平成24(受)105 求償債権等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成25年11月21日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所 平成23(ネ)1323
ファイル
hanrei-pdf-83748.txt

判決文本文2,768 文字)

- 1 -平成24年(受)第105号求償債権等請求事件平成25年11月21日第一小法廷判決 主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人待場豊ほかの上告受理申立て理由第2について 1 本件は,再生債務者A株式会社に対して債権を有する上告人が,当該債権は共益債権に当たると主張して,承継前被上告人に対し,再生手続によらないで,その支払を求める訴訟である。上記債権が,本来共益債権であるにもかかわらず,再生手続において再生債権として届出がされたことなどから,上告人が再生手続によらないで上記共益債権を行使することができるか否かが争われている。なお,承継前被上告人は,原審口頭弁論終結後に管財人を辞任し,新たに管財人に選任された被上告人が本訴の訴訟手続を受継した。 2 原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。 (1) A株式会社外1名は,平成18年10月2日,外国法人であるB(以下「本件買主」という。)との間で,船舶1隻を目的とする売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し,Aは,同月19日,本件買主から,前受金として,本件売買契約の代金の一部2億3650万円(以下「本件前受金」という。)を受領した。上告人は,Aからの委託を受け,その頃,本件買主に対し,Aの本件前受金の返還に係る債務につき保証した。 - 2 -(2) Aは,平成20年6月18日,再生手続開始の決定を受け,その管財人に選任された承継前被上告人は,同月25日頃,本件買主に対し,民事再生法49条1項の規定に基づき,本件売買契約を解除する旨の意思表示をした。 (3) 18日,再生手続開始の決定を受け,その管財人に選任された承継前被上告人は,同月25日頃,本件買主に対し,民事再生法49条1項の規定に基づき,本件売買契約を解除する旨の意思表示をした。 (3) 本件買主は,平成20年8月6日,再生裁判所に対し,本件前受金の返還債権及びこれに対する約定利息(以下「本件前受金返還債権等」という。)について,再生債権として届出をした。この届出においては,本件前受金返還債権等につき再生債権として届出がされただけで,本来共益債権であるものを予備的に再生債権であるとして届出をする旨の付記はされなかった。 (4) 承継前被上告人は,再生債権の調査において,本件前受金返還債権等を認め,他の届出再生債権者も,調査期間内に異議を述べなかった。 (5) 再生裁判所は,平成21年1月13日付け再生計画案を決議に付する旨の決定をし,同再生計画案は可決された。これを受けて,再生裁判所は,同年3月17日に再生計画(以下「本件再生計画」という。)の認可の決定をし,同決定は,同年4月14日に確定した。本件再生計画においては「平成20年12月21日までに弁済期が到来し未払いとなっている共益債権はない。」と記載され,また,再生債権弁済計画表には,本件前受金返還債権等が計上されていた。 (6) 上告人は,平成21年1月23日,本件買主に対し,保証債務の履行として本件前受金の返還に係る債務2億4650万円(約定利息の一部である1000万円を含む。)を代位弁済した。上告人は,これに基づき,同年5月1日,再生裁判所に対し,本件前受金返還債権等を上記弁済額の範囲で承継した旨の届出をした。 (7) 上告人は,平成21年5月27日,承継前被上告人に対し,本件前受金返- 3 -還債権等が共益債権であると主張して本件訴訟を提起した。 記弁済額の範囲で承継した旨の届出をした。 (7) 上告人は,平成21年5月27日,承継前被上告人に対し,本件前受金返- 3 -還債権等が共益債権であると主張して本件訴訟を提起した。 3 原審は,本件前受金返還債権等は再生債権として確定しており,再生手続によらずにこれを行使することはできないなどとして,本件訴えを却下すべきものとした。 4 所論は,本件前受金返還債権等は共益債権性を失っておらず,再生手続によらずにこれを行使することができるというものである。 5 民事再生法上の共益債権に当たる債権を有する者は,当該債権につき再生債権として届出がされただけで,本来共益債権であるものを予備的に再生債権であるとして届出をする旨の付記もされず,この届出を前提として作成された再生計画案を決議に付する旨の決定がされた場合には,当該債権が共益債権であることを主張して再生手続によらずにこれを行使することは許されないと解するのが相当である。なぜならば,民事再生法95条によれば,再生債権者は,再生計画案を決議に付する旨の決定がされた後においては,届出の追完をし,又は届け出た事項について他の再生債権者の利益を害すべき変更を加えることができないとされているところ,再生計画案を確定させ,再生手続の安定を図るという観点からすれば,本来共益債権であるものを予備的に再生債権であるとして届出をする旨の付記がされることなく再生債権として届出がされた債権につき,当該届出を前提として再生計画案が作成され,これを決議に付する旨の決定がされた後に,同再生計画案において再生債権とされている債権につきこれを共益債権として再生手続によらずに行使することが不適切であることは明らかであるからである。 これを本件についてみると,前記事実関係によれば,上告人が有する本件前受金 権とされている債権につきこれを共益債権として再生手続によらずに行使することが不適切であることは明らかであるからである。 これを本件についてみると,前記事実関係によれば,上告人が有する本件前受金返還債権等は,民事再生法上の共益債権に当たるが(同法49条5項において準用- 4 -する破産法54条2項),これにつき再生債権として届出がされただけで,本来共益債権であるものを予備的に再生債権であるとして届出をする旨の付記はされず,この届出を前提として作成された本件再生計画案を決議に付する旨の決定がされ,本件再生計画の認可の決定が確定したものである。したがって,上告人が,本件前受金返還債権等について,これが共益債権であると主張して再生手続によらずに行使することは許されないというべきである。 6 以上によれば,本件訴えを却下すべきものとした原審の前記判断は,結論において是認することができる。論旨は,採用することができない。 なお,その余の請求に関する上告については,上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除された。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官櫻井龍子裁判官金築誠志裁判官横田尤孝裁判官白木勇裁判官山浦善樹)

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る