平成13(行ウ)3 損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年10月8日 熊本地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文61,719 文字)

主文 1 原告らの被告Aに対する訴えのうち,別紙2①ないし⑦記載の各支出に関する財務会計行為の違法を理由として損害賠償を請求する部分を却下する。 2 原告らの被告Aに対するその余の請求を棄却する。 3 原告らの被告荒尾市長に対する請求を棄却する。 4 訴訟費用は,参加により生じた費用も含め原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨(1) 被告Aは,荒尾市(以下,単に「市」ともいう。)に対し,金2億8454万3768円及びこれに対する平成13年5月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被告荒尾市長(以下「被告市長」という。)は,別紙3金融機関目録記載の各金融機関(以下「本件5行」という。)に対し,平成9年9月ころ市と同5行との間で締結した損失補償契約(以下「本件損失補償契約」という。)に基づいて,同5行に対応する同目録記載の「今後の予定支払額(円)」欄の金額(ただし,本訴提起日である平成13年3月13日当時)について,市の公金を支出してはならない。 (3) 訴訟費用は被告らの負担とする。 2 請求の趣旨に対する被告らの答弁(本案前の答弁)(1) 原告らの本件訴えをいずれも却下する。 (2) 訴訟費用は原告らの負担とする。 (本案の答弁)(1) 原告らの請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は原告らの負担とする。 第2 請求原因 1 当事者(訴状2頁)原告らは荒尾市に居住する住民である。 被告Aは,前荒尾市長である。 2 株式会社アジアパーク(以下「本件会社」といい,本件会社が経営する施設ないし事業名を「アジアパーク」という。)の設立とその後の経緯(訴状2頁)(1 。 被告Aは,前荒尾市長である。 2 株式会社アジアパーク(以下「本件会社」といい,本件会社が経営する施設ないし事業名を「アジアパーク」という。)の設立とその後の経緯(訴状2頁)(1) 本件会社(設立時の商号は「株式会社アスク」。)は,いわゆる第三セクターとして国,熊本県(以下,単に「県」ともいう。),市その他民間会社35社の出資を得て,平成2年2月,設立されることになった。 これは炭鉱住宅の跡地である約4.4ヘクタールに総事業費約44億円を投じて,遊園地や遊戯場を中心とした観光施設を設置するというものであった。この趣旨で,本件会社が平成2年12月13日に設立登記され,その後同社は平成5年6月23日に株式会社アジアパークに商号変更がなされ,その旨の登記がなされた(甲1)。 被告Aは,アジアパークを産炭に代わる荒尾市の新しい産業おこしの中核的事業と位置づけ,第三セクターである本件会社の設立と運営に主導的役割(代表取締役会長)を果たしてきた。 アジアパークの主な経過は,別紙4(甲7の9頁)記載のとおりである。 また,同社の主要株主は別紙5(甲3の16頁記載)のとおりである。 (2) 被告Aは,アジアパークが経営困難に陥った平成9年9月当時,主力民間企業2社(株式会社ニコニコ堂,三井グリーンランド株式会社。以下,それぞれ「ニコニコ堂」「三井グリーンランド社」といい,両者を併せて「主要2社」ともいう。)との三者合意に基づく財政支援策を強行しようとし,同年9月29日,臨時市議会を招集し,本件会社に対する補助金及び損失補償として,平成9年度から平成20年度まで,16億6930万円を限度とする債務負担行為の一般会計補正予算を提案した(甲3)。 市議会では,本件会社の経営実態からして,貴重な市民の税 及び損失補償として,平成9年度から平成20年度まで,16億6930万円を限度とする債務負担行為の一般会計補正予算を提案した(甲3)。 市議会では,本件会社の経営実態からして,貴重な市民の税金を投入するだけの見通しがあるのか,実質的には違法な債務保証ではないのか,補助金ということであれば,これまで補助金を支出してきたものと同等な手続きや内容が担保されるのかなど多くの疑問が議員から提出されたが,それを押し切るように賛成多数で議決された。 (3) 平成10年3月市議会では,平成10年度一般会計(当初)予算に本件会社に対する補助金1億0635万4000円が提案され,同社への補助金支出には強い反対意見があったにもかかわらず,この議案は同年3月18日に議決された。 (4) 平成9年9月市議会から概ね1年が経過した時点で,被告Aは,本件会社経営の健全化の努力もしないままに,同社には公益性がなくなったなどと称し,予算の凍結をして同社に対する補助金の支出を止めた。 被告Aは,市から多額の補助金や損失補償などの支援をさせておきながら,実際にはその後の経営は主として主要2社に任せきりといった無責任体制であり,とうてい経営状況の好転など望むべくもなかった。 3 本件会社に対する市からの補助金と損失補償の支出状況(訴状3頁)(1) 補助金と損失補償の名目市は,本件会社に関しては,株主として出資を行ったほか,その後平成9年以降,市の予算の中から補助金と損失補償という2つの名目で支出を行った。本訴では,この2つの名目での支出がいずれも違法であると主張するものである。 (2) 具体的予算措置補助金と損失補償の具体的な予算は以下のとおりであった。 ア本件会社に対する補助金(以下,上記補助金の全部ないし一部を「本件 法であると主張するものである。 (2) 具体的予算措置補助金と損失補償の具体的な予算は以下のとおりであった。 ア本件会社に対する補助金(以下,上記補助金の全部ないし一部を「本件補助金」という。)10億0605万円(平成9~20年度)イ本件会社に資金融資した本件5行に対する損失補償(以下,上記損失補償の全部ないし一部を「本件損失補償」という。) 6億6325万円(平成10~20年度)計 16億6930万円(3) 予算の執行本件補助金と本件損失補償は別紙6予算執行状況表記載のとおり執行された(ただし,本訴提起当時)。 4 本件補助金と本件損失補償支出の違法性(1) 補助金等の交付の根拠(訴状4頁)市が補助金等を交付するときの根拠規定は地方自治法(以下「法」という。)232条の2である。同条は次のとおり規定されている。 「普通地方公共団体は,その公益上必要がある場合においては,寄附又は補助をすることができる。」この「公益上必要がある」かどうかの判断にあたっては,「公益上必要かどうかを一応認定するのは長および議会であるが,この規定はまったくの自由裁量行為ではないから,客観的にも公益上必要であると認められなければならない」とされている(昭和28年6月29日自治行発第186号参照)。 (2) 公益性の有無本件において「公益性」があったか否かを検討する。 ア平成9年9月の時点で本件会社は回復する見込みがあったか(平成15年9月18日付け準備書面7頁)この点が,実質的にみて本件の最大の争点であろう。日韓高速船事件判決(広島高裁平成10年(行コ)第11号同13年5月29日判決・判例時報175 年9月18日付け準備書面7頁)この点が,実質的にみて本件の最大の争点であろう。日韓高速船事件判決(広島高裁平成10年(行コ)第11号同13年5月29日判決・判例時報1756号66頁,原審山口地裁同6年(行ウ)第3号,同第5号同10年6月9日判決・判例時報1648号28頁)からしても,事実上倒産していたり,あるいはそれと同視できるような状態の第三セクターに対する支援には公益性を認めることはできない。この点は一般論としてもほぼ異論はないのではないかと考えられる。 本件会社は結果的に失敗したことは明らかであるが,実際には被告Aが公金支出を決定した平成9年9月の当時から再建の見込みがなく,公金投入は市に何の利益ももたらさず,それこそドブに捨てるも同然であったことは明らかであった。これは以下の点からも裏付けられる。 (ア) 設立時点での目的,計画はほとんど実現していない。毎年約3億円ずつの赤字を生み出していたし,それまで何度も議会で指摘されながら,抜本的な対策を取らないままで推移していた。 (イ) 平成9年9月になって,突然,市議会に対して本件会社支援の提案がなされ,本件補助金と本件損失補償という二本立てでの公金支出が強行採決された。 (ウ) 平成9年9月の時点で具体的な再建計画はあったか,その内容はどう進展していったか,この点は重要な要素であったが,最後まで具体的な再建計画なるものはなかった。本件会社は社員も0となり,市としても何ら手を打たないでただお金だけ出すといった格好で,無責任にも放置してしまったに等しい。民間(主要2社)のノウハウに期待すると言いながら,実際にはその民間側にも具体的な再建策はなかったし,再建策の有無やその内容については,市は確認もしていなかった。 も放置してしまったに等しい。民間(主要2社)のノウハウに期待すると言いながら,実際にはその民間側にも具体的な再建策はなかったし,再建策の有無やその内容については,市は確認もしていなかった。 (エ) いったんは公金支出を決定しておきながら,被告Aは,1年半後には公益性が喪失したとして本件補助金の支出を突然止めてしまった。本件会社の実情が具体的にどのように変化したのか明らかではなかったが,本件会社側の意向も無視して止めてしまった。 被告Aは,市議会で執行部提案が否決されたからと言い訳を述べているが,実際には執行部と市議会与党との間で根回しをした結果であった。 (オ) 本件会社は,開業の時点から市議会に対する説明を曖昧にしたままであった。例えば開業にかかる経費の具体的な内容も不明瞭であり,その後開業の翌年から経営実態は一向に好転せず累積赤字のみが増加する有様で,市議会では再三にわたってこの点の指摘がなされていて,会社の整理解体まで言及されていた。 しかし,被告Aは単に問題の先送りをするばかりで,地域住民はもとより市議会にも本件会社の実情をほとんど説明してこなかった。 (カ) 結果的に,市の本件補助金,本件損失補償などの支出によって利益を得た者は,要するに銀行などの金融機関であった。地域住民には負担だけが残ったと言って過言ではない。これは,平成9年9月の時点から明らかであった。 イ本件会社は,前記2(1)のとおり,市や県も出資してはいるが,その実体は遊園地や遊戯場という営利を目的とした株式会社である。しかも,平成8年からは,例えば,ゲーム機会社のセガがテナントで参加してゲームセンターが中心となったり,ゴーカートやバンジージャンプを取り入れるなど娯楽性が強くなった。 (訴状4頁) である。しかも,平成8年からは,例えば,ゲーム機会社のセガがテナントで参加してゲームセンターが中心となったり,ゴーカートやバンジージャンプを取り入れるなど娯楽性が強くなった。 (訴状4頁)ウ市は,平成12年3月現在,約160億円という莫大な地方債残高を有し,平成9年をピークに減少しつつあるが,今なお市財政の硬直化は回復の兆しもなく,ここ数年新規事業もないのが現状である。また,平成11年度決算における市の財政指数は0.422であり,類似都市の0.61に比べると,非常に財政力が弱いことを示している。 更に経常収支比率にあっては,88.3%と財政力の健全化,弾力性を示す指数の80%を超え,財政構造の弾力性を失いつつある(参考として,平成10年度が93.6%,平成9年度が92.2%であった)。公債費比率においても財政構造が保たれた状態といえる10%を超え,15.7%と類似都市の14.8%と比較しても非常に高く,厳しい状況にある。 ちなみに,市の平成13年度一般会計予算は,約173億円で,前年度比の2.1%増になっているが,ここ数年同額で推移している。 市の現状は,他市に比べて低所得者が多く,市税収入が少なく住民福祉の向上に使われる予算などが少ないのが現状である。 また,市役所庁舎の老朽化を含め,各福祉施設,市民病院,体育施設,学校施設の老朽化に伴う建て替え,さらにはRDFゴミ処理施設の建設や水資源確保のための工業用水の転用などに多額な財源を必要とする事業が見込まれているにもかかわらず,その財源確保にも容易ならぬものがあり,このことは市民生活に大きな影響を及ぼすものである。(訴状4頁)エ補助金等の支出に公益性があるか否かの判断にあたっては,市の財政上の余裕の程度も判断材料とされる。すなわち, らぬものがあり,このことは市民生活に大きな影響を及ぼすものである。(訴状4頁)エ補助金等の支出に公益性があるか否かの判断にあたっては,市の財政上の余裕の程度も判断材料とされる。すなわち,財政に余裕のある場合にはじめて,補助金等の交付は許されるのである。 「普通地方公共団体の収入は,まず法232条1項記載の経費に支弁されるべきものであるから,これに属しない寄付又は補助は,普通地方公共団体の財政に余裕のある場合に始めてこれをなしうるものであって,寄付又は補助の公益上の判断には,当該普通地方公共団体の財政上の余裕の程度を考慮しなければならない。」とされ,「財政上の余裕の程度との関連で,どの程度の重要性と緊急性を有するのか,公益目的の実現に適切(合目的性),かつ,有効(有効性)な効果を期待できるか,‥‥公正,公平など,他の行政目的を阻害し,行政全体の均衡を損なうことがないか」などを考慮すべきだとされている(神戸地裁昭和50年(行ウ)15号同62年9月28日判決・判例時報1273号38頁)。(訴状5頁)オアジアパークは,前記イのとおり,要するに遊園地や遊戯場であり,隣接する三井グリーンランドと同種の施設である。もともとはアジアとの関連性を打ち出すはずのテーマパークであったものの,途中からはアジア色を押し出すというより娯楽性が強くなり,独自性を打ち出せないまま倒産してしまったものである。 しかも決して安い料金ではなく,市民が気軽に利用できる施設とはかけ離れており,多くの荒尾市民が一度もアジアパークを利用することもなく,わずか6年あまりで倒産したのも当然のことであった。(訴状5頁)カ市議会の議決について(平成15年9月18日付け準備書面4頁)公金支出について議会での議決があったからといって ずか6年あまりで倒産したのも当然のことであった。(訴状5頁)カ市議会の議決について(平成15年9月18日付け準備書面4頁)公金支出について議会での議決があったからといって,それが直ちに公益性を具備するわけではないから,別途,司法上の判断が不可欠である。議会の判断を無視することができないとしても,議会という組織は極めて政治的な活動がなされる機関であり,少数者の正しい意見も否定されることもあり得る。そこで,議会にはどのような情報が開示されていたのか,議会ではどのような疑問点や問題点が指摘されていて,それに対して被告Aらがどのように答弁や対処していたかは重要な要素になりうる。 そして本件では,市議会に対しても正確な情報が提供されていたとは言えないし,また平成9年9月29日の臨時市議会に突然上程され,直ちに強行採決されたという点も考慮されるべきである。 キ本件会社の地域貢献性について(平成15年9月18日付け準備書面5頁)本件会社ははたして地域に一定の貢献を果たしたか,また地域住民にとって貢献があったのかは大きな要素である。被告らもしきりに地域貢献性を強調するようであるが,実際は全くの逆であった。 本件会社は開業以来,毎年赤字経営ということで,当初少しはあった教育的要素は完全に影をひそめ次第に娯楽性の強い施設になっていった。単なるレジャーランドでは公益性は認められないから,多額の補助金を支出してまでも保護していくだけの公共性や当該地域における地域貢献度などが特に必要とされる。つまり元来,公益性ありと言うためには,地域住民全体にとって有益なものでなければならないわけである。 しかし,本件会社が荒尾市やその地域経済に与えた経済効果など皆無に等しく,地域経済に貢献 まり元来,公益性ありと言うためには,地域住民全体にとって有益なものでなければならないわけである。 しかし,本件会社が荒尾市やその地域経済に与えた経済効果など皆無に等しく,地域経済に貢献するどころか,実態は全くその逆であった。 市は三池炭鉱の生産性の縮小撤退の中で,市の再生をかけて観光・商業・文化都市をめざすこととなったが,何も本件会社がα地区の再開発と浮揚の中心的役割を果たしたわけではない。 まずαリニューアルタウン宅地造成事業について,市は,再々市議会において三池炭鉱住宅跡地の荒廃した現況に対して有効利用の対応策を求められていた。これを受けて市は三井企業の所有地を買収し,宅地分譲に踏み切ったのである。当時の市担当者も本件会社の影響を受けて開発行為に取り組んだものではないと指摘している。 何よりも本件会社は事業開始翌年から毎年3億円の赤字を積み上げて来たに過ぎないし,再建の見通しは消滅したも同然であった。確かにアジアパークの周辺には各種のレジャー施設が建設されているが,これらは本件会社の破綻を直視し,独自で企業努力を行っている結果である。言ってみれば,本件会社は市の発展にも市民にも貢献するどころか借金だけを残し,市は平成20年度まで6300万円のツケを支払い続けなければならないのである。ク地域住民の意向について(平成15年9月18日付け準備書面6頁)公益性の判断については,特に娯楽性の強い施設の場合,当該地域住民の意向も重要である。多くの地域住民が賛成し支えるような施設であれば,多少は娯楽性が強くても公益性が高まるであろう。しかし,本件会社の場合,実際にはその反対であった。 地域住民の多くは当初から反対であり,その旨の陳情まで行われていたが,被告Aは多くの反対を押し切 娯楽性が強くても公益性が高まるであろう。しかし,本件会社の場合,実際にはその反対であった。 地域住民の多くは当初から反対であり,その旨の陳情まで行われていたが,被告Aは多くの反対を押し切ってまで,都市計画法上の地域指定を変更したり必要な条例を定めたりして,アジアパーク建設を強行した。 