平成15(ワ)25099 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
平成18年5月25日 東京地方裁判所 棄却
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判決文本文16,450 文字)

- 1 -平成18年5月25日判決言渡平成15年(ワ)第25099号損害賠償請求事件口頭弁論終結の日平成18年3月22日判決主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1請求被告は,原告Aに対し8223万2116円,原告Bに対し8223万2117円及びこれらに対する平成12年12月18日から支払済みまで年5分の割合による金員をそれぞれ支払え。 第2事案の概要本件は,原告Bが,平成12年12月18日(以下,平成12年については月日のみを記載する,被告の設置するC病院(以下「被告病院」という)。)。 において,双胎の第2児であるDを出産する際,被告病院の医師らが帝王切開を迅速に施行しなかったことなどのために,Dが低酸素性虚血性脳症による脳性小児麻痺となり,その後平成15年8月19日に死亡したなどと主張して,その両親である原告らが,被告に対し,診療契約の債務不履行又は不法行為(使用者責任)に基づいて,損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。 前提となる事実本件の診療等の経過は,別紙診療経過一覧表記載のとおりであり(なお,同一覧表中,12月18日午後5時47分の帝王切開術開始の事実については当事者間に争いがなく,その余の事実は,同一覧表の「証拠」欄に摘示した証拠により認定した,その概要は以下のとおりである。 。)- 2 -原告Bは,10月10日,E産婦人科を受診し,妊娠27週,1絨毛膜2羊膜性双胎と診断された。原告Bは,他院での管理を希望したこともあって,同月17日,被告病院を受診し,以後被告病院で妊娠・分娩管理を受け,12月13日(妊娠36週3日,同管理のため被告病院に入院した。 )12月18日(妊娠37週1日)午前6時45分,被告病院 あって,同月17日,被告病院を受診し,以後被告病院で妊娠・分娩管理を受け,12月13日(妊娠36週3日,同管理のため被告病院に入院した。 )12月18日(妊娠37週1日)午前6時45分,被告病院の医師は,原告Bの妊娠中毒症の症状が悪化したため,同人に陣痛促進剤を投与して分娩誘発をし,午後4時15分に第1児を娩出させた。そして,午後4時37分,第2児について人工破膜をしたが,経膣分娩により娩出させることができず,午後5時55分,帝王切開により娩出させた。第2児は,アプガースコアが娩出1分後1点,5分後0点,10分後3点であり,新生児仮死の状態であった。そのため,新生児集中治療室などで治療,管理が続けられたが,平成15年8月19日に呼吸不全により死亡した。 争点及びこれについての当事者の主張本件の争点は,(1)12月18日午後4時37分に人工破膜をすべきでなかったのにこれをした過失の有無,(2)人工破膜後直ちに骨盤位牽出術をしなかった過失の有無,(3)帝王切開を迅速にしなかった過失の有無,(4)損害額の4点である。これらに関する当事者の主張は,次のとおりである。 (1)争点(1)(12月18日午後4時37分に人工破膜をすべきでなかったのにこれをした過失の有無)について(原告らの主張)人工破膜をすると急激な分娩の進行により胎児が圧迫される。そのため,破膜後早期に胎児を娩出させることが難しい場合,すなわち,子宮口があまり開いていなかったり,胎児の位置が不安定である場合には,人工破膜をすべきではない。 本件では,第2児について人工破膜を施行した際,その先進位置は坐骨棘から2㎝上方(ステーションマイナス2)にあったのであるから,児頭は浮- 3 -動しており,胎児の位置は不安定であったといえる。そのため,このような状態のまま人 を施行した際,その先進位置は坐骨棘から2㎝上方(ステーションマイナス2)にあったのであるから,児頭は浮- 3 -動しており,胎児の位置は不安定であったといえる。そのため,このような状態のまま人工破膜を施行すべきではなかったにもかかわらず,被告病院のF医師は,胎児を骨盤内に誘導してその位置を安定させる措置を講じることなく,人工破膜をした。 (被告の主張)人工破膜の適応として微弱陣痛や分娩遷延等がある。その手順は,第1児娩出後第2児の先進部を小骨盤腔に誘導した上で,先進部が固定している又は破膜により確実に固定される見込みがあること,臍帯下垂がないこと,頸管が成熟していること(子宮口開大3㎝以上,人工破膜後6時間以内に分)娩に至る見込みがあることを確認して,人工破膜をする。なお,先進部固定確認後は単胎妊娠と同様の手技である。 