管理人が私的に利用するための空間として使用されていたということはできない。 c このように,原告においては,A信徒が夜間の時間帯に本件建物を訪問する場合に備え,管理人を常駐させて,訪問を受け入れる体制を整える必要があり,そのために本件管理人室は必要不可欠である。 (イ) 本件建物は,日本におけるA教の中心的施設であることから,原告は,国内外のA信徒からの連絡等に対応する必要があることa 本件建物を使用する原告は,日本におけるA教の中核をなす存在である。そして,本件建物は,全国に支部を有する原告の本部事務所であり,国内各地方及び海外から,A信徒が宗教行事等に参加するために定期的 に集結する施設である。 本件建物には,国内外から日本におけるA教の活動について連絡や問合せが集中し,原告は,これらの連絡等に対して,早朝及び夜間も含め,常に対応できる体制を構築する必要がある。そのため,本件管理人室には,原告の共通電話番号の回線を引いた電話機が設けられており,管理人は,同室内において直ちに電話をとることができる 朝及び夜間も含め,常に対応できる体制を構築する必要がある。そのため,本件管理人室には,原告の共通電話番号の回線を引いた電話機が設けられており,管理人は,同室内において直ちに電話をとることができる。 b 日本国内からの連絡等への対応日本国内から本件建物に寄せられる早朝及び夜間の連絡等の内容としては,宗教行事等の開催日の情報や,原告が発行している書籍の注文,A教の教義に係る解釈についての質問等がある。また,連絡事項の中で緊急性が高いのは,日本においてA信徒が亡くなった場合の連絡であ る。すなわち,A教においては,遺体は可能な限り速やかに(死後24時間以内に)埋葬されるべきであると考えられており,原告としては,A信徒の死の連絡を受けた場合,速やかにその情報を担当者に伝え,墓地の手配を依頼する必要がある。 c 国外からの連絡等への対応 A教は,世界236の国又は地域に共同体が存在する世界宗教である。国内からの連絡に比べれば少ないものの,本件建物には,日本におけるA教の活動に関して連絡が来ることがある。その場合,時差等の要因により,連絡が日本時間の早朝や夜間になることが多い。連絡の内容としては,海外からA教の重要人物が日本を訪問する際の連絡や,日本 において開催されるA教のイベントに関する信徒の参加の連絡が多い。 そのほか,外国人信徒が日本滞在時にA教の共同体に奉仕する機会があるかといった問合せや,日本に滞在中の外国人信徒に向けた緊急連絡が来ることもある。 (ウ) 本件建物において行われる宗教活動に対する直接及び間接の補助 a 本件建物においては,原告の代表的な宗教行事等が開催され,管理人 は,それらのために,本件建物を2 ) 本件建物において行われる宗教活動に対する直接及び間接の補助 a 本件建物においては,原告の代表的な宗教行事等が開催され,管理人 は,それらのために,本件建物を24時間開放することが求められる。 本件建物で開催される宗教行事等としては,①19日毎のK,②聖なる日の活動,③L,④M及びスタディサークル活動,⑤F,D,委員会,個人Aのための会議が挙げられる。 b 管理人は,上記aの宗教行事等において,コーディネーター(取りま とめ,調整役)の役割を務め,イベントの準備,広報を行い,来訪した信徒を招き入れてもてなすこと等が求められる。加えて,上記宗教行事等の多くは飲食を伴うものであり,管理人は,食料の調達及び調理をし,参加者に食事を提供する。こうした宗教行事等の補助業務は,原告の事務員が行うことは原則として想定されておらず,基本的にはHが1人で 対応している。 (エ) 原告の宗教行事等に本件管理人室を直接利用することも想定されていることa 本件管理人室における会合上記(ウ)a⑤の会議は,多いときには50名以上が参加する上,その 進行は各地域等のグループ毎に分かれて協議を行うものとされている。 そのため,これらの人数を収容し,かつグループに分かれるという進行の必要上,上記会議においては通常の宗教活動が行われる本件建物2階の事務室のみでは足りず,1階の集会室のほか,本件管理人室も使用される。 b 本件管理人室の台所の利用本件建物で行われる宗教行事等の多くは飲食を伴うものであるところ,参加者が多い場合の飲食物の調理のために,本件建物1階の台所だけでは不足するため,本件管理人室の台所も使用されている。 