そして,前記オのとおり,本件会社は当初こそ,いくらかはアジアに学ぶといった配慮もないわけではなかったようであるが,その後定款を変更したりして,次第に娯楽性の強いものに変身させていったものであり,公益性も薄められていった。これによって地域住民の意向にますます反するものとなっていった。 ケ第三セクターという会社組織について(平成15年9月18日付け準備書面6頁)本件会社は市も出資したところの第三セクターであるので,この点をどう評価すべきであろうか。 考え方によっては,普通の民間会社とは違って市自らが出資して設立に関与した会社であるから,市としては政治的や社会的にも責任があるから補助金などを提供して取引先などに迷惑をかけないようにすべきではないかという意見も,一応あり得るであろう。 しかし,第三セクターだからといって特別扱いしたり,政治的や社会的責任をことさら強調することは誤りであって,要するにあくまで法律上の客観的公益性が問題にされるべきである。三セクだから利益を無視して良いとか,利益が出ないときには公共団体が補てんをすればよいなどという議論は無責任であり,本件でも通用しない。 そもそも被告Aらもアジアパーク計画の段階から赤字でよいなどということは考えてもおらず,一定年数後には黒字化が図られるとコンサルタント会社も計画していたし,市も同様に説明していた。あくまでも通常の株式会社と同様に収益 ジアパーク計画の段階から赤字でよいなどということは考えてもおらず,一定年数後には黒字化が図られるとコンサルタント会社も計画していたし,市も同様に説明していた。あくまでも通常の株式会社と同様に収益が上げられると考えていたのである。 第三セクターの場合にはよりリスクの少ない方策を慎重に採るべきなのであって,法律上の義務を超えて損失補償契約をわざわざ締結するなどして,より過重な負担を市民に押し付けることはできないというべきである。 コアジアパークのような遊園地,遊戯場に市が補助金を支出するには,公共事務に匹敵するほどの必要性が,主観的にも客観的にも求められる(前記日韓高速船事件判決)。 しかも,この公益目的はあいまいであってはならず,明確でなければならない。さらに,それは住民の大部分の利益につながるものでなければならない。 そもそも地方公共団体の行う事務の範囲は,法2条(平成11年7月法律87号による改正前のもの。以下同じ。)3項に定められているが,アジアパークは,いかなる点においても同条項で例示されている公共性のある事業に該当しない。 結局,本件会社は,客観的に見て,設立前から採算がとれる見通しが立たず,本件支出は税金のはなはだしい無駄づかいであって,市民の福祉を犠牲にするものであつた。(訴状6頁)(3) 本件損失補償契約の経過(訴状6頁)ア本件損失補償については,平成9年9月ころ市と本件5行との間で本件損失補償契約が締結されている。これは平成8年以降,本件会社の経営が行き詰まりを見せてきて,同社は金融機関に対し,同年12月末の手形支払期日を延長してもらい,また平成9年3月末の期日も再延長してもらう有様であった。その結果,同年6月末までに金融機関との協議が迫られることになり,同月2 て,同社は金融機関に対し,同年12月末の手形支払期日を延長してもらい,また平成9年3月末の期日も再延長してもらう有様であった。その結果,同年6月末までに金融機関との協議が迫られることになり,同月20日から市,主要2社の三者協議が始められることになった。 イこうした協議の結果,同年6月末迄という期日をさらに同年9月末まで再々延長してもらい,それまでに結論を出すということになった。こうした三者協議を行っていることは市民や市議会にも全く知らせないままであり,一方でこうした密室での協議を行い,この密室協議を受けて,同年9月市議会で強引に本件損失補償や本件補助金などを支出する予算を議決してしまったのである。 ウ本件損失補償契約は,本件会社に融資していた主要金融機関である本件5行の貸金債権のうち短期貸し付け分を切り替えて,それについて市が保証し,さらに市が上記5行に対してその損失分を補填するために締結されたものであった。 (4) 本件損失補償契約の内容について(訴状7頁)ア本件損失補償契約第2条(損失の額)後段は,毎年4月,10月の約定償還日を経過した日以後,本件5行が本件会社に対し債務の履行を催告しても所定の弁済を行わなかった場合は,当該約定期日における返済元本及び利息を市が代わって支払う旨,損失を拡大して定義し,また毎年計画的とも認められる補償義務が約定されている(甲6)。 イ被告Aは,平成10年度,11年度,12年度の当初予算を本件会社が第一義的に負うべき債務を市が肩代わりする,または肩代わり出来ることを前提として編成し,市議会に提案し,執行してきた。 損失補償契約で損失をどう定義し補償を行うかについては,一般的にはある程度の裁量を有すると考えられるが,地方公共団体である市は債務の原因となる契約締結 成し,市議会に提案し,執行してきた。 損失補償契約で損失をどう定義し補償を行うかについては,一般的にはある程度の裁量を有すると考えられるが,地方公共団体である市は債務の原因となる契約締結等の事務を処理するにあたっては,法2条(自治行政の基本原則),また地方財政法4条(支出の原則),4条の2(年度間の財政運営の考慮)の規定に則り,各種法令を遵守すべき責任と義務が強く求められている。 ウ本件損失補償契約締結,予算措置と執行などの一連の行為は,本件会社の借入金をすべて市が代わって返済することを前提とし,実行しているものである。これは実質的には債務保証そのものであり,法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律3条の脱法行為であって,地方公共団体の事務としては不適切かつ違法な処理である。 この点は住民監査の結果でも,一応認めている。つまり「このことは債務保証の実態をなしており,「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」第3条の脱法行為とも見なされ,地方公共団体の事務としては不適切な処理と認めざるを得ない。」と指摘している(甲5)。 エただし,住民監査では「このことが違法であるかどうかの判断については,アジアパークの経営に関わる複雑且つ困難な実情を背景とした市長の行政判断に基づくもので,市議会の承認・議決の範囲で行われた予算の執行であり,一部に不適切な事務処理があったとしても,法242条に規定する『違法若しくは不当』に該当する程の違法性があったと断定することはできない。」としている。 しかし,この判断は誤りであり極めて不当である。住民監査では,一方では脱法行為と認定しながらも,「議会の承認」があるので違法性が免れるかのようにも読みとれるが,極めて安易な判断といわざるを得ない。議会の承認があっても違 であり極めて不当である。住民監査では,一方では脱法行為と認定しながらも,「議会の承認」があるので違法性が免れるかのようにも読みとれるが,極めて安易な判断といわざるを得ない。議会の承認があっても違法な支出はあくまで違法であって,議会の議決で違法性が阻却されることはない。 (5) 今後支出予定(ただし,本訴提起当時)(訴状8頁)ア本件補助金について本件補助金は,平成12年8月31日,本件会社解散(登記同年9月4日)により,以降の支出は凍結されている。 イ本件損失補償について本件損失補償については,平成9年9月29日議決での債務負担行為限度額が6億6325万円であり,平成10年度ないし平成12年度支出済の損失補償額1億6577万4118円であるので,差し引き今後支払うべき限度額4億9747万5882円となる。従って現在,市は補償契約書上では,別紙3金融機関目録記載のとおりの支払予定残高がある。 住民監査では,本件損失補償契約に基づいた支出を市がしないとすれば,「契約上の瑕疵は市側だけにあり,相手五行(本件5行)にはなくこの契約の有効性に何ら疑念の余地はない。従って契約に基づく未執行分4億9747万5882円(議決限度額)については,市は支払う責任と義務を免れることはできない。契約の不履行は市の信用の失墜であり,法的に責を問われることとなる。」としている。 しかし,この点も誤りであり不当である。もともと本件損失補償契約自体が前記法違反を犯しているので,支出をすること自体違法というべきであり,今後の支出はとうてい容認できない。 (6) 結論(訴状9頁)以上により,本件補助金の支出及び本件損失補償契約に基づく支出(以下,併せて「本件支出」という。)は,法2条3項,13項(公 今後の支出はとうてい容認できない。 (6) 結論(訴状9頁)以上により,本件補助金の支出及び本件損失補償契約に基づく支出(以下,併せて「本件支出」という。)は,法2条3項,13項(公共団体の事務の範囲等),232条の2(寄附又は補助の要件),憲法13条(幸福追求権),25条(生存権),29条1項(個人の財産権),31条(適正手続)にそれぞれ違反する違法なものである。 5 被告らの法的責任(訴状9頁)(1) 違法な公金支出被告Aは以上のとおり違法な公金の支出をなした。 すなわち,本件会社への公金支出は,まったく財政的に余裕のない市にとっていささかの重要性も緊急性もなく,公益目的の実現に反し,市民にとって有効な効果を期待することができないのみならず,かえって他の行政目的を阻害し,行政全体の均衡を損なうものであり,本件支出はいかなる意味においても許されない違法な支出である。 にもかかわらず,被告Aはあえて違法な公金の支出行為をなしたものであり,その点について,故意または過失が存する。 この結果,市は2億8229万3768円の損害を被った(ただし,本訴提起当時)。被告Aの命によって市から既に支払われた公金(損害)の内訳は次のとおりである。 本件補助金 1億1651万9650円本件損失補償 1億6577万4118円(2) 被告Aの責任の重大性アもともとアジアパーク計画を遂行・実施したのは被告Aである。被告Aが市長として重大な責任を有していることはいうまでもない。実際上,被告Aは,市議会において市長としての責任を追及されたとき,「荒尾市の発起人代表としての社会的,道義的な意味からして今回の支援策を Aが市長として重大な責任を有していることはいうまでもない。実際上,被告Aは,市議会において市長としての責任を追及されたとき,「荒尾市の発起人代表としての社会的,道義的な意味からして今回の支援策を決定した」,「この支援策を決定するに際し,これを最後として今後一切の金融支援は行わない」と発言する一方で「深くお詫びします」,「市長として‥‥指導と監督をすべき立場にありながら,その職責を全うできず」として自らの責任を認めた。 市長が地方自治体たる市の最高責任者として市民の税金の活用について極めて重要な立場に立っていて,公益性の有無の判断に関して重大な検討,判断義務を有することは言うまでもない。この点は,判例上も明らかにされている。 イ 「議会への議案の提出や予算の調整および執行等の権限を与えられている市長として(法149条1項1号,2号),これらの権限を適正に行使するため,たとえ自らが担任する事務のうちに前任者から引き継いだものがあったとしても,それをそのまま受容する必要はいささかもなく,とりわけ当該事務が市民の税金をもって充てられる事項については,公益性の有無について十分に検討し,これのないことが判明したときには直ちに自らの判断で,その執行ないし推進を回避すべく相当な措置を講じることが義務づけられている」(前記日韓高速船事件山口地裁判決)。 ウなお,市長の個人責任の有無を判断するにあたっては,市議会の議決があったということをもって,軽減したり,免責するものではない(最高裁判所昭和37年3月7日判決)。 (3) 差止の必要性被告市長は,本件会社の損失補償として本件損失補償4億9740万2943円を支出しようとしており(ただし,本訴提起当時),その個人責任は厳しく弾劾される必要がある。この支出がなされると,現 被告市長は,本件会社の損失補償として本件損失補償4億9740万2943円を支出しようとしており(ただし,本訴提起当時),その個人責任は厳しく弾劾される必要がある。この支出がなされると,現在でも厳しい荒尾市の財政状況がますます悪化し,回復の困難な事態になることが明らかであり,差止の必要性がある。 以上のとおり,被告らは,あえて違法な公金の支出をなしたものであり,またなそうとするものであって,その点について故意または過失が存する。 6 監査請求(訴状11頁)原告らは平成12年12月21日付けで市監査委員に対して法242条1項にもとづき住民の監査請求(以下「本件監査請求」という。)をなしたが(甲4),市監査委員は平成13年2月14日付けで,原告らの請求は理由がないと判断した(甲5)。 7 結論(訴状11頁))よって,原告らは法242条の2に基づき,市に代位して,被告Aに対し,民法709条の不法行為による損害賠償として2億8454万3768円及びこれに対する平成13年5月20日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払並びに被告市長に対し,本件損失補償契約に基づく,本件5行に対する別紙3金融関係目録記載の「今後の予定支払額(円)」欄の金額(ただし,本訴提起当時)の公金支出の差止めを求める。 第3 被告らの答弁及び主張(本案前の主張) 1 原告らの被告Aに対する本件補助金支出に関する損害賠償請求について(準備書面(1)1頁)(1) 本件補助金の支出行為の日は原告ら自認のとおり,平成9年12月26日1016万6000円,平成10年4月17日5300万円,同年10月27日5335万3650円,合計1億1651万9650円である(乙2の1ないし3)。 (2) 法242条2項により住民監査 1016万6000円,平成10年4月17日5300万円,同年10月27日5335万3650円,合計1億1651万9650円である(乙2の1ないし3)。 (2) 法242条2項により住民監査請求は「当該行為があった日又は終わった日から1年を経過したときは,これをすることができない」とされる。しかして本件補助金の支出行為に関する基準日は各支出行為のあった日を基準とすべきと解すべきである。 (3) 原告らの本件監査請求は,平成12年12月20日市監査委員へ申立てがなされ,同月25日に受理されているのであるから,原告らは法定の監査請求期間を徒過して監査請求を行っているものである(乙3)。 2 原告らの本件損失補償契約の違法を前提とする損害賠償及び支出差止の請求について(準備書面(1)2頁)(1) 原告らの被告Aに対する本件損失補償契約に基づく支出に関する損害賠償請求並びに被告市長に対する差止請求は,いずれも本件損失補償契約の違法を前提とするものと解されるが,この損失補償契約は,本件5行のうち株式会社肥後銀行(以下「肥後銀行」という。),株式会社福岡シティ銀行(以下「福岡シティ銀行」という。),株式会社西日本銀行(以下「西日本銀行」という。),株式会社福岡銀行(以下「福岡銀行」という。)との間では平成9年9月30日に,株式会社熊本ファミリー銀行(以下「熊本ファミリー銀行」という。)との間では同年10月31日に締結されている(乙1の1ないし5)。 (2) しかして前述のとおり監査請求は「当該行為のあった日」を基準として起算されるべきものと解されるものであるから,本件においては,上記(1)の各損失補償契約締結の日より起算されるべきである。 (3) 然りとすれば,原告らの本件監査請求は明らかに法定の監査請求期間を徒 れるべきものと解されるものであるから,本件においては,上記(1)の各損失補償契約締結の日より起算されるべきである。 (3) 然りとすれば,原告らの本件監査請求は明らかに法定の監査請求期間を徒過しているものである。 (4) なお,被告Aは,本件損失補償契約に基づき平成12年4月13日に支払った3316万0200円については支払日より1年以内に本件監査請求がなされているので,上記支出日を基準とする限り法定期間を充足していると考えられる余地も存するが,上記支出の前提となる損失補償契約日を基準とすべきと解する余地も存すると考えるので,不適法却下の申立てをなすものである。 3 本件補助金,本件損失補償支出に係る監査請求のうち,その期間を徒過したものについての「正当な理由」の不存在(準備書面(3)5頁)(1) 「正当な理由」有無の判断基準についてこのことについて,最高裁昭和63年4月22日判決は基本的な基準を示している。それは,①当該行為が普通地方公共団体の住民に隠れて秘密裏になされたこと,②普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて当該行為を知ることができたかどうか,③当該行為を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求がなされたかどうか,という点である。 (2) 本件支出の公然性について(基準①)本件支出(本件補助金及び本件損失補償)についてこの基準に照らせば,本件支出は,市の一般会計予算(補正予算)に計上され,市議会の審議・議決を経て,適正な支出手続きがなされ,さらにその支出につき市議会の決算承認手続きをも経ている。また,これらについては広報・新聞報道がなされ,市民への周知がなされたものであり,「極めて秘密裏」若しくは「まったく市民に秘匿」された事実 れ,さらにその支出につき市議会の決算承認手続きをも経ている。また,これらについては広報・新聞報道がなされ,市民への周知がなされたものであり,「極めて秘密裏」若しくは「まったく市民に秘匿」された事実はない(乙11ないし13)。 (3) 本件支出の調査・了知可能性(基準②)また,本件補助金・本件損失補償の個別の内容について,仮に,一般市民にとって,前記の周知状況だけでは了知ないし確認が困難であったとしても,この点に係る本件「正当な理由」の存否については,最高裁判例の基準②に照らし判断なされねばならない。