本件では,第1児娩出後22分を経過しても第2児の分娩が進行せず,分娩遷延の状態であった。そして,12月18日午後4時37分,原告Bの子宮口は5㎝開大であり,第2児は,第1児娩出後,単臀位で臀部が先進し子宮口に固定しており,臍帯下垂はなく,人工破膜後6時間以内に分娩に至る見込みがあった。したがって,第2児については,人工破膜の適応があったのであり,また,その実施についても上記手順のとおり行っているから,F医師の措置に不適切な点はない。 (2)争点(2)(人工破膜後直ちに骨盤位牽出術をしなかった過失の有無)について(原告らの主張)双胎の場合,第1児娩出後第2児の娩出が遅れると,第2児について胎盤早期剥離等の危険が増加する。第1児の娩出で胎児及び羊水の一部が排出されることにより,子宮腔容積の減少,子宮の収縮が起こり,子宮と胎盤との付着面が移動するため,早期の胎盤剥離を起こしやすくなるのである。 この危険性にかんが る。第1児の娩出で胎児及び羊水の一部が排出されることにより,子宮腔容積の減少,子宮の収縮が起こり,子宮と胎盤との付着面が移動するため,早期の胎盤剥離を起こしやすくなるのである。 この危険性にかんがみれば,人工破膜後速やかに第2児を娩出させなけれ- 4 -ばならない。そのため,被告病院の医師は,人工破膜後直ちに骨盤位牽出術を行うべきであったのに,これをしなかった。 (被告の主張)骨盤位牽出術を行うには,胎児が臍輪まで娩出されるか,少なくとも臀部の一部が娩出されるまで進行している必要がある。これよりも胎児が高い位置にあるときに牽引を開始することもあるが,胎児にとって危険が大きく操作には熟練を要する。 本件では,12月18日午後4時50分の時点では,胎児全体が母体内にあったのであるから,骨盤位牽出術を施行することはできなかった。 (3)争点(3)(帝王切開を迅速にしなかった過失の有無)について(原告らの主張)上記(2)のとおり,双胎の場合,第2児の娩出が遅れると胎盤早期剥離の危険が増加する。したがって,第1児娩出後30分経過しても第2児娩出に至らず,また,午後5時15分ころからは胎児心拍に異常があった本件において,被告病院の医師らは,帝王切開を迅速に行い,第2児を早期に娩出させるべきであった。ところが,被告病院の医師らは,以下のとおり,帝王切開の決定,決定から執刀,執刀から娩出までにそれぞれ時間を費やしすぎたために,第2児を娩出させるのが遅れた。 ア帝王切開決定まで上記胎盤早期剥離等の危険にかんがみれば,第1児娩出後30分経過しても第2児娩出に至らない場合には直ちに帝王切開に移行すべきである。 特に,本件の第2児は骨盤位であり,経膣分娩に困難を伴うものであったから,なおさらである。また,人工破膜施行後10分経過しても第2児が娩出され 出に至らない場合には直ちに帝王切開に移行すべきである。 特に,本件の第2児は骨盤位であり,経膣分娩に困難を伴うものであったから,なおさらである。また,人工破膜施行後10分経過しても第2児が娩出されない場合,人工破膜による効果はなく,他方で,胎盤早期剥離の危険が高まるのであるから,直ちに帝王切開を決定すべきである(甲B5。しかるに,被告病院の医師らは,第1児娩出後45分,人工破膜施)- 5 -行後23分経過した午後5時に至って,ようやく帝王切開の決定をした。 イ帝王切開決定から執刀まで(ア)分娩に困難が予想される場合には帝王切開が必要となる可能性が高いため,帝王切開の準備(分娩台をそのまま手術台にすること,分娩に立ち会っていない別の医師が手洗いを済ませ,執刀準備をしておくこと,麻酔医や新生児専門医も待機しておくことなど)をしておくことが必要である。本件では,双胎で,かつ,第2児が骨盤位という分娩に困難が予想される症例であったにもかかわらず,被告病院の医師はそのような準備をしなかった。 (イ)午後5時に帝王切開を決定後,直ちに帝王切開術に移行すべきであったのに,F医師は,午後5時10分ないし15分ころに再度経膣分娩を試みた。 (ウ)上記(2)の胎盤早期剥離の危険に加え,第2児が,午後5時15分ころには約30秒間70bpmの徐脈となり,その後も1分間に5ないし10秒間程度,60ないし100bpm程度の徐脈となるなどの異常が認められたのであるから,被告病院の医師は,第2児の娩出を急ぐ必要があった。したがって,帝王切開に当たっては,5分程度で麻酔の効果が発現する全身麻酔を選択すべきであった。ところが,被告病院の医師は,麻酔の効果が発現するまでに時間がかかる硬膜外麻酔を選択した。 ウ執刀から娩出まで上記イ(ウ)のとおり,本件では第 で麻酔の効果が発現する全身麻酔を選択すべきであった。ところが,被告病院の医師は,麻酔の効果が発現するまでに時間がかかる硬膜外麻酔を選択した。 ウ執刀から娩出まで上記イ(ウ)のとおり,本件では第2児の娩出を急ぐ必要があったから,緊急手術に適した縦切開(この切開方法によれば2,3分程度で胎児を娩出できる)により帝王切開を行うべきであった。