平成14合(わ)137 贈賄被告

裁判年月日・裁判所
平成15年2月3日 東京地方裁判所
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判決文本文2,573 文字)

平成15年2月3日東京地方裁判所平成14年合(わ)第137号贈賄被告事件判決被告人に対する贈賄被告事件について,当裁判所は,検察官緒方淳,同竹中理比古,弁護人鈴木輝雄(主任),同桑原紀昌各出席の上審理し,次のとおり判決する。 主文 被告人を懲役1年に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,空気調和設備・給排水衛生設備等の施工請負等を業とするZ株式会社(以下「Z」ともいう。)東関東支店支店長として工事等に関する情報収集及び受注等を担当していたもの,A(以下「A」ともいう。)は,平成7年10月29日から平成11年10月28日までの間及び同年11月21日から平成14年3月20日までの間,茨城県下妻市長として同市を代表して業務を執行し,同市が発注する各種公共工事に関し,指名競争入札参加者の指名,予定価格の決定及び請負契約の締結等の職務に従事していたもの,B(以下「B」ともいう。)は,公共工事等に関する情報収集等の請負を業とする株式会社Yの取締役として同社を実質的に経営していたもの,C(以下「C」ともいう。)は,Zと同様に機械設備等の請負工事を業とする会社に勤務していたものであるが,被告人は,B及びCと共謀の上,Aが,平成11年8月4日,下妻市大字a町b丁目c番地所在の下妻市役所本庁舎市長室において,同市が同月5日を入札予定日として指名競争入札に付することを決定していた下妻市立図書館機械設備工事の予定価格に関し,職務上知り得た同市の秘密である税抜きの同価格1 の下妻市役所本庁舎市長室において,同市が同月5日を入札予定日として指名競争入札に付することを決定していた下妻市立図書館機械設備工事の予定価格に関し,職務上知り得た同市の秘密である税抜きの同価格1億9622万円に近接する1億9600万円という金額を,同工事の指名競争入札参加者であるZ・X特定建設工事共同企業体の代表構成員であるZの東関東支店支店長であった被告人に内報して職務上不正な行為をしたことに関し,これに対する謝礼の趣旨で,同年10月5日,東京都千代田区d町e丁目f番g号hビル314号室所在の上記Y事務所において,Bが,Aに対し,現金100万円を供与し,もってAの職務に関して賄賂を供与した。 (証拠の標目)省略(法令の適用)省略(量刑の理由)本件は,Z株式会社東関東支店支店長であった被告人が,株式会社Yの実質的経営者B及びZと同様に機械設備等の請負工事を業とする会社に勤務するCと共謀の上,判示のとおり,下妻市長であったAに対し,現金100万円の賄賂を供与したという事案である。 関係証拠によれば,被告人は,本件工事をZが受注するため,下妻市長であったAに働きかけてZを受注業者として事実上選定してもらおうと考え,被告人より先に茨城県を担当区域として活動しており,下妻市発注の工事を受注した実績も持つ知人のCに対し協力を依頼し,平成10年秋ころ,CからAと親しいBの紹介を受け,以後,C,Bを順次介してAに働きかけ,AからZが本件工事の受注業者となることを容認する旨の発言を引き出していたが,指名業者間で,Zと地元業者とで作った共同企業体が本件工事の受注業者となることについての調整を進めていたところ,これに同調しない業者が出てきたことから,更に本件工事の受注を確実なものとするために直接Aに対して本件工事の予定価格を尋ね,入 同企業体が本件工事の受注業者となることについての調整を進めていたところ,これに同調しない業者が出てきたことから,更に本件工事の受注を確実なものとするために直接Aに対して本件工事の予定価格を尋ね,入札前日に下妻市長室において,Aから本件工事の予定価格に近接する金額の内報を受け,それをもとに教えられた金額で入札した結果,上記共同企業体が本件工事を予定価格をわずか22万円下回るだけの1億9600万円で落札したことが認められる。 そして,本件は,このような事情を背景として,被告人が,Cを介して,Bが上記予定価格に近接する金額の内報という職務上の不正な行為をしてくれたことに対する謝礼をAに供与した方がいいのではないかとの旨を述べていることを聞かされ,Cと相談の上,Aに対し現金100万円を供与することを決め,現金がすぐに用意できなかったことから,とりあえずBにその賄賂金を立て替えてもらい,判示のとおりAに賄賂を供与したものであり,なお,この金員については犯行後被告人においてBに同額の現金を交付して補てんしている。 以上から明らかなように,本件犯行は,自社の利益を優先させた自己中心的な動機に出たもので,この点で酌量すべき点はなく,また,賄賂の額も100万円と多額である上,指名競争入札に関する職務の公正及びこれに対する社会一般の信頼を著しく害している。加えて,その社会的影響も看過し得ない。そして,被告人が贈賄することを決断しなければ,本件犯行は生じなかったのであり,これらの事情に照らすと,その刑事責任は重いといわざるを得ない。 しかし,他方において,被告人は捜査段階から一貫して犯行を認め,当公判廷でも反省の態度を示していること,前記のとおり賄賂の供与を発案したのは被告人ではないこと,被告人は,企業人としては相応の活躍をし功績を上げても来ていたも 人は捜査段階から一貫して犯行を認め,当公判廷でも反省の態度を示していること,前記のとおり賄賂の供与を発案したのは被告人ではないこと,被告人は,企業人としては相応の活躍をし功績を上げても来ていたものであること,本件が大きく報道され,Zを退職し,業界団体の役職を辞任するなど,一定の社会的制裁を受けていること,被告人の妻が当公判廷において情状証人として証言していること,被告人には前科がないこと等,被告人にとって酌むべき事情も認められる。 そこで,以上の諸事情を総合考慮して,被告人に対しては,主文掲記の刑を科した上,その刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑懲役1年)平成15年2月3日東京地方裁判所刑事第11部裁判長裁判官合田悦三裁判官幅田勝行裁判官北村治樹

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