この基準にいう「相当の注意力をもって調査」するとは,「注意深い住民が相当の方法により探索した場合に客観的に当該行為の探知が可能であったかどうか」(仙台高裁秋田支部昭和55年(行コ)第2号昭和58年2月21日判決),若しくは「住民が通常考え得る方法で調査しても当該行為のあったことを探知することが不可能であったと客観的に認められるような場合」(東京地裁昭和62年(行ウ)第105号平成3年8月7日判決)のように一般の住民より高い注意力をもって調査してもなお客観的に知りえなかったかどうかが問題となる。このことについて予算の議決及び本件損失補償契約の締結がされたことは多くの新聞等による報道をはじめ,その後,平成9年11月1日付けの広報,年度ごとの予算の議決を経ていることにより,多少の注意力をもっていれば,原告らのみならず一般住民にまで了知され,相当期間内に監査請求を提起することに十分な判断材料があったといわなければならない。 (4) 相当期間(基準③)相当期間とは,「当該行為を知り,又は知り得た時から」起算されるべきものであり,判例によって「2ヶ月以上」(福島地裁平成9年8月18日判決)や「3ヶ月余」(名古屋 相当期間(基準③)相当期間とは,「当該行為を知り,又は知り得た時から」起算されるべきものであり,判例によって「2ヶ月以上」(福島地裁平成9年8月18日判決)や「3ヶ月余」(名古屋地裁平成7年10月27日判決)及び「4ヶ月」(最高裁昭和63年4月22日判決)など多少の差異は窺えるが,本件補助金・本件損失補償の支出について,基準②の事実及び各年度ごとに予算の審理・議決を経たものであることから,了知性は明らかであり,本件支出のうち少なくとも監査請求より1年以上前になされた支出行為については,「相当な期間内に監査請求がなされた」とは言えない。 (5) 従って,最高裁判例の前記基準①から基準③を総合的に照らし合わせると,監査請求期間を徒過した本件支出行為については「正当な理由」がないことは明白である。 (本案について) 1 請求原因に対する認否(1) 請求原因1は認める。 (2)ア請求原因2(1)のうち,以下の点は否認し,その余は認める。 (ア) 「民間35社」とする点及び「平成2年2月」とする点は否認する。  民間は37社であり,また設立は平成2年12月12日である。 (イ) また,「遊園地や遊戯場を中心とした観光施設」とする点について,アジアパークは遊園地や遊戯場を中心とした単なる観光施設ではなく,国際交流・文化交流・歴史教育などを目的とするミニチュアランド(レジャー文化,教育施設)を主体としたテーマパークであった。 (ウ) さらに,被告Aが代表取締役会長であったのは,平成5年1月から平成9年9月までである。(答弁書1頁)イ同2(2)のうち,「強行しようとし」とする点,「多くの疑問」とする点及び「それを押し切るように」とする点は否認する。 平成5年1月から平成9年9月までである。(答弁書1頁)イ同2(2)のうち,「強行しようとし」とする点,「多くの疑問」とする点及び「それを押し切るように」とする点は否認する。 一部に反対する議員がいたことは認めるが,結局は大多数の議員の賛成により議決されたものである。(答弁書2頁)ウ同2(3)はほぼ認める。 エ同2(4)のうち,「本件会社に対する補助金の支出を止めた」ことは認めるが,その余は否認ないし争う。 「予算の凍結」は,市議会が予算の審議において「負担金補助及び交付金」から「予備費」に組み替えたものであり,被告Aがなしたものではない。(答弁書2頁)(3)ア請求原因3(1)について,「株主として出資を行った」こと,平成9年,平成10年に本件補助金を支出したこと,平成10年以降本件損失補償の支出をしていることは認める。 イ同3(2)は認める。 ウ同3(3)は認める。 (4)ア請求原因4(1)について,「市が補助金等を交付するときの根拠規定は法232条の2である」こと,この条文に原告ら主張のとおり規定されていること,昭和28年6月29日自治行発第186号に原告ら主張の記載があることは認める。 イ(ア) 同4(2)アは,すべて否認ないし争う。 (イ) 同4(2)イのうち,「遊園地や遊戯場という営利を目的とした」とする点は争う。 前記(2)ア(イ)のとおりアジアパークは国際交流・文化交流・歴史教育などを目的とするミニチュアランドはそのまま残していたが,収益性に問題が生じたために娯楽施設の導入を図ってその収益性の増大等の方策を講じている。 (ウ) 同4(2)ウのうち,「市財政の硬直化は を目的とするミニチュアランドはそのまま残していたが,収益性に問題が生じたために娯楽施設の導入を図ってその収益性の増大等の方策を講じている。 (ウ) 同4(2)ウのうち,「市財政の硬直化は回復の兆しもなく」とする点,「ここ数年新規事業もない」とする点,「非常に財政力が弱い」とする点,「財政構造の弾力性を失いつつある」とする点,公債費比率について「類似都市の14.8%」とする点,「ここ数年同額で推移している」とする点及び「また,市役所庁舎の老朽化‥‥このことは市民生活に大きな影響を及ぼすものである」とする点はいずれも否認ないし争い,その余はほぼ認める。 主な新規事業としては,以下のようなものがある。 a 平成10年度メディア交流館・小岱工芸館建設,荒尾第一中学校身障者用エレベーター設備,小学校空調設備(β・γ・α・δの各小学校),市民体育館窓枠改修b 平成11年度 γ団地建設,万田炭鉱館・みどり蒼生館建設,屋形山公園整備,海岸高潮対策c 平成12年度万田坑史跡指定事業,みどり蒼生館周辺整備,給食センター換気設備改修,水道一元化事業d 平成13年度戸籍電算化システム導入,ごみ燃料化施設建設,浄水センター増設工事,小学校施設改修(荒尾第一小学校体育館ほか)地方債残高については熊本県下の他市と比較すれば,市民一人あたりの額は荒尾市が一番少ない。 市の平成11年度の財政指数は0.422であるが,不足分である0.578は国より交付税が支給されることになる。 経常収支比率についても,他のほとんどの市も80%を超えている。 公債比率に関する原告らの主張 不足分である0.578は国より交付税が支給されることになる。 経常収支比率についても,他のほとんどの市も80%を超えている。 公債比率に関する原告らの主張のうち,「類似都市の14.8%」とする点は15.3%が正しい。 「住民福祉の向上に使われる予算などが少ないのが現状である」とする主張は一般的な現状としては認めるが,民生費はここ数年増加傾向にある。(答弁書3頁)(エ) 同4(2)エについて,原告ら引用の判決が存在することは認める。 「財政に余裕ある場合に初めて補助金等の交付は許される」とする主張は,一般論としては認める。 (オ) 同4(2)オのうち,「倒産してしまった」ことは認めるが,その余は否認ないし争う。 アジアパークは,単なる遊園地や遊戯場を目的としたものではないことは既述のとおりである。 収益性の問題から経営努力の一環として収益を重視した施設を導入したことは認めるが,当初のアジアとの関連性を打ち出したテーマパークとしての性格を放棄したものではない。 料金としては,入場料は三井グリーンランドなどと異なり無料であり,ミニチュアランドの料金のみ1回500円程度であった。 開業年度のアジアパークのミニチュアランドの利用者数は35万5667人であり,荒尾市民の多数が利用している。(答弁書5頁)(カ) 同4(2)カないしコは否認ないし争う。 ウ(ア) 同4(3)アのうち,「その結果,同年6月末までに金融機関との協議が迫られることになり」とする点,「同月20日から市,主要2社の三者協議が始められることになった」とする 争う。 ウ(ア) 同4(3)アのうち,「その結果,同年6月末までに金融機関との協議が迫られることになり」とする点,「同月20日から市,主要2社の三者協議が始められることになった」とする点は否認する。 金融機関との協議は,平成9年6月末日以前から継続的に実施されていた。 また,「同月20日」は,本件会社取締役相談役会拡大会議確認文書が締結された日であり,三者協議が始められた日ではない。(答弁書6頁)(イ) 同4(3)イのうち,「三者協議を行っていることは市民や市議会にも全く知らせないまま」とする点,「密室での協議を行い」とする点,「この密室協議を受けて」とする点,「強引に」とする点は否認し,その余は認める。 (ウ) 同4(3)ウは否認ないし争う。 エ(ア) 同4(4)アのうち,「本件5行」とする点,「損失を拡大して定義し」とする点,「毎年計画的とも認められる」とする点は否認し,その余は認める。 (イ) 同4(4)イ前段のうち,「市が肩代わりする,または肩代わり出来ることを前提として」とする点は否認ないし争い,その余はほぼ認める。 同4(4)イ後段は,一般論としては認める。 (ウ) 同4(4)ウのうち,住民監査において原告らが主張する指摘がなされていることは認めるが,その指摘内容は当を得ないものであり争う。その余は全て否認ないし争う。 (エ) 同4(4)エのうち,住民監査において原告ら主張の指摘がなされていることは認めるが,その余は否認ないし争う。 オ(ア) 請求原因4(5)アは否認する。 平成12年度は凍結ではなく,予算措置そのものがなされていない。 摘がなされていることは認めるが,その余は否認ないし争う。 オ(ア) 請求原因4(5)アは否認する。 平成12年度は凍結ではなく,予算措置そのものがなされていない。 (答弁書7頁)(イ)a 同4(5)イのうち,「本件損失補償については,平成9年9月29日議決での債務負担行為限度額が6億6325万円である」とする点は認める。 b 同4(5)イのうち,「平成10年度ないし平成12年度支出済の損失補償額1億6577万4118円」とする点は否認する。上記期間の支出総額は1億9768万5159円である。 c 同4(5)イのうち,「差し引き今後支払うべき限度額4億9747万5882円」とする点は否認する。今後支払う限度額は4億1478万9457円である。 d 同4(5)イのうち,「従って現在,市は補償契約書上では,別紙3金融機関目録記載のとおりの支払予定残高がある」とする点は否認する。現在の上記残高は,別紙7記載のとおりである。 e 同4(5)イのうち,住民監査において原告ら主張の指摘がなされていることは認める。その内容は妥当である。 f 同4(5)イのうち,「しかし,この点も誤りであり‥‥今後の支出はとうてい容認できない」とする点は否認ないし争う。(答弁書7頁)(ウ) 同4(6)は争う。 (5)ア請求原因5(1)は否認ないし争う。 なお,市がすでに支払った本件補助金・本件損失補償は以下のとおりである。(答弁書8頁,準備書面(9)60頁)補助金 1億1651万9650円損失補償 3億5721万9584円(平成15年4月時点) 償は以下のとおりである。(答弁書8頁,準備書面(9)60頁)補助金 1億1651万9650円損失補償 3億5721万9584円(平成15年4月時点)イ(ア) 同5(2)アはほぼ認める。 一般的な政治的責任を認める趣旨の発言を行っているが,本件損害賠償責任を認めた趣旨ではない。(答弁書8頁)(イ) 同5(2)イについて,山口地裁判決に原告ら主張内容の記載があることは認める。 (ウ) 同5(2)ウについて,原告ら主張内容の最高裁判所判決が存することは認める。 ウ同5(3)は否認ないし争う。 ただし,市が平成15年4月時点で別紙7記載の2億8716万1917円の支払義務を負っていることは認める(答弁書9頁,準備書面(9)60頁)(6) 請求原因6は認める。 2 被告らの主張(1) 本件補助金についてアアジアパーク事業の公益性・公共性(準備書面(9)83頁)(ア) アジアパーク事業の公益性・公共性の要約a アジアパーク事業は,鉱工業都市から産業構造の転換を図り,炭鉱閉山も視野に入れた地域振興対策を行う必要があった市が,その取組の中核事業として位置付け,地域活性化・地域雇用拡大を目指し経済波及効果が見込める事業として計画実行したものである。 b アジアパーク事業は,産業構造転換円滑化臨時措置法における特定地域である荒尾市に適切な事業効果があり,地元一丸となって特色を生かし,地域活性化と共に,新たな事業展開を志向するものとの認定による国(産業基盤整備基金)及び県からの出資並びに行政,市議会,市民が一体となって取り組んだ事業であった。 一丸となって特色を生かし,地域活性化と共に,新たな事業展開を志向するものとの認定による国(産業基盤整備基金)及び県からの出資並びに行政,市議会,市民が一体となって取り組んだ事業であった。 c アジアパークは入場無料であり,広く一般に開かれた施設であったと同時に,アジアクルーズ並びに後のアジアラリーゴーカートは乗船・乗車しながらアジア各国をミニチュアで紹介する体験型の教育文化施設として,住民福祉の向上に貢献するものであった。 d アジアパーク事業へ取り組むことにより,荒廃した炭鉱住宅跡地の再開発に拍車をかけ,先導役を果たしつつ,道路拡幅・住宅地の造成などのほか,多くの近隣施設の林立によって当該α地域の発展に寄与し,炭鉱を中心とするイメージを払拭し市政全体に貢献した。 (イ) 事業の採算性との関係a 事業の採算性と公益性について,多くの市の施設が採算性を担保せずとも公益性における安定的なサービスの提供が要求されることを鑑みれば,不採算であるという理由のみでは,公益性の必要不可欠な要件を欠いたとはいいきれない。逆に,このことから公益性を持つ事業運営主体は,採算性のみの追求を前提とする民間企業単独では事実上困難であり,第三セクターによる運営は合理的である。その上,第三セクターの運営は,民間企業のノウハウをもって事業の不採算性を抑制し,資金面・リスクも分散させ公的負担の軽減と事業機能の発揮という意味でも有効な手段である(乙100)。 b 一方で,従来,欧米に比して一人当たりの労働時間が長いことによる労働時間短縮の動きによる週休2日制の導入等,余暇時間の有効活用が全国的にうたわれ,レジャーを取り入れながら,アジアの文化教育を学習するという取組は,行政の枢要な位 当たりの労働時間が長いことによる労働時間短縮の動きによる週休2日制の導入等,余暇時間の有効活用が全国的にうたわれ,レジャーを取り入れながら,アジアの文化教育を学習するという取組は,行政の枢要な位置をも占めており,アジアパークは,レジャー・教育の両面を包含し,その事業目的から公益性・公共性は疑いの余地のないものであると同時に,同事業は採算性が見込まれる事業として計画・実行されたものであるが,バブル経済破綻後の予想外の急速な経済環境の悪化等も手伝い閉鎖へとたちいたったわけである。しかしながら,市の多くのいわゆる公共施設は,料金収入だけでは賄えず,公的資金投入により運営がなされている状況であって,アジアパークもその例にもれないものであった。不採算が公共性否定の理由にはなり得えないことは明らかであるが,それ故に不採算の可能性があっても公共性があることで公共事業としているのである。 このようにアジアパーク事業においても,産炭地域という地域経済が疲弊していく中で,ある程度の犠牲をも政策判断によって手掛け克服していくのは行政の責務である。 c 特に昨今,全国の第三セクターにおいて,公益性と採算性の両立という観点から,その多くの経営状況が思わしくないことは,新聞等の報道によって周知されている事実である。市においては「荒尾商業開発株式会社」と「荒尾シティプラン株式会社」の2社の第三セクターを平成5年12月3日に設立し,この2社による一体的な運営をなすべく「あらおシティモール」が平成9年4月25日にオープンしているが,幅広い年齢層の多くの市民に利用され,住民の福祉の増進に役立っており,収益を上げ成功を収めている。 d 一方,アジアパークにおいては,荒廃した炭住地区の有効活用と共に,少なからぬ 幅広い年齢層の多くの市民に利用され,住民の福祉の増進に役立っており,収益を上げ成功を収めている。 d 一方,アジアパークにおいては,荒廃した炭住地区の有効活用と共に,少なからぬ雇用創出と,地ビール園(第三セクターとして平成9年12月19日設立,平成10年7月18日開業)・ホテルヴェルデ・ウルトラマンランド・温泉センターなど近隣施設の林立による地域振興の先導的役割を果たし,市の掲げた観光商業文化都市としての市制発展に多大な貢献をなした。しかしながら,先に述べたとおり国もその予測を外れるほどの経済環境の悪化も手伝い,最終的に閉鎖へと立ち至った次第である。 e 第三セクターは国の施策遂行と法整備などのほか,その規制緩和によるところが大きいが,前記(ア)aのとおり,石炭政策に翻弄され続けた荒尾市の場合は,産炭地域からの脱却をして,新たな地域振興を図ることは急務であったし,そのため国の政策の一環として位置づけられた特定地域の経済の安定と発展のための措置を講ずることを主目的とした産業構造転換臨時措置法による国の後押しをはじめ,県や民間企業,市においては市民,市議会とも一体となって第三セクターを設立し,事業を実施したのである。 イ本件補助金支出の判断の適法性(準備書面(9)85頁)(ア) 本件補助金支出の正当性市が国・県並びに市民や市議会と一体となって進めたα地区における再開発は,荒尾市娯楽・レクリエーション地区建築条例の制定から,都市計画上の措置が様々に図られ,それらが渾然一体となって遂行される多様な取組であった。 (乙25ないし32,164ないし170)さて,本件会社においては,これらの地域振興の役割を担ったものであるが,経済環境の悪化など厳しい なって遂行される多様な取組であった。 (乙25ないし32,164ないし170)さて,本件会社においては,これらの地域振興の役割を担ったものであるが,経済環境の悪化など厳しい経営を余儀なくされ,平成9年9月の臨時議会において,後にいたる住民福祉に直接・間接的効果を見込んで,ノウハウを持った主要2社の実務面での指揮のもとに,本件会社の立直りと新たな事業展開が見込めるものと認識していたのである。 同時に,同年3月に閉山した三池炭鉱閉山の影響を回避する目的を当初から内在させており,その閉山直後であること,またα地区には,他の第三セクターである株式会社有明浪漫麦酒の設立を間近に控え,商業集積事業の荒尾シティモール開園直後であること,αリニューアルタウンなどの大型プロジェクト事業を抱え推進中であり,本件会社への出資者である中小企業者より市の支援に対する強力な要望もなされていたのである。