c 本件管理人室備付パソコ 事等の多くは飲食を伴うものであるところ,参加者が多い場合の飲食物の調理のために,本件建物1階の台所だけでは不足するため,本件管理人室の台所も使用されている。 c 本件管理人室備付パソコンを用いた業務連絡 管理人及び原告事務局は,管理人による宗教行事等の補助活動を円滑 に行うため,日常的に相互に業務連絡を行うことで,情報共有をしている。これらの業務連絡は,管理人が仕事から本件建物に戻った際,口頭で行われる場合もあるが,時間を問わず電子メールにより行われる場合もある。 管理人は,本件管理人室備付パソコンを利用して,電子メールの確認 及び業務連絡メールの送信を行う。 (オ) 本件建物の維持管理のための本件管理人室の利用a 本件建物の防犯本件建物には,Gの遺体にかけられた布など,原告における宗教上重要な意義を有する物品,出版物の売上金及び献金等の現金が保管されて おり,これらが盗難に遭うと原告の宗教活動に極めて大きな影響がある。そこで,盗難等を防止するため,本件管理人室に管理人を常駐させることで,24時間本件建物内に関係者が所在する体制を構築する必要がある。 管理人は,防犯管理のため,毎日,①夜間において防犯灯として特定 の照明を点灯させる,②玄関・アルミサッシ・窓等の戸締りの確認を行う,③各施設内を見回り,異常があれば原告の緊急連絡先に伝達するといった作業を行うこととされている。なお,上記作業内容や緊急時の連絡先は,防犯に関する指導として,管理契約締結時に管理人となる者に対して必ず原告から伝えられる。管理人は夜間や休日に本件管理人室に 在室することで,侵入を試みる者に対する抑止力となる上,緊急事態等が発生した場合には,本件管 管理契約締結時に管理人となる者に対して必ず原告から伝えられる。管理人は夜間や休日に本件管理人室に 在室することで,侵入を試みる者に対する抑止力となる上,緊急事態等が発生した場合には,本件管理人は,警察や消防,原告に連絡するなどの対応をする必要がある。 b 日常的な点検管理人は,早朝及び夕刻に定期的に本件建物全ての見回りを行ってい るところ,これは,防犯上の意義を有するだけではなく,エアコンやガ スヒーター等の機器の電源が付けっ放しになっていないか,壊れた備品がないかといった日常的な点検を兼ねている。 c 清掃管理人は,本件管理契約により,本件建物を常に清潔で利用できる状態に保つ義務があるため,毎日本件建物の全ての場所の清掃を行ってい る。 (カ) 本件管理人室は管理人の私的空間ではないことaA信徒以外の使用が原則として禁止されていること本件管理人室の利用が認められているのは管理人及びその家族に限られ,家族以外の者やA信徒以外の者に使用させる場合には原告の許可 が必要である。 b 管理人は外泊等で本件建物を自由に不在にすることは認められていないこと本件管理人室が設置された主な目的は,本件建物の維持管理の要請のほか,24時間本件建物を開放することにある。そのため,管理人が家 族に会いに祖国へ帰る等の理由で外泊する際には,原告の許可を得る必要がある上,事務員等に連絡し,管理人の代わりに誰かが本件建物内にいるように手配しなければならない。 c 信徒からの問合せやアクセスの要請に対応するため待機している必要があること 管理人は,早朝や夜間であ りに誰かが本件建物内にいるように手配しなければならない。 c 信徒からの問合せやアクセスの要請に対応するため待機している必要があること 管理人は,早朝や夜間であっても,信徒から訪問,電話連絡等があった場合には,職務として対応しなければならず,対応を断ることは許されていない。また,平日日中は仕事があるため,管理人のメールの確認・返信業務についても,早朝や夜間に行われる。 このように,管理人は,本件管理人室を利用するに当たり,原告の宗 教活動の補助から解放されているわけではなく,いつでも管理人の職責 を果たすために待機している。 d 平日夜間や休日においても,管理人は本件建物で行われる宗教行事の補助を優先する必要があること本件建物では,平日夜間や休日に宗教行事が開かれることが多く,管理人はそれらの補助業務を行う必要がある。そのため,Hは,週末も外 出等はせず,本件建物において宗教行事の準備等を行っている。このように,管理人はその職務として,自身よりもA教の共同体を優先し,自身の時間等を原告の宗教活動にささげて奉仕することが求められる。 