しかしながら,被告病。 院の医師は,より時間がかかる横切開により帝王切開を実施し,胎児を娩出させるまでに8分を要した。 (被告の主張)- 6 -以下のとおり,帝王切開に関する被告病院の医師らの措置に不適切な点はない。 ア帝王切開決定まで分娩監視装置による監視により胎児の健常性の評価が十分にされている限り,第2児の娩出を急ぐ必要はない。また,経膣分娩をするか帝王切開をするかの判断については医師に一定の裁量がある。 本件では,午後5時10分ないし15分ころまで分娩監視装置による監視をして胎児の健常性の評価が十分にできていた。そのため,第2児の娩出を急ぐ必要はなく,午後5時まで帝王切開の決定をせずに経膣分娩を試みたことも,医師の裁量の範囲内であり,不適切な措置ではない。 イ帝王切開決定から執刀まで(ア)帝王切開決定時には,母児の状態を分娩監視できる機器,輸血用血液,手術器具の用意,手術室の確保がされており,帝王切開の準備は適切にされていた。その決定時に直ちに帝王切開手術に着手できる状態にしておくことは,本件当時の医療水準ではない。 (イ)第2児は,午後5時ころには相当程度下降してきており,その心拍数も良好であり,午後5時10分ないし15分ころには,更に臀部の下降傾向が認められた。加えて,本件では分娩監視装置により胎児の心拍が良好であることが確認できており,第2児の娩出を急ぐ必要はなかった。この 好であり,午後5時10分ないし15分ころには,更に臀部の下降傾向が認められた。加えて,本件では分娩監視装置により胎児の心拍が良好であることが確認できており,第2児の娩出を急ぐ必要はなかった。このような状況の下で,再度経膣分娩を試みたF医師の判断は,裁量の範囲内であり,不適切なものではない。 なお,原告らは,午後5時15分以降の胎児心拍が異常であった旨主張するが,午後5時10分ないし15分ころには,原告Bを手術室に搬送するために分娩監視装置の取外しやストレッチャーの準備等をし,また,再度経膣分娩を試みるために原告Bに再度分娩体位をとらせるなどし,午後5時20分ころには原告Bをストレッチャーに移床させたので- 7 -あるから,この間,胎児の心拍数を正確に計測できない状況にあった。 現に,胎児心拍陣痛図(CTG)上,午後5時10分以降のデータは間欠的,単発的なものとなっている。また,その数値を全体的に見ると,妊婦の心拍数に極めて近い85bpm程度で推移している部分が多いので,原告Bの心拍数を示している可能性が高く,上記原告らの主張は失当である。 (ウ)麻酔については,緊急を要する場合を除き硬膜外麻酔によるのが通常である。本件では,上記(イ)のとおり,胎児の心拍は良好で第2児の娩出を急ぐ必要がなかったため,全身麻酔ではなく硬膜外麻酔を選択したのであり,この選択は適切であった。 ウ執刀から娩出まで上記イ(イ)のとおり,第2児の娩出を急ぐ必要はなかったのであるから,縦切開により帝王切開を行う必要はなかった。 (4)争点(4)(損害額)について(原告らの主張)アDが被った損害合計1億3033万9803円その内訳は,逸失利益9149万9803円,慰謝料2700万円及び弁護士費用1184万円である。 イ原告らが被った損害合計3412 原告らの主張)アDが被った損害合計1億3033万9803円その内訳は,逸失利益9149万9803円,慰謝料2700万円及び弁護士費用1184万円である。 イ原告らが被った損害合計3412万4430円その内訳は,Dの治療費6930円,介護料(12月18日ないし平成15年8月19日分)975万円,入院雑費(上記期間分)126万7500円,慰謝料2000万円(各1000万円,及び弁護士費用310)万円である。 (被告の主張)争う。 第3争点に対する判断- 8 - 争点(1)(12月18日午後4時37分に人工破膜をすべきでなかったのにこれをした過失の有無)について。 (1)証拠(甲B2,乙B2,4)によれば,以下の医学的知見が認められるア人工破膜とは,人為的に卵膜を穿孔し破水させる手技である。陣痛の誘発又は促進の効果があり,微弱陣痛等で分娩が進行しない場合に適応がある。一般には,多胎妊娠での陣痛誘発も単胎に準じる。 イ第2児について人工破膜を行うに当たっては,第1児娩出後,第2児の胎位・胎向を触診及び超音波断層法で確認し,頭位及び骨盤位の場合には,腹壁側から子宮を軽く圧迫しながら先進部を小骨盤腔に誘導し嵌入させる。 そして,①内診によって,第2児の先進部が小骨盤腔に嵌入し,先進部が固定されたこと,又は,破膜により確実に固定される状態にあることを確認する。さらに,②臍帯下垂がないこと,③頸管が成熟していること(子宮口が3㎝以上開大していること,④破膜後6時間以内に分娩)に至る見込みであることを確認し,人工破膜をする。 