このように,一体的な行政施策を展開する上においても,企業誘致などの市を活性化させる施策の上からも,国・県からの支援と地元経済界の信頼保持が不可欠であったことなど総合的な判断の基に,本件会社の経営健全化へ資するため,本件補助金による支援を決定した次第である(乙160ないし163)。 また,市は本件補助金を平成9年12月26日から平成10年10月27日まで合計1億1651万9650円支出しており,開園後になした荒尾市企業誘致促進条例と同施行規則による奨励金としての助成を合わせても,1億6510万4650円であった。これは本件会社設立の平成2年から解散時の平成12年までの11年間で平均すれば,年当たり約1500万円程度で相当額の範囲内であり,他の行政目的を阻害することなく,諸々の政策の優先劣後性を勘案し った。これは本件会社設立の平成2年から解散時の平成12年までの11年間で平均すれば,年当たり約1500万円程度で相当額の範囲内であり,他の行政目的を阻害することなく,諸々の政策の優先劣後性を勘案してなされた判断であって,各支出手続上も支出年度の予算の議決も経ており,適切な事務処理が行われたものである。なお,その後の補助金の支出はない(乙2の1ないし3,153,154,181ないし183)。 (イ) 本件補助金支出に関する長の裁量判断法232条の2は「普通地方公共団体は,その公益上必要がある場合においては寄附又は補助をすることができる」と規定している。 そこで「公益上必要である」との判断の裁量が要件となっている。 この公益上必要との判断については,「公益上の必要性の有無の判断は,第一次的には,当該地方公共団体の議長や市長こそが,これをよく判断するものであって,その裁量に委ねられていると解すべきである。」(旭川地裁平成6年4月26日判決)との判例や「その判断につき著しい不公正もしくは法令違背が伴わない限り,これを尊重することが地方自治の精神に合致する所以であるというべきである。」(熊本地裁昭和51年3月9日判決)との判例がまず存し,その裁量は長に委ねられ,最大限に尊重されているというべきである。 また,この裁量権に濫用または逸脱があったかどうかについては,「諸般の事情を総合的に考慮した上で検討することが必要であると解される。」(広島高裁平成13月5月29判決)との判例があり,無制限に認められているわけではなく,総合的な判断が必要であることはいうまでもないが,「かかる総合的な判断をする場合においては,事柄の性質上,裁量が機能する余地を否定することはできないのであって, 無制限に認められているわけではなく,総合的な判断が必要であることはいうまでもないが,「かかる総合的な判断をする場合においては,事柄の性質上,裁量が機能する余地を否定することはできないのであって,法は,「公益上必要がある場合」に当たるか否かの判断については,当該地方公共団体の長の合理的な裁量に委ねられていると解するのが相当である。」(東京地裁平成10年7月16判決)との判例では,総合的な判断は最終的には「長の合理的裁量」に帰結する。 本件の公金支出については,総合的かつ合理的判断の一要件として,その目的及び趣旨は,主要2社の実務的な舵取りによって,まだ再建可能であるとの判断があり,事業継続をしてなお地域振興の役割を果たしえることを考慮してのものであることや,今後の他の大型施策に対する国・県の支援は必要不可欠であったことや地元経済界の信用失墜が懸念されたことがある。 さらに,この長の総合的かつ合理的判断においては,しばしば財政上の余裕という観点が指摘され,他の政策要求との兼ね合いでよく論じられるところであり,原告らの主張の根幹を成しているものもその一つには,財政上の余裕がなければ補助金の交付は全く出来ないかの如くであるが,地方公共団体の財政の再建を促進し,もって地方公共団体の財政の健全性を確保することを旨とする地方財政再建促進特別措置法23条2項及び同法施行令12条1項によっても明らかなとおり,昭和29年度の赤字団体又は昭和30年度以降の年度において歳入欠陥を生じた団体(政令都市以外の市町村)でも都道府県の知事と協議し同意を得た後,寄附金,負担金その他これらに類するものを支出することが許されるものであるから,財政に余裕がなければ補助金等の支出が全くできないというものでないことは明白である(①同法23条 と協議し同意を得た後,寄附金,負担金その他これらに類するものを支出することが許されるものであるから,財政に余裕がなければ補助金等の支出が全くできないというものでないことは明白である(①同法23条2項,②同法の施行について依命通達,③昭和31年3月10日自乙調発第31号寄付金等の承認に関する取り扱いについて《通知》)。 そして,財政上の余裕の問題はそれを論ずる以前に,政策優先事案としての相対的なものであると解される。ついては,次のような判例が存する。 「寄附又は補助金は当該地方公共団体の財政に余裕がある場合に初めて支出できるというものではなく,補助金等の支出の必要性の程度との兼ね合いの問題であり,当該地方公共団体の財政状況がよくない場合にあっても,補助金等の支出の必要性が高い場合には「公益上の必要性がある場合」に該当するものというべきである。」(前記東京地裁平成10年7月16日判決)このように,市において,この公金支出は財政上の過度の負担とはならず,原告らが主張する他の政策要求においても逐年実行しているものであり,本件のようにその兼ね合いと必要性や緊急性を勘案した総合的な判断においては,長の裁量権は最大限に尊重されねばならないというべきである。 (ウ) 本件補助金の予備費組替えの判断市は主要2社との協議による事業継続の確認を受け,主要2社の再建可能との判断がなされ,実務面でのノウハウを駆使した強力な支援がなされるものとして,本件会社の会社経営に対する運営補助金を支出することとしたのである。 そして,その際に市と本件会社との間で「健全経営に最大限の努力をしなければならない」との確認書を締結し,取締役会でもこの確認書については説明され承認されたもので ととしたのである。 そして,その際に市と本件会社との間で「健全経営に最大限の努力をしなければならない」との確認書を締結し,取締役会でもこの確認書については説明され承認されたものであるから,主要2社とその認識を同一にしたものと言わねばならない。本件会社においては,これをもって各施策を講じ平成10年度に単年度黒字を目指すとの基本的な考え方が示されていたのである(乙42,241の6)。 また,本件補助金支出においては,前提となる条件が整わなければ支出停止は当然の措置というべきであるところ,本件においても最大限の努力による健全化による再建が前提となるべきものであった。 この議員発議の本件補助金予備費組替えの修正案を了としたのは,次年度になって判明する平成10年度決算を待つまでもなく,本件補助金支出後の平成11年1月末までの財務状況により平成10年度決算見込みを検討した結果,本件補助金を加えてもなお1億円以上の単年度赤字となり,月次2000万円程度の赤字が予測されたことから,経営困難を来していると判断すると共に,本件会社においても各種施策が検討されてはいたが,主要2社による具体的な再建策も示されないままであることから,健全経営を前提とした条件を満たさないものとなったのである。なお,再度本件補助金を支出する場合は議決を要するとの付帯決議もあって,事実上再度本件補助金を支出する可能性はなかったものである。 そして,後年は本件会社への本件補助金の支出予算は計上しないままであり,平成11年3月市議会でのこの判断は,公金支出の観点から市長の英断とも言うべきであり,最小限の支出に食い止めたものである。 このように,本件補助金については,経営健全化が前提条件であり,その性質 市議会でのこの判断は,公金支出の観点から市長の英断とも言うべきであり,最小限の支出に食い止めたものである。 このように,本件補助金については,経営健全化が前提条件であり,その性質上も前提としての条件が整わずになした本件補助金の停止は一貫した措置であり,本件損失補償については,法232条に定める本件5行との契約に基づく支払義務が残ったのである。 このことは,市議会でも正当に説明された。 (2) 本件損失補償について(準備書面(9)91頁)ア法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律の立法趣旨上記法律(昭和21年法律第24号)3条は,「政府又は地方公共団体は,会社その他の法人の債務については,保証契約をすることができない。ただし,大蔵大臣(地方公共団体のする保証契約にあたっては,自治大臣)の指定する会社その他法人の債務については,この限りではない。」と規定している。 この規定が設けられた当時の立法趣旨が,戦後間もない昭和21年に施行されていることからも当時の国家財政・地方財政は正に逼迫しており,不確定の債務の累積を防止せんとすると共に,民間企業の自主的活動を促し,もって国家経済や地方財政の立て直しへの相当の注意を払い,その必要性から立法をなしたものであり,いわば戦後という財政が混乱していた時代の強い要請から立直しを図る一の手法であったというべきである。 しかしながら,後年にわたっても規範となるべき法律であるのは,間違いのない事実であるので,廃止とするべき理由はなく,現在では,地方財政上,地方公共団体においての長期的視野に立った財政運営と共に,債務保証契約が将来必ずしも地方公共団体の財政負担とはならないが,同法の精神に則り安易に保証契約が するべき理由はなく,現在では,地方財政上,地方公共団体においての長期的視野に立った財政運営と共に,債務保証契約が将来必ずしも地方公共団体の財政負担とはならないが,同法の精神に則り安易に保証契約が行われぬよう,一定の制限を設けているに過ぎないものである。(乙286,287)また,個人に対する債務保証あるいは法人に対する損失補償について,別段の制限は設けられていないことから,法理論上では損失補償契約は禁止の対象とはなっていないと解するのは通説であり,これを前提として,その後の時代の要請により整備された「公有地の拡大の推進に関する法律」(乙48)や「天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法」(乙45の1)などの法律においては,損失補償契約ができることもしくは損失補償契約をなすべきことが規定されており,また,中小企業への融資制度に係る損失補償契約は上記法律3条の規制するところでないとの自治省の回答は,自治体の法人への損失補償契約は同法に抵触せず,これを追認していると見るのが相当であり,法の予定するところのものというべきである。 イ本件損失補償契約の正当性本件会社は,事業資金として日本開発銀行並びに地域整備公団からの公的資金融資,地域総合整備資金(ふるさと融資)の起債の援用,民間金融機関からの融資を受けているが,このうち公的資金融資については,主要2社の債務保証が行われ,地域総合整備資金については,肥後銀行の債務保証が行われている(乙50ないし53)。 その後は,幾度かの増資により,本件会社の資本金は19億1115万円となり,出資比率は国10.46%,県10.46%,市22.24%となり,三者の出資比率合計は43.16%となった(乙54)。 後は,幾度かの増資により,本件会社の資本金は19億1115万円となり,出資比率は国10.46%,県10.46%,市22.24%となり,三者の出資比率合計は43.16%となった(乙54)。 本件会社は各種施策を講じたが,平成8年度までに大きく財務内容を改善するに至らず,主要株主三者によって再建可能との一致した判断により,事業継続を確認しあい,出資割合により大枠で官民折半のてこ入れを行うこととなったものである。 その具体的支援策の一つとして,市は本件会社が本件5行から経営運転資金として借入れた資金について,短期資金から長期借入金への切替に伴う新規貸付という位置づけで,万一の会社解散の場合または約定償還期間到来後弁済を行わなかった場合,金融機関は市へ請求でき,市は本件会社の財務状況を判断するのに一定期間をおいて支払うことを旨とする本件損失補償契約を平成9年9月の臨時市議会の可決後に締結したのである(乙1の1ないし5)。本件損失補償契約は,本件会社の短期借入金の運転資金を整理すると同時に,会社経営の強力な支援と会社再建の抜本的方策の確立を,それぞれ自社業で成果を得ているレジャー業・物販業の専門分野において,それまで培われた主要2社のノウハウで図られるものとして,市が平成9年9月臨時市議会の可決を経て本件5行との間で締結したものである。この主要2社による抜本的改善がなされれば,本件会社の立ち直りと共に新たな雇用創出及び事業展開が期待できるものであった。 また,市は確たる債権保全のため,あくまで損失補償契約であるという認識の基に,別途覚書を締結している(乙43)。債務保証は,保証債務が主たる債務と同一性を有し,契約上主たる債務者に求償することを明定していなくとも当然に求償権を行使しうるのに対し, 約であるという認識の基に,別途覚書を締結している(乙43)。債務保証は,保証債務が主たる債務と同一性を有し,契約上主たる債務者に求償することを明定していなくとも当然に求償権を行使しうるのに対し,損失補償契約は求償し得ることを明定しなければ,求償権は生じない。このように,覚書を締結したこと自体が,債務保証契約ではなく損失補償契約と理解してなされたというべきである。そして,公金たる債権保全の意味でも求償をなし得るべく,別途覚書を交わしたことは,理にかなった手法というべきであり,実際にこれを基に特別清算において配当を得ているのである。 本件損失補償契約の締結は,このように市及び市民にとって極めて公益性・公共性の高い施策推進のための必要不可欠な措置ないし方法であると共に適法なものであって,この契約に基づく履行義務は正当なものであるから,この公金支出行為自体は違法とすべきものは何ら認められず,差止めが許されないものというべきである。 また仮に違法と評価される場合にあっても以下の判例が存する。 「・・・それが私法上当然無効といえない場合には,普通地方公共団体は契約の相手方に対して当該契約に基づく債務を履行すべき義務を負うものであるから,右債務の履行として行われる行為自体はこれを違法ということは出来ずこのような場合に住民が法(地方自治法)242条の2第1項第1号所定の住民訴訟の手段によって普通地方公共団体の執行機関または職員に対し右債務の履行として行われる行為の差止めを請求することは,許されないものというべきである」(昭和62年5月19日最高裁第三小法廷判決)としており,東京地裁も「・・・右工事契約を無効とすべき特段の事情のない限り,市は同社に対し,残工事代金を支払う契約上の義務があるのであって,そ ある」(昭和62年5月19日最高裁第三小法廷判決)としており,東京地裁も「・・・右工事契約を無効とすべき特段の事情のない限り,市は同社に対し,残工事代金を支払う契約上の義務があるのであって,その契約上の義務を履行するための支出行為自体は,原則として,財務会計法上違法な公金の支出には当たらない」と判示している。(東京地裁平成9年12月24日判決)第4 被告らの本案前の主張に対する原告らの反論(平成15年9月18日付け準備書面46頁)本件補助金についてだけ考えれば,本件補助金支出の最新の日時は平成10年10月27日であるので,本件監査請求の日時である平成12年12月20日から見れば確かに1年が経過しているように見える。 しかし,①本件の本件会社支援は,本件補助金と本件損失補償との組合せで行っているものであって,この2つをバラバラにして本件補助金だけを取り上げて判断されるべきものではない,②本件の本件会社支援は,現在でも公金支出が予定されている継続中の事業である,③仮に期間徒過したとしても,原告ら住民には真実が知らされず,かえって一部虚偽の説明がなされるなどの事実からして期間徒過したことに正当な理由がある。 また,本件損失補償については,本件損失補償契約締結の日より起算されるべきではなく,現実に補償金を支払った日時を基準日として考えるべきである。 原告らとしては,概要,以上の理由によって本件訴えは適法であると考える。 第5 証拠関係は,本件記録中の証拠目録のとおりであるから,これを引用する。 第6 当裁判所の判断 1 請求原因1,同2(1)のうち,本件会社へ出資したのは「民間35社」とする点,本件会社の設立が「平成2年2月」とする点,「遊園地や遊戯場を中心とした観光施設」とする点及び被告Aが代表取締役であった期間 求原因1,同2(1)のうち,本件会社へ出資したのは「民間35社」とする点,本件会社の設立が「平成2年2月」とする点,「遊園地や遊戯場を中心とした観光施設」とする点及び被告Aが代表取締役であった期間を除くその余の事実,同2(2)のうち,被告Aが平成9年9月当時,本件会社への財政支援を「強行しようとし」とする点,市議会で「多くの疑問」が議員から提出されたとする点及び「それを押し切るように」議決されたとする点を除くその余の事実,同2(3),同2(4)のうち,本件会社に対する補助金の支出を止めたこと,同3(1)のうち,市が株主として出資を行ったほか,平成9年,平成10年に本件補助金を支出したこと,平成10年以降本件損失補償の支出をしていること,同3(2),(3),同4(1)のうち,市が補助金等を交付するときの根拠規定は法232条の2であること,この条文に原告ら主張のとおり規定されていること,昭和28年6月29日自治行発第186号に原告ら主張の記載があること,同4(2)イのうち,「遊園地や遊戯場という営利を目的とした」とする点を除くその余の事実,同4(2)ウのうち,「市財政の硬直化は回復の兆しもなく」とする点,「ここ数年新規事業もない」とする点,「非常に財政力が弱い」とする点,「財政構造の弾力性を失いつつある」とする点,公債費比率について「類似都市の14.8%」とする点,「ここ数年同額で推移している」とする点及び「また市役所庁舎の老朽化‥‥このことは市民生活に大きな影響を及ぼすものである」とする点を除くその余の事実,同4(2)エのうち,原告ら引用の判決が存すること及び一般論として財政に余裕がある場合に初めて補助金等の交付は許されること,同4(2)オのうち,本件会社が倒産してしまったこと,同4(3)イのうち,「三者協議を行っていることは市民や市議 が存すること及び一般論として財政に余裕がある場合に初めて補助金等の交付は許されること,同4(2)オのうち,本件会社が倒産してしまったこと,同4(3)イのうち,「三者協議を行っていることは市民や市議会にも全く知らせないまま」とする点,「密室での協議を行い」とする点,「この密室協議を受けて」とする点及び「強引に」とする点を除くその余の事実,同4(4)アのうち,「本件5行」とする点,「損失を拡大して定義し」とする点及び「毎年計画的とも認められる」とする点を除くその余の事実,同4(4)イ前段のうち,「市が肩代わりする,または肩代わり出来ることを前提として」とする点を除くその余の事実及び一般論として同4(4)イ後段の事実,同4(4)ウのうち,住民監査において原告ら主張の指摘がなされていること,同4(4)エのうち,住民監査において原告ら主張の指摘がなされていること,同4(5)イのうち,「本件損失補償については,平成9年9月29日議決での債務負担行為限度額が6億6325万円である」とする点及び住民監査において原告ら主張の指摘がなされていること,同5(2)ア,同5(2)イのうち,山口地裁判決に原告ら主張内容の記載があること,同5(2)ウのうち,原告ら主張内容の最高裁判所判決が存することは,当事者間に争いがない。 