e 本件管理人室を私的空間として利用するのであれば通常居住者が負担する費用についても原告が負担していること 管理人は,本件管理人室を使用するに当たり,原告に対し家賃を支払っていない上,その水道光熱費及び通信費についても原告が負担している。なお,本件管理契約に係る契約書には,月々の電話料金の支払は管理人の責任とする旨の記載があるが,これは,管理人が本件建物の電話を私用で利用することはできないが,仮に私用で利用する場合にはその 費用は管理人の負担とするという趣旨である。 話料金の支払は管理人の責任とする旨の記載があるが,これは,管理人が本件建物の電話を私用で利用することはできないが,仮に私用で利用する場合にはその 費用は管理人の負担とするという趣旨である。 本件管理人室は,本件建物の維持管理及び原告の宗教活動の補助のために設けられた施設である。そのため,本件管理人室において,本件建物の維持管理や宗教活動の補助のために管理人が常駐ないし居住しているのであれば,当該管理人室は宗教法人が専らその本来の用に供して いるというべきである。 本件においても,当然ながら,原告はこれまで本件管理人室を管理人以外の第三者に賃貸するなど,本件建物の維持管理以外の目的で利用したことはないのであり,本件管理人室は,本件建物の維持管理のためにのみ用いている(管理人の起居が目的外利用に当たらないことは上記の とおりである。)。また,原告は管理人となる人物に対して賃料を請求 しておらず,本件管理人室により一切の経済的利益を得ていないのであり,この点も,住職等が居住する庫裡の場合と同様である。 イ Hの地位は神父・牧師や住職に類似すること(ア) Hの地位Hは,東京地区Dのメンバーに選出されており,原告の運営上重要な役 割を果たしている。 また,Hは,宗教行事に当たっては,補助活動だけでなく,自身も宗教活動に精力的に取り組み,全国の15歳から29歳までの信徒の活動の手助けをし,指導,取りまとめを行う指導者的な役割を果たしている。 A教においては,聖職者が一方的に信徒に教えを授けるのではなく,信 徒同士がそれぞれ学んでいくことが重要であるとされている。そのため,これらの活動を支える施設の使用に関しても,他の信徒が教義の理解を深める手助けをするという,宗教的側 を授けるのではなく,信 徒同士がそれぞれ学んでいくことが重要であるとされている。そのため,これらの活動を支える施設の使用に関しても,他の信徒が教義の理解を深める手助けをするという,宗教的側面においても指導的役割を果たすことができる管理人は,原告が宗教活動を行うに当たって欠くことのできない存在である。 (イ) 管理人は厳格な審査を経て選任されることa 本件建物の管理人は,誰でもなれるわけではない。管理人の職責の重要性に鑑み,原告においては,管理人の公募を全国E会の決議を経た上で,日本全国のA信徒を対象に募集する。その上で応募してきた候補者に対して,原告の責任役員9名全員が面接を行い,管理人としての適正 が認められた人物に対して原告が任命するという過程を経る必要がある。 b 管理人には,その職責を果たすに足る一定の資質,能力が必要である上,管理人自身,自らの日常生活を犠牲にしてでも原告の益のために進んで貢献したいという気持ちを有していることが前提となる。 原告においては一般の事務員も存在しているが,その職責,権能は管 理人とは異なるものであり,選任に当たっても管理人の選任の際のような厳格な手続を履践するものではない。 (ウ) 管理人が他に職を有していることは原告の宗教上の特性であることHは,原告の宗教活動に専従しておらず,別途生計の手段を有しているが,これは,A教においては専門の聖職者を置かないこととされているこ と及び全ての信徒は独立して職を持たなければならないとするA教の宗教上の特性に基づくものである。したがって,原告においては聖職者が本件建物を維持管理することは予定されておらず,別途,管理人室を設け,管理人によって本件建物を維持管理する必要 ならないとするA教の宗教上の特性に基づくものである。したがって,原告においては聖職者が本件建物を維持管理することは予定されておらず,別途,管理人室を設け,管理人によって本件建物を維持管理する必要がある。 (エ) 以上によれば,Hは,原告が宗教活動を行う上でもその運営を行う上 でも極めて重要な役割を果たす人物であり,キリスト教における神父・牧師や寺院における住職に類似する立場にあることが明らかである。 