なお,人工破膜前後を通じて,分娩監視装置により子宮収縮の状態及び胎児心拍数を監視する。 (2)前記前提となる事実及び証拠(乙A3,4,7,証人F)によれば,以下の事実が認められる。 第2児は, なお,人工破膜前後を通じて,分娩監視装置により子宮収縮の状態及び胎児心拍数を監視する。 (2)前記前提となる事実及び証拠(乙A3,4,7,証人F)によれば,以下の事実が認められる。 第2児は,骨盤位(胎児の頭部が子宮底に,臀部が子宮口に向かって位置しているもの)のうちの単臀位(臀部のみが単独に先行するもの)の状態にあり,12月18日午後4時15分に第1児が娩出された後,その臀部が先進し,午後4時20分の内診ではその先進位置が坐骨棘から2㎝上方(ステーションマイナス2)にあった。微弱陣痛であったこともあり,第1児娩出後22分経過しても第2児の分娩が進行せず分娩遷延の状態にあったため,F医師は,午後4時37分,人工破膜により分娩を誘発することにした。このとき,原告Bの子宮口は4㎝程度開大しており,臍帯を触知せず,臍帯下- 9 -垂は認められなかった。F医師は,第2児が骨盤位であったことから,原告Bの腹部を圧迫して第2児の先進部である臀部を小骨盤腔に誘導し,固定されたことを確認した。そして,F医師は,以上の状態に照らし,1時間程度で第2児を娩出できると判断して,人工破膜をした。なお,この間,胎児心拍は良好であった。 (3)上記(1)及び(2)認定事実に基づいて,争点(1)について検討する。 前記(2)で認定した事実によれば,次のことが明らかである。第1児娩出後,原告Bは,微弱陣痛であったこともあり分娩が遷延した状態にあった。 また,F医師は,第2児が骨盤位であったことから,その先進部である臀部を小骨盤腔に誘導して先進部が固定されたことを確認の上,人工破膜後1時間程度で第2児を娩出できると判断して,人工破膜をした。その際の母児の状態等は,臍帯を触知せず,臍帯下垂は認められず,また,原告Bの子宮口は4㎝程度開大していた。 そうすると,本件 ,人工破膜後1時間程度で第2児を娩出できると判断して,人工破膜をした。その際の母児の状態等は,臍帯を触知せず,臍帯下垂は認められず,また,原告Bの子宮口は4㎝程度開大していた。 そうすると,本件では,上記(1)認定の胎児が骨盤位である場合の人工破膜の適応があり,それをするための条件も満たしていたものと認められるから,人工破膜をすべきでなかったということはできないし,これに至る手順についても問題はない。 なお,株式会社G作成の医学検証報告書(甲B1)中には,午後4時20分の内診で第2児がステーションマイナス2であったことから,胎児の先進部はかなり高く浮動していたはずであり,そのような状態で人工破膜をすべきではなかったとの指摘がある。しかし,上記のとおり,午後4時20分の内診の後,F医師が先進部である臀部を小骨盤腔に誘導し,固定されたことを確認しているのであるから,同報告書の意見は採用できない。 したがって,争点(1)の原告らの主張は,採用できない。 争点(2)(人工破膜後直ちに骨盤位牽出術をしなかった過失の有無)について- 10 -(1)証拠(乙B9)によれば,骨盤位牽出術に関して,以下の医学的知見が認められる。 骨盤位の分娩においては,胎児が臍輪(臍帯の付着部)の辺りまで娩出された場合,児頭と産道の間で臍帯が圧迫されるので,可及的速やかに分娩を終了させる必要がある。このような場合に,胎児を娩出しやすいように牽引などの適当な操作を行うことを骨盤位牽出術という。 通常は,胎児が臍輪の辺りまで娩出されるか,少なくとも臀部の一部が娩出されるまで進行してから操作を開始する。これよりも胎児が高い位置にある状態で牽引を開始することもあるが,胎児への危険が大きく,また,操作には熟練を要する。 (2)第2児は,後記3(1)イ及び(4)イ認定の で進行してから操作を開始する。これよりも胎児が高い位置にある状態で牽引を開始することもあるが,胎児への危険が大きく,また,操作には熟練を要する。 (2)第2児は,後記3(1)イ及び(4)イ認定のとおり,午後4時45分ないし50分ころの内診の段階でもその先進位置はやや高く,午後5時10分ころの段階でも完全には下降していない状態であったから,人工破膜直後の段階で,胎児が臍輪の辺りまで娩出されるか,少なくとも臀部の一部が娩出されるまで進行していたと認めることはできない。そうすると,本件では,人工破膜直後の段階においては,上記(1)認定の骨盤位牽出術が通常行われる状態にはなかったと判断される。そして,そのような状態にないにもかかわらず,骨盤位牽出術をすべきであったことを認めるに足りる証拠もない。 よって,人工破膜後直ちに骨盤位牽出術を行うべきであった旨の原告らの主張は,採用できない。 争点(3)(帝王切開を迅速にしなかった過失の有無)について「標準産科婦人科学第2版(甲B2)では,多胎妊娠においては,第1児」娩出後は胎盤早期剥離が生じやすいが,一般に,第1児娩出後30分以内に第2児を娩出すれば児の予後が良いと指摘されている。