2 前記争いのない事実並びに証拠(甲1ないし16,27,31ないし126,165,166,177,乙1,2,4ないし12,14ないし19,21,22,33ないし38,42,43,50ないし60,64ないし68,70ないし81,99ないし106,114,119ないし122,126ないし128,130ないし147,184ないし191,238ないし242,244ないし247,250ないし253,263,265,266,281ないし284《以上枝番 ,119ないし122,126ないし128,130ないし147,184ないし191,238ないし242,244ないし247,250ないし253,263,265,266,281ないし284《以上枝番のあるものは枝番を含む。以下同じ。》,証人B,同C,同D,同E,被告A本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる(公知の事実を含む。)。 (1) 当事者ア原告らは,荒尾市の住民である。 イ被告Aは,昭和62年1月18日から平成15年1月17日まで,市長の職にあった者であり(乙253,公知の事実),また,平成2年12月13日の本件会社設立時から取締役会長,平成5年1月22日から平成9年9月1日まで代表取締役会長,同日から平成10年6月22日に辞任するまで取締役会長の地位にあった(甲7)。 ウ被告市長は,市の予算の執行,支出命令(法149条2号,232条の4)等の財務会計上の行為を行う権限を有する者である。 (2) 本件会社設立までの経緯ア荒尾市は,三井石炭鉱業株式会社三池鉱業所(以下「三池炭鉱」という。)を中心とした石炭産業が基幹産業であったが,昭和30年代後半以降石炭から石油へのエネルギー変革の中で国の石炭政策も変化し,国が,昭和38年から石炭の生産構造を計画的に調整・再編する政策を順次実施し,特に昭和62年度から実施された第8次石炭政策においては,地域経済・雇用に及ぼす影響を回避しつつも国内炭を段階的に縮小することが志向され,三池炭鉱においても出炭量及び従業者数は減少の一途をたどり,昭和40年には出炭量約500万トンであったものが,前記第8次石炭政策による合理化に伴い,平成元年には出炭量約250万トンとなり,3か年で1800名以上の従業員が合理化され,荒尾市居住の合理 たどり,昭和40年には出炭量約500万トンであったものが,前記第8次石炭政策による合理化に伴い,平成元年には出炭量約250万トンとなり,3か年で1800名以上の従業員が合理化され,荒尾市居住の合理化対象者は662名に達した。 上記の石炭産業の合理化に伴う構造的不況のなかで,荒尾市の人口は昭和60年をピークに減少傾向にあり,特に就労人口が急激に減少し,産業活動の停滞状況にあり,失業者増大等の問題が発生し,三池炭鉱閉山も考慮に入れた新たな産業構造転換期に直面しているとされていた。また,炭鉱住宅地も空き家が増えて荒廃し,地域の再開発が必要であるとの議論がなされていた(乙14,64,99,101ないし106,238の1・2頁,253の1頁,263の27頁,証人B3ないし6,同E10・11,被告A本人4ないし10)。 イ昭和62年,特定地域の経済の安定及び発展のための措置を講ずること等により,我が国の産業構造の転換の円滑化を図ることを目的とする産業構造転換円滑化臨時措置法(以下「構造転換法」という。)が公布され,荒尾市は,同法に基づき,経済的事情の著しい変化により経済・雇用が著しく悪化している「特定地域」(同法4条3項)との指定を受けた(乙16,119)。 ウ昭和63年3月,同法による産業基盤整備基金(通産省,大蔵省の外郭団体《甲57》)の実施した調査に基づき,観光・レクリエーションを軸とした地場産業振興拠点の形成による産業開発を基本方針とするコンコルディア・プラネット(協調と平和の惑星)構想(仮称)が,産業おこしプロジェクト構想推進調査の対象プロジェクトとして提起された(乙120)。 なお,このころ,熊本県においては,荒尾市を含むε・ζ圏の将来の発展の方向のひとつとして,「アジアに目を向け ジェクト構想推進調査の対象プロジェクトとして提起された(乙120)。 なお,このころ,熊本県においては,荒尾市を含むε・ζ圏の将来の発展の方向のひとつとして,「アジアに目を向けた観光基地づくり」を行い,「アジアの異文化体験などができる,壮大な広域的レジャー機能を持つアジアランド構想の実現に努め,一大観光基地の形成を図る。」というアジアランド構想(莫高窟の復元を柱とした敦煌再建計画を中核とする企画)が三井グループ(三井企業)により発表されており,このアジアランド構想,コンコルディア・プラネット構想及びアジアパークに隣接する西日本最大のレジャー施設である三井グリーンランドの三者は互いに協調し,相互に機能を補完し,総合的効果を発揮して,地域の活性化に寄与することが期待されていた(甲177,乙240,281の23・52・57頁)。 エ平成2年9月19日の市議会の全員協議会(以下,単に「全員協議会」という。)において,コンコルディア・プラネット構想に基づいて準備・計画されたコンコルディア・プラネット計画について,経過報告や概要説明がなされ,長期収益計画等について説明された。当時の長期収益計画によれば,税引前損益は開業後4年で黒字になり,総合的な累積(前期未処分利益)は,開業後9年で黒字になると予想されていた。 また,同年3月に市が作成した「『コンコルディア・プラネット構想(仮称)』事業化推進調査報告書」の収支計画表においても,開業後6年度目には,経常利益が黒字になるとされていた(乙14の2の60頁,125,263,被告A本人31ないし41)。 オ同年3月8日,市議会第1回定例会において,コンコルディア・プラネット計画の事業主体としての第三セクター設立への出資金2億円を含む平成2年度市一般会計予 被告A本人31ないし41)。 オ同年3月8日,市議会第1回定例会において,コンコルディア・プラネット計画の事業主体としての第三セクター設立への出資金2億円を含む平成2年度市一般会計予算が提案され,可決された(乙130)。 カ同年12月12日,本件会社の創立総会が開かれ,翌13日,設立登記がなされ,コンコルディア・プラネット計画が本件会社によって進められることとなった(甲3,乙60)。 キ本件会社は,いわゆる第三セクター方式で設立され,上記オの市の2億円の出資に加え,国が2億円,県が1億5000万円の出資をしたほか,主要2社・金融機関・三井関連企業・地場企業からなる民間37社の出資が7億2500万円あり,合計資本金は12億7500万円となった。この時点での市の出資比率及び主要2社の出資比率の合計はいずれも15.69%,国,県,市の合計出資比率は,43.14%であった(乙60,弁論の全趣旨《被告準備書面(1)6頁》)。 本件会社は,荒尾市の新しい産業おこしの中核的事業と位置付けられ,被告Aが前記創立総会で取締役会長に選任されるなど,市は本件会社において主導的な役割を担っていた(乙126,争いのない事実)。 本件会社設立までの概要は,同年12月15日付けの,市の広報誌であり,毎月1度,同市の全世帯に配布される「広報あらお」に記載され,コンコルディア・プラネット計画の役割についても,「①疲弊した石炭産業依存型の地域経済の活性化モデルケース ②『アジアの中の九州』として,対アジアの窓口となる一翼を担う ③地域の社会経済的自立の促進 ④雇用機会の創出と経済的波及効果⑤国際性を伴った地域社会教育の具体的あり方」と記載されたほか,本件会社の設立について,複数の新聞(同月13日付け有明新 一翼を担う ③地域の社会経済的自立の促進 ④雇用機会の創出と経済的波及効果⑤国際性を伴った地域社会教育の具体的あり方」と記載されたほか,本件会社の設立について,複数の新聞(同月13日付け有明新報《地元紙》,同日付け毎日新聞等)で報道された(乙60,126ないし128,131)。 なお,平成3年12月,前記ウのアジアランド構想は白紙撤回となったが,コンコルディア・プラネット計画自体に大きな影響はないとして,同計画は予定どおり推進を図ることとされた(乙281ないし284)。 (3) アジアパーク開園までの動きア本件会社は,コンコルディア・プラネット事業計画の企画立案作業を進め,平成3,4年ころ,民間コンサルト業者2社(株式会社タイワ,株式会社船場)により,実施計画,基本計画が作成され,その後,経過・進捗状況・具体的事業化の概要が実施計画として取りまとめられ,平成4年9月の全員協議会で説明がなされた。その概要は以下のとおりである(乙135ないし139,弁論の全趣旨《被告準備書面(3)31ないし33頁》)。 (ア) 施設名称未定(一般公募予定)(イ) 事業予定地熊本県荒尾市α(ウ) 計画面積約4万2500㎡内訳ミニチュアランドゾーン 1万3000㎡商業ゾーン 7000㎡アプローチゾーン 1万8000㎡管理ゾーン 4500㎡(エ) 投資総額約42億円(オ) 初年度来場者ミニチュアランド 50万人飲食,物販 75万人(カ) 雇用予定者数直接雇用 20人 額約42億円(オ) 初年度来場者ミニチュアランド 50万人飲食,物販 75万人(カ) 雇用予定者数直接雇用 20人テナント雇用  110人業務委託 20人(キ) 各ゾーンのコンセプトa ミニチュアランドゾーンアジアの代表的な自然景観・歴史的建造物・民族の踊りや暮らしの風景をミニチュアスケールで表現し,ウォーターライドボートに乗船して,一定の速度の流水で演出され,ミニトリップを楽しく体験できる。 b ステーションモールゾーンコミュニティ・物販・飲食・イベント・ライドステーションを包括した全天候型のコア施設であり,アジアの持つ悠久な広がりと賑わいのエスニック路地空間を演出し,また,コミュニティスペースでは文化・学習施設として,地域文化の振興とアジアとの国際文化交流の拠点としての役割を果たし,展示ホール,映像ホール,多目的ホール等を備えた質の高い文化的遊び空間としての環境を創造する。 イ平成4年策定の新荒尾市総合計画では,コンコルディア・プラネット計画を積極的に推進することとされ(乙64の21頁),平成5年策定の熊本県総合計画である「ゆたかさ多彩『生活創造』くまもと」においても,ε・ζ生活圏の活力ある地域づくりとして,コンコルディア・プラネット計画に係る集客施設の整備を促進するとされていた(乙122)ウ本件会社の増資については,平成3年3月に県及び民間1社による5500万円の増資が,平成4年10月に民間20社による1億7465万円の増資がそれぞれ行われ,更に,平成5年3月には市により6000万円,金融機関等3社により2800万円の増資が び民間1社による5500万円の増資が,平成4年10月に民間20社による1億7465万円の増資がそれぞれ行われ,更に,平成5年3月には市により6000万円,金融機関等3社により2800万円の増資が行われ,本件会社の開園前である平成5年3月31日当時の資本金は15億9265万円,市の出資比率及び主要2社の合計出資比率はいずれも16.32%となった(乙132ないし134)。 エ同年6月,公募の結果,本件会社は,株式会社アジアパークに商号変更した(乙33ないし36)。 オ同月11日付けの本件会社の財務関係資料によれば,単年度収支では6年目黒字化,また累積収支では14年目に黒字化するとされていた(乙239)。 カ同年7月21日,本件会社により,アジアパークが開園した。このことは,同月15日付け「広報あらお」に掲載されたほか,複数の新聞(同月21日付け読売新聞,同月22日付け毎日新聞等)により報道がなされた(乙17,71ないし73)。 (4) アジアパーク開園後の経過ア平成5年度(開業1年目・第4期)(乙50ないし53,140ないし142)(ア) 入園者数等総入場者数は約57万人(目標入場者数の111%),アジアクルーズ乗船者数は33万5667人であった。 (イ) 設備・資金調達及び従業者数等設備投資については,平成4年度(22億8700万円)に引き続き,14億8600万円であり,施設事業費への投資が中心であった。 資金調達については,平成4年度の9億円の長期借り入れ(日本開発銀行6億5000万円,地域振興整備公団2億5000万円)に引き続き,17億3400万円(日本開発銀行4億5000万円,地域振興整備公団2億5000万 は,平成4年度の9億円の長期借り入れ(日本開発銀行6億5000万円,地域振興整備公団2億5000万円)に引き続き,17億3400万円(日本開発銀行4億5000万円,地域振興整備公団2億5000万円,ふるさと融資2億4400万円,肥後銀行ほか金融機関7億9000万円)の長期借り入れを行った。この日本開発銀行及び地域振興整備公団からの公的資金については,主要2社の連帯保証がなされ,地域総合整備資金(ふるさと融資)については荒尾市の援用措置がなされた上,肥後銀行の債務保証がなされた。 正規の従業員数は,同年度末現在で,12名であった。 (ウ) 集客のための企画a イベント等夏(中国雑技団,フィリピン民族舞踊)冬(中国絶技団)春(韓国民族舞踊)b キャンペーン活動の展開(九州管内)市・荒尾市観光協会の合同で実施 4月,5月,7月,11月c 施設改善・施策アジアクルーズの洞窟等の改修による充実強化(エ) 収支概要当該年度の収支は,営業収益(売上高)2億3235万2000円,営業費用4億4642万3000円,営業外収益2638万2000円,営業外費用1億5109万5000円,経常損失は3億3878万4000円,特別損失126万円と住民税98万円を加えた当期損失は3億4102万5000円となった。 イ平成6年度(開業2年目・第5期)(乙141ないし143)(ア) 入園者数等総入場者数は約30万人(対前年度47.3%減),アジアクルーズ乗船者数は17万9408人(対前年度47%減)であった。 (イ) 設備・資金調達及び従業者数等当期中には主要な設備 総入場者数は約30万人(対前年度47.3%減),アジアクルーズ乗船者数は17万9408人(対前年度47%減)であった。 (イ) 設備・資金調達及び従業者数等当期中には主要な設備投資は行なっていない。 資金調達については,運転資金等に充当するための短期資金として,1億2700万円の銀行借入を行なった。 正規の従業員数は,当該年度末現在で11名(前年度より1名減)となった。 (ウ) 集客のための企画等a イベント等春韓国民族舞踊,中国雑技団夏モーリシャスセガダンス秋ロシアボリショイコミカルショー,第1回あらお荒炎祭,ウルトラマン劇場b 観光キャンペーンの展開(九州管内)市・荒尾市観光協会の合同で実施 6月,7月,11月「荒尾ふれあい朝市」開催(平成6年4月より)c 施設改善・施策 「こどもランド」オープン(平成7年3月)(エ) 収支概要当該年度の収支は,営業収益1億4170万4000円(対前期比約39.2%減),営業費用4億6292万6000円,営業外収益276万7000円,営業外費用1億5853万2000円,経常損失は4億7698万7000円となり,住民税103万2000円を加えた当期損失は4億7801万9000円,累積損失は6億9625万4000円となった。 ウ平成7年度(開業3年目・第6期)(乙54,55,141,142)(ア) 入場者数等総入場者数は約25万 は6億9625万4000円となった。 ウ平成7年度(開業3年目・第6期)(乙54,55,141,142)(ア) 入場者数等総入場者数は約25万人(対前年度16.6%減),アジアクルーズ乗船者数は10万3051人(対前年度42.6%減)であった。 (イ) 設備・資金調達及び従業者数等当期中には主要な設備投資は行なっていない。 資金調達については,株主割当により,主要2社を始めとする民間企業及び金融機関11社から9440万円の増資がなされたほか,第三者割当により市から1億6500万円,民間5社及び金融機関から5910万円の増資がなされ,総資本額は19億1115万円,市の出資比率は22.24%となり,市,国,県の出資比率の合計は43.16%,主要2社の出資比率の合計は16.32%であった。また,短期資金として,1億1100万円の銀行借入を行なった。 正規の従業員数は,当該年度末現在で7名(前年度より4名減)となった。 (ウ) 集客のための企画等a イベント等春ウルトラマン人形劇夏アートトラック大集合,ナイトインバンジー秋第2回あらお荒炎祭冬夢の放送体験キッズメディア号(NHK主催)b 観光キャンペーンの展開  6月,7月,11月「ふれあい朝市」(毎週日曜日開催)c 施設改善・施策 「バンジ-ジャンプ」「ウルトラマンショップ」のオープン及び「恐怖体験館~学校」「モンスターシャーク実物店」の開催 開催)c 施設改善・施策 「バンジ-ジャンプ」「ウルトラマンショップ」のオープン及び「恐怖体験館~学校」「モンスターシャーク実物店」の開催(エ) 収支概要当該年度の収支は,営業収益1億3292万6000円(対前年度約6.2%減),営業費用3億7213万1000円,営業外収益2781万3000円,営業外費用1億5591万4000円,経常損失は3億6730万7000円(対前年度約22.9%減)となり,住民税を103万2000円を加えた当期損失は,3億6833万9000円となり,赤字幅は前年度と比べやや縮小したが,累積損失は10億6459万3000円となった。 エ平成8年度(開業4年目・第7期)(乙141,142,144,241)(ア) 入場者数等総入場者数は約46万人(対前年度84%増),アジアクルーズ乗船者は5万7905人(対前年度43.8%減)であった。 (イ) 設備・資金調達及び従業者数等当期中に実施した設備投資は,2億0800万円であり,アジアモールのリニューアルのためのものである。 資金調達については,設備投資及び運転資金に対し,短期資金(長期資金へのつなぎを含む。)として,5億5000万円の銀行借入を行った。 正規従業員数について,当該年度末現在で6名(前年度より1名減)となった。 (ウ) 集客のための企画等5月 「はばたけ荒尾,こちら読売新聞移動支局」が開設6月観光キャンペーンを九州北部,中国,四国地方を実施8月減少傾向にある入場者の確保 5月 「はばたけ荒尾,こちら読売新聞移動支局」が開設6月観光キャンペーンを九州北部,中国,四国地方を実施8月減少傾向にある入場者の確保・収益の安定的確保を目指し,リニューアルの核としてセガワールドアジアパーク店をオープン10月第3回あらお荒炎祭が開催毎週日曜日は「ふれあい朝市」開催(エ) 収支概要当該年度の収支は,営業収益1億7762万3000円(対前年度33.6%増),営業費用4億1733万5000円,営業外収益2444万7000円,営業外費用1億4675万7000円,経常損失3億6202万2000円となり,特別損失572万円,住民税103万2000円を加えた当期損失は3億6877万4000円となり,累積損失は14億3336万7000円となった。 オ平成9年度(開業5年目・第8期)(乙145,241)(ア) 入場者数等総入場者数は35万人(対前年度76%)となった(なお,アジアクルーズは不明であり,後記(ウ)のとおり,平成10年3月に,アジアラリーゴーカートにリニューアルされた。)。 (イ) 設備・資金調達及び従業者数等本件会社自体は,当期中に主要な設備投資は行なっていない。 資金調達については,後記(6)ウ,エのとおり,市及び主要2社よりそれぞれ15億1884万7000円の資金支援が行われることとなった。 このことにより,当期中に運転資金及び今後の経営基盤確立を図るため,主要2社及び金融機関から資金を調達し,平成8年度調達していた金融機関からの借入金5億5000万円につい った。 このことにより,当期中に運転資金及び今後の経営基盤確立を図るため,主要2社及び金融機関から資金を調達し,平成8年度調達していた金融機関からの借入金5億5000万円について全額長期資金に切り替えた。 また,主要2社より,地域振興整備公団へ4億4000万円の全額法定代位弁済,日本開発銀行へ3億9200万円の一部法定代位弁済が行われ,市より,別紙2①記載の本件補助金支出が行われた。 正規従業員数は,当該年度末現在で0人(前年度より6名減)となった。 (ウ) 集客のための企画等事業推進の当面の施策が打ち出された中で,三井グリーンランド社に運営委託されたアジアクルーズは,平成10年3月には,アジアラリーゴーカートとしてボートをカート使用にし,サイクルモノレールと併せリニューアルオープンした。また,三井グリーンランドからの集客としてシャトルバスが運行された。 (エ) 収支概要当該年度の収支は,営業収益1億3823万6000円(対前年度22.2%減),営業費用3億8640万6000円,営業外収益199万5000円,営業外費用1億4022万2000円,経常損失3億8639万7000円であり,市からの本件補助金交付等による特別利益1622万円,住民税103万2000円を考慮すると,当期損失は3億7120万8000円となり,累積損失は18億0457万6000円となった。 カ平成10年度(開業6年目・第9期)(乙146,241)(ア) 入場者数総入場者数は約36万人(対前年比102%)であった。 (イ) 設備・資金調達及び従業者数等当期中 ,241)(ア) 入場者数総入場者数は約36万人(対前年比102%)であった。 (イ) 設備・資金調達及び従業者数等当期中にも主要な設備投資は行なわず,設備・運転資金の調達は行っていない。なお,主要2社より5600万円の法定代位弁済があり,市より本件会社に対し,別紙2②,③記載の本件補助金が支出され,本件5行に対し,別紙2④,⑤記載の本件損失補償が支出された。 (ウ) 集客のための企画等モールの有効活用について,2ゾーン(約70坪)パブ「すたあーきぶん」のテナント契約を行った。 (エ) 収支概要当該年度は,営業収益1億2590万5000円,営業費用3億2243万円,営業外収益127万1000円,営業外費用4135万7000円,経常損失2億3661万1000円であり,市からの本件補助金交付による特別利益1億0554万7000円(平成9年度未収金で80万5728円処理),特別損失574万3000円を考慮すると,税引前当期損失は1億3680万6000円となり,住民税103万2000円を加えると,当期損失は1億3783万8000円,累積損失は19億4241万5000円となった。 キ平成11年度(開業7年目・第10期)(乙147)(ア) 入場者数総入場者数は約27万人(対前年比76%)となった。 (イ) 設備・資金調達及び従業者数等当期中にも主要な設備投資は行なっていない。なお,主要2社より5600万円法定代位弁済があり,市より本件5行に対し,別紙2⑥,⑦記載の本件損失補償金が支出された。なお,後記(6)コのとおり,市 当期中にも主要な設備投資は行なっていない。なお,主要2社より5600万円法定代位弁済があり,市より本件5行に対し,別紙2⑥,⑦記載の本件損失補償金が支出された。なお,後記(6)コのとおり,市が予定していた本件補助金は,支出されなかった。 (ウ) 収支概要当該年度は,営業収益1億0827万5000円,営業費用2億9793万6000円,営業外収益74万3000円,営業外費用4043万9000円,経常損失2億2935万7000円であり,特別損失1491万8000円,住民税103万2000円を加えると,当期損失は2億4530万8000円,累積損失は21億8772万3000円となった。 ク平成12年度(開業8年目・第11期)(乙65ないし67,弁論の全趣旨《被告準備書面(9)41・45頁》)本件会社は,後記(6)コのとおり,市からの本件補助金が支出されなくなったことなどによって事業存続が困難と判断し,取締役会の合意に基づき,平成12年6月30日定時株主総会の後,金融機関への返還金の延滞や資金調達が不可能であり次年度には債務超過の可能性があること,臨時株主総会を開催して解散する意向であることを株主に説明し,同年8月9日の取締役会において,会社解散について,臨時株主総会に付議することの承認を得た上,同月31日,臨時株主総会で会社解散及び清算人・監査役の選任について決議した。 当該年度の収支概要は,同年4月1日から同年8月31日までの当期損失が1億0425万8264円であり,同日現在の貸借対照表においては,流動資産が49万3418円,当期の欠損金(累積損失)が22億9198万2074円であった。 アジアパークは,当面閉園せず,可能な限り事業継続 り,同日現在の貸借対照表においては,流動資産が49万3418円,当期の欠損金(累積損失)が22億9198万2074円であった。 アジアパークは,当面閉園せず,可能な限り事業継続を行うこととされたが,同年10月,実質的に閉園した。 (5) 特別清算の手続(甲27,乙5,22,66ないし68)前記(4)クのとおり,同年8月31日の本件会社臨時株主総会において当時市助役であったBらが清算人に選任され,その後,平成13年4月23日に特別清算開始の申請,同年5月1日に特別清算開始決定,同月14日に不動産売却許可,同月18日に和解許可,同年6月6日に和解金支払許可,同月15日の和解金支払(配当),同年7月25日に残余金の支払許可(清算配当),同月30日に残余金の支払がそれぞれなされ,同年8月31日に臨時株主総会が開かれ,同年9月4日,特別清算終結決定がなされた。 なお,市は,自ら支出した清算事務費450万円全額のほか,租税分として,1301万3074円(最終配当率20.07%),本件損失補償分(今後支出予定分を含む。)として,6012万0625円(最終配当率10.03%)の配当を受けた。本件損失補償分の配当率は,主要2社の一般債権の最終配当率と同じであった。 (6) 本件補助金及び本件損失補償の経緯ア本件会社は,運転資金の不足に対し,金融機関から借換えをしながら運営してきたが,平成8年12月末の手形支払期日を延期してもらい,平成9年3月の期日も再延期してもらうなどしたため短期借入金の返済を迫られ,新たな運転資金の借入が困難となって,抜本的な対応が必要となった(乙238,253,争いのない事実)。 イそこで,同年6月20日,本件会社の代表取締役会長でもあった被 入金の返済を迫られ,新たな運転資金の借入が困難となって,抜本的な対応が必要となった(乙238,253,争いのない事実)。 イそこで,同年6月20日,本件会社の代表取締役会長でもあった被告A,取締役相談役で三井グリーンランド社代表取締役会長でもあったF同じく取締役であり,ニコニコ堂代表取締役社長でもあったGらが出席して本件会社取締役相談役会拡大会議が開かれ,本件会社の存続を前提に,同社への金融を支援し,経営改善策を検討するという趣旨で,上記3名すなわち市及び主要2社間で,以下の内容を確認し,金融機関に借入れを再要請することとされた。 「一アジアパーク経営改善にむけ荒尾市,三井グリーンランド株式会社,株式会社ニコニコ堂(主要2社)は,今日まで保証問題を解決できなかったことを重く受けとめるとともに9月までに課題整理を行うことを再確認する。 一課題整理にあたっては荒尾市,三井グリーンランド株式会社,株式会社ニコニコ堂は主力株主として,株式会社アジアパークに最大限の支援を行っていくことを再確認する。」(乙18,253,証人B15・16)ウ前記アのとおり,本件会社は,金融機関から運転資金として短期借入を行っており,その期限が同年6月30日であったが,上記イの確認をふまえ,本件会社は,同年9月末日までの3か月の猶予を金融機関に求めた(乙253,争いのない事実)。 その後,市,主要2社の役員らによる責任者会議,取締役相談役会拡大会議等を経て,同年9月1日の本件会社の取締役会において,以下の再建スキームが承認された(乙253,265,証人B20)。 (ア) 金融支援要請について総額30億3769万4000円について,市50%,主要2社50%(主 以下の再建スキームが承認された(乙253,265,証人B20)。 (ア) 金融支援要請について総額30億3769万4000円について,市50%,主要2社50%(主要2社の支援内訳は既保証分残高13億2800万円及び新規分1億9084万7000円《甲14の5頁,55,乙42の別紙2》にて支援を受ける要請を行う。 (イ) 今後の基本的業務運営について増収,経費節減等について今後更に主要2社の強力な支援を受け,健全経営を行っていく。市としては行政として協力できるものは今後も継続支援を行っていく。 また,上記取締役会に先立つ同年8月22日には,市は,主要2社との間において,上記(ア)の支援を行うことを約束する(以下「三者合意」という。)とともに,今後上記以外一切の金融支援をせず,被告Aは,本件会社の代表権を返上するなどとして,主導的立場から退き,本件会社の経営を実質上主要2社に委ねることとした。 エ同年9月19日,全員協議会(以下「本件全員協議会」という。)が開かれ,被告Aが,本件会社の経営が非常に厳しく,事業存続の危機であり,「民間とも苦痛を分け合ったテコ入れを行うことにした」として,本件会社の再建策等について,以下のとおり,本件会社の債務の約半額を市が負担し,市は今後本件会社の経営の実施を主要2社に任せる旨説明した(甲177,乙245,253,証人B127ないし129)。 (ア) 金融支援について,健全経営を図るため,当面(減価)償却前黒字化を目標として経営基盤の強化を図る。このため債務の全額について,市及び主要2社で半額(15億1884万円)ずつ負担する。 (イ) 増収対策について,クルーズについては三井グリーンラン 化を目標として経営基盤の強化を図る。このため債務の全額について,市及び主要2社で半額(15億1884万円)ずつ負担する。 (イ) 増収対策について,クルーズについては三井グリーンランド社が,モール及び駐車場についてはニコニコ堂が,その活用及び増収対策に最大限の努力をするものとする。 (ウ) 上記(ア)の支援を受け,本件会社は,別紙8(乙245)記載のとおり,償却前黒字化を目標として最大限の努力をする。 (エ) 市は,本件会社に対し,今後一切の金融支援を行わない。 なお,市と本件会社は,同月30日,上記(ア),(ウ),(エ)と同旨の内容の確認書を作成した(乙42)。 オ同月29日,平成9年第6回市議会臨時会(以下「本件臨時会」という。)が開かれ,被告Aは,平成9年度市一般会計補正予算(第3号)として,別紙9(乙10)記載のとおり,本件会社経営健全化に対する金融支援事業として,平成9年度から平成20年度にかけて,16億6930万円を限度額とする債務負担をし,そのうち10億0605万円を補助金(本件補助金)とし,6億6325万円を損失補償(本件損失補償)とする債務負担行為(以下「本件債務負担行為」という。)の追加を行う旨の議案(議第72号)を提出した(乙10,19)。 同日,経済環境常任委員会(乙246),総務常任委員会(乙247)において,質疑がなされた後,本件臨時会において,上記議案が可決された。 なお,本件補助金と本件損失補償の区分については,本件補助金は,本件会社の初期投資に係る長期借入金の未返済額のうち,市が負担する元利合計額であり,本件損失補償は,本件会社に有していた本件5行の貸金債権のうち短期借入金(開業後の運転資金)を長 は,本件補助金は,本件会社の初期投資に係る長期借入金の未返済額のうち,市が負担する元利合計額であり,本件損失補償は,本件会社に有していた本件5行の貸金債権のうち短期借入金(開業後の運転資金)を長期借入金に切り替えた分であった(乙19の6頁,弁論の全趣旨《被告準備書面(2)5頁,原告第4準備書面4頁》)。 カ同月30日,市は,本件5行のうち肥後銀行,福岡シティ銀行,西日本銀行,福岡銀行と,同日付けで各銀行が本件会社に運転資金として貸し付けた金銭について,概ね以下の内容の損失補償契約を締結し,同年10月31日,本件5行のうち熊本ファミリー銀行と,同旨の損失補償契約を締結した(本件損失補償契約。乙1)。 (ア) 損失の額について,本件会社が本件5行に返済完了する以前に会社解散に至った場合は未返済元本及び利息の全額,または毎年4月,10月の約定償還期日を経過した日以後,本件5行が本件会社に対し債務の履行を催告してもなお所定の弁済を行わなかった場合は,当該約定期日における返済元本及び利息(延滞利息は含まず)の額を損失額とする。 (イ) 市が本件5行に補償する損失補償額は,西日本銀行が2億7675万6000円,肥後銀行,福岡シティ銀行,福岡銀行が1億1070万円,熊本ファミリー銀行が5433万3000円をそれぞれ限度額とする。 (ウ) 契約期間は,平成9年9月30日から平成21年3月31日まで(ただし,熊本ファミリー銀行は,平成9年10月31日から)とする。 キ上記平成9年9月30日,本件損失補償契約に関し,市は本件会社と,市が同契約に基づいて損失補償をなした場合には,本件会社は市の請求に基づき直ちに求償に応じる旨約した覚書を作成・締結した(乙43)。 ク本件補助金につ 失補償契約に関し,市は本件会社と,市が同契約に基づいて損失補償をなした場合には,本件会社は市の請求に基づき直ちに求償に応じる旨約した覚書を作成・締結した(乙43)。 ク本件補助金については,市は,前記オに基づき,別紙2①記載のとおり,同年12月26日に,補助金を支出した。 また,平成10年3月に開かれた同年第1回市議会定例会において,同年度市一般会計予算(議第23号)として,本件会社に対する補助金,1億0635万4000円の支出が提案され,同議案は,同月18日に可決され,その後,別紙2②,③記載のとおり,補助金が支出された(甲165,166,乙2,争いのない事実《請求原因2(3)》)。 ケ本件損失補償については,市は,本件損失補償契約に基づき,平成10年4月17日以降,別紙2④ないし⑧記載のとおり,それぞれ商工費として支出した(乙184ないし188)。 コ平成11年3月12日の同年第1回市議会定例会において,被告Aは,前記エ,オに従い,平成11年度市一般会計予算(議第17号)として本件補助金9888万2000円を商工費として支出することを提案したが,「アジアパークの経営現状は,経営健全化に最大限の努力が行われた結果とは認められない。したがって,本年度補助金の支出については,今後のアジアパークの健全化対策についての動向を見極めた上で判断したいため,予算措置についても,7款商工費から14款予備費へ組替えするものである。」という修正案(ただし,この修正案は実質上被告Aら市執行部の意向に基づくものであったと思われる《甲56,被告A本人375》。)が提出され,同月17日可決された(乙21)。また,市議会の議決がないと執行できない旨の付帯決議もなされ,本件補助金を支出するためには新たに市議会 であったと思われる《甲56,被告A本人375》。)が提出され,同月17日可決された(乙21)。