ウ小括以上より,本件管理人室は,本件建物を維持管理するのに必要であるだけでなく,原告が本件建物を利用して宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及 び信徒を教化育成するという宗教目的のために必要で,本来的に欠くことのできない固有の施設であり,宗教法人法3条1号において例示された住職・牧師等が起居する庫裡や教職舎に類似する施設であるから,宗教法人法3条の「境内建物」に当たることは明らかである。 そして,本件管理人室は,主に管理人の起居に利用されているが,管理人 が本件管理人室において起居することは,上記ア及びイの活動実態等に照らせば,原告の宗教目的を達成するため,その本来の用に供するものということができる。また,本件管理人室は,管理人の起居に利用される以外にも,布教活動や宗教行事といった原告の宗教目的達成に必要な宗教活動自体にも利用されている。このように,本件管理人室は,専ら,宗教的目的達成の ためというその本来の用に供されているものである。 したがって,本件管理人室は,①宗教目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物(境内建物)である上,②「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものであるから,非課税対象であり,固定資産税等を課することができない。 エ被告の主張に対する反論 該宗教法人に固有の建物及び工作物(境内建物)である上,②「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものであるから,非課税対象であり,固定資産税等を課することができない。 エ被告の主張に対する反論 被告は,本件管理人室に独立してトイレ,浴室,台所が備えられていることなどを指摘して本件管理人室が主に管理人の私的な空間として用いられており,一般の住宅と何ら変わりがない旨主張する。しかし,上述したような本件管理人室の設備としての特性上,同室に被告が指摘するようなトイレや浴室,寝具等が備え付けられていることなどは自然なことである。 被告は,庫裡・教職舎に居住する住職・牧師等が宗教の主宰者であることに着目した上,管理人が宗教の主宰者ではなく,住職・牧師等に類するものではないとして,本件管理人室が庫裡・教職舎に類するものではなく,宗教法人法3条規定の境内建物ではない旨を主張する。 しかしながら,庫裡・教職舎が境内建物に当たるとされるのは,当該建物 が寺院・教会等の維持管理をするため,その管理者が起居することが必要だからであって,当該建物に起居する人物の宗教上の地位に着目したものではない。そうすると,Hが宗教の主宰者でないとしても,何ら境内建物の該当性の妨げとなるものではないから,被告の主張はその前提を欠く。 ⑶ 共用部分及び本件土地について ア課税共用部分が本件非課税規定の対象であること共用部分のうち3階の廊下は,本件建物3階部分を横切るように位置しているから,本件建物において3階に位置する各部屋に移動する場合や,同各部屋から本件建物内を移動する場合は,構造上必ず上記廊下を利用しなければならない。また,原告の宗教行事等の宗教活動には,管理人による本件建 物の維持管理や補助活動が 部屋に移動する場合や,同各部屋から本件建物内を移動する場合は,構造上必ず上記廊下を利用しなければならない。また,原告の宗教行事等の宗教活動には,管理人による本件建 物の維持管理や補助活動が不可欠であるところ,管理人は本件建物の構造 上,共用部分を利用しない限り,これらの活動を行うことができない。 したがって,課税共用部分も,本件管理人室と同じく非課税であり,固定資産税等を課することができない。 イ課税土地部分が本件非課税規定の対象であること本件建物は,本件管理人室等を含め,全て境内建物として非課税であるか ら,その敷地である本件土地も全て,①境内建物「が存する一画の土地」(宗教法人法3条2号)として,「境内地」(宗教目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地)に当たり,かつ,②「宗教法人が専らその本来の用に供する」ものとして,非課税対象であり,固定資産税等を課することができない。 以上

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