もっとも,上記甲B2の文献でも,第1児娩出後30分以内に第2児を娩出すべきであるとしているわけではなく,第2児を厳重に監視すべきであると指摘するに止まっている。そ- 11 -して,証拠(甲B3,乙B3,4,7)によれば,一般に,第1児娩出後30分以内に第2児を娩出すれば児の予後が良いといわれているが,第2児について継続的に分娩監視装置による監視が行われその健常性が確認できている場合には,早期娩出に固執する必要はなく,そのための手術的操作を行う必要はないとされていることが認められる。こうしたことからすると,一般に双 に分娩監視装置による監視が行われその健常性が確認できている場合には,早期娩出に固執する必要はなく,そのための手術的操作を行う必要はないとされていることが認められる。こうしたことからすると,一般に双胎妊娠において第1児娩出後30分以内に第2児を娩出すべきであるということはできず,結局,胎盤早期剥離の危険等を念頭に置きつつ胎児の健常性の評価を行い,第2児の状態が良好でない,又はそれが疑われるような場合には,急いで娩出させるために手術的操作を行うべきものと認められる。 そこで,以下,上記観点から,原告らの主張に沿って,人工破膜後の第2児の分娩経過について検討する。 なお,本件においては,第2児娩出後,胎盤に早期剥離の所見が認められている(乙A3)が,執刀したH医師の手術記録中の所見では胎盤の早期剥離所見を「少々」認めたという程度であり,また,J医師の病理所見では早期剥離所見はないとされていること(乙A3)からすると,その剥離の程度は非常に小さいものであったと認められる(原告Bの入院診療録の表紙の「病理診断」欄の記載も胎盤早期剥離の「疑い」とされている(乙A3の1頁。 )。)(1)帝王切開の決定までに時間を費やしすぎたとの主張についてア証拠(甲B2,3,7,乙B3,6,7)によれば,帝王切開は,子宮壁を切開して胎児等を娩出させる手術であり,胎児仮死,常位胎盤早期剥離,遷延分娩,分娩停止などの場合に適応があること,開腹手術であるため,麻酔,出血,感染,血栓症,癒着などの合併症の危険があることが認められる。 イ前記前提となる事実及び証拠(乙A3,4,6,7,証人F,証人K)によれば,以下の事実が認められる。 12月18日午後4時15分に第1児が娩出された後,F医師は,午後- 12 -4時37分,分娩を誘発するために人工破膜を行った。 と 4,6,7,証人F,証人K)によれば,以下の事実が認められる。 12月18日午後4時15分に第1児が娩出された後,F医師は,午後- 12 -4時37分,分娩を誘発するために人工破膜を行った。 ところが,午後4時45分ないし50分ころ,子宮口が8㎝開大となり,いきみ時には第2児の下降が認められたものの,その先進位置は少し高い状態にあり,分娩の進行があまり見られなかった。K医師は,第1児が娩出されてから30分を経過したにもかかわらず第2児が娩出されず,分娩が遷延していることから,胎盤早期剥離などが起こり胎児の状態が悪化する危険性も考え,それを予防するために帝王切開を行うことを考え始め,手術室にその準備を開始させ,午後5時,帝王切開を実施することを決定した。この間,第2児の胎児心拍については,分娩監視装置により監視されていた。 ウところで,上記3冒頭及び上記イの認定によれば,第2児について継続的に分娩監視装置による監視が行われその健常性が確認できている場合には,早期娩出に固執する必要はなく,そのための手術的操作を行う必要はないこと,本件では,分娩監視装置により胎児心拍が監視されていたことが明らかである。 そして,その分娩監視装置の午後5時7分ころまでの胎児心拍陣痛図(乙A4)及びLの意見書(乙B11)によると,午後4時34分,43分,50分,54分に一過性の徐脈が認められるが,これらは,比較的短時間で回復しており,臍帯の一時的な圧迫等による血流の減少を原因とするものであったと解されること,そして,午後5時7分ころまでの間の第2児の状態は,胎児心拍にも異常がなく,良好であったことが認められる。 前記医学検証報告書(甲B1)においても,それまでの胎児心拍陣痛図について,胎児心拍の異常は指摘されていない。 なお,診療記録上,帝王切開を行うこと 心拍にも異常がなく,良好であったことが認められる。 前記医学検証報告書(甲B1)においても,それまでの胎児心拍陣痛図について,胎児心拍の異常は指摘されていない。 なお,診療記録上,帝王切開を行うことになった理由について,第2児が胎児仮死の状態になったためであることを意味するような記載が存在する(乙A1の20頁,23頁,乙A3の1頁,3頁,4頁,31頁,59- 13 -頁,64頁,66頁。