また,市議会の議決がないと執行できない旨の付帯決議もなされ,本件補助金を支出するためには新たに市議会の議決が必要となったが,予備費に組み替えられた本件補助金は,再度市議会へ提案されず,平成11年度末に失効し,その後,市が本件会社に対し,本件補助金を支出することはなかった(乙242の6頁,証人B155)。 本件補助金支出停止の背景として,熊本日日新聞(平成12年2月11日付け。甲56)は,「お隣の大牟田市の三セク『ネイブルランド』の十年十二月閉園も,人ごとではなかった。炭鉱閉山を見越し,アジアパークと同様,産業構造転換円滑化臨時措置法に基づいて国も出資したテーマパーク。常に比較されてきた経緯がある。(改行)一面,荒尾市にとっては『臨時措置法に基づく国出資の三セク倒産の例はない』(九年九月の臨時市議会)と力説した『倒産の一番くじ』という“たが”が外れた出来事でもあった。」と報じている。 なお,本件補助金支出停止により,本件会社は,平成11年4月,金融機関への延滞が発生し,その後この問題を解決できず,平成12年8月,解散に至った(甲14)。 また,この間の平成11年6月28日の本件会社の株主総会では,産業基盤整備基金が,「三者合意の凍結について,取締役会や市議会での市の説明は理解できない部分がある。」「炭鉱合理化で地域が疲弊するのを懸念し,活性化のためにと,市が主体となってアジアパークをつくった。しかし,今の経営姿勢は第三者的で受け身的。市が先頭に立って経営責任を果たすべき。」と述べ,同総会直後に一旦被告Aが,「補助金の凍結解除に向け対策を講じたい。」と,上記基金の意向に従うかのように述べたものの,同月 姿勢は第三者的で受け身的。市が先頭に立って経営責任を果たすべき。」と述べ,同総会直後に一旦被告Aが,「補助金の凍結解除に向け対策を講じたい。」と,上記基金の意向に従うかのように述べたものの,同月30日には一転して,「第三者的」と批判されたことに対し,「不快で不満を感じる。」と反発し,「できるだけ早急にアジアパークの存廃について検討したい。」と述べ,市執行部は,あくまでも,本件会社ないし主要2社からの抜本的再建策がなく,健全化への最大限の努力が認められないという態度を維持した(甲14,40,41)。 サ平成13年3月30日,市は,本件損失補償契約について,本件5行と,損失補償額合計4億6021万5848円(平成12年10月以降の支払分)の利率を年1.975%から年0.9875%へ引き下げる旨の合意をし,その前後を通じて,別紙2⑧ないし⑭記載のとおり支払った(乙58,59,189ないし191,弁論の全趣旨《被告準備書面(9)60頁》)。 (7) 本件監査請求原告らは,平成12年12月20日,市監査委員に対し,本件補助金,本件損失補償の支出は,市長の裁量権の逸脱,濫用であり,違法な公金支出であるとして,被告Aに対し,既に支払われた本件補助金及び本件損失補償の返還を求め,被告市長に対し,今後支払予定である本件損失補償の差止めを求める旨の本件監査請求を行い,その一部が補正された後,同月25日受理された。 平成13年2月14日,市監査委員は,上記監査請求は理由がないと判断し,そのころ,監査結果を原告らに通知した(甲4,5,乙3)。 3 被告らの本案前の主張について(1) 監査請求期間の起算点について本件監査請求が,法242条2項の監査請求期間を徒過しているかを判断する前提と 通知した(甲4,5,乙3)。 3 被告らの本案前の主張について(1) 監査請求期間の起算点について本件監査請求が,法242条2項の監査請求期間を徒過しているかを判断する前提として,監査請求期間の起算点となる「当該行為のあった日又は終わった日」がどの時点を指すのか,検討する。 この点について,原告は,前記第4のとおり,①本件補助金・本件損失補償の支払は一体となって本件会社支援の基礎となっていたのであり,一つの公金支出と考え,最新の公金支出時を監査請求期間の起算点とすべきであり,そうすると本件では監査請求期間を徒過していない,②本件補助金・本件損失補償のいずれも今後とも負担が予想され,従って,そもそも1年の経過などしていないと主張し(平成15年9月18日付け準備書面48頁),被告Aは,前記第3の1,2のとおり,本件補助金との関係では,各支出行為のあった日を,本件損失補償との関係では,本件損失補償契約時を,それぞれ基準とすべきであるして,双方について,既に監査請求期間を徒過している旨主張する。 ところで,法242条2項本文にいう当該行為のあった日とは一時的行為のあった日を,当該行為の終わった日とは継続的行為についてその行為が終わった日を,それぞれ意味するものと解するのが相当である(最高裁平成14年10月15日第三小法廷判決・判例タイムズ1110号138頁参照)。 そうすると,本件訴訟の対象であり(前記第2の3(1)),かつ,本件監査請求の対象でもあるのは,本件補助金の支出及び本件損失補償契約に基づく支出であり,それらの各支出はそれぞれ別個の財務会計行為であって,一時的行為であるから,上記各支出についての監査請求期間は,各支出ごとに別個に進行し,上記各支出があったときが「当該行為 契約に基づく支出であり,それらの各支出はそれぞれ別個の財務会計行為であって,一時的行為であるから,上記各支出についての監査請求期間は,各支出ごとに別個に進行し,上記各支出があったときが「当該行為のあった日」(法242条2項)として,監査請求期間の起算点となるものと解される。 したがって,本件補助金との関係では,別紙2①ないし③記載のとおり,本件補助金が支出された平成9年12月26日,平成10年4月17日,同年10月27日(厳密には上記各日時のころなされた支出命令の日)がそれぞれ監査請求期間の起算点となり,それぞれ本件監査請求当時1年を経過し,監査請求期間を徒過していたと認められる。 他方,本件損失補償との関係では,別紙2④ないし⑦記載のとおり,平成11年10月27日以前に本件損失補償として支出されたものについては,各支出日(厳密には各支出日のころなされた支出命令の日)がそれぞれ監査請求期間の起算点となり,それぞれ本件監査請求当時1年を経過し,監査請求期間を徒過していたと認められるが,別紙2⑧記載の平成12年4月13日の支出については,本件監査請求当時,支出日から1年を経過していなかったから監査請求期間を徒過していないというべきである。この点に関し,本件損失補償として支出されたものについては,支出の前提となる本件損失補償契約日が監査請求期間の起算点となる旨の被告Aの主張は採用することができない。 (2) 「正当な理由」(同法242条2項ただし書)の有無次に,本件補助金及び平成11年10月27日以前の本件損失補償に係る各支出(以下「本件監査請求期間外の各支出」という。)について,法242条2項ただし書にいう「正当な理由」の有無を検討する。 ア財務会計行為の法的安定性を確保する趣 前の本件損失補償に係る各支出(以下「本件監査請求期間外の各支出」という。)について,法242条2項ただし書にいう「正当な理由」の有無を検討する。 ア財務会計行為の法的安定性を確保する趣旨で法242条2項本文の監査請求期間が定められていることにかんがみると,同条ただし書の「正当な理由」とは,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて当該行為を知ることができたかどうか,また,当該行為を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものと解され(最高裁昭和63年4月22日第二小法廷判決・裁集民154巻57頁参照),更に,「当該行為を知ることができたと解される時」については,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて,監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解されるかどうかによって判断すべきである(最高裁平成14年9月12日第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁参照)。これと異なる原告らの主張は独自の見解であって採用することができない。 上記考え方に従い,本件監査請求期間外の各支出に係る監査請求について検討する。 (ア) 前記2(2),(3),(6)の事実並びに甲5,乙2の1ないし3,4,201,202及び弁論の全趣旨《被告準備書面(9)10頁等》によれば,平成9年9月29日の本件臨時会において,被告Aは,平成9年度市一般会計補正予算として,本件会社経営健全化に対する金融支援事業として,平成9年度から平成20年度にかけて16億6930万円を限度額とする債務負担をし,そのうち10億0605万円を補助金(本件補助金)とし,6億6325万円を損失補償(本件損 対する金融支援事業として,平成9年度から平成20年度にかけて16億6930万円を限度額とする債務負担をし,そのうち10億0605万円を補助金(本件補助金)とし,6億6325万円を損失補償(本件損失補償)とする債務負担行為(本件債務負担行為)の追加を行う旨の議案(議第72号)を提出し,上記議案が可決されたが,同年11月1日付けの市の広報紙「広報あらお」には,「経営難が続いている第三セクター・㈱アジアパークの再建問題について,9月29日(月),臨時議会が開かれ,経営健全化のための金融支援として,16億6930万円の債務を負担する措置が議決されました。」「アジアパークに対する補助金として10億605万円,金融機関に対する損失補償金として6億6325万円です。‥‥16億6930万円という金額は,最大限度額を表したものです。」等と掲載され,荒尾市民らに配布されたこと,本件補助金,本件損失補償の支出についても,各年度の予算に計上され,市議会の議決を経て,市長の支出命令に基づき収入役により支出され,支出後は,市議会における決算承認手続を経ていること,そして,平成11年度分の本件補助金を予備費に組み替える旨の修正案が可決された平成11年3月17日ころには,新聞報道により市議会が本件補助金の支払を「凍結」したこと,その前提として,市が平成9年9月に16億円6930万円(本件補助金10億0605万円,本件損失補償6億6325万円)を12年間で負担することを決めており,平成9,10年度に既に約1億8200万円支出していること,平成11年度一般会計予算案のうち,本件損失補償については原案どおり可決されたことが報道されていること,また,前記2(2),(3)のとおり,本件会社設立までの概要,アジアパーク開園等の事実は既にその都度「広報あらお」等により市民に知ら 件損失補償については原案どおり可決されたことが報道されていること,また,前記2(2),(3)のとおり,本件会社設立までの概要,アジアパーク開園等の事実は既にその都度「広報あらお」等により市民に知らされていたことが認められる。 よって,本件監査請求期間外の各支出については,遅くとも本件補助金についての修正案が可決された平成11年3月17日ころまでには,荒尾市民は相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて当該行為(ただし,同時期以前の分)を知ることができたものであり,同時期後の別紙2⑥,⑦記載の各支出についても支出行為後まもない時期において,同様にこれを知ることができたと認められる。 (イ) 次に,監査請求をするに足りる程度に本件監査請求期間外の各支出の存在及び内容を知ることができたと解される時について検討する。 甲4,5及び弁論の全趣旨によれば,原告らが本件監査請求において主張した本件支出についての違法事由は,本件補助金については,平成9年9月当時,本件会社は破綻しており,具体的な再建計画もなかったから,市としては本件会社の存続を断念すべきであったのにもかかわらず,本件会社の負債の半分を市が負担し,本件会社存続の道を選んだことが,法232条の2の「公益性」の要件を満たしておらず,本件損失補償については,法律の禁じる債務保証であり,いずれも市長の裁量権の逸脱・濫用であるとする点であると認められる。 そこで,原告らの主張する前記違法事由を前提として,客観的にみてどの時点において本件監査請求期間外の各支出について監査請求をすべきか否かを検討しうる程度にその存在及び内容を知ることができたかについて検討する。 上記(ア)のとおり,本件会社設立までの概要,アジアパーク開園等の事 の各支出について監査請求をすべきか否かを検討しうる程度にその存在及び内容を知ることができたかについて検討する。 上記(ア)のとおり,本件会社設立までの概要,アジアパーク開園等の事実はその都度「広報あらお」等により市民に知らされていたところ,平成9年10月1日,地元紙である有明新報により,前日なされた本件損失補償契約の締結(一部)について,「返済期限が迫っていた短期借り入れを長期借り入れに切り替えたもので,いわば『アジアパークの事業継続』のため急場をしのぐ措置」である等の報道がなされ(乙20),同年11月1日付けの「広報あらお」(乙13)には,同年9月29日の本件臨時会において可決された本件補助金及び本件損失補償の金額,支出日時等が掲載されており,更に,平成11年3月17日の西日本新聞夕刊(乙201)には,本件会社は赤字経営が続いていたところ,再建計画の一環として本件補助金及び本件損失補償の支出が一旦市議会で可決されたが,市議会が経営再建の努力が足りないとして一般会計当初予算案中の当年度分の本件補助金を予備費に組み替えていわばその支出を凍結したことにより本件会社が更に厳しい経営を迫られることになったことが掲載されていたこと,それ以前にも本件会社の経営難を伝える多数の報道があったこと(弁論の全趣旨),本件損失補償が法律の禁ずる債務保証にあたるかについて,平成9年9月29日の本件臨時会において,「実質的な債務保証(である)と,これは違法だというふうに申し上げたい。」とのH議員の発言があり,会議録にも記載されており,平成10年3,4月ころには市民の閲覧が可能であったこと(乙19の26頁)以上の事実が認められ,上記事実によれば,原告ら主張に係る前記違法事由の根拠となるべき事実は,遅くとも,本件補助金が「凍結」された旨 月ころには市民の閲覧が可能であったこと(乙19の26頁)以上の事実が認められ,上記事実によれば,原告ら主張に係る前記違法事由の根拠となるべき事実は,遅くとも,本件補助金が「凍結」された旨報道された平成11年3月17日の時点において,原告らにとって明らかになっていたというべきであり,上記時点(ただし,別紙2⑥,⑦記載の各支出については各支出行為後まもない時期)において,監査請求をするに足りる程度に本件監査請求期間外の各支出の存在及び内容を知ることができたと認めるのが相当である。 そして,上記時点から本件監査請求がなされた平成12年12月20日まで,約1年9か月(ただし,別紙2⑥,⑦記載の各支出については,それぞれ1年8か月,1年1か月)を要すべき事情は認められないから,原告らは当該行為を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたものとはいえず,本件監査請求のうち本件監査請求期間外の各支出に関する部分が1年を経過した後になされたことについて法242条2項ただし書にいう「正当な理由」があると認めることはできない。 よって,原告らの訴えのうち,本件監査請求期間外の各支出について損害賠償を請求する部分は,不適法である。 4 本件損失補償(ただし,別紙2⑧以下記載のとおり,平成12年4月13日以降に支出されたか,支出されるべきものについて。以下同じ。)の違法性の有無について(1) 本件損失補償契約が法律の禁じる債務保証に該当するかについて原告らは,前記第2の4(4)ウのとおり,本件損失補償契約は,法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律3条の禁じる債務保証であり,違法である旨主張する。 確かに,本件損失補償契約は,経済的な効果の面において保証契約と ,本件損失補償契約は,法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律3条の禁じる債務保証であり,違法である旨主張する。 確かに,本件損失補償契約は,経済的な効果の面において保証契約と類似するといえるが,損失補償契約と債務保証契約は,法的にはその内容及び効果の点において異なる別個の契約類型であり,また,会社その他の法人のために地方公共団体が損失補償契約を締結し債務を負担することは法の予定するところであるといえる(法221条3項参照)から,損失補償契約の締結自体をもって,法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律3条に違反するものとはいえず,原告らの主張は採用することができない。 (2)ア原告らは,本件損失補償契約が公益性を欠き違法であるとも主張する(平成15年9月18日付け準備書面67頁)ので,検討するに,本件損失補償契約は法232条の2にいう「補助」そのものではないが,本件損失補償も,普通地方公共団体の行う支出である以上,公益上の必要性が認められないような支出は地方公共団体存立の基本理念(法2条2項,3項,12項,13項,地方財政法3条,4条参照)に反し,許されないというべきである。 また,地方公共団体の長は,地方自治の本旨の理念に沿って,住民の福祉の増進を図ることを基本として地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う地方公共団体の執行機関(法1条の2第1項)として,住民の多様な意見及び利益を勘案して,損失補償の要否についての決定を行うものであり,その決定は事柄の性質上,当該地方公共団体の社会的・財政的状況及び他の行政政策との関連等諸般の事情を総合的に考慮した上での政策的判断であるから,公益上の必要性に関する判断に当たっては,損失補償の要否を決定する地方公共団体の長に一定の裁量権 社会的・財政的状況及び他の行政政策との関連等諸般の事情を総合的に考慮した上での政策的判断であるから,公益上の必要性に関する判断に当たっては,損失補償の要否を決定する地方公共団体の長に一定の裁量権があると解されるとともに,その判断に裁量権の逸脱又は濫用があったと認められる場合には,当該損失補償の支出は違法となると解される。 そして,地方公共団体の長が特定の事業について損失補償を支出する際に行った公益上の必要性に関する判断に裁量権の逸脱又は濫用があったか否かは,当該損失補償支出の目的,趣旨及び経緯,損失補償の対象となる事業の目的及び状況,当該地方公共団体の財政状況,議会の対応等の諸般の事情を総合的に考慮した上で検討すべきものと解される。 以下,上記観点に立って検討する。 イ本件損失補償の支出の目的,趣旨及び経緯前記2(6)ア,エ,オ,カ,ク,ケ,サの事実及び証人Bの証言140によれば,本件損失補償は,平成9年9月ころの時点で,経営が悪化していた本件会社の債務のうち,本件5行が本件会社の運転資金として本件会社に貸し付けた短期貸付金を長期貸付金に切り替えた分について,本件会社が返済完了前に解散した場合の未返済元本及び利息若しくは本件会社が本件5行に対し約定償還期日に弁済しない場合の当該期日における返済元本及び利息をそれぞれ損失額とし,この損失額を市が支出することとしたものであり,本件補助金及び主要2社の出捐と相俟って本件会社の事業継続のための金融支援を意味するものであり,市は,平成9年9月31日から平成15年4月1日まで本件損失補償契約に基づき,別紙2のとおり,本件5行に対し,本件損失補償として支出しており,その後は平成19年3月31日まで,毎年4月と10月に継続的に支払うこ 9月31日から平成15年4月1日まで本件損失補償契約に基づき,別紙2のとおり,本件5行に対し,本件損失補償として支出しており,その後は平成19年3月31日まで,毎年4月と10月に継続的に支払うこととなっていることが認められる。 ウアジアパーク事業の目的及び状況等(ア) アジアパーク事業の目的前記2(3)の事実及び弁論の全趣旨(被告準備書面(9)18頁)によれば,石炭産業の縮小・合理化に伴い,経済・雇用が悪化していた市は,バブル経済の崩壊前に施行された構造転換法に基づく産業基盤整備基金,通産省等国の支援・指導・協力の下に,国策に乗った地域振興策として,観光・レクリエーションを軸とした地場産業拠点を形成し,雇用機会の創出と経済波及効果により地域を活性化するとの期待を込め(乙128),国,県のほか主要2社,金融機関,三井関連企業,地場企業からの出資を得た上,自らが(当初は国とともに)筆頭株主となり(甲3の16頁),主導的立場に立って,アジアパークを経営する本件会社を設立したもので,その事業は,第三セクター方式で実施された,アジアとの文化交流をテーマとしたテーマパークであったことが認められる。 (イ) 本件会社の事業の状況等前記2(6)の事実,証人Bの証言16,被告A本人の供述273・400によれば,平成9年9月ころの本件会社の事業の状況については,本件会社は,開業2年目の平成6年度以降,集客数が当初の目標を下回り,赤字が累積し,運転資金の不足を補うための新たな借入も困難な状況であったこと,被告Aは,平成8年ころから本件会社の再建が困難であるとして,事業の存廃をも検討していたことが認められる。 他方,前掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば, 困難な状況であったこと,被告Aは,平成8年ころから本件会社の再建が困難であるとして,事業の存廃をも検討していたことが認められる。 他方,前掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件会社の事業は,市と主要2社が中心となって経営していたものであるところ,営利企業である主要2社も,市からの要請があったとはいえ,合計で市と同額の,既保証分に新規分1億9000万円を加えた15億1884万円という相当高額な金融支援を行う旨合意し(甲55),三者合意以後は,主要2社が本件会社の経営を担当し,ニコニコ堂はモール内の空き店舗の解消等,三井グリーンランド社は,クルーズ部門の黒字化という役割を担って,経営改善に取り組むとされていたことが認められ,上記認定事実,前記2(6)及び後記オの事実,証人Bの証言161並びに弁論の全趣旨によれば,平成9年9月当時,主要2社及び市においては,本件補助金及び本件損失補償による経済的支援があれば,本件会社の再建ないし三井グリーンランド社への営業譲渡等による事業の有効活用の余地があると判断していたというべきであり,そうであるならば,客観的にも,再建ないし有効活用の可能性は乏しいながらも,全くなかったとまでは言い切れないと認めるのが相当である(上記認定に関し,原告らは,前記第2の4(2)アのとおり,平成9年9月時点で本件会社は回復する見込みがなかったと主張し,甲179《財団法人政治経済研究所理事長I作成の鑑定意見書》,204《同人作成の補充鑑定意見書》も,平成9年度(平成10年3月期)は平成8年度と比べ,入場者と売上高が大きく落ち込み,損失幅が拡大し,資金繰りも困難になり,事業継続が絶望的であった旨指摘しており,上記指摘そのものは,その根拠たる記載内容及び前記2(4)の本件会社の累積損失の経緯等に照らしむし 高が大きく落ち込み,損失幅が拡大し,資金繰りも困難になり,事業継続が絶望的であった旨指摘しており,上記指摘そのものは,その根拠たる記載内容及び前記2(4)の本件会社の累積損失の経緯等に照らしむしろ当然のことと思われるが,本件の場合,再建ないし有効活用の可能性が全くなかったとはいえないことと事業継続が絶望的であるとすることとは,見方によってはいわば紙一重の相違ないし評価の相違に過ぎないから,原告らの上記主張立証は前記認定の妨げとなるものではなく,他に前記認定を左右するに足りる証拠はない。)。 ただ,当時市が本件会社に対し,以後一切の金融支援を行わない旨述べ,代表権返上の意向を表明していたことを考慮すると,市としては,本件会社の経営悪化にかんがみ,上記支援をもって本件会社に対する最後の出捐とし,以後本件会社の運営の主導的立場を退き,できるだけ円満に本件会社の事業から撤退することを意図していたと推認するのが相当である。 エ平成9年度以降の荒尾市の財政状況について甲18,乙233,238の13頁によれば,荒尾市の平成9年度の財政状況は,歳入が192億8297万3000円,歳出が191万2000万2000円であり,一般会計は黒字であり(ただし,前年度繰越金を除いた単年度収支では赤字),財政指標は,「1」に近いほど財政力が強いとみることができる財政力指数(地方交付税算定に用いる基準財政需要額に対する基準財政収入額の割合の3カ年平均値)が0.424,比率が低いほど新たな行政需要に対応出来る財源が多く,財政的に弾力があることを示し,80%を超える場合には,財政構造は弾力を失いつつあると考えられている経常収支比率(経常的な一般財源《市税,普通交付税など》が経常的な経費《人件費,扶助費,公債費》に ,財政的に弾力があることを示し,80%を超える場合には,財政構造は弾力を失いつつあると考えられている経常収支比率(経常的な一般財源《市税,普通交付税など》が経常的な経費《人件費,扶助費,公債費》に充てられる割合で財政構造の健全化・弾力性を示す指標)が92.2%,比率が高いほど,財政硬直化の一因となり,通常,財政構造の健全性の確保のためにはこの比率が10%を超さないことが望ましく,15%を超えたときは,地方債の管理に配慮する必要があるとされている公債費比率(標準財政規模に対する地方債元利償還金の割合)が16.3%であり,以上によれば,当時市は,財政力が弱く,財政構造が弾力性を失いつつあり,財政が硬直化していたことが窺われ,大変厳しい経済状況であったと認められる。ただし,熊本県下11市と比較すると,経常収支比率は下位であったものの,公債費比率,財政力指数については,中位であり,市の財政のみが極端に悪化していたとまでは認められない。 オ市議会の対応について(ア) 前記2(6)エ,オの事実及び甲161,乙245ないし247によれば,本件補助金及び本件損失補償を内容とする本件債務負担行為については,本件全員協議会及び本件臨時会において主に議論されたのであり,その内容は以下のとおりであったと認められる。 a 前記2(6)エのとおり,被告Aは,本件全員協議会において,本件債務負担行為について,本件会社の「事業存続の危機であり,所期の目的を達成するため,民間とも苦痛を分け合ったテコ入れを行うことにした。」と説明した。 これに対し,市議会議員らから,「再建策というが,倒産か再建か検討すべきである。」との意見があり,「存続か整理か大きな問題であって,いろんな角度から検討したい。」との回 た。 これに対し,市議会議員らから,「再建策というが,倒産か再建か検討すべきである。」との意見があり,「存続か整理か大きな問題であって,いろんな角度から検討したい。」との回答がなされたほか,「民間経営が黒字となった場合,市に対し,還元はあるのか。」,「倒産した場合,本市の責任はどうなるのか。」など,本件会社の事業が継続した場合,倒産した場合の双方について質疑がなされ,「(再建の)計画が明らかでない。」,「抜本的な改革がなければ再建は難しいのではないか。」等本件会社の再建策や事業継続について疑問を投げかける意見もあり,市当局も,再建策について「具体的な詰めができない。」旨説明した(乙245)。 b(a) 前記2(6)オのとおり,本件臨時会において,被告Aは,本件会社支援のための本件債務負担行為の予算案を提出し,審議が行われた。 被告Aは,「この支援策を選択するに際しましては,複数の選択肢の中から民間2社(主要2社)との協議を行うと同時に,炭鉱閉山のこのときに最悪の事態を招いて荒尾市のイメージダウンにつながることはもちろん,国・県をはじめ経済界等の荒尾市に対する信用失墜を招いて,これからの企業誘致や地域振興に支障があっては市民の皆様方へ御迷惑をかける等々の憂慮と同時に,企業化にあたっての荒尾市の発起人代表としての社会的,道義的な意味からして今回の支援策を決定した次第でございます。もちろんこの支援策を決定するに際し,これを最後として今後一切の金融支援は行わないことを9月1日のアジアパークの取締役会で確認し,株式会社アジアパークとの間に確認書を締結する所存でございます。」,「補助金の10億605万円につきましては,当然アジアパークが健全経営に立ち戻ることができれば,いつでも支 ークの取締役会で確認し,株式会社アジアパークとの間に確認書を締結する所存でございます。」,「補助金の10億605万円につきましては,当然アジアパークが健全経営に立ち戻ることができれば,いつでも支給をとめることができます。また損失補償金6億6325万円につきましても,アジアパーク自身の体力が回復し返済できることになれば,これまた払わなくてよい性質のものでございます。と同時に,市が払った分については返還してもらう権利、いわゆる求償権が発生しますので,・・・・財産処分の場合この求償権を行使することになるわけでございます。 このように,ただいま申し上げました16億円という金額は最大限の限度額をお示しいたしておるものでございまして,現実にアジアパーク再建策が順調に行われ経営健全化が達成されますと,支援する額も大幅に減額されることも予想されるわけでございますから,私どもといたしましては今後のアジアパークの健全化が大きな鍵となるわけでございますので,そのような意味からも民間2社の最大限の御支援と,会社自身の経営努力に大いに期待いたしているところでございます。」などと説明・答弁した(甲161)。 (b) 上記議案は,同日,経済環境常任委員会で関係部分の調査が行われ,市民に対して犠牲を強いる巨額の乱費は認めることができない等の一部委員の意見もあったが,「1 これまでアジアパークが地域活性化の一翼を担ってきた実績も考慮すべきで,今度の支援はやむを得ない。 2 民間2社(主要2社)によるアジアパークの早期黒字経営の確立と,補助金返還の実現を期待する。 3 第三セクターの経営に関しては,社会環境も厳しく二度と同じような事態に陥ることのないよう,その設立 ジアパークの早期黒字経営の確立と,補助金返還の実現を期待する。 3 第三セクターの経営に関しては,社会環境も厳しく二度と同じような事態に陥ることのないよう,その設立・運営を慎重に行うこと。」との要望を付し,原案を妥当と認めるべきとの意見が多数であった(甲161,乙246)。 (c) 上記議案は,同日,総務常任委員会にも付託されて質疑が行われ,今回の提案では市民の納得は得られない,市民の血税を十分な審議をすることなく安易に支出することは認められないとする反対意見もあったが,原案のとおり可決すべきとする意見が多数であった(甲161,乙247)。 (d) 上記(b),(c)の各委員会の結果報告後,上記議案について採決が行われ,賛成多数で原案のとおり可決された。 なお,その後,市議会においては,アジアパーク事業の再建策の「一日も早い実現を期待して見守っていきたい」,「アジアパークが出来たことで荒尾市が目指す産炭地域から観光商業文化都市という面での功績はそれなりにあったと思う。‥‥何とか今回の金融支援を生かされ,本当に一日も早く活性化の目玉として経営が好転するように再建に取り組んでいただきたい。」等の前向きな発言も見られた。 (イ) 本件損失補償の支出は,本件債務負担行為の一部である本件損失補償契約に基づき,年2回にわたり支出されたか,されるべきものであるところ,本件損失補償の既支出分については,該当年度の一般会計予算案に計上され,市議会の議決を経て支出されているとともに,その後市議会において決算認定を経ているのであり,上記支出については,市議会は承認していたものと認められる(被告A本人131ないし 般会計予算案に計上され,市議会の議決を経て支出されているとともに,その後市議会において決算認定を経ているのであり,上記支出については,市議会は承認していたものと認められる(被告A本人131ないし135,弁論の全趣旨)。 カ市と国,県との関係及び市の社会情勢前記ウ(イ)の事実及び甲55,証人B27,被告A本人によれば,被告Aは,平成8年ころから本件会社の再建が困難であるとして本件会社の存廃をも検討していたもので,上京して通産省関係者に対し現状に至る経緯を説明した上,解散(倒産)せざるをえない事態に至った旨述べたこともあったが,解散(倒産)について了解を得られず,(存続の方向で)もう少し検討せよとの指導を受け,県からも同様の対応を受けるなどしたため,一旦は本件会社を存続させる方向で検討することとし,しかも,平成9年3月には三池炭鉱が閉山した(乙99)ことに伴い,市としては,離職者の再就職対策や住宅対策,地域振興策等国及び県にさまざまな支援を要請していたのであり,更に,同年9月当時,荒尾市では,同市の商業の中心的な役割を果たすと期待されていた大型商業施設の荒尾シティモールが開店直後であり,市,県も出資する第三セクターとして地ビール園を開園するという計画も進行していたことが認められる。 キ以上によれば,確かに,平成9年9月当時本件会社の経営は破綻に瀕していたともいえる状態であり,また,市の財政は厳しいものであったが,他方で,本件会社によるアジアパーク事業は,地域振興策のいわば核として,観光・レクリエーションを軸とした地場産業拠点を形成し,雇用機会の創出と経済波及効果により地域を活性化するという重要な役割を期待されて各関係者の協力を得て市の主導の下に開始されたものであり,本件会社の経営状況は悪化し ョンを軸とした地場産業拠点を形成し,雇用機会の創出と経済波及効果により地域を活性化するという重要な役割を期待されて各関係者の協力を得て市の主導の下に開始されたものであり,本件会社の経営状況は悪化していたとはいえ,再建ないし事業の有効活用の可能性が全くないとは言い切れない状況にあり,しかも,経営の悪化した本件会社を主導的立場の市が特段の支援をすることなくいきなり破綻させれば,それまで上記事業を支援・指導・協力してきた国,県,金融機関,地場企業等の信頼を失いかねず,以後の上記各者(特に国,県)からの市の他の各事業に対する支援・協力等につき悪影響が出るおそれがあり,本件会社の事業からの円満な撤退も困難になりかねない状況であったことにかんがみれば,被告Aが市議会の承認の下に,公益上の必要性があると判断して本件損失補償契約を締結したことには,それなりにやむを得ない事情があったというべきである。 したがって,被告Aが本件損失補償契約に基づき支出したこと,被告市長が支出をしようとしていることについて,市長としての裁量権の逸脱・濫用の違法があると認めることはできない。 上記説示に照らすと,前記第2の4,5の原告らの主張及び原告らの全立証をもってしても,上記結論を左右するには至らないというべきである。 5 結論よって,原告らの被告Aに対する訴えのうち,別紙2①ないし⑦記載の各支出に関する財務会計行為の違法を理由として損害賠償を請求する部分は不適法であるからこれを却下し,被告Aに対するその余の請求(なお,原告らの清算費用225万円に係る損害賠償の主張《訴状8,9頁》は,その支出の具体的違法を認めるに足りる証拠はない上,弁論の全趣旨により既に同額の金員が本件会社から市に返還されていることにかんがみても理由がないこと 5万円に係る損害賠償の主張《訴状8,9頁》は,その支出の具体的違法を認めるに足りる証拠はない上,弁論の全趣旨により既に同額の金員が本件会社から市に返還されていることにかんがみても理由がないことが明らかである。)及び被告市長に対する請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用(参加によって生じた費用を含む。)の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文,66条を適用して,主文のとおり判決する。 熊本地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官田中哲郎裁判官中島栄裁判官堀部麻記子

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