しかしながら,上記認定のとおり,帝王切開を決)定するまでの過程では,分娩監視装置により,胎児心拍に異常がないことが確認されている。そして,他に,帝王切開を決定するまでの過程で胎児仮死をうかがわせる所見は認められていないことに照らすと,K医師が陳述するとおり,被告病院の医師が帝王切開前に胎児仮死を認め,そのために帝王切開を決定したものと認めることはできない。 そうすると,午後5時7分ころまでの間は分娩監視装置により第2児の状態が良好であることが確認できていたのであるから,急いで娩出させるために手術的操作を行う必要はなかったというべきであり,午後5時より前に帝王切開の決定をすべきであったという原告らの主張は採用できない。 上記医学検証報告書においても,午後5時に帝王切開による分娩を決定した判断が遅すぎると指摘する状況ではないとされている。 なお,原告らは,人工破膜後10分を経過しても第2児が娩出されない場合には直ちに帝王切開をすべきであると主張する。しかし,原告らがその根拠とする甲B5は,羊水感染の疑い,第1児の軽度胎児仮死及び回旋異常との診断の下に第1児を吸引娩出術で娩出させた後,第2児の心拍数に異常が認められたために,急速遂娩の措置を採らなければならなくなった場合の処置に関するものであり,原告らの主張を直接裏付けるものではない。そして,他に,原告らの 出術で娩出させた後,第2児の心拍数に異常が認められたために,急速遂娩の措置を採らなければならなくなった場合の処置に関するものであり,原告らの主張を直接裏付けるものではない。そして,他に,原告らの主張を認めるに足りる証拠はない。 (2)帝王切開の決定から執刀まで時間を費やしすぎたとの主張についてア証拠(甲B2,6,8,乙B3,5,証人F)によれば,帝王切開の準備等及び麻酔の方法について,以下の医学的知見が認められる。 (ア)帝王切開の準備等双胎の分娩の場合は,単胎のそれに比べ,帝王切開を必要とする可能性が高く,特に第1児が娩出された直後には様々な異常が発生しやすい。 そのため,双胎の分娩に際しては,第1児及び第2児についてそれぞれ- 14 -分娩監視装置による監視を行い,常に帝王切開を含む急速遂娩の備えが必要である。 WHOの周産期管理のガイドラインや英米の産婦人科学会では,緊急に帝王切開をすることを決定してから30分以内に開始できるようにすべき旨を勧告している。 (イ)麻酔の方法帝王切開を行う場合の麻酔については,手術の緊急性,患者の精神状態,術前の状態,患者の希望など状況に応じて適当な方法を決める必要がある。全身麻酔は,循環動態が不安定な場合には,術中の呼吸や循環の管理を行いやすいという利点があるが,挿管時のトラブルによる重篤な合併症を起こす危険性がある。硬膜外麻酔は,胎児への負担が小さく,術後の鎮痛が行えるなどの利点があるが,効果発現までに時間がかかり,緊急の手術には不向きである(加刀までの時間は,全身麻酔では5分程度であるが,硬膜外麻酔では20分程度を要する。 。)イ前記前提となる事実及び証拠(乙A3,6,証人F)によれば,以下の事実が認められる。 午後5時に帝王切開の実施が決定された後,原告Bを手術室に搬送する ,硬膜外麻酔では20分程度を要する。 。)イ前記前提となる事実及び証拠(乙A3,6,証人F)によれば,以下の事実が認められる。 午後5時に帝王切開の実施が決定された後,原告Bを手術室に搬送するために,ストレッチャーを準備し,分娩監視装置の取外しを開始し,また,点滴を陣痛促進剤の入っていないものへ交換するなどした。そして,午後5時10分ころ,F医師は,手術室へ向かうために原告Bをストレッチャーに移そうとした際に,第2児の臀部が下降してきていることを認めたため,再度経膣分娩を試みようとして,再度,点滴にプロスタグランジン(陣痛誘発及び陣痛促進の効果がある薬剤)を入れ,原告Bに分娩体位をとらせたが,結局,第2児は完全には降りなかった。このとき,胎児の臀部の皮膚色が少し青くなっているのがみられた。こうした中,午後5時15分ころ,手術室から,患者の準備を催促する電話があった。F医師は,- 15 -経膣分娩による娩出は困難であると判断し,原告Bを手術室に移すことにした。そして,原告Bは,午後5時20分ころストレッチャーで手術室に向かい,午後5時25分手術室に入室した。 原告Bが入室して直ぐに,硬膜外麻酔が施行された。午後5時47分,麻酔の効き具合を確認したところ十分でなかったため局所麻酔薬(2%キシロカイン8.0ml)を追加した上で,H医師らは帝王切開を開始した。 腹壁を横切開し,午後5時54分に子宮切開をし,55分に第2児を娩出させ,56分に胎盤を娩出させた。第2児のアプガースコアは,娩出直後1点,5分後0点,10分後3点であり,新生児仮死と診断された。 手術室での胎児心拍数は,看護師がドプラーで確認したところ,硬膜外麻酔挿入後仰臥位になった際には130台であり,その後,帝王切開をするために砕石位(あぐらの体勢のまま仰向けになり両膝を胸に された。 手術室での胎児心拍数は,看護師がドプラーで確認したところ,硬膜外麻酔挿入後仰臥位になった際には130台であり,その後,帝王切開をするために砕石位(あぐらの体勢のまま仰向けになり両膝を胸に近づける体位)になった際には120ないし130台であった。 なお,上記の経過を通じ,胎盤早期剥離を示唆する母体側の徴候(性器出血の増大,頻脈,血圧の低下,持続的疼痛等)は認められなかった。 ウところで,原告らは,帝王切開の実施を決定してから帝王切開開始までの間の経過において,①帝王切開の実施を決定したときに直ちに帝王切開を開始できる準備がされていなかったこと,②F医師が再度経膣分娩を試みたこと,③硬膜外麻酔を選択したことが不適切であったと主張するので,以下,順次検討する。 (ア)まず,上記①については,上記イ認定のとおり,午後5時15分ころに手術室からF医師に対して,患者の準備を催促する電話があったのであるから,遅くともこの時には帝王切開の手術の準備が完了していたものと認められる。現に,原告Bが午後5時25分に手術室に入室して直ぐに麻酔が施行されているのである。 このように,午後5時10分ころからF医師が経膣分娩を試みていた- 16 -状況の下で,遅くとも午後5時15分ころには手術の準備が完了していたのであるから,帝王切開のための準備が不適切であったということはできない。 (イ)次に,上記②について検討するに,上記(1)ウ認定説示のとおり,帝王切開を決定するまでの間,胎児の心拍は良好であったと認められ,児の娩出を急がなければならない状況にはなく,緊急に帝王切開をしなければならない状況にはなかった。K医師が帝王切開を決定した理由も,上記(1)イ認定のとおり,分娩が遷延しており,今後胎盤早期剥離などが起こり胎児の状態が悪化することを はなく,緊急に帝王切開をしなければならない状況にはなかった。K医師が帝王切開を決定した理由も,上記(1)イ認定のとおり,分娩が遷延しており,今後胎盤早期剥離などが起こり胎児の状態が悪化することを予防することにあった。 そして,上記(1)ア認定のとおり,帝王切開には麻酔,出血,感染,血栓症,癒着などの合併症の危険があることにかんがみると,上記のように緊急に帝王切開をする必要のない状況において,第2児の臀部が下降してきていることを認めたため,再度経膣分娩を試みようとしたF医師の判断にも,臨床の場に臨んでいる医師の判断として相応の合理性があるというべきである。 そうすると,帝王切開を決定したとはいえ,第2児の娩出を急ぐべき状況が認められなかった本件において,午後5時10分ころ,胎児の臀部が下降してきていることを契機として,再度経膣分娩を試みたF医師の判断が不適切であったということはできない。 (ウ)そこで,進んで,上記③に関し,その後の帝王切開術の開始までの間の経過について検討する。 まず,前記医学検証報告書(甲B1)及びM作成の意見書(甲B8。 以下「M意見書」という)では,午後5時15分ころからの胎児心拍。 について,胎児心拍陣痛図上60ないし100bpmの徐脈がみられることから,第2児に循環不全が生じており,危険な状況にあった旨指摘している。しかし,上記イで認定したとおり,午後5時10分前後には,- 17 -原告Bを手術室に搬送するために,ストレッチャーを準備し,分娩監視装置の取外しを開始し,また,原告Bをストレッチャーに移床しようとしたり,再度分娩体位をとらせたりしていたのである。現に,胎児心拍陣痛図上も,午後5時7分ころからグラフが間欠的になっていることにもかんがみると,午後5時7分ころ以降は分娩監視装置が適切に胎児心拍を計 り,再度分娩体位をとらせたりしていたのである。現に,胎児心拍陣痛図上も,午後5時7分ころからグラフが間欠的になっていることにもかんがみると,午後5時7分ころ以降は分娩監視装置が適切に胎児心拍を計測することができない状況にあったものと認められる(その原因としてはプローブのずれなどが考え得る。乙B11。 )また,M意見書(甲B8)は,午後5時10分ころF医師が再度経膣分娩を試みた際に,胎児の臀部の皮膚が少し青くなっていたことについて,チアノーゼを示すものであると指摘している。しかし,この点について,F医師は,その証人尋問において,チアノーゼは全く認められず,午後5時10分ころの第2児の臀部の皮膚色の変化は臀部が膣内で圧迫されてうっ血したために生じたものと思われる旨証言している。このことに,午後5時7分ころまでは分娩監視装置において胎児心拍が良好であることが確認されていること(上記(1)ウ,事後的にみても硬膜外)麻酔注入後の胎児心拍数が130台,帝王切開のために砕石位となった際の胎児心拍数が120ないし130台であり,この数値からすれば胎児心拍は良好であると評価できること(L意見書・乙B11,更には)第2児の臀部の皮膚色に関する証人Kの証言を総合的に考察すると,この皮膚色の変化は,骨盤位で生じやすいうっ血によるものであったと認められる。 そうすると,前記医学検証報告書やM意見書は,いずれもその前提とする事実を認めることができないから,これらの意見を採用することはできない。そして,他に,第2児の状態が急に悪化した事実を認めるに足りる証拠はなく,帝王切開を決定した後において,決定前と異なり直ちに第2児を娩出させなければならない事態が生じたと認めることはで- 18 -きない。 そして,上記(1)ウ認定のとおり,帝王切開を決定するまでの く,帝王切開を決定した後において,決定前と異なり直ちに第2児を娩出させなければならない事態が生じたと認めることはで- 18 -きない。 そして,上記(1)ウ認定のとおり,帝王切開を決定するまでの間,胎児の心拍は良好であったこと,上記(1)イ認定のとおり,K医師が午後5時に帝王切開を決定した理由は,分娩が遷延しており,今後胎盤早期剥離などが起こり胎児の状態が悪化することを予防することにあったこと,その後も,直ちに第2児を娩出しなければならない事態が生じたと認めることができないことにかんがみると,被告病院の医師が,挿管時のトラブルによる重篤な合併症を起こす危険性がある全身麻酔ではなく,緊急の手術には不向きであるが胎児への負担が少ない硬膜外麻酔を選択したことには,合理性があるというべきである。 エなお,WHOの勧告などでは,帝王切開の実施を決定してからその開始まで30分以内にすべきとされている(上記ア(ア) 。しかしながら,以)上認定説示した事実,特に,帝王切開の実施を決定してからその開始までの間の経過において,第2児の臀部の下降が認められたことから,再度経膣分娩を試みたことを含め,被告病院の医師らの措置等に不適切な点があるとは認められないこと,また,帝王切開を決定した目的が分娩の遷延により胎盤早期剥離などによる第2児の状態の悪化を予防することにあり,直ちに手術的操作をして第2児を娩出させなければならない状況にはなかったことにかんがみると,帝王切開の実施を決定してから手術開始までに47分を要したことが,時間を費やしすぎており,不適切であったとまでいうことはできない。 (3)執刀から娩出まで時間を費やしすぎたとの主張についてア証拠(甲B7,乙B3)によれば,帝王切開における切開の方法について,以下の医学的知見が認められる。 腹壁 とまでいうことはできない。 (3)執刀から娩出まで時間を費やしすぎたとの主張についてア証拠(甲B7,乙B3)によれば,帝王切開における切開の方法について,以下の医学的知見が認められる。 腹壁の切開の方法には,縦切開と横切開がある。その選択には,子宮切開法との関連,手術開始から胎児娩出までの所要時間,既往手術の影響,- 19 -上方への切開延長の可能性などの産科学的因子に,美容的因子を加味した総合的な判断が必要である。 妊産婦の希望は横切開が多い。十分成熟した多胎での帝王切開においては,単胎の場合と同様に横切開が選択されることが通常であるが,緊急の場合,切開を拡大する可能性が大きい場合,4胎以上の多胎の場合,早期早産の時期における分娩の場合,先進児が非頭位で子宮下部が十分展退していない場合,又は前置胎盤を伴う場合には縦切開を選択する。 イ本件においては,上記(1)イのとおり,帝王切開の決定をした理由が,直ちに手術的操作をして第2児を娩出しなければならないというものではなく,分娩の遷延により胎盤早期剥離などによる第2児の状態の悪化を予防することにあった。そして,上記(2)ウ認定のとおり,硬膜外麻酔注入後の胎児心拍数は130台で,その後,帝王切開のために砕石位となった際の胎児心拍数は120ないし130台でいずれも良好であることが確認されていたのであり,直ちに胎児を娩出させなければならない状況にはなかった。 そうすると,本件においては,上記アで認定した縦切開を選択すべき状況は存在していなかったというべきであるから,H医師らが,帝王切開を縦切開によらず,通常選択される横切開により行ったことが不適切であったということはできない。 以上の次第であるから,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がない。 よって, 開によらず,通常選択される横切開により行ったことが不適切であったということはできない。 以上の次第であるから,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がない。 よって,原告らの請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第35部裁判長裁判官金井康雄- 20 -裁判官本吉弘行裁判官望月千広

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